JP5566275B2 - ゴルフボール用有機硫黄化合物の選定方法、ゴルフボールの製造方法、及び、ゴルフボール - Google Patents

ゴルフボール用有機硫黄化合物の選定方法、ゴルフボールの製造方法、及び、ゴルフボール Download PDF

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Description

本発明は、反発性の高いゴルフボールに関するものであり、より詳細には、ゴルフボール用ゴム組成物の改良技術に関するものである。
従来、ゴルフボールのコアとして使用されるゴム材料としては、得られるコアの反発性を向上させるため、基材ゴムとして用いられるハイシスポリブタジエンにアクリル酸亜鉛などの共架橋剤を配合し、さらに架橋開始剤を添加して、基材ゴムと共架橋剤とをラジカル重合させたものが用いられている。そして、上記のような基材ゴム、共架橋剤および架橋開始剤を含有するゴム組成物に、少量の有機硫黄化合物を添加することにより、当該ゴム組成物から得られるコアの反発性をさらに向上できることが知られている(例えば、特許文献1、2)。
例えば、特許文献3には、ゴムに対して、共架橋剤としてアクリル酸亜鉛、共架橋助剤としてパルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸などの高級脂肪酸、共架橋助剤として酸化亜鉛、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノンからなる反応速度遅延剤を配合したゴム組成物から内核を作製したゴルフボールが開示されている。特許文献4には、コアが、第一のトランス−異性体分を含む一定量のポリブタジエン、フリーラジカル源および周期律表の第VIA族成分を含むシス−トランス触媒の転化反応により生成された物質を含有するゴルフボールが開示されている。
特許文献5には、コアの少なくとも1層が、基材ゴム、共架橋剤、有機過酸化物、充填材および置換基定数1.42以上を有する置換基をもつ特定の有機硫黄化合物を含有するゴム組成物を加硫成形して成るソリッドゴルフボールが開示されている。特許文献6には、コアの少なくとも1層が、基材ゴム、共架橋剤、有機過酸化物、及びトリブロモチオフェノール、テトラブロモチオフェノール、または前記チオフェノールの1価若しくは2価の金属塩を含有するゴム組成物を加硫成型してなるソリッドゴルフボールが開示されている。特許文献7には、コアの少なくとも1層が、基材ゴム、共架橋剤、有機過酸化物、およびビス(ブロモフェニル)ジスルフィド,ビス(ジブロモフェニル)ジスルフィド,ビス(トリブロモフェニル)ジスルフィド,ビス(テトラブロモフェニル)ジスルフィド,ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィドから選ばれる少なくとも1種からなるジスルフィド化合物を含有するゴム組成物を加硫成形してなるソリッドゴルフボールであって、コアに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量が3.54〜6.0mmであるソリッドゴルフボールが開示されている。
特開2001−178851号公報 特開2003−38682号公報 特公平4−70034号公報 特開2004−41734号公報 特開2001−327629号公報 特開2002−338752号公報 特開2003−033447号公報
本発明は、反発性の高いゴルフボールを得るために好適な有機硫黄化合物を選定する方法、反発性の高いゴルフボールの製造方法、および、反発性の高いゴルフボールを提供することを目的とする。
本発明者らの一部は、ゴム組成物に用いられるチオフェノール、ジフェニルジスルフィドまたはそれらの金属塩などについて、芳香環の置換基の位置と得られるゴルフボールの反発性との関係について検討した。その結果、反発性の向上効果は、例えば、下記化学式(5)〜(8)で表わされるように、反発性を高める置換基が、硫黄結合に対してオルト位に存在する場合に大きくなり、メタ位およびパラ位に存在しても、それほど大きくならないことを見い出し、先に特許出願している(特願2009−251192号)。
Figure 0005566275
(式中、R1、R2はそれぞれ独立して、Br、FまたはCF3を表す。)
Figure 0005566275
(式中、R3〜R6はそれぞれ独立して、Br、FまたはCF3を表す。)
Figure 0005566275
(式中、R7、R8はそれぞれ独立して、Br、FまたはCF3を表し、M1は1価の金属原子を表す)
Figure 0005566275
(式中、R9〜R12はそれぞれ独立して、Br、FまたはCF3を表し、M2は2価の金属
原子を表す)
そして、本願発明者らが、さらに検討を続けた結果、上記有機硫黄化合物が有する特定構造のSP値を、19.0〜24.0(J/cm1/2とすることにより、(b)共架橋剤との相溶性が高まり、得られるゴルフボールの反発性がさらに向上することを見出し、本願発明を完成した。すなわち、本発明のゴルフボール用有機硫黄化合物の選定方法は、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤、(c)架橋開始剤、および(d)有機硫黄化合物を含有するゴム組成物に用いられる有機硫黄化合物であって、下記式(1)〜(3)で表わされる少なくとも1種の有機硫黄化合物から、下記式(4)で表わされる構造において、置換基Xの置換基定数の合計が0.2以上であり、下記式(4)で表わされる構造のSP値が、19.0〜24.0(J/cm1/2であるものを選定することを特徴とする。
Figure 0005566275
Figure 0005566275
Figure 0005566275
Figure 0005566275
(式(1)〜(4)において、置換基X、Y、Zは、それぞれ同一または異なっていても良く、式(3)において、nは、1以上の自然数であり、Mは、1価以上の金属である)
ゴルフボールに用いられるゴム組成物に有機硫黄化合物を加えると、S−S間の結合またはC−S間の結合が加硫条件下で解離してラジカルが生成しやすく、生じたラジカルがブタジエン主鎖などに影響を及ぼす。つまり、有機硫黄化合物は、基材ゴムと共架橋剤との間の架橋系に影響を及ぼして、反発性能を向上させるものと考えられる。本発明では、そのような有機硫黄化合物の中でも、上記式(1)〜(3)で表わされる少なくとも1種であって、上記式(4)で表わされる構造において、置換基Xの置換基定数の合計が0.2以上であり、上記式(4)で表わされる構造のSP値が、19.0〜24.0(J/cm1/2である有機硫黄化合物を用いることで、大きな反発性向上効果を得ることができる。
上記式(1)〜(3)で表わされる少なくとも1種であって、上記式(4)で表わされる構造において、置換基Xの置換基定数の合計が0.2以上であり、上記式(4)で表わされる構造のSP値が、19.0〜24.0(J/cm1/2である有機硫黄化合物を添加すれば、大きな反発性向上効果を得られる理由は必ずしも明らかでないが、次のように考えることができる。すなわち、置換基Xは、単純に有機硫黄化合物のラジカルの生成しやすさに影響するのではなく、基材ゴムと共架橋剤との間で起こる架橋反応の制御に影響を与えている。つまり、共架橋剤との反応性を高める置換基Xが結合することで、有機硫黄化合物と基材ゴムや共架橋剤との反応中に存在する遷移状態の安定性が変化し、反応に影響を及ぼす活性化エネルギーが小さくなる。ここで、前記遷移状態の安定性には、有機硫黄化合物中の硫黄元素の結合に対するメタ位やパラ位に結合した置換基はほとんど影響せず、オルト位に結合している置換基Xが重要となる。また、上記式(4)で表わされる構造のSP値が、19.0〜24.0(J/cm1/2であることにより、(b)共架橋剤との相溶性が高まる。その結果、有機硫黄化合物と基材ゴムと共架橋剤との反応性がさらに高まる。
本発明には、上記式(1)〜(3)で表わされる少なくとも1種の有機硫黄化合物から、上記式(4)で表わされる構造において、置換基Xの置換基定数の合計が0.2以上であり、上記式(4)で表わされる構造のSP値が、19.0〜24.0(J/cm1/2である有機硫黄化合物を選定する工程、前記選定された有機硫黄化合物と、基材ゴムと、共架橋剤と、架橋開始剤とを配合してゴム組成物を調製する工程、前記ゴム組成物からゴルフボールの構成部材の少なくとも一部を形成する工程とを有することを特徴とするゴルフボールの製造方法が含まれる。
さらに、本発明には、ゴルフボールの構成部材の少なくとも一部が、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤、(c)架橋開始剤、および(d)有機硫黄化合物を含有するゴム組成物から形成されたゴルフボールであって、前記有機硫黄化合物は、上記式(1)〜(3)で表わされる少なくとも1種であって、上記式(4)で表わされる構造において、置換基Xの置換基定数の合計が0.2以上であり、上記式(4)で表わされる構造のSP値が、19.0〜24.0(J/cm1/2であることを特徴とするゴルフボールが含まれる。
本発明において、前記置換基Xの置換基定数の合計が0.45以上であることが好ましい。また、前記式(4)で表わされる構造のSP値は、19.0〜23.0であることが好ましく、19.0〜21.5であることがより好ましい。前記置換基Xは、CF、COCH、および、COOCHの少なくとも一種であり、前記置換基Yは、Cl、Br、および、Hの少なくとも一種であることが好ましく、特に、置換基Yは、ClまたはBrがより好ましい。
前記ゴム組成物は、(a)基材ゴム100質量部に対して、(b)共架橋剤15質量部〜45質量部、(c)架橋開始剤0.2質量部〜5.0質量部、および(d)有機硫黄化合物0.05質量部〜3.0質量部を含有することが好ましい。
本発明によれば、反発性の高いゴルフボールを作製するのに好適な有機硫黄化合物を選定することができ、さらに、これを用いて反発性の高いゴルフボールを提供することができる。
本発明のゴルフボール用有機硫黄化合物の選定方法は、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤、(c)架橋開始剤、および(d)有機硫黄化合物を含有するゴム組成物に用いられる有機硫黄化合物であって、下記式(1)〜(3)で表わされる少なくとも1種の有機硫黄化合物から、下記式(4)で表わされる構造において、置換基Xの置換基定数の合計が0.2以上であり、下記式(4)で表わされる構造のSP値が、19.0〜24.0(J/cm1/2であるものを選定することを特徴とする。また、本発明のゴルフボールの製造方法は、上記方法により選定された有機硫黄化合物と、基材ゴムと、共架橋剤と、架橋開始剤とを配合してゴム組成物を調製する工程、前記ゴム組成物からゴルフボールの構成部材の少なくとも一部を形成する工程とを有することを特徴とする。
本発明のゴルフボールは、ゴルフボールの構成部材の少なくとも一部が、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤、(c)架橋開始剤、および(d)有機硫黄化合物を含有するゴム組成物から形成されたゴルフボールであって、前記有機硫黄化合物は、下記式(1)〜(3)で表わされる少なくとも1種であって、下記式(4)で表わされる構造において、置換基Xの置換基定数の合計が0.2以上であり、前記式(4)で表わされる構造のSP値が、19.0〜24.0(J/cm1/2であることを特徴とする。
Figure 0005566275
Figure 0005566275
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Figure 0005566275
(式(1)〜(4)において、置換基X、Y、Zは、それぞれ同一または異なっていても良く、式(3)において、nは、1以上の自然数であり、Mは、1価以上の金属である。)
まず、本発明で使用する(d)有機硫黄化合物について説明する。(d)前記有機硫黄化合物は、上記式(1)〜(3)で表わされる少なくとも1種であって、上記式(4)で表わされる構造において、置換基Xの置換基定数の合計が0.2以上であり、上記式(4)で表わされる構造のSP値が、19.0〜24.0(J/cm1/2であることを特徴とする。
(d)前記有機硫黄化合物は、上記式(4)で表わされる構造において、置換基Xの置換基定数の合計が0.2以上であり、0.45以上であることが好ましく、0.52以上であることがさらに好ましい。置換基Xの置換基定数の合計が0.2であれば、有機硫黄化合物と基材ゴムや共架橋剤との反応性が高まり、得られるゴルフボールの反発性が高くなるからである。置換基Xの置換基定数の合計の上限は、特に限定されないが、3.0が好ましく、2.9がより好ましい。
本発明において「置換基定数」とは、ベンゼン誘導体の反応速度または平衡に及ぼす置換基の影響を定量化したハメット則における置換基定数を意味する。ハメット則はメタ置換およびパラ置換ベンゼン誘導体に適用されることが知られているが、本発明では、オルト置換ベンゼン誘導体においてもこれを準用する。
上記ハメット則は、以下の式(x):
log(K/K0)=ρσ (x)
(式中、Kは置換基を有する化合物の反応値を表し、K0は前記化合物が置換基を有さな
い場合、すなわち置換基が水素原子である場合の化合物の反応値を表し、ρは反応定数を表し、σは置換基定数を表す。)によって表される。
上記式(x)における反応定数(ρ)は、反応の種類と温度、溶媒などの反応条件によって定まる定数であり、置換安息香酸の場合は「1.00」であり、置換フェニル酢酸の場合は「0.49」である。上記式(x)における置換基定数(σ)は、反応の種類に関係なく、置換基の種類と位置によってのみ定まる定数であり、置換基を有さない場合、すなわち置換基が水素原子である場合は「0.00」である。
上記化学式(4)の構造の置換基定数を決定する方法を具体的に説明すると、例えば、2,6−ジブロモチオフェノールであれば、オルト位のブロモ基の置換基定数が0.21であり、これが2つあることから、2つを合計すると上記化学式(4)の構造の置換基定数は0.42となる。同様に2,6−ジフルオロチオフェノールでは、オルト位のフルオロ基の置換基定数が0.24であり、これが2つあることから、2つを合計すると上記化学式(4)の構造の置換基定数は0.48となる。なお、上記化学式(4)の構造の置換基定数を決定する際に、2つの置換基間の影響は無視するものとする。
また、本発明に用いた置換基定数は、文献値、例えばピーター(Peter)R.ウェルズ(Wells)の「リニアー・フリー・エネルギー・リレイションシップス(Linear Free energy relationships)」、第171〜219頁;丸山和博等の「有機化学序説」、第113頁、1989年4月1日(株)化学同人発行等を用いた。
また、本発明で使用する(d)有機硫黄化合物は、下記式(4)で表わされる構造のSP値が、19.0(J/cm1/2以上が好ましく、24.0(J/cm1/2以下が好ましく、23.0(J/cm1/2以下がより好ましく、21.5(J/cm1/2以下がさらに好ましい。SP値を上記範囲とすることによって、(d)有機硫黄化合物と(b)共架橋剤との相溶性が高くなり、架橋反応が起こりやすくなるからである。その結果、得られるゴルフボールの反発性が高くなる。
Figure 0005566275
(式中、置換基X、Y、Zは、それぞれ同一または異なっていても良い)
本発明で使用するSP値(δt)は、下記式で定義されるδtである。
Figure 0005566275
式中、Vは、Fedorsによる体積V(cm/mol)であり、Fdi,Fpi,Ehiは、HoftyzerとVan Krevelenの方法による溶解性パラメター成分である。δdは、London分散力、δPは、双極子間力、δhは、水素結合力である。SP値の詳しい算出方法は、Properties of Polymers (D.W. VANKREVELEN 発行元:ELSEVIER, 発行年度:Third impression
2003)の第7章に記載されている。主な官能基についての、Fdi,Fpi、EhiおよびVを表1に示した。
Figure 0005566275
上記式(1)〜(3)の有機硫黄化合物において、置換基Xとしては、例えば、CF(トリフルオロメチル)、COCH(アセチル)、COOCH(メトキシカルボニル)、Cl、Br、I、Fなどの電子吸引基を挙げることができ、CF、COCH、COOCHより成る群から選択される少なくとも一種であることがより好ましい。硫黄結合に対してメタ位の置換基Yは、(b)共架橋剤との相溶性を向上させる置換基であることが好ましい。前記置換基Yとしては、例えば、Cl、Br、Hなどを挙げることができ、ClまたはBrが好ましい。置換基Zとしては、例えば、CF、COCH、COOCH、Cl、Br,I、F、Hなどを挙げることができ、CF,COCH,COOCH,Hが好ましい。置換基Xが、CF、COCH、COOCHより成る群から選択される少なくとも一種である場合には、置換基Yが、Cl、Br、またはHであって、置換基Zが、CF、COCH、COOCHまたはHであることが好ましく、置換基Yが、ClまたはBrであって、置換基Zが、CF、COCH、COOCHまたはHであることがより好ましい。
上記式(3)の有機硫黄化合物において、nは、1以上の自然数であり、1〜4の自然数であることが好ましい。Mは、1価以上の金属原子であり、1価〜4価の金属原子であることが好ましい。これらの中でも、n=1、かつ、Mが1価の金属原子である有機硫黄化合物、あるいは、n=2、かつ、Mが2価の金属原子である有機硫黄化合物が好ましい。なお、金属原子の価数は、一般に、nの数に対応するものである。Mで表される1価の金属原子としては、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、銅(I)、銀(I)などが挙げられる。2価の金属原子としては、例えば、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン(II)、マンガン(II)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、ジルコニウム(II)、スズ(II)などが挙げられる。また、3価の金属原子としては、アルミニウム(III)、鉄(III)が挙げられ、4価の金属原子としては、チタン(IV)、ジルコニウム(IV)などが挙げられる。
上記式(1)で表される有機硫黄化合物としては、例えば、2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)−3,5−ジブロモチオフェノール(SP値19.1)、2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)チオフェノール(SP値19.4)、2,6−ジ(トリフルオロメチル)−3,5−ジブロモチオフェノール(SP値19.51)、2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)−3,5−ジクロロチオフェノール(SP値19.72)、2,6−ジ(トリフルオロメチル)チオフェノール(SP値20.1)、2,6−ジ(トリフルオロメチル)−3,5−ジクロロチオフェノール(SP値20.36)、2,4,6−トリ(アセチル)−3,5−ジブロモチオフェノール(SP値19.77)、2,6−ジ(アセチル)−3,5−ジブロモチオフェノール(SP値20.13)、2,4,6−トリ(アセチル)−3,5−ジクロロチオフェノール(SP値20.32)、2,6−ジ(アセチル)−3,5−ジクロロチオフェノール(SP値20.9)、2,6−ジ(アセチル)チオフェノール(SP値21.27)、2,4,6−トリ(メトキシカルボニル)−3,5−ジブロモチオフェノール(SP値20.31)、2,6−ジ(メトキシカルボニル)−3,5−ジブロモチオフェノール(SP値20.46)、2,3,4,5,6−ペンタ(メトキシカルボニル)チオフェノール(SP値20.5)、2,4,6−トリ(メトキシカルボニル)−3,5−ジクロロチオフェノール(SP値20.78)、2,4,6−トリ(メトキシカルボニル)チオフェノール(SP値20.94)、2,6−ジ(メトキシカルボニル)−3,5−ジクロロチオフェノール(SP値21.13)、2,6−ジ(メトキシカルボニル)チオフェノール(SP値21.36)などが挙げられる。
上記式(2)で表される有機硫黄化合物としては、例えば、式(1)で表わされる有機硫黄化合物のジスルフィド体を挙げることができる。上記式(3)で表わされる有機硫黄化合物としては、例えば、式(1)で表わされる有機硫黄化合物の金属塩を挙げることができる。前記金属塩を構成する金属としては、亜鉛、マグネシウム、ナトリウムなどを挙げることができ、亜鉛が好適である。
前記(d)有機硫黄化合物の配合量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上であって、3.0質量部以下が好ましく、より好ましくは2.0質量部以下である。0.05質量部未満では、(d)有機硫黄化合物を添加した効果が得られず、ゴルフボールの反発性が向上しないおそれがある。また、3.0質量部を超えると、得られるゴルフボールの圧縮変形量が大きくなって、反発性が低下するおそれがある。
本発明に用いられる前記(a)基材ゴムとしては、天然ゴムおよび/または合成ゴムを使用することができ、例えば、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などを使用できる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に、反発に有利なシス−1,4−結合を、40質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上有するハイシスポリブタジエンが好適である。
前記ハイシスポリブタジエンは、1,2−ビニル結合の含有量が2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.7質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。1,2−ビニル結合の含有量が多すぎると反発性が低下する場合がある。
前記ハイシスポリブタジエンは、希土類元素系触媒で合成されたものが好適であり、特に、ランタン系列希土類元素化合物であるネオジム化合物を用いたネオジム系触媒の使用が、1,4−シス結合が高含量、1,2−ビニル結合が低含量のポリブタジエンゴムを優れた重合活性で得られるので好ましい。
前記ハイシスポリブタジエンは、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))が、50以上であることが好ましく、より好ましくは51以上、さらに好ましくは52以上、最も好ましくは54以上であり、140以下が好ましく、より好ましくは120以下、さらに好ましくは100以下、最も好ましくは80以下である。なお、本発明でいうムーニー粘度(ML1+4(100℃))とは、JIS K6300に準じて、Lローターを使用し、予備加熱時間1分間、ローターの回転時間4分間、100℃の条件下にて測定した値である。
前記ハイシスポリブタジエンとしては、分子量分布Mw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が、2.0以上であることが好ましく、より好ましくは2.2以上、さらに好ましくは2.4以上、最も好ましくは2.6以上であり、6.0以下であることが好ましく、より好ましくは5.0以下、さらに好ましくは4.0以下、最も好ましくは3.4以下である。ハイシスポリブタジエンの分子量分布(Mw/Mn)が小さすぎると作業性が低下し、大きすぎると反発性が低下するおそれがある。なお、分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(東ソー社製、「HLC−8120GPC」)により、検知器として示差屈折計を用いて、カラム:GMHHXL(東ソー社製)、カラム温度:40℃、移動相:テトラヒドロフランの条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として算出した値である。
前記(b)共架橋剤としては、基材ゴム分子鎖にグラフト重合することによって、ゴム分子を架橋する作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸またはその金属塩を使用することができ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、またはこれらの金属塩を挙げることができる。前記金属塩を構成する金属としては、例えば、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ナトリウムなどを挙げることができる。前記(b)共架橋剤としては、得られるゴルフボールの反発性が高くなるということから、アクリル酸亜鉛が好適である。
前記(b)共架橋剤のSP値は、18.0以上が好ましく、19.0以上がより好ましく、20.0以上がさらに好ましく、24.0以下が好ましく、23.0以下がより好ましく、22.0以下がさらに好ましい。上記範囲のSP値を有する(b)共架橋剤は、(d)有機硫黄化合物に対して相溶しやすくなる。さらに、(d)有機硫黄化合物と(b)共架橋剤のSP値の差(絶対値)は、6.0以下が好ましく、5.0以下がより好ましく、4.0以下がさらに好ましい。SP値の差(絶対値)が、上記範囲であれば、(d)有機硫黄化合物との相溶性が一層高まるからである。なお、共架橋剤のSP値は、例えば、アクリル酸20.84、メタクリル酸20.52である。
前記(b)共架橋剤の使用量は、前記(a)基材ゴム100質量部に対して、15質量部以上が好ましく、より好ましくは20質量部以上であって、45質量部以下が好ましく、より好ましくは35質量部以下である。(b)共架橋剤の使用量が15質量部未満では、ゴム組成物から形成される部材を適当な硬さとするために、後述する(c)架橋開始剤の量を増加しなければならず、ゴルフボールの反発性が低下する傾向がある。一方、共架橋剤の使用量が45質量部を超えると、ゴム組成物から形成される部材が硬くなりすぎて、ゴルフボールの打球感が低下するおそれがある。
前記(c)架橋開始剤は、(a)基材ゴム成分を架橋するために配合されるものである。前記(c)架橋開始剤としては、有機過酸化物が好適である。前記有機過酸化物は、具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。
前記(c)架橋開始剤の配合量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは2.5質量部以下である。0.2質量部未満では、ゴム組成物から形成される部材が柔らかくなりすぎて、ゴルフボールの反発性が低下する傾向があり、5.0質量部を超えると、ゴム組成物から形成される部材を適切な硬さにするために、前述した(b)共架橋剤の使用量を増加する必要があり、ゴルフボールの反発性が不足するおそれがある。
本発明に用いられるゴム組成物には、上記(a)基材ゴム、(b)共架橋剤、(c)架橋開始剤および(d)有機硫黄化合物の他に、必要に応じて、顔料、重量調整などのための充填剤、老化防止剤、しゃく解剤、軟化剤などの添加剤を含有してもよい。
ゴム組成物に配合される顔料としては、例えば、白色顔料、青色顔料、紫色顔料などを挙げることができる。前記白色顔料としては、酸化チタンを使用することが好ましい。酸化チタンの種類は、特に限定されないが、隠蔽性が良好であるという理由から、ルチル型を用いることが好ましい。また、酸化チタンの含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは2質量部以上であって、8質量部以下が好ましく、より好ましくは5質量部以下である。
ゴム組成物が白色顔料と青色顔料とを含有することも好ましい態様である。青色顔料は、白色を鮮やかに見せるために配合され、例えば、群青、コバルト青、フタロシアニンブルーなどを挙げることができる。また、前記紫色顔料としては、例えば、アントラキノンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、メチルバイオレットなどを挙げることができる。
前記青色顔料の使用量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.001質量部以上が好ましく、より好ましくは0.05質量部以上であって、0.2質量部以下が好ましく、より好ましくは0.1質量部以下である。0.001質量部未満では、青みが不十分で、黄色味がかった色に見え、0.2質量部を超えると、青くなりすぎて、鮮やかな白色外観ではなくなる。
ゴム組成物に配合される充填剤は、主として最終製品として得られるゴルフボールの密度を1.0〜1.5の範囲に調整するための重量調整剤として配合される。前記充填剤としては、ゴルフボールに通常配合されるものであればよく、例えば、無機充填剤(具体的には、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)、高比重金属粉末(例えば、タングステン粉末、モリブデン粉末など)およびそれらの混合物が挙げられる。前記充填剤として、特に好ましいのは、加硫助剤としての機能も発揮する酸化亜鉛である。充填剤の配合量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であって、30質量部以下が好ましく、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。充填剤の配合量が0.5質量部未満では、重量調整が難しくなり、30質量部を超えるとゴム成分の重量分率が小さくなり反発性が低下する傾向があるからである。
前記老化防止剤の配合量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以下であることが好ましい。また、しゃく解剤の配合量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
本発明のゴルフボールは、ゴルフボールの構成部材の少なくとも一部が、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤、(c)架橋開始剤、および(d)有機硫黄化合物を含有するゴム組成物から形成されたゴルフボールであって、前記有機硫黄化合物は、上記式(1)〜(3)で表わされる少なくとも1種であって、上記式(4)で表わされる構造において、置換基Xの置換基定数の合計が0.2以上であり、上記式(4)で表わされる構造のSP値が、19.0〜24.0(J/cm1/2であることを特徴とする。より好ましい態様では、少なくとも一層以上のコアと前記コアを被覆するカバーとを有するゴルフボールであって、前記コアの少なくとも一層が前記ゴム組成物から形成されている。
本発明のゴルフボールとしては、例えば、ゴルフボール本体が前記ゴム組成物から形成されているワンピースゴルフボール;コアと前記コアを被覆するカバーとを有し、前記コアが前記ゴム組成物から形成されているツーピースゴルフボール;センターと前記センターを被覆する少なくとも一層以上の中間層とからなるコアと、前記コアを被覆するカバーとを有し、前記センターおよび/または中間層の少なくとも一層が上述したゴム組成物から形成されているマルチピースゴルフボール(スリーピースゴルフボールを含む)が挙げられる。
本発明のゴルフボールが、直径42.67mm〜42.82mmのワンピースゴルフボールの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向にゴルフボールが縮む量)は、2.3mm以上が好ましく、より好ましくは2.4mm以上、さらに好ましくは2.5mm以上であって、4.0mm以下が好ましく、より好ましくは3.9mm以下、さらに好ましくは3.8mm以下である。前記圧縮変形量が、2.3mm以上であればワンピースゴルフボールが硬くなり過ぎず打球感がより良好となり、4.0mm以下であれば、ワンピースゴルフボールが柔らかくなり過ぎず反発性がより良好となる。
次に、本発明のゴルフボールが、ツーピースゴルフボール、スリーピースゴルフボールおよびマルチピースゴルフボールの場合におけるコアについて説明する。
本発明のゴルフボールのコアの構造としては、例えば、単層のコア;センターと前記センターを被覆する少なくとも一層以上の中間層とからなる多層コアなどが挙げられる。多層コアの場合は、少なくとも一層が上述したゴム組成物から形成されていればよいが、上述したゴム組成物から得られる層の体積を、コア全体の30%以上とすることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。また、多層コアのすべての層が上述したゴム組成物から形成されていてもよいが、最内層のセンターが上述したゴム組成物から形成されていることが好ましい。なお、本発明のゴルフボールのコアとしては、上述したゴム組成物から形成される単層コアが最も好ましい態様である。
コアの形状としては、球状であることが好ましい。コアの形状が球状でない場合には、カバーの厚みが不均一になる。その結果、部分的にカバー性能が低下する箇所が生じる。一方、センターの形状としては、球状が一般的であるが、球状センターの表面を分割するように突条が設けられていても良く、例えば、球状センターの表面を均等に分割するように突条が設けられていても良い。前記突条を設ける態様としては、例えば、球状センターの表面にセンターの一部として一体的に突条を設ける態様、あるいは、球状センターの表面に突条の中間層を設ける態様などを挙げることができる。
前記突条は、例えば、球状センターを地球とみなした場合に、赤道と球状センター表面を均等に分割する任意の子午線とに沿って設けられることが好ましい。例えば、球状センター表面を8分割する場合には、赤道と、任意の子午線(経度0度)、および、斯かる経度0度の子午線を基準として、東経90度、西経90度、東経(西経)180度の子午線に沿って設けるようにすれば良い。突条を設ける場合には、突条によって仕切られたそれぞれの凹部を、複数片の中間層によって別々に充填するようにして、コアの形状を球形とすることが好ましい。あるいは、単層の中間層によって、突条によって仕切られた全ての凹部を充填し、かつ突条を被覆することにより、コアの形状を球形とするようにすることが好ましい。前記突条の縦断面形状は、特に限定されることなく、例えば、円弧状、あるいは、略円弧状(例えば、互いに交差あるいは直行する部分において切欠部を設けた形状)などを挙げることができる。
前記コアの直径は、32.8mm以上が好ましく、より好ましくは33.6mm以上であって、42.2mm以下が好ましく、より好ましくは41.8mm以下である。前記コアの直径が32.8mmよりも小さいと、カバーを所望の厚さより厚くする必要があり、その結果反発性が低下する場合がある。一方、コアの直径が42.2mmを超える場合は、カバーを所望の厚さより薄くする必要があり、カバーの耐久性が低下するおそれがある。
前記コアは、直径32.8mm〜42.2mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向にコアが縮む量)は、2.0mm以上が好ましく、より好ましくは2.5mm以上、さらに好ましくは3.0mm以上であって、6.0mm以下が好ましく、より好ましくは5.0mm以下、さらに好ましくは4.0mm以下である。前記圧縮変形量が、2.0mm以上であればコアが硬くなり過ぎず打球感がより良好となり、6.0mm以下であれば、コアが柔らかくなり過ぎず反発性がより良好となる。
また、本発明のゴルフボールが、スリーピースゴルフボールやマルチピースゴルフボールの場合、中間層としては、後述するカバー材料と同様の材料を使用することができ、例えば、アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリスチレン樹脂などが挙げられる。前記中間層には、さらに、硫酸バリウム、タングステンなどの重量調整剤、老化防止剤、顔料などが配合されていてもよい。
次に、本発明のゴルフボールのカバーについて説明する。本発明のゴルフボールのカバーを構成するカバー材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、アイオノマー樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂若しくは2液硬化型ウレタン樹脂などのウレタン樹脂、ポリアミド樹脂などの各種樹脂、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)(例えば、「ペバックス2533」)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)(例えば、「ハイトレル3548」、「ハイトレル4047」)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、BASFジャパン(株)から商品名「エラストラン(登録商標)(例えば、「エラストランXNY97A」)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリスチレンエラストマーなどを挙げることができる。前記カバー材料は、単独であるいは2種以上を混合して使用してもよい。
前記アイオノマー樹脂としては、特にエチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したアイオノマー樹脂、エチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、または、これらの混合物を挙げることができる。
前記中和用の金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンなどの1価金属イオン;亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、銅イオン、マンガンイオンなどの2価金属イオン;アルミニウムイオン、ネオジムイオンなどの3価金属イオンなどが挙げられるが、特に亜鉛イオンが金属イオンの凝集体の結合力が大きいことから好ましい。
前記アイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、三井デュポンポリケミカル(株)から市販されている「ハイミラン(Himilan)(登録商標)(例えば、ハイミラン1555(Na)、ハイミラン1557(Zn)、ハイミラン1605(Na)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミラン1707(Na)、ハイミランAM7311(Mg)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、ハイミラン1856(Na)、ハイミラン1855(Zn)など)」が挙げられる。
さらにデュポン社から市販されているアイオノマー樹脂としては、「サーリン(Surlyn)(登録商標)(例えば、サーリン8945(Na)、サーリン9945(Zn)、サーリン8140(Na)、サーリン8150(Na)、サーリン9120(Zn)、サーリン9150(Zn)、サーリン6910(Mg)、サーリン6120(Mg)、サーリン7930(Li)、サーリン7940(Li)、サーリンAD8546(Li)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、サーリン8120(Na)、サーリン8320(Na)、サーリン9320(Zn)、サーリン6320(Mg)など)」が挙げられる。
またエクソンモービル化学(株)から市販されているアイオノマー樹脂としては、「アイオテック(Iotek)(登録商標)(例えば、アイオテック8000(Na)、アイオテック8030(Na)、アイオテック7010(Zn)、アイオテック7030(Zn)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、アイオテック7510(Zn)、アイオテック7520(Zn)など)」が挙げられる。なお、前記アイオノマー樹脂の商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、K、Li、Mgなどは、これらの中和金属イオンの金属種を示している。
前記カバーを構成するウレタン樹脂またはポリウレタンエラストマー(以下、単に「ウレタン樹脂」と総称する)としては、例えば、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを芳香族ポリアミンで硬化させる2液硬化型ウレタン樹脂、あるいは、熱可塑性ウレタン樹脂などを挙げることができる。前記ウレタン樹脂を構成するポリイソシアネート成分としては、イソシアネート基を2以上有するものであれば特に限定されず、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)などの芳香族ポリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)などの脂環式ポリイソシアネートまたは脂肪族ポリイソシアネートなどのうちの1種または2種以上の混合物を使用できる。これらのうち、耐候性の観点から、非黄変性のポリイソシアネート(TMXDI、XDI、HDI、HXDI、IPDI、H12MDI、NBDIなど)が好ましく使用される。
また、前記ウレタン樹脂を構成するポリオール成分としては、ヒドロキシル基を複数有するものであれば特に限定されず、例えば、低分子量のポリオールや高分子量のポリオールなどを使用することができる。低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオールが挙げられる。高分子量のポリオールとしては、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)などのポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)などの縮合系ポリエステルポリオール;ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)などのラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートなどのポリカーボネートポリオール;およびアクリルポリオールなどが挙げられる。なお、これらのポリオールは、1種または2種以上混合して用いてもよい。
前記芳香族ポリアミンとしては、例えば、少なくとも2以上のアミノ基が芳香環に直接または間接的に結合している化合物であれば、特に限定されず、例えば、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミンなどのアミノ基が芳香環に直接結合しているタイプ;ジメチルチオトルエンジアミンのようなアミノ基がスルフィド結合を介して芳香環に結合しているタイプ;キシリレンジアミンのようなアミノ基が低級アルキレン基を介して芳香環に結合しているタイプ;4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよびその誘導体などが挙げられる。
本発明において、前記カバーは、上述した樹脂成分のほか、酸化亜鉛、酸化チタン、青色顔料などの顔料成分、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの重量調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
前記白色顔料(例えば、酸化チタン)の含有量は、カバーを構成する樹脂成分100質量部に対して、0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であって、10質量部以下、より好ましくは8質量部以下であることが望ましい。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、カバーに隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部超になると、得られるカバーの耐久性が低下する場合がある。
本発明において、ゴルフボールのカバーの厚みは、0.3mm以上が好ましく、より好ましくは0.5mm以上であって、さらに好ましくは1.0mm以上であって、5.0mm以下が好ましく、4.6mm以下がより好ましく、2.5mm以下がさらに好ましい。カバーの厚みが0.3mm未満では、カバーが薄すぎて耐久性が低下するおそれがあり、5.0mmを超えるとゴルフボールの打球感が悪くなるおそれがある。
本発明のゴルフボールの製造方法は、上記式(1)〜(3)で表わされる少なくとも1種の有機硫黄化合物から、上記式(4)で表わされる構造において、置換基Xの置換基定数の合計が0.2以上であり、上記式(4)で表わされる構造のSP値が、19.0〜24.0(J/cm1/2である有機硫黄化合物を選定する工程、前記選定された有機硫黄化合物と、基材ゴムと、共架橋剤と、架橋開始剤とを配合してゴム組成物を調製する工程、および、前記ゴム組成物からゴルフボールの構成部材の少なくとも一部を形成する工程とを有することを特徴とする。
より好ましい態様では、本発明のゴルフボールの製造方法は、上記式(1)〜(3)で表わされる少なくとも1種の有機硫黄化合物から、上記式(4)で表わされる構造において、置換基Xの置換基定数の合計が0.2以上であり、上記式(4)で表わされる構造のSP値が、19.0〜24.0(J/cm1/2である有機硫黄化合物を選定する工程、前記選定された有機硫黄化合物と、基材ゴムと、共架橋剤と、架橋開始剤とを配合してゴム組成物を調製する工程、前記ゴム組成物からコアの少なくとも一層を形成する工程、および、前記コアを被覆するカバーを形成する工程とを有する。
上述した本発明の有機硫黄化合物の選定方法により選定された有機化合物と、基材ゴムと、共架橋剤と、架橋開始剤とを配合してゴム組成物を調製する工程は、例えば、混練ロールなどの混練機を適宜用いて均一に混練することにより行われる。
ゴム組成物からゴルフボールの構成部材の少なくとも一部を形成する工程は、混練して得られたゴム組成物を、金型内で成形することにより行われる。この際の条件は、特に限定されないが、通常は130℃〜200℃、圧力2.9MPa〜11.8MPaで10分間〜60分間で行われる。例えば、前記ゴム組成物を130℃〜200℃で10分間〜60分間加熱するか、あるいは、130℃〜150℃で20分間〜40分間加熱した後、160℃〜180℃で5分間〜15分間の2段階で加熱することが好ましい。
ワンピースゴルフボールの場合は、上述したゴム組成物からゴルフボール本体を形成する。多層コアの場合には、センターと中間層の少なくとも一層を上述したゴム組成物から形成する。例えば、センターのみを上述したゴム組成物から形成する態様、あるいは、センターと中間層の両方を上述したゴム組成物から形成する態様を挙げることができる。
中間層を形成する法としては、例えば、センターを中間層用組成物で被覆して中間層を成形する。中間層を成形する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、中間層用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてセンターを包み、130℃〜170℃で1分間〜5分間加圧成形するか、または中間層用組成物を直接センター上に射出成形してセンターを包み込む方法などが用いられる。
本発明のゴルフボールのカバーを成形する方法としては、例えば、カバー用組成物から中空殻状のシェルを成形し、コアを複数のシェルで被覆して圧縮成形する方法(好ましくは、カバー用組成物から中空殻状のハーフシェルを成形し、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法)、あるいは、カバー用組成物をコア上に直接射出成形する方法を挙げることができる。
カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、塗膜やマークを形成することもできる。前記塗膜の膜厚は、特に限定されないが5μm以上、より好ましくは7μm以上、25μm以下、より好ましくは18μm以下であることが望ましい。膜厚が5μm未満になると継続的な使用により塗膜が摩耗消失しやすくなり、膜厚が25μmを超えるとディンプルの効果が低下してゴルフボールの飛行性能が低下するからである。
本発明のゴルフボールは、直径40mm〜45mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときの圧縮変形量(圧縮方向に縮む量)は、2.0mm以上であることが好ましく、2.2mm以上がより好ましく、4.0mm以下であることが好ましく、3.5mm以下がより好ましい。前記圧縮変形量が2.0mm以上のゴルフボールは、硬くなり過ぎず、打球感が良い。一方、圧縮変形量を4.0mm以下にすることにより、反発性が高くなる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)圧縮変形量(mm)
ゴルフボールに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮方向の変形量(圧縮方向にゴルフボールが縮む量)を測定した。
(2)反発係数
各ゴルフボールに198.4gの金属製円筒物を40m/秒の速度で衝突させ、衝突前後の前記円筒物およびゴルフボールの速度を測定し、それぞれの速度および質量から各ゴルフボールの反発係数を算出した。測定は各ゴルフボールについて12個ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの反発係数とした。なお、反発係数は、ゴルフボールNo.7の反発係数との差で示した。
[コアの作製]
表2に示す配合のゴム組成物を混練ロールにより混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で170℃、20分間加熱プレスすることにより直径39.8mmのコアを得た。なお、評価するゴルフボールの圧縮変形量が同一(3.5mm)になるように、コア配合を調整した。
Figure 0005566275
ポリブタジエンゴム:JSR社製、「BR730(ハイシスポリブタジエン)」(シス−1,4−結合含有量=96質量%、1,2−ビニル結合含有量=1.3質量%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))=55、分子量分布(Mw/Mn)=3)
アクリル酸亜鉛:日本蒸溜工業社製、「ZNDA−90S」
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺(登録商標)R」
ジクミルパーオキサイド(DCP):日油社製、「パークミル(登録商標)D」
(2)カバーの作製
次に、表3に示した配合のカバー用材料を、二軸混練型押出機により押し出して、ペレット状のカバー用組成物を調製した。押出は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35で行った。配合物は、押出機のダイの位置で150〜230℃に加熱された。得られたカバー用組成物を上述のようにして得られたコア上に射出成形して、コアと前記コアを被覆するカバー(厚み1.45mm)を有するゴルフボールを作製した。得られたゴルフボールの反発係数を評価した。評価結果を併せて表2に示した。
Figure 0005566275
ハイミラン1706:三井デュポンポリケミカル社製の亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
ハイミラン1707:三井デュポンポリケミカル社製のナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
ハイミラン1605:三井デュポンポリケミカル社製のナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
表2の結果より、上記式(1)〜(3)で表わされる少なくとも1種の有機硫黄化合物から、上記式(4)で表わされる構造において、置換基Xの置換基定数の合計が0.2以上であり、上記式(4)で表わされる構造のSP値が、19.0〜24.0(J/cm1/2である有機硫黄化合物を用いたゴルフボールは、反発性が高くなることが分かる。
本発明のゴルフボールは、反発性に優れる。

Claims (10)

  1. (a)基材ゴム、(b)共架橋剤、(c)架橋開始剤、および(d)有機硫黄化合物を含有するゴム組成物に用いられる下記式(1)〜(3)で表わされる少なくとも1種の有機硫黄化合物であって、下記式(4)で表わされる構造において、置換基Xの置換基定数の合計が0.2以上であり、下記式(4)で表わされる構造のSP値が、19.0〜24.0(J/cm1/2であることを特徴とするゴルフボール用有機硫黄化合物。
    Figure 0005566275
    Figure 0005566275
    Figure 0005566275
    Figure 0005566275

    (式(1)〜(4)において、置換基X、Y、Zは、それぞれ同一または異なっていても良く、置換基XはCF 、COCH およびCOOCH の少なくとも一種であり、置換基YはCl、BrおよびHの少なくとも一種であり、置換基ZはCF 、COCH 、COOCH またはHであり、置換基XおよびZが、COCH 3、 または、COOCH である場合、置換基YはClおよびBrの少なくとも一種であり、式(3)において、nは、1以上の自然数であり、Mは、1価以上の金属である)
  2. 下記式(1)〜(3)で表わされる少なくとも1種の(d)有機硫黄化合物から、下記式(4)で表わされる構造において、置換基Xの置換基定数の合計が0.2以上であり、下記式(4)で表わされる構造のSP値が、19.0〜24.0(J/cm1/2である有機硫黄化合物を選定する工程、
    前記選定された有機硫黄化合物と、(a)基材ゴムと、(b)共架橋剤と、(c)架橋開始剤とを配合してゴム組成物を調製する工程、
    前記ゴム組成物からゴルフボールの構成部材の少なくとも一部を形成する工程とを有することを特徴とするゴルフボールの製造方法。
    Figure 0005566275
    Figure 0005566275
    Figure 0005566275
    Figure 0005566275
    (式(1)〜(4)において、置換基X、Y、Zは、それぞれ同一または異なっていても良く、置換基XはCF 、COCH およびCOOCH の少なくとも一種であり、置換基YはCl、BrおよびHの少なくとも一種であり、置換基ZはCF 、COCH 、COOCH またはHであり、置換基XおよびZが、COCH 3、 または、COOCH である場合、置換基YはClおよびBrの少なくとも一種であり、式(3)において、nは、1以上の自然数であり、Mは、1価以上の金属である)
  3. ゴルフボールの構成部材の少なくとも一部が、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤、(c)架橋開始剤、および(d)有機硫黄化合物を含有するゴム組成物から形成されたゴルフボールであって、前記有機硫黄化合物は、下記式(1)〜(3)で表わされる少なくとも1種であって、下記式(4)で表わされる構造において、置換基Xの置換基定数の合計が0.2以上であり、下記式(4)で表わされる構造のSP値が、19.0〜24.0(J/cm1/2であることを特徴とするゴルフボール。
    Figure 0005566275
    Figure 0005566275
    Figure 0005566275
    Figure 0005566275
    (式(1)〜(4)において、置換基X、Y、Zは、それぞれ同一または異なっていても良く、置換基XはCF 、COCH およびCOOCH の少なくとも一種であり、置換基YはCl、BrおよびHの少なくとも一種であり、置換基ZはCF 、COCH 、COOCH またはHであり、置換基XおよびZが、COCH 3、 または、COOCH である場合、置換基YはClおよびBrの少なくとも一種であり、式(3)において、nは、1以上の自然数であり、Mは、1価以上の金属である)
  4. 置換基Xの置換基定数の合計が0.45以上である請求項3に記載のゴルフボール。
  5. 前記式(4)で表わされる構造のSP値が、19.0〜23.0である請求項3または4に記載のゴルフボール。
  6. 前記式(4)で表わされる構造のSP値が、19.0〜21.5である請求項3または4に記載のゴルフボール。
  7. 置換基Yは、ClおよびBrの少なくとも一種である請求項3〜6のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  8. 前記ゴム組成物は、
    (a)基材ゴム100質量部に対して、
    (b)共架橋剤15質量部〜45質量部、
    (c)架橋開始剤0.2質量部〜5.0質量部、および
    (d)有機硫黄化合物0.05〜3.0質量部を含有する請求項3〜7のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  9. 前記(1)式で表される有機硫黄化合物は、2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)−3,5−ジブロモチオフェノール、2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)チオフェノール、2,6−ジ(トリフルオロメチル)−3,5−ジブロモチオフェノール、2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)−3,5−ジクロロチオフェノール、2,6−ジ(トリフルオロメチル)チオフェノール、2,6−ジ(トリフルオロメチル)−3,5−ジクロロチオフェノール、2,4,6−トリ(アセチル)−3,5−ジブロモチオフェノール、2,6−ジ(アセチル)−3,5−ジブロモチオフェノール、2,4,6−トリ(アセチル)−3,5−ジクロロチオフェノール、2,6−ジ(アセチル)−3,5−ジクロロチオフェノール、2,6−ジ(アセチル)チオフェノール、2,4,6−トリ(メトキシカルボニル)−3,5−ジブロモチオフェノール、2,6−ジ(メトキシカルボニル)−3,5−ジブロモチオフェノール、2,4,6−トリ(メトキシカルボニル)−3,5−ジクロロチオフェノール、2,6−ジ(メトキシカルボニル)−3,5−ジクロロチオフェノール、または、2,6−ジ(メトキシカルボニル)チオフェノールであり、前記(2)式で表される有機硫黄化合物は、前記(1)式で表される有機硫黄化合物のジスルフィド体であり、前記(3)式で表される有機硫黄化合物は、前記(1)式で表される有機硫黄化合物の金属塩である請求項3〜8のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  10. 前記ゴルフボールは、少なくとも一層以上のコアと前記コアを被覆するカバーとを有するものであって、前記コアの少なくとも一層が前記ゴム組成物から形成されている請求項3〜9のいずれか一項に記載のゴルフボール。
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