JP6645101B2 - リチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物、リチウムイオン二次電池用電極およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物、リチウムイオン二次電池用電極およびリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物、リチウムイオン二次電池用電極およびリチウムイオン二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池は、小型で軽量、且つエネルギー密度が高く、さらに繰り返し充放電が可能という特性があり、幅広い用途に使用されている。そのため、近年では、リチウムイオン二次電池の更なる高性能化を目的として、電極などの電池部材の改良が検討されている。
ここで、リチウムイオン二次電池用電極は、通常、集電体と、集電体上に形成された電極合材層(正極合材層または負極合材層)とを備えている。そして、この電極合材層は、例えば、電極活物質と、結着材とを含むスラリー組成物を集電体上に塗布し、塗布したスラリー組成物を乾燥させることにより形成される。
そこで、近年では、リチウムイオン二次電池の更なる性能の向上を達成すべく、電極合材層の形成に用いられるスラリー組成物の改良が試みられている。(例えば、特許文献1〜2参照)。
特許文献1では、結着材として所定の構造を有するキトサン誘導体を含むスラリー組成物を用いることにより、正極合材層と集電体の間の密着性を向上させつつ接触抵抗を低減して、リチウムイオン二次電池の電池特性を向上させる技術が報告されている。
特許文献2では、結着材として平均置換度0.1以上のカルボキシアルキルキトサン又はその塩を用いることで、スラリー組成物の塗工性および電極合材層と集電体の間の密着性を向上させる技術が報告されている。また特許文献2によれば、結着性に優れる平均置換度0.1以上のカルボキシアルキルキトサン又はその塩で構成された結着材は、他の結着材との併用が不要であり、そのため取り扱い性を向上することができる。
特開2009−277660号公報 特開2015−5474号公報
しかしながら、上記従来の電極用スラリー組成物において、電極合材層と集電体を更に強固に密着させるべく、結着材として使用する所定のキトサン誘導体を増量すると、電極用スラリー組成物が過度に増粘してしまいその塗工性が損なわれ、結果としてサイクル特性などの電池特性が低下するという問題があった。すなわち、上記従来の技術には、電極用スラリー組成物の塗工性および電極のピール強度(電極合材層と集電体の間の密着性)の双方をバランスよく向上させるという点において、未だ改善の余地があった。
そこで、本発明は、良好な塗工性を有し、且つピール強度に優れるリチウムイオン二次電池用電極を形成可能なリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、ピール強度に優れるリチウムイオン二次電池用電極およびサイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者は、水溶性キトサン化合物、粒子状重合体、および電極活物質を含むスラリー組成物が、集電体上への塗工性に優れ、そして当該スラリー組成物を用いればピール強度に優れる電極が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物は、水溶性キトサン化合物、粒子状重合体、および電極活物質を含むことを特徴とする。このように、水溶性キトサン化合物と粒子状重合体を併用したスラリー組成物は、塗工性が良好であり、そして当該スラリー組成物を用いれば、優れたピール強度を有する電極が得られる。
ここで、本発明のリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物において、前記粒子状重合体が、酸性基含有単量体単位を0.1質量%以上10質量%以下含むことが好ましい。粒子状重合体が酸性基含有単量体単位を上述の割合で含めば、スラリー組成物の塗工性を更に高めつつ、電極のピール強度を一層向上させることができる。また、粒子状重合体の製造安定性および保存安定性を確保することができる。
なお、本発明において「単量体単位を含む」とは、「その単量体を用いて得た重合体中に単量体由来の構造単位(繰り返し単位)が含まれている」ことを意味する。
また、本発明のリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物において、前記粒子状重合体が、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を20質量%以上90質量%以下含むことが好ましい。粒子状重合体が(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を上述の割合で含めば、電極のピール強度を更に高めつつ、電極に機械的強度および柔軟性を十分に付与することができる。
なお、本発明において「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
そして、本発明のリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物において、前記粒子状重合体が、(メタ)アクリロニトリル単量体単位を3質量%以上40質量%以下含むことが好ましい。粒子状重合体が(メタ)アクリロニトリル単量体単位を上述の割合で含めば、電極のピール強度を確保しつつ、電極に機械的強度および柔軟性を十分に付与することができる。
なお、本発明において「(メタ)アクリロ」とは、アクリロおよび/またはメタクリロを意味する。
加えて、本発明のリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物において、前記粒子状重合体が、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を0.1質量%以上10質量%以下含むことが好ましい。粒子状重合体がフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を上述の割合で含めば、粒子状重合体の重合安定性および貯蔵安定性が向上する。加えて、電極のピール強度を更に向上させつつ、充放電による粒子状重合体の劣化が抑制され、二次電池に優れたサイクル特性を発揮させることができる。
ここで、本発明のリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物は、更に防腐剤を含むことが好ましい。スラリー組成物が防腐剤を含有すれば、水溶性キトサン化合物の腐敗を抑制して、スラリー組成物の過度な粘度低下および白濁を抑制することができる。
そして、本発明のリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物は、更に導電材を含むことが好ましい。スラリー組成物が導電材を含有すれば、スラリー組成物を用いて調製される電極合材層中で良好な導電パスが形成され、特にスラリー組成物を正極用として用いた際に、リチウムイオン二次電池のレート特性などの電池特性を向上させることができる。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のリチウムイオン二次電池用電極は、上述したリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物の何れかを用いて形成した電極合材層を有することを特徴とする。このように、上述したリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物を用いれば、ピール強度に優れるリチウムイオン二次電池用電極を得ることができる。
更に、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のリチウムイオン二次電池は、正極、負極、電解液およびセパレータを備え、前記正極および負極の少なくとも一方が、上述したリチウムイオン二次電池用電極であることを特徴とする。このように、上述したリチウムイオン二次電池用電極を用いれば、サイクル特性等の電池特性を十分に向上させることができる。
本発明によれば、良好な塗工性を有し、且つピール強度に優れるリチウムイオン二次電池用電極を形成可能なリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、ピール強度に優れるリチウムイオン二次電池用電極およびサイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明のリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物は、本発明のリチウムイオン二次電池の電極を形成する際に用いることができる。そして、本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明のリチウムイオン二次電池用電極を用いたことを特徴とする。
(リチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物)
本発明のリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物は、水溶性キトサン化合物と、粒子状重合体と、電極活物質と、水などの分散媒とを含み、任意に、防腐剤、導電材、そしてリチウムイオン二次電池の電極に配合され得るその他の成分を更に含有する。
そして、本発明のスラリー組成物は、水溶性キトサン化合物と粒子状重合体を含有しているので、良好な塗工性を有している。すなわち、本発明のスラリー組成物は、固形分濃度を高めた場合であっても過度な増粘が生じ難く、スラリー組成物調製時のエアー巻き込みによる、電極合材層表面や電極合材層と集電体との界面でのホール発生、および、塗りムラ等の欠陥を抑制することができる。加えて、本発明スラリー組成物は固形分濃度を十分に高めることができるため、集電体上への塗布後、効率よく乾燥を行うことができる。また、本発明のスラリー組成物を乾燥して得られる電極は、ピール強度に優れる。
なお、水溶性キトサン化合物と粒子状重合体を併用することでスラリー組成物の塗工性および電極のピール強度をバランスよく向上できる理由は定かではないが、以下の理由によるものと推察される。すなわち、水溶性キトサン化合物と粒子状重合体がスラリー組成物中において相互作用することで、水溶性キトサン化合物同士の相互作用が抑制されることとなり、水溶性キトサン化合物による過度な粘度上昇が抑えられる。よって、スラリー組成物は、固形分濃度が高い場合であっても、適度な粘性を保持することができるため、塗工性を確保できると考えられる。また、本発明のスラリー組成物によれば、その良好な塗工性のため均質な電極合材層が形成可能である点に加え、水溶性キトサン化合物と粒子状重合体を併用することで、これらの結着材としての特性がそれぞれ良好に発現されて、電極合材層と集電体を強固に密着させることが可能となると考えられる。
<水溶性キトサン化合物>
水溶性キトサン化合物は、本発明のスラリー組成物中において、水などの分散媒に溶解することで粘度調整剤として機能しつつ、スラリー組成物を使用して集電体上に電極合材層を形成することにより製造した電極において、電極合材層に含まれる成分が電極合材層から脱離しないように保持する結着材としても機能しうる成分である。
ここで、キトサン化合物としては、キチンを脱アセチル化することにより得られるキトサン、およびその誘導体(キトサン誘導体)が挙げられる。またキトサン化合物はナトリウム塩などの塩の形態となっていてもよい。ここでキトサン誘導体としては、例えば、キトサン中に複数存在するヒドロキシル基および/またはアミノ基の水素原子の少なくとも一部が他の構造に置換されたものが挙げられる。このようなキトサン誘導体としては、例えば、特開2009−277660号公報、特開2015−5474号公報、特開2013−229110号公報に記載のものが挙げられる。
これらのキトサン化合物の中でも、本願においては水溶性のキトサン化合物を使用することが必要である。キトサン化合物が「水溶性」であるとは、キトサン化合物および水を含む評価用試料を250メッシュのスクリーンを通過させた際の、添加したキトサン化合物の質量(固形分相当)に対するスクリーンを通過せずにスクリーン上に残る残渣の質量(固形分相当)の割合(以下、「水溶性試験での残渣割合」という。)が50質量%以下となることをいう。ここで、上述した評価用試料は、イオン交換水100質量部当たりキトサン化合物1質量部(固形分相当)を添加し攪拌して得られる混合物を、温度20℃以上70℃以下の範囲内で、かつ、pH5以上7以下(pH調整にはHCl水溶液を使用)の範囲内である条件のうち少なくとも一条件に調整したものである。なお、上記評価用試料が、静置した場合に二相に分離するエマルジョン状態であっても、上記定義を満たせば、そのキトサン化合物は水溶性であると規定する。
キトサン化合物が非水溶性であると、スラリー組成物の塗工性が損なわれ、また電極のピール強度およびリチウムイオン二次電池のサイクル特性が低下する。そして、上述した水溶性試験での残渣割合は、スラリー組成物の塗工性を更に向上させる観点から、40質量%以下であることが好ましい。
ここで、キトサンの原料であるキチンには、その結晶構造の相違によりα型(斜方晶系)、β型(単斜方系)、およびγ型(α型とβ型の混合物)が存在するが、本発明においては、α型キチン由来の水溶性キトサン化合物を用いることが好ましい。α型キチン由来の水溶性キトサン化合物を使用すれば、スラリー組成物の塗工性が更に高まり、得られる電極の欠陥および空隙を低減して、二次電池に一層優れたサイクル特性を発揮させることができる。
水溶性キトサン化合物の脱アセチル化度は、80%以上100%以下であることが好ましく、85%以上100%以下であることがより好ましい。水溶性キトサン化合物の脱アセチル化度が80%以上100%以下であれば、水溶性キトサン化合物と粒子状重合体の相互作用が高まることでスラリー組成物の塗工性を更に高め、電極のピール強度およびリチウムイオン二次電池のサイクル特性を一層向上させることができる。
なお、水溶性キトサン化合物の脱アセチル化度は、固体核磁気共鳴におけるプロトン強度比から求めることができる。
そして、スラリー組成物中の水溶性キトサン化合物の配合量は、特に限定されないが、後述する電極活物質100質量部当たり、0.01質量部以上であることが好ましく、0.05質量部以上であることがより好ましく、0.07質量部以上であることが更に好ましく、また、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以下であることが更に好ましく、0.2質量部以下であることが特に好ましい。スラリー組成物が電極活物質100質量部当たり0.01質量部以上の水溶性キトサン化合物を含めば、電極のピール強度が更に高まり、リチウムイオン二次電池のサイクル特性が一層向上する。一方、スラリー組成物が電極活物質100質量部当たり10質量部以下の水溶性キトサン化合物を含めば、過度な粘度上昇等により取り扱いが困難となることもなく、得られる電極のピール強度およびリチウムイオン二次電池のサイクル特性を十分に確保することができる。
<粒子状重合体>
粒子状重合体は、本発明のスラリー組成物中において、上述したように水溶性キトサン化合物と相互作用しつつ、水溶性キトサン化合物同様、電極合材層中において結着材として機能しうる成分である。なお、粒子状重合体は、通常、非水溶性であり、水などの分散媒中に分散して存在する。なお、本発明において、重合体(キトサン化合物を除く)が「非水溶性」であるとは、温度25℃において、重合体0.5gを100gの水に溶解した際に、不溶分が80質量%以上となることをいう。
ここで、粒子状重合体の組成は特に限定されず、スラリー組成物を用いて形成する電極の種類(正極又は負極)等に応じて適宜変更すればよい。しかし、スラリー組成物を何れの電極に用いる場合も、粒子状重合体は酸性基含有単量体単位を含むことが好ましい。酸性基含有単量体単位を含む粒子状重合体は、水溶性キトサン化合物と良好に相互作用し、スラリー組成物の塗工性を更に向上させつつ、電極のピール強度を一層高めることができるからである。以下、まずこの酸性基含有単量体単位について説明し、次いで、酸性基含有単量体単位以外の単量体単位について、スラリー組成物を正極用とした場合、負極用とした場合に分けて説明する。
[酸性基含有単量体単位]
酸性基含有単量体単位を形成しうる酸性基含有単量体としては、例えば、カルボン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、およびリン酸基を有する単量体が挙げられる。なお、本発明において酸性基を有する単量体は、酸性基以外の官能基(例えばアミド基やヒドロキシル基)を有している場合であっても、酸性基含有単量体に含まれるものとする。
カルボン酸基を有する単量体としては、例えば、モノカルボン酸、ジカルボン酸などが挙げられる。モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などが挙げられる。ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。なお、本発明において、「(メタ)アリル」とは、アリルおよび/またはメタリルを意味する。
リン酸基を有する単量体としては、例えば、リン酸−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸メチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸エチル−(メタ)アクリロイルオキシエチルなどが挙げられる。なお、本発明において、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルおよび/またはメタクリロイルを意味する。
これらの中でも、酸性基含有単量体としては、スラリー組成物の塗工性、電極のピール強度、およびリチウムイオン二次電池のサイクル特性を更に向上させる観点から、カルボン酸基を有する単量体が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸がより好ましく、イタコン酸が更に好ましい。また、酸基含有単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、酸性基含有単量体として、カルボン酸を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を併用することもできる。
そして、粒子状重合体中の酸性基含有単量体単位の含有割合は、粒子状重合体中の全繰り返し単位を100質量%とした場合に、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.5質量%以上であることが更に好ましく、また、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。粒子状重合体中の酸性基含有単量体単位の含有割合を0.1質量%以上とすれば、スラリー組成物の塗工性、電極のピール強度、およびリチウムイオン二次電池のサイクル特性を更に向上させることができ、10質量%以下とすれば、粒子状重合体同士の凝集に因る過度な粘度上昇を抑制してスラリー組成物の塗工性を更に高めつつ、粒子状重合体の製造安定性および保存安定性を確保することができる。
[正極用途における粒子状重合体の好適組成]
正極用スラリー組成物中の粒子状重合体(正極用粒子状重合体)としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含む粒子状重合体(アクリル系重合体)が好ましい。そして、正極用粒子状重合体としてのアクリル系重合体に含まれる単量体単位としては、酸性基含有単量体単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位に加え、(メタ)アクリロニトリル単量体単位、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位などが挙げられる。なお、当該アクリル系重合体はこれら以外の単量体単位を含んでいてもよい。
―アクリル系重合体(正極用粒子状重合体)―
(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を形成しうる(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、イソペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−テトラデシルアクリレート、ステアリルアクリレートなどのアクリル酸アルキルエステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、イソペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、n−テトラデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、グリシジルメタクリレートなどのメタクリル酸アルキルエステル;などが挙げられる。これらの中でも、電極に十分な柔軟性を付与する観点から、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸エステル単量体の中でもフッ素を含有するものは、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体として、(メタ)アクリル酸エステル単量体とは区別するものとする。
そして、粒子状重合体中の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合は、粒子状重合体中の全繰り返し単位を100質量%とした場合に、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましく、また、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましい。粒子状重合体中の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合を20質量%以上とすれば、電極に柔軟性を付与して電極の割れを抑制することができ、90質量%以下とすれば、電極の機械的強度およびピール強度を確保することができる。
(メタ)アクリロニトリル単量体単位を形成しうる(メタ)アクリロニトリル単量体としては、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが挙げられる。これらの中でも、電極のピール強度を更に向上させつつ、その機械的強度を高める観点から、アクリロニトリルが好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
そして、粒子状重合体中の(メタ)アクリロニトリル単量体単位の含有割合は、粒子状重合体中の全繰り返し単位を100質量%とした場合に、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、また、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。粒子状重合体中の(メタ)アクリロニトリル単量体単位の含有割合を3質量%以上とすれば、電極のピール強度を更に向上させつつ、その機械的強度を高めることができ、40質量%以下とすれば、電極の柔軟性を確保して電極の割れを抑制することができる。
フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を形成しうるフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、(メタ)アクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸β−(パーフルオロオクチル)エチル、(メタ)アクリル酸2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル、(メタ)アクリル酸1H,1H,9H−パーフルオロ−1−ノニル、(メタ)アクリル酸1H,1H,11H−パーフルオロウンデシル、(メタ)アクリル酸パーフルオロオクチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸3[4〔1−トリフルオロメチル−2、2−ビス〔ビス(トリフルオロメチル)フルオロメチル〕エチニルオキシ〕ベンゾオキシ]2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、充放電による粒子状重合体の劣化を抑制し、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を更に向上させる観点からは、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチルが好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
そして、粒子状重合体中のフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合は、粒子状重合体中の全繰り返し単位を100質量%とした場合に、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、また、10質量%以下であることが好ましい。粒子状重合体中のフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合を上述の範囲内とすれば、粒子状重合体の重合安定性および貯蔵安定性が向上する。加えて、電極のピール強度を更に向上させつつ、充放電による粒子状重合体の劣化を十分に抑制し、リチウムイオン二次電池に一層優れたサイクル特性を発揮させることができる。
[負極用途における粒子状重合体の好適組成]
負極用スラリー組成物中の粒子状重合体(負極用粒子状重合体)としては、アクリル系重合体、脂肪族共役ジエン単量体単位を含む重合体(共役ジエン系重合体)が好ましく、電極のピール強度を向上させる観点からはアクリル系重合体が好ましい。
―アクリル系重合体(負極用粒子状重合体)―
負極用粒子状重合体としてのアクリル系重合体に含まれる単量体単位としては、酸性基含有単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位に加え、(メタ)アクリロニトリル単量体単位、芳香族ビニル単量体単位、アミド基含有単量体単位などが挙げられる。なお、当該アクリル系重合体はこれら以外の単量体単位を含んでいてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を形成しうる(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、「アクリル系重合体(正極用粒子状重合体)」で上述したものが挙げられる。これらの中でも、電極に十分な柔軟性を付与する観点から、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレートが好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
そして、粒子状重合体中の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合は、粒子状重合体中の全繰り返し単位を100質量%とした場合に、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましく、また、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましい。粒子状重合体中の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合を20質量%以上とすれば、電極に柔軟性を付与して電極の割れを抑制することができ、90質量%以下とすれば、電極の機械的強度およびピール強度を確保することができる。
(メタ)アクリロニトリル単量体単位を形成しうる(メタ)アクリロニトリル単量体としては、「アクリル系重合体(正極用粒子状重合体)」で上述したものが挙げられる。これらの中でも、電極のピール強度を更に向上させつつ、その機械的強度を高める観点から、アクリロニトリルが好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
そして、粒子状重合体中の(メタ)アクリロニトリル単量体単位の含有割合は、粒子状重合体中の全繰り返し単位を100質量%とした場合に、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、また、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
粒子状重合体中の(メタ)アクリロニトリル単量体単位の含有割合を0.5質量%以上とすれば、電極のピール強度を更に向上させつつ、その機械的強度を高めることができ、20質量%以下とすれば、電極の柔軟性を確保して電極の割れを抑制することができる。
芳香族ビニル単量体単位を形成しうる芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。これらの中でも、電極の機械的強度を高める観点から、スチレンが好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
そして、粒子状重合体中の芳香族ビニル単量体単位の含有割合は、粒子状重合体中の全繰り返し単位を100質量%とした場合に、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、また、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。粒子状重合体中の芳香族ビニル単量体単位の含有割合を5質量%以上とすれば、電極に機械的強度を付与することができ、20質量%以下とすれば、電極の柔軟性を確保して電極の割れを抑制することができる。
アミド基含有単量体単位を形成しうるアミド基含有単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミドが挙げられる。これらの中でも、電極のピール強度およびリチウムイオン二次電池のサイクル特性を更に向上させる観点から、アクリルアミドが好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
そして、粒子状重合体中のアミド基含有単量体単位の含有割合は、粒子状重合体中の全繰り返し単位を100質量%とした場合に、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、また、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。粒子状重合体中のアミド基含有単量体単位の含有割合を上述の範囲内とすれば、電極のピール強度およびリチウムイオン二次電池のサイクル特性を更に向上させることができる。
―共役ジエン系重合体(負極用粒子状重合体)―
共役ジエン系重合体は、上述のように脂肪族共役ジエン単量体単位を含む重合体である。なお、本発明において、脂肪族共役ジエン単量体単位には、水素添加により水素化されているものも含まれる。共役ジエン系重合体の具体例としては、ポリブタジエンやポリイソプレンなどの脂肪族共役ジエン重合体;スチレン−ブタジエン系重合体(SBR)などの芳香族ビニル・脂肪族共役ジエン共重合体;アクリロニトリル−ブタジエン系重合体(NBR)などのシアン化ビニル−共役ジエン共重合体;水素化SBR、水素化NBR等が挙げられる。これらの中でも、スチレン−ブタジエン系重合体(SBR)などの芳香族ビニル・脂肪族共役ジエン共重合体が好ましい。以下、芳香族ビニル・脂肪族共役ジエン共重合体を例に挙げて説明する。
負極用粒子状重合体としての芳香族ビニル・脂肪族共役ジエン共重合体に含まれる単量体単位としては、酸性基含有単量体単位、芳香族ビニル単量体単位、脂肪族共役ジエン単量体単位に加え、ヒドロキシル基含有単量体単位が挙げられる。なお、当該芳香族ビニル・脂肪族共役ジエン共重合体はこれら以外の単量体単位を含んでいてもよい。
―芳香族ビニル単量体単位―
芳香族ビニル単量体単位を形成しうる芳香族ビニル単量体としては、「アクリル系重合体(負極用粒子状重合体)」で上述したものが挙げられる。これらの中でも、電極の機械的強度を高める観点から、スチレンが好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
そして、粒子状重合体中の芳香族ビニル単量体単位の含有割合は、粒子状重合体中の全繰り返し単位を100質量%とした場合に、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましく、また、85質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが更に好ましい。粒子状重合体中の芳香族ビニル単量体単位の含有割合を40質量%以上とすれば、電極に機械的強度を付与することができ、85質量%以下とすれば、電極の柔軟性を確保して電極の割れを抑制することができる。
―脂肪族共役ジエン単量体単位―
脂肪族共役ジエン単量体単位を形成しうる脂肪族共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエンが好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
そして、粒子状重合体中の脂肪族共役ジエン単量体単位の含有割合は、粒子状重合体中の全繰り返し単位を100質量%とした場合に、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、また、55質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。粒子状重合体中の脂肪族共役ジエン単量体単位の含有割合を10質量%以上とすれば、電極に柔軟性を付与することができ、55質量%以下とすれば、電極のピール強度およびリチウムイオン二次電池のサイクル特性を確保することができる。
―ヒドロキシル基含有単量体単位―
ヒドロキシル基含有単量体単位を形成しうるヒドロキシル基含有単量体としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、2−ヒドロキシエチルメチルフマレートなどが挙げられる。これらの中でも、2−ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
そして、粒子状重合体中のヒドロキシル基含有単量体単位の含有割合は、粒子状重合体中の全繰り返し単位を100質量%とした場合に、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、また、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。粒子状重合体中のヒドロキシル基含有単量体単位の含有割合を上述の範囲内とすれば、粒子状重合体の製造安定性および保存安定性を確保することができる。
[粒子状重合体の調製方法]
粒子状重合体は、例えば上述した単量体を含む単量体組成物を水系溶媒中で重合することにより製造することができる。また、必要に応じて既知の方法で水素添加してもよい。ここで、本発明において単量体組成物中の各単量体の含有割合は、粒子状重合体における単量体単位(繰り返し単位)の含有割合に準じて定めることができる。
水系溶媒は、粒子状重合体が粒子状態で分散可能なものであれば格別限定されず、水を単独で使用してもよいし、水と他の溶媒の混合溶媒を使用してもよい。
重合様式は、特に限定されず、例えば溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法などのいずれの様式も用いることができる。重合方法としては、例えばイオン重合、ラジカル重合、リビングラジカル重合などいずれの方法も用いることができる。
そして、重合に使用される乳化剤、分散剤、重合開始剤、重合助剤などは、一般に用いられるものを使用することができ、その使用量も、一般に使用される量とする。
なお、粒子状重合体の調製の際に、後述する防腐剤を重合系内に添加して防腐剤を含む粒子状重合体の水分散液を得てもよい。そして、当該水分散液をスラリー組成物の調製に用いることができる。
[粒子状重合体の性状]
粒子状重合体のテトラヒドロフラン(THF)不溶分は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。THF不溶分は、電解液への不溶分量とほぼ比例すると推測される。このため、THF不溶分が80質量%以上であれば、粒子状重合体の電解液への溶出を抑制でき、サイクル特性などの電池特性を高めることができると考えられる。なお、THF不溶分は、特開第2013−051076号公報に記載の方法を用いて測定することができる。
粒子状重合体のガラス転移温度は、好ましくは−40℃以上であり、好ましくは50℃以下、より好ましくは0℃以下である。粒子状重合体のガラス転移温度が上記範囲であることにより、電極合材層の柔軟性および接着性を高め、電極のピール強度を一層高めることができる。なお、重合体のガラス転移温度は、JIS K7121に従って測定することができる。
また、粒子状重合体の体積平均粒子径は、50nm以上であることが好ましく、80nm以上であることがより好ましく、400nm以下であることが好ましく、250nm以下であることがより好ましい。粒子状重合体の体積平均粒子径が上述の範囲内であると、電極活物質の表面に粒子状重合体が十分に吸着することができるため、電極活物質の移動に伴って粒子状重合体も追随して移動することができる。その結果、電極活物質および粒子状重合体のうちの何れか一方による単独のマイグレーションが抑制され、サイクル特性などの電池特性を十分に確保することができる。なお、粒子状重合体の体積平均粒子径は、粒子状重合体を含む水分散液について、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて粒子状重合体の粒度分布(体積基準)を測定し、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径として求めることができる。
[粒子状重合体の配合量]
そして、スラリー組成物中の粒子状重合体の配合量は、特に限定されないが、後述する電極活物質100質量部当たり、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、また、4質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましい。スラリー組成物が電極活物質100質量部当たり0.5質量部以上の粒子状重合体を含めば、スラリー組成物の塗工性および電極のピール強度が更に高まり、リチウムイオン二次電池のサイクル特性が一層向上する。一方、スラリー組成物が電極活物質100質量部当たり4質量部以下の粒子状重合体を含めば、リチウムイオン二次電池のレート特性が過度に低下することもない。
加えて、スラリー組成物中の粒子状重合体と水溶性キトサン化合物の配合量比は特に限定されないが、水溶性キトサン化合物の配合量を粒子状重合体の配合量で除して算出される値(水溶性キトサン/粒子状重合体比)が0.02以上であることが好ましく、0.03以上であることがより好ましく、また、5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましく、1以下であることが更に好ましく、0.1以下であることが特に好ましい。水溶性キトサン/粒子状重合体比が上述の範囲内であれば、水溶性キトサン化合物と粒子状重合体が良好に相互作用し、スラリー組成物の塗工性を更に向上させることができる。
<電極活物質>
電極活物質は、リチウムイオン二次電池の電極(正極、負極)において電子の受け渡しをする物質である。
[正極活物質]
正極活物質としては、通常は、リチウムを吸蔵および放出し得る物質を用いる。具体的には、リチウムイオン二次電池用正極活物質としては、特に限定されることなく、リチウム含有コバルト酸化物(LiCoO2)、マンガン酸リチウム(LiMn24)、リチウム含有ニッケル酸化物(LiNiO2)、Co−Ni−Mnのリチウム含有複合酸化物(Li(Co Mn Ni)O2)、Ni−Mn−Alのリチウム含有複合酸化物、Ni−Co−Alのリチウム含有複合酸化物、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)、オリビン型リン酸マンガンリチウム(LiMnPO4)、Li2MnO3−LiNiO2系固溶体、Li1+xMn2-x4(0<X<2)で表されるリチウム過剰のスピネル化合物、Li[Ni0.17Li0.2Co0.07Mn0.56]O2、LiNi0.5Mn1.54等の既知の正極活物質が挙げられる。これらの中でも、オリビン型リン酸鉄リチウム、マンガン酸リチウムが好ましく、オリビン型リン酸鉄リチウムがより好ましい。なお、正極活物質の配合量や粒径は、特に限定されることなく、従来使用されている正極活物質と同様とすることができる。
[負極活物質]
リチウムイオン二次電池の負極活物質としては、通常は、リチウムを吸蔵および放出し得る物質を用いる。具体的には、リチウムイオン二次電池用負極活物質としては、特に限定されることなく、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソフェーズピッチ系炭素繊維、熱分解気相成長炭素繊維、フェノール樹脂焼成体、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、擬等方性炭素、フルフリルアルコール樹脂焼成体(PFA)、ハードカーボン、天然黒鉛、人造黒鉛などの炭素系負極活物質;ケイ素(Si)、ケイ素を含む合金、SiO、SiOx、Si含有材料を導電性カーボンで被覆または複合化してなるSi含有材料と導電性カーボンとの複合化物などの非炭素系負極活物質などが挙げられる。そしてこれらの中でも、天然黒鉛、人造黒鉛が好ましい。なお、負極活物質の配合量や粒径は、特に限定されることなく、従来使用されている負極活物質と同様とすることができる。
<防腐剤>
ここで、本発明のスラリー組成物は、防腐剤を含むことが好ましい。スラリー組成物が防腐剤を含むことで、水溶性キトサン化合物の腐敗を抑制して、スラリー組成物の過度な粘度低下および白濁を抑制することができる。具体的には、防腐剤としては、イソチアゾリン系化合物や2-ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール等既知の防腐剤が挙げられる。ここでイソチアゾリン系化合物としては、特に限定されることなく、特開2013−211246号公報、特開2005−097474号公報、および特開2013−206624号公報などに記載のものが挙げられる。なお、防腐剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
そして、スラリー組成物中の防腐剤の配合量は、特に限定されないが、電極活物質100質量部当たり、0.01質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、0.3質量部以上であることが更に好ましく、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることが更に好ましい。スラリー組成物が防腐剤を上述の範囲内の量で含めば、水溶性キトサン化合物の腐敗を十分に抑制して、スラリー組成物の過度な粘度低下および白濁を抑制することができる。
<導電材>
また、本発明のスラリー組成物は、導電材を含むことが好ましい。導電材は、電極活物質同士の電気的接触を確保するためのものである。そして、導電材としては、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラックなど)、グラファイト、炭素繊維、カーボンフレーク、炭素超短繊維(例えば、カーボンナノチューブや気相成長炭素繊維など)等の導電性炭素材料;各種金属のファイバー、箔などを用いることができる。中でも、導電材としては、カーボンブラックが好ましく、アセチレンブラックがより好ましい。これらは一種単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
そして、スラリー組成物中の導電材の配合量は、特に限定されないが、電極活物質100質量部当たり、1質量部以上であることが好ましく、また、10質量部以下であることが好ましい。スラリー組成物が導電材を上述の範囲内の量で含めば、スラリー組成物を用いて調製される電極合材層中で良好な導電パスが形成され、特にスラリー組成物を正極用として用いた際に、リチウムイオン二次電池のレート特性などの電池特性を向上させることができる。
<その他の成分>
本発明のスラリー組成物は、上記成分の他に、補強材、レベリング剤、粘度調整剤、電解液添加剤等の成分を含有していてもよい。これらは、電池反応に影響を及ぼさないものであれば特に限られず、公知のもの、例えば国際公開第2012/115096号に記載のものを使用することができる。また、これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
<スラリー組成物の調製>
本発明のスラリー組成物は、上記各成分を水などの分散媒中に溶解または分散させることにより調製することができる。具体的には、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、フィルミックスなどの混合機を用いて上記各成分と分散媒とを混合することにより、スラリー組成物を調製することができる。
<スラリー組成物の性状>
上述のようにして得られるスラリー組成物の固形分濃度は、48質量%以上57質量%以下であることが好ましい。スラリー組成物の固形分濃度が上述の範囲内であれば、スラリー組成物から分散媒を除去して電極合材層を調製する際の乾燥効率を高めることができる。また、本発明のスラリー組成物は、上述したように、水溶性キトサン化合物と粒子状重合体を含んでいるため、上述のように固形分濃度が比較的高い場合であっても、優れた塗工性を発揮する。
そして、スラリー組成物の粘度は、3600mPa・s以上5000mPa・s以下であることが好ましい。スラリー組成物の粘度が上述の範囲内であれば、塗工性が良好となり、スラリー組成物調製時のエアー巻き込みによるホールや、塗りムラを十分に抑制し、また均一な厚みを有する電極合材層を形成することができる。なお、リチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物の「粘度」は、単一円筒形回転粘度計(B型粘度計)を用いて測定される粘度であり、具体的には本明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
(リチウムイオン二次電池用電極)
本発明のリチウムイオン二次電池用電極は、集電体と、集電体上に形成された電極合材層とを備える。そして、電極合材層は上記リチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物を用いて形成されており、具体的には、上記スラリー組成物を乾燥することにより形成することができる。即ち、本発明のリチウムイオン二次電池用電極中の電極合材層は、上記リチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物の乾燥物よりなり、通常、上記水溶性キトサン化合物と、上記粒子状重合体と、上記電極活物質とを含有し、任意に、上記防腐剤と、上記導電材と、上記その他の成分とを含有する。なお、上述した粒子状重合体が架橋性の単量体単位を含む場合には、粒子状重合体は、スラリー組成物の乾燥時、または、乾燥後に任意に実施される熱処理時に架橋されていてもよい(即ち、リチウムイオン二次電池用電極中の電極合材層は、上述した粒子状重合体の架橋物を含んでいてもよい)。なお、電極合材層中に含まれている各成分の好適な存在比は、スラリー組成物中の各成分の好適な存在比と同じである。
そして、本発明のリチウムイオン二次電池用電極は、本発明のスラリー組成物を使用して製造されるため、ピール強度に優れる。そして当該電極を使用すれば、サイクル特性等の電池特性に優れるリチウムイオン二次電池が得られる。
<リチウムイオン二次電池用電極の製造方法>
なお、本発明のリチウムイオン二次電池用電極は、例えば、上述したスラリー組成物を集電体上に塗布する工程(塗布工程)と、集電体上に塗布されたスラリー組成物を乾燥して集電体上に電極合材層を形成する工程(乾燥工程)とを経て製造される。
[塗布工程]
上記スラリー組成物を集電体上に塗布する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。具体的には、塗布方法としては、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などを用いることができる。この際、スラリー組成物を集電体の片面だけに塗布してもよいし、両面に塗布してもよい。塗布後乾燥前の集電体上のスラリー膜の厚みは、乾燥して得られる電極合材層の厚みに応じて適宜に設定しうる。
ここで、スラリー組成物を塗布する集電体としては、電気導電性を有し、かつ、電気化学的に耐久性のある材料が用いられる。具体的には、集電体としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金などからなる集電体を用い得る。なお、前記の材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
[乾燥工程]
集電体上のスラリー組成物を乾燥する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができ、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。このように集電体上のスラリー組成物を乾燥することで、集電体上に電極合材層を形成し、集電体と電極合材層とを備えるリチウムイオン二次電池用電極を得ることができる。
なお、乾燥工程の後、金型プレスまたはロールプレスなどを用い、電極合材層に加圧処理を施してもよい。加圧処理により、電極合材層と集電体との密着性を向上させることができる。
(リチウムイオン二次電池)
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、電解液と、セパレータとを備え、正極および負極の少なくとも一方として本発明のリチウムイオン二次電池用電極を用いたものである。そして、本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明のリチウムイオン二次電池用電極を備えているので、サイクル特性等の電池特性に優れている。
<電極>
ここで、本発明のリチウムイオン二次電池に使用し得る、上述したリチウムイオン二次電池用電極以外の電極としては、特に限定されることなく、リチウムイオン二次電池の製造に用いられている既知の電極を用いることができる。具体的には、上述したリチウムイオン二次電池用電極以外の電極としては、既知の製造方法を用いて集電体上に電極合材層を形成してなる電極を用いることができる。
<電解液>
電解液としては、通常、有機溶媒に支持電解質を溶解した有機電解液が用いられる。リチウムイオン二次電池の支持電解質としては、例えば、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C49SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO22NLi、(C25SO2)NLiなどが挙げられる。なかでも、溶媒に溶けやすく高い解離度を示すので、LiPF6、LiClO4、CF3SO3Liが好ましく、LiPF6が特に好ましい。なお、電解質は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。通常は、解離度の高い支持電解質を用いるほどリチウムイオン伝導度が高くなる傾向があるので、支持電解質の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
電解液に使用する有機溶媒としては、支持電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル等のエステル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物類;などが好適に用いられる。またこれらの溶媒の混合液を用いてもよい。中でも、誘電率が高く、安定な電位領域が広いので、カーボネート類を用いることが好ましい。
なお、電解液中の電解質の濃度は適宜調整することができ、例えば0.5〜15質量%することが好ましく、2〜13質量%とすることがより好ましく、5〜10質量%とすることが更に好ましい。また、電解液には、既知の添加剤、例えばフルオロエチレンカーボネートやエチルメチルスルホンなどを添加することができる。
<セパレータ>
セパレータとしては、特に限定されることなく、例えば特開2012−204303号公報に記載のものを用いることができる。これらの中でも、セパレータ全体の膜厚を薄くすることができ、これにより、リチウムイオン二次電池内の電極活物質の比率を高くして体積あたりの容量を高くすることができるという点より、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)の樹脂からなる微多孔膜が好ましい。
<リチウムイオン二次電池の製造方法>
本発明のリチウムイオン二次電池は、例えば、正極と、負極とを、セパレータを介して重ね合わせ、これを必要に応じて電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口することにより製造することができる。リチウムイオン二次電池の内部の圧力上昇、過充放電等の発生を防止するために、必要に応じて、ヒューズ、PTC素子等の過電流防止素子、エキスパンドメタル、リード板などを設けてもよい。リチウムイオン二次電池の形状は、例えば、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など、何れであってもよい。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
そして、実施例および比較例において、スラリー組成物の粘度および塗工性、電極のピール強度、リチウムイオン二次電池のサイクル特性は、下記の方法で測定および評価した。
<スラリー組成物の粘度>
JISZ8803:1991に準じて、B型粘度計(25℃、回転数=60rpm、スピンドル形状:4)により測定し、測定開始60秒後の値をスラリー組成物の粘度とした。
<スラリー組成物の塗工性>
作製したリチウムイオン二次電池用電極を切り出して、大きさ0.5m2の試験片を12枚準備した。そして、試験片の電極合材層を走査型電子顕微鏡(電極合材層と集電体の界面は倍率:5000〜10000倍、それ以外の箇所は倍率300〜5000倍)により観察し、スラリー組成物調製時のエアー巻き込みによる、電極合材層表面や電極合材層と集電体との界面におけるホール、塗りムラが存在する試験片の枚数をカウントし、以下の基準により評価した。エアー巻き込みによるホール、塗りムラが少ないほど、スラリー組成物が塗工性に優れることを示す。
A:12枚中全てにエアー巻き込みによるホール及び塗りムラがみられない。
B:12枚中1〜2枚にエアー巻き込みによるホール及び/又は塗りムラがみられる。
C:12枚中3〜4枚にエアー巻き込みによるホール及び/又は塗りムラがみられる。
D:12枚中5枚以上にエアー巻き込みによるホール及び/又は塗りムラがみられる。
<電極のピール強度>
作製したリチウムイオン二次電池用電極を長さ100mm、幅10mmの長方形に切り出して試験片とし、電極合材層を有する面を下にして電極合材層表面にセロハンテープ(JIS Z1522に規定されるもの)を貼り付け、集電体の一端を鉛直上方に引張り速度50mm/分で引っ張って剥がしたときの応力を測定した(なお、セロハンテープは試験台に固定されている)。測定を3回行い、その平均値を求めてこれをピール強度とし、以下の基準により評価した。ピール強度の値が大きいほど、電極合材層と集電体の密着性に優れることを示す。
A:ピール強度が20N/m以上
B:ピール強度が15N/m以上20N/m未満
C:ピール強度が15N/m未満
<リチウムイオン二次電池のサイクル特性>
作製したリチウムイオン二次電池を25℃の環境下で24時間静置させた。その後、25℃の環境下で、0.5Cの低電流法にて4.2Vまで充電し、3.0Vまで放電する充放電の操作を行い、初期容量C0を測定した。さらに、このリチウムイオン二次電池を、60℃の環境下で、前記と同様の充放電を200回繰り返し(200サイクル)、200サイクル後の容量C1を測定した。
サイクル特性(高温サイクル特性)は、ΔC=(C1/C0)×100(%)で示す容量維持率ΔCを算出し、以下の基準により評価した。この容量維持率ΔCの値が高いほど、サイクル特性に優れることを示す。
A:容量維持率ΔCが85%以上
B:容量維持率ΔCが80%以上85%未満
C:容量維持率ΔCが80%未満
(実施例1)
<正極用粒子状重合体の調製>
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、酸性基含有単量体としてのイタコン酸4部、(メタ)アクリル酸エステル単量体としての2−エチルヘキシルアクリレート74部、(メタ)アクリロニトリル単量体としてのアクリロニトリル20部、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体としてのメタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル2部、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.8部、およびイオン交換水150部を入れ、十分に攪拌した。その後、50℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で冷却し反応を停止した。次いで、加熱減圧蒸留によって未反応単量体の除去を行った後、30℃以下まで冷却し、所望の正極用粒子状重合体(アクリル系重合体)を含む水分散液を得た。
<リチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物の調製>
ディスパー付きのプラネタリーミキサーに、正極活物質としてオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)を100部、導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業社製「HS−100」)を2部、水溶性キトサン化合物1(α型キチン由来、脱アセチル化度:85%、水溶性試験での残渣割合:10質量%)を0.1部入れ、10分間攪拌混合し、更にイオン交換水で固形分濃度83%に調整した後、25℃で60分間混合した。得られた混合物に、上記正極用粒子状重合体を含む水分散液(固形分濃度を40%に調整)を固形分相当で2部添加し、次いでイオン交換水で固形分濃度を53%に調整した。この正極用粒子状重合体を含む混合物に更に、防腐剤X(製品名:アクチサイド(登録商標)LA5008、当該防腐剤Xは、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオールを、3.7:1.3:8(質量比)でそれぞれを含有する。)を固形分相当で0.5添加して混合し、リチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物(固形分濃度:53%、pH:5.0)を調製した。このスラリー組成物の粘度および塗工性を評価した。結果を表1に示す。
<リチウムイオン二次電池用正極の作製>
集電体として、厚さ20μmのアルミ箔を準備した。そして、得られたスラリー組成物を、コンマコーターでアルミ箔の片面に塗布し、乾燥させて、正極原反を得た。なお、この乾燥は、塗膜を備えるアルミ箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送し、その後更に120℃のオーブン内にて2分間加熱処理することにより行った。得られた正極原反をロールプレスで圧延し、正極合材層の厚さが100μmのリチウムイオン二次電池用正極を得た。この正極のピール強度を評価した。結果を表1に示す。
<負極用粒子状重合体の調製>
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、脂肪族共役ジエン単量体として1,3−ブタジエン33.5部、酸性基含有単量体としてイタコン酸3.5部、芳香族ビニル単量体としてスチレン62部、ヒドロキシル基含有単量体として2−ヒドロキシエチルアクリレート1部、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部、およびイオン交換水150部を入れ、十分に攪拌した。その後、50℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で冷却して反応を停止した。次いで、加熱減圧蒸留によって未反応単量体の除去を行った後、30℃以下まで冷却し、所望の負極用粒子状重合体(共役ジエン系重合体)を含む水分散液を得た。
<リチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物の調製>
ディスパー付きのプラネタリーミキサーに、負極活物質として人造黒鉛100部、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(日本製紙社製「MAC350HC」)の2%水溶液を固形分相当で1部、および、イオン交換水を混合して固形分濃度が65%となるように調整した後、25℃で60分間混合した。次いで、固形分濃度が60%となるようにイオン交換水で調整し、更に25℃で15分間混合した。その後、得られた混合液に、上記負極用粒子状重合体を含む水分散液を固形分相当で2部、およびイオン交換水を入れ、更に10分間混合した。これを減圧下で脱泡処理し、流動性の良い負極用スラリー組成物(固形分濃度:53%)を調製した。
<リチウムイオン二次電池用負極の作製>
集電体として、厚さ20μmの銅箔を準備した。そして、得られたスラリー組成物を、コンマコーターで銅箔の片面に塗布し、乾燥させて、負極原反を得た。なお、この乾燥は、塗膜を備える銅箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送し、その後更に120℃のオーブン内にて2分間加熱処理することにより行った。得られた負極原反をロールプレスで圧延し、負極合材層の厚さが80μmのリチウムイオン二次電池用負極を得た。
<リチウムイオン二次電池用セパレータの準備>
単層のポリプロピレン製セパレータ(セルガード社製「CELGARD(登録商標)2500」)を、5cm×5cmの正方形に切り抜いた。
<リチウムイオン二次電池の製造>
電池の外装として、アルミニウム包材外装を用意した。上記で得られた正極を、4cm×4cmの正方形に切り出し、集電体側の表面がアルミニウム包材外装に接するように配置した。正極の正極合材層の上に、上記で得られた正方形のセパレータを配置した。さらに、上記で得られた負極を、4.2cm×4.2cmの正方形に切り出し、これをセパレータ上に、負極合材層側の表面がセパレータに向かい合うように配置した。更に、電解液(溶媒:EC/DEC/ビニレンカーボネート(25℃における体積比)=40.0/58.5/1.5、電解質:濃度1MのLiPF6、比誘電率(25℃):36.5、粘度(25℃):1.2mPa・s))を空気が残らないように注入した。その後、アルミニウム包材外装の開口を密封するために、150℃のヒートシールをしてアルミニウム包材外装を閉口し、リチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池を用いてサイクル特性の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2〜3、13)
正極用粒子状重合体の調製時に、使用する単量体の種類および割合を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、正極用スラリー組成物、負極用スラリー組成物、正極、負極およびリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4〜6、11)
正極用スラリー組成物の調製時に、水溶性キトサン化合物1に替えてそれぞれ以下の水溶性キトサン化合物2〜5を使用した以外は、実施例1と同様にして、正極用スラリー組成物、負極用スラリー組成物、正極、負極およびリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
水溶性キトサン化合物2(β型キチン由来、脱アセチル化度:85%、水溶性試験での残渣割合:10質量%)
水溶性キトサン化合物3(γ型キチン由来、脱アセチル化度:80%、水溶性試験での残渣割合: 10質量%)
水溶性キトサン化合物4(α型キチン由来、脱アセチル化度:92%、水溶性試験での残渣割合:4質量%)
水溶性キトサン化合物5(α型キチン由来、脱アセチル化度:75%、水溶性試験での残渣割合:40質量%)
(実施例7〜10)
正極用スラリー組成物の調製時に、水溶性キトサン化合物4の配合量を表1のように変更した以外は、実施例6と同様にして、正極用スラリー組成物、正極、負極およびリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例12)
負極用スラリー組成物の調製時に、固形分相当で1部のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩に替えて、水溶性キトサン化合物1を0.1部および防腐剤Xを0.5部添加した以外は、実施例1と同様にして、正極用スラリー組成物、負極用スラリー組成物、正極、負極およびリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。(すなわち、粘度および塗工性の評価に用いた正極用スラリー組成物、並びにピール強度の評価に用いた正極は、何れも実施例1と同様にして作製したものである。)
(実施例14)
正極用スラリー組成物の調製の際に、0.1部の水溶性キトサン化合物1および0.5部の防腐剤Xを添加せず、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(日本製紙社製「MAC350HC」)の2%水溶液を固形分相当で1部を添加した以外は、実施例1と同様にして、正極用スラリー組成物および正極を作製した。
また、負極用スラリー組成物の調製の際に、固形分相当で1部のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩に替えて、水溶性キトサン化合物1を0.1部および防腐剤Xを0.5部添加した以外は、実施例1と同様にして、負極用スラリー組成物および負極を作製した。得られた負極用スラリー組成物の粘度および塗工性、並びに負極のピール強度を評価した。結果を表1に示す。
そして、上記正極および負極を使用した以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製し、サイクル特性の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例15)
以下のようにして得られた負極用粒子状重合体を使用した以外は、実施例14と同様にして、負極用スラリー組成物、正極用スラリー組成物、正極、負極およびリチウムイオン二次電池を作製した。そして、負極用スラリー組成物の粘度および塗工性、負極のピール強度、並びにリチウムイオン二次電池のサイクル特性の評価を行った。結果を表1に示す。
<負極用粒子状重合体の調製>
攪拌機付き5MPa耐圧容器に、酸性基含有単量体としてイタコン酸3部、(メタ)アクリル酸エステル単量体として2−エチルヘキシルアクリレート31部、メチルメタクリレート23部、およびブチルアクリレート25部、(メタ)アクリロニトリル単量体としてアクリロニトリル3部、芳香族ビニル単量体としてスチレン13部、アミド基含有単量体としてアクリルアミド2部、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部、並びにイオン交換水150部を入れ、十分に攪拌した。その後、50℃に加温して重合を開始した。重合転化率が96%になった時点で冷却して反応を停止した。次いで、加熱減圧蒸留によって未反応単量体の除去を行った後、30℃以下まで冷却し、所望の負極用粒子状重合体(アクリル系重合体)を含む水分散液を得た。
(比較例1)
以下のようにして、正極用スラリー組成物、正極を調製した。それ以外は実施例1と同様にして、負極用スラリー組成物、負極およびリチウムイオン二次電池を作製した。そして、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
<リチウムイオン二次電池正極用スラリー組成物の調製>
ディスパー付きのプラネタリーミキサーに、正極活物質としてオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)を100部、導電材としてアセチレンブラック(電気化学工業社製「HS−100」)を2部入れ、10分間攪拌混合し、更にイオン交換水で固形分濃度83%に調整した後、25℃で60分間混合した。得られた混合物に、実施例1で得られた正極用粒子状重合体を含む水分散液(固形分濃度を40%に調整)を固形分相当で2部添加し、次いでイオン交換水で固形分濃度を53%に調整した。この正極用粒子状重合体を含む混合物に更に、防腐剤X(製品名:アクチサイド(登録商標)LA5008、当該防腐剤Xは、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオールを、3.7:1.3:8(質量比)でそれぞれを含有する。)を固形分相当で0.5添加して混合して、水系組成物(固形分濃度:53%、pH:5.0)を調製した。この水系組成物中に、正極活物質と同質量のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を加え、減圧下60℃で水分を共沸除去した。次いで、非水溶性キトサン化合物6(α型キチン由来、脱アセチル化度:70%、水溶性試験での残渣割合:60質量%)を0.1部入れ、固形分濃度が53%となるようにNMPを添加して、溶剤系の正極用スラリー組成物を調製した。このスラリー組成物中では、アクリル系重合体はNMPに溶解しており粒子状を呈していなかった(すなわち、本比較例1の正極用スラリー組成物は、「粒子状」重合体を含んでいない)。
<リチウムイオン二次電池用正極の作製>
上述した溶剤系の正極用スラリー組成物を使用した以外は、実施例1と同様にして、正極合材層の厚さが100μmのリチウムイオン二次電池用正極を得た。
(比較例2)
正極用スラリー組成物の調製時に、水溶性キトサン化合物1に替えて、非水溶性キトサン化合物6(α型キチン由来、脱アセチル化度:70%、水溶性試験での残渣割合:60質量%)を使用した以外は、実施例1と同様にして、正極用スラリー組成物、正極、負極およびリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
正極用スラリー組成物の調製時に粒子状重合体を添加しない以外は、実施例1と同様にして、正極用スラリー組成物、正極、負極およびリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
なお、以下に示す表1中、
「LFP」はオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)を示し、
「GR」は人造黒鉛を示し、
「IA」はイタコン酸を示し、
「AN」はアクリロニトリルを示し、
「2EHA」は2−エチルヘキシルアクリレートを示し、
「MMA」はメチルメタクリレートを示し、
「BA」はブチルアクリレートを示し、
「TFEM」はメタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチルを示し、
「BD」は1,3−ブタジエンを示し、
「ST」はスチレンを示し、
「HEA」はヒドロキシエチルアクリレートを示し、
「AAm」はアクリルアミドを示し、
「AcB」はアセチレンブラックを示し、
「CMC−Na」はカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を示す。
Figure 0006645101
表1より、水溶性キトサン化合物、粒子状重合体、および電極活物質を含むリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物を使用した実施例1〜15では、スラリー組成物の塗工性を確保しつつ、ピール強度に優れる電極およびサイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池が得られることが分かる。
また、表1より、結着材として非粒子状の重合体を含み且つ非水溶性キトサン化合物を含むスラリー組成物、非水溶性のキトサン化合物を含むスラリー組成物、および粒子状重合体を含まないスラリー組成物をそれぞれ使用した比較例1〜3では、スラリー組成物の塗工性が確保できず、また電極のピール強度およびリチウムイオン二次電池のサイクル特性が低下してしまうことが分かる。
本発明によれば、良好な塗工性を有し、且つピール強度に優れるリチウムイオン二次電池用電極を形成可能なリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、ピール強度に優れるリチウムイオン二次電池用電極およびサイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することができる。

Claims (9)

  1. 水溶性キトサン化合物、粒子状重合体、および電極活物質を含み、
    前記水溶性キトサン化合物がα型キチン由来の水溶性キトサン化合物であり、前記粒子状重合体が(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含み、
    前記水溶性キトサン化合物の配合量が、前記電極活物質100質量部当たり0.01質量部以上10質量部以下であり、そして、
    前記粒子状重合体の配合量が、前記電極活物質100質量部当たり0.5質量部以上4質量部以下である、リチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物。
  2. 前記粒子状重合体が、酸性基含有単量体単位を0.1質量%以上10質量%以下含む、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物。
  3. 前記粒子状重合体が、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を20質量%以上90質量%以下含む、請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物。
  4. 前記粒子状重合体が、(メタ)アクリロニトリル単量体単位を3質量%以上40質量%以下含む、請求項1〜3の何れかに記載のリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物。
  5. 前記粒子状重合体が、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を0.1質量%以上10質量%以下含む、請求項1〜4の何れかに記載のリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物。
  6. 更に防腐剤を含む、請求項1〜5の何れかに記載のリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物。
  7. 更に導電材を含む、請求項1〜6の何れかに記載のリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物。
  8. 請求項1〜7の何れかに記載のリチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物を用いて得られる電極合材層を有する、リチウムイオン二次電池用電極。
  9. 正極、負極、電解液およびセパレータを備え、
    前記正極および負極の少なくとも一方が、請求項8に記載のリチウムイオン二次電池用電極である、リチウムイオン二次電池。
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