JP2002249477A - β−ケトニトリル類の製法 - Google Patents

β−ケトニトリル類の製法

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JP2002249477A
JP2002249477A JP2001322935A JP2001322935A JP2002249477A JP 2002249477 A JP2002249477 A JP 2002249477A JP 2001322935 A JP2001322935 A JP 2001322935A JP 2001322935 A JP2001322935 A JP 2001322935A JP 2002249477 A JP2002249477 A JP 2002249477A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、簡便な方法にて、入手が容易な脂
肪族カルボン酸エステル類から、高純度で収率良くβ-
ケトニトリル類を得る、工業的に好適なβ-ケトニトリ
ル類の製法を提供することを課題とする。 【解決手段】 本発明の課題は、(A)金属アルコキシ
ドの存在下、脂肪族カルボン酸エステルとアセトニトリ
ルを反応させて、β-ケトニトリルの金属塩を合成する
反応操作工程、(B)その後、反応液に有機溶媒と水を
添加・混合して、有機層と水層に層分離させて、β-ケ
トニトリルの金属塩を含む水層(水溶液)を得る層分離
工程、(C)次いで、層分離によって得られたβ-ケト
ニトリルの金属塩を含む水溶液に酸を加えて中和し、有
機溶媒で抽出して遊離のβ-ケトニトリルを取得する中
和・抽出工程、を含むことからなるβ-ケトニトリル類
の製法によって解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂肪族カルボン酸
エステル類からβ-ケトニトリル類を製造する方法に関
する。β-ケトニトリル類は、医薬・農薬等の合成原料
として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】従来、金属アルコキシドの存在下、脂肪
族カルボン酸エステル類とアセトニトリルを反応させて
β-ケトニトリル類を製造する方法としては、例えば、
ナトリウムエトキシド存在下、イソ酪酸エチルとアセト
ニトリルを反応させる方法(J.Am.Chem.Soc.,56,1171(1
934))やアルカリアルコラート存在下、酢酸エステルと
アセトニトリルを反応させる方法(特開平6-312966号公
報)が開示されている。しかしながら、これらの方法で
は、反応中に副生する3-オキソブチロニトリル、ピリミ
ジン類等を混入させず、高純度で収率良くβ-ケトニト
リル類を得る方法については何ら記載されていなかっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、即
ち、上記問題点を解決し、簡便な方法にて、入手が容易
な脂肪族カルボン酸エステル類から、高純度で収率良く
β-ケトニトリル類を得る、工業的に好適なβ-ケトニト
リル類の製法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、(A)
金属アルコキシドの存在下、一般式(1)
【0005】
【化4】
【0006】(式中、R1は、脂肪族基を示し、R2は、
反応に関与しない基を示す。)で示される脂肪族カルボ
ン酸エステル類とアセトニトリルを反応させて、一般式
(2)
【0007】
【化5】
【0008】(式中、R1は、前記と同義であり、Xは
金属原子を示す。)で示されるβ-ケトニトリルの金属
塩を合成する反応操作工程、(B)その後、反応液に有
機溶媒と水を添加・混合して、有機層と水層に層分離さ
せて、β-ケトニトリルの金属塩を含む水層(水溶液)
を得る層分離工程、(C)次いで、層分離によって得ら
れたβ-ケトニトリルの金属塩を含む水溶液に酸を加え
て中和し、有機溶媒で抽出して遊離のβ-ケトニトリル
を取得する中和・抽出工程、を含むことからなる、一般
式(3)
【0009】
【化6】
【0010】(式中、R1は、前記と同義である。)で
示されるβ-ケトニトリル類の製法によって解決され
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、(A)金属アルコキシ
ドの存在下、一般式(1)で示される脂肪族カルボン酸
エステルとアセトニトリルを反応させて、一般式(2)
で示されるβ-ケトニトリルの金属塩を合成する反応操
作工程、(B)その後、反応液に有機溶媒と水を添加・
混合して、有機層と水層に層分離させて、β-ケトニト
リルの金属塩を含む水層(水溶液)を得る層分離工程、
(C)次いで、層分離によって得られたβ-ケトニトリ
ルの金属塩を含む水溶液に酸を加えて中和し、有機溶媒
で抽出して遊離のβ-ケトニトリルを取得する中和・抽
出工程、を含むことからなる三つの工程によってβ-ケ
トニトリルを反応生成物として得るものである。
【0012】引き続き、前記の三つの工程を順次説明す
る。 (A)反応操作工程 本発明の反応操作工程は、金属アルコキシドの存在下、
一般式(1)で示される脂肪族カルボン酸エステルとア
セトニトリルを反応させて、一般式(2)で示されるβ
-ケトニトリルの金属塩を合成する工程である。
【0013】本発明の反応操作工程において使用する脂
肪族カルボン酸エステル類は、前記の一般式(1)で示
される。その一般式(1)において、R1は、脂肪族基
であり、具体的には、例えば、アルキル基、シクロアル
キル基又はアラルキル基を示す。
【0014】前記アルキル基としては、特に炭素数1〜
10のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が
挙げられる。これらの基は、各種異性体を含む。
【0015】前記シクロアルキル基としては、特に炭素
数3〜7のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シク
ロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シ
クロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。こ
れらの基は、各種異性体を含む。
【0016】前記アラルキル基としては、特に炭素数7
〜10のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル
基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチ
ル基等が挙げられる。これらの基は、各種異性体を含
む。
【0017】又、一般式(1)において、R2は、反応
に関与しない基、具体的には、炭化水素基であり、例え
ば、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又は
アリール基を示す。
【0018】前記アルキル基としては、特に炭素数1〜
10のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が
挙げられる。これらの基は、各種異性体を含む。
【0019】前記シクロアルキル基としては、特に炭素
数3〜7のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シク
ロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シ
クロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。こ
れらの基は、各種異性体を含む。
【0020】前記アラルキル基としては、特に炭素数7
〜10のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル
基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチ
ル基等が挙げられる。これらの基は、各種異性体を含
む。
【0021】前記アリール基としては、特に炭素数6〜
14のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ト
リル基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられる。
これらの基は、各種異性体を含む。
【0022】本発明の反応操作工程において使用する金
属アルコキシドの金属原子としては、例えば、理化学辞
典第4版(岩波書店出版)に記載されている、リチウム
原子、ナトリウム原子、カリウム原子等の1A族原子、
マグネシウム原子、カルシウム原子等の2A族原子、ア
ルミニウム等の3B族原子が挙げられる。
【0023】前記金属アルコキシドの具体例としては、
例えば、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、
カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム
エトキシド、カリウムt-ブトキシド等の1A族金属アル
コキシド;マグネシウムメトキシド、カルシウムメトキ
シド等の2A族金属アルコキシド;アルミニウムイソプ
ロポキシド等の3B族金属アルコキシドが挙げられる
が、好ましくはナトリウムアルコキシド、更に好ましく
はナトリウムメトキシドが使用される。
【0024】前記金属アルコキシドの使用量は、脂肪族
カルボン酸エステル類に対して、好ましくは1.0〜2.5倍
モル、更に好ましくは1.1〜2.0倍モルである。これらの
金属アルコキシドは、単独又は二種以上を混合して使用
しても良い。
【0025】本発明の反応操作工程において使用するア
セトニトリルの量は、脂肪族カルボン酸エステル類に対
して、好ましくは1.1〜2.5倍モル、更に好ましくは1.2
〜2.0倍モルである。
【0026】本発明の反応操作工程は、例えば、不活性
ガス雰囲気にて、金属アルコキシド、脂肪族カルボン酸
エステル類及びアセトニトリルを混合し、好ましくは50
〜110℃、更に好ましくは60〜100℃に加熱して反応させ
る等の方法によって行われる。その際の反応圧力は、特
に限定されない。
【0027】(B)層分離工程 本発明の層分離工程は、反応操作工程で得られたβ-ケ
トニトリルの金属塩を含む反応液に、有機溶媒と水を添
加・混合して、有機層と水層に分離させて、β-ケトニ
トリルの金属塩が溶解している水層(水溶液)を得る工
程である。
【0028】本発明の層分離工程において添加される有
機溶媒としては、水層と有機層が層分離出来る有機溶媒
ならば特に限定はされないが、例えば、ジエチルエーテ
ル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;ベンゼ
ン、トルエン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、
ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;酢
酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類が挙げられるが、
好ましくはエーテル類、芳香族炭化水素類、更に好まし
くは芳香族炭化水素類が使用される。これら有機溶媒
は、単独又は二種以上を混合して使用しても良く、又、
攪拌性を高めるために、低級アルコール類を層の分離を
損なわない程度で加えても良い。
【0029】前記有機溶媒の添加量は、有機層と水層と
が分離するような量であれば特に制限がないが、脂肪族
カルボン酸エステル類に対して、好ましくは0.5〜30容
量倍、更に好ましくは1〜10容量倍である。
【0030】前記水の添加量は、反応操作工程で得られ
たβ-ケトニトリルの金属塩を完全に溶解させるような
量であれば特に制限されないが、脂肪族カルボン酸エス
テル類に対して、好ましくは1〜50容量倍、更に好まし
くは2〜30容量倍である。
【0031】なお、本発明の層分離工程では、冷却に伴
って反応液が固化するのを防ぐために、反応液に先に有
機溶媒を加えて流動性を高め、次いで攪拌下で水を添加
・混合するのが好ましい。その際の反応液の温度は、好
ましくは10〜50℃、更に好ましくは20〜40℃である。
【0032】(C)中和・抽出工程 本発明の中和・抽出工程は、層分離工程によって得られ
たβ-ケトニトリルの金属塩を含む水溶液に酸を加えて
中和し、更に有機溶媒で抽出して、遊離のβ-ケトニト
リルを取得する工程である。
【0033】本発明の中和・抽出工程によって使用する
酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタ
ンスルホン酸、酢酸、塩化アンモニウム(又はその水溶
液)等が挙げられるが、好ましくは塩酸、硫酸、塩化ア
ンモニウム(又はその水溶液)が使用される。
【0034】前記酸の使用量は、水溶液のpH値を好まし
くは6〜10にするような量であれば特に制限はない。な
お、酸の添加は、水溶液の温度が、0〜50℃になるよう
な範囲で行うのが好ましい。
【0035】本発明の中和・抽出工程において使用する
有機溶媒としては、水溶液中(水層中)に含まれる遊離
のβ-ケトニトリルを抽出出来る有機溶媒ならば特に限
定はされないが、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香
族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル
類;ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化脂
肪族炭化水素類が挙げられるが、好ましくは芳香族炭化
水素類、酢酸エステル、更に好ましくは芳香族炭化水素
類が使用される。
【0036】前記有機溶媒の使用量としては、前記の中
和で得られた水溶液中(水層中)の遊離のβ-ケトニト
リルを抽出出来るような量であれば特に制限されない。
【0037】本発明の中和・抽出工程によって、遊離の
β-ケトニトリルが有機溶媒溶液として高純度で得られ
るが、これは、例えば、濃縮、蒸留、晶析、再結晶、カ
ラムクロマトグラフィー等による一般的な方法によって
更に分離・精製することが出来る。なお、β-ケトニト
リルは熱に対して不安定であるため、蒸留で分離・精製
する際には、薄膜式蒸留装置や流下膜式蒸留装置を用い
るのが望ましい。
【0038】
【実施例】次ぎに、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものでは
ない。
【0039】実施例1(3-シクロプロピル-3-オキソプ
ロピオニトリルの合成) 攪拌装置、温度計、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた内
容積1000mlのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、ナト
リウムメトキシド81.0g(1.5mol)、シクロプロパンカル
ボン酸メチル100.0g(1.0mol)及びアセトニトリル61.5g
(1.5mol)を加え、還流下(82℃)で6時間反応させた。反
応終了後、トルエン400mlを加えて室温まで冷却し、液
温を30℃以下に保ちながら、攪拌下で水200mlをゆるや
かに滴下し、得られた水層を分液した。次いで、水層を
氷浴中で冷却しながら、12mol/l塩酸135ml(1.6mol)を加
えて水溶液のpHを7.0にした後、トルエン200mlで3回抽
出し、得られたトルエン層を飽和炭酸水素ナトリウム水
溶液50mlで洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。
濾過後、トルエン層を高速液体クロマトグラフィーによ
り分析(絶対定量法)したところ、目的とする3-シクロ
プロピル-3-オキソプロピオニトリルが81.1g(反応収率7
4%)、副生成物である3-オキソブチロニトリルが0.45g
(目的物に対して0.55質量%)、ピリミジン類が0.15g(目
的物に対して0.18質量%)生成していた。その後、減圧
下で濃縮し、帯黄色液体として純度98.2%(高速液体ク
ロマトグラフィーによる分析値)の3-シクロプロピル-3
-オキソプロピオニトリル80.2gが得られた(単離収率72
%)。3-シクロプロピル-3-オキソプロピオニトリルの物
性値は、以下の通りであった。
【0040】 EI-MS(m/e);69(M-CH2CN)、CI-MS(m/e);110(M+1) IR(液膜法、cm-1);3200〜2900、2261、1713、1389、1073、9
531 H-NMR(CDCl3、δ(ppm));1.05〜1.15(2H,m)、1.18〜1.2
5(2H,m)、2.06〜2.15(1H,m)、3.64(2H,s)
【0041】比較例1(3-シクロプロピル-3-オキソプ
ロピオニトリルの合成:層分離工程なし) 実施例1と同様な装置に、窒素雰囲気下、ナトリウムメ
トキシド81.0g(1.5mol)、シクロプロパンカルボン酸メ
チル100.0g(1.0mol)及びアセトニトリル61.5g(1.5mol)
を加え、還流下(82℃)で6時間反応させた。反応終了
後、トルエン400mlを加えて室温まで冷却し、液温を30
℃以下に保ちながら、6mol/l塩酸280ml(1.6mol)及び水1
00mlを加えて水溶液のpHを2.0にした後、トルエン200ml
で3回抽出し、得られたトルエン層を飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液50mlで洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾
燥した。濾過後、トルエン層を高速液体クロマトグラフ
ィーにより分析(絶対定量法)したところ、目的とする
3-シクロプロピル-3-オキソプロピオニトリルが72.3g
(反応収率66%)、副生成物である3-オキソブチロニトリ
ルが0.60g(目的物に対して0.83質量%)、ピリミジン類
が1.33g(目的物に対して1.8質量%)生成していた。その
後、減圧下で濃縮し、帯黄色液体として純度93.6%(高
速液体クロマトグラフィーによる分析値)の3-シクロプ
ロピル-3-オキソプロピオニトリル77.2gが得られた(単
離収率66%)。
【0042】実施例2(4-メチル-3-オキソペンタンニ
トリルの合成) 実施例1と同様な装置に、窒素雰囲気下、ナトリウムメ
トキシド81.0g(1.5mol)、イソ酪酸メチル102.1g(1.0mo
l)及びアセトニトリル61.5g(1.5mol)を加え、還流下(82
℃)で6時間反応させた。反応終了後、トルエン400mlを
加えて室温まで冷却し、液温を35℃以下に保ちながら、
攪拌下で水200mlをゆるやかに滴下し、得られた水層を
分液した。次いで、水層を氷浴中で冷却しながら、12mo
l/l塩酸95ml(1.1mol)を加えて水溶液のpHを7.7にした
後、トルエン300mlで3回抽出し、得られたトルエン層
を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで洗浄した後、硫
酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、減圧下で濃縮し、
薄黄色液体として純度98.5%(ガスクロマトグラフィー
による面積百分率)の4-メチル-3-オキソペンタンニト
リル78.9gが得られた(単離収率70%)。4-メチル-3-オキ
ソペンタンニトリルの物性値は、以下の通りであった。
【0043】 EI-MS(m/e);71(M-CH2CN)、CI-MS(m/e);112(M+1) IR(液膜法、cm-1);3700〜3100、3100〜2800、2263、172
5、1468、1389、1306、1048、9391 H-NMR(CDCl3、δ(ppm));1.18(6H,d,J=6.8Hz)、2.84(1
H,m)、3.94(2H,s)
【0044】実施例3(4,4-ジメチル-3-オキソペンタ
ンニトリルの合成) 攪拌装置、温度計、滴下漏斗及び還流冷却器を備えた内
容積100mlのガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、ナト
リウムメトキシド8.10g(0.15mol)、ピバリン酸メチル1
1.62g(1.0mol)及びアセトニトリル6.15g(0.15mol)を加
え、還流下(82℃)で6時間反応させた。反応終了後、ト
ルエン40mlを加えて室温まで冷却し、液温を35℃以下に
保ちながら、攪拌下で水45mlをゆるやかに滴下し、得ら
れた水層を分液した。次いで、水層を氷浴中で冷却しな
がら、12mol/l塩酸9.5ml(0.11mol)を加えて水溶液のpH
を7.7にした後、トルエン30mlで3回抽出し、得られた
トルエン層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで洗浄
した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、トルエ
ン層を高速液体クロマトグラフィーにより分析(絶対定
量法)したところ、目的とする4,4-ジメチル-3-オキソ
ペンタンニトリルが7.25g(反応収率58%)、副生成物で
ある3-オキソブチロニトリルが0.01g(目的物に対して0.
20質量%)、ピリミジン類が0.01g(目的物に対して0.14
質量%)生成していた。その後、減圧下で濃縮し、薄黄
色固体として純度98.4%(高速液体クロマトグラフィー
による面積百分率)の4,4-ジメチル-3-オキソペンタン
ニトリル7.21gが得られた(単離収率58%)。4,4-ジメチ
ル-3-オキソペンタンニトリルの物性値は、以下の通り
であった。
【0045】 EI-MS(m/e);57(M-COCH2CN)、CI-MS(m/e);126(M+1) IR(液膜法、cm-1);3000〜2800、2266、1721、1485、13
91、1325、1067、9351 H-NMR(CDCl3、δ(ppm));1.21(9H,s)、3.70(2H,s) 融点;67.8〜68.7℃
【0046】比較例2(4,4-ジメチル-3-オキソペンタ
ンニトリルの合成:層分離工程なし) 実施例3と同様な装置に、窒素雰囲気下、ナトリウムメ
トキシド8.10g(0.15mol)、ピバリン酸メチル11.62g(0.1
0mol)及びアセトニトリル6.15g(0.15mol)を加え、還流
下(82℃)で6時間反応させた。反応終了後、トルエン40m
lを加えて室温まで冷却し、液温を30℃以下に保ちなが
ら、6mol/l塩酸28ml(0.16mol)及び水10mlを加えて水溶
液のpHを2.0にした後、トルエン20mlで3回抽出し、得
られたトルエン層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50ml
で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、
トルエン層を高速液体クロマトグラフィーにより分析
(絶対定量法)したところ、目的とする4,4-ジメチル-3
-オキソペンタンニトリルが7.22g(反応収率58%)、副生
成物である3-オキソブチロニトリルが0.04g(目的物に対
して0.55質量%)、ピリミジン類が0.13g(目的物に対し
て1.8質量%)生成していた。その後、減圧下で濃縮し、
薄黄色液体として純度94.6%(高速液体クロマトグラフ
ィーによる面積百分率)の4,4-ジメチル-3-オキソペン
タンニトリル7.63gが得られた(単離収率58%)。
【0047】
【発明の効果】本発明により、簡便な方法にて、入手が
容易な脂肪族カルボン酸エステル類から、高純度で収率
良くβ-ケトニトリル類を得る、工業的に好適なβ-ケト
ニトリル類の製法を提供することが出来る。
フロントページの続き (72)発明者 中村 明 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内 (72)発明者 原田 崇司 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC44 AC54 AD16 BA02 BA32 BB11 BB12 BB17 BB46 BC10 BC16 BC31 BC34 QN30

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)金属アルコキシドの存在下、一般式
    (1) 【化1】 (式中、R1は、脂肪族基を示し、R2は、反応に関与し
    ない基を示す。)で示される脂肪族カルボン酸エステル
    類とアセトニトリルを反応させて、一般式(2) 【化2】 (式中、R1は、前記と同義であり、Xは金属原子を示
    す。)で示されるβ-ケトニトリルの金属塩を合成する
    反応操作工程、(B)その後、反応液に有機溶媒と水を
    添加・混合して、有機層と水層に層分離させて、β-ケ
    トニトリルの金属塩を含む水層(水溶液)を得る層分離
    工程、(C)次いで、層分離によって得られたβ-ケト
    ニトリルの金属塩を含む水溶液に酸を加えて中和し、有
    機溶媒で抽出して遊離のβ-ケトニトリルを取得する中
    和・抽出工程、を含むことからなる、一般式(3) 【化3】 (式中、R1は、前記と同義である。)で示されるβ-ケ
    トニトリル類の製法。
  2. 【請求項2】反応操作工程において、アセトニトリルの
    使用量が、脂肪族カルボン酸エステル類に対して1.1〜
    2.5倍モルである請求項1記載のβ-ケトニトリル類の製
    法。
  3. 【請求項3】反応操作工程において、反応温度が50〜11
    0℃である請求項1記載のβ-ケトニトリル類の製法。
  4. 【請求項4】層分離工程において、先に有機溶媒を加え
    た後、攪拌しながら水を添加・混合する請求項1記載の
    β-ケトニトリル類の製法。
  5. 【請求項5】中和・抽出工程において、酸を加えて反応
    液のpHを6〜10にする請求項1記載のβ-ケトニトリル類
    の製法。
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