JP5102820B2 - ゴルフボール - Google Patents

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Description

本発明は、反発性に優れ、かつ環境に安全なゴルフボールに関するものである。
従来、ゴルフボールのコアとして使用されるゴム材料としては、得られるコアの反発性を向上させるため、基材ゴムとして用いられるハイシスポリブタジエンにアクリル酸亜鉛などの共架橋剤を配合し、さらに架橋開始剤を添加して、基材ゴムと共架橋剤とをラジカル重合させたものが用いられている。そして、上記のような基材ゴム、共架橋剤および架橋開始剤を含有するゴム組成物に、極少量の有機硫黄化合物などを添加することにより、当該ゴム組成物から得られるコアの反発性をさらに向上できることが知られている(例えば、特許文献1〜3)。
例えば、特許文献4には、ゴムに対して、共架橋剤としてアクリル酸亜鉛、共架橋助剤としてパルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸などの高級脂肪酸、共架橋助剤として酸化亜鉛、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノンからなる反応速度遅延剤を配合したゴム組成物から内核を作製したゴルフボールが開示されている。特許文献5には、コアが、第一のトランス−異性体分を含む一定量のポリブタジエン、フリーラジカル源および周期律表の第VIA族成分を含むシス−トランス触媒の転化反応により生成された物質を含有するゴルフボールが開示されている。
特許文献6には、コアの少なくとも1層が、基材ゴム、共架橋剤、有機過酸化物、充填材および置換基定数1.42以上を有する置換基をもつ特定の有機硫黄化合物を含有するゴム組成物を加硫成形して成るソリッドゴルフボールが開示されている。特許文献7には、コアの少なくとも1層が、基材ゴム、共架橋剤、有機過酸化物、及びトリブロモチオフェノール、テトラブロモチオフェノール、または前記チオフェノールの1価若しくは2価の金属塩を含有するゴム組成物を加硫成型してなるソリッドゴルフボールが開示されている。特許文献8には、コアの少なくとも1層が、基材ゴム、共架橋剤、有機過酸化物、およびビス(ブロモフェニル)ジスルフィド,ビス(ジブロモフェニル)ジスルフィド,ビス(トリブロモフェニル)ジスルフィド,ビス(テトラブロモフェニル)ジスルフィド,ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィドから選ばれる少なくとも1種からなるジスルフィド化合物を含有するゴム組成物を加硫成形してなるソリッドゴルフボールであって、コアに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの変形量が3.54〜6.0mmであるソリッドゴルフボールが開示されている。
特開2001−178851号公報 特開2002−338752号公報 特開2003−38682号公報 特公平4−70034号公報 特開2004−41734号公報 特許第3554526号公報 特許第3576997号公報 特許第3734767号公報
しかしながら、特許文献5に記載のゴルフボールのように、周期律表の第VIA族成分(セレン、テルルなど)を用いたゴルフボールでは、これらの成分に毒性があり、環境に対して好ましくないため実用化は困難である。特許文献6では、置換基定数1.42以上を満足するためには、数多くの置換基を結合させることが好ましいが、このように数多くの置換基を結合させる場合は、反応の工数が多くなって製造工程が煩雑となり、また、反応工数が多いため製造コストが高額になるという問題があった。特に、置換基がハロゲン原子を含有する場合には、ゴルフボールが含有するハロゲン量が少ない方が、環境に対して好ましい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、含有するハロゲン量が比較的少なく反発性に優れたゴルフボールを提供することを目的とする。
上記課題を解決することのできた本発明のゴルフボールとは、ゴルフボールを構成する部材の少なくとも一部が、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤および(c)架橋開始剤と、(d)下記式(1)〜(4)で表される有機硫黄化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の有機硫黄化合物とを含有するゴム組成物から形成されていることを特徴とする。

(式中、R1、R2はそれぞれ独立して、Br、FまたはCF3を表す。)

(式中、R3〜R6はそれぞれ独立して、Br、FまたはCF3を表す。)

(式中、R7、R8はそれぞれ独立して、Br、FまたはCF3を表し、M1は1価の金属原子を表す)

(式中、R9〜R12はそれぞれ独立して、Br、FまたはCF3を表し、M2は2価の金属原子を表す)
上記式(1)〜(4)で表されるような有機硫黄化合物、すなわちオルト位のみが2置換されたチオフェノール、ジスルフィドおよび/またはチオフェノール金属塩をゴム組成物に添加することにより、置換基数が少量であるにもかかわらず、ゴム組成物から得られる層の反発性を向上させることができる。特に、置換基としてハロゲン基を使用する場合にあっては、置換基数を減らすことによって、ゴルフボールに含有されるハロゲン量を減らすことができるため、より環境に優しいゴルフボールを得ることができる。
前記ゴム組成物が、前記(a)基材ゴム100質量部に対して、前記(d)有機硫黄化合物を0.05質量部〜3質量部含有することが好ましい。
また、本発明のゴルフボールとしては、前記ゴム組成物から形成されているワンピースゴルフボールや、コアと、前記コアを被覆するカバーとを有し、前記コアの少なくとも一部が、前記ゴム組成物から形成されているゴルフボールが好ましい。
本発明によれば、含有するハロゲン量が比較的少なくても、反発性に優れたゴルフボールを提供することができる。
コアNo.1〜9の圧縮変形量(指数)と反発係数(指数)との関係を示すグラフである。 コアNo.3,10〜17の圧縮変形量(指数)と反発係数(指数)との関係を示すグラフである。
本発明のゴルフボールは、ゴルフボールを構成する部材の少なくとも一部が、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤および(c)架橋開始剤と、(d)下記式(1)〜(4)で表される有機硫黄化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の有機硫黄化合物とを含有するゴム組成物から形成されていることを特徴とする。

(式中、R1、R2はそれぞれ独立して、Br、FまたはCF3を表す。)

(式中、R3〜R6はそれぞれ独立して、Br、FまたはCF3を表す。)

(式中、R7、R8はそれぞれ独立して、Br、FまたはCF3を表し、M1は1価の金属原子を表す)

(式中、R9〜R12はそれぞれ独立して、Br、FまたはCF3を表し、M2は2価の金属原子を表す)
本発明に用いられる前記(a)基材ゴムとしては、天然ゴムおよび/または合成ゴムを使用することができ、例えば、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などを使用できる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に、反発に有利なシス−1,4−結合を、40質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上有するハイシスポリブタジエンが好適である。
前記ハイシスポリブタジエンは、1,2−ビニル結合の含有量が2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.7質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下であることが好ましい。1,2−ビニル結合の含有量が多すぎると反発性が低下する場合がある。
前記ハイシスポリブタジエンは、希土類元素系触媒で合成されたものが好適であり、特に、ランタン系列希土類元素化合物であるネオジウム化合物を用いたネオジウム系触媒の使用が、1,4−シス結合が高含量、1,2−ビニル結合が低含量のポリブタジエンゴムを優れた重合活性で得られるので好ましい。
前記ハイシスポリブタジエンは、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))が、50以上であることが好ましく、より好ましくは51以上、さらに好ましくは52以上、最も好ましくは54以上であり、140以下が好ましく、より好ましくは120以下、さらに好ましくは100以下、最も好ましくは80以下である。なお、本発明でいうムーニー粘度(ML1+4(100℃))とは、JIS K6300に準じて、Lローターを使用し、予備加熱時間1分間、ローターの回転時間4分間、100℃の条件下にて測定した値である。
前記ハイシスポリブタジエンとしては、分子量分布Mw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が、2.0以上であることが好ましく、より好ましくは2.2以上、さらに好ましくは2.4以上、最も好ましくは2.6以上であり、6.0以下であることが好ましく、より好ましくは5.0以下、さらに好ましくは4.0以下、最も好ましくは3.4以下である。ハイシスポリブタジエンの分子量分布(Mw/Mn)が小さすぎると作業性が低下し、大きすぎると反発性が低下するおそれがある。なお、分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(東ソー社製、「HLC−8120GPC」)により、検知器として示差屈折計を用いて、カラム:GMHHXL(東ソー社製)、カラム温度:40℃、移動相:テトラヒドロフランの条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として算出した値である。
前記(b)共架橋剤としては、基材ゴム分子鎖にグラフト重合することによって、ゴム分子を架橋する作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸またはその金属塩を使用することができ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、またはこれらの金属塩を挙げることができる。前記金属塩を構成する金属としては、例えば、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ナトリウムなどを挙げることができる。前記(b)共架橋剤としては、得られるゴルフボールの反発性が高くなるということから、アクリル酸亜鉛が好適である。
前記(b)共架橋剤の使用量は、前記(a)基材ゴム100質量部に対して、15質量部以上、より好ましくは20質量部以上であって、45質量部以下、より好ましくは35質量部以下であることが望ましい。(b)共架橋剤の使用量が15質量部未満では、ゴム組成物から形成される部材を適当な硬さとするために、後述する(c)架橋開始剤の量を増加しなければならず、ゴルフボールの反発性が低下する傾向がある。一方、共架橋剤の使用量が45質量部を超えると、ゴム組成物から形成される部材が硬くなりすぎて、ゴルフボールの打球感が低下するおそれがある。
前記(c)架橋開始剤は、(a)基材ゴム成分を架橋するために配合されるものである。前記(c)架橋開始剤としては、有機過酸化物が好適である。前記有機過酸化物は、具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。
前記(c)架橋開始剤の配合量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.5質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは2.5質量部以下である。0.2質量部未満では、ゴム組成物から形成される部材が柔らかくなりすぎて、ゴルフボールの反発性が低下する傾向があり、5.0質量部を超えると、ゴム組成物から形勢される部材を適切な硬さにするために、前述した(b)共架橋剤の使用量を増加する必要があり、ゴルフボールの反発性が不足するおそれがある。
次に、本発明で使用される(d)有機硫黄化合物について説明する。本発明で使用される(d)有機硫黄化合物は、上記式(1)〜(4)で表される有機硫黄化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の有機硫黄化合物である。
上記式(3)において、Mで表される1価の金属原子としては、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、銅(I)、銀(I)などが挙げられる。上記式(4)において、Mで表される2価の金属原子としては、例えば、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン(II)、マンガン(II)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、ジルコニウム(II)、スズ(II)などが挙げられる。
上記式(1)で表される有機硫黄化合物としては、例えば、2,6−ジブロモチオフェノール、2,6−ジフルオロチオフェノール、2,6−ジ(トリフルオロメチル)チオフェノールなどが挙げられる。上記式(2)で表される有機硫黄化合物としては、例えば、ビス(2,6−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス{2,6−ジ(トリフルオロメチル)フェニル}ジスルフィドなどが挙げられる。上記式(3)で表される有機硫黄化合物としては、例えば、2,6−ジブロモチオフェノールナトリウム塩、2,6−ジフルオロチオフェノールナトリウム塩、2,6−ジ(トリフルオロメチル)チオフェノールナトリウム塩などが挙げられる。上記式(4)で表される有機硫黄化合物としては、例えば、2,6−ジブロモチオフェノール亜鉛塩、2,6−ジフルオロチオフェノール亜鉛塩、2,6−ジ(トリフルオロメチル)チオフェノール亜鉛塩などが挙げられる。
また、上記式(1)〜(4)で表される有機硫黄化合物であって置換基がFおよび/またはBrである場合は、下記式(5)で表される構造の少なくとも一つは、該構造が有する置換基の置換基定数の合計が0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.15以上、さらに好ましくは0.18以上であり、1.2以下であることが好ましい。

(式中、R13、R14は、R1〜R12を表す)
ここで、本発明において「置換基定数」とは、ベンゼン誘導体の反応速度または平衡に及ぼす置換基の影響を定量化したハメット則における置換基定数を意味するが、公知のようにハメット則はメタ置換およびパラ置換ベンゼン誘導体のみに適用され、オルト置換ベンゼン誘導体には適用できない。そこで、オルト置換ベンゼン誘導体の場合には、上記ハメット則を拡張したタフト(Taft)の式における置換基定数を意味する。
上記ハメット則は、以下の式(a):
log(K/K0)=ρσ (a)
(式中、Kは置換基を有する化合物の反応値を表し、K0は前記化合物が置換基を有さない場合、すなわち置換基が水素原子である場合の化合物の反応値を表し、ρは反応定数を表し、σは置換基定数を表す。)によって表される。
上記式(a)における反応定数(ρ)は、反応の種類と温度、溶媒などの反応条件によって定まる定数であり、置換安息香酸の場合は「1.00」であり、置換フェニル酢酸の場合は「0.49」である。上記式(a)における置換基定数(σ)は、反応の種類に関係なく、置換基の種類と位置によってのみ定まる定数であり、置換基を有さない場合、すなわち置換基が水素原子である場合は「0.00」である。
前述のように、ハメット則はメタ置換およびパラ置換ベンゼン誘導体のみに適用され、立体障害などの影響を受けるオルト置換ベンゼン誘導体の場合には適用できない。そこで、そのような立体障害などの影響を位置の因子として導入し、オルト置換ベンゼン誘導体の場合にも適用できるように、ハメット則を拡張したのが、タフトの式である。上記タフトの式は、以下の式(b):
log(K/K0)=ρ*σ*+Es
(式中、Kは置換基を有する化合物の反応値を表し、K0は前記化合物が置換基を有さない場合、すなわち置換基が水素原子である場合の化合物の反応値を表し、ρ*は反応定数を表し、σ*は置換基定数を表し、Esは置換基の位置定数を表す。)によって表される。上記式(b)はオルト置換ベンゼン誘導体の立体障害などの影響を位置の因子、すなわち置換基の位置定数Esとして導入し、上記式(a)の「ρσ」の中で「Es」以外の成分を「ρ*σ*」とした形である。
上記式(5)の構造の置換基定数を決定する方法を具体的に説明すると、例えば、2,6−ジブロモチオフェノールであれば、オルト位のブロモ基の置換基定数が0.21であり、これが2つあることから、2つを合計すると上記式(5)の構造の置換基定数は0.42となる。同様に2,6−ジフルオロチオフェノールでは、オルト位のフルオロ基の置換基定数が0.24であり、これが2つあることから、2つを合計すると上記式(5)の構造の置換基定数は0.48となる。なお、上記式(5)の構造の置換基定数を決定する際に、2つの置換基間の影響は無視するものとする。
また、本発明に用いた置換基定数は、文献値、例えばピーター(Peter)R.ウェルズ(Wells)の「リニアー・フリー・エネルギー・リレイションシップス(Linear Free energy relationships)」、第171〜219頁;丸山和博等の「有機化学序説」、第113頁、1989年4月1日(株)化学同人発行等を用いた。
通常のゴルフボールに用いられるゴム組成物に有機硫黄化合物を加えると、S−S間の結合またはC−S間の結合が加硫条件下で解離してラジカルが生成しやすく、生じたラジカルがブタジエン主鎖などに影響を及ぼす。つまり、基材ゴムと共架橋剤との間の架橋系に影響を及ぼして、反発性能を向上させるものと考えられる。本発明では、そのような有機硫黄化合物の中でも、上記式(1)〜(4)で表され、硫黄元素の結合に対するいわゆるオルト位にBr、FまたはCF3が結合した構造を持つ有機硫黄化合物を用いることで、置換基数が少ない有機硫黄化合物であっても、高い反発性向上効果を得ることができる。
上記式(1)〜(4)で表される有機硫黄化合物を添加すれば、置換基数が少ない有機硫黄化合物であっても、高い反発性向上効果を得られる理由は必ずしも明らかでないが、次のように考えることができる。すなわち、置換基は、単純に有機硫黄化合物のラジカルの生成しやすさに影響するのではなく、基材ゴムと共架橋剤との間で起こる架橋反応の制御に影響を与えている。つまり、電子吸引性の置換基が結合することで、有機硫黄化合物と基材ゴムや共架橋剤との反応中に存在する遷移状態の安定性が変化し、反応に影響を及ぼす活性化エネルギーが変化する。ここで、前記遷移状態の安定性には、有機硫黄化合物中の硫黄元素の結合に対するメタ位やパラ位に結合した置換基はほとんど影響せず、オルト位に結合している置換基が重要となる。そのため、オルト位のみの2置換体であれば、置換基数が少なくとも高い反発性向上効果が得られるものと考えられる。
また、本発明では、上記式(5)の構造におけるオルト位のみの2置換体(以下、単に2〜5置換体というときも、上記式(5)における置換体を意味する)を用いることにより、高い反発性向上効果が得られるとともに、圧縮変形量の低下を抑制することができる。すなわち、従来、反発性向上効果が高いと考えられている5置換体と同等の反発性が得られ、且つ、5置換体に比べて、より打球感に優れたゴルフボールが得られる。
前記(d)有機硫黄化合物の配合量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上であって、3.0質量部以下が好ましく、より好ましくは2.0質量部以下である。0.05質量部未満では、(d)有機硫黄化合物を添加した効果が得られず、ゴルフボールの反発性が向上しないおそれがある。また、3.0質量部を超えると、得られるゴルフボールの圧縮変形量が大きくなって、反発性が低下するおそれがある。
また、前記(d)有機硫黄化合物と前記(c)架橋開始剤との配合比((d)有機硫黄化合物/(c)架橋開始剤)(モル比)は、0.01以上が好ましく、より好ましくは0.1以上であって、1.0以下が好ましく、より好ましくは0.8以下である。0.01未満では、(d)有機硫黄化合物を添加した効果が得られず、ゴルフボールの反発性が向上しないおそれがある。また、1.0を超えると、得られるゴルフボールの圧縮変形量が大きくなって、反発性が低下するおそれがある。
本発明に用いられるゴム組成物には、上記(a)基材ゴム、(b)共架橋剤、(c)架橋開始剤および(d)有機硫黄化合物の他に、必要に応じて、顔料、比重調整などのための充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、しゃく解剤、軟化剤などの添加剤を含有してもよい。
ゴム組成物に配合される前記顔料としては、例えば、白色顔料、青色顔料、紫色顔料などを挙げることができる。前記白色顔料としては、酸化チタンを使用することが好ましい。酸化チタンの種類は、特に限定されないが、隠蔽性が良好であるという理由から、ルチル型を用いることが好ましい。また、酸化チタンの含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上、より好ましくは2質量部以上であって、8質量部以下、より好ましくは5質量部以下であることが望ましい。
ゴム組成物が白色顔料と青色顔料とを含有することも好ましい態様である。青色顔料は、白色を鮮やかに見せるために配合され、例えば、群青、コバルト青、フタロシアニンブルーなどを挙げることができる。また、前記紫色顔料としては、例えば、アントラキノンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、メチルバイオレットなどを挙げることができる。
前記青色顔料の使用量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.001質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上であって、0.2質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下であることが望ましい。0.001質量部未満では、青みが不十分で、黄色味がかった色に見え、0.2質量部を超えると、青くなりすぎて、鮮やかな白色外観ではなくなる。
ゴム組成物に配合される充填剤は、主として最終製品として得られるゴルフボールの比重を1.0〜1.5の範囲に調整するための比重調整剤として配合される。前記充填剤としては、ゴルフボールに通常配合されるものであればよく、例えば、無機充填剤(具体的には、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)、高比重金属粉末(例えば、タングステン粉末、モリブデン粉末など)およびそれらの混合物が挙げられる。特に好ましいのは、加硫助剤としての機能も発揮する酸化亜鉛である。酸化亜鉛を用いる場合、配合量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、30質量部以下、好ましくは25質量部以下、より好ましくは15質量部以下であり、30質量部を超えるとゴム成分が少なくなって、高い反発性が得られなくなる。
前記老化防止剤の配合量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以下であることが好ましい。また、しゃく解剤の配合量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
本発明のゴルフボールは、上述したゴム組成物からなる層を有するものであれば、特に限定されないが、ゴルフボール本体が、前記ゴム組成物から形成されているワンピースゴルフボール;コアと前記コアを被覆するカバーとを有し、前記コアが前記ゴム組成物から形成されているツーピースゴルフボール;センターと前記センターを被覆する中間層とからなるコアと、前記コアを被覆するカバーとを有し、前記センターおよび/または中間層の少なくとも一部が前記ゴム組成物から形成されているスリーピースゴルフボール;センターと前記センターを被覆する複数の中間層とからなるコアと、前記コアを被覆するカバーとを有し、前記センターおよび/または中間層の少なくとも一部が前記ゴム組成物から形成されているマルチピースゴルフボールが挙げられる。
本発明のゴルフボールがワンピースゴルフボールである場合には、上述したゴム組成物を混練ロールなどの適宜の混練機を用いて均一に混練し、金型内で加熱プレスすることにより得ることができる。前記ゴム組成物の加熱プレスの条件は、ゴム組成に応じて適宜設定すればよいが、通常、130〜240℃、圧力2.9〜11.8MPa、15〜60分間で行われる。
前記ワンピースゴルフボールは、直径42.67mm〜42.82mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向にゴルフボールが縮む量)は、2.3mm以上が好ましく、より好ましくは2.4mm以上、さらに好ましくは2.5mm以上であって、3.0mm以下が好ましく、より好ましくは2.8mm以下、さらに好ましくは2.7mm以下である。前記圧縮変形量が、2.3mm以上であればゴルフボールが硬くなり過ぎず打球感がより良好となり、3.0mm以下であれば、ゴルフボールが柔らかくなり過ぎず反発性がより良好となる。
次に、本発明のゴルフボールが、ツーピースゴルフボール、スリーピースゴルフボールおよびマルチピースゴルフボールの場合におけるコアについて説明する。
本発明のゴルフボールのコアの構造としては、例えば、単層のコア;センターと前記センターを被覆する単層の中間層とからなる2層コア;センターと前記センターを被覆する複数片もしくは複数層(特に3以上の片もしくは層)の中間層とからなる多層コアなどが挙げられる。また、コアの形状としては、球状であることが好ましい。コアの形状が球状でない場合には、カバーの厚みが不均一になる。その結果、部分的にカバー性能が低下する箇所が生じる。一方、センターの形状としては、球状が一般的であるが、球状センターの表面を分割するように突条が設けられていても良く、例えば、球状センターの表面を均等に分割するように突条が設けられていても良い。前記突条を設ける態様としては、例えば、球状センターの表面にセンターと一体的に突条を設ける態様、あるいは、球状センターの表面に突条の中間層を設ける態様などを挙げることができる。
前記突条は、例えば、球状センターを地球とみなした場合に、赤道と球状センター表面を均等に分割する任意の子午線とに沿って設けられることが好ましい。例えば、球状センター表面を8分割する場合には、赤道と、任意の子午線(経度0度)、および、斯かる経度0度の子午線を基準として、東経90度、西経90度、東経(西経)180度の子午線に沿って設けるようにすれば良い。突条を設ける場合には、突条によって仕切られたそれぞれの凹部を、複数片の中間層によって別々に充填するようにして、コアの形状を球形とすることが好ましい。あるいは、単層の中間層によって、突条によって仕切られた全ての凹部を充填し、かつ突条を被覆することにより、コアの形状を球形とするようにすることが好ましい。前記突条の縦断面形状は、特に限定されることなく、例えば、円弧状、あるいは、略円弧状(例えば、互いに交差あるいは直行する部分において切欠部を設けた形状)などを挙げることができる。
コアが多層構造である場合には、コアを形成するセンターもしくは中間層の少なくとも一層が、上述したゴム組成物から形成されていればよいが、上述したゴム組成物から得られる層の体積を、コア全体の30%以上とすることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。なお、本発明のゴルフボールのコアとしては、上述したゴム組成物から形成される単層コアが最も好ましい態様である。
前記コアは、上述したゴム組成物を混練ロールなどの適宜の混練機を用いて均一に混練し、金型内で加熱プレスすることにより得ることができる。加熱プレスの条件は、ゴム組成に応じて適宜設定すればよいが、通常、130〜240℃、圧力2.9〜11.8MPa、15〜60分間で行われる。
前記コアの直径は、32.8mm以上、より好ましくは33.6mm以上であって、40.8mm以下、より好ましくは40.0mm以下であることが望ましい。前記コアの直径が32.8mmよりも小さいと、中間層またはカバーを所望の厚さより厚くする必要があり、その結果反発性が低下する場合がある。一方、コアの直径が40.8mmを超える場合は、カバーを所望の厚さより薄くする必要があり、カバーの耐久性が低下するおそれがある。
前記コアは、直径32.8mm〜40.8mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向にコアが縮む量)は、2.0mm以上が好ましく、より好ましくは2.5mm以上、さらに好ましくは3.0mm以上であって、6.0mm以下が好ましく、より好ましくは5.5mm以下、さらに好ましくは5.0mm以下である。前記圧縮変形量が、2.0mm以上であればコアが硬くなり過ぎず打球感がより良好となり、6.0mm以下であれば、コアが柔らかくなり過ぎず反発性がより良好となる。
また、本発明のゴルフボールが、スリーピースゴルフボールやマルチピースゴルフボールの場合、中間層としては、後述するカバー材料と同様の材料を使用することができ、例えば、従来公知のアイオノマー樹脂の外、熱可塑性ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリスチレン樹脂などが挙げられる。また、前記中間層には、さらに、硫酸バリウム、タングステンなどの比重調整剤、老化防止剤、顔料などが配合されていてもよい。
次に、本発明のゴルフボールのカバーについて説明する。本発明のゴルフボールのカバーを構成するカバー材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、アイオノマー樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂若しくは2液硬化型ウレタン樹脂などのウレタン樹脂、ポリアミド樹脂などの各種樹脂、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)(例えば、「ペバックス2533」)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)(例えば、「ハイトレル3548」、「ハイトレル4047」)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、BASFジャパン(株)から商品名「エラストラン(登録商標)(例えば、「エラストランXNY97A」)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリスチレンエラストマーなどを挙げることができる。前記カバー材料は、単独であるいは2種以上を混合して使用してもよい。
前記アイオノマー樹脂としては、特にエチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したアイオノマー樹脂、エチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、または、これらの混合物を挙げることができる。
前記中和用の金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンなどの1価金属イオン;亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、銅イオン、マンガンイオンなどの2価金属イオン;アルミニウムイオン、ネオジムイオンなどの3価金属イオンなどが挙げられるが、特に亜鉛イオンが金属イオンの凝集体の結合力が大きいことから好ましい。
前記アイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、三井デュポンポリケミカル(株)から市販されている「ハイミラン(Himilan)(登録商標)(例えば、ハイミラン1555(Na)、ハイミラン1557(Zn)、ハイミラン1605(Na)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミラン1707(Na)、ハイミランAM7311(Mg)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、ハイミラン1856(Na)、ハイミラン1855(Zn)など)」が挙げられる。
さらにデュポン社から市販されているアイオノマー樹脂としては、「サーリン(Surlyn)(登録商標)(例えば、サーリン8945(Na)、サーリン9945(Zn)、サーリン8140(Na)、サーリン8150(Na)、サーリン9120(Zn)、サーリン9150(Zn)、サーリン6910(Mg)、サーリン6120(Mg)、サーリン7930(Li)、サーリン7940(Li)、サーリンAD8546(Li)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、サーリン8120(Na)、サーリン8320(Na)、サーリン9320(Zn)、サーリン6320(Mg)など)」が挙げられる。
またエクソンモービル化学(株)から市販されているアイオノマー樹脂としては、「アイオテック(Iotek)(登録商標)(例えば、アイオテック8000(Na)、アイオテック8030(Na)、アイオテック7010(Zn)、アイオテック7030(Zn)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、アイオテック7510(Zn)、アイオテック7520(Zn)など)」が挙げられる。なお、前記アイオノマー樹脂の商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、K、Li、Mgなどは、これらの中和金属イオンの金属種を示している。
前記カバーを構成するウレタン樹脂またはポリウレタンエラストマー(以下、単に「ウレタン樹脂」と総称する)としては、例えば、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを芳香族ポリアミンで硬化させる2液硬化型ウレタン樹脂、あるいは、熱可塑性ウレタン樹脂などを挙げることができる。前記ウレタン樹脂を構成するポリイソシアネート成分としては、イソシアネート基を2以上有するものであれば特に限定されず、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)などの芳香族ポリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)などの脂環式ポリイソシアネートまたは脂肪族ポリイソシアネートなどのうちの1種または2種以上の混合物を使用できる。これらのうち、耐候性の観点から、非黄変性のポリイソシアネート(TMXDI、XDI、HDI、HXDI、IPDI、H12MDI、NBDIなど)が好ましく使用される。
また、前記ウレタン樹脂を構成するポリオール成分としては、ヒドロキシル基を複数有するものであれば特に限定されず、例えば、低分子量のポリオールや高分子量のポリオールなどを使用することができる。低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオールが挙げられる。高分子量のポリオールとしては、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)などのポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)などの縮合系ポリエステルポリオール;ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)などのラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートなどのポリカーボネートポリオール;およびアクリルポリオールなどが挙げられる。なお、これらのポリオールは、1種または2種以上混合して用いてもよい。
前記芳香族ポリアミンとしては、例えば、少なくとも2以上のアミノ基が芳香環に直接または間接的に結合している化合物であれば、特に限定されず、例えば、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミンなどのアミノ基が芳香環に直接結合しているタイプ;ジメチルチオトルエンジアミンのようなアミノ基がスルフィド結合を介して芳香環に結合しているタイプ;キシリレンジアミンのようなアミノ基が低級アルキレン基を介して芳香環に結合しているタイプ;4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよびその誘導体などが挙げられる。
本発明において、前記カバーは、上述した樹脂成分のほか、酸化亜鉛、酸化チタン、青色顔料などの顔料成分、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの比重調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
前記白色顔料(酸化チタン)の含有量は、カバーを構成する樹脂成分100質量部に対して、0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であって、10質量部以下、より好ましくは8質量部以下であることが望ましい。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、カバーに隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部超になると、得られるカバーの耐久性が低下する場合がある。
上記カバーを被覆する方法についても、特に限定されるものではなく、通常のカバーを被覆する方法で行うことができる。カバー用組成物をあらかじめ半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてコアを包み、130〜170℃で1〜5分間加圧成形するか、または上記カバー用組成物を直接コア上に射出成形してコアを包み込む方法が用いられる。
カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、ペイント層やマークを形成することもできる。
本発明において、ゴルフボールのカバーの厚みは、1.0mm以上が好ましく、より好ましくは1.4mm以上であって、5.0mm以下が好ましく、4.6mm以下がより好ましく、2.5mm以下がさらに好ましい。カバーの厚みが1.0mm未満では、カバーが薄すぎて耐久性が低下するおそれがあり、5.0mmを超えるとゴルフボールの打球感が悪くなるおそれがある。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)圧縮変形量(mm)
コアに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮方向の変形量(圧縮方向にコアが縮む量)を測定した。なお、圧縮変形量は、測定値とコアNo.3−1の値を100として指数化した値を示した。
(2)反発係数
各コアに198.4gの金属製円筒物を40m/秒の速度で衝突させ、衝突前後の前記円筒物およびコアの速度を測定し、それぞれの速度および質量から各コアの反発係数を算出した。測定は各コアについて12個ずつ行って、その平均値をそのコアの反発係数とした。なお、反発係数は、測定値とコアNo.3−1の値を100として指数化した値を示した。
[コアの作製]
表1に示す配合のゴム組成物を混練ロールにより混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で170℃、20分間加熱プレスすることにより直径40.4mmのコアを得た。得られたコアの圧縮変形量および反発係数を評価した。これらの結果を表1、2に示し、コアの圧縮変形量(X軸)と反発係数(Y軸)との関係を図1、2に示した。
ポリブタジエンゴム:JSR社製、「BR730(ハイシスポリブタジエン)」(シス−1,4−結合含有量=96質量%、1,2−ビニル結合含有量=1.3質量%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))=55、分子量分布(Mw/Mn)=3)
アクリル酸亜鉛:日本蒸溜工業社製、「ZNDA−90S」
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺(登録商標)R」
硫酸バリウム:堺化学社製、「硫酸バリウムBD」
ジクミルパーオキサイド(DCP):日油社製、「パークミル(登録商標)D」
一般的に、ゴルフボールは硬くなるほど反発特性が高くなる、すなわち、同一の配合系であれば、架橋開始剤の添加量を増加させると圧縮変形量が小さくなり(硬くなり)、反発係数が向上することが知られている。図1および図2に示すように、コアNo.1〜17において、同一の配合系では、架橋開始剤(DCP)を増加させると圧縮変形量が小さくなり、反発係数が向上している。従って、圧縮変形量と反発係数の関係は従来の知見どおりほぼ直線関係にあった。
以下、有機硫黄化合物を添加していないコアNo.3を基準として、各コアの反発特性を考察する。なお、コアの反発特性は、同程度の圧縮変形量における反発係数で比較する。有機硫黄化合物を添加していないコアNo.3と、それぞれ異なる有機硫黄化合物を添加したコアNo.4〜7,12〜17とを比較すると、従来の知見どおり、置換基の種類が同一であれば1置換体、2置換体、5置換体と置換基数が増加するほど、反発係数が向上している。これに対して、オルト位2置換体を添加したコアNo.1,10,11は、他の2置換体(コアNo.5,6,13,16)に比べて、反発特性が著しく向上し、5置換体と同等の反発特性が得られている。
コアNo.1とコアNo.2、コアNo.6とコアNo.8あるいはコアNo.7とコアNo.9は、それぞれ同じ有機硫黄化合物を用いて配合量のみ変更した場合である。これらの結果から、有機硫黄化合物の配合量を増加させても反発特性には、さほど影響を与えないことがわかる。すなわち、オルト位2置換体により得られる効果は、配合量の適正化などによって得られるものではないことがわかる。
ここで、図1、2において、X軸方向、すなわちグラフ中で右へいくほど圧縮変形量が大きくなり、打撃時の衝撃が小さくなって打球感に優れたコアであることを示す。また、Y軸方向、すなわちグラフ中で上へいくほど反発係数が大きくなり、飛距離の向上したコアであることを示す。グラフの右上に位置するコアは、グラフの左下に位置するコアに比べて打球感(圧縮変形量の大きさ)と飛距離(高反発性)との両立が図られた優れたコアである。
図1に示すように、コアNo.1,2は、コアNo.7,9よりも、グラフ中の右上に位置している。また、図2に示すように、コアNo.10はコアNo.14よりもグラフ中の右上に位置し、コアNo.11はコアNo.17よりもグラフ中の右上に位置している。これらのことから、オルト位2置換体を用いることにより、5置換体と同等の反発性が得られることがわかる。すなわち、オルト位2置換体を用いることにより、使用するハロゲン量を低減し、かつ、反発特性に優れたゴルフボールが得られる。
本発明は、反発性に優れ、かつ環境に安全なゴルフボールに有用である。

Claims (4)

  1. ゴルフボールを構成する部材の少なくとも一部が、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤および(c)架橋開始剤と、
    (d)下記式(2)で表される有機硫黄化合物とを含有するゴム組成物から形成されていることを特徴とするゴルフボール。

    (式中、R〜Rはそれぞれ独立して、Br、FまたはCFを表す。)
  2. 前記ゴム組成物が、前記(a)基材ゴム100質量部に対して、前記(d)有機硫黄化合物を0.05質量部〜3質量部含有する請求項1に記載のゴルフボール。
  3. ゴルフボール本体が、前記ゴム組成物から形成されている請求項1または2に記載のワンピースゴルフボール。
  4. コアと、前記コアを被覆するカバーとを有し、前記コアの少なくとも一部が、前記ゴム組成物から形成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴルフボール。
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