JP2004010527A - 2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類の製造方法 - Google Patents
2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004010527A JP2004010527A JP2002165012A JP2002165012A JP2004010527A JP 2004010527 A JP2004010527 A JP 2004010527A JP 2002165012 A JP2002165012 A JP 2002165012A JP 2002165012 A JP2002165012 A JP 2002165012A JP 2004010527 A JP2004010527 A JP 2004010527A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- trifluorobenzoyl
- mol
- chloride
- malonate
- acid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
【課題】2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド類から一般的なGL釜を用いて、ワンポットで2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキル類を工業的に安全で有利に製造する製造方法の提供。
【解決手段】マロン酸モノアルキルアルカリ金属塩を有機塩基存在下、マグネシウムハライドと反応させて得られるマロン酸モノアルキルマグネシウム塩に、2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド類を反応させ、次に酸を加えて酸性とし、脱炭酸させる
【解決手段】マロン酸モノアルキルアルカリ金属塩を有機塩基存在下、マグネシウムハライドと反応させて得られるマロン酸モノアルキルマグネシウム塩に、2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド類を反応させ、次に酸を加えて酸性とし、脱炭酸させる
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合成抗菌剤の中間体として重要な2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類の工業的に有利な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルは、エーテル中、マロン酸ジエチルとマグネシウムエトキシドから得られるマロン酸ジエチルマグネシウムエトキシド塩に2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリドを反応せしめ、酸分解、抽出、後処理して2,4,5−トリフルオロベンゾイルマロン酸ジエチルとして、粗生成物を得、これをジオキサン中、p−トルエンスルホン酸触媒下に還流させて、44.2%の収率で得る方法(特開昭60−72,885号公報)、トルエン中、マロン酸ジエチルマグネシウムエトキシド塩に2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド又はフルオリドを反応させ、同様に処理して2,4,5−トリフルオロベンゾイルマロン酸ジエチルの粗生成物を得、これを水中、p−トルエンスルホン酸(特開昭61−1,682号公報)触媒下に還流、又は、硫酸(米国特許4,940,710号公報)触媒下で部分加水分解、脱炭酸させて得る方法が知られている。
【0003】また、THF中、トリエチルアミン存在下、アセト酢酸エチルマグネシウムエノラートに、2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリドを反応させ、酸で分解して、α−アセチル−2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルとし、10分以内に素早くアンモニア水と処理して脱アセチルを行い、84%の収率で得る方法(特開平4−264,054号公報)も知られている。
【0004】また、THF中、マロン酸モノエチルを−65℃以下で2倍モルのn−ブチルリチウムを反応させ、マロン酸モノエチル二リチウム塩とし、(W.Wierenga and H.I.Skulnick, J. Org. Chem.,44,310 (1979))これに、−65℃以下で2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリドを反応させ、酸分解、脱炭酸、エーテル抽出、後処理して得る方法(米国特許4,880,814号公報)が知られている。又、トリエチルアミン存在下に、マロン酸モノエチルカリウム塩に塩化マグネシウムを反応させて得られるマロン酸モノエチルマグネシウム塩(R.J.Clay,et al.,Synthesis,1993,290)に、2,4,5−トリフルオロベンゾイルフルオリドを反応させ、酸分解、抽出、後処理して、高収率で得る方法(特開平8−291,109号公報)が報告されている。
【0005】しかし、この方法は、ベンゾイルフルオリドを使用している為に、酸分解するとHFを遊離し、ワンポットで反応を行なう場合、ハステロイ等、特殊な材質の反応釜を必要とし、一般的なGL反応釜では実施できない。
【0006】又、トルエン中、マロン酸ジエチルマグネシウムエトキシド塩に3−ブロモ−2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド又は3−クロロ−2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリドを反応させ、3−ブロモ又は3−クロロ−2,4,5−トリフルオロベンゾイルマロン酸ジエチルとし、これを水中、p−トルエンスルホン酸触媒下に部分加水分解、脱炭酸すると相当するベンゾイル酢酸エチルが56%程度の収率で得られることが知られている。(特開昭62−59,263号公報又は持開昭61−205,240号公報)
【0007】以上の様に、マロン酸ジエチル法は中間体のベンゾイルマロン酸ジエチルを粗生成物として得、これを水中、又はジオキサン中、p−トルエンスルホン酸又は硫酸触媒下で部分加水分解、脱炭酸するが、攪拌条件等によって部分加水分解が不十分だったり、更に、加水分解が進み脱炭酸してアセトフェノン体を副生する為に、収率が40−60%程度と低かった。
【0008】アセト酢酸エチル法は縮合後、副生物の生成を抑制する為に短時間内にアンモニア水で脱アセチルする必要があり、スケールが大きくなった場合に問題がある。
【0009】マロン酸モノエチル法は−65℃以下で2倍モルのn−ブチルリチウムでリチオ化を行い、−65℃以下でベンゾイル化を行なうので低温反応釜が必要だったり、マロン酸モノエチルカリウム塩法はベンゾイルフルオリドを使用する為、容積効率が低く、酸分解するとHFを遊離する等、工業的に効率良く得る為には間題が多かった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類を2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド類から工業的に安全に製造できる有利な製造法を提供することである。
【0011】
【課題を解決する為の手段】本発明者らは、2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類を工業的に安全で有利に製造できる方法を提供することを目的とし、鋭意検討した結果、THF中、マロン酸モノアルキルアルカリ金属塩を有機塩基存在下、マグネシウムハライドと反応させて得られるマロン酸モノアルキルマグネシウム塩に、2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド類を反応させ、次に、酸で脱炭酸させると2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類が一般的なGL反応釜でワンポットで高収率で得られることを見いだした。
【0012】すなわち本発明は一般式
【0013】
【化4】
(式中、Rは炭素数が1から4のアルキル基、MはLi、Na、Kを表す)で表されるマロン酸モノアルキルアルカリ金属塩を有機塩基存在下、マグネシウムハライドと反応させて得られるマロン酸モノアルキルマグネシウム塩に、一般式
【0014】
【化5】
(式中、XはH、Br、Cl、OCH3を表す。)で表される2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド類を反応させ、次に、酸で脱炭酸迄をワンポットで行なうことを特徴とする一般式
【0015】
【化6】
(式中、XはH、Br、Cl、OCH3、Rは炭素数が1から4のアルキル基を表す。)で表される2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類の製造方法を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明におけるマロン酸モノアルキルアルカリ金属塩としては一般式で表される化合物が用いられ、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、アルカリ金属としては、Li、Na、K等を挙げられるが、工業的には安定で入手容易なマロン酸モノエチルカリウム塩が好ましい。
【0017】マグネシウムハライドとしては無水塩化マグネシウム、無水臭化マグネシウム等を挙げられるが、工業的には安価な粉末状無水塩化マグネシウムが好ましい。
その使用量はマロン酸モノアルキルアルカリ金属塩、1モルに対し、0.5−1.5モル、好ましくは、1.0−1.3モルの範囲である。
【0018】有機塩基としては脂肪族三級アミン、芳香族三級アミン等が挙げられ、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロビルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン等を挙げられるが、工業的には入手容易なトリエチルアミンが好ましい。その使用量はマロン酸モノアルキルアルカリ金属塩、1モルに対し、1.0−4.0モル、好ましくは、1.0−2.6モルの範囲である。
【0019】本発明における溶媒としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシメタン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等の酢酸エステル溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、DMF、DMI、NMP等の非プロトン性極性溶媒が挙げられるが、安全性と回収を考慮すると工業的にはテトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン又は、これらの混合物が好ましい。溶媒の使用量はマロン酸モノアルキルアルカリ金属塩、1モルに対し、0.8−2L、好ましくは、1.0−1.5Lの範囲である。
【0020】本発明における反応温度は10−50℃が好ましく、反応時間は温度、使用溶媒等によって異なるが、通常、4−8時間で達せられる。
【0021】この様にして得られたマロン酸モノアルキルマグネシウム塩溶液中に、2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド類を反応させ、次に、酸を加えて酸性にすると脱炭酸が起こり、目的とする2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類を与える。
【0022】本発明におけるベンゾイルクロリドとしては、一般式で表される化合物が用いられ、具体的には、2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド、3−ブロモ−2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド、3−クロロ−2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド、及び3−メトキシ−2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド挙げられる。
【0023】その使用量はマロン酸モノアルキルアルカリ金属塩、1モルに対し、0.5−1.0モル、好ましくは、0.6−0.9モルの範囲である。本発明における反応温度は−10−30℃が好ましく、反応時間は通常、4−20時間で達せられる。
【0024】反応混合物は、次に、希塩酸又は希硫酸により酸性にすると脱炭酸が起こり、通常の抽出、分液、洗浄、濃縮することにより、2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキル類が高収率で得られる。このものは精製することなく次工程に使用することが出来るが、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、トルエン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類、IPA等のアルコール類から、又は、これらの混合溶媒から再結晶することにより、無色の高純度晶を良い収率で単離することが出来る。
【0025】
【実施例】以下に、本発明の実施例及び比較例を説明するが、これらに限定されるものではない。
【0026】[例1] 攪拌機、温度計、塩化カルシウム菅をつけた冷却器、及び滴下ロートを備えた1L4つロフラスコ中に、マロン酸モノエチルカリウム塩42.0g(0.247モル)及びTHF240mlを仕込み、冷却しながら10−15℃でトリエチルアミン58.2g(0.576モル)を滴下し、次に、無水塩化マグネシウム(含量97%)28.3g(0.288モル)を加えた。20−40℃で6時間攪拌し、マロン酸モノエチルマグネシウム塩とした後に冷却し、10−15℃で2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド40g(0.205モル)を20分で滴下し、室温で10時間反応させた。次に10−15℃で4N塩酸400mlを滴下し、塩化メチレン250mlを加えて抽出し、有機層と水層を分離した。有機層は4N塩酸70ml、5%炭酸水素ナトリウム120ml及び飽和食塩水100mlで順次洗浄した。塩化メチレンを留去すると、淡黄色の2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルが49.1g(収率97%)得られた。純度:99.3%(HPLC)。これを110mlのヘキサンから再結晶を行い、減圧下で乾燥すると2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルが白色結晶として43.0g(収率85%)得られた。 融点:61−2℃,純度:99.8%(HPLC)。このものはNMRの測定より、その構造を確認し、ケト・エノール互変異性体の混合物であることが解った。
【0027】1HNMRδ (CDCl3,300MHz):1.27(3H×0.16,t,J=7.0Hz),1.37(3H×0.84,t,J=7.0Hz),3.95(2H×0.16,d,J=3.6Hz),4.20(2H×0.16,q,J=7.0Hz),4.28(2H×0.84,q,J=7.0Hz),5.84(1H×0.84,s),6.97−7.27(1H,m),7.70−7.86(1H,m),12.72(1H×0.84,s)
【0028】[例2] 攪拌機、温度計、塩化カルシウム菅をつけた冷却器、及び滴下ロートを備えた500ml4つ口フラスコ中に、マロン酸モノエチルカリウム塩21g(0.123モル)及びアセトニトリル160mlを仕込み、冷却しながら10−15℃でトリエチルアミン29.1g(0.288モル)を滴下し、無水塩化マグネシウム(含量97%)14.2g(0.145モル)を加えた。20−40℃で6時間攪拌し、マロン酸モノエチルマグネシウム塩とした後に冷却し、10−15℃で2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド20g(0.103モル)を20分で滴下し、室温で10時間反応させた。減圧下にアセトニトリルを留去し、塩化メチレン150mlを加え、次に10℃以下で4N塩酸200mlを滴下し、10分間攪拌した。分液した水層は塩化メチレン50mlで抽出後、有機層と合わせ、4N塩酸40ml、5%炭酸水素ナトリウム60ml及び飽和食塩水50mlで順次洗浄した。塩化メチレンを常圧で回収後減圧濃縮すると、淡橙色の2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルが24.9g(収率98.1%)得られた。純度:99.1%(HPLC)。
【0029】[例3] 攪拌機、温度計、塩化カルシウム管をつけた冷却器、及び滴下ロートを備えた1L4つ口フラスコ中に、マロン酸モノエチルカリウム塩32.7g(0.192モル)及びTHF200mlを仕込み、冷却しながら10−15℃でトリエチルアミン47.0 g(0.464モル)を滴下し、次に、無水塩化マグネシウム(含量97%)22.0g(0.224モル)を加えた。20−30℃で8時間攪拌し、マロン酸モノエチルマグネシウム塩とした後に冷却し、10−13℃で3−ブロモ−2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド43.8g(0.16モル)を25分で滴下し、室温で12時間反応させた。次に10℃以下で4N塩酸300mlを滴下し、トルエン360mlを加えて抽出した。有機層を分離し、有機層は4N塩酸100ml、5%炭酸水素ナトリウム150ml及び飽和食塩水150mlで順次洗浄した。減圧下にトルエンを留去すると、淡橙色の3−ブロモ−2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルが51.1g(収率98.2%)得られた。純度:99.1%(HPLC)。これを150mlのヘキサンから再結晶し、減圧下で乾燥すると3−ブロモ−2,4.5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルが白色結晶として45.4g(収率87.2%)得られた。融点:84−5℃,純度:99.8%(HPLC)。このものはNMRの測定より、その構造を確認し、ケト・エノール互変異性体の混合物であることが解った。
【0030】1HNMRδ(CDCl3,300MHz):1.27(3H×0.26,t,J=7.0Hz),1.37(3H×0.74,t,J=7.0Hz),3.97(2H×0.26,d,J=4.1Hz),4.23(2H×0.26,q,J=7.0Hz),4.28(2H×0.74,q,J=7.0Hz),5.85(1H×0.74,s),7.68−7.85(1H,m),12.73(1H×0.74,s)
【0031】
【参考例】攪拌機、温度計、均圧管付き滴下ロート、を備えた1L耐圧硝子反応器中に、四塩化炭素194ml(2.0モル)及び無水塩化アルミニウム53.3g(0.4モル)を仕込んだ。加熱攪拌しながら加圧下、120−125℃で3,4−ジフルオロクロロベンゼン29.7g(0.2モル)を90分で滴下し、10分間反応させた。滴下すると直ちに反応し塩酸ガスを発生し、最大0.3MPa迄昇圧した。冷却後、塩酸ガスをパージした後、反応混合物を300mlの氷水中に注ぎ、有機層を分離した。有機層を100mlの水で洗浄後、GC分析すると、2−クロロ−4,5−ジフルオロフェニルベンゾトリクロリド92%、及びビス(2−クロロ−4,5−ジフルオロフェニル)ジクロロメタン8%からなる四塩化炭素溶液であることがわかった。常圧下で(内温130℃迄)四塩化炭素を回収後、残液(53g)を攪拌機、温度計、滴下ロート及び還流冷却器をつけた100mlフラスコ中に移した。アスピレーター減圧下に少量の低沸物を留去後、120℃で塩化第二鉄粉未50mgを加え、125−130℃で水3.78g(0.21モル)を60分で滴下した。その後、同温度で1時間反応させ、冷却後、不溶物(1.2g)を濾別し、濾液を減圧蒸留すると2−クロロ−4,5−ジフルオロベンゾイルクロリドが36.5g(収率86.5%)得られた。沸点:103−5℃/30mmHg,純度:99.6%(GC)。攪拌機、温度計、蒸留留去装置及び滴下ロートをつけた200ml4つ口フラスコ中にスルホラン100ml及びスプレー乾燥KF25.6g(0.44モル)を仕込み.150℃に加熱しアスピレーター減圧下に約10mlの含水スルホランを留出させた。次に150℃で2−クロロ−4,5−ジフルオロベンゾイルクロリド35.9g(0.17モル)を10分で滴下し、その後150℃で1時間、190−200℃で3時間反応させると一部留出し、更に微減圧下に留出させ、120℃/80mmHg迄の留分27.3g(GC88.3%)得られた。これを精製蒸留すると2,4,5−トリフルオロベンゾイルフルオリドが20.8g(収率68.7%)得られた。沸点:66−8℃/29mmHg,純度:99.5%(GC)。
【0032】
【比較例】攪拌機、温度計、塩化カルシウム管をつけた冷却器及び滴下ロートを備えた1L4つ口フラスコ中に、マロン酸モノエチルカリウム塩20.4g(0.12モル)及び酢酸エチル200mlを仕込み、冷却しながら10℃以下でトリエチルアミン29.1g(0.29モル)を滴下し、次に、無水塩化マグネシウム(含量97%)13.7g(0.14モル)を加えた。35−40℃で6時間攪拌し、マロン酸モノエチルマグネシウム塩とした後に冷却し、10℃以下で2,4,5−トリフルオロベンゾイルフルオリド17.8g(0.1モル)を滴下し、室温で12時間反応させた。次に25℃以下で12%塩酸300mlを滴下し、トルエン200mlを加えて抽出し、有機層と水層を分離した。トルエン層は12%塩酸60ml、5%炭酸水素ナトリウム80ml及び飽和食塩水80mlで順次洗浄した。トルエンを減圧濃縮すると橙色の2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルが23.6g(収率96.0%)得られた。純度:98.9%(HPLC)。分離した水層中に、杵型GL試験片を一夜浸けておいたところ、GL試験片が腐食され、材質表面の光沢が無くなっていた。
【0033】
【発明の効果】本発明により、一般的なGL反応釜を用いてワンポットで2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド類から2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類が得られる。本発明方法は、副生物の生成やHFの発生などによる収率の低下や反応容器の腐食などの問題を生じず、工業的に安全かつ有利な方法である。
【発明の属する技術分野】本発明は、合成抗菌剤の中間体として重要な2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類の工業的に有利な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルは、エーテル中、マロン酸ジエチルとマグネシウムエトキシドから得られるマロン酸ジエチルマグネシウムエトキシド塩に2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリドを反応せしめ、酸分解、抽出、後処理して2,4,5−トリフルオロベンゾイルマロン酸ジエチルとして、粗生成物を得、これをジオキサン中、p−トルエンスルホン酸触媒下に還流させて、44.2%の収率で得る方法(特開昭60−72,885号公報)、トルエン中、マロン酸ジエチルマグネシウムエトキシド塩に2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド又はフルオリドを反応させ、同様に処理して2,4,5−トリフルオロベンゾイルマロン酸ジエチルの粗生成物を得、これを水中、p−トルエンスルホン酸(特開昭61−1,682号公報)触媒下に還流、又は、硫酸(米国特許4,940,710号公報)触媒下で部分加水分解、脱炭酸させて得る方法が知られている。
【0003】また、THF中、トリエチルアミン存在下、アセト酢酸エチルマグネシウムエノラートに、2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリドを反応させ、酸で分解して、α−アセチル−2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルとし、10分以内に素早くアンモニア水と処理して脱アセチルを行い、84%の収率で得る方法(特開平4−264,054号公報)も知られている。
【0004】また、THF中、マロン酸モノエチルを−65℃以下で2倍モルのn−ブチルリチウムを反応させ、マロン酸モノエチル二リチウム塩とし、(W.Wierenga and H.I.Skulnick, J. Org. Chem.,44,310 (1979))これに、−65℃以下で2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリドを反応させ、酸分解、脱炭酸、エーテル抽出、後処理して得る方法(米国特許4,880,814号公報)が知られている。又、トリエチルアミン存在下に、マロン酸モノエチルカリウム塩に塩化マグネシウムを反応させて得られるマロン酸モノエチルマグネシウム塩(R.J.Clay,et al.,Synthesis,1993,290)に、2,4,5−トリフルオロベンゾイルフルオリドを反応させ、酸分解、抽出、後処理して、高収率で得る方法(特開平8−291,109号公報)が報告されている。
【0005】しかし、この方法は、ベンゾイルフルオリドを使用している為に、酸分解するとHFを遊離し、ワンポットで反応を行なう場合、ハステロイ等、特殊な材質の反応釜を必要とし、一般的なGL反応釜では実施できない。
【0006】又、トルエン中、マロン酸ジエチルマグネシウムエトキシド塩に3−ブロモ−2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド又は3−クロロ−2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリドを反応させ、3−ブロモ又は3−クロロ−2,4,5−トリフルオロベンゾイルマロン酸ジエチルとし、これを水中、p−トルエンスルホン酸触媒下に部分加水分解、脱炭酸すると相当するベンゾイル酢酸エチルが56%程度の収率で得られることが知られている。(特開昭62−59,263号公報又は持開昭61−205,240号公報)
【0007】以上の様に、マロン酸ジエチル法は中間体のベンゾイルマロン酸ジエチルを粗生成物として得、これを水中、又はジオキサン中、p−トルエンスルホン酸又は硫酸触媒下で部分加水分解、脱炭酸するが、攪拌条件等によって部分加水分解が不十分だったり、更に、加水分解が進み脱炭酸してアセトフェノン体を副生する為に、収率が40−60%程度と低かった。
【0008】アセト酢酸エチル法は縮合後、副生物の生成を抑制する為に短時間内にアンモニア水で脱アセチルする必要があり、スケールが大きくなった場合に問題がある。
【0009】マロン酸モノエチル法は−65℃以下で2倍モルのn−ブチルリチウムでリチオ化を行い、−65℃以下でベンゾイル化を行なうので低温反応釜が必要だったり、マロン酸モノエチルカリウム塩法はベンゾイルフルオリドを使用する為、容積効率が低く、酸分解するとHFを遊離する等、工業的に効率良く得る為には間題が多かった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類を2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド類から工業的に安全に製造できる有利な製造法を提供することである。
【0011】
【課題を解決する為の手段】本発明者らは、2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類を工業的に安全で有利に製造できる方法を提供することを目的とし、鋭意検討した結果、THF中、マロン酸モノアルキルアルカリ金属塩を有機塩基存在下、マグネシウムハライドと反応させて得られるマロン酸モノアルキルマグネシウム塩に、2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド類を反応させ、次に、酸で脱炭酸させると2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類が一般的なGL反応釜でワンポットで高収率で得られることを見いだした。
【0012】すなわち本発明は一般式
【0013】
【化4】
(式中、Rは炭素数が1から4のアルキル基、MはLi、Na、Kを表す)で表されるマロン酸モノアルキルアルカリ金属塩を有機塩基存在下、マグネシウムハライドと反応させて得られるマロン酸モノアルキルマグネシウム塩に、一般式
【0014】
【化5】
(式中、XはH、Br、Cl、OCH3を表す。)で表される2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド類を反応させ、次に、酸で脱炭酸迄をワンポットで行なうことを特徴とする一般式
【0015】
【化6】
(式中、XはH、Br、Cl、OCH3、Rは炭素数が1から4のアルキル基を表す。)で表される2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類の製造方法を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明におけるマロン酸モノアルキルアルカリ金属塩としては一般式で表される化合物が用いられ、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、アルカリ金属としては、Li、Na、K等を挙げられるが、工業的には安定で入手容易なマロン酸モノエチルカリウム塩が好ましい。
【0017】マグネシウムハライドとしては無水塩化マグネシウム、無水臭化マグネシウム等を挙げられるが、工業的には安価な粉末状無水塩化マグネシウムが好ましい。
その使用量はマロン酸モノアルキルアルカリ金属塩、1モルに対し、0.5−1.5モル、好ましくは、1.0−1.3モルの範囲である。
【0018】有機塩基としては脂肪族三級アミン、芳香族三級アミン等が挙げられ、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロビルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン等を挙げられるが、工業的には入手容易なトリエチルアミンが好ましい。その使用量はマロン酸モノアルキルアルカリ金属塩、1モルに対し、1.0−4.0モル、好ましくは、1.0−2.6モルの範囲である。
【0019】本発明における溶媒としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシメタン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等の酢酸エステル溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、DMF、DMI、NMP等の非プロトン性極性溶媒が挙げられるが、安全性と回収を考慮すると工業的にはテトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン又は、これらの混合物が好ましい。溶媒の使用量はマロン酸モノアルキルアルカリ金属塩、1モルに対し、0.8−2L、好ましくは、1.0−1.5Lの範囲である。
【0020】本発明における反応温度は10−50℃が好ましく、反応時間は温度、使用溶媒等によって異なるが、通常、4−8時間で達せられる。
【0021】この様にして得られたマロン酸モノアルキルマグネシウム塩溶液中に、2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド類を反応させ、次に、酸を加えて酸性にすると脱炭酸が起こり、目的とする2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類を与える。
【0022】本発明におけるベンゾイルクロリドとしては、一般式で表される化合物が用いられ、具体的には、2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド、3−ブロモ−2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド、3−クロロ−2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド、及び3−メトキシ−2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド挙げられる。
【0023】その使用量はマロン酸モノアルキルアルカリ金属塩、1モルに対し、0.5−1.0モル、好ましくは、0.6−0.9モルの範囲である。本発明における反応温度は−10−30℃が好ましく、反応時間は通常、4−20時間で達せられる。
【0024】反応混合物は、次に、希塩酸又は希硫酸により酸性にすると脱炭酸が起こり、通常の抽出、分液、洗浄、濃縮することにより、2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキル類が高収率で得られる。このものは精製することなく次工程に使用することが出来るが、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、トルエン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類、IPA等のアルコール類から、又は、これらの混合溶媒から再結晶することにより、無色の高純度晶を良い収率で単離することが出来る。
【0025】
【実施例】以下に、本発明の実施例及び比較例を説明するが、これらに限定されるものではない。
【0026】[例1] 攪拌機、温度計、塩化カルシウム菅をつけた冷却器、及び滴下ロートを備えた1L4つロフラスコ中に、マロン酸モノエチルカリウム塩42.0g(0.247モル)及びTHF240mlを仕込み、冷却しながら10−15℃でトリエチルアミン58.2g(0.576モル)を滴下し、次に、無水塩化マグネシウム(含量97%)28.3g(0.288モル)を加えた。20−40℃で6時間攪拌し、マロン酸モノエチルマグネシウム塩とした後に冷却し、10−15℃で2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド40g(0.205モル)を20分で滴下し、室温で10時間反応させた。次に10−15℃で4N塩酸400mlを滴下し、塩化メチレン250mlを加えて抽出し、有機層と水層を分離した。有機層は4N塩酸70ml、5%炭酸水素ナトリウム120ml及び飽和食塩水100mlで順次洗浄した。塩化メチレンを留去すると、淡黄色の2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルが49.1g(収率97%)得られた。純度:99.3%(HPLC)。これを110mlのヘキサンから再結晶を行い、減圧下で乾燥すると2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルが白色結晶として43.0g(収率85%)得られた。 融点:61−2℃,純度:99.8%(HPLC)。このものはNMRの測定より、その構造を確認し、ケト・エノール互変異性体の混合物であることが解った。
【0027】1HNMRδ (CDCl3,300MHz):1.27(3H×0.16,t,J=7.0Hz),1.37(3H×0.84,t,J=7.0Hz),3.95(2H×0.16,d,J=3.6Hz),4.20(2H×0.16,q,J=7.0Hz),4.28(2H×0.84,q,J=7.0Hz),5.84(1H×0.84,s),6.97−7.27(1H,m),7.70−7.86(1H,m),12.72(1H×0.84,s)
【0028】[例2] 攪拌機、温度計、塩化カルシウム菅をつけた冷却器、及び滴下ロートを備えた500ml4つ口フラスコ中に、マロン酸モノエチルカリウム塩21g(0.123モル)及びアセトニトリル160mlを仕込み、冷却しながら10−15℃でトリエチルアミン29.1g(0.288モル)を滴下し、無水塩化マグネシウム(含量97%)14.2g(0.145モル)を加えた。20−40℃で6時間攪拌し、マロン酸モノエチルマグネシウム塩とした後に冷却し、10−15℃で2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド20g(0.103モル)を20分で滴下し、室温で10時間反応させた。減圧下にアセトニトリルを留去し、塩化メチレン150mlを加え、次に10℃以下で4N塩酸200mlを滴下し、10分間攪拌した。分液した水層は塩化メチレン50mlで抽出後、有機層と合わせ、4N塩酸40ml、5%炭酸水素ナトリウム60ml及び飽和食塩水50mlで順次洗浄した。塩化メチレンを常圧で回収後減圧濃縮すると、淡橙色の2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルが24.9g(収率98.1%)得られた。純度:99.1%(HPLC)。
【0029】[例3] 攪拌機、温度計、塩化カルシウム管をつけた冷却器、及び滴下ロートを備えた1L4つ口フラスコ中に、マロン酸モノエチルカリウム塩32.7g(0.192モル)及びTHF200mlを仕込み、冷却しながら10−15℃でトリエチルアミン47.0 g(0.464モル)を滴下し、次に、無水塩化マグネシウム(含量97%)22.0g(0.224モル)を加えた。20−30℃で8時間攪拌し、マロン酸モノエチルマグネシウム塩とした後に冷却し、10−13℃で3−ブロモ−2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド43.8g(0.16モル)を25分で滴下し、室温で12時間反応させた。次に10℃以下で4N塩酸300mlを滴下し、トルエン360mlを加えて抽出した。有機層を分離し、有機層は4N塩酸100ml、5%炭酸水素ナトリウム150ml及び飽和食塩水150mlで順次洗浄した。減圧下にトルエンを留去すると、淡橙色の3−ブロモ−2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルが51.1g(収率98.2%)得られた。純度:99.1%(HPLC)。これを150mlのヘキサンから再結晶し、減圧下で乾燥すると3−ブロモ−2,4.5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルが白色結晶として45.4g(収率87.2%)得られた。融点:84−5℃,純度:99.8%(HPLC)。このものはNMRの測定より、その構造を確認し、ケト・エノール互変異性体の混合物であることが解った。
【0030】1HNMRδ(CDCl3,300MHz):1.27(3H×0.26,t,J=7.0Hz),1.37(3H×0.74,t,J=7.0Hz),3.97(2H×0.26,d,J=4.1Hz),4.23(2H×0.26,q,J=7.0Hz),4.28(2H×0.74,q,J=7.0Hz),5.85(1H×0.74,s),7.68−7.85(1H,m),12.73(1H×0.74,s)
【0031】
【参考例】攪拌機、温度計、均圧管付き滴下ロート、を備えた1L耐圧硝子反応器中に、四塩化炭素194ml(2.0モル)及び無水塩化アルミニウム53.3g(0.4モル)を仕込んだ。加熱攪拌しながら加圧下、120−125℃で3,4−ジフルオロクロロベンゼン29.7g(0.2モル)を90分で滴下し、10分間反応させた。滴下すると直ちに反応し塩酸ガスを発生し、最大0.3MPa迄昇圧した。冷却後、塩酸ガスをパージした後、反応混合物を300mlの氷水中に注ぎ、有機層を分離した。有機層を100mlの水で洗浄後、GC分析すると、2−クロロ−4,5−ジフルオロフェニルベンゾトリクロリド92%、及びビス(2−クロロ−4,5−ジフルオロフェニル)ジクロロメタン8%からなる四塩化炭素溶液であることがわかった。常圧下で(内温130℃迄)四塩化炭素を回収後、残液(53g)を攪拌機、温度計、滴下ロート及び還流冷却器をつけた100mlフラスコ中に移した。アスピレーター減圧下に少量の低沸物を留去後、120℃で塩化第二鉄粉未50mgを加え、125−130℃で水3.78g(0.21モル)を60分で滴下した。その後、同温度で1時間反応させ、冷却後、不溶物(1.2g)を濾別し、濾液を減圧蒸留すると2−クロロ−4,5−ジフルオロベンゾイルクロリドが36.5g(収率86.5%)得られた。沸点:103−5℃/30mmHg,純度:99.6%(GC)。攪拌機、温度計、蒸留留去装置及び滴下ロートをつけた200ml4つ口フラスコ中にスルホラン100ml及びスプレー乾燥KF25.6g(0.44モル)を仕込み.150℃に加熱しアスピレーター減圧下に約10mlの含水スルホランを留出させた。次に150℃で2−クロロ−4,5−ジフルオロベンゾイルクロリド35.9g(0.17モル)を10分で滴下し、その後150℃で1時間、190−200℃で3時間反応させると一部留出し、更に微減圧下に留出させ、120℃/80mmHg迄の留分27.3g(GC88.3%)得られた。これを精製蒸留すると2,4,5−トリフルオロベンゾイルフルオリドが20.8g(収率68.7%)得られた。沸点:66−8℃/29mmHg,純度:99.5%(GC)。
【0032】
【比較例】攪拌機、温度計、塩化カルシウム管をつけた冷却器及び滴下ロートを備えた1L4つ口フラスコ中に、マロン酸モノエチルカリウム塩20.4g(0.12モル)及び酢酸エチル200mlを仕込み、冷却しながら10℃以下でトリエチルアミン29.1g(0.29モル)を滴下し、次に、無水塩化マグネシウム(含量97%)13.7g(0.14モル)を加えた。35−40℃で6時間攪拌し、マロン酸モノエチルマグネシウム塩とした後に冷却し、10℃以下で2,4,5−トリフルオロベンゾイルフルオリド17.8g(0.1モル)を滴下し、室温で12時間反応させた。次に25℃以下で12%塩酸300mlを滴下し、トルエン200mlを加えて抽出し、有機層と水層を分離した。トルエン層は12%塩酸60ml、5%炭酸水素ナトリウム80ml及び飽和食塩水80mlで順次洗浄した。トルエンを減圧濃縮すると橙色の2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸エチルが23.6g(収率96.0%)得られた。純度:98.9%(HPLC)。分離した水層中に、杵型GL試験片を一夜浸けておいたところ、GL試験片が腐食され、材質表面の光沢が無くなっていた。
【0033】
【発明の効果】本発明により、一般的なGL反応釜を用いてワンポットで2,4,5−トリフルオロベンゾイルクロリド類から2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類が得られる。本発明方法は、副生物の生成やHFの発生などによる収率の低下や反応容器の腐食などの問題を生じず、工業的に安全かつ有利な方法である。
Claims (1)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002165012A JP2004010527A (ja) | 2002-06-06 | 2002-06-06 | 2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002165012A JP2004010527A (ja) | 2002-06-06 | 2002-06-06 | 2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004010527A true JP2004010527A (ja) | 2004-01-15 |
Family
ID=30432969
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002165012A Pending JP2004010527A (ja) | 2002-06-06 | 2002-06-06 | 2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004010527A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108623455A (zh) * | 2017-03-18 | 2018-10-09 | 成都博腾药业有限公司 | 一种抗心衰药物的中间体 |
CN116023263A (zh) * | 2022-11-17 | 2023-04-28 | 苏州汉德创宏生化科技有限公司 | 一种中间体3-(3,5-二氯苯基)-3-氧代丙酸乙酯的合成方法 |
-
2002
- 2002-06-06 JP JP2002165012A patent/JP2004010527A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108623455A (zh) * | 2017-03-18 | 2018-10-09 | 成都博腾药业有限公司 | 一种抗心衰药物的中间体 |
CN116023263A (zh) * | 2022-11-17 | 2023-04-28 | 苏州汉德创宏生化科技有限公司 | 一种中间体3-(3,5-二氯苯基)-3-氧代丙酸乙酯的合成方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH10279506A (ja) | ビスヒドロキシメチル化合物の製造方法 | |
US5068449A (en) | Fluorinated benzoyl compounds | |
JP2004115519A (ja) | アルキンカルボン酸の製造方法 | |
JP2008162902A (ja) | ジフルオロ酢酸エステルの製造方法 | |
HU214958B (hu) | Eljárás béta-ketokarbonsav-észterek előállítására | |
JP2001081065A (ja) | [ビス−(トリフルオロメチル)−フェニル]−酢酸及びそのアルキルエステル及びジアルキル[ビス−(トリフルオロメチル)−フェニル]−マロネートを製造する方法 | |
JP2004010527A (ja) | 2,4,5−トリフルオロベンゾイル酢酸アルキルエステル類の製造方法 | |
JP2003335735A (ja) | パーフルオロイソプロピルアニリン類の製造方法 | |
JP5001144B2 (ja) | 2−イソプロペニル−5−メチル−4−ヘキセン−1−イル3−メチル−2−ブテノアートの製造方法 | |
EP1873145B1 (en) | Method for producing nicotinic acid derivative or salt thereof | |
US5393921A (en) | Process for synthesizing O-substituted oxime compounds and conversion to the corresponding O-substituted hydroxylamine | |
JP2001322955A (ja) | 2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法 | |
JP4258658B2 (ja) | アセチレン化合物の製造方法 | |
JP3563424B2 (ja) | 4h−ピラン−4−オンの製造方法 | |
JP4030289B2 (ja) | β−ケトニトリル類の製法 | |
JP4803037B2 (ja) | 含フッ素2−クロロアクリル酸エステルの製法 | |
JPH0616615A (ja) | 含フッ素フタロニトリル誘導体の製造方法 | |
JP5000031B2 (ja) | 芳香族−o−ジアルデヒド化合物の製造方法 | |
JP4159784B2 (ja) | 2,3−二置換チオフェン誘導体の製造方法 | |
US20020062043A1 (en) | Process for preparing optionally substituted biphenylcarbonyl chlorides | |
JP2002069038A (ja) | トリフルオロメチル基含有ベンゾイルギ酸アルキル類、その製造方法およびトリフルオロメチル基含有フェニル酢酸の製造方法 | |
JP3201044B2 (ja) | ジフルオロメトキシトリフルオロ安息香酸エステル類の製法 | |
JP2007131600A (ja) | 含フッ素乳酸誘導体の製造方法および含フッ素乳酸誘導体の中間体 | |
JP2001172247A (ja) | 4−シアノ−2−フルオロベンジルクロリドの製造方法 | |
WO2002051798A1 (en) | PROCESS FOR PRODUCING β-KETONITRILE COMPOUND |