JP6686626B2 - 加飾シート及び加飾樹脂成形品 - Google Patents
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Description
項1. 少なくとも、透明熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に、光輝性ガラスフレーク及びバインダー樹脂を含む光輝性層と、着色剤及びバインダー樹脂を含む着色層とをこの順に備えており、
前記光輝性層のバインダー樹脂は、実質的に熱可塑性アクリル樹脂からなり、
前記着色層のバインダー樹脂は、実質的に熱可塑性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及び熱可塑性アクリル樹脂からなる、
加飾シート。
項2. 前記透明熱可塑性樹脂フィルムが、熱可塑性アクリル樹脂により構成されている、項1に記載の加飾シート。
項3. 前記透明熱可塑性樹脂フィルムの厚みが、50μm以上200μm以下である、項1または2に記載の加飾シート。
項4. 前記着色層のバインダー樹脂における前記熱可塑性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体と熱可塑性アクリル樹脂の質量比が、3:7〜7:3の範囲にある、項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
項5. 前記光輝性層及び着色層の厚みが、それぞれ、0.1μm以上10μm以下である、項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
項6. 少なくとも、前記透明熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に、前記光輝性層と、前記着色層と、接着層をこの順に備えている、項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
項7. 少なくとも、前記透明熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に、前記光輝性層と、前記着色層と、支持体シートと、接着層をこの順に備えている、項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
項8. 少なくとも、成形樹脂層と、着色剤及びバインダー樹脂を含む着色層と、光輝性ガラスフレーク及びバインダー樹脂を含む光輝性層と、透明熱可塑性樹脂フィルムとをこの順に備えており、
前記光輝性層のバインダー樹脂は、実質的に熱可塑性アクリル樹脂からなり、
前記着色層のバインダー樹脂は、実質的に熱可塑性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及び熱可塑性アクリル樹脂からなる、
加飾樹脂成形品。
項9. 項1〜7のいずれかに記載の加飾シートを、真空成形型により真空成形して成形シートを得る工程と、
前記成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、前記着色層側から流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に前記成形シートを一体化させる工程と、
を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。
本発明の加飾シートは、少なくとも、透明熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に、光輝性ガラスフレーク及びバインダー樹脂を含む光輝性層と、着色剤及びバインダー樹脂を含む着色層とをこの順に備えており、光輝性層のバインダー樹脂が、実質的に熱可塑性アクリル樹脂からなり、さらに、着色層のバインダー樹脂が、実質的に熱可塑性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及び熱可塑性アクリル樹脂からなることを特徴とする。本発明の加飾シートは、このような構成を備えていることにより、三次元成形用途に使用することができ、さらに、意匠性に優れ、光輝性を備える。具体的には、本発明の加飾シートにおいては、表面に位置する透明熱可塑性樹脂フィルムを通して光輝性層が視認可能であるため、表面に位置する層に光輝性ガラスフレークを含まなくても、光輝性を発揮することができる。また、本発明の加飾シートは、透明熱可塑性樹脂フィルム、光輝性層、及び着色層が熱可塑性の樹脂を含んでいることから、三次元成形性を備えている。さらに、本発明の加飾シートにおいては、光輝性層のバインダー樹脂が実質的に熱可塑性アクリル樹脂からなり、さらに、着色層のバインダー樹脂が実質的に熱可塑性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及び熱可塑性アクリル樹脂からなることから、光輝性層の表面上に着色層がムラなく印刷され、光輝性層と着色層の組み合わせによって表現される意匠性に優れている。以下、本発明の加飾シートについて詳述する。
本発明の加飾シートは、例えば、図1〜図3に示されるように、少なくとも、透明熱可塑性樹脂フィルム1と、光輝性層2と、着色層3とがこの順に積層された積層構造を有する。また、例えば図2または図3に示されるように、本発明の加飾シートにおいては、本発明の加飾シートと成形樹脂層6との接着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、透明熱可塑性樹脂フィルム1とは反対側の表面に接着層4を設けてもよい。また、図3に示されるように、本発明の加飾シートの剛性を高める観点から、加飾シートの着色層3側に支持体シート5を設けてもよい。本発明の加飾シートには、加飾シートまたは加飾樹脂成形品に付与する機能に応じて、その他の層を1層以上積層してもよい。
透明熱可塑性樹脂フィルム1は、透明熱可塑性樹脂フィルム1を通して光輝性層2を視認可能としつつ、加飾シートに三次元成形性や耐傷性などを付与することなどを目的として設けられる層である。
光輝性層2は、本発明の加飾シートに光輝性の意匠を付与するために設けられる層である。光輝性層2は、光輝性の意匠(例えば、金属調)を発現するために、光輝性ガラスフレークとバインダー樹脂を含んでおり、さらに、当該バインダー樹脂が実質的に熱可塑性アクリル樹脂からなる。なお、本発明において、「バインダー樹脂が実質的に熱可塑性アクリル樹脂からなる」とは、バインダー樹脂中の熱可塑性アクリル樹脂の含有量が、例えば80質量%以上程度であることを意味する。
着色層3は、光輝性層2と共に形成されることにより、加飾樹脂成形品に意匠性を付与することなどを目的として設けられる層である。本発明において、着色層3は、着色剤とバインダー樹脂を含み、さらに、当該バインダー樹脂が実質的に熱可塑性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及び熱可塑性アクリル樹脂からなる。本発明において、着色層3は、バインダー樹脂にアクリル樹脂を用いた前述の光輝性層2に隣接して設けられ、光輝性層2の表面上に着色層3がムラなく印刷できることから、光輝性層2と着色層3の組み合わせによって優れた意匠を発揮することができる。なお、本発明において、「バインダー樹脂が実質的に熱可塑性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及び熱可塑性アクリル樹脂からなる」とは、バインダー樹脂中の熱可塑性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及び熱可塑性アクリル樹脂の合計含有量が、例えば80質量%以上程度であることを意味する。
接着層4は、加飾シートと成形樹脂層6との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて設けられる層である。接着層4は、通常、加飾シートの透明熱可塑性樹脂フィルム1とは反対側の表面(すなわち、裏面)に設けられる。
支持体シート5は、加飾シートに剛性を付与して形状を保持し、インサート成形法などによる真空成形などに適した加飾シートとするために、必要に応じて設けられる層である。支持体シート5は、加飾シートの着色層3側に設けられ、例えば加飾シートの透明熱可塑性樹脂フィルム1とは反対側の表面(すなわち、裏面)に設けられたり、接着層4を設ける場合であれば、着色層3と接着層4との間に設けられる。
本発明の加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートと成形樹脂とを一体化させることにより成形されてなるものである。すなわち、図4または図5に示されるように、本発明の加飾樹脂成形品は、少なくとも、成形樹脂層6と、着色剤及びバインダー樹脂を含む着色層3と、光輝性ガラスフレーク及びバインダー樹脂を含む光輝性層2と、透明熱可塑性樹脂フィルム1とをこの順に備えており、光輝性層2のバインダー樹脂は、実質的に熱可塑性アクリル樹脂からなり、着色層3のバインダー樹脂は、実質的に熱可塑性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及び熱可塑性アクリル樹脂からなることを特徴とする。加飾樹脂成形品には、前述の通り、接着層4、支持体シート5をさらに設けてもよい。
本発明の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、
真空成形された加飾シートの余分な部分をトリミングして成形シートを得るトリミング工程、及び
成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、着色層3側から流動状態の樹脂を射出成形型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する一体化工程。
本発明の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の当該成形面に対し、加飾シートの基材層の表面が対面するように設置した後、当該加飾シートを加熱、軟化させると共に、可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを当該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する予備成形工程、
成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、着色層3側から流動状態の樹脂を射出、充填して固化させることにより樹脂成形体を形成し、樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる一体化工程、及び
可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す取出工程。
熱可塑性の透明アクリルフィルム(厚み125μm)の片面に、熱可塑性アクリル樹脂(100質量部)及び銀被覆されたガラスフレーク(平均径25μm、12質量部)を含むインキを用い、グラビア印刷により光輝性層(ガラスフレークのない位置の厚み1μm)を全面に形成した。次いで光輝性層上に、熱可塑性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及び熱可塑性アクリル樹脂(各50質量部、合計100質量部)と、白色顔料(酸化チタン、平均径0.4μm、30質量部)を含むインキを用い、グラビア印刷により着色層(顔料のない位置の厚み1μm)を全面に形成した。さらにアクリル系接着剤層(1μm)を形成して、加飾シートを得た。
実施例1の光輝性層において、熱可塑性アクリル樹脂(100質量部)の代わりに、熱可塑性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及び熱可塑性アクリル樹脂(各50質量部質量部、合計100質量部)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。
実施例1の着色層において、熱可塑性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及び熱可塑性アクリル樹脂(各50質量部、合計100質量部)の代わりに、熱可塑性アクリル樹脂(100質量部)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。
実施例1の光輝性層において、熱可塑性アクリル樹脂(100質量部)の代わりに、熱可塑性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及び熱可塑性アクリル樹脂(各50質量部質量部、合計100質量部)を用いたこと、及び、実施例1の着色層において、熱可塑性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及び熱可塑性アクリル樹脂(各50質量部、合計100質量部)の代わりに、熱可塑性アクリル樹脂(100質量部)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。
上記で得られた各加飾シートの表面を目視で観察し、以下の基準に従って、着色層の印刷適性と、加飾シートの意匠性を評価した。結果を表1に示す。
A:着色層を形成するインキのムラが認められず、意匠性が極めて良好である。
B:着色層を形成するインキのムラが若干認められるが、全体として意匠性は良好である。
C:着色層を形成するインキのムラが認められ、意匠性が悪い。
D:着色層を形成するインキに顕著なムラが認められ、意匠性が著しく悪い。
上記で得られた各加飾シートを赤外線ヒーターで160℃に加熱し、軟化させた。次いで、真空成形用型を用いて真空成形を行い(最大延伸倍率100%)、型の内部形状に成形した。成形後の加飾シートを冷却後、真空成形用型から加飾シートを離型した。得られた加飾シートを目視で観察し、以下の基準に従って、成形性を評価した。結果を表1に示す。
A:塗膜割れ又は白化が全く認められず、三次元成形性に優れている。
B:三次元形状部又は最大延伸部の一部に微細な塗膜割れ又は白化が認められたが実用上は問題がない。
C:三次元形状部又は最大延伸部の一部に軽微な塗膜割れ又は白化が発生し、実用上やや問題がある。
D:型の形状に追従できずに表面保護層に塗膜割れや白化が見られ、実用上問題がある。
E:加飾シートが硬すぎて、真空成形できなかった。
目視で確認し、以下の基準に従って、加飾シートの光輝性を評価した。結果を表1に示す。
A:光輝性意匠が発現している。
B:光輝性意匠が若干発現している。
C:光輝性意匠が発現していない。
2…光輝性層
3…着色層
4…接着層
5…支持体シート
6…成形樹脂層
Claims (8)
- 少なくとも、透明熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に、光輝性ガラスフレーク及びバインダー樹脂を含む光輝性層と、着色剤及びバインダー樹脂を含む着色層とをこの順に備えており、
前記光輝性層のバインダー樹脂は、実質的に熱可塑性アクリル樹脂からなり、
前記着色層のバインダー樹脂は、実質的に熱可塑性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及び熱可塑性アクリル樹脂からなり、
前記光輝性層及び前記着色層の厚みが、それぞれ、0.1μm以上10μm以下である、
加飾シート。 - 前記透明熱可塑性樹脂フィルムが、熱可塑性アクリル樹脂により構成されている、請求項1に記載の加飾シート。
- 前記透明熱可塑性樹脂フィルムの厚みが、50μm以上200μm以下である、請求項1または2に記載の加飾シート。
- 前記着色層のバインダー樹脂における前記熱可塑性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体と熱可塑性アクリル樹脂の質量比が、3:7〜7:3の範囲にある、請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
- 少なくとも、前記透明熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に、前記光輝性層と、前記着色層と、接着層をこの順に備えている、請求項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
- 少なくとも、前記透明熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に、前記光輝性層と、前記着色層と、支持体シートと、接着層をこの順に備えている、請求項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
- 少なくとも、成形樹脂層と、着色剤及びバインダー樹脂を含む着色層と、光輝性ガラスフレーク及びバインダー樹脂を含む光輝性層と、透明熱可塑性樹脂フィルムとをこの順に備えており、
前記光輝性層のバインダー樹脂は、実質的に熱可塑性アクリル樹脂からなり、
前記着色層のバインダー樹脂は、実質的に熱可塑性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体及び熱可塑性アクリル樹脂からなり、
前記光輝性層及び前記着色層の厚みが、それぞれ、0.1μm以上10μm以下である、
加飾樹脂成形品。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の加飾シートを、真空成形型により真空成形して成形シートを得る工程と、
前記成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、前記着色層側から流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に前記成形シートを一体化させる工程と、
を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。
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