JP5565442B2 - ゴム組成物及びこれを用いる空気入りタイヤ - Google Patents

ゴム組成物及びこれを用いる空気入りタイヤ Download PDF

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Description

本発明はゴム組成物及びこれを用いる空気入りタイヤに関する。
従来、タイヤ等用のゴム組成物にトリフェニルボラン−トリフェニルホスフィン錯体を含有させることが提案されている(特許文献1)。
特開2009−269977号公報
しかし、トリフェニルボラン−トリフェニルホスフィン錯体のようなホウ素−リン結合を有する化合物を含有するゴム組成物は、破断強度(破壊強度)、破断伸び、モジュラスのようなゴム物性が低下するという問題がある。
そこで、本発明は、破壊強度、破断伸び、モジュラスに優れるゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、硫黄架橋可能なジエン系ゴムに含硫黄配合剤とホウ素化合物及び/又は窒素−ホウ素結合を有するホウ素錯体とを配合することで、含硫黄配合剤−ゴムの化学反応[例えば、硫黄−ゴム、含硫黄加硫促進剤−ゴム、シリカ−含硫黄シランカップリング剤−ゴムの化学反応が挙げられる。硫黄−ゴムは架橋反応、含硫黄加硫促進剤−ゴムは架橋反応、含硫黄シランカップリング剤−ゴムは架橋反応、シリカ−含硫黄シランカップリング剤は縮合反応である。以下同様。]を加速させ、加工性を悪化させることなく、破断強度(TB)、破断伸び(EB)、モジュラスが高く、低温と高温のtanδバランスを高度にバランス化させる(破壊強度、破断伸び、モジュラス、低発熱性、ウェットグリップ性能に優れる)ゴム組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記ゴム組成物及びこれを用いる空気入りタイヤを提供する。
1. 硫黄架橋可能なジエン系ゴム100質量部に対して、
カーボンブラック1〜100質量部及びシリカ10〜150質量部と、
含硫黄配合剤1〜30質量部と、
下記式(1)で表されるホウ素化合物0.1〜20質量部とを配合し
前記含硫黄配合剤が少なくとも含硫黄シランカップリング剤を含む、ゴム組成物。

[式(1)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい、炭素数1〜20の炭化水素基、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のエステル基、アミノ基、炭素数1〜20の炭化水素基を1個又は2個有するアミノ基、ハロゲン又は水素であり、R1、R2およびR3は同一でも異なっていても良い。]
2. 前記含硫黄配合剤が、更に、硫黄及び/又は含硫黄加硫促進剤を含む上記1に記載のゴム組成物。
3.記含硫黄シランカップリング剤の量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して1〜20質量部である上記1又は2に記載のゴム組成物。
4. 上記1〜のいずれかに記載のゴム組成物をキャップトレッド、サイドウォール、ベルト、インナーライナー、カーカス及びビードからなる群から選ばれる少なくとも1種に使用する空気入りタイヤ。
本発明のゴム組成物及び本発明の空気入りタイヤは、破壊強度、破断伸び、モジュラスに優れる。
図1は本発明の空気入りタイヤの実施形態の一例について、そのタイヤ子午線方向の部分断面を模式的に表す断面図である。
本発明について以下詳細に説明する。
本発明のゴム組成物は、
硫黄架橋可能なジエン系ゴム100質量部に対して、
カーボンブラック1〜100質量部及び/又は無機充填10〜150質量部と、
含硫黄配合剤1〜30質量部と、
下記式(1)で表されるホウ素化合物及び/又は窒素−ホウ素結合を有するホウ素錯体0.1〜20質量部とを配合してなるゴム組成物である。

[式(1)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい、炭素数1〜20の炭化水素基、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のエステル基、アミノ基、炭素数1〜20の炭化水素基を1個又は2個有するアミノ基、ハロゲン又は水素であり、R1、R2およびR3は同一でも異なっていても良い。]
本発明では、硫黄架橋可能なジエン系ゴムに含硫黄配合剤と式(1)で表されるホウ素化合物[以下これをホウ素化合物ということがある。]及び/又は窒素−ホウ素結合を有するホウ素錯体とを配合することで、含硫黄配合剤−ゴムの化学反応を加速させ、TB、EB、モジュラス、および低温と高温のtanδバランスを高度にバランス化させ、破壊強度、破断伸び、モジュラス、低発熱性、ウェットグリップ性能に優れるコンパウンドを、加工性を悪化させることなく得ることを可能にした。
本発明において、ホウ素化合物に例えば他の配合剤等が接近することによってホウ素化合物が開環すると、開環直後のホウ素原子はプラスの電荷を帯びてその求電子性が高くなり(開環したホウ素化合物もルイス酸として機能すると考えられる。)、酸素や硫黄などの非共有電子対を有する元素と相互作用しやすくなる。
本発明において、窒素−ホウ素結合を有するホウ素錯体は、窒素原子(非共有電子対)を有するルイス塩基(含窒素化合物)とホウ素原子(空軌道)を有するルイス酸(含ホウ素化合物)とから形成される錯体とすることができる。窒素−ホウ素結合の解離によって、ホウ素錯体からルイス酸として3価の含ホウ素化合物が生成し、3価の含ホウ素化合物は空のp軌道を有することからルイス酸として機能し、酸素や硫黄などの非共有電子対を有する元素と相互作用しやすい。
また、ホウ素化合物、ホウ素錯体においてホウ素原子の周辺の空間が比較的大きく立体障害が小さいため硫黄などの高周期(原子半径が大きい。)元素とも相互作用しやすい。
このように、ホウ素化合物、ホウ素錯体は、ルイス酸として機能しうること、ホウ素原子周辺の立体障害が小さいことによって、含硫黄配合剤−ゴムの化学反応を効率的に促進し、その結果、破壊強度、破断伸び、モジュラス、低発熱性、ウェットグリップ性能に優れるゴムを、加工性を悪化させることなく得ることが可能となったと考えられる。上記メカニズムは本願発明者の推測であり、メカニズムが上記以外であっても本願発明の範囲に含まれる。
なお、本発明において、ホウ素化合物、ホウ素錯体は、ゴム組成物の配合剤として使用されるものであり、ゴムを製造する際に使用される触媒又はポリマーの末端変性剤として使用されるものではない。
本発明のゴム組成物に含有されるジエン系ゴムは硫黄架橋が可能なものであれば特に限定されない。その具体例としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。
本発明において、ジエン系ゴムとしては、ウェットグリップ性能により優れたタイヤが得られる理由から、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴムを用いることが好ましい。
芳香族ビニル−共役ジエン共重合体ゴムとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴムなどが挙げられる。なかでも、ウェットグリップ性能により優れたタイヤが得られる理由から、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)であることが好ましい。
ジエン系ゴムの重量平均分子量は、破壊強度、破断伸び、モジュラスにより優れ、加工性、低発熱性、ウェットグリップ性能に優れるという観点から、200,000〜2,500,000であるのが好ましい。本発明において、ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算により測定するものとする。
ジエン系ゴムはその製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。ジエン系ゴムはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明のゴム組成物に配合することができるカーボンブラックは特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。カーボンブラックはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、カーボンブラックの量は、硫黄架橋可能なジエン系ゴム100質量部に対して1〜100質量部とすることができる。カーボンブラックの量は、破壊強度、破断伸び、モジュラスにより優れ、低発熱性、ウェットグリップ性能、加工性に優れるという観点から、ジエン系ゴム100質量部に対して、3〜90質量部であるのが好ましく、5〜80質量部であるのがより好ましい。
本発明のゴム組成物に配合することができる無機充填剤は特に制限されない。例えば、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、タルクが挙げられる。無機充填剤はシリカであるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
本発明のゴム組成物に含有されるシリカは特に限定されない。タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意のシリカを用いることができる。
シリカとしては、例えば、湿式シリカ、乾式シリカ、ヒュームドシリカ、珪藻土などが挙げられる。シリカは、ゴムの補強性の観点から湿式シリカを含むことが好ましい。
シリカは、破壊強度、破断伸び、モジュラスにより優れ、低発熱性、ウェットグリップ性能、加工性に優れるという観点から、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積が100〜300m2/gであることが好ましく、140〜200m2/gであることがより好ましい。
ここで、CTAB吸着比表面積は、シリカがシランカップリング剤との吸着に利用できる表面積の代用特性であり、シリカ表面へのCTAB吸着量をJIS K6217−3:2001「第3部:比表面積の求め方−CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
無機充填剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、無機充填剤がシリカである場合、含硫黄配合剤が少なくとも含硫黄シランカップリング剤を含むのが、破壊強度、破断伸び、モジュラスにより優れ、低発熱性、ウェットグリップ性能、加工性に優れるという観点から、好ましい態様として挙げられる。
本発明において、無機充填の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、10〜150質量部とすることができ、破壊強度、破断伸び、モジュラスにより優れ、低発熱性、ウェットグリップ性能、加工性に優れるという観点から、20〜120質量部であるのが好ましく、40〜100質量部であるのがより好ましい。
本発明に含有される含硫黄配合剤は硫黄原子を有する化合物であれば特に制限されない。含硫黄配合剤は、例えば、硫黄、含硫黄シランカップリング剤及び含硫黄加硫促進剤からなる群から選ばれる少なくとも1種であるとすることができる。
硫黄は特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
含硫黄シランカップリング剤は、硫黄原子を少なくとも1個有するシランカップリング剤であれば特に制限されない。例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドのような硫黄原子が3個以上のポリスルフィド結合を有するポリスルフィド系シランカップリング剤;ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドのようなジスルフィド系シランカップリング剤;γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3‐[エトキシビス(3,6,9,12,15‐ペンタオキサオクタコサン‐1‐イルオキシ)シリル]‐1‐プロパンチオールのようなメルカプト系シランカップリング剤;3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシランのようなチオカルボキシレート系シランカップリング剤;3−チオシアネートプロピルトリエトキシシランのようなチオシアネート系シランカップリング剤が挙げられる。
なかでも、破壊強度、破断伸び、モジュラスにより優れ、低発熱性、ウェットグリップ性能、加工性に優れるという観点から、硫黄原子が2個以上のポリスルフィド結合を有するポリスルフィド系シランカップリング剤が好ましく、硫黄原子が2〜5個のポリスルフィド結合を有するポリスルフィド系シランカップリング剤がより好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドがさらに好ましい。
本願発明者は、ジエン系ゴムに対して、シリカ、後述する含硫黄シランカップリング剤、ホウ素化合物及び/又はホウ素錯体を使用する場合、破壊強度、破断伸び、モジュラスにより優れ、低発熱性、ウェットグリップ性能、加工性に優れるという観点から、含硫黄シランカップリング剤が硫黄原子が2個以上のポリスルフィド結合を有するポリスルフィド系シランカップリング剤であるのが好ましいことを見出した。ここで硫黄原子が2個以上のポリスルフィド結合は−(S)x−(X:2以上)で表される。
ポリスルフィド結合は、2つの炭素原子の間に硫黄原子を2つ以上の数で有し、2つ以上の硫黄原子は直接結合するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。炭素原子に結合する硫黄原子は脱硫しにくく、両側に硫黄原子が結合する硫黄原子は脱硫しやすい。本発明において、ホウ素化合物及び/又はホウ素錯体は、ポリスルフィド系シランカップリング剤から硫黄原子が脱硫すること(硫黄原子が3個以上のポリスルフィド系シランカップリング剤から硫黄原子が脱硫することを含む。)によるホウ素化合物及び/又はホウ素錯体の触媒活性の失活を抑制し、かつ、含硫黄配合剤−ゴムの化学反応[例えば、硫黄−ゴム、含硫黄加硫促進剤−ゴム、シリカ−含硫黄シランカップリング剤−ゴムの化学反応]を促進し、このことによって、より優れた破壊強度、破断伸び、モジュラスに寄与し、低発熱性、ウェットグリップ性能、加工性を優れたものにすると本願発明者は推察する。なかでも、本発明のゴム組成物が含硫黄配合剤として含硫黄シランカップリング剤を含有する場合、シリカ−含硫黄シランカップリング剤−ゴムの化学反応が特に促進され、詳細には、シリカ−含硫黄シランカップリング剤の縮合反応、含硫黄シランカップリング剤−ゴムの架橋反応の二つが同時にバランスよく促進される。
含硫黄加硫促進剤は、硫黄原子を有し、ゴム組成物に使用することができる加硫促進剤であれば特に制限されない。ここで、含硫黄加硫促進剤は含硫黄加硫促進助剤を含むものとする。含硫黄加硫促進剤としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドのようなチウラム系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛のようなジチオカルバミン酸塩;2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィドのようなチアゾール系化合物;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドのようなスルフェンアミド系化合物が挙げられる。
なかでも、破壊強度、破断伸び、モジュラスにより優れ、低発熱性、ウェットグリップ性能、加工性に優れるという観点から、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドが好ましい。
含硫黄配合剤はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、含硫黄配合剤の量は、ジエン系ゴム100質量部に対して1〜30質量部である。破壊強度、破断伸び、モジュラスにより優れ、低発熱性、ウェットグリップ性能、加工性に優れるという観点から、含硫黄配合剤の量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、1.5〜25質量部であるのが好ましく、2〜20質量部であるのがより好ましい。
硫黄の量はジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜10質量部であるのが好ましい。
含硫黄加硫促進剤の量はジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜10質量部であるのが好ましい。
含硫黄シランカップリング剤の量は、破壊強度、破断伸び、モジュラスにより優れ、低発熱性、ウェットグリップ性能、加工性に優れるという観点から、ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜20質量部であるのが好ましく、1〜15質量部であるのより好ましく、3〜12質量部であるのがさらに好ましい。
本発明のゴム組成物が含有することができる、ホウ素化合物、窒素−ホウ素結合を有するホウ素錯体について以下に説明する。
ホウ素化合物は式(1)で表される化合物であれば特に制限されない。

[式(1)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい、炭素数1〜20の炭化水素基、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のエステル基、アミノ基、炭素数1〜20の炭化水素基を1個又は2個有するアミノ基、ハロゲン又は水素であり、R1、R2およびR3は同一でも異なっていても良い。]
炭化水素基は、例えば、不飽和結合を有してもよい脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基、アルキニル基);不飽和結合を有してもよい脂環式炭化水素基;炭素数6〜20の芳香族炭化水素基(アリール基);これらの組み合わせが挙げられ、直鎖状、分岐状のいずれでもよい。炭化水素基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有することができる。
炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基のようなアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基のようなアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、へプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基のようなアルキニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基のような炭素数6〜20のアリール基等が挙げられる。
炭化水素基が有することができる置換基としては、例えば、ヒドロキシ基(−OH基)、炭素数1〜20のアルコキシ基(後述するものと同様である。)又はアシル基、アミノ基(−NH2基)、−NHR基(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基である。炭素数1〜20の炭化水素基は上記と同様である。)、−NRR′基(式中、R、R′はそれぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基である。炭素数1〜20の炭化水素基は上記と同様である。)、ハロゲン(例えば、−F、−Cl、−Br、−I)が挙げられる。
1、R2、R3としての、アルコキシ基、エステル基、炭化水素基を1個又は2個有する基は置換基を有してもよい。置換基は上記と同様である。
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基が挙げられる。
炭素数1〜20のエステル基は、炭素数1〜20の炭化水素基を有するエステルであれば特に制限されない。例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、オクチルエステル、デシルエステル、ドデシルエステルのようなアルキルエステル;フェニルエステルのような芳香族エステルが挙げられる。
炭素数1〜20の炭化水素基を1個又は2個有するアミノ基[R−NH−(イミノ基)又はRR′−N−。R、R′はそれぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基である。炭素数1〜20の炭化水素基は上記と同様である。]は特に制限されない。例えば、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、オクチルイミノ、デシルイミノ、ドデシルイミノのようなアルキルイミノ基;フェニルイミノのような芳香族イミノ基;ジメチルアミノ、ジエチルアミノのようなジアルキルアミノ基が挙げられる。
ハロゲンとしては、例えば、−F、−Cl、−Br、−Iが挙げられる。
ホウ素化合物を構成し得る化合物として、例えば、ボロン酸(オルトホウ酸のヒドロキシ基の1つを炭化水素基で置換したものであり、炭素−ホウ素結合を含む。炭化水素基は置換基を有してもよく、炭素数1〜20とすることができる。炭素数1〜20の炭化水素基、置換基は上記と同義である。)、オルトホウ酸、オルトホウ酸のヒドロキシ基の1つを、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のエステル基、アミノ基、炭素数1〜20の炭化水素基を1個又は2個有するアミノ基、ハロゲン又は水素で置換した化合物が挙げられる。
ホウ素化合物は、ボロン酸の3量体(ボロン酸無水物)であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。ホウ素化合物を構成するボロン酸は1種又は2種以上とすることができる。
ホウ素化合物としては、例えば、フェニルボロン酸無水物(フェニルボロン酸の3量体。以下同様。)、p−メチル−フェニルボロン酸無水物、p−メトキシ−フェニルボロン酸無水物、p−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸無水物、p−フルオロ−フェニルボロン酸無水物のような、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基を有するボロン酸で構成されるボロン酸無水物(ボロン酸の種類は単一);フェニルボロン酸、p−メチル−フェニルボロン酸、p−メトキシ−フェニルボロン酸、p−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸及びp−フルオロ−フェニルボロン酸からなる群から選ばれる少なくとも2種の、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基を有するボロン酸で構成されるボロン酸無水物が挙げられる。
本発明において、窒素−ホウ素結合を有するホウ素錯体は、窒素とホウ素とが直接結合して錯体を形成するものであれば特に制限されない。ホウ素錯体は、窒素原子(非共有電子対)を有するルイス塩基(含窒素化合物)とホウ素原子(空軌道)を有するルイス酸(含ホウ素化合物)とから形成される錯体とすることができる。
ホウ素錯体は、破壊強度、破断伸び、モジュラスにより優れ、低発熱性、ウェットグリップ性能、加工性に優れるという観点から、アミンボラン系化合物、アンモニアボラン系化合物及びアミドボラン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
アミンボラン系化合物としては、例えば、脂肪族炭化水素基及び/又は芳香族炭化水素基を有するアミン並びに含窒素複素環化合物、あるいは、これらの構造を組合わせたアミンと、含ホウ素化合物との組み合わせによって形成されるものが挙げられる。
含窒素複素環化合物と含ホウ素化合物との組み合わせによって形成される、含窒素複素環化合物−ボラン系化合物としては、例えば、ピリジンボラン系化合物[例えば、下記式(2)で表される化合物]、ピロールボラン系化合物、キノリンボラン系化合物が挙げられる。

[式(2)中、R4、R5はそれぞれ独立に置換基を有してもよい、炭素数1〜20の炭化水素基、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のエステル基、アミノ基、炭素数1〜20の炭化水素基を1個又は2個有するアミノ基、又はハロゲンであり、m、nはそれぞれ独立に0〜5の整数であり、nが複数である場合R4は同一でも異なっていても良く、mが複数である場合Rは同一でも異なっていても良い。]
置換基を有してもよい、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のエステル基、アミノ基、炭素数1〜20の炭化水素基を1個又は2個有するアミノ基、ハロゲンは上記と同様である。
含窒素複素環化合物−ボラン系化合物としては例えば、ピリジン系化合物(例えば、ピリジン、ピコリン、ルチジン、ジメチルアミノピリジン)、ピロールやキノリンなどの含窒素複素環化合物と含ホウ素化合物との組み合わせによって形成される化合物が挙げられる。
含窒素複素環化合物−ボラン系化合物としては、具体的には例えば、ピリジントリフェニルボラン[式(2)においてm=n=0]、ピコリントリフェニルボラン、ルチジントリフェニルボラン、ジメチルアミノピリジントリフェニルボランのようなピリジンボラン系化合物;キノリントリフェニルボランのようなキノリンボラン系化合物などが挙げられる。
脂肪族炭化水素基を有するアミンと含ホウ素化合物との組み合わせによって形成される、脂肪族アミン−ボラン系化合物としては、例えば、式(3):R6 a3-aN−BH3-b7 bで表される化合物[式(3)中、R6はそれぞれ独立に置換基を有してもよい、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、R7はそれぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基であり、aは1〜3の整数であり、bは0〜3の整数であり、aが2又は3である場合R6は同一でも異なっていても良く、bが2又は3である場合R7は同一でも異なっていても良い。]が挙げられる。
炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、脂肪族炭化水素基が有することができる置換基は上記と同義である。炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は不飽和結合を有してもよいのは上記と同義である。
置換基を有してもよい炭化水素基はその炭素数が1〜20であるのが好ましく、置換基を有してもよい、炭素数1〜20の炭化水素基は上記と同義である。
脂肪族アミン−ボラン系化合物としては、例えば、ジメチルアミノボラン(HMe2N−BH3)、トリエチルアミントリフェニルボラン(Et3N−BPh3)、(n−オクタデシル)アミンボランのようなアルキルアミンボラン系化合物(ホウ素原子が無置換又は置換基を有するものを含む。)などが挙げられる。
アンモニアと含ホウ素化合物との組み合わせによって形成される、アンモニアボラン系化合物としては、例えば、式(6):H3N−BH3-b7 bで表される化合物[式(6)中、R7はそれぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基であり、bはそれぞれ0〜3の整数であり、bが2又は3である場合R7は同一でも異なっていても良い。]が挙げられる。
置換基を有してもよい炭化水素基はその炭素数が1〜20であるのが好ましく、置換基を有してもよい、炭素数1〜20の炭化水素基は上記と同義である。
アンモニアボラン系化合物としては、例えば、H3N−BH3、H3N−BPh3(Phは置換基を有さない又は置換基を有するフェニル基を意味する。)のような窒素原子が無置換のアンモニアボラン系化合物(ホウ素原子が無置換又は置換基を有するものを含む。)などが挙げられる。
アミドと含ホウ素化合物との組み合わせによって形成される、アミドボラン系化合物は、アミド結合(N−CO)を有する化合物と含ホウ素化合物との組み合わせによって形成される化合物であれば特に制限されない。例えば、下記式(7)で表される化合物が挙げられる。

式(7)中、R′、R′′、R′′′はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有してもよい炭化水素基であり、R7はそれぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基であり、bはそれぞれ0〜3の整数であり、bが2又は3である場合R7は同一でも異なっていても良い。
置換基を有してもよい炭化水素基はその炭素数が1〜20であるのが好ましく、置換基を有してもよい、炭素数1〜20の炭化水素基は上記と同義である。
ホウ素錯体は、破壊強度、破断伸び、モジュラスにより優れ、低発熱性、ウェットグリップ性能、加工性に優れるという観点から、式(2)で表される化合物、式(3)で表される化合物、式(6)で表される化合物が好ましい。
ホウ素錯体を形成し得る含窒素化合物[窒素原子(非共有電子対)を有するルイス塩基(含窒素化合物)]としては、アミン(例えば、脂肪族炭化水素基及び/又は芳香族炭化水素基を有するアミン並びに含窒素複素環化合物、あるいは、これらの構造を組合わせた化合物)、アンモニア、アミド(例えば、脂肪族炭化水素基及び/又は芳香族炭化水素基を有するアミド)であれば特に制限されない。
含窒素複素環化合物としては、例えば、下記式(4)で表される化合物[式中、R5、mは式(2)と同様である。]が挙げられ、具体的には例えば、ピリジン、ピコリン、ルチジンやN,N−ジメチルアミノピリジンなどのピリジンの誘導体(ピリジン系化合物)が挙げられる。

芳香族化合物としては、例えば、アニリン、N,N−ジメチルアニリンなどのアニリン誘導体が挙げられる。
脂肪族アミン系化合物としては、例えば、R6 a3-aNで表される化合物[式中、R6、aは式(3)と同様である。]が挙げられ、具体的には例えば、トリエチルアミンなどのトリアルキルアミン;ジメチルアミノなどのジアルキルアミン;メチルアミンなどのモノアルキルアミンが挙げられる。
アミドとしては、例えば、式(8)R′R′′−N−CO−R′′′で表されるアミド化合物(R′、R′′、R′′′は式(7)と同義である。)が挙げられ、具体的には例えば、N,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。
ホウ素錯体を形成し得る含ホウ素化合物はホウ素原子を有する化合物であれば特に制限されない。例えば、BH3-b7 bで表される化合物が挙げられる。式中、R7はそれぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基であり、bは0〜3の整数であり、bが2又は3である場合R7は同一でも異なっていても良い。置換基を有してもよい炭化水素基は炭素数1〜20であるのが好ましく、置換基を有してもよい、炭素数1〜20の炭化水素基は上記と同義である。具体的には例えば、下記式(5)で表される化合物、トリヒドロボランが挙げられる。

[式(5)中、R4は置換基を有してもよい、炭素数1〜20の炭化水素基であり、nは0〜5の整数であり、nが複数である場合R4は同一でも異なっていても良い。]
置換基を有してもよい、炭素数1〜20の炭化水素基は上記と同様である。また、含ホウ素化合物は、トリヒドロボランBH3であっても良い。
ホウ素化合物、ホウ素錯体はその製造について特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。ホウ素化合物、ホウ素錯体は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ホウ素化合物及び/又はホウ素錯体の量(ホウ素化合物、ホウ素錯体を併用する場合はその合計量)は、破壊強度、破断伸び、モジュラスにより優れ、低発熱性、ウェットグリップ性能、加工性に優れるという観点から、ジエン系ゴム100質量部に対して、0.1〜20質量部であり、0.3〜10質量部であるのが好ましい。
本発明のゴム組成物は硫黄を含有しないシランカップリング剤をさらに含有することができる。
また本発明において、無機充填剤がシリカである場合、本発明のゴム組成物がさらに硫黄を含有しないシランカップリング剤を配合するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
硫黄を含まないシランカップリング剤は特に制限されない。例えば、アミノシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤、ヒドロキシシランカップリング剤が挙げられる。
硫黄を含有しないシランカップリング剤の量は、破壊強度、破断伸び、モジュラスにより優れ、低発熱性、ウェットグリップ性能、加工性に優れるという観点から、ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜15質量部であるのが好ましく、3〜12質量部であるのがより好ましい。
本発明のゴム組成物には、必要に応じて、その効果や目的を損なわない範囲でさらに添加剤を含有することができる。
添加剤としては、例えば、本発明のゴム組成物に含有される、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、加工助剤、アロマオイル、液状ポリマー、テルペン系樹脂、熱硬化性樹脂、硫黄以外の加硫剤、硫黄原子を有さない加硫促進剤、硫黄原子を有さない加硫促進助剤など、ゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤が挙げられる。
本発明のゴム組成物はその製造について特に限定されない。具体的には、例えば、上述した各成分を、公知の方法、装置(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど)を用いて、混練する方法などが挙げられる。
また、本発明のゴム組成物は、従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
本発明のゴム組成物は例えば、タイヤ、ベルト、ホースなどに使用することができる。
本発明の空気入りタイヤについて以下に説明する。
本発明の空気入りタイヤは、本発明のゴム組成物をキャップトレッド、サイドウォール、ベルト、インナーライナー、カーカス及びビードからなる群から選ばれる少なくとも1種に使用する空気入りタイヤである。本発明において使用されるゴム組成物は本発明のゴム組成物であれば特に制限されない。本発明の空気入りタイヤが有するキャップトレッド、サイドウォール、ベルト、インナーライナー、カーカス及びビードからなる群から選ばれる少なくとも1種は本発明のゴム組成物を使用して製造される。
本発明の空気入りタイヤについて添付の図面を用いて以下に説明する。本発明の空気入りタイヤは添付の図面に限定されるものではない。
図1は、本発明の空気入りタイヤの実施形態の一例について、そのタイヤ子午線方向の部分断面を模式的に表す断面図である。図1において、符号1はキャップトレッド、符号2はサイドウォール、符号3はビードである。
図1において、左右のビード3間にタイヤ径方向に延在する補強コードをタイヤ周方向に所定の間隔で配列してゴム層に埋設した2層のカーカス4が延設され、その両端部がビード3に埋設したビードコア5の周りにビードフィラー6を挟み込むようにしてタイヤ軸方向内側から外側に折り返されている。カーカス4の内側にはインナーライナー7が配置されている。キャップトレッド1のカーカス4の外周側には、タイヤ周方向に傾斜して延在する補強コードをタイヤ軸方向に所定の間隔で配列してゴム層に埋設した2層のベルト8が配設されている。この2層のベルト8の補強コードは層間でタイヤ周方向に対する傾斜方向を互いに逆向きにして交差している。ベルト8の外周側には、ベルトカバー9が配置されている。このベルトカバー9の外周側に、キャップトレッド1がキャップトレッドゴム層12により形成される。各サイドウォール2のカーカス4の外側にはサイドゴム層13が配置され、各ビード3のカーカス4の折り返し部外側にはリムクッションゴム層14が設けられている。
キャップトレッド1、サイドウォール2、ベルト8、インナーライナー7、カーカス4及びビード3からなる群から選ばれる少なくとも1種が本発明のゴム組成物により構成されている。
本発明の空気入りタイヤは、本発明のゴム組成物を空気入りタイヤに用いる以外特に制限はなく、例えば従来公知の方法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
<未加硫ゴム組成物の製造>
表1に示す配合(質量部)において、加硫系(加硫促進剤、硫黄)を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、ミキサー外に放出させて室温冷却した。続いて、該組成物をオープンロールで、加硫系を加えて混練し、未加硫ゴム組成物を得た。
<加硫ゴムの製造>
次に上述のとおり得られた未加硫ゴム組成物を所定の金型中で160℃で20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を調製した。
<評価>
上述のとおり得られた、未加硫ゴム組成物、加硫ゴム試験片について以下に示す試験法で物性を測定した。結果を表1に示す。
・tanδの測定
岩本製作所(株)製の粘弾性スペクトロメーターを用い、伸張変形歪率10±2%、振動数20Hz、温度0℃、50℃、条件にて加硫ゴム試験片についてtanδを測定した。結果は、比較例1の値を100として、指数で示した。tanδ(0℃)は指数が大きいほどウェットグリップ性能に優れることを示す。tanδ(50℃)は指数が小さいほど低発熱性であることを示す。
・引張応力(モジュラス)、破断強度、破断伸びの測定
加硫ゴム試験片からJIS3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、引張速度500mm/分での引張試験をJIS K6251に準拠して行い、加硫ゴム試験片の100%モジュラス、破断強度、破断伸びを室温にて測定した。結果は比較例1の値を100として指数表示した。値が大きいほど、モジュラス、破断強度、破断伸びが良好なことを示す。
・ビスの測定
JIS K6300に準拠して、L形ローターを使用し、未加硫ゴム組成物のムーニー粘度ML(1+4)100℃を求めた。結果は比較例1の値を100として指数表示した。値が小さいほど未加硫ゴム組成物の粘度が低く良好なことを示す。
・スコーチ時間の測定
JIS K6300に準拠して、125℃にて未加硫ゴム組成物の粘度が5ポイント上昇する時間(分)を測定した。結果は比較例1の値を100として指数表示した。値が大きいほど加工性が良好なことを示す。
表1に示す各成分の詳細は以下のとおりである。
・E−SBR:乳化重合SBR Nipol1502、日本ゼオン社製
・フェニルボロン酸無水物:北興化学工業社製 TPBX(フェニルボロン酸の3量体無水物)
・p−メチル−フェニルボロン酸無水物:北興化学工業社製(p−メチル−フェニルボロン酸の3量体無水物)
・p−メトキシ−フェニルボロン酸無水物:北興化学工業社製(p−メトキシ−フェニルボロン酸の3量体無水物)
・トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン錯体:東京化成工業社製
・ピリジントリフェニルボラン:下記式で表される化合物。北興化学工業社製

・シリカ:湿式シリカ、日本シリカ社製ニップシールAQ、CTAB吸着比表面積
170m2/g
・カーボンブラック:昭和キャボット社製ショウブラックN339M
・酸化亜鉛:正同化学社製亜鉛華3号
・ステアリン酸:日本油脂社製ステアリン酸
・老化防止剤:老化防止剤(S−13)、住友化学社製アンチゲン6C
・含硫黄シランカップリング剤:ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド。ポリスルフィドとして−S4−を有する。−S4−の両端は炭素原子と結合する。エボニック・デグサ社製Si69
・オイル:昭和シェル石油社製エクストラクト4号S
・イオウ:軽井沢精錬所社製油処理硫黄
・含硫黄加硫促進剤(CZ):N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学社製サンセラーCM−PO
・加硫促進剤(DPG):ジフェニルグアニジン、三新化学社製サンセラーD−G
表1に示す結果から明らかなように、ホウ素化合物及び窒素−ホウ素結合を有するホウ素錯体がブランクである比較例1を基準として、窒素−ホウ素結合以外の結合を有するホウ素錯体化合物としてトリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン錯体を含有する比較例2は、破壊強度、破断伸び、モジュラスが低下した。
これに対して、実施例1〜6、参考例1は、破壊強度、破断伸び、モジュラスに優れ、加工性を悪化させることがなく、低発熱性、ウェットグリップ性能にも優れる。実施例1〜6、参考例1が破壊強度、破断伸び、モジュラスに優れるのは、実施例1〜6、参考例1が含硫黄配合剤として硫黄、含硫黄加硫促進剤を含むので、硫黄−ゴム、含硫黄加硫促進剤−ゴムの化学反応が促進されたためと考えられる。また、実施例1〜6、参考例1が低発熱性、ウェットグリップ性能にも優れるのは、実施例1〜6、参考例1が含硫黄配合剤として含硫黄シランカップリング剤を含有するので、シリカ−含硫黄シランカップリング剤−ゴムの化学反応が促進されたためと考えられる。
1 キャップトレッド
2 サイドウォール
3 ビード
4 カーカス
7 インナーライナー
8 ベルト

Claims (4)

  1. 硫黄架橋可能なジエン系ゴム100質量部に対して、
    カーボンブラック1〜100質量部及びシリカ10〜150質量部と、
    含硫黄配合剤1〜30質量部と、
    下記式(1)で表されるホウ素化合物0.1〜20質量部とを配合し
    前記含硫黄配合剤が少なくとも含硫黄シランカップリング剤を含む、ゴム組成物。

    [式(1)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい、炭素数1〜20の炭化水素基、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のエステル基、アミノ基、炭素数1〜20の炭化水素基を1個又は2個有するアミノ基、ハロゲン又は水素であり、R1、R2およびR3は同一でも異なっていても良い。]
  2. 前記含硫黄配合剤が、更に、硫黄及び/又は含硫黄加硫促進剤を含む請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 記含硫黄シランカップリング剤の量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して1〜20質量部である請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のゴム組成物をキャップトレッド、サイドウォール、ベルト、インナーライナー、カーカス及びビードからなる群から選ばれる少なくとも1種に使用する空気入りタイヤ。
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