JP2007174903A - 食品汚染糸状菌の鑑別方法及び鑑別キット - Google Patents

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Abstract

【課題】 食品汚染糸状菌として知られている、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属、ボトリティス(Botrytis)属、ケトミウム(Chaetomium)属、エレマスカス(Eremascus)属、ミクロアスカス(Microascus)属、モナスカス(Monascus)属、ニューロスポラ(Neurospora)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、ワレミア(Wallemia)属及びゼロマイセス(Xeromyces)属の糸状菌を属レベルで迅速、簡便、確実かつ安価に検出して鑑別するための方法及びキットを提供すること。
【解決手段】 食品汚染糸状菌のゲノムDNA中の18S rRNA遺伝子の特定領域を増幅し、その増幅されたDNA断片の特異性と断片長から食品汚染糸状菌の鑑別を属レベルで行うことを特徴とする鑑別法である。
【選択図】 図31

Description

本発明は、食品汚染糸状菌の鑑別方法及び鑑別キットに関する。より具体的には、食品汚染糸状菌として知られている、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属、ボトリティス(Botrytis)属、ケトミウム(Chaetomium)属、エレマスカス(Eremascus)属、ミクロアスカス(Microascus)属、モナスカス(Monascus)属、ニューロスポラ(Neurospora)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、ワレミア(Wallemia)属及びゼロマイセス(Xeromyces)属の糸状菌を属レベルで迅速、簡便、確実かつ安価に検出して鑑別するための方法及びキットに関する。
食品汚染糸状菌は、糸状菌、即ち、カビの中でも特に食品や飲料の変敗に関与するものであり、例えば、非特許文献1には、その主要な属として、アブシジア(Absidia)属、ムコル(Mucor)属、リゾプス(Rhizopus)属、シンセファラストラム(Syncephalastrum)属、ビソクラミス(Byssochlamys)属、ケトミウム(Chaetomium)属、エメリセラ(Emericella)属、ユーロチウム(Eurotium)属、フザリウム(Fusarium)属、モナスカス(Monascus)属、ネオサルトリア(Neosartorya)属、ゼロマイセス(Xeromyces)属、アクレモニウム(Acremonium)属、アルタナーリア(Alternaria)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属、ボトリティス(Botrytis)属、クリソニリア(Chrysonilia)属、クラドスポリウム(Cladosporium)属、カーブラリア(Curvularia)属、エピコッカム(Epicoccum)属、ジオマイセス(Geomyces)属、ジオトリカム(Geotrichum)属、レシトフォーラ(Lecythophora)属、メムノニエラ(Memnoniella)属、モニリエラ(Moniliella)属、オイジオデンドロン(Oidiodendron)属、ペシロマイセス(Paecilomyces)属、ペニシリウム(Penicillium)属、フィアロフォーラ(Phialophora)属、スコプラリオプシス(Scopulariopsis)属、スタキボトリス(Stachybotrys)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、トリコテシウム(Trichothecium)属及びウロクラジウム(Ulocladium)属などが挙げられている。
「食の安全」を守ることを目的に食品安全基本法が2003年5月に制定された。食の安全に対する脅威としては1955年に発生した黄変米事件が有名であり、昨今の牛海綿状脳症(BSE)に匹敵するほどの社会問題となり、食品汚染糸状菌による健康危害が認知されるきっかけとなった。1960年にイギリスで発生した七面鳥X病事件はアフラトキシンが原因であり、カビ毒の危害が世界的に脚光を浴びることとなった。カビの発生やカビ毒の検出は食品衛生法第4条違反の疑いにより、専門的な視点での調査と、必要に応じての更なる検査が適用される。その結果、カビが発生したりカビ毒汚染が認められたりした食品が大量に製造され、広域に流通し、健康被害を引き起こす恐れがあるものについては、違反と認定され、回収などの措置がとられてきた。カビを原因とする食品事故を防止するためには、原材料からのカビの持ち込みを排除し、製造工程や流通輸送中にカビを混入させないように対策をたて、実行する必要がある。カビ毒による健康被害の特徴は、急性毒性よりもむしろ慢性毒性と発ガン性にあり、長寿命化した社会にあっては、微量でも長期間カビ毒に曝露された場合、リスクが顕在化する恐れがある。上記の食品汚染糸状菌の中にもカビ毒産生菌が多く含まれている。特に有名なカビ毒としては、アスペルギルス(Aspergillus)属によるアフラトキシン、アスペルギルス(Aspergillus)属及びペニシリウム(Penicillium)属によるオクラトキシンA、ペニシリウム(Penicillium)属によるパツリン、フザリウム(Fusarium)属によるトリコテセン類、フモニシンB1及びゼアラレノンなどが挙げられる(非特許文献2)。
前述のように、原料からのカビの持ち込みの排除と製造工程や流通輸送中におけるカビ混入の排除を行うためには、カビの監視・管理を行うことが重要である。
平成12年に発生したエンテロトキシン(細菌毒素)による乳製品の汚染、食中毒事故は有症者数1万人以上に及ぶ規模であり、大きな社会問題ともなった。原料乳の黄色ブドウ球菌による汚染が原因であったが、殺菌プロセス自体には問題が無かったために中間製品からも細菌が検出されなかったこと、更に、細菌毒素濃度が0.5ng/mL未満と低かったことが原因特定の遅れにつながり、被害拡大を招いた原因の一部と考えられた。この事件では、最終製品である低脂肪乳の原料である脱脂粉乳の原料乳の細菌汚染が原因とされたが、脱脂粉乳製造段階での加熱殺菌により細菌は死滅したものの、耐熱性細菌毒素は残ったままとなり、結果として最終製品である低脂肪乳に細菌毒素のみが残った(非特許文献3)。原材料から最終製品までの各工程で微生物の監視と制御ができていれば、製造プロセス中の微生物汚染を検出できたことでこの食中毒は防止できた可能性があった。
食品・飲料を汚染するカビを監視・制御するためには、汚染しているものの正体を知らなければならない。そのためにはカビの鑑別(同定)が必要となるが、これまでそれは専ら形態観察により行われてきた。形態観察を行うためには、従事者に長期にわたる形態観察経験の蓄積を要求し、また、鑑別に要する期間も通常1週間以上を必要とする。そのため、食品・飲料汚染事故の防止或いは原因究明に際して迅速かつ正確に実施することが困難であった。
遺伝子塩基配列を利用する方法(シークエンス法)は、精度よく食品汚染糸状菌の鑑別を行うことができる。しかし、その反面、DNAシークエンサという塩基配列解読装置を必要とするため、初期導入時に1000万円〜3000万円程度の費用が必要となる。これが遺伝子塩基配列を利用した方法が普及するための障害のひとつとなっているため、初期導入費用の低減が必要である。また、種レベルの鑑別が必要ではなく、属レベルの鑑別までで十分であるケースも多くあり、そのようなニーズではより一層の低コストと実施の簡便さが求められている。
カビは真菌といわれる「真の菌類」の大部分と一部のストラメノパイル類から構成されている。真菌は既知種の数(有効な正名の数)だけでも8万個以上存在していると言われている(非特許文献4)が、学名の登録制度やそれに類するものが無いため、正確な種の数を知ることができない。しかし、この種名の数にして8万個という上記文献記載にある種の数だけでも細菌の種の数の10倍以上に及ぶ。なお、細菌の種の数は、Approved Lists of Bacterial Names(Skerman et al. 1980)、IJSEM誌(年6回発行)、Validation Lists(IJSEM誌に掲載)を根拠として正確に知ることができる。
一般にカビの鑑別は細菌の鑑別に比べ難しいといわれているが、その理由として、(1)真菌の数が細菌に比べ圧倒的に多いこと、(2)形態観察に依存し、新技術が導入されずにきたこと、(3)分類体系が難しいこと、(4)植物の一部として扱われ、菌類としての認識の歴史が浅く、基礎的教育が欠如していること、などが挙げられる。
細菌の分類においては、16S rRNA遺伝子(16S rDNA)の塩基配列がWoese(1967)により着目され、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)の開発以降、盛んに利用されてきた。現在においては、細菌分類で最も重視されるデータの一つとなっている。菌類においても1990年代前半から16S rDNAオーソログである18S rDNAの塩基配列が系統分類に利用されてきたが、種間の相同率が高く、種の鑑別のためには十分ではないため、酵母においては28S rDNAのD1/D2領域の塩基配列(非特許文献5)が、その他の真菌については28S rDNAのD1/D2領域も含め、βチュブリンの塩基配列(非特許文献6)や18S rDNA-28S rDNA間スペーサー領域及び5.8S rDNAの塩基配列(非特許文献7)の利用が検討された。
近年、米国アプライド・バイオシステムズ社のMicroSeq ID Systemのような微生物の遺伝子塩基配列を利用してその鑑別を行うシステムが上市され、着々と販売実績を伸ばしている。そのシステム上では、真菌の鑑別においては28S rRNA遺伝子のD2領域の塩基配列を利用している(非特許文献8、非特許文献9)。
遺伝子塩基配列を利用する方法は形態観察による方法に比べ、(1)従事者に特殊な技能を要求せず、塩基配列データベースの充実により高い精度で鑑別が行える、(2)ゲノムDNAを抽出後、1〜3日程度で鑑別結果を得られる、という利点をもつ。
これまで、糸状菌の鑑別には、前述の遺伝子塩基配列を利用した方法(遺伝子シークエンス法)が専ら利用されてきた。18S rRNA遺伝子や28S rRNA遺伝子などでは広い範囲の糸状菌に対応できるPCRプライマーセットが提供され、失敗することが少なかった。
一方、オイルパーム病原菌の検出(特許文献1)、カンジア(Candia)属菌及びクリプトコッカス(Cryptococcus)属菌の検出(特許文献2)、カンジダ(Candida)属菌の検出(特許文献3、特許文献4)、病原真菌遺伝子の検出方法及び真菌の菌種同定用オリゴヌクレオチド(特許文献5、特許文献6)、真菌検出方法(特許文献7)、海苔壷状菌病病原菌検出・定量方法(特許文献8)、リゾクトニア(Rhizoctonia)属菌検出用の核酸配列(特許文献9)、フィシウム(Pythium)属菌検出用の核酸配列(特許文献10)、菌根菌検出用DNAプローブ(特許文献11)、真菌の検出及び真菌の菌種同定用オリゴヌクレオチド(特許文献12)、アスペルギルス(Aspergillus)種及び他の糸状菌を検出するための核酸(特許文献13)、微生物研究室での診断のための臨床検体からの共通の細菌性及び真菌性病原体並びに関連する抗生物質耐性遺伝子を迅速に検出及び同定するための種特異的、属特異的及び普遍的プローブ及びプライマー(特許文献14)、真菌の検出及び同定のための核酸プローブ(特許文献15)、リゾクトニア セレアリス(Rhizoctonia cerealis)のPCRに基づく検出(特許文献16)、及び、ポリメラーゼ連鎖反応を使用するマイコスファエレラ(Mycosphaerella)菌の検出(特許文献17)のように、遺伝子シークエンス法によらずプライマー又はプローブの塩基配列特異性を利用した特定の真菌の検出法或いは鑑別法は既に存在する。しかし、これらの方法は、属の検出或いは鑑別を謳っていても、その属の限られた菌種にしか適用できなかった。また、これらの方法は、主たる対象を病原真菌としており、本発明の対象である、食品汚染糸状菌には適用できなかった。
特開2001−314199号公報 特開2002−142774号公報 特開2002−142775号公報 特開2002−153276号公報 特開2004−201636号公報 特開2004−201637号公報 特開2004−201641号公報 特開2005−168359号公報 特開平10−234381号公報 特開平10−234399号公報 特開平5−252999号公報 特開平8−89254号公報 特表2001−525665号公報 特表2001−504330号公報 特表2002−504817号公報 特表2003−519493号公報 特表2004−503250号公報 Introduction to Food- and Air-borne Fungi, 7th Ed.、R. A. Samson 他、Centraalbureau voor Schimmelcultures, The Netherlands, 389 pp. 「食品のカビ汚染とリスクアセスメント」宇田川俊一、2005年、真菌誌、46巻、pp. 11-15. 大阪府公衛研ニュースNo. 12 Ainsworth & Bisby’s Dictionary of the Fungi, 9th ed.、Kirk et al.、2001、CAB Publishing. The Yeast, a taxonomic study, 4th Ed.、J. W. Fell & C. P. Kurtzman(Eds.)、1998、Elsevir. Molecular Systematics and Phylogeny of the Gibberella fujikuroi species complex、O'Donnell, K. 他、1998、Mycologia、Vol. 90、pp. 465-493 On the relationships of Paecilomyces sect. Isarioidea species、Luangsa-Ard, J. J. 他、2005、Mycological Research、Vol. 109、pp. 581-689 Experience with the MicroSeq D2 Large-Subunit Ribosomal DNA Sequencing Kit for Identification of Filamentous Fungi Encountered in Clinical Laboratory、Hall, L. 他、2004、Journal of Clinical Microbiology、Vol. 42、pp. 622-626 Experience with the MicroSeq D2 Large-Subunit Ribosomal DNA Sequencing Kit for Identification of commonly Encountered, Clinically Important Yeast Species、Hall, L. 他、2003、Journal of Clinical Microbiology、Vol. 41、pp. 5099-5102
本発明の目的は、食品汚染糸状菌の鑑別を行うに際し、属レベルの鑑別までで十分なニーズに対して、従来の遺伝子塩基配列を利用した鑑別方法よりも簡便で安価な方法を提供することである。
本発明は、各種の食品汚染糸状菌をそれぞれの属に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを利用して核酸増幅を行って鑑別する方法及びその方法を実施するためのキットを提供する。本発明は、これまでに本発明者らが各種の食品汚染糸状菌についての塩基配列データを独自に蓄積することで構築した18S rDNAの塩基配列データベースと国際DNA塩基配列データベースを比較し、特定の属に属する糸状菌の18S rDNAの特定領域を特異的に増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーの設計に適した箇所を見出した。そしてその結果に基づいて設計したオリゴヌクレオチドプライマーを利用して核酸増幅を行うことにより、糸状菌を特異的に検出・鑑別することが可能となった。即ち、本発明は、食品汚染糸状菌のゲノムDNA中の18S rRNA遺伝子の特定領域を増幅し、その増幅されたDNA断片の特異性と断片長から食品汚染糸状菌の鑑別を属レベルで行うことを特徴とする鑑別法である。
即ち、請求項1記載の本発明は、食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号1に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号2に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をアウレオバシジウム(Aureobasidium)属の糸状菌であると鑑別する方法である。
請求項2記載の本発明は、食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号3に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号4に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をボトリティス(Botrytis)属の糸状菌であると鑑別する方法である。
請求項3記載の本発明は、食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号5に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号6に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をケトミウム(Chaetomium)属の糸状菌であると鑑別する方法である。
請求項4記載の本発明は、食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号7に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号8に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をエレマスカス(Eremascus)属の糸状菌であると鑑別する方法である。
請求項5記載の本発明は、食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号9に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号10に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をミクロアスカス(Microascus)属の糸状菌であると鑑別する方法である。
請求項6記載の本発明は、食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号11に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号12に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をモナスカス(Monascus)属の糸状菌であると鑑別する方法である。
請求項7記載の本発明は、食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号13に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号14に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をニューロスポラ(Neurospora)属の糸状菌であると鑑別する方法である。
請求項8記載の本発明は、食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号15に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号16に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をトリコデルマ(Trichoderma)属の糸状菌であると鑑別する方法である。
請求項9記載の本発明は、食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号17に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号18に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をワレミア(Wallemia)属の糸状菌であると鑑別する方法である。
請求項10記載の本発明は、食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号19に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号20に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をゼロマイセス(Xeromyces)属の糸状菌であると鑑別する方法である。
請求項11記載の本発明は、配列番号1に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号2に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるアウレオバシジウム(Aureobasidium)属の糸状菌を鑑別するためのキットである。
請求項12記載の本発明は、配列番号3に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号4に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるボトリティス(Botrytis)属の糸状菌を鑑別するためのキットである。
請求項13記載の本発明は、配列番号5に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号6に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるケトミウム(Chaetomium)属の糸状菌を鑑別するためのキットである。
請求項14記載の本発明は、配列番号7に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号8に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるエレマスカス(Eremascus)属の糸状菌を鑑別するためのキットである。
請求項15記載の本発明は、配列番号9に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号10に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるミクロアスカス(Microascus)属の糸状菌を鑑別するためのキットである。
請求項16記載の本発明は、配列番号11に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号12に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるモナスカス(Monascus)属の糸状菌を鑑別するためのキットである。
請求項17記載の本発明は、配列番号13に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号14に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるニューロスポラ(Neurospora)属の糸状菌を鑑別するためのキットである。
請求項18記載の本発明は、配列番号15に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号16に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるトリコデルマ(Trichoderma)属の糸状菌を鑑別するためのキットである。
請求項19記載の本発明は、配列番号17に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号18に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるワレミア(Wallemia)属の糸状菌を鑑別するためのキットである。
請求項20記載の本発明は、配列番号19に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号20に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるゼロマイセス(Xeromyces)属の糸状菌を鑑別するためのキットである。
本発明によれば、食品汚染糸状菌として知られている、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属、ボトリティス(Botrytis)属、ケトミウム(Chaetomium)属、エレマスカス(Eremascus)属、ミクロアスカス(Microascus)属、モナスカス(Monascus)属、ニューロスポラ(Neurospora)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、ワレミア(Wallemia)属及びゼロマイセス(Xeromyces)属の糸状菌を属レベルで迅速、簡便、確実かつ安価に検出して鑑別するための方法及びキットを提供することが可能となる。
本発明の食品汚染糸状菌の鑑別方法において、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製する方法は特段制限されるものではなく、自体公知の方法で調製することができる。もちろん市販のDNA抽出キットを用いて調製してもよい。
核酸増幅を行う際に用いるフォワードプライマーとリバースプライマーは、自体公知の方法で化学合成してもよいし、設計の由来となった糸状菌の遺伝子から制限酵素などを利用して直接切り出すことも可能であり、また、それらの遣伝子をE. coliなどのプラスミドにクローニングし、細菌の増殖の後にプラスミドを回収し、切り出して利用することも可能である。核酸増幅に用いるDNAポリメラーゼや反応条件は特段制限されるものでない。本発明においてプライマーとして用いるオリゴヌクレオチドは、自体公知の種々の核酸増幅方法を利用するのに十分な長さを有するので、糸状菌の属レベルでの鑑別を短時間で精度よく行うことができる。核酸増幅を変性・アニーリング・伸長の三工程で行う場合、温度サイクル条件としては、例えば、90℃〜96℃で1秒〜60秒→50℃〜70℃で1秒〜120秒→65℃〜75℃で1秒〜120秒といった条件を標準的な条件として挙げることができるが、この条件に限定されるものではない。増幅産物の有無は、例えば、Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies)を用いた電気泳動により行えばよいが、この方法に限定されるものではない。
配列番号1に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号2に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた場合、鑑別対象の糸状菌がアウレオバシジウム(Aureobasidium)属の糸状菌の場合のみ特異的な増幅DNA断片(目的とする単一の増幅産物:以下同じ)を得ることができる。例えば、18S rDNAの塩基配列が配列番号21で表されるアウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)では490bpの特異的な増幅DNA断片を得ることができ、同属であればほぼ同配列長の増幅産物を得ることができる。
配列番号3に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号4に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた場合、鑑別対象の糸状菌がボトリティス(Botrytis)属の糸状菌の場合のみ特異的な増幅DNA断片を得ることができる。例えば、18S rDNAの塩基配列が配列番号22で表されるボトリティス シネレア(Botrytis cinerea)では422bpの特異的な増幅DNA断片を得ることができ、同属であればほぼ同配列長の増幅産物を得ることができる。
配列番号5に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号6に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた場合、鑑別対象の糸状菌がケトミウム(Chaetomium)属の糸状菌の場合のみ特異的な増幅DNA断片を得ることができる。例えば、18S rDNAの塩基配列が配列番号23で表されるケトミウム グロボスム(Chaetomium globosum)では438bpの特異的な増幅DNA断片を得ることができ、同属であればほぼ同配列長の増幅産物を得ることができる。
配列番号7に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号8に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた場合、鑑別対象の糸状菌がエレマスカス(Eremascus)属の糸状菌の場合のみ特異的な増幅DNA断片を得ることができる。例えば、18S rDNAの塩基配列が配列番号24で表されるエレマスカス アルバス(Eremascus albus)では245bpの特異的な増幅DNA断片を得ることができ、同属であればほぼ同配列長の増幅産物を得ることができる。
配列番号9に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号10に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた場合、鑑別対象の糸状菌がミクロアスカス(Microascus)属又はその不完全世代の糸状菌の場合のみ特異的な増幅DNA断片を得ることができる。例えば、18S rDNAの塩基配列が配列番号25で表されるミクロアスカス マンギニイ(Microascus manginii)では229bpの特異的な増幅DNA断片を得ることができ、同属であればほぼ同配列長の増幅産物を得ることができる。
配列番号11に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号12に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた場合、鑑別対象の糸状菌がモナスカス(Monascus)属又はその不完全世代の糸状菌の場合のみ特異的な増幅DNA断片を得ることができる。例えば、18S rDNAの塩基配列が配列番号26で表されるモナスカス ルベラ(Monascus ruber)では193bpの特異的な増幅DNA断片を得ることができ、同属であればほぼ同配列長の増幅産物を得ることができる。
配列番号13に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号14に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた場合、鑑別対象の糸状菌がニューロスポラ(Neurospora)属又はその不完全世代の糸状菌の場合のみ特異的な増幅DNA断片を得ることができる。例えば、18S rDNAの塩基配列が配列番号27で表されるニューロスポラ シトフィラ(Neurospora sitophila)では180bpの特異的な増幅DNA断片を得ることができ、同属であればほぼ同配列長の増幅産物を得ることができる。
配列番号15に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号16に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた場合、鑑別対象の糸状菌がトリコデルマ(Trichoderma)属又はその不完全世代の糸状菌の場合のみ特異的な増幅DNA断片を得ることができる。例えば、18S rDNAの塩基配列が配列番号28で表されるトリコデルマ ヴィリデ(Trichoderma viride)では383bpの特異的な増幅DNA断片を得ることができ、同属であればほぼ同配列長の増幅産物を得ることができる。
配列番号17に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号18に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた場合、鑑別対象の糸状菌がワレミア(Wallemia)属の場合のみ特異的な増幅DNA断片を得ることができる。例えば、18S rDNAの塩基配列が配列番号29で表されるワレミア セビ(Wallemia sebi)では271bpの特異的な増幅DNA断片を得ることができ、同属であればほぼ同配列長の増幅産物を得ることができる。
配列番号19に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号20に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた場合、鑑別対象の糸状菌がゼロマイセス(Xeromyces)属又はその不完全世代の糸状菌の場合のみ特異的な増幅DNA断片を得ることができる。例えば、18S rDNAの塩基配列が配列番号30で表されるゼロマイセス ビスポラス(Xeromyces bisporus)では557bpの特異的な増幅DNA断片を得ることができ、同属であればほぼ同配列長の増幅産物を得ることができる。
本発明は、各種飲食品やその原材料についての糸状菌による汚染の有無を迅速かつ簡便に検査する場合に適したものであるが、この場合、本発明が適用される飲食品やその原材料は、糸状菌に汚染される可能性のあるものであれば特に制限されるものではない。飲食品としては、例えば、酸性飲食品が挙げられる。ここで酸性飲食品とはpH5.5以下の食品および飲料を意味する。酸性飲食品の代表例としては、果汁入り飲食品が挙げられる。ここで果汁入り飲食品とは果汁が最終濃度として0.01重量%以上含まれる食品および飲料を意味し、100%果汁飲料を含む果汁入り清涼飲料、果汁入りのゼリーやヨーグルトやガムや飴などが例示される。果汁入り飲食品の原材料としては、原果汁が挙げられるが、これは、例えば、果実から搾取した果汁またはその水分を除去して濃縮したものであり、濃縮果汁還元して使用されたりするものである。代表的に例示される果汁としては、オレンジ果汁、アップル果汁、グレープフルーツ果汁、グレープ果汁、パイン果汁、レモン果汁、ピーチ果汁、ベリー果汁、マンゴ果汁などが挙げられる。酸性飲食品としては、果汁入り飲食品の他にも、炭酸飲料、果実飲料、酸性紅茶飲料、スポーツ飲料、トマトジュースや人参ジュースなどの各種野菜ジュース、栄養ドリンク、乳性飲料、ヨーグルト、果肉入りゼリー、リキュール、ジャム、マーマレード、ドレッシングなどが挙げられる。酸性飲食品の原材料としては、果実や野菜の他にも、糖類(ブドウ糖や果糖などの単糖類、砂糖や麦芽糖などの二糖類、果糖・ブドウ糖液糖、デキストリン、各種オリゴ糖、蜂蜜、糖アルコールなど)、酸味料、着色料、香料、増粘多糖類、ゲル化剤、脱脂粉乳、加糖乳糖、乳酸菌飲料、発酵乳、ビタミン類などが挙げられる。また、穀類、いも及びでんぷん類、豆類、種実類、茶類、きのこ類、藻類、魚介類、肉類、卵類、乳類、油脂類、菓子類、し好飲料類、調味料及び香辛料類、調味加工食品などの飲食品や、これら飲食品の中で原材料を使用して製造されるものにおける当該原材料が検査対象となることができる。
本発明はまた、食品汚染糸状菌の鑑別キットを提供する。このキットは、核酸増幅を行うためのフォワードプライマーとリバースプライマーを少なくとも含んでなるものであるが、その他に、DNAポリメラーゼ、dATP,dCTP,dTTP,dGTPの各溶液、バッファーなどを含んでいてもよい。
以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
(実験方法)
1.菌株
本研究にはJCM、IFO、NBRC、IAM、CBS、DSM、CABI、MUCLの各カルチャーコレクションより分譲された菌株を使用した。
2.培養条件
菌株の培養は各分譲機関推奨の培地を用いて行った(下記参照)。
・ Potato Dextrose Agar(MERCK)
・ Malt Extract Agar(OXOID)
・ CZ20S:NaNO3 3g、K2HPO4 1g、KCl 0.5g、MgSO4・7H2O 0.5g、FeSO4・7H2O 0.01g、Saccharos 200g、Agar 15g、Distilled water 1L、pH 6.0-6.5
・ MY20:Pepton 5g、Yeast extract 3g、Malt extract 3g、Glucose 200g、Agar 20g、Distilled water 1L、pH未調整
・ M40Y:Yeast extract 5g、Malt extract 20g、Sucose 400g、Agar 20g、Distilled water 1L、pH未調整
・ MYA50G:Yeast extract 3g、Malt extract 3g、Glucose 500g、Bactopeptone 5g、Agar 15g、Distilled water 1L、pH未調整
各培地は121℃で15分間高圧滅菌した後、90mm径のシャーレに1枚当たり約20mL流し込んで固化させた。
培養はいずれの菌株も25℃又は35℃で5〜10日間行った。
3.DNA抽出方法
Genとるくん(酵母用)(タカラバイオ)を用いて行った。方法はキット添付のプロトコールに準じた。
4.属に特異的なプライマーの設計
解析を行った430株の18S rDNA(リボゾームRNA遺伝子)の塩基配列及び公的なデータベース(DNAデータバンク・オブ・ジャパン:DDBJ)より引用した50株の18S rDNAの塩基配列を用いて多重塩基配列比較を行った。この結果をもとに、各々の属に特異的でかつPCRプライマーとして用いることができる領域を探索し、長さが約20塩基のプライマーを設計した。
5.プライマーの合成
設計したプライマーの合成はエスペックオリゴサービスに委託した。
6.試験対象菌株の選定
設計したプライマーが属特異的に反応するか否かを確かめるにあたり、その試験対象となる菌株を次の観点から選んだ。
(1)そのプライマーが対象としている属のメンバーであること(有性・無性の両世代)
(2)対象となる属と系統的に近い菌種であること
(3)類似したプライマー領域を有している菌株であること
7.PCR反応
設計したプライマーの属特異性の可否を確認するためにPCR反応を行った。反応溶液組成と反応条件は以下の通りとした。PCR産物の電気泳動はAgilent 2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies)を用いて行った。
(反応溶液組成)
フォワードプライマー(10pmol/μL):2μL
リバースプライマー(10pmol/μL):2μL
DNA template:1μL
Ready-To-GoTM PCR Beads(Amersham Pharmacia Biotech):1個
Distilled water:20μL
(反応条件)
95℃,10分→(95℃,30秒→53℃,30秒→72℃,1分)×35サイクル→72℃,10分→4℃
8.シークエンスロゴの作成
Sequence Logo(T. D. Schneider and R. M. Stephens(1990)Sequence Logos: A new way to display consensus sequences. Nucleic Acids Research 18: 6097-6100.) はコンセンサス配列を可視化する手段である。その可視化されたLogoには次の情報を含んでいる。
1) 一般的なコンセンサス
2) 各ポジションにおける塩基の優勢順位
3) 各ポジションにおける塩基の相対的な頻度
4) 各ポジションにおいて示される情報量をbitで示す
430株の18S rDNAの塩基配列データによるマルチプルアラインメントをもとに各プライマー設計部位について作成したシークエンスロゴ(上記に述べる情報を含むコンセンサス配列)と各プライマーの配列を比較した。本実験手順においてシークエンスロゴは、その作成プログラム WebLogo(G. E. Crooks, G. hon, J.-M. Chandonia and S. W. Brenner (2004)WebLogo: A sequence logo generator. Genome Researech 14: 1188-1190.)を作者たちが公開提供している Webページ(http://weblogo.berkeley.edu/)を利用して作成した。
(1)アウレオバシジウム(Aureobasidium)属の検出
上記の実験方法4の方法に基づいてAureobasidium属の菌株を特異的に検出することが可能なプライマー領域を検索したところ、二箇所の条件を満たす領域が見出された(図1下線部及び図2参照)。この領域をもとに設計した下記のプライマーセット(Fはフォワードプライマーを意味しRはリバースプライマーを意味する:以下同じ)を用い、Aureobasidium属の菌株及び上記の実験方法6で設定した条件に従って選定した菌株由来のDNAを鋳型としてPCR反応を行ったところ、Aureobasidium属の菌株においてのみ目的とする約490bpのPCR産物の増幅が確認された(図3)。以上の結果から、このプライマーセットを用いることによってAureobasidium属の菌株を特異的に検出して鑑別できることが示された。
配列番号 1・・・Aureobasidium-F:5'-GGGATCGGGCGATGTTATCA-3'[1039-1056]
配列番号 2・・・Aureobasidium-R:5'-AGTTTAACAAGATTACCCAAC-3'[1526-1506]
(GTTGGGTAATCTTGTTAAACTの相補鎖)
[ ]内の数値はSaccharomyces cerevisiae 18S rDNA塩基配列上の位置
(2)ボトリティス(Botrytis)属の検出
上記の実験方法4の方法に基づいてBotrytis属の菌株を特異的に検出することが可能なプライマー領域を検索したところ、二箇所の条件を満たす領域が見出された(図4下線部及び図5参照)。この領域をもとに設計した下記のプライマーセットを用い、Botrytis属の菌株及び上記の実験方法6で設定した条件に従って選定した菌株由来のDNAを鋳型としてPCR反応を行ったところ、Botrytis属の菌株においてのみ目的とする約420bpのPCR産物の増幅が確認された(図6)。以上の結果から、このプライマーセットを用いることによってBotrytis属の菌株を特異的に検出して鑑別できることが示された。
配列番号 3・・・Botrytis-F:5'-CAAAGTCTTTGGGTTCTG-3'[1087-1104]
配列番号 4・・・Botrytis-R:5'-AGACCTTTCGGTCAAGGAGA-3'[1508-1487]
(TCTCCTTGACCGAAAGGTCTの相補鎖)
[ ]内の数値はSaccharomyces cerevisiae 18S rDNA塩基配列上の位置
(3)ケトミウム(Chaetomium)属の検出
上記の実験方法4の方法に基づいてChaetomium属の菌株を特異的に検出することが可能なプライマー領域を検索したところ、二箇所の条件を満たす領域が見出された(図7下線部及び図8参照)。この領域をもとに設計した下記のプライマーセットを用い、Chaetomium属の菌株及び上記の実験方法6で設定した条件に従って選定した菌株由来のDNAを鋳型としてPCR反応を行ったところ、Chaetomium属の菌株において目的とする約440bpのPCR産物の増幅が確認された。Chaetomium属以外の菌株においても同じ長さの増幅産物が確認される場合があるが、この場合はそれ以外の複数の増幅産物も認められた。即ち、目的とする長さのPCR産物のみが増幅されることを確認することにより、Chaetomium属の菌株をそれ以外の菌株と区別できた(図9)。従って、このプライマーセットを用いることによってChaetomium属の菌株を鑑別できることが示された。
配列番号 5・・・Chaetomium-F:5'-GGCTCGGCTGGGTCTTTCCTT-3'[677-700]
配列番号 6・・・Chaetomium-R:5'-CTCCCCCAGGAGCCCAAACAT-3'[1111-1092]
(ATGTTTGGGCTCCTGGGGGAGの相補鎖)
[ ]内の数値はSaccharomyces cerevisiae 18S rDNA塩基配列上の位置
(4)エレマスカス(Eremascus)属の検出
上記の実験方法4の方法に基づいてEremascus属の菌株を特異的に検出することが可能なプライマー領域を検索したところ、二箇所の条件を満たす領域が見出された(図10下線部及び図11参照)。この領域をもとに設計した下記のプライマーセットを用い、Eremascus属の菌株及び上記の実験方法6で設定した条件に従って選定した菌株由来のDNAを鋳型としてPCR反応を行ったところ、Eremascus属の菌株において目的とする約250bpのPCR産物の増幅が確認された。Eremascus属以外の菌株においても薄いバンドの見られるものがあるが、増幅産物の長さが異なった。即ち、目的とする長さのPCR産物のみが増幅されるのを確認することにより、Eremascus属の菌株をそれ以外の菌株と区別できた(図12)。従って、このプライマーセットを用いることによってEremascus属の菌株を鑑別できることが示された。
配列番号 7・・・Eremascus-F:5'-CTGATACAGGGCTTTTACAA-3'[478-497]
配列番号 8・・・Eremascus-R:5'-CAGTGAAGGCCATAGGGCTT-3'[722-705]
(AAGCCCTATGGCCTTCACTGの相補鎖)
[ ]内の数値はSaccharomyces cerevisiae 18S rDNA塩基配列上の位置
(5)ミクロアスカス(Microascus)属(有性世代:Scopulariopsis属)の検出
上記の実験方法4の方法に基づいてMicroascus属(有性世代:Scopulariopsis属)の菌株を特異的に検出することが可能なプライマー領域を検索したところ、二箇所の条件を満たす領域が見出された(図13下線部及び図14参照)。この領域をもとに設計した下記のプライマーセットを用い、Microascus属とScopulariopsis属の菌株及び上記の実験方法6で設定した条件に従って選定した菌株由来のDNAを鋳型としてPCR反応を行ったところ、Microascus属とScopulariopsis属の菌株において目的とする約230bpのPCR産物の増幅が確認された。Microascus属とScopulariopsis属以外の菌株においてもPCR産物のバンドの見られるものもあるが、その数は複数であり、長さも目的のものとは異なった。即ち、目的とする長さのPCR産物のみが増幅されるのを確認することにより、Microascus属とScopulariopsis属の菌株をそれ以外の菌株と区別できた(図15)。従って、このプライマーセットを用いることによってMicroascusa属とその有性世代であるScopulariopsis属の菌株を鑑別できることが示された。
配列番号 9・・・Microascus-F:5'-ATCGTTTATTTGATAGCACA-3'[112-131]
配列番号10・・・Microascus-R:5'-CGAGGACAAGACCCTCGCA-3'[342-324]
(TGCGAGGGTCTTGTCCTCGの相補鎖)
[ ]内の数値はSaccharomyces cerevisiae 18S rDNA塩基配列上の位置
(6)モナスカス(Monascus)属の検出
上記の実験方法4の方法に基づいてMonascus属の菌株を特異的に検出することが可能なプライマー領域を検索したところ、二箇所の条件を満たす領域が見出された(図16下線部及び図17参照)。この領域をもとに設計した下記のプライマーセットを用い、Monascus属の菌株及び上記の実験方法6で設定した条件に従って選定した菌株由来のDNAを鋳型としてPCR反応を行ったところ、Monascus属の菌株において目的とする約200bpのPCR産物の増幅が確認された(レーン2の700bp付近に見られるバンドは実験ノイズ)。Monascus属以外の菌株においても薄いバンドの見られるものがあるが、増幅産物の長さが異なった。即ち、目的とする長さのPCR産物のみが増幅されるのを確認することにより、Monascus属の菌株をそれ以外の菌株と区別できた(図18)。従って、このプライマーセットを用いることによってMonascus属の菌株を鑑別できることが示された。
配列番号11・・・Monascus-F:5'-ATGAGAACGACCTAAATAACC-3'[512-531]
配列番号12・・・Monascus-R:5'-TCCCCAGAAGGAAAGGTCCG-3'[706-687]
(CGGACCTTTCCTTCTGGGGAの相補鎖)
[ ]内の数値はSaccharomyces cerevisiae 18S rDNA塩基配列上の位置
(7)ニューロスポラ(Neurospora)属の検出
上記の実験方法4の方法に基づいてNeurospora属の菌株を特異的に検出することが可能なプライマー領域を検索したところ、二箇所の条件を満たす領域が見出された(図19下線部及び図20参照)。この領域をもとに設計した下記のプライマーセットを用い、Neurospora属の菌株及び上記の実験方法6で設定した条件に従って選定した菌株由来のDNAを鋳型としてPCR反応を行ったところ、Neurospora属の菌株において目的とする約180bpのPCR産物の増幅が確認された。Neurospora属以外の菌株においてもPCR産物のバンドの見られるものもあるが、その数は複数であり、長さも目的のものとは異なった。即ち、目的とする長さのPCR産物のみが増幅されるのを確認することにより、Neurospora属の菌株をそれ以外の菌株と区別できた(図21)。従って、このプライマーセットを用いることによってNeurospora属の菌株を鑑別できることが示された。
配列番号13・・・Neurospora-F:5'-TGAACCTTGGGCTCGGCCCGT-3'[633-653]
配列番号14・・・Neurospora-R:5'-TCTATTATTCCATGCTAGTAC-3'[811-791]
(GTACTAGCATGGAATAATAGAの相補鎖)
[ ]内の数値はSaccharomyces cerevisiae 18S rDNA塩基配列上の位置
(8)トリコデルマ(Trichoderma)属(有性世代:Hypocrea属)の検出
上記の実験方法4の方法に基づいてTrichoderma属(有性世代:Hypocrea属)の菌株を特異的に検出することが可能なプライマー領域を検索したところ、二箇所の条件を満たす領域が見出された(図22下線部及び図23参照)。この領域をもとに設計した下記のプライマーセットを用い、Trichoderma属とHypocrea属の菌株及び上記の実験方法6で設定した条件に従って選定した菌株由来のDNAを鋳型としてPCR反応を行ったところ、Trichoderma属とHypocrea属の菌株においてのみ目的とする約380bpのPCR産物の増幅が確認された(図24)。以上の結果から、このプライマーセットを用いることによってTrichoderma属とその有性世代であるHypocrea属の菌株を特異的に検出して鑑別できることが示された。
配列番号15・・・Trichoderma-F:5'-TGATAACTAGTCGAATCGACA-3'[252-272]
配列番号16・・・Trichoderma-R:5'-CAACTACGAGCTTTTTAACCA-3'[634-614]
(TGGTTAAAAAGCTCGTAGTTGの相補鎖)
[ ]内の数値はSaccharomyces cerevisiae 18S rDNA塩基配列上の位置
(9)ワレミア(Wallemia)属の検出
上記の実験方法4の方法に基づいてWallemia属の菌株を特異的に検出することが可能なプライマー領域を検索したところ、二箇所の条件を満たす領域が見出された(図25下線部及び図26参照)。この領域をもとに設計した下記のプライマーセットを用い、Wallemia属の菌株及び上記の実験方法6で設定した条件に従って選定した菌株由来のDNAを鋳型としてPCR反応を行ったところ、Wallemia属の菌株においてのみ目的とする約270bpのPCR産物の増幅が確認された(図27)。以上の結果から、このプライマーセットを用いることによってWallemia属の菌株を特異的に検出して鑑別できることが示された。
配列番号17・・・Wallemia-F:5'-TCGTGGCAACACGATATTGGTGAG-3'[163-186]
配列番号18・・・Wallemia-R:5'-AAAAGAGCCCTGTATTGT-3'[433-416]
(ACAATACAGGGCTCTTTTの相補鎖)
[ ]内の数値はSaccharomyces cerevisiae 18S rDNA塩基配列上の位置
(10)ゼロマイセス(Xeromyces)属の検出
上記の実験方法4の方法に基づいてXeromyces属を特異的に検出することが可能なプライマー領域を検索したところ、二箇所の条件を満たす領域が見出された(図28下線部及び図29参照)。この領域をもとに設計した下記のプライマーセットを用い、Xeromyces属の菌株及び上記の実験方法6で設定した条件に従って選定した菌株由来のDNAを鋳型としてPCR反応を行ったところ、Xeromycrs属の菌株においてのみ目的とする約560bpのPCR産物の増幅が確認された(図30)。以上の結果から、このプライマーセットを用いることによってXeromyces属の菌株を特異的に検出して鑑別できることが示された。
配列番号19・・・Xeromyces-F:5'-ATGAGTACGATCTAAACCCAC-3'[512-532]
配列番号20・・・Xeromyces-R:5'-TCATCATAGAATACCCGGGC-3'[1062-1045]
(GCCCGGGTATTCTATGATGAの相補鎖)
[ ]内の数値はSaccharomyces cerevisiae 18S rDNA塩基配列上の位置
試験例1:容器内壁に黒色異物が確認された醗酵乳飲料のカビ検査例
検体100μLをクロラムフェニコール添加ポテトデキストロース寒天培地(以下PDA培地)に塗抹し、25℃で7日間培養した。また、黒色異物もPDA培地上にのせて同様に培養した。生育してきたカビを分離し、純粋培養を行った。この分離したコロニーについて属レベルでの鑑別を行うために以下の試験を実施した。
市販のキットを用いて、純化したコロニーから染色体DNAを調製した。このDNAを鋳型とし、設計した10組のPCRプライマーを用いてPCR反応を一般的な方法に従って行った。反応産物を電気泳動で確認したところ、Aureobasidium属鑑別用プライマーを用いたPCR産物にのみ約490bpの特異的なバンドが確認された(図31)。以上の結果から、今回分離されたカビはAureobasidium属であることが判明した。なお、この分離株は28S rDNAのD2領域の遺伝子シークエンス法による解析からAureobasidium sp.であることを確認した。
試験例2:カステラに見つかった茶色い異物のカビ検査例
検体を実体顕微鏡で確認し異物がカビ様物質であることを確認した。その後、検体を寒天培地上にのせ25℃で7日間培養した。カステラの水分活性が低いことを考慮して、培地には通常のPDA培地の他にMY20寒天培地およびM40Y寒天培地も使用した。生育してきたカビを分離し、純粋培養を行った。この分離したコロニーについて属レベルでの鑑別を行うために以下の試験を実施した。
市販のキットを用いて、純化したコロニーから染色体DNAを調製した。このDNAを鋳型とし、設計した10組のPCRプライマーを用いてPCR反応を一般的な方法に従って行った。反応産物を電気泳動で確認したところ、Wallemia属鑑別用プライマーを用いたPCR産物にのみ約270bpの特異的なバンドが確認された(図32)。以上の結果から、今回分離されたカビはWallemia属であることが判明した。なお、この分離株は28S rDNAのD2領域の遺伝子シークエンス法による解析からWallemia sebiであることを確認した。
本発明は、食品汚染糸状菌として知られている、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属、ボトリティス(Botrytis)属、ケトミウム(Chaetomium)属、エレマスカス(Eremascus)属、ミクロアスカス(Microascus)属、モナスカス(Monascus)属、ニューロスポラ(Neurospora)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、ワレミア(Wallemia)属及びゼロマイセス(Xeromyces)属の糸状菌を属レベルで迅速、簡便、確実かつ安価に検出して鑑別するための方法及びキットを提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。
Aureubasidium pullulans var. pullulansの18S rDNAの塩基配列 Aureobasidium属用プライマー領域のシークエンスロゴ 実施例におけるAureobasidium属用のプライマーセットを用いたPCR反応の結果 Botrytis cinereaの18S rDNAの塩基配列 Botrytis属用プライマー領域のシークエンスロゴ 実施例におけるBotrytis属用のプライマーセットを用いたPCR反応の結果 Chaetomium globosumの18S rDNAの塩基配列 Chaetomium属用プライマー領域のシークエンスロゴ 実施例におけるChaetomium属用のプライマーセットを用いたPCR反応の結果 Eremascus albusの18S rDNAの塩基配列 Eremascus属用プライマー領域のシークエンスロゴ 実施例におけるEremascus属用のプライマーセットを用いたPCR反応の結果 Microascus manginiiの18S rDNAの塩基配列 Microascus属用プライマー領域のシークエンスロゴ 実施例におけるMicroascus属用のプライマーセットを用いたPCR反応の結果 Monascus ruberの18S rDNAの塩基配列 Monascus属用プライマー領域のシークエンスロゴ 実施例におけるMonascus属用のプライマーセットを用いたPCR反応の結果 Neurospora sitophilaの18S rDNAの塩基配列 Neurospora属用プライマー領域のシークエンスロゴ 実施例におけるNeurospora属用のプライマーセットを用いたPCR反応の結果 Trichoderma virideの18S rDNAの塩基配列 Trichoderma属用プライマー領域のシークエンスロゴ 実施例におけるTrichoderma属用のプライマーセットを用いたPCR反応の結果 Wallemia sebiの18S rDNAの塩基配列 Wallemia属用プライマー領域のシークエンスロゴ 実施例におけるWallemia属用のプライマーセットを用いたPCR反応の結果 Xeromyces bisporusの18S rDNAの塩基配列 Xeromyces属用プライマー領域のシークエンスロゴ 実施例におけるXeromyces属用のプライマーセットを用いたPCR反応の結果 試験例1におけるPCR反応の結果 試験例2におけるPCR反応の結果

Claims (20)

  1. 食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号1に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号2に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をアウレオバシジウム(Aureobasidium)属の糸状菌であると鑑別する方法。
  2. 食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号3に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号4に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をボトリティス(Botrytis)属の糸状菌であると鑑別する方法。
  3. 食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号5に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号6に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をケトミウム(Chaetomium)属の糸状菌であると鑑別する方法。
  4. 食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号7に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号8に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をエレマスカス(Eremascus)属の糸状菌であると鑑別する方法。
  5. 食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号9に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号10に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をミクロアスカス(Microascus)属の糸状菌であると鑑別する方法。
  6. 食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号11に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号12に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をモナスカス(Monascus)属の糸状菌であると鑑別する方法。
  7. 食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号13に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号14に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をニューロスポラ(Neurospora)属の糸状菌であると鑑別する方法。
  8. 食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号15に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号16に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をトリコデルマ(Trichoderma)属の糸状菌であると鑑別する方法。
  9. 食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号17に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号18に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をワレミア(Wallemia)属の糸状菌であると鑑別する方法。
  10. 食品汚染糸状菌を鑑別する方法であって、鑑別対象の糸状菌のDNAを調製し、調製されたDNAを鋳型として、配列番号19に記載のオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーに、配列番号20に記載のオリゴヌクレオチドをリバースプライマーに用いた核酸増幅を行い、特異的な増幅産物が認められた場合に、その糸状菌をゼロマイセス(Xeromyces)属の糸状菌であると鑑別する方法。
  11. 配列番号1に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号2に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるアウレオバシジウム(Aureobasidium)属の糸状菌を鑑別するためのキット。
  12. 配列番号3に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号4に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるボトリティス(Botrytis)属の糸状菌を鑑別するためのキット。
  13. 配列番号5に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号6に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるケトミウム(Chaetomium)属の糸状菌を鑑別するためのキット。
  14. 配列番号7に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号8に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるエレマスカス(Eremascus)属の糸状菌を鑑別するためのキット。
  15. 配列番号9に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号10に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるミクロアスカス(Microascus)属の糸状菌を鑑別するためのキット。
  16. 配列番号11に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号12に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるモナスカス(Monascus)属の糸状菌を鑑別するためのキット。
  17. 配列番号13に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号14に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるニューロスポラ(Neurospora)属の糸状菌を鑑別するためのキット。
  18. 配列番号15に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号16に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるトリコデルマ(Trichoderma)属の糸状菌を鑑別するためのキット。
  19. 配列番号17に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号18に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるワレミア(Wallemia)属の糸状菌を鑑別するためのキット。
  20. 配列番号19に記載のオリゴヌクレオチドと配列番号20に記載のオリゴヌクレオチドからなるプライマーセットを少なくとも含んでなるゼロマイセス(Xeromyces)属の糸状菌を鑑別するためのキット。
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