JP2015212335A - ペースト用樹脂組成物及びペースト組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷性、保形性及び糸曳き性に優れるペースト組成物を作製可能なペースト組成物用樹脂組成物、及び印刷性、保形性及び糸曳き性に優れるペースト組成物を提供する。【解決手段】有機溶媒と、前記有機溶媒に不溶である(メタ)アクリレート系樹脂Aと、前記有機溶媒に可溶である(メタ)アクリレート系樹脂Bと、を含むペースト用樹脂組成物であり、前記(メタ)アクリレート系樹脂Aは、全構成単位に対して3質量%〜30質量%の環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物に由来する構成単位と、全構成単位に対して3質量%〜30質量%の水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位と、を有し、前記(メタ)アクリレート系樹脂Aのガラス転移温度(Tg)は0℃以下であるペースト用樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、ペースト用樹脂組成物及びペースト組成物に関する。
PDP(プラズマディスプレイ)の背面ガラス基板上に設けられる隔壁、セラミックコンデンサの内部電極、太陽電池の電極等を形成する方法として、ガラス粉末、導電性粉末等の無機材料と、有機材料(バインダー樹脂を有機溶媒に溶解したもの)とを混合して調製したペースト組成物を成形し、焼成することが広く行われている。ペースト組成物のバインダー樹脂としては、エチルセルロース等のセルロース系樹脂が従来使用されてきた。しかし、セルロース系樹脂は低温での熱分解性に劣り、焼成後に残渣が生じるという問題があった。そこで、熱分解性に優れる(メタ)アクリル系樹脂をバインダー樹脂として用いるペースト組成物が提案されている。
他方、ペースト組成物を所望の形状に成形する方法としてはスクリーン印刷法、ドクターブレード等を用いた塗工法、シート状に加工するためのキャスティング法等があるが、中でもスクリーン印刷法は大量生産に適しており、広く採用されている。スクリーン印刷に用いるペースト組成物に求められる特性としては、印刷性、保形性及び糸曳き性が重要である。すなわち、スクリーン印刷時にペースト組成物の粘度が十分に低くなめらかに印刷できること、スクリーン印刷後にはペースト組成物の粘度が十分に高く形状の変化が小さいこと、及びスクリーン印刷に用いた孔版を被印刷体から離す際にペースト組成物の糸曳きが少ないことが求められる。
上記の状況に鑑み、(メタ)アクリル系樹脂をバインダー樹脂として含む無機ペースト組成物の印刷性、保形性及び糸曳き性等のスクリーン印刷用途に求められる特性を向上させるための検討がなされている。
例えば、架橋(メタ)アクリル樹脂からなるゲル微粒子、無機微粒子、及び有機溶剤を含有することで、チキソトロピー性に優れ、従ってスクリーン印刷性を有し、低温焼成が可能な無機微粒子分散ペースト組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、所定の(メタ)アクリル樹脂や有機溶剤を含み、スクリーン印刷性に優れるとされる無機微粒子分散ペーストや、少量で高粘度を付与できて焼成性に優れるとされる焼成型ペースト用アクリル系バインダー樹脂組成物などが開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。さらに、使用する有機溶媒に可溶な(メタ)アクリル系樹脂と不溶な(メタ)アクリル系樹脂とを含み、かつ有機溶媒に可溶な(メタ)アクリル系樹脂の溶解度パラメータ(SP値)と有機溶媒に不溶な(メタ)アクリル系樹脂のSP値との差を大きくすることで、ペースト用樹脂組成物中に含まれる不揮発分(有機溶剤以外の成分の合計)の割合が高くてもチキソトロピー性が良好であり印刷性に優れる非水分散型のペースト用樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
例えば、架橋(メタ)アクリル樹脂からなるゲル微粒子、無機微粒子、及び有機溶剤を含有することで、チキソトロピー性に優れ、従ってスクリーン印刷性を有し、低温焼成が可能な無機微粒子分散ペースト組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、所定の(メタ)アクリル樹脂や有機溶剤を含み、スクリーン印刷性に優れるとされる無機微粒子分散ペーストや、少量で高粘度を付与できて焼成性に優れるとされる焼成型ペースト用アクリル系バインダー樹脂組成物などが開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。さらに、使用する有機溶媒に可溶な(メタ)アクリル系樹脂と不溶な(メタ)アクリル系樹脂とを含み、かつ有機溶媒に可溶な(メタ)アクリル系樹脂の溶解度パラメータ(SP値)と有機溶媒に不溶な(メタ)アクリル系樹脂のSP値との差を大きくすることで、ペースト用樹脂組成物中に含まれる不揮発分(有機溶剤以外の成分の合計)の割合が高くてもチキソトロピー性が良好であり印刷性に優れる非水分散型のペースト用樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特許文献1に記載の架橋(メタ)アクリル樹脂からなるゲル微粒子を用いた無機微粒子分散ペースト組成物では、チキソトロピー性は得られても樹脂が架橋構造を有しているために焼成後に残渣が生じやすい。また、特許文献2、3に記載の(メタ)アクリル樹脂を用いた組成では、熱収縮を抑えて所望の形状を得るために不揮発分(有機溶剤以外の成分)の割合を高くした場合に、ペーストの状態でのチキソトロピー性が悪く印刷することが困難であった。特許文献4に記載のペースト用樹脂組成物では、不揮発分の割合が高い場合のチキソトロピー性が良好で印刷性が向上するが、有機溶媒に不溶な(メタ)アクリル系樹脂が形成する粒子が有機溶媒中で十分に安定化されておらず、ペースト組成物を作製した際の保形性及び印刷性の向上、並びに糸曳き性の向上に改善の余地がある。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、印刷性、保形性及び糸曳き性に優れるペースト組成物を作製可能なペースト組成物用樹脂組成物、及び印刷性、保形性及び糸曳き性に優れるペースト組成物を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的な手段は、以下の通りである。
<1>有機溶媒と、
前記有機溶媒に不溶である(メタ)アクリレート系樹脂Aと、
前記有機溶媒に可溶である(メタ)アクリレート系樹脂Bと、を含むペースト用樹脂組成物であり、
前記(メタ)アクリレート系樹脂Aは、全構成単位に対して3質量%〜30質量%の環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物に由来する構成単位と、全構成単位に対して3質量%〜30質量%の水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位と、を有し、
前記(メタ)アクリレート系樹脂Aのガラス転移温度(Tg)は0℃以下であるペースト用樹脂組成物。
<1>有機溶媒と、
前記有機溶媒に不溶である(メタ)アクリレート系樹脂Aと、
前記有機溶媒に可溶である(メタ)アクリレート系樹脂Bと、を含むペースト用樹脂組成物であり、
前記(メタ)アクリレート系樹脂Aは、全構成単位に対して3質量%〜30質量%の環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物に由来する構成単位と、全構成単位に対して3質量%〜30質量%の水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位と、を有し、
前記(メタ)アクリレート系樹脂Aのガラス転移温度(Tg)は0℃以下であるペースト用樹脂組成物。
<2>前記環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物は芳香族炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物を含む、<1>に記載のペースト用樹脂組成物。
<3>前記環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物はスチレン及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含む、<1>又は<2>に記載のペースト用樹脂組成物。
<4>(メタ)アクリレート系樹脂Bは、全構成単位に対して0質量%以上5質量%以下の極性基を有するモノマーに由来する構成単位を有する、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のペースト用樹脂組成物。
<5>(メタ)アクリレート系樹脂Aのガラス転移温度(Tg)が−30℃以上である、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のペースト用樹脂組成物。
<6>(メタ)アクリレート系樹脂Aの溶解度パラメータ(SPA)と(メタ)アクリレート系樹脂Bの溶解度パラメータ(SPB)の差(SPA−SPB)が0.5(cal/cm3)0.5以上1.5(cal/cm3)0.5以下である、<1>〜<5>のいずれか1項に記載のペースト用樹脂組成物。
<7>前記ペースト用樹脂組成物は、前記有機溶媒中に分散樹脂が分散された分散液であり、前記分散樹脂は、前記(メタ)アクリレート系樹脂Aが集合したポリマー構造部分SAに、前記(メタ)アクリレート系樹脂Bが結合又は吸着した樹脂である、<1>〜<6の>いずれか1項に記載のペースト用樹脂組成物。
<8><1>〜<7>のいずれか1項に記載のペースト用樹脂組成物と、無機成分とを含むペースト組成物。
<9>前記無機成分の含有率は、前記ペースト用樹脂組成物中の不揮発分と無機成分との合計質量の90質量%以上である、<8>に記載のペースト組成物。
<10>前記無機成分は金属を含む、<8>又は<9>に記載のペースト組成物。
本発明によれば、印刷性、保形性及び糸曳き性に優れるペースト組成物を作製可能なペースト組成物用樹脂組成物、及び印刷性、保形性及び糸曳き性に優れるペースト組成物が提供される。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「(メタ)アクリレート系樹脂」は(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含む樹脂を意味する。「(メタ)アクリル」は「アクリル」又は「メタクリル」のいずれか一方又は両方を意味する。「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」又は「メタクリレート」のいずれか一方又は両方を意味する。
本発明においてチキソトロピー性とは、剪断力などの外部応力を加えると結合が破壊されて粘性が低下し、流動性が発現し、静止すると流動性が低下し、再び粘性が回復する性質をいう。
本発明において有機溶媒に不溶であるとは、ペースト用樹脂組成物に含まれる有機溶媒に対して(メタ)アクリレート系樹脂の極性が異なるために、(メタ)アクリレート系樹脂が有機溶媒に溶解しないことをいう。有機溶媒に可溶であるとは、ペースト用樹脂組成物に含まれる有機溶媒に対して(メタ)アクリレート系樹脂の極性が近いために、樹脂組成物中で(メタ)アクリレート系樹脂が有機溶媒に溶解することをいう。
<ペースト用樹脂組成物>
本発明におけるペースト用樹脂組成物は、有機溶媒と、前記有機溶媒に不溶である(メタ)アクリレート系樹脂Aと、前記有機溶媒に可溶である(メタ)アクリレート系樹脂Bと、を含み、前記(メタ)アクリレート系樹脂Aは、全構成単位に対して3質量%〜30質量%の環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物に由来する構成単位と、全構成単位に対して3質量%〜30質量%の水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位と、を有し、前記(メタ)アクリレート系樹脂Aのガラス転移温度(Tg)は0℃以下である。本発明のペースト用樹脂組成物は、必要に応じて、重合開始剤、添加剤等を含んでもよい。
本発明におけるペースト用樹脂組成物は、有機溶媒と、前記有機溶媒に不溶である(メタ)アクリレート系樹脂Aと、前記有機溶媒に可溶である(メタ)アクリレート系樹脂Bと、を含み、前記(メタ)アクリレート系樹脂Aは、全構成単位に対して3質量%〜30質量%の環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物に由来する構成単位と、全構成単位に対して3質量%〜30質量%の水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位と、を有し、前記(メタ)アクリレート系樹脂Aのガラス転移温度(Tg)は0℃以下である。本発明のペースト用樹脂組成物は、必要に応じて、重合開始剤、添加剤等を含んでもよい。
本発明におけるペースト用樹脂組成物は上記構成を有することにより、印刷性、保形性及び糸曳き性に優れるペースト組成物を作製することができる。具体的には、ペースト用樹脂組成物が、有機溶媒と、前記有機溶媒に不溶である(メタ)アクリレート系樹脂Aと、前記有機溶媒に可溶である(メタ)アクリレート系樹脂Bと、を含み、(メタ)アクリレート系樹脂Aが環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物に由来する構成単位を3質量%以上含むことにより、ペースト用樹脂組成物中に含まれる不揮発分(有機溶剤等の揮発性成分以外の成分の合計)の割合が高くてもチキソトロピー性が良好で印刷性に優れるペースト組成物を作製することができる。また、(メタ)アクリレート系樹脂Aが環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物に由来する構成単位を3質量%以上含むことにより、粘度が十分に高く保形性に優れるペースト組成物を作製することができる。さらに、(メタ)アクリレート系樹脂Aのガラス転移温度(Tg)が0℃以下であること、及び(メタ)アクリレート系樹脂Aが水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を3質量%以上含むことにより、糸曳き性に優れるペースト組成物を作製することができる。
本発明のペースト用樹脂組成物を用いて作製されるペースト組成物の保形性が良好であると共に従来よりもチキソトロピー性が良好で印刷性に優れる理由は明らかではないが、(メタ)アクリレート系樹脂Aが環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物に由来する構成単位を含むことで(メタ)アクリレート系樹脂Aが集合して形成する粒子状のポリマー構造部分が十分に安定化され、かつポリマー構造部分の粒子径が小さくなることによるものと推測される。
(有機溶媒)
本発明におけるペースト用樹脂組成物は、有機溶媒の少なくとも1種を含む。有機溶媒は、その中に分散される樹脂の親疎水性の程度、樹脂を分散含有したときのチキソトロピー性、揮発性などを考慮して選択される。
本発明におけるペースト用樹脂組成物は、有機溶媒の少なくとも1種を含む。有機溶媒は、その中に分散される樹脂の親疎水性の程度、樹脂を分散含有したときのチキソトロピー性、揮発性などを考慮して選択される。
有機溶媒の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、i−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール等のアルコール系有機溶媒、2−(4−メチルシクロヘキサ−3−エニル)プロパン−2−オール(ターピネオール(別名:テルピネオール))、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピニルアセテートなどのテルペン系有機溶媒、メチルカルビトール、エチルカルビトール、n−プロピルカルビトール、i−プロピルカルビトール、n−ブチルカルビトール、i−ブチルカルビトール、i−アミルカルビトール、フェニルカルビトール、ベンジルカルビトールジエチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、酢酸カルビトールエステルなどのカルビトール系有機溶媒、炭酸プロピレン、酢酸2−エチルヘキシル、2−エチルヘキサン酸−エチルヘキシル等のエステル系有機溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコールなどのケトン系有機溶媒、イソパラフィン等の炭化水素系有機溶媒、n−メチルピロリドン等のアミン系有機溶媒などを挙げることができる。これらの有機溶媒は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
有機溶媒の溶解度パラメータ(SP値)は、7.5(cal/cm3)0.5以上11.0(cal/cm3)0.5以下であることが好ましい。SP値が前記範囲内であることで、不揮発分を高濃度に含む組成に調製したときのチキソトロピー性に優れる。中でも、有機溶媒のSP値は、上記同様の理由から、8.5(cal/cm3)0.5以上9.5(cal/cm3)0.5以下の範囲がより好ましい。SP値が前記範囲内である有機溶媒としては、ターピネオール(9.30(cal/cm3)0.5)、ジヒドロターピネオール(8.16(cal/cm3)0.5)、ジヒドロターピニルアセテート(7.78(cal/cm3)0.5)、ブチルカルビトールアセテート(8.94(cal/cm3)0.5)、テキサノール(9.34(cal/cm3)0.5)等を挙げることができる。
本発明において、有機溶媒の溶解度パラメータ(SP値、単位:(cal/cm3)0.5)は、分子凝集エネルギーの平方根で表される値であり、Hildebrandの方法により算出されるものである。
有機溶媒の沸点は、180℃以上280℃以下の範囲にあることが好ましい。有機溶媒の沸点が180℃以上であることで、スクリーン印刷に用いた場合の塗工作業性が向上する。また、有機溶媒の沸点が280℃以下であると、レべリング性の点で有利である。中でも、上記と同様の理由から、有機溶媒の沸点は200℃以上260℃以下であることがより好ましい。
上記した有機溶媒の中でも、本発明における有機溶媒としては、比較的高沸点で大気中に揮発し難く、チキソトロピー性を良好に維持しやすい点から、アルコール系有機溶媒、テルペン系有機溶媒及びカルビトール系有機溶媒が好ましく、より良好なチキソトロピー性が得られる点で、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピニルアセテート、ブチルカルビトールアセテート及びテキサノールからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましく、ターピネオール、ジヒドロターピネオール及びジヒドロターピニルアセテートからなる群より選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
本発明のペースト用樹脂組成物中における有機溶媒の含有率は、後述する(メタ)アクリレート系樹脂A、(メタ)アクリレート系樹脂B及び有機溶媒の総量に対して、40質量%〜80質量%であることが好ましく、60質量%〜70質量%であることがより好ましい。有機溶媒の含有量が前記範囲内であることで、高不揮発分でチキソトロピー性を有する組成物が得られやすく、スクリーン印刷した際に高さ、形状の良好な構造物を形成することができる。
((メタ)アクリレート系樹脂A)
本発明におけるペースト用樹脂組成物は、ペースト用樹脂組成物に含まれる有機溶媒に不溶であり、全構成単位に対して3質量%〜30質量%の環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物に由来する構成単位と、全構成単位に対して3質量%〜30質量%の水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位とを有し、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下である(メタ)アクリレート系樹脂Aの少なくとも1種を含む。
本発明におけるペースト用樹脂組成物は、ペースト用樹脂組成物に含まれる有機溶媒に不溶であり、全構成単位に対して3質量%〜30質量%の環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物に由来する構成単位と、全構成単位に対して3質量%〜30質量%の水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位とを有し、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下である(メタ)アクリレート系樹脂Aの少なくとも1種を含む。
(メタ)アクリレート系樹脂Aは、全構成単位に対して3質量%〜30質量%の環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物に由来する構成単位を有する。環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物に由来する構成単位が全構成単位に対して3質量%未満であると、ペースト組成物の保形性及び印刷性の向上効果が十分に得られない。環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物に由来する構成単位が全構成単位に対して30質量%を超えていると、(メタ)アクリレート系樹脂Aの熱分解が不十分となり、焼成性に劣る傾向にある。
保形性及び印刷性の向上効果を十分に得る観点からは、環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物に由来する構成単位は全構成単位に対して5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましい。焼成性の観点からは、環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物に由来する構成単位は全構成単位に対して25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。
環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物の種類は特に制限されず、本発明の効果が得られる範囲から選択することができる。環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物として具体的には、スチレン、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物、ビニルシクロヘキサン、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素を有するエチレン性不飽和化合物、これらの誘導体などを挙げることができる。中でも芳香族炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物が好ましく、スチレン及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、スチレンであることがさらに好ましい。
(メタ)アクリレート系樹脂Aは、全構成単位に対して3質量%〜30質量%の水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を有する。水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位が全構成単位に対して3質量%未満であると、ペースト組成物中の無機成分の分散性に劣り、印刷時にムラが生じる場合がある。水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位が全構成単位に対して30質量%を超えていると、糸曳き性に劣る場合がある。
ペースト組成物中に無機成分をより良好に分散させる観点からは、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位は全構成単位に対して5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましい。糸曳き性をより良好にする観点からは、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位は全構成単位に対して25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。
水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーの構造は、特に制限されない。例えば、水酸基を有するアルキル(メタ)アクリレート、水酸基を有するポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとして具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−3−ブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチル−3−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−3−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
無機成分の分散性の観点からは、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーは水酸基を有するアルキル(メタ)アクリレートであることが好ましく、アルキル部位の炭素数が1〜4である水酸基を有するアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、アルキル部位の炭素数が2である水酸基を有するアルキル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
(メタ)アクリレート系樹脂Aは、全構成単位に対して40質量%〜94質量%の、環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物及び水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー以外のモノマーに由来する構成単位を有する。前記モノマーは特に制限されず、環状炭化水素基又は水酸基を有しない(メタ)アクリル系モノマー、ビニル系モノマー、ニトリル系モノマー等から適宜選択することができる。これらのモノマーは、有機溶媒への溶解性、組成物としたときの粘度、チキソトロピー性、及び焼成性を考慮して、その種類及びポリマーに占める割合が選択される。
前記モノマーの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、酢酸ビニル等を挙げることができる。(メタ)アクリレート系樹脂Aの分散状態の安定化の観点からは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
上述したモノマーと共に、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー以外の極性基を有するモノマーを共重合してもよい。水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー以外の極性基を有するモノマーの例としては、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー以外の水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸など、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸)、アミド基もしくは置換アミド基含有モノマー(例えば、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミドなど、好ましくはアクリルアミド)、アミノ基もしくは置換アミノ基含有モノマー(例えば、アミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレートなど、好ましくはN,N−ジ低級アルキルアミノ低級アルキル(メタ)アクリレート(例:N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート等、好ましくは2つの低級アルキルの炭素数=1〜4)、エポキシ基含有モノマー(例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルメタリルエーテル、グリシジルビニルエーテルなど)、メルカプト基含有モノマー(例えば、ビニルメルカプタン、アリルメルカプタンなど)、1分子中に2個以上のラジカル重合性不飽和基を有するモノマー(例えば、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼンなど)などを挙げることができる。
分散樹脂の分散状態を安定化させ、保形性及び印刷性を良好にする観点からは、(メタ)アクリレート系樹脂Aに含まれる環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物及び水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー以外のモノマーに由来する構成単位のうち、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が40質量%以上となるようにモノマーの種類を選択することが好ましく、50質量%以上となるようにモノマーの種類を選択することがより好ましく、60質量%以上となるようにモノマーの種類を選択することがさらに好ましい。
本発明のペースト用樹脂組成物に使用する(メタ)アクリレート系樹脂Aは、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下である。(メタ)アクリレート系樹脂Aガラス転移温度(Tg)が0℃を超えると、ペースト組成物の糸曳き性に劣る場合がある。ペースト組成物の糸曳き性の観点からは、(メタ)アクリレート系樹脂Aのガラス転移温度は−2℃以下であることが好ましく、−4℃以下であることがより好ましく、−6℃未満であることがさらに好ましい。十分な保形性を確保する観点からは、(メタ)アクリレート系樹脂Aのガラス転移温度は−30℃以上であることが好ましく、−25℃以上であることがより好ましく、−20℃以上であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリレート系樹脂AのTgは、下記式1から計算により求められる絶対温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算した値である。
1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2+・・・+w(k−1)/Tg(k−1)+wk/Tgk
・・・(式1)
式1中、Tg1、Tg2、・・・、Tg(k−1)、Tgkは、(メタ)アクリレート系樹脂Aを構成する各モノマーを重合して得られるホモポリマーのガラス転移温度(K)をそれぞれ表す。w1、w2、・・・、w(k−1)、wkは、アクリル系樹脂Aを構成する各モノマーの質量分率をそれぞれ表し、w1+w2+・・・+w(k−1)+wk=1である。
1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2+・・・+w(k−1)/Tg(k−1)+wk/Tgk
・・・(式1)
式1中、Tg1、Tg2、・・・、Tg(k−1)、Tgkは、(メタ)アクリレート系樹脂Aを構成する各モノマーを重合して得られるホモポリマーのガラス転移温度(K)をそれぞれ表す。w1、w2、・・・、w(k−1)、wkは、アクリル系樹脂Aを構成する各モノマーの質量分率をそれぞれ表し、w1+w2+・・・+w(k−1)+wk=1である。
なお、ここでいうホモポリマーのガラス転移温度は、示差走査熱量測定装置(DSC)(セイコーインスツルメンツ社製、EXSTAR6000)を用い、窒素気流中、測定試料10mmg、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られたDSCカーブの変曲点をホモポリマーのガラス転移温度(Tg)としたものである。
代表的なモノマーのガラス転移温度(Tg)は、2−エチルヘキシルメタクリレートが−10℃、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが55℃、スチレンが90℃、α−メチルスチレンが20℃、酢酸ビニルが33℃、n−ブチルアクリレートが−57℃、n−ブチルメタアクリレートが21℃、メチルアクリレートが5℃、エチルアクリレートが−27℃、メタクリル酸が185℃である。
代表的なモノマーのガラス転移温度(Tg)は、2−エチルヘキシルメタクリレートが−10℃、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが55℃、スチレンが90℃、α−メチルスチレンが20℃、酢酸ビニルが33℃、n−ブチルアクリレートが−57℃、n−ブチルメタアクリレートが21℃、メチルアクリレートが5℃、エチルアクリレートが−27℃、メタクリル酸が185℃である。
(メタ)アクリレート系樹脂Aの平均分子量は、重量平均分子量で10,000〜300,000であることが好ましく、150,000〜250,000であることがより好ましい。重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)により、TSK−GEL GMHXL(東ソー製、スチレン系ポリマー充填剤)をカラムとして測定し、ポリスチレン換算して得られた値である。
((メタ)アクリレート系樹脂B)
本発明におけるペースト用樹脂組成物は、ペースト用樹脂組成物に含まれる有機溶媒に可溶である(メタ)アクリレート系樹脂Bを含む。
本発明におけるペースト用樹脂組成物は、ペースト用樹脂組成物に含まれる有機溶媒に可溶である(メタ)アクリレート系樹脂Bを含む。
(メタ)アクリレート系樹脂Bを形成するモノマーの種類は特に制限されない。例えば、(メタ)アクリレート系樹脂Aを形成するモノマーとして例示したものを挙げることができる。(メタ)アクリレート系樹脂Bを形成するモノマーは、有機溶媒への溶解性、組成物としたときの保形性、印刷性、糸曳き性、及び焼成性を考慮して、その種類及びポリマーに占める割合が選択される。
焼成性の観点からは、(メタ)アクリレート系樹脂Bの全構成単位に対してメタクリレート系モノマーに由来する構成単位が95質量%以上となるようにモノマーの種類を選択することが好ましく、98質量%以上となるようにモノマーの種類を選択することがより好ましく、100質量%となるようにモノマーの種類を選択することがさらに好ましい。
(メタ)アクリレート系樹脂Bは、極性基を有するモノマーに由来する構成単位が全構成単位に対して0質量%以上5質量%以下であることが好ましい。これにより、ペースト組成物の糸曳き性が良好となる傾向にある。(メタ)アクリレート系樹脂B中の極性基を有するモノマーに由来する構成単位は、全構成単位に対して3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、実質的に含まないことがもっとも好ましい。なお、実質的に含まないとは、(メタ)アクリレート系樹脂Bが、不可避的に混入する極性基を有するモノマーに由来する構成単位を含む、ことを許容することを意味する。
極性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリレート系樹脂Aを形成するモノマーとして例示した水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー及びその他の極性基を有するモノマーを挙げることができる。(メタ)アクリレート系樹脂Bが極性基を有するモノマーに由来する構成単位を含む場合の極性基を有するモノマーとしては、水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
(メタ)アクリレート系樹脂Bの平均分子量は、重量平均分子量で10,000〜300,000であることが好ましく、150,000〜250,000であることがより好ましい。重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)により、TSK−GEL GMHXL(東ソー製 スチレン系ポリマー充填剤)をカラムとして測定し、ポリスチレン換算して得られた値である。
ペースト組成物の糸曳き性の観点からは、(メタ)アクリレート系樹脂Bのガラス転移温度(Tg)は30℃以下であることが好ましく、27℃以下であることがより好ましく、24℃以下であることがさらに好ましい。十分な保形性を確保する観点からは、(メタ)アクリレート系樹脂Bのガラス転移温度は−20℃以上であることが好ましく、−17℃以上であることがより好ましく、−14℃以上であることがさらに好ましい。(メタ)アクリレート系樹脂Bのガラス転移温度は、(メタ)アクリレート系樹脂Aのガラス転移温度の算出方法と同じ方法で算出される。
本発明のペースト用樹脂組成物においては、(メタ)アクリレート系樹脂AのSP値(SPA、単位:(cal/cm3)0.5)が(メタ)アクリレート系樹脂BのSP値(SPB、単位:(cal/cm3)0.5)よりも大きいことが好ましく、(メタ)アクリレート系樹脂AのSPA溶解度パラメータ(SPA)と(メタ)アクリレート系樹脂Bの溶解度パラメータ(SPB)の差(SPA−SPB)が0.5(cal/cm3)0.5以上1.5(cal/cm3)0.5以下であることがより好ましい。SPA−SPBの値が上記範囲内であると、(メタ)アクリレート系樹脂Aと(メタ)アクリレート系樹脂Bとの親和性が高く、後述する分散樹脂の分散状態が安定化する傾向にある。印刷性の観点からは、SPA−SPBの値は0.7(cal/cm3)0.5以上であることがより好ましく、0.8(cal/cm3)0.5以上であることがさらに好ましい。ペースト組成物の糸曳き性の観点からは、SPA−SPBの値は1.3(cal/cm3)0.5以下であることがより好ましく、1.1(cal/cm3)0.5以下であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリレート系樹脂A及び(メタ)アクリレート系樹脂BのSP値(単位:(cal/cm3)0.5)は、(メタ)アクリレート系樹脂A及び(メタ)アクリレート系樹脂Bを構成するモノマーを重合して得られるホモポリマーを構成している構成単位の分子引力定数Gに基づいた下記の計算式により算出されるものである。
ホモポリマーのSP値=dΣG/M
ここで、dは、ホモポリマーの密度(g/l)を表し、ΣGは、構成単位の分子中の分子引力定数の総和を表し、Mは、構成単位の分子量(g/mol)を表す。
ホモポリマーのSP値=dΣG/M
ここで、dは、ホモポリマーの密度(g/l)を表し、ΣGは、構成単位の分子中の分子引力定数の総和を表し、Mは、構成単位の分子量(g/mol)を表す。
2種以上のモノマーから形成されるポリマーのSP値は、上記式により、そのポリマーを構成するモノマーを重合して得られるホモポリマーのSP値をそれぞれ算出し、得られたSP値に該当するモノマーに由来する構成単位の前記ポリマーにおけるモル分率を乗じたものを合算して算出される。
印刷性の観点からは、(メタ)アクリレート系樹脂AのSP値(SPA)とペースト用樹脂組成物に使用される有機溶媒とのSP値の差の絶対値が0.05(cal/cm3)0.5以上3.0(cal/cm3)0.5以下であり、(メタ)アクリレート系樹脂BのSP値(SPB)とペースト用樹脂組成物に使用される有機溶媒とのSP値の差の絶対値が0.1(cal/cm3)0.5以上2.5(cal/cm3)0.5以下であることがより好ましい。
印刷性の観点からは、(メタ)アクリレート系樹脂AのSP値は9.0(cal/cm3)0.5以上11.0(cal/cm3)0.5以下であることが好ましく、9.2(cal/cm3)0.5以上10.8(cal/cm3)0.5以下であることがより好ましく、9.3(cal/cm3)0.5以上10.6(cal/cm3)0.5以下であることがさらに好ましい。
印刷性の観点からは、(メタ)アクリレート系樹脂BのSP値は7.5(cal/cm3)0.5以上9.5(cal/cm3)0.5以下であることが好ましく、7.7(cal/cm3)0.5以上9.3(cal/cm3)0.5以下であることがより好ましく、7.9(cal/cm3)0.5以上9.1(cal/cm3)0.5以下であることがさらに好ましい。
本発明のペースト用樹脂組成物において、(メタ)アクリレート系樹脂Bに対する(メタ)アクリレート系樹脂Aの比率(A/B;質量比)としては、0.5/1以上5/1以下の範囲であることが好ましい。比率A/Bが0.5/1以上であると、レベリング性の点で有利であり、5/1以下であると、無機粉末の分散安定性の点で有利である。比率A/Bは、1/1以上3/1以下の範囲がより好ましい。(メタ)アクリレート系樹脂Bに対する(メタ)アクリレート系樹脂Aの比率が大きいことで、より良好なチキソトロピー性が確保でき、印刷性に優れる。
本発明のペースト用樹脂組成物は、有機溶媒中に分散樹脂が分散された分散液であり、前記分散樹脂は、(メタ)アクリレート系樹脂Aが集合したポリマー構造部分SAに(メタ)アクリレート系樹脂Bが結合又は吸着した樹脂であることが好ましい。
前記分散樹脂は、少なくとも、(メタ)アクリレート系樹脂Aが集合したポリマー構造部分SAと、このポリマー構造部分に結合又は吸着した(メタ)アクリレート系樹脂Bとからなり、ポリマー構造部分SAは有機溶媒中に溶解せず、これに結合又は吸着している(メタ)アクリレート系樹脂Bが有機溶媒に溶解した状態となって分散状態を保つことができる。つまり、分散樹脂を構成するポリマー構造部分SAは、(メタ)アクリレート系樹脂Aが集合して形成された粒子状の核を形成しており、この粒子核に(メタ)アクリレート系樹脂Bが結合又は吸着した構造となることで、分散樹脂の一部に有機溶媒に溶解する部分ができ、有機溶媒中で分散安定性を保つことができる。
本発明のペースト用樹脂組成物は、少なくとも一部の(メタ)アクリレート系樹脂Bがポリマー構造部分SAに結合又は吸着した分散樹脂を分散して含有する態様である場合、ポリマー構造部分SAに結合又は吸着する(メタ)アクリレート系樹脂Bとは別に、更に、ポリマー構造部分SAと結合又は吸着せずに有機溶媒中に浮遊して存在している(メタ)アクリレート系樹脂Bを含むことがより好ましい。有機溶媒中に浮遊して存在している(メタ)アクリレート系樹脂Bが存在することで、分散樹脂の分散状態がより安定化し、より良好なチキソトロピー性が発現され、印刷性に優れる。
本発明のペースト用樹脂組成物が(メタ)アクリレート系樹脂B及び(メタ)アクリレート系樹脂Aを分散樹脂の態様で含有する場合、分散樹脂が有機溶媒中に分散されて非水分散樹脂を形成する。この非水分散樹脂は、あらかじめ有機溶媒中に有機溶媒に可溶なポリマーを形成しておき、このポリマーの存在下、有機溶媒に不溶なポリマーを形成するモノマーを重合させたものであってもよいし、あらかじめ有機溶媒に可溶なポリマー部分と有機溶媒に不溶のポリマー部分とがブロック又はグラフトされたポリマーを形成しておき、このポリマーの存在下、有機溶媒に不溶なポリマーを形成するモノマーを重合させたものでもよい。
これらの重合方法のうち、あらかじめ有機溶媒中に有機溶媒に可溶なポリマーを形成しておき、このポリマーの存在下、有機溶媒に不溶なポリマーを形成するモノマーを重合させる方法が、簡易に非水分散樹脂を得られる点から、好ましい。
有機溶媒に可溶なポリマーの存在下、有機溶媒に不溶なポリマーを形成するモノマーを重合させることにより非水分散樹脂を得る方法において、前記有機溶媒に可溶なポリマーは、有機溶剤中で溶液重合により合成することができる。この可溶ポリマーは、ペースト用樹脂組成物を構成する有機溶媒と同じ有機溶媒中に、モノマー及び必要に応じて重合開始剤や連鎖移動剤を仕込み、窒素気流中又は有機溶媒の還流温度で攪拌しながら数時間加熱反応させることにより好適に合成することができる。このとき、有機溶媒、モノマー、重合開始剤及び/又は連鎖移動剤は、その少なくとも一部を逐次添加してもよい。重合温度は、一般に30℃〜180℃(好ましくは60℃〜150℃)が好ましい。
続いて、有機溶媒に可溶なポリマーが存在した有機溶媒中で、有機溶媒に不溶のポリマー部分を形成するモノマーを重合開始剤及び必要に応じて連鎖移動剤とともに窒素気流中又は有機溶媒の還流温度で攪拌しながら数時間加熱して重合させることにより、有機溶媒に不溶の不溶ポリマーと、可溶ポリマー部分に不溶ポリマー部分が結合したポリマーと、が生成する。生成した有機溶媒に不溶の不溶ポリマーが、可溶ポリマー部分に不溶ポリマー部分が結合したポリマーの不溶ポリマー部分とともに粒子核を形成し、有機溶媒に不溶の不溶ポリマーが集合したポリマー構造部分SA、及び少なくとも一部がポリマー構造部分SAに結合又は吸着した(メタ)アクリレート系樹脂Bを有する分散樹脂を得ることができる。
重合に用いる重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、カプロイルパーオキシド、ジ−i−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルペロキシ−2−エチルヘキサネートなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビス−i−ブチルニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物などを、各々単独で又は組み合わせて用いることができる。
前記重合開始剤のうち、有機溶媒に可溶なポリマーが存在した有機溶媒中で、有機溶媒に不溶のポリマー部分を与えるモノマーを重合する際は、水素引き抜き能の高い有機過酸化物を使用することが好ましい。水素引き抜き能の高い重合開始剤を使用することで、効率的に可溶ポリマー中の不安定な水素原子が引き抜かれ、ここに有機溶媒に不溶のポリマー部分を与えるモノマーが付加する。これにより、有機溶媒に可溶のポリマー部分と不溶のポリマー部分とが結合したグラフト又はブロックポリマーが生成し、生成した有機溶媒に不溶の重合体が前記グラフト又はブロックポリマーの有機溶媒に不溶のポリマー部分とともに粒子核を形成することができる。
重合開始剤の使用量は、モノマーの合計100質量部に対して、通常は0.01質量部〜5質量部の範囲であり、好ましくは0.02質量部〜2質量部である。
連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸;アルキル基の炭素数が1〜8のシアノ酢酸アルキルエステル類;ブロモ酢酸;アルキル基の炭素数が1〜8のブロモ酢酸エステル類:アントラセン、フェナントレン、フルオレン、9−フェニルフルオレンなどの芳香族化合物類;p−ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノール、p−ニトロトルエンなどの芳香族ニトロ化合物類;ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラメチル−p−ベンゾキノンなどのベンゾキノン誘導体類;トリブチルボランなどのボラン誘導体;四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2−テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロエタン、トリブロモメタン、3−クロロ−1−プロペンなどのハロゲン化炭化水素類;クロラール、フラルデヒドなどのアルデヒド類; 炭素数1〜18のアルキルメルカプタン類;チオフェノール、トルエンメルカプタンなどの芳香族メルカプタン類;メルカプト酢酸;メルカプト酢酸の炭素数1〜10のアルキルエステル類;炭素数1〜12のヒドロキシアルキルメルカプタン類;ピネン、ターピノレンなどのテルペン類などを用いることができる。連鎖移動剤を用いる場合、その使用量は、モノマーの合計100質量部に対して、0.005〜3質量部が好ましい。
本発明のペースト用樹脂組成物において、前記非水分散樹脂の割合は、前記有機溶媒100質量部に対して、30質量部以上が好ましく、30質量部〜60質量部がより好ましい。換言すれば、本発明のペースト用樹脂組成物中の不揮発分量は、30質量%以上が好ましく、30質量%〜60質量%がより好ましい。有機溶媒に対する非水分散樹脂の割合が30質量部以上、つまり非水分散樹脂が有機溶媒に対して少な過ぎない範囲であることで、不揮発分量の高い組成物が得られ、これを用いて焼成したときには熱収縮が抑えられる。また、非水分散樹脂の割合が60質量部以下、つまり非水分散樹脂が有機溶媒に対して多過ぎない範囲であることで、良好なチキソトロピー性が発揮され、印刷性に優れる。
<ペースト組成物>
本発明のペースト組成物は、本発明のペースト用樹脂組成物と、無機成分とを含む。本発明のペースト組成物は、本発明のペースト用樹脂組成物を含むため、印刷性、保形性及び糸曳き性に優れる。本発明のペースト組成物は、必要に応じて他の成分を含有していてもよい。ペースト用樹脂組成物の詳細については、既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
本発明のペースト組成物は、本発明のペースト用樹脂組成物と、無機成分とを含む。本発明のペースト組成物は、本発明のペースト用樹脂組成物を含むため、印刷性、保形性及び糸曳き性に優れる。本発明のペースト組成物は、必要に応じて他の成分を含有していてもよい。ペースト用樹脂組成物の詳細については、既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
ペースト組成物に含有される無機成分としては、例えば、金属、ガラス、珪素化合物(シリカ、ケイ砂、二酸化珪素等)、カーボンブラック等の無機顔料、炭酸カルシウム、クレー、タルク等の粒子が挙げられる。
本発明のペースト組成物は、無機成分が金属粒子(金属フリット)である場合にその効果がより顕著である。すなわち、金属粒子は一般にガラス粒子等よりも重いため、ペースト組成物中で沈降しやすい。本発明のペースト組成物は、本発明のペースト用樹脂組成物を用いて作製されるために粘度が高く、金属粒子が沈降しにくい。金属粒子を構成する金属としては、ニッケル、銅、銀、アルミニウム、錫、これらの合金等を挙げることができる。金属粒子は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、金属以外の物質を含んでいてもよい。
無機成分のペースト組成物中における含有率は、ペースト組成物の用途や無機成分の種類に応じて選択できる。印刷後のペーストの厚みをコントロールする観点から、ペースト用樹脂組成物中の不揮発分と無機成分との合計質量の90質量%以上とすることが好ましく、92質量%以上であることが好ましい。無機成分のペースト組成物中における含有率の上限は特に制限されず、例えば95質量%とすることができる。
本発明のペースト組成物の作製方法は特に制限されず、通常の方法によりペースト用樹脂組成物と無機成分とを混合することにより作製することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
<(メタ)アクリレート系樹脂B溶液の調製>
以下に示すようにして、(メタ)アクリレート系樹脂Bの溶液を調製した。
(製造例A)
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、及び温度計を備えた反応器に、ジヒドロターピネオール783.0質量部、メタノール(MeOH)87.0質量部を仕込んだ。次いで、別の容器に2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)950.9質量部を用意し、このうち326質量部を反応器に仕込み、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(ABN−E)0.25質量部を添加した。添加後、加熱し、還流温度で30分間保った。この中にさらに、残りの2EHMA624.9質量部、ジヒドロターピネオール405.0質量部、MeOH45.0質量部、及びABN−E0.81質量部からなる混合物を90分間かけて逐次滴下した。更に90分間同温度で保ってから、ジヒドロターピネオール405.0質量部、MeOH45.0質量部、及びABN−E4.62質量部を60分間かけて逐次滴下した。更に90分間同温度で保ってから、ジヒドロターピネオールで希釈後冷却し、(メタ)アクリレート系樹脂B溶液として2EHMAのホモポリマーのジヒドロターピネオール溶液(固形分33.4%)を得た。得られたホモポリマーのSP値は8.51、ガラス転移温度は−10℃であった。
以下に示すようにして、(メタ)アクリレート系樹脂Bの溶液を調製した。
(製造例A)
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、及び温度計を備えた反応器に、ジヒドロターピネオール783.0質量部、メタノール(MeOH)87.0質量部を仕込んだ。次いで、別の容器に2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)950.9質量部を用意し、このうち326質量部を反応器に仕込み、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(ABN−E)0.25質量部を添加した。添加後、加熱し、還流温度で30分間保った。この中にさらに、残りの2EHMA624.9質量部、ジヒドロターピネオール405.0質量部、MeOH45.0質量部、及びABN−E0.81質量部からなる混合物を90分間かけて逐次滴下した。更に90分間同温度で保ってから、ジヒドロターピネオール405.0質量部、MeOH45.0質量部、及びABN−E4.62質量部を60分間かけて逐次滴下した。更に90分間同温度で保ってから、ジヒドロターピネオールで希釈後冷却し、(メタ)アクリレート系樹脂B溶液として2EHMAのホモポリマーのジヒドロターピネオール溶液(固形分33.4%)を得た。得られたホモポリマーのSP値は8.51、ガラス転移温度は−10℃であった。
(製造例B)
2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)950.9質量部の代わりに同量の2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)80.0質量%及びn−ブチルメタクリレート(nBMA)20.0質量%からなるモノマー混合物を用いた以外は製造例Aと同様にして、(メタ)アクリレート系樹脂B溶液として2EHMA/nBMA(=80/20[質量比])コポリマーのジヒドロターピネオール溶液(固形分33.4%)を得た。得られたコポリマーのSP値は8.56、ガラス転移温度は−4.3℃であった。
2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)950.9質量部の代わりに同量の2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)80.0質量%及びn−ブチルメタクリレート(nBMA)20.0質量%からなるモノマー混合物を用いた以外は製造例Aと同様にして、(メタ)アクリレート系樹脂B溶液として2EHMA/nBMA(=80/20[質量比])コポリマーのジヒドロターピネオール溶液(固形分33.4%)を得た。得られたコポリマーのSP値は8.56、ガラス転移温度は−4.3℃であった。
(製造例C)
2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)950.9質量部の代わりに同量の2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)97.0質量%及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)3.0質量%からなるモノマー混合物を用いた以外は製造例Aと同様にして、(メタ)アクリレート系樹脂B溶液として2EHMA/2HEMA(=97/3[質量比])コポリマーのジヒドロターピネオール溶液(固形分33.4%)を得た。得られたコポリマーのSP値は8.63、ガラス転移温度は−8.4℃であった。
2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)950.9質量部の代わりに同量の2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)97.0質量%及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)3.0質量%からなるモノマー混合物を用いた以外は製造例Aと同様にして、(メタ)アクリレート系樹脂B溶液として2EHMA/2HEMA(=97/3[質量比])コポリマーのジヒドロターピネオール溶液(固形分33.4%)を得た。得られたコポリマーのSP値は8.63、ガラス転移温度は−8.4℃であった。
(製造例D)
2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)950.9質量部の代わりに同量のn−ブチルメタクリレート(nBMA)を用いた以外は製造例Aと同様にして、(メタ)アクリレート系樹脂B溶液としてnBMAのホモポリマーのジヒドロターピネオール溶液を得た。得られたホモポリマーのSP値は8.7、ガラス転移温度は−21℃であった。
2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)950.9質量部の代わりに同量のn−ブチルメタクリレート(nBMA)を用いた以外は製造例Aと同様にして、(メタ)アクリレート系樹脂B溶液としてnBMAのホモポリマーのジヒドロターピネオール溶液を得た。得られたホモポリマーのSP値は8.7、ガラス転移温度は−21℃であった。
<ペースト用樹脂組成物の調製>
(実施例1)
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、及び温度計を備えた反応器に、前記製造例Aで得られた2EHMAのホモポリマーの溶液327.4質量部を仕込み、還流温度90℃に昇温した。昇温後、これにエチルアクリレート(EA)82.0質量%、スチレン(St)3質量%及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)15.0質量%からなるモノマー混合物267.4質量部と、ジヒドロターピネオール90.0質量部と、MeOH10.0質量部と、t−ブチルペロキシ2−エチルヘキサネート(PB−O)0.31質量部とを90分間かけて逐次滴下した。滴下終了後、同温度で60分間保持した。その後、さらにジヒドロターピネオール90.0質量部と、MeOH10.0質量部と、t−ブチルペロキシ2−エチルヘキサネート(PB−O)8.35質量部を60分間かけて逐次滴下し、更に90分間同温度で保った。その後、これをジヒドロターピネオールで希釈し、MeOHを抽出し、冷却した。
(実施例1)
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、及び温度計を備えた反応器に、前記製造例Aで得られた2EHMAのホモポリマーの溶液327.4質量部を仕込み、還流温度90℃に昇温した。昇温後、これにエチルアクリレート(EA)82.0質量%、スチレン(St)3質量%及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)15.0質量%からなるモノマー混合物267.4質量部と、ジヒドロターピネオール90.0質量部と、MeOH10.0質量部と、t−ブチルペロキシ2−エチルヘキサネート(PB−O)0.31質量部とを90分間かけて逐次滴下した。滴下終了後、同温度で60分間保持した。その後、さらにジヒドロターピネオール90.0質量部と、MeOH10.0質量部と、t−ブチルペロキシ2−エチルヘキサネート(PB−O)8.35質量部を60分間かけて逐次滴下し、更に90分間同温度で保った。その後、これをジヒドロターピネオールで希釈し、MeOHを抽出し、冷却した。
以上のようにして、有機溶媒中に、EA/St/2HEMAコポリマー((メタ)アクリレート系樹脂A)が分散した非水樹脂分散溶液(ペースト用樹脂組成物)(固形分34.1%)を得た。このペースト用樹脂組成物では、2EHMAのホモポリマー((メタ)アクリレート系樹脂B)の一部はEA/St/2HEMAコポリマーのポリマー構造部分に結合又は吸着して存在する一方、EA/St/2HEMAコポリマーに結合されていない2EHMAのホモポリマーの存在も認められた。
(実施例2〜17、比較例1〜9)
有機溶媒の種類、(メタ)アクリレート系樹脂A及び(メタ)アクリレート系樹脂Bの種類及び組成を表1及び表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜17及び比較例1〜9のペースト用樹脂組成物を調製した。比較例8では、(メタ)アクリレート系樹脂A及び(メタ)アクリレート系樹脂Bの代わりにエチルセルロース(商品名STD−10、ダウケミカル社製)、を使用した。
有機溶媒の種類、(メタ)アクリレート系樹脂A及び(メタ)アクリレート系樹脂Bの種類及び組成を表1及び表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜17及び比較例1〜9のペースト用樹脂組成物を調製した。比較例8では、(メタ)アクリレート系樹脂A及び(メタ)アクリレート系樹脂Bの代わりにエチルセルロース(商品名STD−10、ダウケミカル社製)、を使用した。
<評価>
実施例1〜17及び比較例1〜9で調製したペースト用樹脂組成物並びにこれを用いたペースト組成物について、下記の評価を行なった。評価結果を表2に示す。
実施例1〜17及び比較例1〜9で調製したペースト用樹脂組成物並びにこれを用いたペースト組成物について、下記の評価を行なった。評価結果を表2に示す。
−1.ペースト用樹脂組成物の評価−
(ペースト用樹脂組成物の焼成性)
乾燥させた樹脂約10mgをアルミ皿にのせ、熱重量/分析装置(SIIナノテクノロジー社製、EXSTAR6000 TG/DTA6200)を用いて窒素雰囲気下、昇温温度10℃/minで常温から600℃まで昇温した。その後、室温まで冷却し、樹脂の採取樹脂量に対する残渣の比率(残渣率)を算出し、この残渣率を指標として以下の評価基準にしたがって評価した。
残渣率(%)=(採取樹脂量−樹脂減少量)/(採取樹脂量)×100
<評価基準>
A:残渣率が2%未満であった。
B:残渣率が2%以上7%未満であった。
C:残渣率が7%以上であった。
(ペースト用樹脂組成物の焼成性)
乾燥させた樹脂約10mgをアルミ皿にのせ、熱重量/分析装置(SIIナノテクノロジー社製、EXSTAR6000 TG/DTA6200)を用いて窒素雰囲気下、昇温温度10℃/minで常温から600℃まで昇温した。その後、室温まで冷却し、樹脂の採取樹脂量に対する残渣の比率(残渣率)を算出し、この残渣率を指標として以下の評価基準にしたがって評価した。
残渣率(%)=(採取樹脂量−樹脂減少量)/(採取樹脂量)×100
<評価基準>
A:残渣率が2%未満であった。
B:残渣率が2%以上7%未満であった。
C:残渣率が7%以上であった。
−2.ペースト組成物の製造・評価−
(ペースト組成物の製造)
実施例1〜17及び比較例1〜9で調製したペースト用樹脂組成物と、ニッケル粉末(JFEミネラル社製、粒子径0.17μm)と、有機溶媒とを、表2に示す質量比及び不揮発分になるようにして混合した。その後、三本ロールミル(N−R42A、ノリタケカンパニーリミテド製)を用いて、以下の分散条件にしたがってニッケルペースト(ペースト組成物)を作製した。
<分散条件>
・ロールギャップ:F/C間 50μm、C/A間 50μm
・ロール速度:F/C/A=50rpm/100rpm/200rpm
・ロール通過回数:3回
(ペースト組成物の製造)
実施例1〜17及び比較例1〜9で調製したペースト用樹脂組成物と、ニッケル粉末(JFEミネラル社製、粒子径0.17μm)と、有機溶媒とを、表2に示す質量比及び不揮発分になるようにして混合した。その後、三本ロールミル(N−R42A、ノリタケカンパニーリミテド製)を用いて、以下の分散条件にしたがってニッケルペースト(ペースト組成物)を作製した。
<分散条件>
・ロールギャップ:F/C間 50μm、C/A間 50μm
・ロール速度:F/C/A=50rpm/100rpm/200rpm
・ロール通過回数:3回
(ペースト組成物の分散性)
作製したニッケルペーストを動的粘弾性測定機(Anton Paar社製 Physica MCR301)を用いて、評価温度:25℃、使用コーン:25mmφ、2°、測定ギャップ:103μm、周波数1Hzにてひずみ量の変化(0.01〜100%)に伴う貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)を連続的に測定した。評価は、下記の評価基準にしたがって行った。
なお、ひずみ量の変化に伴う貯蔵弾性率、損失弾性率の変化が少ないほど、無機粒子の分散状態が均一であり、無機粒子の分散性に優れることを示す。
<評価基準>
A:分散状態が均一であり、貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’が一定であった。
B:分散状態が均一であり、貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’がほぼ一定であった。
C:分散状態が不均一であり、貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’がばらついていた。
作製したニッケルペーストを動的粘弾性測定機(Anton Paar社製 Physica MCR301)を用いて、評価温度:25℃、使用コーン:25mmφ、2°、測定ギャップ:103μm、周波数1Hzにてひずみ量の変化(0.01〜100%)に伴う貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)を連続的に測定した。評価は、下記の評価基準にしたがって行った。
なお、ひずみ量の変化に伴う貯蔵弾性率、損失弾性率の変化が少ないほど、無機粒子の分散状態が均一であり、無機粒子の分散性に優れることを示す。
<評価基準>
A:分散状態が均一であり、貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’が一定であった。
B:分散状態が均一であり、貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’がほぼ一定であった。
C:分散状態が不均一であり、貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’がばらついていた。
(ペースト組成物の保形性)
作製したニッケルペーストを動的粘弾性測定機(Anton Paar社製、Physica MCR301)を用いて、評価温度:25℃、使用コーン:25mmφ、2°、測定ギャップ:103μm、剪断速度:0.01〜100(1/s)の剪断速度領域における剪断粘度を測定した。剪断速度10(1/s)における粘度[η10]を求め、保形性を評価する指標とした。評価は、下記の評価基準にしたがって行なった。
<評価基準>
A:剪断速度10(1/s)における粘度が8Pa・s以上であり、保形性が特に優れていた。
B:剪断速度10(1/s)における粘度が5Pa・s以上8Pa・s未満であり、保形性が優れていた。
C:剪断速度10(1/s)における粘度が5Pa・s未満であり、保形性に劣っていた。
作製したニッケルペーストを動的粘弾性測定機(Anton Paar社製、Physica MCR301)を用いて、評価温度:25℃、使用コーン:25mmφ、2°、測定ギャップ:103μm、剪断速度:0.01〜100(1/s)の剪断速度領域における剪断粘度を測定した。剪断速度10(1/s)における粘度[η10]を求め、保形性を評価する指標とした。評価は、下記の評価基準にしたがって行なった。
<評価基準>
A:剪断速度10(1/s)における粘度が8Pa・s以上であり、保形性が特に優れていた。
B:剪断速度10(1/s)における粘度が5Pa・s以上8Pa・s未満であり、保形性が優れていた。
C:剪断速度10(1/s)における粘度が5Pa・s未満であり、保形性に劣っていた。
(ペースト組成物の印刷性)
作製したニッケルペーストを動的粘弾性測定機(Anton Paar社製、Physica MCR301)を用いて、評価温度:25℃、使用コーン:25mmφ、2°、測定ギャップ:103μm、剪断速度:0.01〜100(1/s)の剪断速度領域における剪断粘度を測定した。剪断速度10(1/s)における粘度[η10]と剪断速度100(1/s)における粘度[η100]との粘度比(η10/η100)を求め、印刷性を評価する指標とした。評価は、下記の評価基準にしたがって行なった。
なお、粘度比は、高いほどチキソトロピー性が高く、スクリーン印刷性に優れていることを示す。
<評価基準>
A:粘度比が3.0以上であり、特に優れたスクリーン印刷性を示した。
B:粘度比が2.0以上3.0未満であり、優れたスクリーン印刷性を示した。
C:粘度比が2.0未満であり、スクリーン印刷性に劣っていた。
作製したニッケルペーストを動的粘弾性測定機(Anton Paar社製、Physica MCR301)を用いて、評価温度:25℃、使用コーン:25mmφ、2°、測定ギャップ:103μm、剪断速度:0.01〜100(1/s)の剪断速度領域における剪断粘度を測定した。剪断速度10(1/s)における粘度[η10]と剪断速度100(1/s)における粘度[η100]との粘度比(η10/η100)を求め、印刷性を評価する指標とした。評価は、下記の評価基準にしたがって行なった。
なお、粘度比は、高いほどチキソトロピー性が高く、スクリーン印刷性に優れていることを示す。
<評価基準>
A:粘度比が3.0以上であり、特に優れたスクリーン印刷性を示した。
B:粘度比が2.0以上3.0未満であり、優れたスクリーン印刷性を示した。
C:粘度比が2.0未満であり、スクリーン印刷性に劣っていた。
(ペースト組成物の糸曳き性)
作製したニッケルペーストを動的粘弾性測定機(Anton Paar社製、Physica MCR301)を用いて、評価温度:25℃、使用コーン:25mmφ、2°、測定ギャップ:103μm、剪断速度:0.01〜1000(1/s)の剪断速度領域における第一法線応力差を測定した。剪断速度1000(1/s)における第一法線応力差を糸曳き性の評価の指標とした。評価は、下記の評価基準に従って行なった。なお、第一法線応力差は、低いほど糸曳き性が良好であることを示す。
<評価基準>
A:剪断速度1000[1/s]における第一法線応力差が1000Pa未満であり、印刷時に糸曳きがほとんどなく良好である。
B:剪断速度1000[1/s]における第一法線応力差が1000Pa以上1500Pa未満であり、印刷時の糸曳きが少ない。
C:剪断速度1000[1/s]の第一法線応力差が1500Pa以上であり、印刷時に糸曳きしやすい。
作製したニッケルペーストを動的粘弾性測定機(Anton Paar社製、Physica MCR301)を用いて、評価温度:25℃、使用コーン:25mmφ、2°、測定ギャップ:103μm、剪断速度:0.01〜1000(1/s)の剪断速度領域における第一法線応力差を測定した。剪断速度1000(1/s)における第一法線応力差を糸曳き性の評価の指標とした。評価は、下記の評価基準に従って行なった。なお、第一法線応力差は、低いほど糸曳き性が良好であることを示す。
<評価基準>
A:剪断速度1000[1/s]における第一法線応力差が1000Pa未満であり、印刷時に糸曳きがほとんどなく良好である。
B:剪断速度1000[1/s]における第一法線応力差が1000Pa以上1500Pa未満であり、印刷時の糸曳きが少ない。
C:剪断速度1000[1/s]の第一法線応力差が1500Pa以上であり、印刷時に糸曳きしやすい。
表1及び表2中の略号は、それぞれ以下のモノマー及び有機溶媒を表す。
EA エチルアクリレート
St スチレン
AMS α−メチルスチレン
VAM 酢酸ビニル
2HEMA 2−ヒドロキシエチルメタクリレート
BA ブチルアクリレート
MA メチルアクリレート
MAA メタクリル酸
有機溶媒1 ジヒドロターピネオール
有機溶媒2 ターピネオール
有機溶媒3 ジヒドロターピニルアセテート
EA エチルアクリレート
St スチレン
AMS α−メチルスチレン
VAM 酢酸ビニル
2HEMA 2−ヒドロキシエチルメタクリレート
BA ブチルアクリレート
MA メチルアクリレート
MAA メタクリル酸
有機溶媒1 ジヒドロターピネオール
有機溶媒2 ターピネオール
有機溶媒3 ジヒドロターピニルアセテート
表2に示すように、本発明の要件を満たす実施例1〜17はいずれもペースト組成物の保形性、印刷性、糸曳き性の評価が良好であった。さらに、ペースト用樹脂組成物の焼成性及びペースト組成物の分散性の評価も良好であった。
環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物(スチレン)に由来する構成単位が全構成単位に対して3質量%未満である比較例1は、保形性及び印刷性に劣っていた。
環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物(スチレン)に由来する構成単位が全構成単位に対してが30質量%を超えている比較例2は、焼成性に劣っていた。
水酸基を有するモノマー(2HEMA)に由来する構成単位が全構成単位に対して3質量%未満である比較例3は、分散性に劣っていたため、均一なペーストとして評価を行うことができなかった。
水酸基を有するモノマー(2HEMA)に由来する構成単位が全構成単位に対して30質量%を超えている比較例4は、糸曳き性に劣っていた。
環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物(スチレン)に由来する構成単位を含まない比較例5は、保形性及び印刷性に劣っていた。
水酸基を有するモノマー(2HEMA)に由来する構成単位を含まない比較例6は、分散性に劣っていたため、均一なペーストとして評価を行うことができなかった。
水酸基を有するモノマー(2HEMA)に由来する構成単位を含まず、カルボキシ基を有するモノマー(MAA)に由来する構成単位を含む比較例7は、分散性に劣っていたため、均一なペーストとして評価を行うことができなかった。
(メタ)アクリレート系樹脂A及び(メタ)アクリレート系樹脂Bの代わりにエチルセルロースを使用した比較例8は、ペースト用樹脂組成物の焼成性及びペースト組成物の印刷性に劣っていた。
(メタ)アクリレート系樹脂Aのガラス転移温度が0℃を超えている比較例9は、ペースト組成物の糸曳き性に劣っていた。
環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物(スチレン)に由来する構成単位が全構成単位に対して3質量%未満である比較例1は、保形性及び印刷性に劣っていた。
環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物(スチレン)に由来する構成単位が全構成単位に対してが30質量%を超えている比較例2は、焼成性に劣っていた。
水酸基を有するモノマー(2HEMA)に由来する構成単位が全構成単位に対して3質量%未満である比較例3は、分散性に劣っていたため、均一なペーストとして評価を行うことができなかった。
水酸基を有するモノマー(2HEMA)に由来する構成単位が全構成単位に対して30質量%を超えている比較例4は、糸曳き性に劣っていた。
環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物(スチレン)に由来する構成単位を含まない比較例5は、保形性及び印刷性に劣っていた。
水酸基を有するモノマー(2HEMA)に由来する構成単位を含まない比較例6は、分散性に劣っていたため、均一なペーストとして評価を行うことができなかった。
水酸基を有するモノマー(2HEMA)に由来する構成単位を含まず、カルボキシ基を有するモノマー(MAA)に由来する構成単位を含む比較例7は、分散性に劣っていたため、均一なペーストとして評価を行うことができなかった。
(メタ)アクリレート系樹脂A及び(メタ)アクリレート系樹脂Bの代わりにエチルセルロースを使用した比較例8は、ペースト用樹脂組成物の焼成性及びペースト組成物の印刷性に劣っていた。
(メタ)アクリレート系樹脂Aのガラス転移温度が0℃を超えている比較例9は、ペースト組成物の糸曳き性に劣っていた。
Claims (10)
- 有機溶媒と、
前記有機溶媒に不溶である(メタ)アクリレート系樹脂Aと、
前記有機溶媒に可溶である(メタ)アクリレート系樹脂Bと、を含むペースト用樹脂組成物であり、
前記(メタ)アクリレート系樹脂Aは、全構成単位に対して3質量%〜30質量%の環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物に由来する構成単位と、全構成単位に対して3質量%〜30質量%の水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位と、を有し、
前記(メタ)アクリレート系樹脂Aのガラス転移温度(Tg)は0℃以下であるペースト用樹脂組成物。 - 前記環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物は芳香族炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物を含む、請求項1に記載のペースト用樹脂組成物。
- 前記環状炭化水素基を有するエチレン性不飽和化合物はスチレン及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は請求項2に記載のペースト用樹脂組成物。
- (メタ)アクリレート系樹脂Bは、全構成単位に対して0質量%以上5質量%以下の極性基を有するモノマーに由来する構成単位を有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のペースト用樹脂組成物。
- (メタ)アクリレート系樹脂Aのガラス転移温度(Tg)が−30℃以上である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のペースト用樹脂組成物。
- (メタ)アクリレート系樹脂Aの溶解度パラメータ(SPA)と(メタ)アクリレート系樹脂Bの溶解度パラメータ(SPB)の差(SPA−SPB)が0.5(cal/cm3)0.5以上1.5(cal/cm3)0.5以下である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のペースト用樹脂組成物。
- 前記ペースト用樹脂組成物は、前記有機溶媒中に分散樹脂が分散された分散液であり、前記分散樹脂は、前記(メタ)アクリレート系樹脂Aが集合したポリマー構造部分SAに、前記(メタ)アクリレート系樹脂Bが結合又は吸着した樹脂である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のペースト用樹脂組成物。
- 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のペースト用樹脂組成物と、無機成分とを含むペースト組成物。
- 前記無機成分の含有率は、前記ペースト用樹脂組成物中の不揮発分と無機成分との合計質量の90質量%以上である、請求項8に記載のペースト組成物。
- 前記無機成分は金属を含む、請求項8又は請求項9に記載のペースト組成物。
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