JP4854282B2 - 転写印刷用ベースフィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、非曲面形状等の立体的表面を有する被転写体に対して、高精細な意匠を円滑に付することのできる転写印刷用ベースフィルムの製造方法に関するものである。
転写印刷用ベースフィルムとして、たとえば、特許文献1および2では、ポリビニルアルコール(PVA)、澱粉およびポリアクリル酸アミドなどの高分子からなるベースフィルムに、さらに付き廻り性を改善すべくホウ酸またはその塩を含有させることが提案されている。しかしながら、特許文献1および2では、付き廻り性の改善はなされたが、伸展倍率が大きく最近の意匠の高精細化に伴ってベースフィルム上に印刷された意匠と被着体に転写印刷された意匠が異なったイメージになることがあり、さらに、PVAの結晶化度が低い場合は転写時の膜強度が弱く意匠性が低下するという問題があった。
また、たとえば、特許文献3では、2種のPVA系樹脂を特定の重量比で含有する組成とした、厚さが35μm以下のベースフィルムが提案されており、特定の組成でフィルムを薄膜とすることにより、高速での転写が可能となることが開示されている。しかしながら、重合度の異なるPVAを混合しているため、膨潤斑を生じ易く、また、上記と同様、最近の意匠の高精細化に伴ってベースフィルム上に印刷された意匠と被着体に転写印刷された意匠が異なったイメージになるという問題があった。
PVAの組成と添加剤の種類および含有量の点からも種々の検討がなされている。たとえば、特許文献4では、PVA系樹脂に天然ガム系粘質物を混合した組成物からなるフィルムが提案されている。しかしながら、天然ガムを使用しているため、印刷面内において、部分的に精度が低下したり、再現性が低い等の問題を抱えていた。特許文献5には、変性PVAと硼素化合物により高精細な意匠を確実に転写できるフィルム、特許文献6には、DSCで測定される二個の吸熱ピークの温度差が32℃以内であるフィルムを用いることで高意匠が達成できることが開示されている。しかしながら、膨潤皺が比較的多く、被着体に転写印刷された意匠が異なることがあり、目的を完全に満足されるまで至っていない。
さらに、特許文献7〜10では、転写槽の界面活性剤濃度およびフィルムに含まれる界面活性剤量を規定することでフィルムの伸展を抑え、高意匠が達成できることが提案されている。また、特許文献11では、ベースフィルムの含水率を1.5〜4.0%として、フィルムの幅収縮率を調節することにより、印刷時に印刷パターンがずれることなく高精細な転写が可能となることが開示されている。しかしながら、特許文献7〜10では、フィルムの拡がりを抑え、高精細な転写がある程度可能となったものの、ベースフィルム中に含まれる界面活性剤が常に転写槽に溶出していることから、転写槽の界面活性剤濃度を一定に保つことは困難で、安定した品質を維持することが困難であり、また、特許文献11では、ベースフィルムからの高精細な印刷をすることに対応できるものの、被着体へ転写印刷された意匠が異なることがあり、この方法においても目的を完全に満足されるまで至っていない。
特開昭54−92406号公報 特開昭54−15028号公報 特開平7−117327号公報 特開平7−117328号公報 特開2003−11590号公報 特開2002−301899号公報 特開2005―125717号公報 特開2005−1257178号公報 特開2005−145059号公報 特開2005−153508号公報 特開2005−60636号公報
本発明は、前記技術に鑑みてなされたものであり、PVA系転写印刷用ベースフィルムの製造方法であって、印刷時の寸法変化が少なく、転写時においては、着水後の膨潤時に皺が入ったり柄が歪むことなく、また、伸展応力が大幅に低減された高精細な転写が可能となる転写印刷用ベースフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
しかるに、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、従来技術においてはPVA系樹脂に対してフィラーを多量に含有させるとフィルムの破断開始時間が極端に短くなり良好な転写印刷ができないと考えていたところ、あえて従来よりも多くのフィラーを含有させ、かつ、フィルムの破断開始時間を適度な範囲に調整してフィルムを形成するにあたり、製膜ベルトまたは製膜第一ドラムから剥離した後巻き取るまでに、所定温度の熱処理ロールを1本以上通すことにより、上記目的を達成することを見出したものである。
すなわち、本発明は、5℃の水中におけるフィルムの破断開始時間が25〜80秒であること、該フィルムがポリビニルアルコール系樹脂(A)およびフィラー(B)を含有し、ポリビニルアルコール系樹脂(A)とフィラー(B)の含有比率が重量比で60/40〜85/15であること、該フィラー(B)が澱粉であること、からなる転写印刷用ベースフィルムを製造するにあたり、製膜ベルトまたは製膜第一ドラムから剥離した後巻き取るまでに、表面温度50〜120℃の熱処理ロールを1本以上通すことを特徴とする転写印刷用ベースフィルムの製造方法に関する。
ポリビニルアルコール系樹脂(A)およびフィラー(B)を含有する転写印刷用ベースフィルムの5℃の水中における破断開始時間25〜80秒であること、かつポリビニルアルコール系樹脂(A)とフィラー(B)の含有比率重量比で60/40〜85/15であること、該フィラー(B)が澱粉であること、からなる転写印刷用ベースフィルムを製造するにあたり、製膜ベルトまたは製膜第一ドラムから剥離した後巻き取るまでに、表面温度50〜120℃の熱処理ロールを1本以上通すことにより、印刷時の寸法変化が少なく、転写時における着水後の膨潤時に皺や柄の歪みが発生せず、面内全体にわたって均一で高精細な転写が可能となる。
本発明の転写印刷用ベースフィルムは、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂(A)およびフィラー(B)を含み、5℃の水中における破断開始時間が25〜80秒であって、かつ、PVA系樹脂(A)とフィラー(B)の含有比率が重量比で60/40〜85/15であることを特徴とする。
本発明に用いられるPVA系樹脂(A)は、未変性であっても変性であってもよく、変性の場合は、主鎖中に本発明の効果を阻害しない範囲で、例えば10モル%以下、好ましくは7モル%以下の範囲において、他の単量体を共重合させることができる。かかる単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノまたはジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等のポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン、ジアクリルアセトンアミド、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。これらの他の単量体は、単独でも複数を組み合わせて用いてもよい。
また、必要に応じて、PVA系樹脂(A)は、2種以上混合して用いてもよい。
PVA系樹脂(A)の4重量%水溶液の20℃における平均粘度が、10〜70mPa・sであることが好ましく、15〜60mPa・sであることがより好ましい。4重量%水溶液の平均粘度が下限値未満の場合は、本発明のベースフィルムに意匠(パターン、柄)を印刷するときのフィルム強度が不足するため、印刷斑が発生する傾向があり、また、ベースフィルムの溶解が促進されて転写時間が短くなるほかに、水に浮かべた時のフィルムに印刷された柄が安定せず、付き廻り性が低下する傾向がある。平均粘度が上限値を超える場合は、被転写体への転写時に被転写体と転写印刷用フィルム(意匠が印刷されたベースフィルム)との密着性が低下して、皺や剥離が発生する傾向があり、また、水面での膜の伸展を抑制することはできるが、転写時間が遅延するほかに粘度が高く製膜が困難となる傾向がある。なお、粘度は、JIS K 6726に準じて測定される。
PVA系樹脂(A)の平均ケン化度が、70〜98モル%であることが好ましく、より好ましくは75〜96モル%である。PVA系樹脂(A)の平均ケン化度が下限値未満では、転写後のベースフィルムの溶解に長時間を要する傾向があり、上限値を超えると、ベースフィルムの溶解時間が遅延し、転写時の膜強度が強いために転写時に折れ皺が発生したり、転写が出来たとしても脱膜不良となる傾向がある。なお、平均ケン化度は、JIS K 6726に準じて測定される。
フィラー(B)としては、多糖類および/または無機類があげられる。多糖類の中でも、澱粉が好ましく、たとえば、生澱粉(トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、コムギ澱粉、キッサバ澱粉、サゴ澱粉、タピオカ澱粉、モロコシ澱粉、コメ澱粉、マメ澱粉、クズ澱粉、ワラビ澱粉、ハス澱粉、ヒシ澱粉等);物理的変性澱粉(α−澱粉、分別アミロース、湿熱処理澱粉等);酵素変性澱粉(加水分解デキストリン、酵素分解デキストリン、アミロース等);化学分解変性澱粉(酸処理澱粉、次亜塩素酸酸化澱粉、ジアルデヒド澱粉等);化学変性澱粉誘導体(エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン化澱粉、架橋澱粉等)などが用いられる。なお、化学変性澱粉誘導体のうちエステル化澱粉としては、酢酸エステル化澱粉、コハク酸エステル化澱粉、硝酸エステル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、キサントゲン酸エステル化澱粉、アセト酢酸エステル化澱粉など、エーテル化澱粉としては、アリルエーテル化澱粉、メチルエーテル化澱粉、カルボキシメチルエーテル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、ヒドロキシプロピルエーテル化澱粉など、カチオン化澱粉としては、澱粉と2−ジエチルアミノエチルクロライドの反応物、澱粉と2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの反応物など、架橋澱粉としては、ホルムアルデヒド架橋澱粉、エピクロルヒドリン架橋澱粉、リン酸架橋澱粉、アクロレイン架橋澱粉などが挙げられる。中でも入手の容易さや経済性点から、生澱粉が好適に用いられる。
また、無機類としては、例えばタルク、クレー、シリカ、ケイ藻土、カオリン、雲母、アスベスト、石膏、グラファイト、ガラスバルーン、ガラスビーズ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、ウイスカー状炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドーソナイト、ドロマイト、チタン酸カリウム、カーボンブラック、ガラス繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、加工鉱物繊維、炭素繊維、炭素中空球、ベントナイト、モンモリロナイト、銅粉などが挙げられる。
これらのフィラー(B)は単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
PVA系樹脂(A)とフィラー(B)の含有比率は重量比で、60/40〜85/15であり、より好ましくは65/35〜80/20である。PVA系樹脂(A)の含有比率が下限値未満の場合、膜強度が大幅に低下し、転写印刷用ベースフィルムの製造、印刷、転写に困難をきたす傾向があり、転写においては溶解速度が速く、膜強度が低下し、転写不良の原因ともなる。また、PVA系樹脂(A)が上限値を超える場合は、転写時において、フィルムを着水した後の膨潤時に、皺が大きく入り、さらに、1.25倍以下の規制範囲内で伸展する際に、伸展応力が大きくなり皺や折れが発生するため、転写できる範囲が狭くなり意匠が歪むだけでなく、転写倍率も拡がる傾向がある。
本発明の転写印刷用ベースフィルム中におけるフィラー(B)における平均粒度は、0.1〜30μmであることが好ましく、0.3〜25μmであることがより好ましい。平均粒度が下限値未満の場合は、ベースフィルム製造工程において粉立ちが酷くなり、作業に支障をきたす傾向があり、上限値を超える場合は、ベースフィルムの膜強度が大幅に低下し、転写時だけで無く、ベースフィルム製造工程や印刷時にも破断しやすくなる傾向がある。
PVA系樹脂(A)に配合される架橋剤としては、PVA系樹脂(A)と架橋反応を起こすものであれば特に限定されず、たとえば、K3657(クエン酸三カリウム)や、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛,メタホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)などの他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物などのホウ素化合物等が挙げられる。これらの架橋剤は1種または2種以上併用して用いられ、上記の架橋剤の中でも、ホウ砂や、ホウ酸が好適に用いられる。
架橋剤の量は、PVA系樹脂(A)とフィラー(B)の合計100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、0.05〜5重量部であることがより好ましい。架橋剤の量が下限値未満の場合は、転写時のフィルムの伸展速度が速くなり、転写可能時間が短くなり、また付き廻り性も低下する傾向があり、上限値を超える場合は、溶解性の低下や膨潤時の皺が大きくなり意匠が歪む傾向がある。
かくして、PVA系樹脂(A)及びフィラー(B)、好ましくは更に架橋剤を含有してなる樹脂組成物を製膜して、転写印刷用ベースフィルムとするのであるが、かかる製膜法は、特に制限されるものではなく、該樹脂組成物を水溶液とした後、ロール、ドラム、エンドレスベルト等の平滑な金属面上に流延する方法や該樹脂組成物に適宜水や後述の可塑剤を加えて押出法等の手段によって溶融成形する方法等により、ベースフィルムとなるポリビニルアルコール系フィルムを得ることができる。
また、上記の製造時においては、必要に応じて、該樹脂や水溶液に可塑剤が添加される。かかる可塑剤としては、例えばグリセリン、ジグリセリン、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロプレングリコール等が挙げられ、1種または2種以上併用して用いられる。
かかる可塑剤の含有量については、特に限定されないが、PVA系樹脂(A)とフィラー(B)の合計100重量部に対して0.01〜10重量部であることが好ましく、0.05〜8重量部であることがより好ましい。該含有量が下限値未満では可塑効果が低く、破断の原因になり、上限値を超えると印刷時の寸法安定性が悪く、高精細な印刷が困難となる傾向がある。
さらに、本発明の転写印刷用ベースフィルムにおいては、製膜装置のドラムやベルト等の金属表面と製膜したフィルムとの剥離性の向上を目的として、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤は特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルノニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられ、1種または2種以上併用して用いられる。中でも、剥離性の点でポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートが好適である。
界面活性剤の含有量については、特に限定されないが、PVA系樹脂(A)とフィラー(B)の合計100重量部に対して0.01〜5.0重量部であることが好ましく、0.03〜4.5重量部であることがより好ましい。該含有量が下限値未満では製膜装置のドラムやベルト等の金属表面と製膜したフィルムとの剥離性が低下して製造困難となり、上限値を超えるとフィルム表面にブリードして印刷層が脱落する原因となる傾向がある。
また、本発明の効果を妨げない程度で、抗酸化剤(フェノール系、アミン系等)、安定剤(リン酸エステル類等)、着色料、香料、増量剤、消包剤、防錆剤、紫外線吸収剤、無機粉体、さらには他の水溶性高分子(ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キトサン、キチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)などを添加しても差し支えない。
転写印刷用ベースフィルムは5℃の水中における破断開始時間が25〜80秒であることが好ましく、より好ましくは30〜75秒、さらに好ましくは35〜70秒である。破断開始時間が下限値未満では、1.25倍以下の規制範囲内において30℃の水に浮かべ転写する際、ベースフィルム単体としては形状を維持することはできるが、被転写物(比着体)を膜上部から押し込む際、容易に膜(フィルム)切れを起こし正確に柄を転写することができない。前記破断開始時間が上限値を超える場合は、1.25倍以下の規制範囲内において30℃の水に浮かべ転写する際、ベースフィルムが硬いため、被転写物(比着体)を押し込むときに折れ皺が発生したり、極端な場合は膜切れとなる。このため、被転写物を落とし込む時間を大幅に遅らさなければならず生産効率が低下する。
ここで、5℃の水中における破断開始時間とは、ベースフィルムをマウント(外寸:50mm×50mm、内寸:23mm×35mm)に挟み込んで固定したベースフィルムを、1000mlビーカーに5℃の冷水1000ml中に水平になるよう静かに浸漬し(水面からの深さは20mm)、非攪拌の条件で、ベースフィルムが膨潤し、フィルムの少なくとも一部が破れ始める(欠損し始める)までの時間をいう。
本発明において、被転写物(被着体)を押し込むタイミングは特に限定されるものではないが、転写開始時間とフィルム破断開始時間を考慮すると、フィルムを着水させて、一旦皺が入り、その後皺がなくなり平滑になる。その後、徐々にフィルムの膨潤溶解が進み転写可能となる。この転写可能時間は通常40〜180秒後とすることが、鮮明な意匠の転写が得られる点で好ましい。なお、被転写体を押し当てるタイミング、つまり転写開始時間は、ベースフィルムが流動状態となり、且つ、膜としての強度を維持している時間であればよく、具体的には複雑な形状の被転写体を押し当ててもストレス等による皺が入らないタイミングであり、限定されるわけではないが、通常は水槽に着水させてから40〜180秒後程度が最適とされる。
また、23℃×50%RH調湿環境下における引張破断伸度が40〜230%であることが好ましく、より好ましくは45〜220%である。引張破断伸度が下限値未満では、転写時の膨潤皺は少ないものの、ベースフィルムの製造、印刷、転写に困難をきたす傾向があり、さらに、1.25倍以下の規制範囲内において30℃の水に浮かべ転写する際、付き廻り性能が低下し、複雑な形状の被転写物に対応しがたい傾向がある。一方、上限値を超える場合は、膨潤時の皺が多く、1.25倍以下の規制範囲内において30℃の水に浮かべ転写する際、伸展応力が強く、転写時間までに皺(折れ)が発生してしまう傾向がある。
また、本発明の転写印刷用ベースフィルムの結晶度指数は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)にて測定されるフィルム表面の固有赤外吸収スペクトルにおいて、前記フィルム表面の少なくとも一方の表面の1140cm-1の吸収帯強度の1425cm-1の吸収帯強度に対する強度比で測定され、少なくとも一方の表面の結晶度指数が0.7以上であることが好ましく、より好ましくは0.75以上である。結晶度指数が下限値未満では、フィルムの結晶性が低いことにより溶解性が高く柄が割れ、さらに膜強度が大きく低下するために付き廻り不良を招く傾向がある。なお、かかる結晶度指数の上限としては通常1.4であり、該上限値を超えると破断開始時間が遅くなり、生産性が悪くなり、また、転写時においても付きまわり性に劣る傾向にある。
フィルム表面の固有赤外吸収スペクトルはATR法で測定され、これはフィルム表面から数μmの深さまでの領域の結晶化度に相当する量である。
本発明の転写印刷用ベースフィルムの膜厚は、特に限定されないが、30〜60μmであることが好ましく、より好ましくは32〜50μmである。ベースフィルムの膜厚が下限値未満では、ベースフィルムに意匠を印刷するときのフィルム強度が不足して印刷斑が発生する傾向があり、ベースフィルムの厚さが上限値を超えると、伸展応力が大きく、1.25倍以下の規制範囲内において皺(折れ)が発生しやすくなる傾向がある。また、膜厚が大きくなると、ベースフィルムの膜が硬くなり、被転写物を押し込むときに折れ皺が発生して、極端な場合は膜切れとなるため、被転写物を落とし込む時間を大幅に遅らさなければならず、生産効率が低下する傾向にある。
本発明の転写印刷用ベースフィルムの含水率は、3.0〜6.5重量%であることが好ましく、より好ましくは3.3〜6.3重量%、さらに好ましくは3.5〜6.0重量%である。含水率が下限値未満では、膜強度が大幅に低下し、ベースフィルムの製造、印刷、転写時に破断を招く傾向があり、含水率が上限値を超える場合は、ロール状に巻き取られたベースフィルムを包装して放置している間に巻き締まりが発生し、さらに印刷時の見当精度に問題が発生するおそれがある。
本発明の転写印刷用ベースフィルムは、PVA系樹脂の選択、フィラーや可塑剤の種類及び配合量、架橋剤の種類及び使用量を調整し、かつ、成形したフィルムを乾燥した後、熱処理することにより、前記結晶度指数を達成することができる。熱処理の方法としては特に制限はなく、例えば、熱ロール(カレンダーロール含む)、熱風、遠赤外線、誘電加熱などの方法により、熱処理を行うことが可能である。なお、熱処理される面は製膜ベルトあるいは製膜第一ドラムに接する面と反対側が好ましいが、ニップしても問題ない。熱処理を施すフィルムの含水量としては、通常、4〜8重量%程度であることが望ましい。
本発明においては、製膜ベルトまたは製膜第一ドラムから剥離した後巻き取るまでに、表面温度50〜120℃の熱処理ロールを1本以上通すことを特徴とする。ここで、製膜ベルトとは、一対のローラ間に架け渡されて走行する無端状のベルトを有し、ダイから流れ出た原液をベルト上に流延させるとともに乾燥させるものである。上記ベルトは、たとえばステンレススチールからなり、その外周表面は鏡面仕上げがなされているものが好ましい。また、製膜第一ドラムとは、ダイから流れ出た原液を1個以上の回転するドラム型ロール上に流延し乾燥させる製膜機における最上流側に位置するドラム型ロールであり、製膜ベルトあるいは製膜第一ドラムから剥離した後巻き取るまでとは、Tダイ等から吐出された原液が製膜ベルト上あるいは製膜第一ドラム上において乾燥されフィルム状になり、製膜ベルトあるいは製膜第一ドラムから剥離され、熱処理機を経て、巻き取り機により巻き取られるまでの過程を示す。熱処理は、50〜120℃で行うことが好ましく、より好ましくは60〜110℃である。熱処理の温度が下限値未満では、製膜ベルトあるいは製膜第一ドラムに接する面のカールが強く、印刷および転写工程で不具合となる傾向があり、上限値を超えると、印刷転写用ベースフィルムの結晶性が上がりすぎて転写後の水溶性が低下してしまう傾向がある。熱処理時間は、熱処理ロールの表面温度にもよるが、0.5〜15秒間行うことが好ましい。かかる熱処理は、通常、フィルム乾燥のための乾燥ロール処理に引き続き、別体の熱処理ロールにて行われる。
さらに、本発明は、(a)印刷された前記転写印刷用ベースフィルムの印刷面に再活性しうる活性剤を塗布する工程および(b)前記活性剤を塗布した転写印刷用ベースフィルムの印刷面を上方にして水面に浮かべ、該ベースフィルム上方より被転写体を押し当てて水圧転写する工程を含む転写印刷用ベースフィルムを用いた転写方法であって、連続して転写する場合に、フィルムの流れ方向に対し幅方向に1.25倍以下の規制を設けて転写することを特徴とする転写印刷用ベースフィルムを用いた転写方法に関する。
また、前記転写方法であって、バッチ方式の場合に、フィルムに対してそれぞれ1.25倍以下の縦横規制を設けて転写することを特徴とする転写印刷用ベースフィルムを用いた転写方法に関する。
本発明の転写印刷用ベースフィルムの表面に転写用の意匠(パターン、柄)を印刷して、転写印刷用フィルムとして実用に供される。かかる意匠としては、豹柄、木目模様、大理石模様、幾何学模様、象形模様、抽象模様、文字等、任意のパターンが挙げられる。これら意匠(パターン、柄)は、好ましくは、非水溶性の樹脂のバインダーに染料、顔料等の着色剤を添加してなるインクを印刷して形成される。非水溶性の樹脂の例としては、硝化綿とアルキッド樹脂との混合物等が挙げられる。
(a)活性剤を塗布する工程において、活性剤は、グラビアロールやスプレーにより塗布することができる。活性剤は、特に限定されるものではないが、印刷された模様を再活性化しうる溶剤に樹脂を添加したものが用いられ、他に体質顔料、可塑剤、硬化剤等を適宜に添加することもでき、例えば、ブチルメタクリレート/顔料/可塑剤/ブチルセロソルブアセテート/ブチルカルビトールアセテートの混合物などを用いることができる。
前記(a)工程につづき、転写印刷用フィルムを水面に浮かべ、その上部より被着体を押し当て水圧転写をする(b)工程を行う。その際、吸水後にフィルムが伸展し、意匠がぼけない様に1.25倍以下の規制範囲を、例えば連続転写装置においては、送り方向に対し幅方向を搬送チェーンの距離で、またバッチ転写の場合はフィルム周囲を1.25倍以下の規制枠等で抑えると良い。前記規制範囲は、1.25倍以下であることが好ましく、1.20倍以下であることがより好ましい。規制範囲が1.25倍を超える場合には、意匠がぼけるだけでなく、付き廻り性が低下する傾向がある。
被着体の材質は、特に限定されるものではなく、例えば、プラスチック成型体、金属成型品、木質成型品、ガラス、無機質成型体などを用いることができる。また、被着体の形状は、平面でも立体でもよい。
なお、本発明の転写印刷用ベースフィルムは該ベースフィルムの印刷面を上にして水に浮かべたのち、再活性しうる活性剤を塗布した後に該ベースフィルム上方より被転写体を押し当てて水圧転写する方法で用いても良い。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
実施例1〜3、参考例1、比較例1〜3
[ベースフィルムの作製]
表1に示すPVA系樹脂(A)、フィラー(B)、架橋剤、可塑剤および剥離剤としてポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを水に溶解した後18%の水溶液とし、該水溶液を、ステンレス製エンドレスベルトを備えたベルト製膜機で流延製膜法により製膜し、温度95℃の条件で乾燥させた後、85℃の熱ロール1本に7秒間接触させ、PVA系フィルム(ベースフィルム)を得た。なお、実施例4については、熱処理を行わなかった。表1中、フィラー(B1)は平均粒度20μmのコーンスターチ、可塑剤として使用したDPGはジプロピレングリコール、Glyはグリセリンである。
得られたベースフィルムについて以下の評価を行った。
それぞれの評価結果を表1及び表2に示す。
[含水率]
得られたベースフィルムの含水率は、カールフィッシャー水分計(京都電子工業社製MKS−210)を用いて測定した。
[ベースフィルムの5℃冷水破断開始時間]
ベースフィルムをマウント(外寸:50mm×50mm 内寸:23mm×35mm)に挟み込みベースフィルムを固定し、1000mlビーカーに入れた5℃の冷水1000ml中に水平になるよう静かに浸漬し(水面からの深さは20mm)、非攪拌条件で、ベースフィルムが膨潤し破断し始めるまでの時間(秒)を測定した。
なお、マウントからはみ出した部分は測定前にカットし、水中に接する部分はマウントの内寸(23mm×35mm)と同様となる。
[引張破断伸度]
ベースフィルムを23℃×50%RH調湿環境下において30時間調湿したものを、同環境下において150mm(長手方向)×15mmの大きさにカットし、このフィルムを23℃×50%RH調湿環境下においてオートグラフ(島津製作所社製オートグラフAGS−H)を用いて、破断変位を測定し(引張速度:200mm/min. チャック間距離:50mm)、下式により破断伸度を求めた。
破断伸度(%)=(破断変位/50mm)×100
[ベースフィルム表面の結晶度指数]
23℃×50%RH調湿環境下、フーリエ変換赤外分光光度計(THERMOELECTRON社製 Nicolet AVATAR360)を用いてベースフィルムの表面をATR法によって測定した。一回反射型ATRアタッチメントは、SPECTRA・TECH社製 Thunderdome(ATR結晶がGeで、試料との接触面が三次元曲面となっており、赤外線の入射角が45度)を使用した。その他測定条件は、サンプルスキャン回数は256回(バックグラウンド回数は測定毎に256回実施)、分解能は4.00、サンプルゲインは4.0、ミラー速度は0.6329、アパーチャーは100.00、検出器はDTGS KBr、ビームスプリッタはKBr、光源はIRである。なお、ATR補正は、装置付属のOMNIC ver.7で行った。
ベースフィルムの赤外吸収スペクトルにおいて、結晶化バンドとして知られている1140cm-1の吸収帯強度の1425cm-1の吸収帯強度に対する強度比を結晶度指数とした。ただし、各バンドの強度を計算する際のバンドのベースラインは、図1に示すように引いた。
[ベースフィルムの印刷]
ベースフィルムを150mm×150mmのサイズに切断したものに建材用インキ[赤色染料と硫酸バリウムの混合物(70%)とアルキッド樹脂とニトロセルロースの混合物(30%)の混合物]を、フィルムを流延製膜した際のベルト面側にバーコーターで均一に塗布(インキ層の乾燥厚み2μm)した後、図2に示すように、黒色の水性ペンで40mm間隔の印(ドット)を端から75mm(中央付近)と端から15mm(端付近)の二箇所に描き、その上に活性剤(ブチルメタクリレート/顔料/可塑剤/ブチルセロソルブアセテート/ブチルカルビトールアセテート=8/20/20/26/26重量部)を塗布し、転写印刷用フィルムを作製した。
[転写時の皺]
転写印刷用フィルム(150mm×150mm)のサイズに対し、一辺が1.1倍(内寸:165mm×165mm)若しくは1.2倍(内寸:180mm×180mm)の枠を30℃の水が入った水槽に浮かべる。次に、印刷、活性剤が塗布された転写印刷用フィルムを先に浮かべた枠内に印刷面を上にして静かに浮かべる。なお、フィルムは着水後一旦フィルム全体に皺が入り、その後均質にのばされ徐々に伸展する。しかし、伸展は枠に止められ、それ以上は伸展することが出来ない。その時、ベースフィルムの伸展しようとする力が大きい場合は、ストレスにより徐々に皺が発生し、フィルム全面を無駄なく使用できなくなるだけでなく、印刷柄が歪み、さらには伸展倍率が拡がる場合もある。このため、フィルムが着水後、一旦フィルム全体に皺が入り、その後均質にのばされた後に徐々に伸展し、規制枠により伸展が止められたあとに、フィルム全体が適正転写時間まで柄が崩れずに伸展規制によるストレス皺が発生しないことが必要である。なお、適正転写時間とは、ベースフィルムが着水してから50〜180秒である。
○:適正転写時間においてもフィルムに皺が発生しない
×:適正転写時間までにフィルムに皺が発生する
[付き廻り]
上記の印刷、活性剤が塗布された転写印刷用フィルム(150mm×150mm)を上記記載の1.1倍枠および1.2倍枠を水槽に浮かべた枠内に印刷面を上にして静かに浮かべる。その後フィルムが伸展し、枠に完全に到達した後、フィルムの上部より垂直に、200mm/minの速度で塩化ビニル製の筒(径:30mm)を押し込み、該筒表面に印刷柄を転写させ、着水点から柄が切れた部分までの高さを測定した。なお、筒を押し込む時間は50〜180秒までの間で、筒を入れる際にフィルムが硬く折れ曲がることが無く、また、円筒に転写する柄が深くまで切れることなく柄が付き廻わる最適な時間で行う。
[ドット間隔]
上記の印刷・活性剤が塗布された転写印刷用フィルム(150mm×150mm)を上記記載の1.1倍枠および1.2倍枠を水槽に浮かべた枠内に印刷面を上にして静かに浮かべる。その後フィルムが伸展し、枠に完全に到達した後、上記記載の付き廻り最適時間において、枠と同サイズの塩化ビニル板を枠内に浮かべたフィルムに対し、その中央付近に水平に着水させ塩化ビニル板に転写し、先に描いた水性ペンのドット間距離を測定する。
Figure 0004854282
Figure 0004854282
表1および2の結果より、実施例1〜3は、特定のPVAと配合剤を組み合わせ、しかも、成形したフィルムを乾燥後に熱処理し、製造したため、フィラーの配合量が多くても破断開始時間が適度なものとなることが分かる。また、参考例1は、熱処理を施してはいないが、特定のPVAと配合剤とを選択し組み合わせることにより、一定レベルの破断開始時間を有するフィルムが得られることが分かる。
一方、比較例1では、フィラーの含有比率が高いため、ベースフィルムとしての強度や破断伸度が低く、印刷時の断紙が懸念され、また、転写時においては、ベースフィルムの分散性が高まり、水面上で柄が割れたり、PVA系樹脂が少ないために付き廻り性の低下が大きいことが分かる。
比較例2では、フィラーの含有比率が低いため、ベースフィルムとしての強度は高いものの、破断開始時間が長いため転写時間の遅延が懸念され、さらに、規定範囲内で伸展させた場合、伸展時の応力が強く、応力皺が発生し、そのため、柄が歪んだり、転写できる面積が狭くなったことが分かる。
比較例3では、PVA系樹脂とフィラーの含有比率が良くとも破断開始時間が短いため、転写時において、付き廻り性の低下が大きく、水面上での柄の割れも発生したことが分かる。
本発明の転写印刷用ベースフィルムを用いた転写方法は、自動車の内外装品をはじめとして、携帯電話、電化製品、建材、家庭・生活用品などへの転写印刷に、幅広く適用することができる。
実施例1で得られたベースフィルムの赤外線吸収スペクトルである。 印刷の際にフィルムに描く水性ペンのドット位置を示す図である。

Claims (1)

  1. 5℃の水中におけるフィルムの破断開始時間が25〜80秒であること、
    該フィルムがポリビニルアルコール系樹脂(A)およびフィラー(B)を含有し、ポリビニルアルコール系樹脂(A)とフィラー(B)の含有比率が重量比で60/40〜85/15であること、
    該フィラー(B)が澱粉であること、
    からなる転写印刷用ベースフィルムを製造するにあたり、製膜ベルトまたは製膜第一ドラムから剥離した後巻き取るまでに、表面温度50〜120℃の熱処理ロールを1本以上通すことを特徴とする転写印刷用ベースフィルムの製造方法。
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