JP6680082B2 - ゴルフボール - Google Patents

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Description

本発明は、反発性に優れたゴルフボールに関し、詳細には、ゴルフボールのコアの改良に関する。
ドライバーショットのゴルフボールの飛距離を伸ばす方法として、例えば、反発性の高いコアを用いる方法と、コアの中心から表面に向かって、硬度が高くなる硬度分布を有するコアを用いる方法がある。前者は、ゴルフボールの初速を高める効果があり、後者は、打出角を高くして、低スピンにする効果がある。高打出角および低スピンのゴルフボールは、飛距離が大きくなる。
コアの反発性を高める技術として、例えば、特許文献1、2がある。特許文献1には、コアが、基材ゴム、共架橋剤、架橋開始剤、および、有機硫黄化合物を含有するゴム組成物から形成されており、前記有機硫黄化合物としてオルト位のみがBr、FまたはCF3により2置換されたチオフェノール、ジスルフィドおよび/またはチオフェノール金属塩を含有するゴルフボールが記載されている(特許文献1(要約、段落0054)参照)。
また、特許文献2には、コアが、基材ゴム、共架橋剤、架橋開始剤、および有機硫黄化合物を含有するゴム組成物から形成されており、前記有機硫黄化合物が、チオフェノール類またはジフェニルスルフィドの誘導体であって、電子吸引性が高い置換基を有するゴルフボールが記載されている(特許文献2(要約、段落0052)参照)。
特開2011−92565号公報 特開2012−125345号公報
上記特許文献1、2のように、コアを形成するゴム組成物に有機硫黄化合物を配合することにより、反発性を向上させる技術が知られている。しかしながら、有機硫黄化合物を配合することでコアの反発性が向上する機構は、未だ明らかとなっていない。そのため、コアをより高反発化できる有機硫黄化合物については、さらなる検討が困難となっている。また、従来、コアを形成するゴム組成物について、配合される架橋開始剤の種類を変更することによって、コアの反発性を向上させる技術は検討されていなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ゴルフボールのコアの反発性を向上し得る架橋開始剤を見出し、反発性に優れたゴルフボールを提供することを目的とする。
上記課題を解決することができた本発明のゴルフボールは、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層以上のカバーとを有し、前記球状コアが、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤を含有し、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸のみを含有する場合には、さらに(d)金属化合物を含有し、前記(c)架橋開始剤が、式(1)で表されるパーオキシケタールを含有するゴム組成物から形成されていることを特徴とする。
Figure 0006680082
[式(1)中、R1、R2は、それぞれ独立して、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基を表し、R3〜R12は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基を表す。R1およびR2で表される置換基は、結合解離エネルギーが435kJ/mol以上である。]
式(1)で表されるパーオキシケタールはシクロヘキサン環を有している。このような開始剤は、分解、β−開裂によってアルキルラジカル(後述する式(1−3))を生成する。このアルキルラジカルにより、得られる球状コアの反発性がより向上する。また、反応機構は不明であるが、開始剤から発生するメチルラジカル量が増加する程、得られる球状コアの反発性が向上する。そして、R1およびR2で表される置換基の結合解離エネルギーが435kJ/mol以上であれば、式(1)で表されるパーオキシケタールからのメチルラジカルの発生量が増加する。よって、R1およびR2で表される置換基の結合解離エネルギーが435kJ/mol以上であれば、得られる球状コアの反発性が一層向上する。
本発明によれば、反発性に優れたゴルフボールが得られる。
本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図。
本発明のゴルフボールは、球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層以上のカバーとを有し、前記球状コアが、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤を含有し、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸のみを含有する場合には、さらに(d)金属化合物を含有し、前記(c)架橋開始剤が、式(1)で表されるパーオキシケタールを含有するゴム組成物から形成されていることを特徴とする。
Figure 0006680082
[式(1)中、R1、R2は、それぞれ独立して、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基を表し、R3〜R12は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基を表す。R1およびR2で表される置換基は、結合解離エネルギーが435kJ/mol以上である。]
式(1)で表されるパーオキシケタールは、分解することにより、下記式(1−1)、(1−2)で表されるラジカルを生成する。そして、式(1−1)で表されるラジカルは、分子内にシクロヘキサン環を有しており、β−開裂によって式(1−3)で表されるアルキルラジカルを発生する。このアルキルラジカルが存在すると、得られる球状コアの反発性がより向上する。
また、反応機構は不明であるが、開始剤から発生するメチルラジカル量が増加する程、得られる球状コアの反発性が向上する。これは、メチルラジカル量が増加することで、架橋反応が、基材ゴムのアリル水素引抜による開始ではなく、架橋開始剤からの付加による開始が進行しやすくなり、架橋ゴムの構造が変化するためと考えられる。上記のように、式(1)で表されるパーオキシケタールは、分解することにより、下記式(1−2)で表されるクミルオキシラジカルを生成する。このクミルオキシラジカルは、β−脱離により、メチルラジカルまたはR1で表される置換基のラジカルを生成する。そして、メチル基は結合解離エネルギーが432kJ/molである。そのため、R1で表される置換基の結合解離エネルギーが435kJ/mol以上であれば、β−脱離において、メチルラジカルが優先的に生成する。よって、R1およびR2で表される置換基の結合解離エネルギーが435kJ/mol以上であれば、式(1)で表されるパーオキシケタールからのメチルラジカル発生量が増加し、得られる球状コアの反発性が一層向上する。
Figure 0006680082
[球状コア]
前記球状コアは、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤および(c)架橋開始剤を含有するコア用ゴム組成物から形成されている。
((a)基材ゴム)
前記(a)基材ゴムとしては、天然ゴムおよび/または合成ゴムを使用することができ、例えば、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などを使用できる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に、反発に有利なシス−1,4−結合を、40質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上有するハイシスポリブタジエンが好適である。前記(a)基材ゴム中のハイシスポリブタジエンの含有量は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上である。
前記ハイシスポリブタジエンは、1,2−ビニル結合の含有量が2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.7質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。1,2−ビニル結合の含有量が多すぎると反発性が低下する場合がある。
前記ハイシスポリブタジエンは、希土類元素系触媒で合成されたものが好適であり、特に、ランタン系列希土類元素化合物であるネオジム化合物を用いたネオジム系触媒の使用が、1,4−シス結合が高含量、1,2−ビニル結合が低含量のポリブタジエンゴムを優れた重合活性で得られるので好ましい。
前記ハイシスポリブタジエンは、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))が、30以上であることが好ましく、より好ましくは32以上、さらに好ましくは35以上であり、140以下が好ましく、より好ましくは120以下、さらに好ましくは100以下、最も好ましくは80以下である。なお、本発明でいうムーニー粘度(ML1+4(100℃))とは、JIS K6300−1(2013)に準じて、Lローターを使用し、予備加熱時間1分間、ローターの回転時間4分間、100℃の条件下にて測定した値である。
前記ハイシスポリブタジエンとしては、分子量分布Mw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が、2.0以上であることが好ましく、より好ましくは2.2以上、さらに好ましくは2.4以上、最も好ましくは2.6以上であり、6.0以下であることが好ましく、より好ましくは5.0以下、さらに好ましくは4.0以下、最も好ましくは3.4以下である。ハイシスポリブタジエンの分子量分布(Mw/Mn)が小さすぎると作業性が低下し、大きすぎると反発性が低下するおそれがある。なお、分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(東ソー社製、「HLC−8120GPC」)により、検知器として示差屈折計を用いて、カラム:GMHHXL(東ソー社製)、カラム温度:40℃、移動相:テトラヒドロフランの条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として算出した値である。
((b)共架橋剤)
前記(b)共架橋剤は、基材ゴム分子鎖にグラフト重合することによって、ゴム分子を架橋する作用を有する。前記(b)共架橋剤としては、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩が好ましい。前記(b)共架橋剤として使用されるα,β−不飽和カルボン酸の炭素数は、3〜8が好ましく、より好ましくは3〜6、さらに好ましくは3または4である。炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等を挙げることができる。
炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩を構成する金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの一価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの二価の金属イオン;アルミニウムなどの三価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられる。前記金属成分は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。これらの中でも、前記金属成分としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの二価の金属が好ましい。炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の二価の金属塩を用いることにより、ゴム分子間に金属架橋が生じやすくなるからである。特に、二価の金属塩としては、得られるゴルフボールの反発性が高くなるということから、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の亜鉛塩が好ましく、より好ましくはアクリル酸亜鉛である。なお、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩は、単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用しても良い。
前記(b)共架橋剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、15質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましい。(b)共架橋剤の含有量が15質量部未満では、コア用ゴム組成物から形成される部材を適当な硬さとするために、後述する(c)架橋開始剤の量を増加しなければならず、ゴルフボールの反発性が低下する傾向がある。一方、(b)共架橋剤の含有量が50質量部を超えると、コア用ゴム組成物から形成される部材が硬くなりすぎて、ゴルフボールの打球感が低下するおそれがある。
((c)架橋開始剤)
前記(c)架橋開始剤は、式(1)で表されるパーオキシケタールを含有する。
Figure 0006680082
[式(1)中、R1、R2は、それぞれ独立して、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基を表し、R3〜R12は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基を表す。R1およびR2で表される置換基は、結合解離エネルギーが435kJ/mol以上である。]
前記結合解離エネルギーとは、R1またはR2で表される置換基に水素原子が結合した化合物(R1−H、R2−H)が、ホモリシスして水素ラジカルとR1ラジカルまたはR2ラジカルを生成するために必要となるエネルギーである。例えば、メタン(メチル基に水素原子が結合した化合物)が、ホモリシスして水素ラジカルとメチルラジカルとを生成するために必要となるエネルギーは432kJ/molである。また、ベンゼン(フェニル基に水素原子が結合した化合物)が、ホモリシスして水素ラジカルとフェニルラジカルとを生成するために必要となるエネルギーは474kJ/molである。
前記結合解離エネルギーは、435kJ/mol以上、より好ましくは440kJ/mol以上、さらに好ましくは450kJ/mol以上であり、1000kJ/mol以下が好ましく、より好ましくは700kJ/mol以下、さらに好ましくは600kJ/mol以下である。前記結合解離エネルギーが435kJ/mol以上であれば架橋開始剤からのメチルラジカル発生量が増加し、1000kJ/mol以下であれば他分解物の生成が少なくなり、反応阻害を抑制できる。なお、置換基の結合解離エネルギーは、文献(例えば、化学便覧 基礎編 改訂5版、日本化学会編、丸善出版)に記載されている。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、フェナントリル基、フルオレニル基などが挙げられ、これらの中でも、フェニル基、ナフチル基が好ましい。アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基などが挙げられる。アルキルアリール基としては、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基などが挙げられる。
アルコキシル基としては、メトキシ基、エトシキ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基などが挙げられ、これらの中でも、炭素数1〜6のアルコキシル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜4のアルコキシル基である。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられ、これらの中でも、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。
前記R1およびR2で表される置換基は、フェニル基(474kJ/mol)、ナフチル基(450kJ/mol以上)、アミノ基(444kJ/mol)、水酸基(492kJ/mol)、メトキシ基(435kJ/mol)が好ましく、より好ましくはフェニル基またはナフチル基である。なお、置換基名の後の括弧内に記載した数値は、各置換基の結合解離エネルギーである。
前記式(1)で表されるパーオキシケタールとしては、下記式(2)〜(6)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006680082
前記(c)架橋開始剤は、前記式(1)で表されるパーオキシケタール以外の他の架橋開始剤を含有してもよい。前記他の架橋開始剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、前記(c)架橋開始剤中の前記式(1)で表されるパーオキシケタールの含有量は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。前記(c)架橋開始剤中が、前記式(1)で表されるパーオキシケタールのみを含有することも好ましい。
前記(c)架橋開始剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、より好ましくは0.05質量部以上であって、10質量部以下が好ましく、より好ましくは5質量部以下である。(c)架橋開始剤の含有量が0.01質量部未満では、コア用ゴム組成物から形成される部材が柔らかくなりすぎて、ゴルフボールの反発性が低下する傾向があり、10質量部を超えると、コア用ゴム組成物から形成される部材を適切な硬さにするために、前述した(b)共架橋剤の使用量を減少する必要があり、ゴルフボールの反発性が不足したり、耐久性が悪くなるおそれがある。
前記共架橋剤としては炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩を用いることが好ましい。前記共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸を使用する際は、(d)金属化合物をさらに含有することが好ましい。
((d)金属化合物)
前記(d)金属化合物としては、ゴム組成物中において(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸を中和することができるものであれば、特に限定されない。前記(d)金属化合物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化銅などの金属水酸化物;酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化銅などの金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウムなどの金属炭酸化物が挙げられる。(d)前記金属化合物として好ましいのは、二価金属化合物であり、より好ましくは亜鉛化合物である。二価金属化合物は、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸と反応して、金属架橋を形成するからである。また、亜鉛化合物を用いることにより、反発性の高いゴルフボールが得られる。これらの(d)金属化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
((e)有機硫黄化合物)
(e)有機硫黄化合物としては、例えば、チオフェノール類、チオナフトール類、ポリスルフィド類、チウラム類、チオカルボン酸類、ジチオカルボン酸類、スルフェンアミド類、ジチオカルバミン酸塩類、チアゾール類などを挙げることができる。球状コアの硬度分布が大きくなるという観点から、(e)有機硫黄化合物としては、チオール基(−SH)を有する有機硫黄化合物、または、その金属塩が好ましく、チオフェノール類、チオナフトール類、または、これらの金属塩が好ましい。
チオール類としては、例えば、チオフェノール類、チオナフトール類が挙げられる。前記チオフェノール類としては、例えば、チオフェノール;4−フルオロチオフェノール、2,5−ジフルオロチオフェノール、2,6−ジフルオロチオフェノール、2,4,5−トリフルオロチオフェノール、2,4,5,6−テトラフルオロチオフェノール、ペンタフルオロチオフェノールなどのフルオロ基で置換されたチオフェノール類;2−クロロチオフェノール、4−クロロチオフェノール、2,4−ジクロロチオフェノール、2,5−ジクロロチオフェノール、2,6−ジクロロチオフェノール、2,4,5−トリクロロチオフェノール、2,4,5,6−テトラクロロチオフェノール、ペンタクロロチオフェノールなどのクロロ基で置換されたチオフェノール類;4−ブロモチオフェノール、2,5−ジブロモチオフェノール、2,6−ジブロモチオフェノール、2,4,5−トリブロモチオフェノール、2,4,5,6−テトラブロモチオフェノール、ペンタブロモチオフェノールなどのブロモ基で置換されたチオフェノール類;4−ヨードチオフェノール、2,5−ジヨードチオフェノール、2,6−ジヨードチオフェノール、2,4,5−トリヨードチオフェノール、2,4,5,6−テトラヨードチオフェノール、ペンタヨードチオフェノールなどのヨード基で置換されたチオフェノール類;または、これらの金属塩が挙げられる。金属塩としては、亜鉛塩が好ましい。
前記チオナフトール類(ナフタレンチオール類)としては、2−チオナフトール、1−チオナフトール、1−クロロ−2−チオナフトール、2−クロロ−1−チオナフトール、1−ブロモ−2−チオナフトール、2−ブロモ−1−チオナフトール、1−フルオロ−2−チオナフトール、2−フルオロ−1−チオナフトール、1−シアノ−2−チオナフトール、2−シアノ−1−チオナフトール、1−アセチル−2−チオナフトール、2−アセチル−1−チオナフトール、またはこれらの金属塩を挙げることができ、2−チオナフトール、1−チオナフトール、またはこれらの金属塩が好ましい。金属塩としては、好ましくは2価の金属塩、より好ましくは亜鉛塩である。金属塩の具体的としては、例えば、1−チオナフトールの亜鉛塩、2−チオナフトールの亜鉛塩が挙げられる。
ポリスルフィド類とは、ポリスルフィド結合を有する有機硫黄化合物であり、例えば、ジスルフィド類、トリスルフィド類、テトラスルフィド類が挙げられる。前記ポリスルフィド類としては、ジフェニルポリスルフィド類が好ましい。
ジフェニルポリスルフィド類としては、ジフェニルジスルフィドの他;ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5−トリフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5,6−テトラフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5,6−テトラクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5−トリブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5,6−テトラブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5−トリヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5,6−テトラヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタヨードフェニル)ジスルフィド等のハロゲン基で置換されたジフェニルジスルフィド類;ビス(4−メチルフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5−トリメチルフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタメチルフェニル)ジスルフィド、ビス(4−t−ブチルフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5−トリ−t−ブチルフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタ−t−ブチルフェニル)ジスルフィド等のアルキル基で置換されたジフェニルジスルフィド類;などが挙げられる。
チウラム類としては、例えば、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラムモノスルフィド類、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィド類、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラムテトラスルフィド類が挙げられる。チオカルボン酸類としては、例えば、ナフタレンチオカルボン酸が挙げられる。ジチオカルボン酸類としては、例えば、ナフタレンジチオカルボン酸が挙げられる。スルフェンアミド類としては、例えば、N−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドが挙げられる。
(e)前記有機硫黄化合物は、単独もしくは二種以上を混合して使用することができる。(e)有機硫黄化合物としては、チオフェノール類および/またはその金属塩、チオナフトール類および/またはその金属塩、ジフェニルジスルフィド類、チウラムジスルフィド類が好ましく、より好ましくは2,4−ジクロロチオフェノール、2,6−ジフルオロチオフェノール、2,6−ジクロロチオフェノール、2,6−ジブロモチオフェノール、2,6−ジヨードチオフェノール、2,4,5−トリクロロチオフェノール、ペンタクロロチオフェノール、1−チオナフトール、2−チオナフトール、ジフェニルジスルフィド、ビス(2,6−ジフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィドである。
(e)有機硫黄化合物の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは2.0質量部以下である。(e)有機硫黄化合物の含有量が、0.05質量部未満では、(e)有機硫黄化合物を添加した効果が得られず、ゴルフボールの反発性が向上しないおそれがある。また、(e)有機硫黄化合物の含有量が、5.0質量部を超えると、得られるゴルフボールの圧縮変形量が大きくなって、反発性が低下するおそれがある。
((f)カルボン酸および/またはその塩)
前記コア用ゴム組成物は(f)カルボン酸および/またはその塩を含有してもよい。前記(f)カルボン酸および/またはその塩を含有することで、得られる球状コアの外剛内柔度合を大きくできる。前記(f)カルボン酸および/またはその塩としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸および芳香族カルボン酸塩が挙げられる。前記(f)カルボン酸および/または塩は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。
前記脂肪族カルボン酸は、飽和脂肪族カルボン酸(以下、「飽和脂肪酸」と称する場合がある。)、不飽和脂肪族カルボン酸(以下、「不飽和脂肪酸」と称する場合がある。)のいずれであっても良い。また、脂肪族カルボン酸は、分岐構造や環状構造を有していてもよい。前記飽和脂肪酸の炭素数は、1以上が好ましく、30以下が好ましく、より好ましくは18以下、さらに好ましくは13以下である。前記不飽和脂肪酸の炭素数は、5以上が好ましく、より好ましくは7以上、さらに好ましくは8以上であり、30以下が好ましく、より好ましくは18以下、さらに好ましくは13以下である。なお、(f)カルボン酸および/またはその塩には、(b)共架橋剤として使用する炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩は含まれないものとする。
前記芳香族カルボン酸としては、分子中にベンゼン環を有するもの、分子中に複素芳香環を有するものが挙げられる。前記芳香族カルボン酸は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。ベンゼン環を有するカルボン酸としては、例えば、ベンゼン環にカルボキシル基が直接結合した芳香族カルボン酸、ベンゼン環に脂肪族カルボン酸が結合した芳香族−脂肪族カルボン酸、縮合ベンゼン環にカルボキシル基が直接結合した多核芳香族カルボン酸、縮合ベンゼン環に脂肪族カルボン酸が結合した多核芳香族−脂肪族カルボン酸などが挙げられる。前記複素芳香環を有するカルボン酸としては、例えば、複素芳香環に直接カルボキシル基が結合したものが挙げられる。
脂肪族カルボン酸塩または芳香族カルボン酸塩としては、上述した脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸の塩を用いることできる。これらの塩のカチオン成分としては、例えば、金属イオン、アンモニウムイオン、および、有機陽イオンを挙げることができる。金属イオンとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、銀などの一価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウム、銅、コバルト、ニッケル、マンガンなどの二価の金属イオン;アルミニウム、鉄などの3価の金属イオン;錫、ジルコニウム、チタンなどのその他のイオンが挙げられる。前記カチオン成分は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。
前記有機陽イオンとは、炭素鎖を有する陽イオンである。前記有機陽イオンとしては、特に限定されず、例えば、有機アンモニウムイオンが挙げられる。前記有機アンモニウムイオンとしては、例えば、ステアリルアンモニウムイオン、ヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン、2−エチルヘキシルアンモニウムイオンなどの1級アンモニウムイオン、ドデシル(ラウリル)アンモニウムイオン、オクタデシル(ステアリル)アンモニウムイオンなどの2級アンモニウムイオン;トリオクチルアンモニウムイオンなどの3級アンモニウムイオン;ジオクチルジメチルアンモニウムイオン、ジステアリルジメチルアンモニウムイオンなどの4級アンモニウムイオンなどが挙げられる。これらの有機陽イオンは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記脂肪族カルボン酸および/またはその塩としては、飽和脂肪酸および/またはその塩、不飽和脂肪酸および/またはその塩が挙げられる。前記飽和脂肪酸および/またはその塩が好ましく、カプリル酸(オクタン酸)、ペラルゴン酸(ノナン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、または、これらのカリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、鉄塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩が好ましい。前記不飽和脂肪酸および/またはその塩としては、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸もしくはアラキドン酸、または、これらのカリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、鉄塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩が好ましい。
前記芳香族カルボン酸および/またはその塩としては、特に、安息香酸、ブチル安息香酸、アニス酸(メトキシ安息香酸)、ジメトキシ安息香酸、トリメトキシ安息香酸、ジメチルアミノ安息香酸、クロロ安息香酸、ジクロロ安息香酸、トリクロロ安息香酸、アセトキシ安息香酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、アントラセンカルボン酸、フランカルボン酸もしくはテノイル酸、または、これらのカリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、鉄塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩が好ましい。
前記(f)カルボン酸および/またはその塩の含有量は、例えば、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1.0質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であって、40質量部以下が好ましく、より好ましくは35質量部以下であり、さらに好ましくは30質量部以下である。(f)カルボン酸および/またはその塩の含有量が0.5質量部以上であれば、球状コアの外剛内柔度合が大きくなり、40質量部以下であれば、コア硬度の低下が抑制され、反発性が良好となる。
なお、共架橋剤として使用される化合物の表面は、ゴムへの分散性を向上するためにステアリン酸および/またはその亜鉛塩で処理されている場合がある。このようなステアリン酸および/またはその亜鉛塩で表面処理された共架橋剤を使用する場合、本発明では、表面処理剤であるステアリン酸およびその亜鉛塩の量が(f)カルボン酸および/またはその塩の含有量に含まれるものとする。例えば、ステアリン酸亜鉛の表面処理量が10質量%であるアクリル酸亜鉛を25質量部用いた場合には、ステアリン酸亜鉛の量が2.5質量部であり、アクリル酸亜鉛の量が22.5質量部とし、(f)カルボン酸および/またはその塩の含有量として、2.5質量部を計上する。
本発明に用いられるゴム組成物は、必要に応じて、顔料、重量調整などのための充填剤、老化防止剤、しゃく解剤、軟化剤などの添加剤を含有してもよい。また、コア用ゴム組成物は、ゴルフボールのコアや、コア作製時に発生した端材を粉砕したゴム粉末を含有してもよい。
ゴム組成物に配合される顔料としては、例えば、白色顔料、青色顔料、紫色顔料などを挙げることができる。前記白色顔料としては、酸化チタンを使用することが好ましい。酸化チタンの種類は、特に限定されないが、隠蔽性が良好であるという理由から、ルチル型を用いることが好ましい。また、酸化チタンの含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは2質量部以上であって、8質量部以下が好ましく、より好ましくは5質量部以下である。
ゴム組成物が白色顔料と青色顔料とを含有することも好ましい態様である。青色顔料は、白色を鮮やかに見せるために配合され、例えば、群青、コバルト青、フタロシアニンブルーなどを挙げることができる。また、前記紫色顔料としては、例えば、アントラキノンバイオレット、ジオキサジンバイオレット、メチルバイオレットなどを挙げることができる。
前記青色顔料の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.001質量部以上が好ましく、より好ましくは0.05質量部以上であって、0.2質量部以下が好ましく、より好ましくは0.1質量部以下である。0.001質量部未満では、青みが不十分で、黄色味がかった色に見え、0.2質量部を超えると、青くなりすぎて、鮮やかな白色外観ではなくなる。
ゴム組成物に用いる充填剤としては、主として最終製品として得られるゴルフボールの重量を調整するための重量調整剤として配合されるものであり、必要に応じて配合すれば良い。前記充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タングステン粉末、モリブデン粉末などの無機充填剤を挙げることができる。前記充填剤として特に好ましいのは、酸化亜鉛である。酸化亜鉛は、加硫助剤として機能して、球状コア全体の硬度を高めるものと考えられる。前記充填剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であって、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。充填剤の含有量が0.5質量部未満では、重量調整が難しくなり、30質量部を超えるとゴム成分の重量分率が小さくなり反発性が低下する傾向があるからである。
前記老化防止剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以下であることが好ましい。また、しゃく解剤の含有量は、(a)基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
本発明で使用するゴム組成物は、(a)基材ゴム、(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤、および、必要に応じてその他の添加剤などを混合して、混練することにより得られる。混練の方法は、特に限定されず、例えば、混練ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの公知の混練機を用いて行えばよい。
本発明のゴルフボールが有する球状コアは、混練後のゴム組成物を金型内で成形することにより得ることができる。球状コアに成形する温度は、球状コアに成形する温度は、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、120℃以上がさらに好ましく、170℃以下が好ましい。成形温度が170℃を超えると、コア表面硬度が低下する傾向がある。また、成形時の圧力は、2.9MPa〜11.8MPaが好ましい。成形時間は、10分間〜60分間が好ましい。
前記球状コアの表面硬度Hsと中心硬度Hoとの硬度差(Hs−Ho)は、ショアC硬度で、0以上が好ましく、より好ましくは10以上、さらに好ましくは15以上、特に好ましくは17以上であり、60以下が好ましく、55以下がより好ましく、50以下がさらに好ましい。前記硬度差が大きいと、高打出角および低スピンの飛距離が大きいゴルフボールが得られる。
前記球状コアの中心硬度Hoは、ショアC硬度で、30以上が好ましく、より好ましくは35以上、さらに好ましくは40以上である。球状コアの中心硬度HoがショアC硬度で30以上であれば、軟らかくなりすぎず、反発性が良好となる。また、球状コアの中心硬度Hoは、ショアC硬度で70以下が好ましく、より好ましくは65以下であり、さらに好ましくは60以下である。前記中心硬度HoがショアC硬度で70以下であれば、硬くなり過ぎず、打球感が良好となる。
前記球状コアの表面硬度Hsは、ショアC硬度で、65以上が好ましく、より好ましくは70以上、さらに好ましくは72以上であり、100以下が好ましく、より好ましくは95以下、さらに好ましくは90以下である。前記球状コアの表面硬度を、ショアC硬度で65以上とすることにより、球状コアが軟らかくなり過ぎることがなく、良好な反発性が得られる。また、前記球状コアの表面硬度をショアC硬度で100以下とすることにより、球状コアが硬くなり過ぎず、良好な打球感が得られる。
前記球状コアの直径は、34.8mm以上が好ましく、より好ましくは36.8mm以上、さらに好ましくは38.8mm以上であり、42.2mm以下が好ましく、41.8mm以下がより好ましく、さらに好ましくは41.2mm以下であり、最も好ましくは40.8mm以下である。前記球状コアの直径が34.8mm以上であれば、カバーの厚みが厚くなり過ぎず、反発性がより良好となる。一方、球状コアの直径が42.2mm以下であれば、カバーが薄くなり過ぎず、カバーの機能がより発揮される。
前記球状コアは、直径34.8mm〜42.2mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向にセンターが縮む量)が、2.0mm以上が好ましく、2.8mm以上がより好ましく、6.0mm以下が好ましく、5.0mm以下がより好ましい。前記圧縮変形量が、2.0mm以上であれば打球感がより良好となり、6.0mm以下であれば、反発性がより良好となる。
[カバー]
前記ゴルフボールのカバーは、樹脂成分を含有するカバー用組成物から形成される。前記樹脂成分としては、例えば、アイオノマー樹脂、BASFジャパン(株)から商品名「エラストラン(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン(登録商標)」で市販されている熱可塑性スチレンエラストマーなどが挙げられる。
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、あるいは、これらの混合物を挙げることができる。前記オレフィンとしては、炭素数が2〜8個のオレフィンが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等を挙げることができ、特にエチレンが好ましい。前記炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステル等が用いられ、特にアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが好ましい。これらの中でも、前記アイオノマー樹脂としては、エチレン−(メタ)アクリル酸二元共重合体の金属イオン中和物、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体の金属イオン中和物が好ましい。
前記アイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、三井デュポンポリケミカル(株)から市販されている「ハイミラン(Himilan)(登録商標)(例えば、1555(Na)、1557(Zn)、1605(Na)、1706(Zn)、1707(Na)、AM3711(Mg)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、ハイミラン1856(Na)、1855(Zn)など)」が挙げられる。
さらにデュポン社から市販されているアイオノマー樹脂としては、「サーリン(Surlyn)(登録商標)(例えば、8945(Na)、9945(Zn)、8140(Na)、8150(Na)、9120(Zn)、9150(Zn)、6910(Mg)、6120(Mg)、7930(Li)、7940(Li)、AD8546(Li)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、サーリン8120(Na)、8320(Na)、9320(Zn)、6320(Mg)、HPF1000(Mg)、HPF2000(Mg)など)」が挙げられる。
またエクソンモービル化学(株)から市販されているアイオノマー樹脂としては、「アイオテック(Iotek)(登録商標)(例えば、8000(Na)、8030(Na)、7010(Zn)、7030(Zn)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、アイオテック7510(Zn)、7520(Zn)など)」が挙げられる。
なお、前記アイオノマー樹脂の商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、Li、Mgなどは、これらの中和金属イオンの金属種を示している。前記アイオノマー樹脂は、単独で若しくは2種以上を混合して使用しても良い。
本発明のゴルフボールのカバーを構成するカバー用組成物は、樹脂成分として、熱可塑性ポリウレタンエラストマーまたはアイオノマー樹脂を含有することが好ましい。アイオノマー樹脂を使用する場合には、熱可塑性スチレンエラストマーを併用することも好ましい。カバー用組成物の樹脂成分中のポリウレタンまたはアイオノマー樹脂の含有率は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
前記カバー用組成物は、上述した樹脂成分のほか、白色顔料(例えば、酸化チタン)、青色顔料、赤色顔料などの顔料成分、酸化亜鉛、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの重量調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
前記白色顔料(例えば、酸化チタン)の含有量は、カバーを構成する樹脂成分100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であって、10質量部以下が好ましく、より好ましくは8質量部以下である。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、カバーに隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部超になると、得られるカバーの耐久性が低下する場合があるからである。
前記カバー用組成物のスラブ硬度は、所望のゴルフボールの性能に応じて適宜設定することが好ましい。例えば、飛距離を重視するディスタンス系のゴルフボールの場合、カバー用組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で50以上が好ましく、55以上がより好ましく、80以下が好ましく、70以下がより好ましい。カバー用組成物のスラブ硬度を50以上にすることにより、ドライバーショットおよびアイアンショットにおいて、高打出角で低スピンのゴルフボールが得られ、飛距離が大きくなる。また、カバー用組成物のスラブ硬度を80以下とすることにより、耐久性に優れたゴルフボールが得られる。また、コントロール性を重視するスピン系のゴルフボールの場合、カバー用組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で、50未満が好ましく、20以上が好ましく、25以上がより好ましい。カバー用組成物のスラブ硬度が、ショアD硬度で50未満であれば、ドライバーショットでは、本発明のコアにより、高飛距離化がはかれるとともに、アプローチショットのスピン量が高くなり、グリーン上で止まりやすいゴルフボールが得られる。また、スラブ硬度を20以上とすることにより、耐擦過傷性が向上する。複数のカバー層の場合は、各層を構成するカバー用組成物のスラブ硬度は、上記範囲内であれば、同一あるいは異なっても良い。
本発明のゴルフボールのカバーを成形する方法としては、例えば、カバー用組成物から中空殻状のシェルを成形し、コアを複数のシェルで被覆して圧縮成形する方法(好ましくは、カバー用組成物から中空殻状のハーフシェルを成形し、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法)、あるいは、カバー用組成物をコア上に直接射出成形する方法を挙げることができる。
圧縮成形法によりカバーを成形する場合、ハーフシェルの成形は、圧縮成形法または射出成形法のいずれの方法によっても行うことができるが、圧縮成形法が好適である。カバー用組成物を圧縮成形してハーフシェルに成形する条件としては、例えば、1MPa以上、20MPa以下の圧力で、カバー用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みをもつハーフシェルを成形できる。ハーフシェルを用いてカバーを成形する方法としては、例えば、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法を挙げることができる。ハーフシェルを圧縮成形してカバーに成形する条件としては、例えば、0.5MPa以上、25MPa以下の成形圧力で、カバー用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一なカバー厚みを有するゴルフボールカバーを成形できる。
カバー用組成物を射出成形してカバーを成形する場合、押出して得られたペレット状のカバー用組成物を用いて射出成形しても良いし、あるいは、基材樹脂成分や顔料などのカバー用材料をドライブレンドして直接射出成形してもよい。カバー成形用上下金型としては、半球状キャビティを有し、ピンプル付きで、ピンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねているものを使用することが好ましい。射出成形によるカバーの成形は、ホールドピンを突き出し、コアを投入してホールドさせた後、カバー用組成物を注入して、冷却することによりカバーを成形することができ、例えば、9MPa〜15MPaの圧力で型締めした金型内に、200℃〜250℃に加熱したカバー用組成物を0.5秒〜5秒で注入し、10秒〜60秒間冷却して型開きすることにより行う。
カバーには、通常、表面にディンプルと呼ばれるくぼみが形成される。ディンプルの総数は、200個以上500個以下が好ましい。ディンプルの総数が200個未満では、ディンプルの効果が得られにくい。また、ディンプルの総数が500個を超えると、個々のディンプルのサイズが小さくなり、ディンプルの効果が得られにくい。形成されるディンプルの形状(平面視形状)は、特に限定されるものではなく、円形;略三角形、略四角形、略五角形、略六角形などの多角形;その他不定形状;を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
前記カバーの厚みは、4.0mm以下が好ましく、より好ましくは3.0mm以下、さらに好ましくは2.0mm以下である。カバーの厚みが4.0mm以下であれば、得られるゴルフボールの反発性や打球感がより良好となる。前記カバーの厚みは、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、さらに好ましくは0.8mm以上、特に好ましくは1.0mm以上である。カバーの厚みが0.3mm未満では、カバーの耐久性や耐摩耗性が低下する場合がある。複数のカバー層の場合は、複数のカバー層の合計厚みが上記範囲であることが好ましい。
カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、塗膜やマークを形成することもできる。前記塗膜の膜厚は、特に限定されないが、5μm以上が好ましく、7μm以上がより好ましく、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。膜厚が5μm未満になると継続的な使用により塗膜が摩耗消失しやすくなり、膜厚が50μmを超えるとディンプルの効果が低下してゴルフボールの飛行性能が低下するからである。
本発明のゴルフボールの直径は、40mm〜45mmが好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。また、ゴルフボールの質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
本発明のゴルフボールは、直径40mm〜45mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときの圧縮変形量(圧縮方向に縮む量)は、2.0mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.4mm以上であり、さらに好ましくは2.5mm以上であり、最も好ましくは2.8mm以上であり、4.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは3.8mm以下、さらに好ましくは3.6mmである。前記圧縮変形量が2.0mm以上のゴルフボールは、硬くなり過ぎず、打球感が良い。一方、圧縮変形量を4.0mm以下にすることにより、反発性が高くなる。
本発明のゴルフボールの構造は、球状コアと、前記球状コアを被覆する一層以上のカバーとを有するものであれば、特に限定されない。前記球状コアは、単層構造であることが好ましい。単層構造の球状コアは、多層構造の界面における打撃時のエネルギーロスがなく、反発性が向上するからである。また、カバーは、一層以上の構造であればよく、単層構造、あるいは、少なくとも二層以上の多層構造を有していてもよい。本発明のゴルフボールとしては、例えば、球状コアと前記球状コアを被覆するように配設された単層のカバーとからなるツーピースゴルフボール;球状コアと前記球状コアを被覆するように配設された二層以上のカバーを有するマルチピースゴルフボール(スリーピースゴルフボールを含む);球状コアと前記球状コアの周囲に設けられた糸ゴム層と、前記糸ゴム層を被覆するように配設されたカバーとを有する糸巻きゴルフボールなどを挙げることができる。上記いずれの構造のゴルフボールにも本発明を好適に利用できる。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール1が示された一部切り欠き断面図である。ゴルフボール1は、球状コア2と、球状コア2を被覆するカバー3とを有する。このカバーの表面には、多数のディンプル31が形成されている。このゴルフボール3の表面のうち、ディンプル31以外の部分は、ランド32である。このゴルフボール1は、カバー3の外側にペイント層およびマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)圧縮変形量(mm)
コアまたはゴルフボールに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮方向の変形量(圧縮方向にコアまたはゴルフボールが縮む量)を測定した。
(2)反発係数
各コアまたはゴルフボールに198.4gの金属製円筒物を40m/秒の速度で衝突させ、衝突前後の前記円筒物およびコアまたはゴルフボールの速度を測定し、それぞれの速度および質量から各コアまたはゴルフボールの反発係数を算出した。測定は各コアまたはゴルフボールについて12個ずつ行って、その平均値をそのコアまたはゴルフボールの反発係数とした。なお、表1において、反発係数は、ゴルフボールNo.2との差で示した。
(3)コア硬度(ショアC硬度)
コアの表面部において測定した硬度をコア表面硬度とした。また、コアを半球状に切断し、切断面の中心、および、中心から所定の距離において硬度を測定した。なお、コア硬度は、コア断面の中心から所定の距離の4点で硬度を測定して、これらを平均することにより算出した。硬度は、自動硬度計(H.バーレイス社製、デジテストII)を用いて測定した。検出器は、「Shore C」を用いた。
(4)スラブ硬度(ショアD硬度)
カバー用組成物を用いて、射出成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板などの影響が出ないように3枚以上重ねた状態で、自動硬度計(H.バーレイス社製、デジテストII)を用いて硬度を測定した。検出器は、「Shore D」を用いた。
[ゴルフボールの作製]
(1)コアの作製
表1に示す配合のゴム組成物を混練ロールにより混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で加熱プレスすることにより直径39.8mmの球状コアを得た。なお、(c)架橋開始剤の配合量は、活性酸素量がゴルフボールNo.2のジクミルパーオキサイド0.8質量部の活性酸素量と同等となるように調整した。また、球状コアの成形温度は、1分間半減期温度に対して−15℃とした。なお、DCP、パーヘキサC−40の1分間半減期温度はカタログ値を採用した。ルペロックス931XLの1分間半減期温度は、示差走査熱量計(DSC)測定により推定した。具体的には、基材ゴム(BR730)100質量部と架橋開始剤(ルペロックス931XL)1.58質量部との混合物についてDSC測定(測定温度範囲0℃〜200℃、昇温速度10℃/min)を行い、発熱ピーク温度(159℃)に対して−14℃の温度(145℃)を1分間半減期温度と推定した。なお、基材ゴム(BR730)100質量部と架橋開始剤(DCP、1分間半減期温度175℃)0.8質量部との混合物は、発熱ピーク温度が189℃であった。基材ゴム(BR730)100質量部と架橋開始剤(パーヘキサC−40、1分間半減期温度154℃)0.95質量部との混合物は、発熱ピーク温度が168℃であった。
Figure 0006680082
BR730:JSR社製、ハイシスポリブタジエン(シス−1,4−結合含有量=96質量%、1,2−ビニル結合含有量=1.3質量%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))=55、分子量分布(Mw/Mn)=3)
ZN−DA90S:日触テクノファインケミカル社製、アクリル酸亜鉛(10質量%ステアリン酸亜鉛コーティング品)
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製「銀嶺R」
PBDS:ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィド
オクタン酸亜鉛:三津和化学薬品社製(純度99%以上)
DCP:日油社製、「パークミル(登録商標)D(ジクミルパーオキサイド)」、1分間半減期温度:175℃
パーヘキサC−40:日油社製、「パーヘキサ(登録商標)C−40(1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン)」、1分間半減期温度:154℃
ルペロックス931XL:アルケマ吉富社製、「ルペロックス(LUPEROX)(登録商標)931XL(1,1−ジ(1−メチル−1−フェニルエチルパーオキシ)シクロヘキサン)(式(1)において、R1およびR2がフェニル基、R3〜R12が水素原子であり、R1およびR2の置換基の結合解離エネルギーが474kJ/mol)」、推定1分間半減期温度:145℃
(2)カバーの作製
次に、表2に示した配合のカバー用材料を、二軸混練型押出機により押し出して、ペレット状のカバー用組成物を調製した。押出は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35で行った。配合物は、押出機のダイの位置で150〜230℃に加熱された。得られたカバー用組成物を上述のようにして得られた球状コア上に射出成形して、球状コアと前記コアを被覆するカバーを有するゴルフボールを作製した。
Figure 0006680082
ハイミラン(登録商標)1605:三井・デュポン・ポリケミカル社製、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
ハイミラン1706:三井・デュポン・ポリケミカル社製、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
ゴルフボールNo.1は、コア用ゴム組成物が、架橋開始剤として、ルペロックス931XL(1,1−ジ(1−メチル−1−フェニルエチルパーオキシ)シクロヘキサン)を含有する場合である。このゴルフボールNo.1は、架橋開始剤としてジクミルパーオキサイドを使用したゴルフボールNo.2よりも反発性能が向上している。これに対して、架橋開始剤として1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンを使用した場合(No.3)や、ジクミルパーオキサイドと1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンとを併用した場合(No.4)は、ゴルフボールNo.2に比べて反発性能が向上していない。
1:ゴルフボール、2:球状コア、3:カバー、31:ディンプル、32:ランド

Claims (9)

  1. 球状コアと前記球状コアを被覆する少なくとも一層以上のカバーとを有するゴルフボールであって、
    前記球状コアが、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤を含有し、(b)共架橋剤として炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸のみを含有する場合には、さらに(d)金属化合物を含有し、
    前記(c)架橋開始剤が、式(1)で表されるパーオキシケタールを含有するゴム組成物から形成されていることを特徴とするゴルフボール。
    Figure 0006680082
    [式(1)中、R1、R2は、それぞれ独立して、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基を表し、R3〜R12は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基を表す。R1およびR2で表される置換基は、結合解離エネルギーが435kJ/mol以上である。]
  2. 前記R1およびR2で表される置換基は、結合解離エネルギーが450kJ/mol以上である請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 前記R1およびR2で表される置換基が、フェニル基またはナフチル基である請求項1または2に記載のゴルフボール。
  4. 前記球状コアは、表面硬度(Hs)と中心硬度(Ho)との硬度差(Hs−Ho)が、ショアC硬度で、0以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  5. 前記ゴム組成物が、(b)共架橋剤として、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の金属塩を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  6. 前記ゴム組成物は、さらに(e)有機硫黄化合物を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  7. 前記(e)有機硫黄化合物が、チオフェノール類、ジフェニルジスルフィド類、チオナフトール類、チウラムジスルフィド類、または、これらの金属塩である請求項6に記載のゴルフボール。
  8. 前記ゴム組成物が、前記(a)基材ゴム100質量部に対して、前記(e)有機硫黄化合物を、0.05質量部〜5.0質量部含有する請求項6または7に記載のゴルフボール。
  9. 前記ゴム組成物が、前記(a)基材ゴム100質量部に対して、前記(b)炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸および/またはその金属塩を、15質量部〜50質量部含有する請求項1〜8のいずれか一項に記載のゴルフボール。
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