JP2006312644A - β−ケトニトリル類の製法 - Google Patents

β−ケトニトリル類の製法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006312644A
JP2006312644A JP2006196722A JP2006196722A JP2006312644A JP 2006312644 A JP2006312644 A JP 2006312644A JP 2006196722 A JP2006196722 A JP 2006196722A JP 2006196722 A JP2006196722 A JP 2006196722A JP 2006312644 A JP2006312644 A JP 2006312644A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
ketonitrile
ketonitriles
layer
added
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006196722A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsumasa Harada
勝正 原田
Shigeyoshi Nishino
繁栄 西野
Kenji Hirotsu
健二 弘津
Akira Nakamura
明 中村
Takashi Harada
崇司 原田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Industries Ltd filed Critical Ube Industries Ltd
Priority to JP2006196722A priority Critical patent/JP2006312644A/ja
Publication of JP2006312644A publication Critical patent/JP2006312644A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】 本発明は、簡便な方法にて、入手が容易な脂肪族カルボン酸エステル類から、高純度で収率良くβ-ケトニトリル類を得る、工業的に好適なβ-ケトニトリル類の製法を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明の課題は、
(A)金属アルコキシドの存在下、脂肪族カルボン酸エステルとアセトニトリルを反応させて、β-ケトニトリルの金属塩を合成する反応操作工程、
(B)その後、反応液に有機溶媒と水を添加・混合して、有機層と水層に層分離させて、β-ケトニトリルの金属塩を含む水層(水溶液)を得る層分離工程、
(C)次いで、層分離によって得られたβ-ケトニトリルの金属塩を含む水溶液に酸を加えて中和し、有機溶媒で抽出して遊離のβ-ケトニトリルを取得する中和・抽出工程、
を含むことからなるβ-ケトニトリル類の製法によって解決される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、脂肪族カルボン酸エステル類からβ-ケトニトリル類を製造する方法に関する。β-ケトニトリル類は、医薬・農薬等の合成原料として有用な化合物である。
従来、金属アルコキシドの存在下、脂肪族カルボン酸エステル類とアセトニトリルを反応させてβ-ケトニトリル類を製造する方法としては、例えば、ナトリウムエトキシド存在下、イソ酪酸エチルとアセトニトリルを反応させる方法(例えば、非特許文献1参照)やアルカリアルコラート存在下、酢酸エステルとアセトニトリルを反応させる方法(例えば、特許文献1参照)が開示されている。しかしながら、これらの方法では、反応中に副生する3-オキソブチロニトリル、ピリミジン類等を混入させず、高純度で収率良くβ-ケトニトリル類を得る方法については何ら記載されていなかった。
J.Am.Chem.Soc.,56,1171(1934) 特開平6-312966号公報
本発明の課題は、即ち、上記問題点を解決し、簡便な方法にて、入手が容易な脂肪族カルボン酸エステル類から、高純度で収率良くβ-ケトニトリル類を得る、工業的に好適なβ-ケトニトリル類の製法を提供するものである。
本発明の課題は、
(A)金属アルコキシドの存在下、一般式(1)
Figure 2006312644
(式中、R1は、脂肪族基を示し、R2は、反応に関与しない基を示す。)
で示される脂肪族カルボン酸エステル類とアセトニトリルを反応させて、一般式(2)
Figure 2006312644
(式中、R1は、前記と同義であり、Xは金属原子を示す。)
で示されるβ-ケトニトリルの金属塩を合成する反応操作工程、
(B)その後、反応液に有機溶媒と水を添加・混合して、有機層と水層に層分離させて、β-ケトニトリルの金属塩を含む水層(水溶液)を得る層分離工程、
(C)次いで、層分離によって得られたβ-ケトニトリルの金属塩を含む水溶液に酸を加えて中和し、有機溶媒で抽出して遊離のβ-ケトニトリルを取得する中和・抽出工程、
を含むことからなる、一般式(3)
Figure 2006312644
(式中、R1は、前記と同義である。)
で示されるβ-ケトニトリル類の製法によって解決される。
本発明により、簡便な方法にて、入手が容易な脂肪族カルボン酸エステル類から、高純度で収率良くβ-ケトニトリル類を得る、工業的に好適なβ-ケトニトリル類の製法を提供することが出来る。
本発明は、
(A)金属アルコキシドの存在下、一般式(1)で示される脂肪族カルボン酸エステルとアセトニトリルを反応させて、一般式(2)で示されるβ-ケトニトリルの金属塩を合成する反応操作工程、
(B)その後、反応液に有機溶媒と水を添加・混合して、有機層と水層に層分離させて、β-ケトニトリルの金属塩を含む水層(水溶液)を得る層分離工程、
(C)次いで、層分離によって得られたβ-ケトニトリルの金属塩を含む水溶液に酸を加えて中和し、有機溶媒で抽出して遊離のβ-ケトニトリルを取得する中和・抽出工程、
を含むことからなる三つの工程によってβ-ケトニトリルを反応生成物として得るものである。
引き続き、前記の三つの工程を順次説明する。
(A)反応操作工程
本発明の反応操作工程は、金属アルコキシドの存在下、一般式(1)で示される脂肪族カルボン酸エステルとアセトニトリルを反応させて、一般式(2)で示されるβ-ケトニトリルの金属塩を合成する工程である。
本発明の反応操作工程において使用する脂肪族カルボン酸エステル類は、前記の一般式(1)で示される。その一般式(1)において、R1は、脂肪族基であり、具体的には、例えば、アルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基を示す。
前記アルキル基としては、特に炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらの基は、各種異性体を含む。
前記シクロアルキル基としては、特に炭素数3〜7のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。これらの基は、各種異性体を含む。
前記アラルキル基としては、特に炭素数7〜10のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等が挙げられる。これらの基は、各種異性体を含む。
又、一般式(1)において、R2は、反応に関与しない基、具体的には、炭化水素基であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示す。
前記アルキル基としては、特に炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。これらの基は、各種異性体を含む。
前記シクロアルキル基としては、特に炭素数3〜7のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。これらの基は、各種異性体を含む。
前記アラルキル基としては、特に炭素数7〜10のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等が挙げられる。これらの基は、各種異性体を含む。
前記アリール基としては、特に炭素数6〜14のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられる。これらの基は、各種異性体を含む。
本発明の反応操作工程において使用する金属アルコキシドの金属原子としては、例えば、理化学辞典第4版(岩波書店出版)に記載されている、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子等の1A族原子、マグネシウム原子、カルシウム原子等の2A族原子、アルミニウム等の3B族原子が挙げられる。
前記金属アルコキシドの具体例としては、例えば、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt-ブトキシド等の1A族金属アルコキシド;マグネシウムメトキシド、カルシウムメトキシド等の2A族金属アルコキシド;アルミニウムイソプロポキシド等の3B族金属アルコキシドが挙げられるが、好ましくはナトリウムアルコキシド、更に好ましくはナトリウムメトキシドが使用される。
前記金属アルコキシドの使用量は、脂肪族カルボン酸エステル類に対して、好ましくは1.0〜2.5倍モル、更に好ましくは1.1〜2.0倍モルである。これらの金属アルコキシドは、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
本発明の反応操作工程において使用するアセトニトリルの量は、脂肪族カルボン酸エステル類に対して、好ましくは1.1〜2.5倍モル、更に好ましくは1.2〜2.0倍モルである。
本発明の反応操作工程は、例えば、不活性ガス雰囲気にて、金属アルコキシド、脂肪族カルボン酸エステル類及びアセトニトリルを混合し、好ましくは50〜110℃、更に好ましくは60〜100℃に加熱して反応させる等の方法によって行われる。その際の反応圧力は、特に限定されない。
(B)層分離工程
本発明の層分離工程は、反応操作工程で得られたβ-ケトニトリルの金属塩を含む反応液に、有機溶媒と水を添加・混合して、有機層と水層に分離させて、β-ケトニトリルの金属塩が溶解している水層(水溶液)を得る工程である。
本発明の層分離工程において添加される有機溶媒としては、水層と有機層が層分離出来る有機溶媒ならば特に限定はされないが、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類が挙げられるが、好ましくはエーテル類、芳香族炭化水素類、更に好ましくは芳香族炭化水素類が使用される。これら有機溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良く、又、攪拌性を高めるために、低級アルコール類を層の分離を損なわない程度で加えても良い。
前記有機溶媒の添加量は、有機層と水層とが分離するような量であれば特に制限がないが、脂肪族カルボン酸エステル類に対して、好ましくは0.5〜30容量倍、更に好ましくは1〜10容量倍である。
前記水の添加量は、反応操作工程で得られたβ-ケトニトリルの金属塩を完全に溶解させるような量であれば特に制限されないが、脂肪族カルボン酸エステル類に対して、好ましくは1〜50容量倍、更に好ましくは2〜30容量倍である。
なお、本発明の層分離工程では、冷却に伴って反応液が固化するのを防ぐために、反応液に先に有機溶媒を加えて流動性を高め、次いで攪拌下で水を添加・混合するのが好ましい。その際の反応液の温度は、好ましくは10〜50℃、更に好ましくは20〜40℃である。
(C)中和・抽出工程
本発明の中和・抽出工程は、層分離工程によって得られたβ-ケトニトリルの金属塩を含む水溶液に酸を加えて中和し、更に有機溶媒で抽出して、遊離のβ-ケトニトリルを取得する工程である。
本発明の中和・抽出工程によって使用する酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、酢酸、塩化アンモニウム(又はその水溶液)等が挙げられるが、好ましくは塩酸、硫酸、塩化アンモニウム(又はその水溶液)が使用される。
前記酸の使用量は、水溶液のpH値を好ましくは6〜10にするような量であれば特に制限はない。なお、酸の添加は、水溶液の温度が、0〜50℃になるような範囲で行うのが好ましい。
本発明の中和・抽出工程において使用する有機溶媒としては、水溶液中(水層中)に含まれる遊離のβ-ケトニトリルを抽出出来る有機溶媒ならば特に限定はされないが、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類が挙げられるが、好ましくは芳香族炭化水素類、酢酸エステル、更に好ましくは芳香族炭化水素類が使用される。
前記有機溶媒の使用量としては、前記の中和で得られた水溶液中(水層中)の遊離のβ-ケトニトリルを抽出出来るような量であれば特に制限されない。
本発明の中和・抽出工程によって、遊離のβ-ケトニトリルが有機溶媒溶液として高純度で得られるが、これは、例えば、濃縮、蒸留、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等による一般的な方法によって更に分離・精製することが出来る。なお、β-ケトニトリルは熱に対して不安定であるため、蒸留で分離・精製する際には、薄膜式蒸留装置や流下膜式蒸留装置を用いるのが望ましい。
次ぎに、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
実施例1(3-シクロプロピル-3-オキソプロピオニトリルの合成)
攪拌装置、温度計、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた内容積1000mlのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、ナトリウムメトキシド81.0g(1.5mol)、シクロプロパンカルボン酸メチル100.0g(1.0mol)及びアセトニトリル61.5g(1.5mol)を加え、還流下(82℃)で6時間反応させた。
反応終了後、トルエン400mlを加えて室温まで冷却し、液温を30℃以下に保ちながら、攪拌下で水200mlをゆるやかに滴下し、得られた水層を分液した。
次いで、水層を氷浴中で冷却しながら、12mol/l塩酸135ml(1.6mol)を加えて水溶液のpHを7.0にした後、トルエン200mlで3回抽出し、得られたトルエン層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、トルエン層を高速液体クロマトグラフィーにより分析(絶対定量法)したところ、目的とする3-シクロプロピル-3-オキソプロピオニトリルが81.1g(反応収率74%)、副生成物である3-オキソブチロニトリルが0.45g(目的物に対して0.55質量%)、ピリミジン類が0.15g(目的物に対して0.18質量%)生成していた。その後、減圧下で濃縮し、帯黄色液体として純度98.2%(高速液体クロマトグラフィーによる分析値)の3-シクロプロピル-3-オキソプロピオニトリル80.2gが得られた(単離収率72%)。
3-シクロプロピル-3-オキソプロピオニトリルの物性値は、以下の通りであった。
EI-MS(m/e);69(M-CH2CN)、CI-MS(m/e);110(M+1)
IR(液膜法、cm-1);3200〜2900、2261、1713、1389、1073、953
1H-NMR(CDCl3、δ(ppm));1.05〜1.15(2H,m)、1.18〜1.25(2H,m)、2.06〜2.15(1H,m)、3.64(2H,s)
比較例1(3-シクロプロピル-3-オキソプロピオニトリルの合成:層分離工程なし)
実施例1と同様な装置に、窒素雰囲気下、ナトリウムメトキシド81.0g(1.5mol)、シクロプロパンカルボン酸メチル100.0g(1.0mol)及びアセトニトリル61.5g(1.5mol)を加え、還流下(82℃)で6時間反応させた。
反応終了後、トルエン400mlを加えて室温まで冷却し、液温を30℃以下に保ちながら、6mol/l塩酸280ml(1.6mol)及び水100mlを加えて水溶液のpHを2.0にした後、トルエン200mlで3回抽出し、得られたトルエン層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、トルエン層を高速液体クロマトグラフィーにより分析(絶対定量法)したところ、目的とする3-シクロプロピル-3-オキソプロピオニトリルが72.3g(反応収率66%)、副生成物である3-オキソブチロニトリルが0.60g(目的物に対して0.83質量%)、ピリミジン類が1.33g(目的物に対して1.8質量%)生成していた。その後、減圧下で濃縮し、帯黄色液体として純度93.6%(高速液体クロマトグラフィーによる分析値)の3-シクロプロピル-3-オキソプロピオニトリル77.2gが得られた(単離収率66%)。
実施例2(4-メチル-3-オキソペンタンニトリルの合成)
実施例1と同様な装置に、窒素雰囲気下、ナトリウムメトキシド81.0g(1.5mol)、イソ酪酸メチル102.1g(1.0mol)及びアセトニトリル61.5g(1.5mol)を加え、還流下(82℃)で6時間反応させた。
反応終了後、トルエン400mlを加えて室温まで冷却し、液温を35℃以下に保ちながら、攪拌下で水200mlをゆるやかに滴下し、得られた水層を分液した。
次いで、水層を氷浴中で冷却しながら、12mol/l塩酸95ml(1.1mol)を加えて水溶液のpHを7.7にした後、トルエン300mlで3回抽出し、得られたトルエン層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、減圧下で濃縮し、薄黄色液体として純度98.5%(ガスクロマトグラフィーによる面積百分率)の4-メチル-3-オキソペンタンニトリル78.9gが得られた(単離収率70%)。
4-メチル-3-オキソペンタンニトリルの物性値は、以下の通りであった。
EI-MS(m/e);71(M-CH2CN)、CI-MS(m/e);112(M+1)
IR(液膜法、cm-1);3700〜3100、3100〜2800、2263、1725、1468、1389、1306、1048、939
1H-NMR(CDCl3、δ(ppm));1.18(6H,d,J=6.8Hz)、2.84(1H,m)、3.94(2H,s)
実施例3(4,4-ジメチル-3-オキソペンタンニトリルの合成)
攪拌装置、温度計、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた内容積100mlのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、ナトリウムメトキシド8.10g(0.15mol)、ピバリン酸メチル11.62g(1.0mol)及びアセトニトリル6.15g(0.15mol)を加え、還流下(82℃)で6時間反応させた。
反応終了後、トルエン40mlを加えて室温まで冷却し、液温を35℃以下に保ちながら、攪拌下で水45mlをゆるやかに滴下し、得られた水層を分液した。
次いで、水層を氷浴中で冷却しながら、12mol/l塩酸9.5ml(0.11mol)を加えて水溶液のpHを7.7にした後、トルエン30mlで3回抽出し、得られたトルエン層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、トルエン層を高速液体クロマトグラフィーにより分析(絶対定量法)したところ、目的とする4,4-ジメチル-3-オキソペンタンニトリルが7.25g(反応収率58%)、副生成物である3-オキソブチロニトリルが0.01g(目的物に対して0.20質量%)、ピリミジン類が0.01g(目的物に対して0.14質量%)生成していた。その後、減圧下で濃縮し、薄黄色固体として純度98.4%(高速液体クロマトグラフィーによる面積百分率)の4,4-ジメチル-3-オキソペンタンニトリル7.21gが得られた(単離収率58%)。
4,4-ジメチル-3-オキソペンタンニトリルの物性値は、以下の通りであった。
EI-MS(m/e);57(M-COCH2CN)、CI-MS(m/e);126(M+1)
IR(液膜法、cm-1);3000〜2800、2266、1721、1485、1391、1325、1067、935
1H-NMR(CDCl3、δ(ppm));1.21(9H,s)、3.70(2H,s)
融点;67.8〜68.7℃
比較例2(4,4-ジメチル-3-オキソペンタンニトリルの合成:層分離工程なし)
実施例3と同様な装置に、窒素雰囲気下、ナトリウムメトキシド8.10g(0.15mol)、ピバリン酸メチル11.62g(0.10mol)及びアセトニトリル6.15g(0.15mol)を加え、還流下(82℃)で6時間反応させた。
反応終了後、トルエン40mlを加えて室温まで冷却し、液温を30℃以下に保ちながら、6mol/l塩酸28ml(0.16mol)及び水10mlを加えて水溶液のpHを2.0にした後、トルエン20mlで3回抽出し、得られたトルエン層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、トルエン層を高速液体クロマトグラフィーにより分析(絶対定量法)したところ、目的とする4,4-ジメチル-3-オキソペンタンニトリルが7.22g(反応収率58%)、副生成物である3-オキソブチロニトリルが0.04g(目的物に対して0.55質量%)、ピリミジン類が0.13g(目的物に対して1.8質量%)生成していた。その後、減圧下で濃縮し、薄黄色液体として純度94.6%(高速液体クロマトグラフィーによる面積百分率)の4,4-ジメチル-3-オキソペンタンニトリル7.63gが得られた(単離収率58%)。
本発明は、脂肪族カルボン酸エステル類からβ-ケトニトリル類を製造する方法に関する。β-ケトニトリル類は、医薬・農薬等の合成原料として有用な化合物である。

Claims (5)

  1. (A)金属アルコキシドの存在下、一般式(1)
    Figure 2006312644
    (式中、R1は、脂肪族基を示し、R2は、反応に関与しない基を示す。)
    で示される脂肪族カルボン酸エステル類とアセトニトリルを反応させて、一般式(2)
    Figure 2006312644
    (式中、R1は、前記と同義であり、Xは金属原子を示す。)
    で示されるβ-ケトニトリルの金属塩を合成する反応操作工程、
    (B)その後、反応液に有機溶媒と水を添加・混合して、有機層と水層に層分離させて、β-ケトニトリルの金属塩を含む水層(水溶液)を得る層分離工程、
    (C)次いで、層分離によって得られたβ-ケトニトリルの金属塩を含む水溶液に酸を加えて中和し、有機溶媒で抽出して遊離のβ-ケトニトリルを取得する中和・抽出工程、
    を含むことからなる、一般式(3)
    Figure 2006312644
    (式中、R1は、前記と同義である。)
    で示されるβ-ケトニトリル類の製法。
  2. 反応操作工程において、アセトニトリルの使用量が、脂肪族カルボン酸エステル類に対して1.1〜2.5倍モルである請求項1記載のβ-ケトニトリル類の製法。
  3. 反応操作工程において、反応温度が50〜110℃である請求項1記載のβ-ケトニトリル類の製法。
  4. 層分離工程において、先に有機溶媒を加えた後、攪拌しながら水を添加・混合する請求項1記載のβ-ケトニトリル類の製法。
  5. 中和・抽出工程において、酸を加えて水溶液のpHを6〜10にする請求項1記載のβ-ケトニトリル類の製法。
JP2006196722A 2000-12-22 2006-07-19 β−ケトニトリル類の製法 Pending JP2006312644A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006196722A JP2006312644A (ja) 2000-12-22 2006-07-19 β−ケトニトリル類の製法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000389776 2000-12-22
JP2006196722A JP2006312644A (ja) 2000-12-22 2006-07-19 β−ケトニトリル類の製法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001322935A Division JP4030289B2 (ja) 2000-12-22 2001-10-22 β−ケトニトリル類の製法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006312644A true JP2006312644A (ja) 2006-11-16

Family

ID=37534270

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006196722A Pending JP2006312644A (ja) 2000-12-22 2006-07-19 β−ケトニトリル類の製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006312644A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010520180A (ja) * 2007-03-02 2010-06-10 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア β−ケトニトリルの製造方法
JP2011148711A (ja) * 2010-01-19 2011-08-04 Nichia Corp 2−シアノ−1,3−ジケトネート塩の製造法及びイオン液体

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58167554A (ja) * 1982-03-16 1983-10-03 デグツサ・アクチエンゲゼルシヤフト 3−オキソニトリルの製法
JPH04368375A (ja) * 1991-06-17 1992-12-21 Otsuka Pharmaceut Factory Inc イソオキサゾール誘導体
JP2002249477A (ja) * 2000-12-22 2002-09-06 Ube Ind Ltd β−ケトニトリル類の製法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58167554A (ja) * 1982-03-16 1983-10-03 デグツサ・アクチエンゲゼルシヤフト 3−オキソニトリルの製法
JPH04368375A (ja) * 1991-06-17 1992-12-21 Otsuka Pharmaceut Factory Inc イソオキサゾール誘導体
JP2002249477A (ja) * 2000-12-22 2002-09-06 Ube Ind Ltd β−ケトニトリル類の製法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010520180A (ja) * 2007-03-02 2010-06-10 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア β−ケトニトリルの製造方法
JP2011148711A (ja) * 2010-01-19 2011-08-04 Nichia Corp 2−シアノ−1,3−ジケトネート塩の製造法及びイオン液体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4094654B1 (ja) アゾジカルボン酸ビス(2−アルコキシエチル)エステル化合物、その製造中間体
JP2006312644A (ja) β−ケトニトリル類の製法
JP4030289B2 (ja) β−ケトニトリル類の製法
JP5001144B2 (ja) 2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン−1−イル3−メチル−2−ブテノアートの製造方法
US10562834B2 (en) Process for preparing substituted crotonic acids
JP4030293B2 (ja) β−ケトニトリル類の製造法
EP1352898B1 (en) Process for producing beta-ketonitrile compound
JP4929717B2 (ja) N,n’−ジアルコキシ−n,n’−ジアルキルオキサミドの製法
JP5205971B2 (ja) テトラヒドロピラン化合物の製造方法
JPWO2005058859A1 (ja) 3−(4−テトラヒドロピラニル)−3−オキソプロパン酸アルキル化合物及び4−アシルテトラヒドロピランの製法
CN110003111B (zh) 一种2-芳基-3-醚基-3-吡唑丙烯腈类化合物的制备方法
JP2006312645A (ja) β−ケトニトリル類の製造法
JP3918468B2 (ja) 3,3−ビス(アルコキシカルボニル−メチルチオ)プロピオニトリル及びその製造方法
JP5731403B2 (ja) アルキル5−メチル−5−ヘキセノエートの製造方法
JP3486922B2 (ja) 酸アミドの製造法
JP3864657B2 (ja) 芳香族アクリロニトリルの製造法
JP4399996B2 (ja) 3−オキソニトリル類の製造法
JP2024509535A (ja) 4-オキソテトラヒドロフラン-2-カルボン酸アルキルの調製方法
JP4039026B2 (ja) 3−アミノ−2−チオフェンカルボン酸エステルの製法
KR100525358B1 (ko) 카르복실 벤조트리아졸 알킬에스테르의 제조방법
JP2024509536A (ja) 4-オキソテトラヒドロフラン-2-カルボン酸アルキルの調製方法
JPH07252183A (ja) フェノール誘導体の製造方法
JP2008120759A (ja) エーテル基を有するβ−ジケトン化合物の製造法
JP2002069038A (ja) トリフルオロメチル基含有ベンゾイルギ酸アルキル類、その製造方法およびトリフルオロメチル基含有フェニル酢酸の製造方法
CN106278968A (zh) 一种合成硫代氨基酸衍生物的方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100105

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100511