JP5585146B2 - シクロプロパンカルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents

シクロプロパンカルボン酸エステルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、シクロプロパンカルボン酸エステルの製造方法に関する。
特許文献1には、式(III)
Figure 0005585146
(式中、Rは、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数2〜7のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜3のアルキルチオ基および置換基を有していてもよいフェニル基からなる群から選ばれる1種以上の基を有していてもよい炭素数1〜10の鎖式炭化水素基、炭素数3〜10の環式炭化水素基または水素原子を表わす。)
で示されるシクロプロパンカルボン酸エステルの代表的な化合物である、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル)の製造方法として、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル)とジエチル(1−シアノエチル)ホスホナートとを反応させる方法が開示されている。
特開2004−2363号公報
しかしながら、かかる方法は、リンを含む廃棄物が大量に生じる点で、必ずしも満足できる方法ではなかった。本発明は、リンを含む廃棄物を生じさせることなく、シクロプロパンカルボン酸エステルを製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に到った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
<1>式(I)
Figure 0005585146
(式中、Rは、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数2〜7のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜3のアルキルチオ基および置換基を有していてもよいフェニル基からなる群から選ばれる1種以上の基を有していてもよい炭素数1〜10の鎖式炭化水素基、
炭素数3〜10の環式炭化水素基
または
水素原子を表わす。)
で示されるシクロプロパンカルボン酸エステルと2−シアノプロピオン酸とを、塩基の存在下で反応させる工程を有する
式(III)
Figure 0005585146
(式中、Rは上記と同じ意味を表わす。)
で示されるシクロプロパンカルボン酸エステルの製造方法。
<2>塩基が、1級アミンまたは2級アミンである前記<1>記載の製造方法。
<3>塩基が、2級アミンである前記<1>記載の製造方法。
<4>Rが、炭素数1〜10の鎖式炭化水素基または置換基を有していてもよいフェニル基を有する炭素数1〜10の鎖式炭化水素基である前記<1>〜<3>いずれか記載の製造方法。
<5>Rが、メチル基または2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル基である前記<1>〜<3>いずれか記載の製造方法。
本発明によれば、リンを含む廃棄物を生じさせることなく、シクロプロパンカルボン酸エステルを製造できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、式(I)
Figure 0005585146
で示されるシクロプロパンカルボン酸エステル(以下、エステル(I)と略記する。)と2−シアノプロピオン酸とを、塩基の存在下で反応させる式(III)
Figure 0005585146
で示されるシクロプロパンカルボン酸エステル(以下、エステル(III)と略記する。)の製造方法である。
上記式(I)において、Rは、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数2〜7のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜3のアルキルチオ基および置換基を有していてもよいフェニル基からなる群から選ばれる1種以上の基を有していてもよい炭素数1〜10の鎖式炭化水素基、炭素数3〜10の環式炭化水素基または水素原子を表わす。
ハロゲン原子としては、塩素原子およびフッ素原子が挙げられ、塩素原子が好ましい。
置換基を有していてもよい炭素数2〜7のアシル基としては、フェナシル基等の炭素数2〜7の無置換アシル基およびp−ブロモフェナシル基等のハロゲン原子を有する炭素数2〜7のアシル基が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜7の無置換アルコキシ基、メトキシメトキシ基等の炭素数1〜7のアルコキシ基を有する炭素数1〜7のアルコキシ基およびベンジルオキシ基等のフェニル基を有する炭素数1〜7のアルコキシ基が挙げられる。
炭素数1〜3のアルキルチオ基としては、メチルチオ基が挙げられる。
置換基を有していてもよいフェニル基としては、4−ブロモフェニル基等、4−メトキシフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,3,5−トリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルフェニル基、2−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基および2−(9,10−ジオキソ)アントリル基等のハロゲン原子、炭素数1〜7のアルコキシ基を有していてもよい炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜7のアルコキシ基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、ニトロ基およびフタロイル基からなる群から選ばれる1種以上の基を有していてもよいフェニル基が挙げられる。
ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数2〜7のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜3のアルキルチオ基および置換基を有していてもよいフェニル基からなる群から選ばれる1種以上の基を有していてもよい炭素数1〜10の鎖式炭化水素基としては、
メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基、プロパルギル基等の炭素数1〜10の無置換の鎖式炭化水素基;
2−クロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基等1つ以上のハロゲン原子を有する炭素数1〜10の鎖式炭化水素基;
フェナシル基、p−ブロモフェナシル基等の置換基を有していてもよい炭素数2〜7のアシル基を有する炭素数1〜10の鎖式炭化水素基;
メトキシメチル基、メトキシメトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基等の置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基を有する炭素数1〜10の鎖式炭化水素基;
メチルチオメチル基、2−(メチルチオ)エチル基等の置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキルチオ基を有する炭素数1〜10の鎖式炭化水素基;および
ベンジル基、フェネチル基、4−ブロモベンジル基、4−メトキシベンジル基、2,3−ジフルオロベンジル基、2,3,5−トリフルオロベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル基、2−ニトロベンジル基、4−ニトロベンジル基、ビス(o−ニトロフェニル)メチル基、2−(9,10−ジオキソ)アントラニルメチル基等の置換基を有していてもよいフェニル基を有する炭素数1〜10の鎖式炭化水素基;が挙げられる。
炭素数3〜10の環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびフェニル基が挙げられる。
これらのうち、Rは、炭素数1〜10の鎖式炭化水素基または置換基を有していてもよいフェニル基を有する炭素数1〜10の鎖式炭化水素基が好ましく、メチル基または2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル基がより好ましい。
エステル(I)としては、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸メチル、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エチル、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸プロピル、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸アリル、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸プロパルギル、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(2−クロロエチル)、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(2,2,2−トリクロロエチル)、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸フェナシルメチル、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸メトキシメチル、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸メチルチオメチル、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸ベンジル、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(2,3−ジフルオロベンジル)、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(2,3,5−トリフルオロベンジル)、3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)および3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル)が挙げられる。
エステル(I)は、特開2006−89427号公報等に記載される公知の方法により得ることができる。エステル(I)は、シクロプロパン環に結合するホルミル基とシクロプロパン環に結合する−COORで示される基とが、シクロプロパン環平面の同じ側にあるシス体であってもよいし、シクロプロパン環に結合するホルミル基とシクロプロパン環に結合する−COORで示される基とが、シクロプロパン環平面の反対側にあるトランス体であってもよい。トランス体であることが好ましく、(1R,3R)体であることがより好ましい。
市販の2−シアノプロピオン酸を用いてもよいし、Tetrahedron,50,4439(1994)等に記載される公知の方法により製造したものを用いてもよい。
2−シアノプロピオン酸の使用量は、エステル(I)1モルに対して、好ましくは0.8〜5モル、より好ましくは1〜2モルである。
塩基は、リンを含まない塩基を用いることが好ましい。リンを含む塩基を用いる場合には、例えば後述する反応混合物と水と水に不溶の溶媒とを混合し、水層を有機層から分離し、得られた水層へリンを含む塩基よりも高い塩基性を有する塩基を添加することにより、リンを含む塩基を再生し、再利用すればよい。
リンを含まない塩基としては、ナトリウムメトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ジメチルアミン、ジエチルアミン等の2級アミンおよびブチルアミン、ヘキシルアミン、アニリン等の1級アミンが挙げられる。なかでも、1級アミンまたは2級アミンが好ましく、2級アミンがより好ましく、ピロリジンおよびピペリジンが特に好ましい。
塩基の使用量は、エステル(I)1モルに対して、好ましくは0.01〜5モル、より好ましくは0.1〜0.5モルである。
エステル(I)と2−シアノプロピオン酸との反応は、溶媒の存在下で実施されることが好ましい。溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒、酢酸エチル、炭酸ジメチル等のエステル溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素溶媒、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド溶媒、ピリジン、ジメチルスルホキシド、水およびこれらの混合溶媒が挙げられる。なかでも、アミド溶媒が好ましく、N,N−ジメチルホルムアミドがより好ましい。溶媒の使用量は制限されず、エステル(I)1重量部に対して、好ましくは0.01〜50重量部、より好ましくは0.01〜10重量部である。
反応温度は、好ましくは−20〜120℃、より好ましくは50〜120℃である。
反応時間は、反応温度によって異なるが、例えば5分間〜72時間である。
反応の進行度合いは、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の分析手段により確認できる。
反応は、エステル(I)と2−シアノプロピオン酸と塩基とを混合することにより実施され、その混合順序は制限されない。
反応終了後、得られた反応混合物と水と必要に応じて水に不溶の溶媒とを混合し、得られる有機層を濃縮することにより、エステル(III)を取り出すことができる。取り出したエステル(III)は、クロマトグラフィー、蒸留等の精製手段により、さらに精製してもよい。
かくして得られるエステル(III)としては、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸メチル、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エチル、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸プロピル、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸アリル、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸プロパルギル、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(2−クロロエチル)、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(2,2,2−トリクロロエチル)、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸フェナシルメチル、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸メトキシメチル、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸メチルチオメチル、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸ベンジル、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(2,3−ジフルオロベンジル)、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(2,3,5−トリフルオロベンジル)、3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)および3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル)が挙げられる。
上記反応において、シクロプロパン環の1位および3位の立体配置は保持される。例えば、−COORで示される基が結合するシクロプロパン環の1位の絶対配置がR配置であり、ホルミル基が結合するシクロプロパン環の3位の絶対配置がR配置であるエステル(I)の(1R,3R)体を用いた場合、−COORで示される基が結合するシクロプロパン環の1位の絶対配置がR配置であり、2−シアノ−1−プロペニル基が結合するシクロプロパン環の3位の絶対配置がR配置であるエステル(III)の(1R,3R)体が得られる。
また、エステル(III)は、例えば、シクロプロパン環の3位の2−シアノ−1−プロペニル基の二重結合の立体配置がE配置であるエステル(III)とZ配置であるエステル(III)の混合物である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。分析は、高速液体クロマトグラフィー内部標準法により行った。
実施例1
窒素雰囲気下、(1R,3R)−3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸メチル20.0g、トルエン100gおよびピペリジン5.56gの混合物を100℃に調整した。該混合物に、2−シアノプロピオン酸19.0gを45分かけて滴下した。得られた混合物を同温度で8時間攪拌した。得られた混合物に、さらにピペリジン1.11gを加え、同温度で1.5時間攪拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、10重量%硫酸水溶液100gを加え、有機層と水層に分離した。得られた水層をトルエン100gで抽出し、得られたトルエン層を先に得た有機層と混合した。得られた溶液を3.0重量%炭酸水素ナトリウム水溶液100gで洗浄し、さらに水100gで洗浄した。得られた溶液を減圧条件下で濃縮し、(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸メチルを含む粗生成物24.5gを得た。該粗生成物をガスクロマトグラフィー内部標準法で分析したところ、(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸メチルの含量は72%であり、E体とZ体の比率(以下、E/Z比と略記する。)は2/1であった。(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸メチルの収率(E体とZ体の合計)は72%であった。
Figure 0005585146
実施例2
窒素雰囲気下、(1R,3R)−3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸メチル0.50g、トルエン2.5g、N,N−ジメチルホルムアミド0.50g、2−シアノプロピオン酸0.50gおよびピペリジン0.14gの混合物を、内温100℃で5.5時間攪拌し、(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸メチルを含む反応混合物を得た。反応混合物をガスクロマトグラフィー内部標準法で分析したところ、(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸メチルのE/Z比は1.4/1であり、(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸メチルの収率(E体とZ体の合計)は89%であった。
実施例3〜5
実施例2において、トルエン2.5gおよびN,N−ジメチルホルムアミド0.50gに代えて、表1に記載した溶媒を用い、ピペリジン0.14gに代えて、表1に記載した塩基を用い、表1に記載した内温および時間で混合物を攪拌した以外は、実施例2と同様に反応を実施し、(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸メチルを含む反応混合物を得た。結果を表1に示す。なお、表1中、”DMF”は、N,N−ジメチルホルムアミドを意味する。
Figure 0005585146
実施例6
窒素雰囲気下、(1R,3R)−3−ホルミル−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)1.0g、トルエン5.0g、N,N−ジメチルホルムアミド1.0g、2−シアノプロピオン酸0.41gおよびピロリジン92mgの混合物を、内温80℃で6.5時間攪拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、10重量%硫酸水溶液5.0gを加え、有機層と水層に分離した。得られた水層をトルエン5.0gで抽出し、得られたトルエン層を先に得た有機層と混合した。得られた溶液を3.0重量%炭酸水素ナトリウム水溶液5.0gで洗浄し、さらに水5.0gで洗浄した。得られた溶液を減圧条件下で濃縮し、(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)を含む粗生成物を得た。該粗生成物の1H−NMRを測定したところ、E/Z比は1.9/1であった。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)のE体0.57g、(1R,3R)−3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル)のZ体0.30gを得た。収率(Z体とE体の合計)は79%(E/Z=1.9/1)であった。
Figure 0005585146
本発明によれば、リンを含む廃棄物を生じさせることなく、有害生物の防除剤およびその中間体として有用な化合物である式(III)で示されるシクロプロパンカルボン酸エステルを製造できる。

Claims (5)

  1. 式(I)
    Figure 0005585146
    (式中、Rは、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数2〜7のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数1〜3のアルキルチオ基および置換基を有していてもよいフェニル基からなる群から選ばれる1種以上の基を有していてもよい炭素数1〜10の鎖式炭化水素基、
    炭素数3〜10の環式炭化水素基
    または
    水素原子を表わす。)
    で示されるシクロプロパンカルボン酸エステルと2−シアノプロピオン酸とを、塩基の存在下で反応させる工程を有する
    式(III)
    Figure 0005585146
    (式中、Rは上記と同じ意味を表わす。)
    で示されるシクロプロパンカルボン酸エステルの製造方法。
  2. 塩基が、1級アミンまたは2級アミンである請求項1記載の製造方法。
  3. 塩基が、2級アミンである請求項1記載の製造方法。
  4. Rが、炭素数1〜10の鎖式炭化水素基または置換基を有していてもよいフェニル基を有する炭素数1〜10の鎖式炭化水素基である請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
  5. Rが、メチル基または2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル基である請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
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