JP2009043617A - 電解液および電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた安全性を得ることができると共に、充放電特性を向上させることができる電解液およびそれを用いた電池を提供する。
【解決手段】常温溶融塩、リン酸エステル化合物、およびリチウム塩を含む非水電解液であって、非電解液における常温溶融塩の含有量が30〜60体積%であり、非水電解液におけるリン酸エステル化合物の含有量が0.5〜5体積%であることを特徴とする非水電解液。
【選択図】図1

Description

本発明は、常温溶融塩を含む電解液およびそれを用いた電池に関する。
近年、高出力あるいは高エネルギー密度である新型電池の1つとして、リチウム(Li)の酸化・還元反応を利用し、非水系溶媒に電解質塩を溶解した非水電解液を用いた高起電力の非水電解質電池が利用されるようになっている。このような非水電解質電池では、一般に、炭酸エチレンあるいは炭酸ジエチルなどの有機溶媒に、LiBF4あるいはLiPF6などのリチウム塩を溶解した非水電解液が用いられている。
前記リチウム塩を溶解した非水電解液を用いたリチウムイオン二次電池においては、電池が破損したり、加熱されたり、何らかの原因によって電池内部における圧力が上昇し、電解液が漏洩した場合に、有機溶媒が引火燃焼する危険性がある。
そこで、引火点を有しない常温で液体状態を呈する溶融塩(以下、常温溶融塩と言う。)を電解質として用い、安全性を高めることが研究されている。例えば、四級アンモニウム有機物カチオンを有する常温溶融塩を用いた電池が提案されている(特許文献1〜4参照)。このような常温溶融塩は、高温においても重量減少が無く、負極・正極との反応による自己発熱も極めて小さい。
また、非水電解液に難燃化剤を配合し、非水電解液に難燃性を付与する研究が進められている。具体的には、リチウムイオン二次電池用難燃性電解液として、種々のリン酸エステルを配合したものを用いることが検討されている(特許文献5〜9参照)。
特開平4−349365号公報 特開平10−92467号公報 特開平11−86905号公報 特開平11−260400号公報 特開昭58−206078号公報 特開昭60−23973号公報 特開昭61−284070号公報 特開平4−184870号公報 特開平8−88023号公報
リチウムイオン二次電池の電解質として常温溶融塩を過剰に用いると、非水電解液の粘性が高くなり、イオン伝導性が極端に低下してしまい、十分な電池性能が得られない。そのため、現実的には非水電解液に常温溶融塩を混合する形態が提案されている。しかし、本発明者らが検討した結果、常温溶融塩を混合して非水電解液に効果的な難燃性を付与させるためには、90体積%以上もの量が必要であることが分かった。
また、リン酸トリメチル等のリン酸エステルを配合した非水電解液は、優れた難燃性を発揮する一方で、負極の材質によっては、使用中に還元分解され、充放電特性に悪影響を及ぼし、充放電サイクルの初期段階において充分な放電容量が得られなかったり、充放電を繰り返し行うことにより放電容量が低下し易くなるという問題がある。このような理由から、リン酸エステルの添加量を多くすることは難しかった。
さらに、リン酸エステルを少量非水電解液に配合しても、非水電解液に難燃性を付与させることはできるが、電池不安定モード時に非水電解液と正極、非水電解液と負極の反応による自己発熱を抑制する効果は備えておらず、電池の熱暴走を抑制することは出来ないので、根本的に安全な電池は得られていなかった。
したがって、本発明の目的は、本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた安全性を得ることができると共に、充放電特性を向上させることができる非水電解液およびそれを用いた非水電解液電池を提供することにある。
上記課題を鋭意検討した結果、本発明の研究者は、常温溶融塩およびリン酸エステル化合物を特定の含有量で非水電解液に含有させることにより、常温溶融塩を過剰に用いなくとも、優れた安全性および充放電特性を備えた非水電解液が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の非水電解液は、常温溶融塩、リン酸エステル化合物、およびリチウム塩を含む。非電解液における常温溶融塩の含有量は30〜60体積%であり、非水電解液におけるリン酸エステル化合物の含有量が0.5〜5体積%の範囲である。
本発明の非水電解液電池は、正極および負極と共に非水電解液を備えたものであって、
非水電解液は常温溶融塩、リン酸エステル化合物、およびリチウム塩を含む。非電解液における前記常温溶融塩の含有量が30〜60体積%であり、非水電解液におけるリン酸エステル化合物の含有量が0.5〜5体積%である。
本発明の非水電解液および非水電解液電池によれば、非水電解液中に常温溶融塩を30〜60体積%の範囲で含むようにしたので、高温においても重量減少が少なく、負極・正極との反応による自己発熱も抑制される。また、それと同時にリン酸エステル化合物を0.5〜5体積%の範囲で含むようにしたので、非水電解液の難燃性も付与された。よって、電池が不安定モードに入っても、電解液に引火することはなく、また、電池内の自己発熱も常温溶融塩の低発熱性に起因して抑制されるので、電池温度上昇による熱暴走が起こることも無い。
また、常温溶融塩の混合比率を30〜60体積%の範囲にしたので、イオン伝導度低下による電池性能低下を大きく招くことは無い。さらに、リン酸エステル化合物の混合比率を0.5〜5体積%の範囲にしたので、負極側における還元分解による電池性能低下を大きく招くことは無い。
更に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを含むようにすれば、負極表面に良好な被膜を形成することができ、負極における電極反応物質の拡散および受け入れ性を向上させることができる。
また、更に常温溶融塩として3級または4級アンモニウムカチオンと、フッ素原子を有するアニオンとからなる3級または4級アンモニウム塩を含むようにすれば、常温溶融塩自体の電気化学的安定性を十分確保することができる。このことにより、優れた安全性および充放電特性を向上させることが可能となる。
つまり、本発明の電解液によれば、非水電解液中に常温溶融塩とリン酸エステル化合物を特定の混合範囲で同時に含むことにより、高安全、高信頼性の電池を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、帯状の正極21と負極22とがセパレータ23を介して巻回された巻回電極体20を有している。電池缶11は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12、13がそれぞれ配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡または外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体20の中心には例えばセンターピン24が挿入されている。巻回電極体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
図2は図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表すものである。正極21は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、正極集電体21Aの片面のみに正極活物質層21Bを設けるようにしてもよい。
正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔およびステンレス箔などの金属箔により構成されている。
正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料を含んで構成されている。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム酸化物、リチウム硫化物、リチウムを含む層間化合物およびリン酸化合物などのリチウム含有化合物が適当であり、これらの複数種を混合して用いてもよい。中でも、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、またはリチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物が好ましく、特に遷移金属元素として、コバルト(Co)、ニッケル、マンガン(Mn)、鉄、アルミニウム、バナジウム(V)、およびチタン(Ti)のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。その化学式は、例えば、LixMIO2またはLiyMIIPO4で表される。式中、MIおよびMIIは1種または複数種の遷移金属元素を含む。xおよびyの値は電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物の具体例としては、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケル複合酸化物、およびスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn24)などが挙げられる。リチウムニッケル複合酸化物としては、例えば、、LiNixCo1-x2(O≦x≦1)、LixNiO2、LiNixCoyO2およびLixNi1-zCoz2(z<1)などが挙げられる。リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物の具体例としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4)およびリチウム鉄マンガンリン酸化合物[LiFe1-uMnuPO4(u<1)]などが挙げられる。
また、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、他の金属化合物および高分子材料も挙げられる。他の金属化合物としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムおよび二酸化マンガンなどの酸化物、または硫化チタンおよび硫化モリブデンなどの二硫化物が挙げられる。高分子材料としては、例えば、ポリアニリンおよびポリチオフェンなどが挙げられる。
負極22は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられた構成を有している。なお、図示はしないが、負極集電体22Aの片面のみに負極活物質層22Bを設けるようにしてもよい。負極集電体22Aは、例えば、銅箔、ニッケル箔およびステンレス箔などの金属箔により構成されている。
負極活物質層22Bは、例えば、負極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または複数種を含んで構成されており、必要に応じて、例えば正極活物質層21Bと同様の導電剤および結着剤を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、黒鉛、難黒鉛化性炭素および易黒鉛化性炭素などの炭素材料が挙げられる。これらの炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好な充放電サイクル特性を得ることができるので好ましい。特に、黒鉛は電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。
黒鉛としては、真密度が2.10g/cm3以上のものが好ましく、2.18g/cm3以上のものであればより好ましい。なお、このような真密度を得るには、(002)面のC軸結晶子厚みが14.0nm以上であることが必要である。また、(002)面の面間隔は、0.340nm未満であることが好ましく、0.335nm以上0.337nm以下の範囲内であればより好ましい。黒鉛は、天然黒鉛であってもよいし、人造黒鉛であってもよい。
難黒鉛化性炭素としては、(002)面の面間隔が0.37nm以上、真密度が1.70g/cm3未満であると共に、空気中での示差熱分析(differential thermal analysis;DTA)において、700℃以上に発熱ピークを示さないものが好ましい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、また、リチウムを吸蔵および放出することが可能であり、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む負極材料も挙げられる。このような負極材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。この負極材料は金属元素または半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、また、これらの1種または複数種の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、本発明において、合金には複数種の金属元素からなるものに加えて、1種または複数種の金属元素と1種または複数種の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物またはそれらのうちの複数種が共存するものがある。
負極材料を構成する金属元素または半金属元素としては、例えば、リチウムと合金を形成可能なマグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)および白金(Pt)などが挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
中でも、この負極材料としては、短周期型周期表における4B族の金属元素または半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、特に好ましいのはケイ素およびスズの少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素およびスズは、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、ニッケル、銅(Cu)、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン(Ti)、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン(Sb)、およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズの化合物またはケイ素の化合物としては、例えば、酸素(O)または炭素(C)を含むものが挙げられ、スズまたはケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
正極活物質層21Bおよび負極活物質層22Bは、必要に応じて導電剤および結着剤を含んでいてもよい。導電剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラックおよびケッチェンブラックなどの炭素材料が挙げられ、1種または複数種を混合して用いる。また、炭素材料の他にも、導電性を有する材料であれば金属材料および導電性高分子材料などを用いてもよい。
結着剤としては、例えば、フッ化ビニリデンおよびアクリロニトリルのうちの少なくとも一方を含む重合体が好ましい。電池内での安定性が高いからである。これらの結着剤は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
フッ化ビニリデンを主成分として含む重合体としては、例えば、フッ化ビニリデン系重合体、または共重合体が挙げられる。フッ化ビニリデン系重合体としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)が挙げられる。また、フッ化ビニリデン系共重合体としては、例えばフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−カルボン酸共重合体、およびフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−カルボン酸共重合体などが挙げられる。
アクリロニトリルを主成分として含む重合体としては、例えばアクリロニトリル重合体または共重合体が挙げられる。アクリロニトリル重合体としては、例えばポリアクリロニトリル(PAN)が挙げられる。
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどよりなる合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の不織布などの無機材料よりなる多孔質膜により構成されており、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜は短絡防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。特に、ポリエチレンは、100℃以上160℃以下の範囲内においてシャットダウン効果を得ることができ、かつ電気化学的安定性にも優れているので、セパレータ23を構成する材料として好ましい。また、ポリプロピレンも好ましく、他にも、化学的安定性を備えた樹脂であればポリエチレンまたはポリプロピレンと共重合させたり、またはブレンド化したりすることで用いることができる。
セパレータ23には、電解液が含浸されている。電解液は、例えば、溶媒と該溶媒に溶解された電解質塩とを含んでいる。
溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(以下、ECと言う。)、ジエチルカーボネート(以下、DECと言う。)、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート(以下、PCと言う。)、ジメチルカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(以下、FECと言う。)などのカーボネート系非水溶媒が挙げられる。その他の溶媒としては、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、およびエチレンスルフィトが挙げられる。なかでも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ビニレン、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルおよびエチレンスルフィトは、優れた充放電容量特性および充放電サイクル特性を得ることができるので好ましい。
溶媒は常温溶融塩を含む。常温溶融塩の含有量は、非水電解液において30〜60体積%とすることが好ましい。常温溶融塩の濃度をこの範囲内とすることで、高温においても重量減少が少なく、負極・正極との反応による自己発熱も抑制される。また、この範囲内とすることで、イオン伝導度低下による電池性能の低下を大きく招くことは無いからである。非水電解液における常温溶融塩の含有量を30体積%より低くすると、負極・正極との反応による自己発熱も抑制が不十分となり、電池の発火が生じる恐れがある。また、非水電解液における常温溶融塩の含有量を60体積%より高くすると、電解液のイオン伝導度および活物質界面での反応性が低下し、良好なサイクル特性が得られない。
常温溶融塩は、例えば、3級または4級アンモニウムカチオンと、フッ素原子を有するアニオンとからなる3級または4級アンモニウム塩を含んでいることが好ましい。3級または4級アンモニウム塩を用いることで、後述する電解液の還元分解を抑制することができるからである。常温溶融塩は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。なお、3級または4級アンモニウムカチオンには、3級または4級アンモニウムカチオンの特性を有するものも含む。
4級アンモニウムカチオンとしては、例えば、下式(1)に示す構造を有するカチオンが挙げられる。
Figure 2009043617
式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、脂肪族基、芳香族基、複素環基またはそれらの一部の元素を置換基で置換した基を表す。R1、R2、R3およびR4は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
脂肪族基としては、例えば、アルキル基、アルコキシル基などが挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。脂肪族基の一部の元素を置換基で置換した基としては、例えば、メトキシエチル基が挙げられる。置換基としては、例えば、炭素数1から10の炭化水素基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基が挙げられる。
芳香族基としては、例えば、アリル基などが挙げられる。
複素環基としては、例えば、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、ベンズイミダゾール、ピペリジン、ピロリジン、カルバゾール、キノリン、ピロリジニウム、ピペリジニウム、ピペラジニウムなどが挙げられる。
式(1)に示す構造を有するカチオンとしては、例えば、アルキル4級アンモニウムカチオン、あるいはこれらの一部の官能基を炭素数1から10の炭化水素基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基で置換したカチオンなどが挙げられる。アルキル4級アンモニウムカチオンとしては、(CH33R5N+(R5は炭素数3から8のアルキル基またはアルケニル基を表す)が好ましい。このようなカチオンとしては、例えば、トリメチルプロピルアンモニウムカチオン、トリメチルオクチルアンモニウムカチオン、トリメチルアリルアンモニウムカチオン、トリメチルヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオンなどが挙げられる。
また、式(1)に示す構造を有するカチオン以外の3級または4級アンモニウムカチオンとしては、下式(2)〜(5)のいずれか1に示した構造を有する含窒素複素環カチオンが挙げられる。該含窒素複素環カチオンとは、式(2)〜(5)に示すように複素環を構成する窒素原子上に正電荷を有するものを示す。
Figure 2009043617
式(2)は共役結合を有し、式(3)は共役結合を有さない構造を示す。式(2)および(3)中、m=4から5、R1、R2、R3は炭素数1から5のアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、またはニトロ基であり、互いに同一であっても異なっていても良い。また、R1、R2、R3は不存在でもよい。Rは水素原子または炭素原子1から5のアルキル基であり、窒素原子は3級または4級アンモニウムカチオンである。
Figure 2009043617
式(4)は共役結合を有し、式(5)は共役結合を有さない構造を示す。式(4)および(5)中、m=0から2、m+n=3から4、R1、R2、R3は炭素数1から5のアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、またはニトロ基であり、互いに同一であっても異なっていても良い。また、R1、R2、R3は不存在でもよい。R4は炭素原子数1から5のアルキル基、Rは水素原子または炭素原子数1から5のアルキル基であり、窒素原子は3級または4級アンモニウムカチオンである。
式(2)〜(5)のいずれかで示した構造を有する含窒素複素環カチオンとしては、例えば、ピロリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ベンズイミダゾリウムカチオン、インドリウムカチオン、カルバゾリウムカチオン、キノリニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、またはこれらの一部の官能基を炭素数1から10の炭化水素基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシアルキル基で置換したカチオンが挙げられる。このような含窒素複素環カチオンとしては、例えば、エチルメチルイミダゾリウムカチオン、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムカチオンが挙げられる。
フッ素原子を有するアニオンとしては、例えば、BF4 -、PF6 -、Cn2n+1CO2 -(nは1から4の整数である)、Cm2m+1SO3 -(mは1から4の整数である)、(FSO22-、(CF3SO22-、(C25SO22-、(CF3SO2)(C49SO2)N-、(CF3SO23-、CF3SO2−N-−COCF3、またはR5−SO2−N-−SO2CF3(R5は脂肪族基または芳香族基を表す。)が挙げられる。中でも、BF4 -、(F−SO22−N-、(CF3−SO22−N-、(C25SO22-または(CF3SO2)(C49SO2)N-が好ましく、BF4 -、(F−SO22−N-、(CF3−SO22−N-がより好ましい。
式(1)に示す構造を有するカチオンとフッ素原子を有するアニオンからなる常温溶融塩としては、アルキル4級アンモニウムカチオンとフッ素原子を有するアニオンとからなるものが特に好ましい。中でも、アルキル4級アンモニウムカチオンとして(CH33R5N+(R5は炭素数3から8のアルキル基またはアルケニル基を表す)を用い、フッ素原子を有するアニオンとして(CF3SO22-、(C25SO22-または(CF3SO2)(C49SO2)N-を用いる常温溶融塩がより好ましい。このような常温溶融塩としては、例えば、トリメチルプロピルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(以下、TMPA・TFSIと言う。)、トリメチルオクチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリメチルアリルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリメチルヘキシルアンモニウム・ビス(トリメチルフルオロスルホニル)イミド(以下、TMHA・TFSIと言う。)などが挙げられる。
上記のほか、例えば、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(以下、DEME・TFSIと言う。)、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2メトキシエチル)アンモニウム・テトラフルオロボレート(以下、DEME・BF4と言う。)などが挙げられる。
含窒素複素環カチオンとフッ素原子を有するアニオンからなる常温溶融塩としては、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(以下、EMI・TFSIと言う。)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・テトラフルオロボレート(以下、EMI・BF4と言う。)、N−メチル−N−プロピルピペリジニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(以下、PP13・TFSIと言う。)、N−メチル−N−プロピルピペリジニウム・ビス(フルオロスルホニル)イミド(以下、PP13・FSIと言う。)、N−メチル−N−プロピルピロリジニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(以下、MPPy・TFSIと言う。)、N−メチル−N−プロピルピロリジニウム・ビス(フルオロスルホニル)イミド(以下、MPPy・FSIと言う。)などが挙げられる。
溶媒は、上記常温溶融塩に加えて、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを含んでいることが好ましい。負極表面に良好な被膜を形成して、リチウムの拡散および受け入れ性を向上させることができるからである。4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの含有量は、非水電解液において、1〜20体積%とすることが好ましい。この範囲内とすることで、負極界面において良好な被膜を形成し、優れたサイクル特性が得られるからである。
また、溶媒は、リン酸エステル化合物を含む。リン酸エステル化合物の含有量は、非水電解液において0.5〜5体積%とすることが好ましく、0.7〜3体積%とすることがより好ましい。リン酸エステル化合物の濃度をこの範囲内とすることで、非水電解液に難燃性を付与するとともに、負極側における還元分解による電池性能低下を大きく招くことがないからである。非水電解液におけるリン酸エステル化合物の含有量を0.5体積%より低くすると、非水電解液に十分な難燃性もを付与することができず、電解液の引火が生じる恐れがある。また、非水電解液におけるリン酸エステル化合物の含有量を5体積%より高くすると、負極側における還元分解により電池性能が低下し、良好なサイクル特性が得られない。
リン酸エステル化合物としては、例えば、下式(6)に示すリン酸エステル化合物が挙げられる。式(5)は代表的な構造式を示すが、リン酸エステル化合物部類としては、この構造に限らない。
Figure 2009043617
式(6)中、R1〜R3は、炭素数が1〜6のアルキル基またはハロゲン化アルキル基を示し、R1〜R3は同一であっても異なっていてもよい。式(6)に示す構造を有するリン酸エステル化合物としては、例えば、トリメチルフォスフェート(以下、TMPと言う。)、トリエチルフォスフェート(以下、TEPと言う。)、トリブチルフォスフェート(以下、TBPと言う。)、トリプロピルフォスフェート(以下、TPPと言う。)、トリフルオロエチルフォスフェート(以下、TFPと言う。)、エチルジメチルフォスフェート(以下、EDMPと言う。)、およびエチレンエチルフォスフェート(以下、EEPと言う。)等が挙げられる。
溶媒は電解質塩としてリチウム塩を含有する。リチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム[Li(C25SO22N]、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiSO3CF3)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム[Li(CF3SO22N]、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチルリチウム[LiC(SO2CF33]、塩化リチウム(LiCl)および臭化リチウム(LiBr)などのリチウム電解質塩が挙げられる。これらの電解質塩は、いずれか1種または複数種を混合して用いる。非水電解液におけるリチウム塩の含有量は、0.7mol/l〜1.8mol/lとすることが好ましい。この範囲内とすることで優れたイオン伝導度が得られるからである。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、例えば、正極活物質と、導電材と、結着材とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、この正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し、正極21を作製する。
また、例えば、負極活物質と、結着材とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、この負極合剤スラリーを負極集電体22Aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、ロールプレス機などにより圧縮成型して負極活物質層22Bを形成し、負極22を作製する。
次いで、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。そののち、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12,13で挟み電池缶11の内部に収納する。正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋14,安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1に示した二次電池が完成する。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極活物質層21Bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極活物質層22Bに吸蔵される。また、放電を行うと、例えば、負極活物質層22Bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極活物質層21Bに吸蔵される。
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
(実施例1−1〜1−6、比較例1−1〜1−12)
図1、2に示す円筒型の二次電池を作製した。まず、正極活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO2)粉末95質量%と、炭酸リチウム粉末(Li2CO3)粉末5質量%とを混合し、この混合物94質量%と、導電材としてケッチェンブラック3質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン3質量%とを混合し、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとした。次いで、この正極合剤スラリーを厚み20μmの帯状のアルミニウム箔よりなる正極集電体21Aの両面に均一に塗布して乾燥させ、圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し正極21を作製した。そののち、正極集電体21Aの一端にアルミニウム製の正極リード25を取り付けた。
また、負極活物質として平均粒径23μmの粒状黒鉛粉末95質量%と、結着材であるポリフッ化ビニリデン5質量部とを混合し、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとした。そののち、この負極合剤スラリーを厚み20μmの帯状銅箔よりなる負極集電体22Aの両面に均一に塗布して乾燥させ、圧縮成型して負極活物質層22Bを形成し負極22を作製した。続いて、負極集電体22Aの一端にニッケル製の負極リード26を取り付けた。
正極21および負極22をそれぞれ作製したのち、正極21と負極22とを厚み22μmの微多孔性ポリエチレンフィルムよりなるセパレータ23を介して積層し、多数回巻回することにより巻回電極体20を作製した。次いで、巻回電極体20を一対の絶縁板12,13で挟み、負極リード26を電池缶11に溶接すると共に、正極リード25を安全弁機構15に溶接して、巻回電極体20をニッケルめっきした鉄製の電池缶11の内部に収納した。続いて、電池缶11の内部に電解液を注入し、ガスケット27を介して電池蓋24を電池缶21にかしめることにより円筒型の二次電池を作製した。
電解液には、混合有機溶媒(エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、フルオロエチレンカーボネート混合)と常温溶融塩(MPPi・TFSI:N−メチル−N−プロピルピペリジニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド)とリン酸エステル化合物(TMP:トリメチルフォスフェート)の混合電解液を用いた。
その際、前記常温溶融塩は、電解質塩としてLiN(CF3SO22を1mol/lの濃度で溶解させたものを用いた。前記有機溶媒には、電解質塩としてLiPF6を1mol/lの濃度で溶解させたものを用いた。実施例1−1〜1−6、比較例1−1〜1−12では、混合有機溶媒、常温溶融塩、およびリン酸エステル化合物の混合比率を表1に示すように変えた。
作製した実施例1−1〜1−6、比較例1−1〜1−12の二次電池について、充放電を行い、放電容量維持率を調べた。その際、充電は、0.05Cの定電流で、電池電圧が4.2Vに達するまで行い、放電は、0.05Cの定電流で電池電圧が3.0Vに達するまで行った。0.05Cというのは、理論容量を20時間で放電しきる電流値である。放電容量維持率は、1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の割合、すなわち(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100(%)とした。さらに電池を冶具で固定し、ボトム側をガスバーナーで直接加熱した。3分間加熱し、開裂後の電解液への引火とその後の熱暴走(発火)の有無を調べた。その結果を表1に示す。
Figure 2009043617
実施例1−1〜1−8では、非水電解液に常温溶融塩(MPPi・TFSI)を30〜60体積%含むようにしたので、非水電解液と負極または正極との反応が抑制され、つまり、自己発熱が抑制されたことにより、熱暴走も確認されなかった。また、非水電解液にリン酸エステル化合物(TMP)を0.5〜5体積%含むようにしたので、電解液の引火は確認されなかった。さらに、非水電解液におけるリン酸エステル化合物と常温溶融塩の添加量を最適化したことにより、サイクル特性も良好な結果を示し、高安全かつ高性能なリチウムイオン二次電池が得られた。
これに対して、比較例1−1では、非水電解液に常温溶融塩およびリン酸エステル化合物を含まないため、サイクル特性は良好であったが、非水電解液への引火と激しい熱暴走が確認された。
比較例1−2では、非水電解液に常温溶融塩を含まず、リン酸エステル化合物の含有量が少ないため、サイクル特性は良好であったが、非水電解液への引火と激しい熱暴走が確認された。
比較例1−3では、非水電解液に常温溶融塩を含まないため熱暴走が抑えられず、リン酸エステル化合物添加量が多いので電解液への引火は見られなかったが、サイクル特性は負極活物質表面上におけるリン酸エステル化合物の還元分解により極端に低下した。
比較例1−4、1−5では、非水電解液にリン酸エステル化合物を2体積%含むようにしたので電解液の引火は確認されなかったが、常温溶融塩の含有量が少ないので、激しい熱暴走が確認された。
比較例1−6、1−7では、非水電解液にリン酸エステル化合物を2体積%含むようにしたので、電解液の引火は確認されなかった。また、常温溶融塩を十分含むようにしたので自己発熱が抑制されたことにより、熱暴走も確認されなかったが、含有量が多すぎることにより、電解液のイオン伝導度が極端に低下し、また、活物質界面での反応性が低下し、良好なサイクル特性が得られなかった。
比較例1−8〜1−10では、非水電解液にリン酸エステル化合物を含まないので、常温溶融塩の量を変えても、結局電解液への引火は抑制できなかった。
比較例1−11では、非水電解液に常温溶融塩を40体積%含むようにしたので熱暴走は確認されなかったが、リン酸エステル化合物の含有量が少ないため、電解液への引火が抑制できなかった。
比較例1−12では、非水電解液に常温溶融塩を40体積%含むようにしたので熱暴走は確認されなかったが、リン酸エステル化合物の含有量が多すぎることにより、電解液のイオン伝導度が低下した、
(実施例2−1〜2−8)
実施例2−1〜2−8では常温溶融塩の種類を、表2に示すように変えた以外は、実施例1−2と同様に非水電解液電池を作製し、その物性を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2009043617
表2から分かるように、表2に示す常温溶融塩のいずれを用いても、電解液の引火および熱暴走は確認されなかった。また、4級アンモニウムカチオン構造を有した常温溶融塩を用いた実施例2−1〜2−6では、常温溶融塩の電気化学的安定性が増したことにより、優れたサイクル特性を示した。
(実施例3−1〜3−6)
実施例3−1〜3−6では、リン酸エステル化合物の種類を表3に示すように変えた以外は、実施例1−2と同様に非水電解液電池を作製し、その物性を評価した。その結果を表3に示す。
Figure 2009043617
表3から分かるように、表3に示すリン酸エステルのいずれを用いても、電解液の引火および熱暴走は確認されなかった。
(実施例4−1〜4−8)
実施例4−1〜4−8では、有機溶媒の種類と組成を表4に示すように変えた以外は、実施例1−2と同様に非水電解液電池を作製し、その物性を評価した。その結果を表4に示す。
Figure 2009043617
表4からわかるように、表4に示す種類および組成のいずれの有機溶媒を用いても、電解液の引火および熱暴走は確認されなかった。また、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの全電解液に対する割合は、1〜20体積%の範囲程度であれば、負極界面において良好な皮膜を形成し、優れたサイクル特性を得られることが分かった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は実施の形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。
本発明の実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。 図1に示した二次電池における巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。
符号の説明
11 電池缶
12,13 絶縁板
14 電池蓋
15 安全弁機構
15A ディスク板
16 熱感抵抗素子
17 ガスケット
20 巻回電極体
21 正極
21A 正極集電体
21B 正極活物質層
22 負極
22A 負極集電体
22B 負極活物質層
23 セパレータ
24 センターピン
25 正極リード
26 負極リード

Claims (16)

  1. 常温溶融塩、リン酸エステル化合物、およびリチウム塩を含む非水電解液であって、非電解液における前記常温溶融塩の含有量が30〜60体積%であり、
    非水電解液における前記リン酸エステル化合物の含有量が0.5〜5体積%であることを特徴とする非水電解液。
  2. 前記常温溶融塩は、3級または4級アンモニウムカチオンと、フッ素原子を有するアニオンとからなる3級または4級アンモニウム塩を含むことを特徴とする請求項1記載の非水電解液。
  3. 前記3級または4級アンモニウムカチオンは、下式(1)〜(5)のいずれかに示した構造を有するカチオンであることを特徴とする請求項2記載の非水電解液。
    Figure 2009043617
    [式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、脂肪族基、芳香族基、複素環基またはそれらの一部の元素を置換基で置換した基を表す。]
    Figure 2009043617
    [式(2)および(3)中、m=4から5、R1、R2、R3は炭素数1から5のアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、またはニトロ基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。また、R1、R2、R3は不存在でもよい。Rは水素原子または炭素原子1から5のアルキル基であり、窒素原子は3級または4級アンモニウムカチオンである。]
    Figure 2009043617
    [式(4)および(5)中、m=0から2、m+n=3から4、R1、R2、R3は炭素数1から5のアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、またはニトロ基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。また、R1、R2、R3は不存在でもよい。R4は炭素原子数1から5のアルキル基、Rは水素原子または炭素原子数1から5のアルキル基であり、窒素原子は3級または4級アンモニウムカチオンである。]
  4. 前記フッ素原子を有するアニオンは、BF4 -、(F−SO22−N-、または(CF3−SO22−N-であることを特徴とする請求項1記載の非水電解液。
  5. 前記リン酸エステル化合物が、下式(6)に示すリン酸エステル化合物であることを特徴とする請求項1記載の非水電解液。
    Figure 2009043617
    [式(6)中、R1〜R3は、炭素数が1〜6のアルキル基またはハロゲン化アルキル基を示し、R1〜R3は同一であっても異なっていてもよい。]
  6. 前記リン酸エステル化合物が、トリメチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリプロピルフォスフェート、トリフルオロエチルフォスフェート、エチルジメチルフォスフェート、およびエチレンエチルフォスフェートのいずれか1である請求項5に記載の非水電解液。
  7. さらに4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを含むことを特徴とする請求項1記載の非水電解液。
  8. 4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの含有量が非水電解液において1〜20体積%であることを特徴とする請求項7記載の非水電解液。
  9. 正極および負極と共に非水電解液を備えた非水電解液電池であって、
    前記非水電解液は常温溶融塩、リン酸エステル化合物、およびリチウム塩を含む非水電解液であり、
    前記非電解液における前記常温溶融塩の含有量が30〜60体積%であり、
    非水電解液における前記リン酸エステル化合物の含有量が0.5〜5体積%であることを特徴とする非水電解液電池。
  10. 前記常温溶融塩は、3級または4級アンモニウムカチオンと、フッ素原子を有するアニオンとからなる3級または4級アンモニウム塩を含むことを特徴とする請求項9記載の非水電解液電池。
  11. 前記3級または4級アンモニウムカチオンは、下式(1)〜(5)のいずれかに示した構造を有するカチオンであることを特徴とする請求項9記載の非水電解液電池。
    Figure 2009043617
    [式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、脂肪族基、芳香族基、複素環基またはそれらの一部の元素を置換基で置換した基を表す。]
    Figure 2009043617
    [式(2)および(3)中、m=4から5、R1、R2、R3は炭素数1から5のアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、またはニトロ基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。また、R1、R2、R3は不存在でもよい。Rは水素原子または炭素原子1から5のアルキル基であり、窒素原子は3級または4級アンモニウムカチオンである。]
    Figure 2009043617
    [式(4)および(5)中、m=0から2、m+n=3から4、R1、R2、R3は炭素数1から5のアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、またはニトロ基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。また、R1、R2、R3は不存在でもよい。R4は炭素原子数1から5のアルキル基、Rは水素原子または炭素原子数1から5のアルキル基であり、窒素原子は3級または4級アンモニウムカチオンである。]
  12. 前記フッ素原子を有するアニオンは、BF4 -、(F−SO22−N-、または(CF3−SO22−N-であることを特徴とする請求項9記載の非水電解液電池。
  13. 前記リン酸エステル化合物が、下式(6)に示すリン酸エステル化合物であることを特徴とする請求項9記載の非水電解液電池。
    Figure 2009043617
    [式(6)中、R1〜R3は、炭素数が1〜6のアルキル基またはハロゲン化アルキル基を示し、R1〜R3は同一であっても異なっていてもよい。]
  14. 前記リン酸エステル化合物が、トリメチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリプロピルフォスフェート、トリフルオロエチルフォスフェート、エチルジメチルフォスフェート、およびエチレンエチルフォスフェートのいずれか1である請求項13記載のs非水電解液電池。
  15. 前記非水電解液がさらに4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを含むことを特徴とする請求項9記載の非水電解液電池。
  16. 4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンの含有量が非水電解液において1〜20体積%であることを特徴とする請求項15記載の非水電解液。
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