JP2003012630A - β−ケトニトリル誘導体の製法 - Google Patents

β−ケトニトリル誘導体の製法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、β-ケトエノール誘導体から簡便
な方法によりβ-ケトニトリル誘導体を製造する、工業
的に好適なβ-ケトニトリル誘導体の製法を提供するこ
とを課題とする。 【解決手段】 本発明の課題は、β-ケトエノール誘導
体に、ヒドロキシルアミン-O-スルホン酸を反応させる
ことを特徴とする、β-ケトニトリル誘導体の製法によ
って解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬・農薬等の合
成原料として有用なβ-ケトニトリル誘導体の製法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、β-ケトニトリル誘導体の製法と
しては、式(3)
【0003】
【化3】
【0004】で示されるように、2-ベンゾイルプロピオ
ンアルデヒドにヒドロキシルアミン塩酸塩を反応させて
4-メチル-5-フェニルイソオキサゾールとした後、次い
で、塩基で開環させることにより2-ベンゾイルプロピオ
ニトリルを合成している(薬学雑誌、79,267(1959))。
しかしながら、この方法では、一旦環化させた後に開環
させるため、反応操作及び後処理が繁雑となる等、工業
的な製法としては問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、即
ち、上記問題点を解決し、β-ケトエノール誘導体から
簡便な方法によりβ-ケトニトリル誘導体を製造する、
工業的に好適なβ-ケトニトリル誘導体の製法を提供す
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、一般式
(1)
【0007】
【化4】
【0008】(式中、R1及びR2は、同一又は異なって
いても良く、反応に関与しない基、Mは、アルカリ金属
原子、水素原子又は炭化水素基を示す。)で示されるβ
-ケトエノール誘導体に、ヒドロキシルアミン-O-スル
ホン酸を反応させることを特徴とする、一般式(2)
【0009】
【化5】
【0010】(式中、R1及びR2は、前記同義であ
る。)で示されるβ-ケトニトリル誘導体の製法によっ
て解決される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の反応において、一般式
(1)で示されるβ-ケトエノール誘導体のR1及びR2
は、同一又は異なっていても良く、反応に関与しない基
を示すが、特に、置換基を有していても良いアルキル基
又はアリール基であり、具体的には、例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;
フェニル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基
が挙げられる。なお、これらの基は各種異性体を含む。
【0012】前記の置換基としては、メトキシル基、エ
トキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基等のアルコ
キシル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原
子等のハロゲン原子が挙げられる。なお、置換基の数や
位置は特に限定されない。
【0013】一般式(1)において、Mは、アルカリ金
属原子、水素原子又は炭化水素基を示すが、具体的に
は、例えば、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム
原子等のアルカリ金属原子;水素原子;メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基等の炭化水素基(これらの
炭化水素基は各種異性体を含む)が挙げられるが、好ま
しくはアルカリ金属原子である。
【0014】なお、本発明の反応において使用されるβ
-ケトエノール誘導体は、ケトン化合物とギ酸エステル
から容易に合成出来る化合物である(例えば、J.Hetero
cyclic.Chem.,24,351(1987))。
【0015】本発明の反応において使用されるヒドロキ
シルアミン-O-スルホン酸は、遊離のヒドロキシルアミ
ン-O-スルホン酸(水和物も含む)だけでなく、その水
溶液として使用しても良い。
【0016】前記ヒドロキシルアミン-O-スルホン酸の
使用量は、β-ケトエノール誘導体1molに対して、好ま
しくは0.5〜20mol、更に好ましくは0.8〜10molである。
【0017】本発明の反応は、溶媒の存在下又は非存在
下で行われる。使用される溶媒は反応に関与しないもの
ならば特に限定されず、例えば、水;メタノール、エタ
ノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t-ブ
チルアルコール等のアルコール類;N,N-ジメチルホルム
アミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N'-ジメチル-2-
イミダゾリドン等のアミド類;アセトニトリル、プロピ
オニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類が挙げられ
るが、好ましくは水、アルコール類、水とアルコールの
混合溶媒が使用される。なお、これらの溶媒は、単独又
は二種以上を混合して使用しても良い。
【0018】前記溶媒の使用量は、溶液の均一性や攪拌
性により適宜調節するが、β-ケトエノール誘導体1gに
対して、好ましくは0.1〜1000ml、更に好ましくは1〜10
0mlである。
【0019】本発明の反応は、例えば、不活性ガスの雰
囲気にて、β-ケトエノール誘導体、ヒドロキシルアミ
ン-O-スルホン酸及び溶媒を混合して、攪拌する等の方
法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは
0〜200℃、更に好ましくは5〜100℃であり、反応圧力は
特に制限されない。
【0020】本発明の反応によって得られるβ-ケトニ
トリル誘導体は、反応終了後、例えば、中和、抽出、濃
縮、濾過等の処理を行った後に、再結晶、晶析、蒸留、
カラムクロマトグラフィー等のよる一般的な方法によっ
て単離・精製される。
【0021】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではな
い。
【0022】参考例1(2-メチル-3-オキソブチルアル
デヒドのナトリウム塩の合成)攪拌装置、温度計及び滴
下漏斗を備えた内容積500mlのフラスコに、窒素雰囲気
にて、ナトリウムメトキシド32.41g(0.60mol)、トルエ
ン300ml及びエタノール48mlを加えた。次いで、反応液
を0〜5℃に維持して攪拌しながら、2-ブタノン43.27g
(0.60mol)及びギ酸エチル45.79g(0.62mol)の混合液をゆ
るやかに滴下し、同温度で2時間、更に室温まで昇温し
て15時間反応させた。反応終了後、濾過し、濾過物を乾
燥して、無色粉末として2-メチル-3-オキソブチルアル
デヒドのナトリウム塩53.76gを得た(単離収率:73%)。
2-メチル-3-オキソブチルアルデヒドのナトリウム塩の
物性値は以下の通りであった。
【0023】1H-NMR(DMSO-d6,δ(ppm));1.39(3H,s)、
1.88(3H,s)、9.07(1H,s)
【0024】実施例1(3-シアノ-2-ブタノンの合成) 攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積300mlの
フラスコに、参考例1の方法と同様に合成した2-メチル
-3-オキソブチルアルデヒドのナトリウム塩36.63g(0.30
mol)及び水100mlを加えた。次いで、反応液を5〜10℃に
維持して攪拌しながら、ヒドロキシルアミン-O-スルホ
ン酸37.32g(0.33mol)を水60mlに溶解させた水溶液をゆ
るやかに滴下し、室温で6時間反応させた。反応終了
後、酢酸エチル150mlで2回抽出した。有機層を取り出
し、有機層をガスクロマトグラフィー(内部標準法)で
分析したところ、3-シアノ-2-ブタノンが21.80g(反応収
率:75%)生成していた。その後、有機層を無水硫酸マ
グネシウムで乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下で濃縮
し、無色液体として3-シアノ-2-ブタノン19.50gを得た
(単離収率:67%)。3-シアノ-2-ブタノンの物性値は以
下の通りであった。
【0025】1H-NMR(DMSO-d6,δ(ppm));1.50(3H,d)、
2.38(3H,s)、3.60(1H,q)
【0026】実施例2(3-シアノ-2-ブタノンの合成) 実施例1において、抽出溶媒を酢酸エチルから1,2-ジク
ロロエタンに変えたこと以外は、実施例1と同様に反応
を行った。抽出した有機層(1,2-ジクロロエタン層)を
ガスクロマトグラフィー(内部標準法)により分析した
ところ、3-シアノ-2-ブタノンが22.10g(反応収率:76
%)生成していた。
【0027】参考例2(2-メチル-3-オキソブチルアル
デヒドの合成) 攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積200mlの
フラスコに、参考例1と同様な方法で合成した2-メチル
-3-オキソブチルアルデヒドのナトリウム塩12.2g(0,10m
ol)及び水40mlを加えた。次いで、反応液を10℃に維持
して攪拌しながら、濃塩酸8.3mlをゆるやかに滴下し
た。反応終了後、塩化メチレン50mlを加え、有機層を取
り出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、
濾液を減圧下で濃縮し、無色粉末として2-メチル-3-オ
キソブチルアルデヒド7.0gを得た(単離収率:70%)。 2-メチル-3-オキソブチルアルデヒドの物性値は以下の
通りであった。
【0028】1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));1.80(3H,d)、2.
14(3H,s)、7.70〜7.80(1H,m)、14.65(1H,d)
【0029】実施例3(3-シアノ-2-ブタノンの合成) 攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積300mlの
フラスコに、参考例2の方法と同様に合成した2-メチル
-3-オキソブチルアルデヒド30.10g(0.30mol)及び水100m
lを加えた。次いで、反応液を5〜10℃に維持して攪拌し
ながら、ヒドロキシルアミン-O-スルホン酸37.32g(0.3
3mol)を水60mlに溶解させた水溶液をゆるやかに滴下
し、室温で6時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル1
50mlで2回抽出した。有機層を取り出し、有機層をガス
クロマトグラフィー(内部標準法)で分析したところ、
3-シアノ-2-ブタノンが19.80g(反応収率:67%)生成し
ていた。
【0030】参考例3(2-エチル-3-オキソブチルアル
デヒドのナトリウム塩の合成) 攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積500mlの
フラスコに、窒素雰囲気にて、ナトリウムメトキシド3
2.41g(0.60mol)、トルエン300ml及びエタノール48mlを
加えた。次いで、反応液を0〜5℃に維持して攪拌しなが
ら、2-ペンタノン51.68g(0.60mol)及びギ酸エチル45.79
g(0.62mol)の混合液をゆるやかに滴下し、同温度で2時
間、更に室温まで昇温して15時間反応させた。反応終了
後、濾過し、濾過物を乾燥して、無色粉末として2-エチ
ル-3-オキソブチルアルデヒドのナトリウム塩21.30gを
得た(単離収率:26%)。 2-エチル-3-オキソブチルアルデヒドのナトリウム塩の
物性値は以下の通りであった。
【0031】1H-NMR(DMSO-d6,δ(ppm));0.72(3H,t)、
1.87(3H,s)、2.02(2H,q)、9.00(1H,s)
【0032】実施例4(3-シアノ-2-ペンタノンの合
成) 攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積300mlの
フラスコに、参考例3の方法と同様に合成した2-エチル
-3-オキソブチルアルデヒドのナトリウム塩40.83g(0.30
mol)及び水100mlを加えた。次いで、反応液を5〜10℃に
維持して攪拌しながら、ヒドロキシルアミン-O-スルホ
ン酸37.32g(0.33mol)を水60mlに溶解させた水溶液をゆ
るやかに滴下し、室温で6時間反応させた。反応終了
後、酢酸エチル200mlで2回抽出した。有機層を取り出
し、有機層をガスクロマトグラフィー(内部標準法)で
分析したところ、3-シアノ-2-ペンタノンが25.00g(反応
収率:75%)生成していた。その後、有機層を無水硫酸
マグネシウムで乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下で濃
縮し、無色液体として3-シアノ-2-ペンタノン24.30gを
得た(単離収率:73%)。 3-シアノ-2-ペンタノンの物性値は以下の通りであっ
た。
【0033】1H-NMR(DMSO-d6,δ(ppm));0.97(3H,t)、
1.95〜2.22(2H,m)、2.26(3H,s)、4.02〜4.12(1H,m)
【0034】
【発明の効果】本発明により、β-ケトエノール誘導体
から簡便な方法によりβ-ケトニトリル誘導体を製造す
る、工業的に好適なβ-ケトニトリル誘導体の製法を提
供することが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 卓 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内 (72)発明者 山田 修二 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC54 BE90

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (式中、R1及びR2は、同一又は異なっていても良く、
    反応に関与しない基、Mは、アルカリ金属原子、水素原
    子又は炭化水素基を示す。)で示されるβ-ケトエノー
    ル誘導体に、ヒドロキシルアミン-O-スルホン酸を反応
    させることを特徴とする、一般式(2) 【化2】 (式中、R1及びR2は、前記同義である。)で示される
    β-ケトニトリル誘導体の製法。
  2. 【請求項2】Mが、アルカリ金属原子である請求項1記
    載のβ-ケトニトリル誘導体の製法。
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