JP5560902B2 - 車両の警報音発生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の存在や、シフト操作、アクセル操作、ブレーキ操作などによる運転者の意図や、車両の進行方向や、車速を含む走行状態などの車両情報を、車外周辺の人へ向け警報音として発する車両の警報音発生装置に関し、特にエンジンおよび電動モータからのエネルギーを用いて走行可能なハイブリッド車両の警報音発生装置に関するものである。
運転音や走行音が静かな車両(内燃機関搭載車を含む)、特に電動機のみで電気走行する(EV走行する)電気自動車や、
電動機のみで走行する電気走行(EV)モードと、エンジンおよび電動モータからの動力で走行するハイブリッド走行(HEV)モードとを使い分けるパラレル型ハイブリッド車両や、
エンジンで発電された電力により駆動される電動モータを動力源とするシリーズ型ハイブリッド車両などの電動車両にあっては、
運転音や走行音の静かさを追求する故に、車外周辺に人が多い市街地を低速している場合など所定の条件では、車両の存在や、シフト操作などによる運転者の意図や、車両の進行方向(前進または後退)や、車速を含む走行状態などの車両情報を、車外へ警報音として発し、車外周辺の人に車両情報を警報しなければならない場合がある。
このように、車外周辺の人に向け警報音を発する警報音発生装置としては従来、例えば特許文献1に記載のごときものが知られている。
この提案技術は、スピーカやブザーなどの警報音発生源を設け、警報音を発生させるべき所定の条件が成立している間、この警報音発生源を作動させることにより車外周辺の人に向け警報音を発するものである。
特開平07−322403号公報
ところで、エンジンおよび電動モータからのエネルギーを用いて走行可能な、シリーズ型ハイブリッド車両やパラレル型ハイブリッド車両のごときハイブリッド車両にあっては、
運転状況によってはエンジンが高速(または大トルク)で運転させる必要があるものの、基本的にはハイブリッド車両の環境性や静粛性を追求して、排気や音振を考慮しながら出来るだけ静かな運転領域を使ってエンジンを運転させることが多い。
そのため、エンジンおよび電動モータからのエネルギーを用いて走行可能なハイブリッド車両に、上記した従来の警報音発生装置をそのまま用いる場合、以下に説明するように更なる改良の余地が残されている。
つまり上記した、警報音を発生させるべき所定の条件(警報音発生条件)は、車両情報を発信する警報が要求されている場合であり、この警報音発生条件が成立している間は、車外周辺の人に確実に警報が伝わる必要がある。
そして、当該警報音発生条件の成立中にエンジンが運転されている場合、車外周辺の人は上記の警報音とエンジン音との双方から車両情報を得る。
しかし、ハイブリッド車両では上記のごとく、排気や音振を考慮しながら出来るだけ静かな運転点でエンジンを運転させることが多いため、
そして警報音発生条件が成立するような走行条件では大抵の場合できるだけ静かな運転点でエンジンを運転させることになるため、
当該警報音発生条件の成立中において車外周辺の人はエンジン音から車両情報の多くを期待できない。
特に、エンジンの運転によりエンジン音が発生していて、それ自身が車両情報を伝える警報音となり得る場合、わざわざ警報音発生装置を作動させて警報音を発する必要がないとの考え方に基づき、警報音発生装置を非作動にしてこれから警報音が発生しないようにすることで、警報音からエンジン音に切り替えるようにしたものにあっては、
警報音発生条件の成立中であっても警報音を発生させないことから、上記の問題が看過できない問題となる。
一方、ハイブリッド車両における上記した出来るだけ静かなエンジン静寂運転点は、エンジン回転数が低くて確かに静寂運転が可能であるものの、少なくとも燃料消費率の最も良い最適燃費より燃費の悪い運転点であることが多く、
エンジン最適燃費運転点では、エンジン回転数が静寂運転点での回転数より高くて、エンジン音が、静寂運転点でのエンジン音よりも大きくなる。
従って警報音発生条件の成立中、エンジン静寂運転点での運転からエンジン回転数が上昇するようエンジン運転状態を変更すれば、
これにより大きくなったエンジン音により車外周辺の人が確実に車両情報を得ることができるようになる上に、
エンジン運転点がエンジン静寂運転点からエンジン最適燃費運転点に近づいて、エンジン静寂運転点での運転時よりもエンジンの燃費が良くなり、
これらの点において改善の余地がある。
本発明は、かかる実情に鑑み、上記警報音発生条件成立中におけるエンジン運転状態の変更によって、上記した改善の余地を実現可能にした車両の警報音発生装置を提供することを目的とする。
この目的のため、本発明による車両の警報音発生装置は、以下のごとくにこれを構成する。
本発明の警報音発生装置は、エンジンおよび電動モータからのエネルギーを用いて走行可能な車両に用いられ、
所定の警報音発生条件が成立している間、警報音を発生可能にして車外周辺の人に車両情報を発信し得るようにした警報音発生装置を要旨構成の基礎前提とする。
本発明は、かかる車両の警報音発生装置において、
上記警報音発生条件が成立している間、該警報音発生条件が成立していない間に較べ、エンジン音が大きくなるよう上記エンジンの運転状態を変更させ、上記警報音発生条件が成立している時におけるエンジン音の大きさと、上記警報音発生条件が成立していない時におけるエンジン音の大きさとの差を、高車速ほど大きくするエンジン運転状態変更手段を設けた構成に特徴づけられるものである。
かかる本発明の警報音発生装置によれば、警報音発生条件が成立している間、警報音を発生可能で車外周辺の人に車両情報を発信し得る。
この間エンジン運転中であれば、車外周辺の人はエンジン音からも車両情報を得ることができる。
ところで本発明においては、警報音発生条件が成立している間、該警報音発生条件が成立していない間に較べ、エンジン音が大きくなるよう上記エンジンの運転状態を変更させるため、
警報音発生条件が成立している間、大きくなったエンジン音により車外周辺の人が確実に車両情報を得ることができるようになる上に、エンジンがエンジン静寂運転点よりも燃費の良い運転点で運転されることとなって燃費も改善させることができる。
しかも本発明では、警報音発生条件が成立している時におけるエンジン音の大きさと、警報音発生条件が成立していない時におけるエンジン音の大きさとの差を、高車速ほど大きくするため、
エンジン音に対する許容度が大きい高車速ほどエンジン音を大きくすることとなり、高車速走行時は当該大きなエンジン音により、違和感を与えることなく上記の作用効果を更に顕著なものにすることができる。
本発明の一実施例になる車両の警報音発生装置を示す、車外スピーカの制御システム図である。 図1に示した警報音コントローラが実行する警報音制御プログラムを示すフローチャートである。 図2における警報音制御プログラム中のエンジン運転状態変更処理を説明するの用いた線図で、 (a)は、エンジンにより発電すべき発電パワーと、静粛運転線との関係を示すエンジン性能線図、 (b)は、エンジン運転状態変更処理に当たって上昇させるべきエンジン回転数の上昇量、つまり上乗せエンジン回転数の変化特性図、 (c) は、同じエンジン回転の上昇を行わせるに際して発電パワーを増大させる場合における上乗せ発電パワーの変化特性図である。 図2の警報音制御プログラムによる動作タイムチャートで、 (a)は、エンジン始動を伴わない発進加速時の動作タイムチャート、 (b)は、エンジン停止を伴わない停車減速時の動作タイムチャートである。 図2の警報音制御プログラムによる動作タイムチャートで、 (a)は、エンジン始動を伴う発進加速時の動作タイムチャート、 (b)は、エンジン停止を伴う停車減速時の動作タイムチャートである。 図2における車外スピーカON→OFF遅延用の所定時間およびエンジン停止遅延用の所定時間に係わる変化特性図で、 (a)は、車外スピーカON→OFF遅延用の所定時間に係わる変化特性図、 (b)は、エンジン停止遅延用の所定時間に係わる変化特性図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
<構成>
図1は、本発明の一実施例になる車両の警報音発生装置を示し、特に警報音発生源である車外スピーカ1の制御システム図である。
なお本実施例において、警報音発生装置を用いる車両は、エンジン2により駆動される発電機(図示せず)からの電力をバッテリ(図示せず)に蓄電し、該バッテリからの電力で駆動される電動モータ3を走行動力源とするシリーズ型ハイブリッド車両(発電機搭載型電気自動車)とするが、
かようにエンジン2を発電専用とするのではなく、これを電動モータ3と共に走行動力源として用いるようシステムを構築し、電動モータ3のみにより走行する電気走行(EV)モードと、エンジン2および電動モータ3からの動力で走行するハイブリッド走行(HEV)モードとを使い分けるパラレル型ハイブリッド車両であってもよい。
しかし本実施例のように、警報音発生装置を用いる車両が、前者のようなシリーズ型ハイブリッド車両(発電機搭載型電気自動車)である場合、いずれにしても基本的には、上記バッテリが充電不要な状態、または充電不能な状態のもとではエンジン2を停止させておき、上記バッテリへの充電が可能な状態で、且つ充電しなければならなくなったバッテリ状態である時にエンジン2を運転させるものとする。
エンジン2はエンジン運転制御システム4により駆動制御され、電動モータ3はモータ走行制御システム5により駆動制御され、
これら制御システム4,5はそれぞれ、運転者がイグニッションスイッチ6をONにしている間、起動状態にされているものとする。
この起動状態である間、モータ走行制御システム5は電動モータ3を、ブレーキペダルを釈放してアクセルペダルを踏み込むなど、電動モータ3の動作条件が揃ったとき、運転者の運転操作に応じた回転方向へ、またこの運転操作に応じたトルクで駆動させ、このモータトルクを車輪へ伝達して車両を走行させる。
エンジン運転制御システム4は起動状態である間、上記バッテリが充電不要な状態、または充電不能な状態か否かをチェックすると共に、上記バッテリが充電可能状態で、且つ充電要求状態か否かをチェックする。
そしてエンジン運転制御システム4は、バッテリが充電不要な状態、または充電不能な状態であると判定するとき、エンジン2を停止させておき、バッテリが充電可能状態で、且つ充電要求状態であると判定するとき、エンジン2を運転させるよう機能する。
車外スピーカ1は警報音コントローラ11によって作動制御する。
そのため警報音コントローラ11には、運転者が駐停車および走行方向を指令するために行うシフト(レンジセレクト)操作に応動して、選択レンジが駐車(P)レンジ、後退(R)レンジ、中立(N)レンジ、前進(D)レンジの何れであるのかを検知するレンジセンサ12からの信号を入力する。
警報音コントローラ11にはその他に、
車速VSPを検出する車速センサ13からの信号と、
ブレーキペダルの踏み込んだ制動状態でONとなり、ブレーキペダルを釈放した非制動状態でOFFとなるブレーキスイッチ14からの信号と、
警報音コントローラ11による車外スピーカ1のON,OFF制御が行われるように指令するか、この車外スピーカ1を非作動に保って警報音が発生されないように指令するために運転者が操作する警報音コントローラスイッチ15からの信号と、
エンジン運転制御システム4およびモータ走行制御システム5を起動状態にする前記イグニッションスイッチ6からの信号とを入力する。
<警報音のON,OFF制御>
図1の警報音コントローラ11は、イグニッションスイッチ6のON以降、図2の制御プログラムを例えば10msecごとの定時割り込みにより繰り返し実行して、以下のごとくに車外周辺の人に対し車両の存在や、シフト操作、ブレーキ操作などによる運転者の意図や、車両の進行方向や、車速を含む走行状態などの車両情報を警報する。
先ずステップS11において、警報音コントローラスイッチ15がONか否かにより、警報音コントローラ11による車外スピーカ1のON,OFF制御が行われることを運転者が希望しているか否かをチェックする。
警報音コントローラスイッチ15がONでなければ、運転者が住宅地走行などのため、車外スピーカ1からの警報音の発生を希望していないことから、この要求に叶うよう制御を順次ステップS31、ステップS12、ステップS13およびステップS14に進める。
ステップS31においては、図1に示す警報音コントローラ11からエンジン運転制御システム4へのエンジン運転状態変更指令が発生しないよう、これを0にする。
かように警報音コントローラ11からエンジン運転制御システム4へのエンジン運転状態変更指令がない場合、エンジン運転制御システム4はエンジン2の運転制御に際し、通常通り以下のごとくに当該運転制御を行う。
図3(a)の一点鎖線は、バッテリ蓄電率に応じて要求される発電パワー(図ではPw1,Pw2の2例のみを示した)を実現するエンジン回転数NeおよびエンジントルクTeの組み合わせである等発電パワー線を示し、また同図の実線は、当該発電パワーを最も静かに実現するエンジン回転数NeおよびエンジントルクTeの組み合わせである静粛運転線を示す。
発電パワーが例えばPw1である場合、エンジン運転制御システム4は当該Pw1の等発電パワー線と静粛運転線との交点A1におけるエンジン回転数Ne1およびエンジントルクTe1の組み合わせをエンジン運転点とし、この点A1でエンジン2を静粛運転させるよう制御する。
発電パワーが例えばPw2である場合、エンジン運転制御システム4は当該Pw2の等発電パワー線と静粛運転線との交点A2をエンジン運転点とし、この点A2でエンジン2を静粛運転させるよう制御する。
上記したエンジン静寂運転点は、回転数が低くて確かに静寂運転が可能であるものの、少なくとも燃料消費率の最も良い最適燃費よりも燃費の悪い運転点であり、
エンジン最適燃費運転点では、エンジン回転数が静寂運転点での回転数より高くて、エンジン音が、静寂運転点でのエンジン音よりも大きくなる。
従って、エンジン静寂運転点での運転からエンジン回転数を上昇させれば、これにより増大するエンジン音から車外周辺の人が車両情報を入手し易くなる上に、エンジン運転点がエンジン最適燃費運転点に近づいて燃費の向上も果たし得る。
図2における次のステップS12では、後述する車外スピーカ1のON,OFF制御に用いるエンジンオフタイマTENGOFFを0にリセットする。
このエンジンオフタイマTENGOFFは、エンジン2の停止要求からの経過時間を計測するタイマである。
次のステップS13においては、後述する車外スピーカ1のON,OFF制御に用いるエンジンオンタイマTENGONに上限値をセットする。
このエンジンオンタイマTENGONは、エンジン2の始動時に0にリセットされて、当該エンジン始動時からの経過時間を計測するタイマである。
次いでステップS14において、車外スピーカ1をOFFして警報音の発生を禁止し、運転者が警報音コントローラスイッチ15のOFFにより車外スピーカ1からの警報音の発生を希望していないという要求を叶える。
ステップS11で、運転者が警報音コントローラスイッチ15のONにより車外スピーカ1からの警報音の発生を希望していると判定する場合、制御をステップS15に進めて、以下のように車外スピーカ1のON,OFF制御を行う。
但し本実施例では、車外スピーカ1のONによりこれから警報音を発生させるのは、基本的に発進加速時のタイムチャートを示す図4(a)の瞬時t1〜t4間、および停車減速時のタイムチャートを示す図4(b)の瞬時t5〜t8間におけるごとく、市街地走行に相当する車速VSPが30km/h未満である間のみとする。
その理由は、車速VSPが30km/h以上となる郊外走行中は車外スピーカ1からの警報音が実際上不要であり、またこの警報音はエンジン音に似せたエンジン疑似音にする案が有力であって、これが走行中継続的に発生し続けるようにすると、静寂走行が可能な車両でありながらそのメリットを乗員が享受できないためである。
よって本実施例では、図4(a),(b)の瞬時t1〜t4間および瞬時t5〜t8間におけるごとく車速VSPが30km/h未満である間のみ、車外スピーカ1のONにより警報音を発生させ得るようにし、
図4(a),(b)の瞬時t4以降および瞬時t5以前におけるごとく車速VSPが30km/h以上である間、および図4(a),(b)の瞬時t1以前および瞬時t8以降におけるごとく車速VSPが0km/hであって、且つ発進準備が完了していない停車中は、車外スピーカ1のOFFにより警報音を発生させないようにする。
ただし図4(a)の瞬時t1においては、車両が発進してから警報音が発するのでは安全上好ましくないことから、車速VSPが未だ0km/hであっても、ブレーキスイッチ14がブレーキペダルの釈放によりOFFになったところで発進準備完了と判断して車外スピーカ1のONにより警報音を発生させるようにするのがよい。
また図4(b)の停車瞬時t8においては、停車時に直ちに警報音を消失させると安全上好ましくないことから、車速VSPが0km/hになっても、10秒程度の設定時間中は車外スピーカ1のONを継続し、その後に車外スピーカ1のOFFにより警報音を消失させるようにするのがよい。
図4(a),(b)につき上述した基本的な警報音ON,OFF制御を実現するために、ステップS15においては、車速VSPが0km/hおよび30km/h間の車速であるか否かを(警報音発生条件が成立しているか否かを)チェックし、0km/hおよび30km/h間の車速でない(警報音発生条件が成立していない)と判定する場合、ステップS31、ステップS12、ステップS13およびステップS14を順次実行して、車外スピーカ1のOFFにより警報音の発生を禁止する。
ステップS15において車速VSPが0km/h<VSP<30km/hの範囲内にある(警報音発生条件が成立している)と判定する場合、本発明におけるエンジン運転状態変更手段に相当するステップS32において、図1に示すように警報音コントローラ11からエンジン運転制御システム4へエンジン運転状態変更指令が送信されるようこれを1にして、本発明が狙いとするエンジン運転状態の変更を行わせる。
かように警報音コントローラ11からエンジン運転制御システム4へエンジン運転状態変更指令が送信される場合、エンジン運転制御システム4はエンジン2の運転制御に際し、エンジン運転状態が上記した通常の運転状態とは異なったものとなるよう、以下のごとくに当該運転制御を行う。
この場合エンジン運転制御システム4は、図3(a)につき前述したようにして、バッテリ蓄電率に応じた要求発電パワーを最も静かに実現する、例えば図3(a)にA1で示すエンジン静粛運転点を求めるが、この静粛運転点A1においてエンジン2を運転させるのではなく、
静粛運転点A1でのエンジン回転数Ne1よりも、例えば図3(a)のΔNeだけ高いエンジン回転数Ne2でエンジン2を運転させるよう制御して、大きなエンジン音が発生するようなエンジン運転状態にする。
なお、かようにエンジン2をΔNeだけ高いエンジン回転数で運転させるに当たっては、エンジントルクTeをPw1の等発電パワー線上における図3(a)のA3点まで低下させ、この点A3をエンジン運転点とすれば、発電パワーPw1を保ったままエンジンを高回転で運転させ得ることから好ましい。
しかし、いずれにしても上記の上乗せエンジン回転数ΔNeは、これによって増大するエンジン音を車外周辺の人が確実に聞き取ることができるようにするのに必要なエンジン回転上昇量とし、高車速ほどエンジン音の大きさに対して許容度が高いこともあって、上乗せエンジン回転数ΔNeは例えば図3(b)に示すごとく車速VSPが高いほど大きくするのがよい。
ところで上記の上乗せエンジン回転数ΔNeは、これによるエンジン回転数Neの上昇で変更となった新しいエンジン運転点がエンジン最適燃費運転点に近づいて、変更前のエンジン静粛運転点A1での燃費よりも燃費を向上させることにも通じる。
なお、エンジン2をΔNeだけ高いエンジン回転数で運転させるに当たっては、上記の手法に代え図3(a)に示すように、エンジントルクTeを変えずに発電パワーをPw1からΔPwだけ増大させてPw2とすることによっても所期の目的を達成することができる。
この場合も、上記の上乗せ発電パワーΔPwは、これによるエンジン回転数の上昇ΔNeによって増大するエンジン音を車外周辺の人が確実に聞き取ることができるようにするのに必要な発電パワー増大量とし、高車速ほどエンジン音の大きさに対して許容度が高いこともあって、上乗せ発電パワーΔPwは例えば図3(c)に示すごとく車速VSPが高いほど大きくするのがよい。
図2のステップS32によるエンジン運転状態の変更を行った後は、制御をステップS16以降に進め、エンジン2の運転状態との関連において以下のごとくに、車外スピーカ1のON,OFF制御を遂行する。
ステップS16においては、図1におけるエンジン運転制御システム4から警報音コントローラ11へのエンジン運転制御情報を基に、バッテリ蓄電率の低下などによりエンジン運転条件が成立しているか否かをチェックする。
なおエンジン運転制御システム4は、当該エンジン運転条件が成立したとき、直ちにエンジン2を始動させてエンジン運転状態となす。
ステップS16でエンジン運転条件が成立していない(エンジン2の停止中)と判定する間は、ステップS17において、当該エンジン運転条件が成立しなくなって(エンジン2の停止要求が出力されて)から初回か否かをチェックし、
初回であるとき1回だけ実行されるステップS18およびステップS19のうち、ステップS18においてはエンジン停止許可フラグを0にし、ステップS19においてはエンジンオフタイマTENGOFFを0にリセットした後、制御をステップS20に進め、また初回でなければステップS18およびステップS19を実行することなく、そのまま制御をステップS20に進める。
なお、ステップS18におけるエンジン停止許可フラグは、図1の警報音コントローラ11からエンジン運転制御システム4へエンジン停止許可信号を出力するか、出力しないかを決定するもので、
エンジン停止許可フラグが0である間、警報音コントローラ11からエンジン運転制御システム4へエンジン停止許可信号を出力せず、この間エンジン運転制御システム4は上記エンジン運転条件の成立→不成立切り替えに呼応したエンジン2の停止要求を実行することなく、当該エンジン停止要求を無視してエンジン2を運転させ続けるものとする。
ステップS20においては、ステップS19で0にリセットされたエンジンオフタイマTENGOFFが所定値ΔTOFF未満か否かをチェックするが、
当初はTENGOFF=0のためTENGOFFが所定値ΔTOFF未満であることによって、順次ステップS21およびステップS22が選択される。
ステップS21においては、エンジンオフタイマTENGOFFをインクリメント(歩進)させる。
従ってエンジンオフタイマTENGOFFは、エンジン運転条件が成立しなくなって(エンジン2の停止要求が出力されて)からの経過時間を計測することとなり、ステップS20でエンジンオフタイマTENGOFFが所定値ΔTOFF未満か否かを判定するということは、エンジン運転条件が成立しなくなって(エンジン2の停止要求が出力されて)から所定時間ΔTOFF中であるか否かを判定することに同意である。
ステップS22においては、車外スピーカ1のONによりこれから警報音を発生させる。
ステップS20でエンジンオフタイマTENGOFFが所定値ΔTOFF以上と判定するようになった時に、つまりエンジン運転条件が成立しなくなって(エンジン2の停止要求が出力されて)から所定時間ΔTOFFが経過した時に、制御は順次ステップS23、ステップS24およびステップS22に進むようになる。
ステップS23においては、エンジン停止許可フラグを1にセットし、ステップS24においては、エンジンオフタイマTENGOFFに上限値をセットする。
次にステップS22において、引き続き車外スピーカ1のONにより警報音が発生され続けるようにすることで、図4につき前述した警報音発生制御を実現する。
ステップS23で上記のようにエンジン停止許可フラグが1にセットされると、図1に示すように警報音コントローラ11からエンジン運転制御システム4へエンジン停止許可信号が出力され、
この時エンジン運転制御システム4は、前記エンジン運転条件の不成立に呼応したエンジン停止要求を実行して、エンジン2の運転を停止させる。
ステップS16でエンジン運転条件が成立している(エンジン2の運転中)と判定する間は、ステップS26において、当該エンジン運転条件が成立して(エンジン2が運転されて)から初回か否かをチェックし、
初回であるとき1回だけ実行されるステップS27においてエンジンオンタイマTENGONを0にリセットした後、制御をステップS28に進め、また初回でなければステップS27を実行することなく、そのまま制御をステップS28に進める。
ステップS28においては、ステップS27で0にリセットされたエンジンオンタイマTENGONが所定値ΔTON未満か否かをチェックするが、
当初はTENGON=0のためTENGONが所定値ΔTON未満であることによって、順次ステップS29およびステップS22が選択される。
ステップS29においては、エンジンオンタイマTENGONをインクリメント(歩進)させる。
従ってエンジンオンタイマTENGONは、エンジン運転条件の成立時(エンジン2の運転開始時)からの経過時間を計測することとなり、ステップS28でエンジンオンタイマTENGONが所定値ΔTON未満か否かを判定するということは、エンジン運転条件の成立時(エンジン2の運転開始時)から所定時間ΔTON中であるか否かを判定することに同意である。
ステップS22においては、車外スピーカ1のONによりこれから警報音を発生させる。
ステップS28でエンジンオンタイマTENGONが所定値ΔTON以上と判定するようになった時に、つまりエンジン運転条件の成立時(エンジン2の運転開始時)から所定時間ΔTONが経過した時に、制御は順次ステップS13およびステップS14に進み、ステップS13でエンジンオンタイマTENGONに上限値をセットし、ステップS14で車外スピーカ1のOFFによりこれから警報音が発せられないようにする。
<作用効果>
上記した図2による車外スピーカ1(警報音)のON,OFF制御を、図4(a),(b)の場合と同じ発進加速時および停車減速時の動作タイムチャートである図5(a),(b)に基づき以下に詳述する。
図5(a)の発進準備完了(警報音発生条件成立)瞬時t1に図2の制御プログラムは、ステップS11、ステップS15、ステップS32、ステップS16、ステップS17、ステップS20、ステップS21、ステップS22を含むループを選択し、ステップS32に実行により図1のエンジン運転状態変更指令を1にすると共に、ステップS22の実行により車外スピーカ1をONしてこれから警報音を発生させる。
この警報音により車外周辺の人は、エンジン2が停止中でエンジン運転音が発生していなくても、車両情報を得ることができる。
なお、この瞬時t1まではエンジンオフタイマTENGOFFがステップS12で0にリセットされていたため、このエンジンオフタイマTENGOFFをインクリメントするステップS21は、瞬時t1からの経過時間を図5(a)の最下段に示すように計測することになるが、図5(a)の発進加速時に当該エンジンオフタイマTENGOFFを用いることはない。
図5(a)の瞬時t2に、バッテリ蓄電率の低下などによりエンジン運転条件が成立すると、図1のエンジン運転制御システム4は直ちに、図5(a)のエンジン運転指令によりエンジン2を始動させる。
かように、エンジン運転条件成立時t2に直ちにエンジン2を始動させることで、エンジン2に対するエネルギー要求を即座に満足させることができ、エネルギー応答の点で有利である。
このエンジン運転条件成立時t2に図2の制御プログラムは、初回に、ステップS11、ステップS15、ステップS32、ステップS16、ステップS26、ステップS27、ステップS28、ステップS29、ステップS22を含むループを選択し、
2回目以後は、ステップS11、ステップS15、ステップS32、ステップS16、ステップS26、ステップS28、ステップS29、ステップS22を含むループを選択する。
よって、図5(a)のエンジン始動瞬時t2以後も、ステップS22の実行により車外スピーカ1を引き続きONに保って警報音を継続的に発生させる。
この間、初回にステップS27で0にリセットされたエンジンオンタイマTENGONが、2回目以後ステップS29でインクリメントされることから、このエンジンオンタイマTENGONは図5(a)に示すごとく、エンジン始動瞬時t2からの経過時間を計測する。
そしてエンジンオンタイマTENGONが所定値ΔTONになる瞬時t3に、つまりエンジン始動瞬時t2から所定時間ΔTONが経過した瞬時t3に、ステップS28が制御をステップS13へ進めるようになることから、
図2の制御プログラムは、ステップS11、ステップS15、ステップS32、ステップS16、ステップS26、ステップS28、ステップS13、ステップS14を含むループを選択する。
この瞬時t3に、ステップS13の実行によりエンジンオンタイマTENGONが図5(a)に示すごとく上限値にされ、
ステップS14の実行により車外スピーカ1をOFFしてこれから警報音が発生されないようにする。
かように車外スピーカ1をOFFして警報音が発生しないようにしても、エンジン2が瞬時t2以降の運転により運転音を発生しているため、このエンジン音から車外周辺の人は車両情報を得ることができる。
ところで瞬時t1よりステップS32でエンジン運転状態変更指令が1にされているため、瞬時t2に始動されるエンジン2は、その回転数Neを図5(a)にハッチングを付して示すごとく通常(静粛)運転回転数よりも、図3につき前述した上乗せエンジン回転数ΔNeだけ高くされた高速で運転される。
かかるエンジン運転状態の高速運転状態への変更はエンジン音を増大させ、車外周辺の人が確実にこのエンジン音を聞き取り得て、車外スピーカ1からの警報音がなくても、エンジン音のみから確実に車両情報を得ることができる。
エンジン運転状態の高速運転状態への変更は更に図3(a)につき前述した通り、エンジン2を前記した静粛運転点よりも燃費の良い運転点で運転させることとなり、燃費の改善をも実現することができる。
そして、高車速ではエンジン音に対する許容度が大きいことから、上記の上乗せエンジン回転数ΔNeを図3(b),(c)につき前述したごとく、車速VSPが高いほど大きくして、高車速ほどエンジン音を大きくしたため、高車速走行時において違和感を与えることなく上記の作用効果を更に顕著なものにすることができる。
車速VSPが30km/hとなった図5(a)の警報音発生条件不成立瞬時t4に、図2の制御プログラムは、ステップS11、ステップS15、ステップS31、ステップS12、ステップS13、ステップS14を含むループを選択し、
ステップS31の実行によりエンジン運転状態変更指令を0にリセットし、
ステップS12の実行によりエンジンオフタイマTENGOFFを図5(a)に示すごとく0にリセットし、
ステップS14の実行により車外スピーカ1を引き続きOFFして警報音を発生させないようにする。
図5(a)の警報音発生条件不成立瞬時t4には、上記のごとくステップS31でエンジン運転状態変更指令が0にされるため、エンジン2は、上記の高速運転状態から通常運転へと復帰され、エンジン回転数NeがΔNeだけ低下して通常(静粛)運転回転数に戻る。
かように、警報音発生条件不成立瞬時t4にエンジン回転数Neが通常(静粛)運転回転数へ復帰することで、警報音発生条件不成立中にエンジン音が高いままにされる違和感を回避することができる。
なお、エンジン回転数Neを通常運転回転数へ低下復帰させるに際しては、図5(a)の警報音発生条件不成立瞬時t4の直後におけるエンジン回転数Neの経時変化αから明らかなごとく、エンジン回転数Neを所定の時間変化割合で徐々に通常運転回転数まで低下させることとし、これによりエンジン回転数Neおよびエンジン音の急変による違和感を防止するようになす。
更に、図2による車外スピーカ1(警報音)のON,OFF制御によれば、図5(a)に示すごとく、エンジン始動時t2から所定時間ΔTONが経過する瞬時t3までの間、車外スピーカ1のONを継続させて警報音を引き続き発生させるようにしたため、
瞬時t2でエンジン始動によりエンジン音が発生するようになっても、警報音が引き続き発生されて、所定時間ΔTONのうちはエンジン音および警報音の双方が発生していることとなる。
このため、エンジン音が発生するようになる前に、車外スピーカ1がOFFして警報音を発生しなくなるような現象を生ずることがなく、エンジン音および警報音のいずれも生じていない無音期間が発生するのを確実に回避することができる。
従って、この無音期間の発生により車両情報を把握し難くなって車外周辺の人に、一旦車両が遠ざかったと勘違いさせるような違和感を与えるという問題を解消することができる。
また、先行する警報音による車両の動きと、後続するエンジン音による車両の動きとが一致し、車外周辺の人は違和感を持つことなく車両情報を継続的に得ることができる。
図5(b)に示す減速により車速VSPが30km/h未満となる警報音発生条件成立瞬時t5に図2の制御プログラムは、ステップS11、ステップS31、ステップS12、ステップS13、ステップS14を含むループを選択していた状態から、ステップS11、ステップS15、ステップS32、ステップS16、ステップS26、ステップS28、ステップS13、ステップS14を含むループを選択するようになり、ステップS14を引き続き実行することにより、車外スピーカ1のOFFを継続して引き続き警報音を発生させない。
しかして未だ図1のエンジン運転制御システム4が図5(b)のエンジン運転指令によりエンジン2を運転させているため、エンジン音により車外周辺の人は車両情報を得ることができる。
なお警報音発生条件成立瞬時t5よりも前は、ステップS31において、図1に示す警報音コントローラ11からエンジン運転制御システム4へのエンジン運転状態変更指令が発生しないようこれを0にするため、エンジン2は前記した高速運転状態ではなく、通常通りに運転制御されている。
しかし警報音発生条件成立瞬時t5に至ったところで、上記ループの切り替えによりステップS32が実行され、図1に示すように警報音コントローラ11からエンジン運転制御システム4へエンジン運転状態変更指令が送信されるようになるため、エンジン2が通常運転状態から高速運転状態へと状態切り替えされる。
従ってエンジン2は、その回転数Neを図5(b)にハッチングを付して示すごとく通常(静粛)運転回転数よりも、図3につき前述した上乗せエンジン回転数ΔNeだけ高くされた高速で運転される。
なお、かかるエンジン回転数Neの上昇に当たっては、図5(b)の瞬時t5の直後におけるエンジン回転数Neの時系列変化βから明らかなように、エンジン回転数Neを所定の時間変化割合で徐々に上昇させることとし、これによりエンジン回転数Neおよびエンジン音の急変による違和感を防止するようになす。
かかるエンジン運転状態の高速運転状態への変更はエンジン音を増大させ、車外周辺の人が確実にこのエンジン音を聞き取り得て、車外スピーカ1からの警報音がなくても、エンジン音のみから確実に車両情報を得ることができる。
エンジン運転状態の高速運転状態への変更は更に図3(a)につき前述した通り、エンジン2を前記した静粛運転点よりも燃費の良い運転点で運転させることとなり、燃費の改善をも実現することができる。
そして、高車速ではエンジン音に対する許容度が大きいことから、上記の上乗せエンジン回転数ΔNeを図3(b),(c)につき前述したごとく、車速VSPが高いほど大きくして、高車速ほどエンジン音を大きくしたため、高車速走行時において違和感を与えることなく上記の作用効果を更に顕著なものにすることができる。
図5(b)の瞬時t6に、バッテリ蓄電率が回復するなどによりエンジン運転条件が成立しなくなると、図1のエンジン運転制御システム4は直ちにエンジン運転指令を、図5(b)の破線で示すごとくOFFにするエンジン停止要求を発する。
このとき図2の制御プログラムは、初回に、ステップS11、ステップS15、ステップS32、ステップS16、ステップS17、ステップS18、ステップS19、ステップS20、ステップS21、ステップS22を含むループを選択し、
2回目以後は、ステップS11、ステップS15、ステップS32、ステップS16、ステップS17、ステップS20、ステップS21、ステップS22を含むループを選択する。
よって、図5(b)のエンジン停止要求瞬時t6より、ステップS22の実行により車外スピーカ1をONにして警報音を発生させるようになる。
この間、初回にステップS18でエンジン停止許可フラグが0にリセットされ、このリセット状態がその後も続くことから、図1の警報音コントローラ11からエンジン運転制御システム4へエンジン停止許可信号が出力されない。
このためエンジン運転制御システム4は、図5(b)の瞬時t6にエンジン運転指令を破線で示すごとくOFFにするエンジン停止要求があってもこれを実行せず、エンジン運転指令を実線で示すごとくONに保って、エンジン2を引き続き運転させておく。
一方、図5(b)のエンジン停止要求瞬時t6に至る初回にステップS19で0にリセットされたエンジンオフタイマTENGOFFが、2回目以後ステップS21でインクリメントされることから、
このエンジンオフタイマTENGOFFは図5(b)に示すごとく、エンジン停止要求瞬時t6からの経過時間を計測する。
そしてエンジンオフタイマTENGOFFが所定値ΔTOFFになる瞬時t7に、つまりエンジン停止要求瞬時t6から所定時間ΔTOFFが経過した瞬時t7に、ステップS20が制御をステップS23へ進めるようになることから、
図2の制御プログラムは、ステップS11、ステップS15、ステップS32、ステップS16、ステップS17、ステップS20、ステップS23、ステップS24、ステップS22を含むループを選択する。
この瞬時t7に、ステップS23の実行によりエンジン停止許可フラグが1にセットされることから、図1の警報音コントローラ11からエンジン運転制御システム4へエンジン停止許可信号が出力されるようになる。
このためエンジン運転制御システム4は、図5(b)の瞬時t7にエンジン運転指令を実線で示すごとくOFFにしてエンジン停止要求を実行し、瞬時t6での停止要求に呼応したエンジン2の運転停止を瞬時t7に至ってはじめて行わせ、エンジン回転数Neを0にする。
なお、かようにエンジン2の運転が瞬時t7に停止されても、瞬時t6より車外スピーカ1のONにより警報音が発生しているため、この警報音から車外周辺の人は車両情報を得ることができる。
瞬時t7では更に、ステップS24の実行によりエンジンオフタイマTENGOFFを図5(b)に示すごとく上限値にする。
なおエンジンオンタイマTENGONは図5(b)の場合、ステップS13で上限値にされた後、変化することがないため、図示のごとく上限値のままである。
車速VSPが0km/hとなった図5(b)の瞬時t8に、図2の制御プログラムは、ステップS11、ステップS15、ステップS31、ステップS12、ステップS13、ステップS14を含むループを選択し、
ステップS31の実行によりエンジン運転状態変更指令を0にリセットし、
ステップS12の実行によりエンジンオフタイマTENGOFFを図5(b)に示すごとく0にリセットし、
ステップS14の実行により車外スピーカ1をOFFして警報音を発生させないようにする。
更に、図2による車外スピーカ1(警報音)のON,OFF制御によれば、図5(b)に示すごとく、エンジン停止要求時t6に直ちに車外スピーカ1のONにより警報音を発生させ、エンジン停止要求時t6から所定時間ΔTOFFが経過する瞬時t7までの間は、エンジン停止要求の実行を遅らせてエンジン2を引き続き運転させておくようにしたため、
車外スピーカ1のONにより警報音が発せられるようになっても、エンジン2が引き続き運転されて、所定時間ΔTOFFのうちはエンジン音および警報音の双方が発生していることとなる。
このため、エンジン音が発生しなくなった後に、車外スピーカ1がONして警報音を発生すような現象を生ずることがなく、エンジン音および警報音のいずれも生じていない無音期間が発生するのを確実に回避することができる。
従って、この無音期間の発生により車両情報を把握し難くなって車外周辺の人に、一旦車両が遠ざかったと勘違いさせるような違和感を与えるという前記の問題を確実に解消することができる。
また、先行するエンジン音による車両の動きと、後続する警報音による車両の動きとが一致し、車外周辺の人は違和感を持つことなく車両情報を継続的に得ることができる。
<所定時間ΔTON,ΔTOFFについて>
ここで、図5(a)につき前述した車外スピーカON→OFF遅延用の所定時間ΔTON、および図5(b)につき前述したエンジン停止遅延用の所定時間ΔTOFFを説明する。
図5(a)につき前述した作用効果を達成するためには、図5(a)の瞬時t2にエンジン2が始動されて、エンジン音を車外周辺の人が認知し得るまでの時間中、車外スピーカのON継続により警報音を発生し続ける必要があり、この時間をもって車外スピーカON→OFF遅延用の所定時間ΔTONと定める。
従って車外スピーカON→OFF遅延用の所定時間ΔTONは、例えば図6(a)に破線で示すごとく、車速VSPに関係のない一定値に設定することができる。
しかし、図5(a)の瞬時t2にエンジン2が始動されて、エンジン音を車外周辺の人が認知し得るまでの時間は、車両の対地速度である車速VSPが高車速であるほど長くなる傾向にあり、
好ましくは車外スピーカON→OFF遅延用の所定時間ΔTONを、例えば図6(a)に実線で示すごとく、車速VSPが高車速であるほど長い時間とするのがよい。
図5(b)につき前述した作用効果を達成するためには、図5(b)の瞬時t6に車外スピーカ1がONにされて、これからの警報音を車外周辺の人が認知し得るまでの時間中、エンジン停止要求を実行しないでエンジン2を引き続き運転させ続ける必要があり、この時間をもってエンジン停止遅延用の所定時間ΔTOFFと定める。
従ってエンジン停止遅延用の所定時間ΔTOFFは、例えば図6(b)に破線で示すごとく、車速VSPに関係のない一定値に設定することができる。
しかし、図5(b)の瞬時t6に車外スピーカ1がONにされて、これからの警報音を車外周辺の人が認知し得るまでの時間は、車両の対地速度である車速VSPが高車速であるほど長くなる傾向にあり、
好ましくはエンジン停止遅延用の所定時間ΔTOFFを、例えば図6(b)に実線で示すごとく、車速VSPが高車速であるほど長い時間とするのがよい。
<その他の実施例>
なお図示例では、図5から明らかなように警報音発生条件が成立している間、スピーカ1から警報音を発生させて車外周辺の人に車両情報を発信するが、エンジン2の運転中は、スピーカ1の非作動によりこれから警報音が発生しないようにしておき、この警報音に代えてエンジン音により車外周辺の人に車両情報を発信するようにした警報音発生装置に対し本発明を適用したが、
警報音発生条件が成立している間、エンジン2の運転中もスピーカ1を作動させてこれから警報音を発生させるようにした警報音発生装置に対しても本発明は適用可能であり、この場合も前記したと同様な作用効果を奏し得ること勿論である。
また、警報音発生条件が成立している間エンジン回転数NeをΔNeだけ高くしてエンジン音を大きくするとき、エンジン音に強弱を付けるようエンジン回転上昇量ΔNeを制御してもよい。
この場合、エンジン音の強弱により車外周辺の人が一層車両の存在を認知し易くなって安全上有利である。
更に図示例では、車両がシリーズ型ハイブリッド車両である場合につき説明したが、
車両が、電動モータ3のみにより走行する電気走行(EV)モードと、エンジン2および電動モータ3からの動力で走行するハイブリッド走行(HEV)モードとを使い分けるパラレル型ハイブリッド車両である場合も、本発明の前記した着想はそのまま適用可能であり、この適用によりパラレル型ハイブリッド車両でも同様な作用効果を奏し得るのは言うまでもない。
1 車外スピーカ
2 エンジン
3 電動モータ
4 エンジン運転制御システム
5 モータ走行制御システム
6 イグニッションスイッチ
11 警報音コントローラ
12 レンジセンサ
13 車速センサ
14 ブレーキスイッチ
15 警報音コントローラスイッチ

Claims (9)

  1. エンジンおよび電動モータからのエネルギーを用いて走行可能な車両に用いられ、
    所定の警報音発生条件が成立している間、警報音を発生可能にして車外周辺の人に車両情報を発信し得るようにした車両の警報音発生装置において、
    前記警報音発生条件が成立している間、該警報音発生条件が成立していない間に較べ、エンジン音が大きくなるよう前記エンジンの運転状態を変更させ、前記警報音発生条件が成立している時におけるエンジン音の大きさと、前記警報音発生条件が成立していない時におけるエンジン音の大きさとの差を、高車速ほど大きくするエンジン運転状態変更手段を設けたことを特徴とする車両の警報音発生装置。
  2. 請求項1に記載された車両の警報音発生装置において、
    該警報音発生装置は、前記警報音発生条件が成立している間、警報音を発生させて車外周辺の人に車両情報を発信し、前記エンジンの運転中は該警報音に代えてエンジン音により車外周辺の人に車両情報を発信するようにしたものであることを特徴とする車両の警報音発生装置。
  3. 請求項1または2に記載された車両の警報音発生装置において、
    前記エンジン運転状態変更手段は、前記エンジン運転状態の変更、および該変更状態からの復帰を所定の時間変化勾配で徐々に行わせるものであることを特徴とする車両の警報音発生装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載された車両の警報音発生装置において、
    前記エンジン運転状態変更手段は、前記警報音発生条件が成立している間、エンジン音に強弱を付けるものであることを特徴とする車両の警報音発生装置。
  5. 請求項2〜4のいずれか1項に記載された、車両の警報音発生装置において、
    前記エンジンの停止中か運転中かに応じた前記警報音の発生および消失間での切り替え時に、所定時間中、前記エンジン音および警報音の双方が聞こえるようにするオーバーラップ期間設定手段を設けたことを特徴とする車両の警報音発生装置。
  6. 請求項5に記載された車両の警報音発生装置において、
    前記オーバーラップ期間設定手段は、前記エンジン停止状態からエンジン運転状態への移行時に、該移行時から前記所定時間だけ、前記警報音の消失を遅延させるものであることを特徴とする車両の警報音発生装置。
  7. 請求項5または6に記載された車両の警報音発生装置において、
    前記オーバーラップ期間設定手段は、前記エンジン運転状態からエンジン停止状態への移行要求時に、直ちに前記警報音を発生させるが、該移行要求時から前記所定時間だけ、前記エンジン運転状態からエンジン停止状態への移行を遅延させるものであることを特徴とする車両の警報音発生装置。
  8. 請求項57のいずれか1項に記載された車両の警報音発生装置において、
    前記所定時間は、前記エンジン音および警報音のうち、後続する方の音を車外周辺の人が認知するのに必要な時間であることを特徴とする車両の警報音発生装置。
  9. 請求項58のいずれか1項に記載された車両の警報音発生装置において、
    前記所定時間は、車両の対地速度が速いほど長い時間であることを特徴とする車両の警報音発生装置。
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