JP5567210B2 - 二次電池負極集電体用圧延銅箔およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、二次電池用集電体に適用可能な圧延銅箔およびその製造方法に関し、特に、弾性限界を広げた圧延銅箔およびその製造方法に関するものである。
圧延銅箔は、リチウムイオン電池などの二次電池の負極集電体に用いられており、例えばカーボン系の活物質が塗布されて使用される。このような負極集電体は、ロールプレスによって活物質を圧延銅箔に塗布して製造している。しかしながら、ロールによるプレスでは、銅箔が変形してしまい、活物質が脱落したり、形状不良により歩留まりが低下したりといった問題がある。近年、集電体の薄肉化が進行しており、更にこの問題が顕著になっている。
また、近年の電池容量向上の要求に伴い、カーボン系からシリコン(Si)系やスズ(Sn)系の活物質への変更が検討されている。
しかし、それらの新しい活物質は、充・放電に伴う膨張・収縮量がカーボン系よりも大きいために、使用中に集電体から離脱する問題がある。これは、活物質が膨張した際に集電体が塑性変形してしまうことが原因の一つと考えられる。
近年の電池容量向上の更なる要求を背景に、活物質の離脱は容量低下の主原因であり、更にSi系やSn系などの、膨張・収縮の大きな活物質の適用が見込まれるため、特にその重要性が増している。
上記のように、電池用圧延銅箔の塑性変形が製造工程および使用中に問題となるため、限界弾性変形量を増やすことが求められている。限界弾性変形量を増加させるためには、降伏応力を高めることだけでなく、引張応力に対する縦弾性係数(ヤング率)を低めることが必要である。
圧延銅箔の機械的特性の改善に関しては、いくつか提案されている(例えば特許文献1〜6参照)。
特許文献1では、合金化によって引張強度を高めることが提案されている。引張強度が高ければ、降伏応力も高くなっていることが推定される。
特許文献2では、集電体の引張強度を高めることが提案されている。引張強度が高ければ、降伏応力も高くなっていることが推定される。
特許文献3では、銅合金箔を300°Cにおいて30分間の熱処理によって軟化させた後のヤング率を高めることが提案されている。
特許文献4では、純銅の銅板を96%の圧延率で圧延し、250°Cにおいて1時間の熱処理によって立方体集合組織が増加することにより、ヤング率が低下することが示されている。
特許文献5および6では、Zn量やSn量の制御によって材料の引張応力に対するヤング率を小さくする方法が提案されている。
特開平11−339811号公報 WO2001/031723号公報 特開2009―242846号公報 特開昭55−054554号公報 特開2001−294957号公報 特開2003−306732号公報
ところで、上記特許文献1および2に開示された銅箔では、降伏応力を高めるのみで、引張応力に対する縦弾性係数を低めることはできなかった。
また、特許文献3に開示された銅箔では、軟化させた後であるため降伏応力が低く、また、引張応力に対する縦弾性係数を高めるため、限界弾性変形量を狭めるものであった。
特許文献4に開示された銅箔では、軟化させた後であるために降伏応力が低いために、限界弾性変形量の拡大には不十分であった。
特許文献5および6に開示された銅箔では、固溶元素量が多いために導電率が著しく低下した。
よって、これらの銅箔では、近年の電池への高度な要求を満足することができない場合があった。
本発明の目的は、限界弾性変形量が大きいために塑性変形がし難く、電池などの製造工程の歩留りおよび製造物の電気的特性を向上させることができる二次電池負極集電体用圧延銅箔およびその製造方法を提供することある。
本発明では、圧延銅箔の結晶方位を制御することによって引張応力に対する縦弾性係数を制御する。また、箔までの圧延加工を行う前の製造方法について、特に、熱間圧延工程の制御が、結晶方位の制御に極めて有効であることを示した。
本発明の圧延により形成した銅または銅合金からなる圧延銅箔は、
a.主成分としてCrおよびZrのうちの少なくとも一方を含むCu−(Cr、Zr)系の銅合金であって、前記主成分となるCr、Zrのうち少なくとも1種を合計で0.01〜0.9mass%含有し、前記主成分を除く残部がCuおよび不可避不純物からなり、または、
b.主成分としてCrおよびZrのうちの少なくとも一方を含むCu−(Cr、Zr)系の銅合金であって、前記主成分となるCr、Zrのうち少なくとも1種を合計で0.01〜0.9mass%含有し、副添加成分としてSn、Zn、Si、Mn、Mgから少なくとも1種を合計で0.01〜0.45mass%含有し、前記主成分および前記副添加成分を除く残部が不可避不純物からなり、または、
c.主成分としてAgを含むCu−Ag系の銅合金であって、前記主成分となるAgを合計で0.01〜0.9mass%含有し、前記主成分を除く残部がCuおよび不可避不純物からなり、または、
d.主成分としてAgを含むCu−Ag系の銅合金であって、前記主成分となるAgを合計で0.01〜0.9mass%含有し、副添加成分としてSn、Zn、Si、Mn、Mgから少なくとも1種を合計で0.01〜0.45mass%含有し前記主成分および副添加成分を除く残部が不可避不純物からなり、または、
e.主成分としてSnを含むCu−Sn系の銅合金であって、前記主成分となるSnを合計で0.01〜4.9mass%含有し、前記主成分を除く残部がCuおよび不可避不純物からなり、または、
f.主成分としてSnを含むCu−Sn系の銅合金であって、前記主成分となるSnを合計で0.01〜4.9mass%含有し、副添加成分としてZn、Si、P、Mgから少なくとも1種を合計で0.01〜0.45mass%含有し、前記主成分および副添加成分を除く残部が不可避不純物からなり、または、
g.酸素を含む純銅系であって、酸素量が2〜200ppmであ残部がCuおよび不可避不純物からなり、
結晶方位に関して圧延方向に(111)面が向く領域の面積率S(111)と、圧延方向に(100)面が向く領域の面積率S(100)との面積比[S(111)/S(100)]が2以下である、二次電池負極集電体用圧延銅箔である。
ここで、面積率とは、理想方位からずれ角度が15°以内の領域の面積を、全体の測定面積が割って(除して)算出したものである。
また、圧延銅箔とは純銅の圧延銅箔を意味することもあるが、本願発明では広く銅合金の圧延銅箔を意味する。
好適には、圧延銅箔は、主成分としてCrおよびZrのうちの少なくとも一方を含むCu−(Cr,Zr)系の銅合金であって、主成分となるCr、Zrのうち少なくとも1種を合計で0.01〜0.9mass%含有する。
また、Cu−(Cr,Zr)系の圧延銅箔は、副添加成分となるSn、Zn、Si、Mn、Mgから少なくとも1種を合計で0.01〜0.45mass%含有しても良い。
なお、Cu−(Cr,Zr)系の圧延銅箔は、主成分を除く残部、または主成分および副添加成分を除く残部が不可避不純物により形成されている。
好適には、圧延銅箔は、主成分としてAgを含むCu−Ag系の銅合金であって、主成分となるAgを合計で0.01〜0.9mass%含有する。
また、Cu−Ag系の圧延銅箔は、副添加成分となるSn、Zn、Si、Mn、Mgから少なくとも1種を合計で0.01〜0.45mass%含有しても良い。
なお、Cu−Ag系の圧延銅箔は、主成分を除く残部、または主成分および副添加成分を除く残部が不可避不純物により形成されている。
好適には、圧延銅箔は、主成分としてSnを含むCu−Sn系の銅合金であって、主成分となるSnを合計で0.01〜4.9mass%含有する。
また、Cu−Sn系の圧延銅箔は、副添加成分となるZn、Si、P、Mgから少なくとも1種を合計で0.01〜0.45mass%含有しても良い。
なお、Cu−Sn系の圧延銅箔は、主成分を除く残部、または主成分および副添加成分を除く残部が不可避不純物により形成されている。
好適には、圧延銅箔は、主成分としてNiおよびSiを含むCu−Ni−Si系の銅合金であって、主成分となるNiを1.4〜4.8mass%、Siを0.2〜1.3mass%含有する。
また、Cu−Ni−Si系の圧延銅箔は、副添加成分となるSn、Zn、Si、Cr、Mn、Mg、Coから少なくとも1種を合計で0.005〜0.9mass%含有しても良い。
なお、Cu−Ni−Si系の圧延銅箔は、主成分を除く残部、または主成分および副添加成分を除く残部が不可避不純物により形成されている。
好適には、圧延銅箔は、酸素を含む純銅系であって、酸素量が2〜200ppmである。
なお、純銅系の圧延銅箔は、残部が不可避不純物により形成されている。
また本発明によれば、上記二次電池負極集電体用圧延銅箔を製造する圧延銅箔の製造方法であって、
原料を溶解する溶解工程と、
溶解した原料を鋳造する鋳造工程と、
鋳造によって得られた被圧延材に対して、800〜1030°Cで、5分間〜10時間の均質化熱処理を行う均質化熱処理工程と、
前記均質化熱処理された前記被圧延材に対して、670〜1030°Cで、50〜80%の加工率で行う、第1高温圧延工程と、
前記第1高温圧延工程後に、前記被圧延材の冷却を行う第1冷却工程と、
前記第1冷却工程の後に、前記被圧延材に対して、300〜650°Cで、30〜60分の加工率で行う、第2高温圧延工程と、
前記第1高温圧延工程後に、前記被圧延材を冷却する第2冷却工程と、
前記第2冷却工程後に、前記被圧延材の面削を行う面削工程と、
前記面削工程後に、前記被圧延材に対して、300〜800°Cで、3秒間〜10時間の熱処理を行う最終再結晶焼鈍工程と、
前記最終再結晶焼鈍工程後に、前記被圧延材に対して最終冷間圧延を行う最終冷間圧延工程と、を有する、二次電池負極集電体用圧延銅箔の製造方法が提供される
好適には、前記冷却工程では、加工処理を行わず、冷却のみを行う。
本発明によれば、集電体である圧延銅箔の限界弾性変形量が大きいため、二次電池などの製造工程における外力に対して、集電体の塑性変形を防止することができる。また、これによって集電体から活物質が脱落し難くなるため、二次電池の容量を向上させることができる。
更に、充・放電時の膨張・収縮量の大きいSn系やSi系などの活物質の変形に伴って集電体である圧延銅箔が変形する際に、集電体の変形は弾性限界内となるので、活物質の形状変化に集電体を追従させることができる。従って、活物質と集電体の離脱を防止して、二次電池の充・放電のサイクル特性を向上させることができる。
本発明の実施形態に係る圧延銅箔が負極集電体として適用されるリチウム二次電池の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る圧延銅箔を模式的に拡大して示す図である。 本発明の実施形態に係る圧延銅箔の製造工程を説明するための図である。 面積比[S(111)/S(100)]と引帳応力に対する弾性係数との関係を示す図である。 比較例の製造工程を示す図である。
図1は、本発明の実施形態に係る圧延銅箔が負極集電体として適用されるリチウム二次電池の概略構成を示す図である。
図2は、本発明の実施形態に係る圧延銅箔を模式的に拡大して示す図である。
図1のリチウム二次電池10は、正極11、負極12、正極集電体13、負極集電体14、セパレータ15、正極側電池缶16、負極側電池缶17、および絶縁パッキング18を含んで構成されている。
正極11と負極12は、セパレータ15を挟んで対向するように配置されている。これら、正極11、負極12、セパレータ15は、正極側電池缶16および負極側電池缶17により形成される電池ケースに収納されている。
この収納状態で、正極11は正極集電体13を介して正極側電池缶16に接続され、負極12は負極集電体14を介して負極側電池缶17に接続されている。
この構造により二次電池10は充電および放電が可能となっている。
本実施形態においては、この負極集電体14として、図2に示すような圧延銅箔20が適用される。
本実施形態に係る圧延銅箔20は、例えば厚さdが12μm以下に設定され、以下の特徴をもって形成されている。
圧延銅箔20は、その結晶方位に関して圧延方向に(111)面が向く領域の面積率S(111)と、圧延方向に(100)面が向く領域の面積率S(100)の面積比[S(111)/S(100)}が、2以下である。
結晶方位は、電子後方散乱回折(EBSD法)による結晶方位測定が適用可能である。
また、本実施形態に係る圧延銅箔20は、以下の(1)〜(5)に示すような銅合金または純銅系として形成される。
(1):Cu−(Cr,Zr)系の銅合金
圧延銅箔20は、主成分としてCrおよびZrのうちの少なくとも一方を含むCu−(Cr,Zr)系の銅合金であって、主成分となるCr、Zrのうち少なくとも1種を合計で0.01〜0.9mass%含有する銅合金として形成される。
また、Cu−(Cr,Zr)系の銅合金は、必要に応じて副添加成分となるSn、Zn、Si、Mn、Mgから少なくとも1種を合計で0.01〜0.45mass%含有する銅合金として形成される。
Cu−(Cr,Zr)系の銅合金は、主成分を除く残部、または主成分および副添加成分を除く残部が不可避不純物により形成されている。
(2):Cu−Ag系の銅合金
圧延銅箔20は、主成分としてAgを含むCu−Ag系の銅合金であって、主成分となるAgを合計で0.01〜0.9mass%含有する銅合金として形成される。
また、Cu−Ag系の銅合金は、必要に応じて副添加成分となるSn、Zn、Si、Mn、Mgから少なくとも1種を合計で0.01〜0.45mass%含有する銅合金として形成される。
Cu−Ag系の銅合金は、主成分を除く残部、または主成分および副添加成分を除く残部が不可避不純物により形成されている。
(3):Cu−Sn系の銅合金
圧延銅箔20は、主成分としてSnを含むCu−Sn系の銅合金であって、主成分となるSnを合計で0.01〜4.9mass%含有する銅合金として形成される。
また、Cu−Sn系の銅合金は、必要に応じて副添加成分となるZn、Si、P、Mgから少なくとも1種を合計で0.01〜0.45mass%含有する銅合金として形成される。
Cu−Sn系の銅合金は、主成分を除く残部、または主成分および副添加成分を除く残部が不可避不純物により形成されている。
(4):Cu−Ni−Si系の銅合金
圧延銅箔20は、主成分としてNiおよびSiを含むCu−Ni−Si系の銅合金であって、主成分となるNiを1.4〜4.8mass%、Siを0.2〜1.3mass%含有する合銅合金として形成される。
また、Cu−Ni−Si系の銅合金は、必要に応じて副添加成分となるSn、Zn、Si、Cr、Mn、Mg、Coから少なくとも1種を合計で0.005〜0.9mass%含有する銅合金として形成される。
Cu−Ni−Si系の銅合金は、主成分を除く残部、または主成分および副添加成分を除く残部が不可避不純物により形成されている。
(5):酸素を含む純銅系(TPC系)
圧延銅箔20は、酸素を含む純銅系(TPC系)の銅材料であって、酸素量が2〜200ppmで、残部が不可避不純物からなる。
ここで、不可避不純物とは、おおむね金属製品において、原料中に存在したり、製造工程において不可避的に混入したりするものである。本来は不要なものであるが、微量であり、金属製品の特性に影響を及ぼさないため許容されている不純物である。
図3は、本実施形態に係る圧延銅箔20の製造工程を説明するための図である。
圧延銅箔20は、図3に示すように、第1工程(ステップ)ST1から第11工程(ステップ)ST11を基本工程として製造される。
第1工程ST1は原料を溶解させる溶解工程であり、第2工程ST2は溶解した原料を鋳造して被圧延材(鋳塊)を形成する鋳造工程であり、第3工程ST3は被圧延材の鋳造組織を均質化する熱処理である均質化熱処理工程である。
第4工程ST4は第1高温圧延工程であり、第5工程ST5は冷却工程であり、第6工程ST6は第2高温圧延工程である。これら、第1高温圧延工程、冷却工程、および第2高温圧延工程を含んで熱間圧延工程が形成される。熱間圧延とは、金属を再結晶温度以上に加熱して行う圧延をいう。
第7工程ST7は水冷工程であり、第8工程ST8は酸化スケールの除去のための面削工程であり、第9工程ST9は中間冷間圧延工程であり、第10工程ST10は最終的な焼きなましを行う最終再結晶焼鈍工程であり、第11工程ST11は最終冷間圧延工程である。なお、冷間圧延は、再結晶が生じない温度範囲(例えば常温)下で行う圧延をいう。
本実施形態に係る圧延銅箔20を製造する特徴的な処理は、第4工程ST4の第1高温圧延は第1の加熱温度、例えば670°C以上で高温圧延を行い、第6工程ST6の第2高温圧延は第1の加熱温度より低い第2の加熱温度、例えば650°C以下で高温圧延を行うことである。
以下、本実施形態に係る圧延銅箔20の上述した結晶方位、0.2%耐力、結晶方位を制御する製造工程、合金成分等の特徴点に関して具体的に説明し、また、上記(1)〜(5)の銅合金の実施例を参考例および比較例と対比しつつ説明する。
[結晶方位]
通常の圧延銅箔では、圧延集合組織が発達している。引張強度に対する縦弾性係数の低下という課題に対し、一般的な銅合金の圧延集合組織(圧延安定方位)は、一定の広がりは持っているものの、圧延方向に(112)面が配向するBrass方位、圧延方向に(346)面が向くS方位、(111)面が向くCopper方位が一般的である。しかし、これらの(112)および(346)面配向は、引張強度に対する縦弾性係数の低下に大きな効果は無く、(111)面配向は引張強度に対する縦弾性係数を増加させてしまう。
一方、本発明の実施形態では、(100)面配向が有効であることが確認された。
本発明の実施形態においては、圧延方向に(100)面が配向している領域の面積率をS(100)、圧延方向に(111)面が配向している領域の面積率をS(111)とし、これらの面積比[S(111)/S(100)]を低下させることが有効であることを知見した。
図4(A)および(B)は、面積比[S(111)/S(100)]と引張強度に対する縦弾性係数(ヤング率)との関係を示す図である。
なお、図4に示した引張強度に対する縦弾性係数(ヤング率)は以下のように測定した。カメラ式非接触伸び計により、短軸引張試験中の標点間距離を測定し、歪みを測定した。採取した応力−歪み曲線における弾性領域の直線部分の傾きを測定した。カメラ式非接触伸び計は株式会社島津製作所製DVE−201(商品名)を使用した。CCDカメラ画像により標線マークを自動追尾して伸びを測定するものである。試験片は、幅13mmの短冊状とした。
なお、箔の縦弾性係数(ヤング率)の測定として、振動法によって測定されることがある。振動法は、強制振動を与えて共振周波数(固有振動数)を計測し、この共振周波数からヤング率を計算する測定法である。この測定方法を板厚10μm前後の圧延銅箔に適用するにあたって幾つか問題があり、正しい評価が困難な場合があった。一つに、小さい変位量による測定のため、供試材のわずかなシワや折れ目によって弾性振動が安定せず、評価結果が大きくばらつく問題があった。二つに、たわみ応力を付与するため、主として変形する箔表層付近の凹凸の影響を強く受け、箔の内部の影響が反映されない問題があった。三つに、圧延銅箔が電池として使用される場合は、両面に塗られた活物質によって圧縮・引張の変形をするのに対し、振動法によるたわみ変形は片面が圧縮でもう片面が引張となるため、本質的に使用環境と異なる変形状態を評価することになっていた。従って、本願では、引張試験によって縦弾性係数(ヤング率)を評価した。
なお、社団法人日本機械学会,「技術資料 金属材料の弾性係数」,p19(1980),丸善出版、に記載されているように、振動法を代表とする動的方法と、引張試験を代表とする静的方法とでは、ヤング率の評価結果は異なることが知られている。この評価結果の差異の発生は、箔に限られるものではない。
図4は、銅合金について、引張強度に対する縦弾性係数に及ぼす面積比[S(111)/S(100)]の影響について示している。通常の銅合金は引張強度に対する縦弾性係数が130GPa程度であるが、20%以上低減できることが確認された。
図4では、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の0.43〜1.98で縦弾性係数は103〜125GPaで130GPa以下である。また、面積比[S(111)/S(100)]が2を超え2.2,2.4の場合、引張強度に対する縦弾性係数は132GPa,136GPaであり、増加する傾向を示す。
すなわち、図4に示すように、面積比[S(111)/S(100)]が2以下になるように圧延銅箔20を形成することにより、引張強度に対する縦弾性係数の増加を抑えることができる。
そして、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の場合に、後述するように電池特性が優れた。
換言すると、面積比[S(111)/S(100)]が2以下になるように圧延銅箔20を形成することにより、引張強度に対する縦弾性係数の増加を抑えることができ、ひいては優れた電池特性を得ることが可能となる。
比[S(111)/S(100)]は2以下が好ましく、更に好ましくは1.5以下、最も好ましくは1.0以下である。下限は特に限定されるものでは無いが、0.05以上である。
本実施形態における上記結晶方位の解析には、EBSD法(Electron Back Scatter Diffraction(電子後方散乱回折))を用いる。EBSDとは、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)内で試料に電子線を照射したときに生じる反射電子菊池線回折(菊池パターン)を利用した結晶方位解析技術のことである。
本実施形態においては、50,000平方μm以上の試料面積に対し、0.2μmのステップでスキャンし、方位を解析する。
面積率とは、理想方位からのずれ角度が15°以内の領域の面積を、全体の測定面積で割って(除して)算出したものである。
EBSD法による方位解析において得られる情報は、電子線が試料に侵入する数10nmの深さまでの方位情報を含んでいるが、測定している広さに対して充分に小さいため、本明細書中では面積率として記載した。
[0.2%耐力]
限界弾性変形量を高めるために、0.2%耐力は400MPa以上であることが好ましい。より好ましくは500MPa以上、更に好ましくは600MPa以上である。この強度帯の設計は、後述する合金系の選定による。
ここで、0.2%耐力とは次のように定義される。
弾性変形と塑性変形の境界を便宜上つけるために、降伏応力に相当する応力を耐力とし、鋼の降伏時の永久歪みが約0.2%(0.002)であることから、荷重の除苛時の永久歪みが0.2%になる応力を0.2%耐力という。
[結晶方位を制御する工程]
例えば特許文献3、4で示されているように、立方体集合組織を発達させれば、圧延方向(100)面が配向している領域の面積率S(100)を高めることができる。
しかし、立方体集合組織は再結晶によって発達し、圧延銅箔のような加工組織中に増加させることはできない。限界弾性変形量を広げるには耐力の増加も欠かせず、圧延による加工硬化は必須であり、箔を焼鈍して再結晶優先方位を適用する技術は適用できない。
本発明の実施形態において有効性が見出された結晶方位に制御するための製造工程を示す。なお、上述したように、圧延方向に(100)面が配向している領域の面積率をS(100)、圧延方向に(111)面が配向している領域の面積率をS(111)とし、これらの面積比[S(111)/S(100)]を満足すれば、ここで示す製造工程に限定されるものではない。
結晶方位を制御するための圧延銅箔20の製造工程としては、図3に示すように、第1工程ST1から第11工程ST11が基本工程となる。
すなわち溶解工程、鋳造工程、均質化熱処理工程、第1高温圧延工程、冷却工程、の第2高温圧延工程、水冷工程、面削工程、中間冷間圧延工程、最終再結晶焼鈍工程、最終冷間圧延工程からなる製造工程が基本となる。
本実施形態に係る圧延銅箔20の製造方法において、第1高温圧延における第1の加熱温度は670°C以上、更に好ましくは700°C以上、最も好ましくは730°C以上である。
第2高温圧延における第2の加熱温度は650°C以下、更に好ましくは620°C以下、最も好ましくは590°C以下である。
第1高温圧延の上限温度は1030°C、第2高温圧延の下限温度は300°Cである。この第1高温圧延と第2高温圧延の間の温度帯は加工せず、空冷や水冷などの方法によって冷却することが必要である。第1高温圧延の加工率は50〜80%、第2高温圧延の加工率は30〜60%である。
本実施形態に係る圧延銅箔の製造方法の特徴は、熱間圧延を、冷却工程(ST5)を挟んで、銅の再結晶温度以上の第1の加熱温度の第1高温圧延(ST4)と第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延(ST6)の2工程としていることにある。
通常の熱間圧延では、圧延荷重や圧延パス回数を減少させて操業効率を高めるために、極力、高い温度下で圧延される。
これに対して、本実施形態の製造方法では、第1高温圧延と第2高温圧延との間で積極的に材料を冷やし、動的再結晶温度以下で温間圧延組織を形成させる。
[合金成分]
上述の結晶方位制御による効果は、各種の合金系に適用することができる。
そして、電池全体の設計によって、銅箔に必要な特性が異なり、それに応じて適切な合金系が選定されれば良い。圧延箔の強度と導電性は、おおよそトレードオフの関係にあり、各合金系の特性は下記の表1に示すようになる。
Figure 0005567210

表1において、本実施形態に係るCu−(Cr、Zr)系の銅合金の引張強度は400〜700MPaであり、導電性は70〜95%IACS(International Annealed Copper Standard: 国際焼きなまし銅線標準)であることを示している。
ここで、70%IACSとは、電気抵抗率がIACS(国際焼きなまし銅線標準)という名の“標準焼きなまし銅線”を100%とした場合の導線が70%の導電性をもつということを示している。
このCu−(Cr、Zr)系の銅合金の導電性は70〜95%IACSであり、電気特性も良好である。
同様に、本実施形態に係るCu−Ag系の銅合金の引張強度は350〜550MPaであり、導電性は80〜98%IACSであることを示している。
このCu−Ag系の銅合金は、導電性が80〜98%IACSと高い電気特性を発現する。
本実施形態に係るCu−Sn系の銅合金の引張強度は400〜750MPaであり、導電性は15〜95%IACSであることを示している。
このCu−Sn系の銅合金は、導電性が15〜95%とばらつきの範囲が大きいが、主成分や副添加成分の成分添加量を最適化することにより、高い電気(電池)特性を発現することができる。
本実施形態に係るCu−Ni−Si系の銅合金の引張強度は600〜1000MPaであり、導電性は20〜50%IACSであることを示している。
このCu−Ni−Si系の銅合金は、導電性が20〜50%と若干低目であるが、主成分や副添加成分の成分添加量最適化することにより、用途に応じた電気(電池)特性を発現することができる。
本実施形態に係る純銅系(TPC)の銅材料の引張強度は350〜550MPaであり、導電性は95〜100%IACSであることを示している。
この純銅系の銅材料は、導電性が95〜100%IACSと高い電気特性を発現する。
上記(1)〜(5)の銅合金の各々で規定した成分の上限を超えて添加した場合に、酸化物、析出物、晶出物などの形態でサブミクロンオーダーの大きさの粗大な第2相として分散し、12μm以下の板厚までの圧延の際に、ピンホールや板切れの原因となるため、好ましくない。また、導電性を著しく低下させるため、好ましくない。
また、上記(1)〜(5)の銅合金の各々で規定した成分の下限値未満に添加した場合に、その添加効果が充分に得られない。成分添加量は、上述の用途に応じて、適宜、調整されるものである。
Cu−(Cr、Zr)系の合金に含まれる主成分CrとZrの合計量の好ましい範囲は0.15〜0.43mass%、更に好ましい範囲は0.22〜0.31mass%である。
Cu−Ag系の主成分Agの好ましい範囲は0.02〜0.15mass%、更に好ましい範囲は0.03〜0.05mass%である。
Cu−Sn系の主成分Snの好ましい範囲は0.1〜2.3mass%、更に好ましい範囲は0.6〜0.9mass%である。
Cu−Ni−Si系の主成分Niの好ましい範囲は2.1〜4.2mass%、更に好ましい範囲は3.4〜3.9mass%である。
上記の主成分に加えて、強度や耐熱性などの向上を目的に、Sn、Zn、Si、Mn、Mg、Pなどの副添加元素の添加が許容される。
特に、厚さ12μm以下の箔までの圧延において、内在する第2相によってピンホールが発生する問題に対しては、Si、Mg、Pなどの添加によって溶湯を脱酸して酸化物の形成を抑制することが、また、Mnの添加によって硫化物の形成を抑制することが、有効である。
なお、本実施形態では、特に12μm以下の厚さの銅箔が対象であるが、12μm以上の銅箔に適用することも可能である。
以下に本発明の具体的な実施例について説明する。
実施例の結果については下記の表2〜表6に示されている。
Cu−(Cr、Zr)系の実施例の評価結果については表2に、Cu−Ag系の実施例の評価結果については表3に、Cu−Sn系の実施例の評価結果については表4に、Cu−Ni−Si系の実施例の評価結果については表5に、純銅系の実施例の評価結果については表6に示されている。
表2〜表6においては、上記(1)〜(5)の銅合金の実施例の評価結果を参考例および比較例と対比して示されている。
これら表2〜表6の実施例の結果評価について述べる前に、本実施形態および比較例の圧延銅箔の製造方法、粗化めっき前の圧延銅箔についての評価方法、電池評価方法等について説明する。
[圧延銅箔の製造方法]
[工程A]
本実施形態に係る圧延銅箔の製造方法の実施例について、図3を参照して説明する。
第1工程ST1において、原料を高周波溶解炉により溶解させ、溶解した原料を第2工程ST2において0.1〜100°C/秒の冷却速度で鋳造を行い、鋳塊を得た。鋳塊は、表2〜表6に示す合金成分を含有し、残部がCuと不可避不純物により形成される。
第3工程ST3において、第2工程ST2で得た鋳塊を温度800〜1030°Cで5分から10時間の均質化熱処理を行い、そのまま第4工程ST4で高温圧延を行った。
第4工程ST4において、温度670〜1030°Cで加工率が50〜80%の第1高温圧延を行い、次いで第5工程ST5において、300〜650°C以下まで空冷による冷却を行い、第6工程ST6において、温度300〜650°Cで30〜60%の第2高温圧延を行った。
次に、第7工程ST7において水冷し、第8工程ST8において酸化スケール除去のために面削を行った。
その後に、第9工程ST9において、66〜99%の板厚減少率で中間冷間圧延を行い、第10工程ST10において、300〜800°Cで3秒〜10時間保持する最終再結晶焼鈍を行い、第11工程ST11において最終冷間圧延を行い、板厚が12μm以下の圧延箔を作製した。
各熱処理や圧延の後に、材料表面の酸化や粗度の状態に応じて酸洗浄や表面研磨を行い、また形状に応じてテンションレベラーによる矯正を行った。
上記の本実施形態に係る製造方法例を[工程A]とする。
なお、表2〜表6中の比較例は、図5に示す下記の工程E〜Iのいずれかによって製造した。
[工程E]
工程Eは、第9工程ST9の第1中間冷間圧延と第10工程ST10の最終再結晶焼鈍の間に、温度300〜800°Cで3秒〜10時間保持する中間焼鈍、66〜99%の加工率の第2中間冷間圧延を行い、その他は工程Aに準じた。
[工程F]
工程Fは、工程Aの中の、第5工程ST5の冷却および第6工程ST6の第2高温圧延を行わず、その他は工程Aに準じた。
[工程G]
工程Gは、工程Aの中の、第5工程ST5の冷却および第6工程ST6の第2高温圧延を行わず、第9工程ST9の第2中間冷間圧延と第10工程ST10の最終再結晶焼鈍の間に、温度300〜800°Cで3秒〜10時間保持する中間焼鈍、66〜99%の加工率の第2中間冷間圧延を行い、その他は工程Aに準じた。
[工程H](特開2000−328159号公報に記載の工法)
工程Hは、電気炉により大気中で木炭被覆下で溶解し、50mm×80mm×180mmの鋳塊を溶製し、これを熱間圧延して厚さ15mmのスラブとし、さらに820°Cで熱間圧延して厚さ3.3mmに板材に仕上げた後水冷した。
これらの板材について、厚さ1.2mmに冷間圧延した後炉温750°C×20Sで中間焼鈍し、厚さ0.4mmに冷間圧延した後、炉温700°C×20Sの中間焼鈍し、厚さ0.2mmに冷間圧延した後、炉温650°C×20Sの中間焼鈍を行い、さらに冷間圧延して厚さ10μmの銅合金箔を製造した。
この工程Hは、特許文献7(特開2000−328159号公報)に開示されている。
[工程I](特開平11−310864号公報に記載の工法)
工程Iは、鋳塊を均熱処理後、終了温度500°Cで熱間圧延し、次いで銅箔の結晶方位を支配する冷間圧延および最終焼鈍の各工程の条件を、最終焼鈍前の冷間圧延率を10〜95%、最終焼鈍温度を400°C以上、最終焼鈍後の冷間圧延率を10〜99%の範囲で製造した。
この工程Iは、特許文献8(特開平11−310864号公報)に開示されている。
また、特許文献3(特開2009―242846号公報)および特許文献4(特開昭55−054554号公報)に開示されている条件での試作も比較のため行った。
この粗化めっき前の圧延銅箔について、下記の評価を行った。評価結果は、表2〜表6に示す。
[面積比[S(111)/S(100)]]
圧延方向に(100)面が配向している領域の面積率S(100)と、圧延方向に(111)面が配向している領域の面積率S(111)との面積比[S(111)/S(100)]を、EBSD法により、前述した方法によって圧延表面から測定した。圧延表面の加工変質層が厚いためにパターンが鮮明でない場合は、化学研磨によって最表層のみ溶解し、測定した。
前述したEBSD法により、SEM内で試料に電子線を照射したときに生じる反射電子菊池線回折(菊池パターン)を利用した結晶方位解析技術を用い、50,000平方μm以上の試料面積に対し、0.2μmのステップでスキャンし、方位を解析した。
[引張強度(TS)、0.2%耐力(YS)、伸び(EL)]
引張強度(TS)、0.2%耐力(YS)、および伸び(EL)を、JIS Z2241に準じて圧延平行方向の引張試験により測定した。
[導電性(EC)]
20°C(±0.5°C)に保たれた恒温漕中で四端子法により比抵抗を計測して導電率を算出した。なお、端子間距離は100mmとした。
その後、下記の方法で電池を作製し、電池としての特性を評価した。
[粗化めっきの方法]
圧延した銅箔表面に下記の条件で微細粗化粒子を下記銅めっき条件により設けた。
<めっき浴組成>
Cu(金属として):60〜70g/l
硫酸:110〜130g/l
<めっき条件>
温度:45〜55°C
電流密度:60〜70A/dm
処理時間:0.4〜2.0秒
[電池評価1:カーボン系の負極活物質]
(i)正極
LiCoO粉末90重量%、黒鉛粉末7重量%、ポリフッ化ビニリデン粉末3重量%を混合してN−メチルピロリドンをエタノールに溶解した溶液を添加して混練し、正極剤ペーストを調整した。このペーストをアルミ箔に均一に塗着した後、窒素雰囲気中で乾燥してエタノールを揮散させ、次いでロール圧延を行って、シートを作製した。
このシートを切断した後、その一端にアルミ箔のリード端子を超音波溶接で取り付け正極とした。
(ii)負極
天然黒鉛粉末(平均粒径10μm)90重量%、ポリフッ化ビニリデン粉末10重量%を混合し、N−メチルピロリドンをエタノールに溶解した溶液を添加して混練しペーストを作製した。次いで、このペーストを実施例、比較例で作製した圧延銅箔の両面に塗着した。塗着後の銅箔を窒素雰囲気中で乾燥し、溶剤を揮散させ、ついで、ロール圧延してシートを成型した。
このシートを切断した後その一端にニッケル箔のリードを超音波溶接して取り付け、負極とした。
(iii)電池の組み立て
以上のようにして製造した正極と負極の間に厚み25μmのポリプロピレン製のセパレータを挟み、これを軟鋼表面にニッケルめっきされた電池缶に収容して負極のリード端子を缶底にスポット溶接した。次いで、絶縁材の上蓋を置き、ガスケットを挿入後正極のリード端子とアルミ製安全弁とを超音波溶接して接続し、炭酸プロピレンと炭酸ジエチルと炭酸エチレンからなる非水電解液を電池缶の中に注入した後、前記安全弁に蓋を取り付け、密閉構造のリチウムイオンニ次電池を組み立てた。
(iv)電池特性の測定
上記作製の電池につき、充電電流50mAで4.2Vになるまで充電し、50mAで2.5Vになるまで放電するサイクルを1サイクルとする充放電サイクル試験を行った。初回充電時の電池容量を表2〜表6に示した。
[電池評価2:シリコン系の負極活物質]
(i)正極
出発原料として、LiCOおよびCoCOを用いて、Li:Coの原子比が1:1となるように秤量して乳鉢で混合し、これを金型でプレスし加圧成形した後、空気中において800°Cで24時間焼成し、LiCoOの焼成体を得た。これを乳鉢で粉砕し、平均粒径20μmに調製した。
得られたLiCoO粉末90重量部と、導電剤として人工黒鉛粉末5重量部を、結着剤としてポリフッ化ビニリデン5重量部を含む5重量%のN−メチルピロリドン溶液に混合し、正極合剤スラリーとした。
この正極合剤スラリーを、集電体であるアルミニウム箔の上に塗布し、乾燥した後圧延した。得られたものを切り抜き、正極とした。
(ii)負極
活物質としての平均粒径3μmのケイ素粉末(純度99.9%)80.2重量部を、バインダーとしてのポリアミド酸(バインダーα1)19.8重量部を含む8.6重量%のN−メチルピロリドン溶液に混合し、負極合剤スラリーとした。
この負極合剤スラリーを、実施例、比較例で作製した圧延銅箔に塗布し、乾燥した後、これを圧延した。これをアルゴン雰囲気下で400°C、30時間熱処理し、焼結して負極とした。
(iii)電池の組み立て
電解液として、エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとの等体積混合溶媒に、LiPFを1モル/リットル溶解したものを作製した。上記正極、負極、および電解液を用いて、リチウム二次電池を作製した。
正極および負極は、セパレータを介して対向している。
(iv)電池特性の評価
上記の電池の充放電サイクル特性を評価した。各電池を25°Cにおいて、電流値1mAで4.2Vまで充電した後、電流値1mAで2.75Vまで放電し、これを1サイクルの充放電とした。1サイクル目の放電容量に対して、50サイクル後の放電容量を、放電容量維持率として測定した。
表2〜表6に評価結果を示す。
以下に、表ごとの評価結果に示すように、本発明の実施形態で規定した面積率Sの面積比[S(111)/S(100)]が2以下等を満足する場合には、電池評価における特性が良好であった。一方、製造工程E〜Iで製造された比較例は、面積比[S(111)/S(100)]の条件を満足せず、電池評価結果が劣った。
特許文献3(特開2009―242846号公報)および特許文献4(特開S55−054554号公報)の箔までの圧延の後に再結晶させる工程においては、電池の作製過程において箔の変形や破断が著しく、特性を評価できなかった。
なお、参考値として、本例で示されたS(111)の絶対値は22.1%〜44.6%、S(100)の絶対値は11.4%〜39.5%の範囲内であった。
表6に示す純銅系に対して、表2〜表5の合金系の方が良好な電池特性を示した。
Figure 0005567210

表2は、Cu−(Cr、Zr)系の銅合金の評価結果を示している。
表2の実施例では、本実施形態に係る圧延銅箔(本例)として製造工程Aにより製造された実施例1−1〜1−8、参考例1−11、比較例1−21〜1−25について評価を行った。
本実施例1−1〜1−8、比較例1−21〜1−25は、主成分Crのみ、または主成分Zrのみ、または、主成分Cr、Zrの合計が0.01〜0.9mass%含有の条件を満足し、かつ副添加成分Sn、Zn、Si、Mn、Mgを含有する場合その合計が0.01〜0.45mass%の条件を満足している。
ただし、実施例3−6は、副添加成分を合計0.52mass%含有して、副添加成分合計で0.01〜0.45mass%の条件を若干超えている。
また、実施例1−4、1−7は副添加物を含まない。
参考例1−11は、主成分Cr、Zrの合計が0.01〜0.9mass%含有の条件を逸脱している。
実施例1−1〜1−8は、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足している。
実施例1−1〜1−8は、0.2%耐力(YS)が条件である400MPa以上であることから、限界弾性変形量を高められていることが推察される。
そして、実施例1−1〜1−8は、電池評価1としての初回充電容量および電池評価2としての維持率の値からわかるように、電池評価における特性が良好であった。
なお、実施例1−4、1−6、1−7は、副添加成分を合計で0.01〜0.45mass%とする範囲から外れているが、電池評価における特性が良好であるとの結果が得られている。これは、主成分の含有量が本実施形態で規定する範囲内にあるか否かが電気的特性に大きく影響するものと推察される。
参考例1−11は、上述したように、主成分Cr、ZrのうちCrを0.93mass%含有し、主成分の合計が0.01〜0.9mass%含有の条件を満足していない。
参考例1−11は、ピンホールが多数のために製造を中止した。
この参考例1−11の結果からも、主成分の含有量が本実施形態で規定する範囲内にあるか否かが電気的特性に大きく影響するものと推察される。
比較例1−21は、面積比[S(111)/S(100)]が2.85で2以下の条件を満足していない。
そして、比較例1−21は、電池評価1としての初回充電容量が実施例1−1の478mAhと比較して341mAhと低く、電池評価2としての維持率も、実施例1−1の38%の半分以下の18%である。
このように、比較例1−21は、電池評価における特性が実施例より劣っている。
これは、製造工程Aではなく、第9工程の第1中間冷間圧延と第10工程の最終再結晶焼鈍の間に、温度300〜800°Cで3秒〜10時間保持する中間焼鈍、66〜99%の加工率の第2中間冷間圧延を行う製造工程Eにより製造されたことに起因しているものと推察される。
すなわち、本製造方法の特徴である、熱間圧延を、冷却期間を挟んで、第1の加熱温度の第1高温圧延と第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延の2工程として圧を行ったとしても、製造工程Aの各工程に加えて中間焼鈍工程、第2中間冷間圧延工程を行うと、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足することができず、ひいては電池特性が低くなっているものと推察される。
比較例1−22は、面積比[S(111)/S(100)]が2.32で2以下の条件を満足していない。
そして、比較例1−22は、電池評価1としての初回充電容量が本例の実施例1−1の478mAhと比較して383mAhと低く、電池評価2としての維持率も、実施例1−1の38%の半分以下の15%である。
このように、比較例1−22は、電池評価における特性が実施例より劣っている。
これは、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行わないことに起因しているものと推察される。
すなわち、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行っていないことから、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足することができず、ひいては電池特性が低くなっているものと推察される。
比較例1−23は、面積比[S(111)/S(100)]が2.41で2以下の条件を満足していない。
そして、比較例1−23は、電池評価1としての初回充電容量が実施例1−1の478mAhと比較して370mAhと低く、電池評価2としての維持率も、実施例1−1の38%の半分以下の18%である。
このように、比較例1−23は、電池評価における特性が本例より劣っている。
これは、製造工程Aではなく、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行わず、かつ、第1中間冷間圧延との最終再結晶焼鈍の間に、温度300〜800°Cで3秒〜10時間保持する中間焼鈍、66〜99%の加工率の第2中間冷間圧延を行う製造工程Gにより製造されたことに起因しているものと推察される。
すなわち、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行わず、製造工程Aにない中間焼鈍工程、第2中間冷間圧延工程を行うと、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足することができず、ひいては電池特性が低くなっているものと推察される。
比較例1−24は、面積比[S(111)/S(100)]が2.51で2以下の条件を満足していない。
そして、比較例1−24は、電池評価1としての初回充電容量が本例の実施例1−1の478mAhと比較して360mAhと低く、電池評価2としての維持率も、実施例1−1の38%の半分の19%である。
このように、比較例1−24は、電池評価における特性が本例より劣っている。
これは、製造工程Aではなく、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行わず、かつ、冷間圧延を挟んだ2回の中間焼鈍行う製造工程Hにより製造されたことに起因しているものと推察される。
すなわち、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行わず、製造工程Aにない2回の中間焼鈍工程を行うと、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足することができず、ひいては電池特性が低くなっているものと推察される。
比較例1−25は、面積比[S(111)/S(100)]が2.95で2以下の条件を満足していない。
そして、比較例1−25は、電池評価1としての初回充電容量が本例の実施例1−1の478mAhと比較して360mAhと低く、電池評価2としての維持率も、実施例1−1の38%より低い23%である。
このように、比較例1−25は、電池評価における特性が実施例より劣っている。
これは、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行わないことに起因しているものと推察される。
すなわち、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行っていないことから、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足することができず、ひいては電池特性が低くなっているものと推察される。
Figure 0005567210
表3は、Cu−Ag系の銅合金の評価結果を示している。
本実施形態に係る圧延銅箔(本例)として製造工程Aにより製造された実施例2−1〜2−4、参考例2−11、比較例2−21〜2−23について評価を行った。
実施例2−1〜2−4、比較例の2−21〜2−23は、主成分Agの合計が0.01〜0.9mass%含有の条件を満足し、副添加成分Sn、Zn、Si、Mn、Mgを含有する場合その合計が0.01〜0.45mass%の条件を満足している。
ただし、参考例2−11は、主成分Agの合計が0.01〜0.9mass%含有の条件を満足していない。
実施例2−1〜2−4は、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足している。
実施例2−1〜2−4は、0.2%耐力(YS)が4条件である400MPa以上であることから、限界弾性変形量を高められていることが推察される。
そして、実施例2−1〜2−4は、電池評価1としての初回充電容量および電池評価2としての維持率の値からわかるように、電池評価における特性が良好であった。
参考例の2−11は、上述したように、主成分Agを0.95mass%含有し、主成分の合計が0.01〜0.9mass%含有の条件を満足していない。
参考例2−11は、ピンホールが多数のために製造を中止した。
この参考例2−11の結果からも、主成分の含有量が本実施形態で規定する範囲内にあるか否かで電気的特性に大きく影響するものと推察される。
比較例の2−21は、面積比[S(111)/S(100)]が2.66で2以下の条件を満足していない。
そして、比較例2−21は、電池評価1としての初回充電容量が本例の実施例2−2の430mAhと比較して353mAhと低く、電池評価2としての維持率も、実施例2−2の33%のほぼ半分の17%である。
このように、比較例2−21は、電池評価における特性が実施例より劣っている。
これは、表2のCu−(Cr、Zr)系の銅合金の評価結果において示した製造工程Gで製造された比較例1−23と同じ理由であるものと推察される。
すなわち、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行わず、製造工程Aにない中間焼鈍工程、第2中間冷間圧延工程を行うと、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足することができず、ひいては電池特性が低くなっているものと推察される。
比較例の2−22は、面積比[S(111)/S(100)]が2.7で2以下の条件を満足していない。
そして、比較例2−22は、電池評価1としての初回充電容量が本例の実施例2−2の430mAhと比較して359mAhと低く、電池評価2としての維持率も、実施例2−2の33%の半分以下の15%である。
このように、比較例2−22は、電池評価における特性が実施例より劣っている。
これは、表2のCu−(Cr、Zr)系の銅合金の評価結果において示した製造工程Hで製造された比較例1−24と同じ理由であるものと推察される。
すなわち、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行わず、製造工程Aにない2回の中間焼鈍工程を行うと、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足することができず、ひいては電池特性が低くなっているものと推察される。
比較例2−23は、面積比[S(111)/S(100)]が2.3で2以下の条件を満足していない。
そして、比較例2−23は、電池評価1としての初回充電容量が本例の実施例2−2の430mAhと比較して353mAhと低く、電池評価2としての維持率も、実施例2−2の33%の半分以下の13%である。
このように、比較例2−23は、電池評価における特性が実施例より劣っている。
これは、表2のCu−(Cr、Zr)系の銅合金の評価結果において示した製造工程Iで製造された比較例1−25と同じ理由であるものと推察される。
すなわち、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行っていないことから、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足することができず、ひいては電池特性が低くなっているものと推察される。
Figure 0005567210
表4は、Cu−Sn系の銅合金の評価結果を示している。
表4では、本実施形態に係る圧延銅箔(本例)として製造工程Aにより製造された実施例3−1〜3−6、参考例3−11、比較例3−21〜3−23について評価を行った。
実施例3−1〜3−6、比較例3−21〜3−23は、主成分Snの合計が0.01〜4.9mass%含有の条件を満足し、副添加成分Zn、Si、P、Mgを含有する場合その合計が0.01〜0.45mass%の条件を満足している。
ただし、参考例3−11は、主成分Snの合計が0.01〜4.9mass%含有の条件を満足していない。
実施例3−1〜3−6は、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足している。
実施例3−1〜3−6は、0.2%耐力(YS)が条件である400MPa以上であることから、限界弾性変形量を高められていることが推察される。
そして、実施例3−1〜3−6は、電池評価1としての初回充電容量および電池評価2としての維持率の値からわかるように、電池評価における特性が良好であった。
参考例3−11は、上述したように、主成分Snを5.12mass%含有し、主成分の0.01〜4.9mass%含有の条件を満足していない。
参考例3−11は、ピンホール多数のために製造を中止した。
この参考例3−11の結果からも、主成分の含有量が本実施形態で規定する範囲内にあるか否かで電気的特性に大きく影響するものと推察される。
比較例3−21は、面積比[S(111)/S(100)]が2.15で2以下の条件を満足していない。
そして、比較例3−21は、電池評価1としての初回充電容量が本例の実施例3−1の439mAhと比較して373mAhと低く、電池評価2としての維持率も、本例の実施例3−1の33%のほぼ半分の17%である。
このように、比較例3−21は、電池評価における特性が本例より劣っている。
これは、表2のCu−(Cr、Zr)系の銅合金の評価結果において示した製造工程Gで製造された比較例1−23と同じ理由であるものと推察される。
すなわち、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行わず、製造工程Aにない中間焼鈍工程、第2中間冷間圧延工程を行うと、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足することができず、ひいては電池特性が低くなっているものと推察される。
比較例3−22は、面積比[S(111)/S(100)]が2.33で2以下の条件を満足していない。
そして、比較例3−22は、電池評価1としての初回充電容量が本例の実施例3−1の439mAhと比較して373mAhと低く、電池評価2としての維持率も、実施例3−1の33%の半分以下の15%である。
このように、比較例3−22は、電池評価における特性が実施例より劣っている。
これは、表2のCu−(Cr、Zr)系の銅合金の評価結果において示した製造工程Hで製造された比較例1−24と同じ理由であるものと推察される。
すなわち、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行わず、製造工程Aにない2回の中間焼鈍工程を行うと、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足することができず、ひいては電池特性が低くなっているものと推察される。
比較例の3−23は、面積比[S(111)/S(100)]が2.82で2以下の条件を満足していない。
そして、比較例3−23は、電池評価1としての初回充電容量が本例の実施例3−1の439mAhと比較して339mAhと低く、電池評価2としての維持率も、実施例3−1の33%の半分以下の13%である。
このように、比較例3−23は、電池評価における特性が実施例より劣っている。
これは、表2のCu−(Cr、Zr)系の銅合金の評価結果において示した製造工程Iで製造された比較例1−25と同じ理由であるものと推察される。
すなわち、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行っていないことから、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足することができず、ひいては電池特性が低くなっているものと推察される。
Figure 0005567210
表5は、Cu−Ni−Si系の銅合金の評価結果を示している。
表5の実施例では、本実施形態に係る圧延銅箔(本例)として製造工程Aにより製造された実施例4−1〜4−8、製造工程Aで製造された参考例4−11、製造工程G,F,Iで製造された比較例4−21〜4−23について評価を行った。
実施例4−1〜4−8、比較例4−21〜4−23は、主成分Niの1.4〜4.8mass%含有の条件を満足し、主成分Siの0.2〜1.3mass%含有の条件を満足し、副添加成分Sn、Zn、Si、Cr、Mn、Mg、Coの合計が0.005〜0.9mass%の条件を満足している。
ただし、参考例4−11は、主成分Niの1.4〜4.8mass%含有の条件を満足していない。
実施例4−1〜4−8は、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足している。
実施例4−1〜4−8は、0.2%耐力(YS)が条件である400MPa以上であることから、限界弾性変形量を高められていることが推察される。
そして、実施例4−1〜4−8は、電池評価1としての初回充電容量および電池評価2としての維持率の値からわかるように、電池評価における特性が良好であった。
参考例4−11は、主成分Ni、SiのうちのNiを4.92mass%含有して主成分Niの1.4〜4.8mass%含有の条件を満足していない。
参考例4−11は、ピンホール多数のために製造を中止した。
この参考例4−11の結果からも、主成分の含有量が本実施形態で規定する範囲内にあるか否かで電気的特性に大きく影響するものと推察される。
比較例の4−21は、面積比[S(111)/S(100)]が2.25で2以下の条件を満足していない。
そして、比較例4−21は、電池評価1としての初回充電容量が本例の実施例4−1の439mAhと比較して379mAhと低く、電池評価2としての維持率も、実施例4−1の34%の半分以下の16%である。
このように、比較例4−21は、電池評価における特性が実施例より劣っている。
これは、表2のCu−(Cr、Zr)系の銅合金の評価結果において示した製造工程Gで製造された比較例1−23と同じ理由であるものと推察される。
すなわち、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行わず、製造工程Aにない中間焼鈍工程、第2中間冷間圧延工程を行うと、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足することができず、ひいては電池特性が低くなっているものと推察される。
比較例4−22は、面積比[S(111)/S(100)]が2.46で2以下の条件を満足していない。
そして、比較例4−22は、電池評価1としての初回充電容量が実施例4−1の439mAhと比較して349mAhと低く、電池評価2としての維持率も、実施例4−1の34%の半分以下の15%である。
このように、比較例4−22は、電池評価における特性が本例より劣っている。
これは、表2のCu−(Cr、Zr)系の銅合金の評価結果において示した製造工程Fで製造された比較例1−22と同じ理由であるものと推察される。
すなわち、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行っていないことから、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足することができず、ひいては電池特性が低くなっているものと推察される。
比較例4−23は、面積比[S(111)/S(100)]が2.78で2以下の条件を満足していない。
そして、比較例4−23は、電池評価1としての初回充電容量が実施例4−1の439mAhと比較して325mAhと低く、電池評価2としての維持率も、実施例4−1の34%より半分以下の13%である。
このように、比較例4−23は、電池評価における特性が実施例より劣っている。
これは、表2のCu−(Cr、Zr)系の銅合金の評価結果において示した製造工程Iで製造された比較例1−25と同じ理由であるものと推察される。
すなわち、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行っていないことから、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足することができず、ひいては電池特性が低くなっているものと推察される。
Figure 0005567210
表6は、純銅系の評価結果を示している。
表6の実施例では、本実施形態に係る圧延銅箔(本例)として製造工程Aにより製造された実施例5−1〜5−2、製造工程E,F,G,H,Iで製造された比較例5−21〜5−25について評価を行った。
実施例5−1、比較例5−21〜5−25は、酸素量が180ppmで、酸素量の条件2〜200ppmを満足している。
本例の実施例5−2は、酸素量が6ppmで、酸素量の条件2〜200ppmを満足している。
実施例5−1,5−2は、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足している。
実施例5−1,5−2は、0.2%耐力(YS)が条件である400MPa以上であることから、限界弾性変形量を高められていることが推察される。
そして、実施例5−1,5−2は、電池評価1としての初回充電容量および電池評価2としての維持率の値からわかるように、電池評価における特性が良好であった。
比較例5−21は、面積比[S(111)/S(100)]が2.09で2以下の条件を満足していない。
そして、比較例5−21は、電池評価1としての初回充電容量が本例の実施例5−1の448mAhと比較して383mAhと低く、電池評価2としての維持率も、実施例5−1の29%の1/3程度の11%である。
このように、比較例5−21は、電池評価における特性が実施例より劣っている。
これは、表2のCu−(Cr、Zr)系の銅合金の評価結果において示した製造工程Eで製造された比較例1−21と同じ理由であるものと推察される。
すなわち、本製造方法の特徴である、熱間圧延を、冷却期間を挟んで、第1の加熱温度の第1高温圧延と第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延の2工程として圧を行ったとしても、製造工程Aの各工程に加えて中間焼鈍工程、第2中間冷間圧延工程を行うと、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足することができず、ひいては電池特性が低くなっているものと推察される。
比較例の5−22は、面積比[S(111)/S(100)]が2.44で2以下の条件を満足していない。
そして、比較例5−22は、電池評価1としての初回充電容量が本例の実施例5−1の448mAhと比較して373mAhと低く、電池評価2としての維持率も、実施例5−1の29%の1/3程度の10%である。
このように、比較例5−22は、電池評価における特性が実施例より劣っている。
これは、表2のCu−(Cr、Zr)系の銅合金の評価結果において示した製造工程Fで製造された比較例1−22と同じ理由であるものと推察される。
すなわち、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行っていないことから、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足することができず、ひいては電池特性が低くなっているものと推察される。
比較例5−23は、面積比[S(111)/S(100)]が2.85で2以下の条件を満足していない。
そして、比較例5−23は、電池評価1としての初回充電容量が実施例5−1の448mAhと比較して353mAhと低く、電池評価2としての維持率も、実施例5−1の29%の1/3以下の8%である。
このように、比較例5−23は、電池評価における特性が本例より劣っている。
これは、表2のCu−(Cr、Zr)系の銅合金の評価結果において示した製造工程Gで製造された比較例1−23と同じ理由であるものと推察される。
すなわち、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行わず、製造工程Aにない中間焼鈍工程、第2中間冷間圧延工程を行うと、比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足することができず、ひいては電池特性が低くなっているものと推察される。
比較例5−24は、面積比[S(111)/S(100)]が2.35で2以下の条件を満足していない。
そして、比較例5−24は、電池評価1としての初回充電容量が本例の実施例5−1の448mAhと比較して363mAhと低く、電池評価2としての維持率も、実施例5−1の29%の1/3程度の11%である。
このように、比較例5−24は、電池評価における特性が実施例より劣っている。
これは、表2のCu−(Cr、Zr)系の銅合金の評価結果において示した製造工程Hで製造された比較例1−24と同じ理由であるものと推察される。
すなわち、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行わず、製造工程Aにない2回の中間焼鈍工程を行うと、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足することができず、ひいては電池特性が低くなっているものと推察される。
比較例5−25は、面積比[S(111)/S(100)]が2.54で2以下の条件を満足していない。
そして、比較例5−25は、電池評価1としての初回充電容量が本例の実施例5−1の448mAhと比較して368mAhと低く、電池評価2としての維持率も、実施例5−1の29%より1/3以下の8%である。
このように、比較例5−25は、電池評価における特性が実施例より劣っている。
これは、表2のCu−(Cr、Zr)系の銅合金の評価結果において示した製造工程Iで製造された比較例1−25と同じ理由であるものと推察される。
すなわち、本製造方法(工程A)の特徴である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行っていないことから、面積比[S(111)/S(100)]が2以下の条件を満足することができず、ひいては電池特性が低くなっているものと推察される。
以上説明したように、本発明の実施形態で規定した面積率の面積比[S(111)/S(100)]が2以下等を満足する場合には、電池評価における特性が良好であった。
また、本実施形態に係る圧延銅箔の製造方法(製造工程A)である、熱間圧延を、第1の加熱温度の第1高温圧延を行った後冷却して第1の加熱温度より低い第2の加熱温度の第2高温圧延を行い、かつ、製造工程Aにない中間焼鈍工程等を行わないことにより、面積比[S(111)/S(100)]等を満足し、電池評価における特性が良好であった。
一方、製造工程E〜Iで製造された比較例は、面積比[S(111)/S(100)]が2以下等の条件を満足せず、電池評価結果が劣った。
特許文献3(特開2009―242846号公報)および特許文献4(特開S55−054554号公報)の箔までの圧延の後に再結晶させる工程においては、電池の作製過程において箔の変形や破断が著しく、特性を評価できなかった。
また、表6に示す純銅系に対して、表2〜表5の合金系の方が良好な電池特性を示すものといえる。
本実施形態によれば、限界弾性変形量が大きいために塑性変形がし難く、電池等の製造工程の歩留まりおよび電池の充電および放電のサイクル特性を向上させることができる。
本発明は、本実施例で示した合金に限定されるものではなく、Cu−Fe系、Cu−Ti系、Cu−Be系、Cu−Zn系、Cu−Ni系、Cu−Al系などの、あらゆる系の銅合金に適用が可能である。
上記のカーボン系やシリコン(Si)系の負極活物質のみならず、スズ(Sn)系、これらを複合した系など、種々の活物質からなる電池の負極集電体としても、本発明は適用が可能であり、本発明の効果は本実施例で示した電池の構成に限定されるものではない。
本発明の実施形態の圧延銅箔は、フレキシブル基板(FPC)、テープキャリアパッケージ(TCP,TAB)、チップオンフレックス(COF)にも用いることができる。
10・・・二次電池
11・・・正極
12・・・負極
13・・・正極集電体
14・・・負極集電体
15・・・セパレータ
16・・・正極側電池缶
17・・・負極側電池缶
18・・・絶縁パッキング
20・・・圧延銅箔

Claims (9)

  1. 圧延により形成した銅または銅合金からなる圧延銅箔であって、
    主成分としてCrおよびZrのうちの少なくとも一方を含むCu−(Cr、Zr)系の銅合金であって、
    前記主成分となるCr、Zrのうち少なくとも1種を合計で0.01〜0.9mass%含有し、
    前記主成分を除く残部がCuおよび不可避不純物からなり、
    結晶方位に関して圧延方向に(111)面が向く領域の面積率S(111)と、圧延方向に(100)面が向く領域の面積率S(100)との面積比[S(111)/S(100)]が2以下である、
    二次電池負極集電体用圧延銅箔。
  2. 圧延により形成した銅または銅合金からなる圧延銅箔であって、
    主成分としてCrおよびZrのうちの少なくとも一方を含むCu−(Cr、Zr)系の銅合金であって、前記主成分となるCr、Zrのうち少なくとも1種を合計で0.01〜0.9mass%含有し、
    副添加成分としてSn、Zn、Si、Mn、Mgから少なくとも1種を合計で0.01〜0.45mass%含有し、
    前記主成分および前記副添加成分を除く残部が不可避不純物からなり、
    結晶方位に関して圧延方向に(111)面が向く領域の面積率S(111)と、圧延方向に(100)面が向く領域の面積率S(100)との面積比[S(111)/S(100)]が2以下である、
    二次電池負極集電体用圧延銅箔。
  3. 圧延により形成した銅または銅合金からなる圧延銅箔であって、
    主成分としてAgを含むCu−Ag系の銅合金であって、前記主成分となるAgを合計で0.01〜0.9mass%含有し、
    前記主成分を除く残部がCuおよび不可避不純物からなり、
    結晶方位に関して圧延方向に(111)面が向く領域の面積率S(111)と、圧延方向に(100)面が向く領域の面積率S(100)との面積比[S(111)/S(100)]が2以下である、
    二次電池負極集電体用圧延銅箔。
  4. 圧延により形成した銅または銅合金からなる圧延銅箔であって、
    主成分としてAgを含むCu−Ag系の銅合金であって、前記主成分となるAgを合計で0.01〜0.9mass%含有し、
    副添加成分としてSn、Zn、Si、Mn、Mgから少なくとも1種を合計で0.01〜0.45mass%含有し
    前記主成分および前記副添加成分を除く残部が不可避不純物からなり、
    結晶方位に関して圧延方向に(111)面が向く領域の面積率S(111)と、圧延方向に(100)面が向く領域の面積率S(100)との面積比[S(111)/S(100)]が2以下である、
    二次電池負極集電体用圧延銅箔。
  5. 圧延により形成した銅または銅合金からなる圧延銅箔であって、
    主成分としてSnを含むCu−Sn系の銅合金であって、前記主成分となるSnを合計で0.01〜4.9mass%含有し、
    前記主成分を除く残部がCuおよび不可避不純物からなり、
    結晶方位に関して圧延方向に(111)面が向く領域の面積率S(111)と、圧延方向に(100)面が向く領域の面積率S(100)との面積比[S(111)/S(100)]が2以下である、
    二次電池負極集電体用圧延銅箔。
  6. 圧延により形成した銅または銅合金からなる圧延銅箔であって、
    主成分としてSnを含むCu−Sn系の銅合金であって、前記主成分となるSnを合計で0.01〜4.9mass%含有し、
    副添加成分としてZn、Si、P、Mgから少なくとも1種を合計で0.01〜0.45mass%含有し、
    前記主成分および前記副添加成分を除く残部が不可避不純物からなり、
    結晶方位に関して圧延方向に(111)面が向く領域の面積率S(111)と、圧延方向に(100)面が向く領域の面積率S(100)との面積比[S(111)/S(100)]が2以下である、
    二次電池負極集電体用圧延銅箔。
  7. 圧延により形成した銅または銅合金からなる圧延銅箔であって、
    酸素を含む純銅系であって、酸素量が2〜200ppmであ
    残部がCuおよび不可避不純物からなり、
    結晶方位に関して圧延方向に(111)面が向く領域の面積率S(111)と、圧延方向に(100)面が向く領域の面積率S(100)との面積比[S(111)/S(100)]が2以下である、
    二次電池負極集電体用圧延銅箔。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の二次電池負極集電体用圧延銅箔を製造する圧延銅箔の製造方法であって、
    原料を溶解する溶解工程と、
    溶解した原料を鋳造する鋳造工程と、
    鋳造によって得られた被圧延材に対して、800〜1030°Cで、5分間〜10時間の均質化熱処理を行う均質化熱処理工程と、
    前記均質化熱処理された前記被圧延材に対して、670〜1030°Cで、50〜80%の加工率で行う、第1高温圧延工程と、
    前記第1高温圧延工程後に、前記被圧延材の冷却を行う第1冷却工程と、
    前記第1冷却工程の後に、前記被圧延材に対して、300〜650°Cで、30〜60分の加工率で行う、第2高温圧延工程と、
    前記第1高温圧延工程後に、前記被圧延材を冷却する第2冷却工程と、
    前記第2冷却工程後に、前記被圧延材の面削を行う面削工程と、
    前記面削工程後に、前記被圧延材に対して、300〜800°Cで、3秒間〜10時間の熱処理を行う最終再結晶焼鈍工程と、
    前記最終再結晶焼鈍工程後に、前記被圧延材に対して最終冷間圧延を行う最終冷間圧延工程と、を有する、
    二次電池負極集電体用圧延銅箔の製造方法。
  9. 前記第2冷却工程において、加工処理は行わず、冷却のみを行う、
    請求項8記載の二次電池負極集電体用圧延銅箔の製造方法。
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