JP5934043B2 - ケトミウム・フニコラの検出方法 - Google Patents

ケトミウム・フニコラの検出方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5934043B2
JP5934043B2 JP2012156860A JP2012156860A JP5934043B2 JP 5934043 B2 JP5934043 B2 JP 5934043B2 JP 2012156860 A JP2012156860 A JP 2012156860A JP 2012156860 A JP2012156860 A JP 2012156860A JP 5934043 B2 JP5934043 B2 JP 5934043B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
funicola
oligonucleotide
seq
base sequence
detection
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012156860A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014018091A (ja
JP2014018091A5 (ja
Inventor
中山 素一
素一 中山
幸一 細谷
幸一 細谷
大輔 富山
大輔 富山
貴志 矢口
貴志 矢口
由巳 清水
由巳 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2012156860A priority Critical patent/JP5934043B2/ja
Publication of JP2014018091A publication Critical patent/JP2014018091A/ja
Publication of JP2014018091A5 publication Critical patent/JP2014018091A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5934043B2 publication Critical patent/JP5934043B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Description

本発明は、ケトミウム・フニコラ(Chaetomium funicola)の検出方法に関する。
糸状菌の一種であるケトミウム(Chaetomium)属の菌類は、自然界に広く分布し、食品や飲料の変敗に関与することが知られている。このうち、ケトミウム属菌類の1種であるケトミウム・フニコラは飲食品事故の原因菌として知られている。
飲食品製造において、内容物(飲食品自体)やその原材料だけではなく、製造装置、製造環境、包装容器等に関しても殺菌処理が行われる。内容物やその原材料に関しては加熱殺菌を行うが、製造環境、製造設備、包装容器等に関しては薬剤による殺菌等種々の殺菌法が提案されている。その1つである無菌充填方式は、製造環境、製造設備、包装容器等を過酢酸等を用いて殺菌し、加熱殺菌を行った内容物を充填し製品の商業的無菌性を担保するものである。ここで、ケトミウム・フニコラは、無菌充填方式で用いられる殺菌剤の1種である過酢酸に対し耐性を有することが知られており、過酢酸を用いて滅菌、殺菌を行う飲食品製造においてケトミウム・フニコラは最重要危害菌に位置付けられている。よって、ケトミウム・フニコラの検出が極めて重要である。
ケトミウム・フニコラの検出方法、及び他の種との識別方法は、培養を用いた形態学的な種分類が主となっている。この方法は形態学的な特徴が確認できるまで培養を続ける必要があるため、最短でも14日以上の長期間を必要とする。また、形態学的な同定には極めて高い専門性を必要とするため、判定者によって同定結果が異なる危険性が否定できない。さらには加熱や薬剤などによる損傷菌体等は形態形成能を失うケースが存在し、それら菌体は長期間培養を行っても特徴的な形態を形成しないことから、検出・識別結果の正確性に問題があった。
このように真菌の検出に長期間を要し、さらには他の種との識別結果の正確性に問題がある形態学的な方法は、飲食品の衛生管理、原材料の鮮度確保、流通上の制約など観点から、必ずしも満足できるとは言いがたい。従って、こうした従来の迅速性と正確性の問題を解決した検出方法の確立が求められてきた。
特許文献1には、ケトミウム・フニコラを含むケトミウム属の菌類のゲノムDNA中の18S rRNA遺伝子の特定領域を増幅することにより、ケトミウム属の菌類を検出する方法が記載されている。しかし、特許文献1記載の方法はケトミウム属の菌類を属レベルで検出することはできるが、ケトミウム属の菌類のうちケトミウム・フニコラのみを検出することができない。
特開2007−174903号公報
飲食品の無菌充填方式はホットパック充填方式と異なり、包装容器を加熱しないため、包装容器には耐熱性が求められない。したがって、過酢酸や過酸化水素を用いて製造環境、製造設備、包装容器等を殺菌する無菌充填方式を導入することにより、包装容器の肉薄化が可能になり、生産コストの減少や、包装容器運搬に係るコストの低減及びCO2排出量の低下が実現できる。したがって、過酢酸耐性を有し、無菌充填方式における危害菌であるケトミウム・フニコラの迅速かつ正確な検出が、特に飲食品業界において強く望まれている。
さらに、ケトミウム・フニコラを始めとする真菌の過酢酸耐性は、菌種により強さ、すなわち無菌充填方式における危害性が大きく異なる。したがって、飲食品業界などにおいて危害菌の迅速かつ正確なリスク評価を行うには、ケトミウム・フニコラを種レベルで迅速かつ正確に検出することが重要となる。
本発明は、飲食品業界などにおいて危害菌とされているケトミウム・フニコラを種レベルで迅速かつ正確に検出し、他の種の真菌と識別しうる方法を提供することを課題とする。また、本発明はこの方法に適用可能なオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド対及び検出キットを提供することを課題とする。
上述のようにケトミウム・フニコラの種レベルでの検出を困難にしている一因として、従来の公知のプライマーを用いたPCR法ではケトミウム・フニコラに対する特異性が低く、擬陽性や擬陰性の結果となる可能性が高い点が挙げられる。これは、ケトミウム・フニコラの遺伝子のデータベースが現在のところ脆弱であり、ケトミウム・フニコラの種レベルで保存されている遺伝子領域が正確に解析されていないために、ケトミウム・フニコラを種レベルで迅速かつ正確に検出するための高感度のプライマーの設計等が困難となっていることなどが原因であると考えた。
このような課題に鑑み、本発明者等は、ケトミウム・フニコラを種レベルで迅速かつ正確に検出しうる新たなDNA領域を探索すべく、鋭意検討を行った。具体的には、本発明者らは、ケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列に基づく分子系統分類学的手法を用いて、鋭意検討を行った。その結果、ケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の中に、他の菌類のものとは明確に区別しうる、特異的な塩基配列を有する部位(以下、「可変部位」ともいう)が存在することを見出した。また、これらの可変部位をターゲットとすることでケトミウム・フニコラを種レベルで迅速かつ正確に検出できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成するに至った。
本発明は、下記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対を用いてケトミウム・フニコラの種レベルでの検出を行う、ケトミウム・フニコラの検出方法に関する。
(a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつケトミウム・フニコラの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(b)配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつケトミウム・フニコラの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
また、本発明は、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなる群より選ばれるオリゴヌクレオチド、又は前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対に関する。
また、本発明は、前記オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対を含むケトミウム・フニコラ検出キットに関する。
本発明の検出方法は、飲食品の汚染事故の原因菌の1種であるケトミウム・フニコラを種レベルで迅速かつ正確に検出し、他の属の真菌と識別することができる。また、本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド対及び検出キットは、前記方法に好適に適用することができる。
ケトミウム属真菌のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列に基づいて作成した、ケトミウム属真菌の分子系統樹を示す図である。 ケトミウム・フニコラ及びケトミウム・インディカム(Chaetomium indicum)のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列、並びにケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す図である。 実施例における、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。 実施例における、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。 実施例における、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。 実施例における、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドを用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。
本発明は、ケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の特定の部分塩基配列、すなわち本領域に存在するケトミウム・フニコラに特異的な塩基配列部位(可変部位)にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチド対を用いてケトミウム・フニコラの検出を行い、ケトミウム・フニコラを種レベルで迅速かつ正確に検出する方法である。ここで、「可変部位」とは、β−チューブリン遺伝子の塩基配列中で塩基変異が蓄積しやすい部位であり、この部位の塩基配列は他菌種との間で大きく異なる。
本発明における「ケトミウム・フニコラ」とは、担子菌類の1種で、酸性食品、乳製品、甘味食品からの検出例の報告の多い過酢酸耐性菌類である。
本明細書において、「過酢酸耐性菌類」とは、無菌充填飲食品の事故報告がある菌種又は無菌充填飲食品の事故を起こし得る菌種であり、かつ1000ppmの過酢酸殺菌(40℃、1分間)処理でも生残する菌類を指す。具体的には、前記条件下の過酢酸殺菌によっても、食品業界において商業的無菌を担保する殺菌である6D殺菌(初発菌数を1/1000000に低減する殺菌)を確保することが出来ない菌類を指す。本発明者らは、ケトミウム・フニコラNBRC6555株について、1000ppmの過酢酸殺菌(40℃、1分間)処理によるD値(初期の菌数を1/10にするのに必要な滅菌処理単位)を測定したところ、D値=0.2Dであった。すなわち、ケトミウム・フニコラは、1000ppmの過酢酸殺菌(40℃、1分間)処理でも、初発菌数が1/1000000まで低減せず、6Dに満たなかった。
本明細書において、「β−チューブリン」とは微小管を構成する蛋白質であり、「β−チューブリン遺伝子」とは、β−チューブリンをコードする遺伝子である。
本明細書における「種」とは、ケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列について分子系統分類学的手法を用いて作成した分子系統樹に基づいて分類した菌種群を意味する。
前記分子系統樹の作成方法としては特に制限はなく、通常の方法により作成することができる。例えば、近隣結合法(neighbor-joining method)、最大節約法(Maximum parsimony)、最尤法(Maximum likelihood estimation)、ベイズ法、非加重結合法(Unweighted Pair Group Method with Arithmetic mean)等を用いて作成することができる。本発明においては、近隣結合法を用いて分子系統樹を作成することが好ましい。
本明細書において、「ストリンジェントな条件」としては、例えばMolecular Cloning−A LABORATORY MANUAL THIRD EDITION[Joseph Sambrook,David W.Russell.,Cold Spring Harbor Laboratory Press]記載の方法が挙げられ、例えば、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M塩化ナトリウム、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5%SDS、5×デンハート及び100mg/mLニシン精子DNAを含む溶液にプローブとともに65℃で8〜16時間恒温し、ハイブリダイズさせる条件が挙げられる。
本発明の検出方法は、ケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列中の可変部位に対応する核酸で表されるオリゴヌクレオチド対を用いることを特徴とする。
発明者等は、ケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列を決定し、種間での遺伝的距離と塩基配列の相同性の解析を行った。すなわち、シークエンシング法によりケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列を決定し、アライメント解析により一致する塩基領域の検討を行った。その結果、β−チューブリン遺伝子の塩基配列中に同一種内では保存性が高いが異なる種間で塩基配列の保存性が低く、種によって固有の塩基配列を有する可変部位を見い出した。この可変部位においてケトミウム・フニコラは種固有の塩基配列を有している。そのため、当該領域はケトミウム・フニコラを種レベルで迅速かつ正確に検出するための遺伝学的な指標として有用である。
本発明の検出方法は、下記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対を用いる。

(a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつケトミウム・フニコラの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(b)配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつケトミウム・フニコラの検出に使用できるオリゴヌクレオチド

前記オリゴヌクレオチド対を使用してケトミウム・フニコラを種レベルで検出し、同定することにより、ケトミウム・フニコラの検出が可能となる。
ケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列中の可変部位を図2、及び配列番号3に記載の塩基配列に基づき説明する。なお、図2は、ケトミウム・フニコラC73株(DDBJ getentry 検索:http://getentry.ddbj.nig.ac.jp/top-j.htmlアクセッションナンバーHM365300)及びケトミウム・インディカムC57株(DDBJ getentry 検索:http://getentry.ddbj.nig.ac.jp/top-j.htmlアクセッションナンバーHM365273株)のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列、並びにケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドが認識する塩基配列の位置関係を示す。また、配列番号3に記載の塩基配列は、ケトミウム・フニコラ C73株のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列を示す。
前記(a)のオリゴヌクレオチド(本明細書において、Cfu_F2ともいう)及び前記(b)のオリゴヌクレオチド(本明細書において、Cfu_R2ともいう)はそれぞれ、配列番号3に記載の塩基配列のうち19位〜43位までの領域及び289位〜310位までの領域にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドである。これらの領域は種間での塩基配列の保存性が低い可変領域であり、これらの領域の塩基配列はケトミウム・フニコラが固有に有する塩基配列であることを本発明者らが見出した。
したがって、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドを用いて、ケトミウム・フニコラを種レベルで迅速かつ正確に検出することができる。具体的には、本領域にポリメラーゼによるDNAの伸長方向であるプライマーの3’末端5塩基以上がハイブリダイズするように設計すればケトミウム・フニコラに特異的なプライマーとして用いることが可能であり、それらのプライマーを用いたPCR法による検出が可能となる。また、本領域を10塩基以上ハイブリダイズするように設計したプローブは、ケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列と特異的にハイブリダイズするため、ハイブリダイズの有無によりケトミウム・フニコラを検出することが可能となる。
本発明において、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドを用いて、下記(c)又は(d)の塩基配列で表される核酸(好ましくは、前記可変部位)の存在を確認することが好ましい。
(c)配列番号3に記載のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列又はその相補配列
(d)配列番号3に記載の塩基配列において1若しくは数個(好ましくは1〜25個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜15個、特に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個)の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつケトミウム・フニコラの検出に使用できる塩基配列、配列番号3に記載の塩基配列に対して70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、なお好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上)の相同性を有しかつケトミウム・フニコラの検出に使用できる塩基配列、又はこれらの相補配列
本発明の検出方法に用いる前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドは、配列番号1又は2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドが好ましい。また、本発明の検出方法に用いるオリゴヌクレオチドは、ケトミウム・フニコラの種レベルでの検出に使用できれば、配列番号1又は2に記載の塩基配列に対して70%以上の相同性を有する塩基配列又はその相補配列で表されるオリゴヌクレオチドであってもよく、相同性が80%以上であることがさらに好ましく、相同性が85%以上であることがさらに好ましく、相同性が90%以上であることがさらに好ましく、相同性が95%以上であることが特に好ましい。また、本発明で用いることができるオリゴヌクレオチドには、配列番号1又は2に記載の塩基配列において1又は数個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個、よりさらに好ましくは1又は2個、特に好ましくは1個の塩基の欠失、置換又は挿入されており、かつケトミウム・フニコラの種レベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチドも包含される。また、配列番号1又は2に記載の塩基配列に、適当な塩基配列を付加してもよい。本発明においては、本発明の方法により検出するケトミウム・フニコラと、ケトミウム・インディカムとを区別するために、ケトミウム・インディカムのβ−チューブリン遺伝子に本発明のオリゴヌクレオチドの3’末端側でハイブリダイズしないよう、本発明のオリゴヌクレオチドを設計するのが好ましい。
塩基配列の相同性については、Lipman-Pearson法(Science,1985,227,p.1435)等によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発製)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、パラメーターであるUnit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出することができる。
前記オリゴヌクレオチドの結合様式は、天然の核酸に存在するホスホジエステル結合だけでなく、例えばホスホロアミデート結合、ホスホロチオエート結合等であってもよい。
前記オリゴヌクレオチドは、例えばDNA自動合成機等を用いた化学合成等の通常の合成方法により調製することができる。また、ケトミウム・フニコラの遺伝子から制限酵素等を用いて直接切り出したり、また遺伝子をクローニングして単離精製した後、制限酵素などを用いて切り出して調製することも可能である。操作の容易さ、大量かつ安価に一定品質のオリゴヌクレオチドを得られる点から化学合成により調製するのが好ましい。
前記オリゴヌクレオチド対を用いてケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列で表される核酸の存在を確認し、ケトミウム・フニコラを種レベルで検出する方法として特に制限はなく、シークエンシング法、ハイブリダイゼンション法、PCR法、リアルタイムPCR法、LAMP法など通常用いられる遺伝子工学的手法で行うことができる。
本発明の検出用オリゴヌクレオチドは、核酸プローブ及び/又は核酸プライマーとして用いることができる。
核酸プローブは、前記オリゴヌクレオチドを標識物によって標識化することで調製することができる。前記標識物としては特に制限されず、放射性物質や酵素、蛍光物質、発光物質、抗原、ハプテン、酵素基質、不溶性担体などの通常の標識物を用いることができる。標識方法は、末端標識でも、配列の途中に標識してもよく、また、糖、リン酸基、塩基部分への標識であってもよい。かかる標識の検出手段としては、例えば核酸プローブが放射性同位元素で標識されている場合にはオートラジオグラフィー等、蛍光物質で標識されている場合には蛍光顕微鏡等、化学発光物質で標識されている場合には感光フィルムを用いた解析やCCDカメラを用いたデジタル解析等が挙げられる。このようにして標識化されたオリゴヌクレオチドを、通常の方法により検査対象物から抽出された核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズさせた後、ハイブリダイズした検出用オリゴヌクレオチドの標識を測定することでケトミウム・フニコラを種レベルで検出することができる。核酸とハイブリダイズした核酸プローブの標識を測定する方法としては、通常の方法(FISH法、ドットブロット法、サザンブロット法、ノーザンブロット法等)を用いることができる。
また、前記オリゴヌクレオチドは、固相担体に結合させて捕捉プローブとして用いることもできる。この場合、捕捉プローブと、標識核酸プローブの組み合わせでサンドイッチアッセイを行うこともできるし、標識を目示として標的核酸を捕捉することもできる。
本発明の検出方法において、ケトミウム・フニコラを種レベルで検出するために、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対を核酸プローブとして用いたハイブリダイゼーションを行うことが好ましい。
被検体中のケトミウム・フニコラを種レベルで検出するためには、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対を標識化して核酸プローブとし、得られた核酸プローブをDNA又はRNAとハイブリダイズさせ、ハイブリダイズしたプローブの標識を適当な検出方法により検出すればよい。上記核酸プローブはケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列中の可変部位と特異的にハイブリダイズするので、被検体中のケトミウム・フニコラを迅速かつ正確に種レベルで検出することができる。DNA又はRNAとハイブリダイズした核酸プローブの標識を測定する方法としては、通常の方法(FISH法、ドットブロット法、サザンブロット法、ノーザンブロット法等)を用いることができる。
本発明の検出方法において、ケトミウム・フニコラの検出を行うため、前記オリゴヌクレオチド対を用いてケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認することが好ましい。DNA断片を増幅する方法として特に制限はなく、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法、リアルタイムPCR法、LCR(Ligase Chain Reaction)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法、NASBA(Nucleic Acid Sequence-based Amplification)法、RCA(Rolling-circle amplification)法、LAMP(Loop mediated isothermal amplification)法など通常の方法を用いることができる。本発明においては、PCR法を用いるのが好ましい。
本発明において、PCR法により増幅反応を行いケトミウム・フニコラの検出を行う場合について詳しく説明する。しかし、本発明はこれらに制限するものではない。
本発明において、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチド(好ましくは、配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド及び配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド)からなるオリゴヌクレオチド対を核酸プライマーとして用いてPCRを行い、ケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列(好ましくは、前記(c)及び(d)の塩基配列のいずれか)で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認し、ケトミウム・フニコラの種レベルでの検出を行うのが好ましい。ここで、本発明における「ケトミウム・フニコラ」は、分類学上の分類に関わらず、配列番号3に記載のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列を有するものの他、配列番号3に記載の塩基配列との相同性が70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上)の塩基配列、又は、配列番号3に記載の塩基配列において1若しくは数個(好ましくは1〜25個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜15個、特に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個)の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されている塩基配列、をβ−チューブリン遺伝子に含むものも包含する。なお、塩基配列の相同性については、Lipman-Pearson法(Science,1985,227,p.1435)等によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発製)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、パラメーターであるUnit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出することができる。
前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドは、PCRによって前記(c)又は(d)の塩基配列で表される核酸又はその一部を増幅でき、ケトミウム・フニコラを種レベルで迅速かつ正確に検出するための核酸プライマーとして機能し得る。したがって、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対をケトミウム・フニコラ検出用オリゴヌクレオチド対とすることができる。
PCRの条件は、目的のDNA断片を検出可能な程度に増幅することができれば特に制限されない。
例えば、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対を核酸プライマーとして用いてPCRを行う場合、好ましいPCR条件としては、2本鎖DNAを1本鎖にする熱変性反応を95℃以上98℃以下で5秒以上60秒以下行い、プライマー対を1本鎖DNAにハイブリダイズさせるアニーリング反応を59℃以上(好ましくは61℃以上)65℃以下(好ましくは63℃以下)で5秒以上(好ましくは10秒以上)120秒以下(好ましくは60秒以下)行い、DNAポリメラーゼを作用させる伸長反応を約72℃で10秒以上60秒以下行い、これらを1サイクルとしたものを30サイクル以上35サイクル以下行う。
本発明において、遺伝子断片の確認は通常の方法で行うことができる。例えば増幅産物について電気泳動を行い増幅した遺伝子の大きさに対応するバンドの有無を確認する方法、増幅産物量を経時的に計測する方法、増幅産物の塩基配列を解読する方法等が挙げられるが、本発明はこれらの方法に限定されるものではない。本発明においては、遺伝子増幅処理後に電気泳動を行い、増幅した遺伝子の大きさに対応するバンドの有無を確認する方法が好ましい。また、本発明において、増幅産物の検出は通常の方法で行うことができる。例えば増幅反応時に放射性物質などで標識されたヌクレオチドを取り込ませる方法、蛍光物質などで標識されたプライマーを用いる方法、増幅したDNA2本鎖の間にエチジウムブロマイドなどのDNAと結合することにより蛍光強度が強くなる蛍光物質を入れ込む方法等が挙げられるが、本発明はこれらの方法に限定されるものではない。本発明においては、増幅したDNA2本鎖の間にDNAと結合することにより蛍光強度が強くなる蛍光物質を入り込ませる方法が好ましい。
検体に検出対象真菌が含まれる場合、本発明のオリゴヌクレオチド対をプライマーセットとして使用してPCRを行い、得られたPCR産物について電気泳動を行うと、特定のサイズでDNA断片が確認される。具体的には、検体にケトミウム・フニコラが含まれる場合、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対を核酸プライマーとして用いて得られたPCR産物の電気泳動を行うと、約300bpのサイズでDNA断片が確認される。このような操作を行うことにより、検体に検出対象真菌が含まれているかを確認することができる。
本発明において、前記オリゴヌクレオチド対を用いて被検体のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列を決定し、該部分塩基配列が前記(c)及び(d)の塩基配列のいずれかに含まれるか否かを確認することで、前記(c)及び(d)の塩基配列のいずれかで表される核酸の存在を確認しケトミウム・フニコラを種レベルで検出することもできる。すなわち、本発明の検出方法は、被検体の有するβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列を解析・決定し、決定した塩基配列と前記(c)及び(d)の塩基配列のいずれかとを比較し、その一致又は相違に基づいて前記(c)及び(d)の塩基配列のいずれかで表される核酸の存在を確認しケトミウム・フニコラの種レベルの検出を行うものである。例えば、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対をプライマーとして用いてPCRを行い前記(c)及び(d)の塩基配列のいずれかで表される核酸の一部を増幅して増幅産物の有無を確認し、得られる増幅産物の塩基配列と前記(c)及び(d)の塩基配列のいずれかとを比較し、前記(c)及び(d)の塩基配列のいずれかで表される核酸の存在を確認する。増幅産物の塩基配列が、前記(c)又は(d)の塩基配列で表される核酸の一部として含まれていれば検体に含まれる微生物をケトミウム・フニコラと同定することができる。このようにして、ケトミウム・フニコラを種レベルで迅速かつ正確に検出することができる。
塩基配列を解析・決定する方法としては特に限定されず、通常行われているRNA又はDNAシークエンシングの手法を用いることができる。
具体的には、マクサム−ギルバート法、サンガー法等の電気泳動法、質量分析法、ハイブリダイゼーション法等が挙げられる。サンガー法においては、放射線標識法、蛍光標識法等により、プライマー又は、ターミネーターを標識する方法が挙げられる。
本発明において、増幅反応に用いられるプライマーは、設計した配列を基にして化学合成したり、試薬メーカーから購入することができる。具体的には、オリゴヌクレオチド合成装置等を用いて合成することができる。また、合成後、吸着カラム、高速液体クロマトグラフィーや電気泳動法を用いて精製したものを用いることもできる。また、1ないし数個の塩基が置換、欠失、挿入若しくは付加された塩基配列を有するオリゴヌクレオチドについても、通常の方法を使用して合成できる。
本発明において使用される検体としては特に制限はなく、飲食品自体、飲食品の原材料、単離菌体、培養菌体、飲食品又はその原材料の包装容器等を用いることができる。
検体からゲノムDNAを調製する方法としては、ケトミウム・フニコラの検出を行うのに未精製の状態でも十分な精製度及び量のDNAが得られるのであれば特に制限されず、さらに分離、抽出、濃縮、精製等の前処理をして使用することもできる。例えば、フェノール及びクロロホルムで処理したり、市販の抽出キットを用いて精製して、核酸の純度を高めて使用することができる。また、被検体中のRNAを逆転写して得られるDNAを用いることもできる。
本発明のケトミウム・フニコラ検出キットは、前記本発明のオリゴヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド対を核酸プローブ又は核酸プライマーとして含有するものである。本発明のキットは、前記核酸プローブ及び核酸プライマーの他に、目的に応じ、標識検出物質、緩衝液、核酸合成酵素(DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素等)、酵素基質(dNTP,rNTP等)等、菌類の検出に通常用いられる物質を含有する。本発明のキットには、本発明のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対によって検出が可能であることを確認するための陽性対照(ポジティブコントロール)を含んでいてもよい。陽性対照としては、例えば、本発明の方法により増幅される領域を含んだゲノムDNAが挙げられる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下のケトミウム・フニコラの検出方法、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対、ケトミウム・フニコラ検出キット、使用並びに方法を開示する。
<1>下記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対を用いてケトミウム・フニコラの種レベルでの検出を行う、ケトミウム・フニコラの検出方法。
(a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に記載の塩基配列において1若しくは数個(好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個、よりさらに好ましくは1又は2個、特に好ましくは1個)の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつケトミウム・フニコラの検出に使用できるオリゴヌクレオチド、若しくは配列番号1に記載の塩基配列との相同性が70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上)でありかつケトミウム・フニコラの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
(b)配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に記載の塩基配列において1若しくは数個(好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個、よりさらに好ましくは1又は2個、特に好ましくは1個)の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつケトミウム・フニコラの検出に使用できるオリゴヌクレオチド、若しくは配列番号2に記載の塩基配列との相同性が70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上)でありかつケトミウム・フニコラの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
<2>検出を行うために、前記オリゴヌクレオチド対を用いてケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認し、ケトミウム・フニコラの種レベルでの検出を行う、前記<1>項記載の検出方法。
<3>前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対を核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応法を行い、ケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認し、ケトミウム・フニコラの種レベルでの検出を行う、前記<2>項記載の検出方法。
<4>前記ケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列が下記(c)又は(d)の塩基配列である、前記<1>〜<3>のいずれか1項記載の検出方法。
(c)配列番号3に記載のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列又はその相補配列
(d)配列番号3に記載の塩基配列において1若しくは数個(好ましくは1〜25個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜15個、特に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個)の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつケトミウム・フニコラの検出に使用できる塩基配列、配列番号3に記載の塩基配列に対して70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、なお好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上)の相同性を有しかつケトミウム・フニコラの検出に使用できる塩基配列、又はこれらの相補配列
<5>前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなる群より選ばれるオリゴヌクレオチド、又は前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対。
<6>前記オリゴヌクレオチドが核酸プローブ又は核酸プライマーである、前記<5>項記載のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対。
<7>前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドがそれぞれ、前記(c)及び/又は(d)の塩基配列で表される核酸にハイブリダイズすることができ、ケトミウム・フニコラを検出するための核酸プローブ又は核酸プライマーとして機能し得る、前記<5>又は<6>項記載のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対。
<8>前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドが、ポリメラーゼ連鎖反応法によって前記(c)及び/又は(d)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、ケトミウム・フニコラを検出するための核酸プライマーとして機能し得るものである、前記<7>項記載のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対。
<9>前記<5>〜<8>のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対を含むケトミウム・フニコラ検出キット。
<10>ケトミウム・フニコラ検出用核酸プライマーとしての、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドの使用。
<11>ケトミウム・フニコラ検出用核酸プライマーの製造のための、前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドの使用。
<12>前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドをケトミウム・フニコラ検出用核酸プライマーとして使用する方法。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
試験例1 ケトミウム属に属する菌類の分子系統樹の作成
下記の方法により、ケトミウム属に属する菌類各種(ケトミウム・フニコラ、ケトミウム・グロボーサム(Chaetomium globosum)、ケトミウム・クルエンタム(Chaetomium cruentum)、ケトミウム・アンデュラチュラム(Chaetomium undulatulum)、ケトミウム・スバフィン(Chaetomium subaffine)、ケトミウム・レクタングラー(Chaetomium rectangulare)、ケトミウム・エラタム(Chaetomium elatum)、ケトミウム・インターラプタム(Chaetomium interruptum)、ケトミウム・メガロカルパム(Chaetomium megalocarpum)、ケトミウム・グランデ(Chaetomium grande)、ケトミウム・インディカム、ケトミウム・クリスパタム(Chaetomium crispatum)、ケトミウム・トランカチュラム(Chaetomium truncatulum)、ケトミウム・カリンチアカム(Chaetomium carinthiacum)、ケトミウム・アトロブランネウム(Chaetomium atrobrunneum)及びケトミウム・ムロラム(Chaetomium murorum))のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列を決定した。
ポテトデキストロース寒天培地(PDA培地、Difco社製)を用いて、The Centraalbureau voor Schimmelculturesが保管しCBSナンバーにより管理されている株、及びThe CABI Bioscience Fungal Reference Collectionが保管しIMIナンバーにより管理されている株を適温(25〜37℃)で2〜5日間暗所培養を行った。
培養後の菌体1白金耳量をPrepman UltraReagent(商品名、Applied Biosystems社製)を使用し、マニュアルに準じた操作手順でDNAを抽出した。抽出したDNA溶液のDNA濃度はNanoDrop(商品名、エル・エム・エス社製)を用いて測定し、ultra PURE Distilled Water(商品名、インビトロジェン社製)を用いて5ng/μLとなるように希釈調製した。
各菌種のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列をDNA data bank of Japan(DDBJ:http://www.ddbj.nig.ac.jp/Welcome-j.html)のARSA検索、及びBt2aプライマー(5’-aataggtgccgctttctgg-3’:配列番号4)とBt2bプライマー(5’-agttgtcgggacggaagag-3’:配列番号5)(Glass and Donaldson,Appl Environ Microbiol 61:1323−1330,1995)を用いたPCR(変性温度95℃1分、アニーリング温度55℃1分、伸長温度72℃1分の35サイクル)で得られたPCR産物の解析により得た。PCR産物は、BigDye terminator Ver.1.1(商品名、Applied Biosystems社製)を使用してラベル化し、ABI PRISM 3130 Genetic Analyzer(Applied Biosystems社製)で電気泳動を実施した。電気泳動時の蛍光シグナルからの塩基配列の決定には、ソフトウェア‘ATGC Ver.4’(Genetyx社製)を使用した。
得られた塩基配列をClustal W(http://clustalw.ddbj.nig.ac.jp/top-j.html)を使用してアライメント解析を行い、ソフトウェアNJPLOTを用いて近隣結合法による解析を行い、分子系統樹を作成した。作成した分子系統樹を図1に示す。
図1に示すように、ケトミウム・フニコラが存在するクレイド(C. indicum clade)にはケトミウム・フニコラ以外にもケトミウム・インディカムが含まれることが明らかとなった(Asgari B,Zare R.,The genus Chaetomium in Iran,a phylogenic study including six new species.,Mycologia,2011,vol.103(4),p.863-882参照)。
ケトミウム・フニコラとケトミウム・インディカムとでは子のう胞子の形態に違いは認められないが、頂毛(子のう殻孔口周辺の付属糸)の形態に大きな違いが認められる。具体的には、ケトミウム・フニコラは頂毛が部分的に剛毛もしくは枝分しているのに対してケトミウム・インディカムは頂毛が全て枝分している。さらには、β−チューブリン遺伝子の塩基配列の比較から分子系統的に別種と考えることが妥当である。従って、食品分野では事故事例報告のあるケトミウム・フニコラを選択的に検出することがより好ましい。
試験例2 ケトミウム・フニコラに特異的なβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列の解析
上記の方法により決定したケトミウム属真菌各種や、各種菌類の公知のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列情報をもとに、Clustal W(http://clustalw.ddbj.nig.ac.jp/top-j.html)を用いてアライメント解析を行い、ケトミウム・フニコラに特異的な塩基配列(Cfu_F2:agttgtagccgaaacaaggacgtgt(配列番号1)、Cfu_R2:ttgccggaggcctgaagtaggg(配列番号2))を決定した。
実施例
(1)プライマーの設計
上記で決定したケトミウム・フニコラに特異的な塩基配列部位をもとに、配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(Cfu_F2プライマー)及び配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(Cfu_R2プライマー)を設計し、シグマアルドリッチジャパン社に合成依頼し(脱塩精製品、0.02μmolスケール)、購入した。
(2)検体の調製
設計したプライマーの有効性の評価に用いる菌類、すなわちケトミウム・フニコラとその他のケトミウム属菌類、及び飲食品での事故事例で報告されている真菌等としては、表1〜4に記載した菌株を使用した。これらの菌株に関しては、独立行政法人製品評価技術基盤機構が保管しNBRCナンバーにより管理されている株、The Centraalbureau voor Schimmelculturesが保管しCBSナンバーにより管理されている株、千葉大学真菌医学研究センターが保管しIFMナンバーにより管理されている株、千葉県立中央博物館が保管しCBM-FAナンバーにより管理されている株、独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンターが保管しIAMナンバーにより管理されている株、財団法人発酵研究所が管理しIFOナンバーで管理されている株、及び国立医薬品食品衛生研究所が保管しNIHSナンバーにより管理されている株を入手し、使用した。
各菌株を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて各菌の至適温度で7日間培養した。
培養した各菌体を白金耳を用いて回収し、ゲノムDNA調製用キット(アプライドバイオシステムズ社製PrepMan ultra(商品名))を用いて、ゲノムDNA溶液を調製した。DNA溶液の濃度は5ng/μLに調製した。
(3)ケトミウム・フニコラの検出
DNAテンプレートとして上記で調製したゲノムDNA溶液1μL、Pre Mix Taq(商品名、タカラバイオ社製)13μL及び無菌蒸留水10μLを混合し、Cfu_F2プライマー(20pmol/μL)0.5μL及びCfu_R2プライマー(20pmol/μL)0.5μLを加え、25μLのPCR溶液を調製した。
PCR溶液について、自動遺伝子増幅装置サーマルサイクラーDICE(タカラバイオ)を用いて遺伝子増幅処理を行った。PCR条件は、97℃、10分間の処理後、(i)97℃、1分間の熱変性反応、(ii)61℃、1分間のアニーリング反応、及び(iii)72℃、1分間の伸長反応を1サイクルとしたものを35サイクル行い、反応液を72℃で10分間保持した。
PCR後、PCR溶液から2μLを分取してローディングバッファー(Nucleic Acid sample loading buffer 5×(BIO RAD社製))0.5μLと十分に混和し、2%アガロースゲルを用いて電気泳動(135V、25分間)を行った。電気泳動終了後、アガロースゲルをSYBR Safe DNA gel stain in 1×TAE(インビトロジェン)でDNAを染色後、増幅されたDNA断片の有無を確認した。その結果を図3〜6に示す。図中の番号は表記載の対応する試料番号の試料から抽出したDNAを用いて反応を行ったサンプルであることを示している。なお、図3は表1に示す菌類の試料についての電気泳動図を示し、図4は表2に示す菌類の試料についての電気泳動図を示し、図5は表3に示す菌類の試料についての電気泳動図を示し、図6は表4に示す菌類の試料についての電気泳動図を示す。なお、分子量マーカーとして、EZ Load 100bp molecular Ruler(商品名、BIO RAD社製)を用いた。
その結果、ケトミウム・フニコラのゲノムDNAを含む試料では、約300bpのサイズで遺伝子断片が確認された。一方、ケトミウム・フニコラ以外のケトミウム属及び、その他食品の製造環境から広く検出される菌類のゲノムDNAを含む試料では、遺伝子断片は確認されなかった。したがって、本発明によれば、ケトミウム・フニコラを種レベルで特異的に検出することができる。
上記の結果から、本発明のオリゴヌクレオチドを用いることによって、ケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列の存在を確認することができ、ケトミウム・フニコラを種レベルで特異的に検出できることがわかる。したがって、本発明の方法によれば、従来の方法と比較して、種レベルでより迅速かつより正確にケトミウム・フニコラを検出することが可能である。

Claims (9)

  1. 下記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対を用いてケトミウム・フニコラ(Chaetomium funicola)の種レベルでの検出を行う、ケトミウム・フニコラの検出方法。
    (a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつケトミウム・フニコラの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (b)配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつケトミウム・フニコラの検出に使用できるオリゴヌクレオチド
  2. 検出を行うために、前記オリゴヌクレオチド対を用いてケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認し、ケトミウム・フニコラの種レベルでの検出を行う、請求項1記載の検出方法。
  3. 前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対を核酸プライマーとして用いてポリメラーゼ連鎖反応法を行い、ケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認し、ケトミウム・フニコラの種レベルでの検出を行う、請求項2記載の検出方法。
  4. 前記ケトミウム・フニコラのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列が下記(c)又は(d)の塩基配列である、請求項1〜3のいずれか1項記載の検出方法。
    (c)配列番号3に記載のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列又はその相補配列
    (d)配列番号3に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつケトミウム・フニコラの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
  5. 記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対。
    (a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつケトミウム・フニコラ(Chaetomium funicola)の検出に使用できるオリゴヌクレオチド
    (b)配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に記載の塩基配列において1個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつケトミウム・フニコラ(Chaetomium funicola)の検出に使用できるオリゴヌクレオチド
  6. 前記オリゴヌクレオチドが核酸プライマーである、請求項5記載のオリゴヌクレオチド対。
  7. 前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドがそれぞれ、下記(c)及び/又は(d)の塩基配列で表される核酸にハイブリダイズすることができ、ケトミウム・フニコラを検出するための核酸プライマーとして機能し得る、請求項5又は6記載のオリゴヌクレオチド対。
    (c)配列番号3に記載のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列又はその相補配列
    (d)配列番号3に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつケトミウム・フニコラの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列
  8. 前記(a)及び(b)のオリゴヌクレオチドが、ポリメラーゼ連鎖反応法によって前記(c)及び/又は(d)の塩基配列で表される核酸の一部を増幅でき、ケトミウム・フニコラを検出するための核酸プライマーとして機能し得るものである、請求項7記載のオリゴヌクレオチド対。
  9. 請求項5〜8のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチド対を含むケトミウム・フニコラ(Chaetomium funicola)検出キット。
JP2012156860A 2012-07-12 2012-07-12 ケトミウム・フニコラの検出方法 Active JP5934043B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012156860A JP5934043B2 (ja) 2012-07-12 2012-07-12 ケトミウム・フニコラの検出方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012156860A JP5934043B2 (ja) 2012-07-12 2012-07-12 ケトミウム・フニコラの検出方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2014018091A JP2014018091A (ja) 2014-02-03
JP2014018091A5 JP2014018091A5 (ja) 2015-07-30
JP5934043B2 true JP5934043B2 (ja) 2016-06-15

Family

ID=50193697

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012156860A Active JP5934043B2 (ja) 2012-07-12 2012-07-12 ケトミウム・フニコラの検出方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5934043B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5548345B2 (ja) * 2008-05-29 2014-07-16 花王株式会社 耐熱性菌類の検出方法
JP5548357B2 (ja) * 2008-11-11 2014-07-16 花王株式会社 アスペルギルスフミガタス(Aspergillusfumigatus)類縁菌の検出方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014018091A (ja) 2014-02-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2009145279A1 (ja) 耐熱性菌類の検出方法
KR20140007575A (ko) 십자화과 흑부병원균의 검출용 프라이머 세트 및 이를 이용한 검출 방법
JP5934038B2 (ja) サーモアスカス属真菌の検出方法
JP5654265B2 (ja) ビソクラミス属に属する菌類の検出方法
JP6200133B2 (ja) ケトミウム・グロボーサム関連種群の検出方法
JP5562007B2 (ja) ゲオスミチア(Geosmithia)属に属する菌類の検出方法
JP5548388B2 (ja) ネオサルトリア属に属する菌類及びアスペルギルスフミガタスの検出方法
JP5956389B2 (ja) 耐熱性ペニシリウム属真菌の検出方法
JP5956265B2 (ja) ケトミウム・グロボーサム・クレードの検出方法
JP5548387B2 (ja) タラロマイセス属に属する菌類の検出方法
JP5934043B2 (ja) ケトミウム・フニコラの検出方法
JP5548389B2 (ja) ビソクラミス属に属する菌類の検出方法
JP5912425B2 (ja) タラロマイセス属真菌の検出方法
JP5873356B2 (ja) モニリエラ属真菌の検出方法
JP5548385B2 (ja) 耐熱性菌類の検出方法
JP6200134B2 (ja) ケトミウム・インディカム・クレードの検出方法
JP5697881B2 (ja) パエシロマイセスサトゥラタス及びパエシロマイセスディバリカタスの検出方法
JP5548357B2 (ja) アスペルギルスフミガタス(Aspergillusfumigatus)類縁菌の検出方法
JP5548386B2 (ja) ハミゲラ属に属する菌類及びクラドスポリウム属に属する菌類の検出方法
JP5820658B2 (ja) ネオサルトリア属真菌の検出方法
JP5799139B2 (ja) パエシロマイセスサトゥラタス及びパエシロマイセスディバリカタスの検出方法
JP2015195774A (ja) アスペルギルス・オクラセウス及びアスペルギルス・ウェスタジキアエの検出方法
JP2015195773A (ja) アスペルギルス・カーボナリウスの検出方法
JP5764619B2 (ja) アスペルギルス・フミガタス(Aspergillusfumigatus)類縁菌の検出方法
Harrison Species-specific PCR primers for the rapid and reliable identification of yeast species

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20150511

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20150610

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150610

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150610

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151222

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20160222

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160412

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160506

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5934043

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250