JP5556041B2 - 射出成形同時加飾用フィルム - Google Patents

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本発明は、射出成形同時加飾用フィルムに関する。
従来、三次元曲面などの複雑な表面形状を有する樹脂成形体の加飾には、射出成形同時加飾方法が用いられる。射出成形同時加飾方法とは、射出成形の際に金型内に挿入された加飾シートをキャビティ内に射出注入された溶融した射出樹脂と一体化させて、樹脂成形体表面に加飾を施す方法である。
射出成形同時加飾方法においては、通常、基材、絵柄印刷層及び接着剤層を準に積層してなる加飾シートが用いられており(例えば、特許文献1)、このような射出成形同時加飾用の加飾シートの基材側を金型内に向けて基材側から熱盤によって加熱し、該加飾シートが金型内形状に沿うように成形して金型内面に密着させて型締した後、キャビティ内に溶融した射出樹脂を射出して該加飾シートと射出樹脂とを一体化し、次いで加飾成形品を冷却して金型から取り出して、加飾成形品を得ることができる。
ところで、この射出成形同時加飾方法で用いられる射出樹脂の温度は、180〜300℃程度であり、この熱を起因とした、加飾シートの印刷層あるいはフィルム層の一部が溶融する、いわゆるゲート流れという現象が発生することがあった。そして、このゲート流れの現象は、射出樹脂の射出箇所の近傍で顕著にみられる傾向があり、このゲート流れにより基材のフィルムの厚みが局所的に薄くなるため、加飾成形品において、当該箇所と周辺箇所との艶差が発生してしまうといった問題があった。とりわけ、メタリック調や艶消し調の意匠を加飾成形品に付与するような場合に、この傾向が著しい。
ゲート流れによる艶差を低減する方法としては、基材のフィルムを薄くして、射出樹脂の熱を金型に逃すことが挙げられる。しかし、基材のフィルムを薄くすると、キャビティ内における射出樹脂の流れやその温度と射出による衝撃により、加飾シートにシワが発生したり、破れたりするため、艶差を低減する程度まで薄くすることはできない。また、別の方法としては、金型の温度を下げて射出樹脂の熱を逃すことが挙げられる。しかし、金型の温度を冷やすと、キャビティ内における射出樹脂の流れが低下し、安定した加飾成形品の製造は困難となる。
このように、ゲート流れによる艶差を低減しつつ、安定して加飾成形品を製造することは困難であり、これを実現しうる加飾シートの開発が望まれている。
特開2002−264169号公報
本発明の目的は、加飾成形品において、ゲート流れによる艶差の発生を低減しつつ、良好な加飾成形品を製造しうる射出成形同時加飾用フィルム、及びこれを用いた加飾成形品を提供することである。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、基材を2層とし、かつ一方の層のみにアクリルゴムを配合することにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1) 第一基材層と第二基材層とからなる基材層の第二基材層の表面に、絵柄層と接着剤層とが順に積層してなり、該第一基材層がアクリル系樹脂を含みかつアクリルゴムを含まない樹脂組成物からなり、該第二基材層がアクリル系樹脂及びアクリルゴムを含む樹脂組成物からなり、該絵柄層は光輝性顔料を含むメタリック調であり、該第一基材層が艶消し剤を含み、かつ該艶消し剤の含有量が該第一基材層を形成する樹脂100質量部に対して0.01〜5.0質量部であることを特徴とする射出成形同時加飾用シート。
(2) 前記第一基材層の厚さが、前記第二基材層の厚さの50%以下である上記(1)に記載の射出成形同時加飾用シート
(3前記光輝性顔料が、メタリック顔料及びパール顔料から選ばれる少なくとも一種を含むものである上記(1)又は(2)に記載の射出成形同時加飾用シート、及び
) 上記(1)〜()のいずれかに記載の射出成形同時加飾用シートを用いてなる加飾成形品、
を提供するものである。
本発明によれば、加飾成形品において、ゲート流れによる艶差の発生を低減しつつ、良好な加飾成形品を製造しうる射出成形同時加飾用フィルム、及びこれを用いた加飾成形品を得ることができる。
本発明の加飾シートの断面の一態様を示す模式図である。
以下、本発明を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の加飾シートの断面を示す模式図である。
図1に示されるように、本発明の加飾シート1は、第一基材層21と第二基材層22とからなる基材層2の第二基材層22の表面に、絵柄層3と接着剤層4とが順に積層してなるものである。
本発明におけるゲート流れによる艶差の発生を低減する機構については、十分に解明されるには至っていないが、以下のように推測される。
従来柔軟性を有する基材として採用していたアクリルゴムを含む基材に対する射出樹脂の熱や衝撃により、基材における射出樹脂の射出箇所(ゲート部及びその周辺)のみが金型に強く押し付けられるため、射出箇所とその他の部分との転写性の違いが艶差の発生に大きく影響していたところ、基材層をアクリルゴムを含む第二基材層とアクリルゴムを含まない第一基材層との二層構成とし、かつアクリルゴムを含まない第一基材層を射出樹脂の射出側から遠い方に設けることで、射出樹脂の熱や衝撃を緩和し、艶差の発生を低減し、一様な意匠が得られるものと推測される。また、本発明においては、単純にアクリルゴムを除くことによるフィルムの破断強度の低下を防ぐことができ、加飾成形品としたときに最表面となる第一基材層にアクリルゴムが含まれないことで、優れた表面硬度を得ることもできた。
[基材層2]
本発明の加飾シートの基材層2は、第一基材層21と第二基材層22とからなり、第一基材層21はアクリル系樹脂を含みかつアクリルゴムを含まない樹脂組成物からなり、第二基材層22はアクリル系樹脂及びアクリルゴムを含む樹脂組成物からなることを特徴とする。ここで、第一基材層21におけるアクリルゴムを含まないとは、実質的にアクリルゴムを含まないことをいう。すなわち、本発明において、アクリルゴムを含まない第一基材層21は、アクリルゴムを全く含まない態様のほか、艶差の発生を低減するという本願発明の効果を阻害しない範囲であれば、アクリルゴムを含んだ態様を有することができる。例えば、第一基材層21におけるアクリルゴムの含有量が樹脂100質量部に対して5質量部未満であれば、艶差の発生が低減することはない。
《アクリル系樹脂》
基材層2で用いられるアクリル系樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体などの(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなる樹脂が好ましく挙げられ、これらを1種又は2種以上混合して使用する。なかでも、ポリメタクリル酸メチルが好ましい。第一基材層21及び第二基材層22に用いられる樹脂は、同じであっても異なっていてもよいが、意匠性の観点から、同じであることが好ましい。
《アクリルゴム》
第二基材層22に用いられるアクリルゴムは、(メタ)アクリル酸エステルを構成単位とする重合体であり、該構成単位を好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上を含むものである。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、炭素数1〜8のアルカノールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。これらのなかでも(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸n−ブチルが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、炭素数2〜8のアルコキシアルカノールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチルなどが挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル及び(メタ)アクリル酸2−メトキシエチルが好ましい。
また、アクリルゴムは、架橋点を有する構成単位を含有する共重合体であることが好ましい。かかる共重合体をアクリルゴムとして用いたゴム組成物は、成形時に効果的に架橋を行うことができるので弾性のある架橋物を得ることができる。架橋点を有する構成単位としては、カルボキシル基、ハロゲン原子、エポキシ基または水酸基を有するものなどが挙げられる。
第二基材層22を形成する樹脂組成物において、アクリルゴムの含有量は、樹脂100質量部に対して、5〜60質量部が好ましく、10〜40質量部がより好ましく、10〜30質量部がさらに好ましい。アクリルゴムの含有量が上記範囲内にあれば、基材層の表面硬度や耐溶剤性の低下を抑えることが可能となる。
《艶消し剤》
基材層2を形成する樹脂組成物は、艶消し剤を含むことができる。艶消し剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、カオリンなどの無機粒子、アクリル系樹脂などからなる有機粒子、及び内部析出粒子などを好ましく挙げられる。これらのなかでは、酸化ケイ素及びアクリル系樹脂ビーズ、なかでも架橋アクリル樹脂ビーズが好ましい。
艶消し剤の平均粒径は、艶差のない均一な意匠感を得る観点から、0.01〜5.0μmが好ましく、0.05〜3.0μmがより好ましい。また、第一基材層21を形成する樹脂組成物中の艶消し剤の含有量は、艶差のない均一な意匠感を得る観点から、樹脂100質量部に対して0.01〜5.0質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がより好ましい。
また、第一基材層21及び第二基材層22を形成する樹脂組成物は、必要に応じて各種安定剤、潤滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、消泡剤、蛍光増白剤などを配合することもできる。
第一基材層21の厚さは、通常1〜50μmであり、5〜25μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。第二基材層22の厚さは、通常10〜150μmであり、50〜125μmが好ましく、60〜110μmがより好ましい。また、第一基材層21の厚さは、第二基材層22の厚さに対して50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、15%以下がさらに好ましい。第一基材層21及び第二基材層22の厚さが上記範囲内にあれば、ゲート流れによる艶差の発生を低減し、樹脂の射出時における加飾シートのシワや破れの発生を抑えることができる。
[絵柄層3]
本発明の加飾シートに設けられる絵柄層3は、模様や文字、パターン状の絵柄、あるいは全面にわたって均一に着色したベタ着色を表現する層である。絵柄層3の絵柄は任意であるが、例えば、メタリック調のほか、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字などからなる絵柄を挙げることができる。また、絵柄層3は、上記絵柄を表現する柄パターン層及びベタ着色層を単独で又は組み合わせて設けることができる。ベタ着色層は、通常、隠蔽層、着色層、着色隠蔽層などとして用いられる。
絵柄層3は、通常は、上記の第二基材層22に印刷インキでグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷、昇華転写印刷、インキジェット印刷などの公知の印刷法により形成される。絵柄層3の厚みは、意匠性の観点から5〜40μmが好ましく、20〜30μmがより好ましい。
絵柄層3の形成に用いられる印刷インキのバインダー樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、セルロース系樹脂などを好ましく挙げることができるが、アクリル系樹脂単独又はアクリル系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂との混合物を主成分とするのが好ましい。これらのなかでも、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂又は別のアクリル系樹脂を混合すると印刷適性、成形適性がより良好となり好ましい。
絵柄層3に用いられる着色剤としては、アルミニウム、クロム、ニッケル、錫、チタン、リン化鉄、銅、金、銀、真鍮などの金属、合金、又は金属化合物の鱗片状箔粉からなるメタリック顔料、マイカ状酸化鉄、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、二酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、着色二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸バリウム、硫化亜鉛、硫化カルシウムなどの蛍光顔料、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモンなどの白色無機顔料、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラックなどの無機顔料、イソインドリノンイエロー、ハンザイエローA、キナクリドンレッド、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラックなどの有機顔料(染料も含む)を1種又は2種以上混合して用いることができる。
絵柄層3の形成に用いられる印刷インキは、上記成分の他に、沈降防止剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、滑剤などを適宜添加することができる。印刷インキは、上記成分を、通常溶剤に溶解又は分散した態様で提供される。溶剤としては、バインダー樹脂を溶解または分散させるものであればよく、有機溶剤及び/又は水を使用することができる。有機溶剤としては、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどのエステル類、アルコール類が挙げられる。
本発明においては、絵柄としてメタリック調を採用し、着色剤としてメタリック顔料や真珠光沢(パール)顔料などの光輝性顔料から選ばれる少なくとも一種を用いた場合、とりわけこれらの顔料を用いてベタ着色層を設けた場合に、本発明のゲート流れによる艶差の発生を低減する効果が有効に得られる。
本発明において、メタリック調の絵柄の形成方法としては、前記した着色剤としてメタリック顔料や真珠光沢(パール)顔料などの光輝性顔料を含むインキ組成物などを用いて形成する方法や、アルミニウム、クロム、金、銀、銅などの金属を用いて、真空蒸着、スパッタリングなどの方法で製膜する金属薄膜層により形成する方法などが好ましく挙げられる。この金属薄膜層は全面に設けても、部分的にパターン状に設けてもよい。また、絵柄層3は、上記着色剤を用いた絵柄と金属薄膜層とを組み合わせたものであってもよいし、着色剤を用いた絵柄のみから形成されたものでもよいし、着色剤を用いた絵柄を採用せず金属薄膜層のみから形成されたものであってもよい。
[接着剤層4]
接着剤層4は、本発明の加飾シートを接着性よく加飾成形品に接着するために形成されるものである。この接着剤層4に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの樹脂を挙げることができる。これらの樹脂の1種または2種以上を溶液、あるいはエマルジョン等塗布可能な形にしたものを、公知の塗布方法より適宜選択して、塗布し、乾燥することにより形成できる。
接着剤層4の厚さは、0.1〜5μm程度が好ましい。
接着剤層4には、上記のような樹脂と、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリシレート系化合物などの有機系の紫外線吸収剤や、また亜鉛、チタン、セリウム、スズ、鉄などの酸化物のような無機系の紫外線吸収能を有する微粒子の添加剤を用いることができる。また、その他の添加剤として、着色顔料、白色顔料、体質顔料、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、蛍光増白剤なども適宜、必要に応じて使用することができる。
[加飾シートの製造方法]
本発明の加飾シートは、例えば以下のようにして製造することができる。
まず、基材層2を、樹脂、艶消し剤及び各種添加剤を含む第一基材層21を形成する樹脂組成物からなるシートと、及び樹脂及び各種添加剤を含む第二基材層22を形成する樹脂組成物からなるシートとを、押出ラミネーション、ドライラミネーション、ウエットラミネーション、サーマルラミネーションなどの方法により接着・圧着させて得る。次いで、第二基材層22の表面に、絵柄層3及び接着剤4を、グラビア印刷、ロールコートなどの公知の印刷又は塗工手段により積層すればよい。また、絵柄層3が複数層の場合、例えば絵柄層3を上記のように柄パターン層と、ベタ着色層との組み合わせとする場合は、1層を積層した後、乾燥し、その後次の層を積層すればよい。
[加飾成形品の製造方法]
上記のようにして得られた本発明の加飾シートは、射出成形同時加飾に好適に用いられる。射出成形同時加飾は、まず、射出成形同時加飾用の加飾シートの第一基材層を金型内に向けて第一基材層側から熱盤によって加熱し、該加飾シートが金型内形状に沿うように予備成形して金型内面に密着させて型締する。この時の加熱温度は、基材層を形成する樹脂のガラス転移温度近傍以上で、かつ、溶融温度(または融点)未満の範囲であることが好ましい。通常はガラス転移温度近傍の温度で行うことが、より好ましい。なお、上記のガラス転移温度近傍とは、ガラス転移温度±5℃程度の範囲をさす。
次いで、後述する射出樹脂を溶融させて、キャビティ内に射出して該加飾シートと射出樹脂とを一体化させる。射出樹脂が熱可塑性樹脂の場合は、加熱溶融によって流動状態にして、また、射出樹脂が熱硬化性樹脂の場合は、未硬化の液状組成物を室温又は適宜加熱して流動状態で射出して、冷却して固化させる。これによって、加飾シートが、形成された樹脂成形体と一体化して貼り付き、加飾成形品となる。射出樹脂の加熱温度は、射出樹脂によるが、一般に180〜300℃程度である。
このようにして得られた加飾成形品は、冷却してから金型から取り出すことにより、加飾成形品を得ることができる。
《射出樹脂》
加飾成形品に用いられる射出樹脂としては、射出成形可能な熱可塑性樹脂あるいは、熱硬化性樹脂(2液硬化性樹脂を含む)であればよく、特に制限されず、様々な樹脂を用いることができる。このような熱可塑性樹脂材料としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系重合体、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン系共重合体樹脂、ABS系樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体樹脂)などのスチレン系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリアクリロニトリルなどのアクリル系樹脂、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリブテン系などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、エチレングリコール−テレフタル酸−イソフタル酸系共重合体樹脂、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、2液反応硬化型のポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独でもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
また、これらの樹脂には、必要に応じて各種添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどの無機物粉末、木粉、ガラス繊維などの充填剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤などを添加することができる。なお、射出樹脂は、用途に応じて適宜、着色剤を添加して着色した樹脂を使用してもよい。着色剤には、前述の基材フィルムに用いることのできるものと同様の公知の着色剤を使用できる。
加飾成形品を構成する射出樹脂成形体の厚さについては特に制限はなく、当該加飾成形品の用途に応じて選定されるが、通常1〜5mm、好ましくは2〜3mmである。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
各実施例で得られた加飾成型品について、以下の方法で評価した。
(1)艶差の評価
実施例及び比較例で得られた加飾成形品を目視して、下記の基準で評価した。
○:樹脂を射出するゲート部に該当する箇所の裏面(加飾成形品の表面)と周囲との艶差を見つけることはできず、均一な意匠性を有していた。
△:樹脂を射出するゲート部に該当する箇所の裏面(加飾成形品の表面)と周囲との艶差は注意して観察すると若干あるが、実用上問題にはならない。
×:樹脂を射出するゲート部に該当する箇所の裏面(加飾成形品の表面)の箇所を確認するまでもなく、明らかに当該箇所と周囲との艶差が発生した。
(2)意匠性の評価
実施例及び比較例で得られた加飾成形品を目視して、下記の基準で評価した。
○:加飾シートのシワや破れは全くない。
△:加飾シートのシワが若干あるが、実用上問題にはならない。
×:加飾シートのシワが著しい、あるいは破れがある。
実施例1
(1)加飾シートの製造
第一基材層として、ポリメチルメタクリレートを主成分とし、アクリルゴムを含有しないアクリル系樹脂シート(厚さ:10μm,艶消し剤含有量:樹脂100質量部に対して0.5質量部)、第二基材層として、ポリメチルメタクリレートを主成分とし、アクリルゴムを含有するアクリル系樹脂シート(厚さ:115μm,アクリルゴム含有量:樹脂100質量部に対して20質量部)を用意し、これらのシートを押出ラミネーションにより圧着させて基材層2を得た。
次いで、ポリウレタン・アクリルポリオール系樹脂をバインダーとし、金属顔料(粒径:5〜25μm)を樹脂固形分100質量部に対して30質量部の含有比率で含有するインキを用いて、塗工量5g/m2で全面均一にグラビア印刷で塗工して絵柄層3を形成し、さらにアクリル系樹脂の塗工液を厚さ4μmで塗布して、接着剤層4を形成し、加飾シートを得た。
(2)加飾成形品の製造
上記(1)で得られた加飾シートを、熱盤温度150℃で加熱して射出成形の金型内形状に沿うように成形して、金型内面に密着させた。金型は、80mm角の大きさで、立ち上がり10mm、コーナー部が3Rのトレー状である深絞り度の高い形状のものを用いた。一方、射出樹脂としてABS樹脂(日本エイアンドエル(株)製、商品名「クラスチックMTH−2」)を用いて、これを230℃にて溶融状態にしてから、キャビティ内に射出した。冷却して金型から取り出して、加飾成形品を得た。得られた加飾成形品について、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例2
実施例1において、第一基材層として、ポリメチルメタクリレートを主成分とし、アクリルゴムを含有しないアクリル系樹脂シート(厚さ:35μm,艶消し剤含有量:樹脂100質量部に対して0.5質量部)、第二基材層として、ポリメチルメタクリレートを主成分とし、アクリルゴムを含有するアクリル系樹脂シート(厚さ:80μm,アクリルゴム含有量:樹脂組成物に対して20質量部)とした以外は、実施例1と同様にして加飾シート及び加飾成形品を得た。得られた加飾成形品について、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1において、基材層をアクリルゴムを含むアクリル系樹脂シート(厚さ:120μm,アクリルゴム含有量:樹脂100質量部に対して20質量部)のみとした以外は実施例1と同様にして加飾シート及び加飾成形品を得た。得られた加飾成形品について、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
Figure 0005556041
本発明の加飾シートは、加飾成形品において、ゲート流れによる艶差の発生を低減しつつ、良好な加飾成形品を製造することができるものである。また、得られた加飾成形品は、家庭用電化製品、自動車内装品などの様々な分野で好適に用いることができる。
1.加飾シート
2.基材層
21.第一基材層
22.第二基材層
3.絵柄層
4.接着剤層

Claims (4)

  1. 第一基材層と第二基材層とからなる基材層の第二基材層の表面に、絵柄層と接着剤層とが順に積層してなり、該第一基材層がアクリル系樹脂を含みかつアクリルゴムを含まない樹脂組成物からなり、該第二基材層がアクリル系樹脂及びアクリルゴムを含む樹脂組成物からなり、該絵柄層は光輝性顔料を含むメタリック調であり、該第一基材層が艶消し剤を含み、かつ該艶消し剤の含有量が該第一基材層を形成する樹脂100質量部に対して0.01〜5.0質量部であることを特徴とする射出成形同時加飾用シート。
  2. 前記第一基材層の厚さが、前記第二基材層の厚さの50%以下である請求項1に記載の射出成形同時加飾用シート。
  3. 前記光輝性顔料が、メタリック顔料及びパール顔料から選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2に記載の射出成形同時加飾用シート。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形同時加飾用シートを用いてなる加飾成形品。
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