JP2006061134A - 結核菌検出のためのプライマーおよび検出同定法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は結核菌の迅速かつ簡便な検出同定に関するものである。
【解決手段】 結核菌遺伝子の塩基配列をもとに結核菌特異的オリゴヌクレオチドからなるプライマーを設計し合成する。該プライマーを用いた遺伝子増幅を検出することによる結核菌同定方法を確立し、さらに該プライマーを用いた結核菌同定用キットを作製する。
【選択図】 なし
【解決手段】 結核菌遺伝子の塩基配列をもとに結核菌特異的オリゴヌクレオチドからなるプライマーを設計し合成する。該プライマーを用いた遺伝子増幅を検出することによる結核菌同定方法を確立し、さらに該プライマーを用いた結核菌同定用キットを作製する。
【選択図】 なし
Description
結核は結核菌(Mycobacterium tuberculosis)によって発症する感染性疾患である。感染性疾患の診断には感染起因菌の迅速で確実な同定が必要である。現在、結核の病原の診断には、主に喀痰を検体として塗沫鏡検および培養検査が行われている。
結核菌のなかで、M.tuberculosisはヒト型結核菌であり、M.bovisはウシ型結核菌である。臨床上、結核の起因菌はヒト型結核菌である。従って、実質的臨床的に結核起因菌M.tuberculosisの検出が問題である。
塗沫鏡検は迅速性と簡便性に優れており低費用であるが、検出感度が低いことが欠点である。さらに、塗沫鏡検によっては、検出特異度が低い、すなわち、起因菌種Mycobacterium tuberculosisまでの確定は困難である。例えば、特殊染色法であるチール−ニールセン染色法によって、供試菌が抗酸菌であることは推測されるが、Mycobacterium tuberculosisであると同定できない。
培養検査は、小川培地などを用いて検体から起因菌を培養するものであるから、培養陽性であれば病原診断に有用である。しかし、結核菌の発育はきわめて遅いため臨床的に十分な診断法となっていない。
このような問題を解決するために、検体中の結核菌特異的DNA塩基配列を増幅検出する結核診断用PCR法(TB−PCR法)(青木ら、PCR法を利用した抗酸菌DNA検出キット(アンプリコア マイコバクテリウム)による臨床検体からの抗酸菌迅速検出、臨床検査69、593−605、1994)が開発され、臨床で広く使用されている。
TB−PCR法では、臨床検体から結核菌特異的なDNA塩基配列を検出できるため、従来の結核診断法に比べて迅速性、特異度、感度に優れているとされており、現在、TB−PCRは我国では保険適用が認められている。しかし、TB−PCR法は手技が煩雑な上に様々な阻害物質の影響を受けやすい。又、複雑な温度制御のための特別の反応装置のない検査室では実施できないなどの問題がある。
このような問題点を解決する新規の遺伝子増幅法として、LAMP法(Notomiら、Nucleic Acids Research,28,e63 i−vii,2000)が開発された。
LAMP法は、1)1種類の酵素を使用して遺伝子増幅反応を定温で進行する、2)特異性、増幅効率が高く、短時間で増幅可能である、3)Loopamp DNA増幅試薬キットは、LAMP法を用いてターゲットDNAを増幅させるための簡易試薬キットで、一定温度(60〜65℃、通常は63℃)に保ち、一定時間(標準で1時間)反応するだけでDNAを増幅できる(Loopamp DNA増幅試薬キット、栄研化学(株)、説明書)。
LAMP法を用いた結核菌遺伝子診断法システム(Iwamotoら、J.Clin.Microbiol.41,2616−2622,2003)が報告されている。このシステムでは、M.tuberculosis、M.avium、およびM.intracellulareが検出同定できるとされており、PCR法と同等の検出感度が得られることが示されている。しかし、増幅反応に1時間を要する(35分に短縮すると検出感度が10〜100倍低下する)ことは、迅速性が十分にいかされたシステムとは言い難く、さらに迅速な検出法が求められる。
本発明は結核菌の迅速かつ簡便な検出同定に関するものである。
結核菌遺伝子の増幅法としてLAMP法を行った。
結核菌に特異的な遺伝子プライマーおよび遺伝子増幅を加速するためのループプライマー(loop primer)を設計し、このプライマーシステムを用いた結核菌検出用LAMP法(TB−LAMP法)を行うことによって結核菌特異的で迅速かつ簡便な結核菌検出が可能になることを見いだして、本発明に至った。
LAMP法に用いるプライマーの設計にあたっては、DDBJ/EMBL/GenBankデータベースからMycobacterium属を含む細菌の小サブユニット−リボソームDNAの塩基配列を取得し、DNA解析ソフト(Genetyx Mac Ver12,Genetyx,東京)を用いて多重並列解析したデータをもとに、結核菌遺伝子配列のなかで6ケ所の特異的塩基配列を特定する(Mycobacterium tuberculosis 16S ribosomal RNA gene.Accession No.X52917)。
特定した6ケ所の特異的塩基配列をもとに、LAMP法に用いるプライマーとして、結核菌に特異的な4種類のオリゴヌクレオチド(2種類はインナープライマー(innerprimer)で他の2種類はアウタープライマー(outer primer))を設計する。ここで、フォワード−およびバックワードインナープライマーをそれぞれFIPおよびBIPと呼ぶ。又、フォワード−およびバックワードアウタープライマーをF3およびB3と呼ぶ。さらに、TB−LAMP法を行うにあたって、2種類のループプライマーを設計する。
本設計プライマーを用いたLAMP法による特異的塩基配列の増幅には、これらの塩基配列が起点構造をもつことが必要である。この起点構造の塩基配列をDNA解析ソフト(http://bioinfo.rpi.edu/(M.Zuker,Nucleic Acids Research,31,3406−3415,2003およびJ.S.Lucia,Jr.,Nucleic Acids Science,95,1460−1465,1998)上で計算できる。すなわち、LAMP反応温度下で想定される自己会合を起こした2次元構造(起点構造)を確認することができる。
本発明は、結核菌の小サブユニットリボソームDNAの結核菌特異的塩基配列をもとに設計したオリゴヌクレオチドをプライマーとして、LAMP法を行うことによって結核菌を検出するものである。従来のPCR法および/又はLAMP法よりも、検出感度および検出特異度ともに高く、操作が簡便であり、遺伝子増幅時間は15分ときわめて迅速である。さらに、本発明のプライマーセットを用いたときの結核菌の検出下限は2菌体相当量ゲノムである。
結核菌検出の検体
結核菌検出の検体として用いられるものは、結核菌感染者又は結核患者から採取される臨床検体、例えば喀痰、胃液、咽頭分泌物、血液、組織、腸液など、あるいは培養菌体などの材料を用いることができる。これらの検体をLAMP法の材料として用いるには、前処理として菌体の濃縮と分離、菌体からの核酸の単離、濃縮などを行ってよい。
結核菌検出の検体として用いられるものは、結核菌感染者又は結核患者から採取される臨床検体、例えば喀痰、胃液、咽頭分泌物、血液、組織、腸液など、あるいは培養菌体などの材料を用いることができる。これらの検体をLAMP法の材料として用いるには、前処理として菌体の濃縮と分離、菌体からの核酸の単離、濃縮などを行ってよい。
鋳型DNAの抽出
マイコバクテリウム属細菌は小川培地で、一般細菌は普通寒天培地で培養した発育集落から菌体を採取し、常法によるフェノール・クロロフォルム抽出後に蒸留水に溶解したものを鋳型DNAにすることができる。カンジダ属真菌はサブロー・グルコース寒天培地上の発育集落からMamimuraらの迅速法(J.Med.Microbiol.40,358−364,1994)によってDNAを抽出し、これた鋳型DNAにすることができる。又、ヒトの全血から常法によって白血球を採取し、これをQLAmp DNA Mini Kit(キアゲン、USA)で精製したものをDNA標品にすることができる。
マイコバクテリウム属細菌は小川培地で、一般細菌は普通寒天培地で培養した発育集落から菌体を採取し、常法によるフェノール・クロロフォルム抽出後に蒸留水に溶解したものを鋳型DNAにすることができる。カンジダ属真菌はサブロー・グルコース寒天培地上の発育集落からMamimuraらの迅速法(J.Med.Microbiol.40,358−364,1994)によってDNAを抽出し、これた鋳型DNAにすることができる。又、ヒトの全血から常法によって白血球を採取し、これをQLAmp DNA Mini Kit(キアゲン、USA)で精製したものをDNA標品にすることができる。
喀痰からの核酸検出検体の調製
喀痰検体を調製法(アンプリコア・マイコバクテリウム・ツベルクローシス、ロシュ、USA)に従って、N−アセチル−システイン−NaOH法で処理後の遠沈物をLAMP法の検体として用いることができる。
喀痰検体を調製法(アンプリコア・マイコバクテリウム・ツベルクローシス、ロシュ、USA)に従って、N−アセチル−システイン−NaOH法で処理後の遠沈物をLAMP法の検体として用いることができる。
増幅産物の検出
増幅産物の検出には公知の技術を適用できる。増幅反応の産物を、常法に従ってアガロースゲル電気泳動後、エチジウムブロミド染色後、紫外線照射によって増副産物に特異的なラダー状の泳動像を確認することができる。
増幅産物の検出には公知の技術を適用できる。増幅反応の産物を、常法に従ってアガロースゲル電気泳動後、エチジウムブロミド染色後、紫外線照射によって増副産物に特異的なラダー状の泳動像を確認することができる。
又、LAMP反応の副産物であるピロリン酸マグネシウムによる反応液の白濁を肉眼的に観察することによって、あるいはこの白濁を分光光度計を用いて測定することによって、増幅をきわめて簡便に確認できる。
本発明は、結核菌に特異的な遺伝子プライマーおよび遺伝子増幅を加速するためのループプライマーの設計にその特徴がある。これらのプライマーを用いたTB−LAMP法を行うことによって結核菌特異的で迅速かつ簡便な結核菌検出が可能になる。又、ループプライマーは1種類でも2種類でもよい。
LAMP法に用いるプライマーの設計にあたっては、DDBJ/EMBL/GenBankデータベースからマイコバクテリウム属を含む細菌の小サブユニットリボソームDNAの塩基配列を取得し、DNA解析ソフト(Genetyx Mac Ver12,Genetyx,東京)を用いて多重並列解析したデータをもとに、結核菌遺伝子配列のなかで6ケ所の特異的塩基配列を特定する(Mycobacterium tuberculosis 16S ribosomal RNA gene.Accession NO.X52917)。
特定した6ケ所の特異的塩基配列をもとに、LAMP法に用いるプライマーとして、結核菌に特異的な4種類のオリゴヌクレオチドを設計する。さらに、TB−LAMP法を行うにあたって、2種類のループプライマーを設計する。
設計されたオリゴヌクレオチド配列に基づいたDNAオリゴヌクレオチドは公知の技術β−シアノエチルアミダイト法(キアゲン、東京)によって合成することができる。
PCR法
本発明のTB−LAMP法と比較のための喀痰検体のTB−PCR法は、アンプリコア・マイコバクテリウム・ツベルクローシス(ロシュ、USA)を用いて行うことができる。又、鋳型DNAのPCR法は、puRe Taq Ready−To−Go PCR Beads(Amersham Pharmacia Biotech Inc.USA)を用いて行うことができる。マイコバクテリウム属を含む細菌には、小サブユニット−リボソームDNAの共通配列、真菌には大サブユニット−リボソームDNAの共通配列、ヒトではヒトβ−グロブリン遺伝子配列を用いることができる。増幅反応には、サーマルサイクラーによる逐次的サイクル反応を行う。鋳型DNAの有無の判定は、常法によるアガロース電気泳動法で特異的サイズのバンドの有無によって確認する。
本発明のTB−LAMP法と比較のための喀痰検体のTB−PCR法は、アンプリコア・マイコバクテリウム・ツベルクローシス(ロシュ、USA)を用いて行うことができる。又、鋳型DNAのPCR法は、puRe Taq Ready−To−Go PCR Beads(Amersham Pharmacia Biotech Inc.USA)を用いて行うことができる。マイコバクテリウム属を含む細菌には、小サブユニット−リボソームDNAの共通配列、真菌には大サブユニット−リボソームDNAの共通配列、ヒトではヒトβ−グロブリン遺伝子配列を用いることができる。増幅反応には、サーマルサイクラーによる逐次的サイクル反応を行う。鋳型DNAの有無の判定は、常法によるアガロース電気泳動法で特異的サイズのバンドの有無によって確認する。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1 結核菌特異的遺伝子プライマーの設計
DDBJ/EMBL/GenBankデータベースからマイコバクテリウム属細菌の小サブユニット−リボソームDNAの塩基配列を取得し、DNA解析ソフト(Genetyx Mac Ver12,Genetyx,東京)を用いて多重並列解析したデータをもとに、結核菌遺伝子配列のなかで6ケ所の特異的塩基配列を特定した(Mycobacterium tuberculosis 16S ribosomal RNAgene.Accession No.X52917)。
DDBJ/EMBL/GenBankデータベースからマイコバクテリウム属細菌の小サブユニット−リボソームDNAの塩基配列を取得し、DNA解析ソフト(Genetyx Mac Ver12,Genetyx,東京)を用いて多重並列解析したデータをもとに、結核菌遺伝子配列のなかで6ケ所の特異的塩基配列を特定した(Mycobacterium tuberculosis 16S ribosomal RNAgene.Accession No.X52917)。
特定した塩基配列は31ggaaaggtctcttcggagatactcgagtggcgaacg(F3)ggtgagtaacacgtgggtgatctgccctgcacttcgg(FIP(F2))gataagcctgggaaac tgggtct(loopF)aataccggataggaccacgggat(FIP(Fl))gcatgtcttctggtggaaagcgctttagcgg(BIP(B1))tgtgggatgagcccgcggcctatcagc(loop B)ttgttggtggggtgacgg(BIP(B2))cctaccaaggcgacgacgggta(B3)gccggcctgagagggtgtccggccacactggga280である。ここで、配列における塩基番号を両端に示した。下線部は各プライマー設計に対応する塩基配列部位を表し、それに対応するプライマー名を配列後に括弧を付けて示した。
各プライマーと塩基配列 F3:GATACTCGAGTGGCGAACG、FIP:ATCCCGTGGTCCTATCCG(F1c)TCTGCCCTGCACTTCGG(F2)、B3c:TACCCGTCGT CGCCTTG、BIP:GCGCTTTAGCGGTGTGG(B1)CCGTCACCCCACCAACA(B2c)を設計した。ここで、F3は標的遺伝子F3領域の塩基配列、FIPは5’末端側にF1と相補的な領域(F1c)をもち、標的遺伝子F2領域を3’末端側に連結した塩基配列、B3cは標的遺伝子のB3領域に相補的な塩基配列、BIPは5’末端側に標的遺伝子B1領域をもち(B1)、B2と相補的な配列(B2C)を3’末端側に連結した塩基配列、である。
さらに、TB−LAMP法を行うにあたって、2種類のループプライマー、ループプライマーF:AGACCCAGTTTCCCAGGおよびループプライマーB:CCGCGGCCTATCAGCを設計した。
設計されたオリゴヌクレオチド配列に基づいたプライマーは公知の技術β−シアノエチルアミダイト法(キアゲン、東京)によって合成した。
実施例2 TB−LAMP法の検出特異度
マイコバクテリウム属のMycobacterium tuberculos 2菌株、非M.tuberculosis 10菌株、さらに非マイコバクテリウム属12菌株およびヒト白血球細胞1株を用いた(表1)。
マイコバクテリウム属のMycobacterium tuberculos 2菌株、非M.tuberculosis 10菌株、さらに非マイコバクテリウム属12菌株およびヒト白血球細胞1株を用いた(表1)。
鋳型DNAの調製 マイコバクテリウム属菌株は小川培地で室温にて2週間、一般細菌は普通寒天培地で37℃にて18時間培養した。各々数個の発育集落を採取し、常法に従ってDNAをフェノール・クロロフォルム抽出後、蒸留水に溶解して鋳型DNAを得た。カンジダ・アルビカンスはサブロー・グルコース寒天培地上で37℃にて24時間培養して得た菌体からMakimuraらの迅速法によってDNAを抽出した。又、ヒトのEDTA加全血40mlを3,000xG、7分間遠沈後、白血球を採取し、これをキアゲンのキット(前出)で精製したものをDNA標品とした。
LAMP反応のための反応液組成 本発明で得たプライマー系を用いたLAMP反応を行うための基準反応液の組成を示す。Tris−HCl 20mM、KCl 10mM、MgSO4 8mM、(NH4)2SO4 10mM、Tween 20 1.10%、Betaine 1.6M、dNTPs 1.4mM、プライマーとしてFIP 40pM、BIP 40pM、F3 10pM、B3 10pM、loop F 40pM、loop B 40pM、さらにBst DNAポリメラーゼ1.0μl、鋳型DNA 1−3μl、および蒸留水で全量を25μl/チューブにした。
LAMP反応 本発明で設計、合成したプライマー系を用いたLAMP反応をLoopampDNA増幅試薬キット(栄研化学、東京)で行った。反応は65℃の固定温度下で60分間行い、80℃2分間加熱して反応を停止後に増幅の有無を判定した。
増幅反応の産物を、TBE緩衝液、1.2%アガロースゲルにて100V40分電気泳動後、エチジウムブロミド染色し、紫外線照射によって増副産物に特異的なラダー状の泳動像を確認した。
又、LAMP反応の副産物であるピロリン酸マグネシウムによる反応液の白濁を肉眼的に観察することによって増幅を確認した。表1に示したように、マイコバクテリウム属結核菌(M.tuberculosisおよびM.bovis)のみで増幅が確認された。
PCR法
TB−LAMP法との比較 結核の疑いのある患者から採取した喀痰を検体としてTB−PCR法を実施した。
TB−LAMP法との比較 結核の疑いのある患者から採取した喀痰を検体としてTB−PCR法を実施した。
アンプリコア・マイコバクテリウム・ツベルクローシス(ロシュ、USA)の添付説明書に従って実施した。鋳型DNAのPCR法は、puRe Taq Ready−To−Go PCR Beads(Amersham Pharmacia Biotech Inc.USA)を用い、プライマーには各々、マイコバクテリウム属を含む細菌には、小サブユニット−リボソームDNAの共通配列F5’−AGAGTTTGATCCTGGCTCAG−3’、B5’−CTGCTGCCTCCCGTAG−3’、真菌には大サブユニット−リボソームDNAの共通配列F5’−AAGCATATCAATAAGCGGAGG−3’、B5’−GGTCCGTGTTTCAAGACGG−3’、ヒトではヒトβ−グロブリン遺伝子配列F5’−ACACAACTGTGTTCACTAGC−3’、B5’−CAACTTCATCCACGTTCACC−3’を用いた。増幅反応には、サーマルサイクラー(ABI2400、パーキンエルマー、USA)を用い、(1)95℃、60秒、(2)55℃、120秒、(3)72℃、90秒の条件で逐次的に30サイクルの反応を行った。鋳型DNAの有無の判定は、常法によるアガロース電気泳動法で特異的サイズのバンドの有無によって確認した。表1に示したように、マイコバクテリウム属結核菌(M.tuberculosisおよびM.bovis)のみで増幅が確認された。
実施例3 TB−LAMP法の検出感度
本発明のプライマー系を用いたLAMP法の検出感度について検討した。 LAMP反応は実施例2に示した条件で行った。
本発明のプライマー系を用いたLAMP法の検出感度について検討した。 LAMP反応は実施例2に示した条件で行った。
M.tuberculosis SMU1株を小川培地で室温にて2週間培養した後に、数個の発育集落を採取し、常法に従って本菌のDNAをフェノール・クロロフォルム抽出した。これを蒸留水に溶解して鋳型DNAとした。LAMP反応のための反応液組成(前述)のなかの鋳型DNAの濃度を、M.tuberculosisの20,000菌体相当量100pg/チューブから同0.002菌体相当量10ag/チューブまで10倍段階希釈したものとした。LAMP反応の副産物であるピロリン酸マグネシウムによる反応液の白濁を肉眼的に観察するきわめて簡便な方法によって増幅を確認した。又、増幅反応の産物を、TBE緩衝液、1.2%アガロースゲルにて100V40分電気泳動後、エチジウムブロミド染色し、紫外線照射によって増副産物に特異的なラダー状の泳動像を確認した。本TB−LAMP法では、表2に示すように、M.tuberculosisの2菌体相当量10fg/チューブまで検出することができた。
実施例4 TB−LAMP法の反応速度(ループプライマーの効果)
本発明のプライマー系を用いたL−AMP法の反応速度におけるループプライマーの効果について検討した。 TB−LAMP反応は実施例2に示した条件で、増幅の確認は実施例3に示した方法に従った。
本発明のプライマー系を用いたL−AMP法の反応速度におけるループプライマーの効果について検討した。 TB−LAMP反応は実施例2に示した条件で、増幅の確認は実施例3に示した方法に従った。
実施例3で調製したM.tuberculosis SMU1株の鋳型DNAを用いた。TB−LAMP反応系に含まれるループプライマーが、両ループプライマー(FおよびB)、ループプライマーFのみ、ループプライマーBのみ、であるTB−LAMP反応系、および両ループプライマーとも含まれないTB−LAMP反応系を設定した。又、反応時間は0、5、10、15、20、30、45、60分とした。
各TB−LAMP反応系の各反応時間経過後の増副産物の有無を確認した。両ループプフイマーとも含まれないTB−LAMP反応系では、45分、60分で増幅産物を確認した。ループプライマーF又はループプライマーBのみが含まれる場合は反応時間20分で増幅産物を確認した。さらに、両ループプライマーが含まれる場合は15分で増幅産物を確認した。
実施例5 臨床検体のTB−LAMP法と他の検出法との比較
結核が疑われる患者からの採取した喀痰10検体を用いて、TB−LAMP法、TB−PCR法および培養法によるマイコバクテリウム属検出の成績を比較した。
結核が疑われる患者からの採取した喀痰10検体を用いて、TB−LAMP法、TB−PCR法および培養法によるマイコバクテリウム属検出の成績を比較した。
喀痰からの核酸検出検体は、調製法(アンプリコア・マイコバクテリウム・ツベルクローシス、ロシュ、USA)に従って、N−アセチル−システイン−NaOH法で処理後の遠沈物を検体として用いた。TB−LAMP反応は実施例2に示した条件で、増幅の確認は実施例3に示した方法に従った。TB−PCR法は実施例2に示した条件で行った。
結果を表3に示した。喀痰10検体のうち5検体(検体1から検体5)がTB−LAMP法陽性、5検体(検体6から検体10)が陰性であった。この結果はTB−PCR法の結果に一致した。
喀痰培養法では、TB−LAMP法で陽性の全5検体からM.tuberculosisが分離同定された。TB−LAMP法で陰性の5検体中3検体からM.avium又はM.intracellulareが分離同定された。
実施例5 結核菌用同定キット
本発明のプライマーセット、DNAポリメラーゼ、および反応基質を含むLAMP法による結核菌同定用反応液キットを作製した。
本発明のプライマーセット、DNAポリメラーゼ、および反応基質を含むLAMP法による結核菌同定用反応液キットを作製した。
反応液キット 1反応分組成Tris−HCl 20mM、KCl10mM、MgSO48mM、(NH4)2SO410mM、Tween201.10%、Betaine 1.6M、dNTPs 1.4mM、プライマー6種類(FIP 40pM、BIP 40pM、F3 10pM、B3 10pM、loop F 40pM、loop B40pM)、Bst DNAポリメラーゼ1.0μl、および蒸留水適量(μl)。この反応液に鋳型DNA(核酸検出検体)1−3μlを添加し、全量を25μl/チューブにする。
本発明によって、結核菌保菌者および/又は患者からの検出感度および検出特異度の高い、さらに従来よりも迅速な結核菌検出を可能にする。
Claims (7)
- 結核菌16SリボソームRNA遺伝子塩基配列から又はその相補的塩基配列から選ばれた、標的領域塩基配列を増幅するための塩基配列で、結核菌特異的ゲノムにアニーリングを起こす塩基配列および該塩基配列の3’末端側塩基配列に相補的な塩基配列で、該塩基配列の5’末端側に連結する塩基配列を含むプライマー。
- 結核菌16SリボソームRNA遺伝子の塩基配列又はその相補的塩基配列から選ばれた塩基配列1GATACTCGAGTGGCGAACG、塩基配列2ATCCCGTGGTCCTATCCGTCTGCCCTGCACTTCGG、塩基配列3TACCCGTCGTCGCCTTG、塩基配列4GCGCTTTAGCGGTGTGGCCGTCACCCCACCAACAを含む請求項1のプライマー。
- 塩基配列がAGACCCAGTTTCCCAGGおよび/又はCCGCGGCCTATCAGCであるループプライマー。
- 結核菌特異的遺伝子の増幅法がLAMP法である請求項1から請求項3のプライマー。
- 請求項1から請求項3のプライマーを用いるLAMP法による結核菌特異的遺伝子の増幅法。
- 請求項5の増幅法による結核菌の同定方法。
- 請求項1から請求項4のプライマーを含む結核菌用同定キット。
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