JPWO2016136591A1 - 電気音響変換器、および、電気音響変換システム - Google Patents

電気音響変換器、および、電気音響変換システム Download PDF

Info

Publication number
JPWO2016136591A1
JPWO2016136591A1 JP2017502313A JP2017502313A JPWO2016136591A1 JP WO2016136591 A1 JPWO2016136591 A1 JP WO2016136591A1 JP 2017502313 A JP2017502313 A JP 2017502313A JP 2017502313 A JP2017502313 A JP 2017502313A JP WO2016136591 A1 JPWO2016136591 A1 JP WO2016136591A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electroacoustic
electroacoustic transducer
conversion film
film
curved
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017502313A
Other languages
English (en)
Inventor
三好 哲
哲 三好
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Publication of JPWO2016136591A1 publication Critical patent/JPWO2016136591A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04RLOUDSPEAKERS, MICROPHONES, GRAMOPHONE PICK-UPS OR LIKE ACOUSTIC ELECTROMECHANICAL TRANSDUCERS; DEAF-AID SETS; PUBLIC ADDRESS SYSTEMS
    • H04R17/00Piezoelectric transducers; Electrostrictive transducers
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04RLOUDSPEAKERS, MICROPHONES, GRAMOPHONE PICK-UPS OR LIKE ACOUSTIC ELECTROMECHANICAL TRANSDUCERS; DEAF-AID SETS; PUBLIC ADDRESS SYSTEMS
    • H04R1/00Details of transducers, loudspeakers or microphones
    • H04R1/02Casings; Cabinets ; Supports therefor; Mountings therein
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04RLOUDSPEAKERS, MICROPHONES, GRAMOPHONE PICK-UPS OR LIKE ACOUSTIC ELECTROMECHANICAL TRANSDUCERS; DEAF-AID SETS; PUBLIC ADDRESS SYSTEMS
    • H04R1/00Details of transducers, loudspeakers or microphones
    • H04R1/20Arrangements for obtaining desired frequency or directional characteristics
    • H04R1/32Arrangements for obtaining desired frequency or directional characteristics for obtaining desired directional characteristic only
    • H04R1/40Arrangements for obtaining desired frequency or directional characteristics for obtaining desired directional characteristic only by combining a number of identical transducers
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04RLOUDSPEAKERS, MICROPHONES, GRAMOPHONE PICK-UPS OR LIKE ACOUSTIC ELECTROMECHANICAL TRANSDUCERS; DEAF-AID SETS; PUBLIC ADDRESS SYSTEMS
    • H04R17/00Piezoelectric transducers; Electrostrictive transducers
    • H04R17/005Piezoelectric transducers; Electrostrictive transducers using a piezoelectric polymer
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04RLOUDSPEAKERS, MICROPHONES, GRAMOPHONE PICK-UPS OR LIKE ACOUSTIC ELECTROMECHANICAL TRANSDUCERS; DEAF-AID SETS; PUBLIC ADDRESS SYSTEMS
    • H04R31/00Apparatus or processes specially adapted for the manufacture of transducers or diaphragms therefor
    • H04R31/003Apparatus or processes specially adapted for the manufacture of transducers or diaphragms therefor for diaphragms or their outer suspension
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04RLOUDSPEAKERS, MICROPHONES, GRAMOPHONE PICK-UPS OR LIKE ACOUSTIC ELECTROMECHANICAL TRANSDUCERS; DEAF-AID SETS; PUBLIC ADDRESS SYSTEMS
    • H04R7/00Diaphragms for electromechanical transducers; Cones
    • H04R7/02Diaphragms for electromechanical transducers; Cones characterised by the construction
    • H04R7/12Non-planar diaphragms or cones
    • H04R7/122Non-planar diaphragms or cones comprising a plurality of sections or layers
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04RLOUDSPEAKERS, MICROPHONES, GRAMOPHONE PICK-UPS OR LIKE ACOUSTIC ELECTROMECHANICAL TRANSDUCERS; DEAF-AID SETS; PUBLIC ADDRESS SYSTEMS
    • H04R7/00Diaphragms for electromechanical transducers; Cones
    • H04R7/16Mounting or tensioning of diaphragms or cones
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04RLOUDSPEAKERS, MICROPHONES, GRAMOPHONE PICK-UPS OR LIKE ACOUSTIC ELECTROMECHANICAL TRANSDUCERS; DEAF-AID SETS; PUBLIC ADDRESS SYSTEMS
    • H04R2307/00Details of diaphragms or cones for electromechanical transducers, their suspension or their manufacture covered by H04R7/00 or H04R31/003, not provided for in any of its subgroups
    • H04R2307/025Diaphragms comprising polymeric materials
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04RLOUDSPEAKERS, MICROPHONES, GRAMOPHONE PICK-UPS OR LIKE ACOUSTIC ELECTROMECHANICAL TRANSDUCERS; DEAF-AID SETS; PUBLIC ADDRESS SYSTEMS
    • H04R7/00Diaphragms for electromechanical transducers; Cones
    • H04R7/02Diaphragms for electromechanical transducers; Cones characterised by the construction
    • H04R7/12Non-planar diaphragms or cones

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Acoustics & Sound (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Multimedia (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Otolaryngology (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Piezo-Electric Transducers For Audible Bands (AREA)
  • Obtaining Desirable Characteristics In Audible-Bandwidth Transducers (AREA)

Abstract

高音質な音を安定して再生することができ、また、再生可能な周波数帯域を広帯域化することができる電気音響変換器、および、電気音響変換システムを提供する。常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体、および、高分子複合圧電体の両面に積層された2つの薄膜電極を有する電気音響変換フィルムと、電気音響変換フィルムが湾曲するように、電気音響変換フィルムの一方の主面に密着して配置される弾性支持体とを有する電気音響変換器において、電気音響変換フィルムの湾曲部が四角形状で、湾曲部の短辺の長さが10cm以下で、かつ、長辺の長さが30cm以上である。

Description

本発明は、スピーカなどの音響デバイス等に用いられる電気音響変換器、および、電気音響変換システムに関する。
液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなど、ディスプレイの薄型化に対応して、これらの薄型ディスプレイに用いられるスピーカにも軽量化・薄型化が要求されている。このような軽量・薄型なスピーカとして、印加電圧に応答して伸縮する性質を有するシート状の圧電フィルムを採用することが考えられている。
例えば、特許文献1には、圧電フィルムとして、ポリフッ化ビニリデン(PVDF:Poly VinyliDene Fluoride)の一軸延伸フィルムを高電圧で分極処理したものを用いることが記載されている。
このような圧電フィルムをスピーカとして採用するためには、フィルム面に沿った伸縮運動をフィルム面の振動に変換する必要がある。この伸縮運動から振動への変換は、圧電フィルムを湾曲させた状態で周辺保持することにより達成され、これにより、圧電フィルムをスピーカとして機能させることが可能になる。
ところが、一軸延伸されたPVDFからなる圧電フィルムは、その圧電特性に面内異方性があるため、湾曲させる際に周辺部を全て固定してしまうと、振動モードが乱れてしまい、十分な音量・音質は得られなかった。更に、PVDFはコーン紙等の一般的なスピーカ用振動板に比べ損失正接が小さいため、共振が強く出やすく、湾曲保持した際の曲率半径によって決まる共振周波数付近では、音圧−周波数特性上にピークやディップが数多く発生してしまう。以上のように、PVDFからなる圧電フィルムを用いた軽量・薄型スピーカでは、高音質な音を再生することが困難であった。
そこで、本願出願人は、軽量・薄型で高音質な音を再生することができるスピーカとして、特許文献2に開示される、常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体と、高分子複合圧電体の両面に形成された薄膜電極と、薄膜電極の表面に形成された保護層とを有する電気音響変換フィルムを提案した。
特開2008−294493号公報 特開2014−14063号公報
特許文献2に記載された電気音響変換フィルムは、常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体とすることで、20Hz〜20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の振動に対しては非常に柔らかく振舞うことが可能で、更に20kHz以下の全ての周波数の振動に対して適度な損失正接を有する。そのため、湾曲保持した際の曲率半径によって決まる共振点が目立たないため、音圧−周波数特性は平滑になり、高音質な音を再生することが可能である。
しかしながら、特許文献2に記載された電気音響変換フィルムは、単一の振動板であるため、高音質かつ十分な音量で再生可能な周波数帯域がやや狭いという問題があることがわかった。
ここで、特許文献1では、音声信号を、周波数帯域別に振幅を所定量増減するように補正する、固有の補正パターンをそれぞれ備えた複数のフィルタを有し、計測されたスピーカの湾曲度合いに応じて、フィルタの1つを選択して、このフィルタで音声信号を補正して、スピーカに出力することで、周波数特性や音量等の音質を向上させることが記載されている。
しかしながら、スピーカに入力する音声信号を補正する構成では、周波数特性や音量の向上が不十分であった。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、広い周波数帯域で高音質かつ十分な音量で音を再生することができる電気音響変換器および電気音響変換システムを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべき鋭意検討した結果、常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体、および、高分子複合圧電体の両面に積層された2つの薄膜電極を有する電気音響変換フィルムと電気音響変換フィルムが湾曲するように、前記電気音響変換フィルムの一方の主面に密着して配置される弾性支持体とを有する電気音響変換器において、
電気音響変換フィルムの振動面が四角形状で、振動面の短辺の長さが10cm以下で、かつ、長辺の長さが30cm以上である構成とすることにより、広い周波数帯域で、高音質な音を十分な音量で再生することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の構成の電気音響変換器、電気音響変換システムおよび電気音響変換フィルムを提供する。
(1) 常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体、および、高分子複合圧電体の両面に積層された2つの薄膜電極を有する電気音響変換フィルムと、電気音響変換フィルムの少なくとも一部が湾曲するように、電気音響変換フィルムの一方の主面に密着して配置される弾性支持体とを有する電気音響変換器において、
電気音響変換フィルムの湾曲部が四角形状であり、湾曲部の短辺の長さが10cm以下であり、かつ、長辺の長さが30cm以上である電気音響変換器。
(2) 弾性支持体が粘弾性を有する粘弾性支持体である(1)に記載の電気音響変換器。
(3) 湾曲部が、中心から周辺部に向かって緩やかに曲率が変化している(1)または(2)に記載の電気音響変換器。
(4) 電気音響変換フィルムが複数の領域に区画され、各領域ごとに湾曲部が形成されている(1)〜(3)のいずれかに記載の電気音響変換器。
(5) 少なくとも1つの開口部を備え、電気音響変換フィルムを粘弾性支持体に押圧する押圧部材を有し、
電気音響変換フィルムの、押圧部材の前記開口部に対応する領域が湾曲部であり、
開口部が四角形状であり、開口部の短辺の長さが10cm以下であり、かつ、長辺の長さが30cm以上である(1)〜(4)のいずれかに記載の電気音響変換器。
(6) 押圧部材が、2以上の開口部を有する(5)に記載の電気音響変換器。
(7) 電気音響変換フィルムが、1つの湾曲部を有し、電気音響変換フィルムが四角形状であり、短辺の長さが12cm以下であり、かつ、長辺の長さが30.2cm以上である(1)〜(5)のいずれかに記載の電気音響変換器。
(8) 電気音響変換フィルムが、2つ以上の湾曲部を有し、各湾曲部の中心点における法線ベクトルが互いに異なる方向を向いており、かつ、外側を向いて配置される(1)〜(6)のいずれかに記載の電気音響変換器。
(9) 電気音響変換フィルムが、2つの湾曲部を有し、各湾曲部の中心点における法線ベクトルが互いに反対向きになるよう背面配置された(8)に記載の電気音響変換器。
(10) 電気音響変換フィルムが、複数の湾曲部を有し、各湾曲部の長辺の延在方向を一致させて、かつ、湾曲部の長辺に垂直な断面において、複数の湾曲部が多角形状若しくは花弁形状を形成し、各湾曲部の中心点における法線ベクトルが互いに異なる方向になるよう配列された(8)に記載の電気音響変換器。
(11) 電気音響変換フィルムの動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)が、0℃において10〜30GPa、50℃において1〜10GPaである(1)〜(10)のいずれかに記載の電気音響変換器。
(12) 高分子材料の周波数1Hzでのガラス転移温度が0〜50℃である(1)〜(11)のいずれかに記載の電気音響変換器。
(13) 高分子材料の動的粘弾性測定による周波数1Hzでの損失正接(Tanδ)が0.5以上となる極大値が0〜50℃の温度範囲に存在する(1)〜(12)のいずれかに記載の電気音響変換器。
(14) 高分子材料が、シアノエチル基、或いはシアノメチル基を有するものである(1)〜(13)のいずれかに記載の電気音響変換器。
(15) 高分子材料が、シアノエチル化ポリビニルアルコールを主成分とする(1)〜(14)のいずれかに記載の電気音響変換器。
(16) (1)〜(15)のいずれかに記載の電気音響変換器を複数有し、各電気音響変換器の湾曲部の中心点における法線ベクトルが互いに異なる方向を向いており、かつ、外側を向いて配置される電気音響変換システム。
(17) 2つの電気音響変換器を有し、2つの電気音響変換器の前記湾曲部の中心点における法線ベクトルが互いに反対方向を向いている(15)に記載の電気音響変換システム。
(18) 複数の電気音響変換器が、各電気音響変換器の湾曲部の長辺の延在方向を一致させて、かつ、湾曲部の長辺に垂直な断面において、複数の湾曲部が多角形状もしくは花弁形状を形成し、各湾曲部の中心点における法線ベクトルが互いに異なる方向になるよう配列される(15)に記載の電気音響変換システム。
(19) (16)〜(18)のいずれかに記載の電気音響変換システムにおいて、複数の電気音響変換器に囲まれる空間を共鳴管として用いることを特徴とするサブウーハー。
(20) 複数の電気音響変換器に囲まれる空間にサブウーハーを搭載した(16)〜(19)のいずれかに記載の電気音響変換システム。
このような本発明の電気音響変換器、電気音響変換システムおよび電気音響変換フィルムによれば、広い周波数帯域で高音質な音を十分な音量で再生することができる。
本発明の電気音響変換器の一例を概念的に示す正面図である。 図1AのB−B線断面図である。 図1AのC−C線断面図である。 本発明の電気音響変換器の他の一例を概念的に示す正面図である。 図2AのB−B線断面図である。 本発明の電気音響変換器の他の一例の概略断面図である。 本発明の電気音響変換器の他の一例の概略断面図である。 図4Aを説明するための図である。 図4Aを説明するための図である。 本発明の電気音響変換フィルムの一例を概念的に示す断面図である。 電気音響変換フィルムの作製方法の一例を説明するための概念図である。 電気音響変換フィルムの作製方法の一例を説明するための概念図である。 電気音響変換フィルムの作製方法の一例を説明するための概念図である。 電気音響変換フィルムの作製方法の一例を説明するための概念図である。 電気音響変換フィルムの作製方法の一例を説明するための概念図である。 本発明の電気音響変換器を用いる電気音響変換システムの一例を概念的に示す斜視図である。 本発明の電気音響変換器を用いる電気音響変換システムの他の一例を概念的に示す斜視図である。 周波数と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 周波数と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 周波数と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 周波数と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 周波数と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 周波数と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 音圧レベルの測定に用いた電気音響変換器を概念的に示す正面図である。 音圧レベルの測定に用いた電気音響変換器を概念的に示す正面図である。 音圧レベルの測定に用いた電気音響変換器を概念的に示す正面図である。 音圧レベルの測定に用いた電気音響変換器を概念的に示す正面図である。 周波数と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 周波数と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 音圧レベルの測定方法を説明するための概略斜視図である。 音圧レベルの測定方法を説明するための概略斜視図である。 周波数と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 周波数と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 音圧レベルの測定方法を説明するための概略斜視図である。 周波数と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 音圧レベルの測定方法を説明するための概略斜視図である。 周波数と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 測定方向と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 測定方向と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 測定方向と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 従来の電気音響変換器の一例を模式的に表す図である。 従来の電気音響変換器の一例を模式的に表す図である。 従来の電気音響変換器の一例を模式的に表す図である。 測定方向と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 測定方向と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 測定方向と音圧レベルとの関係を表すグラフである。
以下、本発明の電気音響変換器、および、電気音響変換システムについて、添付の図面に示される好適実施態様を基に、詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
図1Aに、本発明の電気音響変換器の一例を概念的に示す正面図を示し、図1Bに、図1AのB−B線断面図を示し、図1Cに、図1AのC−C線断面図を示す。
図1A〜図1Cに示すように、電気音響変換器100は、振動板としての電気音響変換フィルム(以下、「変換フィルム」ともいう)10と、変換フィルム10を湾曲した状態で保持するための粘弾性支持体106を有するものである。
電気音響変換器100は、変換フィルム10への電圧印加によって、変換フィルム10が面内方向に伸長すると、この伸長分を吸収するために、変換フィルム10は、上方(音の放射方向)に移動し、逆に、変換フィルム10への電圧印加によって、変換フィルム10が面内方向に収縮すると、この収縮分を吸収するために、変換フィルム10は、下方(ケース104側)に移動する。電気音響変換器100は、この変換フィルム10の伸縮の繰り返しによる振動により、振動(音)と電気信号とを変換するものである。
このような電気音響変換器100は、スピーカ、マイクロフォン、および、ギター等の楽器に用いられるピックアップなどの各種の音響デバイスとして利用されるものであり、変換フィルム10に電気信号を入力して電気信号に応じた振動により音を再生したり、音による変換フィルム10の振動を電気信号に変換するために利用されるものである。
ここで、本発明の電気音響変換器100は、変換フィルム10の湾曲部が四角形状であり、湾曲部の短辺の長さが10cm以下であり、かつ、長辺の長さが30cm以上である。これにより、湾曲部の曲率半径によって決まる共振周波数が適度に分散することになり、広い周波数帯域で高音質な音を再生するのに好適な多重振動モードが実現する。
この点に関しては後に詳述する。
電気音響変換器100は、変換フィルム10と、ケース104と、粘弾性支持体106と、押圧部材108とを有して構成される。
変換フィルム10は、圧電性を有し、電界の状態に応じて主面が伸縮する圧電フィルムであって、湾曲した状態で保持されることで、フィルム面に沿った伸縮運動をフィルム面に垂直な方向の振動に変換して、電気信号を音に変換するものである。
ここで、本発明の電気音響変換器100に用いられる変換フィルム10は、常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体、および、高分子複合圧電体の両面に積層された2つの薄膜電極を有する変換フィルムである。
変換フィルム10については後に詳述する。
ケース104は、押圧部材108と共に、変換フィルム10および粘弾性支持体106を保持する保持部材であり、プラスチック等で形成される、一面が開放する箱型の筐体である。図に示すように、開放面は長方形状を有する。ケース104は、内部に粘弾性支持体106を収容する。
粘弾性支持体106は、適度な粘性と弾性を有し、変換フィルム10を湾曲した状態で保持すると共に、変換フィルム10のどの場所でも一定の機械的バイアスを与えることによって、変換フィルム10の伸縮運動を無駄なく前後運動(変換フィルムの面に垂直な方向の運動)に変換させるためのものである。
図示例において、粘弾性支持体106は、ケース104の底面とほぼ同等の底面形状を有する四角柱状である。また、粘弾性支持体106の高さは、ケース104の深さよりも大きい。
粘弾性支持体106の材料としては、適度な粘性と弾性を有し、かつ、圧電フィルムの振動を妨げず、好適に変形するものであれば、特に限定はない。一例として、羊毛のフェルト、レーヨンやPETを含んだ羊毛のフェルトなどの不織布、グラスウール、ポリエステルウール、或いはポリウレタンなどの発泡材料(発泡プラスチック)、紙を複数枚重ねたもの、磁性流体、塗料等が例示される。
粘弾性支持体106の比重には、特に限定はなく、粘弾性支持体の種類に応じて、適宜、選択すればよい。一例として、粘弾性支持体としてフェルトを用いた場合には、比重は、50〜500kg/m3が好ましく、100〜300kg/m3がより好ましい。また、粘弾性支持体としてグラスウールを用いた場合には、比重は、10〜100kg/m3が好ましい。
押圧部材108は、変換フィルム10を粘弾性支持体106に押圧した状態で支持するためのものであり、金属やプラスチック等で形成される、中央に開口部108aを有する長方形状の板状部材である。押圧部材108は、ケース104の開放面と同様の形状を有し、また、開口部108aの形状は、ケース104の開放部と同様の長方形状である。
電気音響変換器100においては、ケース104の中に粘弾性支持体106を収容して、変換フィルム10によってケース104および粘弾性支持体106を覆い、変換フィルム10の周辺を押圧部材108によってケース104の開放面に接した状態で、押圧部材108をケース104に固定して、構成される。
なお、ケース104への押圧部材108の固定方法には、特に限定はなく、ビスやボルトナットを用いる方法、固定用の治具を用いる方法等、公知の方法が、各種、利用可能である。
この電気音響変換器100においては、粘弾性支持体106は、高さ(厚さ)がケース104の内面の高さよりも厚い。すなわち、変換フィルム10および押圧部材108が固定される前の状態では、粘弾性支持体106は、ケース104の上面よりも突出した状態となっている。
そのため、電気音響変換器100では、粘弾性支持体106の周辺部に近くなるほど、粘弾性支持体106が変換フィルム10によって下方に押圧されて厚さが薄くなった状態で、保持される。すなわち、変換フィルム10の主面の少なくとも一部が湾曲した状態で保持される。これにより、変換フィルム10の少なくとも一部に湾曲部が形成される。電気音響変換器100において、この湾曲部が振動面となる。なお、以下の説明では、湾曲部を振動面ともいう。
この際、変換フィルム10の面方向において、粘弾性支持体106の全面を押圧して、全面的に厚さが薄くなるようにするのが好ましい。すなわち、変換フィルム10の全面が粘弾性支持体106により押圧されて支持されるのが好ましい。
また、このように形成された湾曲部は、中心から周辺部に向かって緩やかに曲率が変化しているのが好ましい。これにより、共振周波数を分散させ、より広帯域化できる。
また、電気音響変換器100において、粘弾性支持体106は押圧部材108に近づくほど厚さ方向に圧縮された状態になるが、静的粘弾性効果(応力緩和)によって、変換フィルム10のどの場所でも機械的バイアスを一定に保つことができる。これにより、変換フィルム10の伸縮運動が無駄なく前後運動へと変換されるため、薄型、かつ、十分な音量が得られ、音響特性に優れる平面状の電気音響変換器100を得ることができる。
このような構成の電気音響変換器100において、変換フィルム10の、押圧部材108の開口部108aに対応する領域が実際に振動する湾曲部となる。すなわち、押圧部材108は、湾曲部を規定する部位である。
ここで、変換フィルム10の湾曲部、すなわち、押圧部材108の開口部108aの長辺の長さをLaとし、短辺の長さをLbとすると、短辺の長さLbは10cm以下であり、かつ、長辺の長さLaは30cm以上である。
前述のとおり、従来、圧電フィルムとして、PVDFの一軸延伸フィルムを圧電体として用いることが提案されていた。
ところが、一軸延伸されたPVDFからなる圧電フィルムは、その圧電特性に面内異方性があるため、湾曲させる際に周辺部を全て固定してしまうと、振動モードが乱れてしまい、十分な音量・音質は得られなかった。更に、PVDFはコーン紙等の一般的なスピーカ用振動板に比べ損失正接が小さいため、共振が強く出やすく、湾曲保持した際の曲率半径によって決まる共振周波数付近では、音圧−周波数特性上にピークやディップが数多く発生してしまう。以上のように、PVDFからなる圧電フィルムを用いた軽量・薄型スピーカでは、高音質な音を再生することが困難であった。
これに対して、本願出願人は、常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体と、高分子複合圧電体の両面に形成された薄膜電極と、薄膜電極の表面に形成された保護層とを有する変換フィルムを提案した。この変換フィルムは、20Hz〜20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の振動に対しては非常に柔らかく振舞うことが可能で、更に20kHz以下の全ての周波数の振動に対して適度な損失正接を有する。そのため、湾曲保持した際の曲率半径によって決まる共振点が目立たないため、音圧−周波数特性は平滑になり、高音質な音を再生することが可能である。
しかしながら、このような変換フィルムは、単一の振動板であるため、高音質かつ十分な音量で再生可能な周波数帯域がやや狭いという問題があることがわかった。
この点について、詳細に検討したところ、変換フィルムの振動面(湾曲部)が、円形状や正方形状等の中心対称性の高い形状の場合には、振動モードが単一モードに近づくため、この振動モードの共振周波数から外れた周波数帯域での電力と音(振動)との変換効率(以下、単に「変換効率」ともいう)が低くなるため、高音質かつ十分な音量で再生可能な周波数帯域が狭くなることがわかった。
これに対して、本発明においては、変換フィルム10の湾曲部が四角形状であり、短辺の長さLbが10cm以下で、かつ、長辺の長さLaが30cm以上の構成を有する。変換フィルムの湾曲部が四角形状の場合には、長辺と短辺の長さを上記範囲とすることで、湾曲部の曲率半径によって決まる共振周波数が適度に分散することになり、広い周波数帯域で高音質な音を再生するのに好適な多重振動モードが実現する。
なお、可聴域において高音質かつ十分な音量で再生可能とする、長手方向に対して垂直な面方向への指向性を広くする等の観点から、短辺の長さLbは、1cm〜10cmとするのが好ましく、3cm〜10cmとするのがより好ましい。また、長辺の長さLaは、30cm〜200cmとするのが好ましく、30cm〜80cmとするのがより好ましい。
ここで、本発明において、四角形状(長方形状)の湾曲部とは、隣接する辺同士のなす角度が90°±5°の形状を含み、また、対面する辺同士のなす角度が±5°の形状を含む。
また、湾曲部の角部、すなわち。押圧部材108の開口部108aの角部は、R面取りやC面取りされていてもよい。さらに、例えば、R面取りの半径を短辺の長さの半分として、二つの等しい長さの平行線と二つの半円形からなる、角丸長方形としてもよい。
このような場合には、面取りする前の四角形状の長辺および短辺の長さを、それぞれ湾曲部の長辺Laおよび短辺Lbとする。
また、図1Aに示す例では、電気音響変換器100は、1つの湾曲部を有する構成としたが、これに限定はされず、2以上の湾曲部を有する構成としてもよい。
図2Aは、本発明の電気音響変換器の他の一例を概念的に示す正面図であり、図2Bは、図2AのB−B線断面図である。
図2Aおよび図2Bに示す電気音響変換器110は、4つの変換フィルム10a〜10dと、ケース114と、4つの粘弾性支持体106a〜106dと、押圧部材118とを有して構成される。なお、変換フィルム10a〜10d、および、粘弾性支持体106a〜106dはそれぞれ、電気音響変換器100の変換フィルム10、および、粘弾性支持体106と同様の構成を有するので、詳細な説明は省略する。
ケース114は、粘弾性支持体106a〜106dをそれぞれ収納するための、4つの収納部114a〜114dを有する筐体である。言い換えると、ケース114は、一面が開放された箱型の筐体であり、筐体の内部の空間を4つの区画に区切る隔壁を設けたものである。
各収納部114a〜114dはそれぞれ、開放面が長方形状を有し、開放面の長辺の延在方向および短辺の延在方向を一致させて、短辺の延在方向に配列されて形成されている。
押圧部材118は、変換フィルム10a〜10dをそれぞれ、粘弾性支持体106a〜116dに押圧した状態で支持するためのものであり、金属やプラスチック等で形成される、4つの開口部118a〜118dを有する板状部材である。押圧部材118は、ケース114の開放面と同様の形状を有し、また、開口部118a〜118dそれぞれの形状は、ケース114の収納部114a〜114dの開放面と同様の長方形状である。したがって、各開口部118a〜118dはそれぞれ、長辺の延在方向および短辺の延在方向を一致させて、短辺の延在方向に配列されて形成されている。
電気音響変換器110においては、ケース114の各収納部114a〜114dに、それぞれ粘弾性支持体106a〜106dを収容して、変換フィルム10a〜10dによって各粘弾性支持体106a〜106dを覆い、変換フィルム10a〜10dの周辺を押圧部材118によってケース114の開放面に接した状態で、押圧部材118をケース114に固定して構成される。
これにより、各変換フィルム10a〜10dの、押圧部材118の開口部118a〜118dに対応する領域が湾曲部となり、4つの湾曲部を有する電気音響変換器110を構成する。
ここで、図2Aに示す例では、4つの湾曲部を有する構成としたが、これに限定はされず、2つ、3つ、あるいは、5つ以上の湾曲部を有する構成としてもよい。
また、図2Aに示す例では、複数の湾曲部の大きさおよび形状は同じとしたが、これに限定はされず、湾曲部の大きさおよび形状は互いに異なっていてもよい。
また、複数の湾曲部を有する場合には、少なくとも1つの湾曲部が四角形状であり、短辺の長さが10cm以下であり、かつ、長辺の長さが30cm以上であればよいが、すべての湾曲部の長辺および短辺の長さが上記範囲であるのが好ましい。
また、図2Aに示す例では、1つの押圧部材118が4つの開口部118a〜118dを有し、4つの変換フィルム10a〜10dを支持する構成としたが、これに限定はされず、1つの開口部を有する押圧部材を4つ有し、各押圧部材がそれぞれ変換フィルム10a〜10dを支持する構成としてもよい。
また、図2Aに示す例では、4つの湾曲部に対応して、4つの変換フィルム10a〜10d、4つの粘弾性支持体106a〜106d、4つの収納部114a〜114dを備えるケース114、および、4つの開口部118a〜118dを備える押圧部材118を有する構成としたが、これに限定はされず、複数の湾曲部を規定できれば、変換フィルム、粘弾性支持体、および収納部は、振動面の数に対応していなくてもよい。
例えば、図3に示す電気音響変換器120ように、4つの湾曲部を包含する大きさの1つの変換フィルム10e、1つの粘弾性支持体126、および、1つの収納部を備えるケース124と、4つの開口部を備える押圧部材118とを有することで、4つの湾曲部を規定する構成としてもよい。
また、電気音響変換器100において、変換フィルム10による粘弾性支持体106の押圧力には、特に限定はないが面圧が低い位置における面圧で0.005〜1.0MPa、特に0.02〜0.2MPa程度とするのが好ましい。
電気音響変換器100に組み込んだ変換フィルム10の高低差、図示例では、押圧部材108の底面に対して最も近い所と最も遠い所との距離にも、特に限定はないが、薄型の平面スピーカが得られる、変換フィルム10の十分な上下運動が可能になる等の点で、1〜50mm、特に5〜20mm程度とするのが好ましい。
加えて、粘弾性支持体106の厚さにも、特に限定は無いが、押圧される前の厚さが、1〜100mm、特に10〜50mmであるのが好ましい。
また、ケース104と変換フィルム10との間には、Oリング等を介在させてもよい。このような構成を有することにより、ダンパ効果を持たせることができ、変換フィルム10の振動がケース104に伝達されることを防止して、より優れた音響特性を得ることができる。
また、図示例においては、粘弾性を有する粘弾性支持体106を利用する構成としたが、これに限定はされず、少なくとも弾性を有する弾性支持体を利用する構成であればよい。
例えば、粘弾性支持体106に代えて、弾性を有する弾性支持体を有する構成としてもよい。
弾性支持体としては、天然ゴムや各種合成ゴムが例示される。
あるいは、例えば、ケースとして、ケース104と同様の形状で気密性を有する物を用い、ケースの開放端を変換フィルム10で覆って閉塞し、ケース内に気体を導入して変換フィルム10に圧力を掛けて、凸状に膨らました状態で、保持する構成としてもよい。
すなわち、圧力を掛けた気体を弾性支持体として利用する構成であってもよい。
なお、内部の圧力を高める構成の場合は、振動の非対称性が増したり、共振周波数が上昇したり、音質への影響が出易い。一方、グラスウールやフェルト等の粘弾性支持体で変換フィルム10を湾曲保持する構成の場合は、音質への影響も少なく好適である。
また、ケース内に充填するのは気体以外でも良く、磁性流体や塗料でも適度な粘性および弾性を付与できれば使用可能である。
あるいは、変換フィルム10自体を予め凸状あるいは凹状に成型してもよい。その際、変換フィルム10全体を凸状あるいは凹状に成型してもよく、変換フィルムの一部を凸部(凹部)に成型してもよい。凸部の成型方法としては特に限定はなく、種々の公知の樹脂フィルムの加工方法が利用可能である。例えば、真空加圧成型法、エンボス加工等の形成方法により、凸部を形成することができる。
また、変換フィルム10に複数の凸部を予め形成して、変換フィルムが複数の湾曲部を有する構成としてもよい。
また、粘弾性支持体106を利用する構成と内部に圧力をかける構成と凸部を成型する構成とを適宜組み合わせてもよい。
また、図1Aに示す例では、押圧部材108を用いて、変換フィルム10を粘弾性支持体106に押圧して支持する構成としたが、これに限定はされず、例えば、図4Aに示すように、ケース104の開口面よりも大きい変換フィルム10を用いて、変換フィルムの端部をケース104の裏面側で固定する構成としてもよい。すなわち、図4Bに示すように、ケース104とケース104内に配置された粘弾性支持体106とを、ケース104の開口面よりも大きい変換フィルム10で覆い、図4Cに示すように、変換フィルム10の端部をケース104の裏面側に引張ることで、変換フィルム10を粘弾性支持体106に押圧して張力を付与して湾曲させ、変換フィルムの端部をケース104の裏面側で固定して、図4Aのような電気音響変換器130としてもよい。
また、本発明の電気音響変換器をスピーカとして駆動する際には、電気音響変換器の周波数特性に応じて、入力する信号レベルを周波数帯域ごとに補正してもよい。
次に、本発明の電気音響変換器に用いられる電気音響変換フィルムについて説明する。
図5は、変換フィルム10一例を概念的に示す断面図である。
図5に示すように、変換フィルム10は、圧電性を有するシート状物である圧電体層12と、圧電体層12の一方の面に積層される下部薄膜電極14と、下部薄膜電極14上に積層される下部保護層18と、圧電体層12の他方の面に積層される上部薄膜電極16と、上部薄膜電極16上に積層される上部保護層20とを有する。
変換フィルム10において、高分子複合圧電体である圧電体層12は、図5に概念的に示すような、常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス24中に、圧電体粒子26を均一に分散してなる高分子複合圧電体からなるものである。なお、本明細書において、「常温」とは、0〜50℃程度の温度域を指す。
また、後述するが、圧電体層12は、好ましくは、分極処理されている。
変換フィルム10は、薄型TV用のスピーカなど、軽量化や薄型化が要求されるスピーカ等に好適に用いられる。ここで、変換フィルム10は、次の用件を具備したものであるのが好ましい。
(i) 可撓性
例えば、本発明の電気音響変換器を組み立てる際、変換フィルムは押圧部材によって押圧されることで湾曲部が形成される。この時、変換フィルムが硬いと、その分大きな曲げ応力が発生するため、特に押圧部材近傍において高分子マトリックスと圧電体粒子との界面で亀裂が発生し、やがて破壊に繋がる恐れがある。従って、変換フィルムには適度な柔らかさが求められる。また、歪みエネルギーを熱として外部へ拡散できれば応力を緩和することができる。従って、高分子複合圧電体の損失正接が適度に大きいことが求められる。
(ii) 音質
スピーカは、20Hz〜20kHzのオーディオ帯域の周波数で圧電体粒子を振動させ、その振動エネルギーによって振動板(変換フィルム)全体が一体となって振動することで音が再生される。従って、振動エネルギーの伝達効率を高めるために変換フィルムには適度な硬さが求められる。また、スピーカの周波数特性が平滑であれば、曲率の変化に伴い最低共振周波数fが変化した際の音質の変化量も小さくなる。従って、変換フィルムの損失正接は適度に大きいことが求められる。
以上をまとめると、本発明の電気音響変換器に用いる変換フィルムは、20Hz〜20kHzの振動に対しては硬く、外部からのゆっくりとした変形に対しては柔らかく振る舞うことが求められる。また、変換フィルムの損失正接は、20kHz以下の全ての周波数の振動に対して、適度に大きいことが求められる。
一般に、高分子固体は粘弾性緩和機構を有しており、温度上昇あるいは周波数の低下とともに大きなスケールの分子運動が貯蔵弾性率(ヤング率)の低下(緩和)あるいは損失弾性率の極大(吸収)として観測される。その中でも、非晶質領域の分子鎖のミクロブラウン運動によって引き起こされる緩和は、主分散と呼ばれ、非常に大きな緩和現象が見られる。この主分散が起きる温度がガラス転移点(Tg)であり、最も粘弾性緩和機構が顕著に現れる。
高分子複合圧電体(圧電体層12)において、ガラス転移点が常温にある高分子材料、言い換えると、常温で粘弾性を有する高分子材料をマトリックスに用いることで、20Hz〜20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の遅い振動に対しては柔らかく振舞う高分子複合圧電体が実現する。特に、この振舞いが好適に発現する等の点で、周波数1Hzでのガラス転移温度が常温、すなわち、0〜50℃にある高分子材料を、高分子複合圧電体のマトリックスに用いるのが好ましい。
常温で粘弾性を有する高分子材料としては、公知の各種のものが利用可能である。好ましくは、常温、すなわち0〜50℃において、動的粘弾性試験による周波数1Hzにおける損失正接Tanδの極大値が、0.5以上有る高分子材料を用いる。
これにより、変換フィルムが外力によってゆっくりと曲げられた際に、最大曲げモーメント部における高分子マトリックス/圧電体粒子界面の応力集中が緩和され、高い可撓性が期待できる。
また、高分子材料は、動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)が、0℃において100MPa以上、50℃において10MPa以下、であることが好ましい。
これにより、変換フィルムが外力によってゆっくりと曲げられた際に発生する曲げモーメントが低減できると同時に、20Hz〜20kHzの音響振動に対しては硬く振る舞うことができる。
また、高分子材料は、比誘電率が25℃において10以上有ると、より好適である。これにより、高分子複合圧電体に電圧を印加した際に、高分子マトリックス中の圧電体粒子にはより高い電界が掛かるため、大きな変形量が期待できる。
しかしながら、その反面、良好な耐湿性の確保等を考慮すると、高分子材料は、比誘電率が25℃において10以下であるのも、好適である。
このような条件を満たす高分子材料としては、シアノエチル化ポリビニルアルコール(シアノエチル化PVA)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニリデンクロライドコアクリロニトリル、ポリスチレン−ビニルポリイソプレンブロック共重合体、ポリビニルメチルケトン、および、ポリブチルメタクリレート等が例示される。また、これらの高分子材料としては、ハイブラー5127(クラレ社製)などの市販品も、好適に利用可能である。なかでも、シアノエチル基或いはシアノメチル基を有する材料を用いることが好ましく、シアノエチル化PVAを用いるのが特に好ましい。
なお、これらの高分子材料は、1種のみを用いてもよく、複数種を併用(混合)して用いてもよい。
このような常温で粘弾性を有する高分子材料を用いる粘弾性マトリックス24は、必要に応じて、複数の高分子材料を併用してもよい。
すなわち、粘弾性マトリックス24には、誘電特性や機械特性の調整等を目的として、シアノエチル化PVA等の粘弾性材料に加え、必要に応じて、その他の誘電性高分子材料を添加しても良い。
添加可能な誘電性高分子材料としては、一例として、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体及びポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系高分子、シアン化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、シアノエチルセルロース、シアノエチルヒドロキシサッカロース、シアノエチルヒドロキシセルロース、シアノエチルヒドロキシプルラン、シアノエチルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、シアノエチルヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルアミロース、シアノエチルヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルジヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルヒドロキシプロピルアミロース、シアノエチルポリアクリルアミド、シアノエチルポリアクリレート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリヒドロキシメチレン、シアノエチルグリシドールプルラン、シアノエチルサッカロース及びシアノエチルソルビトール等のシアノ基あるいはシアノエチル基を有するポリマー、ニトリルゴムやクロロプレンゴム等の合成ゴム等が例示される。
中でも、シアノエチル基を有する高分子材料は、好適に利用される。
また、圧電体層12の粘弾性マトリックス24において、シアノエチル化PVA等の常温で粘弾性を有する材料に加えて添加される誘電性ポリマーは、1種に限定はされず、複数種を添加してもよい。
また、誘電性ポリマー以外にも、ガラス転移点Tgを調整する目的で、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリブテン、イソブチレン、等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、マイカ、等の熱硬化性樹脂を添加しても良い。
更に、粘着性を向上する目的で、ロジンエステル、ロジン、テルペン、テルペンフェノール、石油樹脂、等の粘着付与剤を添加しても良い。
圧電体層12の粘弾性マトリックス24において、シアノエチル化PVA等の粘弾性材料以外のポリマーを添加する際の添加量には、特に限定は無いが、粘弾性マトリックス24に占める割合で30重量%以下とするのが好ましい。
これにより、粘弾性マトリックス24における粘弾性緩和機構を損なうことなく、添加する高分子材料の特性を発現できるため、高誘電率化、耐熱性の向上、圧電体粒子26や電極層との密着性向上等の点で好ましい結果を得ることができる。
圧電体粒子26は、ペロブスカイト型或いはウルツ鉱型の結晶構造を有するセラミックス粒子からなるものである。
圧電体粒子26を構成するセラミックス粒子としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン酸鉛(PLZT)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、酸化亜鉛(ZnO)、および、チタン酸バリウムとビスマスフェライト(BiFe3)との固溶体(BFBT)等が例示される。
このような圧電体粒子26の粒径は、変換フィルム10のサイズや用途に応じて、適宜、選択すれば良いが、本発明者の検討によれば、1〜10μmが好ましい。
圧電体粒子26の粒径を上記範囲とすることにより、高い圧電特性とフレキシビリティとを両立できる等の点で好ましい結果を得ることができる。
なお、図3においては、圧電体層12中の圧電体粒子26は、粘弾性マトリックス24中に、規則性を持って分散されているが、本発明は、これに限定はされない。
すなわち、圧電体層12中の圧電体粒子26は、好ましくは均一に分散されていれば、粘弾性マトリックス24中に不規則に分散されていてもよい。
変換フィルム10において、圧電体層12中における粘弾性マトリックス24と圧電体粒子26との量比は、変換フィルム10の面方向の大きさや厚さ、変換フィルム10の用途、変換フィルム10に要求される特性等に応じて、適宜、設定すればよい。
ここで、本発明者の検討によれば、圧電体層12中における圧電体粒子26の体積分率は、30〜70%が好ましく、特に、50%以上とするのが好ましく、従って、50〜70%とするのが、より好ましい。
粘弾性マトリックス24と圧電体粒子26との量比を上記範囲とすることにより、高い圧電特性とフレキシビリティとを両立できる等の点で好ましい結果を得ることができる。
また、変換フィルム10において、圧電体層12の厚さにも、特に限定はなく、変換フィルム10のサイズ、変換フィルム10の用途、変換フィルム10に要求される特性等に応じて、適宜、設定すればよい。
ここで、本発明者の検討によれば、圧電体層12の厚さは、5μm〜300μmが好ましく、10〜200μmがより好ましく、特に、20〜100μmが好ましい。
圧電体層12の厚さを、上記範囲とすることにより、剛性の確保と適度な柔軟性との両立等の点で好ましい結果を得ることができる。
なお、圧電体層12は、分極処理(ポーリング)されているのが好ましいのは、前述のとおりである。分極処理に関しては、後に詳述する。
図3に示すように、本発明の変換フィルム10は、このような圧電体層12の一面に、下部薄膜電極14を形成し、その上に下部保護層18を形成し、圧電体層12の他方の面に、上部薄膜電極16を形成し、その上に上部保護層20を形成してなる構成を有する。ここで、上部薄膜電極16と下部薄膜電極14とが電極対を形成する。
なお、変換フィルム10は、これらの層に加えて、例えば、上部薄膜電極16、および、下部薄膜電極14からの電極の引出しを行う電極引出し部や、圧電体層12が露出する領域を覆って、ショート等を防止する絶縁層等を有していてもよい。
すなわち、変換フィルム10は、圧電体層12の両面を電極対、すなわち、上部薄膜電極16および下部薄膜電極14で挟持し、この積層体を、上部保護層20および下部保護層18で挟持してなる構成を有する。
このように、上部薄膜電極16および下部薄膜電極14で挾持された領域は、印加された電圧に応じて駆動される。
変換フィルム10において、上部保護層20および下部保護層18は、圧電体層12に適度な剛性と機械的強度を付与する役目を担っている。すなわち、本発明の変換フィルム10において、粘弾性マトリックス24と圧電体粒子26とからなる圧電体層12は、ゆっくりとした曲げ変形に対しては、非常に優れた可撓性を示す一方で、用途によっては、剛性や機械的強度が不足する場合がある。変換フィルム10は、それを補うために上部保護層20および下部保護層18が設けられる。
上部保護層20および下部保護層18には、特に限定はなく、各種のシート状物が利用可能であり、一例として、各種の樹脂フィルムが好適に例示される。中でも、優れた機械的特性および耐熱性を有するなどの理由により、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイト(PPS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、トリアセチルセルロース(TAC)、および、環状オレフィン系樹脂が好適に利用される。
上部保護層20および下部保護層18の厚さにも、特に、限定は無い。また、上部保護層20および下部保護層18の厚さは、基本的に同じであるが、異なってもよい。
ここで、上部保護層20および下部保護層18の剛性が高過ぎると、圧電体層12の伸縮を拘束するばかりか、可撓性も損なわれるため、機械的強度やシート状物としての良好なハンドリング性が要求される場合を除けば、上部保護層20および下部保護層18は、薄いほど有利である。
本発明者の検討によれば、上部保護層20および下部保護層18の厚さが、圧電体層12の厚さの2倍以下であれば、剛性の確保と適度な柔軟性との両立等の点で好ましい結果を得ることができる。
例えば、圧電体層12の厚さが50μmで上部保護層20および下部保護層18がPETからなる場合、上部保護層20および下部保護層18の厚さは、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、中でも25μm以下とするのが好ましい。
変換フィルム10において、圧電体層12と上部保護層20との間には上部薄膜電極(以下、上部電極とも言う)16が、圧電体層12と下部保護層18との間には下部薄膜電極(以下、下部電極とも言う)14が、それぞれ形成される。
上部電極16および下部電極14は、変換フィルム10(圧電体層12)に電界を印加するために設けられる。
本発明において、上部電極16および下部電極14の形成材料には、特に、限定はなく、各種の導電体が利用可能である。具体的には、炭素、グラフェン、パラジウム、鉄、錫、アルミニウム、ニッケル、白金、金、銀、銅、クロムおよびモリブデン等や、これらの合金、酸化インジウムスズ等が例示される。中でも、銅、アルミニウム、金、銀、白金、および、酸化インジウムスズのいずれかは、好適に例示される。
また、上部電極16および下部電極14の形成方法にも、特に限定はなく、真空蒸着やスパッタリング等の気相堆積法(真空成膜法)やめっきによる成膜や、上記材料で形成された箔を貼着する方法等、公知の方法が、各種、利用可能である。
中でも特に、変換フィルム10の可撓性が確保できる等の理由で、真空蒸着によって成膜された銅やアルミニウムの薄膜は、上部電極16および下部電極14として、好適に利用される。その中でも特に、真空蒸着による銅の薄膜は、好適に利用される。
上部電極16および下部電極14の厚さには、特に、限定は無い。また、上部電極16および下部電極14の厚さは、基本的に同じであるが、異なってもよい。
ここで、前述の上部保護層20および下部保護層18と同様に、上部電極16および下部電極14の剛性が高過ぎると、圧電体層12の伸縮を拘束するばかりか、可撓性も損なわれるため、上部電極16および下部電極14は、電気抵抗が高くなり過ぎない範囲であれば、薄いほど有利である。
ここで、本発明者の検討によれば、上部電極16および下部電極14の厚さとヤング率との積が、上部保護層20および下部保護層18の厚さとヤング率との積を下回れば、可撓性を大きく損なうことがないため、好適である。
例えば、上部保護層20および下部保護層18がPET(ヤング率:約6.2GPa)で、上部電極16および下部電極14が銅(ヤング率:約130GPa)からなる組み合わせの場合、上部保護層20および下部保護層18の厚さが25μmだとすると、上部電極16および下部電極14の厚さは、1.2μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましく、中でも0.1μm以下とするのが好ましい。
前述のように、変換フィルム10は、常温で粘弾性を有する粘弾性マトリックス24に圧電体粒子26を分散してなる圧電体層12を、上部電極16および下部電極14で挟持し、さらに、この積層体を、上部保護層20および下部保護層18を挟持してなる構成を有する。
このような変換フィルム10は、動的粘弾性測定による周波数1Hzでの損失正接(Tanδ)が0.1以上となる極大値が常温に存在するのが好ましい。
これにより、変換フィルム10が外部から数Hz以下の比較的ゆっくりとした、大きな曲げ変形を受けたとしても、歪みエネルギーを効果的に熱として外部へ拡散できるため、高分子マトリックスと圧電体粒子との界面で亀裂が発生するのを防ぐことができる。
変換フィルム10は、動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)が、0℃において10〜30GPa、50℃において1〜10GPaであるのが好ましい。
これにより、常温で変換フィルム10が貯蔵弾性率(E’)に大きな周波数分散を有することができる。すなわち、20Hz〜20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の振動に対しては柔らかく振る舞うことができる。
また、変換フィルム10は、厚さと動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)との積が、0℃において1.0×106〜2.0×106(1.0E+06〜2.0E+06)N/m、50℃において1.0×105〜1.0×106(1.0E+05〜1.0E+06)N/mであるのが好ましい。
これにより、変換フィルム10が可撓性および音響特性を損なわない範囲で、適度な剛性と機械的強度を備えることができる。
さらに、変換フィルム10は、動的粘弾性測定から得られたマスターカーブにおいて、25℃、周波数1kHzにおける損失正接(Tanδ)が、0.05以上であるのが好ましい。
これにより、変換フィルム10を用いたスピーカの周波数特性が平滑になり、スピーカの曲率の変化に伴い最低共振周波数fが変化した際の音質の変化量も小さくできる。
ここで前述のとおり、変換フィルムは、本発明の電気音響変換器に用いられ、押圧部材によって押圧されて、長辺の長さLaが40cm以上で、短辺の長さLbが10cm以下の長方形状の振動面(湾曲部)を構成する。
したがって、押圧部材に固定されるのりしろ部分を考慮すると、1つの湾曲部を有する電気音響変換器に用いられる変換フィルム10は、長辺の長さが30.2cm以上であるのが好ましく、31cm〜32cmであるのがより好ましい。また、短辺の長さが12cm以下であるのが好ましく、10.2cm〜11cmであるのがより好ましい。
以下、図6A〜図6Eを参照して、変換フィルム10の製造方法の一例を説明する。
まず、図6Aに示すように、下部保護層18の上に下部電極14が形成されたシート状物11aを準備する。このシート状物11aは、下部保護層18の表面に、真空蒸着、スパッタリング、めっき等によって下部電極14として銅薄膜等を形成して、作製すればよい。
下部保護層18が非常に薄く、ハンドリング性が悪い時などは、必要に応じて、セパレータ(仮支持体)付きの下部保護層18を用いても良い。尚、セパレータとしては、厚さ25〜100μmのPET等を用いることができる。なお、セパレータは、薄膜電極および保護層の熱圧着後、側面絶縁層や、第2の保護層等を形成する直前に、取り除けばよい。
一方で、有機溶媒に、シアノエチル化PVA等の常温で粘弾性を有する高分子材料(以下、粘弾性材料とも言う)を溶解し、さらに、PZT粒子等の圧電体粒子26を添加し、攪拌して分散してなる塗料を調製する。有機溶媒には、特に限定はなく、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の各種の有機溶媒が利用可能である。
前述のシート状物11aを準備し、かつ、塗料を調製したら、この塗料をシート状物にキャスティング(塗布)して、有機溶媒を蒸発して乾燥する。これにより、図6Bに示すように、下部保護層18の上に下部電極14を有し、下部電極14の上に圧電体層12を形成してなる積層体11bを作製する。
この塗料のキャスティング方法には、特に、限定はなく、スライドコータやドクターナイフ等の公知の方法(塗布装置)が、全て、利用可能である。
あるいは、粘弾性材料がシアノエチル化PVAのように加熱溶融可能な物であれば、粘弾性材料を加熱溶融して、これに圧電体粒子26を添加/分散してなる溶融物を作製し、押し出し成形等によって、図6Aに示すシート状物11aの上にシート状に押し出し、冷却することにより、図6Bに示すような、下部保護層18の上に下部電極14を有し、下部電極14の上に圧電体層12を形成してなる積層体11bを作製してもよい。
なお、前述のように、変換フィルム10において、粘弾性マトリックス24には、シアノエチル化PVA等の粘弾性材料以外にも、PVDF等の高分子圧電材料を添加しても良い。
粘弾性マトリックス24に、これらの高分子圧電材料を添加する際には、上記塗料に添加する高分子圧電材料を溶解すればよい。あるいは、上記加熱溶融した粘弾性材料に、添加する高分子圧電材料を添加して加熱溶融すればよい。
下部保護層18の上に下部電極14を有し、下部電極14の上に圧電体層12を形成してなる積層体11bを作製したら、好ましくは、圧電体層12の分極処理(ポーリング)を行う。
圧電体層12の分極処理の方法には、特に限定はなく、公知の方法が利用可能である。好ましい分極処理の方法として、図6Cおよび図6Dに示す方法が例示される。
この方法では、図6Cおよび図6Dに示すように、積層体11bの圧電体層12の上面12aの上に、間隔gを例えば1mm開けて、この上面12aに沿って移動可能な棒状あるいはワイヤー状のコロナ電極30を設ける。そして、このコロナ電極30と下部電極14とを直流電源32に接続する。
さらに、積層体11bを加熱保持する加熱手段、例えば、ホットプレートを用意する。
その上で、圧電体層12を、加熱手段によって、例えば、温度100℃に加熱保持した状態で、直流電源32から下部電極14とコロナ電極30との間に、数kV、例えば、6kVの直流電圧を印加してコロナ放電を生じさせる。さらに、間隔gを維持した状態で、圧電体層12の上面12aに沿って、コロナ電極30を移動(走査)して、圧電体層12の分極処理を行う。
このようなコロナ放電を利用する分極処理(以下、便宜的に、コロナポーリング処理とも言う)において、コロナ電極30の移動は、公知の棒状物の移動手段を用いればよい。
また、コロナポーリング処理では、コロナ電極30を移動する方法にも、限定はされない。すなわち、コロナ電極30を固定し、積層体11bを移動させる移動機構を設け、この積層体11bを移動させて分極処理をしてもよい。この積層体11bの移動も、公知のシート状物の移動手段を用いればよい。
さらに、コロナ電極30の数は、1本に限定はされず、複数本のコロナ電極30を用いて、コロナポーリング処理を行ってもよい。
また、分極処理は、コロナポーリング処理に限定はされず、分極処理を行う対象に、直接、直流電界を印加する、通常の電界ポーリングも利用可能である。但し、この通常の電界ポーリングを行う場合には、分極処理の前に、上部電極16を形成する必要が有る。
なお、この分極処理の前に、圧電体層12の表面を加熱ローラ等を用いて平滑化する、カレンダー処理を施してもよい。このカレンダー処理を施すことで、後述する熱圧着工程がスムーズに行える。
このようにして積層体11bの圧電体層12の分極処理を行う一方で、上部保護層20の上に上部電極16が形成されたシート状物11cを、準備する。このシート状物11cは、上部保護層20の表面に、真空蒸着、スパッタリング、めっき等によって上部電極16として銅薄膜等を形成して、作製すればよい。
次いで、図6Eに示すように、上部電極16を圧電体層12に向けて、シート状物11cを、圧電体層12の分極処理を終了した積層体11bに積層する。
さらに、この積層体11bとシート状物11cとの積層体を、上部保護層20と下部保護層18とを挟持するようにして、加熱プレス装置や加熱ローラ対等で熱圧着して、変換フィルム10を作製する。
次に、本発明の電気音響変換器を複数有する電気音響変換システムについて説明する。
本発明の電気音響変換システムは、上述した電気音響変換器を複数有し、各電気音響変換器の湾曲部の中心点における法線ベクトルが互いに異なる方向を向いて、かつ、外側を向いて配置される構成を有するものである。
図7に、本発明の電気音響変換システムの一例の概略斜視図を示す。
図7に示す電気音響変換システム200は、2つの電気音響変換器100aおよび100bを有し、各電器音響変換器の湾曲部とは反対側の面を向かい合わせて配置したもので、中心点における法線ベクトルが互いに反対方向を向いている態様である。また、2つの電気音響変換器100aおよび100bは、湾曲部の長辺の延在方向および短辺の延在方向を一致させて配置される。
すなわち、電気音響変換システム200において、電気音響変換器100aによる音の放射方向と、電気音響変換器100bによる音の放射方向とは、湾曲部の長辺の延在方向を軸として180°異なる方向である。
なお、電気音響変換器100aおよび100bは、上述の電気音響変換器100と同様の構成を有するので、詳細な説明は省略する。
一般に、高い周波数の音は指向性が高く、低い周波数の音は指向性が低い。すなわち、高い周波数の音は、スピーカの湾曲部における振動面に対して垂直方向に伝播するのに対し、低い周波数の音は、振動面からあらゆる方向に伝播する。
従って、1つの電気音響変換器を用いて音を再生した場合には、電気音響変換器の正面(振動面に対面する位置)では、高い周波数の音の音圧レベル(音量)に対して、低い周波数の音の音圧レベルは相対的に低くなってしまう。
これに対して、図7に示す電気音響変換システム200のように、2つの電気音響変換器100aおよび100bを、各湾曲部とは反対側の面を向かい合わせて配置させ、中心点における法線ベクトルが互いに反対方向を向かせることで、例えば、電気音響変換器100aの正面側において、電気音響変換器100bから発生した音のうち、低い周波数の音が、電気音響変換器100aの音の放射方向に伝播するので、低い周波数の音の音圧レベルが向上して、広い周波数帯域での音圧レベルをより均一にすることができる。
また、このような電気音響変換システム200は、電気音響変換器100aの正面側と、電気音響変換器100bの正面側とに、広い周波数帯域で高い音圧レベルの音を放射することができるので、無指向性のスピーカシステムとして利用することができる。
なお、図7に示す例では、電気音響変換システムは、2つの電気音響変換器を有する構成としたが、これに限定はされず、3つ以上の電気音響変換器を有する構成としてもよい。
図8に本発明の電気音響変換システムの他の一例の概略斜視図を示す。
図8に示す電気音響変換システム210は、4つの電気音響変換器100c〜100fを有し、各電気音響変換器100c〜100fは、湾曲部の長辺の延在方向を一致させて、かつ、湾曲部の長辺に垂直な断面において、各電気音響変換器100c〜100fの湾曲部が略正方形状を形成して、各湾曲部が異なる方向を向くように配列されている。
すなわち、電気音響変換システム210において、電気音響変換器100cによる音の放射方向に対して、電気音響変換器100dによる音の放射方向は、湾曲部の長辺の延在方向を軸として90°異なる方向であり、電気音響変換器100eによる音の放射方向は、180°異なる方向であり、電気音響変換器100fによる音の放射方向は、270°異なる方向である。
なお、電気音響変換器100c〜100fは、上述の電気音響変換器100と同様の構成を有するので、詳細な説明は省略する。
このように、電気音響変換システムにおいて、4つの電気音響変換器を、音の放射方向が互いに異なるように配置した構成とすることでも、例えば、電気音響変換器100cの正面側において、電気音響変換器100d〜100fそれぞれから発生した音のうち、低い周波数の音が、電気音響変換器100cの音の放射方向に伝播するので、低い周波数の音の音圧レベルが向上して、広い周波数帯域での音圧レベルをより均一にすることができる。
また、このような電気音響変換システム210は、電気音響変換器100c〜100fそれぞれの正面側に、広い周波数帯域で高い音圧レベルの音を放射することができるので、無指向性のスピーカシステムとして利用することができる。
ここで、一般的なコーンスピーカの場合には、スピーカーユニットの大きさに加えて、スピーカユニットを収納するエンクロージャーが、所定の大きさの空間を有する必要がある。そのため、このようなコーンスピーカを複数、互いの音の放射方向を異ならせて組み合わせて無指向性のスピーカシステムを構成すると、非常に大きなスピーカシステムとなってしまう。
これに対して、本発明の電気音響変換システムに用いられる電気音響変換器は、薄型で軽量であるので、この電気音響変換器を複数組み合わせても、小型で軽量の電気音響変換システムとすることができるので、容易に無指向性のスピーカシステムとすることができる。
ここで、図8に示す例では、4つの電気音響変換器を有し、湾曲部の長辺に垂直な断面において、各電気音響変換器の振動面が略正方形状を形成するように配置された電気音響変換システムとしたが、これに限定はされず、3つの電気音響変換器を有し、長辺に垂直な断面において、湾曲部が略三角形状を形成するように配置される構成としてもよく、あるいは、5つ以上の電気音響変換器を有し、長辺に垂直な断面において、湾曲部が多角形状を形成するように配置される構成としてもよい。なお、湾曲部の短辺方向は、長さが短いため、図1Cに示すように、曲率が小さくなる場合がある。この場合、湾曲部を多角形状を形成するように配置すると、いわゆる、花弁形状を形成する。
また、3つ以上の電気音響変換器を有し、長辺に垂直な断面において、湾曲部が多角形状或いは花弁形状を形成する構成とする場合には、3つ以上の電気音響変換器に囲まれる空間内に、その空間を共鳴管として用いるサブウーハーを配置する構成としてもよい。具体的には、共鳴管内の何処か、もしくは共鳴管の外側に電気音響変換器を設置することで、共鳴管の長さの2倍の波長で共振するサブウーハーが実現できる。
なお、3つ以上の電気音響変換器に囲まれる空間内に配置される電気音響変換器としては、本発明の電気音響変換器と同様の圧電フィルムを用いたスピーカであってもよいし、一般的なコーンスピーカであってもよい。
また、図7、および、図8に示す例では、複数の電気音響変換器を有し、各湾曲部が互いに異なる方向を向くように配列にした構成を有する電気音響変換システムとしたが、本発明は、これに限定はされず、1つの電気音響変換器において、変換フィルムが複数の湾曲部を有し、各湾曲部が中心点における法線ベクトルが互いに異なる方向になるよう配列される構成としてもよい。
例えば、図7に示す電気音響変換システム200における、電気音響変換器100aのケースおよび電気音響変換器100bのケースを一体化したような、両面に長方形状の開放面を有する中空の箱型のケースを用い、このケースよりも大きい粘弾性支持体をケース内に配置し、2つの開放面を変換フィルムで覆って、各開放面側を、開口部を有する押圧部材で押圧して、互いに反対向きになるように配置された2つの湾曲部を形成した構成、すなわち、2つの湾曲部が背面配置された構成としてもよい。
あるいは、図8に示す電気音響変換システム210における、電気音響変換器100c〜100fそれぞれのケースを一体化したような、4面それぞれに長辺方向が一致する長方形状の開放面を有する中空の箱型のケースを用い、このケースよりも大きい粘弾性支持体をケース内に配置し、4つの開放面を変換フィルムで覆って、各開放面側を、開口部を有する押圧部材で押圧して、4つの湾曲部を形成した構成、すなわち、湾曲部の長辺に垂直な断面において、4つの湾曲部が多角形状を形成し、各湾曲部の中心点における法線ベクトルが互いに異なる方向になるよう配列された構成としてもよい。
また、2以上の電気音響変換器を用いる場合には、上記のように、互いに湾曲部が異なる方向を向くように配置する構成に限定はされず、各電気音響変換器の振動面(湾曲部の中心点における法線ベクトル)が同一方向を向くように配置してもよい。
本発明の電気音響変換器、および、電気音響変換システムは、有機ELディスプレイ等のフレキシブルディスプレイと組み合わせてスピーカとして好適に利用することができる。また、本発明の電気音響変換器、および、電気音響変換システムは、プロジェクター用のスクリーンと組み合わせてもよい。
このような構成により、変換フィルムの意匠性や娯楽性を向上できる。また、スピーカとしての変換フィルムと、スクリーンやフレキシブルディスプレイとを一体化することにより、画像が表示される方向から音を再生することができ、臨場感を向上させることができる。
また、プロジェクター用スクリーンは、フレキシブルであるので曲率を持たせることができる。画像表示面に曲率を持たせることで、観察者から画面までの距離を、画面の中央と端部とで略一様にすることができ、臨場感を向上させることができる。
なお、このように画像表示面に曲率を持たせた場合には、投射した画像に歪みが生じる。従って、画像表示面の曲率に合わせて歪みを低減するように、投射する画像のデータに画像処理を施すのが好ましい。
以上、本発明の電気音響変換器、および、電気音響変換システムについて詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明についてより詳細に説明する。
[実施例1]
前述の図6A〜図6Eに示す方法によって、図5に示す変換フィルム10を作製した。
まず、下記の組成比で、シアノエチル化PVA(CR−V 信越化学工業社製)をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。その後、この溶液に、PZT粒子を下記の組成比で添加して、プロペラミキサー(回転数2000rpm)で分散させて、圧電体層12を形成するための塗料を調製した。
・PZT粒子・・・・・・・・・・・300質量部
・シアノエチル化PVA・・・・・・・30質量部
・DMF・・・・・・・・・・・・・・70質量部
なお、PZT粒子は、市販のPZT原料粉を1000〜1200℃で焼結した後、これを平均粒径5μmになるように解砕および分級処理したものを用いた。
一方、厚さ4μmのPETフィルムに、厚さ0.1μmの銅薄膜を真空蒸着してなるシート状物11aおよび11cを用意した。すなわち、本例においては、上部電極16および下部電極14は、厚さ0.1mの銅蒸着薄膜であり、上部保護層20および下部保護層18は厚さ4μmのPETフィルムとなる。
なお、プロセス中、良好なハンドリングを得るために、PETフィルムには厚さ50μmのセパレータ(仮支持体 PET)付きのものを用い、薄膜電極および保護層の熱圧着後に、各保護層のセパレータを取り除いた。
このシート状物11aの下部電極14(銅蒸着薄膜)の上に、スライドコータを用いて、先に調製した圧電体層12を形成するための塗料を塗布した。なお、塗料は、乾燥後の塗膜の膜厚が40μmになるように、塗布した。
次いで、シート状物11aの上に塗料を塗布した物を、120℃のホットプレート上で加熱乾燥することでDMFを蒸発させた。これにより、PET製の下部保護層18の上に銅製の下部電極14を有し、その上に、厚さが40μmの圧電体層12(圧電層)を形成してなる積層体11bを作製した。
この積層体11bの圧電体層12を、図6Cおよび図6Dに示す前述のコロナポーリングによって、分極処理した。なお、分極処理は、圧電体層12の温度を100℃として、下部電極14とコロナ電極30との間に6kVの直流電圧を印加してコロナ放電を生じさせて、行った。
分極処理を行った積層体11bの上に、上部電極16(銅薄膜側)を圧電体層12に向けてシート状物11cを積層した。
次いで、積層体11bとシート状物11cとの積層体を、ラミネータ装置を用いて120℃で熱圧着することで、圧電体層12と上部電極16および下部電極14とを接着して変換フィルム10を作製した。
作製した変換フィルム10を、ケース104に組み込んでスピーカとしての電気音響変換器100を作製した。
ここで、電気音響変換器100の湾曲部の大きさは、40cm×10cmとした。
すなわち、ケース104は、一面が開放した箱型の容器で、開放面の大きさ400×100mm、深さ9mmのプラスチック製の矩形容器を用いた。
また、ケース104内には、粘弾性支持体106を配置した。粘弾性支持体106は、組立前の高さ25mm、密度32kg/m3のグラスウールとした。
また、押圧部材108は、開口部108aの大きさ400×100mmのプラスチック製の板状部材を用いた。
変換フィルム10を粘弾性支持体106およびケース104の開口部を覆うように配置して押圧部材108により周辺部を固定し、粘弾性支持体106により変換フィルム10に適度な張力と曲率を付与した。
[実施例2、比較例1〜4]
実施例2は、湾曲部の大きさを30cm×10cmとし、比較例1〜4は、湾曲部の大きさをそれぞれ、40cm×20cm、20cm×10cm、60cm×20cm、20×5cmとした以外は、すなわち、ケース104の開放面の大きさ、粘弾性支持体106の大きさ、押圧部材108の開口部108aの大きさをそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして電気音響変換器を作製した。
[評価]
<周波数特性>
作製した電気音響変換器の音圧レベル−周波数特性を、定電流型パワーアンプを用いたサイン波スイープ測定によって測定した。なお、計測用マイクロフォンは、スピーカの中心の真上50cmの位置に配置した。
この音圧レベル−周波数特性の測定結果のグラフを図9A〜図9Cに示す。
図9A〜図9Cに示すグラフはそれぞれ、湾曲部の長辺と短辺の長さの比が同じ例を示したものである。図9Aは、比較例1(40cm×20cm)および比較例2(20cm×10cm)の測定結果を示すグラフであり、図9Bは、比較例3(60cm×20cm)および実施例2(30cm×10cm)の測定結果を示すグラフであり、図9Cは、実施例1(40cm×10cm)および比較例5(20cm×5cm)の測定結果を示すグラフである。
図9A〜図9Cから、湾曲部の長辺と短辺の長さの比が同じであっても、音圧レベル−周波数特性の傾向は異なることがわかる。また、長辺と短辺の長さの比が同じである場合には、長辺および短辺の長さが長いほうが、低い周波数帯域での音圧レベルが向上し、長辺および短辺の長さが短いほうが高い周波数帯域での音圧レベルが向上することがわかる。
[実施例3〜5、比較例5]
実施例3〜5は、湾曲部の大きさをそれぞれ、60cm×5cm、40cm×5cm、60cm×10cmとし、比較例5は、20cm×20cmとした以外は、すなわち、ケース104の開放面の大きさ、粘弾性支持体106の大きさ、押圧部材108の開口部108aの大きさをそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして電気音響変換器を作製した。
作製した各電気音響変換器の音圧レベル−周波数特性を上記と同様にして測定した。
音圧レベル−周波数特性の測定結果のグラフを図10A〜図10Cに示す。
図10A〜図10Cに示すグラフはそれぞれ、湾曲部の短辺の長さが同じ例を示したものである。図10Aは、実施例3(60cm×5cm)、実施例4(40cm×5cm)および比較例4(20cm×5cm)の測定結果を示すグラフであり、図10Bは、実施例5(60cm×10cm)、実施例1(40cm×10cm)および比較例2(20cm×10cm)の測定結果を示すグラフであり、図10Cは、比較例3(60cm×20cm)、比較例1(40cm×20cm)および比較例5(20cm×20cm)の測定結果を示すグラフである。
図10A〜図10Cから、湾曲部の短辺の長さが同じである場合には、長辺の長さが40cm以上の場合に低い周波数帯域での音圧レベルが向上し、長辺の長さが20cmの場合には、低い周波数帯域での音圧レベルが低下することがわかる。
また、長辺の長さが同じ例を比較すると、すなわち、実施例3(60cm×5cm)、実施例5(60cm×10cm)および比較例3(60cm×20cm)の対比、実施例4(40cm×5cm)、実施例1(40cm×10cm)および比較例1(40cm×20cm)の対比、ならびに、比較例4(20cm×5cm)、比較例2(20cm×10cm)および比較例5(20cm×20cm)の対比から、湾曲部の長辺の長さが同じである場合には、短辺の長さが10cm以下の場合に高い周波数帯域での音圧レベルが向上し、短辺の長さが20cmの場合には、高い周波数帯域での音圧レベルが低下することがわかる。
これらの実施例および比較例から、長辺の長さが30cm以上で、短辺の長さが10cm以下の場合に、低い周波数から高い周波数までの広い周波数帯域で音圧レベルを向上できることがわかる。
次に、電気音響変換器を複数有する電気音響変換システムの実施例について説明する。
[実施例6]
実施例6として、実施例3の電気音響変換器100(湾曲部の大きさ60cm×5cm)を2つ有し、2つの電気音響変換器100の振動面(湾曲部の中心点における法線ベクトル)が同じ方向を向くように配置された電気音響変換システム(図11B参照)を作製した。
[実施例7]
実施例7として、実施例3の電気音響変換器100(湾曲部の大きさ60cm×5cm)を4つ有し、4つの電気音響変換器100の湾曲部が同じ方向を向くように配置された電気音響変換システム(図11C参照)を作製した。
作製した電気音響変換システムの音圧レベル−周波数特性を上記と同様にして測定した。
実施例6および7、ならびに、上述の実施例3(60cm×5cm)の電気音響変換器100、1つの場合(図11A参照)の音圧レベル−周波数特性の測定結果を比較するグラフを図12Aに示す。
図12Aに示すように、電気音響変換器100を2つ有する実施例6は、実施例3に比較して、音圧レベルが全周波数帯域で約6dB、すなわち、2倍向上していることがわかる。また、電気音響変換器100を4つ有する実施例7は、実施例3に比較して、音圧レベルが全周波数帯域で約12dB、すなわち、4倍向上していることがわかる。
次に、実施例7、および、上述の比較例3(60cm×20cm)の電気音響変換器、1つの場合(図11D参照)の音圧レベル−周波数特性の測定結果を比較するグラフを図12Bに示す。
実施例7の電気音響変換システムの湾曲部の面積と、比較例3の電気音響変換器300の湾曲部の面積は同じである。しかしながら、図12Bに示すように、実施例7では、比較例3に比較して、低い周波数帯域、および、高い周波数帯域での音圧レベルが向上し、広帯域化できることがわかる。
[実施例8および9]
次に、実施例8として、図7に示すような電気音響変換システム200、および、実施例9として、図8に示すような電気音響変換システム210について、音圧レベル−周波数特性を測定した。
まず、参考として、実施例3(60cm×5cm)の電気音響変換器を用いて、電気音響変換器100をテーブル上に横置きにした場合(以下、「横置き」という)と、電気音響変換器100をテーブル上に縦置きにした場合(以下、「縦置き」という)とで、上記と同様に、音圧レベル−周波数特性を測定した。
横置きの場合には、図13Aに示すように、電気音響変換器100の湾曲部を上に向けて、テーブルT上に配置し、湾曲部に対面してマイクPを配置して音圧レベル−周波数特性を測定した。
また、縦置きの場合には、図13Bに示すように、電気音響変換器100の湾曲部を、テーブルTの面方向に向けて、テーブルT上に配置し、湾曲部に対面してマイクPを配置して音圧レベル−周波数特性を測定した。
測定結果を図14に示す。
図14に示すように、横置きの場合に比較して、縦置きにすると、高い周波数帯域での音圧レベルは同等であるが、低い周波数帯域での音圧レベルが低下していることがわかる。これは高い周波数の音は指向性が高いため湾曲部に垂直な方向に伝播するので、縦置きの場合と横置きの場合とで差が生じないことによる。一方、低い周波数の音は指向性が低いため湾曲部からあらゆる方向に伝搬するが、横置きの場合は、湾曲部とは反対側の面側に回り込んだ音が、テーブルTによって反射されるので、縦置きの場合に比べて湾曲部の正面側での音圧レベルが向上することによる。
さらに、図13Bのように縦置きして、マイクPの配置位置を変更して、音圧レベル−周波数特性を測定した。
具体的には、湾曲部の長辺の延在方向を軸として、湾曲部に垂直な方向に対して、0°、30°、60°、90°、および、180°の角度の位置それぞれにマイクPを配置して、音圧レベル−周波数特性を測定した。
測定結果を図15に示す。
図15に示すように、湾曲部の正面(0°)位置での測定結果に比較して、マイクPの位置を変更したものは、いずれも、高い周波数帯域での音圧レベルの低下が大きく、低い周波数帯域での音圧レベルの低下は小さい。この図15からも、高い周波数の音は指向性が高いため主に湾曲部に垂直な方向に伝播するので、湾曲部の反対側の面側等には回り込むことがないことがわかる。一方、低い周波数の音は指向性が低いため湾曲部からあらゆる方向に伝搬するので、湾曲部とは反対側の面側(180°)でも、湾曲部の正面側(0°)での音圧レベルと同等になることがわかる。
次に、実施例8として、実施例3(60cm×5cm)の電気音響変換器100を2つ用いて、2つの電気音響変換器100を湾曲部の反対側の面を対面させて配置した図7に示すような電気音響変換システム200を作製した。
図16に示すように、この電気音響変換システム200をテーブルT上に縦置きにして、上記と同様にマイクPの配置位置を、0°、30°、60°、90°、および、180°の位置に変更して、音圧レベル−周波数特性を測定した。
結果を図17に示す。
また、実施例9として、実施例3(60cm×5cm)の電気音響変換器100を4つ用いて、4つの電気音響変換器100を、湾曲部の長辺の延在方向を一致させて、かつ、湾曲部の長辺に垂直な断面において、湾曲部が四角形状を形成するように配置して図8に示すような電気音響変換システム210を作製した。
図18に示すように、この電気音響変換システム210をテーブルT上に縦置きにして、上記と同様にマイクPの配置位置を、0°、30°、60°、90°、および、180°の位置に変更して、音圧レベル−周波数特性を測定した。
結果を図19に示す。
図15、図17および図19に示す測定結果から、複数の電気音響変換器を有し、各電気音響変換器の振動面(湾曲部の中心点における法線ベクトル)が互いに異なる方向を向いて、かつ、外側を向いて配置される電気音響変換システムは、電気音響変換器100単体の場合に比較して、高い周波数帯域においても、湾曲部の正面側(0°)での音圧レベルに対して、他の角度位置での音圧レベルの低下が少なくなることがわかる。すなわち、このような電気音響変換システムは、どの角度でも同じような音圧レベルとなるので、水平方向に対して無指向性のスピーカとして利用することが可能であることがわかる。
また、図15、図17および図19の対比から、電気音響変換器100単体の場合に比較して、実施例7および8の電気音響変換システムは、低い周波数帯域での音圧レベルが向上していることがわかる。これは、ある1つの電気音響変換器100の正面側において、他の電気音響変換器100から発生した音のうち、低い周波数の音が、ある1つの電気音響変換器100の音の放射方向に伝播するので、低い周波数の音の音圧レベルが向上するためである。
ところで、「日経テクノロジーonline “広がる性質、直進する性質ジレンマを解消する「HVT方式」の実現技術(第4回)”」(URL(Uniform Resource Locator):http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20130128/262635/?ST=observer&P=1)に開示されるように、コイルに取り付けられたコーン紙などの振動板を振動させる、一般的なダイナミック型の電気音響変換器の場合には、各スピーカユニットの振動面(湾曲部の中心点における法線ベクトル)が互いに異なる方向を向いて、かつ、外側を向くように配置しても、十分な無指向性を実現できなかった。
例えば、図21Aに示すような、1つのスピーカユニット502をエンクロージャ504に取り付けた電気音響変換器500、図21Bに示すような、2つのスピーカユニット502を互いに湾曲部が反対方向を向くようにエンクロージャに取り付けた電気音響変換器510(背面対向配置)、および、図21Cに示すような、正十二面体のエンクロージャの各面にスピーカユニットを取り付けた電気音響変換器520(多面体スピーカ)それぞれについて、ある1つのスピーカを正面(0°)として、上記と同様に、マイクPの配置位置を変更して、音圧レベルを測定した結果を図22A〜図22Cに示す。
なお、図22A〜図22Cにおいて、100Hzの場合を網線で示し、500Hzの場合を破線で示し、1kHzの場合を実線で示し、2kHzの場合を点線で示し、5kHzの場合を二点鎖線で示し、10kHzの場合を一点鎖線で示す。
図22A〜図22Cに示すように、ダイナミック型の電気音響変換器であっても、背面対向配置や多面体スピーカなどにすることで、1つのスピーカユニットの電気音響変換器に比べて、正面以外の方向の中高音域の音圧レベルが、向上しているものの、測定位置(角度)によって音圧レベルが変化し、波状の波形を示している。このため、聴取位置で低音域、中音域および高音域の音圧レベルのバランスが変わって、音色が変わってしまうため、無指向性スピーカの実現は難しい。
これは、スピーカユニット(振動板)同士の間隔が大きいため、各スピーカユニットから出た音の位相がずれるためである。
これに対して、図13Bに示す1つの電気音響変換器100、図16に示す2つの電気音響変換器を湾曲部の中心点における法線ベクトルが互いに反対方向を向いた電気音響変換システム200、および、図18に示す4つの電気音響変換器を湾曲部が四角形状を形成するように配置した電気音響変換システム210それぞれについて、ある1つのスピーカを正面(0°)として、上記と同様に、マイクPの配置位置を変更して、音圧レベルを測定した結果を図20A〜図20Cに示す。
なお、図20A〜図20Cにおいて、100Hzの場合を網線で示し、500Hzの場合を破線で示し、1kHzの場合を実線で示し、2kHzの場合を点線で示し、5kHzの場合を二点鎖線で示し、10kHzの場合を一点鎖線で示す。
図20Bに示すように、本発明の電気音響変換器は、非常に薄いため、2枚背中合わせに配置した場合でも、正面側と背面側の振動板の距離が非常に小さく、各電気音響変換器から出た音は、どの方向に伝わる音も、ほぼ同位相で振幅する。そのため、どの方向でも均一な音圧レベルが得られ、また、低音域、中音域および高音域の音圧レベルのバランスも変わらないので、十分な無指向性が得られることが分かる。また、正面側や背面側から出た音が耳に達するタイミングにズレはほとんど生じないため、ノイズや歪みが少なく、ハイファイ再生に好適である。
また、本発明の電気音響変換器の場合、振動板(湾曲部)の面積を筐体部の大きさとほぼ同じ大きさとすることができるため、複数の電気音響変換器を有する場合でも、振動板の距離を近くでき、電気音響変換器同士のつなぎ目が自然であり、また、本発明の電気音響変換器は非常に薄く、短辺側も短い。そのため、図18のように、複数の電気音響変換器を用いて多面体を形成した場合においても、正面側/側面側/背面側の電気音響変換器の振動板間の距離を短くできる。したがって、図20Cに示すように、各電気音響変換器から出た音は、どの方向に伝わる音も、ほぼ同位相で振幅する。そのため、どの方向でも均一な音圧レベルが得られ、また、低音域、中音域および高音域の音圧レベルのバランスも変わらないので、水平方向(長辺に垂直な方向)において、理想的な無指向性が得られることが分かる。また、正面側や背面側から出た音が耳に達するタイミングにズレはほとんど生じないため、ノイズや歪みが少なく、ハイファイ再生に好適である。
従って、複数の電気音響変換器を有し、各電気音響変換器の湾曲部が互いに異なる方向を向いて、かつ、外側を向いて配置される電気音響変換システムは、水平方向に対して無指向性であり、広い周波数帯域で音圧レベルを均一に再生することができる。
以上の結果より、本発明の効果は、明らかである。
10、302 電気音響変換フィルム
11a、11c シート状物
11b 積層体
12 圧電体層
14 下部薄膜電極
16 上部薄膜電極
18 下部保護層
20 上部保護層
24 粘弾性マトリックス
26 圧電体粒子
30 コロナ電極
32 直流電源
100、110、130、300 電気音響変換器
104、114、124 ケース
106、126 粘弾性支持体
108、118 押圧部材
108a、118a〜118d 開口部
114a〜114d 収納部
200、210 電気音響変換システム

Claims (20)

  1. 常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体、および、前記高分子複合圧電体の両面に積層された2つの薄膜電極を有する電気音響変換フィルムと、前記電気音響変換フィルムの少なくとも一部が湾曲するように、前記電気音響変換フィルムの一方の主面に密着して配置される弾性支持体とを有する電気音響変換器において、
    前記電気音響変換フィルムの湾曲部が四角形状であり、前記湾曲部の短辺の長さが10cm以下であり、かつ、長辺の長さが30cm以上であることを特徴とする電気音響変換器。
  2. 前記弾性支持体が粘弾性を有する粘弾性支持体である請求項1に記載の電気音響変換器。
  3. 前記湾曲部が、中心から周辺部に向かって緩やかに曲率が変化している請求項1または2に記載の電気音響変換器。
  4. 前記電気音響変換フィルムが複数の領域に区画され、各領域ごとに前記湾曲部が形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  5. 少なくとも1つの開口部を備え、前記電気音響変換フィルムを前記粘弾性支持体に押圧する押圧部材を有し、
    前記電気音響変換フィルムの、前記押圧部材の前記開口部に対応する領域が前記湾曲部であり、
    前記開口部が四角形状であり、前記開口部の短辺の長さが10cm以下であり、かつ、長辺の長さが30cm以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  6. 前記押圧部材が、2以上の前記開口部を有する請求項5に記載の電気音響変換器。
  7. 前記電気音響変換フィルムが、1つの湾曲部を有し、前記電気音響変換フィルムが四角形状であり、短辺の長さが12cm以下であり、かつ、長辺の長さが30.2cm以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  8. 前記電気音響変換フィルムが、2つ以上の前記湾曲部を有し、各前記湾曲部の中心点における法線ベクトルが互いに異なる方向を向いており、かつ、外側を向いて配置される請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  9. 前記電気音響変換フィルムが、2つの前記湾曲部を有し、各前記湾曲部の中心点における法線ベクトルが互いに反対向きになるよう背面配置された請求項8に記載の電気音響変換器。
  10. 前記電気音響変換フィルムが、複数の前記湾曲部を有し、各前記湾曲部の長辺の延在方向を一致させて、かつ、前記湾曲部の長辺に垂直な断面において、複数の前記湾曲部が多角形状若しくは花弁形状を形成し、各湾曲部の中心点における法線ベクトルが互いに異なる方向になるよう配列された請求項8に記載の電気音響変換器。
  11. 前記電気音響変換フィルムの動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)が、0℃において10〜30GPa、50℃において1〜10GPaである請求項1〜10のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  12. 前記高分子材料の周波数1Hzでのガラス転移温度が0〜50℃である請求項1〜11のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  13. 前記高分子材料の動的粘弾性測定による周波数1Hzでの損失正接(Tanδ)が0.5以上となる極大値が0〜50℃の温度範囲に存在する請求項1〜12のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  14. 前記高分子材料が、シアノエチル基、或いはシアノメチル基を有するものである請求項1〜13のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  15. 前記高分子材料が、シアノエチル化ポリビニルアルコールを主成分とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の電気音響変換器を複数有し、各電気音響変換器の前記湾曲部の中心点における法線ベクトルが互いに異なる方向を向いており、かつ、外側を向いて配置される電気音響変換システム。
  17. 2つの前記電気音響変換器を有し、2つの前記電気音響変換器の前記湾曲部の中心点における法線ベクトルが互いに反対方向を向いている請求項15に記載の電気音響変換システム。
  18. 複数の前記電気音響変換器が、各前記電気音響変換器の前記湾曲部の長辺の延在方向を一致させて、かつ、前記湾曲部の長辺に垂直な断面において、複数の前記湾曲部が多角形状もしくは花弁形状を形成し、各湾曲部の中心点における法線ベクトルが互いに異なる方向になるよう配列される請求項15に記載の電気音響変換システム。
  19. 請求項16〜18のいずれか1項に記載の電気音響変換システムにおいて、複数の前記電気音響変換器に囲まれる空間を共鳴管として用いることを特徴とするサブウーハー。
  20. 複数の前記電気音響変換器に囲まれる空間にサブウーハーを搭載した請求項16〜18のいずれか1項に記載の電気音響変換システム。
JP2017502313A 2015-02-27 2016-02-18 電気音響変換器、および、電気音響変換システム Pending JPWO2016136591A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015039267 2015-02-27
JP2015039267 2015-02-27
PCT/JP2016/054739 WO2016136591A1 (ja) 2015-02-27 2016-02-18 電気音響変換器、および、電気音響変換システム

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019151048A Division JP2019216461A (ja) 2015-02-27 2019-08-21 電気音響変換器、および、電気音響変換システム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2016136591A1 true JPWO2016136591A1 (ja) 2017-11-24

Family

ID=56788408

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017502313A Pending JPWO2016136591A1 (ja) 2015-02-27 2016-02-18 電気音響変換器、および、電気音響変換システム
JP2019151048A Pending JP2019216461A (ja) 2015-02-27 2019-08-21 電気音響変換器、および、電気音響変換システム

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019151048A Pending JP2019216461A (ja) 2015-02-27 2019-08-21 電気音響変換器、および、電気音響変換システム

Country Status (3)

Country Link
US (1) US10264362B2 (ja)
JP (2) JPWO2016136591A1 (ja)
WO (1) WO2016136591A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6216884B2 (ja) * 2014-06-30 2017-10-18 富士フイルム株式会社 電気音響変換フィルムおよびデジタルスピーカ
JP7415489B2 (ja) 2019-11-29 2024-01-17 セイコーエプソン株式会社 圧電アクチュエーターおよびその製造方法

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5333613A (en) * 1976-09-09 1978-03-29 Matsushita Electric Ind Co Ltd Microphone and its manufacture
JP2001524278A (ja) * 1997-02-07 2001-11-27 エス アール アイ・インターナショナル 弾性誘電体ポリマフィルム音波アクチュエータ
JP2003244791A (ja) * 2002-02-14 2003-08-29 Pioneer Electronic Corp 圧電フィルムスピーカ
WO2009063905A1 (ja) * 2007-11-12 2009-05-22 Nec Corporation 圧電音響素子及び電子機器
JP2010212868A (ja) * 2009-03-09 2010-09-24 Nec Corp 立体配列型送受波器、及び、立体配列型送受波器を備えた装置
JP2011228966A (ja) * 2010-04-21 2011-11-10 Nec Corp 電気音響変換器及びそれを用いた電子機器
WO2013047872A1 (ja) * 2011-09-30 2013-04-04 富士フイルム株式会社 電気音響変換器および表示デバイス
JP2015029270A (ja) * 2011-09-30 2015-02-12 富士フイルム株式会社 電気音響変換フィルム、電気音響変換器、フレキシブルディスプレイ、声帯マイクロフォンおよび楽器用センサー

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4960765B2 (ja) 2007-05-22 2012-06-27 日本放送協会 フレキシブルスピーカの音質補正装置および音質補正装置を備えたスピーカシステム
JP5175612B2 (ja) * 2008-05-16 2013-04-03 日本放送協会 フレキシブルステレオスピーカ
JP2012095193A (ja) * 2010-10-28 2012-05-17 Mitsubishi Plastics Inc スピーカー振動板用フィルム
JP5588934B2 (ja) * 2010-12-17 2014-09-10 富士フイルム株式会社 高分子複合圧電体およびその製造方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5333613A (en) * 1976-09-09 1978-03-29 Matsushita Electric Ind Co Ltd Microphone and its manufacture
JP2001524278A (ja) * 1997-02-07 2001-11-27 エス アール アイ・インターナショナル 弾性誘電体ポリマフィルム音波アクチュエータ
JP2003244791A (ja) * 2002-02-14 2003-08-29 Pioneer Electronic Corp 圧電フィルムスピーカ
WO2009063905A1 (ja) * 2007-11-12 2009-05-22 Nec Corporation 圧電音響素子及び電子機器
JP2010212868A (ja) * 2009-03-09 2010-09-24 Nec Corp 立体配列型送受波器、及び、立体配列型送受波器を備えた装置
JP2011228966A (ja) * 2010-04-21 2011-11-10 Nec Corp 電気音響変換器及びそれを用いた電子機器
WO2013047872A1 (ja) * 2011-09-30 2013-04-04 富士フイルム株式会社 電気音響変換器および表示デバイス
JP2015029270A (ja) * 2011-09-30 2015-02-12 富士フイルム株式会社 電気音響変換フィルム、電気音響変換器、フレキシブルディスプレイ、声帯マイクロフォンおよび楽器用センサー

Also Published As

Publication number Publication date
US10264362B2 (en) 2019-04-16
US20170366902A1 (en) 2017-12-21
JP2019216461A (ja) 2019-12-19
WO2016136591A1 (ja) 2016-09-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10284935B2 (en) Electroacoustic transducer
JP6005093B2 (ja) 電気音響変換フィルム、電気音響変換器、フレキシブルディスプレイおよびプロジェクター用スクリーン
JP6297204B2 (ja) 高分子複合圧電体、電気音響変換フィルムおよび電気音響変換器
JP6071932B2 (ja) 電気音響変換フィルム
KR101628584B1 (ko) 전기 음향 변환 필름, 플렉시블 디스플레이, 성대 마이크로폰 및 악기용 센서
JP6196400B2 (ja) 電気音響変換フィルム
US10770647B2 (en) Electroacoustic conversion film web, electroacoustic conversion film, and method of manufacturing an electroacoustic conversion film web
WO2016017632A1 (ja) 電気音響変換フィルムおよび電気音響変換器
US9723412B2 (en) Speaker system
JP6505845B2 (ja) 電気音響変換フィルム
JP6495866B2 (ja) スピーカーユニット
JP2019216461A (ja) 電気音響変換器、および、電気音響変換システム
JP6193194B2 (ja) 電気音響変換フィルムおよび電気音響変換器
WO2016136522A1 (ja) 構造体および電気音響変換器
JP6450014B2 (ja) 電気音響変換フィルム、電気音響変換フィルムの製造方法および電気音響変換器
JP6297223B2 (ja) 電気音響変換フィルムおよび電気音響変換器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170727

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180925

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20181114

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20190604