JP2007254558A - 着色微粒子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
必要に応じてドープ処理あるいは脱ドープ処理でき、その際共役系高分子の脱離が起こらない着色微粒子及びその製造方法を提供する。さらに詳しくは、均一な粒子形状を有し、粒子全体が共役系高分子により着色された、粒子径0.2〜10μm、変動係数が10%以下の着色微粒子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
エチレン性不飽和単量体を重合してなるポリマー微粒子存在下で芳香族アミン単量体を酸化重合する着色微粒子であって、
(A)芳香族アミン単量体の一部を水と有機溶剤との混合溶媒中で、油溶性酸化剤を用いて酸化重合させる工程、
(B)有機溶剤を除去し、水溶媒中で水溶性酸化剤を用いて残りの芳香族アミン単量体を酸化重合させる工程
の二つの工程を含む着色微粒子の製造方法。

Description

本発明は、均一に着色した球状の微粒子に関し、さらに詳しくはミクロンサイズであり、かつ粒度分布の狭い単分散着色微粒子に関する。本発明にて得られる着色微粒子は、液晶表示装置用スペーサーの遮光性微粒子、金属保護コーティング添加剤、帯電防止剤、あるいは半導体、電子材料用の導電性微粒子として有用である。
液晶表示装置の視認性向上のため液晶セル内部で使用されるスペーサーに遮光性を付与した微粒子では、様々な製造方法が提案されている。例えば、特許文献1には油溶性染料存在下で分散重合を行い、油溶性染料を取り込みながら粒子を製造する方法、特許文献2には水系溶媒中でカーボンブラックを分散した単量体を懸濁重合することにより着色微粒子を作製する方法が開示されている。しかし油溶性染料を使用した場合は、遮光性が不十分であることや、使用時に分散溶剤中への染料の溶出が問題となる。またカーボンブラックを使用した場合は、絶縁性が不十分で液晶の異常配向が起こることや、均一に黒色化することが難しいといった欠点が上げられる。
一方で、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの共役系高分子材料は、その分子構造に起因する着色性を有しており、したがって遮光性を有する。ドープ状態の共役π電子を有するポリマーは導電性を有するため、帯電防止剤、あるいは半導体、電子材料用の導電性ポリマーとして使用されるが、脱ドープ処理により得られた脱ドープ体は絶縁体であり、遮光性を有しているため、液晶表示装置スペーサーとして好ましい。しかしながらこれらの材料は不溶、不融であるため、粒子化するのは困難である。
従来より、乳化重合、分散重合、懸濁重合、シード重合等で重合された高分子微粒子と共役系高分子を複合化する試みが多くなされているが、その多くは特許文献3に見られるように母体となる表面に酸性基を有する高分子微粒子分散液中で、芳香族アミン類を酸化重合することで、不溶化した共役系高分子を母体粒子表面に吸着させ、外殻を被覆する方法であった。しかし、この方法で得られる粒子は、被覆状態にムラが生じたり、粒子形状が不均一であったり、脱ドープ処理により共役系高分子の脱離が起こるなど液晶表示装置スペーサーとして使用するには様々な問題点を有している。
特開平7-2913号公報 特開平9-221507号公報 特開2002-356654号公報
本発明の目的は、上記共役系高分子複合微粒子の欠点を解消した遮光性を有する着色微粒子を提供することである。また、液晶表示装置スペーサーから導電性微粒子まで汎用性のある共役系高分子複合微粒子の提供にある。詳しくは、必要に応じてドープ処理あるいは脱ドープ処理でき、その際に着色成分である共役系高分子の脱離が起こらない、着色微粒子及びその製造方法を提供することである。さらに詳しくは、均一な粒子形状を有し、粒子内部が共役系高分子により均一に着色された、粒子径0.2〜10μm、変動係数が10%以下の着色微粒子及びその製造方法を提供することである。
本発明は、エチレン性不飽和単量体を重合してなるポリマー微粒子存在下で芳香族アミン単量体を酸化重合する着色微粒子の製造方法であって、
(A)芳香族アミン単量体の一部を水と有機溶剤との混合溶媒中で、油溶性酸化剤を用いて酸化重合させる工程、
(B)有機溶剤を除去し、水溶媒中で水溶性酸化剤を用いて残りの芳香族アミン単量体を酸化重合させる工程、
の二つの工程を含むことを特徴とする着色微粒子の製造方法に関する。
さらに本発明は、芳香族アミン単量体を酸化重合してなるポリマーが、ピロール、アニリン又はそれら誘導体のホモポリマー、あるいはそれらの共重合体であることを特徴とする上記着色微粒子の製造方法に関する。
さらに本発明は、エチレン性不飽和単量体を、分散安定剤非存在下で重合させることを特徴とする上記着色微粒子の製造方法に関する。
また本発明は、エチレン性不飽和単量体を重合してなるポリマー微粒子の全体が、芳香族アミン単量体を酸化重合してなるポリマーを含む着色微粒子に関する。
さらに本発明は、芳香族アミン単量体を酸化重合してなるポリマーが、ピロール、アニリン又はそれら誘導体のホモポリマー、あるいはそれらの共重合体である上記着色微粒子に関する。
さらに本発明は、エチレン性不飽和単量体の重合によって得られるポリマー微粒子が、分散安定剤を含まないことを特徴とする上記着色微粒子に関する。
さらに本発明は、上記の製造方法で製造されてなる上記着色微粒子に関する。
さらに本発明は、粒子径が、0.2〜10μm、変動係数が10%以下である上記着色微粒子に関する。
本発明により、エチレン性不飽和単量体の重合によって得られるポリマー微粒子の全体が、芳香族アミン単量体を酸化重合してなるポリマーを含む微粒子を提供することができた。さらに詳しくは、均一な粒子形状を有し、粒子全体が共役系高分子により均一に着色された、粒子径0.2〜10μm、変動係数が10%以下の遮光性の着色微粒子を提供できた。本発明により得られる着色微粒子は、液晶表示装置用スペーサーの遮光性微粒子、金属保護コーティング添加剤、帯電防止剤、あるいは半導体、電子材料用の導電性微粒子として利用することができる。
本発明でいう着色微粒子は、エチレン性不飽和単量体の重合によって得られるポリマー微粒子の全体に芳香族アミン単量体を酸化重合してなるポリマーが存在した微粒子である。本発明の着色微粒子は、芳香族アミン重合体由来の色に着色しており、遮光性を有する。
本発明の着色微粒子は、エチレン性不飽和単量体を重合してなるポリマー微粒子存在下で、芳香族アミン単量体を酸化重合することによって製造される。
まず、本発明でいうエチレン性不飽和単量体を重合してなるポリマー微粒子について説明する。エチレン性不飽和単量体を重合してなるポリマー微粒子は、一般的なポリマー微粒子製造法を用いることが出来る。具体的な製造法として、乳化重合法、分散重合法、懸濁重合法、ソープフリー乳化重合法、シード重合法などが挙げられる。
上記したポリマー微粒子製造法では、重合中の安定性を保つために、一般的には、界面活性剤や高分子分散剤等の分散安定剤を使用するが、本発明では、効率的に芳香族アミン単量体をポリマー微粒子の全体に存在させるため、界面活性剤、高分子分散剤等の分散安定剤を含まないものが好ましい。上記したポリマー微粒子製造法で製造したポリマー微粒子を洗浄することで分散安定剤を除去しても良いが、工程を省略するため、本発明者らが開発した分散安定剤非存在下でミクロンサイズの単分散微粒子を得る分散重合法を用いることが好ましい。詳細は、特開2001−278907号公報に示されている。この合成法は、水と有機溶媒の混合溶媒中で、イオン性開始剤を用いてエチレン性不飽和単量体を重合する方法で、分散安定剤非存在下でミクロンサイズの粒子を得ることが出来る。さらに非イオン性開始剤を併用することにより粒子径を調整することが出来る。
前記イオン性開始剤としては、2,2’−アゾビス[2−(フェニルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−545、和光純薬製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−クロロフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−546、和光純薬製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ドロキシフェニル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−548、和光純薬製)、2,2’−アゾビス[2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−552、和光純薬製)、2,2’−アゾビス[2−(N−アリルアミジノ)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−553、和光純薬製)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(V−50、和光純薬製)、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシエチル)アミジノ]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−558、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−041、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−044、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−054、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−058、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド(VA−059、和光純薬製)、2,2−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド(VA−060、和光純薬製)、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](VA−061、和光純薬製)等のカチオン性開始剤、
過硫酸カリウム(KPS、和光純薬製)、過硫酸アンモニウム(APS、和光純薬製)等のアニオン性開始剤が挙げられる。
また、非イオン性開始剤としては、2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−70、和光純薬製)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬製)2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(V−60、和光純薬製)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(V−59、和光純薬製)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(V−40、和光純薬製)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(V−30、和光純薬製)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチル−バレロニトリル(V−19、和光純薬製)等のアゾニトリル化合物、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)(VR−110、和光純薬製)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)(VR−160、和光純薬製)等のアルキルアゾ化合物、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}(VA−080、和光純薬製)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}(VA−082、和光純薬製)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}(VA−085、和光純薬製)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド](VA−086、和光純薬製)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイドレート(VA−088、和光純薬製)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド](VF−096、和光純薬製)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)(VAm−110、和光純薬製)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)(Vam−111、和光純薬製)等のアゾアミド化合物等の非イオン性アゾ重合開始剤、
メチルエチルケトンパーオキサイド(パーメックH、日本油脂製)、シクロヘキサノンパーオキシド(パーヘキサH、日本油脂製)、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド(パーヘキサQ、日本油脂製)、メチルアセトアセテートパーオキサイド(パーキュアーSA、日本油脂製)、アセチルアセトンパーオキサイド(パーキュアーA、日本油脂製)等のケトンパーオキサイド類、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサTMH、日本油脂製)、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(パーヘキサHC、日本油脂製)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサ3M、日本油脂製)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(パーヘキサC、日本油脂製)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン(パーヘキサCD、日本油脂製)、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン(パーヘキサ22、日本油脂製)、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート(パーヘキサV、日本油脂製)、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(パーテトラA、日本油脂製)等のパーオキシケタール類、t−ブチルヒドロパーオキサイド(パーブチルH−69、日本油脂製)、p−メンタンヒドロパーオキサイド(パーメンタH、日本油脂製)、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド(パークミルP、日本油脂製)、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド(パーオクタH、日本油脂製)、クメンヒドロパーオキサイド(パークミルH−80、日本油脂製)、t−ヘキシルヒドロパーオキサイド(パーヘキシルH、日本油脂製)等のヒドロパーオキサイド類、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(パーヘキシン25B、日本油脂製)、ジ−t−ブチルパーオキサイド(パーブチルD、日本油脂製)、t−ブチルクミルパーオキシド(パーブチルC、日本油脂製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25B、日本油脂製)、ジクミルパーオキシド(パークミルD、日本油脂製)、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチルP、日本油脂製)等のジアルキルパーオキサイド類、オクタノイルパーオキシド(パーロイルO、日本油脂製)、ラウロイルパーオキシド(パーロイルL、日本油脂製)、ステアロイルパーオキシド(パーロイルS、日本油脂製)、スクシニックアシッドパーオキシド(パーロイルSA、日本油脂製)、ベンゾイルパーオキサイド(ナイパーBW、日本油脂製)、イソブチリルパーオキサイド(パーロイルIB、日本油脂製)、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド(ナイパーCS、日本油脂製)、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド(パーロイル355、日本油脂製)等のジアシルパーオキサイド類、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(パーロイルNPP−50M、日本油脂製)、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(パーロイルIPP−50、日本油脂製)、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(パーロイルTCP、日本油脂製)、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート(パーロイルEEP、日本油脂製)、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート(パーロイルOPP、日本油脂製)、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート(パーロイルMBP、日本油脂製)、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート(パーロイルSOP、日本油脂製)等のパーオキシジカーボネート類、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(ダイパーND、日本油脂製)、クミルパーオキシネオデカノエート(パークミルND、日本油脂製)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート(パーオクタND、日本油脂製)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート(パーシクロND、日本油脂製)、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(パーヘキシルND、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(パーブチルND、日本油脂製)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(パーヘキシルPV、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシピバレート(パーブチルPV、日本油脂製)、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーオクタO、日本油脂製)2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ250、日本油脂製)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーシクロO、日本油脂製)、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(パーヘキシルO、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(パーブチルO、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(パーブチルIB、日本油脂製)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(パーヘキシルI、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド(パーブチルMA、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート(パーブチル355、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシラウレート(パーブチルL、日本油脂製)、2,5−ジメチル2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25MT、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(パーブチルI、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート(パーブチルE、日本油脂製)、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(パーヘキシルZ、日本油脂製)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25Z、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシアセテート(パーブチルA、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート(パーブチルZT、日本油脂製)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(パーブチルZ、日本油脂製)、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート(パーブチルIF、日本油脂製)等のパーオキシエステル類、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート(ペロマーAC、日本油脂製)、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド(パーブチルSM、日本油脂製)、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB−50、日本油脂製)、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン(ノフマーBC、日本油脂製)等の非イオン性有機過酸化物等が挙げられる。
イオン性開始剤、非イオン性開始剤は2種類以上併用することが可能であり、重合開始剤量は、イオン性開始剤についてはエチレン性不飽和単量体全量に対して0.01〜1.00重量%、非イオン性開始剤についてはエチレン性不飽和単量体全量に対して0.1〜10.0重量%用いるのが好ましい。
エチレン性不飽和単量体を重合してなるポリマー微粒子の重合に使用することができるエチレン性不飽和単量体としては、架橋性単量体と非架橋性単量体があり、所望する物性に応じて組成を決定する。
架橋性単量体は、架橋性を与えるための官能基を有している二官能あるいは三官能以上の多官能単量体であり、架橋剤として機能する。架橋性単量体が有する官能基のうち少なくとも1つは、非架橋性単量体と共重合させるために必要であり、他の官能基は、架橋性を与えるための官能基として機能する。
架橋性単量体が有する架橋性を与えるための官能基としては、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ビニル基、アルコキシシリル基等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、これらの官能基による架橋としては、エポキシ基とヒドロキシル基、あるいはカルボキシル基との付加反応による架橋、ビニル基同士のラジカル重合による架橋、アルコキシシリル基の加水分解と縮合反応による架橋等が挙げられる。中でも、ビニル基同士のラジカル重合による架橋が好ましい。
架橋性単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の複素環含有(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル等のヒドロキシ(アルコキシ)含有(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸等の不飽和カルボン酸類、無水イタコン酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物類、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸1−メチルアリル、(メタ)アクリル酸2−メチルアリル、(メタ)アクリル酸1−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−ブテニル、(メタ)アクリル酸3−ブテニル、(メタ)アクリル酸1,3−メチル−3−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−クロルアリル、(メタ)アクリル酸3−クロルアリル、(メタ)アクリル酸o−アリルフェニル、(メタ)アクリル酸2−(アリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸アリルラクチル、(メタ)アクリル酸シトロネリル、(メタ)アクリル酸ゲラニル、(メタ)アクリル酸ロジニル、(メタ)アクリル酸シンナミル、(メタ)アクリル酸2−(2’−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、オレイン酸ビニル、リノレン酸ビニル等の不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル類、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ジアクリル酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、トリアクリル酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリル酸等の多官能(メタ)アクリル酸エステル類、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン等のアルコキシシリル基含有単量体類、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニル等のジビニル類、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル等のジアリル類等が挙げられる。
架橋性単量体は、2種以上を組み合わせて用いることができ、架橋性単量体の量は、エチレン性不飽和単量体全量に対し、10重量%以下であることが好ましい。
非架橋性単量体は、架橋性を与えるための官能基を有さない単量体であり、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系単量体、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等のフッ素基含有(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和単量体に加え、次工程で酸化重合させる芳香族アミン単量体を一部存在させても良い。これにより、粒子内部に芳香族アミン単量体をより効率的に取り込むことが出来る。
本発明は、芳香族アミン単量体を酸化重合する工程が、以下の2つの工程からなることを特徴とする。
(A)芳香族アミン単量体の一部を水と有機溶剤との混合溶媒中で、油溶性酸化剤を用いて酸化重合させる工程。
(B)有機溶剤を除去し、水溶媒中で水溶性酸化剤を用いて残りの芳香族アミン単量体を酸化重合させる工程。
本発明の芳香族アミン単量体は、酸化重合により着色した重合体となる化合物で、その単独重合体の多くは導電性を有する化合物である。
芳香族アミン単量体としては、アニリン、トルイジン等の環アルキル置換アニリン類、アニソール、ニトロアミン、ニトロソアミン等の置換アニリン類、フルオロアニリン、クロロアニリン、ブロモアニリン等のハロゲン化アニリン類、N−メチルアニリン、N−ジフェニルアミン等の窒素置換アニリン類、フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン類、N−フェニル−フェニレンジアミンといったオリゴアニリン類等のアニリン誘導体、さらにピロール、インドール、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジンといった複素環型芳香族アミン類、およびこれらそれぞれのアルキル置換体、ハロゲン置換体、ニトリル置換体といったこれら誘導体が挙げられる。
これらの単量体は単独で使用して、ホモポリマーとすることができ、あるいは2種類以上を併用して、共重合体とすることもできる。また、フェニレンジアミン等の多官能アミンを使用した場合、架橋構造を取り得ることから、耐久性が増す。
本発明の着色微粒子は、前記エチレン性不飽和単量体を重合してなるポリマー微粒子に、芳香族アミン単量体を任意の量添加し、酸化重合することにより得られる。
芳香族アミン単量体の量は、ポリマー微粒子に対し10〜60重量%の間で所望する物性に応じて決定する。
工程(A)でいう有機溶剤とは、芳香族アミン単量体を溶解し、かつ水と混合する有機溶剤であり、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、メチルセロソルブ、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類が挙げられ、これらの溶剤は2種以上を混合して用いることができる。
中でも、次工程で有機溶剤を除去するため、沸点の低いメタノール、エタノールが好ましい。また、混合溶剤中の水の量は3重量%以上であることが望ましい。
工程(A)で用いる油溶性酸化剤とは、芳香族アミン単量体の酸化剤として作用する化合物で、水に不溶かつ上記有機溶剤に溶解する化合物である。具体的には前記重合開始剤の非イオン性有機過酸化物が挙げられる。油溶性酸化剤の量は芳香族アミン単量体全量に対し、2〜50モル%が好ましい。
工程(A)は、まず前記エチレン性不飽和単量体を重合してなるポリマー微粒子を、水と有機溶剤との混合溶剤中に分散し、芳香族アミン単量体を添加後、油溶性酸化剤を添加し、0〜40℃で2時間以上撹拌する。分散液は白色から茶褐色へと変化する。
工程(A)では、エチレン性不飽和単量体を重合してなるポリマー微粒子と芳香族アミン単量体との合計量が、重合系全量に対し5〜30重量%となる濃度で行うことが好ましい。
工程(B)で用いる水溶性酸化剤とは、芳香族アミン単量体の酸化剤として作用する化合物で水溶性の化合物である。水溶性酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、塩化鉄、過マンガン酸カリウム、過酸化水素、過塩素酸銅等が挙げられる。また、必要に応じて、触媒を添加しても良い。触媒としては、鉄イオン(II)、鉄イオン(III)等の遷移金属イオン類、鉄サレン系化合物等の有機遷移金属錯体化合物類、西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ等のペルオキシダーゼ類等が挙げられる。
水溶性酸化剤の量は、重合系内の芳香族アミン単量体のモル数から工程(A)で添加した油溶性開始剤のモル数を差し引いたモル数の1〜1.5倍量を使用するのが好ましい。
工程(B)では、まずストリッピング等の操作を行い、工程(A)で用いた有機溶剤を除去後、水溶性酸化剤を添加し、0〜40℃で3時間以上撹拌する。工程(B)では、工程(A)で重合せずに残った芳香族アミン単量体を重合させることで、分散液は茶褐色から濃緑〜黒色へと変化する。
芳香族アミン単量体の酸化重合時には、必要に応じて分散安定剤を添加しても良い。
分散安定剤とは、界面活性剤もしくは分散安定性を付与する高分子量物をいう。例えば、界面活性剤としては、ドデシルスルホン酸ナトリウムのようなアルキルスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルベンゼンスルホン酸塩といったアニオン性界面活性剤、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテートのようなアルキルアミン塩類、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライドのような四級アンモニウム塩類といったカチオン性界面活性剤、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイドといった両性界面活性剤、またさらには、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテルのようなポリエチレングリコールアルキルエーテル等といった非イオン性界面活性剤が挙げられる。さらに、これら界面活性剤にエチレン性不飽和単量体と共重合可能な官能基が結合されているものも界面活性剤として使用することができる。
高分子量の分散安定剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、その共重合体およびこれらの中和物ならびにポリメタクリル酸、その共重合体およびこれらの中和物、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等が挙げられる。
界面活性剤、高分子量の分散安定剤は2種以上併用することもできる。また、分散安定剤を用いる場合は、エチレン性不飽和単量体を重合してなるポリマー微粒子および芳香族アミン単量体全量に対して0.1〜10重量部の量で使用することが好ましい。
分散安定剤の添加時期は、工程(A)、(B)のいずれの段階でも良いが、粒子への芳香族アミン単量体の移行を阻害しないという点から、工程(B)での添加が好ましい。
本発明の着色微粒子は、着色成分である芳香族アミン単量体を酸化重合してなるポリマーが、粒子の全体に含まれた構造である。本発明の着色微粒子の特徴は、粒子の表面のみならず粒子の内部も着色されている。芳香族アミン単量体の粒子内部への取り込みを可能にしているのは、工程(A)の段階で芳香族アミン単量体の一部を酸化重合することで低分子量の芳香族アミン重合体を作製していることである。このことにより、工程(A)、(B)においては、粒子内部からの芳香族アミン単量体の溶出がなく、重合後の分散媒中に芳香族アミン重合体単独の粒子は見られない。
上記製造法で得られた着色微粒子は、濾過、遠心分離等の手段を用いて分離、水洗後、適宜な手段を経て、粉体あるいは分散体として提供される。
さらに本発明の着色微粒子は、平均粒子径が0.2〜10μmで、変動係数が10%未満の単分散な微粒子である。
本発明でいう平均粒子径は、光学顕微鏡で測定した100個の粒子の数平均であり、変動係数は、その100個の粒子径を統計計算し、次式によって求められた数値である。
変動係数(%)=(標準偏差/平均粒径)×100
次に実施例により本発明を具体的に説明する。実施例において部及び%とあるのは、特に指定のない限り、すべて重量基準であるものとする。
(実施例1)
(1)エチレン性不飽和単量体からなるポリマー粒子の製造
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管のついた反応器に、メタノール80.0部、水3.3部、スチレン15.0部を仕込み、窒素ガスを流し溶存酸素を除去した。反応器を60℃に加熱後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド
(V−50、和光純薬製)0.07部をイオン交換水0.5部に溶解したものと2,2’
−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬製)0.1部をメタノール5部に混合したものを同時に添加し7時間攪拌しながら加熱し、粒径2.1μm、変動係数2.8%のポリマー微粒子分散体を得た。
(2)芳香族アミン単量体の酸化重合
次に、得られたポリマー微粒子分散液(分散媒:水とメタノールの混合溶剤)を室温に冷却後、アニリン3.8部を添加し、ベンゾイルパーオキサイド(ナイパーBW、日本油脂製)1.0部をメタノール10部に混合したものを添加し2時間撹拌した。分散液の色は白色から茶褐色に変化した。その後、分散液に水100部を加え、ストリッピング操作により分散液中のメタノールを除去し、得られた水分散液を5℃に冷却後、過硫酸アンモニウム6.3部を水10部に溶解したものを滴下し、5℃で2時間以上撹拌後、室温で2時間以上撹拌し濃緑〜黒色の分散液を得た。
(実施例2)
(1)エチレン性不飽和単量体からなるポリマー粒子の製造
実施例1の単量体組成をスチレン13.5部、アニリン1.5部に変更した以外は同様に重合し、粒径1.8μm、変動係数5.6%のポリマー微粒子分散体を得た。
(2)芳香族アミン単量体の酸化重合
次に、得られたポリマー微粒子分散液(分散媒:水とメタノールの混合溶剤)を室温に冷却後、アニリン4.3部を添加し、ベンゾイルパーオキサイド(ナイパーBW、日本油脂製)1.6部をメタノール10部に混合したものを添加し2時間撹拌した。分散液の色は白色から茶褐色に変化した。その後、分散液に水70部を加え、ストリッピング操作により分散液中のメタノールを除去し、得られた水分散液を5℃に冷却後、エマルゲン1118S−70(花王製)3部を水30部で希釈したものを添加し、次いで過硫酸アンモニウム9.6部を水30部に溶解したものを滴下し、5℃で2時間以上撹拌後、室温で2時間以上撹拌し濃緑〜黒色の分散液を得た。
(実施例3)
(2)芳香族アミン単量体の酸化重合
実施例2の(1)で得られたエチレン性不飽和単量体からなるポリマー微粒子分散液(分散媒:水とメタノールの混合溶剤)を室温に冷却後、アニリン4.0部、フェニレンジアミン0.3部を添加し、ベンゾイルパーオキサイド(ナイパーBW、日本油脂製)1.7部をメタノール10部に混合したものを添加し2時間撹拌した。分散液の色は白色から茶褐色に変化した。その後、分散液にポリビニルアルコールPVA−217(クラレ製)1.9部を水137部に溶解したものを加え、ストリッピング操作により分散液中のメタノールを除去し、得られた水分散液を5℃に冷却後、過硫酸アンモニウム10部を水23部に溶解したものを滴下し、5℃で2時間以上撹拌後、室温で2時間以上撹拌し濃緑〜黒色の分散液を得た。
(実施例4)
(1)エチレン性不飽和単量体からなるポリマー粒子の製造
実施例1の単量体組成をスチレン13.2部、ジビニルベンゼン0.3部、アニリン1.5部に変更した以外は同様に重合し、粒径1.6μm、変動係数3.4%のポリマー微粒子分散体を得た。
(2)芳香族アミン単量体の酸化重合
次に、得られたポリマー微粒子分散液(分散媒:水とメタノールの混合溶剤)を用い、実施例2の(2)と同様の操作を行い、濃緑〜黒色の分散液を得た。
(実施例5)
(1)エチレン性不飽和単量体からなるポリマー粒子の製造
実施例1と同様の反応器に、メタノール66.0部、水19.0部、メタクリル酸メチル13.5部、メタクリル酸ベンジル1.5部を仕込み、窒素ガスを流し溶存酸素を除去した。反応器を60℃に加熱後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒ
ドロクロリド(V−50、和光純薬製)0.025部をイオン交換水0.5部に溶解したものと2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−7
0、和光純薬製)0.01部をメタノール5部に混合したものを同時に添加し7時間攪拌しながら加熱し、粒径2.4μm、変動係数3.2%のポリマー微粒子分散体を得た。
(2)芳香族アミン単量体の酸化重合
次に、得られたポリマー微粒子分散液(分散媒:水とメタノールの混合溶剤)を用い、実施例1の(2)と同様の操作を行い、濃緑〜黒色の分散液を得た。
(比較例1)
(2)芳香族アミン単量体の酸化重合
実施例1の(1)で得られたエチレン性不飽和単量体からなるポリマー微粒子分散液に水75部を加えストリッピングによりメタノールを除去し、室温に冷却後、アニリン塩酸塩3.8部、ポリビニルアルコールPVA−217(クラレ製)1.9部を水36部に溶解したものを加え、さらに5℃まで冷却後、過硫酸アンモニウム14部を水33部に溶解したものを滴下し、5℃で2時間以上撹拌後、室温で2時間以上撹拌し濃緑〜黒色の分散液を得た。
(評価方法)
得られた微粒子の平均粒子径及び変動係数は、光学顕微鏡(OLYMPUS製 BX60)にて観察し得られた画像を、画像解析・計測ソフトウェア(三谷商事製WinRoof Standard Ver.5.0)を用い、微粒子の直径を実測し、算出した。
得られた微粒子の黒色性及び耐久性の評価には、脱ドープ処理した微粒子を使用した。脱ドープ処理は得られた微粒子分散液のpHが8になるようにアンモニア水を添加し、室温で1時間撹拌後、得られた微粒子をろ過、精製水で洗浄したものを使用した。
黒色性の評価は、光学顕微鏡(OLYMPUS製 BX60)にて観察し、粒子全体が均一に濃く着色しているものを◎、粒子全体が均一に薄く着色しているものを○、不均一な着色のものを×とした。
耐久性の評価は脱ドープ微粒子をメタノールに分散させ、30分間150Wの超音波を照射した後光学顕微鏡(OLYMPUS製 BX60)にて観察し、黒色性の低下していないものを○、低下したものを×とした。
結果を表1に示す。
Figure 2007254558
実施例で得られた微粒子は、粒子の全体に芳香族アミン重合体が含まれ、粒子全体が均一に着色していたのに対し、比較例で得られた微粒子は粒子表面に芳香族アミン重合体が部分的に吸着しており、着色にムラがあった。また、比較例では芳香族アミン重合体のみで構成される微粒子も多く存在した。耐久性試験においても、比較例では芳香族アミン重合体の粒子からの脱離が観測された。
本発明の着色微粒子は、液晶表示装置用スペーサーの遮光性微粒子、金属保護コーティング添加剤、帯電防止剤、あるいは半導体、電子材料用の導電性微粒子として有用である。

Claims (8)

  1. エチレン性不飽和単量体を重合してなるポリマー微粒子存在下で芳香族アミン単量体を酸化重合する着色微粒子の製造方法であって、
    (A)芳香族アミン単量体の一部を水と有機溶剤との混合溶媒中で、油溶性酸化剤を用いて酸化重合させる工程、
    (B)有機溶剤を除去し、水溶媒中で水溶性酸化剤を用いて残りの芳香族アミン単量体を酸化重合させる工程、
    の二つの工程を含むことを特徴とする着色微粒子の製造方法。
  2. 芳香族アミン単量体を酸化重合してなるポリマーが、ピロール、アニリン又はそれら誘導体のホモポリマー、あるいはそれらの共重合体であることを特徴とする請求項1記載の着色微粒子の製造方法。
  3. エチレン性不飽和単量体を、分散安定剤非存在下で重合させることを特徴とする請求項1または2記載の着色微粒子の製造方法。
  4. エチレン性不飽和単量体を重合してなるポリマー微粒子の全体が、芳香族アミン単量体を酸化重合してなるポリマーを含む着色微粒子。
  5. 芳香族アミン単量体を酸化重合してなるポリマーが、ピロール、アニリン又はそれら誘導体のホモポリマー、あるいはそれらの共重合体である請求項4記載の着色微粒子。
  6. エチレン性不飽和単量体の重合によって得られるポリマー微粒子が、分散安定剤を含まないことを特徴とする請求項4または5記載の着色微粒子。
  7. 請求項1〜3いずれか記載の製造方法で製造されてなる請求項4記載の着色微粒子。
  8. 粒子径が、0.2〜10μm、変動係数が10%以下である請求項4〜7いずれか記載の着色微粒子。

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