JP5557584B2 - 半導体装置の製造方法及び半導体装置 - Google Patents
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この種の半導体装置では、炭化珪素基板の主面が、n型領域(n型SiC層)中に複数のp型領域(p型SiC層)を点在させることで形成されており、炭化珪素基板の主面には、これらn型領域及びp型領域の両方の表面に接触する金属製のショットキー電極が形成されている。
このショットキー電極を炭化珪素基板の主面に形成する際には、はじめに、第一金属からなる金属層を炭化珪素基板の主面に形成した後、この金属層をパターニングによりn型領域の表面から除去することで、炭化珪素基板の主面のうちp型領域の表面にのみ第一金属が形成される。そして、n型領域及び第一金属の両方を覆うように、第二金属からなる金属層を炭化珪素基板の主面上に形成することで、第一金属及び第二金属からなるショットキー電極が形成される。
しかしながら、上述した従来のショットキー電極の形成方法では、第二金属を形成する前の状態において、炭化珪素基板の主面をなすp型領域の表面には第一金属が既に形成されているため、第一金属を溶解してしまう酸系の洗浄液によりn型領域を洗浄することができない。なお、第一金属を溶解しないn型領域表面の洗浄手法としては、洗浄液として有機溶剤を用いることが考えられるが、有機溶剤ではn型領域表面の洗浄が不十分となる虞がある。
以上のことから、JBSやMPS等の半導体装置では、ショットキー特性が劣ってしまう、という問題がある。
なお、一体の電極用金属層とは、n型領域の表面及びp型領域の表面に接触する電極金属層が、別個に形成されるのではなく、一体に形成されていることを意味している。
そして、上記製造方法では、電極用金属層を炭化珪素基板の主面に形成する前の洗浄工程において、酸性の洗浄液によって炭化珪素基板の主面(特にn型領域の表面)を洗浄することが可能となるため、半導体装置においてSBDとして良好なショットキー特性を得ることができる。
なお、除去工程後の状態においてp型領域の表面に粗面化用金属の一部が付着・残存していても、除去工程後の洗浄工程において酸性の洗浄液により炭化珪素基板の主面を洗浄することで、粗面化用金属によるp型領域の表面の汚染を防ぐことができる。
また、加熱工程においてはp型領域に含まれる炭素が粗面化用金属との界面に析出しやすいが、Ti層が形成されていることで、この炭素はTi層と結合して導電性カーバイトとなる。このため、p型領域中の炭素が前記界面に析出することを防止することができる。すなわち、p型領域の表面がp型領域中の炭素によって汚染されることを防ぐことができる。
また、Al層が形成されていることで、加熱工程においてp型領域中に含まれるAlイオン(p型不純物)が粗面化用金属に拡散することを防止できるため、p型領域の不純物濃度の低下を防ぐことができる。
そして、半導体装置を製造する際には、電極用金属層を炭化珪素基板の主面に形成する前に、炭化珪素基板の主面を酸性の洗浄液によって洗浄できるため、半導体装置においては、SBDとして良好なショットキー特性を得ることができる。
図1,2に示すように、この実施形態に係る半導体装置1は、炭化珪素基板2と、炭化珪素基板2の一方の主面2aに形成されたショットキー電極(電極用金属層)3及び絶縁物4と、他方の主面2bに形成されたオーミック電極5とを備えて大略構成されている。
炭化珪素基板2は、高濃度の不純物を含んだn+型SiC層(n型領域)11上に、低濃度の不純物を含んだn−型SiC層(n型領域)12を積層して大略構成されている。ここでは、n+型SiC層11が炭化珪素基板2の他方の主面2bをなし、n−型SiC層12が炭化珪素基板2の一方の主面2aをなしている。
そして、炭化珪素基板2の一方の主面2aのうちp型領域15の表面15aは、n−型SiC層12の表面12aよりも荒れている。なお、p型領域15の表面15aの表面粗さRa(算術平均粗さ)は、例えば10〜30nmの範囲で設定されている。
オーミック電極5は、Mo、Ti等の金属材料からなり、炭化珪素基板2の他方の主面2bをなすn+型SiC層11に対してオーミック接触で接続されている。なお、オーミック電極5とn+型SiC層11とのオーミック接触は、炭化珪素基板2の他方の主面2bにおける不純物濃度を高めたり、炭化珪素基板2の他方の主面2bを荒らすことで図られている。
半導体装置1の製造に際しては、はじめに、エピタキシャル法等によりn+型SiC層11上にn−型SiC層12を形成して炭化珪素基板2を大略構成し、次いで、図3に示すように、炭化珪素基板2の一方の主面2aに複数のp型領域15を形成する(p型領域形成工程)。
このp型領域形成工程においては、はじめに、p型領域15形成用のマスクとして炭化珪素基板2の一方の主面2aにSiO2等からなるシリコン酸化膜21及び別個のレジスト膜22を順次積層し、次いで、シリコン酸化膜21及びレジスト膜22に所定パターンの開口23を形成することで、炭化珪素基板2の一方の主面2aのうちp型領域15の形成予定領域を露出させる。そして、炭化珪素基板2の一方の主面2aの露出部分にAl等のp型不純物をイオン注入することで、炭化珪素基板2の一方の主面2aに複数のp型領域15が形成される。
この工程においては、はじめに図4(a)、(b)に示すように、炭化珪素基板2の一方の主面2aのうちp型領域15の表面15aのみに粗面化用金属30を堆積する(堆積工程)。堆積工程では、図4(a)に示すように、蒸着や化学気相成長法(CVD)、塗布・コーティング法、電解メッキ法等により、炭化珪素基板2の一方の主面2a上に粗面化用金属30を形成する。この際、p型領域15を除く炭化珪素基板2の一方の主面2aは、前述したシリコン酸化膜21及びレジスト膜22によって覆われているため、この粗面化用金属30は、炭化珪素基板2の一方の主面2aをなすp型領域15の表面15a及びレジスト膜22上に形成され、n−型SiC層12の表面12aには堆積されない。最後に、図4(b)に示すように、レジスト膜22上の粗面化用金属30をレジスト膜22と共に除去することで、堆積工程が終了する。
なお、ここで形成される粗面化用金属30は、図5に示すように、炭化珪素基板2の一方の主面2a側からNi層31,Ti層32及びAl層33を順番に積層して構成されている。
なお、上述した粗面化工程の前あるいは後には、炭化珪素基板2の一方の主面2aに複数のp型領域15を囲むリング状のp型リサーフ領域14(図1参照)を形成する工程も実施する。
この洗浄工程では、前述した除去工程後の状態においてp型領域15の表面15aやn−型SiC層12の表面12aに、粗面化用金属30やシリコン酸化膜21の一部が付着・残存していても、これらを酸性の洗浄液により確実に除去することができる。したがって、粗面化用金属30やシリコン酸化膜21によるp型領域15の表面15aやn−型SiC層12の表面12aの汚染を確実に防止することができる。
この接続工程では、ショットキー電極3を粗面化工程において荒らされていないn−型SiC層12の表面12aに形成することで、n−型SiC層12とショットキー電極3とをショットキー接触で接続することができる。一方、p型領域15の表面15aは粗面化工程において荒らされていることでその表面面積が実質的に増加しているため、p型領域15とショットキー電極3とをオーミック接触で接続することができる。
そして、炭化珪素基板2の他方の主面2bをなすn+型SiC層11の表面11bは、炭化珪素基板2の他方の主面2bとオーミック電極5とがオーミック接触できるように、例えばn+型SiC層11上にn−型SiC層12を形成する前から炭化珪素基板2の他方の主面2bにオーミック電極5を形成する前までの間に、前述と同様の粗面化工程を実施することで荒らされてもよいし、例えばn+型SiC層11の不純物濃度を予め高く設定しておいてもよい。また、例えば炭化珪素基板2の他方の主面2bにオーミック電極5を形成した後に、前述と同様の加熱工程を実施して、オーミック電極5とn+型SiC層11の表面との界面にシリサイド層を形成してもよい。
また、半導体装置1の製造に際して、ショットキー電極3の形成前にp型領域15の表面15aのみを予め荒らしておくことで、ショットキー電極3の形成前の洗浄工程において、炭化珪素基板2の一方の主面2a(特にn−型SiC層12の表面12a)を酸性の洗浄液により洗浄できるため、製造後の半導体装置1においては、SBDとして良好なショットキー特性を得ることができる。
また、上記製造方法では、粗面化用金属30をNi層31,Ti層32及びAl層33の積層体とすることで、以下の三つの効果を奏する。
第一に、p型領域15にNi層31が直接接触することで、加熱工程において良好なシリサイド層40を効率よく形成することができるため、p型領域15の表面15aの面積の実質的な増加をより高めることができる。したがって、p型領域15とショットキー電極3とのオーミック接触がさらに良好となる。
第三に、Al層33が形成されていることで、加熱工程においてp型領域15中に含まれるAlイオンが粗面化用金属30に拡散することを防止できるため、p型領域15の不純物濃度の低下を防ぐことができる。
例えば、粗面化用金属30は、Ni層31,Ti層32及びAl層33の積層体に限らず、少なくとも加熱工程においてp型領域15と粗面化用金属30との界面にシリサイド層40を形成するものであればよい。したがって、粗面化用金属30は、例えばNi,Ti,Co(コバルト),Cu(銅),Al等の各種金属材料単体で構成されてもよいし、これら金属材料を適宜選択して2種類以上組み合わせた積層体あるいは合金によって構成されてもよい。
この場合、加熱工程における炭化珪素基板2及び粗面化用金属30の周囲雰囲気や、加熱温度、加熱時間等の各種条件は、上記実施形態のものに限らず、p型領域15と粗面化用金属30との界面にシリサイド層40が形成されるように適宜設定されればよい。また、除去工程において粗面化用金属30を除去するための洗浄液としては、上記実施形態に例示した各種混合液の他に、例えばHF(フッ酸)とH2O(水)とからなる混合液(DHF;希フッ酸)などの混合液を適宜用いてもよい。
さらに、表面粗化工程は、上記実施形態のように粗面化用金属30を利用したものに限らず、少なくとも炭化珪素基板2の一方の主面2aのうちp型領域15の表面15aのみを荒らすことができれば、例えばドライエッチング法やサンドブラスト法によって実施されても構わない。この場合でも、上記実施形態と同様のシリコン酸化膜21やレジスト膜22等をマスクに使用することで、炭化珪素基板2の一方の主面2aのうちp型領域15の表面15aのみを荒らすことができる。
また、炭化珪素基板2は、上記実施形態の構成に限らず、少なくとも一方の主面2a側がn型SiC層等によってn型領域とされると共に一方の主面2aに一つ以上のp型領域15を形成して構成されていればよい。
2 炭化珪素基板
2a 一方の主面
3 ショットキー電極(電極用金属層)
11 n+型SiC層(n型領域)
12 n−型SiC層(n型領域)
12a 表面
15 p型領域
15a 表面
30 粗面化用金属
31 Ni層
32 Ti層
33 Al層
40 シリサイド層
Claims (3)
- 少なくとも主面側がn型領域とされると共に、当該主面にp型領域を形成してなる炭化珪素基板を用いた半導体装置の製造方法であって、
前記炭化珪素基板の主面のうち前記p型領域の表面のみを荒らす粗面化工程と、
前記炭化珪素基板の主面を洗浄液により洗浄する洗浄工程と、
一種類の金属材料からなる一体の電極用金属層を、前記n型領域の表面及び前記p型領域の表面の両方に接触させるように、前記主面に形成する接続工程とを備え、
前記粗面化工程が、
前記主面のうち前記p型領域の表面のみに粗面化用金属を堆積する堆積工程と、
前記p型領域と前記粗面化用金属との界面にシリサイド層が形成されるように前記炭化珪素基板及び粗面化用金属を加熱する加熱工程と、
前記粗面化用金属を前記主面から除去する除去工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記粗面化用金属が、前記主面側からNi層,Ti層及びAl層を順番に積層して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
- 請求項1又は請求項2に記載の製造方法によって製造される半導体装置であって、
前記n型領域の表面及び前記p型領域の表面の両方に接触するように前記炭化珪素基板の主面に前記電極用金属層を形成して構成され、
前記p型領域の表面が前記n型領域の表面よりも荒れていることを特徴とする半導体装置。
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