JP2004344065A - オリゴヌクレオチド及びそれを用いた結核菌群の検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】結核菌または結核菌群遺伝子を迅速、特異的、かつ、高感度に検出するLAMP反応用の一本鎖オリゴヌクレオチドプライマーとそれを用いたLAMP法による結核菌群検出方法を提供することにある。
【解決手段】16S rRNA遺伝子配列のうち、結核菌および結核菌群には相同性が高いが、非定型抗酸菌とは相同性の低い配列と相補的な一本鎖オリゴヌクレオチドプライマー、および、このプライマーを用いたLAMP反応による結核菌および結核菌群遺伝子の増幅および検出方法。
【選択図】 なし
【解決手段】16S rRNA遺伝子配列のうち、結核菌および結核菌群には相同性が高いが、非定型抗酸菌とは相同性の低い配列と相補的な一本鎖オリゴヌクレオチドプライマー、および、このプライマーを用いたLAMP反応による結核菌および結核菌群遺伝子の増幅および検出方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、結核菌群を短時間に特異的に検出するオリオヌクレチド、及び該オリオヌクレチドをプライナーとして用いたLAMP法により結核菌群の核酸を増幅する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
結核は、かつて日本において、国民病とも言われ、年間死者が10万人を超えることもあった。衛生状態の改善、集団検診やBCG接種等の感染予防の徹底、感染者の隔離治療による感染拡大の防止措置が計られ患者数は著しく低下したものの、1997年の人口10万人対の罹患率および死者率は、それぞれ33.9、2.2でありの国内における主要な感染症の一つとなっている。結核の病原菌は、抗酸菌種のMycobacterium属(抗酸菌)に含まれる結核菌(マイコバクテリウム・ツベルクローシス:M.tuberculosis)である。BCG菌、マイコバクテリウム・ボバイス(M.bovis)、マイコバクテリウム・アフリカーナム(M.africanum)、マイコバクテリウム・ミクロッチ(M.microti)とを加えて結核菌群(Mycobacteriu tuberculosis complex)と称されている。
【0003】
この結核菌を検出する方法としては、チール・ ネールゼン(Ziehl−Neelsen)染色による検鏡法、コールド式抗酸菌染色による鏡検法があるが、低感度であり、また、煩雑な手操作を要する。培地を用いた培養法もあるが、結核菌が2分裂に要する時間は10〜15時間を要するため、検体から判定を行うのに必要量の結核菌を得るまでに2〜4週間を要する。この問題点を解決するため、近年、核酸増幅技術を応用した結核菌ゲノムDNAを検出する技術が開発されている。
【0004】
核酸増幅技術として、PCR(Polymerase Chain Reaction)法がある。これは標的とする核酸配列に相補的な1対のオリゴヌクレオチドプライマーとTaqポリメラーゼなど耐熱性のDNA合成酵素を使い、Thermal Cyclingにて標的核酸を短時間に増幅させる技術である。しかし、このPCR法をもってしても、試料の調製から増幅結果の判定までに3時間程度を要し、POCT(医療現場診断)に有用とは言い難く、より迅速に、かつ、高感度に標的となる核酸を増幅・検出する技術が求められている。
【0005】
LAMPとはLoop−Mediated Isothermal Amplificationの略で、Notomiらによって開発された簡易・迅速・精確・安価に核酸を増幅する技術で、日本特許番号第3313358号、Nucleic Acids Research, 28, e63, 2000、Biochemical and Biophysical Research Communications, 290, 1195−1198, 2002、Clinical Chemistry, 47, No.9, 1742−1743, 2001に報告されている。これは1対のインナープライマーと1対のアウタープライマーを併せた2対計4種のプライマー、あるいは、これに1対のループプライマーを加えた3対計6種のプライマーと、鎖置換型DNAポリメラーゼとを使って通常20分〜60分程度で鋳型となる核酸を増幅する方法である。PCR法と違い、増幅反応が一定温度なのが特徴で、増幅効率もPCRよりよいとされている。
LAMP反応の検出は、LAMP増幅産物をアガロースゲル電気泳動にかけてLAMP反応に特徴的なラダーのバンドを確認する方法や、LAMP反応産物にエチジウムブロマイドやSYBR Green I等の核酸インターカレーターを添加して検出する方法がある。また、LAMP反応時の生成物であるピロリン酸と反応バッファー中のマグネシウムイオンにて生じる沈殿物を検出する方法が国際公開番号WO01/83817 A1、および、Biochemical and Biophysical Research Communications, 289, 150−154, 2002に示されている。
【0006】
日本特許第2976406号に、rRNA遺伝子にて非ウィルス性の生物を検出・同定する方法が記載されている。ウィルスを除くあらゆる細胞はリボソームを含み、従ってゲノム上にrRNA遺伝子がコードされている。rRNA遺伝子は種々の生物間にて相同性の高い保存された配列と、相同性が低く特異性の高い配列とを有しており、様々な生物種の検出および同定に極めて有用である。
【0007】
LAMP法にてrRNA遺伝子ファミリーの一つである16S rRNA遺伝子の部分配列を増幅して結核菌の同定を行う方法が、2002年 第49回日本臨床検査医学会総会において、藤田保健衛生大学病院臨床検査部のKitaharaらよって報告された(Rinsho Byori, 50(Suppl.), 188, 2002)。Kitaharaらの報告によると、結核菌の16S rRNA遺伝子のうち結核菌群によく保存され相同性の高く、一方で他の非定型抗酸菌とは相同性の低い配列に対してLAMP反応用のプライマーを設計し、これを使ってLAMP反応を行った。Primer No.16と称されるLAMPプライマーセットにて、非定型抗酸菌および一般細菌のゲノムDNAは増幅することなく、M.tuberculosis、および、M.bovisを弱毒化したBCG菌のゲノムだけを特異的に、反応時間60分にて増幅する事が出来、その検出感度がおよそ103個の細胞相当であることが報告された。一方、Primer No.11と称されるLAMPプライマーセットでは高い検出感度(10個の細胞相当)を示したが、結核菌群以外の非定型抗酸菌の一部とも交差性を示し高い特異性を得るには至らなかった。
【0008】
つまり、LMAP法を用いて結核菌および結核菌群の核酸の増幅および同定が試みられたが、▲1▼高い検出感度、▲2▼高い特異性(結核菌または結核菌群の核酸だけを増幅)、▲3▼短時間(POCT実現可能な30分以内)での増幅、を満たすプライマーの開発には至っていない。
【0009】
【特許文献1】
日本特許第3313358号
【特許文献2】
国際公開番号WO 01/83817 A1
【特許文献3】
日本特許第2976406号
【非特許文献1】
Nucleic Acids Research, 28, e63, 2000
【非特許文献2】
Biochemical and Biophysical Research Communications, 290, 1195−1198, 2002
【非特許文献3】
Clinical Chemistry, 47, No.9, 1742−1743, 2001
【非特許文献4】
Biochemical and Biophysical Research Communications, 289, 150−154, 2002
【非特許文献5】
Rinsho Byori, 50(Suppl.), 188, 2002
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、高い検出感度、高い特異性、短時間での増幅、を満たす結核菌または結核菌群検出LAMP反応用のプライマー、およびそれを用いたLAMP法による結核菌群を迅速に検出する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく種々検討した結果、迅速・特異的・高感度に結核菌群の検出を行うためのLAMP法用のオリゴヌクレオチドプライマーとそれを用いたLAMP法による結核菌群を特異的に検出する方法の開発に成功し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、以下の発明を提供する。
(1) 配列番号48の塩基配列を5’側に、配列番号49の塩基配列を3’側に有し、全長が29から50塩基である一本鎖オリゴヌクレオチド。
(2) 配列番号50の塩基配列を5’側に、配列番号51の塩基配列を3’側に有し、全長が26から50塩基である一本鎖オリゴヌクレオチド。
(3) 配列番号1から6、28から30及び34から36の何れかに記載の塩基配列を有する、オリゴヌクレオチド。
(4) 配列番号7から15、31から33及び37から39の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド。
【0013】
(5) LAMP法におけるインナープライマーとして(1)または(2)に記載のオリゴヌクレオチドのうち少なくとも一つを用いる、LAMP法にて結核菌群の核酸を増幅する方法。
(6) LAMP法におけるインナープライマーとして(3)または(4)に記載のオリゴヌクレオチドのうち少なくとも一つを用いる、LAMP法にて結核菌群の核酸を増幅する方法。
(7) LAMP法におけるインナープライマーとして(3)記載の少なくとも一つのオリゴヌクレオチドと(4)記載の少なくとも一つのオリゴヌクレオチドとを組み合わせて使用する、(6)に記載の方法。
【0014】
(8) LAMP法におけるアウタープライマーとして配列番号16から21に記載の少なくとも一つのオリゴヌクレオチドを用いる、(5)〜(7)の何れかに記載の方法。
(9) LAMP法におけるループプライマーとして配列番号22から27及び40から47に記載の少なくとも一つのオリゴヌクレオチドを用いる、(5)〜(8)の何れかに記載の方法。
(10) 試料中の結核菌群を検出するために行なう、(5)〜(9)の何れかに記載の方法。
【0015】
(11) 配列番号1から6、28から30及び34から36の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、配列番号7から15、31から33及び37から39の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとからなる、LAMP法にて結核菌群の核酸を増幅するためのインナープライマーとして使用するプライマーセット。
【0016】
(12) 配列番号16から18の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、配列番号19から21の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとからなる、LAMP法にて結核菌群の核酸を増幅するためのアウタープライマーとして使用するプライマーセット。
【0017】
(13) 配列番号22から24及び40から43の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、配列番号25から27及び44から47の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとからなる、LAMP法にて結核菌群の核酸を増幅するためのループプライマーとして使用するプライマーセット。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について更に詳しく述べる。
本明細書中において、核酸の塩基配列中のA、G、T、Cは、デオキシリボヌクレオチド中のアデニン塩基、グアニン塩基、チミン塩基、シトシン塩基を示す。
【0019】
LAMP反応に用いるインナープライマーとはFIPプライマーとBIPプライマーとを示す。FIPプライマーは、5’側にターゲット核酸配列の表鎖に相同的なF1cと呼ばれる配列、3’側にターゲット核酸配列の裏鎖に相補的なF2と呼ばれる配列、とを有するオリゴヌクレオチドであり、BIPプライマーは、5’側にターゲット核酸配列の裏鎖に相同的なB1cと呼ばれる配列、3’側にターゲット核酸配列の表鎖に相補的なB2と呼ばれる配列、とを有するオリゴヌクレオチドである。アウタープライマーとは、F3プライマーとB3プライマーを示し、F3プライマーはターゲット核酸配列の裏鎖に相補的なオリゴヌクレオチド、B3プライマーはターゲット核酸の表鎖に相補的なオリゴヌクレオチドである。ループプライマーは、FLプライマーとBLプライマーを示し、LAMPによる核酸の増幅反応を促進する。FLプライマーはF2配列に相補的なF2c配列とF1c配列の間の配列に相補的な配列、BLプライマーはB2配列に相補的なB2c配列とB1c配列の間の配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドである。これらインナープライマー、アウタープライマー、および、ループプライマーの設計方法は、先の特許文献1、文献1〜3、および、Webサイトhttp://www.eiken.co.jp/に公開されている。
【0020】
具体的には、まず、標的核酸について、5’側からF3、F2、F1、B1c、B2c、B3cの6つの領域を規定し、この6つの領域の相補的な領域をF3c、F2c、F1c、B1、B2、B3と規定し、次の通り4種類のプライマーを設計する。
【0021】
(1)FIPプライマー:標的核酸のF2領域を3’端に持ち、5’末端側に標的核酸のF1cと同じ配列を持つように設計する。
(2)F3プライマー:標的核酸のF3領域を持つように設計する。
(3)BIPプライマー:標的核酸のB2領域を3’端に持ち、5’末端側に標的核酸のB1cと同じ配列を持つように設計する。
(4)B3プライマー:標的核酸のB3領域を持つように設計する。
【0022】
LAMP法においては、ダンベル構造の5’末端側のループの1本鎖部分(B1領域とB2領域の間、あるいは F1領域とF2領域の間)に相補的な配列を持つループプライマー(それぞれループプライマーB(本発明においてはBLプライマー)、ループプライマーF(本発明においてはFLプライマー))を用いることによりDNA合成の起点を増やすことが可能となる。ループプライマーを用いることにより、増幅時間は、ループプライマーを使用しない場合の1/3〜1/2となることが期待される。
【0023】
本発明においては、先ず、結核菌群の16S Ribosomal RNA遺伝子の配列(GeneBank Accession No.NC_000962、X58890、X55588、AF480605)と非定型抗酸菌の16SRibosomal RNA遺伝子(X52918、AJ536037、AF306455、AJ536037、AJ536036、X52927、M29575、AF480601、AJ536035、X52930、AF456241、AJ536034)の配列を比較し、結核菌群に特異性が高く、非定型抗酸菌に特異性が低い配列を選択した。LAMPプライマーのインナープライマーの3’末端付近や5’末端付近の配列が、この結核菌群特異的な配列と相補的になるように設計した。まず、インナープライマーとして、FIPプライマー6種(配列番号1〜6)、BIPプライマー9種(配列番号7〜15)を設計し、これらのオリゴヌクレオチドを合成した。次にアウタープライマーとしてF3プライマー3種(配列番号16〜18)とB3プライマー3種(配列番号19〜21)、ループプライマーとしてFLプライマー3種(配列番号22〜24)とBLプライマー3種(配列番号25〜27)を設計した。インナープライマー、アウタープライマー、ループプライマーを組み合わせた表1記載の21種のプライマーセット(#001〜#021)を調製した。この21種のプライマーセットについて、結核菌のゲノムDNAをテンプレートしてLAMP反応を行い、LAMP反応用リアルタイム濁度測定装置LA−200(テラメックス社)にて濁度を測定した(実施例1)。21種のプライマーセットのうちプライマーセット#007、#018および#019が比較的短時間にLAMPによる増幅が進むことが示された。
【0024】
プライマーセット#007のインナープライマー、配列番号3と、配列番号9の配列を改変し、新たに6種のFIPプライマー(配列番号28〜30、34〜36)と6種のBIPプライマー(配列番号31〜33、37〜39)とを合成した。これらのプライマーを加えて、新たに24のプライマーセット(#030〜053)を調製した(表2)。プライマーセット#007を含む25のプライマーセットについて、結核菌 M.tuberculosisのゲノムDNAをテンプレートしてLAMP反応を行い、濁度が0.1に到達すのに要する時間を指標として、LMAP増幅反応の速さを比較した(実施例2)。その結果、プライマーセット#042が最も早くLAMPの増幅反応が進行することが示された。
【0025】
次に、この#042のループプライマーの改変を行った。新たに4種のFLプライマー(配列番号40〜43)と、4種のBLプライマー(配列番号44〜47)を合成した。FLプライマーとBLプライマーのうちのいずれかを含む10のプライマーセット#065〜#074を調製し(表5)、結核菌 M.tuberculosisのゲノムDNAをテンプレートしてLAMP反応を行い、LAMP反応用リアルタイム濁度測定装置LA−200にて濁度を測定した(実施例3)。続いてFLプライマーとBLプライマーの両者を含むプライマーセット#082〜#090を調製し、結核菌 M.tuberculosisのゲノムDNAをテンプレートしてLAMP反応を行い、LAMP反応用リアルタイム濁度測定装置LA−200にて濁度を測定し(実施例4)、より短時間で増幅が進行する2種のプライマーセット#082と#085を得て、その最適なプライマー濃度を調べた(実施例5)。この2種のプライマーセットについて、LAMP増幅反応の結核菌群への特異性と検出感度とを調べた結果(実施例6、7)、課題とする迅速・特異的・高感度に結核菌群の検出を行うためのLAMP用プライマーを得るに至った。
【0026】
以上の通り、本発明で用いるインナープライマーとしては、配列番号48の塩基配列を5’側に、配列番号49の塩基配列を3’側に有し、全長が29から50塩基である一本鎖オリゴヌクレオチド、並びに配列番号50の塩基配列を5’側に、配列番号51の塩基配列を3’側に有し、全長が26から50塩基である一本鎖オリゴヌクレオチドが挙げられる。上記オリゴヌクレオチドの具体例としては、配列番号2から5、28から30及び34から36の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、並びに配列番号8から11、28から30及び37から39の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0027】
また、本発明で用いるアウタープライマーとしては、F3として配列番号16、B3として配列番号20記載のオリゴヌクレオチドが挙げられる。さらに、本発明で用いるループプライマーとしては、配列番号23、26及び40から47に記載の少なくとも一つのオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0028】
本発明においてインナープライマー、アウタープライマーまたはループプライマーとして用いる上記オリゴヌクレオチドは何れも、当業者に周知の方法である固相合成法により合成することができる。このような合成のための装置は、例えば、Applied Biosystemsなどの業者から販売されている。
【0029】
また、本発明のオリゴヌクレオチドとしては、本明細書の配列表の配列番号で示される特定の塩基配列を含む限り、オリゴヌクレオチドを構成するデオキシリボースや塩基について、その一部に他の分子が付加したり、その一部が他の分子で置換されるなどにより修飾されているものでもよい。例えば、本発明のオリゴヌクレオチドとしては、LAMP法で結核菌のDNAを増幅した後、そのオリゴヌクレオチドの検出を簡略化するため、プライマーとするオリゴヌクレオチドの5’末端を蛍光色素であるフルオレセインイソチオシアネート(FITC)で標識したオリゴヌクレオチドや、プライマーとするオリゴヌクレオチドの5´末端にビオチンを結合し、アビジンと共有結合させたペルオキシダーゼを結合させ得るものでもよい。
【0030】
本発明におけるLAMP法では、標的遺伝子を含む試料、プライマー(FIP, F3, BIP, B3)、鎖置換型DNA Polymerase、dNTPs、及び反応緩衝液を含む反応液を調製し、64〜65℃で10分から1時間程度インキュベーションすることにより、増幅産物あるいは増幅の有無を検出することができる。増幅産物の検出は簡易検出及びリアルタイム検出が可能であり、増幅する時間は、ループプライマーを利用することで更に短縮することができる。
【0031】
LAMP法は、具体的には以下の通り行なうことができる。即ち、インナープライマー(FIPプライマーおよびBIPプライマー)、ループプライマー(FLプライマーおよびBLプライマー)及びアウタープライマー(F3プライマーおよびB3プライマー)を含むプライマーセットを作製し、これを適当なマイクロチューブに添加し、氷上に置く。LAMP反応液としては、20mM Tris・HCl(pH8.8)、10mM KCl、8mM MgSO4、10mM(NH4)2SO4、0.1%Tween20、0.8M Betaine、 2.8mM dGTP、2.8mM dCTP、2.8mM dATP、2.8mM dTTP、所定量の試料(即ち、結核菌ゲノムDNAを含む試料)を添加し、全容量を適量に調整し、氷上に置く。これに、Bst DNA Polymerase Large Fragment(NEW ENGLAND BioLabs)を添加して全容量を調整し、混和した後、例えば、64℃にて15分から1時間反応させることによりLAMP反応を行なう。
【0032】
LAMP反応におけるインナープライマーの濃度は、LAMP反応が進む限り特に限定されないが、一般的にはプライマーの各々につき、10〜70pmol/25μl、好ましくは30〜50pmol/25μl、例えば40pmol/25μlとすることができる。
【0033】
LAMP反応におけるループプライマーの量は、LAMP反応が進む限り特に限定されないが、一般的にはプライマーの各々につき、10〜150pmol/25μl、好ましくは10〜100pmol/25μl、例えば20、40または60pmol/25μlとすることができる。
【0034】
LAMP反応におけるアウタープライマーの量は、LAMP反応が進む限り特に限定されないが、一般的にはプライマーの各々につき、2〜20pmol/25μl、好ましくは2〜10pmol/25μl、例えば5pmol/25μlとすることができる。
【0035】
LAMP反応による増幅反応の過程では、副産物としてピロリン酸マグネシウムが産生される。この副産物は、増幅産物と比例して産生されることから、増幅産物量が非常に多いLAMP法では白濁として観察することができる。即ち、LAMP法ではこの白濁の有無で標的遺伝子の有無を確認することができる。また、LAMP反応とその後の反応産物の検出は、LAMP反応専用リアルタイム濁度測定装置LA―200(テラメックス社)などの市販の装置を用いて行なうことができる。
【0036】
あるいは、蛍光インターカレーター(例えば、エチジウムブロマイド等)の存在下で増幅させた増幅産物の入ったチューブにUVランプを照射することにより、鋳型DNA(標的遺伝子)が存在する場合には、蛍光強度が上がり、肉眼でも増幅の有無、いわゆる標的遺伝子の有無を確認することができる。
【0037】
上記以外としては、LAMP反応後、反応産物を電気泳動により分離し、エチジウムブロマイドあるいはサイバーグリーンで核酸染色を行い、増幅されたヌクレオチド配列の塩基長が、上述の標的配列の塩基長と等しければ検体中に検出対象の結核菌が存在すると判定できる。増幅されたヌクレオチド配列の検出には、クロマトグラフィーを使用することもできる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0038】
【実施例】
実施例1:LAMP反応1
LAMP反応プライマーとして用いる配列番号1から27記載のオリゴヌクレオチドを化学的に合成し、インナープライマーとして40pmolのFIPプライマーおよびBIPプライマー、ループプライマーとして20pmolのFLプライマーおよびBLプライマー、アウタープライマーとして5pmolのF3プライマーおよびB3プライマー、を含むプライマーセット#001〜#021(表1)を作製し、これを0.2mlマイクロチューブ(栄研化学)に添加し、氷上に置いた。LAMP反応液として、20mM Tris・HCl(pH8.8)、10mM KCl、8mM MgSO4、10mM (NH4)2SO4、0.1% Tween20、0.8M Betaine、 2.8mM dGTP、2.8mM dCTP、2.8mM dATP、2.8mM dTTP、100pg M.tuberculosis ゲノムDNAを添加し、全容量を24μlとし氷上に置いた。これに、8units/μlのBst DNA Polymerase Large Fragment(NEW ENGLAND BioLabs)1μlを添加して全容量を25μlとし、ゆっくり混和した後、速やかにLAMP反応専用リアルタイム濁度測定装置LA―200(テラメックス社)にセットし、64℃にて60分間反応させ、増幅反応中の濁度を測定した。図1にプライマーセット#001〜#007、図2にプライマーセット#008〜#014、図3にプライマーセット#015〜#021のリアルタイム濁度測定の結果を示す。プライマーセット#007や#019が比較的早くLAMP反応が進んでいることが示された。このうち、まずプライマーセット#007の改良を進めることとした。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例2:LAMP反応2:インナープライマーの改変
プライマーセット#007に使用されているインナープライマーを元に、インナープライマーとして新たに配列番号28から39記載のオリゴヌクレオチドを化学的に合成した。インナープライマーとして40pmolのFIPプライマーおよびBIPプライマー、ループプライマーとして20pmolのFLプライマーおよびBLプライマー、アウタープライマーとして5pmolのF3プライマーおよびB3プライマー、を含むプライマーセット#030〜#053(表2)を作製し、これを0.2mlマイクロチューブ(栄研化学)に添加し、氷上に置いた。LAMP反応液として、20mM Tris・HCl(pH8.8)、10mM KCl、8mM MgSO4、10mM (NH4)2SO4、0.1% Tween20、0.8M Betaine、 2.8mM dGTP、2.8mM dCTP、2.8mM dATP、2.8mM dTTP、100pg M.tuberculosis ゲノムDNAを添加し、全容量を24μlとし氷上に置いた。これに、8units/μlのBst DNA Polymerase Large Fragment(NEW ENGLAND BioLabs)1μlを添加して全容量を25μlとし、ゆっくり混和した後、速やかにLAMP反応専用リアルタイム濁度測定装置LA―200(テラメックス社)にセットし、64℃にて60分間反応させ、増幅反応中の濁度を測定した。各プライマーセットにて行ったLAMP反応の濁度が0.1に達した時間を表3と表4にまとめた。その結果、プライマーセット#042が最も早くLAMP反応が進行することが示された。
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
実施例3:LAMP反応3:ループプライマーの改変1
プライマーセット#042に使用されているループプライマーを改変するため、新たに配列番号40から47記載のオリゴヌクレオチドを化学的に合成した。インナープライマーとして40pmolのFIPプライマーおよびBIPプライマー、ループプライマーとして20pmolのFLプライマーまたはBLプライマー、アウタープライマーとして5pmolのF3プライマーおよびB3プライマー、を含むプライマーセット#065〜#074(表5)を作製し、これを0.2mlマイクロチューブ(栄研化学)に添加し、氷上に置いた。LAMP反応液として、20mM Tris・HCl(pH8.8)、10mM KCl、8mM MgSO4、10mM (NH4)2SO4、0.1% Tween20、0.8M Betaine、 2.8mM dGTP、2.8mM dCTP、2.8mM dATP、2.8mM dTTP、100pg M.tuberculosisゲノムDNAを添加し、全容量を24μlとし氷上に置いた。これに、8units/μlのBst DNA Polymerase Large Fragment(NEW ENGLAND BioLabs)1μlを添加して全容量を25μlとし、ゆっくり混和した後、速やかにLAMP反応専用リアルタイム濁度測定装置LA―200(テラメックス社)にセットし、64℃にて60分間反応させ、増幅反応中の濁度を測定した。各プライマーセットにて行ったLAMP反応の濁度が0.1に達した時間を表6にまとめた。その結果、プライマーセット#065、#066、#067、#068、#069、#071、#072、#073、#074が比較的早くLAMP反応が進んでいることが示された。このうち、プライマーセット#065〜#069、#070〜#074のうち反応の早く進んだプライマーセット各3セットを選択した。
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
実施例4:LAMP反応4:ループプライマーの改変2
実施例3にて選択したプライマーセット#065、#067、#068、#071、#072、#073に使用されているFLループプライマーとBLループプライマーとを組み合わせ、プライマーセット#082〜#090(表7)を調製した。インナープライマーとして40pmolのFIPプライマーおよびBIPプライマー、ループプライマーとして20pmolのFLプライマーおよびBLプライマー、アウタープライマーとして5pmolのF3プライマーおよびB3プライマー、を含むプライマーセットを0.2mlマイクロチューブ(栄研化学)に添加し、氷上に置いた。LAMP反応液として、20mM Tris・HCl(pH8.8)、10mM KCl、8mM MgSO4、10mM (NH4)2SO4、0.1% Tween20、0.8M Betaine、 2.8mM dGTP、2.8mM dCTP、2.8mM dATP、2.8mM dTTP、100pg M.tuberculosis ゲノムDNAを添加し、全容量を24μlとし氷上に置いた。これに、8units/μlのBst DNA Polymerase Large Fragment(NEW ENGLANDBioLabs)1μlを添加して全容量を25μlとし、ゆっくり混和した後、速やかにLAMP反応専用リアルタイム濁度測定装置LA―200(テラメックス社)にセットし、64℃にて60分間反応させ、増幅反応中の濁度を測定した(図4)。また、各プライマーセットにて行ったLAMP反応の濁度が0.1に達した時間を表8にまとめた。その結果、全てのプライマーセットが、実施例2で示したプライマーセット#042よりもLAMP反応が早く進む事が示された。中でもFLプライマーとして配列番号23、BLプライマーとして配列番号44とを組み合わせたプライマーセット#082がが最も早くLAMP反応が進むことが示された。またプライマーセット#084、#085、#088、#089も濁度が0.1に到達する時間の平均が18分台であり、比較的早くLAMP反応が進むことが示された。この中で、2回の実験とも18分台であったプライマーセット#085も#082と共に選択した。
【0048】
【表7】
【0049】
【表8】
【0050】
実施例5:LAMP反応5:プライマーの濃度
実施例1、2、4にて選択したプライマーセット#007、#042、#082、#085のプライマーセットについて、FLループプライマーとBLループプライマーの量を変えてLAMP反応を行った。インナープライマーとして40pmolのFIPプライマーおよびBIPプライマー、ループプライマーとして各20、40、60pmolのFLプライマーおよびBLプライマー、アウタープライマーとして5pmolのF3プライマーおよびB3プライマー、を含むプライマーセットを0.2mlマイクロチューブ(栄研化学)に添加し、氷上に置いた。LAMP反応液として、20mM Tris・HCl(pH8.8)、10mM KCl、8mM MgSO4、10mM (NH4)2SO4、0.1% Tween20、0.8M Betaine、 2.8mM dGTP、2.8mM dCTP、2.8mM dATP、2.8mM dTTP、100pg M.tuberculosis ゲノムDNAを添加し、全容量を24μlとし氷上に置いた。これに、8units/μlのBst DNA Polymerase Large Fragment(NEW ENGLAND BioLabs)1μlを添加して全容量を25μlとし、ゆっくり混和した後、速やかにLAMP反応専用リアルタイム濁度測定装置LA―200(テラメックス社)にセットし、64℃にて60分間反応させ、増幅反応中の濁度を測定し、LAMP反応の濁度が0.1に達した時間を表9にまとめた。ループプライマー量を20pmolから40pmolや60pmolに増加させると、LAMP増幅に要する時間が短縮された。
【0051】
【表9】
【0052】
実施例6:LAMP反応6:交差性
インナープライマーとして40pmolのFIPプライマーおよびBIPプライマー、ループプライマーとして40pmolのFLプライマーおよびBLプライマー、アウタープライマーとして5pmolのF3プライマーおよびB3プライマー、を含むプライマーセット#007、#042、#082、#085を0.2mlマイクロチューブ(栄研化学)に添加し、氷上に置いた。LAMP反応液として、20mM Tris・HCl(pH8.8)、10mM KCl、8mM MgSO4、10mM (NH4)2SO4、0.1% Tween20、0.8M Betaine、 2.8mM dGTP、2.8mM dCTP、2.8mM dATP、2.8mM dTTP、表10記載の結核菌群(BCG、M.tuberculosis、M.bovis、M.africanum、M.microti)非定型抗酸菌(M.malmmoense、M.intracellulare、M.avium、M.kansasii)のゲノムDNA 100pgを添加し、全容量を24μlとし氷上に置いた。これに、8units/μlのBst DNA Polymerase Large Fragment(NEW ENGLAND BioLabs)1μlを添加して全容量を25μlとし、ゆっくり混和した後、速やかにLAMP反応専用リアルタイム濁度測定装置LA―200(テラメックス社)にセットし、64℃にて40分間反応させ、増幅反応中の濁度を測定した(図5〜8)。その結果、いずれのプライマーセットとも結核菌群のゲノムDNAをテンプレートにした場合のみLAMPによる増幅が進んでおり、作製したプライマーセットが結核菌群に特異性が高いことが示された。
【0053】
【表10】
【0054】
実施例7:LAMP反応7:検出感度
インナープライマーとして40pmolのFIPプライマーおよびBIPプライマー、ループプライマーとして40pmolのFLプライマーおよびBLプライマー、アウタープライマーとして5pmolのF3プライマーおよびB3プライマー、を含むプライマーセット#007、#042、#082、#085を0.2mlマイクロチューブ(栄研化学)に添加し、氷上に置いた。LAMP反応液として、20mM Tris・HCl(pH8.8)、10mM KCl、8mM MgSO4、10mM (NH4)2SO4、0.1% Tween20、0.8M Betaine、 2.8mM dGTP、2.8mM dCTP、2.8mM dATP、2.8mM dTTPを添加して全容量を22μlとした。これに100pg(2.1×104個の細胞相当)から100fg(2.1×101個の細胞相当)のM.tuberculosisゲノムDNAを添加し、全容量を24μlとし氷上に置いた。これに、8units/μlのBst DNA Polymerase Large Fragment(NEW ENGLAND BioLabs)1μlを添加して全容量を25μlとし、ゆっくり混和した後、速やかにLAMP反応専用リアルタイム濁度測定装置LA―200(テラメックス社)にセットし、64℃にて60分間反応させ、増幅反応中の濁度を測定した(図9〜12)。その結果、プライマーセット#042、#082、#085の検出感度が、結核菌210個相当であることが示された。
【0055】
【発明の効果】
本発明のプライマーを用いたLAMP反応によれば、結核菌および結核菌群遺伝子を迅速、特異的かつ高感度に検出することが可能である。
【0056】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、プライマーセット#001から#007を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pgの結核菌ゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて1時間、経時的に濁度を測定した。
【図2】図2は、プライマーセット#008から#014を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pgの結核菌ゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて1時間、経時的に濁度を測定した。
【図3】図3は、プライマーセット#015から#021を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pgの結核菌ゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて1時間、経時的に濁度を測定した。
【図4】図4は、プライマーセット#082から#090を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pgの結核菌ゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて1時間、経時的に濁度を測定した。
【図5】図5は、プライマーセット#007を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pgの結核菌群または非定型抗酸菌のゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて40分間、経時的に濁度を測定した。
【図6】図6は、プライマーセット#042を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pgの結核菌群または非定型抗酸菌のゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて40分間、経時的に濁度を測定した。
【図7】図7は、プライマーセット#082を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pgの結核菌群または非定型抗酸菌のゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて40分間、経時的に濁度を測定した。
【図8】図8は、プライマーセット#085を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pgの結核菌群または非定型抗酸菌のゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて40分間、経時的に濁度を測定した。
【図9】図9は、プライマーセット#007を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pg、10pg、1pg、100fgの結核菌群ゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて1時間、経時的に濁度を測定した。
【図10】図10は、プライマーセット#042を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pg、10pg、1pg、100fgの結核菌群ゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて1時間、経時的に濁度を測定した。
【図11】図11は、プライマーセット#082を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pg、10pg、1pg、100fgの結核菌群ゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて1時間、経時的に濁度を測定した。
【図12】図12は、プライマーセット#085を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pg、10pg、1pg、100fgの結核菌群ゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて1時間、経時的に濁度を測定した。
【発明の属する技術分野】
本発明は、結核菌群を短時間に特異的に検出するオリオヌクレチド、及び該オリオヌクレチドをプライナーとして用いたLAMP法により結核菌群の核酸を増幅する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
結核は、かつて日本において、国民病とも言われ、年間死者が10万人を超えることもあった。衛生状態の改善、集団検診やBCG接種等の感染予防の徹底、感染者の隔離治療による感染拡大の防止措置が計られ患者数は著しく低下したものの、1997年の人口10万人対の罹患率および死者率は、それぞれ33.9、2.2でありの国内における主要な感染症の一つとなっている。結核の病原菌は、抗酸菌種のMycobacterium属(抗酸菌)に含まれる結核菌(マイコバクテリウム・ツベルクローシス:M.tuberculosis)である。BCG菌、マイコバクテリウム・ボバイス(M.bovis)、マイコバクテリウム・アフリカーナム(M.africanum)、マイコバクテリウム・ミクロッチ(M.microti)とを加えて結核菌群(Mycobacteriu tuberculosis complex)と称されている。
【0003】
この結核菌を検出する方法としては、チール・ ネールゼン(Ziehl−Neelsen)染色による検鏡法、コールド式抗酸菌染色による鏡検法があるが、低感度であり、また、煩雑な手操作を要する。培地を用いた培養法もあるが、結核菌が2分裂に要する時間は10〜15時間を要するため、検体から判定を行うのに必要量の結核菌を得るまでに2〜4週間を要する。この問題点を解決するため、近年、核酸増幅技術を応用した結核菌ゲノムDNAを検出する技術が開発されている。
【0004】
核酸増幅技術として、PCR(Polymerase Chain Reaction)法がある。これは標的とする核酸配列に相補的な1対のオリゴヌクレオチドプライマーとTaqポリメラーゼなど耐熱性のDNA合成酵素を使い、Thermal Cyclingにて標的核酸を短時間に増幅させる技術である。しかし、このPCR法をもってしても、試料の調製から増幅結果の判定までに3時間程度を要し、POCT(医療現場診断)に有用とは言い難く、より迅速に、かつ、高感度に標的となる核酸を増幅・検出する技術が求められている。
【0005】
LAMPとはLoop−Mediated Isothermal Amplificationの略で、Notomiらによって開発された簡易・迅速・精確・安価に核酸を増幅する技術で、日本特許番号第3313358号、Nucleic Acids Research, 28, e63, 2000、Biochemical and Biophysical Research Communications, 290, 1195−1198, 2002、Clinical Chemistry, 47, No.9, 1742−1743, 2001に報告されている。これは1対のインナープライマーと1対のアウタープライマーを併せた2対計4種のプライマー、あるいは、これに1対のループプライマーを加えた3対計6種のプライマーと、鎖置換型DNAポリメラーゼとを使って通常20分〜60分程度で鋳型となる核酸を増幅する方法である。PCR法と違い、増幅反応が一定温度なのが特徴で、増幅効率もPCRよりよいとされている。
LAMP反応の検出は、LAMP増幅産物をアガロースゲル電気泳動にかけてLAMP反応に特徴的なラダーのバンドを確認する方法や、LAMP反応産物にエチジウムブロマイドやSYBR Green I等の核酸インターカレーターを添加して検出する方法がある。また、LAMP反応時の生成物であるピロリン酸と反応バッファー中のマグネシウムイオンにて生じる沈殿物を検出する方法が国際公開番号WO01/83817 A1、および、Biochemical and Biophysical Research Communications, 289, 150−154, 2002に示されている。
【0006】
日本特許第2976406号に、rRNA遺伝子にて非ウィルス性の生物を検出・同定する方法が記載されている。ウィルスを除くあらゆる細胞はリボソームを含み、従ってゲノム上にrRNA遺伝子がコードされている。rRNA遺伝子は種々の生物間にて相同性の高い保存された配列と、相同性が低く特異性の高い配列とを有しており、様々な生物種の検出および同定に極めて有用である。
【0007】
LAMP法にてrRNA遺伝子ファミリーの一つである16S rRNA遺伝子の部分配列を増幅して結核菌の同定を行う方法が、2002年 第49回日本臨床検査医学会総会において、藤田保健衛生大学病院臨床検査部のKitaharaらよって報告された(Rinsho Byori, 50(Suppl.), 188, 2002)。Kitaharaらの報告によると、結核菌の16S rRNA遺伝子のうち結核菌群によく保存され相同性の高く、一方で他の非定型抗酸菌とは相同性の低い配列に対してLAMP反応用のプライマーを設計し、これを使ってLAMP反応を行った。Primer No.16と称されるLAMPプライマーセットにて、非定型抗酸菌および一般細菌のゲノムDNAは増幅することなく、M.tuberculosis、および、M.bovisを弱毒化したBCG菌のゲノムだけを特異的に、反応時間60分にて増幅する事が出来、その検出感度がおよそ103個の細胞相当であることが報告された。一方、Primer No.11と称されるLAMPプライマーセットでは高い検出感度(10個の細胞相当)を示したが、結核菌群以外の非定型抗酸菌の一部とも交差性を示し高い特異性を得るには至らなかった。
【0008】
つまり、LMAP法を用いて結核菌および結核菌群の核酸の増幅および同定が試みられたが、▲1▼高い検出感度、▲2▼高い特異性(結核菌または結核菌群の核酸だけを増幅)、▲3▼短時間(POCT実現可能な30分以内)での増幅、を満たすプライマーの開発には至っていない。
【0009】
【特許文献1】
日本特許第3313358号
【特許文献2】
国際公開番号WO 01/83817 A1
【特許文献3】
日本特許第2976406号
【非特許文献1】
Nucleic Acids Research, 28, e63, 2000
【非特許文献2】
Biochemical and Biophysical Research Communications, 290, 1195−1198, 2002
【非特許文献3】
Clinical Chemistry, 47, No.9, 1742−1743, 2001
【非特許文献4】
Biochemical and Biophysical Research Communications, 289, 150−154, 2002
【非特許文献5】
Rinsho Byori, 50(Suppl.), 188, 2002
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、高い検出感度、高い特異性、短時間での増幅、を満たす結核菌または結核菌群検出LAMP反応用のプライマー、およびそれを用いたLAMP法による結核菌群を迅速に検出する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく種々検討した結果、迅速・特異的・高感度に結核菌群の検出を行うためのLAMP法用のオリゴヌクレオチドプライマーとそれを用いたLAMP法による結核菌群を特異的に検出する方法の開発に成功し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、以下の発明を提供する。
(1) 配列番号48の塩基配列を5’側に、配列番号49の塩基配列を3’側に有し、全長が29から50塩基である一本鎖オリゴヌクレオチド。
(2) 配列番号50の塩基配列を5’側に、配列番号51の塩基配列を3’側に有し、全長が26から50塩基である一本鎖オリゴヌクレオチド。
(3) 配列番号1から6、28から30及び34から36の何れかに記載の塩基配列を有する、オリゴヌクレオチド。
(4) 配列番号7から15、31から33及び37から39の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド。
【0013】
(5) LAMP法におけるインナープライマーとして(1)または(2)に記載のオリゴヌクレオチドのうち少なくとも一つを用いる、LAMP法にて結核菌群の核酸を増幅する方法。
(6) LAMP法におけるインナープライマーとして(3)または(4)に記載のオリゴヌクレオチドのうち少なくとも一つを用いる、LAMP法にて結核菌群の核酸を増幅する方法。
(7) LAMP法におけるインナープライマーとして(3)記載の少なくとも一つのオリゴヌクレオチドと(4)記載の少なくとも一つのオリゴヌクレオチドとを組み合わせて使用する、(6)に記載の方法。
【0014】
(8) LAMP法におけるアウタープライマーとして配列番号16から21に記載の少なくとも一つのオリゴヌクレオチドを用いる、(5)〜(7)の何れかに記載の方法。
(9) LAMP法におけるループプライマーとして配列番号22から27及び40から47に記載の少なくとも一つのオリゴヌクレオチドを用いる、(5)〜(8)の何れかに記載の方法。
(10) 試料中の結核菌群を検出するために行なう、(5)〜(9)の何れかに記載の方法。
【0015】
(11) 配列番号1から6、28から30及び34から36の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、配列番号7から15、31から33及び37から39の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとからなる、LAMP法にて結核菌群の核酸を増幅するためのインナープライマーとして使用するプライマーセット。
【0016】
(12) 配列番号16から18の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、配列番号19から21の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとからなる、LAMP法にて結核菌群の核酸を増幅するためのアウタープライマーとして使用するプライマーセット。
【0017】
(13) 配列番号22から24及び40から43の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、配列番号25から27及び44から47の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとからなる、LAMP法にて結核菌群の核酸を増幅するためのループプライマーとして使用するプライマーセット。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について更に詳しく述べる。
本明細書中において、核酸の塩基配列中のA、G、T、Cは、デオキシリボヌクレオチド中のアデニン塩基、グアニン塩基、チミン塩基、シトシン塩基を示す。
【0019】
LAMP反応に用いるインナープライマーとはFIPプライマーとBIPプライマーとを示す。FIPプライマーは、5’側にターゲット核酸配列の表鎖に相同的なF1cと呼ばれる配列、3’側にターゲット核酸配列の裏鎖に相補的なF2と呼ばれる配列、とを有するオリゴヌクレオチドであり、BIPプライマーは、5’側にターゲット核酸配列の裏鎖に相同的なB1cと呼ばれる配列、3’側にターゲット核酸配列の表鎖に相補的なB2と呼ばれる配列、とを有するオリゴヌクレオチドである。アウタープライマーとは、F3プライマーとB3プライマーを示し、F3プライマーはターゲット核酸配列の裏鎖に相補的なオリゴヌクレオチド、B3プライマーはターゲット核酸の表鎖に相補的なオリゴヌクレオチドである。ループプライマーは、FLプライマーとBLプライマーを示し、LAMPによる核酸の増幅反応を促進する。FLプライマーはF2配列に相補的なF2c配列とF1c配列の間の配列に相補的な配列、BLプライマーはB2配列に相補的なB2c配列とB1c配列の間の配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドである。これらインナープライマー、アウタープライマー、および、ループプライマーの設計方法は、先の特許文献1、文献1〜3、および、Webサイトhttp://www.eiken.co.jp/に公開されている。
【0020】
具体的には、まず、標的核酸について、5’側からF3、F2、F1、B1c、B2c、B3cの6つの領域を規定し、この6つの領域の相補的な領域をF3c、F2c、F1c、B1、B2、B3と規定し、次の通り4種類のプライマーを設計する。
【0021】
(1)FIPプライマー:標的核酸のF2領域を3’端に持ち、5’末端側に標的核酸のF1cと同じ配列を持つように設計する。
(2)F3プライマー:標的核酸のF3領域を持つように設計する。
(3)BIPプライマー:標的核酸のB2領域を3’端に持ち、5’末端側に標的核酸のB1cと同じ配列を持つように設計する。
(4)B3プライマー:標的核酸のB3領域を持つように設計する。
【0022】
LAMP法においては、ダンベル構造の5’末端側のループの1本鎖部分(B1領域とB2領域の間、あるいは F1領域とF2領域の間)に相補的な配列を持つループプライマー(それぞれループプライマーB(本発明においてはBLプライマー)、ループプライマーF(本発明においてはFLプライマー))を用いることによりDNA合成の起点を増やすことが可能となる。ループプライマーを用いることにより、増幅時間は、ループプライマーを使用しない場合の1/3〜1/2となることが期待される。
【0023】
本発明においては、先ず、結核菌群の16S Ribosomal RNA遺伝子の配列(GeneBank Accession No.NC_000962、X58890、X55588、AF480605)と非定型抗酸菌の16SRibosomal RNA遺伝子(X52918、AJ536037、AF306455、AJ536037、AJ536036、X52927、M29575、AF480601、AJ536035、X52930、AF456241、AJ536034)の配列を比較し、結核菌群に特異性が高く、非定型抗酸菌に特異性が低い配列を選択した。LAMPプライマーのインナープライマーの3’末端付近や5’末端付近の配列が、この結核菌群特異的な配列と相補的になるように設計した。まず、インナープライマーとして、FIPプライマー6種(配列番号1〜6)、BIPプライマー9種(配列番号7〜15)を設計し、これらのオリゴヌクレオチドを合成した。次にアウタープライマーとしてF3プライマー3種(配列番号16〜18)とB3プライマー3種(配列番号19〜21)、ループプライマーとしてFLプライマー3種(配列番号22〜24)とBLプライマー3種(配列番号25〜27)を設計した。インナープライマー、アウタープライマー、ループプライマーを組み合わせた表1記載の21種のプライマーセット(#001〜#021)を調製した。この21種のプライマーセットについて、結核菌のゲノムDNAをテンプレートしてLAMP反応を行い、LAMP反応用リアルタイム濁度測定装置LA−200(テラメックス社)にて濁度を測定した(実施例1)。21種のプライマーセットのうちプライマーセット#007、#018および#019が比較的短時間にLAMPによる増幅が進むことが示された。
【0024】
プライマーセット#007のインナープライマー、配列番号3と、配列番号9の配列を改変し、新たに6種のFIPプライマー(配列番号28〜30、34〜36)と6種のBIPプライマー(配列番号31〜33、37〜39)とを合成した。これらのプライマーを加えて、新たに24のプライマーセット(#030〜053)を調製した(表2)。プライマーセット#007を含む25のプライマーセットについて、結核菌 M.tuberculosisのゲノムDNAをテンプレートしてLAMP反応を行い、濁度が0.1に到達すのに要する時間を指標として、LMAP増幅反応の速さを比較した(実施例2)。その結果、プライマーセット#042が最も早くLAMPの増幅反応が進行することが示された。
【0025】
次に、この#042のループプライマーの改変を行った。新たに4種のFLプライマー(配列番号40〜43)と、4種のBLプライマー(配列番号44〜47)を合成した。FLプライマーとBLプライマーのうちのいずれかを含む10のプライマーセット#065〜#074を調製し(表5)、結核菌 M.tuberculosisのゲノムDNAをテンプレートしてLAMP反応を行い、LAMP反応用リアルタイム濁度測定装置LA−200にて濁度を測定した(実施例3)。続いてFLプライマーとBLプライマーの両者を含むプライマーセット#082〜#090を調製し、結核菌 M.tuberculosisのゲノムDNAをテンプレートしてLAMP反応を行い、LAMP反応用リアルタイム濁度測定装置LA−200にて濁度を測定し(実施例4)、より短時間で増幅が進行する2種のプライマーセット#082と#085を得て、その最適なプライマー濃度を調べた(実施例5)。この2種のプライマーセットについて、LAMP増幅反応の結核菌群への特異性と検出感度とを調べた結果(実施例6、7)、課題とする迅速・特異的・高感度に結核菌群の検出を行うためのLAMP用プライマーを得るに至った。
【0026】
以上の通り、本発明で用いるインナープライマーとしては、配列番号48の塩基配列を5’側に、配列番号49の塩基配列を3’側に有し、全長が29から50塩基である一本鎖オリゴヌクレオチド、並びに配列番号50の塩基配列を5’側に、配列番号51の塩基配列を3’側に有し、全長が26から50塩基である一本鎖オリゴヌクレオチドが挙げられる。上記オリゴヌクレオチドの具体例としては、配列番号2から5、28から30及び34から36の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、並びに配列番号8から11、28から30及び37から39の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0027】
また、本発明で用いるアウタープライマーとしては、F3として配列番号16、B3として配列番号20記載のオリゴヌクレオチドが挙げられる。さらに、本発明で用いるループプライマーとしては、配列番号23、26及び40から47に記載の少なくとも一つのオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0028】
本発明においてインナープライマー、アウタープライマーまたはループプライマーとして用いる上記オリゴヌクレオチドは何れも、当業者に周知の方法である固相合成法により合成することができる。このような合成のための装置は、例えば、Applied Biosystemsなどの業者から販売されている。
【0029】
また、本発明のオリゴヌクレオチドとしては、本明細書の配列表の配列番号で示される特定の塩基配列を含む限り、オリゴヌクレオチドを構成するデオキシリボースや塩基について、その一部に他の分子が付加したり、その一部が他の分子で置換されるなどにより修飾されているものでもよい。例えば、本発明のオリゴヌクレオチドとしては、LAMP法で結核菌のDNAを増幅した後、そのオリゴヌクレオチドの検出を簡略化するため、プライマーとするオリゴヌクレオチドの5’末端を蛍光色素であるフルオレセインイソチオシアネート(FITC)で標識したオリゴヌクレオチドや、プライマーとするオリゴヌクレオチドの5´末端にビオチンを結合し、アビジンと共有結合させたペルオキシダーゼを結合させ得るものでもよい。
【0030】
本発明におけるLAMP法では、標的遺伝子を含む試料、プライマー(FIP, F3, BIP, B3)、鎖置換型DNA Polymerase、dNTPs、及び反応緩衝液を含む反応液を調製し、64〜65℃で10分から1時間程度インキュベーションすることにより、増幅産物あるいは増幅の有無を検出することができる。増幅産物の検出は簡易検出及びリアルタイム検出が可能であり、増幅する時間は、ループプライマーを利用することで更に短縮することができる。
【0031】
LAMP法は、具体的には以下の通り行なうことができる。即ち、インナープライマー(FIPプライマーおよびBIPプライマー)、ループプライマー(FLプライマーおよびBLプライマー)及びアウタープライマー(F3プライマーおよびB3プライマー)を含むプライマーセットを作製し、これを適当なマイクロチューブに添加し、氷上に置く。LAMP反応液としては、20mM Tris・HCl(pH8.8)、10mM KCl、8mM MgSO4、10mM(NH4)2SO4、0.1%Tween20、0.8M Betaine、 2.8mM dGTP、2.8mM dCTP、2.8mM dATP、2.8mM dTTP、所定量の試料(即ち、結核菌ゲノムDNAを含む試料)を添加し、全容量を適量に調整し、氷上に置く。これに、Bst DNA Polymerase Large Fragment(NEW ENGLAND BioLabs)を添加して全容量を調整し、混和した後、例えば、64℃にて15分から1時間反応させることによりLAMP反応を行なう。
【0032】
LAMP反応におけるインナープライマーの濃度は、LAMP反応が進む限り特に限定されないが、一般的にはプライマーの各々につき、10〜70pmol/25μl、好ましくは30〜50pmol/25μl、例えば40pmol/25μlとすることができる。
【0033】
LAMP反応におけるループプライマーの量は、LAMP反応が進む限り特に限定されないが、一般的にはプライマーの各々につき、10〜150pmol/25μl、好ましくは10〜100pmol/25μl、例えば20、40または60pmol/25μlとすることができる。
【0034】
LAMP反応におけるアウタープライマーの量は、LAMP反応が進む限り特に限定されないが、一般的にはプライマーの各々につき、2〜20pmol/25μl、好ましくは2〜10pmol/25μl、例えば5pmol/25μlとすることができる。
【0035】
LAMP反応による増幅反応の過程では、副産物としてピロリン酸マグネシウムが産生される。この副産物は、増幅産物と比例して産生されることから、増幅産物量が非常に多いLAMP法では白濁として観察することができる。即ち、LAMP法ではこの白濁の有無で標的遺伝子の有無を確認することができる。また、LAMP反応とその後の反応産物の検出は、LAMP反応専用リアルタイム濁度測定装置LA―200(テラメックス社)などの市販の装置を用いて行なうことができる。
【0036】
あるいは、蛍光インターカレーター(例えば、エチジウムブロマイド等)の存在下で増幅させた増幅産物の入ったチューブにUVランプを照射することにより、鋳型DNA(標的遺伝子)が存在する場合には、蛍光強度が上がり、肉眼でも増幅の有無、いわゆる標的遺伝子の有無を確認することができる。
【0037】
上記以外としては、LAMP反応後、反応産物を電気泳動により分離し、エチジウムブロマイドあるいはサイバーグリーンで核酸染色を行い、増幅されたヌクレオチド配列の塩基長が、上述の標的配列の塩基長と等しければ検体中に検出対象の結核菌が存在すると判定できる。増幅されたヌクレオチド配列の検出には、クロマトグラフィーを使用することもできる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【0038】
【実施例】
実施例1:LAMP反応1
LAMP反応プライマーとして用いる配列番号1から27記載のオリゴヌクレオチドを化学的に合成し、インナープライマーとして40pmolのFIPプライマーおよびBIPプライマー、ループプライマーとして20pmolのFLプライマーおよびBLプライマー、アウタープライマーとして5pmolのF3プライマーおよびB3プライマー、を含むプライマーセット#001〜#021(表1)を作製し、これを0.2mlマイクロチューブ(栄研化学)に添加し、氷上に置いた。LAMP反応液として、20mM Tris・HCl(pH8.8)、10mM KCl、8mM MgSO4、10mM (NH4)2SO4、0.1% Tween20、0.8M Betaine、 2.8mM dGTP、2.8mM dCTP、2.8mM dATP、2.8mM dTTP、100pg M.tuberculosis ゲノムDNAを添加し、全容量を24μlとし氷上に置いた。これに、8units/μlのBst DNA Polymerase Large Fragment(NEW ENGLAND BioLabs)1μlを添加して全容量を25μlとし、ゆっくり混和した後、速やかにLAMP反応専用リアルタイム濁度測定装置LA―200(テラメックス社)にセットし、64℃にて60分間反応させ、増幅反応中の濁度を測定した。図1にプライマーセット#001〜#007、図2にプライマーセット#008〜#014、図3にプライマーセット#015〜#021のリアルタイム濁度測定の結果を示す。プライマーセット#007や#019が比較的早くLAMP反応が進んでいることが示された。このうち、まずプライマーセット#007の改良を進めることとした。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例2:LAMP反応2:インナープライマーの改変
プライマーセット#007に使用されているインナープライマーを元に、インナープライマーとして新たに配列番号28から39記載のオリゴヌクレオチドを化学的に合成した。インナープライマーとして40pmolのFIPプライマーおよびBIPプライマー、ループプライマーとして20pmolのFLプライマーおよびBLプライマー、アウタープライマーとして5pmolのF3プライマーおよびB3プライマー、を含むプライマーセット#030〜#053(表2)を作製し、これを0.2mlマイクロチューブ(栄研化学)に添加し、氷上に置いた。LAMP反応液として、20mM Tris・HCl(pH8.8)、10mM KCl、8mM MgSO4、10mM (NH4)2SO4、0.1% Tween20、0.8M Betaine、 2.8mM dGTP、2.8mM dCTP、2.8mM dATP、2.8mM dTTP、100pg M.tuberculosis ゲノムDNAを添加し、全容量を24μlとし氷上に置いた。これに、8units/μlのBst DNA Polymerase Large Fragment(NEW ENGLAND BioLabs)1μlを添加して全容量を25μlとし、ゆっくり混和した後、速やかにLAMP反応専用リアルタイム濁度測定装置LA―200(テラメックス社)にセットし、64℃にて60分間反応させ、増幅反応中の濁度を測定した。各プライマーセットにて行ったLAMP反応の濁度が0.1に達した時間を表3と表4にまとめた。その結果、プライマーセット#042が最も早くLAMP反応が進行することが示された。
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
実施例3:LAMP反応3:ループプライマーの改変1
プライマーセット#042に使用されているループプライマーを改変するため、新たに配列番号40から47記載のオリゴヌクレオチドを化学的に合成した。インナープライマーとして40pmolのFIPプライマーおよびBIPプライマー、ループプライマーとして20pmolのFLプライマーまたはBLプライマー、アウタープライマーとして5pmolのF3プライマーおよびB3プライマー、を含むプライマーセット#065〜#074(表5)を作製し、これを0.2mlマイクロチューブ(栄研化学)に添加し、氷上に置いた。LAMP反応液として、20mM Tris・HCl(pH8.8)、10mM KCl、8mM MgSO4、10mM (NH4)2SO4、0.1% Tween20、0.8M Betaine、 2.8mM dGTP、2.8mM dCTP、2.8mM dATP、2.8mM dTTP、100pg M.tuberculosisゲノムDNAを添加し、全容量を24μlとし氷上に置いた。これに、8units/μlのBst DNA Polymerase Large Fragment(NEW ENGLAND BioLabs)1μlを添加して全容量を25μlとし、ゆっくり混和した後、速やかにLAMP反応専用リアルタイム濁度測定装置LA―200(テラメックス社)にセットし、64℃にて60分間反応させ、増幅反応中の濁度を測定した。各プライマーセットにて行ったLAMP反応の濁度が0.1に達した時間を表6にまとめた。その結果、プライマーセット#065、#066、#067、#068、#069、#071、#072、#073、#074が比較的早くLAMP反応が進んでいることが示された。このうち、プライマーセット#065〜#069、#070〜#074のうち反応の早く進んだプライマーセット各3セットを選択した。
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
実施例4:LAMP反応4:ループプライマーの改変2
実施例3にて選択したプライマーセット#065、#067、#068、#071、#072、#073に使用されているFLループプライマーとBLループプライマーとを組み合わせ、プライマーセット#082〜#090(表7)を調製した。インナープライマーとして40pmolのFIPプライマーおよびBIPプライマー、ループプライマーとして20pmolのFLプライマーおよびBLプライマー、アウタープライマーとして5pmolのF3プライマーおよびB3プライマー、を含むプライマーセットを0.2mlマイクロチューブ(栄研化学)に添加し、氷上に置いた。LAMP反応液として、20mM Tris・HCl(pH8.8)、10mM KCl、8mM MgSO4、10mM (NH4)2SO4、0.1% Tween20、0.8M Betaine、 2.8mM dGTP、2.8mM dCTP、2.8mM dATP、2.8mM dTTP、100pg M.tuberculosis ゲノムDNAを添加し、全容量を24μlとし氷上に置いた。これに、8units/μlのBst DNA Polymerase Large Fragment(NEW ENGLANDBioLabs)1μlを添加して全容量を25μlとし、ゆっくり混和した後、速やかにLAMP反応専用リアルタイム濁度測定装置LA―200(テラメックス社)にセットし、64℃にて60分間反応させ、増幅反応中の濁度を測定した(図4)。また、各プライマーセットにて行ったLAMP反応の濁度が0.1に達した時間を表8にまとめた。その結果、全てのプライマーセットが、実施例2で示したプライマーセット#042よりもLAMP反応が早く進む事が示された。中でもFLプライマーとして配列番号23、BLプライマーとして配列番号44とを組み合わせたプライマーセット#082がが最も早くLAMP反応が進むことが示された。またプライマーセット#084、#085、#088、#089も濁度が0.1に到達する時間の平均が18分台であり、比較的早くLAMP反応が進むことが示された。この中で、2回の実験とも18分台であったプライマーセット#085も#082と共に選択した。
【0048】
【表7】
【0049】
【表8】
【0050】
実施例5:LAMP反応5:プライマーの濃度
実施例1、2、4にて選択したプライマーセット#007、#042、#082、#085のプライマーセットについて、FLループプライマーとBLループプライマーの量を変えてLAMP反応を行った。インナープライマーとして40pmolのFIPプライマーおよびBIPプライマー、ループプライマーとして各20、40、60pmolのFLプライマーおよびBLプライマー、アウタープライマーとして5pmolのF3プライマーおよびB3プライマー、を含むプライマーセットを0.2mlマイクロチューブ(栄研化学)に添加し、氷上に置いた。LAMP反応液として、20mM Tris・HCl(pH8.8)、10mM KCl、8mM MgSO4、10mM (NH4)2SO4、0.1% Tween20、0.8M Betaine、 2.8mM dGTP、2.8mM dCTP、2.8mM dATP、2.8mM dTTP、100pg M.tuberculosis ゲノムDNAを添加し、全容量を24μlとし氷上に置いた。これに、8units/μlのBst DNA Polymerase Large Fragment(NEW ENGLAND BioLabs)1μlを添加して全容量を25μlとし、ゆっくり混和した後、速やかにLAMP反応専用リアルタイム濁度測定装置LA―200(テラメックス社)にセットし、64℃にて60分間反応させ、増幅反応中の濁度を測定し、LAMP反応の濁度が0.1に達した時間を表9にまとめた。ループプライマー量を20pmolから40pmolや60pmolに増加させると、LAMP増幅に要する時間が短縮された。
【0051】
【表9】
【0052】
実施例6:LAMP反応6:交差性
インナープライマーとして40pmolのFIPプライマーおよびBIPプライマー、ループプライマーとして40pmolのFLプライマーおよびBLプライマー、アウタープライマーとして5pmolのF3プライマーおよびB3プライマー、を含むプライマーセット#007、#042、#082、#085を0.2mlマイクロチューブ(栄研化学)に添加し、氷上に置いた。LAMP反応液として、20mM Tris・HCl(pH8.8)、10mM KCl、8mM MgSO4、10mM (NH4)2SO4、0.1% Tween20、0.8M Betaine、 2.8mM dGTP、2.8mM dCTP、2.8mM dATP、2.8mM dTTP、表10記載の結核菌群(BCG、M.tuberculosis、M.bovis、M.africanum、M.microti)非定型抗酸菌(M.malmmoense、M.intracellulare、M.avium、M.kansasii)のゲノムDNA 100pgを添加し、全容量を24μlとし氷上に置いた。これに、8units/μlのBst DNA Polymerase Large Fragment(NEW ENGLAND BioLabs)1μlを添加して全容量を25μlとし、ゆっくり混和した後、速やかにLAMP反応専用リアルタイム濁度測定装置LA―200(テラメックス社)にセットし、64℃にて40分間反応させ、増幅反応中の濁度を測定した(図5〜8)。その結果、いずれのプライマーセットとも結核菌群のゲノムDNAをテンプレートにした場合のみLAMPによる増幅が進んでおり、作製したプライマーセットが結核菌群に特異性が高いことが示された。
【0053】
【表10】
【0054】
実施例7:LAMP反応7:検出感度
インナープライマーとして40pmolのFIPプライマーおよびBIPプライマー、ループプライマーとして40pmolのFLプライマーおよびBLプライマー、アウタープライマーとして5pmolのF3プライマーおよびB3プライマー、を含むプライマーセット#007、#042、#082、#085を0.2mlマイクロチューブ(栄研化学)に添加し、氷上に置いた。LAMP反応液として、20mM Tris・HCl(pH8.8)、10mM KCl、8mM MgSO4、10mM (NH4)2SO4、0.1% Tween20、0.8M Betaine、 2.8mM dGTP、2.8mM dCTP、2.8mM dATP、2.8mM dTTPを添加して全容量を22μlとした。これに100pg(2.1×104個の細胞相当)から100fg(2.1×101個の細胞相当)のM.tuberculosisゲノムDNAを添加し、全容量を24μlとし氷上に置いた。これに、8units/μlのBst DNA Polymerase Large Fragment(NEW ENGLAND BioLabs)1μlを添加して全容量を25μlとし、ゆっくり混和した後、速やかにLAMP反応専用リアルタイム濁度測定装置LA―200(テラメックス社)にセットし、64℃にて60分間反応させ、増幅反応中の濁度を測定した(図9〜12)。その結果、プライマーセット#042、#082、#085の検出感度が、結核菌210個相当であることが示された。
【0055】
【発明の効果】
本発明のプライマーを用いたLAMP反応によれば、結核菌および結核菌群遺伝子を迅速、特異的かつ高感度に検出することが可能である。
【0056】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、プライマーセット#001から#007を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pgの結核菌ゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて1時間、経時的に濁度を測定した。
【図2】図2は、プライマーセット#008から#014を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pgの結核菌ゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて1時間、経時的に濁度を測定した。
【図3】図3は、プライマーセット#015から#021を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pgの結核菌ゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて1時間、経時的に濁度を測定した。
【図4】図4は、プライマーセット#082から#090を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pgの結核菌ゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて1時間、経時的に濁度を測定した。
【図5】図5は、プライマーセット#007を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pgの結核菌群または非定型抗酸菌のゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて40分間、経時的に濁度を測定した。
【図6】図6は、プライマーセット#042を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pgの結核菌群または非定型抗酸菌のゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて40分間、経時的に濁度を測定した。
【図7】図7は、プライマーセット#082を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pgの結核菌群または非定型抗酸菌のゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて40分間、経時的に濁度を測定した。
【図8】図8は、プライマーセット#085を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pgの結核菌群または非定型抗酸菌のゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて40分間、経時的に濁度を測定した。
【図9】図9は、プライマーセット#007を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pg、10pg、1pg、100fgの結核菌群ゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて1時間、経時的に濁度を測定した。
【図10】図10は、プライマーセット#042を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pg、10pg、1pg、100fgの結核菌群ゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて1時間、経時的に濁度を測定した。
【図11】図11は、プライマーセット#082を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pg、10pg、1pg、100fgの結核菌群ゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて1時間、経時的に濁度を測定した。
【図12】図12は、プライマーセット#085を使ったLAMP反応のリアルタイム濁度測定の結果を示す。100pg、10pg、1pg、100fgの結核菌群ゲノムDNAをテンプレートとし、64℃にて1時間、経時的に濁度を測定した。
Claims (13)
- 配列番号48の塩基配列を5’側に、配列番号49の塩基配列を3’側に有し、全長が29から50塩基である一本鎖オリゴヌクレオチド。
- 配列番号50の塩基配列を5’側に、配列番号51の塩基配列を3’側に有し、全長が26から50塩基である一本鎖オリゴヌクレオチド。
- 配列番号1から6、28から30及び34から36の何れかに記載の塩基配列を有する、オリゴヌクレオチド。
- 配列番号7から15、31から33及び37から39の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド。
- LAMP法におけるインナープライマーとして請求項1または2に記載のオリゴヌクレオチドのうち少なくとも一つを用いる、LAMP法にて結核菌群の核酸を増幅する方法。
- LAMP法におけるインナープライマーとして請求項3または4に記載のオリゴヌクレオチドのうち少なくとも一つを用いる、LAMP法にて結核菌群の核酸を増幅する方法。
- LAMP法におけるインナープライマーとして請求項3記載の少なくとも一つのオリゴヌクレオチドと請求項4記載の少なくとも一つのオリゴヌクレオチドとを組み合わせて使用する、請求項6に記載の方法。
- LAMP法におけるアウタープライマーとして配列番号16から21に記載の少なくとも一つのオリゴヌクレオチドを用いる、請求項5〜7の何れかに記載の方法。
- LAMP法におけるループプライマーとして配列番号22から27及び40から47に記載の少なくとも一つのオリゴヌクレオチドを用いる、請求項5〜8の何れかに記載の方法。
- 試料中の結核菌群を検出するために行なう、請求項5〜9の何れかに記載の方法。
- 配列番号1から6、28から30及び34から36の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、配列番号7から15、31から33及び37から39の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとからなる、LAMP法にて結核菌群の核酸を増幅するためのインナープライマーとして使用するプライマーセット。
- 配列番号16から18の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、配列番号19から21の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとからなる、LAMP法にて結核菌群の核酸を増幅するためのアウタープライマーとして使用するプライマーセット。
- 配列番号22から24及び40から43の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、配列番号25から27及び44から47の何れかに記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとからなる、LAMP法にて結核菌群の核酸を増幅するためのループプライマーとして使用するプライマーセット。
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