JP2015195773A - アスペルギルス・カーボナリウスの検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで迅速かつ正確に検出する方法の提供。
【解決手段】下記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)からなるオリゴヌクレオチド対を用いてアスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで検出する、アスペルギルス・カーボナリウスの検出方法。(a)特定の配列の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又はその塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつアスペルギルス・カーボナリウスの検出に使用できるオリゴヌクレオチド。(b)(a)とは別の特定の配列の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又はその塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつアスペルギルス・カーボナリウスの検出に使用できるオリゴヌクレオチド。
【選択図】なし

Description

本発明は、アスペルギルス・カーボナリウス(Aspergillus carbonarius)の検出方法に関する。
カビの二次代謝産物で動物やヒトに毒性を示すものを真菌毒と呼ぶ。また、カビが食品や飼料上で繁殖して毒素を生産し、その食品や飼料を摂取することにより毒素が生体に入り障害を引き起こしたり、その可能性を持つ場合、その毒素をマイコトキシンと呼ぶ。
オクラトキシンAはマイコトキシンの1種である。オクラトキシンAが動物やヒトの生体内に入ると、肝臓及び腎臓に強い毒性を示すことが知られている。したがって、農産物におけるオクラトキシンAによる汚染実態の解明は、食品衛生上重要な課題の1つである。
オクラトキシンAを産生し、飲食品事故の原因菌として報告されている菌類として、アスペルギルス(Aspergillus)属に属する多くの菌種が挙げられる。例えば、生コーヒー豆からは30〜50%の割合で菌類が検出される。そして、検出される菌類には、オクラトキシンAを産生する菌種が含まれることが知られている。このうち、生コーヒー豆から検出され、オクラトキシンAによる飲食品事故の原因菌として報告されているアスペルギルス属に属する菌種として、アスペルギルス・カーボナリウスが知られている。
したがって、食品衛生上の観点から、アスペルギルス・カーボナリウスの迅速かつ正確な検出が極めて重要である。
アスペルギルス・カーボナリウスの検出方法、及び他の種との識別方法は、培養を用いた形態学的な種分類が主となっている。この方法は形態学的な特徴が確認できるまで培養を続ける必要があるため、最短でも14日以上の長期間を必要とする。また、形態学的な同定には極めて高い専門性を必要とするため、判定者によって同定結果が異なる危険性が否定できない。さらには加熱や薬剤などによる損傷菌体等は形態形成能を失うケースが存在し、それら菌体は長期間培養を行っても特徴的な形態を形成しないことから、検出・識別結果の正確性に問題があった。
このようにアスペルギルス・カーボナリウスの検出に長期間を要し、さらには他の種との識別結果の正確性に問題がある形態学的な同定方法は、飲食品の衛生管理、原材料の鮮度確保、流通上の制約など観点から、必ずしも満足できるとは言いがたい。従って、こうした従来の迅速性と正確性の問題を解決した検出方法の確立が求められてきた。
このような要求に対して、遺伝子工学的手法を採用し、アスペルギルス・カーボナリウスを迅速かつ正確に検出する方法が提案されている。例えば、非特許文献1〜4には、アスペルギルス・カーボナリウスのゲノムDNA中のカルモジュリン遺伝子や内部転写スペーサー領域の特定部位を増幅することにより、アスペルギルス・カーボナリウスを検出する方法が記載されている。
G.Mule et al.,International Journal of Food Microbiology(2006),vol.111,p.S28-S34 Amaia Gonza lez-Salgado1 et al.,FEMS Microbiol Lett.(2009),vol.295,p.57-66 Maria Helena Pelegrinelli Fungaro et al.,CURRENT MICROBIOLOGY(2004),vol.49,p.123-127 Belen Patinoa et al.,International Journal of Food Microbiology(2005),vol.104,p.207-214
非特許文献1〜4記載の発明は、アスペルギルス・カーボナリウスと、アスペルギルス・カーボナリウスとは分類学的に遠縁として位置づけられるアスペルギルス属に属する菌類とを区別し、アスペルギルス・カーボナリウスを検出する方法である。すなわち、非特許文献1〜4記載には、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)やアスペルギルス・ツビンジェンシス(Aspergillus tubingensis)などアスペルギルス・カーボナリウスとは遠縁として位置づけれられる菌種とは区別して、アスペルギルス・カーボナリウスを検出することが記載されている。しかし、アスペルギルス・ブラジリエンシス(Aspergillus brasiliensis)、アスペルギルス・イベリカス(Aspergillus ibericus)、アスペルギルス・スクレロチオニガー(Aspergillus sclerotioniger)、アスペルギルス・ヘテロモルファス(Aspergillus heteromorphus)など、アスペルギルス・カーボナリウスと極めて近縁の菌種と区別してアスペルギルス・カーボナリウスを検出することについては、非特許文献1〜4に記載の技術はまだ満足できるものではなかった。
さらに、アスペルギルス・カーボナリウスを始めとするアスペルギルス属に属する菌類は、菌種によりオクラトキシンAの産生能が異なる。すなわち、アスペルギルス属に属する菌類は、菌種により毒性が大きく異なる。したがって、飲食品業界などにおいて、アスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで迅速かつ正確に検出することが必要となる。
本発明は、飲食品業界などにおいて問題となるアスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで迅速かつ正確に検出する方法の提供を課題とする。また、本発明は、分類学上アスペルギルス・カーボナリウスの近縁種とされる菌種と区別してアスペルギルス・カーボナリウスを検出する、アスペルギルス・カーボナリウスの検出方法の提供を課題とする。また、本発明は、擬陽性の結果を生じさせることなく、高精度でのアスペルギルス・カーボナリウスの検出が可能な、アスペルギルス・カーボナリウスの検出方法の提供を課題とする。さらに、本発明は、これらの方法に適用可能なオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド対及び検出キットを提供することを課題とする。
上述のように、アスペルギルス・カーボナリウスとアスペルギルス・カーボナリウスの近縁種とを区別し、アスペルギルス・カーボナリウスの種レベルで検出する方法が報告されていない一因として、アスペルギルス・カーボナリウスの遺伝子のデータベースが現在のところ脆弱であることが挙げられる。そして、アスペルギルス・カーボナリウスの種レベルで保存されている遺伝子領域が正確に解析されていないために、アスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで迅速かつ正確に検出するための高感度のオリゴヌクレオチドの設計等が困難となっていることなどが原因であると考えられる。
このような課題に鑑み、本発明者等は、アスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで迅速かつ正確に検出しうる新たなDNA領域を探索すべく、鋭意検討を行った。具体的には、本発明者らは、アスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の塩基配列に基づく分子系統分類学的手法を用いて、鋭意検討を行った。その結果、アスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の中に、他の菌類のものとは明確に区別しうる、特異的な塩基配列を有する部位(以下、「可変部位」ともいう)が存在することを見出した。また、これらの可変部位をターゲットとすることでアスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで迅速かつ正確に検出できることを見出した。さらに、これらの可変部位をターゲットとすることで、アスペルギルス・カーボナリウスの近縁種とされる菌種に対し、アスペルギルス・カーボナリウスを区別して検出できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成するに至った。
本発明は、下記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)からなるオリゴヌクレオチド対を用いてアスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで検出する、アスペルギルス・カーボナリウスの検出方法に関する。
(a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつアスペルギルス・カーボナリウスの検出に使用できるオリゴヌクレオチド。
(b)配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつアスペルギルス・カーボナリウスの検出に使用できるオリゴヌクレオチド。
また、本発明は、前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)からなる群より選ばれるオリゴヌクレオチド、又は前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)からなるオリゴヌクレオチド対に関する。
また、本発明は、前記オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対を含むアスペルギルス・カーボナリウス検出キットに関する。
本発明の検出方法は、飲食品の汚染原因菌の1種である上記のアスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで迅速かつ正確に検出することができる。また、本発明の検出方法は、分類学上アスペルギルス・カーボナリウスの近縁種とされる菌種と区別して、アスペルギルス・カーボナリウスを検出することができる。また、本発明の検出方法は、擬陽性の結果を生じさせることなく、高精度でアスペルギルス・カーボナリウスを検出することができる。さらに、本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド対及び検出キットは、これらの方法に好適に適用することができる。
アスペルギルス属菌類のカルモジュリン遺伝子の塩基配列に基づいて作成した、アスペルギルス属菌類の分子系統樹を示す図である。 実施例における、前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)を用いて増幅したポリメラーゼ連鎖反応(以下、単に「PCR」ともいう)産物の電気泳動図である。 実施例における、前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)を用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。 実施例における、前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)を用いて増幅したPCR産物の電気泳動図である。
本発明の検出方法は、アスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の特定の部分塩基配列、すなわち本領域に存在するアスペルギルス・カーボナリウスに特異的な塩基配列部位(可変部位)にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチド対を用いてアスペルギルス・カーボナリウスの検出を行い、アスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで迅速かつ正確に検出する方法である。ここで、「可変部位」とは、カルモジュリン遺伝子の塩基配列中で塩基変異が蓄積しやすい部位であり、この部位の塩基配列は他菌種との間で大きく異なる。
本発明における「アスペルギルス・カーボナリウス」とは、アスペルギルス属に分類される不完全菌類の1種である。アスペルギルス・カーボナリウスは、アスペルギルス・ニガーと同様、黒色の子嚢胞子を形成する。しかし、アスペルギルス・カーボナリウスは、アスペルギルス・ニガーよりもより大きい子嚢胞子を形成する。なお、アスペルギルス・カーボナリウスが形成する子嚢胞子の耐熱性は低い。
また、アスペルギルス・カーボナリウスはぶどう、ワイン、生コーヒー豆などの飲食品に対する危害菌として知られている。
本明細書において、「カルモジュリン」とは真核生物に広く分布するカルシウム結合タンパク質の1種である。生体内においてカルシウムがカルモジュリンに結合することにより、カルモジュリンキナーゼ、カルシニューリン等の酵素の活性が制御される。また、本明細書において「カルモジュリン遺伝子」とは、カルモジュリンをコードする遺伝子である。
本明細書における「種」とは、アスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の塩基配列について分子系統分類学的手法を用いて作成した分子系統樹に基づいて分類した菌種群を意味する。
前記分子系統樹の作成方法としては特に制限はなく、通常の方法により作成することができる。例えば、近隣結合法(neighbor-joining method)、最大節約法(Maximum parsimony)、最尤法(Maximum likelihood estimation)、ベイズ法、非加重結合法(Unweighted Pair Group Method with Arithmetic mean)等を用いて作成することができる。本発明においては、近隣結合法を用いて分子系統樹を作成することが好ましい。
本明細書において、「ストリンジェントな条件」としては、例えばMolecular Cloning−A LABORATORY MANUAL THIRD EDITION[Joseph Sambrook,David W.Russell.,Cold Spring Harbor Laboratory Press]記載の方法が挙げられ、例えば、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M塩化ナトリウム、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5%SDS、5×デンハート及び100mg/mLニシン精子DNAを含む溶液にプローブとともに65℃で8〜16時間恒温し、ハイブリダイズさせる条件が挙げられる。
本発明の検出方法は、アスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の塩基配列中の可変部位に対応する核酸で表されるオリゴヌクレオチド対を用いることを特徴とする。
本発明者等は、アスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の塩基配列を決定し、種間での遺伝的距離と塩基配列の相同性の解析を行った。すなわち、シークエンシング法によりアスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の塩基配列を決定し、アライメント解析により一致する塩基領域の検討を行った。その結果、カルモジュリン遺伝子の塩基配列中に同一種内では保存性が高いが異なる種間で塩基配列の保存性が低く、種によって固有の塩基配列を有する可変部位を見い出した。この可変部位においてアスペルギルス・カーボナリウスは種固有の塩基配列を有している。そのため、当該領域はアスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで迅速かつ正確に検出するための遺伝学的な指標として有用である。
本発明の検出方法は、下記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)からなるオリゴヌクレオチド対を用いる。

(a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつアスペルギルス・カーボナリウスの検出に使用できるオリゴヌクレオチド。
(b)配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつアスペルギルス・カーボナリウスの検出に使用できるオリゴヌクレオチド。

前記オリゴヌクレオチド対を使用してアスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで検出し、同定することにより、アスペルギルス・カーボナリウスの特異的な検出が可能となる。また、前記オリゴヌクレオチド対を使用することで、アスペルギルス・カーボナリウスの近縁種とされる菌種と区別して、アスペルギルス・カーボナリウスの検出が可能となる。さらに、前記オリゴヌクレオチド対を使用することで、擬陽性の結果を生じさせることなくアスペルギルス・カーボナリウスの検出が可能となる。
アスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の塩基配列中の可変部位を配列番号3に記載の塩基配列に基づき説明する。なお、配列番号3に記載の塩基配列は、アスペルギルス・カーボナリウスCBS556.65T株のカルモジュリン遺伝子の部分塩基配列を示す。
前記オリゴヌクレオチド(a)(本明細書において、「A_carb_F」ともいう)及び前記オリゴヌクレオチド(b)(本明細書において、「A_carb_R」ともいう)はそれぞれ、配列番号3に記載の塩基配列のうち40位〜66位までの領域及び354位〜376位までの領域にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドである。これらの領域は種間での塩基配列の保存性が低い可変領域であり、これらの領域の塩基配列はアスペルギルス・カーボナリウスが固有に有する塩基配列であることを本発明者らが見出した。
したがって、前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)を用いて、アスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで迅速かつ正確に検出することができる。具体的には、本領域にポリメラーゼによるDNAの伸長方向であるプライマーの3’末端5塩基以上がハイブリダイズするように設計すればアスペルギルス・カーボナリウスに特異的なプライマーとして用いることが可能であり、それらのプライマーを用いたPCR法による検出が可能となる。また、本領域を10塩基以上ハイブリダイズするように設計したプローブは、アスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の塩基配列と特異的にハイブリダイズするため、ハイブリダイズの有無を確認することによりアスペルギルス・カーボナリウスを検出することが可能となる。
本発明において、アスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の塩基配列が下記塩基配列(c)又は(d)であることが好ましい。さらに、前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)を用いて、下記塩基配列(c)又は(d)で表される核酸(好ましくは、前記可変部位)の存在を確認することが好ましい。
(c)配列番号3に記載のカルモジュリン遺伝子の塩基配列又はその相補配列。
(d)配列番号3に記載の塩基配列において1若しくは数個(好ましくは1〜25個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜15個、特に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個)の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつアスペルギルス・カーボナリウスの検出に使用できる塩基配列、配列番号3に記載の塩基配列に対して70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、なお好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上)の相同性を有しかつアスペルギルス・カーボナリウスの検出に使用できる塩基配列、又はこれらの相補配列。
本発明の検出方法に用いる前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)は、配列番号1又は2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドが好ましい。また、本発明の検出方法に用いるオリゴヌクレオチドは、アスペルギルス・カーボナリウスの種レベルでの検出に使用できれば、配列番号1又は2に記載の塩基配列に対して70%以上の相同性を有する塩基配列又はその相補配列で表されるオリゴヌクレオチドであってもよく、相同性が80%以上であることがさらに好ましく、相同性が85%以上であることがさらに好ましく、相同性が90%以上であることがさらに好ましく、相同性が95%以上であることが特に好ましい。また、本発明で用いることができるオリゴヌクレオチドには、配列番号1又は2に記載の塩基配列において1又は数個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個、よりさらに好ましくは1又は2個、特に好ましくは1個の塩基の欠失、置換又は挿入されており、かつアスペルギルス・カーボナリウスの種レベルでの検出に使用できるオリゴヌクレオチドも包含される。また、配列番号1又は2に記載の塩基配列に、適当な塩基配列を付加してもよい。
本発明において、塩基配列の相同性は、Lipman-Pearson法(Science,1985,227,p.1435)等によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発製)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、パラメーターであるUnit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出することができる。
前記オリゴヌクレオチドの結合様式は、天然の核酸に存在するホスホジエステル結合だけでなく、例えばホスホロアミデート結合、ホスホロチオエート結合等であってもよい。
前記オリゴヌクレオチドは、例えばDNA自動合成機等を用いた化学合成等の通常の合成方法により調製することができる。また、アスペルギルス・カーボナリウスの遺伝子から制限酵素等を用いて直接切り出したり、また遺伝子をクローニングして単離精製した後、制限酵素などを用いて切り出して調製することも可能である。操作の容易さ、大量かつ安価に一定品質のオリゴヌクレオチドを得られる点から化学合成により調製するのが好ましい。
前記オリゴヌクレオチド対を用いてアスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の部分塩基配列で表される核酸の存在を確認し、アスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで検出する方法として特に制限はなく、シークエンシング法、ハイブリダイゼンション法、PCR法、リアルタイムPCR法、Loop mediated isothermal amplification(LAMP)法など通常用いられる遺伝子工学的手法で行うことができる。
本発明の検出用オリゴヌクレオチドは、核酸プローブ及び/又は核酸プライマーとして用いることができる。
核酸プローブは、前記オリゴヌクレオチドを標識物によって標識化することで調製することができる。前記標識物としては特に制限されず、放射性物質や酵素、蛍光物質、発光物質、抗原、ハプテン、酵素基質、不溶性担体などの通常の標識物を用いることができる。標識方法は、末端標識でも、配列の途中に標識してもよく、また、糖、リン酸基、塩基部分への標識であってもよい。かかる標識の検出手段としては、例えば核酸プローブが放射性同位元素で標識されている場合にはオートラジオグラフィー等、蛍光物質で標識されている場合には蛍光顕微鏡等、化学発光物質で標識されている場合には感光フィルムを用いた解析やCCDカメラを用いたデジタル解析等が挙げられる。このようにして標識化されたオリゴヌクレオチドを、通常の方法により検査対象物から抽出された核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズさせた後、ハイブリダイズした検出用オリゴヌクレオチドの標識を測定することでアスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで検出することができる。核酸とハイブリダイズした核酸プローブの標識を測定する方法としては、通常の方法(FISH法、ドットブロット法、サザンブロット法、ノーザンブロット法等)を用いることができる。
また、前記オリゴヌクレオチドは、固相担体に結合させて捕捉プローブとして用いることもできる。この場合、捕捉プローブと、標識核酸プローブの組み合わせでサンドイッチアッセイを行うこともできるし、標識を目示として標的核酸を捕捉することもできる。
本発明の検出方法において、アスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで検出するために、前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)からなるオリゴヌクレオチド対を核酸プローブとして用いたハイブリダイゼーションを行うことが好ましい。
検体中のアスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで検出するためには、前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)からなるオリゴヌクレオチド対を標識化して核酸プローブとし、得られた核酸プローブをDNA又はRNAとハイブリダイズさせ、ハイブリダイズしたプローブの標識を適当な検出方法により検出すればよい。上記核酸プローブはアスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の塩基配列中の可変部位と特異的にハイブリダイズする。よって、検体中のアスペルギルス・カーボナリウスを迅速かつ正確に種レベルで検出することができる。DNA又はRNAとハイブリダイズした核酸プローブの標識を測定する方法としては、通常の方法(FISH法、ドットブロット法、サザンブロット法、ノーザンブロット法等)を用いることができる。
本発明の検出方法において、アスペルギルス・カーボナリウスの検出を行うため、前記オリゴヌクレオチド対を用いてアスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認することが好ましい。DNA断片を増幅する方法として特に制限はなく、PCR法、リアルタイムPCR法、LCR(Ligase Chain Reaction)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法、NASBA(Nucleic Acid Sequence-based Amplification)法、RCA(Rolling-circle amplification)法、LAMP法など通常の方法を用いることができる。本発明においては、PCR法を用いるのが好ましい。
本発明において、PCR法により増幅反応を行いアスペルギルス・カーボナリウスの検出を行う場合について詳しく説明する。しかし、本発明はこれらに制限するものではない。
本発明において、前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)(好ましくは、配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド及び配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド)からなるオリゴヌクレオチド対を核酸プライマーとして用いてPCRを行い、アスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の塩基配列(好ましくは、前記塩基配列(c)及び(d)のいずれか)で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認し、アスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで検出するのが好ましい。ここで、本発明における「アスペルギルス・カーボナリウス」は、分類学上の分類及びオクラトキシンAの産生能の有無に関わらず、配列番号3に記載のカルモジュリン遺伝子の塩基配列を有するものの他、配列番号3に記載の塩基配列との相同性が70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上、の塩基配列、又は、配列番号3に記載の塩基配列において1若しくは数個、好ましくは1〜25個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜15個、特に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個、の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されている塩基配列、をカルモジュリン遺伝子として有するものも包含する。
前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)は、PCRによって前記塩基配列(c)又は(d)で表される核酸又はその一部を増幅でき、アスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで迅速かつ正確に検出するための核酸プライマーとして機能し得る。したがって、前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)からなるオリゴヌクレオチド対をアスペルギルス・カーボナリウス検出用オリゴヌクレオチド対とすることができる。
PCRの条件は、目的のDNA断片を検出可能な程度に増幅することができれば特に制限されない。
例えば、前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)からなるオリゴヌクレオチド対を核酸プライマーとして用いてPCRを行う場合、好ましいPCR条件としては、2本鎖DNAを1本鎖にする熱変性反応を95℃以上98℃以下で5秒以上60秒以下行う。また、プライマー対を1本鎖DNAにハイブリダイズさせるアニーリング反応を50℃以上(好ましくは52℃以上、より好ましくは55℃以上)65℃以下(好ましくは63℃以下、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは59℃以下)で5秒以上(好ましくは10秒以上)120秒以下(好ましくは60秒以下)行う。さらに、DNAポリメラーゼを作用させる伸長反応を約72℃で10秒以上60秒以下行う。そして、これら熱変性反応、アニーリング反応及び伸長反応を1サイクルとしたものを30サイクル以上35サイクル以下行う。
本発明において、遺伝子断片の確認は通常の方法で行うことができる。例えば増幅産物について電気泳動を行い増幅した遺伝子の大きさに対応するバンドの有無を確認する方法、増幅産物量を経時的に計測する方法、増幅産物の塩基配列を解読する方法等が挙げられるが、本発明はこれらの方法に限定されるものではない。本発明においては、遺伝子増幅処理後に電気泳動を行い、増幅した遺伝子の大きさに対応するバンドの有無を確認する方法が好ましい。また、本発明において、増幅産物の検出は通常の方法で行うことができる。例えば増幅反応時に放射性物質などで標識されたヌクレオチドを取り込ませる方法、蛍光物質などで標識されたプライマーを用いる方法、増幅したDNA2本鎖の間にエチジウムブロマイドなどのDNAと結合することにより蛍光強度が強くなる蛍光物質を入れ込む方法等が挙げられるが、本発明はこれらの方法に限定されるものではない。本発明においては、増幅したDNA2本鎖の間にDNAと結合することにより蛍光強度が強くなる蛍光物質を入り込ませる方法が好ましい。
検体に検出対象菌類が含まれる場合、本発明のオリゴヌクレオチド対をプライマーセットとして使用してPCRを行い、得られたPCR産物について電気泳動を行うと、特定のサイズでDNA断片が確認される。具体的には、検体にアスペルギルス・カーボナリウスが含まれる場合、前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)からなるオリゴヌクレオチド対を核酸プライマーとして用いて得られたPCR産物の電気泳動を行うと、約330bpのサイズでDNA断片が確認される。このような操作を行うことにより、検体に検出対象菌類が含まれているかを確認することができる。
また、約330bpのサイズでDNA断片が生成することは、検体にアスペルギルス・カーボナリウスが存在することを意味する。したがって、このようなDNA断片の生成を確認することで、DNA断片の塩基配列を決定することなく、アスペルギルス・カーボナリウスの検出が可能となる。
本発明において、前記オリゴヌクレオチド対を用いて検体中のカルモジュリン遺伝子の部分塩基配列を決定し、該部分塩基配列が前記塩基配列(c)及び(d)のいずれかに含まれるか否かを確認することで、前記塩基配列(c)及び(d)のいずれかで表される核酸の存在を確認しアスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで検出することもできる。すなわち、前記オリゴヌクレオチド対を用いて検体中のカルモジュリン遺伝子の部分塩基配列を解析・決定し、決定した塩基配列と前記塩基配列(c)及び(d)のいずれかとを比較し、その一致又は相違に基づいて前記塩基配列(c)及び(d)のいずれかで表される核酸の存在を確認しアスペルギルス・カーボナリウスの種レベルの検出を行うこともできる。例えば、前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)からなるオリゴヌクレオチド対をプライマーとして用いてPCRを行い前記塩基配列(c)及び(d)のいずれかで表される核酸の一部を増幅して増幅産物の有無を確認し、得られる増幅産物の塩基配列と前記塩基配列(c)及び(d)のいずれかとを比較し、前記塩基配列(c)及び(d)のいずれかで表される核酸の存在を確認する。増幅産物の塩基配列が、前記塩基配列(c)又は(d)で表される核酸の一部として含まれていれば検体に含まれる微生物をアスペルギルス・カーボナリウスと同定することができる。このようにして、アスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで迅速かつ正確に検出することもできる。
塩基配列を解析・決定する方法としては特に限定されず、通常行われているRNA又はDNAシークエンシングの手法を用いることができる。
具体的には、マクサム−ギルバート法、サンガー法等の電気泳動法、質量分析法、ハイブリダイゼーション法等が挙げられる。サンガー法においては、放射線標識法、蛍光標識法等により、プライマー又は、ターミネーターを標識する方法が挙げられる。
本発明において、増幅反応に用いられるプライマーは、設計した配列を基にして化学合成したり、試薬メーカーから購入することができる。具体的には、オリゴヌクレオチド合成装置等を用いて合成することができる。また、合成後、吸着カラム、高速液体クロマトグラフィーや電気泳動法を用いて精製したものを用いることもできる。また、1ないし数個の塩基が置換、欠失、挿入若しくは付加された塩基配列を有するオリゴヌクレオチドについても、通常の方法を使用して合成できる。
本発明において使用される検体は適宜決定することができ、飲食品自体、飲食品の原材料、単離菌体、培養菌体、飲食品又はその原材料の包装容器等を用いることができる。
検体からゲノムDNAを調製する方法としては、アスペルギルス・カーボナリウスの検出を行うのに未精製の状態でも十分な精製度及び量のDNAが得られるのであればよい。また、検体に分離、抽出、濃縮、精製等の前処理を行ってもよい。例えば、フェノール及びクロロホルムで処理したり、市販の抽出キットを用いて精製して、核酸の純度を高めて使用することができる。また、検体中のRNAを逆転写して得られるDNAを用いることもできる。
本発明のアスペルギルス・カーボナリウス検出キットは、前記本発明のオリゴヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド対を核酸プローブ又は核酸プライマーとして含有するものである。本発明のキットは、前記核酸プローブ及び核酸プライマーの他に、目的に応じ、標識検出物質、緩衝液、核酸合成酵素(DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素等)、酵素基質(dNTP,rNTP等)等、菌類の検出に通常用いられる物質を含有する。本発明のキットには、本発明のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対によって検出が可能であることを確認するための陽性対照(ポジティブコントロール)を含んでいてもよい。陽性対照としては、例えば、本発明の方法により増幅される領域を含んだゲノムDNAが挙げられる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下のアスペルギルス・カーボナリウスの検出方法、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対、アスペルギルス・カーボナリウス検出キット、使用並びに方法を開示する。
<1>下記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)からなるオリゴヌクレオチド対を用いてアスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで検出する、アスペルギルス・カーボナリウスの検出方法。
(a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に記載の塩基配列において1若しくは数個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個、よりさらに好ましくは1又は2個、特に好ましくは1個、の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつアスペルギルス・カーボナリウスの検出に使用できるオリゴヌクレオチド、若しくは配列番号1に記載の塩基配列との相同性が70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、でありかつアスペルギルス・カーボナリウスの検出に使用できるオリゴヌクレオチド。
(b)配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に記載の塩基配列において1若しくは数個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個、よりさらに好ましくは1又は2個、特に好ましくは1個、の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつアスペルギルス・カーボナリウスの検出に使用できるオリゴヌクレオチド、若しくは配列番号2に記載の塩基配列との相同性が70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、でありかつアスペルギルス・カーボナリウスの検出に使用できるオリゴヌクレオチド。
<2>検出を行うために、前記オリゴヌクレオチド対を用いてアスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認し、アスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで検出する、前記<1>項記載の検出方法。
<3>カルモジュリン遺伝子の塩基配列で表される核酸の一部をポリメラーゼ連鎖反応法による増幅する、前記<2>項記載の検出方法。
<4>前記アスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の塩基配列が下記塩基配列(c)又は(d)である、前記<1>〜<3>のいずれか1項記載の検出方法。
(c)配列番号3に記載のカルモジュリン遺伝子の塩基配列又はその相補配列。
(d)配列番号3に記載の塩基配列において1若しくは数個、好ましくは1〜25個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜15個、特に好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個、の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつアスペルギルス・カーボナリウスの検出に使用できる塩基配列、配列番号3に記載の塩基配列に対して70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、なお好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上、の相同性を有しかつアスペルギルス・カーボナリウスの検出に使用できる塩基配列、又はこれらの相補配列。
<5>前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)からなる群より選ばれるオリゴヌクレオチド、又は前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)からなるオリゴヌクレオチド対。
<6>前記オリゴヌクレオチドが核酸プローブ又は核酸プライマーである、前記<5>項記載のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対。
<7>前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)がそれぞれ、前記塩基配列(c)又は(d)で表される核酸にハイブリダイズすることができ、アスペルギルス・カーボナリウスを検出するための核酸プローブ又は核酸プライマーとして機能し得る、前記<5>又は<6>項記載のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対。
<8>前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)が、ポリメラーゼ連鎖反応法によって前記塩基配列(c)又は(d)で表される核酸の一部を増幅でき、アスペルギルス・カーボナリウスを検出するための核酸プライマーとして機能し得るものである、前記<7>項記載のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対。
<9>前記<5>〜<8>のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対を含むアスペルギルス・カーボナリウス検出キット。
<10>アスペルギルス・カーボナリウス検出用核酸プライマーとしての、前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)の使用。
<11>アスペルギルス・カーボナリウス検出用核酸プライマーの製造のための、前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)の使用。
<12>前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)をアスペルギルス・カーボナリウス検出用核酸プライマーとして使用する方法。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
試験例1 アスペルギルス属に属する菌類の分子系統樹の作成
下記の方法により、アスペルギルス属に属する菌類各種(アスペルギルス・カーボナリウス、アスペルギルス・ネオニガー(Aspergillus neoniger)、アスペルギルス・ユーカリプチコラ(Aspergillus eucalypticola)、アスペルギルス・バデンシス(Aspergillus vadensis)、アスペルギルス・コスタリカエンシス(Aspergillus costaricaensis)、アスペルギルス・フォーティダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ピペリス(Aspergillus piperis)、アスペルギルス・ツビンジェンシス、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・ラクチコフェアタス(Aspergillus lacticoffeatus)、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・ブラジリエンシス、アスペルギルス・イベリカス、アスペルギルス・スクレロチオニガー、アスペルギルス・ヘテロモルファス、アスペルギルス・エリプティカス(Aspergillus ellipticus)、アスペルギルス・ホモモルファス(Aspergillus homomorphus)、アスペルギルス・アキュレアティナス(Aspergillus acuuleatinus)、アスペルギルス・フィジエンシス(Aspergillus fijiensis)、アスペルギルス・アキュレアタス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギルス・ウバァラム(Aspergillus uvarum)、アスペルギルス・ヴィオラセオファスカス(Aspergillus violaceofuscus)、アスペルギルス・ジャパニカス(Aspergillus japonicus)、及びアスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus))のカルモジュリン遺伝子の塩基配列を決定した。
ポテトデキストロース寒天(PDA)斜面培地(培地、Difco社製)にて25℃で3日間暗所培養した菌体から、Genとるくん(商品名、タカラバイオ社製)を使用しDNAを抽出した。
抽出したDNAを鋳型とし、cmd5プライマー(5’-CCGAGTACAAGGAGGCCTTC-3’:配列番号4)とcmd6プライマー(5’-CCGATAGAGGTCATAACGTGG-3’:配列番号5)を使用し、PuRe TaqTM Ready-To-Go PCR Beads(GE Health Care UK LTD)を用いてPCRを行った。増幅条件は、変性温度95℃、アニーリング温度59℃、伸長温度72℃の35サイクルとした。Auto SegTM G-50(Amersham Pharmacia Biotech)を使用してPCR産物を精製した。さらに、PCR産物は、BigDye terminator Ver.3.1(商品名、Applied Biosystems社製)を使用してラベル化し、ABI PRISM 3130 Genetic Analyzer(Applied Biosystems社製)で電気泳動を実施した。電気泳動時の蛍光シグナルからの塩基配列の決定には、ソフトウェア‘ATGC Ver.4’(Genetyx社製)を使用した。
シークエンシング解析により決定した各菌類のカルモジュリン遺伝子の塩基配列、及びDNA data bank of Japan(DDBJ:http://www.ddbj.nig.ac.jp/Welcome-j.html)から入手した各菌類のカルモジュリン遺伝子の塩基配列情報をもとに、Clustal X(http://www.clustal.org/)を用いて系統解析を実施した。そして、系統解析結果をもとに、ソフトウェアNJ-plotを用いて分子系統樹を作成した。作成した分子系統樹を図1に示す。
図1に示すように、アスペルギルス・ブラジリエンシス、アスペルギルス・イベリカス、アスペルギルス・スクレロチオニガー、及びアスペルギルス・ヘテロモルファスは、本発明の方法の検出対象であるアスペルギルス・カーボナリウスと極めて近縁性の高い菌種であることがわかる。
試験例2 アスペルギルス・カーボナリウスに特異的なカルモジュリン遺伝子の部分塩基配列の解析
上記の方法により決定したアスペルギルス属菌類各種や、各種菌類の公知のカルモジュリン遺伝子の塩基配列情報をもとに、Clustal W(http://clustalw.ddbj.nig.ac.jp/top-j.html)を用いてアライメント解析を行った。そして、アスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の塩基配列領域のうち、3’末端がアスペルギルス・カーボナリウスに特異的な配列であり、GC含量が概ね30〜80%となり、自己アニールの可能性が低く、Tm値が概ね55〜65℃程度となる、という4つの条件を満たす部分領域の検討を行った。その結果、アスペルギルス・カーボナリウスに特異的な塩基配列(A_carb_F:ccacaagaatacacgctcatatgctct(配列番号1)、A_carb_R:gttcgcattcttgcctcgtgtga(配列番号2))を決定した。
実施例1
(1)プライマーの設計
試験例2で決定したアスペルギルス・カーボナリウスに特異的な塩基配列部位をもとに、配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(A_carb_Fプライマー)及び配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(A_carb_Rプライマー)を設計し、北海道システムサイエンス社に合成依頼し(脱塩精製品、0.2μmolスケール)、購入した。
(2)検体の調製
設計したプライマーの有効性の評価に用いる菌類、すなわちアスペルギルス・カーボナリウスとその類縁菌、及び生活環境菌として、表1〜3に記載した菌株を使用した。これらの菌株に関しては、千葉大学真菌医学研究センターが保管しIFMナンバーにより管理されている株を入手し、使用した。
各菌株をポテトデキストロース培地(商品名:パールコアポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて25℃で3日間培養した。
培養した各菌体を白金耳を用いて回収し、ゲノムDNA調製用キット(タカラバイオ社製Genとるくん(商品名))を用いて、ゲノムDNA溶液を抽出し精製した。DNA溶液の濃度は2ng/μLに調製した。
(3)アスペルギルス・カーボナリウスの検出
DNAテンプレートとして上記で調製したゲノムDNA溶液2μL、2pmol/μLに濃度調整したA_carb_Fプライマー及びA_carb_Rプライマーをそれぞれ2μL、及び滅菌蒸留水を19μLを、Pure TaqTM Ready-To-Go PCR Beads(商品名、GEヘルスケア社製)のチューブ内に投入し、25μLのPCR溶液を調製した。
PCR溶液について、自動遺伝子増幅装置サーマルサイクラーDICE(商品名、タカラバイオ)を用いて遺伝子増幅処理を行った。PCR条件は、95℃、10分間の処理後、(i)95℃、1分間の熱変性反応、(ii)59℃、1分間のアニーリング反応、及び(iii)72℃、1分間の伸長反応を1サイクルとしたものを35サイクル行い、反応液を72℃で10分間保持した。
PCR後、PCR溶液から2.5μLを分取してローディングバッファーと十分に混和し、2%アガロースゲルを用いて電気泳動(100V、30分間)を行った。電気泳動終了後、アガロースゲルをエチジウムブロマイド液に浸漬しDNAを染色し、増幅されたDNA断片の有無を確認した。その結果を図2〜4に示す。図中の番号は表記載の対応する試料番号の試料から抽出したDNAを用いて反応を行ったサンプルであることを示している。なお、図2は表1に示す菌類の試料についての電気泳動図を示し、図3は表2に示す菌類の試料についての電気泳動図を示し、図4は表3に示す菌類の試料についての電気泳動図を示す。なお、分子量マーカーとして、EZ Load 100bp molecular Ruler(商品名、BIO RAD社製)を用いた。
その結果、アスペルギルス・カーボナリウスのゲノムDNAを含む試料では、約330bpのサイズで遺伝子断片が確認された。一方、アスペルギルス・カーボナリウス以外のアスペルギルス属菌類、及び生活環境菌のゲノムDNAを含む試料では、遺伝子断片は確認されなかった。したがって、本発明によれば、アスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで特異的に検出することができる。
上記の結果から、本発明のオリゴヌクレオチドを用いることによって、アスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の部分塩基配列の存在を確認することができ、アスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで特異的に検出できることがわかる。したがって、本発明の方法によれば、従来の方法と比較して、種レベルでより迅速かつより正確にアスペルギルス・カーボナリウスを検出することが可能である。
また、本発明のオリゴヌクレオチドを用いることによって、分類学上アスペルギルス・カーボナリウスの近縁種とされる菌種と区別して、アスペルギルス・カーボナリウスを検出することが可能である。
さらに、本発明のオリゴヌクレオチドを用いることによって、擬陽性の結果生じることなく、アスペルギルス・カーボナリウスを検出することが可能である。

Claims (9)

  1. 下記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)からなるオリゴヌクレオチド対を用いてアスペルギルス・カーボナリウス(Aspergillus carbonarius)を種レベルで検出する、アスペルギルス・カーボナリウスの検出方法。
    (a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつアスペルギルス・カーボナリウスの検出に使用できるオリゴヌクレオチド。
    (b)配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつアスペルギルス・カーボナリウスの検出に使用できるオリゴヌクレオチド。
  2. 検出を行うために、前記オリゴヌクレオチド対を用いてアスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の塩基配列で表される核酸の一部を増幅し、増幅産物の有無を確認し、アスペルギルス・カーボナリウスを種レベルで検出する、請求項1記載の検出方法。
  3. カルモジュリン遺伝子の塩基配列で表される核酸の一部をポリメラーゼ連鎖反応法により増幅する、請求項2記載の検出方法。
  4. 前記アスペルギルス・カーボナリウスのカルモジュリン遺伝子の塩基配列が下記塩基配列(c)又は(d)である、請求項1〜3のいずれか1項記載の検出方法。
    (c)配列番号3に記載のカルモジュリン遺伝子の塩基配列又はその相補配列。
    (d)配列番号3に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつアスペルギルス・カーボナリウスの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列。
  5. 下記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)からなる群より選ばれるオリゴヌクレオチド、又は下記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)からなるオリゴヌクレオチド対。
    (a)配列番号1に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号1に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつアスペルギルス・カーボナリウス(Aspergillus carbonarius)の検出に使用できるオリゴヌクレオチド。
    (b)配列番号2に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は配列番号2に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつアスペルギルス・カーボナリウス(Aspergillus carbonarius)の検出に使用できるオリゴヌクレオチド。
  6. 前記オリゴヌクレオチドが核酸プローブ又は核酸プライマーである、請求項5記載のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対。
  7. 前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)がそれぞれ、下記塩基配列(c)又は(d)で表される核酸にハイブリダイズすることができ、アスペルギルス・カーボナリウスを検出するための核酸プローブ又は核酸プライマーとして機能し得る、請求項5又は6記載のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対。
    (c)配列番号3に記載のカルモジュリン遺伝子の塩基配列又はその相補配列。
    (d)配列番号3に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換、挿入若しくは付加されておりかつアスペルギルス・カーボナリウスの検出に使用できる塩基配列、又はその相補配列。
  8. 前記オリゴヌクレオチド(a)及び(b)が、ポリメラーゼ連鎖反応法によって前記塩基配列(c)又は(d)で表される核酸の一部を増幅でき、アスペルギルス・カーボナリウスを検出するための核酸プライマーとして機能し得るものである、請求項7記載のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対。
  9. 請求項5〜8のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対を含むアスペルギルス・カーボナリウス(Aspergillus carbonarius)検出キット。




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