JP5568255B2 - 銀粉及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、銀粉及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、電子機器の配線層や電極などの形成に利用される樹脂型銀ペーストや焼成型銀ペーストの主たる成分となる銀粉と、その製造方法に関する。
電子機器における配線層や電極などの形成には、樹脂型銀ペーストや焼成型銀ペーストのような銀ペーストが多用されている。これらの銀ペーストを塗布又は印刷した後、加熱硬化あるいは加熱焼成することによって、配線層や電極などとなる導電膜を形成することができる。
例えば、樹脂型銀ペーストは、銀粉、樹脂、硬化剤、溶剤などからなり、導電体回路パターン又は端子の上に印刷し、100℃〜200℃で加熱硬化させて導電膜とし、配線や電極を形成する。また、焼成型銀ペーストは、銀粉、ガラス、溶剤などからなり、導電体回路パターン又は端子の上に印刷し、600℃〜800℃に加熱焼成して導電膜とし、配線や電極を形成する。これらの銀ペーストで形成された配線や電極では、銀粉が連なることで電気的に接続した電流パスが形成されている。
銀ペーストに使用される銀粉は、粒径が0.1μmから数μmであり、形成する配線の太さや電極の厚さによって使用される銀粉の粒径が異なる。また、ペースト中に均一に銀粉を分散させることにより、均一な太さの配線、均一な厚さの電極を形成することができる。
銀ペースト用の銀粉に求められる特性としては、用途及び使用条件により様々であるが、一般的で且つ重要なことは、粒径が均一で凝集が少なく、ペースト中への分散性が高いことである。粒径が均一で、且つペースト中への分散性が高いと、硬化あるいは焼成が均一に進み、低抵抗で強度の大きい導電膜を形成できるからである。粒径が不均一で分散性が悪いと、印刷膜中に銀粒子が均一に存在しないため、配線や電極の太さや厚さが不均一となるばかりか、硬化あるいは焼成が不均一となるため、導電膜の抵抗が大きくなったり、導電膜が脆く弱いものになったりしやすい。
また、一般に配線層や電極などには、銅などの金属がはんだ付けされることが多い。従って、銀ペーストで形成した配線層や電極などの導電膜には、はんだと接合界面が形成できることが必要である。導電膜がはんだと接合界面を形成するためには、はんだとの濡れ性が良好であると同時に、導電膜中の銀粒子が溶融はんだに溶けないことが必要となる。
即ち、はんだとの濡れ性が良過ぎると、はんだ付けの工程で溶融はんだが接した際に短時間ではんだと濡れ、はんだ付けが終了しないうちに導電膜中の銀粒子が溶融はんだに溶けてしまい、所謂はんだ食われの状態となり、導電膜の一部または全体が消失してしまう。逆に、はんだとの濡れ性が不十分であると、はんだと導電膜の間に接合界面が形成されず、接合不良になり電極としての機能が果たせなくなる。従って、はんだに対する濡れ性が良好で、且つはんだ食われを起こさない耐はんだ性が求められる。
更に、銀ペースト用の銀粉に求められる事項として、製造コストが低いことも重要である。銀粉はペーストの主成分であるため、ペースト価格に占める割合が大きいためである。製造コストの低減のためには、生産性が高いことや、使用する原料や材料の単価が低いだけでなく、廃液や排気の処理コストが低いことも重要となる。
上記した銀ペーストに使用される銀粉の製造方法として、湿式法によるものが多く提案されている。例えば、特開平11−189812号公報(特許文献1)には、硝酸銀などの銀塩のアンミン錯体及び還元反応の際に媒晶剤として機能する重金属のアンミン錯体を含むスラリーと、還元剤である亜硫酸カリ及び保護コロイドとしてのアラビアゴムを含有する溶液とを混合して、銀塩のアンミン錯体を還元する銀粉の製造方法が開示されている。
この製造方法によれば、1次粒子の平均粒径が0.1〜1μmであり、低凝集で且つ粒度分布が狭い粒状銀粉が得られるとされている。しかし、この方法では、重金属のアンミン錯体の存在下で銀塩を還元するため、重金属が不純物として混入しやすく、得られる銀粉の純度が低下する可能性がある。
また、特開2000−129318号公報(特許文献2)には、銀錯体を含有する溶液にHLB値が6〜17の非イオン性界面活性剤を加えておき、これに還元剤を加えることによって、還元された銀粒子の凝集を防ぐ銀粉の製造方法が開示されている。しかしながら、この方法は、非イオン性界面活性剤による銀粉の分散性の改善を目的としたものであり、得られる銀粉の粒径の均一性改善に対する効果は不明である。
上記した方法は主に添加剤により銀粉の特性改善を試みたものであるが、製造時の操作方法の変更による特性改善も試みられている。例えば、特開2007−16258号公報(特許文献3)には、ゼラチンと硝酸銀と硝酸とを水に溶解させた液温45〜55℃の第1水溶液と、エルソルビン酸及び/又はアスコルビン酸と水溶性有機酸とを溶解させた第2水溶液とを調製し、第1水溶液に対し第2水溶液を緩やかに添加し、添加が終了した後、撹拌して粒子成長を行う銀粉の製造方法が開示されている。この製造方法によれば、シャープな粒度分布を持ち、高結晶の銀粉が得られるとされているが、粒子成長のために行う撹拌は5分間以内と短く、その効果は不明である。
上記した製造方法を含めて、銀源として用いる原料は硝酸銀が一般的である。しかし、硝酸銀はアンモニア水等への溶解過程で有毒な亜硝酸ガスを発生し、これを回収する装置が必要となる。また、廃水中に硝酸系窒素やアンモニア系窒素が多量に含まれるので、その処理のための装置も必要となる。更に、硝酸銀は危険物であり劇物でもあるため、取り扱いに注意を要する。このように、硝酸銀を銀粉の原料として用いる場合は、環境に及ぼす影響やリスクが他の銀化合物に比べて大きいという問題点を抱えている。
そこで、硝酸銀を原料とせずに、塩化銀を還元して銀粉を製造する方法も提案されている。塩化銀は危険物にも劇物にも該当せず、遮光の必要はあるものの、比較的取り扱いが容易な銀化合物であるという利点を有している。また、塩化銀は銀の精製プロセスの中間品としても存在し、電子工業用として十分な純度を有している。
例えば、特表WO2005/023716号公報(特許文献4)には、塩化銀の銀に対して1〜5当量の水酸化アルカリ及び/又は炭酸アルカリを溶解させたアルカリ水溶液中において、還元剤により70〜100℃で該塩化銀を処理して銀粉を得る方法が開示されている。しかしながら、この方法は、高純度銀を精製することを目的としたものであり、上記した銀ペーストに使用するためには粒径の均一性及び分散性に問題がある。
また、特開平10−265812号公報(特許文献5)には、塩化銀をアンモニア水に銀濃度で1〜100g/lとなるように溶解した後、この溶液に保護コロイドの存在下で還元剤を加えて撹拌し、溶液中の塩化アミン銀を液相還元して銀超微粒子を得る方法が開示されている。しかしながら、この方法で得られる銀粉の粒径は0.1μm以下と微細であるため、電子工業用としては用途が限られていた。
特開平11−189812号公報 特開2000−129318号公報 特開2007−16258号公報 特表2005−023716号公報 特開平10−265812号公報
上記のごとく銀粉の製造方法については多くの提案がなされているが、はんだ濡れ性と耐はんだ性の改良についての報告はほとんどなされていない。その理由として、はんだ濡れ性と耐はんだ性は相反した特性であって両立することが難しいと考えられたため、はんだ付けプロセスの工夫や、はんだと銀ペーストあるいは銀粉との相性を調整するような試みが主に行われていたものと推察される。
本発明は、このような従来の事情に鑑み、はんだとの濡れ性が良好であると同時に、はんだ付けの際に導電膜中の銀粒子が溶融はんだに溶けない耐はんだ性を備え、凝集が少なく分散性が良好な銀粉を提供すること、並びに、このような銀分を高い生産性にて低コストで製造する方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、はんだ濡れ性と耐はんだ性を両立する銀粉について鋭意研究を重ねた結果、タップ密度の高い銀粉は凝集が少なくペースト中への分散性が高く、硬化又は焼結が均一に進むことではんだ濡れ性が良好となることに加え、その銀粉の粒子中に存在する結晶粒径の大きさが耐はんだ性に大きな影響を及ぼすことを見出し、はんだ濡れ性と耐はんだ性を兼ね備えた銀粉に関する本発明に至ったものである。
また、銀粉の製造方法についても検討を重ね、塩化銀を溶解した銀溶液に還元剤と分散剤を添加し、銀溶液を還元して銀粉を製造する際に、特定の分散剤を還元剤に加えた後、その分散剤を加えた還元剤を銀溶液に加えると共に、還元時の銀溶液の温度を特定範囲に制御することにより、はんだ濡れ性と耐はんだ性を兼ね備えた銀粉が得られることを見出し、本発明を完成したものである。
即ち、本発明が提供する銀粉は、主に多結晶の銀粒子からなる銀粉であって、SIM写真での銀粒子の断面観察によって確認される結晶粒の大きさの最小値が0.3μm以上である結晶粒を少なくとも1個含む多結晶の銀粒子が全粒子数の50%以上であり、且つ銀粉のタップ密度が4g/cm以上であることを特徴とするものである。また、この銀粉は粒度分布が0.1〜5μmであることが好ましい。
また、本発明が提供する銀粉の製造方法は、塩化銀をアンモニア水に溶解した銀溶液に、還元剤と分散剤を添加して銀溶液を還元する銀粉の製造方法によって、主に多結晶の銀粒子からなる銀粉で、SIM写真での銀粒子の断面観察によって確認される結晶粒の大きさの最小値が0.3μm以上である結晶粒を少なくとも1個含む多結晶の銀粒子が全粒子数の50%以上であり、且つ銀粉のタップ密度が4g/cm以上である銀粉を製造する方法であって、塩化銀をアンモニア水に30〜45℃の温度範囲内にて溶解し、得られた銀溶液を該温度範囲内にて保持する工程と、分散剤のポリビニルアルコール及び/又はポリビニルピロリドンを還元剤と混合して還元剤混合液を得る工程と、該還元剤混合液を、前記銀溶液の保持温度以上で且つ添加後の銀溶液の温度が50℃以下となるように温度調節して、前記温度範囲内に保持した銀溶液に添加する工程と、該還元剤混合液を添加した銀溶液を30〜50℃の温度で保持する工程とを含むことを特徴とする。
上記本発明による銀粉の製造方法において、前記還元剤混合液は、更に変性シリコンオイル系界面活性剤を含むことが好ましい。また、前記還元剤は、アスコルビン酸であることが好ましい。更に、上記本発明による銀粉の製造方法においては、前記還元剤混合液を添加した銀溶液に、更に脂肪酸を添加して30〜50℃に保持することができる。この場合、前記脂肪酸としては、ステアリン酸及び/又はオレイン酸が好ましい。
本発明によれば、はんだ濡れ性と耐はんだ性を両立すると共に、凝集が少なく分散性が良好な銀粉を提供することができる。従って、本発明の銀粉は、電子機器の配線層や電極などの形成に利用される樹脂型銀ペーストや焼成型銀ペーストなどのペースト用銀粉として好適である。
また、本発明による銀粉の製造方法によれば、安価な塩化銀を出発原料とし、生産性が高く、得られる銀粉の粒径並びに結晶粒径の制御も容易である。しかも、環境への影響も少ないプロセスを採用しているため、低コストであって、その工業的価値は極めて大きいものである。
実施例1において得られた本発明の銀粉のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 実施例1において得られた本発明の銀粉のSIM(Scanning Ion Microscopy)写真である。 比較例1において得られた銀粉のSEM写真である。 比較例1において得られた銀粉のSIM写真である。
本発明の銀粉は、主に多結晶組織を持つ銀粒子からなる銀粉であって、一部に単結晶組織を持つ銀微粒子を含んでもよいが、全粒子数の50%以上の粒子が結晶粒径の最小値が0.3μm以上である結晶粒を少なくとも1個含む多結晶の銀粒子であって、且つ銀粉のタップ密度が4g/cm以上である。このような特性を有する本発明の銀粉は、はんだ濡れ性に優れるだけでなく、耐はんだ性にも優れるため、はんだ食われを抑制することができる。
銀粉の耐はんだ性の改善に対しては、本発明者らの研究により、銀粒子の結晶性の良し悪しではなく、結晶の大きさによる影響が大きいことが分った。即ち、はんだ付けの工程で溶融はんだに接すると、銀粒子表面から銀が溶融はんだ中に拡散して銀粒子の溶解が進行するが、その際に結晶内からの拡散よりも多結晶粒子の結晶粒界からの拡散の方が大幅に速いことが判明した。従って、銀粒子中に結晶粒界が少ないこと、言い換えれば、銀粉中に含まれている多結晶の銀粒子の結晶粒径を大きくすることによって、銀粒子の溶融はんだへの溶解を抑制することができる。
具体的には、銀粉に含まれる多結晶の銀粒子について、その粒子中の結晶粒径の最小値を0.3μm以上、好ましくは0.5μm以上とすると共に、この多結晶の銀粒子を全粒子数の50%以上とすることにより、上記結晶粒径のはんだへの溶解抑制効果によって耐はんだ性が大幅に向上する。尚、多結晶の銀粒子全てにおいて、結晶粒径の最小値が0.3μm以上である必要はない。多結晶の銀粒子中に存在する全結晶の結晶粒径の最小値が0.3μm未満である場合には、その小さな結晶間の粒界から銀が溶融はんだ中に溶解するため、溶解速度が速くなり、はんだ食われが急速に進行する。
一般に、銀溶液を還元剤で還元する通常の方法によって得られる銀粒子は、大部分が多結晶組織を有する粒子であり、単結晶組織の粒子を一部含んでいる。ただし、これら全ての銀粒子において、結晶粒径の最小値が0.3μm以上である必要はない。単結晶の銀粒子は、銀粉中に含まれる割合が少なく、しかも結晶粒界がなく溶融はんだへの拡散溶融が遅いため、耐はんだ性に与える影響は無視できる程度に小さいものと考えられる。また、耐はんだ性の改善のためには、上記結晶粒径の最小値は大きいほど好ましいが、最小値が粒子の粒径と同一になると粒子は単結晶組織となるため、結晶粒径の最小値は銀粒子の粒径の最小値を超えることはない。
銀粉の粒子中における結晶粒径の最小値とは、銀粒子の断面観察によって確認される結晶粒の大きさの最小値を言い、大きさが最小の値となる方向から測定した結晶粒の大きさを意味する。上記結晶粒径の最小値は、SIM(Scanning Ion Microscopy)などを用いることにより、銀粒子の断面を観察して測定することができる。
ところで、銀粒子中の結晶の形状は、測定方向によって結晶粒径が大きく異なる、即ち結晶粒径の最大値と最小値の差が大きい場合がある。このように結晶粒径の最大値と最小値の差が大きい場合、断面積などから求めた平均値による結晶粒径が大きくても、最小値の方向からの溶融はんだ中への銀の拡散が早いため、銀粒子の溶解速度が速くなって銀粉の耐はんだ性が低下する。このため結晶粒径の最小値が耐はんだ性に及ぼす影響が大きく、その最小値を大きくすることで耐はんだ性を向上させることができる。
一方、結晶性を評価する手段として結晶子径があるが、この物性値で銀粉の耐はんだ性を評価することはできない。粒子に応力を加えるような加工を施すと、結晶粒径が変わらなくても結晶子径は小さくなってしまうからである。例えば、銀塩を還元して得た銀粉を乾燥し、凝集をほぐすために機械的処理を行うと、還元後の結晶子径が800nmであるのに対して、銀粒子中の結晶を砕いていなくても、機械的処理後の銀粒子の結晶子径は300nm程度まで小さくなる。このことからも、結晶子径が小さい場合でも結晶粒径が大きければ、耐はんだ性が向上するのは明らかである。
銀粉をペーストに用いる場合、タップ密度も重要である。即ち、低タップ密度の銀粉は、ペースト中への分散性が悪く、硬化あるいは焼成が均一に進まないために、電子機器の配線層や電極とするため形成した導電膜の抵抗が高くなる。また、硬化あるいは焼成が均一に進まないことにより、導電膜の強度が弱くなるなど基本的な特性が低下する。
更に、分散性が悪いと導電膜中に銀粒子が均一に存在できないため、銀粒子が少ない部分では導電膜とはんだの間で十分な接合界面が形成されず、はんだ濡れ性が悪くなる。その結果、電極特性が悪化、即ちはんだと導電膜の接合抵抗が大きくなる。このような、銀粒子が少ないことによるはんだ濡れ性の低下は、微小な範囲で多数発生するため、はんだとの接合面全体でもはんだ濡れ性が低下し、接合抵抗の増大をもたらす。このような、導電膜の高抵抗化、はんだ濡れ性の低下を防止するため、ペースト中への十分な分散性を得ることが必要である。
本発明の銀粉においては、タップ密度を4g/cm以上とすることで、導電膜の低抵抗化と、高いはんだ濡れ性を実現している。タップ密度が4g/cm未満では、導電膜の抵抗及びはんだ濡れ性の改善を十分なものとすることができない。導電膜の抵抗及びはんだ濡れ性をより改善するためには、タップ密度を5g/cm以上とすることが好ましい。尚、タップ密度の上限は特に限定されるものではないが、本発明の製造方法によって得られる銀粉のタップ密度の上限は7g/cm程度である。
本発明の銀粉の粒度分布は、0.1〜5μmであることが好ましく、0.3〜5μmが更に好ましい。この銀粉の粒度分布は、粒子径で序列化した最小径側及び最大径側からそれぞれ全個数の1%を除外した銀粉の粒径の範囲を意味する。上記最小径側及び最大径側のそれぞれ1%の銀粉は、特性に及ぼす影響が僅かであり、除外することができる。上記粒度分布が0.1μm未満になると、分散性が低下すると共に、耐はんだ性が低下する場合がある。また、上記粒度分布が5μmを超えると、微細な配線あるいは電極を形成した場合に、導電膜が不均一となりやすく、導電膜としての特性が十分に得られない場合がある。
銀ペーストに使用される銀粉では、形成する配線の太さや電極の厚さによって使用される銀粉の粒径が異なるが、ペースト中に均一に分散させ、均一な太さの配線あるいは均一な厚さの導電膜を形成させるためには、上記範囲の粒度分布を有することが好ましい。尚、銀粉の粒径は、SEM(走査型電子顕微鏡)で容易に測定することができる。
本発明の銀粉の製造方法は、塩化銀をアンモニア水に溶解した銀溶液に、還元剤と分散剤を添加して銀溶液を還元する銀粉の製造方法において、塩化銀をアンモニア水に30〜45℃の温度範囲内にて溶解し、得られた銀溶液を該温度範囲内にて保持する工程(工程A)と、分散剤のポリビニルアルコール及び/又はポリビニルピロリドンを還元剤と混合して還元剤混合液を得る工程(工程B)と、該還元剤混合液を、前記銀溶液の保持温度以上で且つ添加後の銀溶液の温度が50℃以下となるように温度調節して、前記温度範囲内に保持した銀溶液に添加する工程(工程C)と、該還元剤混合液を添加した銀溶液を30〜50℃の温度で保持する工程(工程D)とを含んでいる。
本発明においては、分散剤として、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルピロリドンを用いることが重要である。一般に、銀粉の湿式合成においては、銀塩から核生成が起こり、核が成長すると共に凝集して銀粒子が形成される。その際、分散剤は生成した銀粒子表面に吸着して、銀粒子の凝集を防ぐ働きをする。尚、成長した核は銀粒子内の多結晶組織の各結晶となり、また核が凝集せずそのまま成長すると単結晶の銀粒子となる。
分散剤としてのポリビニルアルコールあるいはポリビニルピロリドンは、上記湿式合成により生成した核の表面に吸着するが、吸着力が適度であるため、核成長を阻害することがない。また、成長した核が凝集して二次粒子を形成した後、二次粒子表面に移動して結晶の成長を阻害することもない。特にポリビニルアルコールは吸着力がより適度であり、結晶粒径の大きな多結晶組織の銀粒子を得やすいため好ましい。
上記ポリビニルアルコールあるいはポリビニルピロリドン以外の分散剤、例えば一般的に使用されている吸着力の強い分散剤を用いた場合には、成長した核の凝集が不十分で銀粒子が微細になったり、銀粒子内の結晶が成長しにくいため粒子中の結晶粒径が微細になったりする。また、成長した核の凝集が不十分である場合には、得られる銀粉中に粒径が0.1μmを下回る銀粒子が含まれる場合がある。
また、本発明においては、特に上記工程C〜Dの還元時における溶液の温度を特定範囲に制御すること、即ち銀溶液の温度が30〜50℃の範囲となるように温度調節することが重要である。還元時の温度が50℃を超えると、還元析出した銀粒子が凝集し易くなるため、タップ密度が4g/cm以上である高密度の銀粉を得ることができない。
以下、本発明に係る銀粉の製造方法を工程毎に詳細に説明する。まず、工程Aでは、塩化銀をアンモニア水に溶解して銀溶液を得る。銀溶液を調整する具体的な方法としては、反応槽にアンモニア水を投入した後、アンモニア水を30〜45℃の温度に保持して撹拌しながら塩化銀を投入して十分に溶解すればよい。得られた銀溶液についても、30〜45℃の温度に保持する。
アンモニア水の温度が30℃未満では、塩化銀の溶解度が下がり生産性が悪くなる。また、アンモニア水の温度が45℃を超えると、アンモニアの揮発が激しくなり、一旦溶解した塩化銀がアンモニアの揮発に伴って析出するため、安定した銀溶液が得られなくなる。得られた銀溶液の保持温度については、35〜40℃の範囲に調節することが更に好ましい。
また、塩化銀の投入量は、銀濃度が80〜100g/lとなるように調製することが好ましい。銀濃度が80g/l未満であっても、得られる銀粉に問題はないが、バッチ当たりに得られる銀粉の量が少なくなるため生産性が低下する。また、銀濃度が100g/lを超えることは、塩化銀のアンモニアへの溶解度から困難である。
尚、本発明による銀粉の製造方法においては、原料として塩化銀を用いる。従来から通常行なわれている銀粉の製造プロセスでは、硝酸銀をアンモニア水に溶解して用いることが多いが、硝酸銀は溶解過程で亜硝酸ガスを発生するため、これを回収する装置が必要となる。また、還元後の廃液もアンモニア系窒素と硝酸系窒素の混合液となるため、廃液処理コストが大きくなるという問題がある。
一方、本発明で原料とする塩化銀は、危険物や劇物に該当せず、銀の精製プロセスの中間品としても存在し、電子工業用として十分な純度を有するものが得られやすい。また、硝酸銀の使用に比べて、亜硝酸ガスの回収や硝酸系窒素廃液の処理などが不要であるため、設備面の投資や経費が小さく、製造コストを低く抑えることができる。更に、塩化銀はアンモニア水などへの溶解過程で有毒な亜硝酸ガスなどを発生しないうえ、塩化銀には窒素が含まれていないので、廃水に及ぼす影響も小さい。
得られる銀粉への不純物の混入を防止するため、原料の塩化銀は高純度のものを用いることが好ましい。このような塩化銀としては、純度99.9999質量%の高純度塩化銀が工業用に安定的に製造されている。塩化銀を溶解するアンモニア水は、工業的に用いられる通常のものでよいが、不純物混入を防止するため可能な限り高純度のものが好ましい。また、アンモニア水の濃度は、通常用いられる25質量%程度のものでよく、必要に応じて純水で希釈してもよい。
次の工程Bは、分散剤のポリビニルアルコール及び/又はポリビニルピロリドンを還元剤と混合する工程である。銀粒子の場合、還元剤の添加後短時間で核生成が起こるため、核成長及び凝集を制御して銀粒子の分散性を向上させるには、核生成時から溶液中に分散剤を存在させることが必要である。そのため、還元剤を銀溶液に添加する前に、還元剤に分散剤を混合し、還元剤混合液としておくのである。還元剤と分散剤を予め混合して添加することにより、少ない分散剤でも核の表面に効率よく分散剤を吸着させることができる。
還元剤への分散剤の添加量は、分散剤の種類及び得ようとする銀粉粒径により適宜決めればよいが、上記いずれの分散剤を用いた場合であっても、銀溶液中に含有される銀に対して3〜10質量%とすることが好ましい。分散剤として用いるポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンは、還元反応時に発泡する場合があるため、銀溶液又は還元剤混合液に消泡剤を添加してもよい。
上記還元剤としては、一般的なヒドラジンやホルマリンなどを用いることができるが、アスコルビン酸は還元作用が緩やかであるため、銀粒子中の結晶粒が成長しやすく特に好ましい。ヒドラジンあるいはホルマリンは還元力が強いため、銀粒子中の結晶が小さくなりやすい。また、反応の均一性あるいは反応速度を制御するため、還元剤を純水等で希釈して水溶液とすることができる。特にアスコルビン酸などの固体の還元剤を用いる場合には、均一な還元反応をえるため水溶液として用いることが好ましい。
上記還元剤混合液は、更に変性シリコンオイル系界面活性剤を含むことが好ましい。変性シリコンオイル系界面活性剤を添加することで、銀粉の分散性が更に向上する。変性シリコンオイル系界面活性剤は、特に限定されるものではなく、例えば、日本エマルジョン(株)の界面活性剤SS−5602(商品名)などが挙げられる。変性シリコンオイル系界面活性剤の添加量は、得られる銀粉の分散性により調整すればよく、特に限定されるものではないが、銀溶液中に含有される銀に対して0.3〜1質量%の範囲とすることが好ましい。
更に工程Cは、上記工程Bで得た還元剤混合液を、上記工程Aの銀溶液の保持温度以上で且つ添加後の銀溶液の温度が50℃以下となるように温度調節して、上記工程Aでの保持温度範囲内に保持した銀溶液に添加する工程である。
還元剤混合液の温度は、銀溶液の保持温度以上、即ち30〜45℃の範囲内の保持温度以上であって、還元剤混合液を投入したときの銀溶液の温度が50℃以下となる範囲の温度に調整する。このような還元剤混合液の温度は、銀溶液の保持温度と還元剤混合液の添加量などから決定することができる。還元剤混合液の温度が30℃よりも低いと、還元剤混合液の添加時に銀溶液の温度が下がって塩化銀が析出し易い状態となる。また、添加後に銀溶液の温度が50℃を超えると、生成する銀粉の凝集が起こりやすくなる。
還元剤混合液の添加量は、その中の還元剤の量が銀溶液中の銀を全て還元できればよく、そのために必要な最少量とすることがコスト面でも好ましい。例えば還元剤がアスコルビン酸の場合、銀溶液中の銀1モル当たり0.25モルが必要最少量であり、従って、その添加量は銀1モル当たり0.25〜1モルとすることが好ましく、0.25〜0.35モルが更に好ましい。
この工程Cにおいても、上記工程Aで用いた反応槽をそのまま用いることができる。還元剤混合液の添加方法は、特に限定されるものではなく、工程Aで得られた銀溶液を撹拌しながら添加できればよい。例えば、銀溶液を調整した後、そのまま銀溶液を撹拌し続けながら、所定量の還元剤混合液を計量容器等から直接添加すればよく、添加量が多量の場合は各種ポンプなどの注入装置を用いてもよい。また、還元剤混合液が高粘度の場合には、純水などで希釈してから添加してもよい。
最後の工程Dは、上記工程Cで還元剤混合液を添加した銀溶液を30〜50℃の温度範囲に保持することにより、塩化銀を還元して銀粉を得る工程である。塩化銀の還元反応は発熱反応であり、還元剤混合液の添加によって銀溶液の温度が上昇する。このため銀溶液の温度が50℃を超えると、得られる銀粉が凝集してタップ密度の低下が起こり易くなるため好ましくない。
例えば、好ましい還元剤であるアスコルビン酸による還元反応も発熱反応であり、還元時に銀溶液の温度が50℃を超えると、還元析出した銀粒子が凝集しやすくなる。また、銀粒子の凝集が進むと、平均粒径が5μmを超える銀粉が生成することがあるため好ましくない。尚、銀溶液の温度は、還元が完了するまでは、工程Cと同様に塩化銀の析出が起き易い状態となることを防止するため、30℃以上とすることが好ましい。
還元反応による温度上昇は、銀粉のバッチ量、還元剤の投入速度、銀溶液の撹拌状態、反応槽の温度管理状態(冷却機能の有無や放熱性)などにより異なるが、再現性があるため、試験的に実施すれば容易に条件を決定することができる。これらの条件及び状態に合わせて、還元反応時の銀溶液の温度が30〜50℃の範囲に管理できるように、上記工程Cにおける還元剤混合液の上限温度を決めればよい。尚、還元による温度上昇が大きい場合には、反応容器を水冷するなど一般的な温度管理方法を用いることが可能である。
また、この工程Dでは、還元剤混合液を添加した銀溶液に、更に脂肪酸を添加することが好ましい。脂肪酸を添加することで、銀粉の凝集を抑制することができ、更に高タップ密度の銀粉が得られる。使用する脂肪酸としては、ステアリン酸あるいはオレイン酸が好ましい。脂肪酸の添加量としては、銀溶液中に含有される銀に対して0.2〜2質量%とすることが好ましい。この範囲の添加量とすることで、タップ密度4g/cm以上の銀粉が得られやすくなる。ステアリン酸などの固体の脂肪酸を添加する場合には、エマルジョン化した液として用いることが、均一に添加するために有効であり好ましい。
還元剤混合液を添加した銀溶液の保持時間は、塩化銀を完全に還元して銀粒子の結晶を十分に成長させ、且つ銀粉の粒度分布を向上させるために、10〜60分とすることが好ましい。保持時間が10分未満では、還元反応が終了していないために収率が悪化する場合がある。また、保持時間が60分を超えても、更なる銀粉の生成はほとんどなく、生産性が低下するため好ましくない。
還元剤混合液を添加した銀溶液の保持中は、反応を均一化させ、銀粒子の凝集を防止するために、連続的に撹拌することが好ましい。撹拌装置は、特に限定されるものでなく、工程A及び工程Cと同様に、通常用いられる装置を用いることができる。
このようにして得られた銀粉は、濾過した後、洗浄し、乾燥する。洗浄方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、銀粉を水に投入し、撹拌機又は超音波洗浄器を使用して撹拌した後、濾過して銀粉を回収する方法が用いられる。この方法において、水への投入、撹拌洗浄及び濾過からなる操作を、数回繰返して行うことが好ましい。また、洗浄に用いる水は、銀粉に対して有害な不純物元素を含有していない水を使用し、特に純水の使用が好ましい。
水洗浄後の銀粉は、水分を蒸発させて乾燥させる。乾燥の方法としては、例えば、水洗浄後の銀粉をステンレスパッド上に置き、大気オーブン又は真空乾燥機などの市販の乾燥装置を用いて、40〜80℃の温度で加熱することにより行うことができる。
[実施例1]
38℃の温浴中において液温36℃に保持した25%アンモニア水110mlに、塩化銀15.2g(住友金属鉱山(株)製、純度99.9999%)を撹拌しながら投入して銀溶液を作製した。消泡剤((株)アデカ製、アデカノールLG−126)を体積比で100倍に希釈し、この消泡剤希釈液0.15mlを上記銀溶液に添加して、得られた銀溶液を温浴中において36℃に保持した。
次に、還元剤のアスコルビン酸4.68g(関東化学(株)製、試薬)を、36℃の純水20mlに溶解して還元剤溶液とした。また、分散剤のポリビニルアルコール0.55g((株)クラレ製、PVA205)と、界面活性剤(日本エマルジョン(株)製、SS-5602)0.07gを分取し、36℃の純水10mlに溶解して分散剤溶液とした。この還元剤溶液と分散剤溶液を混合して、還元剤混合液とした。
この還元剤混合液を36℃に温度調整し、温浴中で36℃に保持した上記銀溶液に投入し、続いてオレイン酸0.11gを添加した。この銀溶液を引き続き30分間撹拌を続けることにより、銀粒子を還元生成させた。銀溶液に還元剤混合液を添加し終えた後の銀溶液の最高温度は45℃であり、その後30分間の撹拌終了時における銀溶液の温度は37℃であった。
撹拌終了後の銀溶液を、開口径0.1μmのメンブランフィルターを使用して濾過し、銀粒子を固液分離した。続いて、回収した銀粒子を純水300ml中に投入し、15分間撹拌した後、開口径0.1μmのメンブランフィルターで濾過して回収した。この純水への投入、撹拌、及び濾過からなる操作を更に2回繰返した後、銀粒子をステンレスパッドに移し、真空乾燥機にて40℃で10時間乾燥して銀粉を得た。
得られた銀粉について、その銀粒子のSEM写真を図1に、SIM写真を図2に示す。いずれの銀粒子も数個の結晶粒からなる多結晶組織であり、各粒子中には結晶粒径の最小値が0.3μm以上である結晶が少なくとも1個以上あることが確認された。
得られた銀粉について、15000倍で撮影したSEM写真上で200〜300個の銀粒子の粒径を測定し、粒子径で序列化した最小径側及び最大径側からそれぞれ全測定個数の1%を除外した後、その最小粒径と最大粒径を求めることにより粒度分布を評価した。得られた最小粒径と最大粒径及びタップ密度を下記表1にまとめて示す。
また、この銀粉を、エポキシ樹脂、硬化剤(フェノール樹脂)、溶剤(トリメチレングリコール、ジプロレングリコ−ル)と混練して、銀ペーストを作製した。この銀ペーストを、アルミナ基板上に厚さ30μmで印刷し、大気中にて200℃で30分間保持して硬化させた。形成された銀ペーストの硬化膜について、はんだ濡れ性及び耐はんだ性を評価した。
具体的には、硬化膜上にPbフリーはんだ片(3質量%Ag−0.5質量%Cu−Sn)を載せ、ホットプレートで270℃まで加熱し、はんだが溶融してから5秒後に、はんだの拡がり及びはんだによる硬化膜の食われ状態を目視観察して評価した。その結果、はんだが十分に硬化膜に濡れ、はんだ食われもない状態であり、はんだ濡れ性及び耐はんだ性のいずれも良好であることが分った。
[比較例1]
分散剤としてポリエチレンイミン((株)日本触媒製、SP−200)を用いた以外は、上記実施例1と同様にして銀粉を得た。この銀粉のSEM写真を図3に、SIM写真を図4に示す。
図3のSEM写真及び図4のSIM写真から、この銀粉の銀粒子は粒径0.1μm以下の微細な粒子が集合したものとなっており、その粒子中には結晶粒径の最小値が0.1μm以下の結晶粒が存在することが分る。得られた銀粉について、上記実施例1と同様の方法で評価し、得られた最小粒径と最大粒径及びタップ密度を、下記表1にまとめて示す。
この銀粉を使用して上記実施例1と同様に作製した銀ペーストは、耐はんだ性が非常に悪かった。即ち、印刷硬化して形成した硬化膜は溶融はんだに食われ、基板から銀ペースト硬化膜がなくなっている部分も認められた。
[比較例2]
前記分散剤溶液を還元剤と混合せずに単独で銀溶液に投入した後、前記還元剤溶液を銀溶液に投入したこと以外は、上記実施例1と同様にして銀粉を得た。銀溶液に還元剤溶液を投入し終えた後の最高温度は47℃であり、その後30分間の撹拌終了時における銀溶液の温度は37℃であった。
得られた銀粉について、上記実施例1と同様に評価して、得られた最小粒径と最大粒径及びタップ密度を下記表1にまとめて示す。
Figure 0005568255
本発明による実施例1の銀粉は、粒度分布が0.2〜2.2μmの範囲にあり、タップ密度も5.4g/cmと大きく、銀ペースト用として好適であることが分る。一方、分散剤としてポリエチレンイミンを用いた比較例1の銀粉と、分散剤と還元剤を混合せず、それぞれ単独に銀溶液に投入した比較例2の銀粉は、共にタップ密度が小さく分散性が悪いものであった。更に比較例1の銀粉は、耐はんだ性にも劣っていた。

Claims (7)

  1. 主に多結晶の銀粒子からなる銀粉であって、SIM写真での銀粒子の断面観察によって確認される結晶粒の大きさの最小値が0.3μm以上である結晶粒を少なくとも1個含む多結晶の銀粒子が全粒子数の50%以上であり、且つ銀粉のタップ密度が4g/cm以上であることを特徴とする銀粉。
  2. 前記銀粉の粒度分布が0.1〜5μmであることを特徴とする、請求項1に記載の銀粉。
  3. 塩化銀をアンモニア水に溶解した銀溶液に、還元剤と分散剤を添加して銀溶液を還元する銀粉の製造方法によって、主に多結晶の銀粒子からなる銀粉で、SIM写真での銀粒子の断面観察によって確認される結晶粒の大きさの最小値が0.3μm以上である結晶粒を少なくとも1個含む多結晶の銀粒子が全粒子数の50%以上であり、且つ銀粉のタップ密度が4g/cm以上である銀粉を製造する方法であって、塩化銀をアンモニア水に30〜45℃の温度範囲内にて溶解し、得られた銀溶液を該温度範囲内にて保持する工程と、分散剤のポリビニルアルコール及び/又はポリビニルピロリドンを還元剤と混合して還元剤混合液を得る工程と、該還元剤混合液を、前記銀溶液の保持温度以上で且つ添加後の銀溶液の温度が50℃以下となるように温度調節して、前記温度範囲内に保持した銀溶液に添加する工程と、該還元剤混合液を添加した銀溶液を30〜50℃の温度で保持する工程とを含むことを特徴とする銀粉の製造方法。
  4. 前記還元剤混合液が、更に変性シリコンオイル系界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項3に記載の銀粉の製造方法。
  5. 前記還元剤がアスコルビン酸であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の銀粉の製造方法。
  6. 前記還元剤混合液を添加した銀溶液に、更に脂肪酸を添加して30〜50℃の温度に保持することを特徴とする、請求項3〜5のいずれかに記載の銀粉の製造方法。
  7. 前記脂肪酸がステアリン酸及び/又はオレイン酸であることを特徴とする、請求項6に記載の銀粉の製造方法。
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