JP2017060413A - 核酸分析用のサンプル調製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微生物を正確、迅速かつ簡便に検出するための方法を提供する。
【解決手段】血液培養ボトル等から採取した血液培養液に含まれる培養された微生物由来の核酸を分析する方法であって、血液培養液に界面活性剤を含まない液体を加えて遠心し、遠心で得られた沈渣を懸濁した沈渣懸濁液を核酸分析の対象試料とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、核酸分析用のサンプル調製方法、および、該方法で得られたサンプルを用いて核酸を分析する方法に関する。
敗血症は重篤な全身感染症で、確定診断には血液中の起因微生物の検出・同定が必須である。敗血症の原因となる菌には黄色ブドウ球菌など様々な菌がある。特に黄色ブドウ球菌はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)と言われる多剤耐性を持つものが珍しくなく、適切な抗菌薬を選択し患者を救命するためには、血液中の起因菌を可能な限り迅速に検出・同定することが臨床上重要である。
血液中の起因微生物を直接検査することは難しいため、一般的には患者の血液を例えば血液培養ボトルに添加し培養を行って起因微生物を増殖させた血液培養液を調製し、これを分離培養や遺伝子検査などに用いる。
微生物検査の分野において遺伝子検査は非常に迅速に検出、同定が行われるメリットがある。血液培養液を試料とした従来の遺伝子検査では、血液培養液中の微生物菌体から核酸を抽出し遺伝子検査に供する方法、あるいは血液培養液中の微生物菌体を回収して溶菌させてから遺伝子検査に供する方法が主に用いられてきた。(非特許文献1、非特許文献2)
これらの方法には、核酸抽出工程あるいは溶菌工程に要する手間と時間により検査の迅速性が失われるという欠点がある。
別の方法の一例として、血液試料を濾過し、濾過後の試料から核酸を抽出し分析対象とする方法がある(特許文献1)。当該文献では血液試料のみが対象であるが、血液培養液にも血液が含まれるため、同様の方法を用いる可能性が考えられる。しかし当該文献に記載の方法は、試料の濾過および核酸抽出を要しており、煩雑な作業により検査の迅速性が失われうるという課題が残る点は、前述の方法と同じである。
さらに別の方法として、血液培養液を滅菌蒸留水で希釈し、該希釈液に溶菌酵素を加えて加温し、酵素処理によって溶菌するという方法がある(特許文献2)。当該文献ではリゾスタフィンという黄色ブドウ球菌特異的溶菌酵素を使用している。当該方法では核酸抽出は必要ないが、溶菌に用いる酵素および加温処理のための加温器を必要とする。また、菌の種類によって溶菌酵素を使い分ける必要が生じうるため、分析対象とする培養液中の菌種が不明である場合には当該方法の実施は困難であると考えられる。
特表2009−537167 特表2002−537824
Journal of Clinical Microbiology, September 2000, p.3407−3412 The Journal of Molecular Diagnostics, March−April 2012,p.120−129
本発明は、上記の遺伝子検査に関する問題点を解決しようとするものである。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、血液培養液からごく簡単な方法で沈渣を調製し、その沈渣から直接核酸を検出する方法を発明するに至った。
すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
[項1]
以下の(I)〜(III)の工程のみからなる、核酸分析用のサンプル調製方法。
(I)血液培養液に、界面活性剤を含まない液体を加え混和し懸濁液を作製する工程
(II)工程(I)で作製した懸濁液を遠心分離し、上清と沈渣に分離した溶液から上清を除去する工程
(III)工程(II)で残った沈渣に、界面活性剤を含まない液体を加え混和し懸濁液を作製する工程
[項2]
工程(III)の後に、下記の工程(II‘)を実施したあと再び工程(III)を実施するサイクルを、1回または複数回挿入する、項1に記載の方法。
(II‘)工程(III)で作製した懸濁液を遠心分離し、上清と沈渣に分離した溶液から上清を除去する工程
[項3]
項1または2に記載の方法において、さらに以下の工程(VI)を実施する方法。
(IV)工程(III)で作製した沈渣懸濁液を、界面活性剤を含まない液体で2〜10000倍に希釈する工程
[項4]
界面活性剤を含まない液体が、水、緩衝液およびアルカリ性溶液からなる群から選ばれるいずれか1つ以上である、項1〜3のいずれかに記載の方法。
[項5]
界面活性剤を含まない液体が水である、項4に記載の方法。
[項6]
項1〜5のいずれかに記載の方法で調製した核酸分析用のサンプルに含まれる核酸を分析する、核酸分析方法。
本発明は、血液培養液からの核酸分析用のサンプルを、培養液を精製することも、界面活性剤を含む液体などで溶菌することもなく、界面活性剤を含まない液体のみを用いて調製することを特徴とする。従来は、血液培養液からさらに核酸を精製する工程、あるいは試料中の菌を溶菌する工程が必要であったが、本発明によってこれらの工程を行うことなく、前記サンプルを調製できる。
また、本発明によれば、前記サンプルを用いることで、血液培養液からの核酸(例えば微生物由来の核酸)の検出を迅速かつ簡便に行うことが可能になる。さらに、本発明は特殊な器具や試薬を必要としないため、発明を実施するにあたり新たな労力や設備をほとんど必要としない。また、本発明では、品質間差や試薬汚染、腐敗などの原因となる可能性がある界面活性剤を用いないため、安定した測定が可能となる。
また、本発明で可能な核酸分析は、特定の遺伝子や塩基配列に限定されず、血液培養によって培養される微生物由来の様々な遺伝子の分析が可能である。
実施例1の結果を示す図である。
本発明の実施形態の一局面は、以下の(I)〜(III)の工程のみからなる、核酸分析用のサンプル調製方法である。
(I)血液培養液に、界面活性剤を含まない液体を加え混和し懸濁液を作製する工程
(II)工程(I)で作製した懸濁液を遠心分離し、上清と沈渣に分離した溶液から上清を除去する工程
(III)工程(II)で残った沈渣に、界面活性剤を含まない液体を加え混和し懸濁液を作製する工程
前記方法において、工程(III)の後に、下記の工程(II‘)を実施したあと再び工程(III)を実施するサイクルを、1回または複数回挿入してもよい。
(II‘)工程(III)で作製した懸濁液を遠心分離し、上清と沈渣に分離した溶液から上清を除去する工程
ここで、挿入するサイクル数は特に制限されないが、好ましくは1〜10回、さらに好ましくは1〜5回、さらに好ましくは1〜2回、さらに好ましくは1回である。
前記のサイクルは、工程(II)で得られた沈渣をさらに1回ないしは複数回洗浄する工程である。この洗浄工程を加えることで、核酸を分析する工程をより正確に行うことが可能となる。
前記方法において、工程(I)では、血液培養液と界面活性剤を含まない液体との液量比率は、界面活性剤を含まない液体が血液培養液と同等以上であれば特に制限されない。好ましくは血液培養液と界面活性剤を含まない液体との比率が1:1〜1:10であり、より好ましくは1:3〜1:6である。
前記方法において、工程(III)の後に(前記のサイクルを工程に挿入する場合は、全てのサイクルが完了した後に)、さらに以下の工程(VI)を実施してもよい。
(IV)工程(III)で作製した沈渣懸濁液を、界面活性剤を含まない液体で2〜10000倍に希釈する工程
この時の希釈倍率は、前記の範囲内であれば特に制限されない。好ましい下限は3倍、さらに好ましくは4倍、さらに好ましくは5倍である。好ましい上限は1000倍、さらに好ましくは100倍である。
血液培養とは、敗血症などの重篤な感染症の病原微生物を特定するために、患者から採取した血液を培地入りボトル等に接種して培養することである。本発明で用いられる「血液培養液」とは、例えば、血液培養後の血液培養ボトル内の液体部分を指す。
本発明の核酸分析用のサンプル調製方法には、核酸を精製する工程は包含されない。「核酸を精製する工程」とは、試料から核酸と夾雑物とを能動的に分離する方法を示す。夾雑物には血液培養ボトルの成分の他、対象となる核酸を有する微生物自身の生体高分子も含まれる。前記方法の例としては、シリカに核酸を吸着させて核酸以外の成分と分離する方法が挙げられる。
本発明で用いられる「界面活性剤を含まない液体」とは、イオン性または非イオン性の界面活性剤を含まない液体または溶液のことを指す。界面活性剤が含まれなければpHおよびその他の成分は特に限定されない。より好ましくは、水、緩衝液およびアルカリ性溶液からなる群から選ばれるいずれか1つ以上であり、より好ましくは水である。
工程(I)、工程(III)および工程(IV)で用いる「界面活性剤を含まない液体」は、すべての工程で同じものを用いる必要はない。すべての工程で互いに別々のものを用いてもよいし、任意の2工程で同じものを用いて他の1工程は別のものを用いてもよい。また、すべての工程で同じものを用いてもよい。
好ましくは、水と緩衝液、または水とアルカリ性溶液の組合せである。
本発明で用いられる「水」は、微生物が混入していないものであれば特に限定されない。たとえば、蒸留水、イオン交換水、膜透過水、超純水または純水などの精製水をオートクレーブ等で滅菌したものや、医療用に市販される注射用水が挙げられる。微生物や夾雑物が混入している可能性がある水道水や井戸水は含まれない。
本発明で用いられる「緩衝液」とは緩衝能を有する溶液のことを指す。具体的にはトリスバッファー、グッドバッファー、その他分子生物学的分野で一般的に用いられる各種緩衝液が挙げられるが、より好ましくはトリスバッファーである。
緩衝液のpHは7以上であることが好ましい。さらに好ましいpHの下限は7.5である。緩衝液のpHの好ましい上限は9である。
緩衝液の濃度は10mM以上であることが好ましい。緩衝液の好ましい上限は100mMである。さらに好ましいpHの上限は20mMである。
本発明で用いられる「アルカリ性溶液」とは、25℃でのpHが8.0以上である緩衝能を持たない塩基性の液体を指す。この条件を満たすものであれば特に制限はないが、好ましくは濃度が50mM以下塩基性の液体であり、より好ましくは20mM以下の塩基性の液体である。この様な液体の例としてアルカリ金属水酸化物の水溶液が挙げられる。好ましくは水酸化カリウム溶液または水酸化ナトリウム溶液である。
本発明の実施形態の一局面は、前記いずれかに記載の方法で調製した核酸分析用のサンプルに含まれる核酸を分析する、核酸分析方法である。
本発明における「核酸分析方法」は、核酸を検出する方法、または、核酸を検出することにより微生物を同定する方法である。核酸の検出方法は従来公知の各方法を用いることができ特に限定されないが、好ましくは、(1)核酸増幅反応により核酸を増幅する工程、(2)該増幅産物を検出する工程、の二つの工程を含む方法である。
本発明で分析対象となる核酸としては、微生物由来のDNAまたはRNAが挙げられるが、その他、血液培養液に含有しうるあらゆる核酸が分析対象となる。例えば、PNA(Peptide Nucleic Acid)等の人工核酸を合成するよう遺伝子組換えを行った微生物を血液培養で培養した場合、本発明を用いることでその様な培養液からPNA等の人工核酸を簡便に検出することも可能である。
核酸の増幅工程に用いられる具体的な核酸増幅方法は特に限定されず、適宜公知の方法を用いることができる。例えば、PCR(Polymerase Chain Reaction)法、NASBA(Nucleic acid sequence based amplification)法、TMA(Transcription−mediated amplification)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法等があげられるが、PCR法を用いることが好ましい。なお、これらの各方法において、増幅反応の条件は特に制限されず、従来公知の方法により行うことができる。
核酸増幅産物の検出工程に用いられる具体的な核酸検出方法としては特に限定されず、適宜公知の方法を用いることができる。例えば、アガロースゲル電気泳動法、シークエンス法、DNAプローブ法、リアルタイムPCR法等が挙げられる。
本発明の方法の検出対象となる微生物、または、本発明の方法の検出対象である核酸の由来となる微生物は、血液培養ボトル等によって培養可能な微生物であれば特に限定されない。
本発明の方法において、血液培養方法は特に限定されない。例えば市販の血液培養ボトルを用いて定法により培養すればよい。
血液培養に用いる培地も特に限定されず、例えば市販の血液培養ボトルに含まれている培地をそのまま用いることができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
〔実施例1:血液培養ボトルで培養したコアグラーゼ陰性ブドウ球菌の直接検出〕
(1)試料の調製
メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌を含む血液培養液150μLと精製水800μLとを混合し、3000gで3分間遠心して上清を除去し沈渣のみとした。この沈渣を500μLの精製水(イオン交換水)で懸濁し、懸濁液を試料とした(R1)。また、別途、前記沈渣を500μLのTEバッファー(10mM、pH8.0)で懸濁し、懸濁液を試料とした(R2)。
また、メチシリン感受性のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌を含む血液培養液に対しても上記と同様の処理を行い試料とした(S1、S2)。
(2)核酸増幅
上記試料または精製水(陰性コントロールとして使用)にそれぞれ下記試薬を添加し、PCR法を利用してメチシリン耐性遺伝子(mecA遺伝子)を検出した。核酸増幅は下記条件で実施した。核酸増幅にはGeneAmp PCR System9700(アプライドバイオシステムズ製)を使用した。
(3)核酸増幅産物検出
核酸増幅産物は1×TAEアガロースゲルを用いた電気泳動によって確認した。電気泳動は100Vで30分間行い、泳動後のアガロースゲルはエチジウムブロマイドで染色し、紫外線照射によって増幅産物を可視化し確認した。
試薬
以下の試薬を含む20μL溶液を調製した。
mecA遺伝子増幅用核酸プライマー(配列番号1) 10μMを0.2μL
mecA遺伝子増幅用核酸プライマー(配列番号2) 10μMを0.2μL
×10緩衝液 2μL
2mM dNTP 2μL
Blend Taq polymerase(東洋紡製) 0.5U

試料または精製水 1μL
核酸増幅の条件
94℃・2分間
(以上を1サイクル)
94℃・1分間
55℃・30秒間
72℃・1分30秒間
(以上を37サイクル)
72℃・3分30秒間
(以上を1サイクル)
結果
図1は電気泳動の結果である。メチシリン感受性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌からはmecA遺伝子の増幅産物は検出されなかった。一方、メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌からはmecA遺伝子の増幅産物が検出された。沈渣を懸濁する液体は精製水であってもTEバッファーであっても結果に違いは見られなかった。以上から、本発明を実施することで血液培養試料から容易に核酸分析試料を調製できること、試料の調製は精製水を用いてもバッファーを用いても可能であることが示された。
〔実施例2:リアルタイムPCR法による血液培養液中の黄色ブドウ球菌の検出〕
(1)試料の調製
黄色ブドウ球菌を培養した血液培養液200μLと精製水600μLを混合し、3000gで3分間遠心して上清を除去し沈渣のみとした。この沈渣に精製水900μLを加えて再度遠心し、この沈渣を500μLの精製水でそれぞれ懸濁した。この懸濁液をそのまま、および精製水で10倍、100倍、1000倍、10000倍、100000倍に希釈したものを試料とした。
(2)リアルタイムPCR法
上記試料にそれぞれ下記試薬を添加し、リアルタイムPCR法を利用して黄色ブドウ球菌特異的ヌクレアーゼ遺伝子(nuc遺伝子)を検出した。検出はCt値の算出により確認した。リアルタイムPCRは下記条件で実施した。リアルタイムPCRにはRotor−Gene Q(キアゲン製)を使用した。
試薬
以下の試薬を含む20μL溶液を調製した。
nuc遺伝子増幅用核酸プライマー(配列番号3) 10μMを0.6μL
nuc遺伝子増幅用核酸プライマー(配列番号4) 10μMを0.6μL
THUNDERBIRD(登録商標) SYBR qPCR Mix(東洋紡製) 10μL
精製水 6.8μL

試料 2μL
リアルタイムPCR条件
95℃・1分
(以上を1サイクル)
95℃・15秒間
60℃・30秒間
60℃のステップで蛍光取得
(以上を40サイクル)
結果
本実施例の結果を表1に示す。血液培養液より調製した沈渣懸濁液は希釈なしから1000000倍希釈したものまで全てでCt値が得られ、核酸増幅が生じたことが確認できた。Ct値とは増幅産物が一定量に達したときのサイクル数を示す数値であり、一般的には核酸増幅の対象となる標的核酸が多い反応系ほどCt値は低くなる傾向があるが、何らかの核酸増幅阻害要因が発生するとCt値が高値になる。
本実施例でのCt値を確認すると、沈渣懸濁液を希釈しない場合よりも10〜1000倍に希釈した方がCt値が低くなっていた。この現象が生じる一つの可能性としては血液成分の残渣や血液培養ボトルに含まれる活性炭など核酸増幅を阻害する物質が含まれていることが考えられる。本実施例の結果は、沈渣懸濁液を適当に希釈することで例えば前記の様な阻害物質も希釈し、結果としてさらに増幅効率を向上させられることを示している。
また、本実施例では工程(II‘)を1回挿入して試料を調製しており、該試料が核酸分析の対象として使用可能であることを示した。
〔比較例1:血液培養液からの直接的核酸分析〕
(1)試料の調製
実施例1で用いた血液培養液をそのまま使用した。
(2)核酸増幅
上記試料または精製水にそれぞれ下記試薬を添加し、PCR法を利用してメチシリン耐性遺伝子(mecA遺伝子)を検出した。核酸増幅は下記条件で実施した。核酸増幅にはGeneAmp PCR System9700(アプライドバイオシステムズ製)を使用した。
(3)核酸増幅産物検出
核酸増幅産物は1×TAEアガロースゲルを用いた電気泳動によって確認した。電気泳動は100Vで30分間行い、泳動後のアガロースゲルはエチジウムブロマイドで染色し、紫外線照射によって増幅産物を可視化し確認した。
試薬
試料または精製水
実施例1と同じ
核酸増幅の条件
実施例1と同じ
結果
血液培養液を直接核酸分析の試料とした場合、核酸増幅産物は可視化されなかった。
〔実施例3:沈渣を懸濁する液体を変更した場合の検出評価〕
(1)試料の調製
黄色ブドウ球菌を培養した血液培養液200μLと精製水800μLを混合し、3000gで3分間遠心して上清を除去し沈渣のみとした。この沈渣に精製水900μLを加えて懸濁したのち再度遠心し、この沈渣を500μLの下記(A)で列挙される5種類の液体でそれぞれ懸濁した。これらの懸濁液を試料とした。
(A)精製水
トリス塩酸バッファー(20mM、pH7.5)
トリス塩酸バッファー(20mM、pH8.3)
水酸化カリウム溶液(20mM)
水酸化ナトリウム溶液(20mM)
(2)リアルタイムPCR法
上記試料にそれぞれ下記試薬を添加し、リアルタイムPCR法を利用してメチシリン耐性遺伝子(mecA遺伝子)を検出した。検出はCt値の算出により確認した。リアルタイムPCRは下記条件で実施した。リアルタイムPCRにはRotor−Gene Q(キアゲン製)を使用した。
試薬
以下の試薬を含む20μL溶液を調製した。
mecA遺伝子増幅用核酸プライマー(配列番号1) 10μMを0.6μL
mecA遺伝子増幅用核酸プライマー(配列番号2) 10μMを0.6μL
THUNDERBIRD(登録商標) SYBR qPCR Mix(東洋紡製) 10μL
精製水 6.8μL

試料 2μL
リアルタイムPCR条件
95℃・1分
(以上を1サイクル)
95℃・15秒間
60℃・45秒間
60℃のステップで蛍光取得
(以上を40サイクル)
結果
本実施例の結果を表2に示す。今回用いた5種類の液のいずれでも、調製した沈渣懸濁液からmecA遺伝子の増幅を示すCt値が得られた。従って、いずれの液を用いて沈渣を調製しても、調製された沈渣は核酸分析の試料となりうることが示された。
個々の沈渣懸濁液を試料とした場合のCt値を比較すると、最も良好な結果を示したのは精製水であり、以降、水酸化カリウム、トリス緩衝液(pH8.3)、トリス緩衝液(pH7.5)、水酸化ナトリウムの順であった。
本発明により、従来技術よりも迅速かつ正確に血液培養で生育させた微生物を検出することができ、診断や医療の分野に貢献する。

Claims (6)

  1. 以下の(I)〜(III)の工程のみからなる、核酸分析用のサンプル調製方法。
    (I)血液培養液に、界面活性剤を含まない液体を加え混和し懸濁液を作製する工程
    (II)工程(I)で作製した懸濁液を遠心分離し、上清と沈渣に分離した溶液から上清を除去する工程
    (III)工程(II)で残った沈渣に、界面活性剤を含まない液体を加え混和し懸濁液を作製する工程
  2. 工程(III)の後に、下記の工程(II‘)を実施したあと再び工程(III)を実施するサイクルを、1回または複数回挿入する、請求項1に記載の方法。
    (II‘)工程(III)で作製した懸濁液を遠心分離し、上清と沈渣に分離した溶液から上清を除去する工程
  3. 請求項1または2に記載の方法において、さらに以下の工程(VI)を実施する方法。
    (IV)工程(III)で作製した沈渣懸濁液を、界面活性剤を含まない液体で2〜10000倍に希釈する工程
  4. 界面活性剤を含まない液体が、水、緩衝液およびアルカリ性溶液からなる群から選ばれるいずれか1つ以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 界面活性剤を含まない液体が水である、請求項4に記載の方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法で調製した核酸分析用のサンプルに含まれる核酸を分析する、核酸分析方法。
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