JP4167012B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン二次電池、特に、サイクル寿命性能、および熱安定性が優れたリチウムイオン二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、民生用の携帯電話、ポータブル機器や携帯情報端末などの急速な小型軽量化・多様化に伴い、その電源である電池に対して、小型で軽量かつ高エネルギー密度で、さらに長期間繰り返し充放電が実現できる二次電池の開発が強く要求されている。なかでも、水溶液系電解液を使用する鉛電池、ニッケルカドミウム電池、およびニッケル水素電池と比較して、これらの要求を満たす二次電池として、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池が最も有望であり、活発な研究がおこなわれている。
【0003】
非水電解質二次電池の正極活物質には、二硫化チタン、五酸化バナジウムおよび三酸化モリブデンをはじめとしてリチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物およびスピネル型リチウムマンガン酸化物等の一般式LixMO2(ただし、Mは一種以上の遷移金属)で表される種々の化合物が検討されている。なかでも、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物およびスピネル型リチウムマンガン酸化物などは、4V(vs Li/Li+)以上の極めて貴な電位で充放電をおこなうため、正極として用いることで高い放電電圧を有する電池を実現できる。
【0004】
非水電解質二次電池の負極活物質には、金属リチウム、リチウム合金、リチウムの吸蔵・放出が可能な炭素材料などの種々のものが検討されているが、なかでも炭素材料を使用すると、サイクル寿命の長い電池が得られ、かつ安全性が高いという利点がある。
【0005】
非水電解質二次電池の電解質には、一般にエチレンカーボネートやプロピレンカーボネートなどの高誘電率溶媒とジメチルカーボネートやジエチルカーボネートなどの低粘度溶媒との混合系溶媒にLiPF6やLiBF4等の支持塩を溶解させた電解質が使用されている。
【0006】
しかしながら、非水電解質二次電池は、充放電サイクルが進むに従い、負極上で非水電解質中の支持塩や溶媒の分解が進行して、電解液の枯渇が生じる、あるいは、負極表面やセパレータの細孔部に溶媒の分解生成物が堆積してリチウムイオンの移動を阻害して、電池の内部抵抗が増加し、放電容量が低下するという問題がある。
【0007】
これらの問題点を改善するために、近年、充放電サイクル時における電解液の分解を抑制するための様々な手法が提案されている。例えば、特開平10−189042号公報では、電解液に環状硫酸エステル化合物を添加することが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
電解液に環状硫酸エステル化合物を添加した場合においては、未添加の電解液を用いた場合と比較して、負極上での電解液の分解反応を抑制することができるが、その効果は充分でなく、また、異常加熱時において、充電状態の負極との反応性が高く、電池の熱安定性が低下する問題があった。
【0009】
そこで本発明は、電解液に環状硫酸エステル化合物を添加した場合の問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、初期の放電容量を低下させることなく、充放電サイクル時の容量低下が小さく、長寿命であり、また、熱安定性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、正極と、負極と、セパレータと、非水電解質を備えたリチウムイオン二次電池において、前記非水電解質が、非水溶媒と、支持塩と、酢酸と、化学式(1)または化学式(2)で表される環状硫酸エステル誘導体の少なくとも一種を含み、電解質中の前記環状硫酸エステル誘導体の濃度が2質量%以下であり、酢酸の濃度が0.2質量%以下であることを特徴とする。
【0011】
【化3】
【0012】
【化4】
【0013】
(但し、式(1)において、R1〜R4は、各々独立して水素、ハロゲン元素、または炭素数1〜4のアルキル基を表す)。
【0014】
請求項1の発明によれば、充放電サイクル時の容量低下が小さく、長寿命である非水電解質二次電池が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
本発明は、正極と、負極と、セパレータと、非水電解質を備えたリチウムイオン二次電池において、前記非水電解質が、非水溶媒と、支持塩と、酢酸と、化学式(1)または化学式(2)で表される環状硫酸エステル誘導体の少なくとも一種を含み、電解質中の前記環状硫酸エステル誘導体の濃度が2質量%以下であり、酢酸の濃度が0.2質量%以下であることを特徴とする。
【0019】
【化5】
【0020】
【化6】
【0021】
なお、化学式(1)および化学式(2)において、R1〜R4は、各々独立して水素、ハロゲン元素、または炭素数1〜4のアルキル基を表すものとする。また、炭素数1〜4のアルキル基は不飽和結合を有するものでもよい。
【0022】
非水電解質中に酢酸を含有させることにより、負極表面上にカルボン酸リチウムを含むSEIが形成される。このSEIは、酢酸を含まない電解液を用いた場合に形成されるSEIよりも溶媒の還元分解が抑制される。また、負極上に形成される皮膜は熱安定性が高く(高温での電解液との反応性が低い)、異常加熱時においても発熱が小さい。
【0023】
さらに、化学式(1)または化学式(2)で表される環状硫酸エステルを含有させることにより、リチウムイオン透過性の高いSEIが形成される。したがって、酢酸と環状エステル誘導体を含有する電解液を用いた場合においては、負極表面上に電解液の分解反応を抑制し、かつリチウムイオン透過性の高いSEIが形成されるために、充放電サイクル時の容量低下が小さく、長寿命であり、また、優れた熱安定性を有する非水電解質二次電池が得られる。
【0024】
ここで、SEI(Solid Electrolyte Interphase)とは、非水電解質中で炭素材料の初充電をおこなった場合、電解質中の溶媒や、電解質中に含まれる成分が還元されて、炭素材料の表面に形成される不働態膜をさす。そして、炭素材料の表面に形成されたSEIが、リチウムイオン透過性の保護膜として働き、その後の炭素材料と溶媒との反応が抑制されるのである。
【0025】
本発明においては、電解質中の環状硫酸エステル誘導体の濃度を2質量%以下とする。電解質中の環状硫酸エステル誘導体の濃度が2質量%を越えると、負極上に形成される皮膜が厚くなり、皮膜抵抗が増加するために、放電性能が大幅に低下する。したがって、電解液中の環状硫酸エステル誘導体の濃度は2質量%以下とすることが肝要である。
【0026】
また、本発明は、非水電解質中に酢酸の含有量を0.2質量%以下とすることを特徴とする。非水電解質中に酢酸が適度に含まれておれば、負極活物質の表面に良好なSEIが形成されるが、非水電解質中の酢酸の含有量が0.2質量%よりも多い場合には、初期充放電時の不可逆容量が大きくなるために、初期の放電容量が小さくなる。
【0027】
本発明のリチウムイオン二次電池を作製する場合には、上記の非水電解質を用い、通常の方法により電池を作製すれば良い。
【0028】
正極活物質としては、リチウムを吸蔵放出可能な化合物である、組成式LixMO2、またはLiyM2O4(ただしM は遷移金属、0≦x≦1、0≦y≦2 )で表される複合酸化物、トンネル状の空孔を有する酸化物、層状構造の金属カルコゲン化物を用いることができる。
【0029】
その具体例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、Li2Mn2O4、MnO2、FeO2、V2O5、V6O13、TiO2、TiS2等がある。また、ポリアニリン等の導電性ポリマー等の有機化合物を用いることもでき、さらに、これらを混合して用いてもよい。また、粒状の活物質を用いる場合には、例えば、活物質粒子と導電助剤と結着剤とからなる合材をアルミニウム等の金属集電体上に形成することで作製できる。
【0030】
また、負極活物質としては、例えば、Al、Si、Pb、Sn、Zn、Cd等とリチウムとの合金、LiFe2O3、WO2、MoO2等の遷移金属酸化物、グラファイト、カーボン等の炭素質材料、Li5(Li3N)等の窒化リチウム、またはこれらの混合物を用いてもよい。また、粒状の炭素質材料を用いる場合には、例えば、活物質粒子と結着剤とからなる合材を銅等の金属集電体上に形成することで作製できる。
【0031】
非水電解質の溶媒としては、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート等の非水溶媒を、単独、またはこれらを混合して使用することができる。また、適宜、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン等の重合剤、および1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトン等の皮膜形成剤などの添加剤を、適量含有したものでも良い。
【0032】
非水電解質は、これらの非水溶媒に支持塩を溶解して使用する。支持塩としては、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3CO2、LiCF3SO3、LiCF3CF2SO3、LiCF3CF2CF2SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2CF2CF3)2、LiN(COCF3)2、LiN(COCF2CF3)2およびLiPF3(CF2CF3)3などの塩、もしくはこれらの混合物を使用することができる。
【0033】
また、液状の電解質のかわりに固体のイオン導電性ポリマー電解質と非水電解質を組み合わせて使用することができる。
【0034】
本発明のリチウムイオン二次電池は、通常、その構成として正極、負極およびセパレータと非水電解質との組み合わせからなっているが、セパレータとしては、織布、不織布、合成樹脂微多孔膜等を用いることができ、特に、合成樹脂微多孔膜を好適に用いることができる。中でもポリエチレン、およびポリプロピレン製微多孔膜、または、これらを複合した微多孔膜等のポリオレフィン系微多孔膜が、厚さ、膜強度、膜抵抗等の面で好適に用いられる。
【0035】
また、電池の形状は、特に限定されるものではなく、本発明は、角形、円筒形、長円筒形、コイン形、ボタン形、シート形電池等の様々な形状のリチウムイオン二次電池に適用可能である。
【0036】
【実施例】
以下に好適な実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は、本実施例により、何ら限定されるものではなく、その主旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施することができる。
【0037】
[実施例1]
正極活物質にLiCoO2、負極活物質に炭素材料を使用した、角形非水電解質二次電池を作製した。図1は角形リチウムイオン二次電池の断面構造を示した図であり、図1において、1は角形リチウムイオン二次電池、2は扁平状電極群、3は正極、4は負極、5はセパレータ、6は鉄製電池ケース、7は電池蓋、8は安全弁、9は正極端子、10は正極リードである。扁平状電極群2は、正極3と負極4とをセパレータ5を介して巻回したものである。そして、扁平状電極群2は電池ケース6に収納してあり、電池ケース6には安全弁8を設け、電池蓋7と電池ケース6はレーザー溶接で密閉されている。正極端子9は正極リード10と接続され、負極4は電池ケース6の内壁と接触により接続されている。
【0038】
正極合材は、活物質としてLiCoO290質量%と、導電助剤のアセチレンブラック5質量%と、結着剤のポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量%とを混合して正極合材とし、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させることによりペーストを調製した。このペーストを厚さ20μmのアルミニウム集電体に均一に塗布して、乾燥させた後、ロールプレスで圧縮成形することにより正極板を作製した。正極板の寸法は厚さ186μm、幅19mm、長さ650mmとした。
【0039】
負極合材は、リチウムイオンを吸蔵放出する炭素材料90質量%と、結着剤のPVdF10質量%とを混合し、NMPを適宜加えて分散させ、スラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μmの銅集電体に均一に塗布、乾燥させた後、100℃で5時間乾燥させた後、ロールプレスで圧縮成形することにより負極板を作製した。負極板の寸法は厚さ182μm、幅20mm、長さ680mmとした。
【0040】
セパレータとしては、厚さ25μmの微多孔性ポリエチレンフィルムを用いた。これらの正・負極、およびセパレータを巻回して扁平状電極群を作製した。電解質には、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の体積比3:7混合溶媒にLiPF6を1.1M溶解し、この電解質に酢酸を0.05質量%とエタン−1,2−ジオール硫酸エステルを0.25質量%含有させた非水電解質を用いて、角形リチウムイオン二次電池を作製した。
【0041】
この角形リチウムイオン二次電池の外形寸法は幅22mm×高さ48mm×厚さ7.8mmとし、公称容量は600mAhとした。
【0042】
[実施例2〜12、参考例1、2および比較例1〜7]
実施例2〜12、参考例1、2および比較例1〜7の20種類の電池については、表1に示すように、非水電解質に含まれる酢酸およびエタン−1,2−ジオール硫酸エステルの量を変化させた以外は、実施例1と全く同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。ここで作製した実施例1〜12、参考例1、2および比較例1〜7の、電解液への酢酸およびエタン−1,2−ジオール硫酸エステルの濃度を表1にまとめた。
【0043】
【表1】
【0044】
[比較試験]
充放電サイクル寿命試験はつぎの条件でおこなった。上記の電池を、充電は600mAの電流で4.2Vまで3時間定電流定電圧充電し、その後、600mAの電流で3Vまで放電をおこない、初期放電容量を確認した。その後、同様の条件で、充放電サイクルを500サイクル繰り返し、500サイクル後の容量保持率(%)を求めた。ここで「容量保持率」とは、初期放電容量に対する500サイクル後の放電容量の比率(%)を示すものとする。なお、容量保持率が80%以上の電池を良好とし、80%未満の電池を不良とした。
【0045】
オーブン加熱試験はつぎの条件でおこなった。オーブン中に、600mA電流で3時間、4.2Vの定電流定電圧充電をした電池を設置して、5℃/分の速度で150℃まで昇温して、90分間保持した。この試験において、設定温度から15℃以上上昇したもの、すなわち、電池表面温度が165℃以上になったものを「不良」とし、温度上昇が15℃未満、すなわち、電池表面温度が165℃未満であったものを「良」とした。
【0046】
充放電サイクル寿命試験およびオーブン加熱試験の結果を表2にまとめた。なお、表2における、初期容量および容量保持率の値は、各電池とも10セルの平均値を示した。また、オーブン加熱試験は、各電池とも3セルについて行い、そのうち1セルでも「不良」の場合は×印、3セルとも「良」の場合は○印とした。
【0047】
【表2】
【0048】
表2より、酢酸を含有し、さらにエタン−1,2−ジオール硫酸エステルを2質量%以下の濃度で含有する非水電解質を用いた実施例1〜12および参考例1、2の場合は、添加剤を含まない比較例5と比較して、500サイクル後の容量保持率が著しく向上した。また、エタン−1,2−ジオール硫酸エステルのみを添加した比較例7の場合に認められた電池の熱安定性の低下も、酢酸を混合することによって改善できることがわかった。
【0049】
また、酢酸のみを単独で添加した非水電解質を用いた比較例6およびエタン−1,2−ジオール硫酸エステルを単独で添加した非水電解質を用いた比較例7の場合よりも、酢酸を含有し、さらにエタン−1,2−ジオール硫酸エステルを2質量%以下の濃度で含有する非水電解質を用いた実施例1〜12および参考例1、2の場合の方が、容量保持率が大きくなっており、非水電解質が酢酸とエタン−1,2−ジオール硫酸エステルを同時に含む場合に優れたサイクル寿命性能を示した。
【0050】
さらに、電解質中にエタン−1,2−ジオール硫酸エステルを4質量%含んだ比較例1〜4の場合は、実施例1〜12および参考例1、2と比較して、容量維持率がかなり小さくなった。
【0051】
また、初期の放電容量については、酢酸の含有量が0.2質量%以下である実施例1〜12までは比較例5よりも大きいことがわかった。酢酸の含有量を0.3質量%とした参考例1、2場合は、充放電サイクル後の容量保持率は、それぞれ88%、87%と高いものの、初期の放電容量は、比較例5と同等であった。この理由は、酢酸の非水電解質に対する含有量が多い場合、SEI形成に必要な電気量が大きくなったことと、形成されたSEIが負極へのLi挿入反応を阻害することにより充電電気量が減少したことがあげられる。
【0052】
また、上記実施例では、環状硫酸エステルとして、エタン−1,2−ジオール硫酸エステルを用いた場合を例に説明したが、プロパン−1,2−ジオール硫酸エステル等の他の環状硫酸エステルを用いた場合、および式中のR1〜R4をフッ素等のハロゲン元素で置換したものを用いた場合においても、同様に優れたサイクル寿命性能を有するリチウムイオン二次電池が得られた。
【0053】
[実施例15〜26、参考例3、4および比較例8〜14]
実施例1〜12、参考例1、2および比較例1〜7で用いたエタン−1,2−ジオール硫酸エステルの代わりに、エテン−1,2−ジオール硫酸エステルを用いた実施例15〜26、参考例3、4および比較例8〜14の角形リチウムイオン二次電池を作製した。
【0054】
正極活物質、負極活物質、電解質、電池の構造、正極合材、負極合材、セパレータなどは、すべて実施例1と同様のものを用いた。
【0055】
ここで作製した実施例15〜26、参考例3、4および比較例8〜14の電解液への酢酸およびエテン−1,2−ジオール硫酸エステルの濃度を表3にまとめた。
【0056】
【表3】
【0057】
充放電サイクル寿命試験およびオーブン加熱試験は、実施例1と同じ条件でおこなった。その結果を表4にまとめた。表4の表示方法は、すべて表3と同様である。
【0058】
【表4】
【0059】
表4から、エタン−1,2−ジオール硫酸エステルの代わりにエテン−1,2−ジオール硫酸エステルを用いた場合も、表3の場合と同様の結果が得られることがわかった。
【0060】
また、上記実施例では、不飽和結合を有する環状硫酸エステルとして、エテン−1,2−ジオール硫酸エステルを用いた場合を例に説明したが、プロペン−1,2−ジオール硫酸エステル等の他の不飽和結合を有する環状硫酸エステルを用いた場合、および式中のR1〜R2をフッ素等のハロゲン元素で置換したものを用いた場合においても、同様に優れたサイクル寿命性能を有するリチウムイオン二次電池が得られた。
【0061】
このように、酢酸と、化学式(1)または化学式(2)で表される環状硫酸エステルとを、同時に非水電解質に含有させることにより、優れた熱安定性を維持したまま、電池のサイクル寿命特性を向上させることが可能となった。その原因については明らかになっていないが、負極活物質の表面に良好なSEI皮膜が形成され、充放電サイクル時に生じる負極上での非水電解質の分解が抑制され、寿命性能が向上し、また、異常加熱時においても、負極と電解液の反応が抑制され、電池の発熱が小さくなったものと考えられる。
【0062】
また、表2および表4の結果から、初期の放電容量の低下を防ぐためには、非水電解質中の酢酸の含有量は、0.2質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下とすることがより好ましいことがわかった。
【0063】
実施例および比較例では電解質溶媒がエチレンーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒について記述したが、環状カーボネートと鎖状カーボネートの比率を変化させた場合や、鎖状カーボネートとしてジメチルカーボネート(DMC)やジエチルカーボネート(DEC)を用いた場合にも同様の傾向が見られ、さらに、鎖状カーボネートの代わりにγ―ブチロラクトンを使用した場合にも同様の傾向が見られた。さらに、支持塩の濃度を変化させた場合においても同様の傾向が見られた。
【0064】
また、各種の添加剤(例えば、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン等の重合剤、および1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトン等の皮膜形成剤等)と併用して用いても同様の効果が得られた。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、非水電解質中に、酢酸と、化学式(1)または化学式(2)で表される環状硫酸エステルとを、同時に含有させ、電解質中の環状硫酸エステル誘導体の濃度を2質量%以下とし、酢酸の濃度を0.2質量%以下とすることにより、負極活物質の表面に良好なSEIが形成されるため、その後の負極活物質の表面での非水電解質の分解が抑制され、その結果、充放電サイクル時の容量低下が小さく、長寿命であるリチウムイオン二次電池を得ることが可能となった。また、本発明の電解液を用いた場合、負極と電解液との反応性が低いために、異常加熱時においても高い熱安定性を示す電池を得ることが可能となった。
【0066】
また、非水電解質中に、酢酸と、化学式(1)または化学式(2)で表される環状硫酸エステルとを、同時に含有させ、電解質中の環状硫酸エステル誘導体の濃度を2質量%以下とし、酢酸の濃度を0.2質量%以下とすることで、初期の放電容量が大きく、かつ充放電サイクル時の容量低下が小さく長寿命であるリチウムイオン二次電池を得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】角形非水電解質二次電池の断面構造を示す図。
【符号の説明】
1 角形非水電解質二次電池
2 扁平形電極群
3 正極
4 負極
5 セパレータ
Claims (1)
- 正極と、負極と、セパレータと、非水電解質を備えたリチウムイオン二次電池において、前記非水電解質が、非水溶媒と、支持塩と、酢酸と、化学式(1)または化学式(2)で表される環状硫酸エステル誘導体の少なくとも一種を含み、電解質中の前記環状硫酸エステル誘導体の濃度が2質量%以下であり、酢酸の濃度が0.2質量%以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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