JP4641920B2 - 薬剤分包装置 - Google Patents

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Description

本発明は、散薬等の薬剤を分包処理する薬剤分包装置に関する。
従来、それぞれ薬剤を定速供給可能な第1および第2の供給手段と、前記各供給手段から供給された薬剤を分配する分配手段と、前記分配手段によって分配された薬剤を所定量ずつ分割する分割手段と、前記分割手段によって分割された薬剤を分包する分包手段とを備えた薬剤分包装置が公知である(例えば、特許文献1,2参照)。
特許第1718509号公報 特許第1840164号公報
ところで、平成14年4月の診療報酬改定に伴って、薬剤の処方日数制限が大幅に緩和された。それ以前は、原則14日分、特定の慢性疾患については30日分、ごく一部の薬剤については90日分という限度があったが、前記診療報酬改訂によって原則として(経過を予見できる範囲内で)日数無制限に処方可能となった(ただし、麻薬、向精神薬、新薬を除く)。
薬剤師は、医師から出された処方箋に基づいて調剤を行う。例えば薬剤A(散薬)を7日分(朝・昼・夕食前に各2g服用)というような処方オーダがなされた場合、薬剤師は2g×3回×7日分=42gの薬剤Aを天秤を用いて秤量し、秤量した42gの薬剤Aを薬剤分包装置のホッパに投入することによって処方薬の分包作業を行っている。
しかしながら、処方内容が長期(例えば3ヶ月)になると取り扱う薬剤量も増加するため、秤量作業が煩わしくなり、薬剤師の業務負担が増大するという問題点があった。
また、薬剤分包装置において長期日数の処方薬剤を分包処理するには、或る程度の時間を要する。その分包処理途中に、比較的短期日数(例えば30日以下)の別の薬剤の処方オーダが入った場合に、前記長期日数の分包処理を終わるのを待ってから前記別の処方に基づく薬剤の分包処理を行っていたのでは、短期日数の処方を受けた患者を長時間待たせることにもなる。
そこで、本発明の目的は、長期処方に対応できるとともにユーザ(薬剤師)の業務負担を軽減でき、かつ、長期処方の分包効率を大きく低下させることなく短期処方の別の薬剤を割り込みで分包処理できる薬剤分包装置を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明は、
薬剤を定速供給可能な第1および第2の供給手段と、
前記各供給手段から供給された薬剤を分配する少なくとも2つの分配手段と、
前記各分配手段によって分配された薬剤を所定量ずつ分割する分割手段と、
前記分割手段によって分割された薬剤を分包する分包手段とを備えた薬剤分包装置において、
入力された処方データを複数に分割する処方分割手段を有し、前記処方データに基づく薬剤分包処理途中に別の処方データの割り込み指示があったときに、前記分割された複数の分割処方データのうちの1つの分割処方データに基づく薬剤の前記一方の分配手段への供給が終了した後に、前記別の処方データに基づく薬剤を前記他方の分配手段に供給して分包処理を行う割り込み処理を実行する割り込み手段をさらに有することを特徴とするものである。
本発明の薬剤分包装置において、前記第1の供給手段は、少なくとも総処方量分の薬剤が投入されて収容される投入ホッパと、該投入ホッパの下方に設けられた第1振動フィーダと、該第1振動フィーダから供給される薬剤を1分割処方量分ずつ秤量する秤量部と、該秤量部で秤量された薬剤を収容する第1ホッパと、該第1ホッパの下方に設けられ秤量された薬剤を前記分配手段に供給する第2振動フィーダと、から構成されてもよい。
また、本発明の薬剤分包装置において、前記分配手段は、外周部に浅い環状溝からなる分配皿を有する分配円盤で構成されてもよい。
本発明の薬剤分包装置によれば、入力された処方データを複数に分割し、前記処方データに基づく薬剤分包処理途中に別の処方データの割り込み指示があったときに、前記分割された複数の分割処方データのうちの1つの分割処方データに基づく薬剤の前記分配手段への供給が終了した後に、前記別の処方データに基づく薬剤を前記分配手段に供給して分包処理を割り込ませて実行するようにしている。
これにより、短期処方の分包処理を長期処方の分包処理に割り込ませて行うことで、短期処方を受けた患者を長時間待たせることなく効率の良い処方薬提供を実現できる。
一方、このような割り込み処理を行うことによって長期処方の薬剤の分包処理が遅れることになるが、1の分割処方データの分包処理と次の分割処方データの分包処理との間に割り込み処理を入れているので、前記割り込み処理のための前記他方の分配手段への薬剤供給が終わると直ちに前記次の分割処方データ分の薬剤の前記一方の分配手段への供給を直ちに再開できる。したがって、長期処方の分包処理を割り込み指示によって無制限に直ちに中断した場合には割り込み処理後に長期処方の分包処理を初めから又は途中からやり直す必要も生じるが、その場合に比べて本発明によれば割り込み処理を入れても長期処方の分包処理の効率を大きく低下させることなく完了することができる。
以下に、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態である薬剤分包装置1の全体斜視図である。薬剤分包装置1は、大略、薬剤を供給する薬剤供給部2、上面カバー3で覆われた分配部4と分割部5(図7参照)、および、装置下部に設けられた分包部6で構成されている。装置上部には、手動操作用の操作パネル7と、処方データを入力するための処方入力端末8とが設けられている。処方入力端末8は、後述するように、薬剤分包装置1における分包処理のための制御を統括する制御部を兼ねるととともに、処方分割を実行する処方分割手段および割り込み処理を実行する割り込み手段をも構成するものである。
図2は、カバーを取り除いた状態の薬剤供給部2と、分配部4を構成する2枚の上部分配円盤61および下部分配円盤62とを示す斜視図である。図2に示すように、薬剤供給部2は、第1供給部11と第2供給部12とで構成されている。第1供給部11および第2供給部12は、支持台9上に固定配置されている。
第1供給部11は、少なくとも総処方量分の薬剤が投入されて収容される投入ホッパ13と、投入ホッパ13の下方に設けられた第1振動フィーダ14と、第1振動フィーダ14から供給される薬剤を秤量する秤量部15と、秤量部15で秤量された薬剤を収容する第1ホッパ16と、第1ホッパ16の下方に設けられ秤量された薬剤を分配部4に供給する第2振動フィーダ17とからなっている。
図3に示すように、投入ホッパ13の下部開口部に対向して第1振動フィーダ14の第1シュート18が配置されており、投入ホッパ13に投入された薬剤がその下部開口部から排出されて第1シュート18で受けられるようになっている。第1シュート18とシュート支持板19とは、平行に配置した2枚の板ばね20を介して連結されている。シュート支持板19は、支持台9上に起立状態で支持された複数のコイルばね21によって支持されている。これにより、第1シュート18は、先端に向けて緩やかな勾配を持って傾斜するように支持されている。また、シュート支持板19には、加振器22が取り付けてあり、この加振器22を作動すると、シュート支持板19および板ばね20を介して第1シュート18が微振動するようになっている。
第1振動フィーダ14から供給される薬剤を秤量する秤量部15は、本実施形態では電子天秤で構成されている。電子天秤15は、その上部に秤量物受皿23を有している。受皿23は、皿支持板24上に載置された状態で、第1シュート18の先端部の下方に位置している。受皿23の先端部は、ピン25を介して皿支持板24に揺動可能に連結されている。この電子天秤15は、第1振動フィーダ14から受皿23上に供給された薬剤が設定値に達すると加振器22を停止させて、受皿傾倒装置26を作動させるようになっている。
受皿傾倒装置26は、電子天秤15の下方に水平に設けた駆動軸27に取り付けられた受皿傾倒用カム28を有している。このカム28の回転によって上昇し、かつ、コイルばね29の付勢力によって下降する昇降可能なロッド30の上端部に連結ピン31が設けられており、この連結ピン31が受皿23の側面に取り付けた板体32の横長孔33に挿入されている。これにより、カム28の回転によってロッド38が上昇することで、受皿23がピン25を中心に回動して一点鎖線で示す状態に傾倒するようになっている。なお、前記駆動軸27は、図5に示す皿傾倒用モータ34によって回転駆動される。
図4,5に示すように、電子天秤15の受皿23の下方には第1ホッパ16が配置され、第1ホッパ16の下方に第2振動フィーダ17の第2シュート35が配置されている。第1ホッパ16は、その背面に設けたアーム36の端部を適宜に固定したブラケット37に支持された軸42に取り付けられて揺動可能に支持されている。これにより、電子天秤15の受皿23から薬剤が排出されるとき、第1ホッパ16は一点鎖線で示す状態まで下方向に揺動して、その下端が第2シュート35の上面に当接するようになっている。
ここで、第1ホッパ16を揺動させる手段は、前記駆動軸27にホッパ昇降用カム38を取り付け、揺動可能に支持された揺動アーム39の中央部をカム38に接触させ、揺動アーム39の端部と第1ホッパ16とをロッド40で連結し、第1ホッパ16にコイルばね41をかけて下方向に引っ張ってある。これにより、第1ホッパ16はカム38の回転によって上述したように軸42を中心に揺動するようになっている。
第1ホッパ16の下方の第2シュート35は、前記第1シュート18と同様に、2枚の平行する板ばね43を介してシュート支持板44に連結され、そのシュート支持板44が複数のコイルばね45で支持台9上に支持されており、これにより第2シュート35は先端に向けて緩やかな下り勾配をなすように傾斜した状態で支持されている。また、シュート支持板44には加振器46が取り付けてあり、この加振器46が作動するとシュート支持板44および板ばね43を介して第2シュート35が微振動するようになっている。
第2シュート35の先端は、分配部4における上部分配円盤61および下部分配円盤62の各外周部にそれぞれ浅い環状溝として形成されている分配皿63の上方に位置し、第2シュート35の先端から前記各円盤61,62の分配皿63に薬剤を供給できるようになっている。
なお、第2シュート35に振動を付与する加振器46は、皿傾倒用モータ34が駆動軸27を一回転させて停止すると作動するようになっている。
前記構成からなる第1供給部11と並んで支持台9上に配置された第2供給部12は、図2に示すように、薬剤が投入される第2ホッパ47と、第2ホッパ47に投入された薬剤をシュート35の微振動により前記分配円盤61,62の分配皿63に供給する振動フィーダ48とからなり、その構成は上述した第1供給部11の第1ホッパ16および第2振動フィーダ17と全く同様である。したがって、第2供給部12についての重複することとなる詳細な説明を省略する。
前記第1および第2供給部11,12を支持する支持台9の下方には、図6に示すように、支持台9を昇降させる昇降機構50が設けられている。この昇降機構50では、支持台9に固定された支持筒51内の孔部52に、垂直に立設されたガイド軸53を上下動可能に挿入されている。その支持筒51の下端側部に回転可能に設けた水平回転軸54に、上下方向に偏心するカム板55とベベルギヤ56とが取り付けられている。カム板55の下端部は、ベース57上に設けた回転可能なローラ58の外周面に係合している。このカム板55がローラ58に係合することにより、昇降機構50と第1および第2供給部11,12とが支持されている。
また、昇降機構50は、支持台9上に取り付けられたモータ59を含み、このモータ59の回転軸に固定されたベベルギヤ60を前記ベベルギヤ56に噛み合わせてある。これにより、モータ59を駆動させると、ギヤ60,56を介して回転軸54が回転し、これに伴ってカム板55がローラ58と係合しながら回転し、その結果、支持台9がカム板55の偏心に沿って昇降するようになっている。前記モータ59の駆動は、後述する分配部4の昇降・旋回機構のモータに連動するように制御される。
次に、分配部4および分割部5について説明する。
分配部4は、図7に示すように、2枚の上部分配円盤61および下部分配円盤62を上下方向に重ね合わせた構造からなり、この分配円盤61,62の下部に、それらを昇降及び旋回させるための昇降・旋回機構60が設けられている。両分配円盤61,62の上面には、外周端に沿って円周方向に連続する底が浅い円弧状の環状溝からなる分配皿63が設けられている。
各円盤61,62は、それぞれ独立して回転駆動されるようになっており、図8に示すように、その各回転軸a,bが、昇降・旋回機構60の旋回軸cに対して対象に等距離だけ位置をずらして配置されている。また、図9に示すように、平視図において、下部分配円盤62の一部が、上部分配円盤61から突出した状態になっている。
薬剤供給部2と分割部5とは、前記各分割円盤61,62の回転軸線a,bがずれた方向に分配部4を挟んで向かい合うように配置されている。これにより、図7および図10に示すように、各円盤61,62が昇降・旋回機構60によって昇降・旋回されることで、上部分配円盤61の分配皿63の一端が薬剤供給部2のシュート35の下方に位置すると、下部分配円盤62の分配皿63の一端が分割部5の下方に、逆に、下部分配円盤62の分配皿63の一端がシュート35の下方に来ると、上部分配円盤61の分配皿63の一端が分割部5の下方に、それぞれ交互に位置するようになっている。
上部分配円盤61は、中央部の軸筒24の内部に、支持ブラケット65aに起立した軸66が挿入されて回転可能に支持されている。上部分配円盤61の下部にはリングギヤ67が固定されており、このリングギヤ67にギヤ機構68を介してモータ69に連結するギヤ70が噛み合わされている。
一方、下部分配円盤62は、図7および図11に示すように、その下部に下向きにテーパ状になった円錐面62aが設けられ、この円錐面62aを、支持板65上に円周状に所定間隔で複数配置されたローラ台71で受けて回転可能に支持されている。下部分配円盤62の下部にはリングギヤ72が固定されており、このリングギヤ72に、モータ73に連結したギヤ74が噛み合わされている。これにより、各モータ69,73の駆動によって上下の各分配円盤61,62はそれぞれ独立して回転駆動されるようになっている。
支持板65の下部に設けられた昇降・旋回機構60では、上端が支持板65に固定された旋回軸75内の孔部75aに、ベース57に起立させたガイド軸76が移動可能に挿入されている。旋回軸75の下部にはローラ77が取り付けてあり、このローラ77をベース57上に設けたカム台78の上面78aに係合させて、支持板65を支持している。旋回軸75の外周にはリングギヤ79が取り付けてあり、このリングギヤ79に、正逆転可能なモータ80に連結した円筒状ギヤ81が噛み合わされている。
このような構成からなる昇降・旋回機構60では、モータ80を駆動させると、旋回軸75が回転し、支持台65が旋回軸75を中心に旋回するとともに、ローラ77がカム台78の上面78aを移動することにより、支持台65がカム台78の傾斜に沿って昇降することになる。
このカム台78の上面78aは、上下方向に傾斜するカム面となっており、その傾斜方向は、上部分配円盤61の端部がシュート35の下方に位置したとき、ローラ77がカム台78の上面78aの高所に位置し、下部分配円盤62の端部がシュート35の下方に旋回移動したとき、ローラ77がカム台78の上面78aの低所にあるように設定されている。
分割部5では、図12,13に示すように、テーブル82上にモータ83で駆動される回転軸84と、モータ85で回転駆動される起伏動用軸86とが平行に配置されている。回転軸84には、起伏アーム87が起伏動可能に取り付けられている。起伏アーム87の先端には、回転円板88が回転可能に取り付けられている。起伏アーム87内に組み込まれた連動機構89によって、回転軸84の回転が円板88に伝達されるようになっている。
前記起伏動用軸86には、爪カム90が固定されている。また、起伏アーム87の根元には、爪カム90が当接するローラ91が設けられている。これにより、ローラ91に当接しつつ爪カム90が回転することで、起伏アーム87に起伏動が与えられるようになっている。
前記円板88は、図12に示すように、各円盤61,62の分配皿63の凹入面に一致する直径で形成されると共に、分配皿63の回転方向に対して直交するように取り付けられている。この円板88の外周端の側面には、薬剤掻き出し板92が固定されている。このような薬剤分割部5においては、分配皿63上で円板88が上下動し、下降停止位置で円板88が分配皿23に隙間なく嵌合して回転するようになっている。
また、回転軸84には、分割部5に隣接して、分配皿63の表面をクリーニングするクリーナ93が設けられている。このクリーナ93では、内部が空気吸引通路となる吸引管94の後端に空気吸引器に連通するパイプ95を連結されている。吸引管94の先端部には、下面が分配皿63の形状に沿ってR状に形成された吸引室96が設けられ、この吸引室96の下面に吸引口93aが設けられている。
また、吸引管94の後端には、ローラ97が設けられ、一方、起伏動用軸86には、前記ローラ97に対向して爪カム98が取り付けられている。モータ85の駆動により爪カム98が回転すると、爪カム98とローラ97との係合により吸引管54が分割部5と同様に回転軸84を中心に起伏動するようになっている。
前記爪カム98とローラ97との当接位置は、起伏アーム87のローラ91と爪カム90との当接位置に対して位相をずらして設定されている。これにより、起伏アーム87が下降して分割部5の円板88が分配皿63に当接したとき、吸引管94は下降の途中にあり、円板88が分配皿63に当接してから所定の間合いをおいて吸引管94が分配皿63に接近するようになっている。このように間合いをおいて吸引管94を下降させるのは、先に下降した分割部5の円板88によって分配皿63上の薬剤がせき止められることによって、薬剤が存在しなくなった分配皿63の部分に吸引管94を接近させるようにして無用な薬剤吸引を防止するためである。
なお、本実施形態では、吸引管94で吸引することにより分割部5の下流側で分配皿63上に残留する薬剤を吸い取ってクリーニングするようにしたが、これに代えて又はこれと共に、放射状に植毛された円盤状のブラシロールを回転させながら分割皿63に接触させて残留薬剤を掻き出してクリーニングするようにしてもよい。
図14に示すように、分割部5の下方には、分割部5によって分配皿63から掻き落とされた薬剤を案内する案内ホッパ99を含む分包部6が配置されている。分包部6は、周知の構成からなるもので、ここでの詳細な説明を省略する。なお、分包部6における分包紙の封着方式はパック式またはロール式のいずれでもよく、また、巻回されたロールRから給紙される分包紙は予め2つ折りされたものでもよいし、折られていないシングルタイプのものでもよい。
次に、上述した構成からなる薬剤分包装置1の制御および動作について図15ないし図20を参照しつつ説明する。
まず、図15に示すように、薬剤分包装置1には、ユーザ(薬剤師)が処方入力端末8上で手入力するか、或いは、外部ホストコンピュータから通信回線を介して入力されることによって、処方データが入力され(ステップS1)、この処方データの入力に基づいて発行処理を実行する(ステップS2)。
続いて、発行された処方データについて処方分割の有無を判断する(ステップS3)。この判断において、ユーザにより処方入力端末8で処方分割が指示されていれば「有り」と判断され、或いは、外部ホストコンピュータから受信した処方データに処方分割情報が含まれていれば「有り」と判断される。処方分割有りと判断されると、処方分割処理が実行される(ステップS4)。
一方、処方分割無しと判断されると、処方データが93包(1ヶ月分)以上か否かを判断する(ステップS5)。ここで、処方データが93包以上である場合には、自動的に処方分割処理(ステップS4)が実行されるようにプログラムされている。
処方分割処理では、図16に示すように、処方データがn分割可能か否かを判断する(ステップS21)。ここで、nは例えば2以上の整数とし、ユーザが処方入力端末8で入力するか、或いは、プログラムによって適切な分割数nが自動的に設定される。分割数nは、ユーザが処方データを入力するときに任意に設定できるが、その入力された分割数nで処方データを分割したときに、例えば分割された1つの分割処方データが極めて少い包数になって分包誤差が大きく出てしまう可能牲があるような場合には、n分割不可と判断されてエラー処理を実行する(ステップS22)。このエラー処理では、処方入力端末8に分割数nの入力のやり直しを促す表示をするのが好ましい。ただし、上述したようなエラー処理(ステップS22)は、必ずしも実行しなければならないものでもなく、省略されてもよい。
一方、n分割可能であると判断されると、分割処方データを作成する(ステップS23)。図17に示す例では、入力された処方データが薬剤Aを朝・昼・夕食後の1日3回の3ヶ月分(3回×31日×3ヶ月=279包)で、分割数nが3の場合、1日3包×31日分=93包の分割処方データが3つ作成される。
図15に戻って、処方分割処理(ステップS4)での分割エラーの有無を判断し(ステップS6)、分割エラーが出た場合にはステップS1に戻ってユーザに分割数nの再入力を促す。
処方分包数が93包未満で処方分割が不要な場合や処方分割処理で分割処方データが作成された場合に、ホッパ選択処理を実行する(ステップS7)。ホッパ選択処理では、図18に示すように、電子天秤15を使用するか否かを判断する(ステップS31)。処方分割無しの場合には、天使天秤15の使用無しと判断され、後のステップで第1ホッパ16または第2ホッパ47のいずれか一方または両方が選択される(ステップS32ないしS36)。この場合、電子天秤15を使用しないので、予めユーザが秤量した薬剤を第1ホッパ16または/および第2ホッパ47に投入する。なお、第1および第2ホッパ16,47の両方を使用する場合は、異なる2つの薬剤を第1および第2ホッパ16,47から分配部4に同時供給して二薬混合を行う場合である。
一方、電子天秤15を使用する場合(すなわち処方分割有りの場合)、電子天秤15を動作させるためのコマンドを出力する(ステップS37)。このとき、各分割処方データのそれぞれの秤量値も入力されて設定値とされる。そして、後のステップにおいて第1ホッパ16のみか、第1および第2ホッパ16,47の両方が選択される(ステップS38ないしS40)。なお、このホッパ選択処理でステップS40の第1および第2ホッパが選択されて分包処理が行われている場合に、後述する割り込み指示があったときは、既に2つのホッパが使用されていて割り込み処理を実行できないので、割り込み指示が受け付けられない旨の警告をユーザに対して発するようにする。
図15に戻って、ホッパ選択処理(ステップS7)の後、分包処理の開始(または継続)を実行する(ステップS8)。ここで、薬剤分包装置1の具体的な分包処理動作について説明するが、ここでは図17に示すように3ヶ月分の処方データが処方分割処理されて3つの分割処方データ(第1、第2および第3分割処方データ)が作成された場合であって、電子天秤15を使用しての第1ホッパ16のみが選択された場合を例として説明する。
ユーザは、第1供給部11の投入ホッパ13に少なくとも総処方量以上の薬剤A(以下、単に「薬剤」という。)を投入する。そして、装置1を始動させると、第1供給部11の加振器22が作動して第1振動フィーダ14の第1シュート18が微振動する。これにより、投入ホッパ13の下部開口部から排出された薬剤が、下向きに緩やかに傾斜した第1シュート18上を先端に向かって定速搬送され、シュート先端から電子天秤15の秤量物受皿23上に供給される。
受皿23上に連続的に供給される薬剤の量が次第に増して、その重量が前記第1分割処方データの総処方重量に相当する設定値に達すると、電子天秤15からの計量信号によって加振器22が停止され、受皿23への薬剤の供給が停止される。そして、受皿傾倒装置26のモータ34が作動して駆動軸27を一回転させることで、受皿23が傾倒され、同時に第1ホッパ16がコイルばね41の弾力により下降して下端が第2シュート35に当接した状態で、受皿23から第1ホッパ16に秤量後の薬剤が投入される。薬剤投入後、受皿23は元の水平な状態に復帰すると共に、第2シュート35によって第1ホッパ16に投入された薬剤が支持される。
受皿23を傾倒させる駆動軸27が一回転して停止すると、次に、第1シュート18および第2シュート35のそれぞれに振動を付与する加振器22,46が作動して、各シュート18,35を微振動させる。第1シュート18が微振動することによって、第1シュート18上の薬剤が定速搬送されてシュート先端から電子天秤15の受皿23上に供給され、前記第2分割処方データ分の薬剤の秤量が開始される。
このように本実施形態の薬剤分包装置1によれば、第1供給部11に秤量部15が設けられているため、ユーザによる薬剤秤量作業を省略することができ、ユーザの業務負担を軽減できる。また、分配円盤への薬剤分配中に次の分配用の薬剤の秤量を連続的に行うことができ、分配処理と後述する分割処理および分包処理とを効率良く迅速に行うことができる。
一方、第2シュート35が微振動することによって、第1ホッパ16に投入された薬剤が第2シュート35上をシュート先端に向かって定速搬送され、第2シュート35の先端から、モータ69の駆動によって一方向に定速回転する上部分配円盤61の分配皿63上に供給される。
第1ホッパ16に投入されて第2シュート35によって搬送される薬剤は、一方向に定速回転する上部分配円盤61の分配皿63条に定速供給されるので、分配皿63上の全周に亘って薬剤が均一に堆積して分配される。第2シュート35上の薬剤が完全に供給され終わると、加振器46が作動停止するとともに、モータ69が作動停止して上部分配円盤61の回転が停止する。
なお、電子天秤15による第2分割処方データ分の薬剤の秤量が完了し、かつ、先に第1ホッパ16に投入した第1分割処方データ分の薬剤の分配が終了すれば、受皿23を傾倒させて第2分割処方データ分の薬剤を第1ホッパ16に投入して次の分配に備える。
前記のように上部分配円盤61の分配皿63への薬剤分配が終了して上部分配円盤61の回転が停止すると、昇降・旋回機構60のモータ8が駆動されて旋回軸75が回転し、支持台65が旋回軸75を中心に旋回すると共に、ローラ77がカム台78の上面78aを移動することにより、支持台65がカム台78の傾斜に沿って下降する。これにより、図7に示す状態から図10に示す状態になる。すなわち、上部分配円盤61はその分配皿63が分割部5による分割位置にあるように移動し、一方、下部分配円盤62はその分配皿63が第1供給部11の第2シュート35の先端下方に位置するように移動する。このように移動する際には、分割部5およびクリーナ93は、図10中一点鎖線で示すように、モータ85の駆動により起伏動用軸86を回動させることによって上方に回動させてあり、昇降・旋回機構60による各分配円盤61,62の移動および下降が完了すると、薬剤分割部5およびクリーナ93は上部分配円盤62の分配皿63に当接および接近するように下方に回動する。
下部分配円盤62の分割皿63が第2シュート35の下方に移動してきたとき、第1供給部11を支持する支持台9の下部に設けた昇降機構50のモータ59を駆動して、カム板55を回転させることにより、支持台9を下降させる。これにより、第1供給部11の第2シュート35の先端と下部分配円盤62の分配皿63との距離が、上部分配円盤61の分配皿63に薬剤を分配していたときの第2シュート35の先端と分配皿63との距離と同じになる。このように、供給部11,12を支持する支持台9を昇降させて、各分配円盤61,62についてシュート先端と分配皿63との距離を一定にすることで、各分配円盤61,62の分配皿63への薬剤供給状態が同じなり、安定した薬剤分配が可能になる。
薬剤分割部5による分割位置に分配皿63が位置するように移動した上部分配円盤61は、所定角度ずつ間欠的に回転されながら、分割部5のモータ83の駆動により回転する円板88の掻き出し板92によって、分配皿63上の薬剤が定量ずつ掻き出される。掻き出された後に分配皿63上に残留する薬剤は、クリーナ93によって吸引されて除去される。これと並行して、下部分配円盤62はモータ73の駆動により一方向に定速回転され、加振器46が作動して第2シュート35を微振動させることにより、既に秤量されて第1ホッパ16に投入されている第2分割処方データ分の薬剤がシュート先端から下部分配円盤62の分配皿63の全周に亘って均一に供給されて分配される。
上部分配円盤61の分配皿63から定量ずつ掻き出された薬剤は、案内ホッパ99を介して分包部6に供給されて分包処理される。
下部分配円盤62への薬剤分配が完了し、かつ、上部分配円盤61からの薬剤の掻き出しが完了すると、再び昇降・旋回機構60の駆動によって、図7に示すような各円盤61,62の配置となるように支持台65が旋回および上昇する。このとき、昇降機構50の駆動により第1供給部11が上昇する。以後、上述したのと同様に、下部分配円盤62からの薬剤掻き出しと上部分配円盤61への第3分割処方データ分の薬剤分配が行われる。そして、同様の手順を繰り返して第3分割処方データ分の薬剤の分包処理が終了すると、当該処方データの分包処理が完了する。
図15に戻って、上述したような分包処理が開始されると、次に、割り込み指示があるか否かを判断する(ステップS9)。ここで、割り込み指示がある場合には、割り込み処理が実行される(ステップS10)。割り込み指示は、例えば3ヶ月のような長期処方の分包処理中に比較的短期(例えば30日以下)の別の処方を受けた患者が来たときに、ユーザによって処方入力端末8上で入力される。現在分包処理中の薬剤Aとは異なる前記別の処方に基づく薬剤Bは、ユーザ(薬剤師)によって総処方量を秤量されて第2供給部12の第2ホッパ47に投入される。
割り込み処理では、図19に示すように、現在処理中の処方データが分割処理されているか否かを判断し(ステップS42)、分割処理されていなければ割り込み処理をそのまま終了する。この場合、前記別の処方は、後述するステップS12での「次の処方」として扱われる。
現在処理中の処方データが分割処理されているとき、上述した処方分割の例に従えば、前記第1分割処理データまたは前記第2分割処理データ分の薬剤の分配円盤61または62への分配処理が終了しているかを判断する(ステップS43)。分配途中であれば、当該分配処理が終了するのを待つ。
前記第1分割処理データまたは前記第2分割処理データ分の薬剤の分配円盤61または62への分配処理が終了すると、前の分割処理データ分の薬剤の分割部5による分割処理が完了している(すなわち、一方の分配円盤の分配皿から薬剤がすべて掻き出されている)ことを条件に、昇降・旋回機構60の駆動により図20(a)または(b)に示すように上部分配円盤61と下部分配円盤62の位置を入れ替える。
そして、分配位置に来た一方の分配円盤を定速回転させながら、第2供給部12の加振器を作動させてシュート35の先端から分配皿63上に薬剤Bを供給して分配する(ステップS44)。
第2供給部12からの薬剤Bの分配が終了すると、先に他方の分配円盤の分配皿63に分配された薬剤Aの分割部5による分割処理が完了していることを条件に、昇降・旋回機構60の駆動により各分配円盤61,62の位置を入れ替える。そして、分割部5において薬剤Bが分配皿63から定量ずつ掻き出され、分包部6において分包処理される。
図19の割り込み処理フローでは、第2供給部12からの薬剤Bの分配が終了すると、次の割り込み指示があるか否かを判断する(ステップS45)。次の割り込み処理があれば、ステップS44に戻って前記と同様の手順で第2供給部12から別処方に基づく薬剤Cを分配円盤に分配する。一方、次の割り込み指示がなければ、割り込み処理を終了する。
図15に戻って、ステップS9で割り込み指示がない場合には、分包処理が終了したか否かを判断する(ステップS11)。前記第1分割処方データの分包処理に続いて割り込み処理による別処方の分包処理を行ったときには第2および第3分割処方データの処理が残っており、前記第2分割処方データの処理に続いて割り込み処理による別処方の分包処理を行ったときには第3分割処方データの処理が残っている。したがって、このような場合には分包処理が終了していないと判断され、中断された処方データに基づく分包処理を継続する(ステップS8)。
そして、ステップS9において割り込み指示が無く、かつ、ステップS11において前記3分割された処方データ分の分包処理が終了したと判断されると、次の処方があるか否かを判断する(ステップS12)。次の処方があれば前記ステップS1に戻って処理を継続し、次の処方がなければ処理を終了する。
なお、前記の例において、前記第3分割処方データ分の分配途中に割り込み指示があった場合は、前記第3分割処方データ分の薬剤分配終了後に、割り込み処理による分包処理を実行することになるが、この場合には前記3分割された処方データ分の分配が完了した後に割り込み処理による分包処理を実行することになるので、前記割り込み処理による分包処理が終了すると前記ステップS11においては前記3分割された処方データ分の分包処理終了と判断される。
以上のように、本実施形態の薬剤分包装置1によれば、入力された処方データを複数に分割し、前記処方データに基づく薬剤分包処理途中に別の処方データの割り込み指示があったときに、前記分割された複数の分割処方データのうちの1つの分割処方データに基づく薬剤の分配部4への供給が終了した後に、前記別の処方データに基づく薬剤を分配部4に供給して分包処理を割り込ませて実行するようにしている。
これにより、短期処方の分包処理を長期処方の分包処理に割り込ませて行うことで、短期処方を受けた患者を長時間待たせることなく効率の良い処方薬提供を実現できる。
一方、このような割り込み処理を行うことによって長期処方の薬剤の分包処理が遅れることになるが、1の分割処方データの分包処理と次の分割処方データの分包処理との間に割り込み処理を入れているので、前記割り込み処理のための一方の分配円盤への薬剤供給が終わると直ちに前記次の分割処方データの分包処理のための他方の分配円盤への薬剤供給を直ちに再開できる。したがって、長期処方の分包処理を割り込み指示により無制限に直ちに中断した場合には割り込み処理後に長期処方の分包処理を初めから又は途中からやり直す必要も生じるが、その場合に比べて本実施形態によれば割り込み処理を入れても長期処方の分包処理の効率を大きく低下させることなく完了することができる。
なお、本実施形態の薬剤分包装置1では、分配部4を2枚の分配円盤61,62で構成したが、3枚以上の分配円盤で構成してもよい。また、薬剤分包装置1では、秤量部15を第1供給部11だけに設けたが、第2供給部12にも秤量部15を設けてもよい。
また、本実施形態では、割り込み処理を入れる長期処方データを3ヶ月分として説明したが、処方分割処理が可能な処方データであれば割り込み処理を入れる処方データの期間および日数は全く制限されない。
さらに、本実施形態の薬剤分包装置1は、処方日数とは無関係に例えばとんぷく等の薬剤を連続的に分包処理して予製を行う従来より公知の全自動予製用分包装置として使用することも可能である。
薬剤分包装置の全体斜視図。 供給部と分配部とを示す斜視図。 第1供給部の投入ホッパ、第1振動フィーダおよび秤量部を示す図。 第1供給部の第1ホッパおよび第2振動フィーダを示す図。 第1供給部の第1ホッパおよび第2振動フィーダを示す図。 第1および第2供給部を昇降させる昇降機構を示す図。 分配部の構成を示す図。 上部分配円盤および下部分配円盤の分解斜視図。 供給部、分配部および分割部を示す平面図。 昇降・旋回機構により2枚の分配円盤が旋回して下降した状態を示す図。 下部分配円盤の支持部を示す図。 分割部の斜視図。 分割部の断面図。 分包部を示す図。 薬剤分包装置の分包処理の基本的流れを示すフローチャート。 処方分割処理の流れを示すフローチャート。 処方分割処理の具体例を示す図。 ホッパ選択処理の流れを示すフローチャート。 割り込み処理の流れを示すフローチャート。 割り込み処理の際に上部分配円盤と下部分配円盤の位置が入れ替わった状態を示す図。
符号の説明
1…薬剤分包装置
2…薬剤供給部
4…分配部
5…分割部
6…分包部
8…処方入力端末(処方分割手段および割り込み手段)
11…第1供給部
12…第2供給部
13…投入ホッパ
14…第1振動フィーダ
15…電子天秤(秤量部)
16…第1ホッパ
17…第2振動フィーダ
18…第1シュート
22…加振器
23…秤量物受皿
26…受皿傾倒装置
35…第2シュート
46…加振器
50…昇降機構
60…昇降・旋回機構
61…上部分配円盤
62…下部分配円盤
63…分配皿
88…円板
92…薬剤掻き出し板
99…案内ホッパ

Claims (3)

  1. 薬剤を定速供給可能な第1および第2供給手段と、
    前記各供給手段から供給された薬剤を分配する少なくとも2つの分配手段と、
    前記各分配手段によって分配された薬剤を所定量ずつ分割する分割手段と、
    前記分割手段によって分割された薬剤を分包する分包手段とを備えた薬剤分包装置において、
    入力された処方データを複数に分割する処方分割手段を有し、前記処方データに基づく薬剤分包処理途中に別の処方データの割り込み指示があったときに、前記分割された複数の分割処方データのうちの1つの分割処方データに基づく薬剤の前記一方の分配手段への供給が終了した後に、前記別の処方データに基づく薬剤を前記他方の分配手段に供給して分包処理を行う割り込み処理を実行する割り込み手段をさらに有することを特徴とする薬剤分包装置。
  2. 前記第1供給手段は、少なくとも総処方量分の薬剤が投入されて収容される投入ホッパと、該投入ホッパの下方に設けられた第1振動フィーダと、該第1振動フィーダから供給される薬剤を1分割処方量分ずつ秤量する秤量部と、該秤量部で秤量された薬剤を収容する第1ホッパと、該第1ホッパの下方に設けられ秤量された薬剤を前記分配手段に供給する第2振動フィーダとを含むことを特徴とする請求項1に記載の薬剤分包装置。
  3. 前記分配手段は、外周部に浅い環状溝からなる分配皿を有する分配円盤で構成されることを特徴とする請求項1に記載の薬剤分包装置。
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