JP2018006333A - リチウムイオン電池正極用バインダー水溶液、リチウムイオン電池正極用粉体状バインダー、リチウムイオン電池正極用スラリー、リチウムイオン電池用正極、リチウムイオン電池 - Google Patents

リチウムイオン電池正極用バインダー水溶液、リチウムイオン電池正極用粉体状バインダー、リチウムイオン電池正極用スラリー、リチウムイオン電池用正極、リチウムイオン電池 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン電池正極用バインダー水溶液、リチウムイオン電池正極用粉体状バインダー、リチウムイオン電池正極用スラリー、リチウムイオン電池用正極、リチウムイオン電池の提供。【解決手段】(メタ)アクリルアミド骨格含有モノマー(a)及びスルホン酸基置換不飽和炭化水素基含有モノマー(b)を含むモノマー群のラジカル共重合物であるポリ(メタ)アクリルアミド(A)を含み、かつ、25℃、固形分15質量%でのB型粘度が10,000〜70,000mPa・sである、リチウムイオン電池正極用バインダー水溶液。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン電池正極用バインダー水溶液及びリチウムイオン電池正極用粉体状バインダー、並びにそれらを用いて得られるリチウムイオン電池正極用スラリー、並びにリチウムイオン電池用正極及びリチウムイオン電池に関する。
電子機器の駆動用電源として高電圧、高エネルギー密度を有する蓄電デバイスが要求されている。特にリチウムイオン電池は、高電圧、高エネルギー密度を有する蓄電デバイスとして期待され、普及が進んでいる。
上記リチウムイオン電池の正極及び負極は、活物質とバインダー樹脂とを溶媒に分散させてスラリーとしたものを集電体である金属箔上に両面塗布し、溶媒を乾燥除去して電極層を形成後、これをロールプレス機等で圧縮成形して作製されている。今後、さらなる高電圧、高エネルギー密度化が望まれていることから、より高電位の正極活物質の使用が提案されている。そのため活物質の高電位化に伴う、バインダー樹脂の酸化劣化による容量低下への耐性が必要となる。
上記バインダー樹脂としては、両極ともポリフッ化ビニリデン(以下「PVDF」と略す)が多用されている。このバインダー樹脂はフッ素系樹脂であるため、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の有機溶媒を含む溶媒中に溶解させてバインダー樹脂スラリーとして使用されている。
一方、水にバインダー樹脂を分散させたエマルジョンや水溶性バインダー樹脂の使用が検討されている。例えば、特許文献1及び2には、負極用バインダーとして共役ジエン化合物、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を併用する水系バインダーが提案されている。しかしながら、これらの方法では、共役ジエン化合物の二重結合が、酸化反応が起こる正極の環境下では酸化劣化しやすいことから、正極のバインダーとしては依然としてPVDFが多用されている。一方、特許文献3及び4では、正極及び負極用バインダーとして(メタ)アクリルアミドに由来する繰り返し単位を含む水溶性重合体が提案されている。
特開2014−103122号公報 特許第5077612号公報 特開2015−022956号公報 特開2015−106489号公報
しかしながら、(メタ)アクリルアミドに由来する繰り返し単位を含むポリ(メタ)アクリルアミドを使用する特許文献3や特許文献4に記載のバインダーを含む電極スラリー組成物を用いて調製したリチウムイオン電池には、電池特性、特に出力特性及びサイクル特性をさらに向上させるという点において未だ改善の余地があった。
ポリ(メタ)アクリルアミドのB型粘度が低い場合には、電極スラリーの粘度が低下することでスラリーを塗布する際に液だれが起きやすくなり、スラリーの分散性が低下し沈降物が生成するため、塗膜の厚みの均一性が損なわれ、電極の屈曲性が悪くなる。他方、ポリ(メタ)アクリルアミドのB型粘度が高すぎる場合にはポリ(メタ)アクリルアミドの水溶性が低下しゲル状となるため、バインダーとして使用できないという問題もあった。しかし、従来のポリ(メタ)アクリルアミドのB型粘度の制御方法では、ポリ(メタ)アクリルアミドが酸化劣化し、出力特性及びサイクル特性等の電池特性の低下が起こる。そのため、電池特性の問題とB型粘度の問題はトレードオフの関係にあった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、上記電池特性の問題とB型粘度の問題とを両方解決する、すなわち、分散性良好なスラリー、柔軟性良好な電極、並びに出力特性及びサイクル特性が良好なリチウム電池を製造できるリチウムイオン電池正極用バインダー水溶液を提供することとする。
また、本発明が解決しようとする更なる課題は、リチウムイオン電池正極用粉体状バインダー、リチウムイオン電池正極用スラリー、リチウムイオン電池正極、そして出力特性及びサイクル特性に優れるリチウムイオン電池を提供することとする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、所定の不飽和モノマーを構成成分とし、かつ、所定の物性を備えるポリ(メタ)アクリルアミドを主成分とするバインダー水溶液を用いることで上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、以下に示すリチウムイオン電池正極用バインダー水溶液、リチウムイオン電池正極用粉体状バインダー、リチウムイオン電池正極用スラリー、リチウムイオン電池用正極及びリチウムイオン電池に関する。
本開示により以下の項目が提供される。
(項目1)
(メタ)アクリルアミド骨格含有モノマー(a)及びスルホン酸基置換不飽和炭化水素基含有モノマー(b)を含むモノマー群のラジカル共重合物であるポリ(メタ)アクリルアミド(A)を含み、かつ、25℃、固形分15質量%でのB型粘度が10,000〜70,000mPa・sである、リチウムイオン電池正極用バインダー水溶液。
(項目2)
前記モノマー群における(b)成分の含有量が0.01〜1モル%である、上記項目のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極用バインダー水溶液。
(項目3)
上記項目のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極用バインダー水溶液をスプレードライして得られる、リチウムイオン電池正極用粉体状バインダー。
(項目4)
上記項目のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極用バインダー水溶液、及び正極活物質(B)を含む、リチウムイオン電池正極用スラリー。
(項目5)
上記項目のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極用粉体状バインダー、水、及び正極活物質(B)を含む、リチウムイオン電池正極用スラリー。
(項目6)
前記正極活物質(B)100質量%に対し、前記ポリ(メタ)アクリルアミド(A)の含有量が1〜8質量%である、上記項目のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極用スラリー。
(項目7)
上記項目のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極用スラリーを集電体に塗布、乾燥して得られる、リチウムイオン電池用正極。
(項目8)
上記項目のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極を含む、リチウムイオン電池。
本発明に係るリチウムイオン電池正極用バインダー水溶液は、酸化劣化し難いため、リチウム電池の出力特性及びサイクル特性を十分に向上させることが可能な正極用バインダーとして使用が可能である。また、上記リチウムイオン電池正極用バインダー水溶液から、分散性が良好なリチウムイオン電池正極用スラリーを製造できる。さらに上記リチウムイオン電池正極用スラリーは分散性が良好であるため、上記スラリーを用いて製造される正極の屈曲性は良好となる。
本発明のリチウムイオン電池正極用バインダー水溶液、これをスプレードライして得られる粉体状バインダー、及びそれらと活物質とを含むリチウムイオン電池正極用スラリーを用いれば、リチウム電池の出力特性及びサイクル特性を十分に向上させることが可能なリチウムイオン電池正極、そして出力特性及びサイクル特性に優れるリチウムイオン電池を提供することができる。
(1.リチウムイオン電池正極用バインダー水溶液(バインダー水溶液))
本発明のリチウムイオン電池正極用バインダー水溶液(以下、単にバインダー水溶液ともいう。)は、(メタ)アクリルアミド骨格含有モノマー(a)(以下、(a)成分ともいう)及びスルホン酸基置換不飽和炭化水素基含有モノマー(b)(以下、(b)成分ともいう)を含むモノマー群のラジカル共重合物であるポリ(メタ)アクリルアミド(A)(以下、(A)成分ともいう)と水とを含む組成物である。本開示において「(メタ)アクリル」とは「アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。また「ラジカル共重合物」とはラジカル重合により得られる共重合物を意味する。
((メタ)アクリルアミド骨格含有モノマー((a)成分))
本開示において「(メタ)アクリルアミド骨格含有モノマー」とは、(メタ)アクリルアミド骨格
(式中、Rは水素又はメチル基である。)
を有する化合物を意味する。1つの実施形態において、(メタ)アクリルアミド骨格含有モノマーは下記構造式
(式中、Rは水素又はメチル基であり、R及びRはそれぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル基、又はアセチル基であるか、或いはR及びRが一緒になって環構造を形成する基であり、R及びRはそれぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基(−NR(R及びRはそれぞれ独立して水素又は置換若しくは非置換のアルキル基である)(以下同様))、アセチル基、スルホン酸基である。置換アルキル基の置換基の例としてはヒドロキシ基、アミノ基、アセチル基等が挙げられる。また、R及びRが一緒になって環構造を形成する基の例としては、モルホリル基等が挙げられる。)
により表現される。
(メタ)アクリルアミド骨格含有モノマーの例としては、N−無置換(メタ)アクリルアミド骨格含有モノマー、N−一置換(メタ)アクリルアミド骨格含有モノマー、N,N−二置換(メタ)アクリルアミド骨格含有モノマー等が挙げられる。(メタ)アクリルアミド骨格含有モノマーは二種以上を併用できる。
N−無置換(メタ)アクリルアミド骨格含有モノマーの例としては、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド等が挙げられる。
N−一置換(メタ)アクリルアミド骨格含有モノマーの例としては、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド(メタ)アクリルアミドt−ブチルスルホン酸等が挙げられる。
N−二置換(メタ)アクリルアミド骨格含有モノマーの例としては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
これらの中でも(メタ)アクリルアミド、特にアクリルアミドを用いると、(A)成分の耐酸化性が高くなる。
(a)成分の使用量は特に限定されないが、(A)成分を与えるモノマー群100モル%における(a)成分の上限の例としては、99.99、99、98、95、90、80、70、60、55モル%等が挙げられ、下限の例としては、98、95、90、80、70、60、55、50モル%等が挙げられる。(a)成分の上限及び下限は、上記値に限定されない。(a)成分の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、(メタ)アクリルアミドを含む(A)成分は活物質との相互作用が高く、スラリーの分散性や、電極内部における活物質同士の結着性を高めるという観点より、(a)成分の使用量は、(A)成分を与えるモノマー群のうち好ましくは30〜99モル%程度、より好ましくは50〜90モル%程度である。
1つの実施形態において、(A)成分を与えるモノマー群100質量%における(a)成分の上限の例としては、99.99、99、98、95、90、80、70、60、55質量%等が挙げられ、下限の例としては、98、95、90、80、70、60、55、50質量%等が挙げられる。(a)成分の上限及び下限は、上記値に限定されない。(a)成分の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、(メタ)アクリルアミドを含む(A)成分は活物質との相互作用が高く、スラリーの分散性や、電極内部における活物質同士の結着性を高めるという観点より、(a)成分の使用量は、(A)成分を与えるモノマー群のうち好ましくは30〜99質量%程度、より好ましくは50〜90質量%程度である。
(スルホン酸基置換不飽和炭化水素基含有モノマー(b2)((b2)成分))
本開示において「スルホン酸基置換不飽和炭化水素基含有モノマー」とは、不飽和炭化水素基の水素がスルホン酸基に置換された化合物又はその塩を意味する。1つの実施形態において、スルホン酸基置換不飽和炭化水素基含有モノマーは下記構造式
R−SO
(式中、Rは不飽和炭化水素基である。不飽和炭化水素基の例としては、ビニル基、アリル基、2−メチルプロペニル基等のアルケニル基、エチニル基、プロピニル基等のアルキニル基等が挙げられる。)
により表される化合物又はその塩(例えば有機アミン塩等の有機塩、カリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩を含む金属塩、アンモニウム塩等を含む無機塩)である。
(b2)成分は、不飽和炭化水素基の水素がスルホン酸基に置換された化合物又はその塩であれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。(b2)成分の例としては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸及びメタリルスルホン酸並びにそれらの塩が挙げられ、二種以上を併用できる。塩の例としては、有機アミン塩等の有機塩;カリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩を含む金属塩、アンモニウム塩等を含む無機塩等が挙げられる。これらの中でも、(B1)成分の分子量と水溶性を制御するための連鎖移動剤として作用するメタリルスルホン酸塩、特にメタリルスルホン酸ナトリウムが好ましい。
(b)成分の使用量は特に限定されないが、(A)成分を与えるモノマー群100モル%における(b)成分の上限の例としては、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05モル%等が挙げられ、下限の例としては、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05、0.01モル%等が挙げられる。(b)成分の上限及び下限は、上記値に限定されない。(b)成分の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、(b)成分は(A)成分を与えるモノマー群100モル%のうち好ましくは0.01〜1モル%程度、より好ましくは0.05〜1モル%程度とするのがよい。そうすることで、(A)成分の耐酸化性を損なうことなく、分子量と水溶性を制御することができる。
1つの実施形態において、(A)成分を与えるモノマー群100質量%における(b)成分の上限の例としては、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05質量%等が挙げられ、下限の例としては、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05、0.01質量%等が挙げられる。(b)成分の上限及び下限は、上記値に限定されない。(b)成分の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、(b)成分は(A)成分を与えるモノマー群100質量%のうち好ましくは0.01〜1質量%程度、より好ましくは0.05〜1質量%程度とするのがよい。そうすることで、(A)成分の耐酸化性を損なうことなく、分子量と水溶性を制御することができる。
((a)成分及び(b)成分以外の共重合成分((c)成分))
前記モノマー群には、(a)成分及び(b)成分と共重合可能な他の共重合成分(c)(以下、(c)成分ともいう)を含めてよい。(c)成分の例としては、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、α,β−不飽和ニトリル化合物、共役ジエン化合物、芳香族ビニル化合物等が挙げられ、二種以上を併用できる。(c)成分の使用量は特に限定されないが、1つの実施形態において、(A)成分を与えるモノマー群100モル%のうち(c)成分の使用量が50モル%未満(例えば40、30、20、20、10、9、5、1、0.1モル%未満、0モル%)であることが好ましい。また別の実施形態において、(A)成分を与えるモノマー群100質量%のうち(c)成分の使用量が50質量%未満(例えば40、30、20、20、15、10、9、5、1、0.1質量%未満、0質量%)であることが好ましい。
不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。上記不飽和カルボン酸の使用量は特に限定されないが、(A)成分を与えるモノマー群100モル%のうち10モル%未満(例えば9、5、1、0.1モル%未満、0モル%)であるのが好ましく、(A)成分を与えるモノマー群100質量%のうち10質量%未満(例えば9、5、1、0.1質量%未満、0質量%)であることが好ましい。そうすることで、(A)成分の耐酸化性が高まり、高電位の活物質を組み合わせることができるようになる。
不飽和カルボン酸エステルの例としては、(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル等の直鎖(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の分岐(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の脂環(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール、(メタ)アクリル酸アリル、ジ(メタ)アクリル酸エチレン等の置換(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらは二種以上を併用できる。不飽和カルボン酸エステルの使用量は特に限定されないが、(A)成分を与えるモノマー群100モル%のうち10モル%未満(例えば9、5、1、0.1モル%未満、0モル%)であるのが好ましく、(A)成分を与えるモノマー群100質量%のうち10質量%未満(例えば9、5、1、0.1質量%未満、0質量%)であることが好ましい。そうすることで、(A)成分の耐酸化性が高まり、高電位の活物質を組み合わせることができるようになる。
α,β−不飽和ニトリル化合物は、本発明のバインダー水溶液若しくは粉体状バインダーより得られる塗膜、又は本発明のスラリーより得られる塗膜に柔軟性を与える目的で好適に使用できる。α,β−不飽和ニトリル化合物の例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙げられる。これらは二種以上を併用できる。これらのうち、アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリルが好ましく、特にアクリロニトリルが好ましい。α,β−不飽和ニトリル化合物の使用量は特に限定されないが、(A)成分を与えるモノマー群100モル%のうち50モル%未満(例えば40、30、20、20、9、5、1、0.1モル%未満、0モル%)であるのが好ましく、(A)成分を与えるモノマー群100質量%のうち50質量%未満(例えば40、30、20、20、9、5、1、0.1質量%未満、0質量%)であることが好ましい。そうすることで、(A)成分の水への溶解性を保ちつつ、前記各塗膜が均一となり、前記柔軟性を発揮させやすくなる。
共役ジエン化合物の例としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン、置換及び側鎖共役ヘキサジエン等が挙げられる。また、芳香族ビニル化合物の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらは二種以上を併用できる。これらの使用量は特に限定されないが、(A)成分を与えるモノマー群100モル%のうち10モル%未満(例えば9、5、1、0.1モル%未満、0モル%)であるのが好ましい。なお、正極用バインダーは高電圧に曝されるため、(A)成分としては酸化電位が高いものが好ましく、(A)成分を与えるモノマー群100質量%のうち10質量%未満(例えば9、5、1、0.1質量%未満、0質量%)であることが好ましい。しかし、共役ジエン化合物や芳香族ビニル化合物は(A)成分の酸化電位を下げる傾向にある。そのため、これらは使用しないことが好ましい。
本発明の水溶液100質量%に対する(A)成分の含有量は特に制限されない。本発明の水溶液100質量%に対する(A)成分の含有量の上限の例は、20、19、16、15、13、11質量%等が挙げられ、下限の例は19、16、15、13、11、10質量%等が挙げられる。(A)成分の上限及び下限は、上記値に限定されない。本発明の水溶液100質量%に対する(A)成分の含有量の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、本発明の水溶液100質量%に対する(A)成分の含有量は10〜20質量%が好ましい。
((A)成分の製造方法)
(A)成分は、各種公知の方法でラジカル重合法で合成できる。好ましくは水溶液ラジカル重合法である。具体的には、前記(a)成分及び(b)成分並びに必要に応じて(c)成分を含むモノマー混合液にラジカル重合開始剤及び必要に応じて他の重合試薬を加え、撹拌しながら、反応温度50〜100℃程度で重合反応を行えばよい。反応時間は特に限定されず、好ましくは1〜10時間程度である。こうして得られる(A)成分を含む水溶液は、そのまま本発明のバインダー水溶液として使用できる。
ラジカル重合開始剤としては、各種公知のものを特に制限なく使用できる。ラジカル重合開始剤の例としては、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;上記過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤とを組み合わせたレドックス系重合開始剤;アゾ系開始剤等が挙げられる。ラジカル重合開始剤の使用量は特に制限されないが、(A)成分を与えるモノマー群の総質量に対し0.05〜2質量%程度、好ましくは0.1〜1.5質量%程度である。この場合、重合反応が十分に進行し、(A)成分を高分子量化できる。
ラジカル重合反応前又は、得られた(A)成分を水溶化する際に、製造安定性を向上させる目的で、アンモニアや有機アミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の一般的な中和剤でpH調整を行ってもよい。その場合、pHは5〜11程度の範囲に調整することが好ましい。また、同様の目的で、金属イオン封止剤であるEDTA若しくはその塩等を使用することも可能である。
他の重合試薬の例としては、連鎖移動剤等が挙げられる。連鎖移動剤の例としては一般的な連鎖移動剤として公知であるチオール系連鎖移動剤、アミン系連鎖移動剤及びアルコール系連鎖移動剤等が挙げられる。出力特性及びサイクル特性の低下の観点から、連鎖移動剤の使用量は、(A)成分を与えるモノマー群の総質量に対し0.1〜1.5質量%程度が好ましく、0質量%がより好ましい。
(物性)
(A)成分の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、重量平均分子量(Mw)の上限の例としては、600万、550万、500万、450万、400万、350万、300万、250万、200万、150万、100万、95万、90万、85万、80万、75万、70万、65万、60万、55万、50万、45万、40万等が挙げられ、下限の例としては、550万、500万、450万、400万、350万、300万、290万、250万、200万、150万、100万、95万、90万、85万、80万、75万、70万、65万、60万、55万、50万、45万、40万、35万、30万等が挙げられる。重量平均分子量(Mw)の上限及び下限は、上記値に限定されない。上記重量平均分子量(Mw)の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、(A)成分の重量平均分子量(Mw)は、電極スラリーの分散安定性の観点から、30万〜600万が好ましい。
(A)成分の数平均分子量(Mn)の上限の例としては、600万、550万、500万、450万、400万、350万、300万、250万、200万、150万、100万、95万、90万、85万、80万、75万、70万、65万、60万、55万、50万、45万、40万、30万、20万、10万、5万等が挙げられ、下限の例としては、550万、500万、450万、400万、350万、300万、290万、250万、200万、150万、100万、95万、90万、85万、80万、75万、70万、65万、60万、55万、50万、45万、40万、35万、30万、20万、10万、5万、1万等が挙げられる。数平均分子量(Mn)の上限及び下限は、上記値に限定されない。上記数平均分子量(Mn)の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、(A)成分の数平均分子量(Mn)は、電極スラリーの分散安定性の観点から、1万以上が好ましい。
上記重量平均分子量及び数平均分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により0.2Mリン酸緩衝液/アセトニトリル溶液(90/10、PH8.0)下で測定したポリアクリル酸換算値として算出され得る。
(A)成分の分子量分布(Mw/Mn)の上限の例としては、7、6、5、4、3、2等が挙げられ、下限の例としては、6、5、4、3、2、1等が挙げられる。分子量分布(Mw/Mn)の上限及び下限は、上記値に限定されない。上記分子量分布(Mw/Mn)の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、(A)成分の分子量分布(Mw/Mn)は、電極スラリーの分散安定性の観点から、1〜7が好ましい。
バインダー水溶液の25℃、固形分15質量%でのB型粘度の上限の例としては、70,000、65,000、60,000、55,000、50,000、45,000、40,000、35,000、30,000、25,000、20,000、15,000、11,000mPa・s等が挙げられ、下限の例としては、69,000、65,000、60,000、55,000、50,000、45,000、40,000、35,000、30,000、25,000、20,000、15,000、11,000、10,000mPa・s等が挙げられる。B型粘度の上限及び下限は、上記値に限定されない。バインダー水溶液の25℃、固形分15質量%でのB型粘度の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。B型粘度は(A)成分を含む水溶液の溶媒量により調整され得る。1つの実施形態において、バインダー水溶液の25℃、固形分15質量%でのB型粘度は、リチウムイオン電池の容量低下等の観点から、10,000〜70,000mPa・sである。粘度が10,000mPa・s未満の場合には、上記バインダーを用いて得られるスラリーの粘度を適切な範囲とする上で、その中の(1)成分の量が相対的に多くなるため、上記スラリーを用いて得られるリチウムイオン電池の容量低下を招く。また、この場合、上記スラリーからなる塗膜と集電体である金属箔との密着性も低下する傾向にある。一方、粘度が70,000mPa・sを超える場合には、バインダー水溶液及びスラリー中にゲル状物質が生じやすく、電極に欠点やボイドが増える傾向にある。また、上記バインダー水溶液をスプレードライによって粉体化するに際し、粉体化せずに繊維状となる傾向にある。
(添加剤)
リチウムイオン電池用バインダー水溶液には、(a)成分、(b)成分、(A)成分、水以外の剤を添加剤として含めることができる。添加剤の例としては、分散剤、レベリング剤、酸化防止剤、増粘剤、分散体(エマルジョン)等が挙げられる。添加剤の含有量の例としては、(A)成分100質量%に対し、0〜10質量%、5質量%未満、1質量%未満、0.1質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が挙げられ、また水溶液100質量%に対し、0〜5質量%、1質量%未満、0.1質量%未満、0.01質量%未満、0質量%等が挙げられる。
分散剤は、正極活物質や導電剤の種類に応じて選択でき、アニオン性化合物、カチオン性化合物、非イオン性化合物、高分子化合物等が挙げられる。
レベリング剤の例としては、アルキル系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、金属系界面活性剤等の界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤を用いることにより、塗工時に発生するはじきを防止し、電極の平滑性を向上させることができる。
酸化防止剤の例としては、フェノール化合物、ハイドロキノン化合物、有機リン化合物、硫黄化合物、フェニレンジアミン化合物、ポリマー型フェノール化合物等が挙げられる。ポリマー型フェノール化合物は、分子内にフェノール構造を有する重合体であり、重量平均分子量が好ましくは200〜1000、より好ましくは600〜700であるポリマー型フェノール化合物が用いられる。
増粘剤の例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系ポリマー及びこれらのアンモニウム塩並びにアルカリ金属塩;(変性)ポリ(メタ)アクリル酸及びこれらのアンモニウム塩並びにアルカリ金属塩;(変性)ポリビニルアルコール、アクリル酸又はアクリル酸塩とビニルアルコールの共重合体、無水マレイン酸又はマレイン酸若しくはフマル酸とビニルアルコールの共重合体等のポリビニルアルコール;ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、変性ポリアクリル酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体水素添加物等が挙げられる。
(2.リチウムイオン電池正極用粉体状バインダー)
本発明のリチウムイオン電池正極用粉体状バインダー(以下、粉体状バインダーともいう)は、本発明のバインダー水溶液をスプレードライによって粉体化したものである。そうすることによって、長期保管が可能になり、輸送コスト上も優位となる。
スプレードライの方法は特に限定されず、各種公知の方法を採用できる。スプレードライの方法の例としては、噴霧乾燥造粒法又は捏和造粒法等が挙げられる。また、前者の方法としては、例えば特開2016−091904号公報に記載の方法等が挙げられる。スプレードライ法によれば、粒子径の揃った粉体状バインダーを得ることができる。また、上記粉体状バインダーは水へ容易に再溶解するため、均一なバインダー水溶液を与える。
(3.リチウムイオン電池正極用スラリー)
本発明のリチウムイオン電池正極用スラリー(以下、スラリーともいう)の第一態様は、本発明に係るバインダー水溶液及び正極活物質(B)(以下、(B)成分ともいう)を含む組成物であり、第二態様は、本発明に係る粉体状バインダー、水、及び正極活物質(B)を含む組成物である。本開示において「スラリー」とは、液体と固体粒子の懸濁液を意味する。
(正極活物質(B)(以下、(B)成分ともいう))
(B)成分は、無機化合物を含む活物質と有機化合物を含む活物質とに大別される。正極活物質に含まれる無機化合物の例としては、遷移金属酸化物、リチウムと遷移金属との複合酸化物、遷移金属硫化物等が挙げられる。上記の遷移金属の例としては、Fe、Co、Ni、Mn、Al等が挙げられる。正極活物質に使用される無機化合物の例としては、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、LiFePO、LiNi1/2Mn3/2、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、Li[Li0.1Al0.1Mn1.9]O、LiFeVO等のリチウム含有複合金属酸化物;TiS、TiS、非晶質MoS等の遷移金属硫化物;Cu、非晶質VO−P、MoO、V、V13等の遷移金属酸化物等が挙げられる。これらの化合物は、部分的に元素置換したものであってもよい。正極活物質に含まれる有機化合物の例としては、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン等の導電性重合体等が挙げられる。電気伝導性に乏しい、鉄系酸化物は、還元焼成時に炭素源物質を存在させることで、炭素材料で覆われた電極活物質として用いてもよい。また、これらの化合物は、部分的に元素置換したものであってもよい。これらの中でも実用性、電気特性、長寿命の点で、好ましくは、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、LiFePO、LiNi1/2Mn3/2、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、Li[Li0.1Al0.1Mn1.9]Oが正極活物質として使用される。
本発明のスラリーにおける(A)成分の含有量は特に限定されないが、(B)成分100質量%に対する(A)成分の上限の例としては、8、7、6、5、4、3、2質量%等が挙げられ、下限の例としては、7、6、5、4、3、2、1質量%等が挙げられる。(A)成分の上限及び下限は、上記値に限定されない。スラリーにおける(A)成分の含有量の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、好ましくは、(B)成分100質量%に対して(A)成分が1〜8質量%程度、より好ましくは1〜5質量%程度となる範囲である。上記範囲とすることで、本発明のスラリー中における(B)成分の分散性が良好となり、また、本発明のスラリーから得られる正極における活物質層と集電体との密着性が向上する傾向にある。
本発明のスラリー100質量%に対する(B)成分の含有量は特に限定されない。本発明のスラリー100質量%に対する(B)成分の含有量の上限の例としては、65、60、55、50、45質量%等が挙げられ、下限の例としては、60、55、50、45、40質量%等が挙げられる。(B)成分の上限及び下限は、上記値に限定されない。本発明のスラリー100質量%に対する(B)成分の含有量の範囲は、適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。また、本発明のスラリー100質量%に対する(B)成分の含有量は40〜65質量%が好ましい。
本発明のスラリーにおける水の含有量も特に限定されない。なお、スラリーの固形分濃度の上限の例としては、60、55、50、45、40質量%等が挙げられ、下限の例としては、55、50、45、40、35質量%等が挙げられる。固形分濃度の上限及び下限は、上記値に限定されない。固形分濃度の範囲は適宜(例えば上記上限及び下限の値から選択して)設定され得る。1つの実施形態において、スラリーの固形分濃度の範囲は、35〜60質量%が好ましい。
(導電助剤)
本発明のスラリーには、目的に応じて導電助剤を含めてよい。導電助剤の例としては、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)等の繊維状炭素、黒鉛粒子、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック、平均粒径10μm以下のCu、Ni、Al、Si又はこれらの合金からなる微粉末等が挙げられる。導電助剤の使用量は特に限定されないが、好ましくは(B)成分に対して好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0.5〜6質量%である。
(非水系媒体)
本発明のスラリーには、塗布作業性を改善する目的で、80〜350℃の標準沸点を有する非水系媒体を含めてもよい。80〜350℃の標準沸点を有する非水系媒体の例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド媒体;トルエン、キシレン、n−ドデカン、テトラリン等の炭化水素媒体;2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、ラウリルアルコール等のアルコール媒体;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ホロン、アセトフェノン、イソホロン等のケトン媒体;酢酸ベンジル、酪酸イソペンチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル媒体;o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン等のアミン媒体;γ−ブチロラクトン、δ−ブチロラクトン等のラクトン媒体;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド・スルホン媒体等を挙げることができる。これらの中でも、塗布作業性の点より、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)が好ましい。上記非水系媒体の使用量は特に限定されないが、好ましくは、本発明のスラリーに対し0〜10質量%程度である。
本発明のスラリーには、(A)成分、(B)成分、(a)成分、(b)成分、水、導電助剤、非水系媒体以外の剤(分散剤、レベリング剤、酸化防止剤、増粘剤等)を添加剤として含めてよい。添加剤の使用量は特に限定されないが、(A)成分100質量%に対して0〜10質量%程度、5質量%未満、1質量%未満、0.1質量%未満、0.01質量%未満等が挙げられ、またスラリー100質量%に対して0〜10質量%程度、5質量%未満、1質量%未満、0.1質量%未満、0.01質量%未満等が挙げられる。
(4.リチウムイオン電池用正極)
本発明のリチウムイオン電池用正極(以下、正極ともいう)は、本発明のスラリーを、集電体に塗布、乾燥して得られる硬化物、すなわち本発明に係るスラリーの硬化物である。
集電体としては、各種公知のものを特に制限なく使用できる。集電体の材質は特に限定されず、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料や、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料等が挙げられる。中でも金属材料が好ましく、特にアルミニウムが好ましい。集電体の形態も特に限定されず、金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が、炭素材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。中でも、金属箔が、現在工業化製品に使用されているため好ましい。
塗布手段は特に限定されず、例えば、コンマコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ダイコーター、バーコーター等従来公知のコーティング装置等が挙げられる。
乾燥手段も特に限定されず、温度は好ましくは60℃〜200℃程度、より好ましくは100℃〜195℃程度であり、雰囲気は乾燥空気又は不活性雰囲気であればよい。
電極(硬化塗膜)の厚さは特に限定されないが、好ましくは5μm〜300μm程度、より好ましくは10μm〜250μm程度である。上記範囲とすることにより、塗膜の平滑性を確保しつつ、高密度の電流値に対する十分なLiの吸蔵・放出の機能が得られやすくなる。
本発明の正極における(A)成分の含有量は特に限定されないが、固形分換算で好ましくは0.1〜8質量%程度、より好ましくは0.5〜5質量%程度である。上記範囲であると、高出力時の容量やエネルギー密度を好適に向上させることができる。
(5.リチウムイオン電池)
本発明のリチウムイオン電池は、本発明の正極を含む物品である。上記電池における他の部材、即ち、電解質溶液、負極、セパレータ、及び包装材料は特に限定されない。
(電解質溶液)
電解質溶液としては、非水系溶媒に支持電解質を溶解した非水系電解液が用いられる。また、上記非水系電解液には、被膜形成剤を含めてもよい。
非水系溶媒としては、各種公知のものを特に制限なく使用できる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル;アセトニトリル等が挙げられる。これらの非水系溶媒は、何れか一種を単独で用いても良く、二種以上を混合して用いてもよいが、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合溶媒の組合せが好ましい。
支持電解質としては、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、特に制限はないが、LiPF、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlCl、LiClO、CFSOLi、CSOLi、CFCOOLi、(CFCO)NLi、(CFSONLi、(CSO)NLi等が挙げられる。中でも、溶媒に溶けやすく高い解離度を示すLiPF、LiClO、CFSOLiが好ましい。これらは、二種以上を併用してもよい。解離度の高い支持電解質を用いるほどリチウムイオン伝導度が高くなるので、支持電解質の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
被膜形成剤としては、各種公知のものを特に制限なく使用できる。具体的には、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ビニルエチルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート等のカーボネート化合物;エチレンサルファイド、プロピレンサルファイド等のアルケンサルファイド;1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン等のスルトン化合物;マレイン酸無水物、コハク酸無水物等の酸無水物等が挙げられる。電解質溶液における被膜形成剤の使用量は特に限定されないが、10質量%以下、8質量%以下、5質量%以下、2質量%以下の順で好ましい。上記使用量に設定することで、被膜形成剤の利点である、初期不可逆容量の抑制や、低温特性及びレート特性の向上等が得られやすくなる。
(負極)
負極としては、各種公知のものを特に制限なく使用できる。例えば、負極活物質、導電助剤、バインダーを有機溶媒と混合することによってスラリーを調製し、調製したスラリーを集電体に塗布、乾燥、プレスすることによって得られる。
負極活物質の例としては、シリコン粒子、人造黒鉛、天然黒鉛、フッ化黒鉛等の黒鉛(グラファイト)やアモルファスカーボン、メゾカーボンマイクロビーズ、ピッチ系炭素繊維等を含む炭素質材料;ポリアセン等の導電性重合体;錫、亜鉛、マンガン、鉄、ニッケル等の金属又はこれらの合金;上記金属又は上記合金の酸化物や硫酸塩;金属リチウム、Li−Al、Li−Bi−Cd、Li−Sn−Cd等のリチウム合金;リチウム遷移金属窒化物等が挙げられる。
(セパレータ)
セパレータは、正極と負極との間に介在する物品であって、電極間の短絡を防止するために使用する。具体的には、多孔膜や不織布等の多孔性のセパレータを好ましく使用でき、それらには前記非水系電解液を含浸させて用いる。セパレータの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエーテルスルホン等が用いられ、好ましくはポリオレフィンが用いられる。
本発明のリチウムイオン電池の形状も特に限定されず、角型、円筒型、パウチ型等が挙げられる。具体例としては、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等が挙げられる。また、これらの形態の電池を任意の外装ケースに収めることにより、コイン型、円筒型、角型等の任意の形状にして用いることができる。
本発明のリチウムイオン電池の製造方法も特に制限されず、電池の構造に応じて適切な手順で組み立てればよい。例を挙げると、外装ケース上に負極を載せ、その上に電解液とセパレータを設け、更に負極と対向するように正極を載せて、ガスケット、封口板によって固定して電池にすることができる。
以下、実施例及び比較例をあげて本発明方法を更に詳しく説明するが、本発明は、これらに限定されない。なお、実施例中、特に説明がない限り「%」は「質量%」を示し、「部」は「質量部」を示す。
(1)B型粘度
各バインダー水溶液の粘度は、B型粘度計(東機産業株式会社製 製品名「B型粘度計モデルBM」)を用い、25℃にて、以下の条件で測定した。
粘度100,000〜20,000mPa・sの場合:No.4ローター使用、回転数6rpm
粘度20,000mPa・s未満の場合:No.3ローター使用、回転数6rpm
1.1.バインダー水溶液の調製
実施例1−1
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応装置に、イオン交換水2300g、アクリルアミド400g(5.63mol)、メタリルスルホン酸ナトリウム9.0g(0.057mol)を入れ、窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した後、50℃まで昇温した。そこに2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン 二塩酸塩(日宝化学株式会社製 製品名「NC−32」)4.0g、イオン交換水30gを投入し、80℃まで昇温し1.5時間反応を行った。次いで、NC−32 4.0g、イオン交換水30gを投入し80℃にて1.5時間反応し、ポリ(メタ)アクリルアミド(A)を含み、25℃、固形分15.0質量%でのB型粘度が35,000mPa・sであるバインダー水溶液を得た。
実施例1−2〜1−6、比較例1−1〜1−5
上記実施例1−1において、モノマー組成と開始剤の量を表1で示すもの及び数値に変更した他は実施例1−1と同様にして、ポリ(メタ)アクリルアミド(A)を含む水溶液を調製した。
・AM:アクリルアミド
・NMAM:N−メチロールアクリルアミド
・ATBS:アクリルアミドt−ブチルスルホン酸
・SMAS:メタリルスルホン酸ナトリウム
・MAS:メタリルスルホン酸
・VS:ビニルスルホン酸
・AA:アクリル酸
・EA:アクリル酸エチル
・HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
・AN:アクリロニトリル
・MPA:3−メルカプトプロピオン酸
1.2.粉体状バインダーの製造
実施例1−7
実施例1−1のポリ(メタ)アクリルアミド(A)の水溶液をスプレードライヤー機(ヤマト科学株式会社製PulvisGB22)を用いて微粉化した。乾燥条件は、乾燥空気流量:0.45m/分、入口温度:180℃、出口温度:80℃、噴霧圧:1.0kgf/cm、溶液供給量:500mL/時間であった。得られた粉末を、イオン交換水を入れた円柱型ガラス容器に、平バネで攪拌しながら、15質量%となるよう加え、溶解させた。
2.正極用スラリーの製造及び評価
実施例2−1
市販の自転公転ミキサー(製品名「あわとり練太郎」、シンキー(株)製)を用い、上記ミキサー専用の容器に、実施例1のバインダー水溶液を固形分換算で3部と、電極活物質としてニッケルマンガン酸リチウム(Li[Ni1/2Mn3/2]O、メジアン径D50:3.7μm)91部と、アセチレンブラック6部とを混合した。そこにイオン交換水を固形分濃度50%となるように加えて、当該容器を前記ミキサーにセットした。次いで、2000rpmで10分間混練後、1分間脱泡を行い、正極用スラリーを得た。
実施例2−2〜2−7、比較例2−1〜2−5
実施例2−1において、バインダー水溶液を表2に記載の通り変更した他は同様にして、正極用スラリーを得た。
<スラリー分散性評価>
スラリー調製直後の分散性を以下の基準で目視評価した。
◎:全体が均質なペースト状であり、液状分離がなく、かつ、凝集物も認められない。
○:全体は略均質なペースト状であり、僅かな液状分離が認められるが、凝集物は認められない。
△:容器底部に少量の凝集物と、やや多くの液状分離とが認められる。
×:容器底部に粘土状の凝集物が多数認められ、液状分離も多く認められる。
3.正極の製造及び評価
実施例3−1 リチウムイオン電池用正極の作製
アルミニウム箔からなる集電体の表面に、上記実施例2−1で調製した正極用スラリーを、乾燥後の膜厚が110μmとなるようにドクターブレード法によって均一に塗布し、60℃で30分乾燥後、150℃/真空で120分間加熱処理して電極を得た。その後、膜(活物質層)の密度が3.0g/cmになるようにロールプレス機によりプレス加工することにより、正極を得た。電極の柔軟性を評価し、その結果を表2に併せて示した。
<柔軟性>
電極を幅10mm×長さ70mmに切り、直径6mmφのテフロン(登録商標)棒に活物質層を外側にして捲き付け、活物質層の表面の様子を観察し、以下の基準で評価した。
◎:集電体上に結着している活物質層にひび割れ又は剥がれが全く生じていない。
○:集電体上に結着している活物質層にひび割れが見られるが、剥がれは認められない。
△:集電体上に結着している活物質層にひび割れが見られ、剥がれも一部認められる。
×:集電体上に結着している活物質層にひび割れ、△よりも多く剥がれが生じた。
実施例3−2〜3−7、比較例3−1〜3−5
上記実施例3−1において、リチウムイオン電池正極用スラリーを表2に記載の通り変更したほかは実施例3−1と同様にして、リチウムイオン電池正極を得た。電極の柔軟性を評価し、その結果を表2に併せて示した。
4.リチウムイオン電池セルの組立て及び評価
実施例4−1 リチウムイオン電池の作製
(1)リチウムイオン電池セルの組立て
アルゴン置換されたグローブボックス内で、上記で製造した正極を直径16mmに打ち抜き成形したものを、2極式コインセル(宝泉株式会社製、商品名「HSフラットセル」)上に載置した。次いで、直径24mmに打ち抜いたポリプロピレン製多孔膜からなるセパレータ(CS TECH CO., LTD製、商品名「Selion P2010」)を載置し、さらに、空気が入らないように電解液を500μL注入した後、市販の金属リチウム負極を16mmに打ち抜き成形したものを載置し、前記2極式コインセルの外装ボディーをネジで閉めて封止することにより、リチウムイオン電池セルを組み立てた。ここで使用した電解液は、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/1(質量比)の溶媒に、LiPFを1モル/Lの濃度で溶解した溶液である。
(2)初期放電容量及び残存容量率の測定
上記で製造したリチウムイオン電池セルを25℃の恒温槽に入れ、定電流(0.5C)にて充電を開始し、電圧が5.0Vになった時点で充電完了(カットオフ)とした。次いで、定電流(0.5C)にて放電を開始し、電圧が3.0Vになった時点を放電完了(カットオフ)とする充放電を50回繰り返し1サイクル目の電池容量、及び50サイクル目の電池容量を測定した。1サイクル目の電池容量を初期容量とした。また、1サイクル目の電池容量に対する50サイクル目の電池容量の割合を百分率で表し、これを容量維持率とした。その結果を表2に併せて示した。
なお、上記測定条件において「1C」とは、ある一定の電気容量を有するセルを定電流放電して1時間で放電終了となる電流値を示す。例えば「0.1C」とは、10時間かけて放電終了となる電流値のことであり、「10C」とは0.1時間かけて放電完了となる電流値のことをいう。
実施例4−2〜4−7、比較例4−1〜4−5 リチウムイオン電池の作製
上記実施例4−1において、リチウムイオン電池正極を表2に記載の通り変更したほかは実施例4−1と同様にして、リチウムイオン電池セルを得た。初期放電容量及び残存容量率の測定を測定し、その結果を表2に併せて示した。
表2から明らかなように、実施例1−1〜1−7の正極用スラリー溶液はいずれも、スラリー分散性の評価が良好であった。これらの正極用スラリー溶液を用いた、実施例2−1〜2−7の正極はいずれも、電極柔軟性の評価が良好であった。これらの正極を用いた、実施例3−1〜3−7のリチウムイオン電池用セルはいずれも、初回放電容量及び容量維持率が良好なものであった。
これに対し、(b)成分が多いリチウムイオン電池正極用バインダー水溶液(比較例1−1、1−3、1−4)、(b)成分が少ないチウムイオン電池正極用バインダー水溶液(比較例1−2、1−5)の場合には、これらを用いて製造した正極用スラリーの分散性、正極の電極柔軟性評価、リチウムイオン電池セルの初回放電容量及び容量維持率は劣っていた。
5.ラミネート型リチウムイオン電池の作製
実施例2−1のスラリーを用いてラミネート型リチウムイオン電池を次のようにして作製した。
(1)正極の作製
アルミニウム箔からなる集電体の表面に、上記、実施例2−1で調製した正極用スラリーを、乾燥後の膜厚が110μmとなるようにドクターブレード法によって均一に塗布し、60℃で30分乾燥後、150℃/真空で120分間加熱処理して電極を得た。その後、膜(活物質層)の密度が3.0g/cmになるようにロールプレス機によりプレス加工することにより、正極を得た。
(2)負極の作成
負極活物質として天然黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製 製品名「Z−5F」)88質量部と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(アルケマ株式会社 製品名「HSV900」)6質量部とを混合し、この混合物を適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて、リチウムイオン電池負極用スラリーを作製した。次いで、負極の集電体として銅箔を用意し、銅箔にリチウムイオン電池負極用スラリーをのせ、ドクターブレードを用いて膜状になるように塗布した。リチウムイオン電池正極用スラリーを塗布後のアルミニウム箔を80℃で20分間乾燥してNMPを揮発させて除去した後、ロ−ルプレス機により、密着接合させた。この時、負極活物質層の密度は1.5g/cmとなるようにした。接合物を120℃で6時間、真空乾燥機で加熱し、所定の形状(25mm×30mmの矩形状)に切り取り、負極活物質層の厚さが45μm程度の負極とした。
(3)ラミネート型リチウムイオン電池の作製
上記の正極及び負極を用いて、ラミネート型リチウムイオン二次電池を製作した。詳しくは、正極及び負極の間に、ポリプロピレン製多孔膜からなるセパレータ(CS TECH CO., LTD製、商品名「Selion P2010」)の矩形状シート(27×32mm、厚さ25μm)を挟装して極板群とした。この極板群を二枚一組のラミネートフィルムで覆い、三辺をシールした後、袋状となったラミネートフィルムに電解液を注入した。電解液としてエチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/1(質量比)の溶媒に、LiPFを1モル/Lの濃度で溶解した溶液を用いた。その後、残りの一辺をシールすることで、四辺が気密にシールされ、極板群及び電解液が密閉されたラミネート型リチウムイオン二次電池を得た。なお、正極及び負極は外部と電気的に接続可能なタブを備え、このタブの一部はラミネート型リチウムイオン二次電池の外側に延出している。以上の工程で作製したラミネート型リチウムイオン電池を通電したところ、動作上の問題は生じなかった。

Claims (8)

  1. (メタ)アクリルアミド骨格含有モノマー(a)及びスルホン酸基置換不飽和炭化水素基含有モノマー(b)を含むモノマー群のラジカル共重合物であるポリ(メタ)アクリルアミド(A)を含み、かつ、25℃、固形分15質量%でのB型粘度が10,000〜70,000mPa・sである、リチウムイオン電池正極用バインダー水溶液。
  2. 前記モノマー群における(b)成分の含有量が0.01〜1モル%である、請求項1に記載のリチウムイオン電池正極用バインダー水溶液。
  3. 請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池正極用バインダー水溶液をスプレードライして得られる、リチウムイオン電池正極用粉体状バインダー。
  4. 請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池正極用バインダー水溶液、及び正極活物質(B)を含む、リチウムイオン電池正極用スラリー。
  5. 請求項3に記載のリチウムイオン電池正極用粉体状バインダー、水、及び正極活物質(B)を含む、リチウムイオン電池正極用スラリー。
  6. 前記正極活物質(B)100質量%に対し、前記ポリ(メタ)アクリルアミド(A)の含有量が1〜8質量%である、請求項4又は5に記載のリチウムイオン電池正極用スラリー。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池正極用スラリーを集電体に塗布、乾燥して得られる、リチウムイオン電池用正極。
  8. 請求項7に記載のリチウムイオン電池正極を含む、リチウムイオン電池。
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