JP2005194349A - 水系導電性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリアニリンが水に均一に分散されていて、成膜した際に高い導電性を示し、塗膜の強度・柔軟性も十分であり、保存安定性にも優れたな水系導電性組成物を提供することを課題としている。
【解決手段】ポリアニリン類と、ドーパント、無機化合物、水を必須成分とする水系導電性組成物において、該ドーパントが分子内に酸基を有するエマルジョン重合体であることを特徴とする水系導電性組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリアニリン類が水に均一に分散された水系導電性組成物に関する。
導電性ポリマーであるポリアニリンは、二次電池の正極、固体電解質コンデンサー、ポリマーバッテリー、帯電防止材、透明導電膜、電磁波シールド材等の様々な用途分野での応用が検討されている。
これらの用途の多くにおいて、これらポリアニリンは種々の材料にコーティングして使用される。この場合、コーティングされた塗膜に要求される性能としては、導電性に加えて、塗膜としての成膜性、強度・柔軟性等が求められる。
しかしながら、一般にポリアニリンは水や溶剤に対する溶解性が著しく低いため、コーティング剤として用いる場合に、その含有量が少ないものしか調製できずに導電性が不十分であったり、強制的に分散させた場合には、その分散状態が悪いため、均一な塗膜としての成膜性が悪かったり、経時的に沈殿するという問題があった。
これらの問題を解決するために、強酸基を含むエマルジョンポリマー粒子をコアポリマーとして、該コアポリマー粒子に付着したポリアニリンポリマーと、バインダーを含むコーティング組成物が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
しかし、ポリアニリンポリマーは非常に強い凝集力を有するため、上記コーティング組成物では製造初期には安定に分散しているが、経時的に凝集がおこり分散性が悪くなるおそれがある。
一方、樹脂、ポリアニリンおよび/またはポリアニリン誘導体、コロイダルシリカ等の無機酸化物を主成分とする水系または水分散性の金属表面処理液が皮膜の腐食因子物質に対するバリヤー効果の付与と、皮膜と金属板および上塗り塗料との密着性の向上を目的として提案されている。(例えば、特許文献2参照)
しかし、上記文献では、水中でのポリアニリンの安定性を改良することに主眼をおいた内容になっていないため、樹脂として分子内に酸基を有するものを選択してポリアニリンを樹脂によりドープすることにより安定化させることが開示されていない。また、目的が上記の内容であるため、無機酸化物の配合量が比較的多い量となっている。
特開2002−356654号公報 特開平10−251509号公報
本発明では、ポリアニリンが水に均一に分散されていて、成膜した際に高い導電性を示し、塗膜の強度・柔軟性も十分であり、保存安定性にも優れたな水系導電性組成物を提供することを課題としている。
前記課題を解決するため、この発明にかかる水系導電性組成物では、ポリアニリン類と、ドーパント、無機化合物、水を必須成分とする水系導電性組成物において、該ドーパントが分子内に酸基を有するエマルジョン重合体であることが特徴である。
ドーパントである分子内に酸基を有するエマルジョン重合体によりポリアニリン類がドープされることにより、ポリアニリンが均一に分散され、コーティング剤として使用した際に、高い導電性と、強度・柔軟性に優れた塗膜が得られるとともに、無機化合物を併用することにより、該エマルジョン重合体に付着したポリアニリン類の凝集が緩和され、組成物の保存安定性を向上させることができる。
また、上記無機化合物の配合量が、上記エマルジョン重合体の100質量部に対して、0.01質量部〜5質量部の範囲内であることが、組成物中のポリアニリン類の保存安定性がより高くなることから好ましい実施態様である。
さらに、上記エマルジョン重合体が、ビニルピロリドン類を必須成分として含有する単量体を乳化重合してなる重合体であることが、よりポリアニリン類の分散性を向上させることができる。
なお、本発明においてドープとは、ポリアニリン類がプロトン付加された状態であり、ドーパントとは、該プロトン源となる化合物を示す。したがって、ポリアニリン類とドーパントは、ドープ状態において、イオン的に結合した状態になる。
本発明の水系導電性組成物は、上述の構成よりなるので、ポリアニリン類が均一に分散されているため、成膜した際に高い導電性を示し、塗膜の強度・柔軟性も十分な性能を保持し、しかも、保存安定性に優れているものである。
本発明者等は、ポリアニリン類が水に均一に分散された水系導電性組成物について鋭意検討を重ねた結果、ポリアニリン類と、ドーパント、無機化合物、水を必須成分とする水系導電性組成物において、該ドーパントが分子内に酸基を有するエマルジョン重合体であることにより、ポリアニリン類が均一に分散された組成物を得ることができるため、該組成物を成膜した際に高い導電性を示し、強度・柔軟性も十分な塗膜を得ることができ、しかも、該組成物の保存安定性が優れることを見出し、上記の課題をみごとに解決できることに想倒した。
本発明におけるポリニリン類としては、一般的なエメラルジン型のポリアニリンが好ましく用いられる。このエメラルジン型のポリアニリンとは、還元型単位(フェニレンジアミン骨格)と酸化型単位(キノンイミン骨格)が1対1のモル比で存在する基本骨格を繰り返し単位として含有するものが挙げられる。
本発明のポリアニリンおよびその誘導体は公知の方法により製造されるものであっても、市販品をそのまま使用してもよい。
本発明のポリアニリン類としては、上記エメラルジン型のポリアニリン以外に、ポリアニリン骨格中の芳香族環がo−、m−置換された誘導体も使用できる。該置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、炭素数1〜20のカルボキシエステル基、シアノ基、アリール基、スルホン基、ハロゲン基等が挙げられる。
本発明におけるポリアニリン類の重量平均分子量(Mw)は、GPCのポリエチレンオキサイド換算で、2,000以上のものが好ましい。重量平均分子量が2,000未満では、水系導電性組成物よりなる塗膜の導電性が低くなるおそれがある。該重量平均分子量は3,000〜20万の範囲内がさらに好ましく、5,000〜10万の範囲内が最も好ましい。
本発明の水系導電性組成物におけるポリアニリン類の含有量は、0.01質量%〜10質量%の範囲内が好ましい。該含有量が0.01質量%未満では、該組成物よりなる塗膜の導電性が低くなるおそれがあり、10質量%を超えるとポリアニリン類の分散性が悪くなるため、該組成物の保存安定性が低くなるおそれがある。該含有量は、0.1質量%〜5質量%の範囲内がさらに好ましく、0.3質量%〜3質量%の範囲内が最も好ましい。
本発明においてドーパントは、分子内に酸基を有するエマルジョン重合体である。
上記エマルジョン重合体は分子内に酸基を有するので、ポリアニリン類のドーパントとして作用し、本発明の水系導電性組成物からなる塗膜が導電性等の性能を示すようになるとともに、ポリアニリン類がエマルジョン重合体にイオン的に結合した状態になることから、均一に分散されることになる。
本発明におけるポリアニリン類を、分子内に酸基を有するエマルジョン重合体によりドープさせる方法としては、エマルジョン重合体の原料となる酸基を有する単量体を含む単量体混合物中にポリアニリン類を溶解あるいは分散することによりドープさせた後に混合物を重合する方法(方法1)と、あらかじめ重合した分子内に酸基を有するエマルジョン重合体中でポリアニリン類の原料モノマーを重合して分散ドープさせる方法(方法2)、あるいは、あらかじめ重合した分子内に酸基を有するエマルジョン重合体とポリアニリン類を混合してドープ分散させる方法(方法3)等が挙げられる。
本発明の水系導電性組成物における上記エマルジョン重合体の含有量は、10質量%〜60質量%の範囲内が好ましい。該含有量が10質量%未満では、水系導電性組成物の成膜性が悪くなり、均一な塗膜が得られないおそれがあり、60質量%を超えると水系導電性組成物の粘度が高くなり作業性が低下するおそれがある。該含有量は、15質量%〜50質量%の範囲内がさらに好ましく、20質量%〜40質量%の範囲内が最も好ましい。
本発明のエマルジョン重合体は分子内に酸基を有する。したがって、エマルジョン重合体の原料となる単量体は酸基を有する単量体を必須成分とする。
上記の酸基を有する単量体としては、カルボキシル基を有する単量体、スルホン基を有する単量体、リン酸基有する単量体が好ましく使用でき、具体的には、(メタ)アクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタリルスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシアルキルアシッドホスフェート等が挙げられる。
本発明のエマルジョン重合体の原料となる単量体における酸基を有する単量体の使用配合量は、原料となる単量体の全量に対して、0.1質量%〜20質量%の範囲内が好ましい。該使用量が0.1質量%未満では、ポリアニリン類のドープ効率が低いため水系導電性組成物よりなる塗膜の導電性が低くなり、しかもポリアニリン類の分散性も低下するおそれがあり、20質量%を超えると水系導電性組成物よりなる塗膜の耐水性が低下するおそれがある。該使用量は0.5質量%〜10質量%の範囲内がさらに好ましく、1.0質量%〜5質量%の範囲内が最も好ましい。
本発明のエマルジョン重合体は、原料の単量体として、ビニルピロリドン類を必須成分として含有することが、よりポリアニリン類の分散性を向上させることができるため好ましい。
上記ビニルピロリドン類としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
上記原料の単量体におけるビニルピロリドン類の使用量は、原料となる単量体の全量に対して、10質量%〜70質量%の範囲内が好ましい。該使用量が10質量%未満では、ポリアニリンの分散性が低くなるおそれがあり、70質量%を超えると水系導電性組成物よりなる塗膜の耐水性が低下するおそれがある。該使用量は15質量%〜50質量%の範囲内がさらに好ましく。20質量%〜40質量%の範囲内が最も好ましい。
本発明のエマルジョン重合体には、上記酸基を有する単量体やビニルピロリドン類以外にその他の単量体を原料の単量体として用いることができる。
上記その他の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートや、(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
本発明のエマルジョン重合体の原料単量体におけるその他の単量体の使用量は、原料となる単量体の全量に対して、10質量%〜80質量%の範囲内が好ましい。該使用量が10質量%未満では、水系導電性組成物よりなる塗膜の耐水性が低下するおそれがあり、80質量%を超えるとポリアニリン類の分散性が悪くなるため水系導電性組成物よりなる塗膜の導電性が低くなる恐れがある。該使用量は20質量%〜70質量%の範囲内がさらに好ましく。30質量%〜60質量%の範囲内が最も好ましい。
本発明におけるエマルジョン重合体の重合方法としては、例えば、塊状重合(バルク重合)、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が挙げられる。これらの重合方法のうち乳化重合が、得られた重合体バインダーが水を主要媒体とすることができるため、溶剤除去等の必要がなく生産工程が簡略化できるため好ましい。
上記の乳化重合としては、一般に乳化重合で用いられる方法が適応でき、例えば、単量体一括添加法、単量体滴下法、プレエマルション法、パワーフィード法、シード法、単量体多段添加法等が挙げられる。
上記の乳化重合の際に用いる乳化剤としては、ミセルが安定に保てることからノニオン系の乳化剤が好ましく、さらに、ポリアニリン類との親和性が高いことから分子骨格中に芳香族環する乳化剤が好ましい。
上記乳化剤としては、例えば、ノニポールシリーズ、エレミノールSCZ−35、エレミノールSTN−6、STN−8、STN−13、STN−20、STN−45(以上、三洋化成社製)、エマルゲンA―60、A−66、A−90(以上、花王社製)、ノイゲンEA−157、EA−167、EA−177、アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50(以上、第一工業製薬社製)等が挙げられる。
上記乳化剤の使用量は、エマルジョン重合体の原料単量体100質量部に対して、1〜15質量部の範囲内が好ましい。該使用量が1質量部未満では、乳化重合中の安定性が不足するおそれがあり、15質量部を超えると水系導電性組成物よりなる塗膜の耐水性が低下するおそれがある。該使用量は、3〜12質量部の範囲内がさらに好ましく、3〜8質量部の範囲内が最も好ましい。
上記重合反応の際の反応温度や反応時間等の反応条件は適宜設定すればよい。また、上記重合反応は、窒素雰囲気下で行うことが好ましく、さらに、平均分子量を調整するために、連鎖移動剤を添加して行うこともできる。
本発明のエマルジョン重合体の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜50万の範囲内が好ましい。該重量平均分子量が2,000未満では、水系導電性組成物よりなる塗膜の強度・耐水性が低くなるおそれがあり、50万を超えるとエマルジョン重合体の水に対する溶解性あるいは分散性が低下するおそれがある。エマルジョン重合体の重量平均分子量(Mw)は、5,000〜20万の範囲内がさらに好ましく、10,000〜10万の範囲内が最も好ましい。
本発明のエマルジョン重合体を重合する際に用いる重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2´-アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´-アゾビス(2−アミノジノプロパン)二塩酸塩、4,4´-アゾビス(4−シアノペンタン酸)、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等が挙げられる。
上記重合開始剤の使用量は、エマルジョン重合体の原料単量体の100質量部に対して、0.1〜5質量部の範囲内が好ましい。該使用量が0.1質量部未満では、重合が十分進まず単量体が残存して、水系導電性組成物よりなる塗膜の強度・柔軟性が低下するおそれがあり、5質量部を超えると重合中の安定性が不足するおそれがある。該使用量は、0.5〜3質量部の範囲内がさらに好ましく、0.7〜2質量部の範囲内が最も好ましい。
本発明の水系導電性組成物における、ポリアニリン類とエマルジョン重合体の総量は、組成物中で5質量%〜60質量%の範囲内が好ましい。ポリアニリン類とエマルジョン重合体の総量が5質量%未満では、水系導電性組成物を塗工した際の成膜性が低下するおそれがあり、60質量%を超えると水系導電性組成物の安定性が低下するおそれがある。ポリアニリン類とエマルジョン重合体の総量のさらに好ましい範囲は、7質量%〜40質量%の範囲内であり、10質量%〜30質量%の範囲内が最も好ましい。
本発明の水系導電性組成物は、無機化合物を必須成分として含有する。該無機化合物を含有することにより、ポリアニリン類の自己凝集性が抑制され、保存安定性が向上する。
本発明における無機化合物としては、無機粒子が好ましく、比表面積が50m/g以上の無機微粒子が好ましい。無機粒子の比表面積が50m/g未満では水系導電性組成物中のポリアニリン類が経時で凝集し、保存安定性が低下するおそれがある。無機粒子の比表面積は、100m/g以上が好ましく、150m/g以上が最も好ましい。
上記無機粒子の1次粒子の平均粒子径としては、50nm以下が好ましい。無機粒子の1次粒子の平均粒子径が50nmを超えると水系導電性組成物中のポリアニリン類が経時で凝集し、保存安定性が低下するおそれがある。無機粒子の平均粒子径、30nm以下が好ましく、20nm以下が最も好ましい。
本発明における無機化合物としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコン、酸化チタン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、カーボン等が挙げられる。上記無機化合物の中でも、シリカ、アルミナ、ジルコン、酸化チタン等の無機酸化物が、水系導電性組成物中のポリアニリン類の安定性がより向上するため好ましく、シリカ粒子がより好ましい。
該シリカ粒子としては、例えば、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等が挙げられ、具体的には、アエロジル(商品名、日本アエロジル社製)、レオロシール(商品名、トクヤマ社製)等が挙げられる。
本発明の水系導電性組成物においては、無機化合物の配合量は、エマルジョン重合体の100質量部に対して、0.01質量部〜5質量部の範囲内が好ましい。該配合量が0.01質量部未満では、組成物中のポリアニリン類の凝集抑制が小さく、保存安定性が低下するおそれがあり、該配合量が5質量部を超えると、水系導電性組成物から得られた塗膜の強度・柔軟性が低下するおそれがある。無機化合物の配合量のより好ましい範囲は0.1質量部〜3質量部であり、0.1質量部〜1質量部の範囲内が最も好ましい。
本発明の水系導電性組成物への無機化合物の配合は公知の方法で可能であるが、あらかじめポリアニリン類が分子内に酸基を有するエマルジョン重合体によりドープされた安定化されたものの中に配合する方法が好ましい。
本発明の水系導電性組成物には、必要に応じて、その他の化合物や副資材を配合してもよい。該その他の化合物や副資材としては、例えば、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、ハジキ防止剤、溶剤、防腐剤等が挙げられる。その他の化合物や副資材の配合量は、発明の効果を損なわない範囲であれば良く、本発明の組成物100質量部に対して、0.001質量部〜10質量部の範囲内が好ましい。
本発明の水系導電性組成物がコーティングして使用される場合には、所定の基材に対して、刷毛塗装、ロール塗装、スプレー塗装、ディップ塗装等の方法で塗装され、その後に常温で乾燥あるいは50〜150℃の範囲の温度で加熱乾燥されることにより塗膜を形成する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下ことわりのない場合、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ示すものとする。
合成例1
ポリアニリン(エメラルジン ベース、商品名:PANIPOL PA、Panipol社製)2部を、N−ビニルピロリドン20部と、水2部の混合物に均一に溶解して、青紫色のポリアニリン溶液を得た。この溶液をスチレン20部、ブチルアクリレート5部、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸2部の混合液中に、ホモジナイザで攪拌しながら滴下して、ポリアニリンが均一に分散した濃緑色の単量体混合物を得た。
温度計、冷却管、窒素導入管、滴下ロート、および攪拌機を備えた反応器に、イオン交換水140部、界面活性剤(商品名:エレミノールSCZ−35、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、HLB:14.6、三洋化成社製)3部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら攪拌溶解した。滴下ロートに上記単量体混合物を入れ、その1/10を反応器に滴下した。続いて、2,2´-アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の20%水溶液5部を投入した。70℃で30分間重合反応後、残りの単量体混合物を4時間かけて滴下した。さらに、滴下終了後同温度で2時間重合反応を行い、不揮発分29%、スルホン酸基を有するエマルジョン重合体がドーパントであるポリアニリン含有量1.0%のポリアニリン含有組成物(1)を得た。
合成例2
N−ビニルピロリドン20部、スチレン20部、ブチルアクリレート5部、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸2部、界面活性剤2部(商品名:アクアロンRN−20、HLB:15.4、第一工業製薬社製)の単量体混合物を調整した。
温度計、冷却管、窒素導入管、滴下ロート、および攪拌機を備えた反応器に、イオン交換水140部、界面活性剤(商品名:ノイゲンEA−167、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、HLB:14.8、第一工業製薬社製)3部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら攪拌溶解した。滴下ロートに上記単量体混合物を入れ、その1/10を反応器に滴下した。続いて、2,2´-アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の20%水溶液5部を投入した。70℃で30分間重合反応後、残りの単量体混合物を4時間かけて滴下した。さらに、滴下終了後同温度で2時間重合反応を行い、不揮発分27%のスルホン酸基を有する重合体エマルジョンを得た。
続いて、温度計、冷却管、窒素導入管、滴下ロート、および攪拌機を備えた反応器に、上記重合体エマルジョン195部、アニリン2部を入れて混合し、10℃まで冷却した。この液中に、あらかじめ加硫酸アンモニウム6部をイオン交換水6部に溶解した水溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、この混合液を10℃で、さらに4時間反応させることにより、スルホン酸基を有するエマルジョン重合体がドーパントであるポリアニリン含有量1.0%のポリアニリン含有組成物(2)を得た。
合成例3
2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸を使用しない以外は、合成例2と同様にして、酸基を有さない重合体エマルジョンを得た。さらに、合成例2と同様にして、エマルジョン重合体がドーパントではないポリアニリン含有量1.0%のポリアニリン含有組成物(3)を得た。
合成例4
2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸を使用しない以外は、合成例2と同様にして、不揮発分27%の分子内に酸基を有さない重合体エマルジョンを得た。
続いて、温度計、冷却管、窒素導入管、滴下ロート、および攪拌機を備えた反応器に、上記重合体エマルジョン195部、アニリン2部、ドーパントとしてパラトルエンスルホン酸2部を入れて混合し、10℃まで冷却した。この液中に、あらかじめ加硫酸アンモニウム6部をイオン交換水6部に溶解した水溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、この混合液を10℃で、さらに4時間反応させることにより、エマルジョン重合体がドーパントではないポリアニリン含有量1.0%のポリアニリン含有組成物(4)を得た。
実施例1〜2および比較例1〜3
合成例1〜4で得られたポリアニリン含有組成物(1)〜(4)に表1の配合量で無機化合物であるシリカ粒子として、アエロジル200(商品名、日本アエロジル社製)を配合して、本発明の水系導電性組成物(1)〜(4)および、比較の水系導電性組成物(1)〜(3)を得た。
評価方法
得られた水系導電性成物(1)〜(4)および比較の組成物(1)〜(3)を以下の方法により評価した。評価結果を表1に示す。
(1)表面抵抗値
ガラス基板にバーコーターで塗布後、乾燥して2μmの塗膜を形成し、JIS−K6911に準拠して、抵抗測定装置にて表面抵抗を測定した。
(2)保存安定性
水系導電性組成物を30℃の恒温槽中に保存し1ヶ月毎に分散状態を目視で評価した。
○…均一な分散液。
△…部分的に分離傾向が見られる。
×…分離傾向が著しい。
(3)鉛筆硬度測定
化成処理を施したアルミ基板にバーコーターで塗布後、乾燥して2μmの塗膜を形成し、JIS−K6911に準拠して鉛筆硬度を測定した。
Figure 2005194349
表1から明らかなように、実施例1〜4の水系導電性組成物は、ポリアニリン類が均一に分散されているため、成膜した塗膜は高い導電性を示し、塗膜の強度・柔軟性も十分な性能を保持し、保存安定性も優れたものであった。
一方、比較例1の比較の水系導電性組成物は、エマルジョン重合体が分子内に酸基を有していないため、ドーピング効果がなく、ポリアニリン類の分散状態も悪く、成膜した塗膜の導電性も著しく低いものであった。また、比較例2はドーパントが分子内に酸基を有するエマルジョン重合体ではないため、保存安定性が低く、成膜した塗膜の導電性も低いものであった。さらに、比較例3では無機化合物が配合されていないため、経時的にポリアニリンの凝集が発生し保存安定性が低いものであった。
本発明の水系導電性組成物は、ポリアニリン類が均一に分散されているため、成膜した際に高い導電性を示し、塗膜の強度・柔軟性も十分な性能を保持し、しかも、保存安定性に優れている。したがって、本発明の水系導電性組成物は、帯電防止剤、コンデンサー、電池、EMIシールド、化学センサー、表示素子等の用途をはじめと導電性が必要とされる用途に有効に利用することができる。

Claims (3)

  1. ポリアニリン類と、ドーパント、無機化合物、水を含有する水系導電性組成物において、該ドーパントが分子内に酸基を有するエマルジョン重合体であることを特徴とする水系導電性組成物。
  2. 前記無機化合物の配合量が、前記エマルジョン重合体の100質量部に対して、0.01〜5質量部の範囲内である請求項1記載の水系導電性組成物。
  3. 前記エマルジョン重合体が、ビニルピロリドン類を必須成分として含有する単量体を乳化重合してなる重合体である請求項1または2に記載の水系導電性組成物。
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