JP5548357B2 - アスペルギルスフミガタス(Aspergillusfumigatus)類縁菌の検出方法 - Google Patents

アスペルギルスフミガタス(Aspergillusfumigatus)類縁菌の検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、アスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌の検出方法に関する。
アスペルギルス(Aspergillus)属は自然界に広く見られる真菌であり、150菌種以上が知られている。土壌中や堆肥中にも存在し、また空気中にも浮遊しているため、食品およびその原材料からも頻繁に検出される。
アスペルギルス属に属する菌類の中には、ヒトや動物に対する病原性を持っている菌種がある。これらの病原性菌類は、主に呼吸によって空気中に浮遊する胞子を吸い込むことで体内に侵入し、肺、外耳道、鼻腔等に感染し、アスペルギルス症と呼ばれる感染症を引き起こす。アスペルギルス症は、原因菌が病原性の低い二次病原体(日和見病原体)であるため健常者には比較的感染しにくいが、疾患等によって感染抵抗力が低下している場合に感染する、いわゆる日和見感染症の一種である。近年の高齢化に伴って、治療に免疫抑制剤や抗がん剤を使用している移植患者、抗がん剤治療患者等が増加しており、それとともにアスペルギルス症の発症件数も増加傾向にある。さらにこれらのアスペルギルス症による死亡率も高いことから早急な治療法の改善が望まれている。
アスペルギルス症の原因となるアスペルギルス属に属する菌類として、従来からアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)等が知られている。これらの中でもアスペルギルス フミガタスを原因として発症するケースが特に多い。
近年、遺伝学的な系統解析方法の進歩とともに、従来の形態学的分類方法では識別できなかった新種の菌類が発見されている。アスペルギルス フミガタスについても、その形態学的特徴がよく似ており従来はアスペルギルス フミガタスと同一種とみなされていたが、遺伝子解析等を行った結果アスペルギルス フミガタスとは別種と同定された新種の菌類が複数発見されている。これらの新種のアスペルギルス属の菌類は、外見上の特徴はもとより、遺伝学的特徴もアスペルギルス フミガタスに似ているため、アスペルギルス フミガタス類縁菌と呼ばれている。
これらアスペルギルス フミガタス類縁菌のうちのいくつかの菌種は、アスペルギルス フミガタス同様、アスペルギルス症を引き起こすことが報告されている。しかも、菌種によっては、特定の抗真菌薬に対して感受性が低いものがある。一般にアスペルギルス症の治療には抗真菌薬が用いられ、アンフォテリシンB、ボリコナゾール、カスポファンジン等が使用されているが、例えば、病原性が指摘されている類縁菌のうち、アスペルギルス レンタス(Aspergillus lentulus)はアンフォテリシンB、ボリコナゾール、カスポファンジンに対して薬剤耐性を持っており、またアスペルギルス ウダガワエ(Aspergillus udagawae)はアンフォテリシンBに対する薬剤耐性を持つことが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。アスペルギルス フミガタスとその類縁菌は形態学的特徴がよく似ているため、このような薬剤耐性の菌種をアスペルギルス フミガタスと誤認し治療を行った場合、適切な抗真菌薬を選択できずに治療効果が著しく劣ることにもなりかねない。したがって、アスペルギルス症の治療効果を上げるためには、病気を引き起こしている菌の種類を特定し、その菌種に有効な抗真菌薬を適切に選択することが非常に重要である。そのためには、アスペルギルス症を引き起こしている原因菌の菌種を適切かつ迅速に同定することが求められている。
また、アスペルギルス フミガタスおよびその類縁菌の中には、カビ毒(fumitoremorgin類)を産生する菌種がある。前述のとおり、アスペルギルス属の菌類は食品やその材料からも頻繁に検出されるため、これら食品等へのカビ毒の混入も懸念される。
現在のところ、アスペルギルス フミガタスおよびその類縁菌の検出及び同定法は、培養による発育温度と形態学的な菌種分類が主である。この方法は形態学的な特徴が発生するまで培養を続ける必要があるため、最短でも14日以上の長期間を必要とする。また、アスペルギルス フミガタスおよびその類縁菌は形態学的な特徴がよく似ているため、形態学的特徴だけから正確に菌種を同定することは非常に困難である。そのため、アスペルギルス症の治療や食品衛生対策上の観点から、菌種レベルでの迅速かつ正確な検出・同定方法の確立が求められている。
菌類の迅速かつ信頼性の高い検出方法としては、遺伝子の特定の塩基配列を標的とした増幅法(たとえばPCR法やLAMP法)が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。しかし、アスペルギルス フミガタス及びその類縁菌に特異的な遺伝子領域が解明されていない。従って、アスペルギルス フミガタス及びその類縁菌を特異的かつ迅速に検出することが困難であるという問題を有している。
ukaryotic Cell, 5(10): 1705-1712, 2006Balajee SA et al. Molecular Studies Reveal Frequent Misidentification of Aspergillus fumigatus by Morphotyping. 特表平11−505728号公報 特開2006−61152号公報 特開2006−304763号公報 特開2007−174903号公報
本発明は、ヒトや動物に対して病原性を有するアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌を特異的、簡便かつ迅速に検出できる方法を提供することを目的とする。また、本発明は、この検出方法に使用するためのアスペルギルス フミガタス類縁菌に特異的な塩基配列で表されるDNA、該塩基配列で表される核酸にハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチド、並びに該オリゴヌクレオチドを用いたプライマーセット及び検出キットを提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明者等は、アスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌のうちヒトや動物に対し病原性を持つ菌種を特異的に識別する方法について鋭意検討を行った。その結果、アスペルギルス フミガタス類縁菌のβ−チューブリン遺伝子配列中に、他の菌類のものとは明確に区別しうる、特異的な塩基配列を有する領域(以下、「可変領域」ともいう)が存在することを見い出した。また、この可変領域をターゲットとすることで、上記病原性を有するアスペルギルス フミガタス類縁菌を特異的かつ迅速に検出できることを見い出した。本発明はこれらの知見に基づき完成するに至った。
本発明は、 以下の(a)または(b)に記載の塩基配列で表される核酸を用いてアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌の同定を行うことを特徴とするアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌の検出方法に関する。
(a)配列番号1若しくは2に記載のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列、又はその相補配列
(b)配列番号1若しくは2に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列、又はその相補配列
また本発明は、アスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌の検出に用いるための、前記(a)または(b)に記載の塩基配列で表されるDNAに関する。
また本発明は、前記(a)または(b)に記載の塩基配列で表される核酸にハイブリダイズすることができ、アスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌を特異的に検出するための核酸プローブ又は核酸プライマーとして機能し得るアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌検出用オリゴヌクレオチドに関する。
また本発明は、下記の(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドからなるアスペルギルス レンタス(Aspergillus lentulus)及び/又はアスペルギルス フミシネマタス(Aspergillus fumisynnematus)検出用オリゴヌクレオチド対、下記の(e)及び(f)のオリゴヌクレオチドからなるアスペルギルス ウダガワエ(Aspergillus udagawae)検出用オリゴヌクレオチド対、並びにそれらのオリゴヌクレオチド対を含むアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌検出用キットに関する。
(c)配列番号3に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつ検出用オリゴヌクレオチドとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド
(d)配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつ検出用オリゴヌクレオチドとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド
(e)配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつ検出用オリゴヌクレオチドとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド
(f)配列番号6に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつ検出用オリゴヌクレオチドとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド
また、本発明は、下記の(g)〜(j)のプライマー若しくは下記(g)〜(l)のプライマーからなるアスペルギルス レンタス(Aspergillus lentulus)及び/又はアスペルギルス フミシネマタス(Aspergillus fumisynnematus)検出用プライマーセット、下記の(m)〜(p)のプライマー若しくは下記の(m)〜(r)のプライマーからなるアスペルギルス ウダガワエ(Aspergillus udagawae)検出用プライマーセット、並びにそれらのプライマーセットと、DNAポリメラーゼと、dATP、dCTP、dGTP及びdTTPを含むdNTPとを含むアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌検出キットに関する。
(g)配列番号7に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
(h)配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
(i)配列番号9に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
(j)配列番号10に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
(k)配列番号11に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
(l)配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
(m)配列番号13に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
(n)配列番号14に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
(o)配列番号15に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
(p)配列番号16に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
(q)配列番号17に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
(r)配列番号18に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
さらに、本発明は、アスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列から選択される標的領域の配列の5’側から順に、塩基配列領域としてF3、F2及びF1を選択し、
前記標的領域の3’側から順に、塩基配列領域としてB3c、B2c及びB1cを選択し、
前記F3、F2及びF1の相補的塩基配列を、それぞれF3c、F2c及びF1cとし、
前記B3c、B2c及びB1cに相補的な塩基配列を、それぞれB3、B2及びB1としたとき、
以下の(a)〜(f)のいずれかに該当する塩基配列で表されるアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌検出用オリゴヌクレオチド、並びにそれらの検出用オリゴヌクレオチドと、DNAポリメラーゼと、dATP、dCTP、dGTP及びdTTPを含むdNTPとを含むアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌検出キットに関する。
(a)前記B2領域を3’側に有し、前記B1c領域を5’側に有する塩基配列
(b)前記B3領域を有する塩基配列
(c)前記F2領域を3’側に有し、前記F1c領域を5’側に有する塩基配列
(d)前記F3領域を有する塩基配列
(e)前記B1領域と前記B2領域の間の部分と相補的な配列を有する塩基配列
(f)前記F1領域と前記F2領域の間の部分と相補的な配列を有する塩基配列
本発明によれば、ヒトや動物に対して病原性を有するアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌を特異的、簡便かつ迅速に検出できる方法を提供することができる。また、本発明によれば、この検出方法に使用するためのアスペルギルス フミガタス類縁菌に特異的なβ−チューブリン遺伝子の塩基配列で表されるDNA、該塩基配列で表される核酸にハイブリダイズし得るオリゴヌクレオチド、並びに該オリゴヌクレオチドを用いたプライマーセット及び検出キットを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、アスペルギルス フミガタス類縁菌のβ−チューブリン遺伝子の特定の部分塩基配列、すなわちアスペルギルス フミガタス類縁菌のβ−チューブリン遺伝子配列中の種特異的領域(可変領域)の塩基配列で表される核酸を用いてアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌の同定を行い、アスペルギルス フミガタス類縁菌を特異的に識別・検出する方法である。
アスペルギルス フミガタスは、不完全菌のアスペルギルス(Aspergillus)属に属する菌類であり、ヒトおよび動物に対する病原性を有しアスペルギルス症の原因となる。
また、本発明において「アスペルギルス フミガタス類縁菌」とは、アスペルギルス属に属する菌類であって、特にアスペルギルス フミガタスに形態学的特徴及び遺伝学的特徴が似ている一群の菌類をいう。具体的には、アスペルギルス レンタス(Aspergillus lentulus)、アスペルギルス フミシネマタス(Aspergillus fumisynnematus)、アスペルギルス ウダガワエ(Aspergillus udagawae)、アスペルギルス フミガチアフィニス(Aspergillus fumigatiaffinis)、アスペルギルス ノボフミガタス(Aspergillus novofumigatus)、アスペルギルス ビリジニュータンス(Aspergillus viridinutans)、アスペルギルス ブレビプス(Aspergillus brevipes)、アスペルギルス デュリカリス(Aspergillus duricaulis)、アスペルギルス ユニラテラリス(Aspergillus unilateralis)等が知られている。これら類縁菌の中でも、アスペルギルス レンタス(Aspergillus lentulus)、アスペルギルス フミシネマタス(Aspergillus fumisynnematus)及びアスペルギルス ウダガワエ(Aspergillus udagawae)はアスペルギルス症の患者からの分離頻度が比較的高く、病原性を有するとの報告がある。また、これらの種はアンポテリシンBなどの抗真菌剤に対して感受性が低く臨床上問題となっている。さらに、アスペルギルス フミガタス及びアスペルギルス ウダガワエは抗神経性のカビ毒を産出することが知られている。
「β−チューブリン」とは微小管を構成する蛋白質であり、「β−チューブリン遺伝子」とは、β−チューブリンをコードする遺伝子である。また、本発明において「β−チューブリン遺伝子の可変領域」とは、β−チューブリン遺伝子中で塩基の変異が蓄積しやすい特定の領域をいう。本発明の検出方法において「β−チューブリン遺伝子の部分塩基配列で表される核酸を用いて同定を行う」とは、当該部分塩基配列の全部またはその一部の配列で表される核酸を用いて同定を行うことをいう。
本発明の検出方法は、アスペルギルス フミガタス類縁菌のβ−チューブリン遺伝子中の特定(可変)領域の塩基配列で表される核酸を用いることを特徴とする。
発明者らは、アスペルギルス属に属する菌類から種々のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列を同定し、アスペルギルス属内での遺伝的距離の解析を行った。さらに、決定した各種のβチューブリン配列の相同性解析をおこなった。その結果、アスペルギルス フミガタス類縁菌は5つのグループに分類されることを明らかとした。そして、この5グループの中でも医真菌分野において特に重要視されるアスペルギルス レンタスのグループ(アスペルギルス レンタスおよびアスペルギルス フミシネマタスが含まれる)及びアスペルギルス ウダガワエのグループにおいて、グループに属する菌類に固有の塩基配列を有する可変領域を見出した。この可変領域において、アスペルギルス フミガタスおよびその類縁菌は菌種によって固有の塩基配列を有しているため、アスペルギルス フミガタスおよびその類縁菌を菌種レベルで識別・同定することが可能となる。本発明は、この可変領域及び可変領域に由来するオリゴヌクレオチドをターゲットとしたものである。
本発明の検出方法に用いるアスペルギルス フミガタス類縁菌のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列(可変領域の塩基配列)で表される核酸は、配列番号1若しくは配列番号2に記載の塩基配列又はその相補配列で表される核酸である。
配列番号1に記載の塩基配列及びその相補配列は、アスペルギルス レンタス(Aspergillus lentulus)から単離、同定されたβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列である。この配列はアスペルギルス レンタスグループに特異的、すなわちアスペルギルス レンタス及びアスペルギルス レンタスに系統的に非常に近い種であるアスペルギルス フミシネマタス(Aspergillus fumisynnematus)に特異的な配列であるため、被検体がこの塩基配列を有しているか否かを確認することで、アスペルギルス フミガタスおよびその類縁菌の中からアスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスのみを特異的に識別・同定することが可能である。また、配列番号1に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基か欠失、置換若しくは付加された塩基配列又はその相補配列で表される核酸を用いても、同様にアスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスのみを特異的に識別・同定することが可能である。
配列番号2に記載の塩基配列及びその相補配列は、アスペルギルス ウダガワエ(Aspergillus udagawae)から単離、同定されたβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列である。この配列はアスペルギルス ウダガワエに特異的な配列であるため、被検体がこの塩基配列を有しているか否かを確認することで、アスペルギルス フミガタスおよびその類縁菌の中からアスペルギルス ウダガワエのみを特異的に識別・同定することが可能である。また、配列番号2に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基か欠失、置換若しくは付加された塩基配列又はその相補配列で表される核酸を用いても、同様にアスペルギルス ウダガワエのみを特異的に識別・同定することが可能である。
(以下、配列番号1若しくは2に記載の塩基配列またはその相補配列、配列番号1若しくは2に記載の塩基配列において1若しくは数個の塩基か欠失、置換若しくは付加された塩基配列またはその相補配列をまとめて「本発明のβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列」ともいう。)
上記本発明のβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列で表される核酸を用いてアスペルギルス フミガタス類縁菌を同定する方法として特に制限はなく、シークエンシング法、ハイブリダイゼンション法、PCR法、LAMP法など通常用いられる遺伝子工学的手法で行うことができる。
本発明の検出方法において、前記本発明のβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列で表される核酸を用いてアスペルギルス フミガタス類縁菌の同定を行うには、被検体のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列を決定し、該遺伝子の塩基配列中に前記(a)または(b)に記載の核酸の塩基配列が含まれるか否かを確認することが好ましい。すなわち、本発明の検出方法は、被検体の有するβ−チューブリン遺伝子の塩基配列を解析・決定し、決定した塩基配列と本発明のβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列とを比較し、その一致または相違に基づいてゲオスミチア属に属する菌類の同定を行うものである。
塩基配列を解析・決定する方法としては特に限定されず、通常行われているRNAまたはDNAシークエンシングの手法を用いることができる。
具体的には、マクサム−ギルバート法、サンガー法等の電気泳動法、質量分析法、ハイブリダイゼーション法等が挙げられる。サンガー法においては、放射線標識法、蛍光標識法等により、プライマー又は、ターミネーターを標識する方法が挙げられる。
本発明においては、上記本発明のβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列で表される核酸を用いてアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌の同定を行うために、前記本発明のβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列で表される核酸にハイブリダイズすることができ、かつアスペルギルス フミガタス類縁菌を特異的に検出するための核酸プローブ又は核酸プライマーとして機能し得る検出用オリゴヌクレオチドを用いることができる。
本発明の検出用オリゴヌクレオチドは、アスペルギルス フミガタス類縁菌の検出に使用できるものであればよい。すなわち、アスペルギルス フミガタス類縁菌の検出のための核酸プライマーや核酸プローブとして使用できるものや、ストリンジェントな条件でアスペルギルス フミガタス類縁菌のβ−チューブリン遺伝子にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドであれば良い。なお、ここで、「ストリンジェントな条件」としては、例えばMolecular Cloning−A LABORATORY MANUAL THIRD EDITION[Joseph Sambrook, David W. Russell., Cold Spring Harbor Laboratory Press]記載の方法が挙げられ、例えば、6×SSC(1×SSCの組成:0.15M塩化ナトリウム、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0)、0.5%SDS、5xデンハート及び100mg/mLニシン精子DNAを含む溶液にプローブとともに65℃で8〜16時間恒温し、ハイブリダイズさせる条件が挙げられる。
本発明の検出用オリゴヌクレオチドの塩基数は特に限定されないが、13塩基〜30塩基であることが好ましく、18塩基〜23塩基であることがより好ましい。また、ハイブリダイズ時のTm値が55℃〜65℃の範囲内であることが好ましく、59℃〜62℃の範囲内であることがより好ましい。GC含量は、30%〜80%が好ましく、45%〜65%がより好ましく、55%前後であることが最も好ましい。
本発明の上記検出用オリゴヌクレオチドとしては、配列番号3〜18のいずれかに記載の塩基配列若しくはその相補配列で表されるオリゴヌクレオチドがより好ましい。また、本発明の検出用オリゴヌクレオチドは、配列番号3から18のいずれかに記載の塩基配列に対して70%以上の相同性を有する塩基配列またはその相補配列で表されるオリゴヌクレオチドであってもよく、相同性が80%以上であることがより好ましく、相同性が90%以上であることがさらに好ましく、相同性が95%以上であることが特に好ましい。また、本発明で用いることができる検出用オリゴヌクレオチドには、配列番号3から18のいずれかに記載の塩基配列またはその相補配列において1または数個、好ましくは1から5個、より好ましくは1から4個、さらに好ましくは1から3個、よりさらに好ましくは1から2個、特に好ましくは1個の塩基の欠失、挿入あるいは置換といった変異や、修飾された塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドも包含される。また、配列番号3から18のいずれかに記載の塩基配列またはその相補配列に、適当な塩基配列を付加してもよい。塩基配列の相同性については、Lipman−Pearson法(Science,227,1435,1985)等によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx−Win(ソフトウェア開発製)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、パラメーターであるUnit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出することができる。
本発明の検出用オリゴヌクレオチドは、核酸プライマー及び核酸プローブとして用いることができる。核酸プローブは、前記オリゴヌクレオチドを標識物によって標識化することで調製することができる。前記標識物としては特に制限されず、放射性物質や酵素、蛍光物質、発光物質、抗原、ハプテン、酵素基質、不溶性担体などの通常の標識物を用いることができる。標識方法は、末端標識でも、配列の途中に標識してもよく、また、糖、リン酸基、塩基部分への標識であってもよい。かかる標識の検出手段としては、例えば核酸プローブが放射性同位元素で標識されている場合にはオートラジオグラフィー等、蛍光物質で標識されている場合には蛍光顕微鏡等、化学発光物質で標識されている場合には感光フィルムを用いた解析やCCDカメラを用いたデジタル解析等が挙げられる。
また、前記オリゴヌクレオチドは、固相担体に結合させて捕捉プローブとして用いることもできる。この場合、捕捉プローブと、標識核酸プローブの組み合わせでサンドイッチアッセイを行うこともできるし、標的核酸を標識して捕捉することもできる。
被検体中のアスペルギルス フミガタス類縁菌を検出するためには、本発明の検出用オリゴヌクレオチドを標識化して核酸プローブとし、得られた核酸プローブをDNAまたはRNAとハイブリダイズさせ、ハイブリダイズしたプローブの標識を適当な検出法により検出すればよい。上記核酸プローブはアスペルギルス フミガタス類縁菌のβ−チューブリン遺伝子の可変領域の一部と特異的にハイブリダイズするので、被検体中のアスペルギルス フミガタス類縁菌を迅速かつ簡便に検出することができる。DNAまたはRNAとハイブリダイズした核酸プローブの標識を測定する方法としては、通常の方法(FISH法、ドットブロット法、サザンブロット法、ノーザンブロット法等)を用いることができる。
本発明の検出方法において、前記本発明のβ−チューブリン遺伝子の可変領域の塩基配列で表される核酸を用いてアスペルギルス フミガタス類縁菌の同定を行うためには、該塩基配列の全部または一部の領域のDNA断片を増幅し、増幅産物の有無を確認することが好ましい。当該領域を含むDNA断片を増幅する方法として特に制限はなく、PCR(Polymerase Chain Reaction)法、LCR(Ligase Chain Reaction)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法、NASBA(Nucleic Acid Sequence-based Amplification)法、RCA(Rolling-circle amplification)法、LAMP(Loop mediated isothermal amplification)法など通常の方法を用いることができる。しかし、本発明においては、PCR法またはLAMP法を用いるのが迅速性及び簡便性の観点から好ましい。
本発明において、PCR法を用いてアスペルギルス フミガタス類縁菌の検出を行う場合について説明する。
アスペルギルス レンタス(Aspergillus lentulus)及び/又はアスペルギルス フミシネマタス(Aspergillus fumisynnematus)を検出する場合、下記の(c)または(d)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いるのが好ましく、配列番号3および配列番号4に記載の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを用いるのがさらに好ましい。
(c)配列番号3に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつ核酸プライマーとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド
(d)配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつ核酸プライマーとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド
また、本発明のアスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタス検出用オリゴヌクレオチド対は、前記(c)のオリゴヌクレオチドと前記(d)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対である。
配列番号3および配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドは、β−チューブリン遺伝子領域に存在し、可変領域の一部分の塩基配列またはその相補配列と同じ塩基配列を持つオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは、アスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスのDNAの一部分に特異的にハイブリダイズすることができる。
前記(c)及び(d)で示されるオリゴヌクレオチドは、配列番号1に記載の塩基配列のうち、それぞれ97位〜118位まで、361位〜383位までの領域に対応する。したがって、前記オリゴヌクレオチドをアスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスのβ−チューブリン遺伝子にハイブリダイズさせることによって、アスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスを特異的に検出することができる。
本発明において、PCR法を用いてアスペルギルス ウダガワエ(Aspergillus udagawae)を検出する場合、下記の(e)または(f)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いるのが好ましく、配列番号5および配列番号6に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド対を用いるのがさらに好ましい。
(e)配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつ核酸プライマーとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド
(f)配列番号6に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド、又は当該塩基配列に対して70%以上の相同性を有しかつ核酸プライマーとして使用できる塩基配列で表されるオリゴヌクレオチド
また、本発明のアスペルギルス ウダガワエ検出用オリゴヌクレオチド対は、前記(e)のオリゴヌクレオチドと前記(f)のオリゴヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド対である。
配列番号5および配列番号6に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドは、β−チューブリン遺伝子領域に存在し、可変領域の一部分の塩基配列またはその相補配列と同じ塩基配列を持つオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは、アスペルギルス ウダガワエのDNAの一部分に特異的にハイブリダイズすることができる。
前記(e)及び(f)で示されるオリゴヌクレオチドは、配列番号2に記載の塩基配列のうち、それぞれ93位〜114位まで、338位〜357位までの領域に対応する。したがって、前記オリゴヌクレオチドをアスペルギルス ウダガワエのβ−チューブリン遺伝子にハイブリダイズさせることによって、アスペルギルス ウダガワエを特異的に検出することができる。
本発明におけるPCR反応の条件は、目的のDNA断片を検出可能な程度に増幅することができれば特に制限されない。PCRの反応条件の好ましい一例としては、例えば、2本鎖DNAを1本鎖にする熱変性反応を95〜98℃で10〜60秒間行い、プライマー対を1本鎖DNAにハイブリダイズさせるアニーリング反応を約59℃で約60秒間行い、DNAポリメラーゼを作用させる伸長反応を約72℃で約60秒間行い、これらを1サイクルとしたものを約30〜35サイクル行う。
本発明において、PCR法により増幅した遺伝子断片の確認は通常の方法で行うことができる。例えば増幅反応時に放射性物質などで標識されたヌクレオチドを取り込ませる方法、PCR反応産物について電気泳動を行い増幅した遺伝子の大きさに対応するバンドの有無を確認する方法、PCR反応産物の塩基配列を解読する方法、増幅したDNA2本鎖の間に蛍光物質を入り込ませ発光させる方法等が挙げられるが、本発明はこれらの方法に限定されるものではない。本発明においては、遺伝子増幅処理後に電気泳動を行い、増幅した遺伝子の大きさに対応するバンドの有無を確認する方法が好ましい。
検体にアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌に属する菌類が含まれる場合、本発明のオリゴヌクレオチド対をプライマーセットとして使用してPCR反応を行い、得られたPCR反応産物について電気泳動を行うと、これらの菌類に特異的な約250bpのDNA断片の増幅が認められる。この操作を行うことにより、検体にアスペルギルス フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌に属する菌類が含まれているかを確認することができる。
次に、本発明において、LAMP法を用いてアスペルギルス フミガタス類縁菌の検出を行う場合について説明する。
本発明において目的領域を含むDNA断片をLAMP法によって増幅させる場合、周期的な温度変化制御が不要となるため、等温での相補鎖合成反応が可能である。このため、検体中に含まれる特定の菌類を簡便かつ迅速に検出できる。
LAMP法は、PCR法で不可欠とされる周期的な温度変化制御が不要なループ媒介等温増幅法(国際公開第00/28082号パンフレット)であって、鋳型となるヌクレオチドにプライマーの3’側をアニールさせて相補鎖合成の起点とすると共に、このとき形成されるループにアニールするプライマーを組み合わせることにより、等温での相補鎖合成反応を可能にする。このLAMP法では、鋳型となる核酸の6つの塩基配列領域を認識する少なくとも4つのプライマーが必要とされる。これらのプライマーは、3’側が常に鋳型となるヌクレオチドにアニールするように設計されるため、塩基配列の相補的結合によるチェック機構が繰り返し機能することになり、高感度でかつ特異性の高い核酸の増幅反応が可能となる。
LAMP法に用いられるプライマーが認識する6つの塩基配列領域は、鋳型となるヌクレオチドの5’側から順にF3、F2、F1と呼び、3’側から順にB3c、B2c、B1cと呼び、さらに、F1、F2、F3の相補的な塩基配列をそれぞれF1c、F2c、F3cと呼び、B1c、B2c、B3cの相補的な塩基配列をそれぞれB1、B2、B3と呼ぶ。
上記6つの塩基配列領域は、以下のように選定することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
対象となる菌種遺伝子の塩基配列のアライメントを行い、Primer Explorer V4(栄研化学ホームページ)等のソフトウエアを用いて、複数のプライマーを設計する。それらを合成し、実際にLAMP反応を行い、アスペルギルス フミガタス類縁菌を特異的に検出することができるプライマーを採用した。
詳細には、
1. Clustal Xなどのアラインメントソフトを用いて対象となる菌種の標的領域の塩基配列情報のアライメントファイルを作成する。
2. アライメントファイル中の情報をもとにPrimer Explorer V4(栄研化学ホームページ)を用いてプライマーを設計する。
3. 設計されたプライマーセットの候補の中からより安定(dimer構造をとりにくい)で、伸長方向の先端に変異(種特異的な変異)を多く含むプライマーセットを選択する。特にインナープライマーの伸長方向に多くの変異を含んでいると近縁な種とも区別ができる可能性が高まる。プライマーセットの候補ができない場合には、Tm値やプライマーの塩基数についての設定をゆるく幅を持たせるようにし設計する。
4. 実際に選択したプライマーセットを用いて試験を行い、有効性を確認する。有効性が確認された後、ループプライマーを設計し、より反応時間が短くなるようにする。
LAMP法に用いられるプライマーの設計は、まず、標的領域の塩基配列から上記の6つの塩基配列領域を決定し、その後、後述するインナープライマーF及びB並びにアウタープライマーF及びBを設計する。
LAMP法に用いられる「インナープライマー」とは、標的塩基配列上のある特定のヌクレオチド配列領域を認識し、かつ合成起点を与える塩基配列を3’側に有し、同時にこのプライマーを起点とする核酸合成反応生成物の任意の領域に対して相補的な塩基配列を5’側に有するオリゴヌクレオチドのことをいう。このうち、前記F2領域を3’側に有し、前記F1c領域を5’側に有する塩基配列を含むプライマーをインナープライマーF(以下、FIP)と呼び、前記B2領域を3’側に有し、前記B1c領域を5’側に有する塩基配列を含むプライマーをインナープライマーB(以下、BIP)と呼ぶ。このインナープライマーは、F2領域とF1c領域の間、またはB2領域とB1c領域の間に、塩基数0〜50のいずれかの長さの任意の塩基配列を有していてもよい。
一方、「アウタープライマー」とは、標的塩基配列上の『「ある特定のヌクレオチド配列領域」(例えば前記F2領域またはB2領域)の5'末端側に存在するある特定のヌクレオチド配列領域』を認識かつ合成起点を与える塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、F3領域より選ばれた塩基配列を含むプライマーおよびB3領域より選ばれた塩基配列を含むプライマーが挙げられる。ここで、F3領域より選ばれた塩基配列を含むプライマーをアウタープライマーF(以下、F3プライマー)、B3領域より選ばれた塩基配列を含むプライマーをアウタープライマーB(以下、B3プライマー)と呼ぶ。
ここで、各プライマーにおけるFとは、標的塩基配列のアンチセンス鎖と相補的に結合し、合成起点を提供することを意味するプライマー表示であり、各プライマーにおけるBとは、標的塩基配列のセンス鎖と相補的に結合し、合成起点を提供することを意味するプライマー表示である。
LAMP法における核酸の増幅では、インナープライマー及びアウタープライマーに加え、さらにループプライマー(以下、LF、LB)を好ましく用いることができる。ループプライマーは、LAMP法による増幅生成物の同一鎖上に生じる相補的配列が互いにアニールしてループを形成するとき、このループ内の配列に相補的な塩基配列をその3’側に含むプライマー(二本鎖を構成する各々について1つずつ)のことをいう。すなわち、ダンベル構造の5’側のループ構造の一本鎖部分の塩基配列に相補的な塩基配列を持つプライマーである。このプライマーを用いれば、核酸合成の起点が増加するため、反応時間の短縮と検出感度の上昇が可能となる(国際公開第02/24902号パンフレット)。
ループプライマーの塩基配列は、上記ダンベル構造の5’側のループ構造の一本鎖部分の塩基配列に相補的であれば、標的領域の塩基配列又はその相補鎖から選択されてもよく、他の塩基配列でもよい。また、ループプライマーは1種類であっても、2種類であってもよい。
上記の少なくとも4種以上のプライマーを用いて標的領域を含むDNA断片を増幅すれば、当該DNA断片を特異的かつ効率的に検出可能な量まで増幅することが可能である。このため、増幅産物の有無を確認することによって、特定の菌類を検出することができる。
LAMP法に用いることができるプライマーは、15塩基以上であることが好ましく、20塩基以上であることがさらに好ましい。また、各プライマーは、単一の塩基配列のオリゴヌクレオチドであってもよく、複数の塩基配列のオリゴヌクレオチドの混合物であってもよい。
また、LAMP法に用いることができるアウタープライマーは、標的領域を含むDNA断片を増幅するためにPCR法にも使用できる。PCR法では、上記プライマーを用いて、検体中のβ−チューブリン遺伝子を鋳型に耐熱性のDNAポリメラーゼでPCRを行えば、目的とするDNA断片を増幅させることが可能である。
アスペルギルス フミガタス類縁菌をLAMP法により検出する場合に好ましく用いられるプライマーセットについて説明する。
アスペルギルス レンタス(Aspergillus lentulus)及びアスペルギルス フミシネマタス(Aspergillus fumisynnematus)を特異的に検出するために、下記(g)〜(j)のプライマーからなるプライマーセットを用いるのがより好ましい。

アスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタス検出用プライマーセット
(g)配列番号7に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
(h)配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
(i)配列番号9に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
(j)配列番号10に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー

アスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスを検出するために、上記プライマーに加えてループプライマーを用いるのが好ましい。ループプライマーとしては、下記(k)及び/又は(l)のプライマーを用いるのが好ましい。

アスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタス検出用ループプライマー
(k)配列番号11に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
(l)配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー

図1に、アスペルギルス レンタスのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における、上記プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。
本発明のアスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタス検出用プライマーセットは、LAMP法で検出するのに用いるプライマーセットであって、配列番号7に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号9に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号10に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーとを含むことを特徴とし、このプライマーセットは、配列番号11及び/又は配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーをさらに含むことが好ましい。このプライマーセットを用いることにより、アスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスのβ−チューブリン遺伝子の標的領域を含むDNA断片をLAMP法により特異的、迅速かつ高感度に増幅することができる。このため、当該DNA断片の増幅が確認された場合には、検体中にアスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスが存在すると判断できる。
アスペルギルス ウダガワエ(Aspergillus udagawae)を特異的に検出するために、下記(m)〜(p)のプライマーからなるプライマーセットを用いるのがより好ましい。

アスペルギルス ウダガワエ検出用プライマーセット
(m)配列番号13に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
(n)配列番号14に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
(o)配列番号15に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
(p)配列番号16に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー

アスペルギルス ウダガワエを検出するために、上記プライマーに加えてループプライマーを用いるのが好ましい。ループプライマーとしては、下記(q)及び/又は(r)のプライマープライマーを用いるのが好ましい。

アスペルギルス ウダガワエ検出用ループプライマー
(q)配列番号17に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー
(r)配列番号18に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー

図2に、アスペルギルス ウダガワエのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における、上記プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。
本発明のアスペルギルス ウダガワエ検出用プライマーセットは、LAMP法で検出するのに用いるプライマーセットであって、配列番号13に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号14に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号15に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーと、配列番号16に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーとを含むことを特徴とし、このプライマーセットは、配列番号17及び/又は配列番号18に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーをさらに含むことが好ましい。このプライマーセットを用いることにより、アスペルギルス ウダガワエのβ−チューブリン遺伝子の標的領域を含むDNA断片をLAMP法により特異的、迅速かつ高感度に増幅することができる。このため、当該DNA断片の増幅が確認された場合には、検体中にアスペルギルス ウダガワエが存在すると判断できる。
また、本発明のアスペルギルス フミガタス類縁菌検出用オリゴヌクレオチドは、β−チューブリン遺伝子の塩基配列から選択される標的領域の5’側から、塩基配列領域としてF3、F2及びF1を選択し、前記標的領域の3’側から、塩基配列領域としてB3c、B2c及びB1cを選択し、前記B3c、B2c及びB1cの相補的塩基配列を、それぞれB3、B2及びB1とし、前記F3、F2及びF1に相補的な塩基配列を、それぞれF3c、F2c及びF1cとしたとき、以下の(a)〜(f)のいずれかに該当する塩基配列からなるオリゴヌクレオチドであることが好ましい。
(a)前記B2領域を3’側に有し、前記B1c領域を5’側に有する塩基配列
(b)前記B3領域を有する塩基配列
(c)前記F2領域を3’側に有し、前記F1c領域を5’側に有する塩基配列
(d)前記F3領域を有する塩基配列
(e)前記B1領域と前記B2領域の間の部分と相補的な配列を有する塩基配列
(f)前記F1領域と前記F2領域の間の部分と相補的な配列を有する塩基配列
本発明のオリゴヌクレオチドは、LAMP法で用いられるプライマーとしてだけではなく、PCR法等のプライマー、核酸検出用プローブなどとしても用いることができる。
標的領域を含むDNA断片をLAMP法により増幅させる場合に用いられる酵素は、通常用いられるものであれば特に制限はないが、鎖置換活性を有する鋳型依存性核酸合成酵素が好ましい。このような酵素としては、Bst DNAポリメラーゼ(ラージフラグメント)、Bca(exo−)DNAポリメラーゼ、大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント等が挙げられ、好ましくはBst DNAポリメラーゼ(ラージフラグメント)が挙げられる。本発明に用いることができる酵素は、ウイルスや細菌等から精製されたものでもよく、遺伝子組換え技術によって作製されたものでもよい。またこれらの酵素はフラグメント化やアミノ酸の置換等の改変をされたものでもよい。
標的領域を含むDNA断片をLAMP法により増幅させるときの温度に特に制限はないが、60〜65℃であることが好ましい。
標的領域を含むDNA断片の増幅は通常の方法により確認することができる。前記標的領域を含むDNA断片をLAMP法によって増幅させる場合には、例えば、増幅された塩基配列を特異的に認識する標識オリゴヌクレオチドをプローブに用いてハイブリダイゼーションを行ったり、蛍光性インターカレーター法(特開2001−242169号公報)で検出したり、あるいは、反応終了後の反応液をそのままアガロースゲルで電気泳動してバンドとして検出することもできる。アガロースゲル電気泳動では、LAMP法増幅産物は塩基長の異なる多数のバンドがラダー(はしご)状に検出される。
また、LAMP法では核酸の合成により基質が大量に消費され、副産物であるピロリン酸イオンが、共存するマグネシウムイオンと反応してピロリン酸マグネシウムが算出される。ピロリン酸マグネシウムが算出されると、反応液が肉眼で確認できる程度にまで白濁する。この白濁を指標として、反応終了後あるいは反応中の濁度上昇を経時的に光学的に観察できる測定機器を用いて核酸の増幅反応を検出できる。例えば、分光光度計を用いて400nmにおける吸光度の変化を確認することによって、核酸の増幅反応を検出することができる(国際公開第01/83817号パンフレット)。
本発明に用いられる前記検出用オリゴヌクレオチド、核酸プライマーおよび核酸プローブは、設計した配列を基にして化学合成したり、試薬メーカーから購入することができる。具体的には、オリゴヌクレオチド合成装置等を用いて合成することができる。また、合成後、吸着カラム、高速液体クロマトグラフィーや電気泳動法を用いて精製したものを用いることもできる。また、1ないし数個の塩基が置換、欠失、挿入若しくは付加された塩基配列を有するオリゴヌクレオチドについても、公知の方法を使用して合成できる。
上記検出用オリゴヌクレオチド、核酸プライマーおよび核酸プローブの結合様式は、天然の核酸に存在するホスホジエステル結合だけでなく、例えばホスホロアミデート結合、ホスホロチオエート結合等であってもよい。
本発明において使用される検体としては特に制限はなく、飲食品自体、飲食品の原材料、単離菌体、培養菌体等を用いることができる。
検体からDNAを調製する方法としては、アスペルギルス フミガタス類縁菌の検出を行うのに十分な精製度および量のDNAが得られるのであれば特に制限されず、未精製の状態でも使用できるが、さらに分離、抽出、濃縮、精製等の前処理をして使用することもできる。例えば、フェノール及びクロロホルム抽出を行って精製したり、市販の抽出キットを用いて精製して、核酸の純度を高めて使用することができる。
本発明の前記検出用オリゴヌクレオチド、核酸プローブまたは核酸プライマーは、アスペルギルス フミガタス類縁菌の検出を行う際に必要な各種の試薬類とともに予めパッケージングして、アスペルギルス フミガタス類縁菌検出用キットとすることができる。
例えば、本発明のキットには、LAMP法に用いることができる上記(g)〜(j)のプライマーセット及び/又は上記(m)〜(p)のプライマーセットと、DNAポリメラーゼと、dATP、dCTP、dGTP及びdTTPを含むdNTPとを含有する。好ましくは、上記(g)〜(l)のプライマーセット及び/又は上記(m)〜(r)のプライマーセット、核酸合成の基質となる4種類のdNTP(dATP、dCTP、dGTP及びdTTP)、鎖置換活性を有する鋳型依存性核酸合成酵素などのDNAポリメラーゼと、酵素反応に好適な条件を与える緩衝液、補助因子としての塩類(マグネシウム塩又はマンガン塩等)、酵素や鋳型を安定化する保護剤、さらに必要に応じて反応生成物の検出に必要な試薬類がキットとして含有される。本発明のキットには、本発明のプライマーによってLAMP反応が正常に進行することを確認するための陽性対照(ポジティブコントロール)を含んでいてもよい。陽性対照としては、例えば、本発明の方法により増幅される領域を含んだDNAが挙げられる。
また、本発明の検出用キットは、前記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチド対及び/または前記(e)及び(f)のオリゴヌクレオチド対を核酸プライマーとして含有するものである。このキットは、PCR法によりアスペルギルス フミガタス類縁菌を検出する方法に好ましく用いることができる。本発明のキットは、前記核酸プライマーの他に、目的に応じ、標識検出物質、緩衝液、核酸合成酵素(DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、逆転写酵素等)、酵素基質(dNTP,rNTP等)等、菌類の検出に通常用いられる物質を含有する。
本発明の方法によれば、検体の調製工程から菌類の検出工程までを約60〜120分という短時間で行うことが可能である。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1 アスペルギルス フミガタス類縁菌に特異的な塩基配列の解析
下記の方法によりアスペルギルス属に属する各菌類のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列を決定した。ポテトデキストロース寒天斜面培地にて25℃、7日間、暗所培養したアスペルギルス フミガタス類縁菌体からGenとるくんTM(タカラバイオ(株)社製)を使用し、DNAを抽出した。目的とする部位のPCR増幅は、PuRe TaqTM Ready-To-Go PCR Beads(GE Health Care UK LTD製)を用いて、プライマーとして、Bt2a(5'-GGTAACCAAATCGGTGCTGCTTTC-3'、配列番号19)、Bt2b(5'-ACCCTCAGTGTAGTGACCCTTGGC-3'、配列番号20)(Glass and Donaldson,Appl Environ Microbiol 61:1323−1330,1995)を使用した。増幅条件は、変性温度95℃、アニリング温度59℃、伸長温度72℃、35サイクルで実施した。PCR産物は、Auto SegTM G-50(Amersham Pharmacia Biotech社製)を使用し精製した。PCR産物は、BigDye terminator Ver. 1.1(商品名、Applied Biosystems社製)を使用してラベル化し、ABI PRISM 3130 Genetic Analyzer(Applied Biosystems社製)で電気泳動を実施した。電気泳動時の蛍光シグナルからの塩基配列の決定には、ソフトウエアー‘ATGC Ver. 4’(Genetyx社製)を使用した。
シークエンシング法により決定した各種菌類(アスペルギルス フミガタス(特願2008-139999参照)、アスペルギルス レンタス、アスペルギルス ウダガワエ、アスペルギルス ニガー(アクセッションナンバー:AY585535)、ハミゲラ アベラネラ(特願2008-139999参照)、ビソクラミス ニベア(特願2008-139999参照))のβ−チューブリン遺伝子の塩基配列情報をもとに、DNA解析ソフトウエア(商品名:DNAsis pro、日立ソフトウエア社製)を用いてアライメント解析を行い、アスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスに特異的な塩基配列(配列番号1)、及びアスペルギルス ウダガワエに特異的な塩基配列(配列番号2)を特定した。
実施例2 PCR法によるアスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスの検出
(1)プライマーの調製
実施例1で得られたアスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスに特異的な塩基配列領域(配列番号1)のうち、3´末端側でアスペルギルス レンタスグループの特異性が特に高い領域から、1)グループ固有の塩基配列が10塩基前後連続している、2)GC含量が概ね30%〜80%となる、3)自己アニールの可能性が低い、4)Tm値が概ね55〜65℃程度となる、の4つの条件を満たす部位の検討を行った。この部分領域の塩基配列を基にして1組のプライマー対を設計し、各種菌体から抽出したDNAを用いてPCR反応によるアスペルギルス レンタスグループ検出の有効性、すなわち、アスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスのDNAを鋳型とした反応では約300bpDNA増幅反応が認められ、その他の菌類のゲノムDNAを鋳型とした反応では増幅産物が認められないことの検討を行った。その結果、設計したプライマー対の有効性を確認した。配列番号3及び4記載の塩基配列で示されるオリゴヌクレオチドが、このプライマー対である。なお、使用したプライマーはシグマ アルドリッチ ジャパン社に合成依頼し(脱塩精製品、0.02μmolスケール)、購入したものである。
(2)検体の調製
アスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスとしては、表1に記載の菌株を使用した。アスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスのβ−チューブリン遺伝子に対する配列番号3及び4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー特異性を示すために、表1に示す他のアスペルギルス フミガタス類縁菌および他の菌類も使用した。これらの菌類は千葉大学医学部真菌医学研究センターが保管し、IFMナンバーなどにより管理されているものを入手し、使用した。
各菌体を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて25℃で7日間培養した。
(3)ゲノムDNAの調製
各菌体を寒天培地から白金耳を用いて回収した。
ゲノムDNA調製用キット(アプライドバイオシステムズ社製PrepMan ultra(商品名))を用いて、回収した菌体からゲノムDNA溶液を調製した。DNA溶液の濃度は50ng/μlに調製した。
(4)PCR反応
DNAテンプレートとして、上記で調製したゲノムDNA溶液1μl、Pre Mix Taq(商品名、タカラバイオ社製)13μl、無菌蒸留水10μlを混合し、配列番号3に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(Al1Fプライマー:GTGTTCAGCTTCGCTGCCATGA、20pmol/μl)0.5μl及び配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(Al1Rプライマー:GTCAGACCGTGGGATGTTGTCA、20pmol/μl)0.5μlを加え、25μlのPCR反応液を調製した。
PCR反応液について、自動遺伝子増幅装置サーマルサイクラーDICE(タカラバイオ)を用いて遺伝子増幅処理を行った。PCR反応条件は、(i)98℃、10秒間の熱変性反応、(ii)63℃、1分間のアニーリング反応、および(iii)72℃、1分間の伸長反応を1サイクルとしたものを30サイクル行った。
(5)増幅した遺伝子断片の確認
PCR反応後、PCR反応液から10μlを分取し、2%アガロースゲルで電気泳動を行い、SYBR Safe DNA gel stain in 1×TAE(インビトロジェン)でDNAを染色後、紫外線下で蛍光を検出することにより増幅されたDNA断片の有無を確認した。アガロースゲルの電気泳動図を図3に示す。図中の番号は表1記載の対応する試料番号の試料から抽出したDNAを用いて反応を行ったサンプルであることを示している。
その結果アスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスのゲノムDNAを含む試料(試料番号1〜6)では、約250bp程度の遺伝子断片の増幅が確認された。一方、アスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスのゲノムDNAを含まない試料では、遺伝子断片の増幅は確認されなかった。以上の結果から、本発明のオリゴヌクレオチドを用いることによって、アスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスを特異的に検出することができる。
実施例3 PCR法によるアスペルギルス ウダガワエの検出
(1)プライマーの調製
実施例1で得られたアスペルギルス ウダガワエグループに特異的な塩基配列領域(配列番号2)のうち、3´末端側でアスペルギルス ウダガワエグループの特異性が特に高い領域から、1)グループ固有の塩基配列が10塩基前後連続している、2)GC含量が概ね30%〜80%となる、3)自己アニールの可能性が低い、4)Tm値が概ね55〜65℃程度となる、の4つの条件を満たす部位の検討を行った。この部分領域の塩基配列を基にして1組のプライマー対を設計し、各種菌体から抽出したDNAを用いてPCR反応によるアスペルギルス ウダガワエグループ検出の有効性、すなわち、アスペルギルス ウダガワエのDNAを鋳型とした反応では約250bpDNA増幅反応が認められ、その他の菌類のゲノムDNAを鋳型とした反応では増幅産物が認められないことの検討を行った。その結果、設計したプライマー対の有効性を確認した。配列番号5及び6記載の塩基配列で示されるオリゴヌクレオチドげ、このプライマー対である。なお、使用したプライマー対はシグマ アルドリッチ ジャパン社に合成依頼し(脱塩精製品、0.02μmolスケール)、購入したものである。
(2)検体の調製
アスペルギルス ウダガワエとしては、表2に記載の菌株を使用した。アスペルギルス ウダガワエのβ−チューブリン遺伝子に対する配列番号5及び6に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー特異性を示すために、表2に示す他のアスペルギルス フミガタス類縁菌および他の菌類も使用した。これらの菌類は千葉大学医学部真菌医学研究センターが保管し、IFMナンバーなどにより管理されているものを入手し、使用した。
各菌体を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて25℃で7日間培養した。
(3)ゲノムDNAの調製
各菌体を寒天培地から白金耳を用いて回収した。
ゲノムDNA調製用キット(アプライドバイオシステムズ社製PrepMan ultra(商品名))を用いて、回収した菌体からゲノムDNA溶液を調製した。DNA溶液の濃度は50ng/μlに調製した。
(4)PCR反応
DNAテンプレートとして、上記で調製したゲノムDNA溶液1μl、Pre Mix Taq(商品名、タカラバイオ社製)13μl、無菌蒸留水10μlを混合し、配列番号5に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(Asp1Fプライマー:CCATGGTTTCAGCGTCGCTTTG、20pmol/μl)0.5μl及び配列番号6に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(Asp1Rプライマー:GTAGTGTAGAGTCGAGTTTC、20pmol/μl)0.5μlを加え、25μlのPCR反応液を調製した。
PCR反応液について、自動遺伝子増幅装置サーマルサイクラーDICE(タカラバイオ)を用いて遺伝子増幅処理を行った。PCR反応条件は、(i)98℃、10秒間の熱変性反応、(ii)63℃、1分間のアニーリング反応、および(iii)72℃、1分間の伸長反応を1サイクルとしたものを30サイクル行った。
(5)増幅した遺伝子断片の確認
PCR反応後、PCR反応液から10μlを分取し、2%アガロースゲルで電気泳動を行い、SYBR Safe DNA gel stain in 1×TAE(インビトロジェン)でDNAを染色後、紫外線下で蛍光を検出することにより増幅されたDNA断片の有無を確認した。アガロースゲルの電気泳動図を図4に示す。図中の番号は表2記載の対応する試料番号の試料から抽出したDNAを用いて反応を行ったサンプルであることを示している。
その結果アスペルギルス ウダガワエのゲノムDNAを含む試料(試料番号1〜4)では、約250bp程度の遺伝子断片の増幅が確認された。一方、アスペルギルス ウダガワエのゲノムDNAを含まない試料では、遺伝子断片の増幅は確認されなかった。以上の結果から、本発明のオリゴヌクレオチドを用いることによって、アスペルギルス ウダガワエを特異的に検出することができる。
実施例4 LAMP法によるアスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスの検出
(1)プライマーの設計及び合成
実施例1で得られたアスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスに特異的な塩基配列領域(配列番号1)をもとに、LAMP法プライマー設計支援ソフトウェアPrimer ExplorerV4を用いて、4セットのLAMPプライマー対を設計した。各種菌体から抽出したDNAを用いて、これら4セットのプライマー対についてそれぞれ、LAMP法によるアスペルギルス レンタスグループ検出の有効性を検討したところ、そのうちの1つのプライマー対で有効性を確認した。配列番号7〜12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドはそのプライマー対である。なお、使用したプライマーはE Genome order(株式会社富士通システムソリューションズ、配列番号7,8;5pmolスケール、配列番号9,10;40pmolスケール、配列番号11,12:20pmolスケール;全てカラム精製品)に合成依頼し、購入したものである。
(2)検体の調製
アスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスとしては、表3に記載の菌株を使用した。アスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスのβ−チューブリン遺伝子に対する配列番号7〜12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーの特異性を確かめるために、表3に示す他のアスペルギルス フミガタス類縁菌および他の菌類も使用した。これらの菌類は千葉大学医学部真菌医学研究センターが保管し、IFMナンバーなどにより管理されているものを入手し、使用した。
各菌体を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて25℃で7日間培養した。
(3)ゲノムDNAの調製
ゲノムDNA調製用キット(商品名 PrepMan ultra、アプライドバイオ社製)を用いて、菌体からゲノムDNA溶液を調製した。具体的には、各培地から数個のコロニーを採取し、キットの付属試薬200μlに菌体を懸濁し、100℃、10分間の加熱処理で菌体を溶解させ、14800rpmで5分間遠心分離した後、上清を回収した。得られたゲノムDNA溶液の濃度は50ng/μlに調製した。このゲノムDNA溶液を鋳型DNAとして、以下のLAMP反応に用いた。
(4)LAMP反応のための反応液調製
2x Reaction Mix(Tris−HCl(pH8.8) 40mM、KCl 20mM、MgSO 16mM、(NHSO 20mM、0.2%Tween20、Betaine 1.6M、dNTPs 2.8mM:栄研化学株式会社;Loopamp DNA増幅試薬キット)12.5μl、配列番号7に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LAl3F3プライマー:TCTCCACCTCAATGCTAGGA、5pmol/μl)1μl、配列番号8に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LAl3B3プライマー:ACGCGTCCTCTTCTTCCTT、5pmol/μl)1μl、配列番号9に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LAl3FIPプライマー:CTCATGGCAGCGAAGCTGAACAGGAGACTGGGACCTGTCATC、40pmol/μl)1μl、配列番号10に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LAl3BIPプライマー:TTGACGGCTCTGGCCAGTAAGGCCTTACGTGTTTCCGCC、40pmol/μl)1μl、配列番号11に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LAl3LFループプライマー:CATGGAGGACAGCCTGCT、20pmol/μl)1μl、配列番号12に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LAl3LBループプライマー:TCGACCTATATCCTCCCAATTGA、20pmol/μl)1μl、Bst DNA Polymerase(8U/25μL、栄研化学株式会社製)1μl、および上記で調製した鋳型DNA 1μlを混合し、蒸留水を加えて全量25μlの反応液とした。
(5)LAMP反応
上記で調製した反応液を、リアルタイム濁度測定装置Loopamp RT−160C(栄研化学株式会社製)にて、63±2℃で60分間DNAの増幅反応を行った。同時に反応液の濁度を測定した(波長:400nm)。
(6)DNA増幅確認
DNAの増幅の有無は、反応液の濁度が上昇しているかによって判断した。反応液の濁度の測定結果を、図5および図6に示す。
その結果、アスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスのゲノムDNAを鋳型とした系(試料番号1〜4)のみで、反応開始20分前後から濁度の上昇、すなわちDNAの合成・増幅反応が認められた。
一方、その他の菌類のゲノムDNAを用いた系、すなわち他のアスペルギルス属(試料番号5アスペルギルス ブレビペス、試料番号6アスペルギルス ドリキャリス、試料番号7アスペルギルス フミガタフィニス、試料番号8アスペルギルス フミガタス、試料番号9アスペルギルス ノボフミガタス、試料番号10アスペルギルス ウダガワエ、試料番号11アスペルギルス ウニラテラリス、試料番号12アスペルギルス ビリデヌタンス)やネオサルトリア属(資料番号13ネオサルトリア フィシェリ、試料番号14ネオサルトリア スピノサ、試料番号15ネオサルトリア グラブラ、試料番号16ネオサルトリア ヒラツカエ)では、反応開始後100分までの間、反応液の濁度の上昇は認められなかった。なお、反応開始100分前後から、アスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタス以外のゲノムDNAを用いた系においても反応液の濁度上昇が観察されたが、これは経時的にプラマー同士の非特異的な反応が発生したため、あるいは反応時間が長いと、ターゲット以外の部分にも少数のプライマーが反応してしまったためと考えられる。
以上の結果から、本発明の方法によれば、簡便、迅速かつ特異的にアスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスを検出することが可能である。
実施例5 LAMP法によるアスペルギルス ウダガワエの検出
(1)プライマーの設計及び合成
実施例1で得られたアスペルギルス ウダガワエグループに特異的な塩基配列領域(配列番号2)をもとに、LAMP法プライマー設計支援ソフトウェアPrimer ExplorerV4を用いて3セットのLAMPプライマーを設計した。各種菌体から抽出したDNAを用いて、これら3セットのプライマー対についてそれぞれ、LAMP法によるアスペルギルス ウダガワエグループ検出の有効性を検討したところ、そのうち1セットのプライマー対で有効性を確認した。配列番号13〜18に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドはそのプライマー対である。なお、使用したプライマーはE Genome order(株式会社富士通システムソリューションズ、配列番号13,14;5pmolスケール、配列番号15,16;40pmolスケール、配列番号17,18:20pmolスケール;全てカラム精製品)に合成依頼し、購入したものである。
(2)検体の調製
アスペルギルス ウダガワエとしては、表4に記載の菌株を使用した。アスペルギルス ウダガワエのβ−チューブリン遺伝子に対する配列番号13〜18に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマーの特異性を確かめるために、表4に示す他のアスペルギルス フミガタス類縁菌および他の菌類も使用した。これらの菌類は千葉大学医学部真菌医学研究センターが保管し、IFMナンバーなどにより管理されているものを入手し、使用した。
各菌体を至適条件下で培養した。培養条件についてはポテトデキストロース培地(商品名:パールコア ポテトデキストロース寒天培地、栄研化学株式会社製)を用いて25℃で7日間培養した。
(3)ゲノムDNAの調製
ゲノムDNA調製用キット(商品名 PrepMan ultra、アプライドバイオ社製)を用いて、菌体からゲノムDNA溶液を調製した。具体的には、各培地から数個のコロニーを採取し、キットの付属試薬200μlに菌体を懸濁し、100℃、10分間の加熱処理で菌体を溶解させ、14800rpmで5分間遠心分離した後、上清を回収した。得られたゲノムDNA溶液の濃度は50ng/μlに調製した。このゲノムDNA溶液を鋳型DNAとして、以下のLAMP反応に用いた。
(4)LAMP反応のための反応液調製
2x Reaction Mix(Tris−HCl(pH8.8) 40mM、KCl 20mM、MgSO 16mM、(NHSO 20mM、0.2%Tween20、Betaine 1.6M、dNTPs 2.8mM:栄研化学株式会社;Loopamp DNA増幅試薬キット)12.5μl、配列番号13に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LAsp3F3プライマー:AGGACCTGTCATCCTAGCA、5pmol/μl)1μl、配列番号14に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LAsp3B3プライマー:ATCCTCATCAGACACGCGC、5pmol/μl)1μl、配列番号15に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LAsp3FIPプライマー:TCACCAGAGATGGTCTGCCTGTTTTCCTCCATGGTTTCAGCG、40pmol/μl)1μl、配列番号16に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LAsp3BIPプライマー:CTTGACGGCTCTGGCCAGTATTCCTGCTTGCCTTTCGC、40pmol/μl)1μl、配列番号17に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LAsp3LFループプライマー:TTTGTTAGCTGATACCCATCAAAGC、20pmol/μl)1μl、配列番号18に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチドからなるプライマー(LAsp3LBループプライマー:TCCTCCCAATTGAGAAAGCGGG、20pmol/μl)1μl、Bst DNA Polymerase(8U/25μL、栄研化学株式会社製)1μl、および上記で調製した鋳型DNA 1μlを混合し、蒸留水を加えて全量25μlの反応液とした。
(5)LAMP反応
上記で調製した反応液を、リアルタイム濁度測定装置Loopamp RT−160C(栄研化学株式会社製)にて、63±2℃で60分間DNAの増幅反応を行った。同時に反応液の濁度を測定した(波長:400nm)。
(6)DNA増幅確認
DNAの増幅の有無は、反応液の濁度が上昇しているかによって判断した。反応液の濁度の測定結果を、図7および図8に示す。
その結果、アスペルギルス ウダガワエのゲノムDNAを鋳型とした系(試料番号1〜3)のみで、反応開始20分前後から濁度の上昇、すなわちDNAの合成・増幅反応が認められた。
一方、その他の菌類のゲノムDNAを用いた系、すなわちその他のアスペルギルス属(試料番号4アスペルギルス ブレビペス、試料番号5アスペルギルス ドリキャリス、試料番号6、アスペルギルス フミガタフィニス、試料番号7アスペルギルス フミガタス、試料番号8アスペルギルス フミシネマタス、試料番号9アスペルギルス レンタス、試料番号10アスペルギルス ノボフミガタス、試料番号11アスペルギルス ウニラテラリス)やネオサルトリア属(資料番号13ネオサルトリア フィシェリ、試料番号14ネオサルトリア スピノサ、試料番号15ネオサルトリア グラブラ、試料番号16ネオサルトリア ヒラツカエ)では、反応開始後70分までの間、反応液の濁度の上昇は認められなかった。なお、反応開始70分前後から、アスペルギルス ウダガワエ以外のゲノムDNAを用いた系においても反応液の濁度上昇が観察されたが、これは経時的にプラマー同士の非特異的な反応が発生したため、あるいは反応時間が長いと、ターゲット以外の部分にも少数のプライマーが反応してしまったためと考えられる。
以上の結果から、本発明の方法によれば、簡便、迅速かつ特異的にアスペルギルス ウダガワエを検出することが可能である。
アスペルギルス レンタスのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における、アスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタス検出用プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。 アスペルギルス ウダガワエのβ−チューブリン遺伝子の塩基配列における、アスペルギルス ウダガワエ検出用プライマーが認識する塩基配列の位置関係を示す。 実施例2における、PCR産物の電気泳動図である。 実施例3における、PCR産物の電気泳動図である。 実施例4における、リアルタイム濁度法によるアスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスの検出感度を示す図である。1はAspergillus lentulus A170株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、2はAspergillus lentulus AS10株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、3はAspergillus fumisynnematus A234株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、4はAspergillus fumisynnematus A240株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、8はAspergillus fumigatus A215株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示す。 実施例4における、リアルタイム濁度法によるアスペルギルス レンタス及びアスペルギルス フミシネマタスの検出感度を示す図である。10はAspergillus udagawae A221株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、16はNeosartorya hiratsukae IFM47036株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示す。 実施例5における、リアルタイム濁度法によるアスペルギルス ウダガワエの検出感度を示す図である。1はAspergillus udagawae A221株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、2はAspergillus udagawae N73株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、3はAspergillus udagawae A19株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示す。 実施例5における、リアルタイム濁度法によるアスペルギルス ウダガワエの検出感度を示す図である。9はAspergillus lentulus A170株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、11はAspergillus unilateralis A131株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、12はAspergillus viridinutans A132株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、13はNeosartorya ficheri A213株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示し、14はNeosartorya spinosa IFM46945株由来のゲノムDNAを用いたサンプルの検出感度を示す。

Claims (3)

  1. アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌の検出方法であって、
    前記アスペルギルス・フミガタス類縁菌がアスペルギルス・レンタス(Aspergillus lentulus)及びアスペルギルス・フミシネマタス(Aspergillus fumisynnematus)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    下記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドを核酸プライマーとして用いてβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列で表される核酸をポリメラーゼ連鎖反応法により増幅し、増幅産物の有無を確認して同定を行い、アスペルギルス・フミガタス類縁菌を検出する、アスペルギルス・フミガタス類縁菌の検出方法。
    (c)配列番号3に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチ
    (d)配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチ
  2. アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌検出用オリゴヌクレオチド対であって、
    前記オリゴヌクレオチド対が核酸プライマー対であり、
    前記アスペルギルス・フミガタス類縁菌がアスペルギルス・レンタス(Aspergillus lentulus)及びアスペルギルス・フミシネマタス(Aspergillus fumisynnematus)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    下記の(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドからなり、
    前記アスペルギルス・フミガタス類縁菌のβ−チューブリン遺伝子の部分塩基配列で表される核酸にハイブリダイズすることができ、アスペルギルス・フミガタス類縁菌を特異的に検出するための核酸プライマーとして機能し得る、アスペルギルス・フミガタス類縁菌検出用オリゴヌクレオチド対。
    (c)配列番号3に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチ
    (d)配列番号4に記載の塩基配列で表されるオリゴヌクレオチ
  3. 核酸プライマー対として請求項記載のオリゴヌクレオチド対を含む、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)類縁菌検出用キット。
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