JP5562007B2 - ゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類の検出方法 - Google Patents

ゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類の検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、ゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類の検出方法に関する。
ゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類は自然界に広く分布し、野菜、果物等の農作物で繁殖し、これらの農作物を原材料とした飲食品を汚染する。しかも、ゲオスミチア属に属する菌類は高い耐熱性を持つ厚膜胞子を形成するため、通常の他の真菌類を殺菌する処理工程、例えば酸性飲料の加熱殺菌処理等を行ったとしても生存、増殖し、カビの発生原因となることがある。このため、ゲオスミチア属に属する菌類は重大な品質事故を引き起こす重要危害菌として警戒されている。飲食品及びこれらの原材料中のゲオスミチア属に属する菌類による事故防止のためには、ゲオスミチア属に属する菌類の検出及び同定が重要である。
現在のところ、ゲオスミチア属に属する菌類の検出及び同定は、菌体培養の後、形態学的特徴を観察することにより行われている。この方法は形態学的な特徴が発生するまで培養を続ける必要があるため、最短でも14日以上の長期間を必要とする。また、微細な形態学的特徴に基づいて菌類を同定するため高度な専門性が必要であり、判定者によって同定結果が異なる危険性が否定できない。さらには加熱や薬剤などによる損傷菌体等は形態形成能を失うケースが存在し、それら菌体は長期間培養を行っても特徴的な形態を形成しないことから同定結果の信頼性に問題があった。このように菌類の検出に長期間を要することは飲食品の衛生管理、原材料の鮮度確保、流通上の制約など観点から、必ずしも満足できるものではない。従って、迅速性及び信頼性の問題を解決した検出・同定方法の確立が求められている。
菌類の迅速かつ信頼性の高い検出方法としては、遺伝子の特定の塩基配列を標的とした増幅法(たとえばPCR法)が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。しかし、ゲオスミチア属に属する菌類に特異的な遺伝子領域が解明されていない。従って、ゲオスミチア属に属する菌類を特異的かつ迅速に検出することが困難であるという問題を有している。
特表平11−505728号公報 特開2006−61152号公報 特開2006−304763号公報 特開2007−174903号公報
本発明は、飲食品汚染の主な原因菌の1つであるゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類を特異的、簡便かつ迅速に検出できる方法を提供することを課題とする。また、本発明は、この検出方法に使用するためのゲオスミチア属に属する菌類に特異的な塩基配列で表されるDNA、該塩基配列で表される核酸にハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチド、並びに該オリゴヌクレオチドを用いたプライマー対及び検出キットを提供することを課題とする。
上記課題に鑑み、本発明者等は、ゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類を特異的に識別する方法について鋭意検討を行った。その結果、ゲオスミチア属に属する菌類のβ−チューブリン遺伝子配列中に、他の真菌の属のものとは明確に区別しうる、特異的な塩基配列を有する領域(以下、「可変領域」ともいう)が存在することを見い出した。また、この可変領域をターゲットとすることで、ゲオスミチア属に属する菌類を特異的かつ迅速に検出できることを見い出した。本発明はこれらの知見に基づき完成するに至った。
本発明は、以下の(a)又は(b)に記載の塩基配列で表される核酸を用いてゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類の同定を行うことを特徴とするゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類の検出方法に関する。
(a)配列番号1〜3のいずれかに記載のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列若しくはその相補配列
(b)配列番号1〜3のいずれかに記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列若しくはその相補配列
また、本発明はゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類の検出に用いるための、前記(a)又は(b)に記載の塩基配列で表されるDNAに関する。
また、本発明は、前記(a)又は(b)に記載の塩基配列で表される核酸にハイブリダイズすることができ、ゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類を特異的に検出するための核酸プローブ又は核酸プライマーとして機能し得るゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類検出用オリゴヌクレオチドに関する。
また、本発明は、前記検出用オリゴヌクレオチドが下記(c)又は(d)のオリゴヌクレオチドであることを特徴とするゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類検出用オリゴヌクレオチド、及び下記(c)又は(d)のオリゴヌクレオチド含むゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類検出用キットに関する。
(c)配列番号4に記載の塩基配列若しくはその相補配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は当該塩基配列若しくはその相補配列に対して70%以上の相同性を有しかつ検出用オリゴヌクレオチドとして使用できるオリゴヌクレオチド
(d)配列番号5に記載の塩基配列若しくはその相補配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は当該塩基配列若しくはその相補配列に対して70%以上の相同性を有しかつ検出用オリゴヌクレオチドとして使用できるオリゴヌクレオチド
さらに、本発明は、下記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドからなるゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類検出用核酸プライマー対、及びこのプライマー対を含むゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類検出用キットに関する。
(e)配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつ核酸プライマーとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド
(f)配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつ核酸プライマーとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド
本発明によれば、飲食品汚染の主な原因菌の1つであるゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類を特異的、簡便かつ迅速に検出できる方法を提供することができる。また、本発明によれば、この検出方法に使用するためのゲオスミチア属に属する菌類に特異的なβ−チューブリン遺伝子の塩基配列で表されるDNA、該塩基配列で表される核酸にハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチド、並びに該オリゴヌクレオチドを用いたプライマー対及び検出キットを提供することができる。
実施例における、PCR産物の電気泳動図である。 実施例における、PCR産物の電気泳動図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類のβ−チューブリン遺伝子の特定の部分塩基配列、すなわちゲオスミチア属に属する菌類のβ−チューブリン遺伝子配列中に存在するゲオスミチア属に特異的な領域(可変領域)の塩基配列で表される核酸を用いてゲオスミチア属に属する菌類の同定を行い、ゲオスミチア属に属する菌類を特異的に識別・検出する方法である。
本発明における「ゲオスミチア属に属する菌類」は、糸状不完全菌類の一種である。ゲオスミチア属に属する菌類は、無性世代の生活環において70℃、30分間の加熱処理後であっても生存可能な高い耐熱性を持った厚膜胞子を形成する。ゲオスミチア属に属する菌類のうち、特に危害性の高い菌種として、ゲオスミチア エビュネウス(Geosmithia eburneus)、ゲオスミチア ビソクラマイドイデス(Geosmithia byssochlamydoides)、ゲオスミチア エメルソニ(Geosmithia emersonii)が挙げられる。また、本発明におけるゲオスミチア属の菌には、本属の有性世代であるタラロマイセス エビュネウス(Talaromyces eburneus)、タラロマイセス ビソクラマイドイデス(Talaromyces byssochlamydoides)及びタラロマイセス エメルソニ(Talaromyces emersonii)も含まれる。
「β−チューブリン」とは微小管を構成する蛋白質であり、「β−チューブリン遺伝子」とは、β−チューブリンをコードする遺伝子である。また、本発明において「β−チューブリン遺伝子の可変領域」とは、β−チューブリン遺伝子中で塩基の変異が蓄積しやすい特定の領域をいう。本発明の検出方法において「β−チューブリン遺伝子の部分塩基配列で表される核酸を用いて同定を行う」とは、当該部分塩基配列の全部又はその一部の配列で表される核酸を用いて同定を行うことをいう。
本発明の検出方法は、ゲオスミチア属に属する菌類のβ−チューブリン遺伝子中の特定(可変)領域の塩基配列で表される核酸を用いることを特徴とする。
発明者らは、ゲオスミチア属を含めた種々の真菌類のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列を決定し、真菌属間での遺伝的距離と塩基配列の相同性の解析を行った。すなわち、シークエンシング法により各真菌のβチューブリン遺伝子の塩基配列を決定し、アライメント解析により一致する塩基領域の検討を行った。その結果、β−チューブリン遺伝子中に同一の属内では保存性が高いが異なる属間で塩基配列の保存性が低く、属によって固有の塩基配列を有する領域(可変領域)を見い出した。この可変領域においてゲオスミチア属に属する菌類は固有の塩基配列を有している。そのため、当該領域はゲオスミチア属に属する菌類を属レベルで識別・同定するための遺伝学的な指標として有用である。
また本発明者らは、前記可変領域において、該領域から選択される1)ゲオスミチア属に固有の遺伝子の塩基配列が10塩基前後連続して現れる領域を含む、2)オリゴヌクレオチドのGC含量がおよそ30%〜80%となる、3)オリゴヌクレオチドの自己アニールの可能性が低い、4)オリゴヌクレオチドのTm(融解温度:melting temperature)値が概ね55℃以上となる、の4つの条件を満たす部分領域についてさらに検討を行った。その結果、可変領域の塩基配列に由来する15〜25塩基のオリゴヌクレオチドを見い出した。
本発明は、この可変領域及び可変領域に由来するオリゴヌクレオチドをターゲットとしたものである。
本発明の検出方法に用いるゲオスミチア属に属する菌類のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列(可変領域の塩基配列)で表される核酸は、配列番号1、配列番号2若しくは配列番号3に記載の塩基配列又はその相補配列で表される核酸である。
配列番号1に記載の塩基配列及びその相補配列は、ゲオスミチア エビュネウス(Geosmithia eburneus)から単離、同定されたβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列である。配列番号2に記載の塩基配列及びその相補配列は、ゲオスミチア ビソクラマイドイデス(Geosmithia byssochlamydoides)から単離、同定されたβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列である。配列番号3に記載の塩基配列及びその相補配列は、ゲオスミチア エメルソニ(Geosmithia emersonii)から単離、同定されたβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列である。これらの配列はゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類間で相同性が非常に高く、しかもゲオスミチア属に属する菌類以外の菌類とは相同性が低いため、被検体がこれらの塩基配列を有しているか否かを確認することで、ゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類のみを特異的に識別・同定することが可能である。
また、配列番号1、配列番号2若しくは配列番号3に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列又はその相補配列で表される核酸を用いても、同様にゲオスミチア属に属する菌類のみを特異的に識別・同定することが可能である。ここで、「1若しくは数個」とは、1〜25個であることが好ましく、1〜20個であることがより好ましく、1〜15個であることがより好ましく、1〜10個であることがさらに好ましく、1〜5個であることがよりさらに好ましい。
(以下、配列番号1、2若しくは3に記載の塩基配列又はその相補配列及び配列番号1、2若しくは3に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列又はその相補配列をまとめて「本発明のβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列」ともいう。)
上記本発明のβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列で表される核酸を用いてゲオスミチア属に属する菌類を同定する方法として特に制限はなく、シークエンシング法、ハイブリダイゼンション法、PCR法、LAMP法など通常用いられる遺伝子工学的手法で行うことができる。
本発明の検出方法において、前記本発明のβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列で表される核酸を用いてゲオスミチア属に属する菌類の同定を行うには、被検体のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列を決定し、該遺伝子の塩基配列中に前記(a)又は(b)に記載の核酸の塩基配列が含まれるか否かを確認することが好ましい。すなわち、本発明の検出方法は、被検体の有するβ−チューブリン遺伝子の塩基配列を解析・決定し、決定した塩基配列と本発明のβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列とを比較し、その一致又は相違に基づいてゲオスミチア属に属する菌類の同定を行うものである。
塩基配列を解析・決定する方法としては特に限定されず、通常行われているRNA又はDNAシークエンシングの手法を用いることができる。
具体的には、マクサム−ギルバート法、サンガー法等の電気泳動法、質量分析法、ハイブリダイゼーション法等が挙げられる。サンガー法においては、放射線標識法、蛍光標識法等により、プライマー又は、ターミネーターを標識する方法が挙げられる。
また、本発明の検出方法において、前記本発明のβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列で表される核酸を用いてゲオスミチア属に属する菌類の同定を行うには、当該塩基配列の全部又は一部の領域を標的として、核酸プローブを用いたハイブリダイゼーションを行うことが好ましい。
本発明においては、上記本発明のβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列で表される核酸を用いてゲオスミチア属に属する菌類を同定し検出を行うために、本発明のβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列で表される核酸にハイブリダイズすることができ、かつ核酸プローブ又は核酸プライマーとして機能し得る検出用オリゴヌクレオチドを用いることができる。
本発明の検出用オリゴヌクレオチドは、ゲオスミチア属に属する菌類の検出に使用できるものであればよい。すなわち、ゲオスミチア属に属する菌類の検出のための核酸プライマーや核酸プローブとして使用できるものや、ストリンジェントな条件でゲオスミチア属に属する菌類のβ−チューブリン遺伝子にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドであれば良い。なお、ここで、「ストリンジェントな条件」としては、例えばMolecular Cloning−A LABORATORY MANUAL THIRD EDITION[Joseph Sambrook, David W. Russell., Cold Spring Harbor Laboratory Press]記載の方法が挙げられ、例えば、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M塩化ナトリウム、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5%SDS、5xデンハート及び100mg/mLニシン精子DNAを含む溶液にプローブとともに65℃で8〜16時間恒温し、ハイブリダイズさせる条件が挙げられる。
本発明の上記検出用オリゴヌクレオチドとしては、前記本発明のβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列から選択される領域であって、(1)ゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類に固有の遺伝子の塩基配列が10塩基前後連続して現れる領域を含む、(2)オリゴヌクレオチドのGC含量がおよそ30%〜80%となる、(3)オリゴヌクレオチドの自己アニールの可能性が低い、(4)オリゴヌクレオチドのTm値がおよそ55℃以上となる、の4つの条件を満たす領域にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドが好ましい。ここで、「GC含量」とは、オリゴヌクレオチドの全塩基数に対するグアニン及びシトシンの総数の割合(%)をいう。
上記(1)において「ゲオスミチア属に属する菌類に固有の遺伝子の塩基配列が10塩基前後連続して現れる領域」とは、前記本発明のβ−チューブリン遺伝子の可変領域の中でも、異なる属間での塩基配列の保存性が特に低く(すなわち、ゲオスミチア属に属する菌類の特異性が特に高く)、10塩基前後にわたってゲオスミチア属に属する菌類に固有の塩基配列が連続して現れる領域を意味する。
また、上記(3)において「オリゴヌクレオチドの自己アニールの可能性が低い」とは、プライマーの塩基配列からプライマー同士が結合しないことが予想されることを言う。
本発明の検出用オリゴヌクレオチドの塩基数としては、特に限定されないが、13塩基〜30塩基であることが好ましく、18塩基〜23塩基であることがより好ましい。ハイブリダイズ時のオリゴヌクレオチドのTm値は、55℃〜65℃の範囲内であることが好ましく、59℃〜62℃の範囲内であることがより好ましい。オリゴヌクレオチドのGC含量は、30%〜80%が好ましく、45%〜65%がより好ましく、55%前後であることがさらに好ましい。
本発明の上記検出用オリゴヌクレオチドとしては、配列番号4若しくは5に記載の塩基配列又はその相補配列で表されるオリゴヌクレオチドがより好ましい。また、本発明の検出用オリゴヌクレオチドは、配列番号4若しくは5に記載の塩基配列に対して70%以上の相同性を有する塩基配列又はその相補配列で表されるオリゴヌクレオチドであってもよく、相同性が80%以上であることがより好ましく、相同性が90%以上であることがさらに好ましく、相同性が95%以上であることが特に好ましい。また、本発明で用いることができる検出用オリゴヌクレオチドには、配列番号4若しくは5に記載の塩基配列又はその相補配列において1又は数個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個、よりさらに好ましくは1〜2個、特に好ましくは1個の塩基の欠失、挿入あるいは置換といった変異や、修飾された塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドも包含される。また、配列番号4若しくは5に記載の塩基配列又はその相補配列に、適当な塩基配列を付加してもよい。
塩基配列の相同性については、Lipman−Pearson法(Science,227,1435,1985)等によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx−Win(ソフトウェア開発製)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、パラメーターであるUnit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出することができる。
本発明の検出用オリゴヌクレオチドは、核酸プライマー及び核酸プローブとして用いることができる。核酸プローブは、前記オリゴヌクレオチドを標識物によって標識化することで調製することができる。前記標識物としては特に制限されず、放射性物質や酵素、蛍光物質、発光物質、抗原、ハプテン、酵素基質、不溶性担体などの通常の標識物を用いることができる。標識方法は、末端標識でも、配列の途中に標識してもよく、また、糖、リン酸基、塩基部分への標識であってもよい。かかる標識の検出手段としては、例えば核酸プローブが放射性同位元素で標識されている場合にはオートラジオグラフィー等、蛍光物質で標識されている場合には蛍光顕微鏡等、化学発光物質で標識されている場合には感光フィルムを用いた解析やCCDカメラを用いたデジタル解析等が挙げられる。
また、前記オリゴヌクレオチドは、固相担体に結合させて捕捉プローブとして用いることもできる。この場合、捕捉プローブと、標識核酸プローブの組み合わせでサンドイッチアッセイを行うこともできるし、標的核酸を標識して捕捉することもできる。
本発明の検出法においては、ゲオスミチア属に属する菌類を同定、検出するために、下記の(c)又は(d)のオリゴヌクレオチドを核酸プローブとして用いたハイブリダイゼーションを行うことが好ましく、配列番号4及び配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドを用いるのがさらに好ましい。
(c)配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド若しくはその相補配列、又は当該塩基配列若しくはその相補配列に対して70%以上の相同性を有しかつ核酸プローブとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド
(d)配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド若しくはその相補配列、又は当該塩基配列若しくはその相補配列に対して70%以上の相同性を有しかつ核酸プローブとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド
被検体中のゲオスミチア属に属する菌類を検出するためには、前記(c)及び/又は(d)で示されたオリゴヌクレオチドを標識化して核酸プローブとし、得られた核酸プローブをDNA又はRNAとハイブリダイズさせ、ハイブリダイズしたプローブの標識を適当な検出法により検出すればよい。上記核酸プローブはゲオスミチア属に属する菌類のβ−チューブリン遺伝子の可変領域の一部と特異的にハイブリダイズするので、被検体中のゲオスミチア属に属する菌類を迅速かつ簡便に検出することができる。DNA又はRNAとハイブリダイズした核酸プローブの標識を測定する方法としては、通常の方法(FISH法、ドットブロット法、サザンブロット法、ノーザンブロット法等)を用いることができる。
さらに、本発明の検出方法において、前記本発明のβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列で表される核酸を用いてゲオスミチア属に属する菌類の同定を行うためには、該塩基配列の全部又は一部の領域を含むDNA断片を増幅し、増幅産物の有無を確認することが好ましい。当該領域を含むDNA断片を増幅する方法として特に制限はなく、PCR(Polymerase Chain Reaction)法、LCR(Ligase Chain Reaction)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法、NASBA(Nucleic Acid Sequence-based Amplification)法、RCA(Rolling-circle amplification)法など通常の方法を用いることができる。しかし、本発明においては、PCR法を用いるのが迅速性及び簡便性の観点から好ましい。
本発明において、PCR法を用いてゲオスミチア属に属する菌類の検出を行う場合について説明する。
ゲオスミチア属に属する菌類を検出するためには、下記の(e)又は(f)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いるのが好ましく、配列番号4及び配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドを用いるのがさらに好ましい。
(e)配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつ核酸プライマーとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド
(f)配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつ核酸プライマーとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド
また、本発明のゲオスミチア属に属する菌類検出用核酸プライマー対は、前記(e)のオリゴヌクレオチドと前記(f)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対である。
配列番号4及び配列番号5で示されるオリゴヌクレオチドは、β−チューブリン遺伝子領域に存在し、可変領域の一部分の塩基配列又はその相補配列と同じ塩基配列を持つオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは、ゲオスミチア属に属する菌類のDNAの一部分に特異的にハイブリダイズすることができる。
前記(e)及び(f)で示されるオリゴヌクレオチドは、配列番号1に記載の塩基配列中の、それぞれ62位〜79位まで、223位〜243位までの領域に、配列番号2に記載の塩基配列中の、それぞれ49位〜66位まで、196位〜214位までの領域に、配列番号3に記載の塩基配列中の、それぞれ45位〜61位まで、182位〜200位までの領域に対応する。したがって、前記オリゴヌクレオチドをゲオスミチア属に属する菌類のβ−チューブリン遺伝子にハイブリダイズさせることによって、ゲオスミチア属に属する菌類を特異的に検出することができる。
本発明におけるPCR反応の条件は、目的のDNA断片を検出可能な程度に増幅することができれば特に制限されない。PCRの反応条件の好ましい一例としては、例えば、2本鎖DNAを1本鎖にする熱変性反応を95〜98℃で10〜60秒間行い、プライマー対を1本鎖DNAにハイブリダイズさせるアニーリング反応を55〜59℃で約60秒間行い、DNAポリメラーゼを作用させる伸長反応を約72℃で約60秒間行い、これらを1サイクルとしたものを約30〜35サイクル行う。
本発明において、PCR法により増幅した遺伝子断片の確認は通常の方法で行うことができる。例えばPCR反応産物について電気泳動を行い増幅した遺伝子の大きさに対応するバンドの有無を確認する方法、PCR反応産物量を経時的に計測する方法、PCR反応産物の塩基配列を解読する方法等が挙げられるが、本発明はこれらの方法に限定されるものではない。本発明においては、遺伝子増幅処理後に電気泳動を行い、増幅した遺伝子の大きさに対応するバンドの有無を確認する方法が好ましい。また、本発明において、PCR法により増幅した遺伝子断片の検出は通常の方法で行うことができる。例えば増幅反応時に放射性物質などで標識されたヌクレオチドを取り込ませる方法、蛍光物質などで標識されたプライマーを用いる方法、増幅したDNA2本鎖の間にエチジウムブロマイドなどのDNAと結合することにより蛍光強度が強くなる蛍光物質を入り込まさせる方法等が挙げられるが、本発明はこれらの方法に限定されるものではない。本発明においては、増幅したDNA2本鎖の間にDNAと結合することにより蛍光強度が強くなる蛍光物質を入り込ませる方法が好ましい。
検体にゲオスミチア属に属する菌類が含まれる場合、本発明のオリゴヌクレオチド対をプライマーセットとして使用してPCR反応を行い、得られたPCR反応産物について電気泳動を行うと、これらの菌類に特異的な約150〜180bpのDNA断片の増幅が認められる。この操作を行うことにより、検体にゲオスミチア属に属する菌類が含まれているか否かを有性及び無性世代に関わらず確認することができる。
本発明に用いられる検出用オリゴヌクレオチド、核酸プライマー及び核酸プローブは、設計した配列を基にして化学合成したり、試薬メーカーから購入することができる。具体的には、オリゴヌクレオチド合成装置等を用いて合成することができる。また、合成後、吸着カラム、高速液体クロマトグラフィーや電気泳動法を用いて精製したものを用いることもできる。また、1ないし数個の塩基が置換、欠失、挿入若しくは付加された塩基配列を有するオリゴヌクレオチドについても、公知の方法を使用して合成できる。
上記検出用オリゴヌクレオチド、核酸プライマー及び核酸プローブの結合様式は、天然の核酸に存在するホスホジエステル結合だけでなく、例えばホスホロアミデート結合、ホスホロチオエート結合等であってもよい。
本発明において使用される検体としては特に制限はなく、飲食品自体、飲食品の原材料、単離菌体、培養菌体等を用いることができる。
検体からDNAを調製する方法としては、ゲオスミチア属に属する菌類の検出を行うのに十分な精製度及び量のDNAが得られるのであれば特に制限されず、未精製の状態でも使用できるが、さらに分離、抽出、濃縮、精製等の前処理をして使用することもできる。例えば、フェノール及びクロロホルム抽出を行って精製したり、市販の抽出キットを用いて精製して、核酸の純度を高めて使用することができる。
本発明の前記検出用オリゴヌクレオチド、核酸プローブ又は核酸プライマーは、ゲオスミチア属に属する菌類の検出を行う際に必要な各種の試薬類とともに予めパッケージングして、ゲオスミチア属に属する菌類検出用キットとすることができる。
本発明の検出用キットは、例えば、前記本発明の検出用オリゴヌクレオチドを核酸プローブとして含むもの、あるいは前記本発明のオリゴヌクレオチド対を核酸プライマー対として含むものである。これらのキットは、ハイブリダイゼーション法やPCR法によってゲオスミチア属に属する菌類を検出する場合に好ましく用いることができる。本発明のキットは、前記検出用オリゴヌクレオチド、核酸プローブ又は核酸プライマーの他に、目的に応じ、標識検出物質、緩衝液、核酸合成酵素(DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素等)、酵素基質(dNTP,rNTP等)等、菌類の検出に通常用いられる物質を含有する。
本発明の方法によれば、検体の調製工程から菌類の検出工程までを約5〜12時間という短時間で行うことが可能である。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1 ゲオスミチア属に属する菌類に特異的な塩基配列の解析
下記の方法によりゲオスミチア属各種のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列を決定した。ポテトデキストロース寒天斜面培地にて25℃、7日間、暗所培養したゲオスミチア属菌体からGenとるくんTM(タカラバイオ(株)社製)を使用し、DNAを抽出した。目的とする部位のPCR増幅は、PuRe TaqTM Ready-To-Go PCR Beads(GE Health Care UK LTD製)を用いて、プライマーとして、Bt2a(5’-GGTAACCAAATCGGTGCTGCTTTC-3’、配列番号6)、Bt2b(5’-ACCCTCAGTGTAGTGACCCTTGGC-3’、配列番号7)(Glass and Donaldson,Appl Environ Microbiol 61:1323−1330,1995)を使用した。増幅条件は、変性温度95℃、アニリング温度59℃、伸長温度72℃、35サイクルで実施した。PCR産物は、Auto SegTM G−50(Amersham Pharmacia Biotech社製)を使用し精製した。PCR産物は、BigDye terminator Ver. 1.1(商品名、Applied Biosystems社製)を使用してラベル化し、ABI PRISM 3130 Genetic Analyzer(Applied Biosystems社製)で電気泳動を実施した。電気泳動時の蛍光シグナルからの塩基配列の決定には、ソフトウエアー“ATGC Ver.4”(Genetyx社製)を使用した。
シークエンシング法により決定した各種菌類(ゲオスミチア エビュネウス、ゲオスミチア ビソクラマイドイデス、ゲオスミチア エメルソニ、アスペルギルス ニガー(アクセッションナンバー:AY585535)、クラドスポリウム クラドスポロイデス(特願2008-139999参照))のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列情報をもとに、DNA解析ソフトウエア(商品名:DNAsis pro、日立ソフトウエア社製)を用いてアライメント解析を行い、ゲオスミチア属に属する菌類に特異的な塩基配列を含有するβ−チューブリン遺伝子中の特定領域(配列番号1〜3)を決定した。
実施例2 PCR法によるゲオスミチア属に属する菌類の検出
(1)プライマーの作製
上記で得られたゲオスミチア属に属する菌類に特異的な塩基配列領域(配列番号1〜3)のうち、3´末端側でゲオスミチア属に属する菌類の特異性が特に高い領域から、1)属固有の遺伝子の塩基配列が10塩基前後連続している、2)オリゴヌクレオチドのGC含量が概ね30%〜80%となる、3)オリゴヌクレオチドの自己アニールの可能性が低い、4)オリゴヌクレオチドのTm値が概ね55〜65℃程度となる、の4つの条件を満たす部分領域の検討を行った。この部分領域の塩基配列を基にして5組のプライマー対を設計し、各種菌体から抽出したDNAを鋳型として用いてPCR反応によるゲオスミチア属検出の有効性、すなわち、ゲオスミチア属DNAを鋳型とした反応では150〜180bpにDNA増幅反応が認められ、その他のカビのゲノムDNAを鋳型とした反応では増幅産物が認められないことの検討を行った。その結果、5組中1組のプライマー対でゲオスミチア属検出の有効性を確認した。有効性が確認できたプライマー対は、配列番号4及び5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー対である。なお、使用したプライマーはシグマ アルドリッチ ジャパン社に合成依頼し(脱塩精製品、0.02μmolスケール)、購入したものである。
(2)検体の調製
ゲオスミチア属に属する菌類としては、表1及び表2に記載の菌を使用した。ゲオスミチア属に属する菌類のβ−チューブリン遺伝子に対する配列番号4及び5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーの特異性を示すために、表1及び表2に示す他のゲオスミチア属に属する菌類及び他の菌類も使用した。これらの菌類は千葉大学医学部真菌医学研究センターが保管し、IFMナンバーなどにより管理されているものを入手し、使用した。
各菌体を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて25℃で7日間培養した。
(3)ゲノムDNAの調製
各菌体を寒天培地から白金耳を用いて回収した。
ゲノムDNA調製用キット(アプライドバイオシステムズ社製PrepMan ultra(商品名))を用いて、回収した菌体からゲノムDNA溶液を調製した。DNA溶液の濃度は50ng/μlに調製した。
(4)PCR反応
DNAテンプレートとして、上記で調製したゲノムDNA溶液1μl、Pre Mix Taq(商品名、タカラバイオ社製)13μl、無菌蒸留水10μlを混合し、配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(Te1Fプライマー:GTGGCCCTCACGTTCGAG、20pmol/μl)0.5μl及び配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(Te1Rプライマー:GCCATTGTAGCATGTGCCAA、20pmol/μl)0.5μlを加え、25μlのPCR反応液を調製した。
PCR反応液について、自動遺伝子増幅装置サーマルサイクラーDICE(タカラバイオ)を用いて遺伝子増幅処理を行った。PCR反応条件は、(i)95℃、1分間の熱変性反応、(ii)55℃、1分間のアニーリング反応、及び(iii)72℃、1分間の伸長反応を1サイクルとしたものを35サイクル行った。
(5)増幅した遺伝子断片の確認
PCR反応後、PCR反応液から2.5μlを分取し、2%アガロースゲルで電気泳動を行い、SYBR Safe DNA gel stain in 1×TAE(インビトロジェン)でDNAを染色後、紫外線下で蛍光を検出することにより増幅されたDNA断片の有無を確認した。アガロースゲルの電気泳動図を図1及び図2に示す。なお、図1は表1に記載の菌類試料についての電気泳動図を示し、図2は表2に記載の菌類試料についての電気泳動図を示す。図中の番号は表記載の対応する試料番号の試料から抽出したDNAを用いて反応を行ったサンプルであることを示している。
その結果ゲオスミチア属に属する菌類のゲノムDNAを含む試料(図1の1〜6レーン及び図2の1〜2レーン)では、約150〜180bp程度の遺伝子断片の増幅が確認された。一方、ゲオスミチア属に属する菌類のゲノムDNAを含まない試料では、遺伝子断片の増幅は確認されなかった。以上の結果から、本発明のオリゴヌクレオチドを用いることによって、ゲオスミチア属に属する菌類を特異的に検出することができる。

Claims (6)

  1. 下記(e)及び(f)に記載のオリゴヌクレオチドを用いてゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類の同定を行うことを特徴とするゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類の検出方法。
    (e)配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号4に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドであって核酸プライマーとして使用できるオリゴヌクレオチド
    (f)配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号5に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドであって核酸プライマーとして使用できるオリゴヌクレオチド
  2. 前記ゲオスミチア属に属する菌類がゲオスミチア エビュネウス(Geosmithia eburneus)、ゲオスミチア エメルソニ(Geosmithia emersonii)及びゲオスミチア ビソクラマイドイデス(Geosmithia byssochlamydoides)からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の検出方法。
  3. 同定を行うために、前記(e)及び(f)に記載のオリゴヌクレオチドを用いて、下記(a)又は(b)に記載の塩基配列で表される核酸中の領域を遺伝子増幅し、遺伝子増幅産物の有無を確認することを特徴とする請求項1又は2記載のゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類の検出方法。
    (a)配列番号1〜3のいずれかに記載のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列又はその相補配列
    (b)配列番号1〜3のいずれかに記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列又はその相補配列
  4. 前記遺伝子増幅をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によって行うことを特徴とする請求項3記載の検出方法。
  5. 下記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドからなるゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類検出用核酸プライマー対。
    (e)配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号4に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドであって核酸プライマーとして使用できるオリゴヌクレオチド
    (f)配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号5に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加された塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドであって核酸プライマーとして使用できるオリゴヌクレオチド
  6. 請求項記載の核酸プライマー対を含むゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類検出用キット。
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