JP2005154632A - 導電性複合微粒子分散体 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期分散安定性、透明性、薄膜コーティング時の低抵抗値化に関して満足すべき特性を有する導電性塗料を与える導電性複合微粒子分散体を提供する。
【解決手段】ピロールおよび/またはその誘導体であるモノマーを水系中かつ無機微粒子の存在下で重合して得られる複合微粒子であって、該モノマーの重合により形成される重合体微粒子の表面に該無機微粒子が付着している複合微粒子を、水系中に安定に分散させてなることを特徴とする導電性複合微粒子分散体。
【選択図】図2

Description

本発明は、導電性塗料の原料等として使用できる導電性複合微粒子分散体に関し、特に、PET、PE、PP、PS等の汎用高分子フィルム、シートへの塗布に適した導電性塗料の導電性成分となる導電性複合微粒子分散体に関する。また、室温での長期貯蔵安定性に優れ、塗布した場合に高い透明性を有し、そして薄膜で低い抵抗値の塗膜を形成し得る導電性高分子塗料にも関する。
ポリピロールは、高い導電性を有しかつ空気中で安定であるので、導電性塗料、防錆塗料、半導体材料、コンデンサ用電解質、有機EL素子の正孔輸送材、二次電池用電極材等への活用が期待されている。そして例えば、ピロールモノマーを水中に分散させ、塩化第二鉄を触媒として重合させると、塩素アニオンをドーパントとして取り込んだポリピロールが容易に得られることが知られている。しかしながら、このような方法で得られるポリピロールは黒色の粉末状凝集体となり、該凝集体は水を含むあらゆる溶媒に不溶であるので、その取り扱いは困難を極めている。また、ポリピロールは加熱によって融解しないので、加熱による射出成形等の加工が不可能であり、その利用分野は極めて限られていた。
成形加工性を改良する目的として、ポリピロール類を水中に分散させ、見かけ上均一な分散体を形成させることが提案されている。この方法に関する従来技術は大きく2つの系統に分類することができる。一つの方法は、PVAや界面活性剤を一種の分散安定剤として使用して分散体を製造する方法(例えば、特公平7−78116号公報参照)であり、二つ目の方法は、無機ないし有機の微粒子を基体材料として使用し、この基体材料表面にポリピロール類を被覆した複合微粒子の分散体を製造する方法である。後者には、金属酸化物からなる基体材料に導電性高分子を接着させてなる複合微粒子(例えば、特公平6−62887号公報参照)、基体材料の分散系中で導電性高分子を酸化重合する際に界面活性剤を添加する基体材料表面に導電性高分子被膜を形成させる方法(例えば、特開平11−166049号公報参照)、さらには、ある種の無機微粒子およびπ−共役二重結合を有する有機高分子との複合体からなる複合微粒子(例えば、特開平11−241021号公報)等が散見される。
特公平7−78116号公報 特公平6−62887号公報 特開平11−166049号公報 特開平11−241021号公報
しかしながら、これらの従来技術には未だ解決できない幾つかの課題が残されていた。
例えば、特公平7−78116号公報に記載の方法は、ピロール類を水に分散させ、該ピロール類をPVAの存在下、またはPVAとノニオン界面活性剤およびアニオン界面活性剤より選択される1種または2種以上の界面活性剤との存在下で重合することを特徴とし、PVAの分散作用により、さらには界面活性剤の界面張力低下作用により、水や溶媒に不溶なポリピロール類を単純に微粒子化するという原理に基づいている。しかしながら、PVAは導電性を有さず、しかもPVAの添加量がピロールに基いて2〜500重量%、好ましくは10〜200重量%、そして具体例では50ないし200重量部とピロールの量に比較して遥かに多量であるため、得られた分散体の抵抗値は高く、従って、導電性塗料とした場合に十分な導電性を示す塗膜を得るには、その厚さを数10μm以上とする必要がある。そのような厚い塗膜は透明性を有さずにポリピロール元来の色に起因した黒
色を呈することとなるが、該黒色の塗膜は導電性塗料を塗布する基材の色や模様を隠蔽してしまい、好ましい外観の塗装品を得ることが困難となる。
また、特公平6−62887号公報に記載の導電性顔料複合体は、非導電性の顔料金属酸化物、特に二酸化チタンからなる基体材料と、その基体材料の表面に付着させた導電性重合体材料とからなるが、基体材料は複合体の全量の約50〜99.9重量%を占めるとされており、さらには使用される基体材料の粒子径が約100〜400nmであって、何れの具体例においても、全量に基いて90重量%以上の基体材料と10重量%以下の導電性重合体材料を使用している。そしてこれらの条件は、該導電性顔料複合体では導電性高分子が基体材料の表面に薄く付着した状態となっていることを示すに他ならない。しかしながら、このように大きな基体材料を使用すると、水中で安定な分散状態を保持することができずに直ぐに沈降することから、塗料としての評価は一切できない。従って特公平6−62887号公報に記載の導電率は、濾過回収した導電性顔料複合体を圧搾して得たペレット品について測定したものとなっている。
特開平11−166049公報に記載の方法は、水のような高い極性を有する液体中に基体材料を分散または含浸させた後、モノマーを化学酸化重合させて基体材料の表面に導電性高分子の被膜を形成させて複合微粒子を製造する。この方法における界面活性剤は、基体材料を均一に分散または含浸させると共に、導電性高分子の被膜を基体材料に強固に結合するために使用されている。しかしながら、この方法で具体的に使用されている基体材料は最小でも粒子径が720nmのチタン酸バリウムであり、一般には、より大きな真球状、不定形状、繊維状、ウィスカー状の粉体の表面、さらには板状、棒状の発泡品の表面に導電性高分子を薄く付着させることを目的としている。また、基体材料とモノマーとの比率については基体材料3〜70重量部に対してモノマー0.1〜4重量部と記載されているが、何れの具体例においても、モノマー1部に対して2部以上、そして多くの場合には8部以上の基体材料を使用しており、このことからも基体材料の表面に被覆される導電性高分子の層が非常に薄いことがわかる。従って、この方法で得られる導電性複合体は塗料とすることを考慮したものでなく、水系中での安定した分散を維持することはもとより、塗布を行うことについても全く記載がない。よって、特開平11−166049公報に記載の評価も、導電性高分子を被覆した基体材料を濾過回収した後、これから油圧成型機によりディスクを作製し、該ディスクについて抵抗値を測定するものである。
特開平11−241021号公報には、無機リン酸塩、無機亜リン酸塩等の無機微粒子とπ−共役二重結合を有するモノマーとを水系媒体中で混合・分散させて前者に後者を吸着させる工程の後、モノマーを無機微粒子上で化学酸化重合させて得られる導電性複合微粒子が記載されている。この製造方法から分かる通り、得られる複合微粒子はπ−共役二重結合を有する導電性高分子が無機微粒子の表面を被覆してなるものであり、また具体例において使用されるモノマーの量が無機微粒子に対して1/5程度であることは、導電性高分子が基体材料の表面に薄く付着した状態にあることを示している。そして特開平11−241021号公報には、複合微粒子について導電性塗料としての評価は一切行われておらず、記載されている導電率は、濾過回収した複合微粒子を加圧成形して得られたディスクについてのものである。
以上述べたように、従来技術の導電性複合微粒子分散体は、導電性塗料とした場合において、長期分散安定性、透明性、薄膜コーティング時の低抵抗値化に関して未だ満足すべきものではなかった。従って本発明の目的は、例えばPET、PE、PP、PS等の汎用高分子フィルム、シートに塗布し得る導電性高分子塗料であって、特に、1.室温での長期貯蔵安定に優れ、2.基材フィルム(シート)に塗布した場合に高い透明を保持し、3.薄膜で塗布した状態で低い抵抗値を示す導電性塗料を経済的に製造することができる導電性複合微粒子分散体を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討を行った結果、上記課題に応え得る導電性複合粒子分散体として、ピロールおよび/またはその誘導体のモノマーを重合させて得られる粒子の表面に無機微粒子が付着してなる導電性複合微粒子が、水系中で極めて安定に存在し、導電性塗料の導電性成分として有用であることを見いだして本発明を完成するに至った。
即ち、本発明はピロールおよび/またはその誘導体であるモノマーを水系中かつ無機微粒子の存在下で重合して得られる複合微粒子であって、該モノマーの重合により形成される重合体微粒子の表面に該無機微粒子が付着している複合微粒子を、水系中に安定に分散させてなることを特徴とする導電性複合微粒子分散体に関する。
好ましい前記導電性複合微粒子分散体は、前記無機微粒子の粒子径は1ないし100nmであり、また前記重合体微粒子の粒子径は10ないし500nmであることを特徴とするものである。
さらに好ましい前記導電性複合微粒子分散体は、さらに粒子成長抑制剤を前記モノマーの重合反応系に添加することにより得られる分散体であって、該粒子成長抑制剤が前記複合微粒子の分散系に共存していることを特徴とするものである。
また本発明は、前記導電性複合微粒子分散体を導電性成分として含有してなる導電性塗料にも関する。
本発明が、従来の分散安定剤を使用する技術および基体材料を使用する技術と大きく異なる点は、モノマーの重合過程において、無機微粒子が重合初期のポリピロール微小滴の周りに吸着または付着して重合体微粒子が成長することである。従来の分散安定剤を使用する技術での分散体は、図1(a)に図示するように、導電性重合体1の微粒子の間にPVA等の分散安定剤2が存在した分散状態をなしており、また基体材料を使用する技術での分散体は、図1(b)に図示するように、導電性重合体1により被覆された基体材料3が分散した状態となっている。それに対して本発明の導電性複合微粒子分散体では、図1(c)に図示するように、導電性重合体1の表面に無機微粒子4が付着し、さらに粒子成長抑制剤5を使用した場合には、導電性重合体1の間に粒子成長抑制剤5が存在した分散状態をなしている。この分散状態は、本発明の導電性複合微粒子分散体のSEM写真である図2および図3からも確かめられる。このように、本発明の導電性複合微粒子分散体は、重合体微粒子の周りに微小な無機微粒子が付着した従来には見られない形態を成している。
上記した構造上の差異により、本発明の導電性複合微粒子分散体では特に、粒子径微小化、均一性、さらには水系中での長期安定性について大きく向上したものとなる。さらに本発明の導電性複合微粒子は、粒子径を5〜500nmの範囲内で略均一に制御することが可能であり、十分に小さくかつ均一な微粒子を形成することができるので、コーティング時においても透明性に優れ、導電率も十分に高くすることが可能となる。加えて、ポリピロール類微粒子の表面を無機微粒子が保護する形で覆っていることから、水系中での安定性は際だったものとなる。一方、従来技術の導電性複合粒子は、粒子径が大きすぎること等の理由から、時間と共に重力による粒子の沈降が生じ、分散安定性が極めて短時間で低下してしまう。また、見かけ上分散していると思われる粒子であっても、数時間の放置では安定であるが、それ以上の時間放置しておくと粒子同士が徐々に合一を始め、ある段階で急激に沈降してしまう現象が見られた。また、粒子径が不均一であるために、コーティングにより薄膜とした場合の透明性の低下、導電率の低下を導いていた。なお、本発明における「水系」とは、水のみを含む系であることができるが、また水以外の溶媒を含む系であっても良い。水以外の溶媒を含む系としては例えば、水−メタノール系、水−エタノール系、水−プロパノール系等を挙げることができる。
本発明の導電性複合微粒子分散体は、上記のような構成を採用することにより、非常に小さな粒子径の導電性の重合体微粒子を溶媒中に分散させた分散体を得ることができる。そして、重合体微粒子の粒子径が小さくなることにより、導電性および透明性が向上し、かつ分散体の分散安定性もまた向上する。
本発明に使用される無機微粒子としては、例えばセラミックスや、金属酸化物等が挙げられ、その粒子径は1ないし100nmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは5ないし50nmの範囲内である。100nmを越える粒子径の無機微粒子を用いると、得られる導電性複合微粒子も結果的に大きくなり、水系中で安定に分散することができなくなる。また、1nm以下の無機微粒子はこれ自体が希であり、取り扱いが困難であると同時に高価であることからあまり望ましくない。粒子径が前記範囲内であり、水系中で重合体粒子表面上に安定に存在し得れば、無機微粒子の種類に特に制限はなく、酸化インジウム、酸化スズ、酸化アンチモン、ITO、ATO、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化チタン等から適宜選択される。なかんずく、コロイド分散体とされているコロイダルシリカやコロイダルアルミナが好ましく使用される。
導電性複合微粒子を製造する際に無機微粒子を添加する時期としては、モノマーの重合を開始する直前から重合の中期(重合転化率で50%以下)の間であればよく、一方、重合の中期以降での添加では粒子径をコントロールすることができず、均一な粒子径の複合微粒子を得ることは困難である。1つの導電性複合粒子中における導電性重合体を100重量部としたときに、無機微粒子の量が0.1ないし50重量部であることが好ましく、より好ましくは3ないし15重量部である。50重量部を超えると、水系中での分散安定性は保持されるものの、塗膜を形成したときの透明性および抵抗値を損ねてしまう場合がある。また、0.1重量部未満では、導電性重合体が凝集して大きな粒子となり、水系中での分散安定性が低くなる傾向がある。
コロイダルシリカは、多種ある無機微粒子の中でも比較的均一で小さな粒子径を有していることから、本発明において好ましく使用される。例えば、水ガラス(珪酸ソーダ)法で製造されるコロイダルシリカは、数nmレベルから数100nmレベルの範囲内で粒子径を制御することができる。また、得られたアルカリタイプのシリカゾルは、イオン交換膜を通してNa+等の金属イオン量を300ppm以下とすることにより、酸性条件下での安定性を向上させ、酸性条件下で行われるピロールの重合や酸性条件下での使用に適したものとすることができる。さらに、濃度が30重量%のコロイダルシリカに塩酸を徐々に加え、pH2にしたときのコロイダルシリカのゲル化時間が150時間以上であるコロイダルシリカが好ましい。
また、使用する無機微粒子の粒子径は均一であることが望ましく、無機微粒子の粒子径が均一であるほど、得られる導電性複合微粒子の粒子径は均一となる。一方、粒子径が不均一であると、得られる導電性複合微粒子の粒子径も不均一となる。特に、無機微粒子の粒子径分布がUt値で2.0〜3.5であることが好ましい。ここで、本発明において粒子径分布を規定するUt値とは、無機微粒子の粒子径と無機微粒子の累積重量%との関係をプロットし、これを用いて以下のようにして求めたものである。
・粒子径と累積重量%について、縦軸に累積重量%を、横軸に粒子径をプロットし、累積重量で50重量%に値する粒子径Cを平均粒子径と規定する。
・累積重量で60重量%に値する粒子径Dを10重量%に値する粒子径Aで除した値(D/A)と、90重量%に値する粒子径Eを40重量%に値する粒子径Bで除した値(E/B)を加えた値((D/A)+(E/B))を全均一係数と規定する。
・D/AおよびE/Bがそれぞれ1.0に近いほど、また((D/A)+(E/B))が2.0に近いほど無機微粒子の粒子径分布幅が狭くなることを示す。
本発明でモノマーとして使用可能なピロールおよびその誘導体としては、ピロール、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−フェニルピロール、N−ナフチルピロール、N−メチル−3−メチルピロール、N−メチル−3−エチルピロール、N−フェニル−3−メチルピロール、N−フェニル−3−エチルピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−ブチルピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−n−プロポキシピロール、3−n−ブトキシピロール、3−フェニルピロール、3−トルイルピロール、3−ナフチルピロール、3−フェノキシピロール、3−メチルフェノキシピロール、3−アミノピロール、3−ジメチルアミノピロール、3−ジエチルアミノピロール、3−ジフェニルアミノピロール、3−メチルフェニルアミノピロール、3−フェニルナフチルアミノピロール等が挙げられる。特に好ましいのはピロールである。
モノマーの重合反応系中のモノマー濃度は、0.01〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%である。
ピロールおよび/またはその誘導体のモノマーを水系中にて重合するに際して、重合反応系に粒子成長抑制剤を併存させることにより、得られる導電性複合微粒子の粒子径を小さくすることができる。粒子成長抑制剤の添加方法としては、先ず粒子成長抑制剤と無機微粒子の混合液を作製しておき、これをモノマーが重合を開始する直前から重合の中期(重合添加率で50%以下)までの間に添加することにより、その効果が発揮される。モノマーの重合以前に粒子成長抑制剤と無機微粒子とを予め混合しておくと、より重合体微粒子の表面に効率良く無機微粒子が付着する。
粒子成長抑制剤としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、水溶性のポリビニルピロリドン等の水溶性高分子が好ましく使用され、特にポリビニルアルコールが好ましい。
ポリビニルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを略完全にけん化したポリビニルアルコールやポリ酢酸ビニルを部分的にけん化したポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、疎水性基変性ポリビニルアルコール、シラノール基変性ポリビニルアルコール等が使用され得る。これらのポリビニルアルコールの中でも、けん化度98%以上のものが好ましい。また、シラノール基変性ポリビニルアルコールとして主鎖にシラノール基が導入されたポリビニルアルコール(例えば、クラレポバールRポリマー)を使用すると、導電性複合微粒子の粒子径が小さくなるだけでなく、無機物との親和性が高く、無機微粒子との混合溶液の分散性をも向上させ、導電性複合粒子を形成させる過程において有利であり好ましい。
本発明で使用される粒子成長抑制剤の添加量は、無機微粒子100重量部に対して固形分として0.05〜500重量部が好ましく、さらに好ましくは1〜50重量部である。粒子成長抑制剤の添加量が多すぎると、得られる塗膜の導電性の低下を招く場合がある。また、粒子成長抑制剤の添加量が少なすぎると、その効果は小さくなる。
本発明のモノマーは、例えば酸化剤を用いた化学酸化重合により重合することができる。ここで使用される酸化剤としては、ピロールおよびその誘導体を酸化重合し得るものであれば特に制限はなく、例えば塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン類、塩化第二鉄、塩化アルミニウム等の金属ハロゲン化物、過酸化水素、過酢酸等の過酸化物、過硫酸、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸およびその塩、ヨウ素酸、過塩素酸カリウム等のハロゲン酸およびその塩、過マンガン酸カリウム、クロム酸等の遷移金属化合物、硝酸、
硫酸等のプロトン酸、オゾン、酸素等が挙げられ、これらは単独または混合して使用することができる。また、本発明で使用される酸化剤の量は、重合するモノマー1モルに対して0.01〜7モル程度、好ましくは0.1〜4モル程度である。
本発明では、重合に際して、ドーピング剤(ドーパント)を共存させることによってドーピングされた重合体を得ることもできる。本発明では、酸化剤の一部が取り込まれてドーパントとしての役割を果たすこともあるが、積極的にドーパントを入れることも可能である。使用されるドーパントとしては、一般に使用されているアクセプター性のドーパントなら全て使用できる。アクセプタ−性のドーパントとしては、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン類、五フッ化リン等のルイス酸、塩化水素、硫酸等のプロトン酸、塩化第二鉄等の遷移金属塩化物、過塩素酸銀、フッ化ホウ素銀等の遷移金属化合物等が挙げられる。
こうして得られた導電性複合微粒子分散体は、長期間安定して分散状態を保持することが可能であり、経時により粒子径が変化することはない。また、重合に際しドーパントを共存させることによって、さらなる導電性の向上も可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
なお、導電性複合微粒子の平均粒子径および粒度分布の測定には、HORIBA社製レーザー回折式粒度分布測定装置LA-920を使用し、塗膜の電気抵抗値の測定には、MITSUBISHI CHEMICAL CORPORATION社製Hiresta-UP MCP-HT450を使用し、そして塗膜の光線透過率はベースの基材をリファレンスとして固定波長550nmにて測定した。
実施例では無機微粒子として以下の表に示す性状を有するA〜Fのコロイダルシリカを選択して使用した。これらのコロイダルシリカは、30重量%のコロイダルシリカに塩酸を徐々に添加し、pH2にしたときのコロイダルシリカのゲル化時間が200〜300時間であった。
Figure 2005154632
実施例1
モノマーの重合に先立ち、コロイダルシリカA(3.5g、固形分0.7g)とポリビニルアルコール(PVA1、シラノール基含有PVA、平均重合度500、金属イオン濃度200ppm以下)の10%水溶液600gとを、室温中で1時間撹拌して混合液を調製した。
イオン交換水5000gにピロール6.5gを加えた後に、先の混合液を加え良く混合撹拌を行った。その後、重合反応系の温度を20℃に保ち、過硫酸アンモニウム44gを添加して酸化重合を開始した。2時間撹拌を継続して重合を終結させ、ポリピロールが分散した分散体を得た。
実施例2
コロイダルシリカの添加量を増やし、ポリビニルアルコールの添加量を減らした以外は、実施例1と同様に行った。
実施例3〜4
コロイダルシリカの添加量を増やした以外は、実施例2と同様に行った。
実施例5〜9
粒子径の大きなコロイダルシリカを使用した以外は、実施例2と同様に行った。
実施例10
コロイダルシリカをコロイダルアルミナにした以外は、実施例2と同様に行った。
実施例11
ポリビニルアルコールとして、シラノール基変性されていないポリビニルアルコール(PVA2)を使用した以外は、実施例2と同様に行った。
実施例12
ポリビニルアルコールを添加しない以外は、実施例2と同様に行った。
実施例13〜18
ポリビニルアルコールの添加量を変えた以外は、実施例2と同様に行った。
実施例19
ポリビニルアルコールを添加しない以外は、実施例8と同様に行った。
実施例20
ポリビニルアルコールを添加しない以外は、実施例9と同様に行った。
実施例21
粒子成長抑制剤として、水溶性ポリビニルピロリドンを使用した以外は、実施例2と同様に行った。
比較例1〜2
コロイダルシリカを使用しない比較例1、並びにコロイダルシリカおよび粒子成長抑制剤を使用しない比較例2についても同様に分散体の製造を行った。
実施例1〜21および比較例1〜2で用いた重合反応系の配合、並びに得られた導電性複合微粒子水分散液の評価結果および該分散液をPET上に塗布および乾燥して得られる塗膜の状態を以下の表に示す。なお塗膜厚みは0.5μmとした。
Figure 2005154632
*1:ポリピロール粒子が凝集しており、均一な塗膜を形成できなかった。
PVA1:シラノール基含有ポリビニルアルコール(けん化度98、クラレ社製、クラレポバールポリマー)
PVA2:けん化度98〜100%のポリビニルアルコール(クラレ社製、クラレポバール)
ピロリドン:水溶性ポリビニルピロリドン(BASFジャパン社製、ルビスコールK90)
シリカE:鎖状コロイダルシリカ(日産化学工業社製、スノーテックスOUP)
シリカF:パールネックレス状コロイダルシリカ(日産化学工業社製、スノーテックスPS−SO)
分散安定性は以下のように評価した。
◎:1月以上放置しても沈殿しない
○:1日以上放置しても沈殿しない
×:直ぐに沈殿してしまう
図1(a)は従来技術の分散体の分散状態を図示する模式図であり、図1(b)は従来技術の他の態様の分散体の分散状態を図示する模式図であり、そして図1(c)は本発明の導電性複合微粒子分散体の分散状態を図示する模式図である。 図2は、本発明の導電性複合微粒子分散体の電子顕微鏡写真である。 図3は、本発明の導電性複合微粒子分散体の電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1 導電性重合体
2 分散安定剤
3 基体材料
4 無機微粒子
5 粒子成長抑制剤

Claims (4)

  1. ピロールおよび/またはその誘導体であるモノマーを水系中かつ無機微粒子の存在下で重合して得られる複合微粒子であって、該モノマーの重合により形成される重合体微粒子の表面に該無機微粒子が付着している複合微粒子を、水系中に安定に分散させてなることを特徴とする導電性複合微粒子分散体。
  2. 前記無機微粒子の粒子径は1ないし100nmであり、また前記重合体微粒子の粒子径は10ないし500nmであることを特徴とする、請求項1記載の導電性複合微粒子分散体。
  3. さらに粒子成長抑制剤を前記モノマーの重合反応系に添加することにより得られる分散体であって、該粒子成長抑制剤が前記複合微粒子の分散系に共存していることを特徴とする、請求項1記載の導電性複合微粒子分散体。
  4. 請求項1ないし3に記載の導電性複合微粒子分散体を導電性成分として含有してなる導電性塗料。
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