JP5603661B2 - 歯車と軸の摺動構造およびころ軸受のリテーナ - Google Patents

歯車と軸の摺動構造およびころ軸受のリテーナ Download PDF

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Description

本発明は、歯車と軸の摺動構造、特に、負荷容量の増大とコンパクト性の向上とを図った歯車と軸の摺動構造、およびころ軸受のリテーナに関する。
例えば、特許文献1に、偏心揺動内接噛合型の歯車装置が開示されている。この歯車装置は、揺動軸を回転させることにより、該揺動軸上に配置された偏心体を介して外歯歯車を偏心揺動させている。外歯歯車は偏心揺動しながら内歯歯車に内接噛合し、外歯歯車と内歯歯車との相対回転が歯車装置の出力回転として取り出されるようになっている。
揺動軸上の偏心体と外歯歯車との間には、「ころ」が複数配置されている。即ち、外歯歯車と偏心体(軸)は、ころを介して互いに回転自在に摺動している。各ころは、内外輪を有しておらず、リテーナによって支持されている。例えば、図18に示されるように、リテーナ1は、各ころ2の円周方向の位置を規制する複数の支柱部4と、各ころ2の軸方向両端に配置されると共に該複数の支柱部4のそれぞれの端部を連結する一対の円環部6(図18ではその片側のみ図示)と、から主に構成されている。
特開2007−182987号公報
特許文献1において開示されているリテーナを含め、従来、歯車と軸(先の従来例の場合は偏心体)との間に介在されるころを支持するためのリテーナは、複数の支柱部の端部を円環部によって連結していた。円環部はころの両端に位置していたため、例えば、軸受として確保できる空間が同一の場合、該円環部の分だけ、当然にころの軸方向長は短くなっていた。しかし、リテーナは、「基本的に、歯車の内周の転動面と軸の外周の転動面との間において、ころを支持する必要がある。」ことから、従来このことが「課題」であるという認識は特に無かった。そのため、より大きな伝達容量が要請される場合には当然にころ自体の径、あるいは軸長を大きくすることで対応していた。そのため、結果としてその分装置全体の大きさが大きくなってしまっていた。
本発明は、歯車と軸とを(内外輪を有していない)ころによって回転自在に摺動させる構造を抜本的に見直すことにより、設計の自由度を確保しながら、装置の小型化を維持しつつ、より負荷容量の大きなころの組み込みを可能とすることをその課題としている。
本発明は、歯車と軸とを回転自在に摺動させる歯車と軸の摺動構造であって、前記歯車の内周の転動面と前記軸の外周の転動面との間に配置される複数のころと、該複数のころを支持するリテーナと、を備え、前記歯車の内周の転動面に前記リテーナの一部を収容する溝が形成され、前記リテーナは、前記複数のころと平行に延在されると共に、該複数のころ同士の円周方向の位置を規制する複数の支柱部と、該複数の支柱部を連結する連結部と、を備え、該連結部が、前記歯車の内周に形成された溝に収容され、前記支柱部が、前記連結部の内周側に配置され、前記連結部の内周には、ころを収容する凹部が形成されない構成とすることにより、上記課題を解決したものである。
本発明は、「歯車の内周の転動面と軸の外周の転動面との間においてころを支持する。」という、従来のリテーナに関して当然のように考えられていた思想から脱却し、リテーナの形状を、その一部が歯車の内周の転動面より半径方向外側に突出する形状に敢えて設定している。一方で、歯車の内周の転動面に「溝」を形成し、この溝内に当該リテーナの一部を収容する。
この構成により、リテーナはその全体が該溝によって歯車に対して軸方向に位置決めされ、しかも、リテーナの一部が歯車の内周の転動面から半径方向外側に突出していても、ころは溝以外の転動面を使って転動できる。この結果、ころの軸方向端部からリテーナが突出するのを回避する設計が可能となると共に、各ころをリテーナによって「ころの半径方向外側」から支持することが可能となるため、軸方向にも円周方向にもスペース的余裕を確保でき、より全長が長く、より径が大きいころ(負荷容量の大きなころ)を、より数多く組み込むことが可能となる。逆の視点で見るならば、ころの大きさが同一である場合には、よりコンパクトな設計が可能となる。
本発明によれば、ころ軸受の設計の自由度を高く維持しながら装置の小型化を維持しつつ、より負荷容量の大きなころをより多く組み込むことができるようになる。
本発明の実施形態の一例に係る歯車と軸の摺動構造が適用されている減速機の全体断面図 図1の要部拡大断面図 図1の矢示III−III線に沿う断面図 図1の矢示IV−IV線に沿う断面図 リテーナ単体の(A)断面図、及び(B)側面図 外歯歯車単体の(A)断面図、及び(B)側面図 外歯歯車にリテーナが組み込まれた状態の(A)断面図、及び(B)側面図 本発明の他の実施形態の一例に係る歯車と軸の摺動構造が適用されている減速機の全体断面図 図8の要部拡大断面図 図8及び図9の実施形態におけるリテーナ単体の(A)断面図、及び(B)側面図 本発明の更に他の実施形態の一例に係る歯車と軸の摺動構造が適用されている減速機の要部拡大断面図 本発明の更に他の実施形態の一例に係る歯車と軸の摺動構造が適用されている減速機の全体断面図 図12の矢示XIII−XIII線に沿う断面図 図12の要部拡大断面図 図12〜図14におけるリテーナの(A)正面図、及び(B)側面図 本発明の更に他の実施形態の一例に係る歯車と軸の摺動構造が適用されている減速機の全体断面図 図16の要部拡大断面図 従来の歯車と軸の摺動構造におけるリテーナの付近を示す要部拡大斜視図
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態の一例に係る歯車と軸の摺動構造について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の一例に係る歯車と軸の摺動構造が適用されている減速機の全体断面図、図2はその要部拡大断面図、図3は図1の矢示III−III線に沿う断面図、図4は図1の矢示IV−IV線に沿う断面図である。
減速機10の入力軸12は、第1、第2軸受14、16によって支持されている。入力軸12にはキー18を介して偏心体20が一体回転可能に組み込まれている。偏心体20は、2つの偏心部22A、22Bを備える。偏心部22A、22Bは、それぞれ入力軸12の軸芯O1に対してΔeずつ互いに逆方向に偏心している。各偏心部22A、22Bの外周にはころ26A、26Bを介して外歯歯車24A、24Bが摺動・回転可能にそれぞれ組み込まれている。
この実施形態では、偏心体20の偏心部22A、22Bが本発明における「軸」、外歯歯車24A、24Bが「歯車」にそれぞれ相当している。具体的には、外歯歯車(歯車)24Aと偏心部(軸)22Aとを回転自在に摺動させる第1の歯車と軸の摺動構造28Aに本発明が適用されている。全く同様に、外歯歯車(歯車)24Bと偏心部(軸)22Bとを回転自在に摺動させる第2の歯車と軸の摺動構造28Bにも本発明が適用されている。第1、第2の歯車と軸の摺動構造28A、28Bの構成については、後に詳述する。
外歯歯車24A、24Bは、それぞれケーシング30と一体化された内歯歯車32に内接噛合している。内歯歯車32の内歯は、この実施形態では外ピン34及び該外ピン34に被せられた外ローラ36によって構成されている。外歯歯車24A、24Bには、それぞれ内ピン孔38A、38Bが形成されている。この内ピン孔38A、38Bには内ローラ40の被せられた内ピン42が遊嵌している。内ピン42は出力軸44と一体化されたフランジ体46に固定(圧入)されている。出力軸44は、第3、第4軸受48、50によって支持されている。なお、図の符号52は冷却ファン、54はファンカバーである。
ここで、図5〜図7を合わせて参照しながら第1及び第2の歯車と軸の摺動構造28A、28Bの構成を詳細に説明する。なお、第1の歯車と軸の摺動構造28Aと第2の歯車と軸の摺動構造28Bは、偏心位相が180°ずれているほかは同一の構成を有している。従って、以降の説明では、便宜上、第1の歯車と軸の摺動構造28Aの側に着目して説明することとし、第2の歯車と軸の摺動構造28Bの側については、図中で末尾に「B」の付された符号を付すに止め重複説明は行わない。
図6(A)(B)は、外歯歯車24A単体の断面図及び側面図である。特に図2及び図6(A)(B)に示されるように、外歯歯車24Aの半径方向中央には軸受孔56Aが形成されている。該軸受孔56A(即ち外歯歯車24Aの内周の転動面)と偏心部(軸)22Aの外周の転動面との間にはころ26Aが配置されている。ころ26Aは、図3、図4に示されるように、この実施形態では13個配置されている。外歯歯車24Aの軸受孔56Aの内周の軸方向中央にはリング状の溝(スロット)58Aが円周方向に形成されている。
一方、本実施形態における(ころ26Aを支持するための)リテーナ21Aは、図5(A)(B)にその単体形状が示されるように、一部に切り欠き60Aの存在するリング状の部材で構成されている。この切り欠き60Aは、組立時にリテーナ21Aの外周径dri1を弾性変形によって小さくするためのものである。なお、リテーナの弾性変形度が高く、外歯歯車24Aの溝58A内に捩じりながら入れ込むことができる場合には、この切り欠き60Aは無くても良い。
リテーナ21Aの内周には、複数のころ26Aを回転自在に支持する「支持部」として機能する凹部64Aが、該ころ26Aの数に合わせて(この実施形態では13個)形成されている。この実施形態では、該凹部64Aは、複数のころ26Aの半径方向外側からそれぞれのころ26Aの外周の一部を回転自在に支持するべく、ころ26Aの外径dr1に一致した円弧径Dri1を有した凹形状とされている。但し、この「支持部」は、要は、複数のころ26Aを回転自在に支持できるものであれば良く、必ずしも当該凹部64Aのような構成である必要はない。例えば、隣接するころ26A、26Aの双方の外周の一部に接触するような凸部を、該隣接するころ26A、26Aの間に有するような構成であってもよい。
図7(A)(B)は、リテーナ21Aを外歯歯車24Aの溝58Aに嵌め込んだ状態を示している。図7(A)(B)を主に参照して、各部材の寸法関係を説明すると、この実施形態では、溝58Aの軸方向幅はWs1で、ころ26Aの全長Lr1の約1/3であり、深さはDs1である。リテーナ21Aの外周径dri1は、外歯歯車24Aの軸受孔56Aの内周径Dg1(即ち、各ころ26Aの外接円)よりも大きい(dri1−Dg1>0)。よって、この差δ1(=dri1−Dg1)に相当するリテーナ21Aの一部が、結果として各ころ26Aの外接円よりも半径方向外側に突出しており、前記外歯歯車24Aの溝58A内に収容されていることになる。リテーナ21Aの軸方向幅Wri1は、外歯歯車24Aの溝58Aの軸方向幅Ws1よりも僅かに小さい(Wri1<Ws1)。また、前記差δ1は溝58Aの深さDs1より小さい(δ1<Ds1)。これらの設定により、リテーナ21Aは外歯歯車24Aの溝58A内から抜けることはなく、且つ該溝58A内において外歯歯車24Aに対して自由に摺動できる。また、リテーナ21Aの凹部64Aの外接円径Dr2(図5参照)は、外歯歯車24Aの軸受孔56Aの内周径Dg1と同一か、該内周径Dg1より小さく設定されている。なお、リテーナ21Aの凹部64A以外の部分の内径Dr3は、当然に軸受孔56Aの内周径Dg1よりも小さい。
図2を再び参照して、偏心体20の軸方向両側には一対のドーナツ状の押え板66、68が配置されている。偏心体20及び押え板66、68は、スペーサ70、72を介して第1、第2軸受14、16の間にそれぞれ位置決めされている。より広い視点で見るならば、第1軸受14、スペーサ70、押え板(位置決め手段)66、偏心体20、押え板(位置決め手段)68、スペーサ72、及び第2軸受16が、入力軸12上に固定されたブッシュ74と止め輪76との間に挟まれることによって、偏心体20及び一対の押え板66、68を含む各部材の軸方向の位置決めがなされている(後述)。そして偏心体20の軸方向中央部に形成された凸部80と一対の押え板66、68とによってころ26A(及び26B)の偏心部(軸)22A(及び22B)に対する軸方向の位置決め及びスキュー回転の防止(捩れ回転の防止)がなされる。
次にこの減速機10の作用を説明する。
入力軸12が1回回転すると偏心体20の各偏心部22A、22B及びころ26A、26Bを介して外歯歯車24A、24Bが1回揺動する。この実施形態では、内歯歯車32がケーシング30と一体化されて固定状態にあるため、外歯歯車24A、24Bと内歯歯車32との噛合位置がそれぞれ1歯だけ(歯数差分だけ)ずれ、外歯歯車24A、24Bは、該内歯歯車32に対して1歯分の角度だけ相対回転する(入力軸12の回転と逆方向に自転する)。
この内歯歯車32に対する外歯歯車24A、24Bの相対回転(自転)が、内ピン孔38A、38Bと内ピン42(及び内ローラ40)の遊嵌を介してフランジ体46から取り出される。フランジ体46の回転は、該フランジ体46と一体化されている出力軸44へと伝達される。
ここで、この実施形態におけるリテーナ21Aは、基本的に支柱部や円環部を有しておらず、該リテーナ21Aの存在によって装置全体の軸方向スペースが増大してしまうのを防止できている。又、リテーナ21Aの一部が外歯歯車24Aの内周に形成された溝58Aの内部に収容されると共に、凹部64Aによって半径方向外側から各ころ26Aを支持する構成が採用されている。このため、各図面の描写から明らかなように、各ころ26Aは互いに接触し合うほど偏心部22Aの周りに(円周方向に)密に配置することができている。この結果、リテーナ21Aの存在によって軸受全体のスペースが増大するのを防止しながら、より長い長さ及びより大きな径を有するころ26Aをより数多く配置することができ、負荷容量の大きな歯車と軸の摺動構造28Aを構成することができる。しかも、構造が簡単で組付けも容易であり低コストである。
また、この実施形態では、リテーナ21Aの一部を収容するための溝58Aは、ころ26Aよりも半径方向内側にある偏心部22Aの側、即ち「軸」の側に形成するのではなく、ころ26Aよりも半径方向外側にある外歯歯車24Aの側、即ち「歯車」の側に形成するようにしている。もし仮に、溝を偏心部22Aの側に形成した場合には、偏心部22Aの外周面(転動面)は、その半径r1が小さく、且つ、該偏心部22Aところ26Aとの接触状態を入力軸12に沿って観察したときに(図3、図4の方向から観察したときに)、偏心部22Aの外周面ところ26Aの外周面は、「凸面と凸面の接触」となっているため、転動面における接触面圧が高くなってしまう。しかし、この実施形態では、溝58Aを外歯歯車24Aの側に形成している。外歯歯車24Aの内周面(ころ26Aとの転動面)は、その半径r2が大きく、且つ、該外歯歯車24Aところ26Aとの接触状態を入力軸12に沿って観察したときに(図3、図4の方向から観察したときに)、外歯歯車24Aの内周面ところ26Aの外周面は「凹面と凸面の接触」となっている。このため、転動面における接触面圧を低く維持することができ、該転動面にリテーナ21Aの一部を収容するための溝58Aを形成しても、必要な強度を十分に維持することができる。
また、この実施形態では、第1軸受14、スペーサ70、押え板66、偏心体20、押え板68、スペーサ72、及び第2軸受16の軸方向の位置決めは、これらの部材が入力軸12上に固定されたブッシュ74と止め輪76との間に挟まれることによってなされている。この一連の部材の位置決めにより、結果として偏心体20及び一対の押え板66、68の位置決めがなされる。ころ26A、26Bの軸方向の位置決めは、該一対の押え板(位置決め手段)66、68がころ26A、26Bの軸方向端部に当接し、結果として該ころ26A、26Bが偏心体20の軸方向中央の凸部80と該一対の押え板66、68との間に挟まれることによって行なわれる。又、ころ26A、26Bの円周方向の位置決め(支持)は、リテーナ21A、21Bの凹部64A、64Bによって各ころ26A、26Bの外周の一部が半径方向外側から支持されることによって行なわれる。
なお、従来のリテーナ(1)の円環部(6)は、複数の支柱部(4)を連結する機能及び各ころ(2)同士の相対的な軸方向の位置決めを行なう機能は有していたが、「リテーナ(1)によって支持されたころ(2)の集まり」の全体を減速機内の所定の軸方向位置に位置決めするには「別途の位置決め手段」を必要とした。そのため、この別途の位置決め手段と円環部(6)とが互いに干渉しないように設計するためには、特別な工夫をする必要があった。特別な工夫とは、例えば、「円環部の内周側に位置決め部材を配置する」というような工夫である。しかし、この場合、円環部の径方向寸法を小さくする必要が生じ、強度上問題となる恐れが生じる。そして強度不足を補うために円環部を軸方向に長くすると、それだけ装置全体も軸方向に大型化してしまう。一方、円環部の径方向寸法を小さくしない場合には、今度は位置決め手段の方の径方向寸法を小さくせざるを得ず、ころの位置決めを十分にできない恐れが生じる。いずれにしても、このような特別な工夫をしない場合(あるいはできない場合)には、当該別途の位置決め手段自体を円環部の軸方向端部に当接させることになるため、該別途の位置決め手段と円環部との双方が軸方向にスペースを占有してしまうことになる。これに対し、この実施形態では、もともところの軸方向両側にはリテーナが全く存在しないため、何等特別の工夫をすることなく、前記一対の押え板66、68をころ26A、26Bの両端に単に配置するだけで各ころ26A、26Bの軸方向の位置決めを「直接」且つ「確実」に行なわせることができる。このため設計の自由度を格段に高く確保することができる。そして、後述するように、必要に応じて一対の押え板の機能を例えば軸受の端部に持たせる等の工夫(例えば図12参照)を施すならば、ころの全長そのもののスペースのみで、ころのあらゆる方向の位置決めを行なうことも可能となる。
図8〜図10に、本発明の他の実施形態の一例を示す。
図8は、図1相当の減速機の全体断面図、図9は図2相当の要部拡大断面図、図10(A)(B)はこの実施形態において採用されているリテーナ単体の形状を示す図7相当の断面図及び側面図である。
この実施形態における歯車と軸の摺動構造88Aでは、外歯歯車90Aが軸方向において分割された2つの外歯歯車体90A1、90A2によって構成されている。同様に、歯車と軸の摺動構造88Bにおいても、外歯歯車90Bが軸方向において分割された2つの外歯歯車体90B1、90B2によって構成されている。便宜上摺動構造88Aの側に着目して説明すると、外歯歯車90Aの内周92Aの転動面におけるリテーナ94Aを収容する溝96Aは、外歯歯車90Aの外歯歯車体90A1、90A2の内周側にそれぞれ形成した段部98A1、98A2が互いに向かい合うことによって形成されている。このため、溝96Aの付近で外歯歯車体90A1、90A2を軸方向に分離できることから、リテーナ94Aを変形させることなく外歯歯車90Aの溝96A内に組み込むことが可能である。
リテーナ94Aは、(変形させなくても組み込むことができることから)図10に示されるように、凹部95Aを有すると共に切り欠きの無い完全なリング形状に形成されている。
この実施形態によれば、リテーナ94Aの素材として、先の実施形態より剛性の高い素材を用いることができ、また形状的にも(切り欠きの無い分)先の実施形態におけるリテーナ21A、21Bよりも更に剛性を高めることができる。このため、先の実施形態と比べてころ26A、26Bの支持剛性が高く、特にスキューの発生し難い支持が可能である。
なお、外歯歯車90Aは、軸方向に2分割されていたとしても、又、該2分割された外歯歯車体90A1、90A2同士が特に一体化されていなくても、該外歯歯車90Aの全体の強度や運動性能には特に影響は無い。
その他の構成については、先の実施形態と同様であり、同様の効果が得られる。そのため、図中で先の実施形態と同一又は機能的に類似する部分に同一の符号を付すに止め、重複説明を省略する。
なお、先の実施形態においては、ころ26Aに対して1個のリテーナ21A、或いは94Aをころ26Aの軸方向中央にのみ配置するようにしていた。しかし、先の実施形態の変形例として、図11に示されるように、例えばリテーナ94A(或いは21A)を、複数(図11の場合2個)間隔をあけて配置するようにしてもよい。
なお、このように複数のリテーナを配置する場合(特にリテーナ94Aのように高剛性の素材のリテーナを配置する場合)、先の図8〜図10の実施形態のように、各溝96A1、96A2の付近で外歯歯車98Aを軸方向に3枚(以上)に分割された外歯歯車体98A1、98A2、98A3で構成するようにすると、リテーナ94Aの組み付けがより容易となる(外歯歯車98B側も同じ)。
これにより、各ころ26Aをより高い剛性で支持することができるようになる。
図12〜図15に、本発明の更に他の実施形態の一例を示す。
この実施形態は、2段の揺動内接式遊星歯車機構100、102を備えた(風力発電機のヨー駆動、またはピッチ駆動用の)減速機104に本発明を適用したものである。
前段に備えられた歯車機構100は、図1〜図7の実施形態と同様の構成を有する(中央入力タイプの)揺動内接式遊星歯車機構であるが、この実施形態では、前段の歯車機構100には特に本発明は適用されていない。但し、前段の歯車機構100にも適用してもよい。
一方、後段の歯車機構102は、前段の歯車機構100の出力を4本の揺動軸111〜114(図13参照、図12では揺動軸111のみ図示)に振り分けた上で入力するいわゆる振り分けタイプと称される揺動内接式遊星歯車機構である。
以下、概略を説明する。
後段の歯車機構102の入力軸120が回転すると、伝動歯車122、124を介して4本の揺動軸111〜114が同時に減速回転する。各揺動軸111〜114には、それぞれ偏心部(軸)123A、123Bが形成されており、それぞれの揺動軸111〜114の回転によって各揺動軸111〜114の偏心部123A、123Bが同位相で回転する。すると、ころ125A、125Bを介して外歯歯車126A、126Bが内歯歯車128に内接しながら揺動回転する。内歯歯車128はケーシング130と一体化され、固定された状態にあるため、外歯歯車126A、126Bが揺動回転すると、該外歯歯車126A、126Bと内歯歯車128の内歯である外ピン132との噛合位置が順次移動していく現象が発生する。この噛合位置の移動により、固定状態にある内歯歯車128に対して歯数差に相当する分だけ外歯歯車126A、126Bの位相がずれる(自転する)。そのため、揺動軸111〜114が該自転成分に相当する速度で減速機104の軸心周りで公転し、該揺動軸111〜114を支持しているキャリヤ134、136が一体となって当該公転速度に相当する速度で回転する。この構成でも、先の実施形態と同様な外歯歯車126A、126Bと内歯歯車128の相対運動が得られる。
なお、揺動軸111〜114はキャリヤ134、136に第1、第2軸受156、158を介して回転自在に支持されている。キャリヤ134、136は、出力軸153とスプライン139、141を介して一体回転可能とされ、キャリヤピン147及びボルト149を介して連結されている。このキャリヤ134、136は、外ピン132と同軸、同径とされたころ軸受151及び自動調心ころ軸受153によって、出力軸138及び出力ピニオン155ごと巨大な出力ブロックとしてケーシング130に支持されている。
本発明に係る歯車と軸の摺動構造110A(110B側も同じであるため図中で符号B系を付すに止める)は、外歯歯車126Aと4本の揺動軸111〜114のそれぞれの偏心部(軸)123Aとの間の摺動に適用されている。
図14は、減速機104の要部拡大断面図、図15はリテーナ単体の正面図及び側面図である。図14、図15に示されるように、歯車と軸の摺動構造110Aは、この実施形態では、リテーナ140Aが、複数の支柱部142Aを備えている。支柱部142Aは、ころ125Aと平行に延在されており、該複数のころ125A同士の円周方向の位置を規制している。また、支柱部142Aは、複数(この実施形態では2本)の連結部156A1、156A2によって連結されている。一方、外歯歯車126Aには、溝150A1、150A2が2本形成されている。そして、前記連結部156A1、156A2がこの溝150A1、150A2にそれぞれ収容されている。
この実施形態でのリテーナ140Aの連結部156A1、156A2には、一部に切り欠き152Aが形成されている。この切り欠き152Aは、組立時にリテーナ140Aの連結部156A1、156A2を弾性変形によって変形させ易くするためのものである。
この実施形態に係る構成によれば、ころ125Aは、リテーナ140Aの支柱部142Aによって円周方向の位置規制がなされ、且つ2本の連結部156A1、156A2によって各支柱部142Aが連結された上で、該連結部156A1、156A2が外歯歯車126Aの溝150A1、150A2に収容されている。このため、ころ125Aを極めて高い剛性にて回転・支持することができる。
この実施形態では、揺動軸111〜114をキャリヤ134、136に支持している第1、第2軸受156、158の内輪159、161の端部を利用してころ125Aの軸方向の位置決めを行っている。また、リテーナ140Aは、外歯歯車126Aの溝150A1、150A2に連結部156A1、156A2が収容されることによって軸方向に位置決めされているため、結局、この実施形態では、何らの(押さえ板等の)別途の位置決め手段を有することなく、ころ125A及びリテーナ140Aの軸方向の位置決めができている。このため、軸受スペースとしての軸方向長さLr2(図14)は、ころ125Aの軸方向長さLr2と一致しており、同一のスペースで最大限長いころ125Aを組み込むことができている。また、この実施形態でも、リテーナ140Aがころ125Aを半径方向外側から支持しており、且つ連結部156A1、156A2が外歯歯車126Aの溝150A1、150A2内に収容されている。このため、図13の描写から明らかなように、各ころ125Aを互いに接触し合うほど偏心部123Aの周りに密に配置することができている。したがって、ころ125Aの軸方向長さLr2を長く確保できることと相まって、負荷容量の大きな摺動構造110Aを得ることができる。
図16に更に他の実施形態の一例を示す。
図16には、4段の単純遊星歯車機構201〜204を連結した減速機206が示されている。この減速機206も風力発電機のヨー駆動、またはピッチ駆動用として用いられる。図17に要部を拡大図示するように、この実施形態においては、最終段の単純遊星歯車機構204の遊星歯車205を遊星ピン(軸)208によって回転自在に支持する「歯車と軸の摺動構造209」として本発明が適用されている。遊星ピン208は一対の遊星キャリヤ210、212と一体化されている。遊星歯車205に減速機206の内周と遊星ピン208の外周との間には複数のころ214が配置されている。複数のころ214はリテーナ216によって支持されると共に、薄い押さえ板(例えば、スラスト針状ころ軸受の鋼板軌道輪のような板)217、219が、前記一対の遊星キャリヤ210、212によって軸方向に位置決めされている。
リテーナ216の構成は、基本的に先の図12〜図15のリテーナ140Aと同様である。即ち、リテーナ216は、複数のころ214と平行に延在されると共に該複数のころ214同士の円周方向の位置を規制する複数の支柱部218を備えている。また、リテーナ216は、該複数の支柱部218を連結すると共に自身の一部が遊星歯車205の溝220、222にそれぞれ収容される複数の連結部224、226を備えている。
この実施形態においても、押さえ板等の別途の位置決め手段を要することなく、最大限に大きな径及び長さのころ214を最小限のスペースに位置決め・支持することができる。
なお、本発明では、上記実施形態のほかにさまざまな変形例が考えられる。例えば、図11以降の実施形態におけるリテーナは、支柱部を2本の連結体で連結するようにしていたが、支柱部を連結する連結体は、1本でもよく、また、3本以上でも良い。減速機構も実施形態の例に限定されず、歯車の内周の転動面と軸の外周の転動面との間に複数のころが配置される構造であれば本発明を適用できる。
20…偏心体
21A、21B…リテーナ
22A、22B…偏心部(軸)
24A、24B…外歯歯車(歯車)
26A、26B…ころ
28A、28B…歯車と軸の摺動構造
58A、58B…溝
60A、60B…切り欠き
64A、64B…凹部

Claims (8)

  1. 歯車と軸とを回転自在に摺動させる歯車と軸の摺動構造であって、
    前記歯車の内周の転動面と前記軸の外周の転動面との間に配置される複数のころと、
    該複数のころを支持するリテーナと、を備え、
    前記歯車の内周の転動面に前記リテーナの一部を収容する溝が形成され、
    前記リテーナは、前記複数のころと平行に延在されると共に、該複数のころ同士の円周方向の位置を規制する複数の支柱部と、該複数の支柱部を連結する連結部と、を備え、
    該連結部が、前記歯車の内周に形成された溝に収容され、
    前記支柱部が、前記連結部の内周側に配置され、前記連結部の内周には、ころを収容する凹部が形成されない
    ことを特徴とする歯車と軸の摺動構造。
  2. 請求項1において、
    前記歯車が、軸方向において分割された複数の歯車体で構成され、各歯車体に形成された段部が合わさることで前記溝が構成される
    ことを特徴とする歯車と軸の摺動構造。
  3. 請求項1または2において、
    前記リテーナが、リング状の部材で構成され、且つその円周方向の一部に切り欠きを有している
    ことを特徴とする歯車と軸の摺動構造。
  4. 請求項1〜のいずれかにおいて、
    前記歯車が前記溝を複数備え、且つ、
    前記リテーナが、前記複数の溝にそれぞれ収容される複数の連結部を備えた
    ことを特徴とする歯車と軸の摺動構造。
  5. 請求項1〜のいずれかにおいて、更に、
    前記複数のころの軸方向端面に当接して各ころの軸方向移動を規制する位置決め手段を備えた
    ことを特徴とする歯車と軸の摺動構造。
  6. 請求項5において、
    前記位置決め手段は、前記軸を支持する軸受の内輪である
    ことを特徴とする歯車と軸の摺動構造。
  7. 内輪及び外輪を有しないころ軸受における複数のころを支持するころ軸受のリテーナにおいて、
    前記複数のころと平行に延在されると共に、該複数のころ同士の円周方向の位置を規制する複数の支柱部と、該複数の支柱部を連結する連結部と、を備え、
    前記支柱部が、前記連結部の内周側に配置され、前記連結部が、前記複数のころの外接円よりも半径方向外側に突出し、かつ前記連結部の内周には、ころを収容する凹部が形成されない
    ことを特徴とするころ軸受のリテーナ。
  8. 請求項7において、
    前記複数のころの軸方向端面に当接して各ころの軸方向移動を規制する位置決め手段を備え、
    前記位置決め手段は、前記軸を支持する軸受の内輪である
    ことを特徴とするころ軸受のリテーナ。
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