JP5590212B2 - ニッケル粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明はニッケル粉末の製造方法に関し、詳しくは、積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品の内部電極材料として有用なニッケル粉末の製造方法に関する。
積層セラミックコンデンサの内部電極を形成するために用いられる導電性ペーストを構成する導電性粉末として、ニッケル粉末が広く用いられている。
そして、このような用途に用いられるニッケル粉末の製造方法としては、大別して、気相法と液相法が知られている。
そして、このような用途に用いられるニッケル粉末の製造方法としては、大別して、気相法と液相法が知られている。
本発明が関連する液相法によるニッケル粉末の製造方法は、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケルなどの水溶性ニッケル化合物を溶解したニッケル化合物溶液に、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウムなどの還元剤を添加して、ニッケル化合物を還元することによりニッケル粉末を得る方法である(例えば、特許文献1参照)。
そして、液相法においては、ニッケル化合物のニッケル粉末への還元を促進するため、還元の工程は通常、強アルカリ中で実施される。
ところで、ニッケル粉末の製造に用いられるニッケル原料としてのニッケル化合物には、不純物が含まれている。特にマグネシウム系不純物はニッケル化合物からの溶媒抽出が困難であることから、他の成分に比べてニッケル化合物中に多量に残存している場合が多い。
そして、このマグネシウム系不純物を多量に含むニッケル化合物を湿式法により還元してニッケル粉末を製造した場合、還元されて析出したニッケル粉末を純水で洗浄しても、ニッケル粉末に含まれるマグネシウム系不純物を十分に除去することは困難であるのが実情である。
このような、マグネシウム系不純物を多く含むニッケル粉末を用いて、例えば積層セラミックコンデンサの内部電極を形成した場合、内部電極中のマグネシウムは、内部電極と隣接する誘電体層(セラミック層)に拡散して、誘電体層の誘電率が低下し、製品である積層セラミックコンデンサの特性が劣化するという問題点がある。
そのため、このような問題点を回避するために、ニッケル化合物中のマグネシウム系不純物を低減するための特別の処理をしたり、還元して析出させたニッケル粉末を洗浄するにあたって、大量の純水を用いて洗浄したりするなどの方法で対処することが必要になっており、マグネシウム系不純物の含有率の低いニッケル粉末を効率よく製造することが可能なニッケル粉末の製造方法が求められている。
本発明は、上記課題を解決するものであり、湿式法により、マグネシウムの含有率の低い、高品質のニッケル粉末を効率よく製造することが可能なニッケル粉末の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のニッケル粉末の製造方法は、
マグネシウム系不純物を含んだニッケル化合物を、pH10.5を超えるアルカリ性溶液中で金属ニッケルに還元してニッケル粉末を析出させる還元工程と、
還元工程で前記ニッケル粉末を析出させた前記アルカリ性溶液に、無機酸および有機酸の少なくとも1種を含むpH調整剤を添加してpHを10.5以下にすることにより、前記ニッケル粉末の表面に存在するマグネシウム系不純物を、前記ニッケル粉末の表面から溶液側に移行させるpH調整工程と、
前記マグネシウム系不純物を溶液側に移行させた後の前記ニッケル粉末を、純水で洗浄する洗浄工程と
を具備することを特徴としている。
マグネシウム系不純物を含んだニッケル化合物を、pH10.5を超えるアルカリ性溶液中で金属ニッケルに還元してニッケル粉末を析出させる還元工程と、
還元工程で前記ニッケル粉末を析出させた前記アルカリ性溶液に、無機酸および有機酸の少なくとも1種を含むpH調整剤を添加してpHを10.5以下にすることにより、前記ニッケル粉末の表面に存在するマグネシウム系不純物を、前記ニッケル粉末の表面から溶液側に移行させるpH調整工程と、
前記マグネシウム系不純物を溶液側に移行させた後の前記ニッケル粉末を、純水で洗浄する洗浄工程と
を具備することを特徴としている。
また、本発明のニッケル粉末の製造方法では、前記pH調整工程において、前記pH調整剤を添加してpHを10.5以下にする際に、pHが3.0以上、10.5以下にすることが好ましい。
また、前記pH調整剤として用いられる前記無機酸は、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、また、前記pH調整剤として用いられる前記有機酸は、ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記pH調整剤として、塩酸または硫酸の水溶液を用いることが特に好ましい。
本発明のニッケル粉末の製造方法においては、pHが10.5を超える条件での還元工程でニッケル粉末を析出させたアルカリ性溶液に、無機酸および有機酸の少なくとも1種を含むpH調整剤を添加してpHを10.5以下にすることにより、ニッケル粉末の表面に存在するマグネシウム系不純物(主として水酸化マグネシウム)を、ニッケル粉末の表面から溶液側に移行させ、その後に、ニッケル粉末を純水で洗浄するようにしているので、湿式法により、マグネシウム系不純物を効率よく除去して、高品質のニッケル粉末を製造することが可能になる。
なお、本発明のニッケル粉末の製造方法の還元工程において、ニッケル化合物を還元するための還元剤としては、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウムなどの、公知の種々の還元剤を用いることができる。
また、本発明のニッケル粉末の製造方法においては、pH調整工程でpHを3.0以上、10.5以下にすることにより、ニッケル粉末が再溶解することを回避して、マグネシウム系不純物の含有率の低い、高品質のニッケル粉末を、効率よく製造することが可能になる。
なお、pH3.0付近では、時間が経過するとニッケル粉末が溶解する傾向があるが、短時間ではニッケル粉末の溶解量もわずかで、実用性を担保することができる。
なお、pH3.0付近では、時間が経過するとニッケル粉末が溶解する傾向があるが、短時間ではニッケル粉末の溶解量もわずかで、実用性を担保することができる。
また、本発明においては、pH調整剤として硫酸、塩酸、硝酸、リン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の無機酸、あるいは、ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機酸を用いることにより、確実なpH調整を行って、高品質のニッケル粉末を効率よく製造することが可能になる。なお、場合によっては、上記の無機酸と有機酸を組み合わせて用いることも可能である。
また、前記pH調整剤として、塩酸または硫酸の水溶液を用いることにより、マグネシウム系不純物の含有率の低い、高品質のニッケル粉末を、効率よく、しかも経済的に製造することが可能になる。
以下に本発明の実施例を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
[1]ニッケル化合物水溶液の調製
ニッケル化合物として、表1に示すように、マグネシウム系不純物をMgとして120〜250ppmの範囲で含んだ硫酸ニッケルを用い、これを水に溶解してニッケル化合物水溶液(この実施例1では、例えば硫酸ニッケルの1.5mol%水溶液)を調製した。
ニッケル化合物として、表1に示すように、マグネシウム系不純物をMgとして120〜250ppmの範囲で含んだ硫酸ニッケルを用い、これを水に溶解してニッケル化合物水溶液(この実施例1では、例えば硫酸ニッケルの1.5mol%水溶液)を調製した。
[2]還元剤水溶液の調製
還元剤として、ヒドラジンを用意し、これを水に溶解させ、pHを調整することにより、pHが14の還元剤水溶液(例えば、ヒドラジン5mol%水溶液)を調製した。
還元剤としては、ヒドラジンの他にも、水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウムなど種々の還元剤を用いることが可能である。
還元剤として、ヒドラジンを用意し、これを水に溶解させ、pHを調整することにより、pHが14の還元剤水溶液(例えば、ヒドラジン5mol%水溶液)を調製した。
還元剤としては、ヒドラジンの他にも、水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウムなど種々の還元剤を用いることが可能である。
[3]還元工程
上述のようにして調製したニッケル化合物水溶液と、還元剤水溶液を、それぞれ55℃に加熱した後、両者を混合して、ニッケル化合物を還元することにより、ニッケル粉末が析出したpHが約14のスラリー液(合成液)を得た。
上述のようにして調製したニッケル化合物水溶液と、還元剤水溶液を、それぞれ55℃に加熱した後、両者を混合して、ニッケル化合物を還元することにより、ニッケル粉末が析出したpHが約14のスラリー液(合成液)を得た。
[4]pH調整工程
上記[1]の工程で得た、ニッケル粉末が析出したpHが約14の合成液にpH調整剤を加えてpHを表1の試料番号4〜6に示すような値(pH=10.5)に調整した。
なお、この実施例1ではpH調整剤として硫酸の1mol%水溶液を用いた。
上記[1]の工程で得た、ニッケル粉末が析出したpHが約14の合成液にpH調整剤を加えてpHを表1の試料番号4〜6に示すような値(pH=10.5)に調整した。
なお、この実施例1ではpH調整剤として硫酸の1mol%水溶液を用いた。
本発明においては、pH調整剤としてプロトンを与える酸を用いる。無機酸では硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、有機酸ではギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸などのカルボン酸を好適に用いることができる。これらの中でも塩酸あるいは硫酸を用いることがより好ましい。
なお、pH調整剤はこれらのうちのいずれかを単独で使用してもよく、また、複数を組み合わせて用いてもよい。
表1のpHの値は、いずれも、pH調整剤を投入後、安定した値を測定したものである。
なお、pH調整剤はこれらのうちのいずれかを単独で使用してもよく、また、複数を組み合わせて用いてもよい。
表1のpHの値は、いずれも、pH調整剤を投入後、安定した値を測定したものである。
また、比較のため、ニッケル化合物水溶液と、還元剤水溶液を混合して、ニッケル化合物を還元してニッケル粉末を析出させた、pHが約14の混合液(合成液)(表1の試料番号1〜3)を、特にpH調整することなく、下記の洗浄工程に供した。
[5]洗浄工程
上述のようにしてpHを10.5に調整した本発明の実施例にかかるニッケル粉末懸濁液(合成液)(試料番号4〜6)と、pH調整を行っていないpHが約14の比較例のニッケル粉末懸濁液(合成液)(試料番号1〜3)とを、ろ過した後、純水により洗浄した。
上述のようにしてpHを10.5に調整した本発明の実施例にかかるニッケル粉末懸濁液(合成液)(試料番号4〜6)と、pH調整を行っていないpHが約14の比較例のニッケル粉末懸濁液(合成液)(試料番号1〜3)とを、ろ過した後、純水により洗浄した。
洗浄は、ニッケル粉末懸濁液(合成液)をろ過することにより得られたニッケルケーキ上に純水を供給して、ニッケルケーキを通過させてろ過することにより行った。そして、この洗浄を、ろ液の導電率が10μS/cm以下になるまで行った。
[6]評価
(1)ニッケル粉末中のMg量
上述のようにして純水による洗浄を行ったニッケルケーキを乾燥し、乾燥後のニッケル粉末に含まれるマグネシウム系不純物の量をICP(誘導結合プラズマ発光分析装置)により測定し、マグネシウム系不純物がMgとして50ppm以上のものをマグネシウム系不純物が除去されていないと判断して不良(×)と評価した。また、Mgが50ppm未満のものをマグネシウム系不純物が除去されていると判断して良(○)と評価した。
その結果を表1に併せて示す。
(1)ニッケル粉末中のMg量
上述のようにして純水による洗浄を行ったニッケルケーキを乾燥し、乾燥後のニッケル粉末に含まれるマグネシウム系不純物の量をICP(誘導結合プラズマ発光分析装置)により測定し、マグネシウム系不純物がMgとして50ppm以上のものをマグネシウム系不純物が除去されていないと判断して不良(×)と評価した。また、Mgが50ppm未満のものをマグネシウム系不純物が除去されていると判断して良(○)と評価した。
その結果を表1に併せて示す。
(2)洗浄に要する純水量
上述のように、純水による洗浄は、ろ液の導電率が10μS/cm以下になるまで行った。そして、洗浄に要した純水の量を評価するため、導電率が10μS/cm以下になるまでに使用した純水の量(ニッケル1gあたりの洗浄純水量)を求めた。
その結果を表1に併せて示す。
上述のように、純水による洗浄は、ろ液の導電率が10μS/cm以下になるまで行った。そして、洗浄に要した純水の量を評価するため、導電率が10μS/cm以下になるまでに使用した純水の量(ニッケル1gあたりの洗浄純水量)を求めた。
その結果を表1に併せて示す。
表1に示すように、pH調整を行わないままの、pHが約14のニッケル粉末懸濁液(合成液)を、そのまま洗浄工程に供した試料番号1〜3(比較例)の場合、ろ液の導電率が10μS/cm以下になるまでに使用した純水の量が、ニッケル粉末1g当たり0.15〜0.30リットルと多いにもかかわらず、ニッケル粉末中のMg量がいずれも50ppm以上(表1の評価で×)と多く、ニッケル粉末に含まれるマグネシウム系不純物を十分に除去できないことが確認された。
これに対し、ニッケル粉末懸濁液(合成液)のpHを10.5に調整した後、ろ過、洗浄を行った、本発明の要件を満たす試料番号4〜6(実施例)の場合、ニッケル粉末1g当たり0.03リットルと少ない洗浄純水量で、ろ液の導電率を10μS/cm以下にまで低下させることが可能であるとともに、ニッケル粉末中のマグネシウム系不純物をMgとして50ppm未満(表1の評価で○)にまで低減できることが確認された。
ニッケル化合物として、上記実施例1で用いた硫酸ニッケルに代えて、表2に示す塩化ニッケルおよび酢酸ニッケルを用いたことを除いて、上記実施例1の試料番号6の場合と同じ条件で、ニッケル化合物水溶液の調製、還元剤水溶液の調製、還元工程、pH調整工程、洗浄工程の各工程を実施して、ニッケル粉末を製造した。
なお、ニッケル化合物水溶液としては、塩化ニッケルおよび酢酸ニッケルを、それぞれ1.5mol%水溶液として用いた。
なお、ニッケル化合物水溶液としては、塩化ニッケルおよび酢酸ニッケルを、それぞれ1.5mol%水溶液として用いた。
そして、上記実施例1の場合と同様の方法で、ニッケル粉末中のMg量、洗浄に要する純水量を評価した。
その結果を表2に示す。
その結果を表2に示す。
表2に示すように、ニッケル化合物として、塩化ニッケルを用いた場合(試料番号7)、酢酸ニッケルを用いた場合(試料番号8)のいずれの場合にも、ニッケル粉末が析出した懸濁液(合成液)のpHを10.5に調整して、ろ過、洗浄を行うことにより、ニッケル粉末1g当たり0.03リットルと少ない洗浄純水量で、ろ液の導電率を10μS/cm以下にまで低下させることが可能になるとともに、ニッケル粉末中のマグネシウム系不純物量を、Mgとして50ppm未満(表2の評価で○)にまで低減できることが確認された。
pH調整剤として、上記実施例で用いた硫酸の水溶液に代えて、表3に示すように、塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、およびシュウ酸の水溶液を用いたことを除いて、上記実施例1の試料番号6の場合と同じ条件(ニッケル化合物として硫酸ニッケルを使用)で、ニッケル化合物水溶液の調製、還元剤水溶液の調製、還元工程、pH調整工程、洗浄工程の各工程を実施して、ニッケル粉末を製造した。
なお、pH調整剤としては、塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、およびシュウ酸の、それぞれの1mol%水溶液を用いた。
なお、pH調整剤としては、塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、およびシュウ酸の、それぞれの1mol%水溶液を用いた。
そして、上記実施例1の場合と同様の方法で、ニッケル粉末中のMg量を調べた。
また、この実施例3では、pH調整工程でpHを10.5に調整し、pHが安定した後、10秒が経過した時点および5分が経過した時点で、ニッケル粉末をろ過、洗浄し、乾燥を行ってニッケルの収率を求めた。
また、この実施例3では、pH調整工程でpHを10.5に調整し、pHが安定した後、10秒が経過した時点および5分が経過した時点で、ニッケル粉末をろ過、洗浄し、乾燥を行ってニッケルの収率を求めた。
なお、ニッケルの収率は、原料であるニッケル化合物中のニッケル100に対して得られたニッケル粉末の割合)であって、ニッケルの収率が95%以下の場合、ニッケルの収率が不十分であると判断して不良(×)と評価し、また、収率が95%を超える場合、収率が十分であると判断して良(○)と評価した。
ニッケル粉末中のMg量およびニッケルの収率についての評価結果を、表3に併せて示す。
ニッケル粉末中のMg量およびニッケルの収率についての評価結果を、表3に併せて示す。
表3に示すように、pH調整剤として、硫酸に代えて、塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、およびシュウ酸の水溶液を用いた場合にも、ニッケル粉末が析出した懸濁液(合成液)のpHを10.5に調整した後、ろ過、洗浄を行うことにより、ニッケル粉末中のマグネシウム系不純物がMgとして50ppm未満(表3の評価で○)である不純物の少ないニッケル粉末が得られることが確認された。
また、pH調整剤として、塩酸、リン酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、およびシュウ酸の水溶液を用いた場合(試料番号9,11〜15))は、pH調整工程で調整されたpHが安定した後10秒が経過した時点、および、5分が経過した時点のニッケルの収率はいずれも良好であった。
また、pH調整剤として、硝酸の水溶液を用いた試料番号10の場合、pH調整工程で調整されたpHが安定した後10秒が経過した時点のニッケルの収率は良好であったが、5分が経過した時点のニッケルの収率は少し低下することが確認された。
この結果から、pH調整剤として硝酸を用いた場合には、pH調整後、速やかにニッケル粉末を分離、回収することが必要になるため、実用は可能であるが、工程管理などを精度よく行うことが必要になる。
したがって、pH調整に用いる酸種としては、硝酸も使用可能ではあるが、硝酸以外の酸種を用いることがより望ましい。
したがって、pH調整に用いる酸種としては、硝酸も使用可能ではあるが、硝酸以外の酸種を用いることがより望ましい。
この実施例4では、pH調整工程におけるpHの設定値を異ならせたことを除いて、上記実施例1の試料番号6の場合と同じ条件(ニッケル化合物として硫酸ニッケルを使用するとともに、pH調整剤として硫酸水溶液を使用)で、ニッケル化合物水溶液の調製、還元剤水溶液の調製、還元工程、pH調整工程、洗浄工程の各工程を実施して、ニッケル粉末を製造した。
そして、上記実施例1の場合と同様の方法で、ニッケル粉末中のMg量、および、洗浄に要する純水量を調べた。
また、上述の実施例3と同様に、pHが安定した後10秒が経過した時点および5分間が経過した時点におけるニッケルの収率を求めた。
ニッケル粉末中のMg量、洗浄に要する純水量、および、ニッケルの収率についての評価結果を表4に併せて示す。
表4に示すように、pH調整工程においてpHを11に調整した、本発明の要件を満たさない試料番号16(比較例)の場合、ニッケルの収率は良好なものの、ろ液の導電率が10μS/cm以下になるまでに要する洗浄純水量が多くなり、ニッケル1gあたりの純水の必要量が増大するばかりでなく、ニッケル粉末中のマグネシウム系不純物がMgとして50ppm以上(表4の評価で×)で、ニッケル粉末に含まれるマグネシウム系不純物を十分に、除去できないことが確認された。
一方、pH調整工程においてpHを2,7,および3に調整した、本発明の要件を満たす表4の試料番号17,18,19(実施例)の場合、ニッケル粉末中のマグネシウム系不純物がMgとして50ppm未満(表3の評価で○)の不純物の少ないニッケル粉末が得られることが確認された。
ただし、pH調整工程においてpHを2に調整した試料番号17の場合、pH調整工程で調整されたpHが安定した後10秒が経過した時点のニッケルの収率は良好であったが、5分が経過した時点のニッケルの収率は不十分になることが確認された。
一方、pH調整工程においてpHを7および3に調整した試料番号18および19の場合には、pH調整工程で調整されたpHが安定した後10秒が経過した時点、および、5分が経過した時点のニッケルの収率はいずれも良好であった。
この結果から、pH調整工程において、条件次第ではpHを2にすることもできるが、ニッケル収率を安定的に確保する見地からは、pH調整工程におけるpHの範囲はpH3〜10.5の範囲とすることが望ましいことが確認された。
[積層セラミックコンデンサの作製]
上記方法で製造したニッケル粉末(表1の試料番号6のニッケル粉末)を、バインダー樹脂と溶剤とを混合した有機ビヒクルと混練して、導電性ペーストを作製した。
上記方法で製造したニッケル粉末(表1の試料番号6のニッケル粉末)を、バインダー樹脂と溶剤とを混合した有機ビヒクルと混練して、導電性ペーストを作製した。
そして、この導電性ペーストを塗布することにより内部電極パターンを形成したセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成した。そして、積層体を個々の素子に分割した後、焼成し、外部電極を形成する工程を経て、図1に示すような積層セラミックコンデンサ、すなわち、積層セラミック素子11中に、セラミック層(誘電体層)12を介して、複数の内部電極13a,13bが積層され、かつ、互いに対向する内部電極13a,13bが交互に積層セラミック素子11の異なる側の端面14a,14bに引き出され、該端面14a,14bに形成された外部電極15a,15bに接続された構造を有する積層セラミックコンデンサ20を作製した。
そして、得られた積層セラミックコンデンサについてその特性を調べたところ、従来のマグネシウム系不純物を多く含有するニッケルを導電成分とする導電性ペーストを用いて内部電極を形成した積層セラミックコンデンサに比べて、内部電極中のマグネシウム分が少なく、内部電極と隣接するセラミック層(誘電体層)への拡散による誘電体層の誘電率の低下が十分に抑制され、特性の安定した積層セラミックコンデンサが得られることが確認された。
なお、本発明のニッケル粉末は、積層セラミックコンデンサの内部電極に限られるものではなく、積層バリスタ、積層LC複合部品、セラミック多層基板など、内部電極を備えた種々の積層セラミックコンデンサを製造する場合における、内部電極形成用の導電性ペーストを構成する導電性粉末として広く用いることが可能である。
本発明はさらにその他の点においても上記の各実施例に限定されるものではなく、ニッケル化合物や還元剤の種類、還元工程やpH調整工程の具体的な条件、洗浄工程を実施する際のニッケル粉末の洗浄方法や条件などに関し、発明の範囲内において種々の応用、変形を加えることが可能である。
11 積層セラミック素子
12 セラミック層(誘電体層)
13a,13b 内部電極
14a,14b 積層セラミック素子の端面
15a,15b 外部電極
20 積層セラミックコンデンサ
12 セラミック層(誘電体層)
13a,13b 内部電極
14a,14b 積層セラミック素子の端面
15a,15b 外部電極
20 積層セラミックコンデンサ
Claims (4)
- マグネシウム系不純物を含んだニッケル化合物を、pHが10.5を超えるアルカリ性溶液中で金属ニッケルに還元してニッケル粉末を析出させる還元工程と、
還元工程で前記ニッケル粉末を析出させた前記アルカリ性溶液に、無機酸および有機酸の少なくとも1種を含むpH調整剤を添加してpHを10.5以下にすることにより、前記ニッケル粉末の表面に存在するマグネシウム系不純物を、前記ニッケル粉末の表面から溶液側に移行させるpH調整工程と、
前記マグネシウム系不純物を溶液側に移行させた後の前記ニッケル粉末を、純水で洗浄する洗浄工程と
を具備することを特徴とするニッケル粉末の製造方法。 - 前記pH調整工程において、前記pH調整剤を添加してpHを10.5以下にする際に、pHを3.0以上、10.5以下にすることを特徴とする請求項1記載のニッケル粉末の製造方法。
- 前記pH調整剤として用いられる前記無機酸が、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、また、前記pH調整剤として用いられる前記有機酸が、ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2記載のニッケル粉末の製造方法。
- 前記pH調整剤として、塩酸または硫酸の水溶液を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のニッケル粉末の製造方法。
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