JP5912425B2 - タラロマイセス属真菌の検出方法 - Google Patents

タラロマイセス属真菌の検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、タラロマイセス(Talaromyces)属真菌の検出方法に関する。
耐熱性の菌類(真菌)は自然界に広く分布し、野菜、果物等の農作物で繁殖し、これらの農作物を原材料とした飲食品を汚染する。しかも、耐熱性の菌類は通常の他の菌類に比べて高い耐熱性を有する子嚢胞子を生活環の中で形成する。例えば酸性飲料の加熱殺菌処理を行ったとしても耐熱性菌類が生存、増殖し、カビの発生原因となることがある。
加熱殺菌処理後の飲食品からも検出されることがある汚染事故の原因菌の主な耐熱性菌類の1種として、タラロマイセス属に属する耐熱性菌類が知られている。飲食品及びこれらの原材料中の耐熱性真菌による事故防止のためには、タラロマイセス属に属する耐熱性真菌の検出が重要であり、タラロマイセス属の菌種は飲食品業界で重要危害菌として警戒されている。
従来のタラロマイセス属の真菌の検出及び同定法は、培養による形態学的な種分類が主である。この方法は形態学的な特徴が発生するまで培養を続ける必要があるため、最短でも14日以上の長期間を必要とする。また、形態学的な同定には極めて高い専門性を必要とするため、判定者によって同定結果が異なる危険性が否定できない。さらには加熱や薬剤などによる損傷菌体等は形態形成能を失うケースが存在し、それら菌体は長期間培養を行っても特徴的な形態を形成しないことから、同定結果の信頼性に問題があった。このように真菌の検出に長期間を要し、同定結果の信頼性に問題がある形態学的な検出・同定法は、飲食品の衛生管理、原材料の鮮度確保、流通上の制約など観点から、必ずしも満足できるとは言いがたい。従って、迅速性及び信頼性の問題を解決した検出・同定方法の確立が求められてきた。
特許文献1には、タラロマイセス属真菌のゲノムDNA中のβ−チューブリン遺伝子及び/又は28S rDNAのD1/D2領域の特定部位を増幅することにより、タラロマイセス属真菌を検出する方法が記載されている。しかし、特許文献1記載の方法はタラロマイセス属真菌を属レベルで同定するものであり、これらの方法で検出される菌類はタラロマイセススピーシーズ(Talaromyces sp.)としか同定することができず、タラロマイセス属真菌をより正確に同定するにはさらなる検討が必要である。
特開2010−4878号公報
耐熱性を有するタラロマイセス属真菌は、菌種により耐熱性が異なる。したがって、飲食品業界などにおいて、菌種によって異なる耐熱性のタラロマイセス属真菌の殺菌・滅菌処理条件が必要となる。したがって、飲食品業界などにおいて危害菌の正確なリスク評価を行うには、タラロマイセス属真菌を正確に識別することが重要となる。
本発明は、飲食品汚染の主な原因菌の1種であるタラロマイセス属真菌を正確かつ迅速に検出しうる方法を提供することを課題とする。また、本発明はこの方法に適用可能なオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド対及び検出キットを提供することを課題とする。
このような課題に鑑み、本発明者等は、タラロマイセス属真菌を正確に検出・識別しうる新たなDNA領域を探索すべく、鋭意検討を行った。具体的には、本発明者らは、タラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子、28S rDNAのD1/D2領域及びrDNAの内部転写スペーサー領域の塩基配列に基づく分子系統分類学的手法を用いて、タラロマイセス属真菌を複数のクレード(clade)に分類した。そして、各クレードのタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子、28S rDNAのD1/D2領域、又はrDNAの内部転写スペーサー領域の中に、他のクレードのタラロマイセス属真菌のものとは明確に区別しうる、特異的な塩基配列を有する部位(以下、「可変部位」ともいう)が存在することを見出した。また、これらの可変部位をターゲットとすることでタラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的かつ迅速に検出できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成するに至った。
本発明は、下記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、下記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、下記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、下記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、下記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、並びに下記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対からなる群より選ばれる少なくとも1種のオリゴヌクレオチド対を用いてタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの同定を行う工程を含む、タラロマイセス属真菌の検出方法に関する。
(a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(b)配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(c)配列番号3に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号3に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(d)配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号4に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(e)配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号5に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(f)配列番号6に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号6に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(g)配列番号7に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号7に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(h)配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号8に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(i)配列番号9に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号9に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(j)配列番号10に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号10に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(k)配列番号11に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号11に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(l)配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号12に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
また、本発明は、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を行い、クレードIに属するタラロマイセス属真菌の28S rDNAのD1/D2領域の部分塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認する、クレードIに属するタラロマイセス属真菌の検出方法に関する。
また、本発明は、前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応法を行い、クレードIIに属するタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認する、クレードIIに属するタラロマイセス属真菌の検出方法に関する。
また、本発明は、前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応法を行い、クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のrDNAの内部転写スペーサー領域の部分塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認する、クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌の検出方法に関する。
また、本発明は、前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応法を行い、クレードIVに属するタラロマイセス属真菌のrDNAの内部転写スペーサー領域の部分塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認する、クレードIVに属するタラロマイセス属真菌の検出方法に関する。
また、本発明は、前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応法を行い、クレードVに属するタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認する、クレードVに属するタラロマイセス属真菌の検出方法に関する。
また、本発明は、前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応法を行い、クレードVIに属するタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認する、クレードVIに属するタラロマイセス属真菌の検出方法に関する。
また、本発明は、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、並びに前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対からなる群より選ばれる少なくとも1種のオリゴヌクレオチド対を用いて、下記(a1)、(b1)、(a2)、(b2)、(c1)、(d1)、(e1)、(f1)、(g1)、(h1)、(i1)、(j1)、(k1)及び(l1)のいずれかの塩基配列で表される核酸の存在を確認する、タラロマイセス属真菌の検出方法に関する。
(a1)配列番号13に記載の28S rDNAのD1/D2領域の部分塩基配列又はその相補配列
(b1)配列番号13に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
(a2)配列番号14に記載の28S rDNAのD1/D2領域の部分塩基配列又はその相補配列
(b2)配列番号14に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
(c1)配列番号15に記載のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列又はその相補配列
(d1)配列番号15に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
(e1)配列番号16に記載のrDNAの内部転写スペーサー領域の部分塩基配列又はその相補配列
(f1)配列番号16に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
(g1)配列番号17に記載のrDNAの内部転写スペーサー領域の部分塩基配列又はその相補配列
(h1)配列番号17に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
(i1)配列番号18に記載のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列又はその相補配列
(j1)配列番号18に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
(k1)配列番号19に記載のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列又はその相補配列
(l1)配列番号19に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
また、本発明は、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応法を行い、前記(a1)、(b1)、(a2)及び(b2)のいずれかの塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、クレードIに属するタラロマイセス属真菌の同定を行う、クレードIに属するタラロマイセス属真菌の検出方法に関する。
また、本発明は、前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応法を行い、前記(c1)又は(d1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、クレードIIに属するタラロマイセス属真菌の同定を行う、クレードIIに属するタラロマイセス属真菌の検出方法に関する。
また、本発明は、前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応法を行い、前記(e1)又は(f1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌の同定を行う、クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌の検出方法に関する。
また、本発明は、前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応法を行い、前記(g1)又は(h1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、クレードIVに属するタラロマイセス属真菌の同定を行う、クレードIVに属するタラロマイセス属真菌の検出方法に関する。
また、本発明は、前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応法を行い、前記(i1)又は(j1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、クレードVに属するタラロマイセス属真菌の同定を行う、クレードVに属するタラロマイセス属真菌の検出方法に関する。
また、本発明は、前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応法を行い、前記(k1)又は(l1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、クレードVIに属するタラロマイセス属真菌の同定を行う、クレードVIに属するタラロマイセス属真菌の検出方法に関する。
また、本発明は、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチド、前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチド、前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチド、前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチド、前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチド、又は前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対に関する。
また、本発明は、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドが、ポリメラーゼ連鎖反応法によって前記(a1)、(b1)、(a2)及び/又は(b2)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、クレードIに属するタラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に検出するための核酸プライマーとして機能し得るものである、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対に関する。
また、本発明は、前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドが、ポリメラーゼ連鎖反応法によって前記(c1)及び/又は(d1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、クレードIIに属するタラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に検出するための核酸プライマーとして機能し得るものである、前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対に関する。
また、本発明は、前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドが、ポリメラーゼ連鎖反応法によって前記(e1)及び/又は(f1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に検出するための核酸プライマーとして機能し得るものである、前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対に関する。
また、本発明は、前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドが、ポリメラーゼ連鎖反応法によって前記(g1)及び/又は(h1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、クレードIVに属するタラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に検出するための核酸プライマーとして機能し得るものである、前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対に関する。
また、本発明は、前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドが、ポリメラーゼ連鎖反応法によって前記(i1)及び/又は(j1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、クレードVに属するタラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に検出するための核酸プライマーとして機能し得るものである、前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対に関する。
また、本発明は、前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドが、ポリメラーゼ連鎖反応法によって前記(k1)及び/又は(l1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、クレードVIに属するタラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に検出するための核酸プライマーとして機能し得るものである、前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対に関する。
また、本発明は、前記(a)〜(l)のオリゴヌクレオチドからなる群より選ばれるオリゴヌクレオチドに関する。
また、本発明は、前記オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対を含むタラロマイセス属真菌検出キットに関する。
本発明の検出方法は、飲食品の汚染事故の主な原因菌の1つであるタラロマイセス属真菌をクレードレベルでかつ迅速に検出することができる。また、本発明オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド対及び検出キットは、前記方法に好適に適用することができる。
タラロマイセス属真菌の28S rDNAのD1/D2領域の塩基配列に基づいて作成した、タラロマイセス属真菌の分子系統樹を示す図である。 クレードIに属するタラロマイセス属真菌及びその他のタラロマイセス属真菌の28S rDNAのD1/D2領域の部分塩基配列、並びにクレードIに属するタラロマイセス属真菌の28S rDNAのD1/D2領域の塩基配列における前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す図である。 クレードIに属するタラロマイセス属真菌及びその他のタラロマイセス属真菌の28S rDNAのD1/D2領域の部分塩基配列、並びにクレードIに属するタラロマイセス属真菌の28S rDNAのD1/D2領域の塩基配列における前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す図である(図2の続き)。 クレードIIに属するタラロマイセス属真菌及びその他のタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列、並びにクレードIIに属するタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す図である。 クレードIIに属するタラロマイセス属真菌及びその他のタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列、並びにクレードIIに属するタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す図である(図4の続き)。 クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌及びその他のタラロマイセス属真菌のrDNAの内部転写スペーサー領域の部分塩基配列、並びにクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のrDNAの内部転写スペーサー領域の塩基配列における前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す図である。 クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌及びその他のタラロマイセス属真菌のrDNAの内部転写スペーサー領域の部分塩基配列、並びにクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のrDNAの内部転写スペーサー領域の塩基配列における前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す図である(図6の続き)。 クレードIVに属するタラロマイセス属真菌及びその他のタラロマイセス属真菌のrDNAの内部転写スペーサー領域の部分塩基配列、並びにクレードIVに属するタラロマイセス属真菌のrDNAの内部転写スペーサー領域の塩基配列における前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す図である。 クレードIVに属するタラロマイセス属真菌及びその他のタラロマイセス属真菌のrDNAの内部転写スペーサー領域の部分塩基配列、並びにクレードIVに属するタラロマイセス属真菌のrDNAの内部転写スペーサー領域の塩基配列における前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す図である(図8の続き)。 クレードVに属するタラロマイセス属真菌及びその他のタラロマイセス属真菌類のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列、並びにクレードVに属するタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す図である。 クレードVに属するタラロマイセス属真菌及びその他のタラロマイセス属真菌類のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列、並びにクレードVに属するタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す図である(図10の続き)。 クレードVIに属するタラロマイセス属真菌及びその他のタラロマイセス属真菌類のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列、並びにクレードVIに属するタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す図である。 クレードVIに属するタラロマイセス属真菌及びその他のタラロマイセス属真菌類のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列、並びにクレードVIに属するタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す図である(図12の続き)。 実施例における、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。 実施例における、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。 実施例における、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。 実施例における、前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。 実施例における、前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。 実施例における、前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。 実施例における、前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。 実施例における、前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。 実施例における、前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。 実施例における、前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。 実施例における、前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。 実施例における、前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。 実施例における、前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。 実施例における、前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。 実施例における、前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。 実施例における、前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。
本発明は、タラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子、28S rDNAのD1/D2領域、及び/又はrDNAの内部転写スペーサー(internal transcribed spacer、以下、本明細書において「ITS」ともいう)領域の特定の部分塩基配列、すなわち本領域に存在するタラロマイセス属真菌にそれぞれ特異的な塩基配列部位(可変部位)にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチド対を用いてタラロマイセス属真菌の検出を行い、タラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に識別・検出する方法である。ここで、「可変部位」とは、β−チューブリン遺伝子、28S rDNAのD1/D2領域、又はrDNAのITS領域中で塩基変異が蓄積しやすい部位であり、この部位の塩基配列は他の真菌との間で大きく異なる。
本発明における「タラロマイセス属真菌」とは、マユハキタケ科(Trichocomaceae)に属する不整子嚢菌類を意味する。タラロマイセス属真菌は、75℃、30分間の加熱処理後であっても生存可能な耐熱性菌類である。
本明細書において、「β−チューブリン」とは微小管を構成するタンパク質であり、「β−チューブリン遺伝子」とは、β−チューブリンをコードする遺伝子である。また、「rDNA」とは、タンパク質への変換の場であるリボゾームの遺伝情報をコードするDNAであり、「28S rDNA」とは、rDNAのうち28Sサブユニットの遺伝情報をコードするDNAである。
本明細書における「クレード(clade)」とは、タラロマイセス属真菌のDNAの塩基配列について分子系統分類学的手法を用いて作成した分子系統樹に基づいて分類した、近縁関係にあるタラロマイセス属真菌の菌種群を意味する。
前記分子系統樹の作成方法としては特に制限はなく、通常の方法により作成することができる。例えば、近隣結合法(neighbor-joining method)、最大節約法(Maximum parsimony)、最尤法(Maximum likelihood estimation)、ベイズ法、非加重結合法(Unweighted Pair Group Method with Arithmetic mean)等を用いて作成することができる。本発明においては、近隣結合法を用いて分子系統樹を作成することが好ましい。また、本発明において、タラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子、28S rDNAのD1/D2領域及びrDNAのITS領域の少なくとも1つの塩基配列に基づいて分子系統樹を作成することが好ましい。
本発明者らは、前記方法により、タラロマイセス属真菌各種を6つのクレードに分類した。
1つ目のクレードには、タラロマイセス・マクロスポラス(Talaromyces macrosporus)、タラロマイセス・フラバス(Talaromyces flavus)、タラロマイセス・デリクシー(Talaromyces derxii)、タラロマイセス・スティピテタス(Talaromyces stipitatus)、タラロマイセス・パナセンコイ(Talaromyces panasenkoi)、タラロマイセス・インディゴティカス(Talaromyces indigoticus)、タラロマイセス・ガラパジェンシス(Talaromyces galapagensis)、タラロマイセス・インターメディウス(Talaromyces intermedius)、タラロマイセス・ユークロロカーピウス(Talaromyces euchlorocarpius)、タラロマイセス・リュウキュウエンシス(Talaromyces ryukyuensis)、タラロマイセス・ヘリクス(Talaromyces helicus)、タラロマイセス・バーシネンシス(Talaromyces barcinensis)、タラロマイセス・ムロイ(Talaromyces muroii)、タラロマイセス・プルプレウス(Talaromyces purpureus)が含まれる。本明細書において、これらの菌種及びその近縁種を「クレードIに属するタラロマイセス属真菌」ともいう。
2つ目のクレードには、タラロマイセス・トラキスペルムス(Talaromyces trachyspermus)、タラロマイセス・オヒエンシス(Talaromyces ohiensis)、タラロマイセス・ウダガワエ(Talaromyces udagawae)、タラロマイセス・オーストロカリフォルニカス(Talaromyces austrocalifornicus)、タラロマイセス・コンボルタス(Talaromyces convolutus)が含まれる。本明細書において、これらの菌種及びその近縁種を「クレードIIに属するタラロマイセス属真菌」ともいう。
3つ目のクレードには、タラロマイセス・ウォルトマンニー(Talaromyces wortmannii)、タラロマイセス・バシリスポラス(Talaromyces bacillisporus)、タラロマイセス・ミモシナス(Talaromyces mimosinus)、タラロマイセス・ロチュンダス(Talaromyces rotundus)が含まれる。本明細書において、これらの菌種及びその近縁種を「クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌」ともいう。
4つ目のクレードには、タラロマイセス・ルテウス(Talaromyces luteus)が含まれる。本明細書において、これらの菌種及びその近縁種を「クレードIVに属するタラロマイセス属真菌」ともいう。
5つ目のクレードには、タラロマイセス・サーモフィリス(Talaromyces thermophilus)が含まれる。本明細書において、これらの菌種及びその近縁種を「クレードVに属するタラロマイセス属真菌」ともいう。
6つ目のクレードには、タラロマイセス・エメルソニイ(Talaromyces emersonii)、タラロマイセス・ビソクラミドイデス(Talaromyces byssochlamydoides)、タラロマイセス・エブルネウス(Talaromyces eburneus)が含まれる。本明細書において、これらの菌種及びその近縁種を「クレードVIに属するタラロマイセス属真菌」ともいう。
なお、本明細書において、「ストリンジェントな条件」としては、例えばMolecular Cloning−A LABORATORY MANUAL THIRD EDITION[Joseph Sambrook,David W.Russell.,Cold Spring Harbor Laboratory Press]記載の方法が挙げられ、例えば、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M塩化ナトリウム、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5%SDS、5×デンハート及び100mg/mLニシン精子DNAを含む溶液にプローブとともに65℃で8〜16時間恒温し、ハイブリダイズさせる条件が挙げられる。
本発明の検出方法は、タラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子、28S rDNAのD1/D2領域、及び/又はrDNAのITS領域中の可変部位に対応する核酸で表されるオリゴヌクレオチド対を用いることを特徴とする。
発明者等は、図2〜13に示すように、タラロマイセス属真菌各種のβ−チューブリン遺伝子、28S rDNAのD1/D2領域、及びrDNAのITS領域の塩基配列を決定し、種間での遺伝的距離と塩基配列の相同性の解析を行った。すなわち、シークエンシング法によりタラロマイセス属真菌各種のβチューブリン遺伝子、28S rDNAのD1/D2領域、及びrDNAのITS領域の塩基配列を決定し、アライメント解析により一致する塩基領域の検討を行った。その結果、β−チューブリン遺伝子、28S rDNAのD1/D2領域、及びrDNAのITS領域中に同一のクレード内では保存性が高いが異なるクレード間で塩基配列の保存性が低く、クレードによって固有の塩基配列を有する可変部位を見い出した。この可変部位においてタラロマイセス属真菌はクレード固有の塩基配列を有している。そのため、当該領域はタラロマイセス属真菌をクレードレベルで識別・同定・検出するための遺伝学的な指標として有用である。
本発明の検出方法は、下記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、下記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、下記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、下記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、下記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、並びに下記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対からなる群より選ばれる少なくとも1種のオリゴヌクレオチド対を用いる。
(a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(b)配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(c)配列番号3に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号3に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(d)配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号4に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(e)配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号5に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(f)配列番号6に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号6に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(g)配列番号7に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号7に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(h)配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号8に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(i)配列番号9に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号9に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(j)配列番号10に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号10に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(k)配列番号11に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号11に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(l)配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号12に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
クレードIに属するタラロマイセス属真菌の1種である、タラロマイセス・マクロスポラス及びタラロマイセス・フラバスの28S rDNAのD1/D2領域の可変部位を図2及び3、並びに配列番号13及び14に記載の塩基配列に基づき説明する。なお、配列番号13に記載の塩基配列は、タラロマイセス・マクロスポラスCBS 580.72株の28S rDNAのD1/D2領域の部分塩基配列を、配列番号14に記載の塩基配列は、タラロマイセス・フラバスCBS 310.38株の28S rDNAのD1/D2領域の部分塩基配列をそれぞれ示す。また、図2及び3は、タラロマイセス・マクロスポラスNBRC 7132株及びタラロマイセス・フラバスCBS 310.38株、並びにその他のタラロマイセス属真菌類(タラロマイセス・トラキスペルムスCBS 373.48株、タラロマイセス・ウォルトマンニーCBS 391.48 ex type株、タラロマイセス・ルテウスCBS 348.51株、タラロマイセス・サーモフィリスNBRC 30541株及びタラロマイセス・エメルソニイCBS 393.64株)の28S rDNAのD1/D2領域の部分塩基配列、並びにクレードIに属するタラロマイセス属真菌の28S rDNAのD1/D2領域の塩基配列における前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す。
前記(a)のオリゴヌクレオチド(本明細書において、Tclade1_F1ともいう)及び前記(b)のオリゴヌクレオチド(本明細書において、Tclade1_R1ともいう)はそれぞれ、図2及び3に示すように、配列番号13及び14に記載の塩基配列のうち132位〜151位までの領域及び343位〜360位までの領域にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドである。これらの領域はクレード間での塩基配列の保存性が低い可変領域であり、クレードIに属するタラロマイセス属真菌とその他のクレード間での塩基配列の保存性が特に低い領域であること、これらの領域の塩基配列はクレードIに属するタラロマイセス属真菌が固有に有する塩基配列であること、を本発明者らが見出した。したがって、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドを用いて、クレードIに属するタラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に識別・同定・検出することができる。具体的には、本領域にポリメラーゼによるDNAの伸長方向であるプライマーの3’末端5塩基以上がハイブリダイズするように設計すればクレードIに属するタラロマイセス属真菌に特異的なプライマーに用いることが可能であり、それらのプライマーを用いたPCR法による同定が可能となる。また、本領域を10塩基以上ハイブリダイズするように設計したプローブは、クレードIに属するタラロマイセス属真菌の28S rDNAのD1/D2領域と特異的にハイブリダイズするため、ハイブリダイズの有無によりクレードIに属するタラロマイセス属真菌を検出することが可能となる。
本発明において、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドを用いて、下記(a1)、(b1)、(a2)及び/又は(b2)の塩基配列で表される核酸(好ましくは、前記可変部位)の存在を確認することが好ましい。
(a1)配列番号13に記載の28S rDNAのD1/D2領域の部分塩基配列又はその相補配列
(b1)配列番号13に記載の塩基配列において1又は数個(好ましくは1〜25個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜15個、特に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個)の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
(a2)配列番号14に記載の28S rDNAのD1/D2領域の部分塩基配列又はその相補配列
(b2)配列番号14に記載の塩基配列において1又は数個(好ましくは1〜25個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜15個、特に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個)の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
クレードIIに属するタラロマイセス属真菌の1種である、タラロマイセス・トラキスペルムスのβ−チューブリン遺伝子の可変部位を図4及び5、並びに配列番号15に記載の塩基配列に基づき説明する。なお、配列番号15に記載の塩基配列は、タラロマイセス・トラキスペルムスCBS 373.48 ex type株のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列を示す。また、図4及び5は、タラロマイセス・トラキスペルムスCBS 373.48株及びその他のタラロマイセス属真菌類(タラロマイセス・マクロスポラスCBS 580.72株、タラロマイセス・フラバスCBS 310.38株、タラロマイセス・ウォルトマンニーCBS 391.48株、タラロマイセス・ルテウスCBS 348.51株、タラロマイセス・サーモフィリスNBRC 30541株及びタラロマイセス・エメルソニイCBS 393.64株)のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列、並びにクレードIIに属するタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す。
前記(c)のオリゴヌクレオチド(本明細書において、Tclade2_F1ともいう)及び前記(d)のオリゴヌクレオチド(本明細書において、Tclade2_R1ともいう)はそれぞれ、図4及び5に示すように、配列番号15に記載の塩基配列のうち13位〜35位までの領域及び321位〜344位までの領域にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドである。これらの領域はクレード間での塩基配列の保存性が低い可変領域であり、クレードIIに属するタラロマイセス属真菌とその他のクレード間での塩基配列の保存性が特に低い領域であること、これらの領域の塩基配列はクレードIIに属するタラロマイセス属真菌が固有に有する塩基配列であること、を本発明者らが見出した。したがって、前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドを用いて、クレードIIに属するタラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に識別・同定・検出することができる。具体的には、本領域にポリメラーゼによるDNAの伸長方向であるプライマーの3’末端5塩基以上がハイブリダイズするように設計すればクレードIIに属するタラロマイセス属真菌に特異的なプライマーに用いることが可能であり、それらのプライマーを用いたPCR法による同定が可能となる。また、本領域を10塩基以上ハイブリダイズするように設計したプローブは、クレードIIに属するタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子と特異的にハイブリダイズするため、ハイブリダイズの有無によりクレードIIに属するタラロマイセス属真菌を検出することが可能となる。
本発明において、前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドを用いて、下記(c1)及び/又は(d1)の塩基配列で表される核酸(好ましくは、前記可変部位)の存在を確認することが好ましい。
(c1)配列番号15に記載のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列又はその相補配列
(d1)配列番号15に記載の塩基配列において1又は数個(好ましくは1〜25個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜15個、特に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個)の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌の1種である、タラロマイセス・ウォルトマンニーのrDNAのITS領域の可変部位を図6及び7、並びに配列番号16に記載の塩基配列に基づき説明する。なお、配列番号16に記載の塩基配列は、タラロマイセス・ウォルトマンニーCBS 391.48株のrDNAのITS領域の部分塩基配列を示す。また、図6及び7は、タラロマイセス・ウォルトマンニーCBS 391.48株及びその他のタラロマイセス属真菌類(タラロマイセス・マクロスポラスCBS 580.72株、タラロマイセス・フラバスCBS 310.38株、タラロマイセス・トラキスペルムスCBS 373.48株、タラロマイセス・ルテウスCBS 348.51株、タラロマイセス・サーモフィリスNBRC 30541株及びタラロマイセス・エメルソニイCBS 393.64株)のrDNAのITS領域の部分塩基配列、並びにクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のrDNAのITS領域の塩基配列における前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す。
前記(e)のオリゴヌクレオチド(本明細書において、Tclade3-F2ともいう)及び前記(f)のオリゴヌクレオチド(本明細書において、Tclade3-R2ともいう)はそれぞれ、図6及び7に示すように、配列番号16に記載の塩基配列のうち150位〜173位までの領域及び372位〜389位までの領域にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドである。これらの領域はクレード間での塩基配列の保存性が低い可変領域であり、クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌とその他のクレード間での塩基配列の保存性が特に低い領域であること、これらの領域の塩基配列はクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌が固有に有する塩基配列であること、を本発明者らが見出した。したがって、前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドを用いて、クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に識別・同定・検出することができる。具体的には、本領域にポリメラーゼによるDNAの伸長方向であるプライマーの3’末端5塩基以上がハイブリダイズするように設計すればクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌に特異的なプライマーに用いることが可能であり、それらのプライマーを用いたPCR法による同定が可能となる。また、本領域を10塩基以上ハイブリダイズするように設計したプローブは、クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のrDNAのITS領域と特異的にハイブリダイズするため、ハイブリダイズの有無によりクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌を検出することが可能となる。
本発明において、前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドを用いて、下記(e1)及び/又は(f1)の塩基配列で表される核酸(好ましくは、前記可変部位)の存在を確認することが好ましい。
(e1)配列番号16に記載のrDNAのITS領域の部分塩基配列又はその相補配列
(f1)配列番号16に記載の塩基配列において1又は数個(好ましくは1〜25個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜15個、特に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個)の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
クレードIVに属するタラロマイセス属真菌の1種である、タラロマイセス・ルテウスのrDNAのITS領域の可変部位を図8及び9、並びに配列番号17に記載の塩基配列に基づき説明する。なお、配列番号17に記載の塩基配列は、タラロマイセス・ルテウスCBS 348.51株のrDNAのITS領域の部分塩基配列を示す。また、図8及び9は、タラロマイセス・ルテウスCBS 348.51株及びその他のタラロマイセス属真菌類(タラロマイセス・マクロスポラスCBS 580.72株、タラロマイセス・フラバスCBS 310.38株、タラロマイセス・トラキスペルムスCBS 373.48株、タラロマイセス・ウォルトマンニーCBS 391.48株、タラロマイセス・サーモフィリスNBRC 30541株及びタラロマイセス・エメルソニイCBS 393.64株)のrDNAのITS領域の部分塩基配列、並びにクレードIVに属するタラロマイセス属真菌のrDNAのITS領域の塩基配列における前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す。
前記(g)のオリゴヌクレオチド(本明細書において、TluF1ともいう)及び前記(h)のオリゴヌクレオチド(本明細書において、TluR1ともいう)はそれぞれ、図8及び9に示すように、配列番号17に記載の塩基配列のうち20位〜37位までの領域及び359位〜379位までの領域にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドである。これらの領域はクレード間での塩基配列の保存性が低い可変領域であり、クレードIVに属するタラロマイセス属真菌とその他のクレード間での塩基配列の保存性が特に低い領域であること、これらの領域の塩基配列はクレードIVに属するタラロマイセス属真菌が固有に有する塩基配列であること、を本発明者らが見出した。したがって、前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドを用いて、クレードIVに属するタラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に識別・同定・検出することができる。具体的には、本領域にポリメラーゼによるDNAの伸長方向であるプライマーの3’末端5塩基以上がハイブリダイズするように設計すればクレードIVに属するタラロマイセス属真菌に特異的なプライマーに用いることが可能であり、それらのプライマーを用いたPCR法による同定が可能となる。また、本領域を10塩基以上ハイブリダイズするように設計したプローブは、クレードIVに属するタラロマイセス属真菌のrDNAのITS領域と特異的にハイブリダイズするため、ハイブリダイズの有無によりクレードIVに属するタラロマイセス属真菌を検出することが可能となる。
本発明において、前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドを用いて、下記(g1)及び/又は(h1)の塩基配列で表される核酸(好ましくは、前記可変部位)の存在を確認することが好ましい。
(g1)配列番号17に記載のrDNAのITS領域の部分塩基配列又はその相補配列
(h1)配列番号17に記載の塩基配列において1又は数個(好ましくは1〜25個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜15個、特に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個)の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
クレードVに属するタラロマイセス属真菌の1種である、タラロマイセス・サーモフィリスのβ−チューブリン遺伝子の可変部位を図10及び11、並びに配列番号18に記載の塩基配列に基づき説明する。なお、配列番号18に記載の塩基配列は、タラロマイセス・サーモフィリスNBRC 30541株のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列を示す。また、図10及び11は、タラロマイセス・サーモフィリスNBRC 30541株及びその他のタラロマイセス属真菌類(タラロマイセス・マクロスポラスCBS 580.72株、タラロマイセス・フラバスCBS 310.38株、タラロマイセス・トラキスペルムスCBS 373.48株、タラロマイセス・ウォルトマンニーCBS 391.48株、タラロマイセス・ルテウスCBS 348.51株及びタラロマイセス・エメルソニイCBS 393.64株)のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列、並びにクレードVに属するタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す。
前記(i)のオリゴヌクレオチド(本明細書において、Tth1Fともいう)及び前記(j)のオリゴヌクレオチド(本明細書において、Tth1Rともいう)はそれぞれ、図10及び11に示すように、配列番号18に記載の塩基配列のうち195位〜214位までの領域及び406位〜425位までの領域にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドである。これらの領域はクレード間での塩基配列の保存性が低い可変領域であり、クレードVに属するタラロマイセス属真菌とその他のクレード間での塩基配列の保存性が特に低い領域であること、これらの領域の塩基配列はクレードVに属するタラロマイセス属真菌が固有に有する塩基配列であること、を本発明者らが見出した。したがって、前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドを用いて、クレードVに属するタラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に識別・同定・検出することができる。具体的には、本領域にポリメラーゼによるDNAの伸長方向であるプライマーの3’末端5塩基以上がハイブリダイズするように設計すればクレードVに属するタラロマイセス属真菌に特異的なプライマーに用いることが可能であり、それらのプライマーを用いたPCR法による同定が可能となる。また、本領域を10塩基以上ハイブリダイズするように設計したプローブは、クレードVに属するタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子と特異的にハイブリダイズするため、ハイブリダイズの有無によりクレードVに属するタラロマイセス属真菌を検出することが可能となる。
本発明において、前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドを用いて、下記(i1)及び/又は(j1)の塩基配列で表される核酸(好ましくは、前記可変部位)の存在を確認することが好ましい。
(i1)配列番号18に記載のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列又はその相補配列
(j1)配列番号18に記載の塩基配列において1又は数個(好ましくは1〜25個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜15個、特に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個)の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
クレードVIに属するタラロマイセス属真菌の1種である、タラロマイセス・エメルソニイ、タラロマイセス・エブルネウス及びタラロマイセス・ビソクラミドイデスのβ−チューブリン遺伝子の可変部位を図12及び13、並びに配列番号19に記載の塩基配列に基づき説明する。なお、配列番号19に記載の塩基配列は、タラロマイセス・エメルソニイCBS 393.64株のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列を示す。また、図12及び13は、タラロマイセス・エメルソニイNBRC 31070株、タラロマイセス・エメルソニイCBS 393.64株、タラロマイセス・エブルネウスIFM 53622株及びタラロマイセス・ビソクラミドイデスCBS 4133.71株、並びにその他のタラロマイセス属真菌類(タラロマイセス・マクロスポラスCBS 580.72株、タラロマイセス・フラバスCBS 310.38株、タラロマイセス・トラキスペルムスCBS 373.48株、タラロマイセス・ウォルトマンニーCBS 391.48株、タラロマイセス・ルテウスCBS 348.51株及びタラロマイセス・サーモフィリスNBRC 30541株)のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列、並びにクレードVIに属するタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す。
前記(k)のオリゴヌクレオチド(本明細書において、Te1Fともいう)及び前記(l)のオリゴヌクレオチド(本明細書において、Te3Rともいう)はそれぞれ、図12及び13に示すように、配列番号19に記載の塩基配列のうち18位〜37位までの領域及び184位〜202位までの領域にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドである。これらの領域はクレード間での塩基配列の保存性が低い可変領域であり、クレードVIに属するタラロマイセス属真菌とその他のクレード間での塩基配列の保存性が特に低い領域であること、これらの領域の塩基配列はクレードVIに属するタラロマイセス属真菌が固有に有する塩基配列であること、を本発明者らが見出した。したがって、前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドを用いて、クレードVIに属するタラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に識別・同定・検出することができる。具体的には、本領域にポリメラーゼによるDNAの伸長方向であるプライマーの3’末端5塩基以上がハイブリダイズするように設計すればクレードVIに属するタラロマイセス属真菌に特異的なプライマーに用いることが可能であり、それらのプライマーを用いたPCR法による同定が可能となる。また、本領域を10塩基以上ハイブリダイズするように設計したプローブは、クレードVIに属するタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子と特異的にハイブリダイズするため、ハイブリダイズの有無によりクレードVIに属するタラロマイセス属真菌を検出することが可能となる。
本発明において、前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドを用いて、下記(k1)及び/又は(l1)の塩基配列で表される核酸(好ましくは、前記可変部位)の存在を確認することが好ましい。
(k1)配列番号19に記載のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列又はその相補配列
(l1)配列番号19に記載の塩基配列において1又は数個(好ましくは1〜25個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜15個、特に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個)の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
本発明の検出方法に用いる前記オリゴヌクレオチド(a)〜(l)は、配列番号1〜12のいずれかに記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドが好ましい。また、本発明の検出方法に用いるオリゴヌクレオチドは、配列番号1〜12のいずれかに記載の塩基配列に対して70%以上の相同性を有する塩基配列又はその相補配列で表されるオリゴヌクレオチドであってもよく、相同性が80%以上であることがさらに好ましく、相同性が85%以上であることがさらに好ましく、相同性が90%以上であることがさらに好ましく、相同性が95%以上であることが特に好ましい。また、本発明で用いることができるオリゴヌクレオチドには、配列番号1〜12のいずれかに記載の塩基配列において1又は数個、好ましくは1から5個、より好ましくは1から4個、さらに好ましくは1から3個、よりさらに好ましくは1から2個、特に好ましくは1個の塩基の欠失、置換、挿入又は付加されており、かつタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチドも包含される。また、配列番号1〜12のいずれかに記載の塩基配列に、適当な塩基配列を付加してもよい。
塩基配列の相同性については、Lipman-Pearson法(Science,227,1435,1985)等によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発製)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、パラメーターであるUnit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出することができる。
前記オリゴヌクレオチドの結合様式は、天然の核酸に存在するホスホジエステル結合だけでなく、例えばホスホロアミデート結合、ホスホロチオエート結合等であってもよい。
前記オリゴヌクレオチドは、例えばDNA自動合成機等を用いた化学合成等の通常の合成方法により調製することができる。また、タラロマイセス属真菌の遺伝子から制限酵素等を用いて直接切り出したり、また遺伝子をクローニングして単離精製した後、制限酵素などを用いて切り出して調製することも可能である。操作の容易さ、大量かつ安価に一定品質のオリゴヌクレオチドを得られる点から化学合成により調製するのが好ましい。
前記オリゴヌクレオチド対を用いてタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子、28S rDNAのD1/D2領域、及び/又はrDNAのITS領域の部分塩基配列で表される核酸の存在を確認し、タラロマイセス属真菌をクレードレベルで同定する方法として特に制限はなく、シークエンシング法、ハイブリダイゼンション法、PCR法、LAMP法など通常用いられる遺伝子工学的手法で行うことができる。
本発明の検出用オリゴヌクレオチドは、核酸プローブ又は核酸プライマーとして用いることができる。
核酸プローブは、前記オリゴヌクレオチドを標識物によって標識化することで調製することができる。前記標識物としては特に制限されず、放射性物質や酵素、蛍光物質、発光物質、抗原、ハプテン、酵素基質、不溶性担体などの通常の標識物を用いることができる。標識方法は、末端標識でも、配列の途中に標識してもよく、また、糖、リン酸基、塩基部分への標識であってもよい。かかる標識の検出手段としては、例えば核酸プローブが放射性同位元素で標識されている場合にはオートラジオグラフィー等、蛍光物質で標識されている場合には蛍光顕微鏡等、化学発光物質で標識されている場合には感光フィルムを用いた解析やCCDカメラを用いたデジタル解析等が挙げられる。このようにして標識化されたオリゴヌクレオチドを、通常の方法により検査対象物から抽出された核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズさせた後、ハイブリダイズした検出用オリゴヌクレオチドの標識を測定することでタラロマイセス属真菌をクレードレベルで検出することができる。核酸とハイブリダイズした核酸プローブの標識を測定する方法としては、通常の方法(FISH法、ドットブロット法、サザンブロット法、ノーザンブロット法等)を用いることができる。
また、前記オリゴヌクレオチドは、固相担体に結合させて捕捉プローブとして用いることもできる。この場合、捕捉プローブと、標識核酸プローブの組み合わせでサンドイッチアッセイを行うこともできるし、標的核酸を標識して捕捉することもできる。
本発明の検出方法において、タラロマイセス属真菌をクレードレベルで検出するために、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、並びに/又は前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対を核酸プローブとして用いたハイブリダイゼーションを行うことが好ましい。クレードIに属するタラロマイセス属真菌を検出するためには、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対を核酸プローブとして用いるのが好ましい。クレードIIに属するタラロマイセス属真菌を検出するためには、前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対を核酸プローブとして用いるのが好ましい。クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌を検出するためには、前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対を核酸プローブとして用いるのが好ましい。クレードIVに属するタラロマイセス属真菌を検出するためには、前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対を核酸プローブとして用いるのが好ましい。クレードVに属するタラロマイセス属真菌を検出するためには、前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対を核酸プローブとして用いるのが好ましい。クレードVIに属するタラロマイセス属真菌を検出するためには、前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対を核酸プローブとして用いるのが好ましい。
被検体中のタラロマイセス属真菌をクレードレベルで検出するためには、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、並びに前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対からなる群より選ばれる少なくとも1種のオリゴヌクレオチド対を標識化して核酸プローブとし、得られた核酸プローブをDNA又はRNAとハイブリダイズさせ、ハイブリダイズしたプローブの標識を適当な検出法により検出すればよい。上記核酸プローブはタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子、28S rDNAのD1/D2領域、又はrDNAのITS領域の可変部位と特異的にハイブリダイズするので、被検体中のタラロマイセス属真菌を迅速かつ簡便にクレードレベルで検出することができる。DNA又はRNAとハイブリダイズした核酸プローブの標識を測定する方法としては、通常の方法(FISH法、ドットブロット法、サザンブロット法、ノーザンブロット法等)を用いることができる。
本発明の検出方法において、タラロマイセス属真菌の検出/同定を行うため、前記少なくとも1種のオリゴヌクレオチド対を用いてタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子、28S rDNAのD1/D2領域及び/又はrDNAのITS領域の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認することが好ましい。DNA断片を増幅する方法として特に制限はなく、ポリメラーゼ連鎖反応法、LCR(Ligase Chain Reaction)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法、NASBA(Nucleic Acid Sequence-based Amplification)法、RCA(Rolling-circle amplification)法、LAMP(Loop mediated isothermal amplification)法など通常の方法を用いることができる。本発明においては、PCR法を用いるのが好ましい。
本発明において、PCR法により増幅反応を行いタラロマイセス属真菌の検出を行う場合について詳しく説明する。しかし、本発明はこれらに制限するものではない。
本発明において、クレードIに属するタラロマイセス属真菌を検出するためには、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチド(好ましくは、配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド及び配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド)をそれぞれ核酸プライマーとして用いてPCRを行い、タラロマイセス属真菌の28S rDNAのD1/D2領域の部分塩基配列(好ましくは、前記(a1)、(b1)、(a2)及び(b2)のいずれかの塩基配列)で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認するのが好ましい。ここで、(b1)の塩基配列は、配列番号13に記載の塩基配列に対して70%以上の相同性を有する塩基配列又はその相補配列が好ましく、相同性が80%以上であることがより好ましく、相同性が85%以上であることがさらに好ましく、相同性が90%以上であることがさらに好ましく、相同性が95%以上であることが特に好ましい。また、(b2)の塩基配列は、配列番号14に記載の塩基配列に対して70%以上の相同性を有する塩基配列又はその相補配列が好ましく、相同性が80%以上であることがより好ましく、相同性が85%以上であることがさらに好ましく、相同性が90%以上であることがさらに好ましく、相同性が95%以上であることが特に好ましい。なお、塩基配列の相同性については、Lipman-Pearson法(Science,227,1435,1985)等によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発製)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、パラメーターであるUnit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出することができる。
前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドは、PCRによって前記(a1)、(b1)、(a2)及び/又は(b2)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、クレードIに属するタラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に検出するための核酸プライマーとして機能し得る。したがって、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対をクレードIに属するタラロマイセス属真菌検出用オリゴヌクレオチド対とすることができる。
本発明において、クレードIIに属するタラロマイセス属真菌を検出するためには、前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチド(好ましくは、配列番号3に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド及び配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド)をそれぞれ核酸プライマーとして用いてPCRを行い、タラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列(好ましくは、前記(c1)又は(d1)の塩基配列)で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認するのが好ましい。ここで、(d1)の塩基配列は、配列番号15に記載の塩基配列に対して70%以上の相同性を有する塩基配列又はその相補配列が好ましく、相同性が80%以上であることがより好ましく、相同性が85%以上であることがさらに好ましく、相同性が90%以上であることがさらに好ましく、相同性が95%以上であることが特に好ましい。なお、塩基配列の相同性については、Lipman-Pearson法(Science,227,1435,1985)等によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発製)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、パラメーターであるUnit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出することができる。
前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドは、PCRによって前記(c1)及び/又は(d1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、クレードIIに属するタラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に検出するための核酸プライマーとして機能し得る。したがって、前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対をクレードIIに属するタラロマイセス属真菌検出用オリゴヌクレオチド対とすることができる。
本発明において、クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌を検出するためには、前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチド(好ましくは、配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド及び配列番号6に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド)をそれぞれ核酸プライマーとして用いてPCRを行い、タラロマイセス属真菌のrDNAのITS領域の部分塩基配列(好ましくは、前記(e1)又は(f1)の塩基配列)で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認するのが好ましい。ここで、(f1)の塩基配列は、配列番号16に記載の塩基配列に対して70%以上の相同性を有する塩基配列又はその相補配列が好ましく、相同性が80%以上であることがより好ましく、相同性が85%以上であることがさらに好ましく、相同性が90%以上であることがさらに好ましく、相同性が95%以上であることが特に好ましい。なお、塩基配列の相同性については、Lipman-Pearson法(Science,227,1435,1985)等によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発製)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、パラメーターであるUnit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出することができる。
前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドは、PCRによって前記(e1)及び/又は(f1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に検出するための核酸プライマーとして機能し得る。したがって、前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対をクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌検出用オリゴヌクレオチド対とすることができる。
本発明において、クレードIVに属するタラロマイセス属真菌を検出するためには、前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチド(好ましくは、配列番号7に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド及び配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド)をそれぞれ核酸プライマーとして用いてPCRを行い、タラロマイセス属真菌のrDNAのITS領域の部分塩基配列(好ましくは、前記(g1)又は(h1)の塩基配列)で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認するのが好ましい。ここで、(h1)の塩基配列は、配列番号17に記載の塩基配列に対して70%以上の相同性を有する塩基配列又はその相補配列が好ましく、相同性が80%以上であることがより好ましく、相同性が85%以上であることがさらに好ましく、相同性が90%以上であることがさらに好ましく、相同性が95%以上であることが特に好ましい。なお、塩基配列の相同性については、Lipman-Pearson法(Science,227,1435,1985)等によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発製)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、パラメーターであるUnit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出することができる。
前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドは、PCRによって前記(g1)及び/又は(h1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、クレードIVに属するタラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に検出するための核酸プライマーとして機能し得る。したがって、前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対をクレードIVに属するタラロマイセス属真菌検出用オリゴヌクレオチド対とすることができる。
本発明において、クレードVに属するタラロマイセス属真菌を検出するためには、前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチド(好ましくは、配列番号9に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド及び配列番号10に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド)をそれぞれ核酸プライマーとして用いてPCRを行い、タラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列(好ましくは、前記(i1)又は(j1)の塩基配列)で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認するのが好ましい。ここで、(j1)の塩基配列は、配列番号18に記載の塩基配列に対して70%以上の相同性を有する塩基配列又はその相補配列が好ましく、相同性が80%以上であることがより好ましく、相同性が85%以上であることがさらに好ましく、相同性が90%以上であることがさらに好ましく、相同性が95%以上であることが特に好ましい。なお、塩基配列の相同性については、Lipman-Pearson法(Science,227,1435,1985)等によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発製)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、パラメーターであるUnit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出することができる。
前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドは、PCRによって前記(i1)及び/又は(j1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、クレードVに属するタラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に検出するための核酸プライマーとして機能し得る。したがって、前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対をクレードVに属するタラロマイセス属真菌検出用オリゴヌクレオチド対とすることができる。
本発明において、クレードVIに属するタラロマイセス属真菌を検出するためには、前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチド(好ましくは、配列番号11に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド及び配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド)をそれぞれ核酸プライマーとして用いてPCRを行い、タラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列(好ましくは、前記(k1)又は(l1)の塩基配列)で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認するのが好ましい。ここで、(l1)の塩基配列は、配列番号19に記載の塩基配列に対して70%以上の相同性を有する塩基配列又はその相補配列が好ましく、相同性が80%以上であることがより好ましく、相同性が85%以上であることがさらに好ましく、相同性が90%以上であることがさらに好ましく、相同性が95%以上であることが特に好ましい。なお、塩基配列の相同性については、Lipman-Pearson法(Science,227,1435,1985)等によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発製)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、パラメーターであるUnit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出することができる。
前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドは、PCRによって前記(k1)及び/又は(l1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、クレードVIに属するタラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に検出するための核酸プライマーとして機能し得る。したがって、前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチド対をクレードVIに属するタラロマイセス属真菌検出用オリゴヌクレオチド対とすることができる。
PCRの条件は、目的のDNA断片を検出可能な程度に増幅することができれば特に制限されない。
例えば、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてPCRを行う場合、2本鎖DNAを1本鎖にする熱変性反応を95〜98℃で約5〜60秒間行い、プライマー対を1本鎖DNAにハイブリダイズさせるアニーリング反応を55〜65℃(好ましくは59〜62℃)で約5〜60秒、より好ましくは61℃で60秒間行い、DNAポリメラーゼを作用させる伸長反応を約72℃で約10〜60秒間行い、これらを1サイクルとしたものを約30〜35サイクル行う。
前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてPCRを行う場合、2本鎖DNAを1本鎖にする熱変性反応を95〜98℃で約5〜60秒間行い、プライマー対を1本鎖DNAにハイブリダイズさせるアニーリング反応を55〜65℃(好ましくは59〜62℃)で約5〜60秒、より好ましくは62℃で60秒間行い、DNAポリメラーゼを作用させる伸長反応を約72℃で約10〜60秒間行い、これらを1サイクルとしたものを約30〜35サイクル行う。
前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてPCRを行う場合、2本鎖DNAを1本鎖にする熱変性反応を95〜98℃で約5〜60秒間行い、プライマー対を1本鎖DNAにハイブリダイズさせるアニーリング反応を55〜65℃(好ましくは59〜62℃)で約5〜60秒、より好ましくは61℃で60秒間行い、DNAポリメラーゼを作用させる伸長反応を約72℃で約10〜60秒間行い、これらを1サイクルとしたものを約30〜35サイクル行う。
前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてPCRを行う場合、2本鎖DNAを1本鎖にする熱変性反応を95〜98℃で約5〜60秒間行い、プライマー対を1本鎖DNAにハイブリダイズさせるアニーリング反応を55〜65℃(好ましくは59〜62℃)で約5〜60秒、より好ましくは61℃で60秒間行い、DNAポリメラーゼを作用させる伸長反応を約72℃で約10〜60秒間行い、これらを1サイクルとしたものを約30〜35サイクル行う。
前記(i)及び(j)オリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてPCRを行う場合、2本鎖DNAを1本鎖にする熱変性反応を95〜98℃で約5〜60秒間行い、プライマー対を1本鎖DNAにハイブリダイズさせるアニーリング反応を55〜65℃(好ましくは59〜62℃)で約5〜60秒、より好ましくは59℃で60秒間行い、DNAポリメラーゼを作用させる伸長反応を約72℃で約10〜60秒間行い、これらを1サイクルとしたものを約30〜35サイクル行う。
前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてPCRを行う場合、2本鎖DNAを1本鎖にする熱変性反応を95〜98℃で約5〜60秒間行い、プライマー対を1本鎖DNAにハイブリダイズさせるアニーリング反応を55〜65℃(好ましくは59〜62℃)で約5〜60秒間行い、より好ましくは61℃で60秒間行い、DNAポリメラーゼを作用させる伸長反応を約72℃で約10〜60秒間行い、これらを1サイクルとしたものを約30〜35サイクル行う。
本発明において、遺伝子断片の確認は通常の方法で行うことができる。例えば増幅産物について電気泳動を行い増幅した遺伝子の大きさに対応するバンドの有無を確認する方法、増幅産物量を経時的に計測する方法、増幅産物の塩基配列を解読する方法等が挙げられるが、本発明はこれらの方法に限定されるものではない。本発明においては、遺伝子増幅処理後に電気泳動を行い、増幅した遺伝子の大きさに対応するバンドの有無を確認する方法が好ましい。また、本発明において、増幅産物の検出は通常の方法で行うことができる。例えば増幅反応時に放射性物質などで標識されたヌクレオチドを取り込ませる方法、蛍光物質などで標識されたプライマーを用いる方法、増幅したDNA2本鎖の間にエチジウムブロマイドなどのDNAと結合することにより蛍光強度が強くなる蛍光物質を入り込まさせる方法等が挙げられるが、本発明はこれらの方法に限定されるものではない。本発明においては、増幅したDNA2本鎖の間にDNAと結合することにより蛍光強度が強くなる蛍光物質を入り込ませる方法が好ましい。
検体に検出対象真菌が含まれる場合、本発明のオリゴヌクレオチド対をプライマーセットとして使用してPCRを行い、得られたPCR産物について電気泳動を行うと、特定のサイズでDNA断片が確認される。具体的には、検体にクレードIに属するタラロマイセス属真菌が含まれる場合、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いて得られたPCR産物の電気泳動を行うと、約200bpのサイズでDNA断片が確認される。検体にクレードIIに属するタラロマイセス属真菌が含まれる場合、前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いて得られたPCR産物の電気泳動を行うと、約300bpのサイズでDNA断片が確認される。検体にクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌が含まれる場合、前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチド対を核酸プライマーとして用いて得られたPCR産物の電気泳動を行うと、約230bpのサイズでDNA断片が確認される。検体にクレードIVに属するタラロマイセス属真菌が含まれる場合、前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチド対を核酸プライマーとして用いて得られたPCR産物の電気泳動を行うと、約250bpのサイズでDNA断片が確認される。検体にクレードVに属するタラロマイセス属真菌が含まれる場合、前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチド対を核酸プライマーとして用いて得られたPCR産物の電気泳動を行うと、約200bpのサイズでDNA断片が確認される。検体にクレードVIに属するタラロマイセス属真菌が含まれる場合、前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチド対を核酸プライマーとして用いて得られたPCR産物の電気泳動を行うと、約190〜220bpのサイズでDNA断片が確認される。
このような操作を行うことにより、検体に検出対象真菌が含まれているかを確認することができる。
本発明において、タラロマイセス属真菌の同定を行うために、前記オリゴヌクレオチド対を用いて被検体のβ−チューブリン遺伝子、28S rDNAのD1/D2領域、又はrDNAのITS領域の部分塩基配列を決定し、該部分塩基配列が前記(a1)、(b1)、(a2)、(b2)、(c1)、(d1)、(e1)、(f1)、(g1)、(h1)、(i1)、(j1)、(k1)及び(l1)のいずれかの塩基配列に含まれるか否かを確認することで、前記(a1)、(b1)、(a2)、(b2)、(c1)、(d1)、(e1)、(f1)、(g1)、(h1)、(i1)、(j1)、(k1)及び(l1)のいずれかの塩基配列で表される核酸の存在を確認しタラロマイセス属真菌をクレードレベルで検出することもできる。すなわち、本発明の検出方法は、被検体の有するβ−チューブリン遺伝子、28S rDNAのD1/D2領域、又はrDNAのITS領域の部分塩基配列を解析・決定し、決定した塩基配列と前記(a1)、(b1)、(a2)、(b2)、(c1)、(d1)、(e1)、(f1)、(g1)、(h1)、(i1)、(j1)、(k1)及び(l1)のいずれかの塩基配列とを比較し、その一致又は相違に基づいて前記(a1)、(b1)、(a2)、(b2)、(c1)、(d1)、(e1)、(f1)、(g1)、(h1)、(i1)、(j1)、(k1)及び(l1)のいずれかの塩基配列で表される核酸の存在を確認しタラロマイセス属真菌のクレードレベルの同定を行うものである。
例えば、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチド、前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチド、前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチド、前記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチド、前記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチド並びに/又は前記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてPCRを行い前記(a1)、(b1)、(a2)、(b2)、(c1)、(d1)、(e1)、(f1)、(g1)、(h1)、(i1)、(j1)、(k1)及び(l1)のいずれかの塩基配列で表される核酸の一部を増幅して増幅産物の有無を確認し、得られる増幅産物の塩基配列と前記(a1)、(b1)、(a2)、(b2)、(c1)、(d1)、(e1)、(f1)、(g1)、(h1)、(i1)、(j1)、(k1)及び(l1)のいずれかの塩基配列とを比較し、前記(a1)、(b1)、(a2)、(b2)、(c1)、(d1)、(e1)、(f1)、(g1)、(h1)、(i1)、(j1)、(k1)及び(l1)のいずれかの塩基配列で表される核酸の存在を確認する。増幅産物の塩基配列が、前記(a1)、(b1)、(a2)又は(b2)の塩基配列で表される核酸の一部として含まれていれば検体に含まれる微生物をクレードIに属するタラロマイセス属真菌と同定することができ、前記(c1)又は(d1)の塩基配列で表される核酸の一部として含まれていれば検体に含まれる微生物をクレードIIに属するタラロマイセス属真菌と同定することができ、前記(e1)又は(f1)の塩基配列で表される核酸の一部として含まれていれば検体に含まれる微生物をクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌と同定することができ、前記(g1)又は(h1)の塩基配列で表される核酸の一部として含まれていれば検体に含まれる微生物をクレードIVに属するタラロマイセス属真菌と同定することができ、前記(i1)又は(j1)の塩基配列で表される核酸の一部として含まれていれば検体に含まれる微生物をクレードVに属するタラロマイセス属真菌と同定することができ、前記(k1)又は(l1)の塩基配列で表される核酸の一部として含まれていれば検体に含まれる微生物をクレードVIに属するタラロマイセス属真菌と同定することができる。
塩基配列を解析・決定する方法としては特に限定されず、通常行われているRNA又はDNAシークエンシングの手法を用いることができる。
具体的には、マクサム−ギルバート法、サンガー法等の電気泳動法、質量分析法、ハイブリダイゼーション法等が挙げられる。サンガー法においては、放射線標識法、蛍光標識法等により、プライマー又は、ターミネーターを標識する方法が挙げられる。
本発明において、増幅反応に用いられるプライマーは、設計した配列を基にして化学合成したり、試薬メーカーから購入することができる。具体的には、オリゴヌクレオチド合成装置等を用いて合成することができる。また、合成後、吸着カラム、高速液体クロマトグラフィーや電気泳動法を用いて精製したものを用いることもできる。また、1ないし数個の塩基が置換、欠失、挿入若しくは付加された塩基配列を有するオリゴヌクレオチドについても、通常の方法を使用して合成できる。
本発明において使用される検体としては特に制限はなく、飲食品自体、飲食品の原材料、単離菌体、培養菌体等を用いることができる。
検体からDNAを調製する方法としては、タラロマイセス属真菌の検出を行うのに十分な精製度及び量のDNAが得られるのであれば特に制限されず、未精製の状態でも使用できるが、さらに分離、抽出、濃縮、精製等の前処理をして使用することもできる。例えば、フェノール及びクロロホルム抽出を行って精製したり、市販の抽出キットを用いて精製して、核酸の純度を高めて使用することができる。また、被検体中のRNAを逆転写して得られるDNAを用いることもできる。
本発明のタラロマイセス属真菌検出用キットは、前記本発明の検出用オリゴヌクレオチド又は検出用オリゴヌクレオチド対を核酸プローブ又は核酸プライマーとして含有するものである。本発明のキットは、前記核酸プローブ又は核酸プライマーの他に、目的に応じ、標識検出物質、緩衝液、核酸合成酵素(DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素等)、酵素基質(dNTP,rNTP等)等、菌類の検出に通常用いられる物質を含有する。本発明のキットには、本発明の検出用オリゴヌクレオチド又は検出用オリゴヌクレオチド対によって検出反応が可能であることを確認するための陽性対照(ポジティブコントロール)を含んでいてもよい。陽性対照としては、例えば、本発明の方法により増幅される領域を含んだDNAが挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)分子系統樹の作成、及びタラロマイセス属真菌の分類
タラロマイセス属真菌の各菌種の28S rDNAのD1/D2領域の塩基配列をDNA data bank of Japan(DDBJ:http://www.ddbj.nig.ac.jp/Welcome-j.html)のARSA検索、及びNL1プライマー(5’-GCATATCAATAAGCGGAGGAAAAG-3’:配列番号20)とNL4プライマー(5’-GGTCCGTGTTTCAAGACGG-3’:配列番号21)(The fungal homorph:Mitotic and plemorphic speciation in fungal systematics.,Wallingford:CAB international参照)を用いたPCR(変性温度95℃1分、アニーリング温度53℃1分、伸長温度72℃1分の35サイクル)で得られたPCR産物の解析により得た。
得られた塩基配列をClustal W(http://clustalw.ddbj.nig.ac.jp/top-j.html)を使用してアライメント解析を行い、ソフトウェアNJPLOTを用いて近隣結合法による解析を行い、分子系統樹を作成した。作成した分子系統樹を図1に示す。
さらに、図1に示すように、作成した分子系統樹の上流から明確に枝分かれする菌種群を分類し、それぞれクレードI〜VIとした。
なお、28S rDNAのD1/D2領域の塩基配列に代えて、β−チューブリン遺伝子又はrDNAのITS領域の塩基配列を用いて、同様に分子系統樹を作成したところ、図1に示す分子系統樹とほぼ同様の分子系統樹が作成することができた。
(2)タラロマイセス属真菌に特異的な28S rDNAのD1/D2領域の部分塩基配列の解析
下記の方法により、タラロマイセス属真菌各種の28S rDNAのD1/D2領域の塩基配列を決定した。
PDA(ポテトデキストロース寒天)斜面培地にて30℃で7日間暗所培養した菌体から、GenとるくんTM(タカラバイオ社製)を使用し、DNAを抽出した。目的とする部位のPCR増幅は、PuRe TaqTM Ready-To-Go PCR Beads(GE Health Care UK LTD)を用いて、プライマーとしてNL1(5’-GCATATCAATAAGCGGAGGAAAAG-3’:配列番号20)及びNL4(5’-GGTCCGTGTTTCAAGACGG-3’:配列番号21)を使用した。増幅条件は、変性温度95℃、アニーリング温度55℃、伸長温度72℃、35サイクルで実施した。PCR産物は、Auto SegTM G-50(Amersham Pharmacia Biotech社製)を使用し精製した。PCR産物は、BigDye terminator Ver.1.1(商品名、Applied Biosystems社製)を使用してラベル化し、ABI PRISM 3130 Genetic Analyzer(Applied Biosystems社製)で電気泳動を実施した。電気泳動時の蛍光シグナルからの塩基配列の決定には、ソフトウエアー‘ATGC Ver.4’(Genetyx社製)を使用した。
シークエンシング法により決定したタラロマイセス属真菌各種や、各種菌類の公知の28S rDNAのD1/D2領域の塩基配列情報をもとに、Clustal W(http://clustalw.ddbj.nig.ac.jp/top-j.html)を用いてアライメント解析を行い、クレードIに属するタラロマイセス属真菌に特異的な塩基配列を含有する28S rDNAのD1/D2領域中の特定領域の塩基配列(配列番号1及び2)を決定した。
(3)タラロマイセス属真菌に特異的なβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列の解析
下記の方法により、タラロマイセス属真菌各種のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列を決定した。
PDA(ポテトデキストロース寒天)斜面培地にて30℃で7日間暗所培養した菌体から、GenとるくんTM(タカラバイオ社製)を使用し、DNAを抽出した。目的とする部位のPCR増幅は、PuRe TaqTM Ready-To-Go PCR Beads(GE Health Care UK LTD)を用いて、プライマーとしてBt2a(5’-GGTAACCAAATCGGTGCTGCTTTC-3’:配列番号22)及びBt2b(5’-ACCCTCAGTGTAGTGACCCTTGGC-3’:配列番号23)(Glass and Donaldson,Appl.,Environ.,Microbiol.,61,p.1323-1330,1995参照)を使用した。増幅条件は、変性温度95℃、アニーリング温度59℃、伸長温度72℃、35サイクルで実施した。PCR産物は、Auto SegTM G-50(Amersham Pharmacia Biotech社製)を使用し精製した。PCR産物は、BigDye terminator Ver.1.1(商品名、Applied Biosystems社製)を使用してラベル化し、ABI PRISM 3130 Genetic Analyzer(Applied Biosystems社製)で電気泳動を実施した。電気泳動時の蛍光シグナルからの塩基配列の決定には、ソフトウエアー‘ATGC Ver.4’(Genetyx社製)を使用した。
シークエンシング法により決定したタラロマイセス属真菌各種や、各種菌類の公知のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列情報をもとに、Clustal W(http://clustalw.ddbj.nig.ac.jp/top-j.html)を用いてアライメント解析を行い、クレードII、クレードV及びクレードVIに属するタラロマイセス属真菌に特異的な塩基配列を含有するβ−チューブリン遺伝子の中の特定領域の塩基配列(配列番号3及び4、9及び10、並びに11及び12)を決定した。
(4)タラロマイセス属真菌に特異的なrDNAのITS領域の部分塩基配列の解析
下記の方法により、タラロマイセス属真菌各種のrDNAのITS領域の塩基配列を決定した。
PDA(ポテトデキストロース寒天)斜面培地にて30℃で5〜7日間暗所培養した菌体から、GenとるくんTM(タカラバイオ社製)を使用し、DNAを抽出した。目的とする部位のPCR増幅は、PuRe TaqTM Ready-To-Go PCR Beads(GE Health Care UK LTD)を用いて、プライマーとしてITS1(5’-TCCGTAGGTGAACCTGCGG-3’:配列番号24)、ITS4(5’-TCCTCCGCTTATTGATATG-3’:配列番号25)(White T.J.,Bruns T.D.,Lee SB,Taylor J.W.,Amplification and direct sequencing of fungal ribosomal DNA for phylogenetics.In:Innis M.A.,Gelfan D.H.,Sninsky J.J.,White T.J(eds),PCR Protocols:A Guide to the Methods and Application,San Diego:Academic Press,p.315-322,1990参照)を使用した。増幅条件は、変性温度95℃、アニーリング温度55℃、伸長温度72℃、35サイクルで実施した。PCR産物は、Auto SegTM G-50(Amersham Pharmacia Biotech)を使用し精製した。PCR産物は、BigDye terminator Ver.1.1(商品名、Applied Biosystems社製)を使用してラベル化し、ABI PRISM 3130 Genetic Analyzer(Applied Biosystems社製)で電気泳動を実施した。電気泳動時の蛍光シグナルからの塩基配列の決定には、ソフトウエアー‘ATGC Ver.4’(Genetyx社製)を使用した。
シークエンシング法により決定したタラロマイセス属真菌各種や、各種菌類の公知のrDNAのITS領域の塩基配列情報をもとに、Clustal W(http://clustalw.ddbj.nig.ac.jp/top-j.html)を用いてアライメント解析を行い、クレードIII及びクレードIVに属するタラロマイセス属真菌に特異的な塩基配列を含有するrDNAのITS領域中の特定領域の塩基配列(配列番号5及び6、並びに7及び8)を決定した。
(5)プライマーの設計
上記で決定したタラロマイセス属真菌各種に特異的な塩基配列部位をもとに、配列番号1の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(Tclade1_F1プライマー)、配列番号2の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(Tclade1_R1プライマー)、配列番号3の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(Tclade2_F1プライマー)、配列番号4の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(Tclade2_R1プライマー)、配列番号5の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(Tclade3-F2プライマー)、配列番号6の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(Tclade3-R2プライマー)、配列番号7の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(TluF1プライマー)、配列番号8の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(TluR1プライマー)、配列番号9の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(Tth1Fプライマー)、配列番号10の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(Tth1Rプライマー)、配列番号11の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(Te1Fプライマー)及び配列番号12の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(Te3Rプライマー)を設計し、シグマ アルドリッチ ジャパン社に合成依頼し(脱塩精製品、0.02μmolスケール)、購入した。
前記の各プライマーは、図2〜13に示すように、クレードIに属するタラロマイセス属真菌の28S rDNAのD1/D2領域の各特定領域、クレードII、クレードV及びクレードVIに属するタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子の各特定領域、並びにクレードIII及びクレードIVに属するタラロマイセス属真菌のrDNAのITS領域の各特定領域の塩基配列に基づき設計したものである。
(6)クレードIに属するタラロマイセス属真菌の検出
設計したTclade1_F1プライマー及びTclade1_R1プライマーの有効性の評価に用いる真菌類、すなわちクレードIに属するタラロマイセス属真菌、その他のタラロマイセス属真菌、及び飲食品での事故事例で報告されている真菌等としては、表1〜3に記載した菌株を使用した。これらの菌株に関しては、千葉大学医学部真菌医学研究センターが保管しIFMナンバーにより管理されている株を入手し、使用した。
各菌株を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて30℃で7日間培養した。
培養した各菌体を白金耳を用いて回収し、ゲノムDNA調製用キット(アプライドバイオシステムズ社製PrepMan ultra(商品名))を用いて、ゲノムDNA溶液を調製した。DNA溶液の濃度は5ng/μLに調製した。
DNAテンプレートとして上記で調製したゲノムDNA溶液1μL、Pre Mix Taq(商品名、タカラバイオ社製)13μL及び無菌蒸留水10μLを混合し、Tclade1_F1プライマー(20pmol/μL)0.5μL及びTclade1_R1プライマー(20pmol/μL)0.5μLを加え、25μLのPCR溶液を調製した。
PCR溶液について、自動遺伝子増幅装置サーマルサイクラーDICE(タカラバイオ)を用いて遺伝子増幅処理を行った。PCR条件は、97℃、10分間の処理後、(i)97℃、1分間の熱変性反応、(ii)61℃、1分間のアニーリング反応、及び(iii)72℃、1分間の伸長反応を1サイクルとしたものを30サイクル行い、反応液を72℃で10分間保持した。
PCR後、PCR溶液から2μLを分取してローディングバッファーと十分に混和し、2%アガロースゲルを用いて電気泳動(100V、45分間)を行った。電気泳動終了後、アガロースゲルをSYBR Safe DNA gel stain in 1×TAE(インビトロジェン)でDNAを染色後、増幅されたDNA断片の有無を確認した。その結果を図14〜16に示す。図中の番号は表記載の対応する試料番号の試料から抽出したDNAを用いて反応を行ったサンプルであることを示している。なお、図14は表1に示す菌類の試料についての電気泳動図を示し、図15は表2に示す菌類の試料についての電気泳動図を示し、図16は表3に示す菌類の試料についての電気泳動図を示す。なお、分子量マーカーとして、EZ Load 100bp molecular Ruler(商品名、BIO RAD社製)を用いた。
その結果、クレードIに属するタラロマイセス属真菌のゲノムDNAを含む試料では、約200bpのサイズで遺伝子断片が確認された。一方、クレードIに属するタラロマイセス属真菌以外の真菌のゲノムDNAを含む試料では、遺伝子断片は確認されなかった。したがって、特定のオリゴヌクレオチド対を用いることによって、クレードIに属するタラロマイセス属真菌を特異的に検出し、クレードレベルで同定することができる。
(7)クレードIIに属するタラロマイセス属真菌の検出
設計したTclade2_F1プライマー及びTclade2_R1プライマーの有効性の評価に用いる真菌類、すなわちクレードIIに属するタラロマイセス属真菌、その他のタラロマイセス属真菌、及び飲食品での事故事例で報告されている真菌等としては、表4〜6に記載した菌株を使用した。これらの菌株に関しては、千葉大学医学部真菌医学研究センターが保管しIFMナンバーにより管理されている株を入手し、使用した。
各菌株を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて30℃で7日間培養した。
培養した各菌体を白金耳を用いて回収し、ゲノムDNA調製用キット(アプライドバイオシステムズ社製PrepMan ultra(商品名))を用いて、ゲノムDNA溶液を調製した。DNA溶液の濃度は5ng/μLに調製した。
DNAテンプレートとして上記で調製したゲノムDNA溶液1μL、Pre Mix Taq(商品名、タカラバイオ社製)13μL及び無菌蒸留水10μLを混合し、Tclade2_F1プライマー(20pmol/μL)0.5μL及びTclade2_R1プライマー(20pmol/μL)0.5μLを加え、25μLのPCR溶液を調製した。
PCR溶液について、自動遺伝子増幅装置サーマルサイクラーDICE(タカラバイオ)を用いて遺伝子増幅処理を行った。PCR条件は、97℃、10分間の処理後、(i)97℃、1分間の熱変性反応、(ii)62℃、1分間のアニーリング反応、及び(iii)72℃、1分間の伸長反応を1サイクルとしたものを30サイクル行い、反応液を72℃で10分間保持した。
PCR後、PCR溶液から2μLを分取してローディングバッファーと十分に混和し、2%アガロースゲルを用いて電気泳動(100V、45分間)を行った。電気泳動終了後、アガロースゲルをSYBR Safe DNA gel stain in 1×TAE(インビトロジェン)でDNAを染色後、増幅されたDNA断片の有無を確認した。その結果を図17〜19に示す。図中の番号は表記載の対応する試料番号の試料から抽出したDNAを用いて反応を行ったサンプルであることを示している。なお、図17は表4に示す菌類の試料についての電気泳動図を示し、図18は表5に示す菌類の試料についての電気泳動図を示し、図19は表6に示す菌類の試料についての電気泳動図を示す。なお、分子量マーカーとして、EZ Load 100bp molecular Ruler(商品名、BIO RAD社製)を用いた。
その結果、クレードIIに属するタラロマイセス属真菌のゲノムDNAを含む試料では、約300bpのサイズで遺伝子断片が確認された。一方、クレードIIに属するタラロマイセス属真菌以外の真菌のゲノムDNAを含む試料では、遺伝子断片は確認されなかった。したがって、特定のオリゴヌクレオチド対を用いることによって、クレードIIに属するタラロマイセス属真菌を特異的に検出し、クレードレベルで同定することができる。
(8)クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌の検出
設計したTclade3-F2プライマー及びTclade3-R2プライマーの有効性の評価に用いる真菌類、すなわちクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌、その他のタラロマイセス属真菌、及び飲食品での事故事例で報告されている真菌等としては、表7〜9に記載した菌株を使用した。これらの菌株に関しては、千葉大学医学部真菌医学研究センターが保管しIFMナンバーにより管理されている株を入手し、使用した。
各菌株を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて30℃で7日間培養した。
培養した各菌体を白金耳を用いて回収し、ゲノムDNA調製用キット(アプライドバイオシステムズ社製PrepMan ultra(商品名))を用いて、ゲノムDNA溶液を調製した。DNA溶液の濃度は5ng/μLに調製した。
DNAテンプレートとして上記で調製したゲノムDNA溶液1μL、Pre Mix Taq(商品名、タカラバイオ社製)13μL及び無菌蒸留水10μLを混合し、Tclade3-F2プライマー(20pmol/μL)0.5μL及びTclade3-R2プライマー(20pmol/μL)0.5μLを加え、25μLのPCR溶液を調製した。
PCR溶液について、自動遺伝子増幅装置サーマルサイクラーDICE(タカラバイオ)を用いて遺伝子増幅処理を行った。PCR条件は、97℃、10分間の処理後、(i)97℃、1分間の熱変性反応、(ii)61℃、1分間のアニーリング反応、及び(iii)72℃、1分間の伸長反応を1サイクルとしたものを30サイクル行い、反応液を72℃で10分間保持した。
PCR後、PCR溶液から2μLを分取してローディングバッファーと十分に混和し、2%アガロースゲルを用いて電気泳動(100V、45分間)を行った。電気泳動終了後、アガロースゲルをSYBR Safe DNA gel stain in 1×TAE(インビトロジェン)でDNAを染色後、増幅されたDNA断片の有無を確認した。その結果を図20〜22に示す。図中の番号は表記載の対応する試料番号の試料から抽出したDNAを用いて反応を行ったサンプルであることを示している。なお、図20は表7に示す菌類の試料についての電気泳動図を示し、図21は表8に示す菌類の試料についての電気泳動図を示し、図22は表9に示す菌類の試料についての電気泳動図を示す。なお、分子量マーカーとして、EZ Load 100bp molecular Ruler(商品名、BIO RAD社製)を用いた。
その結果、クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のゲノムDNAを含む試料では、約230bpのサイズで遺伝子断片が確認された。一方、クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌以外の真菌のゲノムDNAを含む試料では、遺伝子断片は確認されなかった。したがって、特定のオリゴヌクレオチド対を用いることによって、クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌を特異的に検出し、クレードレベルで同定することができる。
(9)クレードIVに属するタラロマイセス属真菌の検出
設計したTluF1プライマー及びTluR1プライマーの有効性の評価に用いる真菌類、すなわちクレードIVに属するタラロマイセス属真菌、その他のタラロマイセス属真菌、及び飲食品での事故事例で報告されている真菌等としては、表10〜12に記載した菌株を使用した。これらの菌株に関しては、千葉大学医学部真菌医学研究センターが保管しIFMナンバーにより管理されている株を入手し、使用した。
各菌株を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて30℃で7日間培養した。
培養した各菌体を白金耳を用いて回収し、ゲノムDNA調製用キット(アプライドバイオシステムズ社製PrepMan ultra(商品名))を用いて、ゲノムDNA溶液を調製した。DNA溶液の濃度は5ng/μLに調製した。
DNAテンプレートとして上記で調製したゲノムDNA溶液1μL、Pre Mix Taq(商品名、タカラバイオ社製)13μL及び無菌蒸留水10μLを混合し、TluF1プライマー(20pmol/μL)0.5μL及びTluR1プライマー(20pmol/μL)0.5μLを加え、25μLのPCR溶液を調製した。
PCR溶液について、自動遺伝子増幅装置サーマルサイクラーDICE(タカラバイオ)を用いて遺伝子増幅処理を行った。PCR条件は、97℃、10分間の処理後、(i)97℃、1分間の熱変性反応、(ii)61℃、1分間のアニーリング反応、及び(iii)72℃、1分間の伸長反応を1サイクルとしたものを35サイクル行い、反応液を72℃で10分間保持した。
PCR後、PCR溶液から2μLを分取してローディングバッファーと十分に混和し、2%アガロースゲルを用いて電気泳動(100V、45分間)を行った。電気泳動終了後、アガロースゲルをSYBR Safe DNA gel stain in 1×TAE(インビトロジェン)でDNAを染色後、増幅されたDNA断片の有無を確認した。その結果を図23〜25に示す。図中の番号は表記載の対応する試料番号の試料から抽出したDNAを用いて反応を行ったサンプルであることを示している。なお、図23は表10に示す菌類の試料についての電気泳動図を示し、図24は表11に示す菌類の試料についての電気泳動図を示し、図25は表12に示す菌類の試料についての電気泳動図を示す。なお、分子量マーカーとして、EZ Load 100bp molecular Ruler(商品名、BIO RAD社製)を用いた。
その結果、クレードIVに属するタラロマイセス属真菌のゲノムDNAを含む試料では、約250bpのサイズで遺伝子断片が確認された。一方、クレードIVに属するタラロマイセス属真菌以外の真菌のゲノムDNAを含む試料では、遺伝子断片は確認されなかった。したがって、特定のオリゴヌクレオチド対を用いることによって、クレードIVに属するタラロマイセス属真菌を特異的に検出し、クレードレベルで同定することができる。
(10)クレードVに属するタラロマイセス属真菌の検出
設計したTth1Fプライマー及びTth1Rプライマーの有効性の評価に用いる真菌類、すなわちクレードVに属するタラロマイセス属真菌、その他のタラロマイセス属真菌、及び飲食品での事故事例で報告されている真菌等としては、表13及び14に記載した菌株を使用した。これらの菌株に関しては、千葉大学医学部真菌医学研究センターが保管しIFMナンバーにより管理されている株を入手し、使用した。
各菌株を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて30℃で7日間培養した。
培養した各菌体を白金耳を用いて回収し、ゲノムDNA調製用キット(アプライドバイオシステムズ社製PrepMan ultra(商品名))を用いて、ゲノムDNA溶液を調製した。DNA溶液の濃度は5ng/μLに調製した。
DNAテンプレートとして上記で調製したゲノムDNA溶液1μL、Pre Mix Taq(商品名、タカラバイオ社製)13μL及び無菌蒸留水10μLを混合し、Tth1Fプライマー(20pmol/μL)0.5μL及びTth1Rプライマー(20pmol/μL)0.5μLを加え、25μLのPCR溶液を調製した。
PCR溶液について、自動遺伝子増幅装置サーマルサイクラーDICE(タカラバイオ)を用いて遺伝子増幅処理を行った。PCR条件は、95℃、10分間の処理後、(i)95℃、1分間の熱変性反応、(ii)59℃、1分間のアニーリング反応、及び(iii)72℃、1分間の伸長反応を1サイクルとしたものを35サイクル行い、反応液を72℃で10分間保持した。
PCR後、PCR溶液から2μLを分取してローディングバッファーと十分に混和し、2%アガロースゲルを用いて電気泳動(100V、45分間)を行った。電気泳動終了後、アガロースゲルをSYBR Safe DNA gel stain in 1×TAE(インビトロジェン)でDNAを染色後、増幅されたDNA断片の有無を確認した。その結果を図26及び27に示す。図中の番号は表記載の対応する試料番号の試料から抽出したDNAを用いて反応を行ったサンプルであることを示している。なお、図26は表13に示す菌類の試料についての電気泳動図を示し、図27は表14に示す菌類の試料についての電気泳動図を示す。なお、分子量マーカーとして、EZ Load 100bp molecular Ruler(商品名、BIO RAD社製)を用いた。
その結果、クレードVに属するタラロマイセス属真菌のゲノムDNAを含む試料では、約200bpのサイズで遺伝子断片が確認された。一方、クレードVに属するタラロマイセス属真菌以外の真菌のゲノムDNAを含む試料では、遺伝子断片は確認されなかった。したがって、特定のオリゴヌクレオチド対を用いることによって、クレードVに属するタラロマイセス属真菌を特異的に検出し、クレードレベルで同定することができる。
(11)クレードVIに属するタラロマイセス属真菌の検出
設計したTe1Fプライマー及びTe3Rプライマーの有効性の評価に用いる真菌類、すなわちクレードVIに属するタラロマイセス属真菌、その他のタラロマイセス属真菌、及び飲食品での事故事例で報告されている真菌等としては、表15及び16に記載した菌株を使用した。これらの菌株に関しては、独立行政法人製品評価技術基盤機構が保管しNBRCナンバーにより管理されている株及び千葉大学医学部真菌医学研究センターが保管しIFMナンバーにより管理されている株を入手し、使用した。
各菌株を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて30℃で7日間培養した。
培養した各菌体を白金耳を用いて回収し、ゲノムDNA調製用キット(アプライドバイオシステムズ社製PrepMan ultra(商品名))を用いて、ゲノムDNA溶液を調製した。DNA溶液の濃度は5ng/μLに調製した。
DNAテンプレートとして上記で調製したゲノムDNA溶液1μL、Pre Mix Taq(商品名、タカラバイオ社製)13μL及び無菌蒸留水10μLを混合し、Te1Fプライマー(20pmol/μL)0.5μL及びTe1Rプライマー(20pmol/μL)0.5μLを加え、25μLのPCR溶液を調製した。
PCR溶液について、自動遺伝子増幅装置サーマルサイクラーDICE(タカラバイオ)を用いて遺伝子増幅処理を行った。PCR条件は、95℃、10分間の処理後、(i)95℃、1分間の熱変性反応、(ii)61℃、1分間のアニーリング反応、及び(iii)72℃、1分間の伸長反応を1サイクルとしたものを35サイクル行い、反応液を72℃で10分間保持した。
PCR後、PCR溶液から2μLを分取してローディングバッファーと十分に混和し、2%アガロースゲルを用いて電気泳動(100V、45分間)を行った。電気泳動終了後、アガロースゲルをSYBR Safe DNA gel stain in 1×TAE(インビトロジェン)でDNAを染色後、増幅されたDNA断片の有無を確認した。その結果を図28及び29に示す。図中の番号は表記載の対応する試料番号の試料から抽出したDNAを用いて反応を行ったサンプルであることを示している。なお、図28は表15に示す菌類の試料についての電気泳動図を示し、図29は表16に示す菌類の試料についての電気泳動図を示す。なお、分子量マーカーとして、EZ Load 100bp molecular Ruler(商品名、BIO RAD社製)を用いた。
その結果、クレードVIに属するタラロマイセス属真菌のうち、タラロマイセス・ビソクラミドイデスのゲノムDNAを含む試料では約200bpのサイズで遺伝子断片が確認され、タラロマイセス・エブルネウスのゲノムDNAを含む試料では約220bpのサイズで遺伝子断片が確認され、タラロマイセス・エメルソニイのゲノムDNAを含む試料では約190bpのサイズで遺伝子断片が確認された。一方、クレードVIに属するタラロマイセス属真菌以外の真菌のゲノムDNAを含む試料では、遺伝子断片は確認されなかった。したがって、特定のオリゴヌクレオチド対を用いることによって、クレードVIに属するタラロマイセス属真菌を特異的に検出し、クレードレベルで同定することができる。
上記の結果から、本発明のオリゴヌクレオチドを用いることによって、タラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子、28S rDNAのD1/D2領域、又はrDNAのITS領域の部分塩基配列の存在を確認することができ、タラロマイセス属真菌をクレードレベルで特異的に検出できることがわかる。したがって、本発明の方法によれば、クレードレベルで簡便、迅速かつ特異的にタラロマイセス属真菌を検出することが可能である。

Claims (27)

  1. 下記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、
    下記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、
    下記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、
    下記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、
    下記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、並びに
    下記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対
    からなる群より選ばれる少なくとも1種のオリゴヌクレオチド対を用いてタラロマイセス(Talaromyces)属真菌のクレードレベルでの同定を行う工程を含む、タラロマイセス属真菌の検出方法。
    (a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (b)配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (c)配列番号3に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号3に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (d)配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号4に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (e)配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号5に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (f)配列番号6に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号6に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (g)配列番号7に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号7に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (h)配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号8に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (i)配列番号9に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号9に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (j)配列番号10に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号10に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (k)配列番号11に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号11に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (l)配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号12に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
  2. 同定を行うために、前記少なくとも1種のオリゴヌクレオチド対を用いてタラロマイセス属真菌のβ−チューブリン遺伝子、28S rDNAのD1/D2領域及び/又はrDNAの内部転写スペーサー領域の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認する、請求項1記載の検出方法。
  3. 前記増幅反応をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によって行う請求項2記載の検出方法。
  4. 下記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を行い、クレードIに属するタラロマイセス(Talaromyces)属真菌の28S rDNAのD1/D2領域の部分塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認する、クレードIに属するタラロマイセス属真菌の検出方法。
    (a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (b)配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
  5. 下記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を行い、クレードIIに属するタラロマイセス(Talaromyces)属真菌のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認する、クレードIIに属するタラロマイセス属真菌の検出方法。
    (c)配列番号3に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号3に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (d)配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号4に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
  6. 下記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を行い、クレードIIIに属するタラロマイセス(Talaromyces)属真菌のrDNAの内部転写スペーサー領域の部分塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認する、クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌の検出方法。
    (e)配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号5に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (f)配列番号6に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号6に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
  7. 下記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を行い、クレードIVに属するタラロマイセス(Talaromyces)属真菌のrDNAの内部転写スペーサー領域の部分塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認する、クレードIVに属するタラロマイセス属真菌の検出方法。
    (g)配列番号7に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号7に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (h)配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号8に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
  8. 下記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を行い、クレードVに属するタラロマイセス(Talaromyces)属真菌のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認する、クレードVに属するタラロマイセス属真菌の検出方法。
    (i)配列番号9に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号9に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (j)配列番号10に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号10に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
  9. 下記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を行い、クレードVIに属するタラロマイセス(Talaromyces)属真菌のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認する、クレードVIに属するタラロマイセス属真菌の検出方法。
    (k)配列番号11に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号11に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (l)配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号12に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
  10. 下記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、
    下記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、
    下記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、
    下記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、
    下記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対、並びに
    下記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対
    からなる群より選ばれる少なくとも1種のオリゴヌクレオチド対を用いて、下記(a1)、(b1)、(a2)、(b2)、(c1)、(d1)、(e1)、(f1)、(g1)、(h1)、(i1)、(j1)、(k1)及び(l1)のいずれかの塩基配列で表される核酸の存在を確認する、タラロマイセス(Talaromyces)属真菌の検出方法。
    (a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (b)配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (c)配列番号3に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号3に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (d)配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号4に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (e)配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号5に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (f)配列番号6に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号6に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (g)配列番号7に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号7に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (h)配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号8に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (i)配列番号9に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号9に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (j)配列番号10に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号10に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (k)配列番号11に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号11に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (l)配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号12に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (a1)配列番号13に記載の28S rDNAのD1/D2領域の部分塩基配列又はその相補配列
    (b1)配列番号13に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
    (a2)配列番号14に記載の28S rDNAのD1/D2領域の部分塩基配列又はその相補配列
    (b2)配列番号14に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
    (c1)配列番号15に記載のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列又はその相補配列
    (d1)配列番号15に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
    (e1)配列番号16に記載のrDNAの内部転写スペーサー領域の部分塩基配列又はその相補配列
    (f1)配列番号16に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
    (g1)配列番号17に記載のrDNAの内部転写スペーサー領域の部分塩基配列又はその相補配列
    (h1)配列番号17に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードIVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
    (i1)配列番号18に記載のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列又はその相補配列
    (j1)配列番号18に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
    (k1)配列番号19に記載のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列又はその相補配列
    (l1)配列番号19に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードVIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
  11. 前記少なくとも1種のオリゴヌクレオチド対を用いて前記(a1)、(b1)、(a2)、(b2)、(c1)、(d1)、(e1)、(f1)、(g1)、(h1)、(i1)、(j1)、(k1)及び(l1)のいずれかの塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認し、前記(a1)、(b1)、(a2)、(b2)、(c1)、(d1)、(e1)、(f1)、(g1)、(h1)、(i1)、(j1)、(k1)及び(l1)のいずれかの塩基配列で表される核酸の存在を確認する、請求項10記載の検出方法。
  12. 前記増幅反応をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によって行う請求項11記載の検出方法。
  13. 下記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を行い、下記(a1)、(b1)、(a2)及び(b2)のいずれかの塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、クレードIに属するタラロマイセス(Talaromyces)属真菌の同定を行う、クレードIに属するタラロマイセス属真菌の検出方法。
    (a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (b)配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (a1)配列番号13に記載の28S rDNAのD1/D2領域の部分塩基配列又はその相補配列
    (b1)配列番号13に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
    (a2)配列番号14に記載の28S rDNAのD1/D2領域の部分塩基配列又はその相補配列
    (b2)配列番号14に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
  14. 下記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を行い、下記(c1)又は(d1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、クレードIIに属するタラロマイセス(Talaromyces)属真菌の同定を行う、クレードIIに属するタラロマイセス属真菌の検出方法。
    (c)配列番号3に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号3に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (d)配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号4に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (c1)配列番号15に記載のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列又はその相補配列
    (d1)配列番号15に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
  15. 下記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を行い、下記(e1)又は(f1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、クレードIIIに属するタラロマイセス(Talaromyces)属真菌の同定を行う、クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌の検出方法。
    (e)配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号5に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (f)配列番号6に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号6に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (e1)配列番号16に記載のrDNAの内部転写スペーサー領域の部分塩基配列又はその相補配列
    (f1)配列番号16に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
  16. 下記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を行い、下記(g1)又は(h1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、クレードIVに属するタラロマイセス(Talaromyces)属真菌の同定を行う、クレードIVに属するタラロマイセス属真菌の検出方法。
    (g)配列番号7に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号7に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (h)配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号8に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (g1)配列番号17に記載のrDNAの内部転写スペーサー領域の部分塩基配列又はその相補配列
    (h1)配列番号17に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードIVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
  17. 下記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を行い、下記(i1)又は(j1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、クレードVに属するタラロマイセス(Talaromyces)属真菌の同定を行う、クレードVに属するタラロマイセス属真菌の検出方法。
    (i)配列番号9に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号9に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (j)配列番号10に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号10に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (i1)配列番号18に記載のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列又はその相補配列
    (j1)配列番号18に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
  18. 下記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を行い、下記(k1)又は(l1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、クレードVIに属するタラロマイセス(Talaromyces)属真菌の同定を行う、クレードVIに属するタラロマイセス属真菌の検出方法。
    (k)配列番号11に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号11に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (l)配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号12に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (k1)配列番号19に記載のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列又はその相補配列
    (l1)配列番号19に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードVIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
  19. 下記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチド、下記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチド、下記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチド、下記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチド、下記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチド、又は下記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対。
    (a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (b)配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (c)配列番号3に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号3に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (d)配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号4に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (e)配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号5に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (f)配列番号6に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号6に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (g)配列番号7に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号7に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (h)配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号8に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (i)配列番号9に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号9に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (j)配列番号10に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号10に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (k)配列番号11に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号11に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (l)配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号12に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
  20. 前記オリゴヌクレオチドが核酸プライマーである、請求項19記載のオリゴヌクレオチド対。
  21. 下記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によって下記(a1)、(b1)、(a2)及び/又は(b2)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、クレードIに属するタラロマイセス(Talaromyces)属真菌をクレードレベルで特異的に検出するための核酸プライマーとして機能し得るものである、(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対。
    (a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (b)配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (a1)配列番号13に記載の28S rDNAのD1/D2領域の部分塩基配列又はその相補配列
    (b1)配列番号13に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
    (a2)配列番号14に記載の28S rDNAのD1/D2領域の部分塩基配列又はその相補配列
    (b2)配列番号14に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
  22. 下記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によって下記(c1)及び/又は(d1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、クレードIIに属するタラロマイセス(Talaromyces)属真菌をクレードレベルで特異的に検出するための核酸プライマーとして機能し得るものである、(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対。
    (c)配列番号3に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号3に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (d)配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号4に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (c1)配列番号15に記載のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列又はその相補配列
    (d1)配列番号15に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
  23. 下記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によって下記(e1)及び/又は(f1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、クレードIIIに属するタラロマイセス(Talaromyces)属真菌をクレードレベルで特異的に検出するための核酸プライマーとして機能し得るものである、(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対。
    (e)配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号5に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (f)配列番号6に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号6に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (e1)配列番号16に記載のrDNAの内部転写スペーサー領域の部分塩基配列又はその相補配列
    (f1)配列番号16に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードIIIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
  24. 下記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によって下記(g1)及び/又は(h1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、クレードIVに属するタラロマイセス(Talaromyces)属真菌をクレードレベルで特異的に検出するための核酸プライマーとして機能し得るものである、(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対。
    (g)配列番号7に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号7に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (h)配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号8に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードIVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (g1)配列番号17に記載のrDNAの内部転写スペーサー領域の部分塩基配列又はその相補配列
    (h1)配列番号17に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(g)及び(h)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードIVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
  25. 下記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によって下記(i1)及び/又は(j1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、クレードVに属するタラロマイセス(Talaromyces)属真菌をクレードレベルで特異的に検出するための核酸プライマーとして機能し得るものである、(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対。
    (i)配列番号9に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号9に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (j)配列番号10に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号10に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (i1)配列番号18に記載のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列又はその相補配列
    (j1)配列番号18に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(i)及び(j)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードVに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
  26. 下記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によって下記(k1)及び/又は(l1)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、クレードVIに属するタラロマイセス(Talaromyces)属真菌をクレードレベルで特異的に検出するための核酸プライマーとして機能し得るものである、(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対。
    (k)配列番号11に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号11に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (l)配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号12に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつクレードVIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (k1)配列番号19に記載のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列又はその相補配列
    (l1)配列番号19に記載の塩基配列において1又は数個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加されておりかつ上記(k)及び(l)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対がストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、クレードVIに属するタラロマイセス属真菌のクレードレベルでの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
  27. 請求項19〜26のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチド対を含むタラロマイセス(Talaromyces)属真菌検出キット。
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