JP2007189980A - 黄色ブドウ球菌検出のためのプライマーおよびそれを用いた検出法 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境や食品検査、臨床検査などにおいて黄色ブドウ球菌を迅速にかつ特異的に検出する方法を提供する。
【解決手段】LAMP法により黄色ブドウ球菌を検出するためのLAMPプライマーセットであって、黄色ブドウ球菌のgapR遺伝子の特定領域にアニーリング可能な少なくとも4種のLAMPプライマーのセット、及びこれらのLAMPプライマーセットを用いて黄色ブドウ球菌を検出するための方法。
【選択図】なし
【解決手段】LAMP法により黄色ブドウ球菌を検出するためのLAMPプライマーセットであって、黄色ブドウ球菌のgapR遺伝子の特定領域にアニーリング可能な少なくとも4種のLAMPプライマーのセット、及びこれらのLAMPプライマーセットを用いて黄色ブドウ球菌を検出するための方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を迅速かつ正確に検出するためのプライマーセットおよび方法に関する。
より具体的には、本発明はLAMP(loop-mediated isothermal amplification)法により黄色ブドウ球菌のギャップレギュレーター(gapR)遺伝子の増幅を検出することを含む、黄色ブドウ球菌の検出のための方法およびプライマーセットに関する。
黄色ブドウ球菌は食中毒の主要な原因菌であることから病原性の面で非常に重要な菌種であると考えられている。この細菌は、鶏肉や豚肉などの食肉およびその加工品、乳およびその加工品、卵およびその加工品、魚介類、野菜類、パン、缶詰製品などの食品、飼料やさらに下水などの各種環境、ヒトでは鼻咽腔粘膜、皮膚や腸管内などに分布している。感染源としては、環境中に広く分布している(非特許文献1)。
黄色ブドウ球菌は、通性嫌気性のグラム陽性球菌である。従来、黄色ブドウ球菌を生化学性状で判定する場合、コアグラーゼ、耐塩性、溶血性、糖分解性試験などを行い判定していた(非特許文献2)。
黄色ブドウ球菌の検出には増菌や分離培養などを経て各種生化学試験などを行うが、これらの手法は結果を得るまでに時間を要することから、遺伝子を用いた試験法が注目されている。例えば、黄色ブドウ球菌に特異的な遺伝子領域を増幅し、確認するPCR(Polymerase Chain Reaction)法が用いられている(特許文献1、非特許文献3)。
しかし、PCR法を用いた細菌の検出法は反応を行うために特別な機器を必要とし、最終判定方法のひとつであるアガロースゲル電気泳動法などに多大な時間と労力を要する。
黄色ブドウ球菌のgapR遺伝子はそのゲノムDNA上にコードされており、337アミノ酸をもつ解糖オペロンレギュレータータンパク質をコードする。gapR遺伝子の塩基配列は例えばGenBankなどから入手可能であり、AJ133520の登録番号を有している。また、gapR遺伝子をPCR法で増幅して黄色ブドウ球菌を検出する方法は既に報告されている(特許文献1)。
近年、新しい遺伝子増幅法の一つとしてLAMP反応が栄研化学社(栃木)によって開発された。LAMP法は等温核酸増幅法であり、高い特異性および増幅効率を有し、反応から検出まで1時間程度で行うことができる(特許文献2;非特許文献4)。
本発明の目的は、LAMP法によって黄色ブドウ球菌を特異的に検出可能であるプライマーセットを提供することである。
本発明の別の目的は、上記プライマーセットを用いて黄色ブドウ球菌を特異的に検出する方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するため検討を行った結果、黄色ブドウ球菌のgapR遺伝子に選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを作製し、このオリゴヌクレオチドをプライマーとしてLAMP法により増幅することにより、黄色ブドウ球菌を検体中から特異的、簡便、迅速かつ高感度に検出することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、要約すると、以下の特徴を有する。
本発明は、第1の態様において、黄色ブドウ球菌検出用LAMPプライマーセットであって、黄色ブドウ球菌のgapR遺伝子の特定領域にアニーリング可能な配列番号1〜4に示されるそれぞれ塩基配列FIP、BIP、F3およびB3からなる4種のプライマーを含むセットを提供する。
本発明は、第1の態様において、黄色ブドウ球菌検出用LAMPプライマーセットであって、黄色ブドウ球菌のgapR遺伝子の特定領域にアニーリング可能な配列番号1〜4に示されるそれぞれ塩基配列FIP、BIP、F3およびB3からなる4種のプライマーを含むセットを提供する。
その実施形態において、上記プライマーセットは、配列番号1〜4の4種のプライマーに加えて、配列番号5に示される塩基配列Loop-Fのプライマーをさらに含むことができる。
本発明は、第2の態様において、黄色ブドウ球菌gapR遺伝子の増幅をLAMP法によって検出することを含む、黄色ブドウ球菌の検出方法を提供する。
その実施形態において、LAMP法が、(i)上記の配列番号1〜4の4種のプライマーを含むLAMPプライマーセット、または(ii)配列番号1〜4の4種のプライマーに加えて、配列番号5のプライマーをさらに含むLAMPプライマーセット、を用いて行われる。
本発明の黄色ブドウ球菌gapR遺伝子増幅用プライマーセットはいずれも、LAMP法により黄色ブドウ球菌を特異的に検出可能である(後述の表1)。種々の細菌株について試験した結果、本発明のプライマーセットによってそのすべての黄色ブドウ球菌株が陽性に検出された。一方、他のスタフィロコッカス属細菌種及び他の属の細菌に対してはいずれも陰性の結果が得られた。
本発明により、黄色ブドウ球菌を特異的、簡便、迅速かつ高感度に検出することができる。
黄色ブドウ球菌のgapR遺伝子産物は337アミノ酸をもつ解糖オペロンレギュレータータンパク質である。
黄色ブドウ球菌のgapR遺伝子の塩基配列を他の細菌と比較し、黄色ブドウ球菌に特異的な配列を特定し、本発明のLAMPプライマーを設計した。この細菌のgapR遺伝子の塩基配列は、例えばGenBankなどから入手可能であり、AJ133520の登録番号を有している。
黄色ブドウ球菌のgapR遺伝子の特定領域にアニーリング可能な領域として決定された塩基配列はそれぞれ、配列番号1〜4、5に示される塩基配列である。
これらの配列のプライマーセットを用いてLAMP法を実施するときには、黄色ブドウ球菌を他のスタフィロコッカス属細菌種または他の属の細菌から区別して(すなわち特異的に)検出することができる。
したがって、本発明の黄色ブドウ球菌検出用LAMPプライマーセットは、黄色ブドウ球菌のgapR遺伝子上の他の細菌とは異なる塩基配列が存在している領域を利用し、これを標的としたプライマー4種類(FIP、BIP、F3およびB3)を用いるプライマーセットである。また、核酸の増幅反応を加速するために1種類(Loop-F)のプライマーを追加した、合計5種類のプライマーで1セットとしてもよい。
LAMP法は、標的遺伝子の6つの領域に対して4つのプライマー(一般にFIP、BIP、F3およびB3と称する)を設定し、鎖置換反応を利用して等温で核酸を増幅させることが可能な手法である(特開2002-330796;T. Notomiら, Nucleic Acids research, 2000, 28(12), e63)。この手法について以下に説明する。
まず、標的遺伝子について、3'末端側からF3c、F2c、F1cという3つの領域を、標的遺伝子の5'末端側に向かってB1、B2、B3という領域をそれぞれ規定し、この6領域に対し、4種類のプライマー、すなわちFIP、F3、BIPおよびB3を設計する。ここで、F3c、F2c、F1cの各領域に相補的な領域はそれぞれF3、F2、F1であり、またB1、B2、B3の各領域に相補的な領域はそれぞれB1c、B2c、B3cである。
FIPは、標的遺伝子のF2c領域と相補的なF2領域を3'末端側にもち、5'末端側に標的遺伝子のF1c領域と同じ配列をもつように設計されたプライマーである。必要ならば、FIPプライマーのF1cとF2の間に制限酵素部位を導入することもできる。
F3は、標的遺伝子のF3c領域と相補的なF3領域をもつように設計されたプライマーである。
BIPは、標的遺伝子のB2c領域と相補的なB2領域を3'末端側にもち、5'末端側に標的遺伝子のB1c領域と同じ配列をもつように設計されたプライマーである。必要ならば、BIPプライマーのB1cとB2の間に制限酵素部位を導入することもできる。
B3は、標的遺伝子のB3c領域と相補的なB3領域をもつように設計されたプライマーである。
FIPおよびBIPプライマーに制限酵素部位が含まれる場合、反応後に増幅産物を制限酵素で処理することによって、電気泳動後に1つのバンドとして観察することができる。この場合、もし標的DNAに制限酵素部位があれば、プライマーに人為的に制限酵素部位を導入しなくてもよい。
また、Loop-Fプライマーを使用するときには、これらのプライマーが核酸増幅過程で利用されていないループ部分に結合することにより全てのループ部分を起点として核酸反応が進み、核酸の増幅反応が加速される(特開2002-345499)。
LAMP反応は、サンプル遺伝子、プライマー、鎖置換型DNA合成酵素、基質等を一緒に一定温度(約60〜65℃)で保温することにより、検出まで1ステップの工程で行うことができる。
この反応では鎖置換型DNA合成酵素が使用されるが、この酵素は、PCR法における耐熱性DNAポリメラーゼと異なり安価であるうえに、鋳型DNAの二本鎖をほどきながらDNA合成を行うことができる。このため、LAMP法では、PCR法のようにあらかじめ二本鎖DNAを一本鎖に熱変性する必要がない。
LAMP反応試薬は、栄研化学社から市販のLoopamp DNA増幅試薬キット(但し、プライマーセットを除く)を利用すると便利である。具体的には、反応液の例は次のとおりである。2倍濃度反応用緩衝液:40mM Tris-HCl(pH8.8)、20mM KCl、20mM(NH4)2SO4、16mM MgSO4、0.2% Tween20、1.6M Betain、各終濃度2.8mMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP;DNAポリメラーゼ:Bst DNA Polymerase 8units/μl;本発明の各プライマーの終濃度、FIP及びBIP:40μM、F3及びB3:5μM、Loop-F:20μM。
LAMP反応液としては、例えば、滅菌蒸留水を4.5μl、2倍濃度反応用緩衝液を12.5μl、FIP、BIP、F3、B3、Loop-Fの各プライマーを1μl加え、DNAポリメラーゼ1μl、検体液(鋳型DNA)2μlを加え、全量25μlの反応液を調製する。
反応は、次のような工程を経て行われる。
(i) 鎖置換型DNAポリメラーゼの働きにより、FIPのF2領域の3'末端を起点として鋳型DNAと相補的なDNA鎖が合成される。
(ii) FIPの外側に、F3プライマーがアニールし、その3'末端を起点として鎖置換型DNAポリメラーゼの働きによって、先に合成されているFIPからのDNA鎖を剥がしながらDNA合成が伸長する。
(i) 鎖置換型DNAポリメラーゼの働きにより、FIPのF2領域の3'末端を起点として鋳型DNAと相補的なDNA鎖が合成される。
(ii) FIPの外側に、F3プライマーがアニールし、その3'末端を起点として鎖置換型DNAポリメラーゼの働きによって、先に合成されているFIPからのDNA鎖を剥がしながらDNA合成が伸長する。
(iii)F3プライマーから合成されたDNA鎖と鋳型DNAが二本鎖となる。
(iv) FIPから先に合成されたDNA鎖は、F3プライマーからのDNA鎖によって剥がされて一本鎖DNAとなるが、このDNA鎖は、5'末端側に相補的な領域F1c、F1をもち、自己アニールを起こし、ループを形成する。
(iv) FIPから先に合成されたDNA鎖は、F3プライマーからのDNA鎖によって剥がされて一本鎖DNAとなるが、このDNA鎖は、5'末端側に相補的な領域F1c、F1をもち、自己アニールを起こし、ループを形成する。
(v) 上記(iv)の過程でループを形成したDNA鎖に対し、BIPがアニールし、このBIPの3'末端を起点として相補的なDNA合成が行われる。この過程でループは剥がされて伸びる。さらに、BIPの外側にB3プライマーがアニールし、その3'末端を起点として鎖置換型DNAポリメラーゼの働きによって、先に合成されたBIPからのDNA鎖を剥がしながらDNA合成が伸長する。
(vi) 上記(v)の過程で二本鎖DNAが形成される。
(vii)上記(v)の過程で剥がされたBIPから合成されたDNA鎖は両端に相補的な配列を持つため、自己アニールし、ループを形成してダンベル様の構造となる。
(vii)上記(v)の過程で剥がされたBIPから合成されたDNA鎖は両端に相補的な配列を持つため、自己アニールし、ループを形成してダンベル様の構造となる。
(viii)上記ダンベル構造のDNA鎖を起点として、FIP次いでBIPのアニーリングを介して所望DNAの増幅サイクルが行われる。
本発明の各プライマーセットは、約60〜65℃(例えば65℃)においてアニーリングと同時にDNA鎖の合成も起こす。アニーリング反応およびDNA鎖合成により約1時間反応を行うことにより109〜1010倍に核酸を増幅させることが可能である。
黄色ブドウ球菌の特定のDNA領域が増幅されると、副産物として形成されるピロリン酸マグネシウムの影響で反応液が白濁するため、この濁度に基づき増幅の有無が目視により判定できる、あるいは濁度測定装置を用いて濁度を光学的に測定することもできる。また、必要に応じて、アガロースゲル電気泳動法などを利用してDNA断片の有無を確認し検出することもできる。
核酸増幅による黄色ブドウ球菌の同定のための検体としては、食品検体、例えば乳製品、食肉製品、野菜類、魚介類など、また環境検体、例えば土壌、水など、また臨床検体、例えば種々の化膿性部位(皮膚、耳漏など)、血液などでもよい。
これら検体をLAMP法の試料として用いる場合には、検体中に存在する菌の濃縮、分離、菌体からの核酸分離や、核酸の濃縮などの操作を前処理として行うこともできる。菌の濃縮、分離の方法としては、ろ過、遠心分離などが、知られており、適宜選択できる。食品検体や環境検体などに存在する菌体からの核酸の遊離には、例えばLysozymeやProteinase Kなどによって菌体を処理し、100℃での加熱により菌体から核酸を遊離させる方法もある。また、特に食品検体によってはさらなる精製の必要があれば、フェノール/クロロホルム処理、エタノール沈殿や遠心等により核酸の精製を行い、最終的にTE緩衝液などに再溶解させ鋳型DNAとして試験に供してもよい(J. Appl. Bacteriol, 1991,70,121-126;J. Clin. Pathol, 1996,49,861-863)。
例えば食品中に存在すると考えられる黄色ブドウ球菌を適切な培地で増菌培養し、寒天培地上に形成されたコロニーからDNAを分離し、このDNAに対して上記プライマーを用いたLAMP反応を行い、黄色ブドウ球菌の特定遺伝子領域を増幅する。
増幅反応により副産物として形成されるピロリン酸マグネシウムの影響により反応液は、上述のとおり、白濁するので、反応液の濁度を目視または濁度測定装置などを用いた光学的手法により核酸増幅の有無を簡単に確認できる。もしgapR遺伝子の特定領域の核酸増幅が観察されるならば、標的遺伝子が存在することを意味し、結果として黄色ブドウ球菌陽性(+)を表す。逆に、核酸増幅が観察されない場合には、標的遺伝子が不存在であることを意味し、結果として黄色ブドウ球菌陰性(−)を表す。
上で説明したように、本発明により、gapR遺伝子に由来する特定遺伝子領域を増幅する配列番号1〜4、および適宜追加して実施可能な配列番号5に示される塩基配列からなるプライマーセットをLAMPプライマーセットとして用いることによって、黄色ブドウ球菌を特異的に検出することができる。ここで、「特異的に」とは、検出反応が他のスタフィロコッカス属細菌種及び他の属の細菌に対して陰性であることを意味する。
本発明のLAMP法による黄色ブドウ球菌の検出法は、食品や環境検体、臨床検体などの検査対象物に存在する黄色ブドウ球菌の有無を迅速に判別することができる検査法として用いることができ、乳製品、食肉製品、野菜類や魚介類などでの黄色ブドウ球菌の汚染などの検出のために使用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.LAMP反応
LAMP反応に用いる各試薬の濃度の内容は次のとおりであるが、LAMP反応試薬は栄研化学社製のLoopamp DNA増幅試薬キットを用いた。2倍濃度反応用緩衝液:40mM Tris-HCl(pH8.8)、20mM KCl、20mM(NH4)2SO4、16mM MgSO4、0.2% Tween20、1.6M Betain。各終濃度2.8mMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP。DNAポリメラーゼ:Bst DNA Polymerase 8units/μl。本発明の各プライマーの終濃度、FIP、BIP:各40μM、F3、B3:各5μM、Loop-F:20μM。(栄研化学社、DNA増幅試薬キットLMP201添付説明書参照)
LAMP反応液は、滅菌蒸留水を4.5μl、2倍濃度反応用緩衝液を12.5μl、FIP、BIP、F3、B3、Loop-Fの各プライマーを1μl加え、DNAポリメラーゼ1μl、上記より得られた検体液(鋳型DNA)2μlを加え、全量25μlの反応液を調製した。
LAMP反応に用いる各試薬の濃度の内容は次のとおりであるが、LAMP反応試薬は栄研化学社製のLoopamp DNA増幅試薬キットを用いた。2倍濃度反応用緩衝液:40mM Tris-HCl(pH8.8)、20mM KCl、20mM(NH4)2SO4、16mM MgSO4、0.2% Tween20、1.6M Betain。各終濃度2.8mMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP。DNAポリメラーゼ:Bst DNA Polymerase 8units/μl。本発明の各プライマーの終濃度、FIP、BIP:各40μM、F3、B3:各5μM、Loop-F:20μM。(栄研化学社、DNA増幅試薬キットLMP201添付説明書参照)
LAMP反応液は、滅菌蒸留水を4.5μl、2倍濃度反応用緩衝液を12.5μl、FIP、BIP、F3、B3、Loop-Fの各プライマーを1μl加え、DNAポリメラーゼ1μl、上記より得られた検体液(鋳型DNA)2μlを加え、全量25μlの反応液を調製した。
LAMP反応は、テラメックス社製の濁度測定装置LA-200Fを用い、65℃の等温反応を60分間行い、その後80℃、2分間の酵素失活処理行った。濁度測定装置は、LAMP反応の副産物であるピロリン酸マグネシウムによる白濁を経時的に観察することが可能で、濁度が上昇するものを黄色ブドウ球菌について陽性、濁度の上昇が認められないものを陰性とした。
2.プライマーの設計
黄色ブドウ球菌のgapR遺伝子と他のスタフィロコッカス属菌の塩基配列とを比較し、黄色ブドウ球菌に特異的なLAMPプライマーを設計した。
黄色ブドウ球菌のgapR遺伝子と他のスタフィロコッカス属菌の塩基配列とを比較し、黄色ブドウ球菌に特異的なLAMPプライマーを設計した。
3.結果
配列番号1〜4(それぞれFIP、BIP、F3およびB3)および追加可能な配列番号5(Loop-F)によるプライマーセットは、gapR遺伝子の特定領域を増幅するように設計してある。実際に表1に示した黄色ブドウ球菌を11株、およびその他のスタフィロコッカス属菌を用いてLAMP反応を行った結果、黄色ブドウ球菌のみに、増幅反応の副産物であるピロリン酸マグネシウムの白濁が観察された。また、その他細菌でも交差性は見られなかった。結果を表1に示した。
配列番号1〜4(それぞれFIP、BIP、F3およびB3)および追加可能な配列番号5(Loop-F)によるプライマーセットは、gapR遺伝子の特定領域を増幅するように設計してある。実際に表1に示した黄色ブドウ球菌を11株、およびその他のスタフィロコッカス属菌を用いてLAMP反応を行った結果、黄色ブドウ球菌のみに、増幅反応の副産物であるピロリン酸マグネシウムの白濁が観察された。また、その他細菌でも交差性は見られなかった。結果を表1に示した。
表1に示されるように、本発明においてgapR遺伝子増幅用プライマーセットを使用してLAMP法を実施することにより、黄色ブドウ球菌を特異的に検出することが可能であり、また1時間以内に増幅反応を確認することができた。
このことから、gapR遺伝子増幅用プライマーセットは、黄色ブドウ球菌を特異的に検出するためのプライマーとして有効であると判断された。
本発明のLAMP法による黄色ブドウ球菌の検出法は、食品や環境検体、臨床検体などの検査対象物に存在する黄色ブドウ球菌の有無を迅速にかつ特異的に判別することができる検査法として用いることができるため、乳製品、食肉製品、野菜類や魚介類などでの黄色ブドウ球菌の汚染の検出に有用である。
配列番号1:人工配列の説明:プライマー
配列番号2:人工配列の説明:プライマー
配列番号2:人工配列の説明:プライマー
Claims (4)
- 黄色ブドウ球菌検出用LAMPプライマーセットであって、黄色ブドウ球菌のgapR遺伝子の特定領域にアニーリング可能な配列番号1〜4に示されるそれぞれ塩基配列FIP、BIP、F3およびB3からなる4種のプライマーを含むセット。
- 配列番号5に示される塩基配列Loop-Fのプライマーをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のLAMPプライマーセット。
- 黄色ブドウ球菌gapR遺伝子の増幅をLAMP法によって検出することを含む、黄色ブドウ球菌の検出方法。
- LAMP法が請求項1または2に記載のLAMPプライマーセットを用いて行われることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
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JP2010004881A (ja) * | 2008-05-29 | 2010-01-14 | Kao Corp | パエシロマイセスバリオッティの検出方法 |
CN101701252B (zh) * | 2009-11-20 | 2012-01-11 | 吉林大学 | 一种快速检测牛奶中金黄色葡萄球菌的试剂盒 |
EP2862943A3 (en) * | 2013-10-16 | 2015-09-02 | Wisconsin Alumni Research Foundation | DNA-based detection and identification of eight mastitis pathogens |
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