JP5577565B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、常温溶融塩を含む電極を用いたリチウムイオン二次電池に関する。
近年、携帯電話、PDA(personal digital assistant;個人用携帯型情報端末機器)およびノート型コンピュータに代表される携帯型電子機器の小型化および軽量化が精力的に進められ、その一環として、それらの駆動電源である電池、特に二次電池のエネルギー密度の向上が強く望まれている。
少ない容積及び質量で二次電池のエネルギー密度を向上するためには電池一本当たりの電圧が高いことが必要である。この見地から、最近、正極活物質として例えばリチウム系複合金属酸化物を使用し、負極活物質としてリチウムまたはリチウムイオンを吸蔵可能な炭素材料を使用した非水系電解液電池が注目されている。例えば、正極材としてLiCoO等からなるリチウム複合酸化物を用いる正極板と、負極材としてリチウムイオンを吸蔵、放出する炭素材料等を用いる負極板とが非水電解質を介して積層されたリチウムイオン二次電池が知られている。
リチウムイオン電池には、帯状の正極電極と負極電極とをセパレータを介して積層した後に巻回して作製した電池要素を外装容器に収納した巻回型の電池と、平板状の正極電極と負極電極とをセパレータを介して積層した積層体からなる電池要素を外装容器収納した積層型二次電池が知られている。
一般に、リチウムイオン二次電池の正極板は、前述のリチウム複合酸化物(正極活物質)と、結着剤と、有機溶媒とを含む正極合剤スラリーを集電体上に塗布してからこの正極合剤スラリーを乾燥して製造する。結着剤としては、固有抵抗が低く、電池特性が良好であり、比較的成型性が優れているフッ化ビニリデン系重合体、およびアクリロニトリル系重合体等が好まれ、実用化されている。
リチウムイオン二次電池は既に理論容量近くまで技術が進歩していることから、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度をさらに向上させる手段として、活物質層の厚みを厚くして電池内における活物質層の割合を高くし、集電体およびセパレータの割合を低くすることが検討されている(特許文献1)。
また、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を向上するため、電極材の単位質量あたりの容量を向上することが検討されている。近年、LiCoOに代えて、LiNiO、LiNixCoyO等の少なくともリチウム元素及びニッケル元素を含むリチウムニッケル複合酸化物を主成分とする正極活物質を用いるリチウムイオン二次電池が開発された。リチウムニッケル複合酸化物の単位質量あたりの容量(180〜200mAh/g)は、LiCoOの単位質量あたりの容量(145〜150mAh/g)に比べて大幅に高い。
特開平9−204936号公報
リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を向上させる手段として、活物質層の厚みを厚くすることが検討されている(特許文献1)。しかし、一般的には、正極および負極は巻回体を構成していることが多く、そのような巻回された活物質層の厚みをある程度まで大きくすると、活物質層のうち比較的大きな曲率を有する部分では応力集中に耐えきれず、割れや剥離などの損傷が生じることがあった。こうした問題に対し、活物質層の一構成要素である結着剤として、より高い分子量を有する樹脂を用いることで、活物質層としての柔軟性(可とう性)を高める試みがなされているが、十分な成果が得られていない。また、柔軟性に富むゴム系の結着剤を用いるようにすれば活物質層の割れや剥離などの問題は解決されるが、電極密度を高めることが難しい上に、リチウムイオンの透過性が低いことから、電池特性の面で不十分であった。
また、電極材の単位質量あたりの容量を向上するため、リチウムニッケル複合酸化物を主成分とする正極活物質を用いるリチウムイオン二次電池が開発されている。しかし、このようなリチウムイオン二次電池において、結着剤としてフッ化ビニリデン系重合体またはアクリロニトリル系重合体を使用すると、リチウムニッケル酸化物の表面に残留している高アルカリ成分と、フッ化ビニリデン系重合体またはアクリロニトリル系重合体とが反応し、正極合剤スラリーが流動性を失いゲル化するという問題が生じる。正極合剤スラリーがいったんゲル化すると、スラリーの加熱や新たな溶剤の添加によっても不均一なスラリーしか得られず、結果として集電体への正極合剤スラリーの塗布が非常に困難となる。
正極合剤スラリーのゲル化を回避する方法として、特開2000−90917号公報では、リチウムニッケル複合酸化物を含むリチウムニッケル複合酸化物材料を例えばLiOと共に水に対して8〜12質量%分散させて分散液を作り、分散液のpHが7.1〜11.2になるものを濾過して、残渣を取出してから、乾燥して正極材を生成している。しかし、この手法は手間がかかる上にpH調整が困難であり、製造された正極材にはpH調整過程で生成されたLiCOが分散液濾過後に残留することになる。したがって、特開2000−90917号公報に記載の手法では、リチウムニッケル複合酸化物に加えて、意図していないLiCOを含むことになり、電池のシステムに悪影響を及ぼすという問題がある。
また、正極合剤スラリーのゲル化を回避することを目的として、特開平11−195419号公報では、ゲル化を抑制できる結着剤が提案されている。フッ化ビニリデン系重合体を結着剤とする非水系電池正極形成用の合剤スラリーにおいて、70モル%以上のフッ化ビニリデンと、少なくとも0.5モル%以上のクロロトリフルオロエチレンからなるフッ化ビニリデン系重合体を結着剤として用いることにより、特異的にフッ化ビニリデン系重合体を含む結着剤のゲル化が抑制されるというものである。
しかし、フッ化ビニリデン系重合体をコポリマー化すると、本来の特徴である集電体への高接着機能が極端に低下する。また、電解液に対する膨潤性が高まり、電極内での電子伝導を阻害して電池特性が低下するという問題がある。さらに、本発明者らが検討した結果、フッ化ビニリデン系重合体をコポリマー化しても、約数%〜30%程度のコポリマー化であるため、構造的に高アルカリ成分とフッ化ビニリデン系重合体の反応(以下、脱HF反応とも言う。)を完全に回避することは出来ない。また、コポリマー比率を上げすぎると接着機能が低下するため、ゲル化を完全に回避することは出来ないという問題もある。
また、カーボネート系非水溶媒を含む電解質の電池は、負荷特性やサイクル特性などの電池特性は極めて優れているが、電池が不安定モード(加熱、過充電、圧壊、釘刺しなど)に入ると、電解液と活物質層との反応性が高いことから、発熱し易く発火の恐れがあり、より高い安全性を確保することが求められている。
また、積層型二次電池を構成する電池要素の積層体は、セパレータを介して、平板状の正極電極及び平板状の負極電極を積層したものから構成されている。平板状の正極電極は、正極集電体上に正極活物質層が形成されており、正極集電体の一部は、正極引出端子として対極に対向する部分から外側へと延びている。同様に、負極電極は負極集電体に負極活物質層が形成されており、負極集電体の一部は、負極引出端子として、対極に対向する部分から外側へと延びている。しかし、これらの電極を決まった型に金型で打ち抜く際、端部の合剤が脱落してしまうという問題が必ず生じる。
一般に、リチウムイオン二次電池の電極結着剤としては、固有抵抗が低く、電池特性が良好であり、比較的成型性が優れているフッ化ビニリデン系重合体が好まれ、実用化されている。合剤の脱落は主に、電極内の接着強度と柔軟性に起因する。合剤-箔間、粒子間の接着強度を上げるためにバインダ量を過剰に含ませると、相対的に電池容量が低下してしまい、高いエネルギー密度電池が得られないので根本的解決には至らない。
こうした問題に対し、活物質層の一構成要素である結着剤として、より高い分子量を有する樹脂を用いることで、活物質層としての柔軟性(可とう性)を高める試みがなされているが、本発明者らが検討した結果、十分な成果が得られなかった。また、柔軟性に富むゴム系の結着剤を用いるようにすれば活物質層の割れや剥離などの問題はある程度解決されるが、電極密度を高めることが難しい上に、リチウムイオンの透過性が低いことから、電池特性の面で不十分であった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、高容量なリチウムニッケル複合酸化物の使用に伴う正極合剤スラリーのゲル化を抑制するとともに、柔軟性に優れ、金型打ち抜き時の合剤脱落を抑制し、構造上安定した品質を維持するのに好適な電極を備えることで、高いエネルギー密度を確保しつつ、優れたサイクル特性を得ることができる、安全性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極、負極および電解質を備え、前記正極および負極のうちの少なくとも一方は、集電体と、常温溶融塩および活物質を含んで集電体の上に設けられた活物質層とを有している。前記活物質層における前記常温溶融塩の含有率は、0.1質量%以上5質量%以下である。前記活物質層は、アクリロニトリルを含む重合体を結着剤として含んでいる。前記重合体の平均分子量が、70万以上100万以下である。該活物質層は、常温溶融塩および活物質と共に溶剤を含む電極合剤スラリーを集電体の上に塗布したのち、溶剤を揮発させたものである。また、該電解質は電解液を含み、該電解液はカーボネート系非水溶媒を含み、該活物質層が、該電解液に含浸されるものである。
本発明の電極、集電体と、常温溶融塩および活物質を含んで集電体の上に設けられた活物質層とを有している。該活物質層は、常温溶融塩および活物質と共に溶剤を含む電極合剤スラリーを集電体の上に塗布したのち、溶剤を揮発させたものである。また、該電解液は、カーボネート系非水溶媒を含んでいる。
本発明の電極および電池は、活物質層が活物質と共に適量の常温溶融塩を含むことで十分な柔軟性と合剤保持性を有しており、例えば活物質層の厚みを大きくした高エネルギー密度電極であったり、曲率の大きな曲げを加えたりした場合であっても、割れなどが生じにくい構造となっている。また、本発明の電極および電池は、良好なイオン移動性が確保されるので柔軟性向上と電池特性の向上の両立が可能である。さらに、本発明の電極および電池は、活物質層に常温溶融塩を含むことで該活物質層の表面に常温溶融塩によって被膜が形成され、活物質と電解質との反応が抑制される。このことにより、電池が不安定モードに入っても、発熱を抑制することができる。
また、本発明の電極および電池は、常温溶融塩を活物質層に含むことで、リチウムニッケル複合酸化物を主含有する正極活物質と、フッ化ビニリデン系重合体またはアクリロニトリル系重合体を含有する結着剤とを使用する際に生じる正極合剤スラリーのゲル化を回避することができる。
本発明の電極の形成方法は、少なくとも常温溶融塩、活物質、および溶剤を混合して電極合剤スラリーを作製する工程と、その電極合剤スラリーを集電体の上に塗布したのち溶剤を揮発させることにより、集電体の上に活物質層を形成する工程とを含むものである。
本発明の電極の形成方法では、常温溶融塩および活物質を溶剤と共に混合して一旦、ペースト状の電極合剤スラリーを作製し、これを集電体上に塗布したのちに溶剤を除去するようにしたので、常温溶融塩の含有率を低減しつつ、電極活物質層における十分な柔軟性が確保される。
また、本発明の電極の形成方法では、常温溶融塩を電極合剤スラリーに含むことで、リチウムニッケル複合酸化物を主含有する正極活物質と、フッ化ビニリデン系またはアクリロニトリル系重合体を含有する結着剤とを使用する際に生じる正極合剤スラリーのゲル化を回避し、良好な正極合剤スラリーを得ることができる。
本発明の電極によれば、集電体の上に塗布した電極合剤スラリーから溶剤を揮発させることで得られた適量の常温溶融塩を含む活物質層を有するようにしたので、十分な柔軟性と高い合剤保持性を確保することができ、曲げを加えた場合、あるいは金型で電極を打ち抜いた場合であっても、構造上、安定した品質を維持することができる信頼性が高い積層型二次電池を得ることが可能である。
また、本発明の電極は、電極合剤スラリーに常温溶融塩を含むようにして調製することで、リチウムニッケル複合酸化物を主含有する正極活物質と、フッ化ビニリデン系重合体またはアクリロニトリル系重合体を含有する結着剤とを使用する際に生じる、リチウムニッケル酸化物の表面に残留している高アルカリ成分と、フッ化ビニリデン系重合体またはアクリロニトリル系重合体との重合反応を抑制し、正極合剤スラリーのゲル化を抑制することができる。
したがって、本発明の電池によれば、上記のようにして得られた常温溶融塩を活物質層に含む電極を備えるようにしたので、高いエネルギー密度と共に優れたサイクル特性を得ることができる。また、活物質層を覆う常温溶融塩の被膜が形成されるので、高温での電池内部からのガス発生を抑制し、安全性を向上させることができる。
さらに、本発明の電池によれば、電極に予め常温溶融塩を含み、さらに活物質界面近傍にて発熱しない常温溶融塩が豊富に存在するようにし、または結着剤に常温溶融塩が取り込まれて改質されているので、カーボネート系非水溶媒を含む電解質の電池が不安定モード(加熱、過充電、圧壊、釘刺しなど)に入っても、活物質と有機溶媒または有機溶媒で膨潤した結着剤との反応性を抑制し、発熱を抑制することができる。
本発明の電極の形成方法によれば、集電体の上に活物質層を形成するにあたり、予め常温溶融塩および活物質と共に溶剤が混合された電極合剤スラリーを集電体の上に塗布したのち、溶剤を揮発させるようにしたので、十分な柔軟性を有し、曲げを加えた場合、あるいは金型を電極で打ち抜いた場合であっても構造上、安定した品質を維持することができる電極を実現することができる。
さらに、本発明の電極の形成方法によれば、常温溶融塩を電極合剤スラリーに含むようにしたので、リチウムニッケル複合酸化物を主含有する正極活物質、およびフッ化ビニリデン系またはアクリロニトリル系重合体を主含有する結着剤を用いる場合に、正極活物質の表面に選択的に付着した常温溶融塩が、フッ化ビニリデン系重合体またはアクリロニトリル系重合体に作用することにより、リチウムニッケル酸化物に残留する高アルカリ成分と、フッ化ビニリデン系重合体またはアクリロニトリル系重合体との重合反応を抑制する。このことにより、ゲル化が抑制された良好な正極合剤スラリーを得ることができ、高エネルギー密度を備えた電極の形成が可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(1)第1の実施形態
(1−1)二次電池の構成
図1は本発明の第1の実施形態に係る二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、帯状の正極21と負極22とがセパレータ23を介して巻回された巻回電極体20を有している。電池缶11は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12、13がそれぞれ配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡または外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体20の中心には例えばセンターピン24が挿入されている。巻回電極体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
図2は図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表すものである。正極21は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、正極集電体21Aの片面のみに正極活物質層21Bを設けるようにしてもよい。
正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔およびステンレス箔などの金属箔により構成されている。
正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料を含んで構成されている。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム酸化物、リチウム硫化物、リチウムを含む層間化合物およびリン酸化合物などのリチウム含有化合物が適当であり、これらの複数種を混合して用いてもよい。中でも、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、またはリチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物が好ましく、特に遷移金属元素として、コバルト(Co)、ニッケル、マンガン(Mn)、鉄、アルミニウム、バナジウム(V)、およびチタン(Ti)のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。その化学式は、例えば、LiMIOまたはLiMIIPOで表される。式中、MIおよびMIIは1種または複数種の遷移金属元素を含む。xおよびyの値は電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物の具体例としては、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル複合酸化物、およびスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn)などが挙げられる。リチウムニッケル複合酸化物としては、例えば、、LiNiCo1−x(O≦x≦1)、LiNiO、LiNixCoyOおよびLiNi1−zCo(z<1)などが挙げられる。リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物の具体例としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO)およびリチウム鉄マンガンリン酸化合物[LiFe1−uMnPO(u<1)]などが挙げられる。
また、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、他の金属化合物および高分子材料も挙げられる。他の金属化合物としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムおよび二酸化マンガンなどの酸化物、または硫化チタンおよび硫化モリブデンなどの二硫化物が挙げられる。高分子材料としては、例えば、ポリアニリンおよびポリチオフェンなどが挙げられる。
負極22は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられた構成を有している。なお、図示はしないが、負極集電体22Aの片面のみに負極活物質層22Bを設けるようにしてもよい。負極集電体22Aは、例えば、銅箔、ニッケル箔およびステンレス箔などの金属箔により構成されている。
負極活物質層22Bは、例えば、負極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または複数種を含んで構成されており、必要に応じて、例えば正極活物質層21Bと同様の導電剤および結着剤を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、黒鉛、難黒鉛化性炭素および易黒鉛化性炭素などの炭素材料が挙げられる。これらの炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好な充放電サイクル特性を得ることができるので好ましい。特に、黒鉛は電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。
黒鉛としては、真密度が2.10g/cm以上のものが好ましく、2.18g/cm以上のものであればより好ましい。なお、このような真密度を得るには、(002)面のC軸結晶子厚みが14.0nm以上であることが必要である。また、(002)面の面間隔は、0.340nm未満であることが好ましく、0.335nm以上0.337nm以下の範囲内であればより好ましい。黒鉛は、天然黒鉛であってもよいし、人造黒鉛であってもよい。
難黒鉛化性炭素としては、(002)面の面間隔が0.37nm以上、真密度が1.70g/cm未満であると共に、空気中での示差熱分析(differential thermal analysis;DTA)において、700℃以上に発熱ピークを示さないものが好ましい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、また、リチウムを吸蔵および放出することが可能であり、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む負極材料も挙げられる。このような負極材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。この負極材料は金属元素または半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、また、これらの1種または複数種の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本発明において、合金には複数種の金属元素からなるものに加えて、1種または複数種の金属元素と1種または複数種の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物またはそれらのうちの複数種が共存するものがある。
負極材料を構成する金属元素または半金属元素としては、例えば、リチウムと合金を形成可能なマグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)および白金(Pt)などが挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
中でも、この負極材料としては、短周期型周期表における4B族の金属元素または半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、特に好ましいのはケイ素およびスズの少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素およびスズは、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、ニッケル、銅(Cu)、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン(Ti)、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン(Sb)、およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズの化合物またはケイ素の化合物としては、例えば、酸素(O)または炭素(C)を含むものが挙げられ、スズまたはケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
正極活物質層21Bおよび負極活物質層22Bの少なくとも一方は、さらに常温溶融塩を含んでいることが好ましい。正極活物質層21Bおよび負極活物質層22Bにおける常温溶融塩の濃度は0.1質量%以上5質量%以下の範囲内とすることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下の範囲内とすることがより好ましい。常温溶融塩の濃度をこの範囲内とすることで、活物質層を巻回する際の割れおよび活物質層を金型で打ち抜く際の合剤脱落も無く、かつ良好なサイクル特性が得られるからである。活物質層における常温溶融塩の含有量を10質量%以上の濃度とすると、剥離強度、プレス特性、負荷特性が低下し、サイクル特性が低下することとなる。
また、正極活物質層における常温溶融塩の濃度を0.1質量%以上5質量%以下の範囲内とすることで、リチウムニッケル複合酸化物を含有する正極活物質と、フッ化ビニリデン系重合体またはアクリロニトリル系重合体を含有する結着剤とを使用する際に生じる正極合剤のスラリーのゲル化を抑制し、良好なサイクル特性を得ることができる。
常温溶融塩は、例えば、3級または4級アンモニウムカチオンと、フッ素原子を有するアニオンとからなる3級または4級アンモニウム塩を含んでいることが好ましい。3級または4級アンモニウム塩を用いることで、後述する電解液の還元分解を抑制することができるからである。常温溶融塩は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。なお、3級または4級アンモニウムカチオンには、3級または4級アンモニウムカチオンの特性を有するものも含む。
4級アンモニウムカチオンとしては、例えば、下式(1)に示す構造を有するカチオンが挙げられる。
Figure 0005577565
式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、脂肪族基、芳香族基、複素環基またはそれらの一部の元素を置換基で置換した基を表す。R1、R2、R3およびR4は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
脂肪族基としては、例えば、アルキル基、アルコキシル基などが挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。脂肪族基の一部の元素を置換基で置換した基としては、例えば、メトキシエチル基が挙げられる。置換基としては、例えば、炭素数1から10の炭化水素基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基が挙げられる。
芳香族基としては、例えば、アリル基などが挙げられる。
複素環基としては、例えば、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、ベンズイミダゾール、ピペリジン、ピロリジン、カルバゾール、キノリン、ピロリジニウム、ピペリジニウム、ピペラジニウムなどが挙げられる。
式(1)に示す構造を有するカチオンとしては、例えば、アルキル4級アンモニウムカチオン、あるいはこれらの一部の官能基を炭素数1から10の炭化水素基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基で置換したカチオンなどが挙げられる。アルキル4級アンモニウムカチオンとしては、(CHR5N(R5は炭素数3から8のアルキル基またはアルケニル基を表す)が好ましい。このようなカチオンとしては、例えば、トリメチルプロピルアンモニウムカチオン、トリメチルオクチルアンモニウムカチオン、トリメチルアリルアンモニウムカチオン、トリメチルヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオンなどが挙げられる。
また、式(1)に示す構造を有するカチオン以外の3級または4級アンモニウムカチオンとしては、下式(2)〜(5)のいずれか1に示した構造を有する含窒素複素環カチオンが挙げられる。該含窒素複素環カチオンとは、式(2)〜(5)に示すように複素環を構成する窒素原子上に正電荷を有するものを示す。
Figure 0005577565
式(2)は共役結合を有し、式(3)は共役結合を有さない構造を示す。式(2)および(3)中、m=4から5、R1、R2、R3は炭素数1から5のアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、またはニトロ基であり、互いに同一であっても異なっていても良い。また、R1、R2、R3は不存在でもよい。Rは水素原子または炭素原子1から5のアルキル基であり、窒素原子は3級または4級アンモニウムカチオンである。
Figure 0005577565
式(4)は共役結合を有し、式(5)は共役結合を有さない構造を示す。式(4)および(5)中、m=0から2、m+n=3から4、R1、R2、R3は炭素数1から5のアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、またはニトロ基であり、互いに同一であっても異なっていても良い。また、R1、R2、R3は不存在でもよい。R4は炭素原子数1から5のアルキル基、Rは水素原子または炭素原子数1から5のアルキル基であり、窒素原子は3級または4級アンモニウムカチオンである。
式(2)〜(5)のいずれかで示した構造を有する含窒素複素環カチオンとしては、例えば、ピロリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ベンズイミダゾリウムカチオン、インドリウムカチオン、カルバゾリウムカチオン、キノリニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、またはこれらの一部の官能基を炭素数1から10の炭化水素基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基で置換したカチオンが挙げられる。このような含窒素複素環カチオンとしては、例えば、エチルメチルイミダゾリウムカチオン、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムカチオンが挙げられる。
フッ素原子を有するアニオンとしては、例えば、BF 、PF 、C2n+1CO (nは1から4の整数である)、C2m+1SO (mは1から4の整数である)、(FSO、(CFSO、(CSO、(CFSO)(CSO)N、(CFSO、CFSO−N−COCF、またはR5−SO−N−SOCF(R5は脂肪族基または芳香族基を表す。)が挙げられる。中でも、BF 、(F−SO−N、(CF−SO−N、(CSOまたは(CFSO)(CSO)Nが好ましく、BF 、(F−SO−N、(CF−SO−Nがより好ましい。
式(1)に示す構造を有するカチオンとフッ素原子を有するアニオンからなる常温溶融塩としては、アルキル4級アンモニウムカチオンとフッ素原子を有するアニオンとからなるものが特に好ましい。中でも、アルキル4級アンモニウムカチオンとして(CHR5N(R5は炭素数3から8のアルキル基またはアルケニル基を表す)を用い、フッ素原子を有するアニオンとして(CFSO、(CSOまたは(CFSO)(CSO)Nを用いる常温溶融塩がより好ましい。このような常温溶融塩としては、例えば、トリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリメチルオクチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリメチルアリルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリメチルヘキシルアンモニウム・ビス(トリメチルフルオロスルホニル)イミドなどが挙げられる。
上記のほか、例えば、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(以下、DEME・TFSIと言う。)、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2メトキシエチル)アンモニウム・テトラフルオロボレート(以下、DEME・BFと言う。)などが挙げられる。
含窒素複素環カチオンとフッ素原子を有するアニオンからなる常温溶融塩としては、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(以下、EMI・TFSIと言う。)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・テトラフルオロボレート(以下、EMI・BFと言う。)、N−メチル−N−プロピルピペリジニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(以下、PP13・TFSIと言う。)、N−メチル−N−プロピルピペリジニウム・ビス(フルオロスルホニル)イミド(以下、PP13・FSIと言う。)などが挙げられる。
正極活物質層21Bおよび負極活物質層22Bは、リチウム電解質塩を含んでいることが好ましい。該リチウム電解質塩と常温溶融塩とを予め混合したものを電極合剤スラリーに添加することにより、該リチウム電解質塩を正極活物質層21Bおよび負極活物質層22Bに含有させる。このことにより放電容量維持率を向上することができるからである。このようなリチウム電解質塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム[Li(CFSON]、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム[Li(CSON]が挙げられる。これらのリチウム電解質塩は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。リチウム電解質塩の添加量は、正極活物質層21Bおよび負極活物質層22Bに添加する常温溶融塩1dmに対し、0.2〜1.6molの範囲内とすることが好ましい。
正極活物質層21Bおよび負極活物質層22Bは、必要に応じて導電剤および結着剤を含んでいてもよい。導電剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラックおよびケッチェンブラックなどの炭素材料が挙げられ、1種または複数種を混合して用いる。また、炭素材料の他にも、導電性を有する材料であれば金属材料および導電性高分子材料などを用いてもよい。
結着剤としては、例えば、フッ化ビニリデンおよびアクリロニトリルのうちの少なくとも一方を含む重合体が好ましい。電池内での安定性が高いからである。これらの結着剤は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
フッ化ビニリデンを主成分として含む重合体としては、例えば、フッ化ビニリデン系重合体、または共重合体が挙げられる。フッ化ビニリデン系重合体としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)が挙げられる。また、フッ化ビニリデン系共重合体としては、例えばフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−カルボン酸共重合体、およびフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−カルボン酸共重合体などが挙げられる。
アクリロニトリルを主成分として含む重合体としては、例えばアクリロニトリル重合体または共重合体が挙げられる。アクリロニトリル重合体としては、例えばポリアクリロニトリル(PAN)が挙げられる。
リチウムニッケル複合酸化物を含有する正極活物質を用いる場合、前記フッ化ビニリデンおよびアクリロニトリルのうちの少なくとも一方を含む重合体の平均分子量は50万以上100万以下の範囲内であることが好ましく、70万以上100万以下の範囲内であることがより好ましい。リチウムニッケル複合酸化物を含有する正極活物質と、分子量70万以上の高分子量フッ化ビニリデン系重合体とを用いる場合、正極合剤スラリーのゲル化進行度合いが高い。しかし、常温溶融塩を正極合剤スラリーに添加することで、正極合剤スラリーのゲル化を完全に抑制でき、良好なサイクル特性を得ることができる。
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどよりなる合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の不織布などの無機材料よりなる多孔質膜により構成されており、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜は短絡防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。特に、ポリエチレンは、100℃以上160℃以下の範囲内においてシャットダウン効果を得ることができ、かつ電気化学的安定性にも優れているので、セパレータ23を構成する材料として好ましい。また、ポリプロピレンも好ましく、他にも、化学的安定性を備えた樹脂であればポリエチレンまたはポリプロピレンと共重合させたり、またはブレンド化したりすることで用いることができる。
セパレータ23には、電解液が含浸されている。電解液は、例えば、溶媒と該溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。
溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ビニレンおよび炭酸フルオロエチルなどのカーボネート系非水溶媒が挙げられる。その他の溶媒としては、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、およびエチレンスルフィトが挙げられる。なかでも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ビニレン、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルおよびエチレンスルフィトは、優れた充放電容量特性および充放電サイクル特性を得ることができるので好ましい。
電解質塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム[Li(CSON]、過塩素酸リチウム(LiClO)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiSOCF)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム[Li(CFSON]、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチルリチウム[LiC(SOCF]、塩化リチウム(LiCl)および臭化リチウム(LiBr)などのリチウム電解質塩が挙げられる。これらの電解質塩は、いずれか1種または複数種を混合して用いる。
(1−2)二次電池の製造方法
上記の二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、正極活物質と、導電剤と、結着剤と、常温溶融塩とを混合して正極合剤を調製し、該正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、該正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布したのち溶剤を揮発させ、さらにロールプレス機などにより圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し、正極21を作製する。正極合剤を調製する際、正極活物質層21Bにおける常温溶融塩の含有率が0.1質量%以上5質量%以下となるようにする。
また、負極活物質および結着剤と共に必要に応じて常温溶融塩を混合して負極合剤を調製し、該負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、該負極合剤スラリーを負極集電体22Aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して負極活物質層22Bを形成し、負極22を作製する。
次いで、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。そののち、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12、13で挟み電池缶11の内部に収納する。正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1に示した二次電池が完成する。
前記二次電池では、充電を行うと、例えば、正極活物質層21Bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極活物質層22Bに吸蔵される。また、放電を行うと、例えば、負極活物質層22Bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極活物質層21Bに吸蔵される。
一般的に、ポリフッ化ビニリデンやポリアクリロニトリルなどを主成分とする高分子材料を結着剤として用いた活物質層は、スチレンブタジエン系ゴムなどの合成ゴムを結着剤として用いたものに比べて硬く、割れが生じやすい。しかしながら、本実施の形態では、上記の高分子材料を結着剤として用いたとしても、適量の常温溶融塩を添加することにより、柔軟性に富んだ正極活物質層21Bを実現する。このため、例えば巻回電極体20における最小の曲率半径が2.0mm以下であるような場合であっても、正極活物質層21Bの割れや剥離などが生じることがない。よって、正極活物質層21Bを正極集電体21Aの上により厚く形成することができ、高容量化を図ることができる。そのうえ、常温溶融塩の添加により、正極21におけるリチウムイオン移動性が向上するので、良好なサイクル特性を得ることができる。特に、上記のような高分子材料を結着剤として用いた場合には、より高いエネルギー密度が得られ、さらなる高容量化が可能となる。
また、正極活物質層21Bに常温溶融塩を添加することで、高温での電池内部からのガス発生を抑制し、安全性を向上させることができる。これは、正極活物質層21Bの表面に常温溶融塩が良好な被膜を形成することにより、正極活物質と電解質との反応を抑制するためと考えられる。
さらに、カーボネート系非水溶媒、リチウム電解質塩を含む電解質の電池では、電池が不安定モード(加熱、過充電、圧壊、釘刺しなど)に入ると、電解液と活物質との反応性が高いことから、発熱して発火する。しかしながら、本実施の形態では、予め常温溶融塩を正極活物質層21Bに含み、さらに正極活物質21B界面付近に発熱しない常温溶融塩を豊富に含んでおり、または同じく反応性の高い結着剤に常温溶融塩が取り込まれて改質されているため、電池が不安定モードに入っても、活物質と有機溶媒または有機溶媒で膨潤した結着剤との反応性を抑制し発熱を抑制することができる。
また、正極活物質層21Bに常温溶融塩を添加することで、リチウムニッケル複合酸化物を含有する正極活物質と、フッ化ビニリデン系またはアクリロニトリル系重合体を含有する結着剤とを使用する場合に生じる正極合剤スラリーのゲル化を抑制することができる。これは、正極活物質の表面に選択的に付着した常温溶融塩がフッ化ビニリデン系重合体またはアクリロニトリル系重合体に作用することにより、リチウムニッケル複合酸化物の表面に残留している高アルカリ成分とフッ化ビニリデン系またはポリアクリロニトリル系重合体との反応を抑制するためである。このため、リチウムニッケル複合酸化物を主含有する正極活物質と、ポリフッ化ビニリデンやポリアクリロニトリルなどを主含有する結着剤とを併用が可能となり、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を向上し、高容量化することができる。なお、ここでは正極活物質層21Bに常温溶融塩を添加した効果について説明したが、負極活物質層22Bに常温溶融塩を添加した場合についても同様の効果が得られる。
(2)第2の実施形態
(2−1)非水電解質二次電池の構成
次に、図3〜8を参照しながら、本発明の第2の実施形態による二次電池の構成について説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態によるの二次電池の構成の一例を示す分解斜視図である。図3に示すように、この非水電解質二次電池は、正極リード33および負極リード34が取り付けられた電池素子31をフィルム状の外装部材32の内部に収容したものであり、小型化、軽量化および薄型化が可能となっている。
正極リード33および負極リード34はそれぞれ、外装部材32の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。正極リード33および負極リード34はそれぞれ、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)あるいはステンレスなどの金属材料により構成されており、薄板状または網目状とされている。
外装部材32は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材32は、例えば、ポリエチレンフィルム側と電池素子31とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。また、図示を省略するが、外装部材32と正極リード33および負極リード34の間には、外気の侵入を防止するための密着フィルムが挿入されている。密着フィルムは、正極リード33および負極リード34に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。なお、外装部材32は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム、ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
図4は、電池素子31の外観の一例を示す斜視図である。図5は、電池素子31の構成の一例を示す断面図である。図4および図5に示すように、この電池素子31は、正極41と負極42とをセパレータ43を介して積層した積層電極体であり、セパレータ43には、液状の電解質である電解液が含浸されている。
正極41は、例えば、一対の面を有する正極集電体41Aの両面に正極合剤層41Bが設けられた構造を有している。正極41は、図6に示すように、矩形状の電極部分と、その電極部分の一辺から延在された集電体露出部分41Cとを有する。この集電体露出部分41Cには正極合剤層41Bが設けられず、正極集電体41Aが露出した状態となっている。集電体露出部41は、正極リード3と電気的に接続される。なお、図示はしないが、正極集電体41Aの片面のみに正極合剤層41Bを設けるようにしてもよい。正極集電体41Aは、例えば、アルミニウム箔などの金属箔により構成されている。
負極42は、例えば、一対の面を有する負極集電体42Aの両面に負極合剤層42Bが設けられた構造を有している。負極42は、図7に示すように、矩形状の電極部分と、その電極部分の一辺から延在された集電体露出部分42Cとを有する。この集電体露出部分42Cには負極合剤層42Bが設けられず、負極集電体42Aが露出した状態となっている。集電体露出部42は、負極リード34と電気的に接続される。なお、図示はしないが、負極集電体42Aの片面のみに負極合剤層42Bを設けるようにしてもよい。
セパレータ53は、図8に示すように、矩形状などの形状を有し、電気的に安定であると共に、正極活物質、負極活物質あるいは溶媒に対して化学的に安定であり、且つ電気伝導性を有していなければどのようなものを用いてもよい。例えば、高分子の不織布、多孔質フィルム、ガラスあるいはセラミックスの繊維を紙状にしたものを用いることができ、これらを複数積層して用いてもよい。特に、多孔質ポリオレフィンフィルムを用いることが好ましく、これをポリイミド、ガラスあるいはセラミックスの繊維などよりなる耐熱性の材料と複合させたものを用いてもよい。
(2−2)非水電解質二次電池の製造方法
上述のように構成された非水電解質二次電池は、例えば以下のようにして製造することができる。
正極41は以下のようにして作製する。まず、例えば、正極活物質と、充放電に寄与しない無機酸化物と、結着剤と、導電助剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチルピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤塗料を作製する。次に、これを正極集電体41Aの両面に塗布、乾燥後、プレスすることにより正極合剤層41Bを形成する。その後、これを図6に示す形状などに切断し、正極41を得る。
負極42は以下のようにして作製する。まず、例えば、負極活物質と、結着剤と、導電助剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチルピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の負極合剤塗料を作製する。次に、これを負極集電体42Aの両面に塗布、乾燥後、プレスすることにより負極合剤層42Bを形成する。その後、これを図7に示す形状などに切断し、負極42を得る。
電池素子31は以下のようにしてを作製する。まず、ポリプロピレン製微多孔フィルムなどを図8に示す形状に切断し、セパレータ43を作製する。次に、上述のようにして得られた複数枚の負極42、正極41およびセパレータ43を、例えば、図4に示すように、負極42、セパレータ43、正極41、・・・、正極41、セパレータ43、負極42の順で積層して電池素子を作製する。
次に、正極41の集電体露出部41Cを正極リード33に溶接する。同様にして、負極42の集電体露出部42Cを負極リード34に溶接する。次に、電解液を電池素子31に含浸させた後、外装部材32の間に電池素子31を挟み込み、外装部材32の外縁部同士を熱溶着などにより密着させて封入する。その際、正負極リード33、負極リード34が熱融着部を介して外装部材32の外部に出るようにし、これらを正負極端子とする。以上により、目的とする容量が例えば1Ahの非水電解質二次電池が得られる。
本発明の第2の実施形態では、上述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(3)第3の実施形態
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。この第3の実施形態による非水電解質二次電池は、第2の実施形態の二次電池において、液状の電解質である電解液の代わりに、ゲル状の電解質層を用いるものである。なお、上述の第2の実施形態と同様の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
(3−1)非水電解質二次電池の構成
図9は、第2の実施形態による非水電解質二次電池に用いられる電池素子の構成の一例を示す断面図である。電池素子41は、正極41と負極42とをセパレータ43および電解質層44を介して積層したものである。
電解質層44は、電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となっている。ゲル状の電解質層44は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。電解液(すなわち溶媒および電解質塩など)の構成は、第2の実施形態による非水電解質二次電池と同様である。
高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンあるいはポリカーボネートが挙げられる。特に電気化学的な安定性の点からはポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンあるいはポリエチレンオキサイドが好ましい。
(3−2)非水電解質二次電池の製造方法
上述のように構成された非水電解質二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、正極41および負極42のそれぞれに、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させて電解質層44を形成する。その後の工程は、電解質層14が形成された正極41および負極42を用いる以外のことは上述の第2の実施形態と同様にして、非水電解質二次電池を得ることができる。
本発明の第3の実施形態では、上述の第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、電極反応物質としてリチウムを用いる電池について説明したが、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)などの他のアルカリ金属、またはマグネシウムおよびカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属、またはアルミニウムなどの他の軽金属を用いる場合についても、本発明を適用することができる。その際、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な正極活物質などは、その電極反応物質に応じて選択される。
また、上記実施の形態では、巻回構造を有する円筒型、および正極および負極を複数積層した積層型の二次電池を具体的に挙げて説明したが、本発明は、巻回構造を有する楕円型または多角形型の二次電池など他の形状を有する二次電池についても同様に適用することができる。加えて、本発明は、コイン型、ボタン型、角形またはラミネートフィルム型などの他の形状を有する二次電池についても同様に適用することができる。
さらに、上記実施の形態では、本発明の電池における正極または負極活物質層に含まれる常温溶融塩の含有率について、実施例の結果から導き出された適正範囲を説明したが、その説明は、常温溶融塩の含有率が上記した範囲外となる可能性を完全に否定するものではない。すなわち、上記した適正範囲は、あくまで本発明の効果を得る上で特に好ましい範囲であり、本発明の効果が得られるのであれば、常温溶融塩の含有率が上記した範囲から多少外れてもよい。また、例えば製造後の使用などに伴って電極に含まれていた常温溶融塩が電解液へ拡散することにより、電極中での常温溶融塩の濃度変動が生じた場合であっても、電池全体において所定量の常温溶融塩が存在していれば、本発明の効果は十分に得られる。
本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
(実施例1−1〜1−5、参考例1−6〜1−8
図1、2に示した円筒型の二次電池を作製した。まず、炭酸リチウム(Li2CO3)と炭酸コバルト(CoCO3)とを、Li2CO3:CoCO3=0.5:1のモル比で混合し、空気中において900℃で5時間焼成してリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を得た。得られたLiCoO2についてX線回折を行ったところ、JCPDS(Joint Committee of Powder Diffraction Standard)ファイルに登録されたLiCoO2のピークとよく一致していた。次いで、このリチウムコバルト複合酸化物を粉砕して、レーザ回折法で得られる累積50%粒径が15μmの粉末状とし、正極活物質とした
続いて、このリチウム・コバルト複合酸化物粉末95質量%と、炭酸リチウム粉末(LiCO)粉末5質量%とを混合し、この混合物94質量%と、導電剤としてケッチェンブラック3質量%と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(またはポリアクリロニトリル)3質量%とを混合し、さらに4級アンモニウム塩の常温溶融塩であるDEME・TFSIを単純添加したのち、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとした。次いで、この正極合剤スラリーを厚み15μmの帯状のアルミニウム箔よりなる正極集電体21Aの両面に均一に塗布して130℃で十分に乾燥させたのち、圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し正極21を作製した。130℃において、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンは気化する蒸気圧を有するのに対し、常温溶融塩であるDEME・TFSIの蒸気圧は限り無くゼロに近い。このため、N−メチル−2−ピロリドンが完全に揮発、気化して無くなるので、正極活物質層21Bには、DEME・TFSIのみが液体として残留することとなる。正極活物質層21Bの片面における厚みは100μm、体積密度は3.52g/cmとした。また、正極活物質層21Bにおける常温溶融塩の含有率については、後述する表1に示したように変化させた。正極21を作製したのち、正極集電体21Aの一端にアルミニウム製の正極リード25を取り付けた。
また、負極活物質として平均粒径25μmの粒状黒鉛粉末90質量%と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)またはポリアクリロニトリル(PAN)10質量部とを混合し、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとした。そののち、この負極合剤スラリーを厚み10μmの帯状銅箔よりなる負極集電体22Aの両面に均一に塗布して乾燥させ、圧縮成型して負極活物質層22Bを形成し負極22を作製した。その際、負極活物質層22Bの片面における厚みは90μm、体積密度は1.75g/cmとした。負極22を作製したのち、負極集電体22Aの一端にニッケル製の負極リード26を取り付けた。
正極21および負極22をそれぞれ作製したのち、正極21と負極22とを厚み22μmの微多孔性ポリエチレンフィルムよりなるセパレータ23を介して積層し、直径3.2mmの巻心の周囲に巻回することにより巻回電極体20を作製した。次いで、巻回電極体20を一対の絶縁板12、13で挟み、負極リード26を電池缶11に溶接すると共に、正極リード25を安全弁機構15に溶接して、巻回電極体20をニッケルめっきした鉄製の電池缶11の内部に収納した。続いて、電池缶11の内部に電解液を注入し、ガスケット17を介して電池蓋14を電池缶11にかしめることにより円筒型の二次電池を作製した。
その際、電解液として、ビニレンカーボネート(VC)と、炭酸エチレン(EC)と、フルオロエチレンカーボネート(FEC)と、炭酸ジエチル(DEC)と、炭酸プロピレン(PC)とを、1:30:10:49:10の割合で混合した溶媒に、電解質塩として六フッ化リン酸リチウムを1.0mol/kgの割合で溶解させたものを用いた。
本実施例に対する比較例1−1〜1−2として、正極活物質層21Bに常温溶融塩を加えなかったことを除き、他は実施例1−1〜1−5、参考例1−6〜1−8と同様にして二次電池を作製した。
作製した実施例1−1〜1−5、参考例1−6〜1−8および比較例1−1〜1−2の二次電池について、充放電を行い、放電容量維持率を調べた。その際、充電は、0.7Cの定電流で、電池電圧が4.2Vに達するまで行なったのち、4.2Vの定電圧で、充電の総時間が4時間になるまで行い、放電は、0.5Cの定電流で電池電圧が3.0Vに達するまで行った。1Cというのは、理論容量を1時間で放電しきる電流値である。放電容量維持率は、1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の割合、すなわち(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100(%)とした。結果を表1に示す。なお、正極活物質層における常温溶融塩の含有率は、正極合剤スラリーの固形分に対する質量%で表す。
Figure 0005577565
表1に示したように、比較例1−1〜1−2では、正極活物質層21Bの柔軟性が不十分であるため、巻心の周囲を巻回している際に分断されてしまった。これに対して実施例1−1〜1−5、参考例1−6〜1−8では、正極活物質層21Bが常温溶融塩を含むようにしたので、ポリフッ化ビニリデンやポリアクリロニトリルなどの高分子化合物からなる結着剤を使用した場合であっても分断されることなく巻回することができた。特に、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを用い、かつ、正極活物質層における常温溶融塩の含有率を0.5質量%以上5質量%以下とすれば、極めて良好なサイクル特性が得られることがわかった。
(実施例2−1〜2−5)
実施例2−1〜2−5として、正極活物質層21Bの片面厚みが異なる点を除き、他は実施例1−2と同様の構成を有する二次電池を作製した。但し、実施例2−2についてのみ、正極活物質層21Bの体積密度を3.61g/cmとした。また、比較例2−1〜2−5として、正極活物質層21Bに常温溶融塩を含まないことを除き、他は実施例2−1〜2−5とそれぞれ同様の構成を有する二次電池を作製した。
これらの実施例2−1〜2−5および比較例2−1〜2−5の二次電池について、実施例1−2と同様にして充放電を行い、放電容量維持率を調べた。その結果を表2に示す。
Figure 0005577565
表2に示したように、比較例2−2〜2−5では、正極活物質層21Bの柔軟性が不十分であるため、巻心の周囲を巻回している際に分断されてしまった。これに対して実施例2−1〜2−5では、正極活物質層21Bが常温溶融塩を含むようにしたので、いずれの厚みにおいても分断されることなく巻回することができた。なお、比較例2−1においても正極活物質層21Bの割れは生じなかったが、常温溶融塩を添加した実施例2−1のほうが高い放電容量維持率が得られた。これは、常温溶融塩を正極活物質層21Bに添加することにより、リチウムイオンの移動性が向上するためと考えられる。また、実施例2−1と実施例2−2との比較から、体積密度がサイクル特性の決定要因の一つであると考えられる。
(実施例3−1〜3−11)
実施例3−1〜3−11として、正極活物質層21Bに含まれる常温溶融塩の種類が異なる点を除き、他は実施例1−2と同様の構成を有する二次電池を作製した。但し、実施例3−5〜3−11では、正極活物質層に添加する常温溶融塩に、予めリチウム電解質塩[ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム;Li(CFSON、四フッ化ホウ酸リチウム;LiBF、六フッ化リン酸リチウム;LiPF、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム;Li(CSON]を予め混合した。具体的には、正極活物質、導電剤、および結着剤を混合し、さらにリチウム電解質塩を予め混合した常温溶融塩を単純添加した後、溶剤に分散させて調製した正極合剤スラリーを用いて正極活物質層21Bを形成した。正極活物質層21Bに添加する常温溶融塩1dmに対し、1molのリチウム電解質塩を溶解させた。これらの実施例3−1〜3−11の二次電池について、実施例1−2と同様にして充放電を行い、放電容量維持率を調べた。その結果を表3に示す。
Figure 0005577565
表3に示したように、実施例3−1〜3−11では、いずれにおいても極めて優れた柔軟性が示され、分断されることなく巻回することができた。特に、DEME・TFSI同様に4級アンモニウム塩であるDEME・BF、PP13・TFSIは電気化学窓が広く、還元安定性が優れることから、極めて良好な特性を示した。
また、正極活物質層21Bに添加する常温溶融塩にリチウム電解質塩を予め混合した実施例3−5〜3−11では、常温溶融塩にリチウム電解質塩を予め混合しなかった実施例3−1〜3−4に対して高い放電容量維持率を示した。すなわち、正極活物質層21Bに添加する常温溶融塩に予めリチウム電解質塩を混合することにより、放電容量維持率が向上することがわかった。
(実施例4−1)
実施例4−1として、正極活物質層21Bにおける片面厚みが75μmであり、常温溶融塩がDEME・BFであることを除き、他は実施例1−3と同様の構成を有する二次電池を作製した。また、比較例4−1として、常温溶融塩を、正極活物質層21Bではなく電解質に含むようにしたことを除き、他は実施例4−1と同様の構成を有する二次電池を作製した。ここでは、正極活物質層21Bの全質量に対して1.0質量%の常温溶融塩を電解質に加えるようにした。さらに、比較例4−2として、常温溶融塩を、正極活物質層21Bにも電解質にも含まないようにしたことを除き、他は実施例4−1と同様の構成を有する二次電池についても作製した。
これら実施例4−1、比較例4−1および比較例4−2について、それぞれ加熱安全性の試験を行った。この試験では、各々の二次電池について、140℃、145℃、150℃の雰囲気中で保持した際のガス噴出の有無を調べるようにした。その結果を表4に示す。
Figure 0005577565
表4に示したように、本実施例では、正極活物質層21Bに常温溶融塩を含むようにしたので、十分な加熱安全性を備えていることが確認できた。これは、乾燥により溶剤を揮発させる過程において、正極活物質の表面に常温溶融塩が薄く被覆されることで、活物質と電解質との反応性が抑制されるためと考えられる。
(実施例5−1〜5−4、参考例5−5
実施例5−1〜5−4、参考例5−5として、正極活物質層21Bの代わりに負極活物質層22Bが常温溶融塩を含むようにしたことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。但し、負極活物質層22Bにおける常温溶融塩の含有率については、後述する表5に示したように変化させた。また、比較例5−1として、負極活物質層22Bに常温溶融塩を加えなかったことを除き、他は実施例5−1〜5−4、参考例5−5と同様にして二次電池を作製した。これらの二次電池についても、実施例1−1〜1−5、参考例1−6〜1−8と同様にして充放電を行い、放電容量維持率を調べた。その結果を表5に示す。なお、負極活物質層における常温溶融塩の含有率は、負極合剤スラリーの固形分に対する質量%で表す。
Figure 0005577565
表5に示したように、比較例5−1では、負極活物質層22Bの柔軟性が不十分であるため、巻心の周囲を巻回している際に割れが生じた。これに対して実施例5−1〜5−4、参考例5−5では、負極活物質層22Bが常温溶融塩を含むようにしたので、ポリフッ化ビニリデンからなる結着剤を使用した場合であっても割れが生じることなく巻回することができた。特に、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを用い、かつ、負極活物質層における常温溶融塩の含有率を0.5質量%以上5質量%以下とすれば、極めて良好な放電容量維持率が得られることがわかった。
(実施例6−1〜6−5)
実施例6−1〜6−5として、負極活物質層22Bの片面厚みが異なる点を除き、他は実施例5−2と同様の構成を有する二次電池を作製した。但し、実施例6−2についてのみ、負極活物質層22Bの体積密度を1.85g/cmとした。また、本実施例に対する比較例6−1〜6−5として、負極活物質層22Bに常温溶融塩を含まないことを除き、他は実施例6−1〜6−5とそれぞれ同様の構成を有する二次電池を作製した。
これらの実施例6−1〜6−5および比較例6−1〜6−5の二次電池について、実施例1−2と同様にして充放電を行い、放電容量維持率を調べた。その結果を表6に示す。
Figure 0005577565
表6に示したように、実施例6−1〜6−5と比較例6−1〜6−5とをそれぞれを比較すると、負極活物質層22Bが常温溶融塩を含むことで、放電容量維持率が向上することがわかった。
(実施例7−1〜7−11)
実施例7−1〜7−11として、負極活物質層22Bに含まれる常温溶融塩の種類が異なる点を除き、他は実施例6−5と同様の構成を有する二次電池を作製した。但し、実施例7−5〜7−11では、負極活物質層22Bに添加する常温溶融塩に、予めリチウム電解質塩[ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム;Li(CFSON、四フッ化ホウ酸リチウム;LiBF、六フッ化リン酸リチウム;LiPF、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム;Li(CSON]を予め混合した。具体的には、負極活物質および結着剤を混合し、さらにリチウム電解質塩を予め混合した常温溶融塩を単純添加した後、溶剤に分散させて調製した負極合剤スラリーを用いて負極活物質層22Bを形成した。負極活物質層22Bに添加する常温溶融塩1dmに対し、1molのリチウム塩を溶解させた。これらの実施例7−1〜7−11の二次電池について、実施例1−2と同様にして充放電を行い、放電容量維持率を調べた。その結果を表7に示す。
Figure 0005577565
表7に示したように、実施例7−1〜7−11のいずれにおいても極めて優れた柔軟性が示され、分断されることなく巻回することができた。特に、DEME・TFSI同様の4級アンモニウム塩であるDEME・BF、PP13・TFSIは電気化学窓が広く、還元安定性が優れることから、極めて良好な特性を示した。
また、負極活物質層22Bに添加する常温溶融塩にリチウム電解質塩を予め混合した実施例7−5〜7−11では、常温溶融塩にリチウム電解質塩を予め混合しなかった実施例7−1〜7−4に対して高い放電容量維持率を示した。すなわち、負極活物質層22Bに添加する常温溶融塩に予めリチウム電解質塩を混合することにより、放電容量維持率が向上することがわかった。
(実施例8−1)
実施例8−1として、負極活物質層22Bにおける片面厚みが65μmであることを除き、他は実施例5−3と同様の構成を有する二次電池を作製した。また、比較例8−1として、常温溶融塩を、負極活物質層22Bではなく電解質に含むようにしたことを除き、他は実施例8−1と同様の構成を有する二次電池を作製した。ここでは、負極活物質層22Bの全質量に対して1.0質量%の常温溶融塩を電解質に加えるようにした。さらに、比較例8−2として、常温溶融塩を、負極活物質層22Bにも電解質にも含まないようにしたことを除き、他は実施例8−1と同様の構成を有する二次電池についても作製した。
これら実施例8−1、比較例8−1および比較例8−2について、それぞれ加熱安全性の試験を行った。この試験では、各々の二次電池について、140℃、145℃、150℃の雰囲気中で保持した際のガス噴出の有無を調べるようにした。その結果を表8に示す。
Figure 0005577565
表8に示したように、本実施例では、負極活物質層22Bに常温溶融塩を含むようにしたので、十分な加熱安全性を備えていることが確認できた。これは、負極活物質の表面に常温溶融塩が薄く被覆されることで、活物質と電解質との反応性が抑制されるためと考えられる。
(実施例9−〜9−5、9−7〜9−9、参考例9−1、9−6
実施例9−〜9−5、9−7〜9−9、参考例9−1、9−6として、常温溶融塩の含有率および結着剤の種類を表9に示すように変化させ、正極合剤スラリーの組成を変化させた以外は、実施例1−2と同様の構成を有する二次電池を作製した。正極合剤スラリーは次のようにして調製した。リチウムニッケル複合酸化物(LiNi0.8Co0.22)を、レーザー回析法で得られる累積50%粒径が15μmの粉末状とし、正極活物質とした。続いてこのリチウムニッケル複合酸化物94質量%と、導電剤としてケッチェンブラック3質量%と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量%とを混合し、さらに常温溶融塩であるDEME・TFSIを添加したのち、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとした。
また、比較例9−1〜9−4として、正極活物質層21Bに常温溶融塩を加えなかったことを除き、他は実施例9−〜9−5、9−7〜9−9、参考例9−1、9−6と同様の構成を有する二次電池を作製した。
これらの実施例9−1〜9−9、比較例9−1〜9−4の二次電池について、正極合剤スラリーの物性(スラリー性状、塗工可否)、正極の物性(電極状態、剥離特性)を評価し、実施例1−2と同様にして充放電を行い、放電容量維持率を調べた。その結果を表9に示す。
ここで、スラリー性状、塗工可否については、塗工直前(調製後60〜120分)に調べた。また、剥離特性は、オートグラフDCS‐500(島津製作所製)を用いて塗布層にテープを貼り付け、180℃の方向に50mm/分で引っ張り、引っ張る際にかかる荷重を測定した値の相対比(実施例9−3の剥離特性を1とした場合)で表す。
Figure 0005577565
表9に示したように、正極活物質層21Bに常温溶融塩を加えなかった比較例9−1〜9−4では、正極合剤スラリー攪拌中、または攪拌後に粘度が大きく増大した。PVdF−CTFE共重合体は、流動性が完全には失わなかったものの、均一な電極を作製することは困難であった。これに対して、実施例9−〜9−5、9−7〜9−9、参考例9−1、9−6では、正極活物質層21Bが常温溶融塩を含むようにしたので、正極合剤スラリーのゲル化が抑制された。すなわち、正極活物質層に常温溶融塩を添加することにより、正極合剤スラリーのゲル化を抑制できることが分かった。
また、正極活物質層21Bにおける常温溶融塩含有率を0.05質量%とした参考例9−1では、正極合剤スラリーの流動性が低下した。さらに、正極活物質層21Bにおける常温溶融塩含有率を8質量%とした参考例9−6では、剥離特性が0.3(相対比)まで低下した。このことから、正極活物質層における常温溶融塩が少ないと正極合剤スラリーのゲル化を抑制する効果が弱くなり、多すぎると剥離特性が低下することが分かった。さらに、常温溶融塩の含有率を0.1質量%以上5質量%以下とすれば、良好な正極合剤スラリーが得られ、高いサイクル特性を示すことが分かった。
(実施例10−1〜10−4)
実施例10−1〜10−4として、結着剤の平均分子量が異なる点を除き、他は実施例9−3と同様の構成を有する二次電池を作製した。また、実施例10−1〜10−4に対する比較例10−1〜10−4として、正極活物質層21Bに常温溶融塩を含まないことを除き、他は実施例10−1〜10−4とそれぞれ同様の構成を有する二次電池を作製した。
これらの実施例10−1〜10−4および比較例10−1〜10−4の二次電池について、実施例9−3と同様にして正極合剤スラリーの物性(スラリー性状、塗工可否)、正極状態(電極状態、剥離特性)を調べ、実施例1−2と同様にして充放電を行い、放電容量維持率を調べた。その結果を表10に示す。
Figure 0005577565
表10に示したように、正極活物質層21Bに常温溶融塩を添加しなかった比較例10−1〜10−4では、正極合剤スラリー攪拌中、または攪拌後に粘度が大きく増大した。これに対して実施例10−1〜10−4では、正極活物質層21Bに常温溶融塩を含有させたので、正極合剤スラリーのゲル化を抑制することができた。
また、分子量50万〜100万のポリフッ化ビニリデンからなる結着剤を使用した実施例10−2〜10−4では、正極合剤スラリーのゲル化が抑制されるとともに高い放電容量維持率を示した。すなわち、分子量70万以上の高分子量ポリフッ化ビニリデンを含む結着剤をリチウムニッケル複合酸化物を含む正極活物質とともに用いると、通常は正極合剤スラリーのゲル化が進行しやすいが、正極活物質層に常温溶融塩を添加することによって正極合剤スラリーのゲル化を完全に抑制でき、良好なサイクル特性を示すことがわかった。
(実施例11−1〜11−4)
実施例11−1〜11−4として、正極活物質層21Bに含まれる常温溶融塩の種類が異なる点を除き、他は実施例9−3と同様の構成を有する二次電池を作製した。これらの実施例11−1〜11−4の二次電池について、実施例9−3と同様にして正極合剤スラリーおよび正極の物性を評価し、実施例1−2と同様にして充放電を行い、放電容量維持率を調べた。その結果を表11に示す。
Figure 0005577565
表11に示したように、実施例11−1〜11−4では、いずれの常温溶融塩を使用した場合においても正極合剤スラリーのゲル化を完全に抑制できた。特に、実施例11−2に示したように、DEME・TFSI同様の4級アンモニウム塩であるPP13・TFSIは電気化学窓が広く、還元安定性が優れることから、極めて良好な特性を示した。すなわち、常温溶融塩として4級アンモニウム塩を使用することが好ましいことが分かった。
(実施例12−1〜12−4、参考例12−5
図3に示した積層型の二次電池を作製した。まず、炭酸リチウム(Li2CO3)と炭酸コバルト(CoCO3)とを、Li2CO3:CoCO3=0.5:1のモル比で混合し、空気中において900℃で5時間焼成してリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を得た。得られたLiCoO2についてX線回折を行ったところ、JCPDS(Joint Committee of Powder Diffraction Standard)ファイルに登録されたLiCoO2のピークとよく一致していた。次いで、このリチウムコバルト複合酸化物を粉砕して、レーザ回折法で得られる累積50%粒径が15μmの粉末状とし、正極活物質とした。
続いて、このリチウム・コバルト複合酸化物粉末95質量%と、炭酸リチウム粉末(LiCO)粉末5質量%とを混合し、この混合物94質量%と、導電剤としてケッチェンブラック3質量%と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量%とを混合し、さらに4級アンモニウム塩の常温溶融塩であるDEME・TFSIを単純添加したのち、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとした。正極活物質層における常温溶融塩の含有率については、後述する表12に示したように変化させた。
次いで、前記正極合剤スラリーを厚み15μmの帯状のアルミニウム箔よりなる正極集電体の両面に均一に塗布して130℃で十分に乾燥させたのち、圧縮成型して正極活物質層を形成し正極を作製した。これを図6に示す形状に切断し、正極を得た。
130℃において、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンは気化する蒸気圧を有するのに対し、常温溶融塩であるDEME・TFSIの蒸気圧は限り無くゼロに近い。このため、N−メチル−2−ピロリドンが完全に揮発、気化して無くなるので、正極活物質層には、DEME・TFSIのみが液体として残留することとなる。
また、負極活物質として平均粒径25μmの粒状黒鉛粉末90質量%と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)10質量部とを添加し、さらに4級アンモニウム塩の常温溶融塩であるDEME・TFSIを活物質に対して0.2%重量部添加したのち、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとした。そののち、この負極合剤スラリーを厚み10μmの帯状銅箔よりなる負極集電体の両面に均一に塗布して乾燥させ、圧縮成型して負極活物質層を形成し負極を作製した。これを図7に示す形状に切断し、負極を得た。負極合剤に添加する常温溶融塩の添加量は固定した。
電池素子は以下のようにして作製した。まず、厚さ25μmのポリプロピレン製の微多孔フィルムを図8に示す形状に切断し、これをセパレータとした。次に、上述のようにして得られた負極4枚、正極3枚、セパレータ6枚を、図5に示すように、負極、セパレータ、正極、セパレータ、・・・、正極、セパレータ、負極、の順で積層した。これにより、正極合剤層、セパレータおよび負極合剤層からなる基本積層単位を6層分内包する電池素子を作製した。なお、なお、電池素子の上下最外層は負極合剤層となるが、これらの部分は正極と対向していないため電池反応には寄与するものではない。また、この積層に際しては、積層方向から見て、正極合剤層の投影面が負極合剤層の投影面の内側に収まるように、負極と正極の相対位置を調整した。容量は、約1000mAhとした。
次に、図4に示すように正極の集電体露出部3枚を同時にアルミニウム製の集電タブに超音波溶接した。同様にして、負極の集電体露出部4枚を同時にニッケル製の集電タブに超音波溶接した。次に、非水電解液として、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒(混合比率4:2:4)にLiPFを1mol/dm溶解させたものを準備し、当該非水電解液を電池素子に含浸させた。
その後、樹脂層、アルミニウム層、樹脂層からなるアルミニウムラミネートフィルムからなる外装材を用い、減圧下で開口部を熱融着することにより電池素子を封止した。その際、正負極リードが熱融着部を介して外装材の外部に出るようにし、これらを正負極端子とした。以上により、目的とする二次電池を得た。また、比較例12−1として、正極活物質層に常温溶融塩を含まないことを除き、他は実施例12−1〜12−4、参考例12−5とそれぞれ同様の構成を有する二次電池を作製した。
作製した実施例12−1〜12−4、参考例12−5および比較例12−1の二次電池について、充放電を行い、放電容量維持率を調べた。その際、充電は、0.7Cの定電流で、電池電圧が4.2Vに達するまで行なったのち、4.2Vの定電圧で、充電の総時間が4時間になるまで行い、放電は、0.5Cの定電流で電池電圧が3.0Vに達するまで行った。その結果を表12に示す。
ここで、1Cとは、理論容量を1時間で放電しきる電流値である。放電容量維持率は、1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の割合、すなわち(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100(%)とした。なお、正極活物質層における常温溶融塩の含有率は、正極合剤スラリーの固形分に対する質量%で表す。
Figure 0005577565
表12に示したように、正極活物質層に常温溶融塩を添加しなかった比較例12−1では、正極活物質層の柔軟性、合剤保持性が不十分であるため、電極を金型で打ち抜いた際に端部の合剤が脱落されてしまった。合剤が脱落した電極にて電池特性を評価すると、端部における正極と負極の容量バランスがくずれ、電池容量とサイクル特性が共に低下した。
これに対して、実施例12−1〜12−4、参考例12−5では、正極活物質層が常温溶融塩を含むようにしたので、合剤を脱落させることは無かった。また、実施例12−1および参考例12−5と、実施例12−2〜12−4とを比較すると、特に、正極活物質層における常温溶融塩の含有率を0.1質量%以上5質量%以下とすれば、極めて良好なサイクル特性が得られるとともに、合剤の脱落はなく、ひび割れ等もないことがわかった。
(実施例13−1〜13−10)
正極活物質層に含まれる常温溶融塩の種類が異なる点を除き、他は実施例12−2と同様の構成を有する二次電池を作製した。但し、実施例13−5〜13−8では、正極活物質層に添加する常温溶融塩に、予めリチウム電解質塩[ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム;Li(CFSON、四フッ化ホウ酸リチウム;LiBF、六フッ化リン酸リチウム;LiPF、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム;Li(CSON]を予め混合した。
具体的には、正極活物質、導電剤、および結着剤を混合し、さらにリチウム電解質塩を予め混合した常温溶融塩を単純添加した後、溶剤に分散させて調製した正極合剤スラリーを用いて正極活物質層を形成した。正極活物質層に添加する常温溶融塩1dmに対し、1molのリチウム電解質塩を溶解させた。これらの実施例13−1〜13−8の二次電池について、実施例12−2と同様にして充放電を行い、放電容量維持率を調べた。その結果を表13に示す。
Figure 0005577565
表13に示したように、実施例13−1〜13−8では、いずれにおいても極めて優れた合剤保持性が示され、合剤が脱落することなく電極形成することができた。また、実施例13−2および実施例13−4から分かるように、DEME・TFSIと同様に4級アンモニウム塩であるDEME・BF、PP13・TFSIは電気化学窓が広く、還元安定性が優れることから、極めて良好な特性を示した。
正極活物質層に添加する常温溶融塩にリチウム電解質塩を予め混合した実施例1−5〜1−8では、常温溶融塩にリチウム電解質塩を予め混合しなかった実施例1−1〜1−4に対して高い放電容量維持率を示した。すなわち、正極活物質層に添加する常温溶融塩に予めリチウム電解質塩を混合することにより、放電容量維持率が向上することが分かった
(実施例14−1〜14−4、参考例14−5
実施例14−1〜14−4、参考例14−5として、正極活物質層に含有する常温溶融塩の添加量を0.2質量%に固定し、負極活物質層に含有する常温溶融塩の添加量を表14に示すように変化させたことを除き、他は実施例12−1と同様にして二次電池を作製した。また、比較例14−1として、負極活物質層に常温溶融塩を含まないことを除き、他は実施例14−1〜14−4、参考例14−5とそれぞれ同様の構成を有する二次電池を作製した。
Figure 0005577565
表14に示したように、負極活物質層に常温溶融塩を添加しなかった比較例14−1では、負極活物質層の合剤保持性が不十分であるため、電極を金型で打ち抜いた際に端部の合剤が脱落されてしまった。合剤が脱落した電極にて電池特性を評価すると、端部における正極と負極の容量バランスがくずれ、電池容量とサイクル特性が共に低下した。
これに対して実施例14−1〜14−4、参考例14−5では、負極活物質層が常温溶融塩を含むようにしたので、ポリフッ化ビニリデンのような高分子化合物からなる結着剤を使用した場合であっても、合剤を脱落させることは無かった。また、実施例14−1および参考例14−5と、実施例14−2〜14−4とを比較すると、特に、正極活物質層における常温溶融塩の含有率を0.1質量%以上5質量%以下とすれば、極めて良好なサイクル特性が得られることがわかった。
(実施例15−1〜15−10)
負極活物質層に含まれる常温溶融塩の種類が異なる点を除き、他は実施例14−2と同様の構成を有する二次電池を作製した。但し、実施例15−5〜15−8では、負極活物質層に添加する常温溶融塩に、予めリチウム電解質塩[ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム;Li(CFSON、四フッ化ホウ酸リチウム;LiBF、六フッ化リン酸リチウム;LiPF、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム;Li(CSON]を予め混合した。
具体的には、負極活物質、導電剤、および結着剤を混合し、さらにリチウム電解質塩を予め混合した常温溶融塩を単純添加した後、溶剤に分散させて調製した負極合剤スラリーを用いて負極活物質層を形成した。負極活物質層に添加する常温溶融塩1dmに対し、1molのリチウム電解質塩を溶解させた。これらの実施例15−1〜15−10の二次電池について、実施例14−2と同様にして充放電を行い、放電容量維持率を調べた。その結果を表15に示す。
Figure 0005577565
表15に示したように、実施例15−1〜15−8では、いずれにおいても極めて優れた合剤保持性が示され、合剤脱落ことなく電極形成することができた。また、負極活物質層に添加する常温溶融塩にリチウム電解質塩を予め混合した実施例15−5〜15−8では、常温溶融塩にリチウム電解質塩を予め混合しなかった実施例15−1〜15−4に対して高い放電容量維持率を示した。すなわち、負極活物質層に添加する常温溶融塩に予めリチウム電解質塩を混合することにより、放電容量維持率が向上することがわかった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は実施の形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。
本発明の第1の実施形態に係る非水電解質二次電池の構成を表す断面図である。 図1に示した二次電池における巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 本発明の第2の実施形態による非水電解質二次電池の構成の一例を示す分解斜視図である。 本発明の第2の実施形態による非水電解質二次電池に用いる電池素子の外観の一例を示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態による非水電解質二次電池に用いる電池素子の構成の一例を示す断面図である。 正極の形状の一例を示す平面図である。 負極の形状の一例を示す平面図である。 セパレータの形状の一例を示す平面図である。 本発明の第3の実施形態による非水電解質二次電池の構成の一例を示す断面図である。
符号の説明
11・・・電池缶
12,13・・・絶縁板
14・・・電池蓋
15・・・安全弁機構
15A・・・ディスク板
16・・・熱感抵抗素子
17・・・ガスケット
20・・・巻回電極体
21,41・・・正極
21A,41A・・・正極集電体
21B・・・正極活物質層
22,42・・・負極
22A,42A・・・負極集電体
22B・・・負極活物質層
23,43・・・セパレータ
24・・・センターピン
25,33・・・正極リード
26,34・・・負極リード
31,35・・・電池素子
32・・・外装部材
41B・・・正極合剤層
42B・・・負極合剤層
41C,42・・・集電体露出部
44・・・電解質層

Claims (12)

  1. 正極、負極および電解質を備えたリチウムイオン二次電池であって、
    前記正極および負極のうちの少なくとも一方は、
    集電体と、常温溶融塩および活物質を含んで前記集電体の上に設けられた活物質層とを有し、
    前記活物質層における前記常温溶融塩の含有率は、0.1質量%以上5質量%以下であり、
    前記活物質層は、アクリロニトリルを含む重合体を結着剤として含み、
    前記重合体の平均分子量が、70万以上100万以下であり、
    前記活物質層は、前記常温溶融塩および前記活物質と共に溶剤を含む電極合剤スラリーを前記集電体の上に塗布したのち、前記溶剤を揮発させたものであるリチウムイオン二次電池。
  2. 前記電解質は、電解液を含み、
    前記電解液は、カーボネート系非水溶媒を含み、
    前記活物質層が、前記電解液に含浸される請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記常温溶融塩は、3級または4級アンモニウムカチオンと、フッ素原子を有するアニオンとからなる3級または4級アンモニウム塩を含む請求項1または請求項2記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記3級または4級アンモニウムカチオンは、下式(1)〜(5)のいずれか1に示した構造を有するカチオンである請求項3記載のリチウムイオン二次電池。
    Figure 0005577565
    [式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、脂肪族基、芳香族基、複素環基またはそれらの一部の元素を置換基で置換した基を表す。]
    Figure 0005577565
    [式(2)および(3)中、m=4から5、R1、R2、R3は炭素数1から5のアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、またはニトロ基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。また、R1、R2、R3は不存在でもよい。Rは水素原子または炭素原子1から5のアルキル基であり、窒素原子は3級または4級アンモニウムカチオンである。]
    Figure 0005577565
    [式(4)および(5)中、m=0から2、m+n=3から4、R1、R2、R3は炭素数1から5のアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、またはニトロ基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。また、R1、R2、R3は不存在でもよい。R4は炭素原子数1から5のアルキル基、Rは水素原子または炭素原子数1から5のアルキル基であり、窒素原子は3級または4級アンモニウムカチオンである。]
  5. 前記式(1)〜(5)のいずれか1に示した構造を有するカチオンは、アルキル4級アンモニウムカチオン、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムカチオン、またはN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオンである請求項4記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 前記フッ素原子を有するアニオンは、BF4 -、(F−SO22−N-、または(CF3−SO22−N-である請求項3記載のリチウムイオン二次電池。
  7. 前記活物質層はリチウム電解質塩をさらに含み、
    前記リチウム電解質塩は、予め前記常温溶融塩と混合されて前記電極合剤スラリーに含まれる請求項1から6のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
  8. 前記リチウム電解質塩が、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、およびビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウムから選ばれる少なくとも1種である請求項7記載のリチウムイオン二次電池。
  9. 前記活物質は、LiNiXCo1-X2(O≦x≦1)で表わされるリチウムニッケル複合酸化物を含む請求項1から8のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
  10. 積層型二次電池である請求項1から9のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
  11. 前記正極および負極の少なくとも一方は、最小の曲率半径が2.0mm以下となるように巻回している請求項1から9のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
  12. 前記電解液にリチウム電解質塩が含まれる請求項2に記載のリチウムイオン二次電池。
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