JP2015088276A - 正極用水系バインダー組成物及び水系正極組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 集電体の腐食を抑制することができ、かつ、良好な性能を発揮する正極を形成することができる正極組成物を提供する。
【解決手段】 電池の正極を形成するために用いられる水系バインダー組成物であって、該組成物は、活性メチレン化合物、バインダー及び水を必須成分として含む正極用水系バインダー組成物。
【選択図】なし
【解決手段】 電池の正極を形成するために用いられる水系バインダー組成物であって、該組成物は、活性メチレン化合物、バインダー及び水を必須成分として含む正極用水系バインダー組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、正極用水系バインダー組成物及び水系正極組成物に関する。より詳しくは、リチウム二次電池等の各種電池の正極を形成する組成物に好適に使用することができる正極用水系バインダー組成物及びそれを用いて形成される水系正極組成物に関する。
近年の環境問題への関心の高まりを背景に、携帯電話やノートパソコン等の電子機器だけでなく、自動車や航空機等の分野においても電池の使用が広がりをみせている。このような電池の使用分野の広がりとともに、電池に要求される特性もますます高くなってきており、更なる特性の向上に向けて、研究開発も活発に行われている。
電池を構成する電極は一般に、活物質を含む組成物を用いて集電体上に活物質層を形成することで作成される。活物質を含む組成物としては、有機溶媒を含む溶剤系の組成物が一般的であるが、近年は、環境への配慮等から、溶媒として水を用いた水系組成物も研究されている。しかし、水系組成物の検討において、高容量化を狙った酸化物系活物質、特にはNiを含有するような酸化物系活物質を用いると、電極組成物のpHが高く、これをアルミ等の集電体上に塗布すると、集電体が腐食するという課題があった。
上記課題を解決する方法として、正極活物質、水、水溶性ポリマー、及び粒子状ポリマーを含む二次電池正極用スラリーに、更にpH調整剤を添加したものであって、pHが10以上、12以下であるもの(特許文献1参照。)や、正極活物質と水とカルボキシメチルセルロースとpH調整剤とを含み、pHが5以上、9以下であるもの(特許文献2参照。)が開示されている。
一方、(A)ポリマーと(B)多価金属と配位子を含む多価金属化合物と(C)有機溶媒とを含有する電池電極用バインダー組成物において、配位子としてアセチルアセトンを用いることが記載されている(特許文献3参照)。しかし、この電池電極用バインダー組成物は溶剤系であり、アセチルアセトンを多価金属の配位子として使用していることから、水系でしか起こらないアルミ腐食の問題とは無関係である。
上記課題を解決する方法として、正極活物質、水、水溶性ポリマー、及び粒子状ポリマーを含む二次電池正極用スラリーに、更にpH調整剤を添加したものであって、pHが10以上、12以下であるもの(特許文献1参照。)や、正極活物質と水とカルボキシメチルセルロースとpH調整剤とを含み、pHが5以上、9以下であるもの(特許文献2参照。)が開示されている。
一方、(A)ポリマーと(B)多価金属と配位子を含む多価金属化合物と(C)有機溶媒とを含有する電池電極用バインダー組成物において、配位子としてアセチルアセトンを用いることが記載されている(特許文献3参照)。しかし、この電池電極用バインダー組成物は溶剤系であり、アセチルアセトンを多価金属の配位子として使用していることから、水系でしか起こらないアルミ腐食の問題とは無関係である。
上記のような、pH調整剤を添加することで正極組成物のpHを下げて集電体の腐食を抑制する方法では、組成物のpHが高い場合には、pH調整剤である酸を多量に添加することが必要となる。しかし、正極組成物に酸を多量に添加した場合、正極としての性能へ悪影響を及ぼすことになる。このため、正極としての性能に悪影響を与えることなく、集電体の腐食を抑制することができる方法が求められている。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、集電体の腐食を抑制することができ、かつ、良好な性能を発揮する正極を形成することができる正極組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、集電体上に塗布した際の集電体の腐食を抑制することができ、かつ、形成した正極が良好な性能を発揮することができるような正極組成物について種々検討し、正極組成物の形成に用いるバインダーに着目した。そして、水系バインダーと溶媒である水に加え、活性メチレン化合物を含むバインダー組成物を正極組成物の形成時のバインダーとして用いると、得られる正極組成物を集電体上に塗布した際の集電体の腐食が抑制され、かつ、形成した正極の性能も良好なものとなることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、電池の正極を形成するために用いられる水系バインダー組成物であって、上記組成物は、活性メチレン化合物、バインダー及び水を必須成分として含む正極用水系バインダー組成物である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の正極用水系バインダー組成物は、活性メチレン化合物を含む点を特徴とする。活性メチレン化合物とは、2つの電子吸引性基に挟まれたメチレン基を有する化合物を意味する。水系正極組成物においてpHが高くなる原因は、活物質由来の金属イオンにあるが、組成物中の金属イオンが活性メチレン化合物の2つの電子吸引性基に配位することで、組成物中のフリーな金属イオン量が減少し、組成物のpHを抑制することが可能となる。
活性メチレン化合物は、構造上、金属イオンが配位しやすいため、組成物のpHを効果的に抑制することができる。この点を活性メチレン化合物が有する電子吸引性基がカルボニル基である場合を例にとって以下に説明する。
活性メチレン化合物は、構造上、金属イオンが配位しやすいため、組成物のpHを効果的に抑制することができる。この点を活性メチレン化合物が有する電子吸引性基がカルボニル基である場合を例にとって以下に説明する。
活性メチレン化合物は、(I)のような構造を有する化合物であるが、2つの電子吸引性基(上の図ではカルボニル基)に挟まれていることで、その間のメチレン基の水素原子は水素イオンとして脱離しやすい状態にある。この水素イオンが脱離すると、(II)のような構造になる。(II)の構造では、カルボニル基の酸素原子がアニオン性を帯びているため、金属イオンが配位しやすく、したがって、このような活性メチレン化合物を含むことで、正極組成物中の金属イオンを充分に捕捉することができ、組成物のpHを効果的に抑制することができる。
本発明の正極用水系バインダー組成物は、活性メチレン化合物を1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本発明の正極用水系バインダー組成物は、活性メチレン化合物を1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
上記活性メチレン化合物は、2つの電子吸引性基に挟まれたメチレン基を有する化合物であれば特に制限されないが、電子吸引性基としては、カルボニル基(カルボキシル基、アルデヒド基を含む)、エステル基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、スルフィニル基、ホスホノ基等が挙げられる。これらの中でも、カルボニル基、エステル基、スルホニル基が好ましい。
活性メチレン化合物が有する2つの電子吸引性基は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
活性メチレン化合物が有する2つの電子吸引性基は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記活性メチレン化合物の具体例としては、アセチルアセトン、マロン酸エステル、アセト酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、水への溶解度のある化合物が好ましく、例えばアセチルアセトン、アセト酢酸エチルが好ましい。より好ましくは、水に対する親和性が高く混合しやすいアセチルアセトンである。
すなわち、活性メチレン化合物が、アセチルアセトンであることは、本発明の好適な実施形態の1つである。
すなわち、活性メチレン化合物が、アセチルアセトンであることは、本発明の好適な実施形態の1つである。
本発明の正極用水系バインダー組成物は、活性メチレン化合物を水系バインダー組成物(水を含む)100質量%に対して、0.05〜5質量%含むことが好ましい。このような割合で活性メチレン化合物を含むことにより、上述した活性メチレン化合物による効果をより充分に発揮することができる。より好ましくは、0.07〜3質量%含むことであり、更に好ましくは、0.1〜2質量%含むことである。
本発明の正極用水系バインダー組成物が含むバインダーとしては、電極活物質や導電助剤など電極を構成する材料同士を結着させる、または電極水系組成物とした場合に活物質や導電助剤などの固形分を均一、安定に分散させる、またはこれらの両方の機能を有する限り特に制限されないが、例えばセルロース系化合物、水分散系ポリマー、酸(塩)基含有水溶性ポリマー等が挙げられる。
上記水分散系ポリマーは、スチレン−ブタジエン系やアクリロニトリル含有系、フッ化ビニリデン系、テトラフルオロエチレン系、アクリル酸エステルを主体とするアクリル系などの水分散ポリマーである。また、フッ化ビニリデンとアクリルを複合化したポリマーのようにアクリルと複合化した水分散ポリマーなどもある。これらの水分散ポリマーは、主に柔軟性の付与に効果が大きいが、活物質や導電助剤の分散が十分でない場合も多く、主にセルロース系ポリマー(例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)やアルキレンオキサイド基含有ポリマー、アクリル系水溶性ポリマーなどと併用して用いることが多い。
上記酸(塩)基含有水溶性ポリマーとは、酸基又は酸基が塩の形態となった基を構造中に有する水溶性ポリマーである。
上記酸(塩)基含有水溶性ポリマーとしては、カルボン酸基含有水溶性ポリマー、スルホン酸基含有水溶性ポリマー、リン酸基含有水溶性ポリマー、及び、これらのポリマーの酸基の一部又は全部が塩となったポリマーが挙げられる。これらの中で、カルボン酸基及び/又はその塩を有するエチレン性不飽和カルボン酸(塩)基含有水溶性ポリマーが好ましい。エチレン性不飽和カルボン酸(塩)基含有水溶性ポリマーとは、高分子を構成する構造単位の中にエチレン性不飽和カルボン酸(塩)単量体由来のカルボキシル基及び/又はその塩を有し、エチレン性不飽和カルボン酸(塩)単量体の炭素−炭素二重結合が単結合になった構造を有するポリマーである。中でも、ポリマーの構造単位の全量100質量%に対して、(a)エチレン性不飽和カルボン酸(塩)単量体由来の構造単位5〜70質量%、(b)エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体由来の構造単位30〜95質量%を含むポリマーがより好ましい。
また、酸(塩)基含有水溶性ポリマーは、25℃、pH7、不揮発分3%における粘度が100mPa・s以上であるものが好ましい。
なお、エチレン性不飽和カルボン酸(塩)単量体とは、エチレン性不飽和カルボン酸単量体又はそのカルボン酸が塩の形態となった単量体を意味する。
上記酸(塩)基含有水溶性ポリマーとしては、カルボン酸基含有水溶性ポリマー、スルホン酸基含有水溶性ポリマー、リン酸基含有水溶性ポリマー、及び、これらのポリマーの酸基の一部又は全部が塩となったポリマーが挙げられる。これらの中で、カルボン酸基及び/又はその塩を有するエチレン性不飽和カルボン酸(塩)基含有水溶性ポリマーが好ましい。エチレン性不飽和カルボン酸(塩)基含有水溶性ポリマーとは、高分子を構成する構造単位の中にエチレン性不飽和カルボン酸(塩)単量体由来のカルボキシル基及び/又はその塩を有し、エチレン性不飽和カルボン酸(塩)単量体の炭素−炭素二重結合が単結合になった構造を有するポリマーである。中でも、ポリマーの構造単位の全量100質量%に対して、(a)エチレン性不飽和カルボン酸(塩)単量体由来の構造単位5〜70質量%、(b)エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体由来の構造単位30〜95質量%を含むポリマーがより好ましい。
また、酸(塩)基含有水溶性ポリマーは、25℃、pH7、不揮発分3%における粘度が100mPa・s以上であるものが好ましい。
なお、エチレン性不飽和カルボン酸(塩)単量体とは、エチレン性不飽和カルボン酸単量体又はそのカルボン酸が塩の形態となった単量体を意味する。
上記エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等の炭素数3〜10のエチレン性不飽和カルボン酸単量体;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸など炭素数4〜10のエチレン性不飽和ジカルボン酸単量体などが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸など炭素数3〜6の不飽和モノカルボン酸が好ましい。
エチレン性不飽和カルボン酸塩単量体としては、上記エチレン性不飽和カルボン酸単量体の酸が塩となった形態のものが挙げられ、その中でもアクリル酸、メタクリル酸など炭素数3〜6の不飽和モノカルボン酸の塩が好ましい。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体の塩としては、Li、Na、K塩等のアルカリ金属塩;アンモニアによって形成されるアンモニウム塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ヒドロキシルアミン等によって形成される有機アミン塩が挙げられる。これらの塩類のうち、好ましくはアルカリ金属塩であり、より好ましくはリチウム塩である。
これらのエチレン性不飽和カルボン酸(塩)単量体としては、1種用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
エチレン性不飽和カルボン酸塩単量体としては、上記エチレン性不飽和カルボン酸単量体の酸が塩となった形態のものが挙げられ、その中でもアクリル酸、メタクリル酸など炭素数3〜6の不飽和モノカルボン酸の塩が好ましい。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体の塩としては、Li、Na、K塩等のアルカリ金属塩;アンモニアによって形成されるアンモニウム塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ヒドロキシルアミン等によって形成される有機アミン塩が挙げられる。これらの塩類のうち、好ましくはアルカリ金属塩であり、より好ましくはリチウム塩である。
これらのエチレン性不飽和カルボン酸(塩)単量体としては、1種用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
上記エチレン性不飽和カルボン酸(塩)基含有水溶性ポリマーは、原料となるエチレン性不飽和カルボン酸(塩)単量体100モルのうち、カルボン酸が塩の形態となったエチレン性不飽和カルボン酸塩単量体が50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。
上記エチレン性不飽和カルボン酸(塩)基含有水溶性ポリマーにおける(b)エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体由来の構造単位とは、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体の炭素−炭素結合が単結合になったものを表わしている。
エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、クロトン酸エステル等が挙げられる。好ましくは、下記式(1)
CH2=CR−C(=O)−OR’ (1)
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。R’は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、又は、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表す。)で表される化合物である。
エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、クロトン酸エステル等が挙げられる。好ましくは、下記式(1)
CH2=CR−C(=O)−OR’ (1)
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。R’は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、又は、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表す。)で表される化合物である。
上記エチレン性不飽和カルボン酸(塩)基含有水溶性ポリマーは、構造単位(a)及び構造単位(b)を含む限り(c)その他の重合可能な構造単位を含んでいてもよい。
(c)その他の重合可能な構造単位としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体;酢酸ビニル;ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート等の多官能アリル単量体;1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の多官能アクリレート;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系単量体、アクリロニトリル等のシアノ基含有単量体由来の構造単位が挙げられる。
上記エチレン性不飽和カルボン酸塩を有する水溶性ポリマーとしては、構造単位全体を100質量%とした場合に、構造単位(a)/構造単位(b)/構造単位(c)=5〜70/30〜95/0〜30質量%であるものが好ましい。
(c)その他の重合可能な構造単位としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体;酢酸ビニル;ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート等の多官能アリル単量体;1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の多官能アクリレート;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系単量体、アクリロニトリル等のシアノ基含有単量体由来の構造単位が挙げられる。
上記エチレン性不飽和カルボン酸塩を有する水溶性ポリマーとしては、構造単位全体を100質量%とした場合に、構造単位(a)/構造単位(b)/構造単位(c)=5〜70/30〜95/0〜30質量%であるものが好ましい。
本発明の正極用水系バインダー組成物は、バインダーを水系バインダー組成物100質量%に対して、0.5〜60質量%含むことが好ましい。
本発明の正極用水系バインダー組成物の水の含有量は、水系バインダー組成物100質量%に対して、40〜99.5質量%であることが好ましい。
本発明の正極用水系バインダー組成物は、活性メチレン化合物、バインダー、及び、水以外のその他の成分を含んでいてもよいが、その他の成分の含有量は、水系バインダー組成物100質量%に対して、5質量%以下であることが好ましい。
その他の成分としては、後述する本発明の水系正極組成物が含む、正極活物質、活性メチレン化合物、バインダー、及び、水以外のその他の成分と同様のものが挙げられる。
その他の成分としては、後述する本発明の水系正極組成物が含む、正極活物質、活性メチレン化合物、バインダー、及び、水以外のその他の成分と同様のものが挙げられる。
本発明はまた、正極活物質、活性メチレン化合物、バインダー及び水を含有することを特徴とする水系正極組成物でもある。本発明の水系正極組成物は、上記正極用水系バインダー組成物に正極活物質を加えることでも得ることができる。このような、本発明の正極用水系バインダー組成物と正極活物質とを含む水系正極組成物もまた、本発明の1つである。
上述したように、活性メチレン化合物が活物質由来の金属イオンを捕捉するため、水系組成物中に活性メチレン化合物が存在することで、得られる水系正極組成物は、pHが抑えられたものとなる。これにより、水系正極組成物を用いて集電体上に活物質層を形成した場合の集電体の腐食が効果的に抑制されることになる。また、このような活性メチレン化合物は、電極性能に悪影響を及ぼさないことから、活性メチレン化合物を含む正極組成物から作製した正極は、正極として良好な性能を発揮することができる。また、一般に、電極組成物に低分子の化合物が入ると、電極組成物を用いて集電体上に形成される活物質層の剥離強度が低下するが、本発明の水系正極組成物に活性メチレン化合物を添加しても、水系正極組成物を用いて形成される活物質層の剥離強度は低下しない。更に本発明の水系正極組成物は、集電体上に塗工して活物質層を形成する際の塗工性も良好である。これらの点も、本発明の水系正極組成物が有する優れた効果である。
上述したように、活性メチレン化合物が活物質由来の金属イオンを捕捉するため、水系組成物中に活性メチレン化合物が存在することで、得られる水系正極組成物は、pHが抑えられたものとなる。これにより、水系正極組成物を用いて集電体上に活物質層を形成した場合の集電体の腐食が効果的に抑制されることになる。また、このような活性メチレン化合物は、電極性能に悪影響を及ぼさないことから、活性メチレン化合物を含む正極組成物から作製した正極は、正極として良好な性能を発揮することができる。また、一般に、電極組成物に低分子の化合物が入ると、電極組成物を用いて集電体上に形成される活物質層の剥離強度が低下するが、本発明の水系正極組成物に活性メチレン化合物を添加しても、水系正極組成物を用いて形成される活物質層の剥離強度は低下しない。更に本発明の水系正極組成物は、集電体上に塗工して活物質層を形成する際の塗工性も良好である。これらの点も、本発明の水系正極組成物が有する優れた効果である。
本発明の水系正極組成物が含む正極活物質としては、特に制限されないが、リチウムイオンを吸蔵、放出できる化合物であることが好ましい。このような正極活物質を用いることで、本発明の水系正極組成物がリチウムイオン電池の正極を形成する材料として好適に用いることができるものとなる。
リチウムイオンを吸蔵、放出できる化合物としては、遷移金属の酸化物や硫化物、リチウム含有の金属酸化物が挙げられる。
遷移金属の酸化物や硫化物としては、Mn、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Mo等の周期表の第4〜11族の遷移金属の酸化物や硫化物が挙げられる。
リチウム含有の金属酸化物としては、コバルト酸リチウム、オリビン系(リン酸鉄リチウム、リン酸マンガンリチウム)、三元系(Co−Ni−Mnのリチウム複合酸化物、Ni−Mn−Alのリチウム複合酸化物、Ni−Co−Alのリチウム複合酸化物)、マンガン系(マンガン酸リチウム、マンガン酸リチウムのマンガンの一部を他の遷移金属で置換した下記式(2);
Li[Mn3/2M1/2]O4 (2)
(式中、Mは、遷移金属原子を表す。)で表される複合酸化物等が挙げられる。式(2)のMとしては、Cr、Fe、Co、Ni、Cu等が挙げられる。)等が挙げられる。
これら正極活物質としては、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
リチウムイオンを吸蔵、放出できる化合物としては、遷移金属の酸化物や硫化物、リチウム含有の金属酸化物が挙げられる。
遷移金属の酸化物や硫化物としては、Mn、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Mo等の周期表の第4〜11族の遷移金属の酸化物や硫化物が挙げられる。
リチウム含有の金属酸化物としては、コバルト酸リチウム、オリビン系(リン酸鉄リチウム、リン酸マンガンリチウム)、三元系(Co−Ni−Mnのリチウム複合酸化物、Ni−Mn−Alのリチウム複合酸化物、Ni−Co−Alのリチウム複合酸化物)、マンガン系(マンガン酸リチウム、マンガン酸リチウムのマンガンの一部を他の遷移金属で置換した下記式(2);
Li[Mn3/2M1/2]O4 (2)
(式中、Mは、遷移金属原子を表す。)で表される複合酸化物等が挙げられる。式(2)のMとしては、Cr、Fe、Co、Ni、Cu等が挙げられる。)等が挙げられる。
これら正極活物質としては、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
本発明の水系正極組成物は、活物質を水系正極組成物の固形分100質量%に対して、80〜99質量%含むことが好ましい。より好ましくは、90〜98質量%含むことである。
なお、水系正極組成物の固形分とは、集電体上に水系正極組成物を塗工して乾燥した後に形成される活物質層中に残る成分を意味する。
なお、水系正極組成物の固形分とは、集電体上に水系正極組成物を塗工して乾燥した後に形成される活物質層中に残る成分を意味する。
本発明の水系正極組成物は、更に導電助剤を含んでいてもよい。導電助剤としては、主に導電性カーボンが用いられる。導電性カーボンとしては、カーボンブラック、ファイバー状カーボン、黒鉛等が挙げられる。これらの中でもケッチェンブラック、アセチレンブラックが好ましい。
上記導電助剤を用いる場合の、水系正極組成物中の導電助剤の含有量としては、正極活物質100質量%に対して、0.5〜10質量%であることが好ましい。導電助剤の含有量がこの範囲であると、正極抵抗を充分に低減し導電助剤としての効果を発揮することができる。より好ましくは、1〜6質量%である。
本発明の水系正極組成物は、特に導電助剤を含む場合、更に必要に応じて分散剤を含むことができる。分散剤を用いることにより正極活物質や導電助剤の分散性を更に高め水系正極組成物の粘度を低減することが可能となり、水系正極組成物の固形分の濃度を高く設定することが可能となる。
上記分散剤としては、特に制限されず、アニオン性、ノニオン性若しくはカチオン性の界面活性剤、又は、スチレンとマレイン酸との共重合体等の高分子分散剤などの種々の分散剤を用いることができる。
上記分散剤としては、特に制限されず、アニオン性、ノニオン性若しくはカチオン性の界面活性剤、又は、スチレンとマレイン酸との共重合体等の高分子分散剤などの種々の分散剤を用いることができる。
上記分散剤を用いる場合の分散剤の使用量としては、導電助剤100質量%に対して1〜20質量%含有させることが好ましい。より好ましくは、3〜15質量%である。
増粘剤を用いる場合、水系正極組成物100質量%に対して、0.03〜5質量%用いることが好ましい。
本発明の水系正極組成物中に含まれる構成成分の含有割合の一例としては、固形分における活性メチレン化合物、バインダー、正極活物質、導電助剤、及び、これらの成分以外のその他の成分の比が、正極活物質を100質量%とした場合、正極活物質/活性メチレン化合物/バインダー/導電助剤/その他の成分=100/0.01〜5/0.5〜5/0〜10/0〜3であることが好ましい。より好ましくは、100/0.1〜3/0.7〜3/0〜6/0〜2である。水系正極組成物がこのような含有割合で構成成分を含むものであると、正極組成物から形成される電極を電池の正極として用いた場合の出力特性や電気特性を優れたものとすることが可能となる。
なお、ここでいうその他の成分は、上述の活性メチレン化合物、バインダー、正極活物質、導電助剤以外の成分を指し、分散剤や他の増粘剤等が含まれる。
なお、ここでいうその他の成分は、上述の活性メチレン化合物、バインダー、正極活物質、導電助剤以外の成分を指し、分散剤や他の増粘剤等が含まれる。
本発明の水系正極組成物は、25℃でのpHが7〜11.5であることが好ましい。pHがこのような範囲にあることで集電体の腐食を起こしにくくなり、材料の持つ電池性能を充分に発現することができる。25℃でのpHの上限は、より好ましくは、11以下であり、更に好ましくは、10.5以下である。
pH測定は、ガラス電極式水素イオン度計F−21(製品名、堀場製作所社製)を用いて、25℃での値を測定することにより行うことができる。
pH測定は、ガラス電極式水素イオン度計F−21(製品名、堀場製作所社製)を用いて、25℃での値を測定することにより行うことができる。
本発明の水系正極組成物は、粘度が1〜20Pa・sであることが好ましい。水系正極組成物の粘度がこのような範囲にあると、塗工する際の適当な流動性を確保でき、作業性の面で好ましい。より好ましくは2〜15Pa・sであり、更に好ましくは、2〜12Pa・sである。
水系正極組成物の粘度は、B型粘度計(東機産業社製)を用いて、25±1℃、30rpmの条件で測定することができる。
水系正極組成物の粘度は、B型粘度計(東機産業社製)を用いて、25±1℃、30rpmの条件で測定することができる。
本発明の正極用水系バインダー組成物、及び、水系正極組成物は、これらの組成物を構成するバインダー、水等の成分を混練して調製することができる。
混練は、ビーズ、ボールミル、攪拌型混合機、2軸遊星方式の混合混練装置(例えば、TKハイビスミックス(登録商標)(プライミクス社製)等が挙げられる。)等を用いて行うことができる。
混練は、ビーズ、ボールミル、攪拌型混合機、2軸遊星方式の混合混練装置(例えば、TKハイビスミックス(登録商標)(プライミクス社製)等が挙げられる。)等を用いて行うことができる。
本発明の水系正極組成物は、上述のとおり、集電体上に活物質層を形成する場合に集電体の腐食を抑制することができるものであり、また本発明の水系正極組成物を用いて得られる正極も良好な性能を発揮するものとなる。
このような、本発明の水系正極組成物を用いて形成される正極もまた、本発明の1つであり、このような正極を用いて構成される電池もまた、本発明の1つである。また、この電池がリチウムイオン電池であることは本発明の好適な実施形態の1つである。
このような、本発明の水系正極組成物を用いて形成される正極もまた、本発明の1つであり、このような正極を用いて構成される電池もまた、本発明の1つである。また、この電池がリチウムイオン電池であることは本発明の好適な実施形態の1つである。
本発明の正極を作製する際に用いる集電体としては特に制限されず、アルミ集電体、銅箔等を用いることができる。
これらの中でも、特に腐食のしやすいアルミを集電体として用いた場合に、本発明の正極用水系バインダー組成物や水系正極組成物を用いることの効果がより顕著に発揮されることになる。
これらの中でも、特に腐食のしやすいアルミを集電体として用いた場合に、本発明の正極用水系バインダー組成物や水系正極組成物を用いることの効果がより顕著に発揮されることになる。
本発明の正極用水系バインダー組成物は、上述の構成よりなり、電池性能や活物質層の剥離強度に悪影響を及ぼすことなく、集電体の腐食を抑制することを可能とするバインダー組成物であり、リチウムイオン電池等の各種電池の正極を形成する際のバインダーとして好適に用いることができる。更に、このような正極用水系バインダー組成物を用いて得られた本発明の水系正極組成物は、各種電池の正極を形成する材料として好適に用いることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
各種特性の測定は以下の方法により行った。
<ポリマー溶液の不揮発分>
樹脂粒子分散体をアルミ皿に約1g秤量し、150℃の熱風乾燥機中で30分間乾燥し、乾燥前後の質量から下記式により求めた。
不揮発分(%)={(乾燥後の質量/(乾燥前の質量)}×100
また、樹脂粒子分散体の代わりに水溶性高分子の水溶液を用いた以外は上記と同様にして、その不揮発分を求めた。
<ポリマー溶液の粘度及びチクソ値>
樹脂粒子分散体の粘度は、樹脂粒子分散体を不揮発分2%に調整後、TVB−10(東機産業株式会社製)を用い、25±1℃、30rpmで測定した。
また水溶性高分子水溶液の粘度はpH7、不揮発分2%の水溶性高分子水溶液を、TVB−10(東機産業株式会社製)を用い、25±1℃、30rpmで測定した。
また、25±1℃の6rpmの粘度/60rpmの粘度をチクソ値とした。
<ポリマー溶液の不揮発分>
樹脂粒子分散体をアルミ皿に約1g秤量し、150℃の熱風乾燥機中で30分間乾燥し、乾燥前後の質量から下記式により求めた。
不揮発分(%)={(乾燥後の質量/(乾燥前の質量)}×100
また、樹脂粒子分散体の代わりに水溶性高分子の水溶液を用いた以外は上記と同様にして、その不揮発分を求めた。
<ポリマー溶液の粘度及びチクソ値>
樹脂粒子分散体の粘度は、樹脂粒子分散体を不揮発分2%に調整後、TVB−10(東機産業株式会社製)を用い、25±1℃、30rpmで測定した。
また水溶性高分子水溶液の粘度はpH7、不揮発分2%の水溶性高分子水溶液を、TVB−10(東機産業株式会社製)を用い、25±1℃、30rpmで測定した。
また、25±1℃の6rpmの粘度/60rpmの粘度をチクソ値とした。
<電極組成物の粘度>
TVB−10(東機産業株式会社製)を用いて25±1℃、30rpmの粘度を測定した。
<電極組成物のpH>
ガラス電極式水素イオン濃度計F−21(製品名、株式会社堀場製作所製)を用いて、25℃での値を測定した。
TVB−10(東機産業株式会社製)を用いて25±1℃、30rpmの粘度を測定した。
<電極組成物のpH>
ガラス電極式水素イオン濃度計F−21(製品名、株式会社堀場製作所製)を用いて、25℃での値を測定した。
<密着性試験(剥離強度試験)>
アプリケーターを用いて、正極組成物を塗工し、80℃で10分乾燥し、ロールプレス機を用いて線圧5kNでプレスした。
その後、80℃で減圧乾燥し、電極重量12mg/cm3の電極シートを作製した。このサンプルを幅25mm、長さ100mmに切りだし、アルミ板に貼り付けて、23℃条件下で引張試験機(テスター産業株式会社製)により、剥離方向180°、剥離速度5mm/分における剥離強度を測定した。
<正極電気特性(初期放電容量、サイクル特性)評価>
アプリケーターを用いて、正極組成物を塗工し、80℃で10分乾燥し、ロールプレス機を用いて線圧5kNでプレスした。
その後、80℃で減圧乾燥し、電極重量12mg/cm3の電極シートを作製した。作製した電極シートを用いて、下記のようにコインセル(CR2032)を作製し、充放電測定装置ACD−001(製品名、アスカ電子株式会社製)を用いて下記条件により電池評価を行った。
コインセル
正極:表1の正極組成物
負極:Li
電解液:1mol%/L LiPF6 EC/EMC=3/7(キシダ化学株式会社製)
電池評価条件(NMC)
充電条件:
(初期)0.2C CC−CV Cut−off 4.3V
(サイクル)0.5C CC−CV Cut−off 4.3V
放電条件:
(初期)0.2C CC Cut−off 3.0V
(サイクル)0.5C CC Cut−off 3.0V
アプリケーターを用いて、正極組成物を塗工し、80℃で10分乾燥し、ロールプレス機を用いて線圧5kNでプレスした。
その後、80℃で減圧乾燥し、電極重量12mg/cm3の電極シートを作製した。このサンプルを幅25mm、長さ100mmに切りだし、アルミ板に貼り付けて、23℃条件下で引張試験機(テスター産業株式会社製)により、剥離方向180°、剥離速度5mm/分における剥離強度を測定した。
<正極電気特性(初期放電容量、サイクル特性)評価>
アプリケーターを用いて、正極組成物を塗工し、80℃で10分乾燥し、ロールプレス機を用いて線圧5kNでプレスした。
その後、80℃で減圧乾燥し、電極重量12mg/cm3の電極シートを作製した。作製した電極シートを用いて、下記のようにコインセル(CR2032)を作製し、充放電測定装置ACD−001(製品名、アスカ電子株式会社製)を用いて下記条件により電池評価を行った。
コインセル
正極:表1の正極組成物
負極:Li
電解液:1mol%/L LiPF6 EC/EMC=3/7(キシダ化学株式会社製)
電池評価条件(NMC)
充電条件:
(初期)0.2C CC−CV Cut−off 4.3V
(サイクル)0.5C CC−CV Cut−off 4.3V
放電条件:
(初期)0.2C CC Cut−off 3.0V
(サイクル)0.5C CC Cut−off 3.0V
(調製例1;CMC水溶液の調製)
カルボキシメチルセルロース(BSH−6、第一工業製薬社製)(2.00部)にイオン交換水(98.00部)を加えて、ディスパー(ロボミクス、プライミクス社製)で攪拌し、2%カルボキシメチルセルロース水溶液(CMC水溶液)を得た。
カルボキシメチルセルロース(BSH−6、第一工業製薬社製)(2.00部)にイオン交換水(98.00部)を加えて、ディスパー(ロボミクス、プライミクス社製)で攪拌し、2%カルボキシメチルセルロース水溶液(CMC水溶液)を得た。
(調製例2;水溶性樹脂Aの合成)
撹拌機、温度計、冷却器、窒素導入管、滴下ロートを備えた四つ口セパラブルフラスコに、イオン交換水292.15質量部、ポリオキシエチレンドデシルエーテルのスルホン酸塩2.7質量部を投入した。内温72℃で攪拌しながら、緩やかに窒素を流し、反応容器内を完全に窒素置換した。次に、ポリオキシエチレンドデシルエーテルのスルホン酸塩2.7質量部をイオン交換水97.0質量部に溶解した。ここに、重合体の単量体成分として、メタクリル酸72質量部、アクリル酸エチル89.82質量部、アクリル酸ブチル18質量部、1,6−ヘキサンジオールアクリレート0.18質量部の混合物を投入し、プレエマルションを作製した。別途、過硫酸アンモニウム0.45質量部をイオン交換水44.5質量部に溶解し、重合開始剤水溶液を作製した。反応容器内の温度を72℃に保ち、プレエマルション及び開始剤水溶液を2時間にわたって均一に滴下した。滴下終了後、内温を72℃に保ち、更に1時間攪拌を続けた後、冷却して反応を完了し、不揮発分30%の樹脂粒子分散体aを得た。樹脂粒子分散体aを水希釈して不揮発分3%に調整し、粘度測定したところ5mPa・sであった。
得られた樹脂粒子分散体a3質量部に、5%水酸化リチウム・一水和物水溶液3.2質量部とイオン交換水29.6質量部を加えて攪拌し、不揮発分3%の水溶性樹脂A水溶液を得た。得られた水溶性樹脂Aは、粘度4,200mPa・s、チクソ値4.8であった。
撹拌機、温度計、冷却器、窒素導入管、滴下ロートを備えた四つ口セパラブルフラスコに、イオン交換水292.15質量部、ポリオキシエチレンドデシルエーテルのスルホン酸塩2.7質量部を投入した。内温72℃で攪拌しながら、緩やかに窒素を流し、反応容器内を完全に窒素置換した。次に、ポリオキシエチレンドデシルエーテルのスルホン酸塩2.7質量部をイオン交換水97.0質量部に溶解した。ここに、重合体の単量体成分として、メタクリル酸72質量部、アクリル酸エチル89.82質量部、アクリル酸ブチル18質量部、1,6−ヘキサンジオールアクリレート0.18質量部の混合物を投入し、プレエマルションを作製した。別途、過硫酸アンモニウム0.45質量部をイオン交換水44.5質量部に溶解し、重合開始剤水溶液を作製した。反応容器内の温度を72℃に保ち、プレエマルション及び開始剤水溶液を2時間にわたって均一に滴下した。滴下終了後、内温を72℃に保ち、更に1時間攪拌を続けた後、冷却して反応を完了し、不揮発分30%の樹脂粒子分散体aを得た。樹脂粒子分散体aを水希釈して不揮発分3%に調整し、粘度測定したところ5mPa・sであった。
得られた樹脂粒子分散体a3質量部に、5%水酸化リチウム・一水和物水溶液3.2質量部とイオン交換水29.6質量部を加えて攪拌し、不揮発分3%の水溶性樹脂A水溶液を得た。得られた水溶性樹脂Aは、粘度4,200mPa・s、チクソ値4.8であった。
(予備検討)
得られた水溶性樹脂Aに更に5%水酸化リチウム水溶液を加えて、pH12.3の予備検討水溶液を作製した。これにアセチルアセトンを含有率1%となるように加えたところpH9.3の予備検討水溶液が得られた。これにより、アセチルアセトンを添加することによる、pH抑制の効果が確認された。
得られた水溶性樹脂Aに更に5%水酸化リチウム水溶液を加えて、pH12.3の予備検討水溶液を作製した。これにアセチルアセトンを含有率1%となるように加えたところpH9.3の予備検討水溶液が得られた。これにより、アセチルアセトンを添加することによる、pH抑制の効果が確認された。
(実施例1)
2%カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液25.0質量部、アセチルアセトン0.25質量部を混合し、アセチルアセトン添加水溶性樹脂水溶液を作製した。
この溶液に、イオン交換水8.0質量部、アセチレンブラックHS−100(電気化学工業株式会社製)1.50質量部を加えて混合分散した。さらに、ニッケルマンガンコバルト酸リチウム(セルシードNMC111、日本化学工業株式会社製)50.0質量部を加えて混合分散し、更にVDF−アクリル変性エマルション(アルケマ社製、VDF:アクリル=7:3)2.08質量部を加えて正極水系組成物(1)を得た。正極水系組成物(1)の理論固形分は61.3%、粘度は6500mPa・s、pHは、10.0であった。
この正極水系組成物(1)を用いて上記の手順で電極作製を行った。得られた正極は、0.5℃初期放電容量147mAh/g、50サイクル後の容量維持率95.0%であった。また剥離強度は、25N/mであった。
2%カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液25.0質量部、アセチルアセトン0.25質量部を混合し、アセチルアセトン添加水溶性樹脂水溶液を作製した。
この溶液に、イオン交換水8.0質量部、アセチレンブラックHS−100(電気化学工業株式会社製)1.50質量部を加えて混合分散した。さらに、ニッケルマンガンコバルト酸リチウム(セルシードNMC111、日本化学工業株式会社製)50.0質量部を加えて混合分散し、更にVDF−アクリル変性エマルション(アルケマ社製、VDF:アクリル=7:3)2.08質量部を加えて正極水系組成物(1)を得た。正極水系組成物(1)の理論固形分は61.3%、粘度は6500mPa・s、pHは、10.0であった。
この正極水系組成物(1)を用いて上記の手順で電極作製を行った。得られた正極は、0.5℃初期放電容量147mAh/g、50サイクル後の容量維持率95.0%であった。また剥離強度は、25N/mであった。
(実施例2)
3%水溶性樹脂A水溶液25部、アセチルアセトン0.25質量部を混合し、アセチルアセトン添加水溶性樹脂水溶液を作製した。
この溶液にイオン交換水8.75質量部、アセチレンブラックHS−100 1.50質量部を加えて混合分散した。さらに、ニッケルマンガンコバルト酸リチウム(セルシードNMC111)50.0質量部を加えて混合分散し正極水系組成物(2)を得た。正極水系組成物(2)について、実施例1と同様の各種測定を行った。その結果を表1に示す。
3%水溶性樹脂A水溶液25部、アセチルアセトン0.25質量部を混合し、アセチルアセトン添加水溶性樹脂水溶液を作製した。
この溶液にイオン交換水8.75質量部、アセチレンブラックHS−100 1.50質量部を加えて混合分散した。さらに、ニッケルマンガンコバルト酸リチウム(セルシードNMC111)50.0質量部を加えて混合分散し正極水系組成物(2)を得た。正極水系組成物(2)について、実施例1と同様の各種測定を行った。その結果を表1に示す。
(実施例3、比較例1)
配合組成を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして正極水系組成物(3)、及び、比較正極水系組成物(1)を調製し、実施例1と同様の各種測定を行った。結果を表1に示す。
なお、表1中、各成分の配合組成の欄は、「加えた部数/固形分量(部)」という表記となっている。
配合組成を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして正極水系組成物(3)、及び、比較正極水系組成物(1)を調製し、実施例1と同様の各種測定を行った。結果を表1に示す。
なお、表1中、各成分の配合組成の欄は、「加えた部数/固形分量(部)」という表記となっている。
実施例、比較例の結果から、アセチルアセトンを添加することで、正極組成物のpHが高くなることを抑制でき、また、アセチルアセトンを添加しても正極組成物のスラリー化に問題なく、集電体上に形成された塗膜の剥離強度も良好であった。更に、アセチルアセトンを添加しても正極としての性能に悪影響を与えることなく、良好な電極性能を発揮することが確認された。
Claims (7)
- 電池の正極を形成するために用いられる水系バインダー組成物であって、
該組成物は、活性メチレン化合物、バインダー及び水を必須成分として含むことを特徴とする正極用水系バインダー組成物。 - 前記活性メチレン化合物を水系バインダー組成物100質量%に対して、0.05〜5質量%含むことを特徴とする請求項1に記載の正極用水系バインダー組成物。
- 前記活性メチレン化合物は、アセチルアセトンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の正極用水系バインダー組成物。
- 正極活物質、活性メチレン化合物、バインダー及び水を含むことを特徴とする水系正極組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の正極用水系バインダー組成物と正極活物質とを含むことを特徴とする水系正極組成物。
- 請求項4又は5に記載の水系正極組成物を用いて形成されることを特徴とする正極。
- 請求項6に記載の正極を用いて構成されることを特徴とする電池。
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---|---|---|---|---|
CN109921098A (zh) * | 2018-11-20 | 2019-06-21 | 万向一二三股份公司 | 一种水系超级纳米磷酸铁锂电池的制备方法 |
WO2021133127A1 (ko) | 2019-12-26 | 2021-07-01 | 주식회사 엘지에너지솔루션 | 수계 양극용 슬러리, 양극 조성물 및 이 양극 조성물을 포함하는 리튬 이온 이차전지, 그리고 이들의 제조 방법 |
-
2013
- 2013-10-29 JP JP2013224498A patent/JP2015088276A/ja active Pending
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KR20220120551A (ko) | 2019-12-26 | 2022-08-30 | 주식회사 엘지에너지솔루션 | 수계 양극용 슬러리, 양극 조성물 및 이 양극 조성물을 포함하는 리튬 이온 이차전지, 그리고 이들의 제조 방법 |
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