JP2008005779A - ラクトバチルス・ブレビス検出のためのプライマーおよびそれを用いた検出法 - Google Patents
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Abstract
【課題】食品や環境検査などにおいてラクトバチルス・ブレビスを迅速にかつ特異的に検出する方法を提供する。
【解決手段】ラクトバチルス・ブレビス検出用LAMPプライマーセットであって、ラクトバチルス・ブレビスの16S rRNA遺伝子の特定領域にアニーリング可能な特定の塩基配列FIP、BIP、F3およびB3からなる4種のLAMPプライマーセット、およびこれらのLAMPプライマーセットを用いてラクトバチルス・ブレビスを検出するための方法。
【選択図】なし
【解決手段】ラクトバチルス・ブレビス検出用LAMPプライマーセットであって、ラクトバチルス・ブレビスの16S rRNA遺伝子の特定領域にアニーリング可能な特定の塩基配列FIP、BIP、F3およびB3からなる4種のLAMPプライマーセット、およびこれらのLAMPプライマーセットを用いてラクトバチルス・ブレビスを検出するための方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、ラクトバチルス・ブレビスを迅速かつ正確に検出するためのプライマーセットおよび方法に関する。
より具体的には、本発明はLAMP(loop-mediated isothermal amplification)法によりラクトバチルス・ブレビスの16S rRNA遺伝子の増幅を検出することを含む、ラクトバチルス・ブレビスの検出のための方法およびプライマーセットに関する。
ラクトバチルス・ブレビスはビールやワイン、漬物、チーズなどの食品に有害な菌であることから、品質管理の面で非常に重要な菌種であると考えられている。特にビール生育性は強く、pH4.0付近、苦味価20B.U.前後の微生物耐性の比較的高いビールにも生育することが知られている。また、ビール中に生育した場合、混濁を生じ酸味が強くなるといった特徴をもつ(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。
ラクトバチルス・ブレビスは、嫌気性のグラム陽性桿菌である。以前、ラクトバチルス・ブレビスを生化学性状で分類する場合、糖分解性試験や発育温度、耐塩性試験などを行い判定していた(非特許文献5、6)。
ラクトバチルス・ブレビスの検出には増菌や分離培養などを経て各種生化学試験などを行ってきたが、これらの手法は結果を得るまでに時間を要することから、遺伝子を用いた試験法が注目されてきた。例えば、DNAハイブリダイゼーション法や16S rRNA遺伝子の配列に基づく系統的な分類法などである(非特許文献7)。
また、ラクトバチルス・ブレビスに特異的な遺伝子領域を増幅し、確認するPCR法や核酸プローブ法などが用いられている。鈴木ら(特許文献1)は、16S rRNA遺伝子を標的に2ステップPCR法により検出を行っている。小林ら(特許文献2)は、16S rRNA遺伝子を標的としてPCR法による検出を行い、ラクトバチルス・ブレビス2株について評価を行い、種特異的に検出可能であったと報告している。Guarneriら(非特許文献8)も、16S rRNA遺伝子を標的としたPCR法について報告している。ニエトゥオプスキーら(特許文献3)は、核酸プローブ法による検出法を報告している。
しかし、PCR法を用いた細菌の検出法には反応を行うために特別な機器を必要とし、最終判定方法のひとつであるアガロースゲル電気泳動法などに多大な時間と労力を要する。また、2ステップPCR法、核酸プローブ法は操作が煩雑な上、時間がかかることから日常の微生物検査でこれらの試験を行うことには問題があった。
ラクトバチルス・ブレビスの16S rRNA遺伝子はDNA上にコードされており、その塩基配列は例えばGenBankなどから入手可能で、M58810の登録番号を有している。また、16S rRNA遺伝子をPCR法で増幅する方法は既に報告されている(特許文献1、2、非特許文献8)。
近年、新しい遺伝子増幅法の一つとしてLAMP反応が栄研化学社(栃木)によって開発された。LAMP法は等温核酸増幅法であり、高い特異性および増幅効率を有し、反応から検出まで1時間程度で行うことができる(特許文献4;非特許文献9)。土屋ら(特許文献5)は、ラクトバチルス・ブレビスのDNAジャイレースサブユニットB遺伝子を標的にLAMP法による検出報告しており、本菌2株について特異的な検出が可能であったと報告している。
本発明の目的は、LAMP法によってラクトバチルス・ブレビスを特異的に検出可能であるプライマーセットを提供することである。
本発明の別の目的は、上記プライマーセットを用いてラクトバチルス・ブレビスを特異的に検出する方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するため検討を行った結果、ラクトバチルス・ブレビスの16S rRNA遺伝子(16S rDNA)に選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを作製し、このオリゴヌクレオチドをプライマーとしてLAMP法により増幅することにより、ラクトバチルス・ブレビスを検体中から特異的、簡便、迅速かつ高感度に検出することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、要約すると、以下の特徴を有する。
(1)以下のラクトバチルス・ブレビス検出用LAMPプライマーセット。
(i)ラクトバチルス・ブレビスの16S rRNA遺伝子の特定領域にアニーリング可能な配列番号1〜4に示される塩基配列FIP、BIP、F3およびB3からなる4種のプライマーのセット。
(ii) 前記(i)の4種のプライマーに加えて、配列番号5および6に示される塩基配列Loop-FおよびLoop-Bからなる2種のプライマーをさらに含むLAMPプライマーセット。
(2)以下のラクトバチルス・ブレビスの検出方法。
(iii)ラクトバチルス・ブレビスの16S rRNA遺伝子の増幅をLAMP法によって検出することを含む方法。
(iv)前記(iii)の方法において、LAMP法が、前記(i)または(ii)に記載のLAMPプライマーセットを用いて行われる方法。
(1)以下のラクトバチルス・ブレビス検出用LAMPプライマーセット。
(i)ラクトバチルス・ブレビスの16S rRNA遺伝子の特定領域にアニーリング可能な配列番号1〜4に示される塩基配列FIP、BIP、F3およびB3からなる4種のプライマーのセット。
(ii) 前記(i)の4種のプライマーに加えて、配列番号5および6に示される塩基配列Loop-FおよびLoop-Bからなる2種のプライマーをさらに含むLAMPプライマーセット。
(2)以下のラクトバチルス・ブレビスの検出方法。
(iii)ラクトバチルス・ブレビスの16S rRNA遺伝子の増幅をLAMP法によって検出することを含む方法。
(iv)前記(iii)の方法において、LAMP法が、前記(i)または(ii)に記載のLAMPプライマーセットを用いて行われる方法。
本発明のラクトバチルス・ブレビス16S rRNA遺伝子増幅用プライマーセットはいずれも、LAMP法によりラクトバチルス・ブレビスを特異的に検出可能である(後述の表1)。この細菌株について試験した結果、本発明のプライマーセットによってそのすべてのラクトバチルス・ブレビス株が陽性に検出された。一方、評価を行った他のラクトバチルス属細菌種に対してはいずれも陰性の結果が得られた。
本発明によれば、ラクトバチルス・ブレビスを特異的、簡便、迅速かつ高感度に検出することができる。
本発明によれば、ラクトバチルス・ブレビスを特異的、簡便、迅速かつ高感度に検出することができる。
ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)の16S rRNA遺伝子(16S rDNA)の塩基配列から、他の細菌と区別可能なラクトバチルス・ブレビスに特異的な配列を見出し、本発明のLAMPプライマーを設計した。この細菌の16S rRNA遺伝子の塩基配列は、配列番号7として示されており、例えばGenBank M58810の登録番号を有している。
すなわち、ラクトバチルス・ブレビスの16S rRNA遺伝子の特定領域にアニーリング可能な領域として決定された塩基配列はそれぞれ、配列番号1〜4、5および6に示される塩基配列である。
これらの配列のプライマーセットを用いてLAMP法を実施するときには、ラクトバチルス・ブレビスを他のラクトバチルス属細菌種から区別して(すなわち特異的に)検出することができる。
したがって、本発明のラクトバチルス・ブレビス検出用LAMPプライマーセットは、ラクトバチルス・ブレビスの16S rRNA遺伝子上の他の細菌とは異なる塩基配列が存在している領域を利用し、これを標的としたプライマー4種類(FIP、BIP、F3およびB3)を用いるプライマーセットである。また、核酸の増幅反応を加速するために2種類(Loop-F、Loop-B)のプライマーを追加した、合計6種類のプライマーで1セットとしてもよい。
LAMP法は、標的遺伝子の6つの領域に対して4つのプライマー(一般にFIP、BIP、F3およびB3と称する)を設定し、鎖置換反応を利用して等温で核酸を増幅させることが可能な手法である(特開2002-330796;T. Notomiら, Nucleic Acids research, 2000, 28(12), e63)。
まず、標的遺伝子について、3'末端側からF3c、F2c、F1cという3つの領域を、また標的遺伝子の5'末端側に向かってB1、B2、B3という領域をそれぞれ規定し、この6領域に対し、4種類のプライマー、すなわちFIP、F3、BIPおよびB3を設計する。ここで、F3c、F2c、F1cの各領域に相補的な領域はそれぞれF3、F2、F1であり、またB1、B2、B3の各領域に相補的な領域はそれぞれB1c、B2c、B3cである(図1)。
FIPは、標的遺伝子のF2c領域と相補的なF2領域を3'末端側にもち、5'末端側に標的遺伝子のF1c領域と同じ配列をもつように設計されたプライマーである。必要ならば、FIPプライマーのF1cとF2の間に制限酵素部位を導入することもできる。
F3は、標的遺伝子のF3c領域と相補的なF3領域をもつように設計されたプライマーである。
BIPは、標的遺伝子のB2c領域と相補的なB2領域を3'末端側にもち、5'末端側に標的遺伝子のB1c領域と同じ配列をもつように設計されたプライマーである。必要ならば、BIPプライマーのB1cとB2の間に制限酵素部位を導入することもできる。
B3は、標的遺伝子のB3c領域と相補的なB3領域をもつように設計されたプライマーである。
FIPおよびBIPプライマーに制限酵素部位が含まれる場合、反応後に増幅産物を制限酵素で処理することによって、電気泳動後に1つのバンドとして観察することができる。この場合、もし標的DNAに制限酵素部位があれば、プライマーに人為的に制限酵素部位を導入しなくてもよい。
また、Loop-FおよびLoop-Bプライマーを使用するときには、これらのプライマーが核酸増幅過程で利用されていないループ部分に結合することにより全てのループ部分を起点として核酸反応が進み、核酸の増幅反応が加速される(特開2002-345499)。
LAMP反応は、サンプル遺伝子、プライマー、鎖置換型DNA合成酵素、基質等を一緒に一定温度(約60〜65℃)で保温することにより、検出まで1ステップの工程で行うことができる。
この反応では鎖置換型DNA合成酵素が使用されるが、この酵素は、PCR法における耐熱性DNAポリメラーゼと異なり安価であるうえに、鋳型DNAの二本鎖をほどきながらDNA合成を行うことができる。酵素の例は、Bst DNAポリメラーゼ、Bca(exo-)DNAポリメラーゼ、Vent(Exo-)DNAポリメラーゼなどである。このため、LAMP法では、PCR法のようにあらかじめ二本鎖DNAを一本鎖に熱変性する必要がない。
LAMP反応試薬は、栄研化学社から市販のLoopamp DNA増幅試薬キット(但し、プライマーセットを除く)を利用すると便利である。具体的には、反応液の例は次のとおりである。2倍濃度反応用緩衝液:40mM Tris-HCl(pH8.8)、20mM KCl、20mM(NH4)2SO4、16mM MgSO4、0.2% Tween20、1.6M Betain、各終濃度2.8mMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP;DNAポリメラーゼ:Bst DNA Polymerase 8units/μl;本発明の各プライマーの終濃度、FIP、BIP:40μM、F3、B3:5μM、Loop-F、Loop-B:20μM。
LAMP反応液としては、例えば、滅菌蒸留水を3.5μl、2倍濃度反応用緩衝液を12.5μl、FIP、BIP、F3、B3、Loop-F、Loop-Bの各プライマーを1μl加え、DNAポリメラーゼ1μl、検体液(鋳型DNA)2μlを加え、全量25μlの反応液を調製する。
反応は、次のような工程を経て行われる。
(i) 鎖置換型DNAポリメラーゼの働きにより、FIPのF2領域の3'末端を起点として鋳型DNAと相補的なDNA鎖が合成される。
(ii) FIPの外側に、F3プライマーがアニールし、その3'末端を起点として鎖置換型DNAポリメラーゼの働きによって、先に合成されているFIPからのDNA鎖を剥がしながらDNA合成が伸長する。
(iii)F3プライマーから合成されたDNA鎖と鋳型DNAが二本鎖となる。
(iv) FIPから先に合成されたDNA鎖は、F3プライマーからのDNA鎖によって剥がされて一本鎖DNAとなるが、このDNA鎖は、5'末端側に相補的な領域F1c、F1をもち、自己アニールを起こし、ループを形成する。
(v) 上記(iv)の過程でループを形成したDNA鎖に対し、BIPがアニールし、このBIPの3'末端を起点として相補的なDNA合成が行われる。さらに、BIPの外側にB3プライマーがアニールし、その3'末端を起点として鎖置換型DNAポリメラーゼの働きによって、先に合成されたBIPからのDNA鎖を剥がしながらDNA合成が伸長する。
(vi) 上記(v)の過程で二本鎖DNAが形成される。
(vii)上記(v)の過程で剥がされたBIPから合成されたDNA鎖は両端に相補的な配列を持つため、自己アニールし、ループを形成してダンベル様の構造となる。
(viii)上記ダンベル構造のDNA鎖を起点として、FIP次いでBIPのアニーリングを介して所望DNAの増幅サイクルが行われる。
(i) 鎖置換型DNAポリメラーゼの働きにより、FIPのF2領域の3'末端を起点として鋳型DNAと相補的なDNA鎖が合成される。
(ii) FIPの外側に、F3プライマーがアニールし、その3'末端を起点として鎖置換型DNAポリメラーゼの働きによって、先に合成されているFIPからのDNA鎖を剥がしながらDNA合成が伸長する。
(iii)F3プライマーから合成されたDNA鎖と鋳型DNAが二本鎖となる。
(iv) FIPから先に合成されたDNA鎖は、F3プライマーからのDNA鎖によって剥がされて一本鎖DNAとなるが、このDNA鎖は、5'末端側に相補的な領域F1c、F1をもち、自己アニールを起こし、ループを形成する。
(v) 上記(iv)の過程でループを形成したDNA鎖に対し、BIPがアニールし、このBIPの3'末端を起点として相補的なDNA合成が行われる。さらに、BIPの外側にB3プライマーがアニールし、その3'末端を起点として鎖置換型DNAポリメラーゼの働きによって、先に合成されたBIPからのDNA鎖を剥がしながらDNA合成が伸長する。
(vi) 上記(v)の過程で二本鎖DNAが形成される。
(vii)上記(v)の過程で剥がされたBIPから合成されたDNA鎖は両端に相補的な配列を持つため、自己アニールし、ループを形成してダンベル様の構造となる。
(viii)上記ダンベル構造のDNA鎖を起点として、FIP次いでBIPのアニーリングを介して所望DNAの増幅サイクルが行われる。
本発明の各プライマーセットは、約60〜65℃(例えば65℃)においてアニーリングと同時にDNA鎖の合成も起こす。アニーリング反応およびDNA鎖合成により約1時間反応を行うことにより109〜1010倍に核酸を増幅させることが可能である。
ラクトバチルス・ブレビスの16S rDNAの特定のDNA領域が増幅されると、副産物として形成されるピロリン酸マグネシウムの影響で反応液が白濁するため、この濁度に基づき増幅の有無が目視により判定できる、あるいは濁度測定装置を用いて濁度を光学的に測定することもできる。また、アガロースゲル電気泳動法などを利用してDNA断片の有無を確認し検出することもできる。
核酸増幅によるラクトバチルス・ブレビスの同定のための検体としては、食品検体、例えばビールやワインなどの酒類、漬物、乳製品、食肉製品など、また環境検体としては、例えば土壌、水などでもよい。
これら検体をLAMP法の試料として用いる場合には、検体中に存在する菌の濃縮、分離、菌体からの核酸分離や、核酸の濃縮などの操作を前処理として行うこともできる。菌の濃縮、分離の方法としては、ろ過、遠心分離などが、知られており、適宜選択できる。酒類などの食品検体や環境検体などに存在する菌体からの核酸の遊離には、例えばLysozymeやProteinase Kなどによって菌体を処理し、100℃での加熱により菌体から核酸を遊離させる方法もある。また、特に食品検体によってはさらなる精製の必要があれば、例えばフェノール/クロロホルム又はクロロホルム/イソアミルアルコール処理、エタノール又はイソプロパノール沈殿、遠心等により核酸の精製を行い、最終的にTE緩衝液などに再溶解させ鋳型DNAとして試験に供してもよい(BREWING MICROBIOLOGY, 1987, 127-140、 European Brewery Convention:ANALYTICA-MICROBIOLOGICA-EBC, 2nd ed. 2005 Fachverlag Hans Carl, Nuernberg、 Rolfsら:PCR-Clinical diagnostics and research, Springer-Verlag, Berlin, 1992、大嶋ら:蛋白 核酸 酵素, 1990, 35, 2523-41)。
例えば食品中に存在すると考えられるラクトバチルス・ブレビスを適切な培地で増菌培養し、寒天培地上に形成されたコロニーから全DNAを分離し、このDNAに対して上記プライマーを用いたLAMP反応を行い、ラクトバチルス・ブレビスの特定遺伝子領域を増幅する。
増幅反応により副産物として形成されるピロリン酸マグネシウムの影響により反応液は、上述のとおり、白濁するので、反応液の濁度を目視または濁度測定装置などを用いた光学的手法により核酸増幅の有無を簡単に確認できる。核酸増幅が観察されるならば、標的遺伝子が存在することを意味し、結果としてラクトバチルス・ブレビス陽性(+)を表す。逆に、核酸増幅が観察されない場合には、標的遺伝子が不存在であることを意味し、結果としてラクトバチルス・ブレビス陰性(−)を表す。
上で説明したように、本発明により、16S rRNA遺伝子に由来する特定遺伝子領域を増幅する配列番号1〜4、および適宜追加して実施可能な配列番号5および6に示される塩基配列からなるプライマーセットをLAMPプライマーセットとして用いることによって、ラクトバチルス・ブレビスを特異的に検出することができる。ここで、「特異的に」とは、検出反応が評価を行った他のラクトバチルス属細菌種に対して陰性であることを意味する。
本発明のLAMP法によるラクトバチルス・ブレビスの検出法は、食品や環境試料などの検査対象物に存在するラクトバチルス・ブレビスの有無を迅速に判別することができる検出法として用いることができ、酒類、乳製品、食肉製品などでのラクトバチルス・ブレビスの汚染などの検出のために使用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.LAMP反応
LAMP反応に用いる各試薬の濃度の内容は次のとおりであるが、LAMP反応試薬は栄研化学社製のLoopamp DNA増幅試薬キットを用いた。2倍濃度反応用緩衝液:40mM Tris-HCl(pH8.8)、20mM KCl、20mM(NH4)2SO4、16mM MgSO4、0.2% Tween20、1.6M Betain、各終濃度2.8mMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP。DNAポリメラーゼ:Bst DNA Polymerase 8units/μl。本発明の各プライマーの終濃度、FIP、BIP:40μM、F3、B3:5μM、Loop-F、Loop-B:20μM。(栄研化学社、DNA増幅試薬キットLMP201添付説明書)
LAMP反応に用いる各試薬の濃度の内容は次のとおりであるが、LAMP反応試薬は栄研化学社製のLoopamp DNA増幅試薬キットを用いた。2倍濃度反応用緩衝液:40mM Tris-HCl(pH8.8)、20mM KCl、20mM(NH4)2SO4、16mM MgSO4、0.2% Tween20、1.6M Betain、各終濃度2.8mMのdATP、dCTP、dGTP、dTTP。DNAポリメラーゼ:Bst DNA Polymerase 8units/μl。本発明の各プライマーの終濃度、FIP、BIP:40μM、F3、B3:5μM、Loop-F、Loop-B:20μM。(栄研化学社、DNA増幅試薬キットLMP201添付説明書)
LAMP反応液は、滅菌蒸留水を3.5μl、2倍濃度反応用緩衝液を12.5μl、FIP、BIP、F3、B3、Loop-F、Loop-Bの各プライマーを1μl加え、DNAポリメラーゼ1μl、上記より得られた検体液(鋳型DNA)2μlを加え、全量25μlの反応液を調製した。
LAMP反応は、テラメックス社製の濁度測定装置LA-200Fを用い、65℃の等温反応を60分間行い、その後80℃、2分間の酵素失活処理行った。濁度測定装置は、LAMP反応の副産物であるピロリン酸マグネシウムによる白濁を経時的に観察することが可能で、濁度が上昇するものをラクトバチルス・ブレビス陽性、濁度の上昇が認められないものを陰性とした。
2.プライマーの設計
ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)の16S rRNA遺伝子の塩基配列(配列番号7)からラクトバチルス・ブレビスに特異的なLAMPプライマーを設計した。
ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)の16S rRNA遺伝子の塩基配列(配列番号7)からラクトバチルス・ブレビスに特異的なLAMPプライマーを設計した。
3.結果
配列番号1〜4(それぞれFIP、BIP、F3およびB3という)および追加可能な配列番号5(Loop-F)および6(Loop-B)によるプライマーセットは、16S rRNA遺伝子の特定領域を増幅するように設計してある。実際に表1に示したラクトバチルス・ブレビスを27株、およびその他のラクトバチルス属菌を用いてLAMP反応を行った結果、ラクトバチルス・ブレビスのみに、増幅反応の副産物であるピロリン酸マグネシウムの白濁が観察された。また、その他細菌でも交差性は見られなかった。結果を表1に示した。
配列番号1〜4(それぞれFIP、BIP、F3およびB3という)および追加可能な配列番号5(Loop-F)および6(Loop-B)によるプライマーセットは、16S rRNA遺伝子の特定領域を増幅するように設計してある。実際に表1に示したラクトバチルス・ブレビスを27株、およびその他のラクトバチルス属菌を用いてLAMP反応を行った結果、ラクトバチルス・ブレビスのみに、増幅反応の副産物であるピロリン酸マグネシウムの白濁が観察された。また、その他細菌でも交差性は見られなかった。結果を表1に示した。
16S rRNA遺伝子増幅用プライマーセットはラクトバチルス・ブレビスを特異的に検出することが可能であり、また1時間以内に増幅反応を確認することができた。
このことから、16S rRNA遺伝子増幅用プライマーセットは、ラクトバチルス・ブレビスを特異的に検出するためのプライマーとして有効であると判断された。
このことから、16S rRNA遺伝子増幅用プライマーセットは、ラクトバチルス・ブレビスを特異的に検出するためのプライマーとして有効であると判断された。
本発明のLAMP法によるラクトバチルス・ブレビスの検出法は、食品や環境試料などの検査対象物に存在するラクトバチルス・ブレビスの有無を迅速にかつ特異的に判別することができる検出法として用いることができるため、ビールやワイン、乳製品などでのラクトバチルス・ブレビスの汚染の検出に有用である。
Claims (4)
- ラクトバチルス・ブレビス検出用LAMPプライマーセットであって、ラクトバチルス・ブレビスの16S rRNA遺伝子の特定領域にアニーリング可能な配列番号1〜4に示される塩基配列FIP、BIP、F3およびB3からなる4種のプライマーのセット。
- 配列番号5および6に示される塩基配列Loop-FおよびLoop-Bの2種のプライマーをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のLAMPプライマーセット。
- ラクトバチルス・ブレビスの16S rRNA遺伝子の増幅をLAMP法によって検出することを含むラクトバチルス・ブレビスの検出方法。
- LAMP法が、請求項1または2に記載のLAMPプライマーセットを用いて行われることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
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