JP5557514B2 - 液圧転写印刷用ベースフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、液面、とりわけ水面に浮かべて使用し、フィルム面に印刷された意匠を被転写体に対して円滑に転写することのできる液圧転写印刷用ベースフィルムに関するものである。
従来から、複雑な表面形状を有する立体成形物の表面に意匠を印刷する方法として、ベースフィルムの表面に、意匠が形成された印刷層を有する転写フィルムを用いて、上記転写フィルムを印刷層面が上面になるようにして液面(水面)に浮かべた後、印刷層を転写するための所定の成形体(被転写体)を上方から押し入れ、液圧により、成形体表面に転写フィルムの印刷層を転写する方法が知られている。かかる液圧転写印刷用ベースフィルムとしては、ポリビニルアルコール系樹脂を形成材料とするポリビニルアルコール系フィルムが用いられており、フィルム強度の観点から通常20℃における4重量%水溶液粘度で25〜50mPa・sのポリビニルアルコール系樹脂フィルムが用いられている。
また、このような液圧転写方法において、その目的に応じて種々のベースフィルムが検討されている。例えば、特許文献1では、平均重合度300〜3000、平均ケン化度50〜97モル%のポリビニルアルコール系樹脂からなるポリビニルアルコール系フィルムが提案され、更には、平均重合度、平均ケン化度の異なる2種をブレンドすることも提案されている。また、特許文献2では、平均重合度3200以上、平均ケン化度65〜95モル%の超高重合度ポリビニルアルコール系樹脂と、平均重合度3200未満、平均ケン化度65〜95モル%のポリビニルアルコール系樹脂とを混合してなるポリビニルアルコール系フィルムが提案されている。更に、特許文献3では、平均ケン化度70〜98モル%のポリビニルアルコール系樹脂と平均ケン化度70モル%以上のカルボキシル基及び/又はスルホン酸基変性ポリビニルアルコール系樹脂及びホウ素化合物を含有して形成されるポリビニルアルコール系フィルムも提案されている。
特開昭55−25330号公報 特開平7−117327号公報 特開2003−11590号公報
しかしながら、上記特許文献に開示のポリビニルアルコール系フィルムを用いた水圧転写方法では、良好な意匠は得られるものの、転写後におけるポリビニルアルコール系フィルムの溶解又は分散性が不充分なものであった。転写後のポリビニルアルコール系フィルムの溶解又は分散性が不充分であると、意匠面にポリビニルアルコール系フィルムが部分的に残り、転写後に表面保護の目的でトップコートされた保護層が部分的に脱落することがある等の問題があり、更なるフィルムの溶解又は分散性が求められている。
更に、ベースフィルム面に有機溶剤に溶解可能な疎水性の転写層を形成し、さらに、ベースフィルムを下にして水面に浮かべ、活性剤を上記転写層に塗布して上記転写層を活性化した後、上記転写層に被転写体を押し当て、転写層を被転写体表面に転写した後、ベースフィルムを除去し、次いで、上記転写層を転写した被転写体に対して、活性エネルギー線照射および加熱の少なくとも一方を施すことにより転写層を硬化させ、被転写体に転写した意匠を固着する転写方法を採用する場合には、硬化層側からの水分の進入がないため転写フィルムの膨潤挙動の点でベースフィルムの溶解性が特に問題となり、さらなる溶解又は分散性に優れたベースフィルムが求められている。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、転写印刷適性に優れるうえに、ポリビニルアルコール系フィルムの溶解又は分散性に優れ、生産性を向上させることができる液圧転写印刷用ベースフィルムの提供を目的とする。
しかるに、本発明者は上記目的を達成するため鋭意検討を重ね、ベースフィルムの樹脂組成に着目し、これを中心に研究を行った結果、ポリビニルアルコール系フィルムを構成する樹脂組成として、中程度の分子量のものと低分子量のものの、分子量の大きさの異なるポリビニルアルコール樹脂を少なくとも2種含有させることにより、転写印刷特性に優れるうえに、転写後のポリビニルアルコール系フィルムの溶解又は分散性に優れることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、ポリビニルアルコール系フィルムを含む液圧転写印刷用ベースフィルムであって、前記ポリビニルアルコール系フィルムが、20℃における4重量%水溶液粘度で15〜50mPa・sのポリビニルアルコール樹脂(A1)と20℃における4重量%水溶液粘度で1〜10mPa・sのポリビニルアルコール樹脂(A2)を含有するポリビニルアルコール樹脂を含む転写印刷用ベースフィルムに関するものである。
本発明の液圧転写印刷用ベースフィルムは、転写印刷特性に優れるうえに、転写後のポリビニルアルコール系フィルムの溶解又は分散性に優れた効果を有するものであり、更に、活性エネルギー線照射および加熱の少なくとも一方を施すことにより転写層を硬化させ、被転写体に転写した意匠を固着する転写方法を採用する場合においては、顕著に優れた効果を発揮するものとなり、自動車の内外装品をはじめとして、携帯電話機の外装、各種電化製品、建材、家庭・生活用品等への液圧転写印刷用途に、幅広く適用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の液圧転写印刷用ベースフィルム(以下、単にベースフィルムと略記することがある。)は、ポリビニルアルコール系フィルムを含むものである。
本発明において、「ポリビニルアルコール系フィルムを含む」とは、ポリビニルアルコール系フィルムの他に別の層(フィルムや塗膜、等)が積層されている場合も含む意味であるが、通常はポリビニルアルコール系フィルムのみがベースフィルムとして使用されることが多い。
ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する。)系樹脂を用いてフィルム状に形成されてなるものであり、本発明においては、PVA系樹脂として、20℃における4重量%水溶液粘度で15〜50mPa・sのPVA樹脂(A1)と20℃における4重量%水溶液粘度で1〜10mPa・sのPVA樹脂(A2)を含有するものである。
本発明で用いられるPVA樹脂(A1)としては、20℃における4重量%水溶液粘度で15〜50mPa・sであることが必要であり、好ましくは15〜45mPa・s、特に好ましくは16〜40mPa・sである。PVA樹脂(A1)の4重量%水溶液粘度が小さすぎるとフィルムの強度が不足して使用中に破断の原因となり、大きすぎると溶解性が不十分となる。
なお、上記20℃における4重量%水溶液粘度は、JIS K 6726に準じて測定される。
また、PVA樹脂(A1)は、平均ケン化度としては、70〜98モル%の範囲であることが好ましく、特には75〜95モル%の範囲、更には80〜90モル%の範囲であることが好ましい。平均ケン化度が低すぎても高すぎても溶解性が低下する傾向がみられる。
なお、上記PVA樹脂の平均ケン化度は、JIS K 6726に準じて測定される。 上記PVA樹脂(A1)は、通常市販品から適宜選択して入手することができる。
本発明で用いられるPVA樹脂(A2)は、20℃における4重量%水溶液粘度で1〜10mPa・sであることが必要であり、好ましくは2〜9mPa・s、特に好ましくは3〜8mPa・sである。PVA樹脂(A2)の4重量%水溶液粘度が小さすぎると安定した樹脂の製造が困難となり、大きすぎると溶解性改善の効果がなくなる。
また、PVA樹脂(A2)は、平均ケン化度としては、70〜98モル%の範囲であることが好ましく、特には75〜95モル%の範囲、更には80〜90モル%の範囲であることが好ましい。平均ケン化度が低すぎても高すぎてもフィルムに内部ヘイズが発生して外観不良となる傾向がみられる。 上記PVA樹脂(A2)は、通常市販品から適宜選択して入手することができる。
本発明において、PVA樹脂(A1)の4重量%水溶液粘度とPVA樹脂(A2)の4重量%水溶液粘度の比較においては、PVA樹脂(A2)の4重量%水溶液粘度が、PVA樹脂(A1)の4重量%水溶液粘度に対して5〜50%小さいことが溶解性とフィルム強度の点で好ましく、特に好ましくは10〜50%小さいことであり、更に好ましくは15〜47%小さいことであり、殊に好ましくは15〜30%小さいことである。PVA樹脂(A1)の4重量%水溶液粘度に対してPVA樹脂(A2)の4重量%水溶液粘度が小さすぎると樹脂の入手が困難となる傾向があり、所定範囲より大きすぎると溶解性に改善効果が小さくなる傾向がある。
また、PVA樹脂(A1)の平均ケン化度とPVA樹脂(A2)の平均ケン化度の比較においては、その差が3モル%以下であることがフィルム外観が良好である点で好ましく、特に好ましくは2モル%以下、更に好ましくは1.5モル%以下であり、殊には実質的にほとんど差のないことが好ましい。かかる平均ケン化度の差が大きすぎると内部ヘイズが大きくなる傾向がある。
更に、PVA樹脂(A1)とPVA樹脂(A2)の含有割合については、PVA樹脂(A1)100重量部に対して、PVA樹脂(A2)が10〜50重量部であることがフィルム強度と溶解性の点で好ましく、特に好ましくは10〜40重量部、更に好ましくは15〜35重量部である。PVA樹脂(A2)の含有量が少なすぎると溶解性の改善効果がなくなる傾向があり、多すぎるとフィルム強度が不足する傾向がある。
また、本発明においては、上記PVA樹脂(A1)とPVA樹脂(A2)とを併用するわけであるが、PVA樹脂(A1)及びPVA樹脂(A2)以外のPVA樹脂を更に併用することもできる。
かくして本発明では、PVA系樹脂として、PVA樹脂(A1)及びPVA樹脂(A2)を用いて、PVA系フィルムを形成するわけであるが、フィルム形成するにあたっては、通常、可塑剤が配合される。
かかる可塑剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等のグリセリン類、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピリングリコール等のアルキレングリコール類やトリメチロールプロパン等があげられる。これらは単独であるいは2種以上併せて用いられる。
上記可塑剤の含有量は、目的とするPVA系フィルムの物性に応じて適宜設定されるが、例えば、PVA系樹脂の合計100重量部に対して、通常5重量部以下であり、好ましくは0.05〜4重量部である。上記可塑剤の含有量が少な過ぎると、可塑効果が低く、得られるPVA系フィルムの破断の原因となる傾向がみられ、含有量が多過ぎると、フィルム面に意匠を印刷する際の寸法安定性が悪く、高精細な多色印刷が困難となる傾向がみられる。
また、上記PVA系樹脂および可塑剤以外に、必要に応じて各種添加剤を配合することができる。
例えば、PVA系フィルムの製膜装置であるドラムやベルト等の金属表面と製膜したフィルムとの剥離性の向上を目的として、界面活性剤を配合することができる。上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルノニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、剥離性の点でポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを用いることが好適である。
上記界面活性剤の含有量については、PVA系樹脂と可塑剤の合計100重量部に対して、通常、0.01〜5重量部であることが好ましく、より好ましくは0.03〜4.5重量部である。上記界面活性剤の含有量が少なすぎると、製膜装置のドラムやベルト等の金属表面と製膜したフィルムとの剥離性が低下して製造困難となる傾向がみられ、逆に多すぎるとフィルム表面にブリードして意匠印刷層が脱落する原因となる傾向がみられる。
また、PVA系樹脂に架橋剤を配合することもでき、架橋剤としては、PVA系樹脂と架橋反応を起こすものであればよく、例えば、K3657(クエン酸三カリウム)や、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛,メタホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)などの他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物などのホウ素化合物等が挙げられる。これらの架橋剤は1種または2種以上併用して用いられ、上記の架橋剤の中でも、ホウ砂や、ホウ酸が好適に用いられる。
架橋剤の量は、PVA系樹脂の合計100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、0.05〜5重量部であることがより好ましい。
更に、本発明の効果を妨げない範囲で、抗酸化剤(フェノール系、アミン系等)、安定剤(リン酸エステル類等)、着色料、香料、増量剤、消泡剤、防錆剤、紫外線吸収剤、無機粉末、有機粉末(澱粉、ポリメチルメタクリレート等)、さらには他の水溶性高分子化合物(ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キトサン、キチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)等を添加しても差し支えない。
本発明のベースフィルムを構成するPVA系フィルムは、例えば、つぎのようにして製造される。まず、上記PVA系樹脂、可塑剤、界面活性剤、水等の各原料を所定の配合量にて配合しフィルム形成材料を調製する。つぎに、Tダイからフィルム形成材料を製膜ベルト上または製膜ドラム上に流延させ、乾燥を行い、好ましくは更に熱処理を行うことによりフィルム状化させ製造される。上記熱処理の温度条件としては、70〜100℃に設定することが好ましい。
上記熱処理の方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、熱ロール(カレンダーロールを含む)、熱風、遠赤外線、誘電加熱等の方法があげられる。また、熱処理される面は、製膜ベルトまたは製膜ドラムに接する面と反対側となる面が好ましいが、ニップしても問題はない。また、熱処理を施すフィルムの水分含有量は、通常、4〜8重量%程度であることが好ましい。さらに、熱処理された後のフィルムの水分含有量は、通常、3〜7重量%であることが好ましい。
より詳しく述べると、上記製膜ベルト、または製膜ドラムのうち製膜第一ドラムから剥離した後巻き取るまでに、表面温度70〜100℃の熱処理ロールを1本以上通すことが好ましい。ここで、上記製膜ベルトとは、一対のロール間に架け渡されて走行する無端ベルトを有し、Tダイから流れ出たフィルム形成材料を無端ベルト上に流延させるとともに乾燥させるものである。上記無端ベルトは、例えば、ステンレススチールからなり、その外周表面は鏡面仕上げが施されているものが好ましい。
また、上記製膜第一ドラムとは、Tダイから流れ出たフィルム形成材料を1個以上の回転するドラム型ロール上に流延し乾燥させる製膜機における最上流側に位置するドラム型ロールである。そして、製膜ベルトあるいは製膜第一ドラムから剥離した後巻き取るまでとは、Tダイ等から吐出されたフィルム形成材料が製膜ベルト上あるいは製膜第一ドラム上において乾燥されフィルム状になり、製膜ベルトあるいは製膜第一ドラムから剥離され、好ましくは熱処理機を経て、巻き取り機により巻き取られるまでの過程を示す。上記熱処理機による熱処理は、70〜100℃で行うことが好ましく、より好ましくは75〜98℃である。すなわち、上記熱処理温度が低すぎると、得られるベースフィルムの膨潤倍率が極端に高くなる傾向がみられ、意匠が転写までに伸びてしまい意匠性が低下する傾向がある。逆に、熱処理温度が高すぎると、付き廻りが要求される成型品に対し柄が割れる傾向がある。さらに、上記熱処理に要する時間は、熱処理ロールの表面温度にもよるが、通常0.5〜60秒間、特には0.5〜30秒間、更には0.5〜15秒間であることが好ましい。かかる時間が短すぎると熱処理が不充分となる傾向があり、長すぎると過度に熱処理されたり、また生産性が低下する傾向がある。上記熱処理は、通常、フィルム乾燥のための乾燥ロール処理に引き続き、別体の熱処理ロールにて通常行われる。
このようにして、本発明の液圧転写印刷用ベースフィルムを構成するPVA系フィルムを得ることができる。
さらに、本発明においては、PVA系フィルムの水分率が、2〜6重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜5重量%である。水分率が小さすぎると、転写時にフィルムがカールする傾向があり、水分率が大きすぎると、カールは小さくなるが印刷などの実使用上で印刷の見当ずれなどの不具合を生じる傾向がある。
なお、PVA系フィルムの水分率は、例えば、カールフィッシャー水分計(京都電子工業社製、「MKS−210」)を用いて測定することができる。
上記PVA系フィルムの水分率の調整方法としては、例えば、下記に示す方法があげられる。すなわち、下記に示す水分率の調整方法に従い、上記範囲内のPVA系フィルムの水分率に設定することが可能となる。
(1)PVAを溶解したドープを乾燥して製膜する際の乾燥機温度を上下させてPVA系フィルムの加湿・除湿を行う方法により水分率の調整を行う。上記ドープの温度は、その温度により乾燥効率に対して影響を及ぼすため、70〜98℃の範囲内にて調整する。また、乾燥に際しては、好ましくは150〜50℃の間で、より好ましくは145〜60℃の間で温度勾配を有する少なくとも2つ以上の熱風乾燥機中にて、1〜15分間、より好ましくは1〜12分間乾燥を行うことが水分調整という観点から好ましい。
上記乾燥温度の勾配範囲が大きすぎたり、乾燥時間が長すぎたりすると、乾燥過多となる傾向があり、逆に乾燥温度の勾配範囲が小さすぎたり、乾燥時間が短すぎたりすると、乾燥不足となる傾向がある。
上記温度勾配は、150〜50℃の間で段階的に乾燥温度を変えていくものであり、通常は、乾燥開始時から温度を徐々に上げていき、所定の含水率になるまで一旦設定した乾燥温度範囲の、最高の乾燥温度に至らせ、つぎに徐々に乾燥温度を低くすることにより最終的に目的とする含水率とすることが効果的である。これは結晶性や剥離性、生産性等を制御するために行われるものであり、例えば、120℃−130℃−115℃−100℃、130℃−120℃−110℃、115℃−120℃−110℃−90℃等の温度勾配設定があげられ、適宜選択され実施される。
(2)PVA系フィルムの巻き取り前に調湿槽に通過させることによりPVA系フィルムの加湿・除湿を行い、水分率の調整を行う。
(3)PVA系フィルムの巻き取り前に、熱処理を行うことによりPVA系フィルムの除湿を行い、水分率の調整を行う。
また、上記PVA系フィルムの全光線透過率としては、通常、80%以上、好ましくは85〜99%、特に好ましくは85〜95%の範囲であることが好ましい。すなわち、全光線透過率が低過ぎると、印刷時の色合わせが困難となる傾向があるからである。
なお、PVA系フィルムの全光線透過率は、例えば、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH 2000)を用いて測定することができる。
そして、上記PVA系フィルムのレターデーション値としては、40nm以下であることが好ましく、さらには35nm以下が好ましい。このレターデーション値は、PVA系フィルムの複屈折率と膜厚の積(複屈折率×膜厚)にて示されるものであり、上記複屈折率は、フィルムの製造工程等で付与されたフィルムの分子配向の度合いによって決定される。上記レターデーション値が高過ぎると、ベースフィルム表面に皺が形成され、印刷層の形成が阻害されたり、ベースフィルムを水面に浮かべた際に不均一な状態で伸展して印刷パターンが変形するという傾向がみられる。このように、レターデーション値を40nm以下とする方法としては、例えば、ドラム上あるいはベルト上にてPVA系フィルムを充分乾燥させて、その後の工程において張力をかけないようにして巻き取ることにより調整する方法があげられる。なお、レターデーション値の下限としては、通常3nmである。
また、上記PVA系フィルムの破断伸度としては、23℃、50%RH調湿条件下において、150%以上であることが好ましく、さらには180%以上が好ましい。すなわち、破断伸度が低過ぎると、印刷時に断紙が発生したり、転写時の付き廻り性が低下する傾向がみられるからである。なお、破断伸度の上限としては、通常300%である。
なお、PVA系フィルムの破断伸度は、JIS K 7127(1999年)に準拠して測定される。
このようにして製膜し得られるPVA系フィルムは、厚み20〜50μmの範囲内に設定することが好ましく、より好ましくは23〜47μmであり、特に好ましくは25〜45μmである。フィルム厚みが薄すぎると印刷フィルムの膨潤が速く転写に不向きとなる傾向があり、厚すぎると転写物にフィルムが残留したり、転写浴における水中のPVA系樹脂の濃度の上昇が速く排水負荷が大きくなる傾向がある。
そして、製膜して得られたPVA系フィルム(原反フィルム)は、例えば、先に述べた水分率に変化が生じないように従来公知の防湿包装の処理を行い、10〜25℃の雰囲気下、宙づり状態にて保存することが好ましい。
次に、本発明のベースフィルムを用いた液圧転写印刷方法について説明する。
本発明のベースフィルムを用いた液圧転写方法としては、従来からの各種液圧転写方法に供することができ、例えば、(1)連続方式による液圧転写方法、(2)バッチ方式による液圧転写方法等があげられる。
まず、上記(1)連続方式による液圧転写方法について述べる。
すなわち、上記のようにして得られたベースフィルム面に所定の意匠を印刷する。その後、上記意匠印刷面に活性剤を塗工する。そして、吸水後にベースフィルムが伸展し、意匠がぼけないように上記ベースフィルムの流れ方向に対し幅方向に、例えば、1.3倍以下の規制を設けて、活性剤が塗布された意匠印刷面を上方にしてベースフィルムを液面に浮かべるとともに移動させる。移動する上記ベースフィルム上方から被転写体を押し当て、ベースフィルム面に印刷された意匠を被転写体表面に転写し固着することにより液圧転写印刷が行われる。そして、固着した後は、ベースフィルムを除去し意匠を転写した被転写体を充分に乾燥させることにより目的とする製品を得るのである。
一方、上記(2)バッチ方式による液圧転写方法について述べる。
すなわち、上記のようにして得られたベースフィルム面に所定の意匠を印刷する。その後、上記意匠印刷面に活性剤を塗工する。そして、上記連続方式と同様、吸水後にベースフィルムが伸展し、意匠がぼけないように上記ベースフィルムに対して縦横それぞれの方向に、例えば、1.3倍以下の縦横規制を設けて、活性剤が塗布された意匠印刷面を上方にしてベースフィルムを液面に浮かべる。そして、静止状態にて上記ベースフィルム上方から被転写体を押し当て、ベースフィルム面に印刷された意匠を被転写体に転写し充分に固着することにより液圧転写印刷が行われる。固着した後は、ベースフィルムを除去し意匠を転写した被転写体を充分に乾燥させることにより目的とする製品を得るのである。
上記意匠印刷面に塗工する活性剤としては、特に限定するものではなく、ベースフィルム面に印刷された意匠を再活性化しうる溶剤に樹脂を添加したもの等が用いられ、さらに顔料、可塑剤、硬化剤等を適宜に添加することができる。例えば、ブチルメタクリレートに、顔料、可塑剤、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテートを混合したものが用いられる。また、上記活性剤の塗工方法としては、グラビアロールやスプレーを用いた塗布方法があげられる。
なお、上記意匠印刷面に活性剤を塗布する工程は、ベースフィルムを液面に浮かべる前であっても、液面に浮かべた後であってもいずれでもよく、意匠が印刷されたベースフィルム上方から被転写体を押し当てる前であれば特に制限されることはない。
また、上記連続方式およびバッチ方式による液圧転写方法以外に、つぎのような液圧転写方法(3)があげられる。
すなわち、上記のようにして得られたベースフィルム面に、乾燥状態となる所定の意匠を印刷した後、光重合性モノマーを含む無溶剤タイプの紫外線または電子線等の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布して、上記乾燥状態の意匠を湿潤させる。その後、湿潤した意匠印刷面を上方にしてベースフィルムを水面に浮かべ、上記ベースフィルム上方から被転写体を押し当て、ベースフィルム面に印刷された意匠を被転写体表面に転写する。ついで、意匠を転写した被転写体に、紫外線または電子線等の活性エネルギー線を照射して硬化性樹脂組成物を硬化することにより、被転写体に転写した意匠を固着するという液圧転写方法があげられる。
さらに、他の液圧転写方法として、つぎのような液圧転写方法(4)があげられる。
すなわち、上記のようにして得られたベースフィルム面に有機溶剤に溶解可能な疎水性の転写層(意匠)を形成し、好ましくはさらに、この転写層上に剥離可能な剥離フィルムを積層してなる転写用フィルムを準備する。ついで、上記剥離フィルムを剥離した後、ベースフィルムを下にして水面に浮かべ、活性剤を上記転写層に塗布して上記転写層を活性化する。つぎに、上記転写層に被転写体を押し当て、転写層を被転写体表面に転写した後、ベースフィルムを除去する。そして、上記転写層(意匠)を転写した被転写体に対して、紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射および加熱の少なくとも一方を施すことにより転写層(意匠)を硬化させ、被転写体に転写した意匠を固着するという液圧転写方法があげられる。
ここで、上記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、カルビトール、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、ソルフィットアセテートなど及びそれらの混合物が挙げられる。
ここで、転写層は、硬化性樹脂層を有するものであることが好ましく、より好ましくは、ベースフィルム上に設けられた硬化性樹脂層とかかる硬化性樹脂層上に設けられた印刷インキ皮膜又は塗料皮膜を有する装飾層を含むものである。
また、硬化性樹脂層は、好ましくは、1分子中に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン(メタ)アクリレート、1分子中に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル(メタ)アクリレート、及び1分子中に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ(メタ)アクリレートから選ばれる活性エネルギー線硬化性樹脂から構成されるものである。
本発明の液圧転写印刷用ベースフィルムは、上記液圧転写印刷方法の中でも、特に液圧転写方法(4)に対して用いるときにおいても、液圧転写印刷に耐えるだけのフィルム強度を有する上に、疎水性である硬化性樹脂層が形成されているのにかかわらず、ベースフィルムの溶解又は分散性に優れた効果を発揮することができるものである。
なお、上記活性エネルギー線の照射に際しては、例えば、紫外線の場合、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等のような光源ランプと照射器(ランプハウス)とを備えた従来公知の紫外線照射装置を用いて行なわれる。
また、活性エネルギー線の照射により硬化を図る場合には、光重合開始剤を配合することが好ましく、かかる光重合開始剤は、紫外線等の光線を吸収して重合反応を開始させる作用を有するものであって、例えば、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトンなどのアセトフェノン化合物、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン化合物、ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、チオキサントン系化合物、アミノベンゾフェノン化合物、ポリエーテル系マレイミドカルボン酸エステル化合物等が用いられる。これらは併用して使用することもできる。
上記硬化性樹脂組成物には、光重合開始剤以外にも、必要に応じて、光重合性モノマー、増感剤、充填剤、不活性有機ポリマー、レべリング剤、チキソトロピー付与剤、熱重合禁止剤等の添加剤を適宜配合することができる。
本発明では、上記のような工程を経由する液圧転写印刷方法により、ベースフィルム面に印刷された意匠を、被転写体に転写することができる。なお、上記ベースフィルム面に印刷される意匠としては、特に限定するものではなく、木目調、各種柄、画像等、印刷可能なものであればいかなるものであってもよい。
本発明の液圧転写印刷方法における被転写体の材質としては、特に限定されるものではなく、例えば、プラスチック成形体、金属成形体、木質成形体、ガラス等の無機質成形体等を用いることができる。さらに、その形状に関しても特に限定するものではなく、平面であっても各種立体形状を有していてもよい。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、例中「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
〔実施例1〕
〈ベースフィルムの調製〉
4%水溶液粘度(20℃)18mPa・s、平均ケン化度88モル%のPVA(A1)85部に、4%水溶液の平均粘度(20℃)5mPa・s、平均ケン化度88モル%のPVA(A2)15部、グリセリン2部、澱粉6部、界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)1.2部を水に溶解して18%(固形分濃度)の水分散液(ドープ)を調製した。かかるドープをTダイより、表面温度が80℃に調整された回転するステンレス製エンドレスベルトに吐出して、10m/minの速度で流延製膜し、引き続き80℃に調整された熱ロールにて熱処理を行い、厚み30μmのPVAフィルムを得、これを水圧転写用のベースフィルムとした。
〈硬化性樹脂組成物の調製〉
ペンタエリスリトール2モル当量とヘキサメチレンジイソシアネート7モル当量とヒドロキシエチルメタクリレート6モル当量を60℃で反応して得られる平均6官能ウレタンアクリレート(UA1)60部(質量平均分子量890)と、ロームアンドハース社製アクリル樹脂「パラロイドA−11」(Tg100℃、質量平均分子量125,000)40部と、酢酸エチルとメチルエチルケトンの混合溶剤(混合重量比1/1)を用いて、固形分42%の硬化性樹脂組成物を調製した。
〈装飾フィルム(I)の調製〉
剥離性フィルムとして、東洋紡社製の厚さ50μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、PPフィルムと略す。)を用い、該フィルムにウレタンインキ(商品名:ユニビアA)をグラビア4色印刷機にて厚さ3μmの木目柄を印刷して、装飾フィルム(I)を調製した。
〈水圧転写用フィルム(II)の調製〉
上記ベースフィルムのベルト面側に、上記硬化性樹脂組成物をリップコーターで乾燥後の膜厚が20μmになるように塗工し、次いで60℃で2分間乾燥して、硬化性樹脂組成物層付きベースフィルムを調製した後、このフィルムの硬化性樹脂組成物層と東洋紡社製の一軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPPフィルムと略す。)とを60℃でラミネートし、ラミネートしたフィルムをそのまま巻き取って水圧転写用フィルム(II)を調製した。
〈水圧転写用フィルム(III)の調製〉
上記の水圧転写用フィルム(II)からOPPフィルムを剥離した後、硬化性樹脂組成物層と装飾フィルム(I)のインキ層を向き合わせて60℃でラミネートし、ラミネートしたフィルムを、そのまま再度巻き取り水圧転写用フィルム(III)を調製した。
なお、得られた水圧転写用フィルム(III)は、使用時にはPPフィルムが剥離されるが、このときインキ層はPVAフィルム側の硬化性樹脂組成物層の上に欠陥なく転移するものである。
得られた水圧転写用フィルム(III)について以下の評価を行った。
〈評価方法〉
上記で得られた水圧転写用フィルム(III)を3cm×5cmのサイズにカットした後、PPフィルムを剥離し、フィルムを水面と平行に固定できる治具にPVAフィルム側を下面に固定した。次に、1リットルビーカーに水(1リットル)を入れ、スターラーにより撹拌しながら水温を30℃に保ちつつ、サンプル固定の高さが600ccの標線位置になるように水中に浸漬し、3cmの撹拌子を用い400rpmで撹拌を続けながら下面側のPVAフィルムの溶け具合を確認した。
確認方法は、所定時間経過した際に水中から取り出してPVAフィルム面に触れて、ぬめりの有無を調べて、以下の基準で評価した。
○・・・5分未満でぬめりがなくなる。
×・・・5分経ってもぬめりがなくならない。
〔実施例2〜4、比較例1〜3〕
実施例1において、PVA樹脂の組成を表1に示す通りに変更した以外は同様に行い、厚み30μmのPVAフィルムを得、これを水圧転写印刷用のベースフィルムとした。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
Figure 0005557514
上記結果から、PVA系樹脂として、所定のPVAを2種併用した実施例に関しては、片面が疎水性の硬化性樹脂組成物層に覆われているにもかかわらず、溶解又は分散性に優れているのに対して、分子量の小さいPVAを配合せず、従来のベースフィルムに使用されるPVAを1種類のみ用いた比較例1では、充分な溶解又は分散性が得られておらず、更に、PVAを2種併用したところで、2種PVAの粘度範囲がいずれかでも外れると溶解又は分散性に劣るものであることがわかる。これは、PVA(A1)に対してPVA(A2)が少量含有されることにより、PVA(A1)が崩壊しやすくなって溶解又は分散しやすくなっているものであり、従来のPVA(A1)のみではPVAが膨潤してぬめりとなって残りやすくなっているものと推察される。
本発明の液圧転写印刷用ベースフィルムは、自動車の内外装品をはじめとして、携帯電話機の外装、各種電化製品、建材、家庭・生活用品等への水圧転写印刷用途に、幅広く適用することができる。

Claims (7)

  1. ポリビニルアルコール系フィルムを含む液圧転写印刷用ベースフィルムであって、前記ポリビニルアルコール系フィルムが、20℃における4重量%水溶液粘度で15〜50mPa・sのポリビニルアルコール樹脂(A1)と20℃における4重量%水溶液粘度で1〜10mPa・sのポリビニルアルコール樹脂(A2)を含有するポリビニルアルコール樹脂を含むことを特徴とする液圧転写印刷用ベースフィルム。
  2. ポリビニルアルコール樹脂(A2)の20℃における4重量%水溶液粘度が、ポリビニルアルコール樹脂(A1)の20℃における4重量%水溶液粘度に対して5〜50%小さいことを特徴とする請求項1記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
  3. ポリビニルアルコール樹脂(A2)の配合量が、ポリビニルアルコール樹脂(A1)100重量部に対して、10〜50重量部であることを特徴とする請求項1または2記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
  4. ポリビニルアルコール樹脂(A1)の平均ケン化度が70〜98モル%であり、ポリビニルアルコール樹脂(A2)の平均ケン化度が70〜98モル%であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
  5. ポリビニルアルコール樹脂(A1)の平均ケン化度とポリビニルアルコール樹脂(A2)の平均ケン化度の差が3モル%以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
  6. ポリビニルアルコール系フィルムの厚みが、20〜50μmであることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
  7. ベースフィルム面に有機溶剤に溶解可能な疎水性の転写層を形成し、さらに、ベースフィルムを下にして水面に浮かべ、活性剤を上記転写層に塗布して上記転写層を活性化した後、上記転写層に被転写体を押し当て、転写層を被転写体表面に転写した後、ベースフィルムを除去し、次いで、上記転写層を転写した被転写体に対して、活性エネルギー線照射および加熱の少なくとも一方を施すことにより転写層を硬化させ、被転写体に転写した意匠を固着する液圧転写方法に用いられる請求項1〜6いずれか記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
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