JP2015195114A - 電極組成物用水系バインダ - Google Patents
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Abstract
【課題】基材やフィラーとの良好な密着性を有するとともに、電極の割れが生じ難く、厚みのある電極の形成を可能とするバインダを提供する。【解決手段】重合体と、水を含有する電極組成物用水系バインダであって、該重合体は、酸含有単量体由来の構造単位と水酸基含有単量体由来の構造単位を有しており、重合体の構造単位の全量100質量%に対して、水酸基含有単量体由来の構造単位を1〜75重量%を含有し、該重合体の酸価が200〜700mgKOH/gであることを特徴とする電極組成物用水系バインダ。【選択図】なし
Description
本発明は、電極組成物用水系バインダに関する。より詳しくは、リチウムイオン電池をはじめとする各種電池の電極を形成する電極組成物に好適に用いることができる水系バインダに関する。
近年の環境問題への関心の高まりを背景に、携帯電話やノートパソコン等の電子機器だけでなく、自動車や航空機等の分野においても電池の使用が進んでいる。このような電池への需要の高まりを受けて、リチウムイオン電池をはじめとする各種電池の研究、開発が活発に行われている。
電池を構成する部材のうち、電極を形成する電極組成物は、主に活物質、導電助剤、バインダ及び溶媒からなっている。このうち、バインダは、電極活物質等を均一に分散させ、また基材やフィラーとの密着性を発揮する役割等を担っており、電極の性能にも影響を及ぼすことから、より高い性能を有する電極を開発するため、バインダについても検討が行われている。
電池を構成する部材のうち、電極を形成する電極組成物は、主に活物質、導電助剤、バインダ及び溶媒からなっている。このうち、バインダは、電極活物質等を均一に分散させ、また基材やフィラーとの密着性を発揮する役割等を担っており、電極の性能にも影響を及ぼすことから、より高い性能を有する電極を開発するため、バインダについても検討が行われている。
従来の電極組成物に使用可能なバインダとして、ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を2〜30重量%、エチレン性不飽和カルボン酸0.1〜10重量%を含有するラテックス(特許文献1)が開示されている。
バインダの役割の一つに基材やフィラーとの密着性を発揮する役割がある。ポリアクリル酸のように、バインダとして使用される重合体がカルボン酸等の酸基を多く含有することで凝集力が上がり、基材やフィラーとの密着性が向上するが、一方で凝集力が高くなりすぎると電極に割れが生じやすくなり、特に厚い電極を形成することが難しくなる。容量の大きい電極を得るには、厚みのある電極を形成できることが好ましく、基材やフィラーとの密着性と、厚みある電極の形成が可能であることとを両立できるバインダが求められている。
一方、特許文献1に開示のバインダは、ヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を2〜30重量%、エチレン性不飽和カルボン酸0.1〜10重量%、脂肪族共役ジエン10〜50重量%を含むラテックスである。これはラテックス系であり、分散や粘度調整機能に乏しいため、分散剤や粘度調整剤として、カルボキシメチルセルロースなどとの併用を必要とするバインダであり、電極組成物の調製工程が2工程となる課題がある。また、エチレン性不飽和カルボン酸は10重量%を超えると粘度が高くなり、ラテックスの取扱い上の問題を生じる可能性があると記載されており、酸量が多くできないことが記載されている。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、水系であり増粘剤と併用しなくても使用可能な一液型バインダであって、基材やフィラーとの良好な密着性を有するとともに、電極の割れが生じ難く、厚みのある電極の形成を可能とする水系バインダを提供することを目的とする。
本発明者は、基材やフィラーとの密着性と、電極の割れの生じ難さとを両立した水系バインダについて種々検討したところ、所定の酸含有単量体由来の構造単位と水酸基含有単量体由来の構造単位を有する重合体と水を含む水系バインダが、増粘剤を併用しなくても使用可能なバインダであって、基材やフィラーとの良好な密着性を有すると共に、電極の割れが生じ難く厚みのある電極を形成することが可能となることを見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、重合体と水を含有する電池の電極を形成する電極組成物用水系バインダであって、該重合体は、酸含有単量体由来の構造単位と水酸基含有単量体由来の構造単位を有しており、重合体の構造単位の全量100質量%に対して、水酸基含有単量体由来の構造単位を1〜75重量%を含有し、該重合体の酸価が200〜700mgKOH/gであるを含有することを特徴とする電極組成物用水系バインダである。
更には、前記水酸基含有単量体は、下記式(1)であらわされる単量体
(ここで、式中、Xは、炭素数1〜5のアルキレン基又は−C(=O)−O−R4−基である。R1、R2又はR3は、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。R4は、炭素数1〜10のアルキレン基を表す)
を含むことを特徴とする電極組成物用水系バインダである。
を含むことを特徴とする電極組成物用水系バインダである。
本発明の電極組成物用水系バインダは、上述の構成よりなり、増粘剤を用いなくても電極組成物を得ることができ、基材との密着性に優れるとともに可撓性を有し、割れや剥がれの充分に抑制された活物質層を基材上に形成することができ、厚みある電極の形成も可能な電極組成物を実現する水系バインダであり、リチウムイオン電池をはじめとする各種電池の電極を形成する組成物に好適に用いることができる。
以下に本発明を詳述する。
1.水系バインダ
本発明の電極組成物用水系バインダは、酸含有単量体由来の構造単位と水酸基含有単量体由来の構造単位を必須として含む重合体と溶媒として水を含むものである。重合体は、水に分散した分散体であってもよく、重合体が水に溶解した水溶液の形態であってもよい。有機溶媒を用いて重合した場合は、水と混和する溶媒系を用いるか或いは溶媒置換することにより、溶媒を水にしたバインダを作製する。好ましくは、未中和或いは一部中和したpH6以下の状態で、重合体が水に溶解した水溶液の形態をとる方がよい。
本発明の電極組成物用水系バインダは、酸含有単量体由来の構造単位と水酸基含有単量体由来の構造単位を必須として含む重合体と溶媒として水を含むものである。重合体は、水に分散した分散体であってもよく、重合体が水に溶解した水溶液の形態であってもよい。有機溶媒を用いて重合した場合は、水と混和する溶媒系を用いるか或いは溶媒置換することにより、溶媒を水にしたバインダを作製する。好ましくは、未中和或いは一部中和したpH6以下の状態で、重合体が水に溶解した水溶液の形態をとる方がよい。
本発明の水系バインダは、酸価が200〜700mgKOH/gである重合体を含むものである。該重合体が、バインダとして単独でも基材やフィラーとの密着性を発現する為には適度な凝集力を持つことが必要であり、200〜700mgKOH/gの酸価が必要である。重合体の酸価は、単独でもバインダとして適度な凝集力を示す為に、好ましくは220mgKOH/g以上、より好ましくは250mgKOH/g以上、更に好ましくは300mgKOH/g以上である。一方、高い凝集力による膜の収縮から割れを抑制する為に、好ましくは650mgKOH/g以下、より好ましくは600mgKOH/g以下、更に好ましくは500mgKOH/g以下が好ましい。重合体の酸価は、実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明の電極組成物用水系バインダは、不揮発分が1〜50質量%であることが好ましい。より好ましくは、2〜30質量%である。なお、不揮発分とは、溶媒を揮発させた後に残る成分(固形分)のことである。
本発明の電極組成物用水系バインダーは、水系ではpH7、不揮発分3%に調整した場合の25℃における粘度が、50mPa・s以上であることが好ましい。このような粘度を有すると、電池用電極組成物用水系バインダとしてより好適なものとなる。粘度は、より好ましくは、100mPa・s以上であり、更に好ましくは200mPa・s以上である。また、20,000mPa・s以下であることが好ましい。
上記粘度は、B型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて25±1℃、30rpmの条件で測定することができる。
上記粘度は、B型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて25±1℃、30rpmの条件で測定することができる。
本発明の電極組成物用水系バインダは、不揮発分3%に調整した場合のpHが2〜8であることが好ましい。より好ましくは、pHが2〜7であり、更に好ましくは2〜6である。後述するとおり、水系バインダに含まれる重合体において、重合体に含まれる酸基(酸含有単量体由来の構造単位に含まれる酸基)の一部を中和する又は中和せず酸型のままバインダとすることにより、上記の範囲のpHの水系バインダを得ることが出来る。pH測定は、ガラス電極式水素イオン温度計F−21(株式会社堀場製作所製)を用いて、25℃の値を測定することができる。
1−1.重合体
本発明の電極組成物用水系バインダに用いる重合体は、実施例に記載の方法により測定される耐電解液性(膨潤率)が100〜115%であることが好ましい。耐電解液性(膨潤率)がこのような範囲であると、電解液による膨潤が充分に少なく、電極組成物用のバインダーとして好適に用いることができる。耐電解液性(膨潤率)はより好ましくは、100〜110であり、更には100〜107%である。
本発明の電極組成物用水系バインダに用いる重合体は、実施例に記載の方法により測定される耐電解液性(膨潤率)が100〜115%であることが好ましい。耐電解液性(膨潤率)がこのような範囲であると、電解液による膨潤が充分に少なく、電極組成物用のバインダーとして好適に用いることができる。耐電解液性(膨潤率)はより好ましくは、100〜110であり、更には100〜107%である。
1−1−1.酸含有単量体由来の構造単位
前記重合体に含まれる酸含有単量体由来の構造単位において、酸基は、同一又は異なって、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基のいずれかの酸基、又は、これらの塩のいずれかである。すなわち、酸含有単量体由来の構造単位を重合体の構造中に複数有する場合、それらの構造単位中の酸基の構造は同一であってもよく、異なっていてもよい。したがって、酸含有単量体由来の構造単位を有する重合体には、重合体の構造中に含まれる全てが酸基である酸型の重合体、酸基の一部が中和された塩である部分中和型の重合体、酸基の全てが中和された塩である完全中和型の重合体のいずれのものも含まれる。
前記重合体に含まれる酸含有単量体由来の構造単位において、酸基は、同一又は異なって、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基のいずれかの酸基、又は、これらの塩のいずれかである。すなわち、酸含有単量体由来の構造単位を重合体の構造中に複数有する場合、それらの構造単位中の酸基の構造は同一であってもよく、異なっていてもよい。したがって、酸含有単量体由来の構造単位を有する重合体には、重合体の構造中に含まれる全てが酸基である酸型の重合体、酸基の一部が中和された塩である部分中和型の重合体、酸基の全てが中和された塩である完全中和型の重合体のいずれのものも含まれる。
酸含有単量体由来の構造単位を有する重合体の中和度は、重合体の用途に応じて選択すればよい。重合体を正極用水系バインダとして用いる場合、アルミ集電体の腐食を抑制する点から、未中和(酸型)の重合体、或いはpH6以下となるような部分中和型が好ましい。酸型の重合体は、正極活物質中に含まれる不純物の塩を中和することで、アルミ集電体の腐食抑制に効果を示す場合がある。このように、酸含有単量体由来の構造単位を有する重合体の酸基が、未中和或いは一部がカルボン酸塩基、スルホン酸塩基、リン酸塩基のいずれかである部分中和された重合体であることも本発明の好適な実施形態の1つである。
酸含有単量体由来の構造単位の酸基は、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基のいずれかであるが、これらの中では、重合体中の酸量を多く含むことが出来る点から、カルボン酸基が好ましい。スルホン酸基、リン酸基は分子量が大きくなる為、高酸価の重合体で設計の自由度の高くなるカルボン酸基を用いることは本発明の好適な実施形態の1つである。
酸含有単量体由来の構造単位の好適な具体例として、エチレン性不飽和カルボン酸単量体の炭素−炭素二重結合が単結合になった構造が挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等の炭素数3〜10のエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等の炭素数4〜10のエチレン性不飽和ジカルボン酸単量体;(メタ)アクリル酸カルボキシエチル、(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸等の主鎖とカルボン酸基の間が有機基でつながれたエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体などが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタアクリル酸、主鎖とカルボン酸基の間が有機基で繋がれたエチレン性不飽和カルボン酸単量体等が好ましい。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等の炭素数3〜10のエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等の炭素数4〜10のエチレン性不飽和ジカルボン酸単量体;(メタ)アクリル酸カルボキシエチル、(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸等の主鎖とカルボン酸基の間が有機基でつながれたエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体などが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタアクリル酸、主鎖とカルボン酸基の間が有機基で繋がれたエチレン性不飽和カルボン酸単量体等が好ましい。
1−1−2.水酸基含有単量体由来の構造単位
前記重合体においては、重合体の構造単位の全量100質量%に対して、水酸基含有単量体由来の構造単位を1〜75重量%有するものである。
本発明においては、重合体が水酸基含有単量体由来の構造単位を上記の範囲で有することにより、水系バインダとしては水溶液の形態をとることが可能になる。このことにより、粘性が発現し易く、活物質や導電助剤などのフィラー成分の分散も可能となる。本発明の重合体が上記の構成を取ることにより、水系バインダとして一液でも使用可能なバインダとなる。水系バインダにおいて、pHを上述した範囲とすることにより、特に正極組成物においてアルミ集電体の腐食抑制に効果を示すことから好ましい。
前記重合体においては、重合体の構造単位の全量100質量%に対して、水酸基含有単量体由来の構造単位を1〜75重量%有するものである。
本発明においては、重合体が水酸基含有単量体由来の構造単位を上記の範囲で有することにより、水系バインダとしては水溶液の形態をとることが可能になる。このことにより、粘性が発現し易く、活物質や導電助剤などのフィラー成分の分散も可能となる。本発明の重合体が上記の構成を取ることにより、水系バインダとして一液でも使用可能なバインダとなる。水系バインダにおいて、pHを上述した範囲とすることにより、特に正極組成物においてアルミ集電体の腐食抑制に効果を示すことから好ましい。
前記水酸基含有単量体は、下記式(1)であらわされる単量体を含むことが好ましい。
(ここで、式中、Xは、炭素数1〜5のアルキレン基又は−C(=O)−O−R4−基である。R1、R2又はR3は、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。R4は、炭素数1〜10のアルキレン基を表す)
ここで、R1、R2及びR3は、同一若しくは異なって水素原子或いは炭素数1〜5のアルキル基であるが、アルキル基は直鎖状、分岐状、又は環状のいずれであってもよい。好ましくは、水素原子もしくは炭素数1〜3のアルキル基である。
上記Xは、炭素数1〜5のアルキレン基の場合、直鎖状、分岐状、又は環状のいずれであってもよい。アルキレン基としては、炭素数1〜3であるものが好ましい。従って、式(1)で表される単量体として例えば、イソブテノール、イソプレノールであることが好ましい。
上記Xが−C(=O)−O−R4−基である場合は、R4は炭素数1〜10のアルキレン基であるが、アルキレン基は直鎖状、分岐状、又は環状のいずれであってもよい。アルキレン基としては、炭素数1〜5が好ましく、炭素数1〜4がより好ましい。さらに、R1、R2及びR3は、重合体のTgが低くなることから、水素原子であることが好ましい。従って、水酸基含有単量体としては、アクリル酸ヒドロキシエステルが好ましく、即ち、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチルである。
上記Xは、炭素数1〜5のアルキレン基の場合、直鎖状、分岐状、又は環状のいずれであってもよい。アルキレン基としては、炭素数1〜3であるものが好ましい。従って、式(1)で表される単量体として例えば、イソブテノール、イソプレノールであることが好ましい。
上記Xが−C(=O)−O−R4−基である場合は、R4は炭素数1〜10のアルキレン基であるが、アルキレン基は直鎖状、分岐状、又は環状のいずれであってもよい。アルキレン基としては、炭素数1〜5が好ましく、炭素数1〜4がより好ましい。さらに、R1、R2及びR3は、重合体のTgが低くなることから、水素原子であることが好ましい。従って、水酸基含有単量体としては、アクリル酸ヒドロキシエステルが好ましく、即ち、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチルである。
1−1−3.その他の単量体
本発明の重合体は、酸含有単量体由来の構造単位と水酸基含有単量体由来の構造単位を必須として含む限り、その他の重合可能な単量体由来の構造単位を含んでもよい。その他の重合可能な単量体の炭素−炭素二重結合が単結合になった構造を表わしている。
本発明の重合体は、酸含有単量体由来の構造単位と水酸基含有単量体由来の構造単位を必須として含む限り、その他の重合可能な単量体由来の構造単位を含んでもよい。その他の重合可能な単量体の炭素−炭素二重結合が単結合になった構造を表わしている。
その他の構造単位を形成する単量体としては、鎖状や環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、クロトン酸エステル等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;2以上のアクリル基を有する多官能アクリル単量体や多官能アリル単量体;スチレン、α−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン等の芳香族ビニル系単量体;(メタ)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体、酢酸ビニル、アクリロニトリル等のニトリル化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらのうち好ましくは、重合性の良いエチレン性不飽和カルボン酸エステル類である。
本発明の重合体は、重量平均分子量が20,000〜3,000,000であることが好ましい。このような分子量を有するものであると、活物質間や活物質と集電体の密着性を確保することができ好ましい。重量平均分子量は、より好ましくは、50,000〜2,000,000であり、更に好ましくは、100,000〜1,500,000である。重合体の重量平均分子量は、GPCにより、実施例に記載の条件で測定することができる
また本発明の重合体は、ガラス転移温度(Tg)が−40〜100℃であることが好ましい。このようなTgであることで水系バインダとして好適に用いることができる。重合体のTgはより好ましくは、−10〜80℃である。重合体のTgは、実施例に記載の方法により測定することができる。
1−2.重合体の製法
本発明の重合体は、上述した重合体が含む構造単位を形成する各単量体成分を重合することにより製造することができる。重合方法としては特に限定されず、例えば、水溶液重合、乳化重合、逆相懸濁重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の方法を挙げることができる。水系スラリーに用いることから、水溶媒で行われる方が、好ましい。
本発明の重合体は、上述した重合体が含む構造単位を形成する各単量体成分を重合することにより製造することができる。重合方法としては特に限定されず、例えば、水溶液重合、乳化重合、逆相懸濁重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の方法を挙げることができる。水系スラリーに用いることから、水溶媒で行われる方が、好ましい。
上記各単量体成分の重合には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては通常用いられているものを使用することができ、特に制限されず、熱やレドックス反応によりによってラジカル分子を発生させるものであればよい。重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解系開始剤;過酸化水素とアスコルビン酸、t−ブチルヒドロパーオキサイドとロンガリット、過硫酸カリウムと金属塩、過硫酸アンモニウムと亜硫酸水素ナトリウム等のレドックス系開始剤等を挙げることができる。これら重合開始剤は、1種又は2種以上を使用することができる。
上記重合開始剤の使用量としては、重合反応に供する単量体成分の総量100質量部に対して、0.01〜2質量部であることが好ましい。より好ましくは、0.03〜1質量部である。
本発明の重合体を製造する重合反応の温度は、重合反応が進行する限り特に制限されないが、20〜100℃で行うことが好ましい。より好ましくは、40〜90℃である。
また重合反応の時間も特に制限されないが、生産性を考慮すると、1〜10時間が好ましい。より好ましくは、1〜5時間である。
また重合反応の時間も特に制限されないが、生産性を考慮すると、1〜10時間が好ましい。より好ましくは、1〜5時間である。
本発明の重合体の製造において、酸含有単量体由来の構造単位の一部又は全部が塩である部分中和型又は完全中和型の重合体を製造する場合には、酸型の重合体を製造した後に、重合体を中和して部分中和型又は完全中和型の重合体とすることが好ましい。中和塩としては、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が挙げられ、アルカリ金属塩が好ましい。アルカリ金属塩とはリチウム、ナトリウム、カリウム等の塩である。これらのアルカリ金属塩とする為には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム等の水溶液を用いることができる。好ましくは水酸化リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸リチウムである。
2.導電性付与剤
本発明はまた、本発明の電極組成物用水系バインダ、及び、導電助剤を必須成分として含む導電性付与剤でもある。本発明の導電性付与剤は、これらの必須成分をそれぞれ1種含むものであってもよく、2種以上含んでいてもよい。
本発明はまた、本発明の電極組成物用水系バインダ、及び、導電助剤を必須成分として含む導電性付与剤でもある。本発明の導電性付与剤は、これらの必須成分をそれぞれ1種含むものであってもよく、2種以上含んでいてもよい。
上記導電助剤としては、主に導電性カーボンが用いられる。導電性カーボンとしては、カーボンブラック、ファイバー状カーボン、黒鉛、カーボンナノチューブ等がある。これらの中でも、アセチレンブラックはカーボンブラックが通常有する不純物が非常に少なく、表面の結晶子が発達しているため好ましい。
上記導電助剤は、平均粒子径が1μm以下のものであることが好ましい。平均粒子径が1μm以下の導電助剤を用いることにより、本発明の導電性付与剤を用いて作製される正極組成物から正極を形成し、形成された正極を電池の正極として用いた場合に、出力特性等の電気特性を優れた正極とすることが可能となる。平均粒子径は、より好ましくは、0.01〜0.8μmであり、更に好ましくは、0.03〜0.5μmである。導電助剤の平均粒子径は、動的光散乱の粒度分布計(導電助剤屈折率を2.0とする)により測定することができる。
本発明の導電性付与剤は、導電性付与剤の固形分100質量%に対して、導電助剤を30〜95質量%含むことが好ましい。導電助剤をこのような割合で含むことで、導電性付与剤としての性能を良好に発揮することができる。導電助剤の含有量は、より好ましくは、導電性付与剤の固形分100質量%に対して、50〜85質量%である。
本発明の導電性付与剤は、粘度調整や作業性の調整のため、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、水、N−メチルピロリドンや酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル系溶媒、あるいはグライム系溶媒(ジグライム、トリグライム、テトラグライム等)などの有機溶媒と水との混合溶媒が使用できる。
3.電極組成物
本発明はまた、本発明の電極組成物用水系バインダ、及び、電極活物質を必須成分として含む電極組成物でもある。本発明の電極組成物は、これらの必須成分をそれぞれ1種含むものであってもよく、2種以上含んでいてもよい。
本発明の電極組成物は、電極活物質として正極活物質を含む電池正極組成物であってもよく、電極活物質として負極活物質を含む電池負極組成物であってもよい。
本発明はまた、本発明の電極組成物用水系バインダ、及び、電極活物質を必須成分として含む電極組成物でもある。本発明の電極組成物は、これらの必須成分をそれぞれ1種含むものであってもよく、2種以上含んでいてもよい。
本発明の電極組成物は、電極活物質として正極活物質を含む電池正極組成物であってもよく、電極活物質として負極活物質を含む電池負極組成物であってもよい。
本発明の電極組成物は、更に導電助剤を含むものであってもよい。この場合、本発明の電池用電極組成物は、本発明の導電性付与剤に電極活物質を加えたものということもできる。導電助剤としては、上述したものを用いることができる。さらに、粘度調整や作業性の調整のため、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、上述した導電性付与剤で使用できる溶媒が使用できる。
3−1.正極組成物
本発明の電極組成物が正極活物質を含む正極組成物である場合、正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵、放出できる正極活物質が好ましい。このような正極活物質を用いることで、リチウムイオン電池の正極として好適に用いることができるものとなる。リチウムイオンを吸蔵、放出できる化合物としては、リチウム含有の金属酸化物が挙げられ、そのような金属酸化物としては、コバルト酸リチウム、オリビン系(リン酸鉄リチウム、リン酸マンガンリチウム)、マンガン系(マンガン酸リチウム)、三元系(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム)、NCA系(リチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物)等が挙げられる。
本発明の電極組成物が正極活物質を含む正極組成物である場合、正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵、放出できる正極活物質が好ましい。このような正極活物質を用いることで、リチウムイオン電池の正極として好適に用いることができるものとなる。リチウムイオンを吸蔵、放出できる化合物としては、リチウム含有の金属酸化物が挙げられ、そのような金属酸化物としては、コバルト酸リチウム、オリビン系(リン酸鉄リチウム、リン酸マンガンリチウム)、マンガン系(マンガン酸リチウム)、三元系(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム)、NCA系(リチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物)等が挙げられる。
本発明の電極組成物が、導電助剤を含む電池用正極組成物である場合、正極組成物の固形分における本発明の重合体、正極活物質、導電助剤、本発明の重合体以外のその他のバインダ、及びこれらの成分以外のその他の成分の含有割合(質量割合)は、正極活物質を100質量部とした場合に、本発明の重合体/正極活物質/導電助剤/その他のバインダ/その他の成分=0.2〜5.0/100/1〜10/0〜5/0〜5であることが好ましい。このような含有割合であると、正極組成物から形成される電極を電池の正極として用いた場合の出力特性や電気特性を優れたものとすることが可能となる。より好ましくは、0.3〜3.0/100/1〜5/0〜2/0〜2である。尚、ここでいうその他の成分には、分散剤、増粘剤や防腐剤等が含まれる。
本発明の正極組成物は、固形分が40〜80質量%であることが好ましい。より好ましくは、50〜75質量%である。
本発明の電池正極組成物は、粘度が1〜20Pa・sであることが好ましい。電池用正極組成物の粘度がこのような範囲にあると、塗工する際の適当な流動性を確保でき、作業性の面で好ましい。より好ましくは2〜15Pa・sである。電池正極組成物の粘度は、実施例に記載の重合体溶液の粘度測定と同様の方法により測定することができる。
本発明の電池正極組成物は、正極活物質に依存するためpHが12以上になる場合があるが、25℃でのpHが6〜11であることが好ましい。pHがこのような範囲にあることで集電体(例えば、アルミ等)の腐食を起こしにくくなり、材料の持つ電池性能を充分に発現することができる。酸性の水溶液重合体を用いることで、正極組成物のpHを抑制効果がみられる。
電池用正極組成物のpH測定は、実施例に記載の重合体溶液のpH測定と同様の方法により測定することができる。
電池用正極組成物のpH測定は、実施例に記載の重合体溶液のpH測定と同様の方法により測定することができる。
本発明の電池正極組成物の作製方法としては、正極活物質と導電助剤とが均一に分散されることになる限り特に制限されないが、電池正極組成物が、本発明の水系バインダ、正極活物質、導電助剤、水とを含むものである場合、溶媒である水に重合体が溶解又は分散したバインダーに、場合により分散剤を添加し、更に導電助剤を混合して、ビーズ、ボールミル、攪拌型混合機、薄膜旋回型ミクサー等を用いて分散させて導電性付与剤を調整し、その溶液に正極活物質を加えて同様の分散処理を行い、電池用正極組成物を得ることが好ましい。このような手順で組成物を調製すると、正極活物質と導電助剤とを充分に均一に分散させやすく好ましい。
3−2.負極組成物
本発明の電極組成物が負極活物質を含む負極組成物である場合、負極活物質としては、グラファイト、天然黒鉛、人造黒鉛等の炭素材料、ポリアセン系導電性高分子、シリコン系材料、チタン酸リチウム等の複合金属酸化物、リチウム合金等が挙げられる。
本発明の電池負極組成物が導電助剤を含むものである場合、電池負極組成物の固形分における本発明の重合体、負極活物質、導電助剤、本発明の重合体以外のその他のバインダ、及び、その他の成分の含有割合(質量割合)は、負極活物質を100質量部とした場合に、0.3〜15/100/0〜20/0〜10/0〜5であることが好ましい。このような含有割合であると、負極組成物から形成される電極を電池の負極として用いた場合の出力特性や電気特性を優れたものとすることが可能となる。炭素系材料を用いた負極活物質の場合、好ましくは、0.5〜5/100/0〜3/0〜2/0〜2である。尚、ここでいうその他の成分には、分散剤、増粘剤や防腐剤等が含まれる。
本発明の電池負極組成物の粘度、固形分は、上述した本発明の電池用正極組成物における粘度と同様であることが好ましい。本発明の電池用負極組成物は、負極活物質に依存するが、25℃でのpHが6〜10であることが好ましい。
本発明の電池負極組成物の作製方法は、上記本発明の電池用正極組成物の作製方法における正極活物質を負極活物質に置き換えた方法が、負極活物質が均一に分散させやすく好ましい。
4.電極
本発明はまた、本発明の導電性付与剤、又は、本発明の電極組成物を用いて形成される電池用電極でもある。本発明の電池用電極は、これらの必須成分をそれぞれ1種含むものであってもよく、2種以上含んでいてもよい。
本発明の電池用電極に用いられる電極組成物用水系バインダ、電極活物質、導電性付与剤、電極組成物の好ましい構成は、上述した電池用電極組成物用水系バインダ、電極活物質、導電性付与剤、電極組成物の好ましい構成と同様である。
本発明はまた、本発明の導電性付与剤、又は、本発明の電極組成物を用いて形成される電池用電極でもある。本発明の電池用電極は、これらの必須成分をそれぞれ1種含むものであってもよく、2種以上含んでいてもよい。
本発明の電池用電極に用いられる電極組成物用水系バインダ、電極活物質、導電性付与剤、電極組成物の好ましい構成は、上述した電池用電極組成物用水系バインダ、電極活物質、導電性付与剤、電極組成物の好ましい構成と同様である。
5.電池
本発明は更に、本発明の電池用電極を用いて構成される電池でもある。本発明の電池に用いられる電池用電極の好ましい構成は、上述した電池用電極の好ましい構成と同様である。
本発明の電極組成物用水系バインダは、二次電池(好ましくは、リチウムイオン二次電池)の電極を形成するための水系バインダとして好適に用いることができる。したがって、本発明の電池用電極組成物用水系バインダ、導電性付与剤、電池用電極組成物、及び、電極が二次電池用(好ましくは、リチウムイオン二次電池用)材料として用いられることは、本発明の好適な実施形態の1つであり、本発明の電池が二次電池(好ましくは、リチウムイオン二次電池)であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
本発明は更に、本発明の電池用電極を用いて構成される電池でもある。本発明の電池に用いられる電池用電極の好ましい構成は、上述した電池用電極の好ましい構成と同様である。
本発明の電極組成物用水系バインダは、二次電池(好ましくは、リチウムイオン二次電池)の電極を形成するための水系バインダとして好適に用いることができる。したがって、本発明の電池用電極組成物用水系バインダ、導電性付与剤、電池用電極組成物、及び、電極が二次電池用(好ましくは、リチウムイオン二次電池用)材料として用いられることは、本発明の好適な実施形態の1つであり、本発明の電池が二次電池(好ましくは、リチウムイオン二次電池)であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
以下の実施例における各種測定は、それぞれ以下の方法により行った。
<バインダの不揮発分>
水系バインダが、重合体が水に分散した樹脂粒子分散体の場合、樹脂粒子分散体をアルミ皿に約1g秤量し、150℃の熱風乾燥機中で30分間乾燥し、乾燥前後の質量から下記式により求めた。
不揮発分(%)={(乾燥後の質量)/(乾燥前の質量)}×100
また、水系バインダが、重合体が水に溶解した重合体水溶液の場合、樹脂粒子分散体の代わりに水溶性高分子の水溶液を用いた以外は上記と同様にして、その不揮発分を求めた。
<バインダの不揮発分>
水系バインダが、重合体が水に分散した樹脂粒子分散体の場合、樹脂粒子分散体をアルミ皿に約1g秤量し、150℃の熱風乾燥機中で30分間乾燥し、乾燥前後の質量から下記式により求めた。
不揮発分(%)={(乾燥後の質量)/(乾燥前の質量)}×100
また、水系バインダが、重合体が水に溶解した重合体水溶液の場合、樹脂粒子分散体の代わりに水溶性高分子の水溶液を用いた以外は上記と同様にして、その不揮発分を求めた。
<バインダの粘度>
水系バインダが、重合体が水に分散した樹脂粒子分散体の場合、樹脂粒子分散体の粘度は、TVB−10(東機産業株式会社製)を用い、25±1℃、30rpmで測定した。
また、水系バインダが、重合体をpH7、不揮発分3%に調整したポリマー溶液の場合、TVB−10(東機産業株式会社製)を用い、25±1℃、30rpmで測定した。
水系バインダが、重合体が水に分散した樹脂粒子分散体の場合、樹脂粒子分散体の粘度は、TVB−10(東機産業株式会社製)を用い、25±1℃、30rpmで測定した。
また、水系バインダが、重合体をpH7、不揮発分3%に調整したポリマー溶液の場合、TVB−10(東機産業株式会社製)を用い、25±1℃、30rpmで測定した。
<バインダーのpH>
ガラス電極式水素イオン濃度計F−21(製品名、株式会社堀場製作所製)を用いて、25℃での値を測定した。
ガラス電極式水素イオン濃度計F−21(製品名、株式会社堀場製作所製)を用いて、25℃での値を測定した。
<重合体の分子量>
重量平均分子量(Mw)は、以下の条件により、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
測定装置:HLC−8320GPC(東ソー株式会社製)
カラム:(GF−310−HQ)+(GF−710−HQ)(昭和電工株式会社製)
展開溶媒:0.1M酢酸ナトリウム水溶液
検量線標準物質:ポリアクリル酸
<重合体の酸価>
ポリマー溶液0.3g(不揮発分は明細書記載の方法で算出)にアセトン30g、イオン交換水30gを加えた。その後、自動適定装置(株式会社三菱化学アナリテック製 GT−200)を用いて、0.1mol/Lエタノール性水酸化カリウム溶液で適定した。滴定量から酸価を求めた。
酸価(mgKOH/g)=A×FA×C/S
A:変曲点の滴定量
FA:適定液のファクター
C:濃度換算値(5.61mg/mL)
(0.1mol/L水酸化カリウム相当量)
S:サンプルの不揮発分量
<重合体の耐電解液性>
テフロン(登録商標)板の上に厚さ3mmの型枠を作製し、水系バインダを型枠内に流し込み乾燥することで、20mm角の試験片を作製した。得られた試験片を電解液(EC/EMC=3/7)に一日浸漬して、膜の縦及び横の長さを測定した。尚、膨潤率は、縦横の増減率を基に体積換算した値を示し、膨潤率100%の場合変化なく膨潤していないことを示している。例えば、電解液に浸漬することで縦横それぞれ21mmとなった場合、膨潤率は116%となる。
上記ECとはエチレンカーボネートを表し、EMCはエチルメチルカーボネートを表している。
重量平均分子量(Mw)は、以下の条件により、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
測定装置:HLC−8320GPC(東ソー株式会社製)
カラム:(GF−310−HQ)+(GF−710−HQ)(昭和電工株式会社製)
展開溶媒:0.1M酢酸ナトリウム水溶液
検量線標準物質:ポリアクリル酸
<重合体の酸価>
ポリマー溶液0.3g(不揮発分は明細書記載の方法で算出)にアセトン30g、イオン交換水30gを加えた。その後、自動適定装置(株式会社三菱化学アナリテック製 GT−200)を用いて、0.1mol/Lエタノール性水酸化カリウム溶液で適定した。滴定量から酸価を求めた。
酸価(mgKOH/g)=A×FA×C/S
A:変曲点の滴定量
FA:適定液のファクター
C:濃度換算値(5.61mg/mL)
(0.1mol/L水酸化カリウム相当量)
S:サンプルの不揮発分量
<重合体の耐電解液性>
テフロン(登録商標)板の上に厚さ3mmの型枠を作製し、水系バインダを型枠内に流し込み乾燥することで、20mm角の試験片を作製した。得られた試験片を電解液(EC/EMC=3/7)に一日浸漬して、膜の縦及び横の長さを測定した。尚、膨潤率は、縦横の増減率を基に体積換算した値を示し、膨潤率100%の場合変化なく膨潤していないことを示している。例えば、電解液に浸漬することで縦横それぞれ21mmとなった場合、膨潤率は116%となる。
上記ECとはエチレンカーボネートを表し、EMCはエチルメチルカーボネートを表している。
<重合体のTg>
窒素雰囲気下、20℃/分の昇温速度条件で、示差走査熱量計(EXSTAR6000 エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用いて測定した。
窒素雰囲気下、20℃/分の昇温速度条件で、示差走査熱量計(EXSTAR6000 エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を用いて測定した。
<正極の剥離試験>
厚み20μmのアルミ箔にアプリケーターを用いて、正極組成物を塗工し、80℃で10分乾燥し、ロールプレス機を用いて線圧5kNでプレスした。
その後、80℃で減圧乾燥し、電極重量14mg/cm3の電極シートを作製した。このサンプルを幅25mm、長さ100mmに切りだし、アルミ板に貼り付けて、23℃条件下で引張試験機(テスター産業株式会社製)により、剥離方向180°、剥離速度5mm/分における剥離強度を測定した。
厚み20μmのアルミ箔にアプリケーターを用いて、正極組成物を塗工し、80℃で10分乾燥し、ロールプレス機を用いて線圧5kNでプレスした。
その後、80℃で減圧乾燥し、電極重量14mg/cm3の電極シートを作製した。このサンプルを幅25mm、長さ100mmに切りだし、アルミ板に貼り付けて、23℃条件下で引張試験機(テスター産業株式会社製)により、剥離方向180°、剥離速度5mm/分における剥離強度を測定した。
<正極のAl腐食性評価>
厚み20μmのアルミ箔にアプリケーターを用いて、正極組成物を塗工し、80℃で10分乾燥し、ロールプレス機を用いて線圧5kNでプレスした。その後、80℃で減圧乾燥し、電極重量14mg/cm2の電極シートを作製した。
電極シートを目視観察を行い、Al腐食に関する評価を行った。
○・・・問題なし
×・・・電極表面に気泡痕のようなものがある。
厚み20μmのアルミ箔にアプリケーターを用いて、正極組成物を塗工し、80℃で10分乾燥し、ロールプレス機を用いて線圧5kNでプレスした。その後、80℃で減圧乾燥し、電極重量14mg/cm2の電極シートを作製した。
電極シートを目視観察を行い、Al腐食に関する評価を行った。
○・・・問題なし
×・・・電極表面に気泡痕のようなものがある。
<正極の柔軟性試験>
厚み20μmのアルミ箔にアプリケーターを用いて、正極組成物を塗工し、80℃で10分乾燥し、ロールプレス機を用いて線圧5kNでプレスした。その後、80℃で減圧乾燥し、電極重量20mg/cm2の電極シートを作製した。
このサンプルを幅25mmで切り出し、90°に曲げて、下記評価基準に従い、柔軟性を評価した。柔軟性評価は、φ2mmで90°に曲げた場合とφ10mmで90°に曲げた場合とについて行った。
評価基準:
○・・・問題なし(ワレ、剥がれ、クラックなし)。
×・・・電極を曲げると割れ、クラックが生じた。
××・・・製膜時に体積収縮クラックが起こった。
厚み20μmのアルミ箔にアプリケーターを用いて、正極組成物を塗工し、80℃で10分乾燥し、ロールプレス機を用いて線圧5kNでプレスした。その後、80℃で減圧乾燥し、電極重量20mg/cm2の電極シートを作製した。
このサンプルを幅25mmで切り出し、90°に曲げて、下記評価基準に従い、柔軟性を評価した。柔軟性評価は、φ2mmで90°に曲げた場合とφ10mmで90°に曲げた場合とについて行った。
評価基準:
○・・・問題なし(ワレ、剥がれ、クラックなし)。
×・・・電極を曲げると割れ、クラックが生じた。
××・・・製膜時に体積収縮クラックが起こった。
<正極電気特性(初期放電容量、サイクル特性)評価>
厚み20μmのアルミ箔にアプリケーターを用いて、正極組成物を塗工し、80℃で10分乾燥し、ロールプレス機を用いて線圧5kNでプレスした。
その後、80℃で減圧乾燥し、電極重量14mg/cm2の電極シートを作製した。作製した電極シートを用いて、下記のようにコインセル(CR2032)を作製し、充放電測定装置ACD−001(製品名、アスカ電子株式会社製)を用いて下記条件により電池評価を行った。
コインセル
正極:表1の正極組成物
負極:Li箔
電解液:1mol%/L LiPF6 EC/EMC=3/7(キシダ化学株式会社製)
電池評価条件(NMC)
充電条件:4.3V 定電圧 0.2C定電流充電 0.02Cカット
放電条件:定電流放電 3.0Vカット
放電は、0.2C、1C、2Cの順で各1回、合計3回行い、0.2Cの放電容量を初期容量とし、0.2Cに対する、2Cの容量比をレートとして算出した。充放電は、10分間の休止時間を設けた。
厚み20μmのアルミ箔にアプリケーターを用いて、正極組成物を塗工し、80℃で10分乾燥し、ロールプレス機を用いて線圧5kNでプレスした。
その後、80℃で減圧乾燥し、電極重量14mg/cm2の電極シートを作製した。作製した電極シートを用いて、下記のようにコインセル(CR2032)を作製し、充放電測定装置ACD−001(製品名、アスカ電子株式会社製)を用いて下記条件により電池評価を行った。
コインセル
正極:表1の正極組成物
負極:Li箔
電解液:1mol%/L LiPF6 EC/EMC=3/7(キシダ化学株式会社製)
電池評価条件(NMC)
充電条件:4.3V 定電圧 0.2C定電流充電 0.02Cカット
放電条件:定電流放電 3.0Vカット
放電は、0.2C、1C、2Cの順で各1回、合計3回行い、0.2Cの放電容量を初期容量とし、0.2Cに対する、2Cの容量比をレートとして算出した。充放電は、10分間の休止時間を設けた。
合成例1:水系バインダ(1)の合成
撹拌装置、温度計、滴下装置、窒素導入管、冷却管を備えたセパラブルフラスコに、イオン交換水573質量部を加えた後、85℃に加温した。2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物を用いて、4%開始剤水溶液33.75質量部を作製した。
別途、2−カルボキシエチルアクリレート142.5質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル7.5質量部を混合したモノマー滴下溶液を作製した。撹拌下に、開始剤水溶液及び単量体滴下溶液を、85℃条件下1時間滴下し、更に85℃で2時間撹拌を続けた後、冷却し不揮発分20%のポリマー水溶液(水系バインダ(1))を得た。
得られた重合体分散体の粘度は480mPa・s、pHは3.6、分子量(Mw)は35万、酸価は394mgKOH/gであった。また、耐電解液性は103%であり、Tgは27℃であった。
また、得られたポリマー水溶液に、5%水酸化リチウム・一水和物とイオン交換水を加えて撹拌し、不揮発分3%、pH7の重合体水溶液を得た。得られた水溶液の粘度は240mPa・sであった
撹拌装置、温度計、滴下装置、窒素導入管、冷却管を備えたセパラブルフラスコに、イオン交換水573質量部を加えた後、85℃に加温した。2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物を用いて、4%開始剤水溶液33.75質量部を作製した。
別途、2−カルボキシエチルアクリレート142.5質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル7.5質量部を混合したモノマー滴下溶液を作製した。撹拌下に、開始剤水溶液及び単量体滴下溶液を、85℃条件下1時間滴下し、更に85℃で2時間撹拌を続けた後、冷却し不揮発分20%のポリマー水溶液(水系バインダ(1))を得た。
得られた重合体分散体の粘度は480mPa・s、pHは3.6、分子量(Mw)は35万、酸価は394mgKOH/gであった。また、耐電解液性は103%であり、Tgは27℃であった。
また、得られたポリマー水溶液に、5%水酸化リチウム・一水和物とイオン交換水を加えて撹拌し、不揮発分3%、pH7の重合体水溶液を得た。得られた水溶液の粘度は240mPa・sであった
合成例2:水系バインダ(2)の合成
撹拌装置、温度計、滴下装置、窒素導入管、冷却管を備えたセパラブルフラスコに、イオン交換水825.3質量部を加えた後、80℃に加温した。2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物を用いて、4%開始剤水溶液33.75質量部を作製した。
別途、アクリル酸43.95質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル106.05質量部を混合したモノマー滴下溶液を作製した。撹拌下に、開始剤水溶液及び単量体滴下溶液を、80℃条件下1時間滴下し、更に80℃で2時間撹拌を続けた後、冷却し不揮発分15.0%のポリマー水溶液(水系バインダ(2))を得た。
得られたポリマー溶液の粘度は240mPa・s、pHは3.1、分子量(Mw)は30万、酸価は235mgKOH/gであった。また、耐電解液性は100%であり、Tgは49℃であった。
また、得られたポリマー水溶液に、5%水酸化リチウム・一水和物とイオン交換水を加えて撹拌し、不揮発分3%、pH7の重合体水溶液を得た。得られた水溶液の粘度は130mPa・sであった
撹拌装置、温度計、滴下装置、窒素導入管、冷却管を備えたセパラブルフラスコに、イオン交換水825.3質量部を加えた後、80℃に加温した。2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物を用いて、4%開始剤水溶液33.75質量部を作製した。
別途、アクリル酸43.95質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル106.05質量部を混合したモノマー滴下溶液を作製した。撹拌下に、開始剤水溶液及び単量体滴下溶液を、80℃条件下1時間滴下し、更に80℃で2時間撹拌を続けた後、冷却し不揮発分15.0%のポリマー水溶液(水系バインダ(2))を得た。
得られたポリマー溶液の粘度は240mPa・s、pHは3.1、分子量(Mw)は30万、酸価は235mgKOH/gであった。また、耐電解液性は100%であり、Tgは49℃であった。
また、得られたポリマー水溶液に、5%水酸化リチウム・一水和物とイオン交換水を加えて撹拌し、不揮発分3%、pH7の重合体水溶液を得た。得られた水溶液の粘度は130mPa・sであった
合成例3:水系バインダ(3)の合成
モノマー滴下溶液として、アクリル酸43.95質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル106.05質量部をアクリル酸 88.8質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル 61.2質量部に変更した以外は合成例2と同様の方法で合成を行った。
得られたポリマー溶液(水系バインダ(3))の粘度は700mPa・s、pHは3.1、分子量(Mw)は37万、酸価は458mgKOH/gであった。また、耐電解液性は100%であり、Tgは79℃であった。
また、得られたポリマー水溶液に、5%水酸化リチウム・一水和物とイオン交換水を加えて撹拌し、不揮発分3%、pH7の重合体水溶液を得た。得られた水溶液の粘度は370mPa・sであった
モノマー滴下溶液として、アクリル酸43.95質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル106.05質量部をアクリル酸 88.8質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル 61.2質量部に変更した以外は合成例2と同様の方法で合成を行った。
得られたポリマー溶液(水系バインダ(3))の粘度は700mPa・s、pHは3.1、分子量(Mw)は37万、酸価は458mgKOH/gであった。また、耐電解液性は100%であり、Tgは79℃であった。
また、得られたポリマー水溶液に、5%水酸化リチウム・一水和物とイオン交換水を加えて撹拌し、不揮発分3%、pH7の重合体水溶液を得た。得られた水溶液の粘度は370mPa・sであった
実施例1
水系バインダ(1)4.17質量部、イオン交換水19.1質量部、アセチレンブラック粉状品(電気化学工業株式会社製)1.5質量部を加えて混合分散した。更にニッケルマンガンコバルト酸リチウム(セルシードNMC532、日本化学工業株式会社製)50質量部を加えて混合分散し、正極組成物(1)を得た。正極組成物の理論固形分は70.0%、粘度は4800mPa・s、pHは10.8であった。
この正極組成物(1)を用いて上記正極の各種特性評価方法に記載の手順で電極シートの作製を行った。得られた正極の表面を目視観察した結果、問題なく、剥離強度は48N/mであった。また、作製した電極を用いて、上記正極電気特性の評価方法中に記載の電池作製を行い、電池評価を行った結果、初期放電容量は149mAh/g、負荷特性(レート)(2C/0.2C)は86%であった。
水系バインダ(1)4.17質量部、イオン交換水19.1質量部、アセチレンブラック粉状品(電気化学工業株式会社製)1.5質量部を加えて混合分散した。更にニッケルマンガンコバルト酸リチウム(セルシードNMC532、日本化学工業株式会社製)50質量部を加えて混合分散し、正極組成物(1)を得た。正極組成物の理論固形分は70.0%、粘度は4800mPa・s、pHは10.8であった。
この正極組成物(1)を用いて上記正極の各種特性評価方法に記載の手順で電極シートの作製を行った。得られた正極の表面を目視観察した結果、問題なく、剥離強度は48N/mであった。また、作製した電極を用いて、上記正極電気特性の評価方法中に記載の電池作製を行い、電池評価を行った結果、初期放電容量は149mAh/g、負荷特性(レート)(2C/0.2C)は86%であった。
実施例2
水系バインダ(2) 5.57質量部、イオン交換水15.52質量部、アセチレンブラック粉状品(電気化学工業株式会社製)1.5質量部を加えて混合分散した。更にニッケルマンガンコバルト酸リチウム(セルシードNMC532、日本化学工業株式会社製)50質量部を加えて混合分散し、正極組成物(2)を得た。正極組成物の理論固形分は72.0%、粘度は4300mPa・s、pHは10.9であった。実施例1と同様に各種測定を行い、その結果を表1に示した。
水系バインダ(2) 5.57質量部、イオン交換水15.52質量部、アセチレンブラック粉状品(電気化学工業株式会社製)1.5質量部を加えて混合分散した。更にニッケルマンガンコバルト酸リチウム(セルシードNMC532、日本化学工業株式会社製)50質量部を加えて混合分散し、正極組成物(2)を得た。正極組成物の理論固形分は72.0%、粘度は4300mPa・s、pHは10.9であった。実施例1と同様に各種測定を行い、その結果を表1に示した。
実施例3
水系バインダー(3) 5.57質量部、イオン交換水17.6質量部、アセチレンブラック粉状品(電気化学工業株式会社製)1.5質量部を加えて混合分散した。更にニッケルマンガンコバルト酸リチウム(セルシードNMC532、日本化学工業株式会社製)50質量部を加えて混合分散し、正極組成物(2)を得た。正極組成物の理論固形分は70.0%、粘度は6300mPa・s、pHは10.7であった。実施例1と同様に各種測定を行い、その結果を表1に示した。
水系バインダー(3) 5.57質量部、イオン交換水17.6質量部、アセチレンブラック粉状品(電気化学工業株式会社製)1.5質量部を加えて混合分散した。更にニッケルマンガンコバルト酸リチウム(セルシードNMC532、日本化学工業株式会社製)50質量部を加えて混合分散し、正極組成物(2)を得た。正極組成物の理論固形分は70.0%、粘度は6300mPa・s、pHは10.7であった。実施例1と同様に各種測定を行い、その結果を表1に示した。
比較例1
PVDFの8%NMP溶液(KFポリマー#7208 株式会社クレハ製)18.75質量部、NMP12.69質量部、アセチレンブラック粉状品1.5質量部を加えて混合分散した。更に、ニッケルマンガンコバルト酸リチウムを50質量部加えて混合分散し、比較正極組成物(1)を得た。比較正極組成物(1)の理論固形分は63.9%、粘度は12,000mPa・sであった。実施例1と同様に各種測定を行い、その結果を表1に示した。
PVDFの8%NMP溶液(KFポリマー#7208 株式会社クレハ製)18.75質量部、NMP12.69質量部、アセチレンブラック粉状品1.5質量部を加えて混合分散した。更に、ニッケルマンガンコバルト酸リチウムを50質量部加えて混合分散し、比較正極組成物(1)を得た。比較正極組成物(1)の理論固形分は63.9%、粘度は12,000mPa・sであった。実施例1と同様に各種測定を行い、その結果を表1に示した。
比較例2
配合組成が表1の記載のとおりとなるよう、水系バインダ(1)の代わりにポリアクリル酸(Mw54万)0.84質量部を用い、イオン交換水の使用量を28.55質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較正極組成物(2)を作製した。比較正極組成物(2)の理論固形分は64.7%、粘度は11,000mPa・s、pHは10.7であった。実施例1と同様に各種測定を行い、その結果を表1に示した。
配合組成が表1の記載のとおりとなるよう、水系バインダ(1)の代わりにポリアクリル酸(Mw54万)0.84質量部を用い、イオン交換水の使用量を28.55質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較正極組成物(2)を作製した。比較正極組成物(2)の理論固形分は64.7%、粘度は11,000mPa・s、pHは10.7であった。実施例1と同様に各種測定を行い、その結果を表1に示した。
比較例3
配合組成が表1の記載のとおりとなるよう、水系バインダ(1)の代わりにカルボキシメチルセルロース(BSH−6、第一工業製薬株式会社)0.84質量部を用い、イオン交換水の使用量を48.31質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして比較正極組成物(3)を作製した。比較正極組成物(3)の理論固形分は52%、粘度は19,200mPa・s、pHは11.8であった。実施例1と同様に各種測定を行い、その結果を表1に示した。なお、比較正極組成物(3)では、剥離試験を行う前にアルミ箔から剥離し、評価が行えなかった。
配合組成が表1の記載のとおりとなるよう、水系バインダ(1)の代わりにカルボキシメチルセルロース(BSH−6、第一工業製薬株式会社)0.84質量部を用い、イオン交換水の使用量を48.31質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして比較正極組成物(3)を作製した。比較正極組成物(3)の理論固形分は52%、粘度は19,200mPa・s、pHは11.8であった。実施例1と同様に各種測定を行い、その結果を表1に示した。なお、比較正極組成物(3)では、剥離試験を行う前にアルミ箔から剥離し、評価が行えなかった。
本発明の酸含有単量体由来の構造単位と水酸基含有単量体由来の構造単位を有する重合体を用いた実施例1〜3は、PVDFを用いた比較例1と比較して、同等以上の剥離強度が得ることができ、水系の一液型電極組成物でも使用可能な材料であることを確認した。また、実施例1〜3と比較例2、3との比較から、本発明の重合体を用いた電極では、高容量化するために必要である電極重量を多くした場合にも、良好な剥離強度と柔軟性を得ることができることを確認した。更に、実施例1〜3と比較例3との比較から、本発明の重合体を用いた電極では、通常の水溶性樹脂(酸型でないもの)と比較して、集電体のAl腐食抑制の期待が持てることが確認できた。
Claims (11)
- 重合体と、水を含有する電極組成物用水系バインダであって、
該重合体は、酸含有単量体由来の構造単位と水酸基含有単量体由来の構造単位を有しており、重合体の構造単位の全量100質量%に対して、水酸基含有単量体由来の構造単位を1〜75重量%を含有し、
該重合体の酸価が200〜700mgKOH/gであることを特徴とする電極組成物用水系バインダ。 - 上記水系バインダは、不揮発分3%に調整した場合のpHが8未満であることを特徴とする請求項1又は2の電極組成物用水系バインダ。
- 前記水酸基含有単量体が、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチルから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電極組成物用水系バインダ。
- 前記水系バインダは、正極組成物に用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電極組成物用水系バインダ。
- 前記重合体に含まれる酸含有単量体由来の構造単位の酸の一部が金属塩、有機アミン塩、或いはアンモニウム塩で中和されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電極組成物用水系バインダ。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の電極組成物用水系バインダ、導電助剤を必須成分として含むことを特徴とする導電性付与剤。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の電極組成物用水系バインダ、電極活物質を必須成分として含むことを特徴とする電極組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の電極組成物用水系バインダ、電極活物質を含有することを特徴とする電池用電極。
- 請求項7のいずれかに記載の導電性付与剤、又は請求項8に記載の電極組成物を用いて形成されることを特徴とする電池用電極。
- 請求項8に記載の電極組成物、又は請求項9に記載の電極を用いて形成されることを特徴とする電池。
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JP2014072095A JP2015195114A (ja) | 2014-03-31 | 2014-03-31 | 電極組成物用水系バインダ |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017224469A (ja) * | 2016-06-15 | 2017-12-21 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | 非水電解質二次電池用電極の下地層形成用導電性組成物、及びその用途 |
WO2019065471A1 (ja) | 2017-09-28 | 2019-04-04 | 日本ゼオン株式会社 | 電気化学素子用バインダー組成物、電気化学素子用スラリー組成物、電気化学素子用機能層および電気化学素子 |
KR20190064012A (ko) * | 2017-11-30 | 2019-06-10 | 주식회사 엘지화학 | 랜덤 공중합체를 포함하는 바인더, 그를 포함하는 리튬이온 2차전지용 음극, 상기 음극을 포함하는 리튬이온 2차전지, 및 상기 공중합체의 중합방법 |
-
2014
- 2014-03-31 JP JP2014072095A patent/JP2015195114A/ja active Pending
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