続いて、本発明の一実施形態にかかる薬箱払出装置10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。薬箱払出装置10は、薬剤を収容した薬箱を多数収容しておき、この薬箱を処方に応じて適宜選択し、払い出すための装置である。図1〜図4に示すように、薬箱払出装置10は、装置本体12内に薬箱収容部20や、装填ユニット30、移送ユニット40を備えた構成とされている。また、薬箱払出装置10は、装置本体12に接続された供給ユニット50と、装置本体12に対して適宜接続可能な補充ユニット60とを備えている。さらに、薬箱払出装置10は、図16に示すような構成の制御装置70を有する。以下、薬箱払出装置10について、各部の構成毎に説明する。
<装置本体12の外観構成について>
図1〜図4に示すように、装置本体12は、金属製の筐体12aにより主要部の外観が形成されている。装置本体12は、筐体12aの正面側および背面側にドア12b,12cを有する。筐体12aの背面側に設けられたドア12cは、別途設けられた電磁ロックなどのような通電により施錠、解錠が可能な施錠手段14(図16参照)により施錠可能とされている。そのため、ドア12cは、薬箱払出装置10の主電源(図示せず)がオン状態である場合に限って開閉可能な状態になる。また、図4に示すように、筐体12aの背面側には、後に詳述する装填ユニット30の装填ラック32に薬箱MBを補充する際に開閉する補充ドア12dが設けられている。さらに、図2や図3に示すように、筐体12aの側面には、排出口12eと、この排出口12eを開閉可能なシャッター12fとが設けられている。薬箱払出装置10は、シャッター12fを開状態にすることにより、筐体12a内において処方情報にあわせて排出され、集められた薬箱MBを供給ユニット50側に向けて排出可能な状態になる。
<薬箱収容部20について>
薬箱収容部20は、薬箱MBを多数収容しておき、処方に応じて排出するためのものである。図2や図6に示すように、薬箱収容部20には、正面視した状態において上下方向および左右方向に複数の薬箱通路22が設けられている。図6や図9に示すように、薬箱通路22は、いわゆるチャンネル材のような樋状に形成された部材によって構成されている。薬箱通路22は、底面22aと、長手方向に伸び互いに平行な側面22b,22cとを有し、長手方向両端が開放されている。
図2や図3に示すように、薬箱通路22は、長手方向が装置本体12の奥行き方向、すなわち正面側から背面側に向くように配されている。薬箱通路22は、装置本体12の背面側に位置する開放部分を入口22dとし、正面側に位置する開放部分を出口22eとしている。薬箱通路22cは、入口22d側から出口22e側に向けて下り勾配がつくよう、斜めに設置されている。具体的には、薬箱通路22は、入口22d側から出口22e側に向けて25度程度の傾斜で下向に傾斜している。また、薬箱通路22の底面22aおよび側面22b,22cの内表面には、薬箱通路22の長手方向に真っ直ぐ伸びるように凹凸(図示せず)が形成されている。そのため、薬箱通路22内を通過する薬箱MBと、底面22aや側面22b,22cとの接触面積が小さく、薬箱MBが大きな摩擦力を受けることなくスムーズに通過できる。
薬箱収容部20には、本薬箱払出装置10を用いて払い出す薬箱MBの厚みに応じて、通路幅(側面22b,22cの間隔)の異なる薬箱通路22が複数種設けられている。また、各薬箱通路22の入口22dから出口22eに至る長さは、薬箱MBを多数並べて配置可能な長さとされている。言い換えれば、薬箱通路22の長さと、この薬箱通路22に装填される薬箱MBの長さとによって、各薬箱通路22に収容可能な薬箱MBの数量が定まる。具体的には、薬箱通路22の長さをL1とし、この薬箱通路22に収容される薬箱MBの長さをL2とした場合、薬箱通路22に最大限収容可能な薬箱MBの数は、L1/L2(小数点以下切り捨て)によって定まる。
図5に示すように、薬箱通路22の入口22d側には入口部材24が設けられている。また、図6に示すように、薬箱通路22の入口22d側であって、薬箱通路22の下方側の位置には装填指示手段25が設けられている。入口部材24は、薬箱通路22の入口22d側の部分を拡幅するものであり、薬箱通路22に対する薬箱MBの装填を簡易化するために設けられている。
さらに詳細には、薬箱通路22は、入口部材24が設けられた部分において入口22d側に近づくにつれ、側面22b,22cの肉厚が薄くなるように形成されている。また、薬箱通路22の側面22b,22cは、その内表面(薬箱通路22の内側を向く面)が薬箱通路22の入口22d側に近づくに連れてテーパー状に広がるように形成されている。さらに詳細には、側面22b,22cの内表面は、側面22b,22cの外表面に対して約1〜5度程度傾斜している。これにより、入口22dにおける薬箱通路22の開口幅は、薬箱通路22の中途部分や出口22e部分における開口幅よりもわずかに広がった状態になっている。薬箱通路22は、入口部材24が設けられた部分において、入口22d側の端部に向かうに連れて開口幅が少しずつ広がっている。また、薬箱通路22の側面22b,22cの外表面は、入口部材24が取り付けられた部分および他の部分においてほぼ面一とされている。そのため、左右に並ぶ薬箱通路22,22の間には、ほとんど隙間が設けられていない。
また、装填指示手段25は、薬箱収容部20に装填しようとしている薬箱MBを複数設けられた薬箱通路22のうち、どの薬箱通路22に装填すればよいのか、作業者に対して指示するためのものである。本実施形態において、装填指示手段25は、発光ダイオード(LED)によって構成されており、薬箱MBを薬箱収容部20に対して直接装填しようとする場合に発光して、薬箱MBを装填すべき薬箱通路22を作業者に対して指示することが可能である。
図2や図3、図5などに示すように、薬箱通路22の出口22e側には、排出規制手段26が取り付けられている。排出規制手段26は樹脂製の部材であり、図8に示すように、本体部26aと、突上片26bと、受片26cとを有する。また、排出規制手段26は、突上片26bや受片26cを作動させるための動力源26dを有し、動力源26dから動力を受けて突上片26bと受片26cとが連動可能とされている。
図5や図8に示すように、本体部26aは、排出規制手段26を薬箱通路22に取り付けた状態において、薬箱通路22の出口22e側先端部分に位置し、底面22a側から上方(薬箱通路22内)に向けて突出した状態となっている。そのため、本体部26aは、薬箱通路22に準備されている薬箱MBの通過を阻害する障害物となる。そのため、薬箱通路22に準備されている薬箱MBは、単に薬箱通路22を入口22d側から出口22e側に向かって下ってくるだけでは出口22eから排出されず、本体部26aを乗り越えることによってはじめて排出される。
突上片26bは、薬箱通路22の出口22eから排出すべき薬箱MBを図8(a)に示すように底面22a側から突き上げて排出させるための部材である。すなわち、突上片26bは、薬箱通路22において最も出口22e側に近い位置に準備されている薬箱MBが上述した本体部26aを乗り越えるための契機を与える機能を有する。また、受片26cは、上述した本体部26aに沿って上下方向に摺動する部材である。受片26cは、薬箱通路22において最も出口22e側にある薬箱MBが誤って薬箱通路22から排出されないよう、薬箱通路22において薬箱MBをせき止めるためのストッパーとしての機能を有する板状の部材であり、薬箱通路22を通過してきた薬箱MBの側面に当接する面(当接面26e)を有する。
突上片26bおよび受片26cについてさらに詳細に説明すると、突上片26bは、上述した本体部26aよりも薬箱通路22の上流側において作動可能とされた片状の部材であり、常時は、図8(b)に示すように薬箱通路22の底面22aとほぼ面一となっている。突上片26bは、いわゆるシリンダーなどによって構成される動力源26dから動力を受けることにより支軸26gを中心として回動可能なように支持されている。動力源26dを作動させることにより、図8(a)に示すように突上片26bを底面22aから立ち上がった状態とすることが可能である。突上片26bが立ち上がった状態になると、図8(a)に二点鎖線で示すように、この突上片26bの上方すなわち薬箱通路22において最も出口22e側に位置する薬箱MBが突き上げられた状態になる。
また、図8(b)に示すように、受片26cは、常時において上述した排出規制手段26をなす本体部26aよりも上方に突出している。そのため、受片26cは、薬箱通路22に装填されている薬箱MBをせき止め、薬箱MBが誤排出されてしまうのを防止するためのストッパーとしての機能を果たす。その一方で、動力源26bが作動して上述した突上片26bが支軸26fを中心として回動すると、図8(a)に示すように、受片26cが突上片26bの挙動に連動して本体部26aの上端と同程度あるいは下方(底面22a側)まで退入した状態になる。これにより、突上片26bによって突き上げられた薬箱MBをスムーズに排出可能な状態になる。
また、図5や図7、図8に示すように、受片26cの表面(当接面26e)には、突起26fを設けても良い。突起26fは、排出規制手段26を薬箱通路22に対して取り付けた状態において、薬箱通路22の幅方向中心を外れた位置に設けられている。そのため、薬箱通路22を通過(下降)してきた薬箱MBの側面が突起26fに当接(衝突)すると、この薬箱MBには薬箱通路22の長手方向に対してやや傾いた方向に反作用力が作用する。本実施形態では、薬箱通路22の開口幅が薬箱MBがちょうど通過可能な程度の大きさに過ぎないため、前述したような反作用力を受けて薬箱MBが薬箱通路22内を斜めに戻ろうとしても、薬箱MBが薬箱通路22の側面22b,22cに突っかかり、ほとんど戻れない。そのため、薬箱通路22を通過(下降)してきた薬箱MBが受片26cの当接面26eに当接した後、入口22d側に戻る薬箱MBの戻り量や勢い、薬箱MBに作用する衝撃等は、薬箱通路22を真っ直ぐ戻る場合よりも小さい。
排出規制手段26は、各部が上述したような動作を行うことにより、薬箱通路22内にある薬箱MBを出口22e側にあるものから1箱ずつ、順次排出させることが可能である。さらに詳細には、動力源26が作動し、図8(a)に示すように突上片26bにより最も出口22e側にある薬箱MBが突き上げられた状態になると、この薬箱MBには突上方向への外力が作用する。また、突上片26bによって突き上げられた薬箱MBには、自重や薬箱通路22の上流側に並ぶ他の薬箱MBの重量の影響により、薬箱通路22を斜め下方(出口22e側)に向かう方向にも力が作用する。また、突上片26bが作動すると、受片26cが薬箱通路22の底面22a側に退入し、本体部26aの天面よりも低い位置まで下がった状態になる。これにより、突上片26bによって突き上げられた薬箱MBは、突上方向に作用する外力と、出口22e方向に作用する外力とが相まって、本体部26aや受片26cを乗り越え、出口22eから排出されることになる。
上述したようにして突上片26bが薬箱MBを突き上げるように作動すると、その後まもなく突上片26bは、元の状態、すなわち図8(b)に示すように薬箱通路22の底面22aとほぼ面一な状態になる。またこれに連動して、受片26cは、上端部分が本体部26aの天面よりも上方に突き出た状態に戻り、排出した薬箱MBに対して薬箱通路22の上流側(入口22d側)に隣接する他の薬箱MBをせき止めた状態になる。
薬箱収容部20は、上述した構成の薬箱通路22を上下左右に並べて構成されている。そのため、図9などに示すように、最も上段に存在する薬箱通路22を除き、これよりも下方に存在する各薬箱通路22の天面は、上方に隣接する他の薬箱通路22の底面22aによって構成されている。本実施形態では、各薬箱通路22の天面、すなわち上方に隣接する他の薬箱通路22の底面22a(以下、必要に応じて「天面22f」とも称す)には、薬箱通路22の長手方向に沿って伸びる差込溝22hが設けられている。
差込溝22hは、図9(b)に示すような開口高さ調整手段28を出口22e側から差し込んで取り付けるための取付部22gとしての機能を有する。開口高さ調整手段28は、固定部28aと、ブロック状の高さ調整部28bとが一体に形成されたものである。図10に示すように、固定部28aを差込溝22hに差し込むことにより開口高さ調整手段28を取り付けると、高さ調整部28bが片持ち状に支持された状態になる。また、このようにして開口高さ調整手段28を取り付けると、高さ調整部28bが排出規制手段26の底面に沿って配された状態になり、薬箱通路の天面22f側から底面22a側に向けて突出した状態になり、薬箱通路22の出口22eをなす開口領域の高さが小さくなる。また、開口高さ調整手段28として高さの異なるものを用意すれば、出口22eの開口領域の高さを適宜調整することが可能となる。
薬箱通路22には、各所に薬箱MBを検知するためのセンサが設けられている。具体的には、図5に示すように、薬箱通路22の出口22e側には薬箱出口側センサ100が設けられており、入口22d側には薬箱入口側センサ102が設けられている。これらのセンサ100,102により、各薬箱通路22において、薬箱MBが出口22e側や入口22d側に存在するか否かを検知できる。また、排出規制手段26をなす本体部26aには、薬箱通過センサ104が設けられている。この薬箱通過センサ104によって本体部26aの上方を通過していく薬箱MBを検知することにより、薬箱通路22の出口22eから薬箱MBが排出されたことを確認することが可能となる。
<装填ユニット30について>
図3に示すように、装填ユニット30は、薬箱収容部20を構成する多数の薬箱通路22に対して入口22d側に隣接する位置に設けられており、入口22d側から各薬箱通路22に対して薬箱MBを装填するためのものである。装填ユニット30は、装填ラック32と、駆動装置34とを有する。装填ユニット30は、常時は装填ラック32が筐体12の背面に設けられた補充用ドア12dに相当する位置で待機しているが、装填ラック32を作動させることにより装填ラック32を各薬箱通路22を入口22d側の領域において上下左右方向に向けて自由に移動させることが可能である。
図11に示すように、装填ラック32は、正面視した状態において、上下左右に複数の装填通路36を並べて一体化した構成とされている。装填通路36の長さL3は、上述した薬箱通路22の長さL1よりも十分短い(L3<<L1)。具体的には、装填通路36は、薬箱MBを数個投入可能な程度の長さとされている。また、上述した薬箱収容部20を構成する薬箱通路22と同様に、装填ラック32には、薬箱払出装置10を用いて払い出す薬箱MBの厚みに応じて、通路幅の異なる装填通路36が複数種設けられている。装填通路36の通路幅の大きさや、通路幅の種類は、薬箱収容部20に設けられた薬箱通路22の通路幅の大きさや種類と同様とされている。
装填通路36は、薬箱通路22と同様に、いわゆるチャンネル材等によって樋状に形成されている。装填通路36は、長手方向両端部が開放されている。装填通路36において薬箱収容部20側の端部は、各薬箱通路22に装填する薬箱MBを出すための装填出口36aとして機能する。また、図12に示すように、装填出口36aとは反対側(ドア12c側)の端部は、装填通路36に対して薬箱MBを補充するための装填入口36bとなる。装填通路36は、装填入口36b側から装填出口36a側に向けて、下方に傾斜している。
図12や図13に示すように、装填通路36の装填入口36b側には、入口部材37と、補充指示手段38とが設けられている。入口部材37は、上述した薬箱収容部20において薬箱通路22の入口22d側に取り付けられている入口部材24と同様の構成とされている。すなわち、図13に示すように、入口部材37は、装填通路36において装填入口36b側の部分を拡幅するものであり、薬箱MBの補充を容易にするために設けられている。装填通路36は、入口部材37が取り付けられた部分において、装填入口36b側に向かうにつれて開口幅がテーパー状に広がっている。
補充指示手段38は、装填ユニット30に複数設けられた装填通路36のうち、補充しようとしている薬箱MBをどの装填通路36に補充すればよいのかを作業者に対して指し示すものである。補充指示手段38は、上述した装填指示手段25と同様に発光ダイオード(LED)によって構成されており、薬箱MBを補充すべき装填通路36に割り当てられたものが発光する。
また、図11や図13に示すように、装填通路36の装填出口36a側には、ストッパー39が設けられている。ストッパー39は、常時は装填通路36の底面36cから上方に向けて突出しており、図示しない動力源から動力を受けて作動すると、底面36cよりも下方に退入した状態になる。そのため、ストッパー39が上方に突出した状態において薬箱通路36に薬箱MBを補充すると、ストッパー39に薬箱MBが引っかかり、薬箱MBがストックされた状態になる。また、薬箱MBを装填通路36から排出すべきタイミングにおいて図示しない動力源を作動させ、ストッパー39を底面36cよりも下方に退入させた状態(解除状態)にすると、装填通路36にストックされている薬箱MBが、自重により装填通路36の傾斜に沿って下降し、装填出口36aから排出される。そのため、装填ラック32に設けられた各装填通路36に対して薬箱MBを補充した状態とした後、各装填通路36の装填出口36aが、この装填通路36に準備されている薬箱MBを装填すべき薬箱通路22の入口22dに臨む位置まで装填ラック32を移動させ、ストッパー39を解除状態にすると、装填ラック32からの各装填通路36から薬箱収容部20の各薬箱通路22に薬箱MBを装填できる。
また、装填ラック32には、測定対象物との距離を検知可能な測距センサ106が設けられている。そのため、駆動装置34を作動させ、装填ラック32を各薬箱通路22の入口22d側において移動させれば、測距センサ106により、薬箱通路22内において最も入口22d側に近い位置にある薬箱MBと、入口22dとの距離を測定することが可能である。測距センサ106によって検知された距離は、後に詳述するように、各薬箱通路22における薬箱MBの在庫数NSを導出するために使用される。
<移送ユニット40について>
図2や図3に示すように、移送ユニット40は、上述した薬箱収容部20に対して筐体12aの正面側、すなわち薬箱通路22の出口22e側に隣接する位置に設けられている。移送ユニット40は、移送コンベア42と、飛出防止部材44と、ガイド部材46とを有する。移送コンベア42は、出口22eから排出された薬箱MBを移送するために設けられたベルトコンベアである。移送コンベア42は、各薬箱通路22の出口22eから排出された薬箱MBを収集し、排出口12eに向けて移動させることが可能であり、筐体12aの側面に設けられたシャッター12fを開いた状態で作動させると、供給ユニット50に向けて薬箱MBを移送できる。すなわち、移送コンベア42は、薬箱収容部20をなす各薬箱通路22から排出された薬箱MBを収集するための収集手段としての機能と、収集した薬箱MBを下流側に位置する供給ユニット50に向けて移送するための移送手段としての機能とを兼ね備えている。
また、飛出防止部材44は、各薬箱通路22の出口22eから排出された薬箱MBが移送コンベア42から外れた位置に飛び出すのを防止するために設けられた部材である。飛出防止部材44は、布製の部材であるため、出口22eから排出された薬箱MBの落下衝撃を緩和することが可能である。図2や図3に示すように、飛出防止部材44は、円弧状に湾曲するように設置されており、出口22eから排出された薬箱MBをスムーズかつ緩やかに移送コンベア42に向けて案内できる。ガイド部材46は、薬箱収容部20の下方に位置し、移送ユニット40に沿って配置された板状の部材である。ガイド部材46は、薬箱通路22の出口22eから飛出防止部材44に向けて飛び出した薬箱MBが、さらに飛出防止部材44において跳ね返って薬箱収容部20の下方に飛び出してしまうのを防止するための部材である。
<供給ユニット50について>
供給ユニット50は、移送ユニット40の移送コンベア42によって移送されてきた薬箱MBを処方毎にまとめて受け取り、供給するためのものである。図1に示すように、供給ユニット50は、筐体12に設けられた排出口12eに隣接する位置に設けられている。供給ユニット50は、金属製の箱体52によって外形が構成されている。また、図14に示すように、供給ユニット50は、この箱体52の内部に薬箱MBを移動させるための手段として機能する供給用コンベア54や、リフト56を備えている。供給ユニット50は、供給用コンベア54やリフト56等の薬箱MBを移動させるための手段だけでなく、処方の内容を記したものを処方毎に準備された容器BSに提供するための処方情報提供手段58を備えている。
図14に示すように、箱体52は、内部に供給用コンベア54やリフト56が作動する作動空間52xを有し、外部に作動空間52xから排出された薬剤を受け入れる容器BSを配置可能な容器配置部52yを有する。箱体52の下方側には、排出口12eから排出された薬箱MBを受け入れるための受入口52aを有し、これを介して作動空間52xの内外が連通している。作動空間52x内に配置された供給用コンベア54は、ベルトコンベアによって構成されており、リフト56によって作動空間52x内を上下に移動可能とされている。供給用コンベア54による物品の搬送方向は、上述した移送コンベア42による物品の搬送方向と同一とされている。図14に実線で示すように、供給用コンベア54が箱体52内の下方側に降りた状態(以下、この状態を「薬箱受入状態」とも称す)にすると、筐体12内に配置された移送コンベア42から受入口52aおよび排出口12eを介して移送されてきた薬箱MBを、供給用コンベア54の搬送面上に移載させることが可能となる。
供給用コンベア54が作動空間52x内において薬箱受入状態にある場合に、この供給用コンベア54に対して搬送方向下流側に隣接する位置には、突当面52bが設けられている。そのため、供給用コンベア54が薬箱受入状態である場合に、供給用コンベア54を作動させると、受入口52aを介して移送されてきた薬箱MBが順次突当面52b側に突き当たり、突当面52bの近傍に集まる。これにより、供給用コンベア54の搬送面のうち受入口52a近辺の部位に薬箱MBが山積みになるのを防止し、移送コンベア42側からスムーズに薬箱MBを移載可能な状態を維持することが可能である。
供給用コンベア54を作動空間52x内において上方に移動させた状態(以下、この状態を「薬箱排出状態」とも称す)において、供給用コンベア54に対して薬箱MBの搬送方向に隣接する位置には排出口52cが設けられている。供給ユニット50は、排出口52cを介して箱体52内に形成された作動空間52xと、箱体52の外側に形成された容器配置部52yとが連通している。そのため、供給用コンベア54を作動空間52x内で上昇させて薬箱排出状態とした後、供給用コンベア54を作動させると、搬送面上に搭載されている薬箱MBを排出口52cを介して容器配置部52yに向けて排出できる。
容器配置部52yは、処方毎に薬箱MBを集めるためのカゴなどの容器BSを配置可能な部分である。容器配置部52yに容器BSを配置しておくと、排出口52cを介して払い出された薬箱MBが容器BS内に投入される。また、容器配置部52yには容器検知センサ108(容器検知手段)が設けられており、容器配置部52yに容器BSが準備されているか否かを検知することが可能である。容器検知センサ108による検知信号は、供給ユニット50における薬箱MBの払い出しや、供給用コンベア54の上下動の動作条件となる。(動作条件の詳細については後述する。)
処方情報提供手段58は、後に詳述する制御装置70などから受信した処方についての情報(以下、「処方情報」とも称す)に基づき、作業者などが処方情報を判別できるように提供するためのものである。処方情報提供手段58は、例えば処方情報を印刷して提供可能なジャーナルプリンタ58aによって構成することが可能である。また、容器配置部52yに設けられた容器BSとしてRF−IDタグ(Radio Frequency IDentification)などの記憶媒体を備えたものを用意した場合は、前記した処方情報提供手段58を、容器BSに設けた記憶媒体との間で通信して記憶媒体に処方情報を記録可能なものとすることが可能である。このような構成とした場合、作業者が別途所有する装置(図示せず)により容器BSに設けた記憶媒体から処方情報を読み出したり、前記した記憶媒体に加えて表示装置を容器BSに設け、記憶媒体に記憶された処方情報を表示装置を用いて表示可能としてもよい。
本実施形態では、処方情報提供手段58としてジャーナルプリンタ58aや手払出用プリンタ58bが採用されている。排出口52cから容器BSに向けて薬箱MBが払い出される頃に、ジャーナルプリンタ58aによって印刷された処方情報を記した紙が容器配置部52yに準備された容器BS内に投入される。そのため、作業者は、ジャーナルプリンタ58aから投入された処方データに対応した薬剤リストを用いて、排出口52cから払い出された薬箱MBが、処方通りに揃っているか確認したり、薬箱払出装置10以外の棚などから持ってくるべき薬剤や薬箱MBの有無を確認することが可能である。また、薬箱払出装置10以外の棚などから持ってくるべき薬剤や薬箱MBがある場合には、手払出用プリンタ58bも作動し、これによって印刷された指示箋に別途準備すべき薬剤や薬箱MBが印字される。
<補充ユニット60について>
補充ユニット60は、上述した装填ユニット30に対して薬箱MBを補充するためのものである。図15に示すように、補充ユニット60は、補充ユニット本体61内に補充ラック62を設けた構成とされている。補充ユニット本体61は、上述した薬箱払出装置10の筐体12に対して自由に動かすことが可能とされており、正面側から背面側に向けて貫通した内部空間61aを有する。
図15に示すように、補充ラック62は、補充ユニット本体61の内部空間61aに内蔵されている。補充ラック62は、上述した装填ラック32とほぼ同一の構成とされている。すなわち、補充ラック62には、上下左右に複数の補充通路64が並べて設けられている。補充通路64は、いわゆるチャンネル材等によって樋状に形成されており、両端部が開放されている。図13に示すように、補充通路64の一端側は、補充ラック62に薬箱MBを準備するための投入口64aをなし、他端側は、薬剤を補充ラック62から排出するための排出口64bをなしている。
補充ラック62において、各補充通路64は、投入口64aから排出口64bに向けて下向に傾斜している。また、各補充通路64の排出口64b側の端部には、ストッパー64cが設けられている。そのため、投入口64aから補充通路64に投入された薬箱MBは、順次排出口64b側に集まり、装填ラック32への投入に備えて準備された状態になる。また、補充通路62の長さL4は、装填ラック32を構成する装填通路36の長さL3とほぼ同一である。そのため、補充通路64には、装填通路36と同量の薬箱MBを投入し、準備しておくことが可能となる。また、補充通路64の投入口64a側には、入口部材66が取り付けられている。入口部材66は、上述した装填通路36に取り付けられていた入口部材37と同様の構成であり、補充通路64の投入口64a側の部分を拡幅し、薬箱MBの投入を容易化するために設けられている。
補充ラック62を構成する各補充通路64の通路幅や位置関係は、装填ラック32における装填通路36と同一とされている。また、補充ユニット60は、補充ラック62の排出口64b側の端部と、装填ユニット30側に設けられた装填ラック32の装填入口36b側の端部とを直接的あるいは間接的に接続可能である。そのため、補充ラック62と装填ラック32とを接続すると、各補充通路64と装填通路36とが一対一で連通した状態になる。そのため、各補充通路64に薬箱MBを投入して準備した補充ラック62を装填ラック32に対して接続した後、排出口64b側に設けられたストッパー64cを解除すると、各補充通路64からこれに対応した各装填通路36に準備されていた薬箱MBが流れ込み、補充される。
<制御装置70について>
制御装置70は、薬箱払出装置10の動作を制御するものである。図16に示すように、制御装置70には、上述した薬箱出口側センサ100や薬箱入口側センサ102、薬箱通過センサ104、測距センサ106、容器検知センサ108などのセンサ類の検知信号が入力可能とされている。また、制御装置70には、バーコードリーダーなどによって構成された薬箱認識手段72が接続されている。制御装置70は、薬箱認識手段72の検知データに基づき、薬箱MBの大きさや、種類、薬箱MB内に納められている薬剤の種類等の薬箱MBに特有の情報(以下、「薬箱特定情報」とも称す)を特定できる。
制御装置70は、測距センサ106による測定結果に基づき、薬箱収容部20を構成する各薬箱通路22において最も入口22d側に近い位置にある薬箱MBから入口22dまでの距離L5を求めることが可能である。また、この距離L5や、各薬箱通路22に装填されている薬箱MBの長さL2、薬箱通路22の長さL1から、各薬箱通路22における薬箱MBの欠品数NLや、在庫数NS、薬箱通路22に在庫可能な薬箱MBの数量(以下、「最大在庫数NM」とも称す)などを導出することが可能である。具体的には、欠品数NLは、L5/L2(小数点以下切り捨て)の計算を制御装置70によって行うことにより導出される。また、制御装置70は、L1/L2(小数点以下切り捨て)の計算を行うことにより最大在庫数NMを導出することが可能である。さらに、制御装置70は、NM−NLの計算を行うことにより、在庫数NSを導出することが可能である。制御装置70は、このようにして導出された欠品数NL、在庫数NS、最大在庫数NMに基づき、各薬箱通路22における薬箱MBの在庫管理を行うことが可能である。
また、制御装置70は、薬箱払出装置10とは別に設けられた倉庫などにおける薬箱MBの在庫を管理可能である。具体的には、薬箱払出装置10では、薬箱収容部20に装填するために薬箱MBを倉庫などから取り出して準備する際に、薬箱認識手段72によって薬箱MBを認識させる。そのため、制御装置70に倉庫に保管されている薬箱MBの数量や種類を予め入力しておき、薬箱払出装置10に準備するために倉庫などから取り出した際に薬箱MBを薬箱認識手段72に認識させて薬箱MBを特定すると共に、その数量を制御装置70に入力することにより、倉庫などにおける薬箱MBの在庫状態を管理することが可能となる。
制御装置70は、各薬箱通路22において薬箱MBが詰まっているか否かを判定する箱詰まり判定手段としての機能を有する。具体的には、薬箱入口側センサ102によって薬箱MBが検知されている状況において、薬箱出口側センサ100によって薬箱MBが検知されていない場合は、薬箱通路22に対して入口22d側から装填された薬箱MBが途中で引っかかって出口22e側に到達していないものと想定される。そのため、このような検知状態の際に、制御装置70は、薬箱通路22において薬箱MBが詰まっているものと判定することが可能である。
制御装置70は、薬箱認識手段72の検知データに基いて特定した薬箱特定情報に基づいて装填指示手段25や補充指示手段38を作動させることにより、投入しようとしている薬箱MBを投入すべき薬箱通路22や装填通路36を作業者に対して指示することが可能である。また、薬箱MBを薬箱通路22や装填通路36に投入する前に薬箱認識手段72によって認識させることとした場合、薬箱特定情報に基づいてこの薬箱MBが投入される薬箱通路22を特定すると共に、この薬箱通路22に設けられた薬箱入口側センサ102によって薬箱MBの通過が検出されるか否かにより、適切な薬箱通路22に薬箱MBが投入されたか否かを判定することも可能である。
また、制御装置70は、各薬箱通路22の出口22eに設けられた薬箱通過センサ104から発信される検知データに基づき、各薬箱通路22から薬箱MBが正常に排出されたか否かを確認できる。また、薬箱通過センサ104の検知データの履歴に基づき、各薬箱通路22から排出された薬箱MBの数量を確認し、薬箱MBの在庫管理を行うことも可能である。
制御装置70は、供給ユニット50の容器配置部52yに設けられた容器検知センサ108によって容器BSが検知されることを、供給ユニット50を構成する移送コンベア42の作動条件としている。さらに具体的には、制御装置70は、容器検知センサ108によって容器BSが検知された状態(第1の検知状態)になることを、搬送面上に搭載されている薬箱MBを排出口52cから容器配置部52y側に払い出すために移送コンベア42を作動させるための作動条件の一つとしている。また、制御装置70は、先の処方分の薬箱MBが排出口52cから払い出された後、いったん容器BSが容器検知センサ108によって検知されてない状態(第2の検知状態)を経て、容器BSが検知された状態に切り替わっていることを搬送面上に搭載されている薬箱MBを排出口52cから容器配置部52y側に払い出すために移送コンベア42を作動させるための作動条件の一つとしている。すなわち、容器配置部52yに準備された容器BSが処方毎に取り替えられることを、排出口52cから薬箱MBを払い出すために移送コンベア42を作動させるための作動条件の一つとしている。このような構成とすることにより、容器配置部52yに容器BSが準備されていない状態であったり、先の処方分の薬箱MBを払い出した後に容器BSが取り替えられないままの状態において誤って薬箱MBが供給ユニット50に設けられた排出口52cから払い出されるのを防止できる。
<薬箱払出装置10の動作について>
続いて、薬箱払出装置10の動作について説明する。薬箱払出装置10の動作は、制御装置70による制御の下で機械的に実施される払出動作や、管理動作、自動装填動作などの動作と、制御装置70による指示やサポートの下で実施される手動装填動作や、装填準備動作などの動作に大別される。
払出動作は、薬箱収容部20に準備されている薬箱MBを処方にあわせて排出し、供給ユニット50の容器配置部52yに準備された容器BSに払い出す動作である。管理動作は、薬箱MBの在庫状況や、薬箱通路22において薬箱MBが詰まっていないかなどを確認し管理する動作である。また、自動装填動作は、制御装置70によって装填ユニット30を作動させ、装填ユニット30に準備されている薬箱MBを薬箱収容部20をなす各薬箱通路22に対して装填する動作である。手動装填動作は、装填ユニット30を作動させることなく、作業者が薬箱収容部20に設けられた各薬箱通路22に対して薬箱MBを補充する際に行われる動作であり、制御装置70による制御の下、薬箱MBを装填すべき薬箱通路22の指示などが行われる。また、装填準備動作は、装填ユニット30に設けられた装填ラック32に薬剤を補充する際に行われる動作であり、制御装置70による制御の下、薬箱MBを補充すべき装填通路36の指示などが行われる。以下、各動作を行う際の薬箱払出装置10の動作について、具体的に説明する。
<払出動作>
薬箱払出装置10が払出動作を行う場合は、制御装置70に入力された処方データに基づき、薬箱収容部20において処方すべき薬箱MBが装填されている薬箱通路22が選定される。その後、選定された薬箱通路22の出口22eに設けられた排出規制手段26が作動し、薬箱MBが下方に設けられた搬送ユニット40の移送コンベア42上に排出される。この際、移送コンベア42の搬送面は停止状態であり、筐体12aの側面に設けられた排出口12eもシャッター12fで閉塞された状態である。そのため、各薬箱通路22から排出された薬箱MBは、移送コンベア42上に集められた状態になる。このようにして、一処方分の薬箱MBが全て移送コンベア42の搬送面上に集められた後、供給ユニット50に設けられた供給用コンベア50が作動空間50xにおいて移送コンベア42と同程度の高さまで降りた状態になることを条件としてシャッター12fが開状態になる。シャッター12fが開状態になると、移送コンベア42が作動し、一処方分として移送コンベア42上に集められた薬剤が、排出口12eを介して下流側に設けられた供給ユニット50側に排出される。
上記したようにして供給ユニット50に薬箱MBが移送されている間は、供給ユニット50側の供給用コンベア54は、箱体52内の作動空間52xにおいて下方側の位置に降り、移送コンベア42によって移送されてきた薬箱MBを受入可能な状態(薬箱受入状態)とされている。また、薬箱受入状態では、供給用コンベア54の搬送面が突当面52bに向けて物品(薬箱MB)を搬送可能なように作動している。これにより、供給用コンベア54の搬送面上に移送された薬箱MBが順次突当面52b側に寄せられ、受入口52a近辺で薬箱MBが山積みになり、薬箱MBの移送の邪魔になるのを防止できる。
上述したようにして一処方分として薬箱収容部20から排出され、とりまとめられた薬箱MBがすべて供給ユニット50の供給用コンベア54上に移送された状態になると、制御装置70により、供給用コンベア54がいったん作動停止状態とされる。その後、供給用コンベア54は、リフト56により作動空間52x内において上方に移動され、排出口52cに隣接する位置まで上昇した状態(薬箱排出状態)とされる。また、供給用コンベア54が作動空間52x内を上方に移動している間には、供給用コンベア54の搬送面が、突当面52b側とは逆方向に向けて所定量駆動される。これにより、供給用コンベア54に作用する振動などによって搬送面上に搭載されている薬箱MBが誤って作動空間52x内に落下したり、供給用コンベア54が排出口52cに臨む位置まで上昇した後、薬箱MBを排出口52cから容器配置部52yに向けて払い出すべきタイミングまでの間に誤って薬箱MBが排出口52cから払い出されてしまうなどの不具合を防止できる。
上記したようにして供給用コンベア54が薬箱排出状態になると、制御装置70は、容器検知センサ108から発信される検知信号に基づき、容器配置部52yに容器BSが準備されているか否かを確認する。また、制御装置70は、容器検知センサ108から発信される検知信号に基づき、現在容器配置部52yに存在する容器BSが、先の処方のために用意されたものでなく、今回の処方のために用意されたものであるかを確認する。具体的には、先の処方のために薬箱MBが排出口52cから払い出された後、容器検知センサ108により容器BSが検知されない状態(第2の検知状態)になることにより、制御装置70は、先の処方用に準備された容器BSが容器配置部52yから取り除かれたものと判断する。また、制御装置70は、前述したようにして先の処方用に準備された容器BSが容器配置部52yから取り除かれたことが確認された後、あらためて容器検知センサ108によって容器BSが検知された状態(第1の検知状態)になると、今回の処方のための容器BSが容器配置部52yに準備されたものと判断する。このようにして今回の処方用に容器BSが準備されていることが確認されると、制御装置70は、供給用コンベア54を作動させ排出口52cに向けて薬箱MBを移動させる。これにより、供給用コンベア54上に搭載されていた薬箱MBが排出口52cから容器配置部52yに準備された容器BS内に排出される。
また、上述した一連の動作を行う間に、制御装置70からジャーナルプリンタ58aに処方データが送信され、処方データに対応した薬剤リストが容器配置部52yに準備された容器BS内に投入される。また、薬箱払出装置10以外の棚などから持ってくるべき薬剤や薬箱MBがある場合には、手払出用プリンタ58bも作動し、別途用意すべき薬剤や薬箱MBがあることを示す指示箋が印刷される。そのため、作業者は、ジャーナルプリンタ58aによって印刷された印刷物や、手払出用プリンタ58bによって印刷された指示箋を見て排出口52cから払い出された薬箱MBが処方通りに揃っているか確認したり、薬箱払出装置10以外の棚などから別途準備しなければならない薬剤や薬箱MBがないか確認して準備したりすることが可能である。
<管理動作>
管理動作は、薬箱収容部20において各薬箱通路22毎に設けられた薬剤出口側センサ100や薬箱入口側センサ102、薬箱通過センサ104のほか、測距センサ106などのセンサ類から制御装置70に対して入力される検知信号に基づき、薬箱収容部20に準備されている薬箱MBの在庫状況や、各薬箱通路22において薬箱MBが詰まっていないかなどを確認し管理する動作である。さらに具体的には、制御装置70は、例えば薬箱MBの払出業務が完了した時点など、所定のタイミングで薬箱収容部20における薬箱MBの在庫状況を確認できる。薬箱MBの在庫状況を確認する場合、制御装置70は、まず駆動装置34を作動させて装填ラック32を薬箱収容部20に設けられた各薬箱通路22の入口22d側において移動させ、装填ラック32に設けられた測距センサ106によって各薬箱通路22の入口22dと、最も入口22d側に近い位置にある薬箱MBとの距離L5を測定する。その後、制御装置70は、各薬箱通路22内に投入されている薬箱MBの長さL2に基づき、距離L5を長さL2で除して得られる値(小数点以下切り捨て)により、薬箱MBの欠品数NLを導出する。
また、制御装置70は、薬箱通路22の長さL1を薬箱MBの長さL2で除して得られる値(小数点以下切り捨て)から、この薬箱通路22に最大限在庫可能な薬箱MBの量(最大在庫数NM)を把握することが可能である。そのため、制御装置70は、最大在庫数NMから上述したようにして導出された欠品数NLを差し引くことにより、現状の在庫数NSを導出することが可能である。また、制御装置70は、欠品数NLや在庫数NMから次に薬箱MBを払い出すまでにどの薬箱MBをどれだけ補充すべきか判断し、作業者に対して告知することも可能である。
具体的には、欠品数NLや在庫数NM、どの薬箱MBをどれだけ補充すべきかなどの情報については、例えば上述したジャーナルプリンタ58aや手払出用プリンタ58bによって印刷した印刷物や、液晶モニタなどからなる表示器74などの情報伝達媒体を介して告知することが可能である。また、薬箱収容部22の出口22e側や入口22d側に各薬箱通路22における欠品状態を告知するためのLEDや表示装置などを設ける構成としてもよい。前述した欠品情報や在庫情報などを告知するための手段は、ジャーナルプリンタ58aや手払出用プリンタ58b、表示器74などのように他の用途に使用されるものを共用する形態で構成されてもよく、これらとは別に設けられた装置によって構成されてもよい。
制御装置70は、後に詳述する自動装填動作や手動装填動作によって各薬箱通路22に投入された薬箱MBの数量(以下、「装填数量NC」とも称す)を把握しておくとともに、薬箱通過センサ104の検知信号などによって各薬箱通路22から排出した薬箱MBの数量(以下、「排出数量NO」とも称す)を把握しておき、両者の差に基づいて理論的に存在すると想定される在庫数(以下、「理論在庫数NR」とも称す)を導出することも可能である。また、この理論在庫数NRと、上述したようにして測距センサ105の測定データに基づいて導出された在庫数NSとを照合し、両者に差異がある場合に各薬箱通路22に対して薬箱MBが誤装填されているなど、何らかの不都合が生じている可能性がある旨の警告を発することも可能である。また、制御装置70は、各薬箱通路22に設けられた薬箱入口側センサ102によって薬箱MBが検知されている状況において、薬箱出口側センサ100によって薬箱MBが検知されていない場合に、薬箱通路22において薬箱MBが詰まっているものと判定し、警告することも可能である。
具体的には、薬箱MBが薬箱通路22内に詰まるなどしてエラー状態になった場合に、例えば上述したジャーナルプリンタ58aや手払出用プリンタ58bによって印刷した印刷物や、液晶モニタなどからなる表示器74などの情報伝達媒体を介して警告する構成とすることが可能である。また、薬箱通路22の出口22e側や入口22d側に各薬箱通路22において前述したエラーが発生している旨の告知するためのLEDや表示装置などを設ける構成としてもよい。薬箱MBが詰まるなどのエラーを警告するための警告手段は、前述したジャーナルプリンタ58aや手払出用プリンタ58b、LEDや表示装置などのように、他の用途に用いられるものを共用する形態で構成されてもよく、これらとは別に設けられた装置によって構成されてもよい。
<自動装填動作>
自動装填動作は、装填ユニット30を制御装置70によって動作制御して行われ、装填ラック32の各装填通路36に充填された薬箱MBを各薬箱通路22に装填する動作である。さらに詳細に説明すると、自動装填動作を行う場合は、まず各装填通路36に薬箱MBが準備される。この際、各装填通路36に薬箱MBを充填する前にバーコードリーダーなどからなる薬箱認識手段72によって薬箱MBの種類を認識すると、この結果に基づいて装填ラック32に設けられた補充指示手段38が作動し、この薬箱MBを補充すべき装填通路36の位置が作業者に対して指示される。また、各装填通路36への薬箱MBの補充が完了すると、制御手段70により駆動装置34が動作制御され、各装填通路36に準備された薬箱MBを充填すべき薬箱通路22の位置まで装填ラック32が移動する。これにより、装填すべき薬箱MBが補充された装填通路36の装填出口36aが、薬箱MBを装填すべき薬箱通路22の入口22dに臨んだ状態になると、装填出口36aの近傍に設けられたストッパー39が解除され、薬箱MBが装填通路36から薬箱通路22に装填される。
上述したようにして複数設けられた装填通路36のうちの一つから特定の薬箱通路22に対して薬箱MBが装填されると、次の装填通路36から別の薬箱通路22に対して薬箱MBを装填すべく、装填ラック32が各薬箱通路22の入口22d側において上下左右に移動する。その後、前述したのと同様にして装填通路36から薬箱通路22への薬箱MBの装填が行われる。このようにして、装填ラック32の移動や各装填通路36に設けられたストッパー39の解除を順次行うことにより、各装填通路36に準備された薬箱MBがすべて薬箱収容部20側に装填されると、装填ラック32は、次の装填動作に備えて筐体12の背面側に設けられた補充用ドアに隣接する位置(定位置)に戻る。
<手動装填動作>
薬箱払出装置10は、上述した自動装填動作によって薬箱MBを装填ラック32から薬箱通路22に装填するだけでなく、作業者が筐体12の背面側に設けられたドア12cを開き、各薬箱通路22に対して直接薬箱MBを装填することも可能である。ここで、手動装填動作を行う場合は、作業者が装填しようとしている薬箱MBを装填すべき薬箱通路22を正確に把握していないと、装填すべきでない薬箱通路22に薬箱MBが誤装填される可能性がある。そこで、手動装填動作を行う場合は、薬箱認識手段72によって認識された薬箱MBの種類に基づき、この薬箱MBを装填すべき薬箱通路22が発光ダイオード等からなる装填指示手段25によって指示される。
また上述したように、本実施形態の薬箱払出装置10は、主電源(図示せず)が投入されていないと電磁ロックなどからなる施錠手段14を解錠できず、筐体12の背面に設けられたドア12cを開閉できない。そのため、非通電状態、すなわち薬箱認識手段72を使用できず、装填指示手段25が作動しない状態において、作業者はドア12cを開けて勝手に薬箱MBを充填することができない。
<装填準備動作>
装填準備動作は、装填ユニット30を作動させて薬箱MBを薬箱通路22に装填するのに備え、装填ラック32に薬箱MBを準備する際の動作である。本実施形態の薬箱払出装置10では、装填ラック32に薬箱MBを準備する方法として、筐体12の背面側に設けられた補充用ドア12dを開き、この内側に待機している装填ラック32に作業者の手で薬箱MBを補充する方法と、別途準備された補充ユニット60の補充ラック62に薬箱MBを準備した後、この補充ユニット60を装填ラック32に接続することで各装填通路36に対して一気に薬箱MBを補充する方法とがある。
補充用ドア12dの内側に待機している装填ラック32に対して作業者の手で薬箱MBを補充する場合は、作業者が補充前に薬箱MBを薬箱認識手段72に認識させると、この認識結果に基づいて制御手段70が装填ユニット30に設けられた補充指示手段38を作動させる。これにより、薬箱MBを投入すべき装填通路36が指示される。具体的には、薬箱MBを補充すべき装填通路36の位置に設けられた発光ダイオード等からなる補充指示手段38が発光する。
一方、補充ユニット60を用いて薬箱MBを準備する場合は、作業者はまず補充ラック62を構成する各補充通路64に薬箱MBを投入して準備する。補充ラック62への薬箱MBの投入が完了した後、補充ラック62の排出口64b側の端部が、補充ラック32の補充入口36b側の端部に接続される。両者の接続が確認されると、補充ユニット60において各補充通路64の排出口64b側に設けられているストッパー64cが制御装置70によって解除される。これにより、各補充通路64に準備されている薬箱MBが一気に各装填通路36内に流れ込み、補充される。
上述したように、本実施形態の薬箱払出装置10では、装填ユニット30が、薬箱収容部20への薬箱MBの投入側に隣接する位置において移動可能な装填ラック32を有し、この装填ラック32に通路幅の異なる複数種の装填通路36が設けられている。そのため、作業者が装填通路36に薬箱MBを補充し、制御手段70による動作制御の下、装填ラック32を各装填通路36に充填された薬箱MBに対応する薬箱通路22に隣接する位置まで移動させると、各装填通路36に準備された薬箱MBを、装填すべき薬箱通路22に対して機械的に装填することが可能となる。よって、本実施形態の薬箱払出装置10では、作業者がいちいち薬箱収容部20に多数設けられた薬箱通路22から補充しようとしている薬箱MBに対応する薬箱通路22を選んだり、その薬箱通路22が設けられた位置まで移動する必要がなく、薬箱MBの装填作業の作業効率が高い。
本実施形態の薬箱払出装置10では、装填ラック32に補充しようとしている薬箱MBの種類を薬箱認識手段72によって認識させることで補充指示手段38をなす発光ダイオードが発光し、補充指示手段38によってどの装填通路36に補充すればよいのか、作業者が瞬時に判別できる。また同様に、本実施形態では、筐体12の背面にあるドア12cを開いて、各薬箱通路22に薬箱MBを直接装填しようとする場合についても、薬箱認識手段72による認識結果に基づいて装填指示手段25により薬箱通路22が指示され、装填しようとしている薬箱MBをどの薬箱通路22に装填すればよいのか判別可能とされている。そのため、装填通路36や薬箱通路22に対する薬箱MBの補充作業の効率を向上させることが可能であるとともに、薬箱MBが誤った装填通路36や薬箱通路22に誤装填されてしまうのを防止できる。なお、上記実施形態では、薬箱認識手段72の認識結果に基づいて補充指示手段38や装填指示手段25が作動する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、薬箱払出装置10は、これらの構成のうちのいずれか一方または双方を備えていないものであってもよい。
また、薬箱払出装置10では、ドア12cを開けて薬箱MBを薬箱通路22に直接充填する際に、通電状態でなければ解錠状態にならない施錠手段14が設けられている。そのため、ドア12cを開けて薬箱通路22に薬箱MBを装填可能な状態においては、通電により発光する装填指示手段25が必ず作動可能な状態にあり、薬箱MBが誤装填されるのを防止することが可能である。なお、上記実施形態では、電磁ロック等からなる施錠手段14を設けた例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、かかる施錠手段14を備えていないものであってもよい。
上記したように、薬箱払出装置10では、下り勾配を有する薬箱通路22の出口22eに排出規制手段26が設けられており、薬箱MBの払出待機時に、排出規制手段26を構成する受片26cが薬箱通路22の底面22a側から上方に向けて突出し、薬箱通路22をせき止めた状態になる。そのため、薬箱MBの払出待機時に、薬箱MBが薬箱通路22から誤って排出されるのを確実に防止できる。また、薬箱MBの払出時には、前記した受片26cが薬箱通路22の底面22a側に向けて本体部26aよりも低い位置まで退入した状態になるため、排出すべき薬箱MBが受片26cに引っかかることなく、スムーズに排出される。さらに、受片26cに隣接する位置にある本体部26aが薬箱通路22の底面22a側から上方に向けて突出しているため、受片26cが底面22a側に引っ込んだ状態になり出口22e側にある薬箱MBが排出されても、これに対して薬箱通路22の上流側(入口22d側)に隣接する他の薬箱MBは本体部26aに当接し、排出されない。そのため、上記した構成によれば、薬箱MBを1箱ずつ確実に排出することが可能である。
また、上記した排出規制手段26では、当接面26eの中心を外れた位置に突起26fが設けられているため、薬箱通路22を落下してきた薬箱MBが当接面26eに当接(衝突)した際に薬箱通路22の長手方向に対してやや斜め方向に戻ることになる。そのため、薬箱通路22を下降してきた薬箱通路22の長手方向に沿って真っ直ぐ入口側に戻る場合よりも、当接面26eに当接した後、薬箱通路22を入口22d側に戻る薬箱MBの戻り量や勢い、薬箱MBに作用する衝撃等が小さくなる。なお、上記実施形態では、当接面26eに突起26fを設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、突起26fを設けない構成としてもよい。
薬箱払出装置10では、薬箱通路22の出口22e側の位置に設けられた排出規制手段26の上方(天面22f側)に高さ調整手段28を取り付けることにより、出口22eの部分における薬箱通路22の開口高さを調整できる。そのため、薬箱通路22に装填される薬箱MBの高さに応じて、適宜高さ調整手段28を取り付けて薬箱通路22の開口高さを調整すれば、排出規制手段26によって跳ね上げられた薬箱MBの排出不良の発生などを防止することが可能となる。なお、上記実施形態では、取付部22gを設け、高さ調整手段28を取り付け可能な構成を例示したが、薬箱MBを装填する薬箱通路22が定まっており各薬箱通路22の開口高さを予め調整しておくことが可能な場合や、薬箱MBの大きさに対して開口高さが多少ばらついていても薬箱MBを排出する上で支障がないと想定される場合は、必ずしも高さ調整手段28を取り付け可能な構成とする必要はない。
また、上記実施形態では、薬箱通路22の天面22fに設けられた差込溝22hに開口高さ調整手段28の固定部28aを差し込むことにより高さ調整部28bを片持ち状に固定し、この高さ調整部28bが上方に位置する排出規制手段26の底面に沿うように配置される構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、高さ調整手段28を高さ調整部28bに相当する部分からなるブロック状の部材とし、これを上方に位置する薬箱通路22用に設けられた排出規制手段26の底面に固定したものであってもよい。かかる構成とした場合についても、上記実施形態で示した場合と同様に、高さ調整手段28を着脱することにより、薬箱通路22の出口22e側の部分における開口領域の高さを調整することが可能である。
上述したように、薬箱払出装置10では、薬箱通路22の入口22d側の部分や、装填通路36の装填入口36b側の部分、補充通路64の投入口64a側の部分に入口部材24,37,66が取り付けられており、薬箱通路22や装填通路36の通路幅がテーパー状に広がった形状とされている。そのため、薬箱通路22や、装填通路36、補充通路64に対して容易に薬箱MBを投入することが可能である。なお、上記実施形態では、薬箱通路22や装填通路36、補充通路64の全てに入口部材24,37,66を取り付けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらのうちいずれか、あるいは、これらの全てを備えていない構成であってもよい。また、上記実施形態では、入口部材24,37,66を別途取り付けることにより、薬箱通路22や装填通路36、補充通路64の上流端(入口22d側の端部や装填入口36b側の端部、投入口64a側の端部)を拡幅した構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、薬箱通路22や装填通路36、補充通路64自体を入口22d側や装填入口36b側に向けて拡幅した形状としてもよい。
上記した薬箱払出装置10は、補充ユニット60を装填ユニット30とは別に設け、この補充ユニット60を用いることにより装填ユニット30に対して薬箱MBを補充可能な構成とされている。そのため、薬箱払出装置10では、装填ユニット30をなす装填ラック32が自動装填動作のために作動している間に、次に装填ラック32に補充すべき薬箱MBを補充ユニット60に準備しておくことにより、装填ラック32が補充用ドア12dが設けられた位置(定位置)に戻った際に、間髪を入れずに装填ラック32に対して薬箱MBを補充することが可能となる。そのため、補充ユニット60を設けることにより、各薬箱通路22への薬箱MBの装填作業をより一層効率化することが可能となる。
また、上記した補充ユニット60は、通路幅の異なる複数種の補充通路64を複数有するが、各補充通路64の配置や通路幅が、装填ラック30に設けられた各装填通路36の配置や通路幅に対応している。そのため、補充ユニット60を装填ラック30に接続した後、補充通路64に投入された薬箱MBをせき止めているストッパ64を解除すると、各補充通路64に準備された薬箱MBが一気に装填通路36に流れ込み、補充される。従って、上述したような補充ユニット60を設ければ、装填ユニット30や薬箱収容部20に対する薬箱MBの装填作業に要する時間を大幅に短縮することが可能となる。なお、上記実施形態では、各補充通路64毎にストッパ64を設け、これにより薬箱を補充通路64内に保持しておくことが可能な構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、各補充通路64にストッパ64を設ける代わりに、補充ユニット本体61の正面側の開口部分を開閉可能なシャッターなどを設けた構成としてもよい。
上記実施形態では、補充ユニット60を1台用意した構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに多数の補充ユニット60を用意した構成としてもよい。また、上記実施形態で示した薬箱払出装置10は、装填ユニット30が1台の装填ラック32を備えたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに多数の装填ラック32を備えたものであってもよい。
上記した薬箱払出装置10は、薬箱通路22から排出された薬箱MBを移送するための移送コンベア42を有し、これにより移送されてきた薬箱MBを供給ユニット50において処方毎にとりまとめ、容器配置部52yに用意された容器BSに投入して供給できる。そのため、薬箱払出装置10によれば、複数排出された薬箱MBを、正確に処方毎に収集し、取り分けて供給できる。なお、上記実施形態で示した供給ユニット50は、一例に過ぎず、薬箱払出装置10が設置される病院や薬局等に準備された設置スペースや、薬箱MB(薬剤)の供給の仕方などの事情にあわせて適宜変更することが可能である。
また、上記実施形態では、供給ユニット50を薬箱払出装置10の一方側の側面(ドア12b側から見て右側面)に隣接する位置にのみ設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、薬箱払出装置10の左右双方の側面に隣接する位置に設けるなどして、供給ユニット50を複数設けた構成とし、薬箱収容部20から払い出された薬箱MBを各供給ユニット50を介して容器BSに供給できることとしてもよい。かかる構成とすれば、薬箱MBを供給するための経路が複数形成されることになり、その分だけ薬箱MBの払出業務をさらに効率化することが可能となる。
上記した供給ユニット50は、供給用コンベア54が移送コンベア42によって移送されてくる薬箱MBを受け入れている状態において、供給用コンベア54に隣接する位置に設けられた突当面52bに向けて薬箱MBを移動させるように作動させることにより、受入口52aの近傍に薬箱MBが溜まって山積みになるのを防止できる。そのため、上記した構成によれば、移送コンベア42から供給用コンベア54への薬箱MBの移載がスムーズにとりおこなわれる。なお、供給用コンベア54は、移送コンベア42から薬箱MBを受け入れる際に、必ずしも上述したように搬送面を作動させる必要はなく、搬送面が停止したまま待機するものであってもよい。また、供給用コンベア54は、搬送面を連続的に突当面52bに向けて作動させるものであってもよいが、適宜のタイミングで断続的に搬送面を作動させるものであってもよい。
また上記したように、供給用コンベア54は、移送コンベア42から薬箱MBを受け取った後、作動空間52x内を上昇する間に搬送面を逆走させ、突当面52b側に押し寄せられていた薬箱MBを搬送面のほぼ中央に戻すこととしている。そのため、供給用コンベア54が供給ユニット50の箱体52内で上昇することによる振動等により、搬送面上にある薬箱MBが作動空間52x内に落下したり、排出口52cから薬箱MBから払い出すべきタイミングよりも前に誤って薬箱MBが払い出されてしまったりするといった不具合を防止できる。また、供給用コンベア54の上昇中に搬送面を逆転させることにより、薬箱MBを搬送面のほぼ中央に戻すための時間を別途設ける必要がなく、薬箱MBの払い出し業務に要する時間を短縮することが可能である。なお、上記実施形態では、供給用コンベア54の上昇中に搬送面を逆走させることとしていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、供給用コンベア54を上昇させる前に搬送面を逆走させることとしてもよい。このようにすることにより、薬箱MBの払い出しまでに要する時間が上記実施形態の場合よりも多少長くなるが、その分だけ薬箱MBが作動空間52x内や容器配置部52yに誤って落下してしまう可能性をより一層低減させることが可能である。
上記したように、供給ユニット50は、容器配置部52yに薬箱MBを受け入れるための容器BSが準備されていることが容器検知センサ108によって検知されることを条件として、排出口52cから薬箱MBを払い出すものであるため、薬箱MBを確実に処方毎に容器BSに準備することが可能であり、他の処方に係る薬箱MBと混ざってしまうのを防止できる。なお、薬箱払出装置10は、必ずしもこのような構成とする必要はなく、例えば容器検知センサ108によって容器BSが検知されることを排出口52cから薬箱MBを払い出すための条件とする代わりに、別途設けられたボタンやタッチパネル式の表示器74などを作業者が操作することを条件として排出口52cから薬箱MBを払い出すこととしてもよい。
また、薬箱払出装置10は、上記したようにして管理動作を行うことにより、測距センサ106によって検出された距離L5などに基づいて各薬箱通路22に準備されている薬箱MBの欠品数NLや在庫数NSなどを把握することができる。また、管理動作を行うことにより、欠品数NLや在庫数NSに基づいて、薬箱MBを準備するタイミングや数量などを適切に判断することも可能となる。従って、上記したようにして管理動作を行える構成とすれば、薬箱MBの装填作業をより一層効率化できる。なお、上記実施形態では、測距センサ106の検知信号に基づいて、欠品数NLや在庫数NSを把握可能なものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の手法で欠品数NLや在庫数NSを把握することとしてもよく、欠品数NLや在庫数NSを特段把握しない構成としてもよい。
また、上述したように、各薬箱通路22に投入された薬箱MBの数量(装填数量NC)を予め把握しておくとともに、各薬箱通路22から排出した薬箱MBの数量(排出数量NO)をカウントし、両者の差に基づいて存在すると想定される在庫数(理論在庫数NR)を導出することとした場合、測距センサ106の検知信号に基づいて導出された在庫数NSと理論在庫数NRとを照合し、両者の誤差を調整するよう作業者に指示したり、誤差がある旨を警告する等の構成とすることも可能である。また、在庫数NSと理論在庫数NRとの間に齟齬がある場合に、両者の数量が合致するまで薬箱払出装置10による薬箱MBの払い出しを中止させたり、在庫数NSおよび理論在庫数NRのいずれか一方または双方をリセットあるいは訂正する構成としてもよい。
上記したように、薬箱払出装置10は、管理動作において薬箱通路22に設けられた薬箱出口側センサ100や薬箱入口側センサ102によって薬箱MBが検知されているか否かに基づき、薬箱通路22における薬箱詰まりの有無を判定可能とされている。そのため、上記した構成によれば、薬箱通路22における箱詰まりの発生に伴う薬箱MBの排出不良を未然に防止し、箱詰まりに対して迅速に対応することが可能となる。なお、上記実施形態では、薬箱出口側センサ100や薬箱入口側センサ102を薬箱通路22における箱詰まりの有無を検知するために活用した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他のセンサ類を用意するなどして別の方法で箱詰まりの有無を検知することとしてもよく、箱詰まりの有無を特段把握しない構成としてもよい。
<詰まり解消手段について>
また、薬箱払出装置10は、薬箱通路22において薬箱MBが詰まっている場合に、薬箱通路22の入口22d側から出口22e側に向けて押圧するなどして薬箱の詰まりを解消可能な手段を設けた構成としてもよい。具体的には、例えば図17〜図19に示すような詰まり解消手段200を各薬箱通路22の入口22d側に設けた構成とすることが可能である。
さらに詳細に説明すると、詰まり解消手段200は、押圧機構部202と駆動機構部204とを有する。押圧機構部202は、従来公知の巻き尺と同様の構造を有するものであり、本体ケース206内に金属製で長尺の押圧体208を巻取り及び繰出し自在なように収納した構造とされている。押圧体208は、基端側が本体ケース206内に固設されたゼンマイバネ(図示せず)に対して連結されており、常時は略全体が本体ケース206内に巻き取られた状態になっている。また、押圧体208は、前記したゼンマイバネの付勢力に反して先端側を本体ケース206の外側に引き出すことにより、略真っ直ぐに伸びた状態に維持させることが可能とされている。
駆動機構部204は、押圧体208を本体ケース206の外側に向けて引き出すために設けられたものである。駆動機構部204は、駆動源として機能するモータ210と、駆動ローラ212と、フリーローラ214と、動力伝達部216とを備えている。動力伝達部216は、モータ210の出力軸に接続された傘歯歯車218、及び駆動ローラ212の中心軸に接続された傘歯歯車220とを有し、傘歯歯車218,220を介してモータ210の出力を駆動ローラ212側に伝達可能とされている。駆動ローラ212及びフリーローラ214の間には、上述した押圧機構部202の押圧体208が挟み込まれている。そのため、モータ210を作動させ駆動ローラ212を回転させることにより、押圧体208を伸縮させることが可能とされている。
詰まり解消手段200は、装填ユニット30をなす装填ラック32の底部などに取り付けられており、駆動装置34を作動させることにより薬箱通路22の入口22d側の領域において上下左右に自由に移動可能とされている。また、詰まり解消手段200は、押圧体208を薬箱通路22の内側に入口22d側から出口22e側に向けて真っ直ぐ伸ばすことが可能な姿勢とされて取り付けられている。そのため、薬箱の詰まりが発生したことが確認された場合に、駆動装置34を作動させることにより詰まり解消手段200を薬箱が詰まっている薬箱通路22の位置まで移動させ、この薬箱通路22に対して入口22d側から押圧体208を差し込むことにより詰まっている薬箱を出口22e側に向けて押し動かし、詰まりを解消することが可能である。
上述した詰まり解消手段200は、本体ケース206の外側に引き出されている押圧体208の長さDを検知可能な構成とすることにより、押圧体208を突出具合を薬箱MBの押圧に適した長さに調整できる他、測距手段として設けられた測距センサ106に代替するものとして使用することも可能である。具体的には、駆動ローラ212やフリーローラ214の回転量を検知可能なロータリーエンコーダやスリットセンサなどの回転量検知手段222(図19参照)や、押圧体208の伸縮量を検知可能なリニアエンコーダなどの伸縮量検知手段を設けるなどし、この検知結果に基づいて前述した長さDを検知可能な構成とすることも可能である。かかる構成とした場合、各薬箱通路22の入口22d側から薬箱MBに突き当たる位置まで押圧体208を差し込むことにより、各薬箱通路22において薬箱MBを補充可能な空間の長さDを検知し、在庫数NSの管理に役立てることが可能となる。
詰まり解消手段200の動作は適宜のものとすることが可能であるが、例えば次のようなものとすることが可能である。すなわち、上述した測距センサ106などによって各薬箱通路22において最も入口22d側に存在する薬箱MBまでの距離(以下、「実測距離」DMとも称す)を測定する。また、上述したようにして計算などによって導出された理論在庫数NRや薬箱MBの大きさ、薬箱通路MBの長さなどの情報に基づき、理論在庫数NRの薬箱MBが存在していると想定した場合における入口22dから薬箱MBまでの距離(以下、「理論距離」DRとも称す)を導出する。その結果、前述した実測距離DMと理論距離DRとが合致していれば薬箱通路22において薬箱MBが詰まっていないものと想定される。一方、実測距離DMが理論距離DRよりも小さい場合(DM<DR)、薬箱MBが薬箱通路22の途中で詰まってしまっている可能性がある。そこで、実測距離DMが理論距離DRよりも小さい場合は、詰まり解消手段200を作動させることにより押圧体208により薬箱MBを薬箱通路22の入口22d側から出口22e側に向けて押圧し、詰まりを解消させることが可能である。
また、詰まり解消のために押圧体208により薬箱MBを押圧する押圧方法についても、適宜決定することが可能であり、例えば次のようにすることが可能である。すなわち、上述したようにして薬箱MBが薬箱通路22において詰まっている可能性がある場合に、先ず所定長さ(例えばX1cm)だけ押圧体208により薬箱MBを押圧した後、実測距離DMを導出してもなお実測距離DMが理論距離DRよりも小さい場合に、さらに所定長さ(例えばX2cm)だけ押圧体208により押圧するといった動作を所定回数だけ繰り返すようにすることが可能である。このようにして詰まっている可能性がある薬箱MBを段階的に押圧することにより、必要以上に薬箱MBが押圧されたり、薬箱MBが破損したりするのを防止することができる。なお、前述した所定長さX1,X2は、同一であってもよく、相違していてもよい。また、押圧を繰り返す回数については、適宜設定することが可能である。さらに、詰まり解消手段200によって薬箱MBの詰まりを解消するための動作を行った後、測距センサ106によって再度測定を行い、実測距離DMが理論距離DRと略同一になっているか否かの確認を行うこととしてもよい。
上記実施形態では、装填ラック32に測距センサ106を設け、駆動装置34を作動させ装填ラック32を各薬箱通路22の入口22d側で上下左右に移動させることにより、各薬箱通路22において最も入口22dに近い薬箱MBと入口22dとの距離を測定可能なものであったが、本発明はこれに限定されない。具体的には、例えば筐体12の背面や、背面側に設けられたドア12cなどに上述した測距センサ106を各薬箱通路22毎に対応させて設け、これらの測距センサ106によって各薬箱通路22における薬箱MBと入口22dとの距離を計測することとしてもよい。かかる構成とした場合は、駆動装置34を作動させて装填ラック32を移動させなくても、各薬箱通路22において最も入口22d側にある薬箱MBと入口22dとの距離を計測でき、測距センサ106の計測結果に基づいて実施される在庫管理などの業務を迅速に実施することが可能となる。
図2や図3に示す例では、飛出防止部材44の上端が薬箱収容部20を構成する薬箱通路22のうち下段側のものが設置された程度の高さにまでしか至っていないが、さらに上方にまで至っていてもよい。また、飛出防止部材44を従来公知のスクロールカーテンのようなものによって構成し、飛出防止部材44の上端を適宜上下動させることが可能な構成としてもよい。このようにして、飛出防止部材44の上端を薬箱収容部20をなす薬箱通路22のうち上段側のものが設置された高さに至らせることとすれば、下段側にある薬箱通路22から排出された薬箱MBだけでなく、上段側にある薬箱通路22から排出された薬箱MBについても移送ユニット40の外側に飛び出すのを防止できる。
上記実施形態で説明した装填ラック32や補充ラック62は、装填通路36や補充通路64が固定され取り外し不可能なものであっても、これらを適宜取り外し可能なものであってもよい。また、装填ラック32や補充ラック62は、複数の装填通路36からなる装填通路群や、複数の補充通路64からなる補充通路群の状態で、装填ラック32や補充ラック62から適宜取り外し可能な構成としてもよい。具体的には、上記実施形態で示した装填ラック32や補充ラック62は、図12や図15に示すように上下方向に3段にわたって複数の装填通路36や補充通路64が設けられた構成とされているが、各段をなす補充通路36や補充通路64をまとめたものを装填通路群や補充通路群と規定できる。この場合、補充通路36を装填通路群毎(各段毎)に取り外したり、補充通路64を補充通路群毎(各段毎)に取り外し可能とすることが可能である。このようにして装填通路36や補充通路64を単体あるいは一群として適宜取り外し可能とすれば、薬箱MBを装填ラック32に補充したり、補充ラック62に準備する作業をより一層効率良く実施できる。
また、上述したように装填ラック32には測距センサ106が設けられているが、この測距センサ106を例えば図18に示すように詰まり解消手段200の筐体に一体化して設けるなどしてもよい。かかる構成とすることにより、装置構成をコンパクト化することができるだけでなく、測距センサ106による薬箱MBの位置測定と詰まり解消手段200による薬箱MBの詰まり解消動作とを略同一の位置から行うことが可能となり、詰まり解消動作をより一層的確に行うことが可能となる。
<薬箱回収手段について>
上記実施形態で示した薬箱払出装置10は、薬箱収容部20に設けられた各薬箱通路22に対して薬箱MBを装填するよりも前の段階において、装填用の薬箱MBを準備しておくための手段(以下、「薬箱準備部」15とも称す)を備えたものである。具体的には、上述した薬箱払出装置10では、装填ユニット30が薬箱準備部15に相当し、装填ユニット30に対して補充ユニット60を接続した状態においては装填ユニット30及び補充ユニット60の双方が薬箱準備部15に相当する。
ここで、薬箱準備部15を構成する装填ラック32の各装填通路36や、補充ユニット60の補充通路64に対して本来補充すべきでない薬箱MBを補充するなどしてしまった場合に、この薬箱MBを容易に回収可能な構造であることが望ましい。具体的には、図26に破線で示すように、薬箱払出装置10は、装填ラック32が設けられた装填ユニット30と薬箱収容部20との間や、薬箱収容部20の下方などの位置に薬箱回収手段230を設けた構成とすることが可能である。かかる構成とすることにより、装填通路36に誤った薬箱MBを補充してしまった場合に、装填ユニット30側から薬箱収容部20側に薬箱MBが装填されるよりも前の段階で容易に回収することが可能である。なお、誤って薬箱MBを補充してしまった場合には、表示手段74等に誤って挿入されたことを示す表示を行ったり、音声により報知することもできる。
上述した薬箱回収手段230は、回収専用の通路を形成したり、回収用の箱や袋などによって構成することが可能であり、例えば図26に示すような構成とすることが可能である。具体的には、図26に示す薬箱回収手段230は、シュータ232と回収箱234とを備えている。シュータ232は、薬箱収容部20の下方に設けられており、装填ユニット30の装填ラック32から排出された薬箱MBを薬箱収容部20を経ずに回収箱234の入口234aに導くものである。回収箱234は、補充ユニット60の下方側に設けられており、筐体12の背面側に設けられた専用の回収用ドア12g(図24,図26参照)を開くことにより出し入れすることができる。そのため、装填ユニット30に対して薬箱MBが誤って補充された場合に、装填ラック32を薬箱収容部20の下方側であってシュータ232に臨む位置まで移動させた状態とし、この状態において装填ラック32からシュータ232に向けて薬箱MBを排出させることにより、薬箱MBを回収箱234に回収することができる。
<薬箱収容部の変形例/滑動促進部材について>
薬箱払出装置10は、図6に示すように薬箱通路22の底面22aや側面22b,22cに入口22d側から出口22e側に向けて直線状に伸びる凹凸を形成し、薬箱と薬箱通路22との接触面積や摩擦抵抗を最小限に抑制することにより、薬箱通路22の入口22d側から出口22e側に向けて薬箱をスムーズに落下させることが可能となる。また、図6に示すような構成とする代わりに、図20に示すように薬箱通路22を構成する鋼材の底面22aや側面22b,22cのいずれか又は全てを平坦な面とし、この表面(薬箱側に向く面)に入口22d側から出口22e側に向けて直線状に伸びる凹凸を有する他の部材(以下、「滑動促進部材」240とも称す)を取り付けた構成とすることが可能である。この場合、薬箱通路22を構成する鋼材と滑動促進部材240とを異なる材質によって構成することが可能である。具体的には、滑動促進部材240を、鋼材に比べて動摩擦係数の小さな材質を採用することが可能である。さらに具体的には、滑動促進部材240を構成する素材として、シリコーン樹脂を含浸させたポリエチレンなどを好適に採用することが可能である。このように滑動促進部材240の材質として動摩擦係数の小さなものを採用すれば、薬箱通路22における薬箱の落下速度及び払出速度をより一層向上させ、薬箱の払出業務全般の効率をさらに改善することが可能である。
薬箱通路22に多数の薬箱が準備されること、及び薬箱に作用する動摩擦抵抗を想定すると、上述したように薬箱通路22を鋼材などの強度の高い素材によって構成し、これに対して滑動促進部材240を取り付けた構造とすることが望ましい。また、滑動促進部材240を構成する素材が十分な強度を発揮できるものであるような場合は、この素材を用いて薬箱通路22を形成し、薬箱と接触する面に図6に示すような凹凸を形成した構造とすることが可能である。
また、上述したように滑動促進部材240を薬箱通路22に取り付けるなどして、薬箱通路22を通過する際に薬箱に作用する動摩擦力を最小限に抑制すれば、薬箱通路22の傾斜をさらに低下させることが可能である。具体的には、滑動促進部材240を取り付けるなどした場合は、薬箱通路22の傾斜を上述した25度よりも低くすることが可能であり、20度あるいはこれ以下とすることが可能となる。これにより、薬箱収容部20の高さをさらに低くしたり、薬箱収容部20に上下方向にさらに多数の薬箱通路22を設けたりすることが可能となる。
また、薬箱収容部20は、各薬剤通路22をなすチャンネル材などの樋状の部材をそれぞれ別々に装置本体12内に設置した構成としてもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、図34に示すように、薬剤通路22をなす部材を複数一体化(ユニット化)することにより通路ユニットUを構成し、この通路ユニットU毎に適宜着脱可能な構成としてもよい。かかる構成によれば、薬箱収容部20の組み立てや、メンテナンス等のために薬剤通路22を容易に着脱することが可能となる。
また、上述したように薬箱収容部20には、各薬剤通路22毎に薬箱出口側センサ100や薬箱入口側センサ102、排出規制手段26の動力源26d、薬箱通過センサ104などの電気的構成が多数設けられている。そのため、各電気的構成についてもユニット化することにより、配線等の手間をより一層簡略化し、配線構造をシンプルかつ簡素な構成とすることができる。また、上述したように薬剤通路22をユニット化する場合は、図34(b)に示すように、各ユニット毎に電気的構成部材や、その他の部材をユニット化するなどして共用部材244とすることが可能であり、装置構成のシンプル化を図ることが可能となる。また、薬箱払出装置10の筐体側に設けられたコネクタ(図示せず)に対して通路ユニットUの共用部材244を電気的に接続するためのコネクタ245を設けておけば、通路ユニットUの設置だけでなく、配線接続等も一体的に行うことが可能となり、より一層利便性が向上する。
薬箱払出装置10は、薬箱収容部20における各薬剤通路22の位置や大きさなどの薬剤通路22に固有の情報(以下、「通路情報」とも称す)を設定可能な通路情報設定手段246を設けた構成とすることも可能である。通路情報設定手段246は、例えば従来公知のDIPスイッチなどのスイッチ類や、メモリなどの記録媒体、その他の部材によって構成することが可能である。また、通路情報設定手段246を制御装置70に対して直接的あるいは間接的に電気的接続可能とし、通路情報を制御装置70や別途設けられた記録手段などに記録し、各薬箱通路22の通路情報を纏めた通路情報マスタを構築可能な構成とすることも可能である。かかる構成とすることにより、通路情報を制御装置70側において一元管理することが可能となる。
上述した通路情報設定手段246は、各薬剤通路22毎に設けられていてもよいが、通路ユニットUを形成した場合は、各通路ユニットU毎に通路情報記憶手段246を設けた構成とすることにより、装置構成のシンプル化を図ることが可能である。また、通路ユニットUを形成した場合は、各通路ユニットUに設けられた薬剤通路22の数(列数)を通路情報として使用することが可能であり、列数に加え各薬剤ユニットUや薬剤通路22の位置情報(番地情報)についても通路情報として使用することが可能である。
<排出規制手段の変形例について>
上述した排出規制手段26は、突上片26bと受片26cとを有し、受片26cによってせき止められている薬箱MBを突上片26bによって突き上げることにより薬箱通路22の出口22eから排出させることが可能なものであったが、同様の作用効果が得られるものであれば他のものによって代替されてもよい。具体的には、排出規制手段26の代わりに、図21及び図22に示す排出規制手段250を薬箱通路22の出口22eに取り付けた構成としてもよい。
さらに詳細に説明すると、排出規制手段250は、本体部252に対して動力源254や、駆動機構256を組み込むことにより形成されている。本体部252は樹脂製の部材であり、上述した排出規制手段26の本体部26aと同様に、薬箱通路22の出口22e側先端部分に長手方向が薬箱通路22の通路方向に向き、短手方向(幅方向)が薬箱通路22の幅方向に向く姿勢として取り付けられる。本体部252は、長手方向一端側に動力源254が収容された動力源収容部258を有し、他端側に駆動機構256が収容された駆動機構収容部260を有する。図22に示すように、駆動機構収容部260には、軸係合部262,264や溝266が設けられている。
動力源254は、動力源26dと同様にシリンダーなどによって構成されている。図22に示すように、動力源254は、先端に係合部268を備えた駆動片270を有する。動力源254は、図22(a)に示すように非通電時には駆動片270が伸びた状態になり、通電時には図22(b)に示すように駆動片270が縮んだ状態になる。
図21や図22に示すように、駆動機構256は、連結片272、突上片274、及び受片276を有する。連結片272は、突上片274及び受片276の間を連結し、動力源254から受けた動力を突上片274及び受片276の両者に伝達させるための部材である。図23に示すように、連結片272は、平面視した状態において略「U」字型に囲まれ、基端側に向けて開放された領域278を有する。また、連結片272の基端側には、支軸280及びギア部282が設けられている。支軸280は、連結片272の幅方向両側から外側に向けて突出しており、本体部252に設けられた軸係合部262に係合している。そのため、連結片272は、本体部252に対して支軸280を中心として自由に回動することができる。また、ギア部282は、支軸280の軸心周りに形成された複数の歯を有する部分である。
図22や図23等に示すように、連結片272は、基端側とは反対側(自由端側)に受片連結部284を有する。受片連結部284は、連結片272の自由端側において上方に立ち上がるように形成されている。さらに、連結片272の底面側には、動力源連結部286が設けられている。動力源連結部286は軸状であり、上述した動力源254の駆動片270の先端に設けられた係合部268が係合している。そのため、図22(a),(b)に示すように、動力源254を作動させ、駆動片270を伸縮させると、連結片272は支軸262を中心として回動する。またこれに伴い、ギア部282が支軸280を中心として回動し、受片連結部284が上下動する。さらに詳細には、動力源254を通電状態とし駆動片270が縮んだ状態とすると、図22(b)に示すように、連結片272が駆動片270によって引っ張られ、支軸280を中心として下方に向けて回動する。これとは逆に、図22(a)に示すように、動力源254を非通電状態とし駆動片270が伸びた状態とすると、連結片272が駆動片270によって押し戻され、支軸280を中心として上方に向けて回動する。
図23等に示すように、突上片274は、正面視した状態において略「V」字型の外観形状を有する樹脂製の部材である。突上片274の一端側(基端側)に支軸290が設けられており、他端側(自由端側)にはローラ292が自由に回転可能なように取り付けられている。また、突上片274の基端側にはギア部294が設けられており、支軸290を中心とする円弧上に歯が複数形成されている。突上片274は、支軸290が本体部252に支持されており、常時において基端部側の部分と自由端側のローラ292とが略水平となっている。また、突上片274は、常時において上述した連結片272において略「U」字型に囲まれた領域278内に収まった状態になっている。
突上片274は、基端部に設けられたギア部294が、上述した連結片272側に設けられているギア部282と噛合している。そのため、動力源254を作動させ駆動片270を作動させることにより、ギア部282,294を介して連結片272側から突上片274側に動力を伝達させ、支軸290を中心として突上片274を回動させることが可能である。さらに詳細には、動力源254の駆動片270を縮めると、連結片272が支軸280を中心として下方に向けて回動するのに連動して突上片274が支軸290を中心として上方に向けて回動し、自由端側が持ち上がった状態になる。
図22(a),(b)に示すように、受片276は、本体部252に設けられた溝266に沿って上下方向に摺動可能とされている。図21〜図23に示すように、受片276の上端側にはローラ296が自由に回転可能なように取り付けられており、下端側には連結部298が設けられている。連結部298には、上述した連結片272の受片連結部284が係合している。
排出規制手段250は、上述したような構成とされており、動力源254への通電制御を行うことにより薬箱通路22に準備されている薬箱MBを必要に応じて1箱ずつ払い出させることが可能である。具体的には、排出規制手段250は、常時において動力源254が非通電状態とされている。そのため、図22(a)に示すように、常時において動力源254の駆動片270は伸びた状態になっており、連結片272や突上片274は略水平な姿勢となっている。また、受片276は、本体部252から上方に向けて突出した状態になる。そのため、受片276がストッパーとして機能し、薬箱MBが薬箱通路22に留め置かれた状態になる。
一方、薬箱MBを払い出す際は、動力源254が通電状態とされる。これにより、図22(b)に示すように動力源254の駆動片270が縮んだ状態になり、連結片272及び突上片274がそれぞれ支軸280,290を中心として回動する。具体的には、連結片272は、支軸280を中心として自由端側が下方に傾くように回動する。また、突上片274は、ギア部282,294を介して連結片272と連結されているため、連結片272の回動に連動して自由端側が上方に持ち上がった状態になる。これに伴い、薬箱通路22の最も出口22e側に存在する薬箱MBが、突上片274によって下方から突き上げられた状態になる。さらに、連結片272が前述したようにして回動すると、これに連動して受片276が溝266に沿って下方に向けて摺動し、本体部252の内側に引っ込んだ状態になり、薬箱MBのストッパーとしての機能が解除された状態になる。これにより、前述したようにして突上片274によって下方から突き上げられた薬箱MBが排出される。薬箱MBが1箱排出されたタイミングになると、動力源254が再び非通電状態とされる。これにより、連結片272及び突上片274が略水平な姿勢に戻ると共に、これに連動して受片276が本体部252から上方に向けて突出した状態になり、薬箱MBの排出が規制された状態になる。
上述した排出規制手段250は、排出規制手段26と同様に突上片274と受片276とが連動し、薬箱MBの払出時に突上片274がせり上がると共に、受片276が本体部252内に退入する。そのため、薬箱通路22の下流端(最も出口22e側)に存在する薬箱MBは、突上片274によって突き上げられ、スムーズに出口22eから排出される。このとき、図22(b)に示すように受片276側のローラ296と、突上片274側のローラ292との高さが略同一となり、薬箱通路22の底面22aに対して平行な搬送面P上に並んだ状態になる。また、図22(b)では説明のために水平に描かれているが、薬箱通路22の底面22a及び搬送面Pは、所定の角度で薬箱通路22の出口22e側に向けて下り勾配となるように傾斜している。そのため、払い出しのために薬箱MBを突上片274により突き上げると、出口22e側に向けて飛び出そうとする勢いが底面22aや搬送面Pの傾斜方向へのローラ292,296の回転によりさらに加勢されることになり、薬箱MBをより一層確実かつ迅速に排出させることが可能になる。
また、排出規制手段250は、動力源254への通電を停止すると、突上片274が倒れた状態に戻ると共に、受片276が本体部252から上方に突出した状態になる。そのため、動力源254への通電・停止を繰り返し行うことにより、薬箱MBを確実に一箱ずつ払い出すことができる。
<跳ね抑制手段について>
上述したように排出規制手段26や排出規制手段250によって薬箱MBを底側から突き上げることにより薬箱通路22から排出する構成とした場合、薬箱MBが跳ね出すことになるが、薬箱MBの跳ねが大きいと排出規制手段26や排出規制手段250に薬箱MBの排出検知用に設けられた薬箱通過センサ104と薬箱MBとの距離が大きく離れ、排出される薬箱MBの検出ができなくなる可能性がある。薬箱MBの排出が検知できないと、薬箱MBの欠品が発生したものと判断されてしまったり、薬箱MBの排出数を正確に把握できなくなってしまったりするなど、様々な不具合の原因となりかねない。そのため、薬箱払出装置10は、薬箱通路22の出口22e側における薬箱MBの跳ねを一定の範囲に規制可能な跳ね抑制手段を設けることが望ましい。
具体的には、薬箱払出装置10は、例えば図35や図36に示す跳ね抑制手段380のようなものが設けられた構成であることが望ましい。図36に示すように、跳ね抑制手段380は、薬箱通路22の天面側(上方に位置する薬箱通路22の底面側)に装着される。図35や図36に示すように、跳ね抑制手段380は、跳ね抑制板382と、これを支持する支持部384とを有する。跳ね抑制板382は、長手方向一端側から他端側に向けてなだらかに湾曲した湾曲面382aを有する板体である。
跳ね抑制手段380は、跳ね抑制板382の長手方向一端側において支持部384を一体化したものであり、支持部384を他部材に装着することにより跳ね抑制板382を片持ち状として支持することができる。跳ね抑制板382は、支持部384を跳ね抑制手段380の取り付け対象となる薬箱通路22の天面側(上方に位置する薬箱通路22の底面側)に装着することにより、湾曲面382aが薬箱通路22側に向き、吊り下げられたような状態になる。湾曲面382は、支持部384側よりもこれとは反対側(自由端側)の方が支持部384側(上方)に跳ね上がるような形状とされている。跳ね抑制手段380は、薬箱通路22を出口22e側から見た状態において手前側(出口22e側)に跳ね抑制板382の支持部384側が向き、奥側(入口22d側)に自由端側が向く姿勢とされ、装着される。これにより、図34(a)に示すように、湾曲面382と薬箱通路22の底面22aとの間には、薬箱MBが通過可能な程度の間隔が形成される。
図34(b)に示すように、跳ね抑制手段380を薬箱通路22の出口22e側に設置すると、排出規制手段26や排出規制手段250によって薬箱MBが底側から突き上げられたとしても、薬箱MBは跳ね規制手段380によって規制されて大きく跳ね上がらず、薬箱通過センサ104により検知可能な範囲内を薬箱MBが通過することになる。そのため、跳ね抑制手段380を設けることにより、薬箱通路22から排出される薬箱MBをより一層確実に薬箱通過センサ104によって検知することができる。
上述した跳ね抑制手段380は、全ての薬箱通路22に設けられていてもよいが、例えば重量が軽量な薬箱MBが収容される薬箱通路22など、排出時の跳ねによる不具合が想定されるものにのみ設けられていてもよい。また、跳ね抑制手段380の大きさや、跳ね抑制板382と薬箱通路22の底面22aとの間隔、支持部384の長さなどは、取り扱う薬箱MBの大きさなどを加味して適宜変更することが可能である。
また、跳ね抑制手段380は、上述した開口高さ調整手段28(図10参照)と併用されてもよく、開口高さ調整手段28を設ける代わりに設置されてもよい。上述した開口高さ調整手段28と併用する場合は、薬箱通路22を出口22e側に向けて通過してくる薬箱MBの回転やこれに伴う箱詰まりを防止することを主目的として開口高さ調整手段28を設け、薬箱MBの跳ねを抑制することを主目的として跳ね抑制手段380を取り付けることが可能である。また、開口高さ調整手段28及び跳ね抑制手段380の大きさや配置は、前述した回転抑制や跳ね抑制等の目的を加味して適宜調整することが可能であり、例えば出口22e側に設けられた跳ね抑制手段380に対して入口22d側に隣接する位置に開口高さ調整手段28を設けた構成とすることが可能である。また、跳ね抑制手段380は、上述した開口高さ調整手段28と一体化された構成であってもよい。
<薬箱MBの逆流防止用のスペーサーについて>
上述したように排出規制手段26や排出規制手段250によって薬箱MBを底側から突き上げることにより薬箱通路22から排出する構成とした場合、薬箱通路22に残った最後の一つの薬箱MBを払い出そうとすると、薬箱MBが上流側、又は鉛直上方に向けて跳ね上がり、うまく排出されない場合がある。また、このような現象は、薬箱MBが軽量である場合や、側面視が正方形の薬箱MBに特に現れやすい。このような現象による薬箱MBの払い出し不良を防止するための方策として、図42に示すようなスペーサー400を、図43に示すように薬箱通路22の出口22e側に設けることが可能である。
さらに詳細に説明すると、スペーサー400は、薬箱通路22の通路幅以下の幅の金属板を折り曲げ加工等して形成されたスペーサー本体401に対してストッパー410を取り付けたものである。図42に示すように、スペーサー本体401は、上下方向に延びる固定部402と、水平部404と、平行部406と、末端部408とが長手方向に一連となるように形成されたものである。固定部402は、スペーサー400を固定するための部分である。また、水平部404は、固定部402に連続し、スペーサー400を固定した際に略水平となる部分である。平行部406は、スペーサー400の取付状態において薬箱通路22の底面22aと略平行になる部分である。末端部408は、平行部406に連続しスペーサー本体401の末端をなす部分であり、スペーサー400の取付状態において上方に立ち上がる部分である。
スペーサー400についてさらに詳細に説明すると、固定部402は、スペーサー400の取り付け位置を上下方向に調整することが可能な部分である。具体的には、固定部402には、上下方向に延びるスリット402aが設けられており、各薬箱通路22内に水平部404から末端部408に至る部分を末端部408側を先頭にして出口22e側から差し込むと共に、スリット402a内に挿通されたネジなどの固定具402bにより出口22e側において薬箱収容部20に対して固定することにより、薬箱通路22の天面22f側から下方に向けて吊り下げられたような状態とすることが可能である。このようにして固定することにより、平行部406が薬箱通路22の出口22e側において底面22aと平行に配された状態になる。さらに、固定部402のスリット402aが形成された領域内において固定具402bによる固定する位置を上下方向に適宜調整することにより、平行部406と底面22aとの間隔、すなわち薬箱通路22の出口22e側の位置における開口高さを調整することが可能となる。通常、スペーサー400は、平行部406と底面22aとの間隔が薬箱通路22に充填される薬箱MBの高さと同等あるいはこれよりもやや高い位置程度となるように上下方向に取り付け位置が調整される。
また、ストッパー410は、一端側において支軸410bを中心として回動自在に軸支されたストッパー片410aを有する。ストッパー410は、支軸410b側が薬箱通路22の入口22d側(上流側)に向き、自由端側が薬箱通路22の出口22e側に向くように取り付けられている。また、ストッパー410は、水平部404において長手方向に延びるように形成されたスリット406aからストッパー片410aが下方に突出するように取り付けられている。そのため、ストッパー片410aが薬箱通路22側(下方側)に向けて突出した状態において、ストッパー片410aを薬箱通路22の入口22d側から通過してくる薬箱MBによって出口22e側に向かう方向に押圧されると、ストッパー片410aが上方に押し上げられ薬箱MBの通過が許容されるが、その逆は許容されない。すなわち、ストッパー410は、薬箱通路22における薬箱MBの通過を入口22d側から出口22e側に向かう方向へのみ許容する、薬箱MBの逆流防止手段としての機能を発揮することができる。
ストッパー片410aの取り付け位置は、スリット406aに沿って水平部406の長手方向に適宜調整可能とされている。ストッパー片410aは、スペーサー400が取り付けられる薬箱通路22に充填される薬箱MBの略1個分の長さだけ薬箱通路22の出口22e側から入口22d側に外れた位置に到来するよう、位置調整される。
上述したようにしてスペーサー400が取り付けられた場合において、薬箱通路22に2個以上の薬箱MBが収容されている場合は、図43(a)に示すように出口22e側から2個目以上上流側(入口22d側)に収容されている薬箱MBによってスペーサー400のストッパー片410aが押し上げられており、薬箱MBは阻害されることなく薬箱通路22をスムーズに通過することができる。
一方、薬箱通路22における薬箱MBの残量が残り1個になった場合は、図43(b)に示すように、ストッパー片410aを押し上げていた薬箱MBが存在しなくなり、ストッパー片410aが水平部406から下方に向けて突出した状態になる。ここで、前述したように、ストッパー410が薬箱通路22の出口22e側から薬箱MBの略1つ分の長さだけ奥側(入口22d側)に外れた位置に設けられている。そのため、薬箱通路22に残った最後の一つの薬箱MBが払い出しに際して排出規制手段26や排出規制手段250によって薬箱通路22の上流側(入口22d側)に向けて跳ね戻ろうとしても、下方(やや排出側)に向けて突出しているストッパー片410aに当たって跳ね戻ることができず、出口22eから払い出されることになる。
上述したスペーサー400を薬箱通路22の出口22eにおいて天面22f側に取り付けることにより、薬箱通路22における薬箱MBの残量が残り一つになった場合であっても、薬箱MBは、排出規制手段26や排出規制手段250の作動に伴って薬箱通路22の上流側に向けて跳ね戻されたり、又は鉛直上方に向けて跳ね上がるだけの動作となることなく、スムーズに薬箱通路22から排出される。
なお、上述したスペーサー400は、本発明の一例を示したものに過ぎず、同様の機能を有するものをスペーサー400の代わりに設けてもよい。具体的には、図44及び図45に示すスペーサー420のようなものをスペーサー400の代わりに使用してもよい。スペーサー420は、上述したスペーサー400と同様に薬箱通路22の通路幅以下の幅の金属板を折り曲げ加工等して形成されたスペーサー本体422に対してストッパー424を取り付けたものである。
スペーサー本体422は、固定部426と平行部428と末端部430とを有する。固定部426、平行部428、及び末端部430は、それぞれ上述したスペーサー本体401の固定部402、平行部406、及び末端部408と同様の構成とされている。スペーサー本体422は、上述したスペーサー本体401と同様に、薬箱通路22に対して正面側(出口22e側)から末端部430を先頭にして差し込み、固定部426に設けられたスリット426aを介してネジなどの固定具426bを挿通し、これによって固定することが可能である。
図44及び図45に示すように、ストッパー424は、半円筒状の外観形状を有する部材であり、平行部428のスリット428aに挿通されたネジなどの固定具428bを用いて平行部428に取り付けられる。ストッパー424は、平行部428から下方に向けて突出するように取り付けられる。ストッパー424の取付位置は、平行部428の長手方向に適宜変更することが可能であり、薬箱通路22に充填される薬箱MB略一つ分の長さ分だけ出口22e側から奥側(入口22d側)の位置に取り付けられる。
スペーサー420は、上述したストッパー424が設けられた位置における薬箱通路22の高さが薬箱MBの高さよりも僅かに高い程度になるように高さ調整され、固定具426bによって固定される。このようにしてスペーサー420を取り付けた場合についても、薬箱通路22に2個以上の薬箱MBが収容されている場合は、スペーサー420を設けない場合と同様に、薬箱MBは阻害されることなく薬箱通路22をスムーズに通過し、排出される。
一方、薬箱通路22における薬箱MBの残量が残り1個になった場合において、排出規制手段26や排出規制手段250の作動に伴って薬箱MBが入口22d側に跳ね返された場合は、薬箱MBがスペーサー420に衝突し、これ以上入口22d側には移動しない。また、スペーサー420への衝突に伴う反作用により、薬箱MBは出口22e側に向かい、排出される。そのため、スペーサー420を設けた場合についても、上述したスペーサー400を設けた場合と同様に、薬箱通路22において残り一つになった薬箱MBが払い出し時に上流側(入口22d側)に跳ね戻されたり、又は鉛直上方に向けて跳ね上がるだけの動作となるのを防止することができる。
なお、上述したスペーサー400,420は、本発明の一例を示したものに過ぎず、スペーサー400を構成するスペーサー本体401と、スペーサー420を構成するストッパー424とを組み合わせた構成とすることも可能である。
<装填ユニットの変形例について>
上述したように、装填ラック32は、補充ユニット60の補充ラック62に準備されている薬箱MBを一気に各装填通路36に受け入れる構成とされている。そのため、図39(a)に示すように、補充ラック62側から装填ラック32側に薬箱MBが滑り落ちて来た薬箱MBが勢い余って装填通路36の先端に設けられたストッパー39を軸として回転し、飛び出してしまったり、図39(b)に示すようにストッパー39を軸として回転して引っかかった先頭の薬箱MBに、この後に続く薬箱MBが引っかかったりする可能性がある。また、このような現象は、比較的大きな薬箱MBを補充ラック62側から装填ラック32側に移す際に発生しやすい傾向にある。そこで、かかる事態まで想定して対策を講じる場合は、例えば図40に示すような飛出抑制ユニット370を設ける等することが可能である。
具体的には、図40に示すように、飛出抑制ユニット370は、装填ラック32において各装填通路36の長手方向中間部に設けられた飛出抑制部材372と、これを作動させるための抑制部材作動機構374とを備えている。飛出抑制部材372は、板状の部材であり、各装填通路36を薬箱MBが通過するのを阻止する機能を有する。飛出抑制部材372は、軸376を中心として回動可能なように支持されており、常時においては図40や図41(a)に示すように略鉛直方向に垂れた状態とされている。飛出抑制部材372は、抑制部材作動機構374を作動させることにより軸376を中心として回動させ、図41(b)に示すように自由端側が上方に持ち上がった状態とすることができる。飛出抑制部材372の自由端が上方に持ち上がった状態になると、各装填通路36に投入された薬箱MBがストッパー39の位置まで移動可能な状態になる。
飛出抑制ユニット370を設けた場合は、補充ラック60側から装填ラック32側に移動してきた薬箱MBが、先ず垂れ下がった状態になっている飛出抑制部材372に当接し、せき止められる。これにより、補充ラック60側から滑り落ちて来た薬箱MBの勢いが抑制された状態になる。その後、飛出抑制部材372の自由端側が上方に持ち上がると、装填ラック32内に設けられた装填通路36の先端側に設けられたストッパー39まで薬箱MBが緩やかに到達し、静止する。すなわち、飛出抑制ユニット370を設ければ、装填通路36を通過する薬箱MBの滑落速度を装填通路36の中間以降において低下させることができる。そのため、飛出抑制ユニット370を設ければ、薬箱MBが装填通路36の先端側において勢い余って回転し、引っかかったり飛び出したりするといった不具合が起こるのを防止することができる。
なお、図40,図41に示す例では、装填ラック32において最も上段側に位置する装填通路36にのみ飛出抑制ユニット370を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これよりも下段側の装填通路36に飛出抑制ユニット370を設けた構成としてもよい。なお、上述したように、小さな薬箱MBを取り扱う場合よりも大きな薬箱MBを取り扱う場合の方が、図39に示すような薬箱MBの飛び出しや回転に伴う不具合が起こりやすい傾向にあるため、大きな薬箱MBを取り扱う装填通路36に対して飛出抑制ユニット370を優先的に取り付けた構成とすることが望ましい。
上述した飛出抑制ユニット370は、図39に示すような薬箱MBの飛び出しや回転に伴う不具合を解消するための構成の一例に過ぎず、他の構成とすることも可能である。例えば、上述した飛出抑制ユニット370は、装填ラック32において最も上段側に位置する装填通路36全体にわたって飛出抑制部材372が横断した構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、一部の装填通路36のみを飛出抑制部材372が横断する構成や、各装填通路36毎に独立的に作動可能な飛出抑制部材372を設けた構成としてもよい。
<装置構成の変形例について>
上記実施形態で示した薬箱払出装置10は、装置本体をなす筐体12から補充ユニット60が独立した形態のものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図24や図25に示すように筐体12の背面側に補充ユニット60に相当するものを一体的に設けた構成としてもよい。また、図24に示すように、補充ユニット60に相当するものを複数(図24に示す例では2つ)設ければ、薬箱MBの準備をさらに効率よく実施することが可能となる。
上述したように補充ユニット60に相当するものを薬箱払出装置10の筐体12に一体化した構成とした場合は、装填ユニット30及び補充ユニット60が薬箱収容部20に設けられた各薬箱通路22に対して薬箱MBを装填するよりも前の段階において装填用の薬箱MBを準備しておくための手段(薬箱準備部15)として機能する。このような構成とした場合は、補充ユニット60に複数設けられた補充通路64に誤充填してしまった薬箱MBを容易に回収可能な構成とすることが望ましい。
具体的には、図26に示すように装填ユニット30に設けられた装填通路36に誤って補充した薬箱MBを回収するための薬箱回収手段230を設ける場合は、補充ユニット60において薬箱MBを誤充填した場合に、この誤充填した薬箱MBをいったん装填ユニット30側において受け取った後、薬箱回収手段230に回収させる構成とすることが可能である。また、補充ユニット60から薬箱MBを直接的に回収可能な位置に、箱や袋などからなる薬箱回収手段230を薬箱MBの回収用として設けた構成とすることも可能である。
<補充ユニット60の変形例について>
上述したように、補充ユニット60は、補充ユニット本体61内に設けられた補充ラック62において、排出口64b側に設けられたストッパー64cを解除することにより各補充通路64に準備した薬箱MBを自由落下により排出させることが可能なものである。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、ストッパー64cを設ける代わりに、図46や図47に示すように板状のシャッター450を排出口64b側に設けた構成としてもよい。シャッター450を設けた場合は、シャッター450を横方向(幅方向)にスライドさせて開くことにより、各排出口64bが開いた状態になり、各補充通路64に準備されていた薬箱MBを一気に自由落下にさせ排出することができる。
また、上述したようなシャッター450を設ける場合は、シャッター450の裏面、すなわち補充通路64に準備されている薬箱MB側を向く面に、図47に示すような当接片452を設けた構成とすることが望ましい。さらに詳細に説明すると、補充ラック62は、左右方向(幅方向)に補充通路64を複数並べて形成された補充通路群を上下方向に複数段にわたって配置したものである。当接片452は、シャッター450の裏面側において、上下方向に並ぶ各補充通路群に対応する高さに設けられている。本実施形態では、補充ラック62において補充通路群が上下方向に3段設けられているため、これと同様に当接片452についても上下方向に3つ設けられている。また、当接片452は、シャッター450が開く際の進行方向に対して最も末端側の位置に設けられている。図47に示す例では、シャッター450の裏側を正面視した状態において、シャッター450が右方向に向けてスライドすることにより開くものであるため、当接片452は、シャッター450の左端の辺に沿って、上下方向に3つ並べて設けられている。
当接片452は、シャッター450を裏側から正面視した状態において、上下方向に長細い形状とされている。また、当接片452は、正面視した状態において台形あるいは三角形の形状とされている。当接片452は、上端側よりも下端側の方が長く、シャッター450の進行方向に張り出した形状とされている。すなわち、図47に示す例では、右方向に張り出している。当接片452は、下端部が上述した補充通路群を構成する各補充通路64の底面近傍に到来するように位置決めされ配置されている。また、当接片452は、シャッター450が開くことにより、各補充通路64において最も排出口64b側に位置している薬箱MBに接触可能な程度、補充通路64側に突出している。また、当接片452は、図47(b)に示すように、シャッター450が開く際の進行方向側の部分(開放側傾斜面452a)が断面形状略R状となるように形成(面取り)されている。
シャッター450に上述したような当接片452を設けた場合は、シャッター450が開くことにより、各補充通路64の先頭側(排出口64b側)に準備されている薬箱MBが当接片452が順次接触していく。当接片452が上端側よりも下端側の方が長い形状とされているため、当接片452は、薬箱MBにおいて補充通路64の底面側の部分に先ず接触し、薬箱MBの端部が若干持ち上げられた状態になる。また、上述したように、当接片452は、開放側傾斜面452aが略R状に湾曲しているため、当接片452が薬箱MBに当接した際に、前述した薬箱MBの端部が持ち上がる現象がスムーズに生じる。薬箱MBの端部が持ち上がると、これによって補充通路64を滑落するための契機が薬箱MBに対して付与された状態になる。すなわち、当接片452は、薬箱MBの端部を若干持ち上げることにより、薬箱MBの滑落のきっかけを積極的に付与することができる。そのため、薬箱MBは、シャッター450が開くことにより、装填ユニット30側にスムーズに排出されることになる。
<管理システムについて>
上記実施形態に係る薬箱払出装置10は、薬箱MBの装填業務や、払出業務、在庫管理業務などの業務を一元管理可能な管理システムを採用することが望ましい。具体的には、薬箱払出装置10は、パーソナルコンピュータなどからなる制御装置70において装填業務などの様々な業務を一元管理可能な管理システムを備えていることが望ましい。薬箱払出装置10において採用可能な管理システムの一例を以下に例示する。
図27(a)に示すように、管理システム300は、装填管理手段302や、払出管理手段304、在庫管理手段306を備えている。装填管理手段302は、補充ユニット60を用いて薬箱収容部20に薬箱MBを装填する装填業務についての管理を行うための手段である。具体的には、管理システム300を用いて装填業務を行う場合は、制御装置70の表示器74に図28に示すようなユーザインターフェイス(以下、「基本インターフェイス」とも称す)が表示され、装填する薬箱MBについての情報を一覧可能な状態になる。さらに詳細には、基本インターフェイスには、装填する薬箱MBに係る薬品名称や、薬箱通路22の番号(カセットNo.)、規格量、規格単位、薬剤の入数、薬箱通路22における在庫量、薬箱通路22に最大限装填可能な薬箱の数量(最大在庫数)、薬箱MBの保管場所が表示される。
また、基本インターフェイスには、セット数表示部308が設けられている。セット数表示部308には、薬剤準備部15に準備された薬箱MBの個数がセット数として表示される。具体的には、図1や図2等に示す薬箱払出装置10のように補充ユニット60が筐体12とは別に設けられている場合は、装填ユニット30に補充された薬箱MBの個数がセット数として表示される。また、図24や図25に示す薬箱払出装置10のように補充ユニット60が筐体12に対して一体的に設けられている場合は、補充ユニット60に充填された薬箱MBの個数がセット数として表示される。
ここで、上述したように薬箱MBのセット数として表示されている数量が、実際に薬箱収容部20への装填用に準備した薬箱MBの数量と相違する場合がないとは言い切れない。そこで、かかる事態を想定し、図28に示す基本インターフェイスに表示されたセット訂正ボタン310が選択された場合は、セット数を変更することが可能とされている。
装填管理手段302は、装填業務のために薬剤準備部15に準備される薬箱MBについての薬品情報、具体的には薬品名や薬品番号を検索することができる。薬品情報の検索は、図28に示す基本インターフェイスに設けられている検索ボタン312を選択することにより別途表示されるインターフェイス(図示せず)において薬品名を入力することによって行うことも可能であるが、バーコードリーダなどによって構成された薬箱認識手段72によって薬箱MBを認識させることにより、薬箱MBに収容されている薬品情報が別途準備されている薬品名データベース(図示せず)から選定される。
上述したようにして薬品情報の検索が行われ、装填業務により装填しようとしている薬箱MBに収容されている薬剤の特定が完了すると、図29に示すようなインターフェイス(以下、「充填案内インターフェイス」とも称す)が表示される。充填案内インターフェイスが表示されると、補充ユニット60に充填しようとしている薬箱MBに収容されている薬品名や、規格などの薬品情報の他、補充ユニット60に充填される薬箱MBの数量などの情報が表示される。また、補充ユニット60において薬箱MBを充填すべき補充通路64が、発光ダイオードなどによって指示される。
充填案内インターフェイスについてさらに詳細に説明すると、充填しようとしている薬箱MB(以下、「充填対象薬箱」MBとも称す)を薬箱収容部20に用意された薬箱通路22に在庫可能な最大数が「最大在庫数」として表示される(図29の例では9個)。また、薬箱通路22における現在の充填対象薬箱MBの在庫数が「在庫」として表示される(図29の例では0個)。また、充填ユニット60において補充通路64に用意可能な充填対象薬箱MBの個数(以下、「準備可能数」CPとも称す)と、補充通路64に対して既に準備されている充填対象薬箱MBの個数(以下、「準備完了数」PPとも称す)が「充填数」の欄にPP/CPの形態で表示される(図29の例では、準備可能数CPが3個、準備完了数PPが1個)。
具体例に基づいて詳細に説明すると、例えば図37に示すように充填対象薬箱MBの最大在庫数が9個であり、在庫数が6個である場合は、薬箱通路22に充填対象薬箱MBを残り3つだけ補充可能な状態にある。よって、この場合は、充填ユニット60の準備可能数CPが3個として図29のように表示され、準備完了数PPが最大3個に到達した時点(図37(a)の時点)で充填ユニット60への充填対象薬箱MBの投入が規制されるべきである。そのため、本実施形態では、このような状態になると、発光ダイオードなどによる補充通路64への充填対象薬箱MBの補充指示が停止される。さらにそれと同時に、充填すべき次の薬剤を示す画面が表示されるようにしてもよい。
また、上述したような充填対象薬箱MBの投入が規制されるべき状態において誤って補充通路64に薬箱MBが補充されてしまったケース、すなわち薬箱通路22における欠品数を越える数の充填対象薬箱MBが充填ユニット60に準備されてしまったケースが想定される。具体的には、図37(b)に示すように、薬箱通路22に充填対象薬箱MBを残り3つだけ補充可能な状態であるにもかかわらず、準備完了数PPが4個である場合がこのケースに相当する。このようなケースでは、このまま充填ユニット60を作動させると、薬箱通路22に納まりきらない薬箱MBが発生し、この薬箱MBが詰まってしまうなどの不具合を起こす可能性がある。そこで、充填対象薬箱MBの投入が規制されるべき状態になった後、さらに薬箱MBが補充されてしまった場合は、充填ユニット60に過剰に充填対象薬箱MBが準備されている旨の報知がなされる。また、上述した薬箱回収手段230のように充填ユニット60から薬箱MBを回収可能なものが設けられている場合は、充填ユニット60に既に準備されている薬箱MBを回収することにより、薬箱MBの詰まり等の不具合が起こるのを未然に防止することができる。
上述したようにして、発光ダイオードによって指定された補充通路64に、充填案内インターフェイスにおいて指定された薬品が充填され、補充ユニット60に薬箱MBが準備された後、充填案内インターフェイスに表示されているセット完了ボタン314が選択されると、表示器74の表示が図28に係る基本インターフェイスに切り替わる。具体的には、補充通路64に最大n個の薬箱MBを投入可能な状態において、投入されている薬箱MBの数量がn個に満たない時点であっても、セット完了ボタン314が選択されると、基本インターフェイスが表示器74に表示される。基本インターフェイスにおいて自動充填開始ボタン316が選択されると、薬箱MBは、補充ユニット60から装填ユニット30に補充された後、装填ユニット30から各薬箱通路22に対して装填される。
一方、薬剤準備部15において薬箱MBが誤充填された場合、具体的には上述した充填案内インターフェイスにおいて充填すべき補充通路64として指定されているものとは異なる補充通路64において薬箱MBの投入が確認された場合や、未だ充填すべき充填通路64が指定されていない時点において薬箱MBの投入が確認された場合は、その旨を示すメッセージが充填案内インターフェイス上に表示される。また、この状態では、自動充填開始ボタン316が選択不可能となる。この状態において、図29に示す充填案内インターフェイスに表示されている取消ボタン318が選択されると、薬剤準備部15から薬箱MBが回収される。
具体的には、図26に示すような薬箱回収手段230が設けられている場合は、薬箱準備部15に誤って準備された薬箱MBが薬箱収容部20を経ることなく、シュータ232を介して回収箱234に回収される。ここで、装填ユニット60が薬箱払出装置10の筐体12から独立している場合(図1,図2等参照)は、装填ユニット30に準備された薬箱MBを回収すべく、装填通路36の装填出口36a側に設けられたストッパー39が解除され、誤充填した薬箱MBが排出され回収される。また、図24や図25に示すように装填ユニット60に相当するものが筐体12に一体化されている場合には、各補充通路64の排出口64b側の端部に設けられているストッパー64cが解除され、一旦装填ユニット30に装填された後、装填ユニットは薬箱回収手段の位置まで移動し、回収すべき薬剤が収容された補充通路36の排出口36b側の端部に設けられているストッパー36c解除され、これにより誤充填した薬箱MBが薬箱回収手段230に回収される。
払出管理手段304は、薬箱MBの払出状況の管理を行うために設けられたものである。払出管理手段304が作動すると、図30に示すようなインターフェイス(以下、「払出管理インターフェイス」とも称す)が表示される。払出管理インターフェイスには、払出業務中の処方についての情報、さらに詳細には処方番号や、患者のID、患者名、病棟や診療科などの情報が表示される。
また、処方データによらず、所望の薬箱MBを必要数払い出す動作(以下、「簡易発行動作」とも言う)を行うことができる。簡易発行動作は、図30に示す払出管理インターフェイスにおいて表示されている簡易発行ボタン322が選択された場合に実施される。簡易発行ボタン322が選択されると、図31に示すようなインターフェイス(以下、「簡易発行インターフェイス」とも称す)が表示される。簡易発行インターフェイスにおいて払い出すべき薬箱MBに係る薬品名及び箱数が入力され、発行ボタン324が選択されると、指定された薬箱MBが指定された数だけ薬箱収容部20から払い出される。また、簡易発行動作を行った場合は、供給ユニット50において薬箱MBを払い出す際にジャーナルプリンタ58aにおいて印刷される処方情報を記した紙に、簡易発行による処方である旨を記す文字や図形、記号などが印刷される。
在庫管理手段306は、薬箱収容部20における薬箱MBの在庫管理業務を行うために設けられたものである。在庫管理業務を行う場合は、在庫管理手段306から上述した測距センサ106や詰まり解消手段200などの在庫を確認するために設けられた装置に対して作動指令が出される。在庫管理手段306は、測距センサ106や詰まり解消手段200などによる検知結果に基づき、実在庫を把握することができる。
在庫管理業務は、薬箱収容部20に存在する全ての薬箱通路22について実在庫状況の確認(以下、「全実在庫確認動作」とも称す)を行うのか、一部の薬箱通路22について実在庫状況を確認(以下、「一部実在庫確認動作」とも称す)するのかを選択して実施することができる。ここで、全実在庫確認動作が選択された場合は、図32(a)に示すようなインターフェイス(以下、「全実在庫計測用インターフェイス」とも称す)が表示器74に表示される。全実在庫計測用インターフェイスに表示されている計測開始ボタン328が選択されると、全実在庫確認動作が実施される。また、範囲指定ボタン332が選択された場合は、図32(b)に示すようなインターフェイス(以下、「一部実在庫計測用インターフェイス」とも称す)が表示器74に表示される。一部実在庫計測用インターフェイスにおいて薬箱MBの実在庫状況を確認したい薬箱通路22の範囲が指定された後、表示されている計測開始ボタン330が選択されると、一部実在庫確認動作が実施される。
本実施形態では、上述した在庫管理手段306などによって薬箱MBの在庫量管理を行うことができるが、薬箱通路22において薬箱MBが詰まる等して薬箱MBの払い出しエラーが発生した場合、理論在庫数NRの値に狂いが生じる可能性がある。そのため、薬箱通路22における薬箱MBの払い出しエラーが発生した場合は、薬箱MBの充填動作が完了した後のタイミングなど、適宜のタイミングにおいて該当する薬箱通路22について測距センサ106による計測を行い、この結果に基づいて導出された在庫数を理論在庫数NRとして更新するようにすることが望ましい。
<薬箱マスタについて>
図27(b)に示すように、管理システム300は、薬箱マスタ360を構築し、管理可能な構成としてもよい。具体的には、薬箱マスタ360は、薬箱払出装置10において取り扱われる薬箱MBについてのデータを集約したものとすることが可能であり、薬品名や薬品コード、規格量、規格単位、メーカー名、内容量などの薬品に関する情報の他、薬箱MBの大きさ(薬箱MBの幅、高さ、奥行きなど)や保管場所などの情報を含むものとすることが可能である。管理システム300は、薬箱マスタ360の情報を、図33に示すようなインターフェイス(以下、「薬箱マスタインターフェイス」とも称す)の形態で表示器74に表示することができる。
管理システム300は、薬箱払出装置10の動作条件の初期設定時に、薬品マスタ360に記録されている各薬箱MBの大きさ(幅、高さ、奥行き等)についての情報に基づき、薬箱払出装置10において薬箱MBを最適な収容状態となるよう配置を決定するために使用することができる。また、薬品マスタ360によれば、薬箱MBの外観形状を画像認識したり薬箱MBの大きさを入力する等することにより薬箱MBの種類を特定あるいは絞り込むことが可能である。そのため、例えばバーコードなどのような識別標識を備えていない薬箱MBについても、薬箱MBのサイズや薬箱MBに記載されている印字情報等に基づき、薬箱MBの種類を特定することが可能となり、薬箱MBの管理作業をより一層容易かつ適切に実施することが可能となる。
ここで、倉庫などの保管場所において薬箱MBが所定の単位数毎、具体的には例えばダースやカートンなどの単位数毎に包装等した状態で保管されている場合において、一処方分として払い出す薬箱MBの個数が前記した単位数を構成する薬箱MBの個数よりも多い場合がある。このような場合は、薬箱払出装置10によって全ての薬箱MBを払い出すよりも、単位数毎に包装等された薬箱MBを保管場所から取り出す作業(以下、「手払出作業」とも称す)を行い、手払出作業により払い出す分を除く端数の薬箱MBを薬箱払出装置10によって払い出すようにすることとする方が、薬箱MBの払い出し業務をより一層円滑化することができる可能性がある。また、前述したように手払出作業と薬箱払出装置10による薬箱MBの払い出しとを併用することとすれば、薬箱収容部20から薬箱MBの在庫が急激に減ってしまうのを防止でき、薬箱払出装置10における在庫管理や、薬箱収容部20に対する薬箱MBを補充するのに要する手間を最小限に抑制することができる可能性がある。
上述したような払い出し態様に対応可能とすべく、薬箱MBが何個単位で保管されているかを示す情報(以下、「手出変更箱数」とも称す)を薬品マスタ360に取り入れた構成とすることが望ましい(図33参照)。また、かかる構成とした場合は、手出変更箱数を越える数量、すなわち手払出作業により払い出す分を除く端数の薬箱MBを薬箱払出装置10によって払い出すこととした際に、倉庫などから作業者が取り出してくる薬箱MBの個数をジャーナルプリンタ58aにおいてジャーナルに印刷したり、表示器74に別途表示したりするなどして報知することが望ましい。
ここで、上述したように、薬箱マスタ360は、薬箱MBの幅や高さ、奥行きなどの情報を集約したものとすることが可能であるが、薬箱MBの大きさは、箱の蓋の閉まり具合などによって微妙に変化する場合がある。具体的には、図48(a)に示すように薬箱MBの蓋に浮き上がりが生じている場合がある。このような蓋の浮き上がりなどを原因とする薬箱MBの大きさの誤差は、単体で見ればごく微小であっても、薬箱通路22などに多数並べて配置した場合には全体として大きな誤差となる可能性がある(図48(b)参照)。また、上述したように薬箱MBの大きさについてのデータに基づいて在庫管理などを行う場合は、在庫数を誤って認識してしまう可能性があるため、前述したような薬箱MBの大きさの微小な誤差も可能な限り抑制できる構成であることが望ましい。
そこで、かかる問題を解消すべく、例えば次のような方策により薬箱MBの実際の大きさを導出し、薬箱マスタ360を構築するようにしてもよい。具体的には、薬箱MBがn個(n=自然数)だけ薬箱通路22に充填された後、この薬箱通路22について測距センサ106によって計測を行うことによりn個の薬箱MB分の長さを導出する。その後、n個分の薬箱MBに相当する長さを個数nで除算することにより導出された値を、薬箱MB1個当たりの長さとし、これを薬箱マスタ360に登録する。このようにして薬箱マスタ360を構築することにより、薬箱MBの実際の大きさを反映した上で薬箱MBの在庫管理などを容易かつ的確に行うことが可能となる。
<分割処方について>
薬箱払出装置10は、一処方分の薬箱MBを複数回に分割して供給ユニット50から供給する方法(以下、「分割処方」とも称す)により薬箱MBを供給することも可能である。さらに詳細には、薬箱払出装置10が一度の払出動作によって発揮可能な払出能力を、薬箱MBの数量により最大払出数として薬箱マスタ360などに設定しておき、最大払出数(図33においては「1払出し最大箱数」と表記)と処方すべき薬箱MBの数量との兼ね合いで分割処方を行うか否かを制御装置70において判断する構成とすることが可能である。前述した最大払出数は、薬箱MBの種類によって規定することが可能である。
具体的には、例えばα薬剤に係る薬箱MBαの最大払出数が10個と設定されている場合において、15個の薬箱MBαが処方されている場合は、10個の薬箱MBαと5個の薬箱MBαとに分割して払い出すとの判断が制御装置70においてなされ、この判断に従って薬箱払出装置10が作動する。
また、例えば薬箱MBαの最大払出数が10個、β薬剤に係る薬箱MBβの最大払出数が5個と設定されている場合に、5個の薬箱MBαと7個の薬箱MBβが一処方分として処方されている場合は、5個の薬箱MBαを払い出すために薬箱払出装置10が一度に発揮可能な払出能力の50%が使われることになり、薬箱MBβの払出に割り当て可能な払出能力は残りの50%になる。したがって、5個の薬箱MBαと一緒に払出可能な薬箱MBβの個数は、2個(薬箱MBβの最大払出数5個×0.5;小数点以下切り捨て)となり、処方すべき薬箱MBβの個数(7個)に満たない。よって、このケースでは分割処方が行われ、5個の薬箱MBαと2個の薬箱MBβとを先に払い出した後、残り5個の薬箱MBβが別途払い出されることになる。
上述したように薬箱払出装置10を分割処方可能な構成とする場合において、一処方分の薬箱MBが容器BSに収まりきらない程多い場合は、一処方分の薬箱MBの全てが払い出されるまでの間に容器BSの交換が行われてもよい。しかし、このような特別な場合を除いては、一処方分の薬箱MBが全て払い出されるまでの間、供給ユニット50の容器配置部52yに設置された容器BSを交換する必要がなく、薬箱MBが払い出されるタイミングにおいて容器BSが容器配置部52yにセットされていればよい。よって、分割処方を行う場合は、一処方分の薬箱MBを払い出す間は、容器BSの存在が容器検知センサ108によって確認されていれば、先に行われた薬箱MBの払い出し後に容器BSの交換がなされなくても順次容器BSに向けて薬箱MBを払い出すこととしてもよい。すなわち、一処方分の薬箱MBを払い出す間は、供給ユニット50に設けられた容器検知センサ108によって容器BSが検知された状態(第1の検知状態)であれば薬箱MBを順次払い出すことが可能であり、先に行われた薬箱MBの払い出し後、いったん容器BSが容器検知センサ108によって検知されてない状態(第2の検知状態)にならなくても次の薬箱MBの払い出しを行うことが可能である。
上述したように薬箱払出装置10を分割処方により薬箱MBの払い出し可能な構成とする場合は、分割処方による薬箱MBの払い出しであるのか否かを容易に確認可能な構成とすることが望ましい。具体的には、図38に示すように、供給ユニット50などの適所に分割処方の実行中である旨を示すことが可能な分割処方ランプ350を設けるなどすることが望ましい。また、分割処方ランプ350は、分割処方中のいかなるタイミングで消灯する構成としてもよいが、分割処方に係る薬箱MBのうち未払出のものが存在している間は消灯しない構成とすることが望ましい。かかる構成とすることにより、分割処方される薬箱MBのうち未払出のものが存在していることを作業者に対して確実に伝達することが可能であり、分割処方に係る薬箱MBが他の処方に係る薬箱MBと混在してしまうなどの不具合の発生を確実に防止することができる。
また、図38に示すように、通電により発光する発光ボタン352を設け、分割処方により薬箱MBを払い出す場合に、一部の薬箱MBが未払出状態で待機していることを発光ボタン352の発光により通知し、発光ボタン352が押圧されることを条件として未払出状態で待機している薬箱MBを払い出し可能な構成としてもよい。かかる構成とすることにより、先に行われた薬箱MBの払い出し後、容器BSの交換がなされなかったとしても発光ボタン352を押圧することにより未払出状態で待機している薬箱MBを容器BSに向けて払い出させることが可能である。
なお、図38に示す例では、装置構成の簡略化のために未払出状態の薬箱MBの存在を通知するためのランプとしての機能と、容器BSの交換の有無にかかわらず未払出状態の薬箱MBを強制的に払い出させるためのボタンとしての機能とを発光ボタン352に担わせた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各機能を担うランプやボタンなどの構成を別々に設けた構成としてもよい。また、分割処方を行う際に、未払出状態で待機している薬箱MBを払い出すための準備が出来た場合に発光ボタン352を点滅させる等、分割処方を行う場合に薬箱MBの準備状態に応じて発光ボタン352の点灯状態を変化させる構成としてもよい。
また、上述したように分割処方を行う場合において、1処方分として払い出された薬箱MBを別々の容器BSに収容する場合は、各容器BSに薬箱MBの処方情報や分割処方を行った旨を示す情報などを記した紙(ジャーナル)をジャーナルプリンタ58aにより発行し、これを各容器BSに投入する構成としてもよい。かかる構成とすることにより、分割処方が実行されていることを容易かつ通知することが可能となる。
なお、分割処方を実施する場合は、各容器BSに投入されるジャーナル毎に薬箱MBの種類等の処方情報を印字することとしてもよく、いずれかの容器BSに投入されるジャーナルに処方情報を一括して印字し、他の容器BSに投入されるジャーナルには処方情報を印字せず分割処方である旨や、分割処方により一処方分の薬箱MBが何回に分割して処方されているのか(小口数)を示す情報等を印字することとしてもよい。また、分割処方時に各容器BSに投入されるジャーナルに処方情報を印字する場合は、当該処方に係る薬箱MBの種類や数量等を全て印字することとしてもよいが、投入されている薬箱MBの種類等の処方情報を各容器BS毎に分類して印字するようにしてもよい。各容器BS毎に投入されている薬箱MBの種類等を各ジャーナルに別々に印字することとすれば、薬箱MBの監査業務をより一層簡略化することが可能となる。
上記実施形態に示した薬箱払出装置10は、各装填通路36の装填入口36b側や各補充通路64の投入口64a側の位置に薬箱MBを検知可能なセンサ(以下、「入口側センサ」とも称す)を設け、この入口側センサによって薬箱MBが検知されることを条件として薬箱MBが装填ユニット30や補充ユニット60に準備されたものと把握し、薬箱MBの準備数量を計数可能な構成とすることが可能である。また、薬箱準備部15への薬箱MBの準備を行う者が、薬箱MBを装填入口36bや投入口64aから前述した入口側センサによって検知可能な位置までいったん差し入れた後、これを装填入口36bや投入口64aから抜き取るような変則的な動作をした場合に、薬箱MBの準備数量が誤認識されることまで想定し、準備数量の計数に対してさらに別の条件を付加してもよい。具体的には、前述した入口側センサに加え、これよりも装填通路36や補充通路64の下流側(装填出口36b,排出口64b側)に隣接する位置に別のセンサ(以下、「入口側第二センサ」とも称す)を設け、入口側センサ及び入口側第二センサの検知状態に基づき薬箱MBが正確に準備されたか否かを確認した上で、準備数量を計数を行うこととしてもよい。
具体的には、入口側センサ、入口側第二センサの順で薬箱MBが検知された場合は、薬箱MBが装填入口36bや投入口64aから正確に投入されたものと考えられる。これに対し、入口側第二センサ、入口側センサの順で薬箱MBが検知された場合は、装填入口36bや投入口64aからいったん差し入れた薬箱MBを抜き取る動作を行ったものと考えられる。そのため、入口側第二センサ、入口側センサの順で薬箱MBが検知された場合は、薬箱MBの準備数量として計数しないこととしたり、計数して良いか否かを作業者に確認する動作を行うようにすることにより、上述したような誤計数の発生を防止することができる。
<キャリブレーション動作について>
上述したように、本実施形態の薬箱払出装置10は、薬箱収容部20において多数の薬箱通路22が設置されているため、構成材料の撓みや固定用のネジのゆるみ等様々な要因により各薬箱通路22の実際の位置と設計された位置との間に微妙なずれが生じることが想定される。また、薬箱払出装置10は、薬箱通路22の背面側において装填ユニット30を移動させ、薬箱MBを各薬箱通路22に準備するものであるため、各薬箱通路22の位置が正確に把握できていないと、薬箱MBの詰まりが生じるなどの問題が生じる可能性がある。そこで、薬箱払出装置10は、装置の設置時など所定のタイミングにおいて一定の単位数の薬箱通路22毎、あるいは全ての薬箱通路22について、設計上の位置情報と実際の位置情報との誤差を確認し、調整する動作(以下、「キャリブレーション動作」とも称す)を実行することが望ましい。
具体的には、例えば上述したように複数の薬箱通路22をユニット化し、通路ユニットUの形態として設置する構成とした場合は、図34に示すように各通路ユニットU毎にキャリブレーション動作用の目印247を設置すると共に、装填ユニット30に前記した目印247を認識するための認識手段(図示せず)を設置する。キャリブレーション動作を行う場合は、装填ユニット30を薬箱収容部20の背面側において上下左右に移動させ、前記した認識手段により各通路ユニットU毎に設けられた目印247を順次認識し、各目印247の位置を把握していく。これにより、把握された各通路ユニットUの実際の位置情報と設計上の位置情報とを確認(比較)し、各通路ユニットUの位置情報を正確に認識することができる。
本体後部の左側の壁面から各通路入口側22dの直後を通過するセンサを設置することで、装填通路36の出口36aと通路入口側22dとの間に薬箱MBが滞留したり、装填通路36に装填された最先端の薬箱MBの一部が飛びした状態である場合において、そのような異常な状態の薬箱MBが前記センサを遮ることにより、異常を検知することができる。この異常を検知すると装填ラック32は装填するための動作に移行せず異常を報知することにより、装置の故障を未然に防止することができる。
本実施形態の薬箱払出装置10は、上述したように補充ユニット60にユーザーが準備した薬箱MBを装填ユニット30を介して所定の薬箱通路22に準備することができるものであるが、補充ユニット60において指定された補充通路64とは異なる薬箱通路64に薬箱MBを投入してしまった場合や、指定されたものとは異なる薬箱MBを補充通路64に投入してしまうことがあり得る。このような場合は、誤って薬箱通路64に準備された薬箱MBを回収する必要があるが、その回収を行うための操作用インターフェイスとして、例えば図49に示すようなものを採用することができる。
具体的には、図49に示すインターフェイスでは、補充ユニット60における薬箱通路64の配置通りに区画が表示されており、誤って薬箱MBを投入した薬箱通路64を直感的に指定することが可能とされている。このインターフェイスにおいて、薬箱MBを誤投入した薬箱通路64に対応する区画が指定されると、当該薬箱通路64から薬箱MBを回収するか否かを選択するための選択用インターフェイス(図示せず)が表示される。この選択用インターフェイスにおいて回収を行う旨の選択がなされると、図49に示すように、これに対応する薬箱通路64を示す区画に「×」印が表示される。このようにして「×」印が付された区画に該当する薬箱通路64に準備された薬箱MBは、装填ユニット30側に投入されることなく、回収される。また、視覚的にオペレーターにより以後の薬箱の投入も止めることができる。
本実施形態の薬箱払出装置10は、薬箱収容部20に多数の薬箱通路22を備えており、薬箱MBの貯蔵及び払い出しに使用することが可能であるが、例えば排出規制手段26の故障や、薬箱MBが薬箱通路22において詰まるなどしてエラーが発生した場合には、一部の薬箱通路22についてのみ使用しないよう選択可能とすることにより、正常に使用可能な薬箱通路22を有効利用することが可能となる。そこで、かかる知見に基づき、図50に示すような薬箱通路マスターインターフェイスを表示可能とし、このインターフェイス上において薬箱通路22を適宜選択し、使用、不使用を選択できる構成とすることも可能である。
本実施形態の薬箱払出装置10は、装填ユニット30が何らかの不具合によって停止状態になると、これに連動して装填ユニット30によって装填される薬剤MBと同一のものが準備されている薬箱通路22における薬箱MBの払い出し動作も停止するようなものであってもよいが、既に薬箱MBが正しく準備されている薬箱通路22における薬箱MBの払い出し動作まで停止しなくてもよい場合がある。このような場合を想定し、装填ユニット30の動作と薬箱通路22の動作とを縁切りすることが可能な構成とすることも可能である。具体的には、例えば図51に示すような充填ユニット不使用設定用インターフェイスを動作制御用に設けたパーソナルコンピュータなどに表示可能とし、このインターフェイス上に設けられたボタン460を操作することにより、装填ユニット30の動作と薬箱通路22の動作とを縁切り可能な構成とすることが可能である。このような構成とすることにより、装填ユニット30の動作を停止させつつ、薬箱通路22における薬箱MBの払い出しを継続させることが可能となり、より一層利便性を向上させることが可能となる。
また、上述した薬箱払出装置10は、処方情報提供手段58を構成するジャーナルプリンタ58aや手払出用プリンタ58bより、処方情報や手払い出しが必要な薬剤についての情報を印刷したジャーナルを印刷し、提供可能な構成とされていた。しかし、薬箱払出装置10から払い出された薬箱MBを処方箋と照合するだけで足り、このような場合に前述したようなジャーナルが不要である場合がある。そこで、かかる運用を考慮すれば、図51に示すインターフェイスなどにおいてジャーナルプリンタ58aの動作切替ボタン462や手払出用プリンタ58bの動作切替ボタン464を表示可能とし、適宜ジャーナルプリンタ58aや手払出用プリンタ58bによるジャーナルの印刷を停止可能とすることが望ましい。