JP5599856B2 - 電気音響変換器および表示デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、振動体として圧電フィルムを用いた薄型の圧電スピーカやマイクロフォン等の電気音響変換器、および、これを用いる表示デバイスに関する。
ポリフッ化ビニリデン(PVDF:Poly VinyliDene Fluoride)の一軸延伸フィルムなどの高分子圧電材料や、高分子材料をマトリクスとして粉末状の圧電材料を分散してなる高分子複合圧電体など、シート状の圧電材料の両面に電極層を形成してなる、いわゆる圧電フィルムは印加電圧に応答して伸縮する性質を有している。これをスピーカとして採用するためには、フィルム面に沿った伸縮運動をフィルム面に垂直な方向の振動に変換する必要がある。上記した伸縮運動から振動への変換は、圧電フィルムを湾曲させた状態で保持することにより達成され、これにより、圧電フィルムをスピーカとして機能させることが可能になる。
しかしながら、一般的に圧電フィルム自体は剛性が低いため、スピーカの面積が大きくなると自重によって撓んでしまい、湾曲させた状態で保持することが困難になるため、スピーカの大型化には限界があった。
この課題に対して、圧電フィルムに機械的バイアスを与える工夫がなされている。例えば、特許文献1には、高分子圧電材料シートの両面に、蒸着等によって薄膜電極を形成し、薄膜電極の一端をバッキングを介してケースに固定し、他方の薄膜電極を、機械的バイアスを与える部材の上に形成した導電膜に圧接してなる電気音響変換器(携帯用発音装置)が記載されている。
この特許文献1には、電気音響変換器に用いる機械的バイアスを与える部材として、緩い曲率を有する部材が記載されている。
具体的には、圧電フィルムの伸縮方向の両端を、伸縮方向と略平行に隙間を両側に設けた取付板に固定すると共に、圧電フィルムの音波放射方向と逆側の薄膜電極を、地板を介して前記曲率を有する部材に押圧して、緩い曲率を有する部材と地板との間で電気的導通を取る構成が記載されている。
特許文献1に記載される電気音響変換器では、機械的バイアスを与えるための緩い曲率を有する部材に圧電フィルムを押圧することにより、周辺を固定された圧電フィルムが湾曲した形状となる。
この電気音響変換器においては、弾性部材が緩い曲率を有することにより、圧電フィルムのどの場所でも一定の機械的バイアスを与えることが可能になるため、圧電フィルムの伸縮運動が無駄なく前後運動へと変換され、供給された電力に応じた音を発生する。
特開昭53−59473号公報
前述のように、特許文献1に記載される電気音響変換器においては、機械的バイアスを与えるための緩い曲率を有する部材を用いることで、圧電フィルムのどの場所でも一定の機械的バイアスを与えることが可能になるため、圧電フィルムの伸縮運動が無駄なく前後運動へと変換することを可能にしている。
特許文献1では、電気音響変換器が、このような構成を有することにより、音色を広い周波数帯に渡って自由に選ぶことができ、かつ、部品点数の減少、構成や信頼性機構の簡易化等を図れるとしている。
しかしながら、圧電フィルムに曲率を持たせた場合には、圧電フィルムが湾曲しているため、設置場所や取り付け方法に制約を受け、壁掛けとしたり、絵画、ポスター、装飾板等の裏面に設置したりするには適さない。また、スピーカの面積が大きくなると、緩い曲率であっても厚さが大きくなってしまい、本来の薄型スピーカとしての特長も損なわれてしまう。
このような問題を補うためには、圧電フィルムの曲率を小さく(曲率半径を大きく)すればよいが、平面に近づくと圧電フィルムの伸縮運動が前後運動できず音が出なくなってしまい、音圧(音量)が小さくなってしまう。
そのため、十分に薄く、かつ、高音量で、優れた音響特性を有する平面型の電気音響変換器は、実現されていない。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、薄く、しかも、周波数特性や音量などの音響特性にも優れる平面型の電気音響変換器および表示デバイスを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、互いに対向する2つの主面を有し、電界の状態に応じて主面が伸縮する圧電フィルムと、圧電フィルムの一方の主面に密着して配置される粘弾性支持体と、圧電フィルムを粘弾性支持体に押圧することにより、粘弾性支持体の少なくとも一部の厚さを薄くした状態で保持する押圧部材とを有し、圧電フィルムの主面に平行な所定の一方向において、圧電フィルムが、押圧部材によって押圧される押圧部を除く少なくとも一部で、粘弾性支持体の表面によって実質的に直線状に保持される平坦部と、押圧部と平坦部とに接続され、押圧部に対して交差する方向に延在する傾斜部とを有することを特徴とする電気音響変換器を提供する。
このような本発明において、圧電フィルムは、粘弾性支持体の全体を押圧しているのが好ましい。
また、傾斜部は、平坦部に接続され押圧部に向かう、曲線状の湾曲部と、湾曲部と押圧部とに接続され、押圧部に対して交差する方向に延在する立上がり部とを有するのが好ましい。
さらに、湾曲部の曲率半径が、1mm〜300mmであるのが好ましい。
また、立上がり部と押圧部とが交差する角度が10°〜90°であるのが好ましい。
また、圧電フィルムの、押圧部からの平坦部の高さが1mm〜10mmであるのが好ましい。
また、押圧部材が、圧電フィルムの周縁部の少なくとも一部を押圧して、圧電フィルムを粘弾性支持体に押圧するのが好ましい。
また、押圧部材が、圧電フィルムの周縁部の全周を粘弾性支持体に押圧するのが好ましい。
また、粘弾性支持体を載置する支持体を有し、圧電フィルムが粘弾性支持体を覆うように配置されると共に、押圧部材が、圧電フィルムを粘弾性支持体に押圧して、粘弾性支持体の少なくとも一部の厚さが薄い状態で保持して、支持体に固定されるのが好ましい。
また、粘弾性支持体を、一部が突出した状態で収容する有底筒状の筐体を有し、圧電フィルムが、粘弾性支持体と筐体とを覆うように配置されると共に、押圧部材が、圧電フィルムを筐体に押圧することにより、圧電フィルムが粘弾性支持体を押圧して、粘弾性支持体の少なくとも一部の厚さが薄い状態で保持されるのが好ましい。
また、押圧部材が、圧電フィルムの周縁部の全周を筐体に押圧するのが好ましい。
また、押圧部材が、圧電フィルムの周縁部の少なくとも一部を筐体に押圧するのが好ましい。
また、圧電フィルムが、高分子複合圧電体または高分子圧電材料からなるシート状の圧電体と、圧電体の両面に形成された薄膜電極と、薄膜電極の表面に形成された保護層とを有するものであるのが好ましい。
また、高分子複合圧電体が、常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなるものであるのが好ましい。
また、常温で粘弾性を有する高分子材料が、シアノエチル基を有するものであることが好ましい。
さらに、常温で粘弾性を有する高分子材料が、シアノエチル化ポリビニルアルコールからなるのが好ましい。
また、圧電フィルムの薄膜電極の少なくとも一方が、押圧部以外の領域に形成されるのが好ましい。
また、粘弾性支持体が、吸音効果を有することが好ましい。
また、粘弾性支持体が、繊維材料、或いは発泡材料であるのが好ましい。
また、粘弾性支持体がフェルト材、グラスウール、および、グラスウールとフェルト材との組み合わせのいずれか、或いは発泡プラスチックであるのが好ましい。
ここで、フェルト材の比重が50〜500kg/mであるのが好ましい。
また、フェルト材が、羊毛からなるのが好ましい。
また、フェルト材が、レーヨンおよび/またはポリエステル繊維を含んだ羊毛フェルトからなるのが好ましい。
また、グラスウールの比重が20〜100kg/mであるのが好ましい。
また、発泡プラスチックの比重が16〜100kg/mであるのが好ましい。
また、発泡プラスチックが、ポリウレタンからなるのが好ましい。
また、粘弾性支持体の、圧電フィルムに押圧される前の、圧電フィルムと密着する面が平面であるのが好ましい。
また、粘弾性支持体の、圧電フィルムに押圧される前の厚さが、1〜50mmであるのが好ましい。
また、圧電フィルムの平坦部での、粘弾性支持体の押圧力が0.02〜0.2MPaであるのが好ましい。
また、圧電フィルムおよび粘弾性支持体が、円形状、オーバル形状、または矩形状であるのが好ましい。
また、出力電圧が−6dB/オクターブに近似するようなアンプで駆動されることが好ましい。
また、上記目的を達成するために、本発明は、上記の電気音響変換器をスピーカ部として用いた表示デバイスを提供する。
上記構成を有する本発明は、電界の状態に応じて伸縮する圧電フィルムと、圧電フィルムの一方の面に密着して配置される粘弾性支持体と、圧電フィルムを粘弾性支持体に押圧することにより、粘弾性支持体の少なくとも一部の厚さを薄くした状態で保持する押圧部材とを有し、圧電フィルムが、押圧部材によって押圧される押圧部を除く少なくとも一部で、粘弾性支持体の表面によって平面状に保持される平坦部と、押圧部と平坦部とに接続され、押圧部に対して交差する方向に延在する傾斜部とを有する。傾斜部において粘弾性支持体は押圧部に近づくほど厚さ方向に圧縮された状態になるが、静的粘弾性効果(応力緩和)によって平坦部とほぼ変わらない機械的バイアスを圧電フィルムに与えることが可能になる。その結果、圧電フィルムのどの場所でも機械的バイアスを一定に保つことができ、緩い曲率を有する部材を用いた場合と同様に、圧電フィルムの伸縮運動が無駄なく前後運動へと変換されるため、薄く、しかも、十分な音量が得られ、音響特性に優れる平面状の電気音響変換器を得ることができる。
また、保持部材近傍以外の領域が平坦に維持されるので、設置場所や取り付け方法の制約を低減することができ、壁掛けとしたり、絵画、ポスター、装飾板等の裏面に設置したりすることができる。
本発明の電気音響変換器の一例を概念的に示す斜視図である。 図1に示す電気音響変換器のII−II線における概略断面図である。 図1の圧電フィルムを説明するための概念図である。 (A)〜(D)は、図1の電気音響変換器の構造を説明するための概念図である。 図1に示す電気音響変換器を説明するための概略断面図である。 駆動電圧と時間との関係を概念的に示すグラフである。 (A)は、図1に示す電気音響変換器の動作を説明するための上面図であり、(B)は、(A)のB−B線断面図である。 (A)は、図1に示す電気音響変換器の動作を説明するための上面図であり、(B)は、(A)のB−B線断面図である。 (A)は、図1に示す電気音響変換器の動作を説明するための上面図であり、(B)は、(A)のB−B線断面図である。 (A)は、本発明の電気音響変換器の他の一例を概念的に示す上面図であり、(B)は、(A)のC−C線断面図である。 本発明の電気音響変換器の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の電気音響変換器の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の電気音響変換器の他の一例を概念的に示す断面図である。 (A)は、本発明の電気音響変換器の他の一例を概念的に示す斜視図であり、(B)は、(A)のB−B線断面図であり、(C)は、(A)のC−C線断面図である。 (A)は、本発明の電気音響変換器の他の一例を概念的に示す斜視図であり、(B)は、(A)のB−B線断面図であり、(C)は、(A)のC−C線断面図である。 駆動用アンプからの出力電圧の特性を示すグラフである。 音圧レベルと周波数の関係を測定した結果を示すグラフである。
以下、本発明の電気音響変換器について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
図1に、本発明の電気音響変換器の一例を概念的に示し、図2に、図1に示す電気音響変換器のII−II線における断面図を示す。
図1および図2に示す電気音響変換器40は、基本的に、圧電フィルム10と、ケース42と、粘弾性支持体46と、リング44とを有して構成される。
ここで、本発明の電気音響変換器40は、圧電フィルム10が、押圧部材であるリング44によって粘弾性支持体46に押圧され、粘弾性支持体46が圧縮されると共に、圧電フィルム10が、リング44による押圧によって形成される立上がり部(傾斜部)40aと、立上がり部40a以外の実質的に平面状の領域(平坦部40b)を有するものである。
ケース42は、リング44と共に、圧電フィルム10および粘弾性支持体46を保持する保持部材であり、プラスチック等で形成される、薄い有底円筒状の筐体である。ケース42は、筒内に粘弾性支持体46を収容する。また、筒部の深さは、粘弾性支持体46の高さよりも小さい。
粘弾性支持体46は、適度な粘性と弾性を有し、圧電フィルム10を支持すると共に、圧電フィルムのどの場所でも一定の機械的バイアスを与えることによって、圧電フィルムの伸縮運動を無駄なく前後運動(フィルムの面に垂直な方向の運動)に変換させるためのものである。図示例は、粘弾性支持体46としてフェルト材を用いた。また、図示例において、粘弾性支持体46は、ケース42の内径と略同等の外径を有する円柱形状であり、ケース42の筒内に配置される。また、粘弾性支持体46の高さは、ケース42の筒部の深さよりも大きい。
粘弾性支持体46の材料としては、適度な粘性と弾性を有し、かつ、圧電フィルムの振動を妨げず、好適に変形するものであれば、特に限定はない。具体的には、レーヨンやPET等のポリエステル繊維を含んだ羊毛フェルトやグラスウールなどの繊維材料、或いはポリウレタンなどの発泡材料(発泡プラスチック)を用いることが好ましい。
ここで、フェルトの比重は、50〜500kg/mの範囲にあるのが好ましく、100〜300kg/mであるのがより好ましい。
また、グラスウールの比重は、20〜100kg/mの範囲にあるのが好ましい。
また、ポリウレタン(発泡プラスチック)の比重は、16〜100kg/mの範囲にあるのが好ましい。
粘弾性支持体46としてフェルトを用いる場合のフェルトの比重、および、粘弾性支持体46としてグラスウールを用いる場合のグラスウールの比重、或いは、粘弾性支持体46としてポリウレタンを用いる場合のポリウレタンの比重の範囲をそれぞれ、上記範囲とすることにより、後述するように、圧電フィルム10の形状を、周辺部に立上がり部40aが形成され、かつ、中央部には実質的に平坦な平坦部40bが形成される形状とすることができる。
また、粘弾性支持体46は、平坦部40bに対応する部分でも、圧電フィルム10によってケース42側に押圧されており、粘弾性支持体46が、圧電フィルム10の平坦部40bを押圧する面圧は、0.02〜0.2MPaとすることが好ましい。
圧電フィルム10は、圧電性を有し、電界の状態に応じて面内方向に伸縮する円形状の薄膜であり、図2に示すように、粘弾性支持体46およびケース42を覆うように配置されている。ここで、圧電フィルム10は、後述するリング44によって周縁部がケース42の縁部に押圧され、中央部が粘弾性支持体46によってケース42側とは反対側の方向に押圧されることにより、リング44の近傍の領域において、曲率が急激に変動して、リング44に向かって低くなる立上がり部40aが形成され、また、中央部には実質的に平面状の平坦部40bが形成される。
傾斜部において粘弾性支持体は押圧部に近づくほど厚さ方向に圧縮された状態になるが、静的粘弾性効果(応力緩和)によって、圧電フィルムのどの場所でも機械的バイアスを一定に保つことができる。これにより、緩い曲率を有する部材を用いた場合と同様に、圧電フィルムの伸縮運動が無駄なく前後運動へと変換されるため、薄型、かつ、十分な音量が得られ、音響特性に優れる平面状の電気音響変換器を得ることができる。
これにより、設置場所や取り付け方法の制約を低減することができ、壁掛けとしたり、絵画、ポスター、装飾板等の裏面に設置したりすることができる。
なお、圧電フィルム10の、リング44に押圧された面(押圧部)から、平坦部40bまでの高さ(押圧部から最も高い位置の高さ)hは、1mm〜10mmとすることが好ましい。
高さhをこの範囲とすることにより、薄型の電気音響変換器とすることができると共に、駆動電圧を印加した際に、圧電フィルム10が十分に前後運動(振動)することができるので、精度良く音を再現することができ、かつ、十分な音量を得ることができる。
また、立上がり部40aと押圧部との交差角度は、10°〜90°とすることが好ましい。
立上がり部40aの角度をこの範囲とすることで、圧電フィルム10伸縮に応じて、圧電フィルム10の平坦部40bが十分に前後運動(振動)することができるので、精度良く音を再現することができ、かつ、十分な音量を得ることができる。
図3に、圧電フィルム10の一部を表す概略断面図を示す。
圧電フィルム10は、基本的に、高分子複合圧電体からなる圧電体層12と、圧電体層12の一面に設けられる薄膜電極14および他面に設けられる薄膜電極16と、薄膜電極14の表面に設けられる保護層18および薄膜電極16の表面に設けられる保護層20と、を有して構成される。
圧電体層12は、前述のとおり、高分子複合圧電体からなるものである。
圧電体層12を形成する高分子複合圧電体は、常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス24中に、圧電体粒子26を均一に分散したものである。また、好ましくは、圧電体層12は、ポーリング(分極)されている。
なお、図3においては、圧電体層12中の圧電体粒子26は、粘弾性マトリックス24中に、規則性を持って分散されているが、不規則に分散されていてもよい。
また、好ましくは、圧電体層12を構成する高分子複合圧電体の粘弾性マトリックス24(粘弾性マトリックス兼バインダ)として、シアノエチル化ポリビニルアルコールを用いる。シアノエチル化ビニルアルコール(以下、シアノエチル化PVAともいう)は、常温で粘弾性を有する高分子材料である。
従って、粘弾性マトリックス24がシアノエチル化PVAである圧電体層12は、高い粘弾性効果を有しており、リング44の近傍の曲率が急激に変化する箇所においても、高分子粘弾性マトリックス/圧電体粒子界面の応力集中が緩和されるため、圧電体層12の内部でクラック等が発生することなく、非常に好適である。
なお、粘弾性マトリックス24は、シアノエチル化PVA単体からなるものに限定はされず、シアノエチル化PVAに、更に高誘電性或は強誘電性ポリマーであるポリ弗化ビニリデン、弗化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、弗化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、ポリ弗化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体及びポリ弗化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体等の弗素系高分子、又は、シアン化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、シアノエチルセルロース、シアノエチルヒドロキシサッカロース、シアノエチルヒドロキシセルロース、シアノエチルヒドロキシプルラン、シアノエチルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、シアノエチルヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルアミロース、シアノエチルヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルジヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルヒドロキシプロピルアミロース、シアノエチルポリアクリルアミド、シアノエチルポリアクリレート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリヒドロキシメチレン、シアノエチルグリシドールプルラン、シアノエチルサッカロース及びシアノエチルソルビトール等のシアノ基或はシアノエチル基を有するポリマー、又は、ニトリルゴム及びクロロプレンゴム等の合成ゴムの内の少なくとも1つが添加されたものであってもよい。
また、粘弾性マトリックス24は、シアノエチル化PVAを含有するものに限定はされず、例えば、シアノエチル化プルラン等のシアノエチル基を有する材料を用いることができる。また粘弾性マトリックス24として用いられる材料は、常温で粘弾性を有することが好ましい。
圧電体粒子26は、圧電体の粒子である。圧電体粒子26は、好ましくは、ペロブスカイト型結晶構造を有するセラミックス粒子からなるものである。
圧電体粒子26を構成するセラミックス粒子としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン酸鉛(PLZT)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、および、チタン酸バリウムとビスマスフェライト(BiFe3)との固溶体(BFBT)等が例示される。
また、圧電体粒子26の粒径には、特に限定は無く、圧電フィルム10のサイズ、圧電フィルム10の用途、圧電フィルム10に要求される特性等に応じて、適宜、設定すればよい。
また、圧電体層12(高分子複合圧電体)中における粘弾性マトリックス24と圧電体粒子26との量比には、特に限定はない。すなわち、粘弾性マトリックス24と圧電体粒子26との量比は、圧電フィルム10のサイズ(面方向の大きさ)や厚さ、圧電フィルム10の用途、圧電フィルム10に要求される特性等に応じて、適宜、設定すればよい。
また、圧電体層12の厚さにも、特に限定はなく、圧電フィルム10のサイズ、圧電フィルム10の用途、圧電フィルム10に要求される特性等に応じて、適宜、設定すればよい。
ここで、本発明者の検討によれば、圧電体層12の厚さは、10〜200μm、特に、30〜100μmが好ましい。
圧電体層12の厚さを、上記範囲とすることにより、圧電フィルム10の強度の確保と、前後運動(振動)に好適な適度な柔軟性を両立することができる点で好ましい結果を得ることができる。
また、圧電体層12は、分極処理(ポーリング)されているのが、好ましい。
また、本実施例においては、圧電体層12として、高分子複合圧電体を用いたが、本発明は、これに限定はされず、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の圧電性を有する高分子圧電材料を用いてもよい。
なお、一軸延伸されたPVDFは、その圧電特性に面内異方性があるのに対し、高分子複合圧電体は面内異方性がないため、PVDFと比較してより好適に伸縮運動を前後運動に変換することができ、十分な音量と音質を得ることができる点で好ましい。
圧電フィルム10において、圧電体層12の一方の表面には薄膜電極14が、他方の表面には薄膜電極16が、それぞれ設けられる。すなわち、圧電体層12の両面に、圧電体層12を挟持するようにして薄膜電極が形成される。
薄膜電極14および16は、圧電体層12に駆動電圧を印加するための電極である。
薄膜電極14および16の形成材料には、特に、限定はなく、各種の導電体が利用可能である。具体的には、C、Pd、Fe、Sn、Al、Ni、Pt、Au、Ag、Cu、CrおよびMo等や、これらの合金が例示される。
また、薄膜電極14の形成方法にも、特に限定はなく、真空蒸着やスパッタリング等の気相堆積法(真空成膜法)による成膜や、上記材料で形成された箔を貼着する方法等、公知の方法が、各種、利用可能である。
中でも特に、圧電フィルム10の可撓性すなわち前後運動の大きさが確保できる、圧電体層の変形を拘束しない薄い電極層を形成できる等の理由で、真空蒸着によって成膜された銅やアルミの薄膜は、薄膜電極14および16として、好適に利用される。
薄膜電極14および16の厚さには、特に、限定は無いが、1μm以下が好ましい。また、薄膜電極14および16の厚さは、基本的に同じであるが、異なってもよい。
なお、薄膜電極14および16の厚さは、可能な範囲で薄い方が好ましいが、大型サイズの圧電フィルム10の場合には、影響を無視できる場合も有るので、圧電フィルム10のサイズ、圧電フィルム10に要求される性能や特性、取り扱い性等に応じて、適宜、決定すればよい。
この、薄膜電極14および16の厚さと圧電フィルム10の大きさとの関係に関しては、後に詳述する、保護層18および20と圧電フィルム10の大きさとの関係と、同様である。
また、薄膜電極14および/または薄膜電極16は、必ずしも、圧電体層12(保護層18および/または20)の全面に対応して形成される必要はない。
すなわち、薄膜電極14および薄膜電極16の少なくとも一方が、例えば圧電体層12よりも小さく、圧電フィルム10の周辺部において、圧電体層12と保護膜とが、直接、接触するような構成でもよい。具体的には、後述する図7に示す電気音響変換器40のように、上面側(音の発生方向側)もしくは下面側の薄膜電極が、リング44の内径よりも小さい構成とすることが許される。
薄膜電極14の表面には保護層18が、薄膜電極16の表面には保護層20が、それぞれ設けられる。
保護層18および20は、圧電体層12、薄膜電極14および16を保護すると共に、圧電フィルム10を支持する支持体層としても作用するものである。
保護層18および20には、特に限定はなく、各種のシート状物が利用可能であり、一例として、各種の樹脂フィルム(プラスチックフィルム)が好適に例示される。中でも、優れた機械的強度、耐熱性を有する等の理由により、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイト(PPS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PN)、および、環状オレフィン系樹脂は、好適に利用される。
保護層18および20の厚さにも、特に、限定は無い。また、保護層18および20の厚さは、基本的に同じであるが、異なってもよい。
ここで、前述の薄膜電極14等と同様、保護層18および20の剛性が高いと、圧電体層12の伸縮を拘束してしまうため、結果として圧電フィルムの前後運動の振幅が小さくなってしまう。従って、電気音響変換器40の性能を考えると、保護層18および20は、薄いほど有利である。
その反面、前述のように、保護層18および20は、樹脂フィルムを利用するので、薄いほど、取り扱い(ハンドリング)が困難になる。
また、保護層18および20は、圧電フィルム10の支持体としての作用も有するが、保護層が薄すぎると、保護層および支持体として、十分な機能を発現できなくなってしまう。加えて、圧電フィルム10に、機械的強度やシート状物としての良好なハンドリング性が要求される場合には、保護層18および20は、厚い方が有利である。
しかしながら、保護層18および20が厚く、剛性が高過ぎると、圧電体層12の伸縮を拘束するばかりか、可撓性も損なわれるため、機械的強度やシート状物としての良好なハンドリング性が要求される場合を除けば、保護層18および20は、薄いほど有利である。
従って、保護層18および20の厚さは、圧電フィルム10すなわち音響デバイスに要求される音響的な性能、圧電フィルム10に要求されるハンドリング性、圧電フィルム10に要求される機械的強度等に応じて、適宜、設定すればよい。
ここで、本発明者の検討によれば、保護層の厚さが、圧電体層12の厚さの2倍以下であれば、剛性の確保と適度な柔軟性との両立等の点で好ましい結果を得ることができる。
例えば、圧電体層12の厚さが50μmで保護層18および20がPETからなる場合、保護層18および20の厚さは、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、中でも25μm以下とするのが好ましい。
このような圧電フィルム10の製造方法としては、シアノエチル化PVAを溶媒に溶解し、さらに、PZT粒子等の圧電体粒子26を添加し、攪拌して分散してなる塗料を、保護層18の上に薄膜電極14が形成されたシート状物に、キャスティング(塗布)して、有機溶媒を蒸発して乾燥した後に、保護層20の上に薄膜電極16が形成されたシート状物を積層し、熱圧着して製造する方法がある。
あるいは、シアノエチル化PVAを加熱溶融して、これに圧電体粒子26を添加/分散してなる溶融物を作製し、押し出し成形等によって、シート状物(保護層18の上に薄膜電極14が形成されたシート状物)の上にシート状に押し出し、冷却して圧電体層12を形成してもよい。
また、シート状物状に塗布した塗料を乾燥した後に、圧電体層12の分極処理(ポーリング)を行うことが好ましい。
このような圧電フィルム10の製造は、カットシート状の前記シート状物を用いて製造を行っても良いが、ロール・トゥ・ロール(Roll to Roll)を利用して製造を行うことが好ましい。
リング44は、圧電フィルム10を押圧する押圧部材であり、金属やプラスチック等で形成される、中央に貫通穴を有する円形状の板状部材である。リング44の外径および内径はそれぞれ、ケース42の外径および内径と略同等である。
リング44は、圧電フィルム10をケース42の縁部に押圧した状態で、ケース42に固定されている。なお、リング44とケース42との固定方法には特に限定はなく、ねじ止め、固定用の治具を用いる方法等、種々の公知の固定方法が利用できる。
次に、図4を用いて、この電気音響変換器40の組立工程を説明する。
図4(A)〜(D)は、図1に示す電気音響変換器40の組立工程を説明するための概念的斜視図である。
図4(A)に示すように、ケース42の筒内に円柱状の粘弾性支持体46を収容する。ここで、粘弾性支持体46の高さは、ケース42の筒部の深さよりも高いので、図4(B)に示すように、リング44がケース42に固定される前の状態では、粘弾性支持体46は、ケース42の上面(開放面)よりも突出した状態となっている。
次に、図4(B)に示すように、粘弾性支持体46の上面に、粘弾性支持体46およびケース42を覆うように圧電フィルム10を配置する。さらに、図4(C)に示すように、圧電フィルム10の上方から、圧電フィルム10の周縁部をケース42の開放面の縁部に押圧するようにリング44を配置して、リング44をケース42に固定する(図4(D))ことにより、電気音響変換器40を組み立てる。
このように、電気音響変換器40においては、粘弾性支持体46は、高さ(厚さ)がケース42の内面の高さ(筒部の深さ)よりも厚い、円柱状である。そのため、電気音響変換器40では、粘弾性支持体46の周辺部(リング44の近傍)では、粘弾性支持体46が圧電フィルム10によって下方に押圧されて厚さが薄くなった状態で、保持される。また、同じく粘弾性支持体46の周辺部において、圧電フィルム10の曲率が急激に変動し、圧電フィルム10に、粘弾性支持体46の周辺に向かって低くなる立上がり部40aが形成される。さらに、圧電フィルム10の中央領域は円柱状の粘弾性支持体46に押圧されて、実質的に平面状になっている。
ここで、図5に、組立が完了した状態の電気音響変換器40の概略断面図を示す。また、図5には、ケース42に載置し、圧電フィルム10をリング44で押圧する前の状態の、組立前の粘弾性支持体46aを破線で示している。
図5に示すように、組立後の電気音響変換器40の粘弾性支持体46は、圧電フィルム10によって全体がケース42側に押圧されて、組立前の粘弾性支持体46aよりも全体の厚さが薄くなっている。すなわち、組立後の電気音響変換器は40、立上がり部40aのみならず、平坦部40bにおいても、粘弾性支持体46が圧縮されて厚さが薄くなっている。
立ち上がり部40aにおいて粘弾性支持体は押圧部に近づくほど厚さ方向に圧縮された状態になるが、静的粘弾性効果(応力緩和)によって平坦部とほぼ変わらない機械的バイアスを圧電フィルムに与えることが可能である。その結果、圧電フィルムのどの場所でも機械的バイアスを一定に保つことができ、緩い曲率を有する部材を用いた場合と同様に、圧電フィルムの伸縮運動が無駄なく前後運動へと変換されるため、薄型、かつ、十分な音量が得られ、音響特性に優れる平面状の電気音響変換器を得ることができる。
次に、図6および図7〜9を用いて、この電気音響変換器40の動作を説明する。
図6は、電気音響変換器40を駆動するために印加する駆動電圧を模式的に表すグラフである。また、図7(A)は、図6のa点における電気音響変換器40の状態を概念的に示す上面図であり、図7(B)は、図7(A)のB−B線断面図である。また、図8(A)は、図6のb点における電気音響変換器40の状態を概念的に示す上面図であり、図8(B)は、図8(A)のB−B線断面図である。また、図9(A)は、図6のc点における電気音響変換器40の状態を概念的に示す上面図であり、図9(B)は、図9(A)のB−B線断面図である。
なお、図7〜図9においては、簡単のため薄膜電極14の大きさが平坦部40bの大きさと略同等の構成とした。また、保護層18および20の図示は省略している。
電気音響変換器40に図6に示す駆動電圧を印加すると、印加される駆動電圧に応じて、圧電フィルム10が伸縮し、前後運動する。
具体的には、a点のように、駆動電圧が0のときには、図7(A)および(B)に示すように、圧電フィルム10は、伸縮していないので、粘弾性支持体46およびリング44に押圧されて、立上がり部40aと平坦部40bとを有する形状に形成されている。
次に、b点のように、正の駆動電圧が印加されたときには、図8(A)に示すように、電圧が印加される領域、すなわち、薄膜電極16が形成されている領域(平坦部40b)の圧電フィルム10が面内方向に収縮して、図7(A)の状態のときの平坦部40bよりも小さくなる。そのため、この収縮分を吸収するため、図8(B)に示すように、圧電フィルム10の立上がり部40aが、倒れる方向(平面に近くなる方向)に角度を変える。その際、圧電フィルム10によって圧縮された状態で保持されている粘弾性支持体46は、下方(ケース42側)に更に縮むので、平坦部40bは平坦に保持された状態で、下方(ケース42側)に移動する。
この時、粘弾性支持体が周辺部(立ち上がり部)で圧縮に伴う弾性エネルギーを貯め込んだ状態だと、周辺部において圧電フィルムを押し返そうとする力が働くのだが、上述した粘弾性効果(応力緩和)によって、立ち上がり部40aにおいても平坦部とほぼ変わらない機械的バイアスが圧電フィルムに掛かっているため、圧電フィルムの収縮分は無駄なく均等に下方への移動量に変換される。
ここで、正の電圧とは、分極処理の電圧印加方向である。そのため、正の駆動電圧を印加すると、圧電フィルム10は、膜厚方向に延び、面内方向には縮む。
一方、c点のように、負の駆動電圧が印加されたときには、図8(A)に示すように、薄膜電極16が形成されている領域(平坦部40b)の圧電フィルム10が面内方向に伸長して、図7(A)の状態のときの平坦部40bよりも大きくなる。そのため、この伸長分を吸収するために、圧電フィルム10の立上がり部40aが、立ち上がる方向(押圧部との交差角度が90°に近くなる方向)に角度を変える。その際、圧電フィルム10によって圧縮された状態で保持されている粘弾性支持体46は、上方(音の発生方向)に伸長するので、平坦部40bは、平坦に保持された状態で、上方に移動する。
この時、粘弾性支持体が周辺部(立ち上がり部)で圧縮に伴う弾性エネルギーを貯め込んだ状態だと、周辺部において圧電フィルムを必要以上に押し返そうとする力が働くのだが、上述した粘弾性効果(応力緩和)によって、立ち上がり部40aにおいても平坦部とほぼ変わらない機械的バイアスが圧電フィルムに掛かっているため、圧電フィルムの伸長分は無駄なく均等に上方への移動量に変換される。
電気音響変換器40は、この圧電フィルム10の前後運動によって、音を発生する。
前述のとおり、従来の圧電フィルムを用いる電気音響変換器においては、十分な音量を得るために、圧電フィルムに曲率を持たせる必要があった。しかしながら、圧電フィルムに曲率を持たせた場合には、圧電フィルムが湾曲しているため、設置場所や取り付け方法に制約を受け、壁掛けとしたり、絵画、ポスター、装飾板等の裏面に設置したりするには適さないという問題があった。また、スピーカの面積が大きくなると、緩い曲率であっても厚さが大きくなってしまい、本来の薄型スピーカとしての特長も損なわれているという問題があった。
これに対して、本発明の電気音響変換器は、圧電フィルムと粘弾性支持体とを保持する保持部材が、圧電フィルムを粘弾性支持体に押圧して、粘弾性支持体の少なくとも一部の厚さが薄くなった状態で保持して、かつ、圧電フィルムの、保持部材の近傍の領域以外の領域の少なくとも一部が実質的に平坦に形成されるので、圧電フィルム10に駆動電圧を印加した際に、圧電フィルムの伸縮に応じて、立上がり部40aの角度がわずかに変化して、平坦部40bが平面を維持したまま、前後運動し、すなわち振動して音を発生することができる。
また、リング近傍以外の領域が平坦に維持されるので、設置場所や取り付け方法の制約を低減することができ、壁掛けとしたり、絵画、ポスター、装飾板等の裏面に設置したりすることができる。
図示例の電気音響変換器40は、音を発生する面の形状を円形状としたが、本発明はこれに限定はされず、正方形状や長方形状、あるいはオーバル形状(楕円形状、卵形)等、種々の形状とすることができる。
図10(A)は、本発明の電気音響変換器の他の一例を表す上面図であり、(B)は、(A)のC−C線断面図である。
図10(A)および(B)に示す電気音響変換器100は、音を発生する面の形状が正方形状である以外は、基本的に、図2に示す電気音響変換器40と同様の構成を有する。
電気音響変換器100は、圧電フィルム102と、ケース104と、粘弾性支持体106と、枠体108を有する。
圧電フィルム102は、正方形状に形成される以外は、圧電フィルム10と同様である。
ケース104は、一面が開放する略直方体の箱型の筐体である。
粘弾性支持体106は、ケース104内部の深さよりも、高さが高い正方形柱状の、弾性を有し、圧電フィルム102を支持する粘弾性支持体である。粘弾性支持体106は、ケース104の内部に収容され、枠体108に押圧された圧電フィルム102によって、端部が圧縮されると共に、圧電フィルム102を音の発生方向に押圧している。
枠体108は、中央に貫通孔を有する、ケース104の上端面(開放面側)と同様の形状を有する板材である。枠体108は、圧電フィルム102をケース104の端部に押圧した状態で固定されている。
そのため電気音響変換器100では、粘弾性支持体106の周辺部では、粘弾性支持体106が圧電フィルム102によって下方に押圧されて厚さが薄くなった状態で、保持される。また、同じく粘弾性支持体106の周辺部において、圧電フィルム102の曲率が急激に変動し、圧電フィルム102に、粘弾性支持体106の周辺に向かって低くなる立上がり部100aが形成される。さらに、圧電フィルム102の中央領域は四角柱状の粘弾性支持体106に押圧されて、(略)平面状の平坦部100bが形成されている。
このように、音を発生する面を正方形状とした場合であっても、圧電フィルム102に駆動電圧を印加した際に、圧電フィルム102の伸縮に応じて、立上がり部100aの角度(平坦部100bの面に対する角度)がわずかに変化して、平坦部100bが平坦な面を維持したまま、前後運動、すなわち振動して音を発生することができる。
また、図示例の電気音響変換器40は、リング44によって、圧電フィルム10の周辺全域をケース42(すなわち、粘弾性支持体46)に押し付けているが、本発明は、これに限定はされず、圧電フィルムの周辺の少なくとも2か所をケース(粘弾性支持体)に押し付ければよい。
すなわち、本発明の圧電フィルム10を利用する電気音響変換器は、リング44を有さずに、例えばケース42の4箇所において、ビスやボルトナット、治具などによって、圧電フィルム10をケース42の上面に押圧/固定してなる構成も利用可能である。
なお、圧電フィルム10の周辺全域を押圧する構成は、平坦部と立上がり部とを好適に形成することができ、音の再現性や音量をより向上できる点で好ましい。
また、本発明の電気音響変換器は、粘弾性支持体を収容するケースを有さなくても良い。
すなわち、図11の電気音響変換器110の断面図で、その一例を概念的に示すように、剛性を有する支持板114の上に粘弾性支持体106を載置し、粘弾性支持体106を覆って圧電フィルム102を載せ、ビス118によって圧電フィルム102を粘弾性支持体106に押圧して、支持板114に固定することにより、粘弾性支持体106の周縁部を薄くし、かつ、圧電フィルム102の立上がり部および平坦部を形成した構成も、利用可能である。
あるいは、図12の電気音響変換器120の断面図で、その一例を概念的に示すように、粘弾性支持体106の上に圧電フィルム102を載せ、少なくとも2つの略C形状の支持部材128によって、粘弾性支持体106の周辺部を上下方向に押圧しつつ、圧電フィルム102と粘弾性支持体106とを保持することにより、粘弾性支持体106の周縁部を薄くし、かつ、圧電フィルム102の立上がり部および平坦部を形成した構成としてもよい。
あるいは、圧電フィルムを保護するための保護ケースを、圧電フィルムを押圧する部材(リング、枠体等)として用いてもよい。
さらに、本発明の圧電フィルム10を利用する電気音響変換器は、周縁部を押圧する構成にも限定はされず、例えば、粘弾性支持体46と圧電フィルム10の積層体の中央を、何らかの手段によって押圧して、粘弾性支持体46を薄くした状態で保持してなる構成も利用可能である。
すなわち、本発明の圧電フィルム10を利用する電気音響変換器は、粘弾性支持体が圧電フィルム10によって押圧されて厚さが薄くなった状態を保持し、かつ、この押圧/保持によって、圧電フィルム10の曲率が急激に変動し、圧電フィルム10に立上がり部40aが形成され、かつ、平坦な平坦部40bが形成された構成であれば、各種の構成が利用可能である。
また、上記実施例においては、圧電フィルム10がリング44によって粘弾性支持体46に押圧されて、立上がり部40aと、平坦部40bとが形成される構成としたが、本発明はこれに限定はされず、立上がり部と平坦部との間に湾曲部が形成される構成としてもよい。
図13は、本発明の電気音響変換器の他の一例を示す概略断面図である。
なお、図13に示す電気音響変換器130は、図2に示す電気音響変換器40において、粘弾性支持体46を材質の異なる粘弾性支持体136に変更し、立上がり部と平坦部との間に湾曲部が形成される以外は、同じ構成を有するので、同じ部位には、同じ符号を付し、以下の説明は異なる部位を主に行う。
電気音響変換器130は、圧電フィルム10と、ケース42と、粘弾性支持体136と、リング44とを有する。
粘弾性支持体136は、材料としてグラスウールを用いた以外は、粘弾性支持体46と同様であり、ケース42の内径と略同等の外径を有する円柱形状で、高さは、ケース42の筒部の深さよりも大きい。
また、粘弾性支持体46と同様に、粘弾性支持体136は、圧電フィルム10によって押圧され、圧縮されている。
ここで、図13に示すように、粘弾性支持体136としてグラスウールを用いた場合には、グラスウールは、フェルト材に比べて柔らかいため、圧電フィルム10がリング44によって粘弾性支持体136に押圧されて、立上がり部Tと平坦部Hとの間の湾曲部Rが形成される。
具体的には、電気音響変換器130は、圧電フィルム10がリング44によってケース42に押圧される押圧部Pと、押圧部Pから急峻に立上がり、押圧部Pに対して交差する方向に延在する立上がり部Tと、立上がり部Tに接続され緩やかに湾曲する曲線状の湾曲部Rと、湾曲部Rに接続され略平面上の平坦部Hとが形成されている。
このように、平坦部と立上がり部と湾曲部が形成される構成としても、圧電フィルム10に駆動電圧を印加した際に、圧電フィルム10の伸縮に応じて、立上がり部Tの角度がわずかに変化して、平坦部Hが平面を維持したまま、前後運動して音を発生することができる。また、リング近傍以外の領域が平坦に維持されるので、設置場所や取り付け方法の制約を低減することができ、壁掛けとしたり、絵画、ポスター、装飾板等の裏面に設置したりすることができる。
なお、圧電フィルムがリングによって粘弾性支持体に押圧された際の、圧電フィルムの形状は、粘弾性支持体の弾性率、損失正接、密度、反発弾性率、復元率、形状、圧電フィルムの弾性率、損失正接等を適宜組み合わせることにより、平坦部を有する適切な形状とすることができる。
また、上記実施例においては、圧電フィルム10が、リング44によって粘弾性支持体46に押圧されることにより、リング44近傍の立上がり部40aと、平面状の平坦部40bとが形成される構成としたが、本発明はこれに限定はされず、圧電フィルムの面に垂直な所定の一方向の断面において、実質的に直線状に保持される平坦部と、押圧部材の近傍の立上がり部とが形成される構成としてもよい。
図14は、本発明の電気音響変換器の他の一例を概念的に示す斜視図であり、図14(B)は、(A)のB−B線断面図であり、図14(C)は、(A)のC−C線断面図である。
図14に示す電気音響変換器140は、圧電フィルム142と、ケース144と、粘弾性支持体146と、枠体148とを有する。
圧電フィルム142は、長方形に形成される以外は、圧電フィルム10と同様である。
ケース144は、一面が開放する略直方体の箱型の筐体である。
また、図示例のケース144においては、開放面の縁部には、Oリング144aを配置するための溝が形成されている。
粘弾性支持体146は、ケース144内部の深さよりも、高さが高い長方形柱状の、弾性を有する粘弾性支持体であり、圧電フィルム142を支持する。粘弾性支持体146は、ケース144の内部に収容され、枠体148に押圧された圧電フィルム142によって、端部が圧縮されると共に、圧電フィルム142を音の発生方向に押圧している。
枠体148は、中央に貫通孔を有する、ケース144の上端面(開放面側)と同様の形状を有する板状の押圧部材である。枠体148は、圧電フィルム142をケース144の端部に押圧した状態で固定されている。
ここで、電気音響変換器140では、圧電フィルム142の形状(音を発生する面の形状)が長方形状であり、短手方向が長手方向に比べて十分に短い。そのため、図14(C)に示すように、圧電フィルム142の長手方向の断面で見ると、圧電フィルム142は、枠体148近傍では、粘弾性支持体146が圧電フィルム142によって押圧されて厚さが薄くなり、立上がり部140aが形成される。また、圧電フィルム142の中央領域は、粘弾性支持体146に押圧されて略平面状の平坦部140bが形成されている。
これに対して、図14(B)に示すように、圧電フィルム142の短手方向の断面で見ると、圧電フィルム142は、平坦部が形成されず、湾曲した形状に形成されている。
このように、圧電フィルムの面に垂直な所定の一方向の断面において、実質的に直線状に保持される平坦部と、押圧部材の近傍の立上がり部とが形成される構成とした場合であっても、圧電フィルム142に駆動電圧を印加した際に、圧電フィルム142の伸縮に応じて、立上がり部140aの角度(平坦部140bの面に対する角度)がわずかに変化して、平坦部140bが平坦な面を維持したまま、前後運動して音を発生することができる。
また、長手方向において、押圧部材の近傍以外の領域が平坦に維持されるので、設置場所や取り付け方法の制約を低減することができ、壁掛けとしたり、絵画、ポスター、装飾板等の裏面に設置したりすることができる。
また、図14に示す電気音響変換器140のように、圧電フィルムとケースとの間には、Oリング等のダンパー効果を有する部材を配置することが好ましい。これにより、圧電フィルムの振動がケースに伝達されることを防止することができ、音響特性を向上できる。
また、上記実施例においては、音を発生する面を、平面状に形成する構成としたが、本発明は、これに限定はされず、音を発生する面を曲面状に形成してもよい。
図15(A)は、本発明の電気音響変換器の他の一例を概念的に示す斜視図であり、図15(B)は、(A)のB−B線断面図であり、図15(C)は、(A)のC−C線断面図である。
図15に示す電気音響変換器150は、圧電フィルム152と、粘弾性支持体156と、固定リング158とを有する。
圧電フィルム152は、長方形に形成される以外は、圧電フィルム10と同様である。圧電フィルム152の短辺は、円柱形状の粘弾性支持体156の高さと略同等の長さであり、また、長辺は、粘弾性支持体156の底面の周長と略同等の長さである。
なお、図示例においては、圧電フィルム152の一方の短辺には、薄膜電極に接続される配線152aおよび152bが形成されている。
粘弾性支持体156は、円柱形状の、弾性を有する粘弾性支持体である。粘弾性支持体156の周面には、圧電フィルム152が巻き掛けられている。
また、粘弾性支持体156の2つの底面側の周面にはそれぞれ、圧電フィルム152を介して固定リング158が粘弾性支持体156を半径方向に押圧した状態で固定されている。
固定リング158は、粘弾性支持体156の外径よりも小さい内径を有するリング状の部材であり、圧電フィルム152および粘弾性支持体156を押圧して固定する部材である。
ここで、図15(B)に示すように、粘弾性支持体156の高さ方向の断面においては、圧電フィルム152は、固定リング158近傍では、粘弾性支持体156が圧電フィルム152によって押圧されて直径が小さくなり、立上がり部150aが形成される。また、圧電フィルム152の中央領域は、粘弾性支持体156に押圧されて実質的に円柱状の平坦部150bが形成されている。
一方、図15(C)に示すように、粘弾性支持体156の半径方向の断面で見ると、圧電フィルム152は、粘弾性支持体156の周面に沿った円形状に形成されている。
このように、圧電フィルムを円柱状の粘弾性支持体の周面に巻き掛けて、底面側の両端部を固定リングで押圧することにより、粘弾性支持体の中心軸まわりの360°の全ての方向に音を発生することができる。
また、粘弾性支持体156の高さ方向の断面において、実質的に直線状に保持される平坦部150bと、押圧部材の近傍の立上がり部150aとが形成される構成となるので、圧電フィルム152に駆動電圧を印加した際に、圧電フィルム152の伸縮に応じて、立上がり部150aの角度(平坦部150bの面に対する角度)がわずかに変化して、平坦部150bが平坦な面を維持したまま、前後運動して音を発生することができる。
また、高さ方向において、押圧部材の近傍以外の領域が平坦に維持されるので、設置場所や取り付け方法の制約を低減することができる。
また、本発明の電気音響変換器は、通常のダイナミックスピーカ等と比較して薄く構成することができのみならず、従来の圧電フィルムを用いる電気音響変換器と比較して、精度良く音を再現することができ、かつ、十分な音量が得られ、音響特性に優れるので、液晶表示装置や有機EL表示装置等の薄型の表示デバイスのスピーカとして好適に利用可能である。
具体的には、表示デバイスの表示領域の側方や下方に、図14に示すような長方形状の電気音響変換器を配置し、スピーカとして利用すればよい。あるいは、表示デバイスの表示面とは反対側の面に本発明の電気音響変換器を配置してもよい。
また、本発明の電気音響変換器の圧電フィルムとして、常温で粘弾性を有する、シアノエチル化PVA等の高分子材料を粘弾性マトリックスとして用いるフィルムを用いるのが特に好適である。粘弾性マトリックスを用いる圧電フィルムを用いることにより、振動面(圧電フィルム)上に荷重をかけても、音質があまり変化しない。そのため、例えば、自動車のシートのヘッドレストに入れて、居眠り防止用の装置(センサーとしてもスピーカとしても機能する)として利用したり、あるいは、枕の中に入れて無呼吸症候群用の装置として利用することができる。
以下、電気音響変換器の具体的実施例を挙げ、本発明についてより詳細に説明する。
[実施例1]
前述の組立方法によって、図2に示す電気音響変換器40を作製した。
ケース42およびリング44の内径、すなわち、音を発生する面の大きさは、Φ140mmとした。また、ケース42の筒部の深さは、10mmとした。
圧電フィルム10は、大きさΦ150mm、厚さ60μmとし、圧電体層12の粘弾性マトリックスの材質は、シアノエチル化PVAとし、圧電体粒子26の材質は、PZTとした。また、薄膜電極14および16は、厚さ0.1μmのCu薄膜とし、保護層18および20は、厚さ4μmのPETフィルムとした。
粘弾性支持体46は、Φ140mmで、組立前の高さ17mm、密度250kg/mのフェルト材とした。すなわち、ケース42の縁部を基準とした場合の、組立前の粘弾性支持体46の高さは、7mmである。
ケース42の筒部内に粘弾性支持体46を載置し、ケース42および粘弾性支持体46を覆うように圧電フィルム10を配置して、圧電フィルム10の上からリング44を被せて、リング44をケース42に固定し、電気音響変換器40を作製した。
このようにして作製した電気音響変換器40の圧電フィルム10の表面の形状を測定した。
具体的には、所定の一方向の中心線上において、一方の端部から1cmごとの各位置において、リング44の下面を基準とした高さを測定した。すなわち、0cmの位置および14cmの位置が、リング44に隣接する位置(端部)であり、7cmの位置が圧電フィルム10の中央部である。
結果を表1に示す。
Figure 0005599856
上記表1に示されるように、押圧部材であるリング44近傍の位置である、0cmの位置から1cmの位置までの間、および、13cmの位置から14cmの位置までの間は、急峻に変化しており、立上がり部40aが形成されていることがわかる。このとき、立上がり部40aの傾斜角度は、約21.8°であった。
また、3cmの位置から11cmの位置までの間、すなわち、圧電フィルム10の中央部は、実質的に一定の高さになっており、平坦部40bが形成されていることがわかる。
[実施例2]
次に、実施例2として、図10に示すような矩形状の電気音響変換器をスピーカとして利用した際の、周波数特性を測定した。
具体的には、ケース104および枠体108の大きさ、すなわち、音を発生する面の大きさは、210×300mm(A4サイズ)とした。また、ケース104の深さは、12mmとした。
圧電フィルム102は、ケース104の形状に対応した矩形状に形成される以外は、実施例1の圧電フィルムと同様とした。
粘弾性支持体106は、ケース104の形状に対応し、ケース104の内部に収容される形状とした以外は、実施例1の粘弾性支持体と同様とした。
ケース104の内部に粘弾性支持体106を載置し、ケース104および粘弾性支持体106を覆うように圧電フィルム102を配置して、圧電フィルム102の上から枠体108を被せて、枠体108をケース104に固定し、電気音響変換器100を作製した。
このようにして作製した電気音響変換器100の圧電フィルムに駆動用アンプから電圧を印加して発生する音の周波数と音圧レベルの関係(周波数特性)を測定した。
駆動用アンプの出力電圧は、図16に実線で示す特性とした。具体的には、定電流回路を組み込み、出力電圧が、−6dB/オクターブ(破線)に近似するようにした。
測定した結果を図17に示す。
実施例1および実施例2の結果から、本発明の電気音響変換器は、圧電フィルムがほぼ平坦に形成されると共に、どの周波数でも音圧レベルが十分に高く、広帯域かつ平滑な周波数特性が実現できることがわかる。また、駆動用アンプに定電流回路を組み込むことで、さらなる広帯域化を実現できることがわかる。
以上、本発明の電気音響変換器および表示デバイスについて詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
10、102、112、122、142、152 圧電フィルム
12 圧電体層
14 薄膜電極
16 薄膜電極
18 保護層
20 保護層
24 粘弾性マトリックス
26 圧電体粒子
40、100、110、120、130、140、150 電気音響変換器
40a、100a、140a、150a 立上がり部
40b、100b、140b、150b 平坦部
42、104、144 ケース
44 リング
46、106、116、126、136、146、156 粘弾性支持体
108、148 枠体
114 支持板
118 ビス
128 支持部材
144a Oリング
158a、158b 固定リング

Claims (32)

  1. 互いに対向する2つの主面を有し、電界の状態に応じて前記主面が伸縮する圧電フィルムと、
    前記圧電フィルムの一方の主面に密着して配置される粘弾性支持体と、
    前記圧電フィルムを前記粘弾性支持体に押圧することにより、前記粘弾性支持体の少なくとも一部の厚さを薄くした状態で保持する押圧部材とを有し、
    前記圧電フィルムが、高分子複合圧電体からなるシート状の圧電体と、前記圧電体の両面に形成された薄膜電極とを有するものであり、
    前記高分子複合圧電体が、シアノエチル基を有し常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなるものであり、
    前記圧電フィルムの主面に垂直な所定の一方向の断面において、前記圧電フィルムが、前記押圧部材によって押圧される押圧部を除く少なくとも一部で、前記粘弾性支持体の表面によって実質的に直線状に保持される平坦部と、前記押圧部と前記平坦部とに接続され、前記押圧部に対して交差する方向に延在する傾斜部とを有することを特徴とする電気音響変換器。
  2. 前記常温で粘弾性を有する高分子材料が、シアノエチル化ポリビニルアルコールからなる請求項に記載の電気音響変換器。
  3. 前記圧電フィルムが、前記薄膜電極の表面に形成された保護層を有する請求項1または2に記載の電気音響変換器。
  4. 前記圧電フィルムは、前記粘弾性支持体の全体を押圧している請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  5. 前記傾斜部は、前記平坦部に接続され前記押圧部に向かう、曲線状の湾曲部、および、前記湾曲部と前記押圧部とに接続され、前記押圧部に対して交差する方向に延在する立上がり部とを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  6. 前記湾曲部の曲率半径が、1mm〜300mmである請求項に記載の電気音響変換器。
  7. 前記立上がり部と前記押圧部とが交差する角度が10°〜90°である請求項5または6に記載の電気音響変換器。
  8. 前記圧電フィルムの、前記押圧部からの前記平坦部の高さが1mm〜10mmである請求項1〜のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  9. 前記押圧部材が、前記圧電フィルムの周縁部の少なくとも一部を押圧して、前記圧電フィルムを前記粘弾性支持体に押圧する請求項1〜のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  10. 前記押圧部材が、前記圧電フィルムの周縁部の全周を前記粘弾性支持体に押圧する請求項に記載の電気音響変換器。
  11. 前記粘弾性支持体を載置する支持体を有し、
    前記圧電フィルムが前記粘弾性支持体を覆うように配置されると共に、前記押圧部材が、前記圧電フィルムを前記粘弾性支持体に押圧して、前記粘弾性支持体の少なくとも一部の厚さが薄い状態で保持して、前記支持体に固定される請求項1〜10のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  12. 前記粘弾性支持体を、一部が突出した状態で収容する有底筒状の筐体を有し、
    前記圧電フィルムが、前記粘弾性支持体と前記筐体とを覆うように配置されると共に、前記押圧部材が、前記圧電フィルムを前記筐体に押圧することにより、前記圧電フィルムが前記粘弾性支持体を押圧して、前記粘弾性支持体の少なくとも一部の厚さが薄い状態で保持される請求項1〜11のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  13. 前記押圧部材が、前記圧電フィルムの周縁部の全周を前記筐体に押圧する請求項12に記載の電気音響変換器。
  14. 前記押圧部材が、前記圧電フィルムの周縁部の少なくとも一部を前記筐体に押圧する請求項12に記載の電気音響変換器。
  15. 前記圧電フィルムの前記薄膜電極の少なくとも一方が、前記押圧部以外の領域に形成される請求項1〜14のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  16. 前記粘弾性支持体が、吸音効果を有する請求項1〜15のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  17. 前記粘弾性支持体が、繊維材料である請求項1〜16のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  18. 前記粘弾性支持体がフェルト材、グラスウール、および、フェルト材とグラスウールとの組み合わせのいずれかである請求項1〜17のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  19. 前記フェルト材の比重が50〜500kg/m3である請求項18に記載の電気音響変換器。
  20. 前記フェルト材が、羊毛からなる請求項18または19に記載の電気音響変換器。
  21. 前記フェルト材が、レーヨンおよび/またはポリエステル繊維を含んだ羊毛フェルトからなる請求項20に記載の電気音響変換器。
  22. 前記グラスウールの比重が20〜100kg/m3である請求項18に記載の電気音響変換器。
  23. 前記粘弾性支持体が発泡材料である請求項1〜16のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  24. 前記粘弾性支持体が発泡プラスチックである請求項1〜16のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  25. 前記発泡プラスチックの比重が16〜100kg/m3である請求項24に記載の電気音響変換器。
  26. 前記発泡プラスチックがポリウレタンからなる請求項24または25に記載の電気音響変換器。
  27. 前記粘弾性支持体の、前記圧電フィルムに押圧される前の、前記圧電フィルムと密着する面が平面である請求項1〜26のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  28. 前記粘弾性支持体の、前記圧電フィルムに押圧される前の厚さが、1〜50mmである請求項1〜27のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  29. 前記圧電フィルムの前記平坦部での、前記粘弾性支持体の押圧力が0.02〜0.2MPaである請求項1〜28のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  30. 前記圧電フィルムおよび前記粘弾性支持体が、円形状、オーバル形状、または矩形状である請求項1〜29のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  31. 請求項1〜30のいずれか1項に記載の電気音響変換器をスピーカとして用いた表示デバイス。
  32. 請求項1〜31のいずれか1項に記載の電気音響変換器で、出力電圧が−6dB/オクターブに近似するようなアンプで駆動されることを特徴とする電気音響変換器。
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