JP2004041734A - ゴム製コアを持つ低圧縮率、弾性ゴルフボール - Google Patents
ゴム製コアを持つ低圧縮率、弾性ゴルフボール Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】カバーとコアとを持つゴルフボールであって、該コアが、ポリブタジエン、フリーラジカル源およびシス−トランス触媒の転化反応により生成された物質を含み、該転化反応が、トランス−異性体分の第一の量よりも大きなトランス−異性体分の第二の量を含む、ポリブタジエン反応生成物を形成するのに十分な温度にて起こることを特徴とする、上記ゴルフボール。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低圧縮率で、弾性のゴルフボールおよび十分な量のポリブタジエン、フリーラジカル源およびシス−トランス触媒を転化反応させることにより、該ポリブタジエン中のシス−異性体の一部をトランス−異性体に転化することにより生成されたその部分に係り、ここで該反応は、トランス−異性体およびシス−異性体を含む物質を生成するのに十分な温度にて起こり、また該物質は、該転化反応前に存在したトランス−異性体の量よりも大きな、トランス−異性体の量を含む。特に、本発明のゴルフボールは、好ましくはポリブタジエンのほぼ中央に配置された少なくとも一つの中間層を有し、該中間層は、好ましくは弾性ポリマー成分と、約3.5 MPa (508 psi)を越える、曲げ弾性率により決定した剛性を持つ、架橋されていない第一混合物を与えるのに十分な量で存在する強化用ポリマー成分を含む。
【0002】
【従来技術】
従来のゴルフボール(中実または糸巻き)は、典型的に少なくとも一つのコア層と少なくとも一つのカバー層とを含んでいる。中実構造を持つツーピースボールは、長い飛距離をもたらす高い初期速度を持つ、極めて耐久性の良いボールを与えることから、ゴルファーにとって人気がある。しかし、使用している材料の高い剛性のために、これらゴルフボールは、ゴルフクラブでヒットした場合に「硬い」感触をもたらし、また比較的低いスピン速度を持ち、特に短いアプローチショットの際の、コントロールを困難にする。
糸巻きボール、即ち球状の中実ゴムまたは液体中心とこれに巻き付けられた張力を掛けた弾性糸を含むゴルフボールは、より柔らかい感触およびより高いスピン速度をもたらし、グリーン内およびグリーン回りでのより良好なコントロールを可能とすることから、幾分かのゴルファーに好まれている。しかし、糸巻きボールは、ツーピースボールと比較して、クラブでヒットした場合に、典型的にはより短い距離を移動する。その上、そのより複雑な構造の結果として、糸巻きボールは、一般的に従来のツーピースボールと比較して、製造により長時間を要し、しかも製造コストがより高い。
【0003】
糸巻きまたは中実ゴルフボールで使用される中実コアは、一般にポリブタジエン組成物から製造される。ワンピースコアに加えて、例えば二重コアゴルフボールでは、中実コアは幾つかの外層を含むこともできる。中実または糸巻きボール用のカバーは、一般にイオノマー樹脂、バラタ、またはポリブタジエンから製造され、また単一層からなっていてもよく、あるいは一またはそれ以上の層、例えば内側および外側カバー層を持つ二重カバー、および場合により該コア近傍に設けられた少なくとも一つの中間層を含むことができる。
これら異なる型の材料および構成に起因する競技特性における差異は、全く大きなものであり得る。即ち、あらゆる熟練度のゴルファーにとって、飛距離およびスピン速度両者の最大の性能をもたらし、しかも上で論じた所定の審美的特性を依然として維持するゴルフボールを提供しようとする試みにおいて、多くのゴルフボール製造業者は、様々な多層ゴルフボールを紹介しており、ここで該層は同一のまたは異なる材料で作られている。
進歩がなされてはいるが、ゴルフボール製造技術においては、ソフトな感触、良好なスピン特性および飛距離に関して最適なゴルフボールを提供する必要性が依然としてある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、改良された構造を持つゴルフボールに組み込まれた、改良されたコアおよびカバー組成物を含むゴルフボールを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
一般に、本発明のゴルフボールは、コアと該コアの周りに同心状に設けられたカバーとを含み、転化反応により生成された材料(反応生成物)は、好ましくは該コアの少なくとも一部に配置される。このゴルフボールは、また該コアと該カバーとの間に設けられた追加の層を含むことができる。
該ポリブタジエン反応生成物は、好ましくは十分な量のポリブタジエン、フリーラジカル源およびシス−トランス触媒を転化反応させることにより、該ポリブタジエン中のシス−異性体の一部をトランス−異性体に転化することにより生成される。ここで、該反応はトランス−異性体およびシス−異性体を含む物質を生成するのに十分な温度にて起こり、また該物質は、該転化反応前に存在していたトランス−異性体の量よりも大きな、トランス−異性体の量を含む。
【0006】
該シス−トランス触媒は、有機硫黄化合物、無機スルフィド、周期律表第VIA族成分、またはその組合せを含むことができる。一態様において、該有機硫黄化合物は、実質的に金属を含まず、またジフェニルジスルフィドまたはジトリルジスルフィドまたはこれら両者の内少なくとも一つを含む。もう一つの態様において、該有機硫黄化合物は、ジトリルジスルフィドを含む。更に別の態様において、該シス−トランス触媒は、更に芳香族有機金属化合物、金属−有機硫黄化合物、芳香族有機化合物またはこれらの組合せの内少なくとも一つを含む。
好ましくは、該シス−トランス触媒は、ポリブタジエン100部あたり約0.1〜25部、好ましくはポリブタジエン100部あたり約0.1〜12部、より好ましくはポリブタジエン100部あたり約0.1〜8部なる範囲の量で存在する。一態様において、該シス−トランス触媒は、少なくとも約32%のトランス−異性体を含む、該ポリブタジエン反応生成物を生成するのに十分な量で存在する。
【0007】
元素状の硫黄またはポリマー状の硫黄もしくはこれら両者が、該シス−トランス触媒の第VIA族成分中に含まれる場合、その反応生成物は、更に加硫促進剤をも含むことができる。一態様において、該加硫促進剤は、スルフェナミド、チアゾール、ジチオカルバメート、チウラム、キサンテート、チアジアジン、チオウレア、グアナジン、またはアルデヒド−アミンの内少なくとも一つを含む。該促進剤を使用する場合、これは、約0.05〜2phrなる範囲の量で存在できる。一態様において、この随意の促進剤は、約0.1〜1phrなる範囲の量で存在する。
一態様において、該ポリブタジエン反応生成物は、全ブタジエンを基準として、約7%未満のビニル−異性体分、好ましくは約4%未満のビニル−異性体分およびより好ましくは約2%未満のビニル−異性体分を含む。
【0008】
本発明のもう一つの局面において、ゴルフボールの中心は、本発明のポリブタジエン反応生成物から作られ、その中心は、第一の硬さを持つ第一の点と、第二の硬さを持つ第二の点とを持ち、後者の硬さは、該第一の硬さよりも少なくとも約10%大きい。同様に、該反応生成物は、該中心内の第一の点における、第一の量のトランス−異性体と、該中心内の第二の点における、第二の量のトランス−異性体とを含む。該トランス−異性体の第一の量は、好ましくは該トランス−異性体の第二の量よりも少なくとも約6%およびより好ましくは少なくとも約10%少ない。もう一つの態様において、該第二の点は、約35〜60%のトランス−異性体ポリブタジエン、好ましくは約40〜50%のトランス−異性体ポリブタジエンを含む。
少なくとも一つの中間層は、ほぼ中央部に設けることができる。一態様において、該中間層は、弾性ポリマー成分と、約3.5 MPaを越える、曲げ弾性率により決定される剛性を持つ、架橋されていない第一混合物を与えるのに十分な量で存在する、強化用ポリマー成分を含む。中間層内の該強化用ポリマー成分は、該少なくとも一つの中間層の、約1〜40質量%なる範囲の量で存在できる。もう一つの態様において、該強化用ポリマー成分は、90%を越えるトランス−含有率および9%未満のビニル含有率を持つポリブタジエンポリマーを含む。
【0009】
本発明のもう一つの局面において、該ポリブタジエン中心は、少なくとも一つの中間層により包囲されていてもよく、該中間層は、弾性ポリマー成分と、該中間層の全ポリマー含有率を基準として、少なくとも約10%、好ましくは約10〜40%なる範囲の量で存在する、トランス−ポリイソプレン成分とから形成される。更に別の本発明の局面において、該少なくとも一つの中間層は、弾性ポリマー成分と、該中間層の全ポリマー含有率を基準として、少なくとも約15%、好ましくは約15〜40%なる範囲の量で存在するトランス−ポリブタジエン成分とを含む。カバーは内側ボールの周りに設けられる。一態様において、該カバーは、7.5質量%程度の未反応のイソシアネート基を含むプレポリマーから製造したポリウレタン組成物で作られる。もう一つの態様において、該カバーは、約60%を超えるディンプル被覆率、約35〜80ショアDなる範囲の硬さ、または約3.45 MPa (500psi)を越える曲げ弾性率を有し、ここで該ゴルフボールは約50〜120なる範囲の圧縮率または約0.7を越える反発係数の少なくとも一方を持つ。更に別の態様において、該反応生成物は、−50℃にて測定した第一の動的剛性(dynamic stiffness)を有し、該剛性は、0℃にて測定した第二の動的剛性の約130%未満である。
【0010】
このカバーは、少なくとも約0.76 mm (約0.03 in)なる厚みを持つことができる。一態様において、このカバーは、約0.76 mm〜3.18 mm (約0.03〜0.125 in)なる範囲の厚みを持つ。もう一つの態様において、該カバーは、約58〜68なる範囲のショアD硬さを持つ。一態様において、該カバーは、少なくとも2つの層を含む。
該内側カバー層が存在する場合、これはイオノマー樹脂、ポリウレタン、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、ポリエステル、力学的に加硫されたエラストマー、官能化スチレン−ブタジエンエラストマー、メタロセンポリマー、ナイロン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマーまたはこれらのブレンドを含む群から選択される少なくとも一種の物質から作ることができる。更に別の態様において、該内側カバーは、少なくとも約3.94 cm (約1.55 in)および好ましくは約4.01 cm〜約4.17 cm (約1.58〜約1.64 in)なる範囲の外径を持つ。付随的態様において、該ポリウレタンは、熱可塑性または熱硬化性物質である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、様々なゴルフボールの構造、即ちワンピース、ツーピースまたは多層ボールに関する。ここで使用する用語「多層(multiplayer)」とは、少なくとも2層を含むゴルフボールを意味し、糸巻きボールおよび多重コア、中間層およびカバー層を含むボールを含む。
本発明のゴルフボールは、中実、中空または流体−充填中心を持つことができる。例えば、該ゴルフボールのコアは、公知の中心を有し、この中心は、該中心と該内側カバー層との間に設けられた、中間層または外側コア層により包囲されていても良い。このコアは、固体または液体であり得、また単一層であり得、あるいは複数の層を含むことができる。該コアは、また固体または液体充填中心と、その回りを取り巻く長い張力を掛けた弾性材料とを含むこともできる。該コアと同様に、該中間層または外側コア層も、複数の層を含むことができる。
シス−トランス触媒、ポリブタジエンを含む弾性ポリマー成分、フリーラジカル源、および随意の架橋剤、フィラー、またはその両者を含む反応生成物は、本発明のゴルフボールの任意の層に組み込むことができる。ポリマー、シス−トランス触媒、フィラー、架橋剤およびフリーラジカル源の様々な組合せを使用して、該反応生成物を製造できる。一態様において、該ポリブタジエン反応生成物は、該中心の一部、少なくとも一つの中間層またはこれら両者を製造するのに利用される。
【0012】
コア組成物
上に述べたように、該ボールの中心は、中実であり得また多層を含むことができる。ポリブタジエンを含む弾性ポリマー成分は、該コアの1またはそれ以上の部分を形成するのに利用できる。
一態様において、シス−トランス触媒を含む反応生成物は、該ボールの中心を製造するのに利用される。この態様において、少なくとも一つの中間層は中実であり、かつ該ボール内の該層の心だしを改善するために、ここに記載するような強化ポリマー成分を含む。
ゴルフボールの競技特性にとって望ましくかつ有利である、より高いレジリエンスおよびより低いモジュラス(低圧縮率)を呈するポリマー反応生成物を製造するために、高分子量のシス−1,4−ポリブタジエンは、好ましくはその成形サイクル中に、そのトランス−異性体に転化される。
【0013】
ポリブタジエン成分
中実コア用の材料は、一般にポリブタジエン等のゴム基材を含む組成物を含有する。高いレジリエンスおよび低い圧縮率を達成するためには、好ましくは約40%を越えるシス−異性体含有率を持つ高分子量ポリブタジエンを転化反応に付し、その成形サイクル中に、該ゴルフボールにおける任意の点またはその部分のトランス−異性体分の割合を高め、好ましくは該ゴルフボールの実質的全部またはその部分の、トランス−異性体分の割合を高める。特に述べない限り、ここで使用するシス−異性体ポリブタジエンの割合は、ポリブタジエン異性体全体に対する、シス−異性体の量を反映する。この割合に100を乗じて、百分率を得る。ポリブタジエンのトランス−異性体の割合は、この組成物中の、ポリブタジエン異性体全体に対する、トランス−異性体の量を反映し、この数に100を乗じて、百分率を得る。ビニル−異性体の割合も、同様に定義される。
【0014】
一態様において、該シス−異性体は、ポリブタジエンの全含有率の約70%を越える量で、好ましくはポリブタジエンの全含有率の約80%を越える量で、およびより好ましくはポリブタジエンの全含有率の約90%を越える量で存在する。ここで使用する用語「約」とは、1またはそれ以上の数または数値範囲との関連で使用され、ある範囲内の全ての数を含む、このような数全てを意味するものと理解すべきである。更に別の態様では、該シス−異性体は、ポリブタジエンの全含有率の約95%を越える量、およびより好ましくはその約96%を越える量で存在する。このポリブタジエン物質は、典型的に約200,000を越える分子量を持つ。ここで使用する用語「分子量」とは、絶対重量平均分子量として定義される。一態様において、このポリブタジエンの分子量は、約250,000を越え、およびより好ましくは約300,000〜500,000なる範囲内にある。もう一つの態様において、このポリブタジエンの分子量は、約400,000またはそれ以上であり、またその多分散性は、約2以下である。
【0015】
該ゴム基材(未加硫)、例えばポリブタジエンは、好ましくは高いムーニー粘度を持つ。一態様において、このポリブタジエンは約20を越える、好ましくは約30を越えるおよびより好ましくは約40を越えるムーニー粘度を持つ。ムーニー粘度は、典型的にASTM D−1646に従って測定される。もう一つの態様では、該ポリブタジエンのムーニー粘度は、約35を越えおよび好ましくは約50を越える。一態様において、該未加硫ポリブタジエンのムーニー粘度は、約40〜約80なる範囲にある。もう一つの態様では、このムーニー粘度は、約45〜約60なる範囲、より好ましくは約45〜約55なる範囲にある。
所定のポリブタジエンゴムの例は、OH、アクロンのバイエル(Bayer)社から市販品として入手できるブナ(BUNATM) CB22およびブナCB23、日本国、東京の宇部工業から市販品として入手できるウベポール(UBEPOLTM) 360Lおよびウベポール150LおよびTX、ヒューストンのシェル(Shell)社から市販品として入手できるカリフレックス(CARIFLEXTM) BCP820およびカリフレックスBCP824を含む。所望ならば、このポリブタジエンは、また当分野において公知の他のエラストマー、例えば天然ゴム、ポリイソプレンゴムおよび/またはスチレン−ブタジエンゴムと混合して、該コアの特性を改良することができる。
【0016】
何等特定の理論に拘泥するつもりはないが、少量の1,2−ポリブタジエン異性体(「ビニル−ポリブタジエン」)が、初期ポリブタジエンおよび該反応生成物において望ましいと考えられる。典型的に、該ビニル−ポリブタジエン異性体含有率は、約7%未満、好ましくは約4%未満、およびより好ましくは約2%未満である。
触媒
何等特定の理論に拘泥するつもりはないが、該フリーラジカル源との組合せによる、該シス−トランス触媒成分は、ある割合の該ポリブタジエンポリマー成分を、そのシス−配座からトランス−配座に転化するように機能するものと考えられる。従って、このシス−トランス転化は、シス−トランス触媒、例えば有機硫黄または金属含有有機硫黄化合物、硫黄または金属を含まない置換または無置換の芳香族有機化合物、有機スルフィド化合物、芳香族有機金属化合物、またはこれらの混合物の存在を必要とする。
【0017】
ここで使用する「シス−トランス触媒」とは、所定の温度にて、シス−異性体の少なくとも一部をトランス−異性体に転化するであろう任意の成分またはその組合せを意味する。このシス−トランス触媒成分は、1またはそれ以上のここに記載するシス−トランス触媒を含むことができるが、典型的には少なくとも一種の有機硫黄成分、周期律表第VIA族成分、無機スルフィド、またはこれらの組合せを含む。一態様において、このシス−トランス触媒は、有機硫黄成分と、無機スルフィド成分または第VIA族成分とのブレンドである。
本発明に言及する際にここで使用する用語「有機硫黄化合物」または「有機硫黄成分」とは、炭素、水素および硫黄を含む任意の化合物を意味する。ここで使用する用語「硫黄成分」とは、成分、即ち元素状硫黄、ポリマー状硫黄またはその組合せを意味する。更に、「元素状硫黄」とは、S8のリング構造を意味し、また「ポリマー状硫黄」とは、該元素状硫黄に対して少なくとも一つの付随的な硫黄を含む構造を持つものである。
【0018】
該シス−トランス触媒は、典型的に、該トランス−ポリブタジエン異性体含有率を高め、全弾性ポリマー成分を基準として、約5〜70%のトランス−異性体ポリブタジエンを含む該反応生成物を得るのに十分な量で存在する。従って、このシス−トランス触媒は、好ましくは全弾性ポリマー成分100部当たり、約0.1〜約25部なる範囲の量で存在する。ここで使用する用語「100部当たりの部」とは、「phr」としても知られ、全ポリマー成分100質量部に対して、混合物中に存在する特定の成分の質量部数として定義される。数学的には、ある成分の質量を該ポリマーの全質量で割り、ファクタ100を乗じたものとして表すことができる。一態様において、このシス−トランス触媒は、該弾性ポリマー成分全体の約0.1〜約12 phrなる範囲、好ましくは約0.1〜約10 phrなる範囲、より好ましくは約0.1〜約8 phr、およびより一層好ましくは約0.1〜約5 phrなる範囲の量で存在する。
【0019】
好ましくは、有機硫黄化合物または成分は、芳香族有機硫黄成分、例えばアリール化合物を含む。より好ましくは、本発明において使用するのに適した有機硫黄成分は、少なくとも一種のジフェニルジスルフィド、4,4’−ジトリルジスルフィド、2,2’−ベンズアミドジフェニルジスルフィド、ビス(2−アミノフェニル)ジスルフィド、ビス(4−アミノフェニル)ジスルフィド、ビス(3−アミノフェニル)ジスルフィド、2,2’−ビス(4−アミノナフチル)ジスルフィド、2,2’−ビス(3−アミノナフチル)ジスルフィド、2,2’−ビス(4−アミノナフチル)ジスルフィド、2,2’−ビス(5−アミノナフチル)ジスルフィド、2,2’−ビス(6−アミノナフチル)ジスルフィド、2,2’−ビス(7−アミノナフチル)ジスルフィド、2,2’−ビス(8−アミノナフチル)ジスルフィド、1,1’−ビス(2−アミノナフチル)ジスルフィド、1,1’−ビス(3−アミノナフチル)ジスルフィド、1,1’−ビス(3−アミノナフチル)ジスルフィド、1,1’−ビス(4−アミノナフチル)ジスルフィド、1,1’−ビス(5−アミノナフチル)ジスルフィド、1,1’−ビス(6−アミノナフチル)ジスルフィド、1,1’−ビス(7−アミノナフチル)ジスルフィド、1,1’−ビス(8−アミノナフチル)ジスルフィド、1,2’−ジアミノ−1,2’−ジチオジナフタレン、2,3’−ジアミノ−1,2’−ジチオジナフタレン、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ニトロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−ニトロフェニル)ジスルフィド、エチル2,2’−ジチオ安息香酸、メチル2,2’−ジチオ安息香酸、2,2’−ジチオ安息香酸、エチル4,4’−ジチオ安息香酸、ビス(4−アセチルフェニル)ジスルフィド、ビス(2−アセチルフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ホルミルフェニル)ジスルフィド、ビス(4−カルバモイルフェニル)ジスルフィド、1,1’−ジナフチルジスルフィド、2,2’−ジナフチルジスルフィド、1,2’−ジナフチルジスルフィド、2,2’−ビス(1−クロロジナフチル)ジスルフィド、2,2’−ビス(1−ブロモナフチル)ジスルフィド、1,1’−ビス(2−クロロナフチル)ジスルフィド、2,2’−ビス(1−シアノナフチル)ジスルフィド、2,2’−ビス(1−アセチルナフチル)ジスルフィド、等またはこれらの混合物を含む。最も好ましい有機硫黄成分は、ジフェニルジスルフィド、4,4’−ジトリルジスルフィド、またはこれらの混合物、特に4,4’−ジトリルジスルフィドを含む。
【0020】
一態様において、該少なくとも一種の有機硫黄成分は、実質的に金属を含まないものである。ここで使用する用語「実質的に金属を含まない」とは、約10質量%未満、好ましくは約5質量%未満、より好ましくは約3質量%未満、より一層好ましくは約1質量%未満および最も好ましくは約0.01質量%未満を意味する。硫黄または金属を含まない、適当な置換または未置換の芳香族有機成分は、ジフェニルアセチレン、アゾベンゼン、またはこれらの混合物を含むが、これらに制限されない。該芳香族有機基は、好ましくはそのサイズにおいて、C6〜C20およびより好ましくはC6〜C10なる範囲内にある。
該有機硫黄シス−トランス触媒が存在する場合、これは好ましくは該弾性ポリマー成分全体を基準として、任意の位置において少なくとも約12%のトランス−異性体を、好ましくは任意の位置において約32%を越えるトランス−異性体ポリブタジエンを含む反応生成物を生成するのに十分な量で存在する。該有機硫黄シス−トランス触媒は、また任意の位置において少なくとも約10%の、より好ましくは少なくとも約15%のおよびより一層好ましくは少なくとも約20%のトランス−異性体を含む反応生成物を生成するのに十分な量で存在する。更に別の態様において、該シス−トランス触媒は、任意の位置において少なくとも約25%の、より好ましくは少なくとも約30%のおよびより一層好ましくは少なくとも約35%のトランス−異性体を含む反応生成物を生成するのに十分な量で存在する。更に多量のシス−トランス触媒を使用して、より一層高い率でトランス−異性体を作ることも可能である。例えば、該シス−トランス触媒は、任意の位置において少なくとも約38%の、より好ましくは少なくとも約40%のおよびより一層好ましくは少なくとも約45%のトランス−異性体を含む反応生成物を生成するのに十分な量で存在する。
【0021】
一態様において、該有機硫黄シス−トランス触媒は、約0.5 phrまたはそれ以上の量で、該反応生成物中に存在する。もう一つの態様において、該シス−トランス触媒は第VIA族成分を含み、これは約0.6 phrまたはそれ以上、好ましくは約1.0 phrまたはそれ以上およびより好ましくは約2.0 phrまたはそれ以上の量で、該反応生成物中に存在する。
適当な金属−含有有機硫黄成分は、ジエチルジチオカルバメート、ジアミルジチオカルバメート、およびジメチルジチオカルバメート、またはこれらの混合物のカドミウム、銅、鉛およびテルル類似体を含むが、これらに限定されない。
一態様において、該金属−含有有機硫黄シス−トランス触媒は、約1.0 phrまたはそれ以上、好ましくは約2.0 phrまたはそれ以上、より好ましくは約2.5 phrまたはそれ以上およびより一層好ましくは約3.0 phrまたはそれ以上の量で、該反応生成物中に存在する。
一態様において、有機硫黄成分は、ハロゲン化有機硫黄化合物である。ハロゲン化有機硫黄化合物は、以下の一般式で示されるものを含むが、これらに限定されない:
【0022】
【化1】
【0023】
該一般式において、R1−R5は、任意の順序のC1−C8アルキル基、ハロゲン原子、チオール基(−SH)、カルボキシレート基、スルホネート基、および水素原子、およびペンタフルオロチオフェノール、2−フルオロチオフェノール、3−フルオロチオフェノール、4−フルオロチオフェノール、2,3−フルオロチオフェノール、2,4−フルオロチオフェノール、3,4−フルオロチオフェノール、3,5−フルオロチオフェノール、2,3,4−フルオロチオフェノール、3,4,5−フルオロチオフェノール、2,3,4,5−テトラフルオロチオフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロチオフェノール、4−クロロテトラフルオロチオフェノール、ペンタクロロチオフェノール、2−クロロチオフェノール、3−クロロチオフェノール、4−クロロチオフェノール、2,3−クロロチオフェノール、2,4−クロロチオフェノール、3,4−クロロチオフェノール、3,5−クロロチオフェノール、2,3,4−クロロチオフェノール、3,4,5−クロロチオフェノール、2,3,4,5−テトラクロロチオフェノール、2,3,5,6−テトラクロロチオフェノール、ペンタブロモチオフェノール、2−ブロモチオフェノール、3−ブロモチオフェノール、4−ブロモチオフェノール、2,3−ブロモチオフェノール、2,4−ブロモチオフェノール、3,4−ブロモチオフェノール、3,5−ブロモチオフェノール、2,3,4−ブロモチオフェノール、3,4,5−ブロモチオフェノール、2,3,4,5−テトラブロモチオフェノール、2,3,5,6−テトラブロモチオフェノール、ペンタヨードチオフェノール、2−ヨードチオフェノール、3−ヨードチオフェノール、4−ヨードチオフェノール、2,3−ヨードチオフェノール、2,4−ヨードチオフェノール、3,4−ヨードチオフェノール、3,5−ヨードチオフェノール、2,3,4−ヨードチオフェノール、3,4,5−ヨードチオフェノール、2,3,4,5−テトラヨードチオフェノール、2,3,5,6−テトラヨードチオフェノール、およびこれらの亜鉛塩であり得る。
【0024】
好ましくは、該ハロゲン化有機硫黄化合物は、ペンタクロロチオフェノールであり、これはニート(neat)型あるいは商品名ストラクトール(STRUKTOLTM)の下で市販されており、これは45%(2.4部のPCTPに相当)にて担持された、該硫黄化合物ペンタクロロチオフェノールを含むクレーを主成分とする担体である。このストラクトールは、OH、ストーの、米国におけるトラクトール(Struktol)社から市販品として入手できる。PCTPは、ニート形状でCA、サンフランシスコのエチナケム(eChinachem)社から、また塩の状態でCA、サンフランシスコのエチナケム社から市販品として入手できる。最も好ましくは、該ハロゲン化有機硫黄化合物は、ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩であり、CA、サンフランシスコのエチナケム社から市販品として入手できる。本発明の該ハロゲン化有機硫黄化合物は、好ましくは約2.2 phrを越える量、より好ましくは約2.3 phr〜約5 phrなる範囲の量、および最も好ましくは約2.3 phr〜約4 phrなる範囲の量で存在する。
【0025】
このシス−トランス触媒は、また第VIA族成分をも含むことができる。ここで使用する用語「第VIA族成分」または「第VIA族元素」とは、硫黄成分、セレン、テルル、またはこれらの組合せを含む成分を意味する。元素状硫黄およびポリマー状硫黄は、例えばOH、シャルドン(Chardon)のエラストケム社(Elastochem Inc.)から市販品として入手できる。硫黄触媒化合物の例は、PB(RM−S)−80元素状硫黄およびPB(CRST)−65ポリマー状硫黄を含み、その各々はエラストケム社から入手できる。商品名テロイ(TELLOY)なるテルル触媒の例および商品名バンデックス(VANDEX)なるセレン触媒の例は、CT、ノルウォーク(Norwalk)のRTバンダービルト(Vanderbilt)社から入手できる。第VIA族成分を含む該シス−トランス触媒は、約0.25 phrまたはそれ以上、好ましくは約0.5 phrまたはそれ以上、およびより好ましくは約1.0 phrまたはそれ以上なる量で、該反応生成物中に存在する。
【0026】
適当な無機スルフィド成分は、硫化チタン、硫化マンガン、および鉄、カルシウム、コバルト、モリブデン、タングステン、銅、セレン、イットリウム、亜鉛、錫およびビスマスのスルフィド同族体を含むが、これらに限定されない。無機スルフィド成分を含む該シス−トランス触媒は、約0.5 phrまたはそれ以上、好ましくは約0.75 phrまたはそれ以上、およびより好ましくは約1.0 phrまたはそれ以上なる量で、該反応生成物中に存在する。
反応生成物が、有機硫黄成分および無機スルフィド成分を含むシス−トランス触媒のブレンドを含む場合、好ましくは、該有機硫黄成分は、約0.5 phrまたはそれ以上、好ましくは約1.0 phrまたはそれ以上、およびより好ましくは約1.5 phrまたはそれ以上なる量で存在し、また好ましくは、該無機スルフィド成分は、約0.5 phrまたはそれ以上、好ましくは約0.75 phrまたはそれ以上、およびより好ましくは約1.0 phrまたはそれ以上なる量で存在する。
【0027】
また、置換または無置換の芳香族有機化合物を、このシス−トランス触媒に含めることができる。一態様において、該芳香族有機化合物は、実質的に金属を含まない。適当な置換または無置換の芳香族有機成分は、式:(R1)x−R3−M−R4−(R2)yで示される成分を含むが、これらに限定されず、ここでR1およびR2は各々水素原子または置換または無置換のC1−20直鎖、分岐または環式アルキル、アルコキシまたはアルキルチオ基、または単一の、複数の、または融合リング式のC6〜C24芳香族基であり、xおよびyは夫々0〜5の整数であり、R3およびR4は各々単一の、複数の、または融合リング式のC6〜C24芳香族基から選択され、およびMはアゾ基または金族成分を含む。R3およびR4は、各々好ましくはC6〜C10の芳香族基から選択され、より好ましくはフェニル、ベンジル、ナフチル、ベンズアミド、およびベンゾチアジル基から選択される。R1およびR2は、各々好ましくは置換または無置換のC1−10直鎖、分岐または環式アルキル、アルコキシまたはアルキルチオ基またはC6〜C10の芳香族基から選択される。R1、R2、R3またはR4が置換されている場合、その置換基は、以下に列挙する置換基の1以上を含むことができる:ヒドロキシおよびその金属塩;メルカプトおよびその金属塩;ハロゲン;アミノ、ニトロ、シアノ、およびアミド;カルボキシル−含有エステル、酸、およびその金属塩;シリル;アクリレートおよびその金属塩;スルフォニルまたはスルホンアミド;およびホスフェートおよびホスファイト。Mが金属成分である場合、これは当業者が入手することのできる、任意の適当な元素状金属であり得る。典型的に、この金属は遷移金属であるが、好ましくはこの金属はテルルまたはセレンである。
【0028】
フリーラジカル源
フリーラジカル源は、またしばしば遊離基開始剤とも言われ、本発明の組成物および方法にとって必要とされる。このフリーラジカル源は、典型的にはパーオキシドであり、また好ましくは硬化サイクル中に分解する、有機パーオキシドである。適当なフリーラジカル源は、有機パーオキシド化合物、例えばジ−t−アミルパーオキシド、ジ(2−t−ブチル−パーオキシイソプロピル)ベンゼンパーオキシドまたはα,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンまたは1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド等、およびこれらの任意の混合物を含む。
その他の例は、PA、フィラデルフィアのエルフアトケム(Elf Atochem)社から市販品として入手できる、バロックス(VAROXTM) 231XLおよびバロックスDCP−R;IL、シカゴのアクゾノーベル(Akzo Nobel)社から市販品として入手できる、パーコドックス(PERKODOXTM) BCおよびパーコドックス14;およびNJ、トレントン(Trenton)のレインケミー(Rhein Chemie)社から市販品として入手できる、エラストケム(ELASTOCHEMTM) DCP−70を含むが、これらに限定されない。
【0029】
パーオキシドが異なる活性を持つ様々な形態で入手できることは周知である。この活性は、典型的にはその「活性酸素含有率」によって定義される。例えば、パーコドックスBCパーオキシドは、98%活性であり、また5.8%なる活性酸素含有率を持ち、一方パーコドックスDCP−70は、70%活性であり、また4.18%なる活性酸素含有率をもつ。該パーオキシドは、典型的に該全弾性ポリマー成分100部当たり約0.1部を越える量、好ましくは該全弾性ポリマー成分100部当たり約0.1〜15部なる範囲およびより好ましくは該全弾性ポリマー成分100部当たり約0.2〜5部なる範囲の量で存在する。該パーオキシドが純粋な形で存在する場合、これは、好ましくは少なくとも約0.25 phr、より好ましくは約0.35 phr〜約2.5 phr、および最も好ましくは約0.5 phr〜約2 phrなる範囲の量で存在する。パーオキシドは、また濃縮された状態で入手することもでき、上記のようにこのようなものが様々な活性を持つことは周知である。この場合において、濃縮型のパーオキシドを本発明において使用する場合、当業者は、純粋なパーオキシドにとって適した濃度を、その活性で割ることにより、濃厚パーオキシドについて容易に調節されることを理解するであろう。例えば、2phrの純パーオキシドは、50%活性の濃厚パーオキシドの4phrに等価である(即ち、2÷0.5=4)。
【0030】
一態様において、該フリーラジカル源の量は、約5 phrまたはそれ以下、好ましくは約3 phrまたはそれ以下、より好ましくは2.5 phrまたはそれ以下、およびより一層好ましくは約2 phrまたはそれ以下である。更に別の態様では、該フリーラジカル源の量は約1 phrまたはそれ以下、好ましくは約0.75 phrまたはそれ以下である。
本発明による幾つかのシス−トランス触媒の存在が、公知の架橋反応と比較して、例えばここに記載したような量の、大量のフリーラジカル源の存在を必要とする可能性があることを、当業者は理解すべきである。このフリーラジカル源は、更にあるいは付随的に、電子ビーム、UVまたはγ−放射線、X−線、またはフリーラジカルを発生し得る、あらゆる他の高エネルギー輻射源の、1またはそれ以上であり得る。更に、熱が、しばしばフリーラジカル発生の開始を容易にすることも、理解すべきである。
【0031】
一態様において、該フリーラジカル源対該シス−トランス触媒の比は、約10またはそれ以下、好ましくは約5またはそれ以下、より好ましくは約4またはそれ以下、およびより一層好ましくは約2またはそれ以下である。もう一つの態様において、該フリーラジカル源対該シス−トランス触媒の比は、約1またはそれ以下、好ましくは約0.5またはそれ以下、およびより好ましくは約0.4またはそれ以下である。更に別の態様において、該フリーラジカル源−該シス−トランス触媒の比は1.0を越え、好ましくは約1.5またはそれ以上、およびより好ましくは約1.75またはそれ以上である。
架橋剤
該反応生成物の硬さを高めるために、架橋剤を含めることができる。適当な架橋剤は、1またはそれ以上の、炭素原子数3〜8の不飽和脂肪酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸、あるいはモノカルボン酸の金属塩、例えば亜鉛、カルシウム、またはマグネシウムアクリレート塩等、およびこれらの混合物を含む。その例は、1またはそれ以上の、ジアクリレート、ジメタクリレート、およびモノメタクリレート等の金属塩を含むが、これらに制限されず、ここで該金属はマグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ナトリウム、リチウムまたはニッケルである。好ましいアクリレートは、亜鉛アクリレート、亜鉛ジアクリレート、亜鉛メタクリレート、亜鉛ジメタクリレート、およびこれらの混合物を包含する。
【0032】
該架橋剤は、該弾性ポリマー成分における、ポリマー鎖の一部を架橋するのに十分な量で存在する必要がある。例えば、所定の圧縮率は、この架橋の量を調節することにより得ることができる。この調節は、例えば架橋剤の型およびその量を、当業者にとって周知の方法で変えることにより達成できる。この架橋剤は、典型的には該ポリマー成分の約0.1%を越える量、好ましくは該ポリマー成分の約10〜50%なる範囲の量、より好ましくは該ポリマー成分の約10〜40%なる範囲の量で存在する。
一態様において、該架橋剤は、該基本となるポリマーの100部当たり約10部(10phr)、好ましくは約20〜約40 phrなる範囲内の量、およびより好ましくは約25〜約35 phrなる範囲内の量で存在する。
該シス−トランス触媒として、有機硫黄を選択した場合、亜鉛ジアクリレートが架橋剤として選択され、また約25 phr未満の量で存在する。
【0033】
フィラー
フィラーは、本発明のゴルフボールの1以上の部分に添加できる。一態様において、少なくとも一種のフィラーを、該反応生成物に添加する。フィラーは、典型的にレオロジーおよび混合特性、比重(即ち、密度−変更フィラー)、モジュラス、引き裂き強さ、強化等に影響を与える、加工助剤または化合物を含む。これらフィラーは、一般に無機フィラーであり、また適当なフィラーは多数の金属、金属酸化物および塩、例えば酸化亜鉛および酸化錫、並びに硫酸バリウム、硫酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、クレー、タングステン、タングステンカーバイド、シリカアレイ(array of silicas)、リグラインド(典型的に約30メッシュの粒子にまで粉砕されたリサイクルコア材料)、高−ムーニー粘度ゴムリグラインド、およびこれらの混合物を包含する。
【0034】
フィラーは、また当業者により容易に選択できる、様々な泡立て剤または発泡剤を含むことができる。発泡ポリマーブレンドは、当業者には周知であるように、発泡剤とポリマー材料とを混合することによって製造できる。ポリマー、セラミックス、金属、またはガラス微小球またはこれらの組合せを使用して、与えられた層の密度または他の特性を調節することができ、またこのような微小球は、中実または中空の、充填されたもしくは充填されていないものであり得る。また、典型的にフィラーを、該ゴルフボールの1以上の部分に添加して、均一なゴルフボール基準に従うように、その密度を変えることができる。フィラーは、また該中心または特製ボールに関する少なくとも一つの追加層の質量を変更するために使用することもできる。例えば、低質量のボールは、スウィング速度の低い競技者にとって好ましい。
【0035】
促進剤
元素状硫黄またはポリマー状硫黄が該シス−トランス触媒に含まれている場合、促進剤を使用して、該シス−トランス触媒の性能を改善することができる。適当な促進剤は、スルフェナミド、例えばN−オキシジエチレン2−ベンゾチアゾール−スルフェナミド、チアゾール、例えばベンゾチアジルジスルフィド、ジチオカルバメート、例えばビスマスジメチルジチオカルバメート、チウラム、例えばテトラベンジルチウラムジスルフィド、キサンテート、例えば亜鉛イソプロピルキサンテート、チアジアジン、チオウレア、例えばトリメチルチオウレア、グアナジン、例えばN,N’−ジ−オルト−トリルグアナジン、またはアルデヒド−アミン、例えばブチルアルデヒド−アニリン縮合生成物、またはこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
酸化防止剤
典型的に、酸化防止剤は、公知のゴルフボールコア組成物に含まれており、その理由は、酸化防止剤がゴルフボールコアで使用する化合物の製造業者によって供給される材料中に含まれているからである。如何なる特定の理論にも拘泥するつもりはないが、該反応生成物における多量の酸化防止剤の存在は、該酸化防止剤が、該フリーラジカル源の少なくとも一部として消費されることから、低いトランス−異性体含有率をもたらす可能性がある。従って、前に記載した該反応生成物における該フリーラジカル源を大量に、例えば約3 phrなる量で使用しても、約0.3 phrを越える酸化防止剤の量が、シス−トランス転化を補助するために実際に利用できる、該フリーラジカルの有効量を大幅に減じる可能性がある。
【0036】
該組成物における酸化防止剤の存在は、フリーラジカルが十分に該シス−トランス転化を補助する能力を、阻害してしまう可能性があると考えられるので、該転化のために提供される、フリーラジカルの十分な量を保証する一つの方法は、該組成物内に存在するフリーラジカルの初期レベルを高めて、該組成物中の酸化防止剤との相互作用後に、十分な量のフリーラジカルを残すことである。このように、該組成物に与えられたフリーラジカルの初期の量は、少なくとも約10%だけ増大することができ、またより好ましくは少なくとも約25%だけ増大させて、残留フリーラジカルの有効量が、該所定のシス−トランス転化を十分にもたらすのに満足な値とする。該組成物内に存在する酸化防止剤の量に依存して、フリーラジカルの初期の量は、少なくとも50%、100%または必要に応じて更に高い量まで高めることができる。以下で論じるように、該組成物におけるフリーラジカルの量の選択は、フリーラジカル対酸化防止剤の所定の比に基いて決定することができる。
【0037】
もう一つの方法は、該組成物における酸化防止剤の濃度を減じまたはこれを排除することである。例えば、本発明の反応生成物は、酸化防止剤を実質的に含まず、結果として該シス−トランス転化に対する、該フリーラジカルの高い利用性を達成することができる。ここで使用する用語「実質的に含まない」とは、一般に該ポリブタジエン反応生成物が、約0.3 phr未満の酸化防止剤を含み、好ましくは約0.1 phr未満の酸化防止剤を含み、より好ましくは約0.05 phr未満の酸化防止剤を含み、および最も好ましくは約0.01 phrまたはそれ以下の酸化防止剤を含むことを意味する。
酸化防止剤の量は、転化後のトランス−異性体分の量と相関関係を持つことがここで示された。例えば、0.5 phrの酸化防止剤を含み、約168℃(335°F)にて11分間硬化したポリブタジエン反応生成物は、該中心の外表面において約15%のトランス−異性体含有率、および該転化反応後の内部位置における約13.4%なるトランス−異性体含有率をもたらす。これとは対照的に、実質的に酸化防止剤を含まない同一のポリブタジエン反応生成物は、外側表面における約32%なるトランス−異性体含有率、および該転化反応後の内部位置における約21.4%なるトランス−異性体含有率をもたらす。
【0038】
一態様において、該フリーラジカル源対酸化防止剤の比は、約10を越え、好ましくは約25を越え、およびより好ましくは約50を越える。もう一つの態様において、このフリーラジカル源−酸化防止剤の比は約100またはそれ以上、好ましくは約200またはそれ以上、より好ましくは250またはそれ以上、およびより一層好ましくは約300またはそれ以上である。
該反応生成物が、実質的に酸化防止剤を含まない場合、該フリーラジカル源の量は、約3 phrまたはそれ以下、好ましくは約2.5 phrまたはそれ以下、およびより好ましくは約2 phrまたはそれ以下であり得る。一態様において、該反応生成物における該フリーラジカルの量は、約1.5 phrまたはそれ以下、好ましくは約1phrまたはそれ以下、およびより好ましくは約0.75 phrまたはそれ以下である。
【0039】
該反応生成物が、約0.1 phrまたはそれ以上の酸化防止剤を含む場合、該フリーラジカル源は、好ましくは約1 phrまたはそれ以上の量で存在する。一態様において、該反応生成物が、約0.1 phrまたはそれ以上の酸化防止剤を含む場合、該フリーラジカル源は、約2 phrまたはそれ以上の量で存在する。別の態様において、酸化防止剤が、約0.1 phrまたはそれ以上の量で存在する場合、該フリーラジカル源は約2.5 phrまたはそれそれ以上の量で存在する。
一態様において、該反応生成物が、約0.05 phrを越える酸化防止剤を含む場合、該フリーラジカル源は、好ましくは約0.5 phrまたはそれ以上の量で存在する。別の態様において、該反応生成物が、約0.05 phrを越える酸化防止剤を含む場合、該フリーラジカル源は、約2 phrまたはそれ以上の量で存在する。更に別の態様において、酸化防止剤が、約0.05 phrまたはそれ以上の量で存在する場合、該フリーラジカル源は約2.5 phrまたはそれそれ以上の量で存在する。
【0040】
方法
本発明は、また該ポリブタジエン弾性ポリマー成分のシス−異性体を、成形サイクル中にそのトランス−異性体に転化し、かつゴルフボールを製造する方法にも関連する。
該弾性ポリマー成分、追加のポリマー、フリーラジカル開始剤、フィラー、および本発明に従って該ゴルフボール中心または該コアの任意の部分を製造するのに使用するあらゆる他の材料を併合して、当業者には公知の任意の型の混合によって、混合物を製造することができる。上記のように、一態様においては、この弾性ポリマー成分は、一般に該中心を製造するのに使用される。適当な型の混合法は、単一パスおよび複数パス混合法等を含む。該架橋剤および該ゴルフボールの中心または追加の層の諸特性を改良するために使用される、任意の他の随意の添加物は、同様に任意の型の混合によって併合することができる。成分が順次添加される場合には、単一パス混合法が好ましい。というのは、この型の混合が、該工程の効率を高め、かつ製造コストを下げるからである。好ましい混合サイクルは単一パスであり、そこでは該ポリマー、シス−トランス触媒、フィラー、亜鉛ジアクリレートおよびパーオキシドが順次添加される。適当な混合装置は、当業者には周知であり、またこのような装置は、バンバリーミキサ、二本ロールミルまたは二軸スクリュー押出機を含むことができる。
【0041】
ポリマーを併合するための従来の混合速度が、典型的に使用されるが、この速度は、該成分の実質的に均一な分散性を付与するのに、十分に高いものである必要がある。他方で、この速度は高過ぎないものであるべきである。というのは、高い混合速度は、混合中の該ポリマーを破壊する傾向があり、また特に該弾性ポリマー成分の分子量を不当に減じる恐れがある。従って、この速度は、高剪断を回避するのに十分な低い値とすべきであり、高剪断は、該ポリマー成分の望ましい高分子量部分の喪失をもたらす可能性がある。また、高すぎる混合速度は、望ましくないことに、該ポリマー成分の架橋を開始するのに十分な熱の発生をもたらす可能性がある。混合温度は、ポリマー成分の型、およびより重要なことには、フリーラジカル開始剤の型に依存する。例えば、ジ(2−t−ブチル−パーオキシイソプロピル)ベンゼンを該フリーラジカル開始剤として使用する場合、約80〜125℃なる範囲、好ましくは約88〜110℃なる範囲およびより好ましくは約90〜100℃なる範囲の温度が、該成分を安全に混合するのに適している。また、混合温度を該パーオキシドの分解温度以下に維持することが重要である。例えば、ジクミルパーオキシドを該パーオキシドとして選択した場合、該温度は93℃を越えるべきではない。適当な混合速度および温度は、当業者には周知であるか、あるいは不当な実験を行うことなしに容易に決定できる。
【0042】
該混合物を、例えば圧縮または射出成形工程に掛けて、該中心用の中実球または中間層製造用の半球状シェルを得る。このポリマー混合物を、成形サイクルに掛けるが、ここでは該混合物を金型内に閉じ込めたまま、熱と圧力とが印加される。金型キャビティーの形状は、製造すべきゴルフボールの部分に依存する。該圧縮力および熱は、1種以上のパーオキシドを分解することによりフリーラジカルを遊離し、これらは該シス−トランス転化および架橋を同時に開始することを可能とする。この成形サイクルの温度および期間は、選択されたパーオキシドおよびシス−トランス触媒の型に依存する。この成形サイクルは、単一の温度にて、決められた期間該混合物を成型する、単一の工程を含むことができる。単一段階法は、二段階法の期間およびコストを減じる上で、効果的かつ効率的である。該成形サイクルは、また二段階法を含むこともでき、そこでは該ポリマー混合物は、初期温度にて、初期期間、金型内に維持され、次いで第二の、典型的にはより高い温度に、第二の期間維持される。
【0043】
一態様においては、単一段階の硬化サイクルを使用する。その硬化時間は、選択される様々な材料に依存するが、特に適当な硬化時間は、約5〜18分、好ましくは8〜15分およびより好ましくは約10〜12分なる範囲内にある。当業者は、使用する特定の材料およびここでの議論に基いて、該硬化時間を上下に容易に調節できるであろう。ジクミルパーオキシドを含む混合物に関する、単一段階硬化サイクルの例では、該ポリマー混合物を171℃(340°F)にて15分間維持する。
もう一つの例では、二段階の硬化サイクルを利用して、該反応生成物を製造する。二段階硬化サイクルの例は、金型を143℃(290°F)にて40分間維持し、次いで該金型を171℃(340°F)に昇温し、この温度を20分間維持する。
【0044】
未硬化のポリマー成分よりも多量のトランス−異性体ポリブタジエンを含む、該中心内の硬化ポリマー成分は、第一の点において第一の硬さを持つおよび第二の点において第二の硬さを持つ成分に成形される。一態様において、該第二の硬さは、該第一の硬さよりも少なくとも約10%大きい。もう一つの態様において、該第二の硬さは、該第一の硬さよりも少なくとも約20%大きい。
別の態様において、該硬化された成分は、第一の内部の点に、例えば該ゴルフボールの幾何学中心において、第一の量のトランス−異性体ポリブタジエンを含み、該ゴルフボール中心の表面に近接して位置する第二の点における、第二の量のトランス−異性体ポリブタジエンを含み、ここで該第一の量は、該第二の量よりも少なくとも約6%低く、好ましくは該第二の量よりも少なくとも約10%低くおよびより好ましくは該第二の量よりも少なくとも約20%低い。
【0045】
当業者は、該ポリブタジエン反応生成物を、少なくとも第二のポリマー成分と混合して、該ゴルフボールの中心が製造可能であることを理解すべきである。好ましい一態様においては、該ポリブタジエン反応生成物を使用して、該中心を製造することができ、また第二の異なるポリマー成分を強化ポリマー成分と併合して、少なくとも一つの中間層を製造する。この最後の態様は、以下において更に詳細に論じる。
トランス − 異性体含有率の測定
ここで言及するトランス−異性体含有率の測定は、以下のようにして達成できる。検量用の基準を、既知のトランス−異性体含有率を持つ、少なくとも2種のポリブタジエンゴムサンプル、例えば高いおよび低いトランス−異性体含有率を持つポリブタジエンを使用して調製する。これらサンプルは単独で使用され、および少なくとも約1.5%〜50%なる範囲の、トランス−異性体ポリブタジエン含有率の序列を形成し、あるいは未知の量を一括して扱い、得られる検量線が少なくとも約13個の等間隔の点を含むように、一緒に混合される。
【0046】
光音響(PAS)セルを備えた、市販品として入手できるフーリエ−変換−赤外(FT−IR)分光光度計を使用し、各標準のPASスペクトルを、以下の装置パラメータを使用して得た:走査速度:2.5 KHz (0.16 cm/secなる光学速度);1.2 KHzの電子フィルタを使用;アンダーサンプリング(undersampling)比を2に設定(サンプル捕集前のレーザーシグナルゼロクロッシング(zero crossing)数);感度設定1において、375〜4000 cm−1なる範囲に渡る、解像度4 cm−1における最低128走査のコアッド(co−add)。
該PASスペクトルから600〜1100 cm−1なる範囲に見出されるシス−、トランス−およびビニル−異性体ポリブタジエンピークを積分することができる。これら3種の異性体ピーク下部における全面積の一部としての、該トランス−異性体ポリブタジエンピーク下部の面積を、次いで該トランス−異性体ポリブタジエン面積部分対実際のトランス−異性体ポリブタジエン含有率に関する検量線を構築するために決定することができる。得られた検量線の相関係数(R2)は、0.95なる最小値である必要がある。
【0047】
PASスペクトルは、離型剤等の異物を含まない、新たに切り出した、汚染されていない表面を含むサンプルで、該PASセルを満たすことによって、対象とする点(例えば、該コアの表面または幾何中心)における未知のコア材料について、上記パラメータを用いて得られる。該未知物質のトランス−異性体ポリブタジエン面積部分を、該検量線から実際のトランス−異性体含有率を決定するために分析する。製造中もしくはテスト中の物品の、任意の部分における該トランス−異性体含有率の増加は、ここでは、該物品の任意の点における該トランス−異性体の増加を意味するものと理解すべきである。
硫酸バリウムが含まれている公知の一状況においては、トランス−異性体含有率をテストするための上記方法は、それ程正確でない可能性がある。従って、該ポリブタジエンのトランス−異性体含有率の付随的なまたは別のテスト法は、以下の通りである。検量標準を、既知のトランス−異性体含有率を持つ、少なくとも2種のポリブタジエン(例えば、高いおよび低いトランス−異性体含有率を持つ2種のポリブタジエン)を使用して調製する。これらサンプルは単独で使用し、また少なくとも約1.5%〜50%なる範囲の、トランス−異性体ポリブタジエン含有率の序列を形成し、あるいは未知の量を一括して扱い、得られる検量線が少なくとも約13個の等間隔の点を含むように、一緒に混合する。
【0048】
近赤外レーザーを備えた、フーリエ変換−ラマン(FT−ラマン)分光光度計を用いて、ストークスラマンスペクトルを、以下の装置パラメータを使用して、各標準から得るべきである:過度の加熱または蛍光発光を生じることなしに良好なシグナル/ノイズ比を得るのに十分なレーザー出力(典型的には、約400〜800 mWが適当である);2 cm−1なる解像度;ラマンシフトスペクトル範囲:約400〜4000 cm−1;および少なくとも300走査のコアッド(co−adding)。
検量線は、上で得たデータから、化学的方法およびNH、サレム(Salem)のギャラクティックインダストリーズ社(Galactic Industries Corp.)からの、PLSplus/IQ等のソフトウエアを使用して作成できる。許容される検量線は、SNV(デトレンド(detrend))光路長補正、平均中央データ調製(mean center data preparation)および約1600〜1700 cm−1なるスペクトル範囲に渡る、5−点SG第二導関数(5−point SG second derivative)を利用して得たPLS−1曲線を使用して、このソフトウエアにより得た。得られたこの検量線の相関係数(R2)は、最低0.95である必要がある。
【0049】
未知コア材料のラマンスペクトルは、該未知サンプルにおける対象とする点(例えば、該ゴルフボールコアの表面または幾何中心)において、この装置を用いて得られる。この未知サンプルは、離型剤等の異物を含んでいてはならない。該未知サンプルのスペクトルを、このPLS検量線を用いて分析して、該未知サンプルのトランス−異性体含有率を決定する。
一態様において、転化後のトランス−異性体分の量は、少なくとも約10%またはそれ以上であり、一方別の態様では、これは約12%以上である。もう一つの態様において、該トランス−異性体分の量は、転化後に約15%以上であり、好ましくは約20%以上であり、またより好ましくは約25%以上である。更に別の態様では、該転化後のトランス−異性体分の量は、約30%以上であり、好ましくは約32%以上である。該転化後のトランス−異性体分の量は、また約35%以上、約38%以上であり、あるいは更に約40%以上である。更に別の態様では、該転化後のトランス−異性体分の量は約42%以上、あるいは更に約45%以上である。
【0050】
本発明の反応生成物を含む、該成分の硬化された部分は、内部位置におけるトランス−異性体ポリブタジエンの第一の量および外表面位置におけるトランス−異性体ポリブタジエンの第二の量を持つことができる。一態様において、該外表面位置におけるトランス−異性体の量は、内部位置におけるトランス−異性体の量よりも大きい。例えば、本発明の一態様において、該ポリブタジエン反応生成物は、中心部分の外表面において、該トランス−異性体を約35〜60%なる範囲内で含むことができる。別の態様は、中心部分の外表面において、トランス−異性体を約40〜50%なる範囲内で含むことができる。一態様において、該反応生成物は、中心部分の外表面において、約45%のトランス−異性体ポリブタジエンを含む。従って、該中実中心部分の中心における該反応生成物は、同じ中心部分の外表面に存在するトランス−異性体の量よりも、少なくとも約20%少ないトランス−異性体、少なくとも約30%少ないトランス−異性体または少なくとも約40%少ないトランス−異性体を含むことができる。
【0051】
換言すれば、一態様において、該内部位置は、該外表面位置におけるトランス−ポリブタジエン分の約80%以下の含有率を持つ。別の態様では、該内部位置は、該外表面位置におけるトランス−ポリブタジエン分の約70%以下の含有率を持つ。更に別の態様では、該内部位置は、該外表面位置におけるトランス−ポリブタジエン分の約60%以下の含有率を持つ。
該中心の外側部分は、本明細書において既に記載した量、例えば約10%以上、約12%以上、約15%以上等から、上記のように約45%まであるいはそれ以上の量で、転化後のトランス−異性体を含むことができる。
幾つかの例において、該中心の内部部分は、該外側部分よりも低い量のトランス−異性体を含むことができる。例えば、該中心の内部部分は、転化後のトランス−異性体約5%を含むことができる。しかし、該中心の内部部分は、本明細書において既に記載した量、例えば約10%以上、約12%以上、約15%以上等から、上記のように約45%まであるいはそれ以上の量で、転化後のトランス−異性体を含むことができる。
【0052】
該中心の内部部分とその外側部分間の、トランス−異性体分の量における差異は、存在するトランス−異性体量の、該内部部分から該外側部分への増大または減少勾配を持つように変えることができる。一態様において、転化後の該内部部分と該外側部分間の、トランス−異性体分の量における差異は、約3%以上であり、一方もう一つの態様では、この差は、約5%以上であり得る。もう一つの態様において、転化後の該内部部分と該外側部分間の、トランス−異性体分の量における差異は、約10%以上およびより好ましくは約20%以上である。該中心の内部部分とその外側部分間の、トランス−異性体の量における差異は、該外側部分が、より多くのトランス−異性体を含むようにできることが好ましいが、これらの差が、該外側部分よりも該内部部分においてより多くのトランス−異性体を持つような、中心を与えることも可能である。
【0053】
ここに与えられる実施例により更に例示されるように、転化後の該外側表面と該内部部分との間における、トランス−異性体含有率における差は、硬化サイクルおよび該転化反応のために使用される材料の比に依存して異なる可能性がある。例えば、パーオキシド対シス−トランス触媒の比が約1.0以下である場合、該外側表面のトランス−異性体含有率は、該パーオキシド−触媒比が約1.0よりも大きい場合よりも小さい可能性がある。
本発明は、また低いトランス−異性体含有率の勾配をも意図する。即ち、転化後の該外側表面と該内部部分との間における、トランス−異性体含有率における差は、約5%以下であり得る。一態様において、転化後の該外側表面と該内部部分との間における、トランス−異性体含有率における差は、約4%以下である。もう一つの態様において、転化後の該外側表面と該内部部分との間における、トランス−異性体含有率における差は、約3%以下であり、一方更に別の態様では、この差は約1%以下である。
【0054】
硬さ
本章で論じる硬さの違いは、一般に該反応生成物を含む該ゴルフボール成分に関連するものである。中心部分または中間層における2つの点間の硬さの差は、ある勾配として表すことができる。一点において測定したこの硬さは、別の点において測定した硬さとは異なり、中心部分または中間層の該成分は、硬さにおける勾配を含むということができる。
特に当業者には、「材料の硬さ」と「ゴルフボールについて直接測定した硬さ」との間には、基本的な差があることを理解すべきである。材料の硬さは、ASTM−D2240に示された手順により定義され、また一般に固さを測定すべき該物質で作られた平坦な「スラブ」または「ボタン」の硬さの測定を含む。直接ゴルフボール(または他の球形表面)について測定した場合の硬さは、全く異なる測定に係り、従って異なる硬さ値を与える。この違いは、ボールの構造(即ち、コアの型、コアおよび/またはカバー層の数等)、ボール(または球)の径および隣接層の材料組成を含む(これらに限定されない)多数の因子に起因する。これら2つの測定技術が、直線的な関係にないこと、その結果として一方の固さ値を容易に他方の硬さ値と関連付けることができないことを離解すべきである。
【0055】
本発明の反応生成物を含む成分は、成形した球について測定した場合に、内部の位置において第一の硬さを、および外部表面部分において第二の硬さを持つことができる。一態様において、該第一の量は、該第二の量よりも少なくとも約6%低く、好ましくは該第二の量よりも少なくとも約10%低く、またより好ましくは該第二の量よりも少なくとも約20%低い。もう一つの態様において、該中心は、第一の硬さを持つ第一の点、典型的には該ゴルフボール中心部の幾何学的中心近傍の点、および第二の硬さを持つ第二の点、典型的には該ゴルフボール中心部の表面近傍の点を持ち、ここで該第二の硬さは、該第一の硬さよりも少なくとも約10%大きい。
【0056】
例えば、ゴルフボールの一部に形成された本発明の反応生成物は、一点における約45ショアC〜約60ショアCなる硬さおよび第二点における約65ショアC〜約75ショアC硬さを持つことができる。本発明に従って処方された一つのゴルフボールにおいて、この硬さは、該コア内の一点において約51ショアCおよび第二の点において約71ショアCであった。これは、20%を超える硬さにおける違いをもたらす。
該中心におけるゴルフボール用ポリブタジエン材料は、典型的に少なくとも約15ショアA、好ましくは約30ショアA〜80ショアDなる範囲の、より好ましくは約50ショアA〜60ショアDなる範囲硬さを持つ。その比重は、典型的には、該ゴルフボール用ポリブタジエン材料に対して、約0.7を越え、好ましくは約1を越える。
【0057】
他の特性
本発明の該ゴルフボール用ポリブタジエン材料は、典型的に約3.45〜2067 MPa(約500 300,000 psi) 約13.8〜1378 MPa (約2000〜200,000 psi)なる範囲の曲げ弾性率を持つ。
ゴルフボール部分の上記成形工程およびその組成は、典型的に材料特性の勾配をもたらす。公知技術で使用される方法は、一般に硬さを利用して、これら勾配を定量するが、硬さは静的弾性率の定性的な尺度であり、またゴルフボール用途と関連した変形率における、即ちクラブによる衝撃の際の該材料のモジュラスを表す。ポリマー科学の当業者には周知であるように、時間−温度の重ね合わせ原理を利用して、他の変形率に書き換えることができる。ポリブタジエンを含むゴルフボール部分について、0〜−50℃なる範囲の温度にて、1−Hzなる振動が、ゴルフボールの衝撃率と定性的に等しいと考えられる。従って、0〜−50℃なる範囲の温度における損失正接および動的剛性の測定は、ゴルフボールの性能を正確に予想するのに利用できる。
【0058】
所定の特性に依存して、本発明に従って調製したボールは、従来の構造を持つボールと比較して、圧縮率の増大を招くことなしに、実質的に同一のまたは高いレジリエンス、または反発(復元)係数(COR)を示すことができる。如何なる特定の理論にも拘泥しないが、併合したシス−およびトランス−異性体ポリブタジエン骨格の得られる移動度は、該反応生成物およびこれを含むゴルフボールの低いモジュラスおよび高いレジリエンスの原因となるとも考えられている。
このレジリエンスのもう一つの尺度は、「損失正接」またはtanδであり、これはある物体の動的機械的特性を測定する際に得られる。ここで使用する用語「損失正接」または「tanδ」とは、復元可能なエネルギーによって割った、復元不可能なエネルギーとして定義され、ここで撓みのエネルギーは、動的剛性についてここに指定される動作基準にて測定される。損失正接および種々の他の動的特性は、ASTM D4065−90に従って測定することができ、また典型的にはASTM D4092−90に従って記載することができる。低損失正接は、高いリバウンド能力を意味する。というのは、クラブからゴルフボールに与えられたエネルギーの大部分が、動的エネルギー、即ち発射速度に転化され、長い飛距離をもたらす。該架橋された中間層材料における所定の損失正接は、1 Hzなる周波数および1%歪において測定した場合、−60℃において約0.15未満および30℃にて約0.05未満であるべきである。
【0059】
ゴルフボールの剛性または圧縮剛性は、例えば動的剛性により測定することができる。より高い動的剛性は、より高い圧縮剛性を示す。ここで使用する用語「動的剛性」とは、1 Hzおよび振幅100μmにて振動する、1.4−mm 球状半径侵入プローブ(spherical radius penetration probe)に対する撓みで割った負荷として定義される。このプローブは力学的にサンプル物質の表面に侵入する。球状コアの材料サンプルを、コアの赤道に沿って6−mm厚の層を切り出すことにより調製し、該コアの幾何学的中心を含む1表面を持つ厚み6 mmのディスクを製造した。このディスク上の任意に選択された動径方向の部分に、このプローブを配置することによって、動的剛性の測定を行うことができる。正確な動的剛性の測定は、該材料サンプルを実質的に均一な温度に維持することによって、行うことができる。所定の圧縮剛性を持つゴルフボールを製造するためには、該架橋された反応生成物材料の動的剛性を、−50℃にて約50,000 N/m未満、好ましくは−50℃にて約10,000〜40,000 N/mなる範囲内、およびより好ましくは−50℃にて約20,000〜30,000 N/mなる範囲内とすべきである。
【0060】
この動的剛性は、同様に幾つかの観点で動的モジュラス(弾性率)と類似する。動的モジュラスは、ここに記載するように、プローブの幾何形状に依存し、一方動的モジュラスは、幾何形状には独立の固有の物性である。この動的剛性の測定は、あるサンプル成分内の別々の点における損失正接の正確な測定を可能とする上で、特有の特性をもつ。該中心内の該ポリブタジエン反応生成物は、−50℃にて約0.1以下およびより好ましくは−50℃にて約0.07以下の損失正接を有する。
一態様において、該反応生成物は、0℃にて測定した第二の動的剛性の約130%未満である、−50℃にて測定した第一の動的剛性を持つ。別の態様においては、該第一の動的剛性は、該第二の動的剛性の約125%未満、好ましくは該第二の動的剛性の約110%未満である。
【0061】
一態様において、該中心の組成は、少なくとも約40、好ましくは少なくとも約50なるレジリエンスインデックスをもつ、少なくとも一つのゴム材料を含む。多数のポリブタジエンポリマーに関する比較結果を、以下の表1に掲載する。適当な弾性ゴルフボール製造ポリマーは、CB23、CB22、BR60および1207Gを含むが、これらに限定されない。レジリエンスインデックスの算出法を明らかにするために、例えばCB23に関するレジリエンスインデックスを以下のように計算する:
CB23に関するレジリエンスインデックス = 100,000・[(0.954) − (0.407)]/990
CB23に関するレジリエンスインデックス = 55
【0062】
【表1】
表1:ポリブタジエンポリマーの例の、レジリエンスインデックス
【0063】
中間層組成物
本発明のゴルフボールが中間層、例えば内側カバー層または外側カバー層を含む場合、この層は、熱可塑性および熱硬化性材料を包含する、当業者には公知の任意の材料を含むことができるが、好ましくは該中間層は、任意の適当な材料、例えばDE、ウイルミントンのE.I.デュポンドゥネモアーズ社(DuPont de Nemours& Co.)のサーリン(SURLYN(登録商標))、エクソン(Exxon)社のイオテック(IOTEK)またはエスコール(ESCOR)(登録商標)の下で入手できる、エチレンと不飽和モノカルボン酸とのイオン性コポリマー等を含むことができる。これらはエチレンおよび亜鉛、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、マンガン、ニッケル等の塩により部分的に中和した、メタクリル酸またはアクリル酸のコポリマーまたはターポリマーであり、ここで該塩は、2〜8個の炭素原子を持つオレフィンと、3〜8個の炭素原子を持つ不飽和モノカルボン酸との反応生成物である。該コポリマーのカルボン酸基は、完全にまたは部分的に中和されていてもよく、またメタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸またはイタコン酸を含むこともできる。
【0064】
一態様において、該中間層はポリマー、例えばエチレン、プロピレン、ブテン−1またはヘキセン−1を主成分とするホモポリマーまたは官能性モノマー、例えばアクリル酸およびメタクリル酸を含むそのコポリマーおよび完全にまたは部分的に中和されたイオノマー樹脂およびそのブレンド、メチルアクリレート、メチルメタクリレートホモポリマーおよびコポリマー、イミド化されたアミノ基−含有ポリマー、ポリカーボネート、強化ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、高耐衝撃性ポリスチレン、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリ(フェニレンスルフィド)、アクリロニトリル−ブタジエン、アクリル酸−スチレン−アクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(テトラフルオロエチレン)およびその官能性コモノマーを含むコポリマー、並びにこれらのブレンドを含む。
適当な中間層組成物は、ポリエーテルまたはポリエステル熱可塑性ウレタン、熱硬化性ポリウレタン、低モジュラスイオノマー、例えば酸−含有エチレンコポリマーイオノマーをも含む。
【0065】
一態様において、該中間層は、弾性ポリマー成分を含み、これは好ましくは該中間層におけるポリマーの大部分として使用される。この中間層で使用するのに適した弾性ポリマーは、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン、スチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン(EPDN)、その混合物等を含む。この弾性ポリマー成分は、好ましくは従来のシス−ポリイソプレンまたはポリブタジエン(BR)成分、より好ましくはポリブタジエンおよび最も好ましくは1,4−シス−ポリブタジエンである。1,4−シス−ポリブタジエンの一例は、CT、ノルウォークのH.ムエルシュタイン社(MUEHLSTEIN & CO., INC.)から市販品として入手できる、カリフレックス(CARIFLEX) BR 1220である。
従来のシス−ポリイソプレンまたは他の弾性ポリマー成分を使用して、中間層を形成する場合、該中間層は、支配的に1,4−シス分を与える任意の適当な触媒、および好ましくは高い1,4−シス含有率および高い平均分子量をもたらす触媒を使用して製造できる。
【0066】
該弾性ポリマー成分は、高い平均分子量を有し、その分子量は少なくとも約50,000〜1,000,000、好ましくは約250,000〜750,000およびより好ましくは約200,000〜400,000なる範囲内にあるものとして規定される。カリフレックス(CARIFLEX) BR 1220は、平均分子量約372,000をもつ。
該ポリブタジエンの1,4−シス成分が、ポリブタジエンが存在する場合、一般に該弾性ポリマー成分の支配的な部分となる。「支配的な」または「支配的に」なる用語は、50質量%を越えることを意味するためにここで使用する。該1,4−シス成分は、好ましくは該ポリブタジエン成分の約90質量%を越え、より好ましくは約95質量%を越える。該弾性ポリマー成分は、典型的に該ポリマーブレンドの少なくとも約60質量%、好ましくは約65〜99質量%およびより好ましくは約75〜90質量%なる範囲の量で存在する。該中間層に言及する際に、該用語「ポリマーブレンド」とは、一般に該弾性ポリマー成分と該強化ポリマー成分とのブレンドを意味する。該弾性ポリマー成分は、該硬化されたまたは架橋された状態にあるものにレジリエンスを付与する。
【0067】
該中間層は、また強化ポリマー成分を含むこともでき、この成分は、ここに記載するような混合物中に典型的に存在する架橋剤の架橋を開始することなしに、該強化ポリマー成分と該弾性ポリマー成分との併合並びに混合を可能とするのに十分なガラス転移点(TG)を持つ少なくとも一種のポリマーを含む。該強化ポリマー成分は、好ましくは該弾性ポリマー成分と混合する際の混合温度において、十分に低い粘度を有し、これら2種のポリマー成分、即ち該強化ポリマー成分および該弾性ポリマー成分の適当な混合を可能とする。
【0068】
該強化ポリマー成分は、また該混合温度において該弾性ポリマー成分の実質的な架橋または熱的な劣化を回避しつつ、該弾性ポリマー成分との混合を可能とするのに十分に低いガラス転移点(および結晶性である場合には、結晶融点)をもつことができる。該結晶融点は、典型的には約35〜120℃なる範囲にある。該強化ポリマー成分において使用するのに適したポリマーの例は、トランス−ポリイソプレン、エーテル/エステルブロックコポリマー、アクリル系ポリオール、ポリエチレン、ポリエチレンコポリマー、1,2−ポリブタジエン(シンジオタクチック)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、トランス−ポリシクロオクテナマー(trans−polycyclooctenenamer)、トランス−異性体ポリブタジエンおよびこれらの混合物を包含する。特に適した強化ポリマーは、DE、ウイルミントンのデュポン社から市販品として入手できるエーテル/エステルブロックコポリマーであるハイトレル(HYTREL) 3078、トランス−異性体ポリブタジエン、例えば日本、川崎市、川崎区、ヤコーの旭ケミカル社から得られるフレン(FUREN) 88、クラレから市販品として入手できるトランス−ポリイソプレンであるクラレイ(KURRARAY) TP251、OH、アクロンのバイエル−ラバーディビジョン(Bayer−Rubber Division) から市販品として入手できるエチレン−酢酸ビニルコポリマー、即ちレバプレン(LEVAPREN) 700HV、およびOH、タルマジのハルスアメリカ社(Huls America Inc.) から市販品として入手できるトランス−ポリシクロオクテナマー、即ちベステナマー(VESTENAMER) 8012を包含する。幾つかの適当な強化ポリマー成分を、その結晶融点(TC)および/またはTGと共に、以下の表に掲載する:
【0069】
【表2】
【0070】
該強化ポリマー成分で使用するのに特に適した他のポリマーは、典型的に少なくとも約80%のトランス−異性体分と、残分のシス−異性体の1,4−ポリブタジエンおよびビニル−異性体の1,2−ポリブタジエンとを含む、剛性が高められたポリブタジエン成分である。かくして、ここでは「高トランス−異性体ポリブタジエン」または「剛性(が高められた)ポリブタジエン」と呼ぶこともでき、これによりこの成分を、公知のシス−異性体ポリブタジエンまたは典型的には80%以下の低いトランス−異性体含有率を持つポリブタジエンから区別することができる。該公知のシス−異性体ポリブタジエンは、ゴルフボールコアの製造において、およびここで論じた弾性ポリマー成分においてしばしば利用されている。典型的に、該剛性が高められたポリブタジエン成分の該ビニル含有率は、該ポリブタジエン異性体の約15%以下、好ましくは約10%未満、より好ましくは約5%未満、および最も好ましくは約3%未満で存在し、低含有率が好ましい。如何なる特定の理論にも拘泥するつもりはないが、該ビニル−ポリブタジエンの含有率を減じることは、該ポリマーのおよびこれから作られる材料のレジリエンスを高めるものと考えられる。
【0071】
該剛性ポリブタジエン成分を本発明のゴルフボールにおいて使用する場合、この成分は、好ましくは約4以下の、好ましくは約3以下のおよびより好ましくは約2.5以下の多分散性を持つことが好ましい。この多分散性、即ちPDIは、あるポリマーの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である。更に、該剛性ポリブタジエン成分を本発明のゴルフボールにおいて使用する場合、該成分は、典型的に高い絶対平均分子量を持ち、該分子量は、少なくとも約100,000、好ましくは約200,000〜1,000,000およびより好ましくは約230,000〜750,000なる範囲内にあるものとして規定される。別の態様では、該分子量は約275,000〜700,000なる範囲にある。該ビニル分が約10%を越える量で存在するあらゆる態様において、該絶対平均分子量は、好ましくは約200,000を越える。
【0072】
該強化ポリマー成分の一部または全部として該少なくとも一つの中間層に配合する場合、本発明の該剛性ポリブタジエン成分は、当業者にとって利用可能な任意の手段、好ましくは少なくとも80%のトランス−異性体分を含み、また高い絶対平均分子量を持つ剛性ポリブタジエンを与える触媒を用いて、製造することができる。本発明で使用する適当なポリブタジエン成分を調製する際の、当業者に対する指針として、多数の文献が利用可能であり、米国特許第3,896,102号、同第3,926,933号、同第4,020,007号、同第4,020,008号、同第4,020,115号、同第4,931,376号および同第6,018,007号を包含し、その各々を本発明の参考文献とする。
【0073】
別の剛性を高める方法を使用しない場合には、該強化ポリマー成分は、加工の際に該シェルに剛性を付与するのに十分な量で存在すべきであり、しかも該架橋されたポリマーブレンドのレジリエンスを不当に減じてはならず、かつ最終製品に望ましからぬ作用を及ぼしてはならない。また、該強化ポリマー成分、即ち該追加のポリマー成分は、該強化ポリマー成分と該弾性ポリマー成分との混合を可能とするのに十分な粘度を持つべきである。例えば、トランス−イソプレンは、好ましい強化ポリマー成分であり、約82℃なる混合温度において1,000,000ポアズ未満の粘度を持つ。本発明で使用するのに適したこの材料の粘度を、当業者は容易に決定することができる。この粘度は、容易な混合を可能とするためには、一般に約1,000,000ポアズより低くすべきである。
【0074】
トランス−イソプレンまたは高トランス−異性体ポリブタジエンが、該強化ポリマー成分に含まれる場合、これは該ポリマーブレンド、即ち該弾性および強化ポリマー成分の、約10〜40質量%、好ましくは約15〜30質量%、より好ましくは約15〜25質量%以下なる量で存在し得る。
該中間層を形成するための全組成物に対する、該強化ポリマーの質量は、一般に約5〜25質量%、好ましくは約10〜20質量%なる範囲にある。この架橋されていない中間層は、約3.5 MPaを越えおよび好ましくは約7 MPaを越える、ASTM D790M−93の方法IIに従って測定した、曲げ弾性率を持つべきである。この強化ポリマー成分は、該第一混合物が架橋されるまで、その所定の形状を維持するのに十分な程度の剛性を、該シェルに付与する。
【0075】
該中間層に対する所定の弾性率は、特定の型の架橋剤またはその量を選択することによって、架橋の程度を調節することにより得ることができる。これは、例えば架橋剤の型および量を変更することによって達成でき、その方法は当業者には周知である。上記と同様の架橋剤を、該中間層を調製するためのこの態様で使用することができる。一態様において、該架橋剤は、該ポリマーブレンド100部当たり約1〜50部、好ましくは約20〜45phrおよびより好ましくは該ポリマーブレンド100部当たり約30〜40部なる範囲の量で添加される。
【0076】
該弾性ポリマー成分、強化ポリマー成分、フリーラジカル開始剤および本発明によるゴルフボールコアの中間層を形成する上で使用する任意の他の材料を、当業者には公知の、任意の型の混合、例えば単一パスおよび多重パス混合等により混合することができる。ポリマーを併合するための従来の混合速度を典型的に使用するが、該弾性および強化ポリマー成分の実質的に均一な分散性を達成する上で最適である必要がある。例えば、この速度が高過ぎると、ポリマーは破壊され、結果として分子量が減じられ、またプレフォームを成型しかつコアの回りに組み込む前に、架橋が開始される恐れがある。更に、混合温度は弾性および強化ポリマー成分の型およびより重大なことにはフリーラジカル開始剤の型に依存する。この混合温度は、該強化ポリマー成分の融点よりも高くなければならないが、実質的な架橋を開始するほどに高いものである必要はない。
【0077】
プレフォームは、該弾性ポリマー成分、該強化ポリマー成分および任意の他の成分を、上記のように一緒に混合する。得られる幾何学的な安定性は、圧縮成形による硬化およびプレフォーム製造間における加工のために、追加の時間をもたらす。典型的に半球型または楕円体型の該プレフォームは、射出成形、圧縮成形等によって製造できる。金型は、好ましくは該強化ポリマー成分の結晶融点以下の温度に維持して、該弾性ポリマー成分の記憶により、該成形されるシェルの形状における変更を阻止する。
追加の中間層は、好ましくは前の中間層を硬化した後に添加されるが、これら追加の中間層は、該予備−硬化された中間層が、層間の混合を実質的に起こさない低度に十分に剛性である場合には、該前の層を硬化するのに先立って添加できる。該中間層内に強化ポリマー成分を含む、本発明に従って製造したボールは、従来の中間層を持つボールに対して、実質的に同一のレジリエンスまたは反発係数を示す傾向がある。
【0078】
カバー組成物
このカバーは、該ゴルフボールとクラブとの界面を与える。このカバーにとって望ましい諸特性は、特に良好な成形適正、高い耐磨耗性、高い引裂き強さ、高いレジリエンスおよび良好な離型性である。このカバーは、単一の層または複数の層であり得、例えば内側カバーおよび外側カバーであり得る。
該カバーは、当業者には公知のあらゆる適当なカバー材料または中間層材料を含むことができ、熱可塑性および熱硬化性材料を含む。例えば、該カバーは、エチレンと不飽和モノカルボン酸とのイオン性コポリマーを含むことができ、このようなコポリマーは、DE、ウイルミントンのE.I.デュポンドゥネモアーズ社(DuPont de Nemours & Co.)のサーリン(SURLYN(登録商標))、エクソン(Exxon)社のイオテック(IOTEK)またはエスコール(ESCOR)(登録商標)の下で入手できる。このコポリマーのカルボン酸基は、完全にまたは部分的に中和されていてもよく、またメタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸またはイタコン酸を含むこともできる。
上で論じた中間層および/またはここで論じるカバーは、また一種以上の以下に列挙するようなホモポリマーまたはコポリマー材料を含むこともできる:
【0079】
(1) ビニル樹脂、例えば塩化ビニルの重合によって、または塩化ビニルと酢酸ビニル、アクリル酸エステルまたは塩化ビニリデンとの共重合により製造されるもの;
(2) ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンおよびコポリマー、例えばエチレンメチルアクリレート、エチレンエチルアクリレート、エチレン酢酸ビニル、エチレンメタクリル酸またはエチレンアクリル酸もしくはプロピレンアクリル酸およびシングルサイト(single−site)触媒を使用して製造したコポリマーおよびホモポリマー;
(3) ポリウレタン、例えばポリオールまたはアミンと、ジイソシアネートまたはポリイソシアネートとから調製したものおよび米国特許第5,334,673号に記載されているもの;
(4) ポリウレア、例えば米国特許第5,484,870号に記載されているもの;
(5) ポリアミド、例えばジアミンと二塩基酸とから製造した、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)およびその他のポリマー、並びにアミノ酸から製造したもの、例えばポリ(カプロラクタム)およびポリアミドとサーリン、ポリエチレン、エチレンコポリマー、エチルン−プロピレン−非−共役ジエンターポリマーとのブレンド等;
【0080】
(6) アクリル樹脂およびこれら樹脂とポリ塩化ビニル、エラストマーとのブレンド等;
(7) 熱可塑性樹脂、例えばウレタン、オレフィン系熱可塑性ゴム、例えばポリオレフィンとエチレン−プロピレン−非−共役ジエンターポリマー、スチレンとブタジエンとのブロックコポリマー、イソプレンまたはエチレン−ブチレンゴムとのブレンド、またはコポリ(エーテル−アミド)、例えばPA、フィラデルフィアのELFアトケム(Atochem)により市販されているペバックス(PEBAX);
(8) ポリフェニレンオキシド樹脂またはポリフェニレンオキシドと高耐衝撃性ポリスチレンとのブレンド、例えばMA、ピッツフィールドのゼネラルエレクトリック社(General Electric Company)によりノリル(NORYLTM)として市販されているもの;
(9) 熱可塑性ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートおよびDE、ウイルミントンのE.I.デュポンドゥネモアーズ社により、ハイトレル(HYTRELTM)として市販されているおよびMA、ピッツフィールドのゼネラルエレクトリック社により、ロモド(LOMODTM) として市販されているエラストマー;
【0081】
(10) ポリカーボネートとアクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、スチレン無水マレイン酸、ポリエチレン、エラストマー等を含むブレンドおよびアロイ、およびポリ塩化ビニルとアクリロニトリルブタジエンスチレンまたはエチレン酢酸ビニルまたは他のエラストマーとを含むブレンドおよびアロイ;および
(11) 熱可塑性ゴムとポリエチレン、プロピレン、ポリアセタール、ナイロン、ポリエステル、セルロースエステル等。
【0082】
該カバーは、またポリマー、例えばアクリル酸およびメタクリル酸等の官能性モノマーを含むエチレン、プロピレン、1−ブテンまたは1−ヘキセンを主成分とするホモポリマーまたはコポリマーまたは完全にもしくは部分的に中和されているイオノマー樹脂、およびこれらのブレンド;メチルアクリレート、メチルメタクリレートホモポリマーおよびコポリマー、イミド化されたアミノ基含有ポリマー、ポリカーボネート、強化ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、高耐衝撃性ポリスチレン、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリ(フェニレンスルフィド)、アクリロニトリル−ブタジエン、アクリル酸−スチレン−アクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、および官能性コモノマーを含むこれらのコポリマー並びにそのブレンドを含むことができる。適当なカバー組成物は、またポリエーテルまたはポリエステル熱可塑性ウレタン、熱硬化性ポリウレタン、低モジュラスイオノマー、例えば酸−含有エチレンコポリマーイオノマー、をも含み、該イオノマーはE/X/Yターポリマーを含み、ここでEはエチレンであり、Xは約0〜50質量%なる範囲の量で存在するアクリレートまたはメタクリレートを主成分とする柔軟化コモノマーであり、またYは約5〜35質量%なる範囲の量で存在するアクリル酸またはメタクリル酸である。より好ましくは、最大飛距離を得るために設計された、低スピン速度の態様では、該アクリル酸またはメタクリル酸は、約15〜35質量%なる範囲の量で存在し、該イオノマーを高モジュラスイオノマーとする。高スピン速度の態様において、該カバーは、イオノマーを含み、ここでは酸が約10〜15質量%なる量で存在し、かつ柔軟化コモノマーを含む。該カバーは、また上で論じたポリブタジエン反応生成物から製造することも可能である。
【0083】
一態様において、該内側または外側カバー層の少なくとも一方は、有機脂肪酸により100%中和されている、α,β−不飽和カルボン酸基を含むポリマーまたはその塩から作られる。これら高度に中和されたポリマー(HNP)、典型的にはエチレンを主成分とするイオノマーの酸部分は、好ましくは約70%を越えて、より好ましくは約90%を越えておよび最も好ましくは少なくとも約100%中和されている。これらHNPは、また第二のポリマー成分と混合することもでき、該第二ポリマー成分は、酸基を含む場合には、公知の方法で本発明の有機脂肪酸で、あるいは両者により中和することができる。
【0084】
該外側カバーは、上記した任意の材料から製造できるが、この外側カバーは、好ましくはポリウレタン、ポリウレア、またはエポキシ組成物を含み、一般には少なくとも一種のポリイソシアネート、ポリオールおよび少なくとも一種の硬化剤の反応生成物を含む。一態様において、このカバーは、少なくとも一種のポリイソシアネート、ポリオールおよび少なくとも一種の硬化剤の反応生成物を含む、ポリウレタン組成物から作られる。このポリウレタンおよびポリウレア組成物は、他のポリマー、例えばイオノマー、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリアミドおよびポリエーテル、ポリカーボネートおよびポリアクリリン(polyacrylin)並びにフィラーと混合することができる。これらのポリウレタンまたはポリウレアカバー組成物は、熱硬化性または熱可塑性であり得る。更に、該ポリウレタンまたはポリウレアは飽和、即ち脂肪族または不飽和、即ち芳香族であり得る。
【0085】
当業者には公知であるように、このカバー組成物は、プレポリマー法あるいはワンショット法により製造できる。更に、これらカバー組成物は、当分野において周知の様々な適用技術、例えば噴霧、浸漬、スピン塗布、圧縮成形、射出成形、またはフローコート法を利用して、内側ボール近傍を成形できる。
このカバーの硬さは、典型的に約35〜80ショアD、好ましくは約40〜78ショアDおよびより好ましくは約45〜75ショアDなる範囲内にある。一態様において、該外側カバー層の材料は、約30ショアD〜約60ショアDなる範囲の、ASTM−2240に従って測定した硬さを持つ。もう一つの態様では、該カバー材料の硬さは、約35ショアD〜約55ショアDなる範囲にある。該内側カバー層が存在する場合、これは好ましくは約50〜約75ショアDなる範囲、好ましくは約60〜約65ショアDなる範囲の材料の硬さをもつ。
【0086】
ここで議論するように、該外側カバー層は、比較的柔軟な材料から製造できる。一態様において、該外側カバー層の材料は、約45ショアD未満、好ましくは約40ショアD、より好ましくは約25〜約40ショアDなる範囲および最も好ましくは約30〜約40ショアDなる範囲の材料硬さをもつ。該内側カバー層は、好ましくは約70ショアD未満の、より好ましくは約30〜約70ショアDなる範囲および最も好ましくは約50〜約65ショアDなる範囲の材料硬さをもつ。
ASTM法D−790Mにより測定した、該ゴルフボール上の該カバー材料の曲げ弾性率は、典型的には約3.45 MPa (約500 psi)を越える。一態様において、該ゴルフボールカバー材料は、約3.45〜約1034 MPa (約500〜約150,000 psi)なる範囲の曲げ弾性率をもつ。もう一つの態様において、本発明のゴルフボールカバー材料は、約6.89〜約2067 MPa (約1000〜約300,000 psi)なる範囲の曲げ弾性率をもつ。更に別の態様では、該カバー材料は、約13.8〜約1378 MPa (約2000〜約200,000 psi)なる範囲の曲げ弾性率をもつ。
【0087】
ゴルフボールの構造
図1を参照すると、本発明のゴルフボール10は、コア12、カバー16、および該コア12を取り巻く随意の内側カバー層16を含むことができる。図2を参照すると、本発明のゴルフボール20は、中心22、カバー26、内側カバー層26a、および該カバー層と該中心との間に設けられた、少なくとも一つの中間層24を含むことができる。該カバー層および中心各々は、また1層以上含むことができる。即ち、このゴルフボールは、従来のスリーピース糸巻きボール、ツーピースボール、多層コアまたは1または複数の中間層を含むボール等であり得る。従って、図3を参照すると、本発明のゴルフボール30は、中心32、カバー38、および該カバーと該中心との間に設けられた中間層34および36を含むことができる。図3には、中間層2層のみ示されているが、上記のように、任意数のまたは型の中間層を利用できることを理解すべきである。
例えば、中間層各々は、固体または巻き糸であり得るが、一態様では各中間層は好ましくは固体である。本発明のもう一つの態様では、少なくとも一種の張力を掛けた弾性糸材料製の中間層を、該中心または他の中間層の周りに巻き付ける。好ましい一態様では、該糸材料は本発明のポリブタジエン反応生成物を含む。
【0088】
径 / 厚み
本発明のポリマー組成物は、あらゆるサイズのゴルフボールで使用できる。一態様において、本発明のゴルフボールは、約3.81〜約4.57 cm (約1.5〜1.8 in)なる範囲の径を持つ。他の態様では、本発明のゴルフボールの径は、約4.27〜約4.57 cm (約1.68〜1.8 in)なる範囲内にある。更に別の態様では、この径は、約4.27〜約4.47 cm (約1.68〜1.76 in)なる範囲内にある。更に他の態様では、この径は、約4.27〜約4.42 cm (約1.68〜1.74 in)なる範囲内にある。
このコアは、典型的に約3.81〜約4.11 cm (約1.5〜1.62 in)なる範囲、好ましくは約3.84〜約4.06 cm (約1.5〜1.6 in)なる範囲にある。一態様において、このコア径は、約4.09 cm (約1.61 in)未満、好ましくは約4.04 cm (1.59 in)以下、より好ましくは約3.91〜約4.01 cm (約1.540〜約1.58 in)なる範囲および最も好ましくは約3.81〜約3.99 cm (約1.50〜約1.570 in)なる範囲内にある。
一態様において、このコアは、中心部分と少なくとも一つの中間層とを含み、ここで該中間層は該中心部の回りに配置される。該中心部は、典型的に約1.91〜約3.81 cm (約0.75〜約1.50 in)なる範囲、好ましくは約2.16〜約3.56 cm (約0.85〜約1.4 in)なる範囲およびより好ましくは約2.54〜約3.18 cm (約1.0〜約1.25 in)なる範囲内にある外径を持つ。
【0089】
該ゴルフボールコアが、単一のまたは複数の中間層を持つか、あるいは該中心部近傍に設けられた内側カバー層を持つか否かとは無関係に、これら層は、約1.52 cm (約0.6 in)以下の累積的厚みを持つことができるが、この累積厚みは、好ましくは約0.64 cm (約0.25 in)以下である。各中間層の厚みは、所定のボール性能を達成するために、変更できる。しかし、任意の一層が、約0.254 mm (約0.01 in)以上の厚みをもつことが好ましい。該中間層が内側カバー層である場合、その厚みは、約0.508 mm (約0.02 in)以上の厚みをもつことが好ましい。本発明の一態様において、該中間層の累積厚みが、約1.02 mm (約0.04 in)以上であることが好ましい。これらの好ましい値を考慮すると、該中間層の累積厚みに関する適当な範囲は、例えば全体としての厚みが、約1.27〜約15.2 mm (約0.05〜約0.6 in)なる範囲にある層を含むことができる。より好ましくは、該中間層の累積厚みは、約1.78〜約7.62 mm (約0.07〜約0.3 in)なる範囲にある。一態様において、該中間層は、約1.52〜約2.03 mm (約0.06〜約0.08 in)なる範囲の累積厚みを有し、一方別の態様では、この厚みは、約6.35〜約7.62 mm (約0.25〜約0.3 in)なる範囲内であり得る。
【0090】
これら層の外径は、好ましくは約4.01〜約4.17 cm (約1.580〜1.640 in)なる範囲、より好ましくは約4.04〜約4.14 cm (約1.590〜1.630 in)なる範囲および最も好ましくは約4.06〜約4.14 cm (約1.600〜1.630 in)なる範囲にある。
このカバーは、典型的に十分な強度、良好な性能特性および耐久性を与えるような厚みをもつ。一態様において、このカバーは、約0.254 cm (約0.1 in)未満、好ましくは約0.127 cm (約0.05 in)未満の厚みをもつ。もう一つの態様では、このカバーは約0.508〜約0.02 mm (約0.02〜0.04 in)なる範囲の厚みをもつ。
もう一つの態様において、多重カバー層が、ゴルフボールを製造するためにコア近傍に設けられる。本発明のこの態様では、このゴルフボールは、典型的に、2つのカバー層を持ち、その第一のカバー層(内側層)は、該コアの外側にあってこのコアと接触しており、またその第二のカバー層(外側層)は、該第一カバー層近傍に設けられる。この態様において、該コアは、典型的に約3.56〜約4.11 cm (約1.4〜1.62 in)なる範囲、典型的に約3.68〜約3.94 cm (約1.45〜1.55 in)なる範囲内の外径をもつ。
【0091】
2層を含むカバーを使用した場合、このボールは、好ましくは中心と少なくとも一つの中間層を持つコアを使用して製造される。該内側および外側カバー層の少なくとも一つは、約0.127 cm (約0.05 in)未満、好ましくは約1.02 cm (約0.4in)未満およびより好ましくは約0.508〜約1.02 mm (約0.02〜0.04 in)なる範囲の厚みをもつ。一態様において、何れかのカバー層の厚みは、約0.762 mm (約0.03 in)以下である。
もう一つの態様において、該カバーは、少なくとも約0.762 mm (約0.03 in)なる厚みをもつが、好ましくは約0.762〜約3.18 mm (約0.03〜0.125 in)なる範囲の厚みをもつ。更に別の態様において、このカバーは、約1.27〜約2.54 mm (約0.05〜0.1 in)なる範囲の厚みをもつ。
本発明の一態様において、このカバーは、約0.127 cm (約0.05 in)なる厚みをもち、また約58ショアD〜約68ショアDなる範囲の硬さを有し、そのショアD硬さの例は、約62である。
【0092】
圧縮率
本発明に従って製造したゴルフボールのコアまたはコア部分の圧縮率は、典型的には約75以下、好ましくは約50以下、より好ましくは約25以下である。ここで使用する用語「アッチ圧縮率」または「圧縮率」とは、NJ、ユニオンシティーの、アッチエンジニアリング社(Atti Engineering Corp.)から市販品として入手できる、アッチコンプレッションゲージ(Atti Compression Gauge)を用いて測定した、較正されたバネの撓みに対するある対象または物質の撓みとして定義される。アッチ圧縮率は、典型的にゴルフボールの圧縮率を測定するために利用される。
一態様において、本発明のコアは、約80未満、より好ましくは約40〜約80なる範囲、および最も好ましくは約50〜約70なる範囲内のアッチ圧縮率を持つ。もう一つの低圧縮率の態様では、該コアは、約20未満、より好ましくは約10未満および最も好ましくは0なる圧縮率を持つ。しかし、当業者には公知であるように、本発明によって得たコアは、該アッチコンプレッションゲージの測定限界以下であり得る。
本発明のゴルフボールは、少なくとも約40、好ましくは約50〜120およびより好ましくは約60〜100なる範囲のアッチ圧縮率(これは、過去においてPGA圧縮率と呼ばれていた)をもつ。一態様において、該ゴルフボールの圧縮率は、約90以上であるが、他の態様では、約100以上である。圧縮率値は、測定すべき部品の径に依存する。
【0093】
反発係数 (COR)
得られるゴルフボールは、典型的に約0.7を越える、好ましくは約0.75を越えるおよびより好ましくは約0.78を越える反発係数を持つ。一態様において、この反発係数は、約0.8を超える。ここで使用する、ゴルフボールに関する用語「反発係数」とは、剛性のプレートにボールを発射した場合の、跳ね返り速度と復帰速度との比として定義される。
当業者は、ゴルフボールの測定されたCORが、剛性のプレートにボールを発射した際の速度に依存して、変動する可能性があることを理解するであろう。ゴルフボールのCOR値は、種々の異なる復帰速度に基いて、他者により過去に報告されているが、ここで議論するCOR値は、復帰速度約38.1 m (125 ft)/秒に対応する。好ましくは、本発明に従って作成されたゴルフボールのCOR値は約0.81以上およびより好ましくは約0.82以上である。
【0094】
【実施例】
以下の非−限定的な実施例は、本発明の好ましい態様を単に例示するものであり、本発明を何等制限するものではなく、本発明の範囲は、上記特許請求の範囲により規定される。
実施例1−5:種々のゴム処方物から製造したコア
径約4.01 cm (1.58 in)をもつ様々なコアを、本発明に従って製造した。これらおよび従来の材料を用いて製造した幾つかのコアを、以下の表3に示す。各コアの製法および圧縮率およびCORに関するその測定値をも、以下に示す。
【0095】
【表3】
表3:種々のゴム処方物で作成したゴルフボールコアの諸特性
【0096】
実施例6−18:種々のシス−トランス触媒を用いて得たコア
首尾よくシス−異性体ポリブタジエンポリマーをそのトランス−異性体に転化する、様々な金属スルフィド型シス−トランス触媒を、以下の表4に示す。カリフレックス BR−1220ポリブタジエン(100 phr)を、酸化亜鉛(5 phr)、ジクミルパーオキシド(3 phr、フリーラジカル開始剤)、亜鉛ジアクリレート(25 phr)およびシス−トランス触媒を反応させて、本発明に記載するような反応生成物を得た。
トランス−異性体転化の割合は、2 phrから5 phr以上までの量で存在する種々の触媒に対して、6%以下から16%以上なる範囲に及ぶ。以下の表のデータは、種々の濃度にて、多数の異なるシス−トランス触媒が、該トランス−異性体ポリブタジエン含有率を高める上で有効であることを、明確に示している。
【0097】
【表4】
表4:金属スルフィドによる転化の例
【0098】
表4(続き)
【0099】
実施例19:二重コアゴルフボール
中実中心、該中実中心を取り巻く中間層および該中間層の周りに同心状に設けられたカバーを含む、本発明の二重コアゴルフボールを製造した。これら成分の物性を以下の表5に与える。
本発明のゴルフボールおよび公知技術のボール用の、中実中心を製造した。これら中心は両者共に、出発物質としてのカリフレックス BR1220ポリブタジエンから製造し、これらの唯一の違いは、本発明のジトリルジスルフィドシス−トランス触媒およびジクミルパーオキシドを、バロックス(VAROX) 802−40KE−HPパーオキシド(公知技術)で置換えた点にある。この置換は、成型工程中に、該ポリブタジエン材料の一部を、トランスー配座に転化することを可能とする。得られる中実中心は、約2.92 cm (約1.15 in)なる外径を有していた。こうして製造したポリブタジエン反応生成物は、従来のボールの1.5%というトランス−異性体含有率に対して、40%という高いトランス−異性体含有率を有していた。約4.01 cm (約1.58 in)なる外径を持つ同一の中間層を、各中実中心の回りに形成して、コアを作成した。
【0100】
これら2つのコアにつき、COR値および圧縮率を測定した。本発明に従って製造したコアにつき測定された圧縮率は77であり、また従来のボールについて測定された圧縮率は78であった。従来の中心について測定されたCOR値は、0.774であり、一方本発明のコアについて測定されたCOR値は0.789であった。本発明では、従来技術で製造した中心と比較して、同様な圧縮率においてより高いレジリエンスを持つ中心およびコアを得た。
同一のカバーをこれら中心両者に付加し、その圧縮率およびCORを再度測定した。これらボール両者について測定された圧縮率は89であり、またCOR値は、従来のボールおよび本発明のボールに対して夫々、0.791および0.802であった。本発明は、従来技術で製造したボールと比較して、同一の圧縮率およびより高いレジリエンス(COR)をもつボールを与えた。
【0101】
【表5】
表5:本発明および従来のボールの比較
【0102】
実施例20−23:硫黄触媒によるコアの調製
上記のように、本発明の一局面は、ポリマー状硫黄または元素状硫黄触媒を使用する。実施例20−23は、以下の表6に記載するように、これら触媒を使用した場合に得られる、様々なボール特性を示す。実施例20および21は、触媒としての元素状またはポリマー状硫黄を含まないゴルフボールである。実施例22および23は、実施例20および21に記載されたボールと同様な組成物であるが、元素状またはポリマー状硫黄を含む組成物を用いて調製した。
これら成分を混合し、成型して、ゴルフボールコアと同様なサイズの中実球におけるシス−配座のある割合を、トランス−配座に転化した。各々約4.01 cm (1.58 in)なる径を持つこれらコアにつき、圧縮率および反発係数を測定した。実施例22−23は、硫黄触媒が存在しない、実施例20−22における転化のない場合と比較して、本発明による硫黄−含有シス−トランス転化触媒が存在する場合の、大幅なシス−異性体ポリブタジエンの、トランス−異性体ポリブタジエンへの転化の存在を示している。更に、実施例22−23は、圧縮率の大幅な変更なしに、改善される反発係数を示しており、これは本発明による反応生成物を含むゴルフボールによって達成できる。
【0103】
【表6】
表6:硫黄触媒を用いて調製したコア
A: CT、ノルウォークのRTバンダービルト(RT Vanderbilt)から市販品として入手できるジ−(2−t−ブチルイソプロピルパーオキシ)−ベンゼンパーオキシドである。
B: 実施例20のコアは、十分に剛性であって、反発係数のテスト中に、亀裂を生じた。このことは、CORが不当に低いことを示す。
【0104】
実施例24−28:中心組成物の比較
本発明によるポリブタジエン反応生成物を、表7のレシピに従って調製した。表7の結果から、該中心の反発係数が、従来技術である実施例24に関する値よりも、本発明に従って製造した実施例25−26各々について得られた値のほうが高いことが分かる。従来技術による中心と本発明による中心間の反発係数における差の大部分は、最終的なゴルフボールに維持されており、このことは改善された諸特性を持つゴルフボールが得られたことを意味する。この反発係数は、圧縮率が実施例24のコントロールボールの値以上であるか、それに等しいかに拘らず、該コントロールボールについて測定された値よりも高い。
更に、表7は、ジトリルジスルフィドを含有する、有機硫黄触媒を有効量で含む組成物から製造した、二重コアボール(実施例28)をも示している。該出発物質は、また98%を越える量がシス−異性体ポリブタジエンである、1,4−シス−異性体ポリブタジエンを含んでいた。実施例27は、従来技術のボールを示す。
【0105】
該転化反応の後、実施例27における従来技術のボールは、上記手順前と同じ量のトランス−ポリブタジエンを含んでいた。というのは、シス−トランス転化触媒が存在しなかったからである。実施例28の組成物は、24%を越えるトランス−異性体ポリブタジエンを含んでいた。そのショアC硬さは、51〜71なる範囲にあり、該コアの中心とその表面間の、ショアC硬さの差は20%を越えるものであった。該中心における反発係数の差、即ち公知技術に対する0.723と本発明により製造した中心に対する0.750との差は、部分的に最終的なゴルフボールに持ち込まれた。本発明に従って製造した、この改善されたボールの諸特性を、表7に示す。
各例に対するカバーは、30部のサーリン 8320、40部のサーリン 7940または30部のサーリン 7930と、これら3種のサーリン成分の質量を基準として、更に5部の濃厚顔料とから製造した。
実施例27−28のボールは、事実上同一の圧縮率を持つが、本発明に従って製造したボールは、従来のボールと比較して、驚くほど改善され、かつ統計的に有意な、反発係数を持つ。
【0106】
【表7】
表7:公知技術の中心対本発明の中心
1: CT、ノルウォークのH.ムエルシュタイン&コ社(MUEHLSTEIN & CO.,INC.)から入手できる、カリフレックスBR 1220由来のもの。
2: NY、ニューヨークのウベインダストリーズ社(UBE INDUSTRIES, LTD.)からのポリブタジエンゴム。
3: NY、ニューヨークのエニケムエラストマーズ社(ENICHEM ELASTOMERS,INC.)からのポリブタジエンゴム。
4: GA、カーターズビルのシンバーパフォーマンスミネラルズ社(CIMBAR PERFORMANCE MINERALS)から入手。
5: CT、ノルウォークのR.T.バンダービルト(VANDERBILT)から得た有機パーオキシド。
6: OH、シャルドンのエラストケム社(ELASTOCHEM, INC.) から得た有機パーオキシド。
7: 日本、東京の、クラレ社(KURARAY Co., Ltd.)から得たクラレ(KURARAY) TP251。
【0107】
実施例29−31:シス−トランス転化触媒を含むコア
有機硫黄化合物
本発明によるコアを、該シス−トランス転化触媒として有機硫黄化合物を使用して製造した(実施例29)。得られたコアの特性は、従来の技術により製造したコアの例と比較して、本発明により製造したゴルフボールコアの優位性を、明らかに立証している。これらを構成する成分および物性を以下の表8に示す。
本発明により製造したコアの圧縮負荷は、米国特許第5,697,856号、同第5,252,652号および同第4,692,497号に従って製造したコアの圧縮負荷のほぼ半分であるが、同時にほぼ同一のおよび幾つかの場合にはより高いCOR(レジリエンス)を維持している。実施例29のコアは、低い圧縮負荷(柔軟)を有し、かつ弾性(堅牢)である。この圧縮負荷は、米国特許第3,239,228号に従って製造したコアの値よりも大きいが、かなり高いCORを持つ。米国特許第3,239,228号のコアは、極めて柔軟で、極めて不活発(CORが、極めて低い)である。
【0108】
0〜−50℃における動的剛性の変動(%)をも、該コアの端部および中心両者において測定した。実施例29で得たコアの端部および中心両者における動的剛性は、検討した温度範囲において、20%未満の僅かな変動を示したに過ぎなかった。米国特許第3,239,228号に従って得たコアは、230%を越えて変動し、一方他の公知技術により作成したコアは、同一の温度範囲において、130%を越えて、典型的には150%程度まで変動する動的剛性を有していた。
トランス−転化の割合を、本発明に従って製造したコアの端部および中心両者において測定し、上記した4つの特許に記載された如く調製したコアについて、トランス−異性体勾配を計算した。実施例29のコアは、端部から中心まで、約32%なるトランス−勾配を有していた。本発明により製造したコアについては、硬化前および硬化後のトランス−異性体の割合をも測定し、本発明の方法の有効性を立証した。該トランス−異性体に転化されたポリブタジエンの割合は、該中心におけるほぼ40%から該端部における55%を越える範囲に及んだ。従来技術により調製したコアの内の2つ、即ち米国特許第3,239,228号および同第4,692,497号のコアは、トランス−異性体勾配0を示した。米国特許第5,697,856号に従って調製した第三のコアは、18%未満の、端部から中心に渡る僅かなトランス−異性体勾配を示した。米国特許第5,252,652号に従って製造した第四のコアは、ほぼ65%の、極めて大きな端部から中心に渡るトランス−異性体勾配を示した。
【0109】
無機スルフィド化合物
本発明によるコアを、該シス−トランス転化触媒として、無機スルフィド化合物を使用して製造した(実施例30)。得られたコアの特性は、従来の技術により製造したコアの例と比較して、本発明により製造したゴルフボールコアの優位性を、明らかに立証している。これらを構成する成分および物性を以下の表8に示す。
その圧縮負荷は、米国特許第5,697,856号、同第5,252,652号および同第4,692,497号に従って製造したコアの圧縮負荷のほぼ半分であるが、同時にほぼ同一のおよび幾つかの場合にはより高いCOR(レジリエンス)を維持している。実施例30のコアは柔軟で、かつ弾性(堅牢)である。この圧縮負荷は、米国特許第3,239,228号に従って製造したコアの値よりも大きいが、かなり高いCORを持つ。米国特許第3,239,228号のコアは、極めて柔軟で、極めて不活発(CORが、極めて低い)である。
【0110】
0〜−50℃における動的剛性の変動(%)をも、該コアの端部および中心両者において測定した。実施例30で得たコアの端部および中心両者における動的剛性は、検討した温度範囲において、125%未満の僅かな変動を示したに過ぎなかった。米国特許第3,239,228号に従って得たコアは、230%を越えて変動し、一方他の公知技術により作成したコアは、同一の温度範囲において、130%を越えて、典型的には150%程度まで変動する動的剛性を有していた。
トランス−転化の割合を、本発明に従って製造したコアの端部および中心両者において測定し、上記した4つの特許に記載された如く調製したコアについて、トランス−異性体勾配を計算した。実施例30のコアは、端部から中心まで、約45%なるトランス−勾配を有していた。従来技術により調製したコアの内の2つ、即ち米国特許第3,239,228号および同第4,692,497号のコアは、トランス−異性体勾配0を示した。米国特許第5,697,856号に従って調製した第三のコアは、18%未満の、端部から中心に渡る僅かなトランス−異性体勾配を示した。米国特許第5,252,652号に従って製造した第四のコアは、ほぼ65%の、極めて大きな端部から中心に渡るトランス−異性体勾配を示した。
【0111】
有機硫黄および無機スルフィド化合物のブレンド
本発明によるコアを、該シス−トランス転化触媒として、有機硫黄化合物と無機スルフィド化合物とのブレンドを使用して製造した(実施例31)。得られたコアの特性は、従来の技術により製造したコアの例と比較して、本発明により製造したゴルフボールコアの優位性を、明らかに立証している。これらを構成する成分および物性を以下の表8に示す。
その圧縮負荷は、米国特許第5,697,856号、同第5,252,652号および同第4,692,497号に従って製造したコアの圧縮負荷のほぼ半分であるが、同時にほぼ同一のおよび幾つかの場合にはより高いCOR(レジリエンス)を維持している。実施例31のコアは、柔軟で、かつ弾性(堅牢)である。本発明のコアの圧縮負荷は、米国特許第3,239,228号に従って製造した第四のコアに見られる値よりも大きいが、かなり高いCORを持つ。米国特許第3,239,228号のコアは、極めて柔軟で、極めて不活発(CORが、極めて低い)である。
【0112】
0〜−50℃における動的剛性の変動(%)をも、該コアの端部および中心両者において測定した。実施例31で得たコアの端部および中心両者における動的剛性は、検討した温度範囲において、121%未満の僅かな変動を示したに過ぎなかった。米国特許第3,239,228号に従って得たコアは、230%を越えて変動し、一方他の公知技術により作成したコアは、同一の温度範囲において、130%を越えて、典型的には150%程度まで変動する動的剛性を有していた。
トランス−転化の割合を、本発明に従って製造したコアの端部および中心両者において測定し、上記した4つの特許に記載された如く調製したコアについて、トランス−異性体勾配を計算した。実施例31のコアは、端部から中心まで、約44%なるトランス−勾配を有していた。本発明により製造したコアについては、硬化前および硬化後のトランス−異性体の割合をも測定し、本発明の方法の有効性を立証した。該トランス−異性体に転化されたポリブタジエンの割合は、該中心におけるほぼ26%から該端部における45%を越える範囲に及んだ。即ち、米国特許第3,239,228号および同第4,692,497号により調製した2つのコアは、トランス−異性体勾配0を示した。米国特許第5,697,856号に従って調製した第三のコアは、18%未満の、端部から中心に渡る僅かなトランス−異性体勾配を示した。米国特許第5,252,652号に従って製造した第四のコアは、ほぼ65%の、極めて大きな端部から中心に渡るトランス−異性体勾配を示した。
【0113】
【表8】
表8:有機硫黄および無機スルフィド化合物を含むコア
【0114】
表8(その2)
*: 端部については、測定すべき物品の外表面から約5mmにて測定。
1) ポリブタジエン(シェル、カリフレックス(CARIFLEX) BR1220)。
2) 10.8%なる撓みにおける負荷(約4.01 cm (1.58 in)のコア)。
【0115】
実施例32:ポリブタジエンコアとMDIポリウレタンカバーとを含むゴルフボール
本発明の二重コアゴルフボールを製造したが、これは中実中心、該中実中心を取り巻く中間層および該中間層の周りに同心状に設けられた、多層カバーを含む(実施例32)。該ゴルフボールの成分および物性を以下の表9に示す。
【0116】
【表9】
表9:ポリブタジエンコアとMDIポリウレタンカバーとを含むゴルフボール
【0117】
本発明のゴルフボール用の中実中心を製造した。この中心は、出発物質としてのカリフレックス(CARIFLEX) BR1220ポリブタジエンから製造し、唯一の違いは、バロックス(VAROX) 802−40KE−HPパーオキシド(従来技術)を、本発明のDTDSシス−トランス触媒およびジクミルパーオキシドと置換えたことであった。この置換は、成型工程中に、該ポリブタジエン材料の一部を、そのトランス−配座に転化することを可能とする。得られたこの中実中心は、約2.92 cm (約1.15 in)なる外径を有していた。これにより調製した、該ポリブタジエン反応生成物は、従来のボールの1.5%トランス−異性体含有率に対して、40%なるトランス−異性体含有率を有していた。約3.96 cm (約1.56 in)なる外径を持つ中間層を、該中実中心の回りに形成して、コアを製造した。その外側層は、約360,000なる分子量および約51なるムーニー粘度を持つCB23から作られている。
【0118】
実施例33−35:ハロゲン化有機硫黄化合物を含むコア
各々外径約4.01 cm (1.58 in)を持つ3つの中実コアを、ポリブタジエンゴム、亜鉛ジアクリレート、酸化亜鉛、ジクミルパーオキシド、硫酸バリウムおよび着色剤の分散物を含む組成物から製造した。従来技術の代表的なコアの一つを、コントロールとして用いた(実施例33)。残りの2つのコアは、各々付随的に5.3部のストラクトール(StruktolTM) (実施例34)および2.4部のペンタクロロチオフェノール(PCTP)の亜鉛塩(実施例35)とブレンドした。5.3部のストラクトールは、2.4部のPCTPを含む。これら中実コア用の特定の組成を、以下の表10に示す。
【0119】
【表10】
表10:ハロゲン化有機硫黄化合物を含むコア
【0120】
表10(続き)
【0121】
何れかの形状でのPCTPの添加は、CORを高め、圧縮率を下げ、またはこれら両者をもたらす。特に、PCTP亜鉛塩(実施例35)は、低い圧縮率と匹敵するCOR、および/または匹敵する(または低い)圧縮率と高いCORをもたらし、これら両者は何れも望ましいゴルフボール特性である。
実施例36−38:本発明による架橋されていない中間層材料
寸法:4.76 mm (3/16 in)×12.7 mm (1/2 in)×101.6 mmを持つ柔軟性の棒状検体を、本発明によるトランス−イソプレンを含む、カリフレックスBR−1220ポリブタジエンゴムからなる、架橋されていない中間層材料の圧縮成型によって製造した。本発明に従って調製した、架橋されていない中間層の曲げ弾性率は、1.27cm/分(0.5 in/分)なる負荷率で、ASTM法D790M−93、メソッドII (Method II) を利用して測定した。結果を以下の表11に示す。
十分な強化ポリマー成分を、これら実施例において存在させ、テスト用の柔軟性の棒を製造し、また加工中および本発明により調製されたゴルフボール中の偏心を減じもしくは排除するのを補助した。
【0122】
【表11】
表11:本発明による架橋されていない中間層材料
*: この強化ポリマー成分の量は、該弾性および強化ポリマー成分全量を基準とする、百分率である。
【0123】
実施例38−40:改善された本発明による心出し
3種の型のゴルフボールを、硬化後にテストして、同心性における精度を決定した。表12に示された測定値は、該ボールの中心からの、該中間層の平均のずれ、最大のずれ、および最小のずれを含む。その標準偏差(STD)をも計算した。
実施例38は、従来の材料を用いて調製した、ある競争相手のゴルフボールであり、これは典型的な中心のずれたボールを与えた。実施例39−40は、本発明の材料および方法を利用して製造されたものであり、また明らかに高度に改善された同心性を与えた。
【0124】
【表12】
表12:改善された同心性
【0125】
実施例41−46:低濃度の酸化防止剤を含むコア
前に述べたように、従来のゴルフボールコア材料は酸化防止剤を含む。公知のコア組成物の例は、ヨコタ(Yokota)等のオーストラリア特許第703,884号、モリヤマ(Moriyama)等の米国特許第5,697,856号に記載されている。本発明の一局面を例示するために、ゴルフボールを、モリヤマの特許の比較例5およびヨコタの特許の実施例1および2に従って調製し、本発明に従って製造したゴルフボールコアと比較した。これらゴルフボールと本発明とを比較した結果を、以下の表13に示す。
ヨコタおよびモリヤマに記載されたブタジエンゴム(BR−01)は、国内で市販されていないので、バイエル(Bayer)により製造されたブタジエンゴムグレードCB23を、合成ゴムマニュアル(The Synthetic Rubber Manual) (第14版、1999)に与えられている情報に基いて、適当な代用品として選択した。この文献は、世界的な合成ゴム工業における標準的な資料として広く認識されている。
【0126】
実質的に酸化防止剤を含まないコアを、ポリブタジエンゴム(CB23)、パーオキシド(DCP−70)、シス−トランス触媒ジフェニルジスルフィド(DPDS)、架橋剤亜鉛ジアクリレート(ZDA)、酸化防止剤およびフィラーとしての酸化亜鉛を使用して、本発明にしたがって製造し(実施例44−46)、150℃(302°F)にて25分間加硫した。同一のコアを、従来の量で酸化防止剤を用いて製造した(実施例41−43)。特に、表13は、該反応生成物が実質的に酸化防止剤を含まない場合に、硬化後のトランス−異性体の割合が、処方中に酸化防止剤を含む場合の、硬化後のトランス−異性体の割合よりも実質的に高いことを示す。
【0127】
【表13】
表13:本発明のコア対酸化防止剤を含むコア
【0128】
表13(その2)
【0129】
表13(その3)
【0130】
ここに記載され、また特許請求された本発明は、本明細書に記載の特定の態様によって、その範囲が何等限定されるものではない。というのは、これら態様は、本発明の幾つかの局面を例示するためのものであるからである。あらゆる等価な態様が、本発明の範囲内にあるものとする。事実、本明細書に提示されかつ説明された態様に加えて、種々の改良が、上記説明から当業者には明らかとなろう。このような改良も、上記本発明の特許請求の範囲内に入るものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による、カバーとコアとを含むツーピースゴルフボールの断面図である。
【図2】本発明による、カバーと中心との間に中間層を含むゴルフボールの断面図である。
【図3】本発明による、カバーと中心との間に、1層を越える中間層を含むゴルフボールの断面図である。
【符号の説明】
10、20、30・・・・ゴルフボール;12・・・・コア;16、26、38・・・・カバー;22、32・・・・中心;24、34、36・・・・中間層
Claims (15)
- カバーとコアとを持つゴルフボールであって、該コアが、ポリブタジエン、フリーラジカル源およびシス−トランス触媒の転化反応により生成された物質を含み、該転化反応が、トランス−異性体分の第一の量よりも大きなトランス−異性体分の第二の量を含む、ポリブタジエン反応生成物を形成するのに十分な温度にて起こることを特徴とする、上記ゴルフボール。
- 該シス−トランス触媒が、有機硫黄化合物、無機スルフィド、周期律表第VIA族成分、またはこれらの組合せを含む、請求項1記載のゴルフボール。
- 該物質が、実質的に酸化防止剤を含まない、請求項1記載のゴルフボール。
- 該フリーラジカル源対該酸化防止剤の比が、約10またはそれ以上である、請求項3記載のゴルフボール。
- 該フリーラジカル源対該シス−トランス触媒の比が、約1またはそれ以下である、請求項1記載のゴルフボール。
- 該フリーラジカル源対該シス−トランス触媒の比が、約1を越える値である、請求項1記載のゴルフボール。
- 該コアの内部で測定した第一の硬さが、該コアの外表面において測定した第二の硬さと、少なくとも約10%異なっている、請求項1記載のゴルフボール。
- カバーとコアとを持つゴルフボールであって、該コアが、第一のトランス−異性体分を含む、一定量のポリブタジエン、フリーラジカル源および周期律表の第VIA族成分を含むシス−トランス触媒の転化反応により生成された物質を含有し、該転化反応が、トランス−異性体分の第一の量よりも大きなトランス−異性体分の第二の量を含む、ポリブタジエン反応生成物を形成するのに十分な温度にて起こることを特徴とする、上記ゴルフボール。
- 該第VIA族元素が、元素状硫黄、ポリマー状の硫黄、セレン、テルル、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8記載のゴルフボール。
- 該コアの内部で測定した第一の硬さが、該コアの外表面において測定した第二の硬さと、少なくとも約10%異なっている、請求項8記載のゴルフボール。
- 該物質が、実質的に酸化防止剤を含まない、請求項8記載のゴルフボール。
- 該フリーラジカル源対該酸化防止剤の比が、約10またはそれ以上である、請求項11記載のゴルフボール。
- 該トランス−異性体分の第二の量が、該コア外表面で測定され、また該コア内部で測定されたトランス−異性体分の第三の量が、該トランス−異性体分の第一の量よりも大きい、請求項8記載のゴルフボール。
- 該トランス−異性体分の第三の量が、該トランス−異性体分の第二の量よりも、約3%またはそれ以上だけ小さい、請求項12記載のゴルフボール。
- 該トランス−異性体分の第三の量が、該トランス−異性体分の第二の量よりも、約5%またはそれ以下だけ小さい、請求項12記載のゴルフボール。
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