JP7020902B2 - 組成物、導電性膜、導電性膜の製造方法、及びコンデンサ - Google Patents
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Description
1.(a)導電性高分子、
(b)シリカ、及び
(c)フェノール性化合物
を含む組成物。
2.前記成分(b)の含有量が、前記成分(a)100質量部に対して0.1~60質量部である1に記載の組成物。
3.前記成分(b)の含有量が、全固形分中0.1質量%以上かつ10質量%未満である1又は2に記載の組成物。
4.(a)導電性高分子、及び
(b)シリカ
を含み、前記成分(b)の含有量が、全固形分中0.1質量%以上かつ10質量%未満である組成物。
5.さらに(d)溶剤を含む1~4のいずれかに記載の組成物。
6.前記成分(a)が、ポリアニリン、ポリアニリン誘導体、ポリチオフェン、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール及びポリピロール誘導体からなる群から選択される1以上である1~5のいずれかに記載の組成物。
7.前記成分(a)が、ポリアニリンとプロトン供与体とを含むポリアニリン複合体であって、前記ポリアニリンが前記プロトン供与体でドープされている1~6のいずれかに記載の組成物。
8.前記プロトン供与体がスルホン酸又はスルホン酸塩である7に記載の組成物。
9.前記スルホン酸又はスルホン酸塩が下記式(III)で示されるスルホコハク酸誘導体である8に記載の組成物。
M(O3SCH(CH2COOR12)COOR13)m (III)
(式(III)において、
Mは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基であり、
mはMの価数であり、
R12及びR13は、それぞれ独立して、炭化水素基又は-(R14O)r-R15で表される基であり、R14は炭化水素基又はシリレン基であり、R15は水素原子、炭化水素基又はR16 3Si-で表される基であり、R16は炭化水素基であり、3つのR16は同一又は異なっていてもよく、rは1以上の整数である。)
10.さらに(e)酸性物質及び酸性物質の塩からなる群から選択される1以上を含む1~9のいずれかに記載の組成物。
11.さらに(f)疎水性基を有する酸を含み、前記疎水性基が、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、アルキルフェニル基、及びアルキルナフチル基からなる群から選択される1以上である1~10のいずれかに記載の組成物。
12.(a)導電性高分子、及び
(b)シリカ
を含み、前記成分(b)の含有量が0.1質量%以上かつ10質量%未満である導電性膜。
13.さらに(e)酸性物質及び酸性物質の塩からなる群から選択される1以上を含む12に記載の導電性膜。
14.(a)導電性高分子、
(b)シリカ、及び
(e)酸性物質及び酸性物質の塩からなる群から選択される1以上
を含む導電性膜。
15.前記成分(e)を2種類以上含む13又は14に記載の導電性膜。
16.1~11のいずれかに記載の組成物を塗布、乾燥して塗膜を形成し、
前記塗膜を、(e)酸性物質及び酸性物質の塩からなる群から選択される1以上を含む溶液に浸漬して乾燥する、導電性膜の製造方法。
17.12~15のいずれかに記載の導電性膜を含むコンデンサ。
本発明の第1の組成物は、(a)導電性高分子、(b)シリカ、及び(c)フェノール性化合物を含む。
第1の組成物は、成分(b)を含むことにより、耐熱性に優れる導電性膜を形成することができる。具体的に、得られる導電性膜は高温条件下で長期間放置した場合の抵抗値の上昇が低く、安定性が高い。成分(b)は必ずしも大量に含む必要はなく、少量であっても大きな耐熱性向上効果を得ることができる。また、成分(c)を含むことで、高い導電性を有する導電性膜を形成することが可能である。
以下、各成分について説明する。尚、各符号で表される成分を、単に「成分(a)」等と称する場合がある。
導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらは置換基を有してもよいし有していなくてもよい。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアニリンは、好ましくは重量平均分子量が10,000以上であり、より好ましくは20,000以上であり、さらに好ましくは30,000以上1,000,000以下であり、よりさらに好ましくは40,000以上1,000,000以下であり、特に好ましくは52,000以上1,000,000以下である。
置換基を有する場合の置換基としては、例えばメチル基、エチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分岐の炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基(-CF3基)等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
プロトン供与体がポリアニリンにドープしていることは、紫外・可視・近赤外分光法やX線光電子分光法によって確認することができ、当該プロトン供与体は、ポリアニリンにキャリアを発生させるに十分な酸性を有していれば、特に化学構造上の制限なく使用できる。
当該ポリアニリン複合体を用いることにより、溶剤への溶解性が向上するため好ましい。
M(XARn)m (I)
上記式(I)において、Mは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基である。
上記有機遊離基としては、例えば、ピリジニウム基、イミダゾリウム基、アニリニウム基等が挙げられる。上記無機遊離基としては、例えばナトリウム、リチウム、カリウム、セシウム、アンモニウム等が挙げられる。
当該炭化水素基としては、例えば炭素数1~24の直鎖若しくは分岐状のアルキル基;アルケニル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、メンチル等の置換基を含んでいてもよいシクロアルキル基;ビシクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチル等の縮合してもよいジシクロアルキル基若しくはポリシクロアルキル基;フェニル、トシル、チオフェニル、ピローリニル、ピリジニル、フラニル等の置換基を含んでいてもよい芳香環を含むアリール基;ナフチル、アントラセニル、フルオレニル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、インダニル、キノリニル、インドニル等の縮合していてもよいジアリール基若しくはポリアリール基;アルキルアリール基等であって、対応する(n+1)価の基が挙げられる。
R1は炭素数が4以上の置換基を含んでもよい炭化水素基、シリル基、アルキルシリル基、-(R2O)x-R3で表される基、又は-(OSiR3 2)x-OR3(R2はアルキレン基、R3はそれぞれ同一でも異なっていてもよい炭化水素基であり、xは1以上の整数である)で表される基である。
R1の炭化水素基の例としては、直鎖若しくは分岐のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、エイコサニル基等が挙げられる。
nは2以上の整数である。mはMの価数である。
M(XCR4(CR5 2COOR6)COOR7)p (II)
pはMの価数である。
R4及びR5の炭化水素基としては、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐状のアルキル基;芳香環を含むアリール基;アルキルアリール基等が挙げられる。
R8の炭化水素基は、R4及びR5の炭化水素基と同様である。
R6及びR7の炭化水素基としては、炭素数1~24、好ましくは炭素数4以上の直鎖若しくは分岐状のアルキル基;芳香環を含むアリール基;アルキルアリール基等が挙げられる。
R6及びR7の炭化水素基の具体例としては、直鎖又は分岐状のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
また、R10及びR11の炭化水素基としては、R4及びR5の場合と同様である。qは、1~10の整数であることが好ましい。
M(O3SCH(CH2COOR12)COOR13)m (III)
上記式(III)において、M及びmは、上記式(I)と同様である。
R14の炭化水素基は、R9の炭化水素基と同様である。また、R15及びR16の炭化水素基は、R4及びR5の炭化水素基と同様である。
rは、好ましくは1~10の整数である。
R12及びR13の炭化水素基は、R6及びR7の炭化水素基と同様であり、ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、デシル基等が好ましい。
ドープ率は(ポリアニリンにドープしているプロトン供与体のモル数)/(ポリアニリンのモノマーユニットのモル数)で定義される。例えば無置換ポリアニリンとプロトン供与体を含むポリアニリン複合体のドープ率が0.5であることは、ポリアニリンのモノマーユニット分子2個に対し、プロトン供与体が1個ドープしていることを意味する。
ドープ率は、ポリアニリン複合体中のプロトン供与体とポリアニリンのモノマーユニットのモル数が測定できれば算出可能である。例えば、プロトン供与体が有機スルホン酸の場合、プロトン供与体由来の硫黄原子のモル数と、ポリアニリンのモノマーユニット由来の窒素原子のモル数を、有機元素分析法により定量し、これらの値の比を取ることでドープ率を算出できる。
0.32≦S5/N5≦0.60 (5)
(式中、S5はポリアニリン複合体に含まれる硫黄原子のモル数の合計であり、N5はポリアニリン複合体に含まれる窒素原子のモル数の合計である。上記窒素原子及び硫黄原子のモル数は、有機元素分析法により測定した値である。)
本発明で用いる「シリカ」とは、ケイ素(Si)及び酸素(O)を含むケイ素酸化物を意味し、SiO2等のSiOXで表される化合物に限らず、シロキサン結合(-O-Si-O-)を含むオリゴマー又はポリマーも含まれる。また、水和物であっても無水物であってもよい。
シリカ粒子の平均粒子径は、好ましくは1~200nmである。コロイド状態のシリカ粒子(コロイダルシリカ)を用いてもよい。
また、成分(b)の含有量は、第1の組成物中の全固形分中0.1質量%以上、又は0.3質量%以上としてもよく、また、全固形分中10質量%未満、9.5質量%以下、又は5.0質量%以下としてもよい。成分(b)の含有量は、第1の組成物中の全固形分中0.1質量%以上かつ10質量%未満、0.1~9.5質量%、又は0.1~5.0質量%としてもよい。
なお、第1の組成物における固形分とは、通常、成分(a)、(b)及び(e)である。
フェノール性化合物を用いることにより導電性を高めることができ、また、アルコールへの溶解性を向上することができる。
フェノール性化合物は特に限定されず、ArOH(ここで、Arはアリール基又は置換アリール基である)で示される化合物である。具体的には、フェノール、o-,m-又はp-クレゾール、o-,m-又はp-エチルフェノール、o-,m-又はp-プロピルフェノール、o-,m-又はp-ブチルフェノール、o-,m-又はp-クロロフェノール、サリチル酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフタレン等の置換フェノール類;カテコール、レゾルシノール等の多価フェノール性化合物;及びフェノール樹脂、ポリフェノール、ポリ(ヒドロキシスチレン)等の高分子化合物等を例示することができる。
Rは、それぞれ炭素数2~10のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数1~20のアルキルチオ基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアルキルアリール基又は炭素数7~20のアリールアルキル基である。)
アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャルブチル、ターシャルアミル等が挙げられる。
アルケニル基としては、上述したアルキル基の分子内に不飽和結合を有する置換基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル、ナフチル等が挙げられる。
アルキルアリール基、及びアリールアルキル基としては、上述したアルキル基とアリール基を組み合わせて得られる置換基等が挙げられる。
これらの基のうち、Rとしては、メチル又はエチル基が好ましい。
第1の組成物は、好ましくは溶剤を含む。溶剤は、成分(a)を溶解するものであれば特に制限はないが、有機溶剤が好ましい。有機溶剤は、水溶性有機溶剤でもよいし、実質的に水に混和しない有機溶剤(水不混和性有機溶剤)でもよい。
水不混和性有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素系溶剤;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン等の含ハロゲン系溶剤;酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸n-ブチル等のエステル系溶剤;メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類溶剤;シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類溶剤等が挙げられる。また、炭化水素系溶剤として1種又は2種以上のイソパラフィンを含むイソパラフィン系溶剤を用いてもよい。
尚、成分(a)のうちポリアニリン複合体は、溶剤がイソプロピルアルコール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-ペンタノール、ベンジルアルコール、アルコキシアルコール等のアルコール類であっても溶解することができる。アルコールは、トルエン等の芳香族に比べて環境負荷低減の観点から好ましい。
上記混合有機溶剤の水不混和性有機溶剤として低極性有機溶剤が使用でき、低極性有機溶剤は、ヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶剤;クロロホルム等の含ハロゲン系溶剤;イソパラフィン系溶剤が好ましい。
混合有機溶剤の水溶性有機溶剤としては、高極性有機溶剤が使用でき、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、3-メトキシ-1-ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル等のエーテル類が好ましい。
混合有機溶剤は水不混和性有機溶剤を1種又は2種以上含んでもよく、水溶性有機溶剤を1種又は2種以上含んでもよい。
第1の組成物は、酸性物質及び酸性物質の塩からなる群から選択される1以上を含んでもよい。当該成分は、通常、耐熱安定化剤として用い、導電性膜の耐熱性をさらに向上することができる。
上記アルキルスルホン酸としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ジ2-エチルヘキシルスルホコハク酸が挙げられる。ここで、アルキル基は好ましくは炭素数が1~18の直鎖又は分岐のアルキル基である。
上記芳香族スルホン酸としては、炭素数6~20のものが挙げられ、例えば、ベンゼン環を有するスルホン酸、ナフタレン骨格を有するスルホン酸、アントラセン骨格を有するスルホン酸が挙げられる。また、上記芳香族スルホン酸としては、置換又は無置換のベンゼンスルホン酸、置換又は無置換のナフタレンスルホン酸及び置換又は無置換のアントラセンスルホン酸が挙げられる。
qは1~3が好ましい。pは0~3が好ましい。Rは炭素数1~20のアルキル基、カルボキシ基、水酸基が好ましい。
成分(e)は水和物であってもよい。
第1の組成物は、疎水性基を有する酸を含んでもよい。当該成分は、通常、浸透性向上剤として用い、第1の組成物を対象物(例えばコンデンサ)中により浸透させることができる。
アルキルカルボン酸、アルキルベンゼンカルボン酸及びアルキルベンゼンホスホン酸のアルキル基の炭素数は、好ましくは2~20である。リン酸モノエステル及びリン酸ジエステルは、好ましくはリン酸と炭素数2~20のアルコールから得られるエステルである。
第1の組成物の、例えば、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、98質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上、99.9質量%以上、又は100質量%が、
成分(a)~(c)、
成分(a)~(d)、
成分(a)~(e)、又は
成分(a)~(f)であってもよい。
本発明の第2の組成物は、(a)導電性高分子、及び(b)シリカを含み、成分(b)の含有量が、全固形分中0.1質量%以上かつ10質量%未満である。
第2の組成物は、成分(b)を含むことにより、耐熱性に優れる導電性膜を形成することができる。得られる導電性膜は高温条件下で長期間放置した場合に抵抗値の上昇が低く、安定性が高い。第2の組成物において成分(b)の含有量は少ないが、それにもかかわらず大きな耐熱性向上効果を得ることができる。また、成分(b)が少量であるため、導電性膜の導電性をより高く維持することができる。
第2の組成物は、上述した成分(c)~(f)から選択される1以上の成分を含んでもよい。
第2の組成物の、例えば、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、98質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上、99.9質量%以上、又は100質量%が、
成分(a)及び(b)、
成分(a)~(c)、
成分(a)~(d)、又は
成分(a)~(e)、又は
成分(a)~(f)であってもよい。
本発明の組成物を基体上に塗布し、乾燥することで導電性膜を形成することができる。本発明の組成物を、所望の形状を有するガラス、樹脂フィルム、シート、不織布等の基材上に塗布することで導電性積層体としてもよい。
当該導電性膜の厚さは、通常1mm以下、好ましくは10nm~50μmである。
溶剤は、成分(e)が溶解すれば特に限定されず、水、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等が挙げられる。1種又は2種以上を混合して使用してもよい。
1200質量部を超えると、塗膜内に酸性物質が過剰となりポリアニリン主鎖の劣化を引き起こし、導電性が低下するおそれがある。
浸漬時間は1分間以上が好ましく、3分間以上200分間以下がより好ましい。浸漬温度は、5℃~50℃が好ましい。
浸漬後の乾燥は、オーブン、ホットプレート等により行うことが好ましい。
乾燥温度は、80~200℃が好ましく、100~170℃がより好ましい。
乾燥時間は、1~180分間が好ましく3~60分間がより好ましい。必要に応じて、減圧下で加熱してもよい。乾燥温度及び乾燥時間は、特に制限されず、用いる材料に応じて適宜選択すればよい。
即ち、本発明の導電性膜は、成膜前に加えられた成分(e)(以下、成分(e1)と称する場合がある)と、成膜後に加えられた成分(e)(以下、成分(e2)と称する場合がある)とを含む場合がある。成分(e1)と(e2)は同一でも異なってもよい。異なる場合、例えば、成分(e1)は上記式(5)で表される化合物であり、成分(e2)は上記式(4)で表される化合物である。
第1の導電性膜は、本質的に、成分(a)及び(b)、並びに、任意成分(e)からなってもよい。この場合、不可避不純物を含んでもよい。
第1の導電性膜の、例えば、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、98質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上、99.9質量%以上、又は100質量%が、
成分(a)及び(b)、又は
成分(a)、(b)及び(e)
であってもよい。
第2の導電性膜は、本質的に、成分(a)、(b)及び(e)からなってもよい。この場合、不可避不純物を含んでもよい。
第2の導電性膜の、例えば、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、98質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上、99.9質量%以上、又は100質量%が、
成分(a)、(b)及び(e)
であってもよい。
また、上述した成分(a)~(f)は互いに異なる。
本発明の組成物を用いてコンデンサを製造することができる。コンデンサとしては、具体的には、電解コンデンサ及び電気二重層コンデンサ等が挙げられ、電解コンデンサとしては、固体電解コンデンサが挙げられる。
固体電解コンデンサを製造する場合、例えば、固体電解コンデンサの陽極と誘電体を含む陽極体に本発明の組成物を含浸させ、乾燥することで当該陽極体上に導電性膜を形成する工程を含む。即ち、固体電解コンデンサは本発明の導電性膜を含む。
1,000mlセパラブルフラスコに「ネオコールSWC」(ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム、第一工業製薬株式会社製)32.4g、アニリン13.3g、「ソルボンT-20」(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル構造を有する非イオン乳化剤、東邦化学工業株式会社製)0.9gを入れ、トルエン320.4gにて溶解させた。そこに8.4質量%リン酸水溶液450gを加え、トルエンと水の2つの液相を有する反応液を撹拌し、反応液の内温を5℃まで冷却した。反応液の内温が5℃に到達した時点で、反応液を撹拌しながら、APS(過硫酸アンモニウム)39.3gを8.4質量%リン酸水溶液90.2gに溶解した溶液を、滴下漏斗を用いて、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに溶液内温を5℃に保ったまま8時間撹拌した(合計反応時間9時間)。撹拌停止後、内容物を分液漏斗に移し、水相とトルエン相を静置分離した。分離後、有機層を1Mリン酸水溶液180.3gで1回、イオン交換水328.0gで5回洗浄することにより、ポリアニリン複合体のトルエン溶液を得た。この溶液をNo.2の濾紙にて濾過し、不溶分を除去し、トルエンに可溶なポリアニリン複合体のトルエン溶液を回収した。この溶液をエバポレーターに移し、60℃の湯浴で加温し、減圧することで揮発分を蒸発留去し、ポリアニリン複合体1(プロトネーションされたポリアニリン)を得た。ポリアニリン複合体1のポリアニリンの重量平均分子量は73,000であった。
ポリアニリン複合体0.25gをトルエン5gに溶解し、1M水酸化ナトリウム水溶液を10mL加えて15分間撹拌を行った後、吸引ろ過した。得られた残渣をトルエン10mLで3回、イオン交換水10mLで3回、メタノール10mLで3回洗浄を行い、得られた固形分を減圧乾燥し、得られたポリアニリンの重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)で測定した。
GPC測定は、GPCカラム(昭和電工株式会社製「ShodexKF-806M」、2本)を用いて行い、以下の測定条件で行った。
溶媒:0.01MLiBr含有NMP
流量:0.70ml/分
カラム温度:60℃
注入量:100μL
UV検出波長:270nm
上記方法で得られた重量平均分子量は、ポリスチレン(PS)換算値である。
反応液の温度の冷却温度を-5℃とし、8.4質量%リン酸水溶液を17質量%リン酸水溶液に変更した他は、製造例1と同じ反応を行い、ポリアニリン複合体2(プロトネーションされたポリアニリン)を得た。ポリアニリン複合体2のポリアニリンの重量平均分子量を製造例1と同様に測定したところ、106,000であった。
また、ポリアニリンに対するプロトン供与体のドープ率は0.36であった。
(組成物の調製)
イソプロピルアルコール43.5g、p-tert-アミルフェノール43.5g及びヘキサン13gを均一になるまで撹拌混合し、混合溶剤Aを調製した。89gの混合溶剤Aに11gのポリアニリン複合体1を溶解し、11質量%ポリアニリン複合体溶液を得た。この溶液に2-ナフタレンスルホン酸水和物を0.95g、及びオルガノシリカゾル「IPA-ST」(日産化学工業株式会社製、コロイダルシリカ、分散媒はイソプロピルアルコール、固形分30質量%、BET法により得られた比表面積から換算された平均粒子径11nm、透過型顕微鏡写真を図1に示す)を0.183g添加し、組成物を調製した。ポリアニリン複合体1(成分(a))に対するコロイダルシリカ(成分(b))の割合、及び全固形分中のコロイダルシリカ(成分(b))の割合を表1に示す。
図2に示す、パターニングによりITO電極2が表面に形成されたガラス基板1の上面に、上記の組成物を約1ml塗布した。塗布は、窒素雰囲気下でスピンコート法により行った。組成物を滴下した後のガラス基板1の回転時間は15秒間、ガラス基板1の回転速度は2000rpmとした。その後、ガラス基板1を乾燥して導電性膜を形成した。乾燥温度は150℃、乾燥時間は5分間とした。
図3に示すように、得られた導電性膜5のうちITO電極の端子を覆う部分を大気雰囲気下で削り取り、ITO電極2の端子を表面に露出させた。表面に露出した端子を用いて、四端子法による抵抗率計「ロレスターGP」(三菱化学株式会社製)により導電性膜の抵抗(初期抵抗R0)及び電導度を測定した。電導度は37S/cmであった。
(導電性膜の製造)で得られた導電性膜を、ガラス基板のまま、窒素雰囲気下、145℃の条件下で所定時間(表1に示す経過日数)放置した。所定時間経過後に導電性膜を室温に戻してから、初期抵抗R0と同じ方法で抵抗Rを測定した。RとR0との比(R/R0)を表1に示す。比(R/R0)より、導電性膜の抵抗上昇率、即ち経時劣化の程度が分かる。
オルガノシリカゾル「IPA-ST」の添加量を0.367gに変更した以外は、実施例1と同じ方法で組成物及び導電性膜を調製し、評価した。導電性膜の電導度は42S/cmであった。耐熱性の評価結果は表1に示す。
オルガノシリカゾル「IPA-ST」の添加量を3.67gに変更した以外は、実施例1と同じ方法で組成物及び導電性膜を調製し、評価した。導電性膜の電導度は46S/cmであった。耐熱性の評価結果は表1に示す。
オルガノシリカゾル「IPA-ST」の添加量を11gに変更した以外は、実施例1と同じ方法で組成物及び導電性膜を調製し、評価した。導電性膜の電導度は36S/cmであった。耐熱性の評価結果は表1に示す。
オルガノシリカゾル「IPA-ST」をオルガノシリカゾル「IPA-ST-ZL」(日産化学工業株式会社製、コロイダルシリカ、分散媒はイソプロピルアルコール、固形分30質量%、BET法により得られた比表面積から換算された平均粒子径70~100nm、透過型顕微鏡写真を図4に示す)に変更した以外は、実施例1と同じ方法で組成物及び導電性膜を調製し、評価した。導電性膜の電導度は36S/cmであった。耐熱性の評価結果は表1に示す。
オルガノシリカゾル「IPA-ST-ZL」の添加量を0.367gに変更した以外は、実施例5と同じ方法で組成物及び導電性膜を調製し、評価した。導電性膜の電導度は40S/cmであった。耐熱性の評価結果は表1に示す。
オルガノシリカゾル「IPA-ST-ZL」の添加量を3.67gに変更した以外は、実施例5と同じ方法で組成物及び導電性膜を調製し、評価した。導電性膜の電導度は40S/cmであった。耐熱性の評価結果は表1に示す。
オルガノシリカゾル「IPA-ST-ZL」の添加量を11gに変更した以外は、実施例5と同じ方法で組成物及び導電性膜を調製し、評価した。導電性膜の電導度は40S/cmであった。耐熱性の評価結果は表1に示す。
オルガノシリカゾル「IPA-ST」をオルガノシリカゾル「IPA-ST-UP」(日産化学工業株式会社製、分散媒はイソプロピルアルコール、固形分15質量%、BET法により得られた比表面積から換算された平均粒子径9~15nm、透過型顕微鏡写真を図5に示す)を0.367gに変更した以外は、実施例1と同じ方法で組成物及び導電性膜を調製し、評価した。導電性膜の電導度は41S/cmであった。耐熱性の評価結果は表1に示す。
オルガノシリカゾル「IPA-ST-UP」の添加量を0.733gに変更した以外は、実施例9と同じ方法で組成物及び導電性膜を調製し、評価した。導電性膜の電導度は40S/cmであった。耐熱性の評価結果は表1に示す。
オルガノシリカゾル「IPA-ST-UP」の添加量を7.33gに変更した以外は、実施例9と同じ方法で組成物及び導電性膜を調製し、評価した。導電性膜の電導度は40S/cmであった。耐熱性の評価結果は表1に示す。
オルガノシリカゾル「IPA-ST-UP」の添加量を22gに変更した以外は、実施例9と同じ方法で組成物及び導電性膜を調製し、評価した。導電性膜の電導度は40S/cmであった。耐熱性の評価結果は表1に示す。
オルガノシリカゾル「IPA-ST-UP」の添加量を36.7gに変更した以外は、実施例9と同じ方法で組成物及び導電性膜を調製し、評価した。導電性膜の電導度は37S/cmであった。耐熱性の評価結果は表1に示す。
オルガノシリカゾル「IPA-ST」を添加しなかった以外は、実施例1と同じ方法で組成物及び導電性膜を調製し、評価した。導電性膜の電導度は42S/cmであった。耐熱性の評価結果は表1に示す。
(組成物の調製)
94.4gの混合溶剤Aに5.6gのポリアニリン複合体2を溶解し、5.6質量%ポリアニリン複合体溶液を得た。この溶液に2-ナフタレンスルホン酸水和物0.42g、及びオルガノシリカゾル「IPA-ST」0.187gを添加し、組成物を調製した。
得られた組成物を用いて、実施例1と同じ方法で導電性膜を製造し、抵抗及び電導度を測定した。電導度は120S/cmであった。
放置温度を145℃から150℃に変更した他は、実施例1と同じ方法で導電性膜の耐熱性を評価した。結果を表2に示す。
オルガノシリカゾル「IPA-ST」の添加量を1.87gに変更した以外は、実施例14と同じ方法で組成物及び導電性膜を調製し、評価した。導電性膜の電導度は118S/cmであった。耐熱性の評価結果は表2に示す。
オルガノシリカゾル「IPA-ST」の添加量を5.6gに変更した以外は、実施例14と同じ方法で組成物及び導電性膜を調製し、評価した。導電性膜の電導度は106S/cmであった。耐熱性の評価結果は表2に示す。
オルガノシリカゾル「IPA-ST」を添加しなかった以外は、実施例14と同じ方法で組成物及び導電性膜を調製し、評価した。導電性膜の電導度は118S/cmであった。耐熱性の評価結果は表2に示す。
(導電性膜の浸漬処理)
50質量%の4-スルホフタル酸水溶液(東京化成工業株式会社製)0.4gをイソプロパノール(和光純薬株式会社製)19.6gに溶解し、均一な1質量%4-スルホフタル酸溶液を得た。この4-スルホフタル酸溶液10gに、実施例14と同じ方法で得られた導電性膜を5分間浸漬した。浸漬後、150℃で5分間の乾燥を行った。
得られた導電性膜について、実施例14と同じ方法で電導度及び耐熱性を評価した。電導度は327S/cmであった。耐熱性の評価結果は表3に示す。
オルガノシリカゾル「IPA-ST」の添加量を1.87gに変更した以外は、実施例17と同じ方法で組成物及び導電性膜を調製し、評価した。導電性膜の電導度は292S/cmであった。耐熱性の評価結果は表3に示す。
2 ITO電極
5 導電性膜
Claims (10)
- (a)導電性高分子、
(b)シリカ、及び
(c)フェノール性化合物
を含み、
前記成分(a)が、ポリアニリンと下記式(III)で示されるスルホコハク酸誘導体とを含むポリアニリン複合体であって、前記ポリアニリンが前記式(III)で示されるスルホコハク酸誘導体でドープされており、
前記成分(b)の含有量が、全固形分中0.1質量%以上かつ10質量%未満である組成物。
M(O3SCH(CH2COOR12)COOR13)m (III)
(式(III)において、
Mは、水素原子、有機遊離基又は無機遊離基であり、
mはMの価数であり、
R12及びR13は、それぞれ独立して、炭化水素基又は-(R14O)r-R15で表される基であり、R14は炭化水素基又はシリレン基であり、R15は水素原子、炭化水素基又はR16 3Si-で表される基であり、R16は炭化水素基である。3つのR16は同一又は異なっていてもよく、rは1以上の整数である。) - さらに(d)溶剤を含む請求項1に記載の組成物。
- さらに(f)疎水性基を有する酸を含み、前記疎水性基が、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、アルキルフェニル基、及びアルキルナフチル基からなる群から選択される1以上である請求項1又は2に記載の組成物。
- 前記成分(c)が、ArOH(ここで、Arはアリール基又は置換アリール基である)で示される化合物である請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
- さらに(e)酸性物質及び酸性物質の塩からなる群から選択される1以上を含む請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
- 前記成分(e)を2種類以上含む請求項5に記載の組成物。
- 前記成分(b)が粒子状、又は粒子が数珠状に連なった構造である請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
- 請求項1~7のいずれかに記載の組成物を用いて作製された導電性膜。
- 請求項1~7のいずれかに記載の組成物を塗布、乾燥して塗膜を形成し、
前記塗膜を、(e)酸性物質及び酸性物質の塩からなる群から選択される1以上を含む溶液に浸漬して乾燥する、導電性膜の製造方法。 - 請求項8に記載の導電性膜を含むコンデンサ。
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