JP2010081916A - 高温嫌気性芽胞細菌の検出用プライマーセットおよび検出法 - Google Patents

高温嫌気性芽胞細菌の検出用プライマーセットおよび検出法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温嫌気性芽胞細菌を検出するためのプライマーセットおよび検出方法の提供。
【解決手段】Thermoanaerobacterium属、Moorella属およびDesulfotomaculum属からなる群から選択される少なくとも1種の高温嫌気性芽胞細菌を検出するためのプライマーセットであって、(a)Thm16S-1F、Thm16S-2F、およびThm16S-Rを含むThermoanaerobacterium属細菌検出用プライマーセット、(b)Mor16S-F、およびMor16S-Rを含むMoorella属細菌検出用プライマーセット、ならびに(c)Des16S-F、およびDes16S-Rを含むDesulfotomaculum属細菌検出用プライマーセットからなる群から選択される、プライマーセット、および、該プライマーセットを使用する高温嫌気性芽胞細菌の検出方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、高温嫌気性芽胞細菌を検出するためのプライマーセット、および高温嫌気性芽胞細菌の検出方法に関する。
缶詰などの飲食品が冬期に加温販売されるようになり、腐敗・変敗事故が発生している。この原因として、例えばThermoanaerobacterium属細菌、Moorella属細菌、Desulfotomaculum属細菌などの高温嫌気性芽胞細菌の加熱殺菌不足がある。
Thermoanaerobacterium属細菌は偏性嫌気性の好熱性細菌であり、温泉、池の堆積物などからの検出例が報告されている。また、果汁、あさり水煮缶詰、アスパラガス水煮缶詰、加温販売されるミルクコーヒーなどの低酸性缶詰飲料での腐敗事例などからの分離例が報告されている(非特許文献1、非特許文献2)。
Moorella属細菌は偏性嫌気性の好熱性細菌であり、温泉、油井、土壌などからの検出例が報告されている。また、超高温殺菌スープ、甜菜ジュース、野菜缶詰や加温販売されるミルクコーヒーやしるこ缶詰などの低酸性缶詰飲料での腐敗事例においてMoorella属細菌分離例が報告されている(非特許文献1、非特許文献3)。
Desulfotomaculum属細菌は、偏性嫌気性で、一部の菌種は好熱性細菌であり、地層水、糖蜜、土壌などからの検出例が報告されている。また、しるこ缶詰からの分離例やあさり水煮缶詰での腐敗事例においてDesulfotomaculum属細菌分離例が報告されている(非特許文献1、非特許文献4)。
したがって、Thermoanaerobacterium属細菌、Moorella属細菌、Desulfotomaculum属細菌は、産業分野で非常に重要な菌種であると考えられている。
従来から、Thermoanaerobacterium属細菌、Moorella属細菌、Desulfotomaculum属細菌の検出のためには増菌や分離培養などによる手法が行われているが、これらの手法は結果を得るまでに時間を要するという欠点を有する。高温発育性の嫌気性細菌については、糖分解能試験などによる分類法も報告されている(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献5)。また、高温発育性の嫌気性細菌であるクロストリジアを特殊な培地で検出する方法も報告されている(特許文献1)。
Thermoanaerobacterium属細菌、Moorella属細菌、Desulfotomaculum属細菌の菌種の確認には遺伝子を用いた方法が用いられている。例えば、Thermoanaerobacterium属細菌、Moorella属細菌、Desulfotomaculum属細菌の16S rRNA遺伝子領域を増幅し、その配列を確認するDNAシーケンス法が広く知られている。また、Moorella属細菌の16S−23Sスペーサー領域および23S rRNA遺伝子を増幅し、その配列を確認するDNAシーケンス法も報告されている。しかしながら、そのような方法は特別な機器が必要なうえ多大な時間と労力を要する(非特許文献3)。
特開2006−304698号公報 駒木 勝、ソフト・ドリンク技術資料、2001年2号、p.103-136 Issc K.O.Cann.ら, International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology, 2001, 51, p.293-302 Jran-Philippe C.ら, Systematic and Applied Microbiology, 2006, 29, p.581-588 Donnelly LS.,ら, Applied and Environmental Microbiology, 1980, 40, No.4, p.721-725 Kaksonen A. H.,ら, International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology, 2006, 56, p.2603-2608
本発明の目的は、高温嫌気性芽胞細菌を検出するためのプライマーセット、および迅速かつ簡便な高温嫌気性芽胞細菌の検出方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するため検討を行った結果、高温嫌気性芽胞細菌の16S rRNA遺伝子の特異的領域に選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド配列を見い出し、このオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法により増幅することにより、検体中からThermoanaerobacterium属細菌、Moorella属細菌、Desulfotomaculum属細菌に属する高温嫌気性芽胞細菌を特異的、簡便かつ迅速に検出することを実現し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、要約すると以下の特徴を有する。
〔1〕Thermoanaerobacterium属、Moorella属およびDesulfotomaculum属からなる群から選択される少なくとも1種の高温嫌気性芽胞細菌を検出するためのプライマーセットであって、以下の(a)〜(c):
(a)プライマーThm16S-1F(配列番号1)、プライマーThm16S-2F(配列番号2)、およびプライマーThm16S-R(配列番号3)を含むThermoanaerobacterium属細菌検出用プライマーセット、
(b)プライマーMor16S-F(配列番号4)、およびプライマーMor16S-R(配列番号5)を含むMoorella属細菌検出用プライマーセット、ならびに
(c)プライマーDes16S-F(配列番号6)、およびプライマーDes16S-R(配列番号7)を含むDesulfotomaculum属細菌検出用プライマーセット
からなる群から選択される、プライマーセット。
〔2〕(a)のプライマーセットが、配列番号1、2または3の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつThermoanaerobacterium属細菌の16S rRNA遺伝子にアニーリング可能であるプライマーをさらに含む、〔1〕に記載のプライマーセット。
〔3〕(b)のプライマーセットが、配列番号4または5の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつMoorella属細菌の16S rRNA遺伝子にアニーリング可能であるプライマーをさらに含む、〔1〕に記載のプライマーセット。
〔4〕(c)のプライマーセットが、配列番号6または7の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつDesulfotomaculum属細菌の16S rRNA遺伝子にアニーリング可能であるプライマーをさらに含む、〔1〕に記載のプライマーセット。
〔5〕〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のプライマーセットを用いて、PCR法により、検体中の高温嫌気性芽胞細菌を検出することを含む、高温嫌気性芽胞細菌の検出方法。
〔6〕〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のプライマーセット(a)、(b)、(c)またはそれらの組み合わせを含む、高温嫌気性芽胞細菌検出用キット。
本明細書において「高温嫌気性芽胞細菌」とは、芽胞を形成する嫌気性細菌であって、好熱性のものをいう。本発明では、腐敗原因菌および食中毒原因菌が対象細菌として含まれる。具体的には、対象細菌として、Thermoanaerobacterium属、Moorella属、Desulfotomaculum属に属する細菌が挙げられる。
本明細書において「検体」とは、飲食品(加工飲食品の原料、中間生産物、最終製品などを含む)、環境(土壌、水、温泉、油井などを含む)から採取される試料を含む。
本明細書において「16S rRNA遺伝子」とは、16SリボソームRNAをコードする遺伝子をいう。該遺伝子は、系統分類の指標として広く認められている。
本明細書において、「特異的領域」とは、他の細菌と比較して検出対象の細菌(高温嫌気性芽胞細菌)に固有の塩基配列を有する領域をいう。
本明細書において「同一性」とは、2つの塩基配列のアラインメントにおいて、同一の塩基数が最大となるように該2つの配列を整列させたときの配列間の一致度を意味し、具体的には、総塩基数に対する同一塩基数のパーセンテージ(%)で表される。FASTAのようにギャップを導入する場合、ギャップの数も総塩基数に加算する。同一性は、例えばNCBI(米国)、EMBL(欧州)などの配列データベースにアクセスし、例えばBLAST、FASTAなどの配列相同性検索プログラムを利用して検索することが可能である(Altschul, S. F.ら(1990) J. Mol. Biol. 15:403-410; Karlin, SとAltschul S. F. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268など)。
本発明のプライマーセットもしくはキットを用いて、PCR法を行うことにより、検体中の高温嫌気性芽胞細菌を他の細菌種から区別して特異的に、迅速かつ簡便に検出することができる。
(1)プライマーセット
(i)Thermoanaerobacterium属細菌検出用プライマーセット
本発明のプライマーは、Thermoanaerobacterium属細菌の遺伝子中に存在する特異的領域にアニーリング可能な塩基配列、具体的には以下の配列番号1〜3に示される塩基配列を有するプライマーである。本発明のThermoanaerobacterium属細菌検出用プライマーセットには、以下のプライマーが含まれる。
Thm16S-1F(配列番号1):5’-GTGGAGCTTGCTCTGCTACCT-3’
Thm16S-2F(配列番号2):5’-GTGCTAATACCGGATAATGTCAAG-3’
Thm16S-R(配列番号3):5’-GCTGCCTCCCGTAGGAGTCTGG-3’
プライマーセットには、さらに、配列番号1、2または3の塩基配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつThermoanaerobacterium属細菌の16S rRNA遺伝子にアニーリング可能であるプライマーを含むこともできる。
(ii) Moorella属細菌用プライマーセット
本発明のプライマーは、Moorella属細菌の遺伝子中に存在する特異的領域にアニーリング可能な塩基配列、具体的には以下の配列番号4〜5に示される塩基配列を有するプライマーである。本発明のMoorella属細菌検出用プライマーセットには、以下のプライマーが含まれる。
Mor16S-F(配列番号4):5’-CTAAAGGTAGGGGTTGCGCTCG-3’
Mor16S-R(配列番号5):5’-CGGGTTGTAAAGCTCTGTCATCA-3’
プライマーセットには、さらに、配列番号4または5の塩基配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつMoorella属細菌の16S rRNA遺伝子にアニーリング可能であるプライマーを含むこともできる。
(iii) Desulfotomaculum属細菌プライマーセット
本発明のプライマーは、Desulfotomaculum属細菌の遺伝子中に存在する特異的領域にアニーリング可能な塩基配列、具体的には以下の配列番号6〜7に示される塩基配列を有するプライマーである。本発明のDesulfotomaculum属細菌検出用プライマーセットには、以下のプライマーが含まれる。
Des16S-F(配列番号6):5’-GTGAGTAACGCGTGGATAACCTG-3’
Des16S-R(配列番号7):5’-AGCTAATGGGACGCGGACCCA-3’
プライマーセットには、さらに、配列番号6または7の塩基配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつDesulfotomaculum属細菌の16S rRNA遺伝子にアニーリング可能であるプライマーを含むこともできる。
プライマーとして用いることができるオリゴヌクレオチドは、自動化オリゴヌクレオチド合成機などを用いて合成することができ、そのようなオリゴヌクレオチドの合成法は当業者には公知である。
(2)高温嫌気性芽胞細菌の検出方法
本発明によれば、検体から、Thermoanaerobacterium属細菌、Moorella属細菌、およびDesulfotomaculum属細菌を、それぞれ他の細菌種と区別して(すなわち特異的に)検出することができる。ここで「特異的に」とは、検出反応が他の細菌種に対して陰性であることを意味する。また、本発明によれば高温嫌気性芽胞細菌の増殖を検知することができる。
Thermoanaerobacterium属細菌の例には、Thermoanaerobacterium aciditoleransThermoanaerobacterium aotearoenseThermoanaerobacterium polysaccharolyticumThermoanaerobacterium saccharolyticumThermoanaerobacterium thermosaccharolyticumThermoanaerobacterium thermosulfurigenesThermoanaerobacterium xylanolyticumThermoanaerobacterium zeaeが含まれる。
Moorella属細菌の例には、Moorella glyceriniMoorella mulderiMoorella thermoaceticaMoorella thermoautotrophicaが含まれる。
Desulfotomaculum属細菌の例には、Desulfotomaculum nigrificansDesulfotomaculum thermoacetoxidansDesulfotomaculum thermobenzoicum subsp. thermobenzoicumDesulfotomaculum thermobenzoicumsubsp. thermosyntrophicumDesulfotomaculum thermocisternumDesulfotomaculum thermosapovoransDesulfotomaculum thermosubterraneumが含まれる。
検体は、特に限定されないが、飲食品、環境由来のものであり、例えば、乳およびその製品、野菜類、茶葉、果汁、液糖、缶詰、土壌、水、拭き取り検体などが挙げられる。
検体中に存在する細菌を適切な培地で増菌培養し、寒天培地上に形成されたコロニーからDNAを分離し、このDNAに対して上記プライマーを用いたPCR反応を行い、細菌遺伝子中の特異的領域を増幅することにより、目的の細菌を検出することができる。
検体をPCR法に用いる場合には、検体中に存在する菌体の濃縮、分離、菌体からの核酸放出、核酸の濃縮などの操作を前処理として行うこともできる。菌体の濃縮および分離の方法は適宜選択することができ、ろ過、遠心分離などが知られている。食品検体や環境検体などに存在する菌体からの核酸の放出は、例えばLysozymeやProteinase Kなどによって菌体を処理し、100℃での加熱により菌体から核酸を放出させることにより行うことができる。また、特に食品検体の場合、必要があれば、フェノール/クロロホルム抽出、エタノール沈殿、遠心分離などにより核酸のさらなる精製を行い、該核酸を最終的にTE緩衝液などに再溶解させ、該溶解液を鋳型DNAとして試験に供してもよい(Wernars K.et al.,J. Appl. Bacteriol.,1991,70:121-126;Golbang N.et al.,J. Clin. Pathol.,1996,49:861-863)。
PCR反応は公知であるため、当業者であれば該反応を適宜実施することができる。PCR反応の具体的な実施については、例えば、Sambrook,J et al.,Molecular Cloning 2nd ed.,Cold Spring Harbor Lab.press(1989);Ausubel,F.M. et al.,Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley&Sons(1995)などに記載されている。
PCR法の反応は、一般的には、初期変性ステップ;変性、アニーリング、および伸長の各ステップを含むサイクルを繰り返すことによる増幅ステップ;ならびにさらなる伸長ステップを含む。変性、アニーリングおよび伸長の各ステップのための温度および時間は、用いるポリメラーゼ、プライマー配列、増幅対象の断片の長さなどに依存して変わりうるが、当業者であれば容易に決定することができる。また、増幅ステップにおいてアニーリングおよび伸長を同じ温度で行うシャトルPCR(二段階温度PCR)を使用してもよい。そのようなPCR反応条件は、例えば、「PCR法最前線」(蛋白質核酸酵素臨時増刊号、関谷ら(編)、1996年、共立出版)などの文献に詳細に記載されている。
具体的な反応条件としては、例えば、初期変性としての92〜98℃、5〜15秒に続いて、92〜98℃、3〜8秒(変性);60〜75℃、15〜25秒(アニーリングおよび伸長)を1サイクルとして30〜40サイクルを行う条件が挙げられる。
他の条件としては、例えば92〜96℃、5秒〜1分(変性);50〜68℃、15秒〜1分(アニーリング);72℃、15秒〜1分(伸長)を1サイクルとして、25〜40サイクルを行う条件が挙げられる。変性に先立って、例えば92〜96℃、2〜5分の熱処理、また、伸長反応の最終サイクルの終了後に、例えば72℃、5〜15分の処理を行うことができる。
PCR法の実施に必要な試薬は当業者には公知であり、上記文献にも記載されている。プライマーおよび鋳型DNA以外の試薬としては、例えば、Taqポリメラーゼ、pfuポリメラーゼなどの耐熱性DNAポリメラーゼ、dNTPミックス、PCRバッファー(MgCl2を含む)などが挙げられる。
本発明では、限定するものではないが、PCR法としてリアルタイムPCR法を用いてもよい。SYBR GreenIを用いるリアルタイム反応PCR法の場合、ポリメラーゼ反応によって合成された2本鎖DNAに、反応液中に含まれるインターカレーター(SYBR GreenI)が結合すると蛍光を発する。この蛍光強度を測定することで核酸増幅の有無を確認することができる。
リアルタイムPCR法に用いるPCR反応試薬としては、例えば、タカラバイオ社から市販されているDNA増幅試薬キットであるSYBR Premix Ex Taq(但し、プライマーセットを除く)が挙げられる。該キットを用いる場合のPCR反応液は、例えば、滅菌蒸留水を5〜10μL、SYBR Premix Ex Taqを5〜15μL、各細菌に対応するプライマー(各15〜25μM)を各0.05〜0.3μL、検体液(鋳型DNA)0.5〜5μLを加え、全量約10〜30μLとして調製する。
高温嫌気性芽胞細菌の検出において核酸増幅が観察されるならば、標的遺伝子(高温嫌気性芽胞細菌の16S rRNA遺伝子)が存在することを意味し、結果として高温嫌気性芽胞細菌陽性(+)であることが示される。逆に、核酸増幅が観察されない場合には、標的遺伝子が不存在であることを意味し、結果として高温嫌気性芽胞細菌陰性(−)であることが示される。
また、本発明の方法においてサーマルサイクラーによる通常のPCR反応を行う場合は、当該PCR反応が適切に行われる限り限定するものではないが、例えば、タカラバイオ社から市販されているDNA増幅試薬キットであるTaKaRa Ex Taq試薬(但し、プライマーセットを除く)を利用することができる。該キットを用いる場合、PCR反応液は、例えば、滅菌蒸留水を10〜20μL、10×Ex Taqバッファーを1〜5μL、dNTPミックス(各2〜3mM)を1〜2μL、各細菌に対応するプライマー(各15〜25μM)を各0.05〜0.3μL、TaKaRa Ex Taqを0.05〜0.3μL、検体液(鋳型DNA)0.5〜5μLを加え、全量約10〜30μLとして調製する。
サーマルサイクラーを用いたPCR法の場合、PCR反応後の10〜20μL程度のサンプルをアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動などに供することで、核酸増幅の有無を目的とする増幅部分と同じ分子量での核酸増幅に基づいて確認することができる。
(3)高温嫌気性芽胞細菌検出用キット
本発明のキットには、下記のプライマーセット(a)〜(c):
(a)プライマーThm16S-1F(配列番号1)、プライマーThm16S-2F(配列番号2)、およびプライマーThm16S-R(配列番号3)を含むThermoanaerobacterium属細菌検出用プライマーセット、
(b)プライマーMor16S-F(配列番号4)、およびプライマーMor16S-R(配列番号5)を含むMoorella属細菌検出用プライマーセット、ならびに
(c)プライマーDes16S-F(配列番号6)、およびプライマーDes16S-R(配列番号7)を含むDesulfotomaculum属細菌検出用プライマーセット
からなる群から選択されるプライマーセットが含まれる。
プライマーセットには、さらに下記のプライマー:
配列番号1、2または3の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつThermoanaerobacterium属細菌の16S rRNA遺伝子にアニーリング可能であるプライマー、
配列番号4または5の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつMoorella属細菌の16S rRNA遺伝子にアニーリング可能であるプライマー、および
配列番号6または7の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつDesulfotomaculum属細菌の16S rRNA遺伝子にアニーリング可能であるプライマー
を含んでもよい。
その他に、例えば耐熱性ポリメラーゼ、dNTPミックス、PCRバッファー、マグネシウム塩(例えばMgCl2)、および使用説明書などを含んでもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.プライマーの設計
Thermoanaerobacterium属細菌の16S rRNA遺伝子の塩基配列から、Thermoanaerobacterium属細菌の16S rRNA遺伝子の特異的領域を増幅するPCRプライマーセット(a)((Thm16S-1F(配列番号1)、Thm16S-2F(配列番号2)、Thm16S-R(配列番号3))を設計し、DNA合成装置で合成した。
Moorella属細菌の16S rRNA遺伝子の塩基配列から、Moorella属細菌の16S rRNA遺伝子の特異的領域を増幅するPCRプライマーセット(b)((Mor16S-F(配列番号4)、Mor16S-R(配列番号5))を設計し、DNA合成装置で合成した。
Desulfotomaculum属細菌の16S rRNA遺伝子の塩基配列から、Desulfotomaculum属細菌の16S rRNA遺伝子の特異的領域を増幅するPCRプライマーセット(c)((Des16S-F(配列番号6)、Des16S-R(配列番号7))を設計し、DNA合成装置で合成した。
2.PCR反応
PCR反応に用いる各試薬の内容は次のとおりである。PCR反応試薬はタカラバイオ社製のSYBR Premix Ex Taqを用いた。調製に際しては、タカラバイオ社、SYBR Premix ExTaq試薬キット(カタログ番号:RR041A)の添付説明書に従った。
Thermoanaerobacterium属細菌検出の検討用のPCR反応液は、滅菌蒸留水を7.6μL、SYBR Premix Ex Taqを10μL、Thm16S-1F、Thm16S-2Fの各プライマー(各20μM)を各0.1μL、Thm16S-R(20μM)を0.2μL、検体液(鋳型DNA)2μLを加え、全量20μLとして調製した。
Moorella属細菌検出の検討用のPCR反応液は、滅菌蒸留水を7.6μL、SYBR Premix Ex Taqを10μL、Mor16S-F、Mor16S-Rの各プライマー(各20μM)を各0.2μL、検体液(鋳型DNA)2μLを加え、全量20μLとして調製した。
Desulfotomaculum属細菌検出の検討用のPCR反応液は、滅菌蒸留水を7.6μL、SYBR Premix Ex Taqを10μL、Des16S-F、Des16S-Rの各プライマー(各20μM)を各0.2μL、検体液(鋳型DNA)2μLを加え、全量20μLとして調製した。
Thermoanaerobacterium属細菌検出の検討には、鋳型DNAとして、表1に示された8種のThermoanaerobacterium属細菌および他の32菌種から抽出したDNAを用いた。
Moorella属細菌検出の検討には、鋳型DNAとして、表2に示された4種のMoorella属細菌および他の35菌種から抽出したDNAを用いた。
Desulfotomaculum属細菌検出の検討には、鋳型DNAとして、表3に示された7種のDesulfotomaculum属細菌および他の32菌種から抽出したDNAを用いた。
PCR反応は、ロシュ社製のライトサイクラーを用い、シャトルPCR(二段階温度PCR)として行った。反応条件は、タカラバイオ社製のSYBR Premix Ex Taqの添付説明書に従った。
Thermoanaerobacterium属細菌検出の検討の反応条件は、具体的には、初期変性としての95℃、10秒(20℃/秒)に続いて、95℃、5秒(20℃/秒);65℃、20秒(20℃/秒)を1サイクルとして35サイクルを行い、最後に、融解曲線分析を、95℃、0秒(20℃/秒);65℃、15秒(20℃/秒);95℃、0秒(0.1℃/秒)に設定して行った。カッコ内は温度変化速度を表す。反応終了後に、増幅曲線と融解曲線を確認し、PCR産物の増幅の有無を判定した。
Moorella属細菌検出の検討の反応条件は、具体的には、初期変性としての95℃、10秒(20℃/秒)に続いて、95℃、5秒(20℃/秒);67℃、20秒(20℃/秒)を1サイクルとして35サイクルを行い、最後に、融解曲線分析を、95℃、0秒(20℃/秒);65℃、15秒(20℃/秒);95℃、0秒(0.1℃/秒)に設定して行った。
Desulfotomaculum属細菌検出の検討の反応条件は、具体的には、初期変性としての95℃、10秒(20℃/秒)に続いて、95℃、5秒(20℃/秒);70℃、20秒(20℃/秒)を1サイクルとして35サイクルを行い、最後に、融解曲線分析を、95℃、0秒(20℃/秒);65℃、15秒(20℃/秒);95℃、0秒(0.1℃/秒)に設定して行った。
反応終了後に、増幅曲線と融解曲線を確認し、PCR産物の増幅の有無を判定した。増幅曲線の立ち上がりが認められたものを各細菌陽性、増幅曲線が認められないものを陰性とした。
3.結果
以下の表1に示したThermoanaerobacterium属細菌8種および他の細菌種について、上記プライマーセット(a)を用いてPCR反応を行った結果、Thermoanaerobacterium aciditoleransThermoanaerobacterium aotearoenseThermoanaerobacterium polysaccharolyticumThermoanaerobacterium saccharolyticumThermoanaerobacterium thermosaccharolyticumThermoanaerobacterium thermosulfurigenesThermoanaerobacterium xylanolyticumThermoanaerobacterium zeaeの8菌種のみについて核酸の増幅が認められ、他の細菌種では増幅が認められなかった。
Figure 2010081916
上記のように、16S rRNA遺伝子に対して設計された各プライマーセットは、Thermoanaerobacterium属細菌のみを特異的に検出することができ、他の菌種との交差性は認められなかった。また、これらのプライマーセットを用いた検出結果を併せると、検査した8種すべてのThermoanaerobacterium属細菌を網羅することができた。
以下の表2に示したMoorella属細菌4種および他の細菌種について上記プライマーセット(b)を用いてPCR反応を行った結果、MoorellaglyceriniMoorella mulderiMoorella thermoaceticaMoorella thermoautotrophicaについて選択的に核酸の増幅が認められ、他の細菌種では増幅が認められなかった。
Figure 2010081916
上記のように、16S rRNA遺伝子に対して設計された各プライマーセットは、Moorella属細菌属細菌を検出することができ、他の菌種との交差性は認められなかった。また、これらのプライマーセットを用いた検出結果を併せると、検査した4種すべてのMoorella属細菌属細菌を網羅することができた。
以下の表3に示したDesulfotomaculum属細菌7種8菌株および他の細菌種について上記プライマーセット(c)を用いてPCR反応を行った結果、Desulfotomaculum nigrificansDesulfotomaculum thermoacetoxidansDesulfotomaculum thermobenzoicumsubsp. thermobenzoicumDesulfotomaculum thermobenzoicum subsp. thermosyntrophicumDesulfotomaculum thermocisternumDesulfotomaculum thermosapovoransDesulfotomaculum thermosubterraneumについて選択的に核酸の増幅が認められ、他の細菌種では増幅が認められなかった。
Figure 2010081916
上記のように、16S rRNA遺伝子に対して設計された各プライマーセットは、Desulfotomaculum属細菌を検出することができ、他の菌種との交差性は認められなかった。また、これらのプライマーセットを用いた検出結果を併せると、検査した7種すべてのDesulfotomaculum属細菌を網羅することができた。

Claims (6)

  1. Thermoanaerobacterium属、Moorella属およびDesulfotomaculum属からなる群から選択される少なくとも1種の高温嫌気性芽胞細菌を検出するためのプライマーセットであって、以下の(a)〜(c):
    (a)プライマーThm16S-1F(配列番号1)、プライマーThm16S-2F(配列番号2)、およびプライマーThm16S-R(配列番号3)を含むThermoanaerobacterium属細菌検出用プライマーセット、
    (b)プライマーMor16S-F(配列番号4)、およびプライマーMor16S-R(配列番号5)を含むMoorella属細菌検出用プライマーセット、ならびに
    (c)プライマーDes16S-F(配列番号6)、およびプライマーDes16S-R(配列番号7)を含むDesulfotomaculum属細菌検出用プライマーセット
    からなる群から選択される、プライマーセット。
  2. (a)のプライマーセットが、配列番号1、2または3の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつThermoanaerobacterium属細菌の16S rRNA遺伝子にアニーリング可能であるプライマーをさらに含む、請求項1に記載のプライマーセット。
  3. (b)のプライマーセットが、配列番号4または5の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつMoorella属細菌の16S rRNA遺伝子にアニーリング可能であるプライマーをさらに含む、請求項1に記載のプライマーセット。
  4. (c)のプライマーセットが、配列番号6または7の塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、かつDesulfotomaculum属細菌の16S rRNA遺伝子にアニーリング可能であるプライマーをさらに含む、請求項1に記載のプライマーセット。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のプライマーセットを用いて、PCR法により、検体中の高温嫌気性芽胞細菌を検出することを含む、高温嫌気性芽胞細菌の検出方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のプライマーセット(a)、(b)、(c)またはそれらの組み合わせを含む、高温嫌気性芽胞細菌検出用キット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114317808A (zh) * 2022-01-17 2022-04-12 南阳理工学院 嗜热真菌的定量检测试剂盒、检测方法及应用

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