JP7119594B2 - 金属調加飾用部材及びそれを用いた金属調加飾成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、金属調加飾用部材及びそれを用いた金属調加飾成形体に関する。
自動車等の車両、建築物の内装材及び外装材、家具等の材料の意匠性を高める手法として、スプレー等による塗装が行われている。しかし、塗装は、溶剤による環境負荷、乾燥及び冷却工程で必要となる電気に基づくCO排出負荷が大きい。このため、近年、自動車の塗装では、冷却工程のCO排出を軽減し得る樹脂部材の塗装への切り替えが行われている。
しかし、樹脂部材の塗装は、樹脂部材が3次元構造を有する場合に塗布むらが発生してしまい、綺麗な塗装を施すことは困難であった。
上記問題を解消し得るものとして、ロール・ツー・ロール方式で加飾用部材の製造を完了させる手段が考えられる。ロール・ツー・ロール方式は、フィルムへの蒸着又は塗工で加飾用部材を製造するため、上記のような塗布むらの問題を解消できる。例えば、金属メッキの代替手段として、金属蒸着膜を有する加飾シートを用いて、樹脂成形体等の被着体の表面を加飾する手段が提案されている(特許文献1)。
特許5809768号公報
しかし、金属蒸着膜は、加飾シートを構成する他の層とインラインで作製することができない。このため、特許文献1のような金属蒸着膜を有する加飾シートは、樹脂部材への塗装の問題(塗布むら)は解消し得るものの、製造効率が悪く、コストを十分に削減できないという問題がある。
当該問題を解決するために、パール顔料及び金属鱗片等を用いて、印刷によって金属光沢を有する層(光輝性印刷層)を形成する手段が考えられる。
ところで、金属調加飾用部材の光輝性印刷層の内層には、色味付与を含む意匠性や隠蔽性等の観点から着色層が配置される場合がある。しかし、前記着色層には、例えば、意匠性の観点から顔料を多量に含有させる場合がある。また、隠蔽性の観点から、さらに、着色層の厚みを増大させる場合がある。その結果、成形時に着色層に微細なクラック(以下、「マイクロクラック」ということがある。)が生じてしまうことがある。そして、着色層に生じたマイクロクラックは、光輝性印刷層及び透明アクリル基材に伝播する場合、成形不良となることがある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、成形後のクラックの発生が抑制された金属調加飾用部材及びこれを用いた金属調加飾成形体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の[1]~[2]を提供する。
[1]外層側から順に、透明アクリル基材、光輝性印刷層及び着色層を含む金属調加飾用部材であって、前記着色層が顔料及びバインダー樹脂を含み、前記バインダー樹脂が、アクリル系樹脂、及び塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体樹脂を含む、金属調加飾用部材。
[2]上記[1]に記載の金属調加飾用部材から形成されてなる、金属調加飾成形体。
本発明によれば、成形後のクラックの発生が抑制された金属調加飾用部材及びこれを用いた金属調加飾成形体を提供することができる。
本発明の金属調加飾用部材の第一の実施形態を示す断面図である。 本発明の金属調加飾用部材の第二の実施形態を示す断面図である。
[金属調加飾用部材]
本発明の金属調加飾用部材は、外層側から順に、透明アクリル基材、光輝性印刷層及び着色層を含む金属調加飾用部材であって、前記着色層が顔料及びバインダー樹脂を含み、前記バインダー樹脂が、アクリル系樹脂及び塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体樹脂を含むことを特徴としている。
図1及び図2は、本発明の金属調加飾用部材の実施形態を示す断面図である。
図1の金属調加飾用部材1Aは、外層側から順に、透明アクリル基材2、光輝性印刷層3、接着性着色層4a及び樹脂板6を有している。また、図2の金属調加飾用部材1Bは、着色層4b上に接着剤層5を介し樹脂板6を有している。
<透明アクリル基材>
本発明の金属調加飾用部材の基材として、光輝性印刷層を保護し透過性を維持する観点から、透明アクリル基材を用いる。アクリル基材としては、特に限定されないが、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル基材、ポリ(メタ)アクリル酸エチル基材、(メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体基材等からなるアクリル系樹脂フィルムを用いる。アクリル系樹脂フィルムは、耐光性、成形性に優れるとともに、空気との屈折率差が小さいため、表面反射率が低く透明性に優れ、かつ傷が目立ちにくい。また、アクリル系樹脂フィルムの中でも、ゴム粒子を含有するアクリル系樹脂フィルムは、成形性を良好にし得る点で好適である。
透明アクリル基材は、JIS K7136:2000のヘイズが5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。
また、透明アクリル基材は、JIS K7361-1:1997の全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
透明アクリル基材は、光輝性印刷層及び必要に応じて形成する表面保護層との接着性を良好にするために、物理的処理及び化学処理等の易接着処理されたものであってもよい。また、接着性を良好にするために、透明アクリル基材は樹脂フィルム上に易接着層を有するものであってもよい。
また、透明アクリル基材は、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を含有するものであってもよい。
透明アクリル基材の厚みは、成形性及び光輝性印刷層の保護のバランスの観点から、50~250μmであることが好ましく、60~200μmであることがより好ましく、70~150μmであることがさらに好ましい。本明細書においてAA~BBとは、AA以上BB以下であることを意味する。
透明アクリル基材の厚みは、例えば、垂直断面を電子顕微鏡等で観察することにより測定できる。
<光輝性印刷層>
光輝性印刷層は、透明アクリル基材の内層側に位置し、金属調加飾用部材に金属光沢感を付与する役割を担う層である。
光輝性印刷層は、光輝性顔料及びバインダー樹脂を含むことが好ましい。
光輝性印刷層は、金属調加飾用部材の外層側から見える領域の一部に形成されていてもよいが、全面に形成されていていることが好ましい。
光輝性印刷層は、例えば、透明アクリル基材の内層側の面に、光輝性印刷層用インキで印刷することにより形成される。光輝性印刷層用インキは、通常、バインダー樹脂や溶剤からなるビヒクルを主成分とし、これに、光輝性顔料、さらに必要に応じて、染料や顔料等の着色剤が添加混合されたインキが用いられる。印刷方式としては、例えば、コンマコーター印刷、バーコーター印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷等が挙げられる。
<<光輝性顔料>>
光輝性顔料としては、パール顔料及び金属鱗片が挙げられる。これらの中でも、観察する角度による色味が変化し、意匠性をより良好なものとすることができるパール顔料が好ましい。
パール顔料は、雲母(マイカ)、アルミナ及びガラス等の鱗片状の母体の表面に、二酸化チタン等の高屈折率材料からなる被覆層を有する薄板状顔料であり、光透過性を有している。このため、前記薄板状顔料が層状に配置されることにより、光が多重反射され、金属や真珠のような光沢感を生じさせることができる。
このように、パール顔料は、金属そのものではなく、主に金属酸化物により構成されてなるものであるが、金属光沢感を生じさせることができる材料である。
パール顔料は、輝度を高めて金属光沢をより高める観点から、母体がアルミナであるものが好ましい。
パール顔料としては、例えば、白色パール顔料、干渉パール顔料、着色パール顔料等が挙げられる。
白色パール顔料は、雲母、アルミナ、ガラス等の鱗片状の母体を、二酸化チタン等の無色高屈折率材料からなる被覆層で覆ったものであり、かつ被覆層の厚みが0.1~0.15μm程度と比較的小さいものであり、光のほぼすべての波長を反射するため、白色もしくは銀色に見える。
干渉パール顔料は、被覆層が二酸化チタン等の無色高屈折率材料であり、かつ被覆層の厚みが白色パール顔料よりも大きく、0.15μm超のものである。この厚みによって、反射光及び透過光が変化し、種々の干渉色を生じる。虹彩色パールと呼ばれる場合もある。
着色パール顔料は、有彩色であり、被覆層を酸化第二鉄等の有色高屈折率材料としたもの、白色パール顔料の周囲をさらに酸化第二鉄等の有色高屈折率材料もしくはその他の有色顔料で被覆したもの、又は、被覆層中に顔料やその他の着色剤を添加したもの等がある。
パール顔料の粒径は、特に限定されるものではなく、平均長さが5~70μmであることが好ましく、より好ましくは10~40μmである。
なお、パール顔料の平均長さ及び後述する金属鱗片の平均長さは、金属調加飾用部材の平面方向から光学顕微鏡又は電子顕微鏡で観察した任意の20個の粒子(パール顔料又は金属鱗片)の長さの平均値として求められる。なお、1個のパール顔料及び金属鱗片の長さは、1個のパール顔料及び金属鱗片の平面方向の最大長さを意味する。
金属鱗片としては、アルミニウム、金、銀、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等の金属や合金が挙げられる。
金属鱗片は、例えば、前記金属又は合金をプラスチックフィルム上に真空蒸着してなる金属薄膜をプラスチックフィルムから剥離し、剥離した金属薄膜を粉砕、撹拌した得られたものや、前記金属又は合金の粉末と溶剤とを混合し、媒体撹拌ミル、ボールミル、アトライター等で、該粉末を展延及び/又は粉砕して得られたもの、さらに、これらの表面が樹脂コートされたもの等を用いることができる。
金属鱗片は、光輝性印刷層中での均一な分散性の観点から、平均長さが1~50μmであることが好ましく、より好ましくは2~30μm、さらに好ましくは5~20μmである。また、取り扱い性及び高い金属光沢性を得る観点から、平均厚みが0.01~5μmであることが好ましく、より好ましくは0.02~3μm、さらに好ましくは0.05~1μmである。また、金属鱗片のアスペクト比(平均長さ/平均厚み)は15~500であることが好ましい。
金属鱗片及びパール顔料の平均厚みは、金属調加飾部材の断面を光学顕微鏡又は電子顕微鏡で観察した任意の20個の粒子(パール顔料又は金属鱗片)の平均値として求められる。なお、1個のパール顔料又は金属鱗片の厚みは、1個のパール顔料又は金属鱗片の断面像を長さ方向に均等な長さで5つの領域に分割し、各領域の中央部の厚み(t、t、t、t、t)を測定し、t~tを平均したものを意味する。
光輝性印刷層中の光輝性顔料の含有量は、十分な金属光沢感を付与しつつ成形時のクラックを抑制する観点から、光輝性印刷層の全固形分の0.05~50質量%であることが好ましい。
なお、光輝性顔料がパール顔料の場合は、より好ましくは7~40質量%、さらに好ましくは10~30質量%である。また、光輝性顔料が金属鱗片の場合は、より好ましくは0.07~10質量%、さらに好ましくは0.10~5質量%である。
光輝性印刷層のバインダー樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル及びポリ(メタ)アクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂及び塩素化ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、アセチルブチルセルロース及びエチルオキシエチルセルロース等の繊維素系樹脂、塩化ゴム及び環化ゴム等のゴム系樹脂、石油系樹脂、ロジン及びカゼイン等の天然樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、フッ化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、マレイン酸樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらのバインダー樹脂の中でも、透明性の観点からアクリル系樹脂が好ましい。
また、光輝性印刷層のバインダー樹脂は、質量平均分子量の異なる2種の樹脂(質量平均分子量の小さい樹脂(A1)と、質量平均分子量の大きい樹脂(B1))を含むことが好ましい。
樹脂(A1)の質量平均分子量は、100,000以下であることが好ましく、30,000~100,000であることがより好ましく、50,000~90,000であることがさらに好ましい。樹脂(B1)の質量平均分子量は、100,000超であることが好ましく、120,000~800,000であることがより好ましく、150,000~500,000であることがさらに好ましい。
また、樹脂(A1)と樹脂(B1)との質量比は、1:3~3:1であることが好ましく、1:2~2:1であることがより好ましい。
上記のように樹脂(A1)と樹脂(B1)とを併用することにより、成形時のクラックを抑制しつつ、光輝性印刷層の凝集力を良好にしやすくできる。
樹脂(A1)及び樹脂(B1)は、同系統の樹脂であることが好ましく、何れもアクリル系樹脂であることがより好ましい。
なお、本明細書において、質量平均分子量とは、GPC法で測定したポリスチレン換算の質量平均分子量である。
光輝性印刷層中には、成形時のクラックを抑制するために、可塑剤を含有することが好ましい。
可塑剤としては、フタル酸エステル、アジピン酸エステル及びトリメリット酸エステル等が挙げられる。光輝性印刷層中の可塑剤の含有量は、光輝性印刷層の全固形分の1~20質量%であることが好ましく、より好ましくは3~15質量%、さらに好ましくは5~10質量%である。可塑剤の含有量を1質量%以上とすることにより、成形時のクラックを抑制しやすくでき、可塑剤の含有量を20質量%以下とすることにより、耐熱性及び耐光性の低下を抑制するとともに、柔軟性が過度になり過ぎることによる塗膜の変形を抑制することができる。
光輝性印刷層中には配向剤を含有することが好ましい。配向剤としては、雲母等の層状ケイ酸塩が挙げられる。
光輝性印刷層中の配向剤の含有量は、光輝性印刷層の全固形分の1~20質量%であることが好ましく、より好ましくは3~15質量%、さらに好ましくは5~10質量%である。配向剤の含有量を1質量%以上とすることにより光輝性顔料を層内で均一に配置しやすくすることができ、金属光沢の極端なバラツキを抑制しやすくできる。また、配向剤の含有量を20質量%以下とすることにより、光輝性顔料等の他の成分の割合を確保するとともに、成形時にクラックを抑制しやすくできる。
光輝性印刷層には、必要に応じて、例えば、紫外線吸収剤等の光安定剤、光輝性顔料以外の顔料、粘度調整剤、充填剤、安定剤、酸化防止剤、分散剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤、架橋剤等の任意の添加剤を添加することができる。
光輝性印刷層の厚みは、十分な金属光沢感を付与しつつ成形時のクラックを抑制する観点から、3~25μmであることが好ましく、より好ましくは7~15μmである。
<着色層>
着色層は、光輝性印刷層の内層側に位置し、金属調加飾用部材に色味を付与したり、着色層よりもさらに内層側に後述する樹脂板を有する場合に、該樹脂板の色味を隠蔽したりする役割を有する。着色層はプロセスの簡易性等の観点から接着性を有していることが好ましい(以下、「接着性着色層」ということがある)。
着色層は、顔料及びバインダー樹脂を含み、前記バインダー樹脂が、アクリル系樹脂、及び塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体樹脂を含む。
本発明の金属調加飾用部材において、着色層が、アクリル系樹脂、及び塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体樹脂を含んでなることにより、成形時のクラックを抑制しやすくできる。
着色層のバインダー樹脂中のアクリル系樹脂としては、アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂等が挙げられる。具体的には、(メタ)アクリル酸エステルモノマーの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体が挙げられる。アクリル樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリルまたはメタクリル」を意味し、他の類似するものも同様の意である。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ノルマルブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸セカンダリーブチル、(メタ)アクリル酸ターシャリーブチル、(メタ)アクリル酸イソボニル、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレートなどが好ましく挙げられ、これらのうち耐熱性、耐候性の観点から、(メタ)アクリル酸メチルがより好ましい。2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体としては、上記例示されたものから選ばれる2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体が例示され、これらの共重合体はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
また、アクリルポリオール樹脂としては、特に制限されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとを共重合させて得られるものが挙げられる。
アクリル系樹脂は、質量平均分子量が互いに異なるアクリル系樹脂P及びアクリル系樹脂Qを含んでいてもよい。
本発明の金属調加飾用部材において、着色層中の前記バインダー樹脂が、質量平均分子量が互いに異なるアクリル系樹脂P及びアクリル系樹脂Qを含んでなることにより、成形時のクラックを抑制しつつ、凝集力を抑制しやすくできる。
前記アクリル系樹脂Pの質量平均分子量は、前記アクリル系樹脂Qの質量平均分子量より小さいことが好ましい。
前記アクリル系樹脂Pの質量平均分子量は、100,000以下であることが好ましく、30,000~100,000であることがより好ましく、50,000~90,000であることがさらに好ましい。
前記アクリル系樹脂Qの質量平均分子量は、100,000超であることが好ましく、120,000~800,000であることがより好ましく、150,000~500,000であることがさらに好ましい。
前記アクリル系樹脂Pの質量平均分子量が上記の範囲にあると、成形時のクラックを抑制しやすくでき、前記アクリル系樹脂Qの質量平均分子量が上記の範囲にあると、凝集性を抑制しやすくできる。
前記アクリル系樹脂Pと前記アクリル系樹脂Qとの質量比は、好ましくは4:1~1:1であり、より好ましくは3:1~3:2であり、さらに好ましくは5:2~3:2である。前記アクリル系樹脂Aと前記アクリル系樹脂Bとの質量比が、上記の範囲にあると、金属調加飾用部材の成形時のクラックの抑制と凝集性の抑制のバランスがよりとりやすくなる。
アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、80℃以上であり、95℃以上であることがより好ましい。アクリル系樹脂のTgを上記の数値範囲とすることにより、着色層の耐熱性を向上させることができる。また、Tgは、110℃以下であることが好ましい。なお、Tgは、DSC(示査走査熱量測定)による熱量変化の測定(DSC法)に基づき求めることができる。
本発明に用いる塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体樹脂において、酢酸ビニル含有量が、好ましくは5~50質量%、より好ましくは8~30質量%、さらに好ましくは10~20質量%である。
また、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体樹脂の重合度が、好ましくは100~800、より好ましくは120~600、さらに好ましくは150~400である。
塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体樹脂の酢酸ビニル含有量及び重合度を上記の数値範囲とすることにより成形時のクラックを抑制しやすくできる。
必要に応じ、塩化ビニル-酢酸ビニル系モノマーにさらにマレイン酸、フマル酸などのカルボン酸(モノマー)を共重合させてもよい。なお、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体樹脂の重合度は、GPCにより測定したポリスチレン換算による数平均分子量から算出することができる。
塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体樹脂のTgは、70~100℃であることが好ましい。90~100℃であることがより好ましい。塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体樹脂のTgを上記数値範囲とすることにより、耐熱性、及び隣接する層、例えば、光輝性印刷層との密着性を向上させることができる。
着色層に含まれるアクリル系樹脂と、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体樹脂との質量比は、10:2~10:20であることが好ましく、10:4~10:15であることがより好ましく、10:5~10:12であることがさらに好ましい。アクリル系樹脂と、塩化ビニル-酢酸ビニル系樹脂との質量比を上記数値範囲とすることにより、金属調加飾用部材の成形時のクラックをより抑制できる。また、塩化ビニル-酢酸ビニル系樹脂の質量比を大きくした場合は、接着性が増大するため、隣接する層との接着には接着剤層を不要とすることもできる。
着色層のバインダー樹脂中の固形分の総量に対するアクリル系樹脂と、塩化ビニル-酢酸ビニル系樹脂の総含有量は、20質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい、80質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。総含有量を上記の数値範囲とすることにより、金属調加飾用部材の成形時のクラックをより抑制できる。
着色層は、その特性を損なわない範囲において、バインダー樹脂として、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹等のポリエステル系樹脂、ポリウレタンアクリレート等のウレタン系樹脂、エチルセルロース樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、エチルヒドロキシセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等のポリアミド系樹脂、アセタール系樹脂、およびポリカーボネート系樹脂等を含んでいてもよい。
着色層は、顔料を含む。顔料として、白色顔料、黒色顔料、有彩色無機顔料、又は有彩色有機顔料を含むことが好ましい。
白色顔料としては、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛及び鉛白等が挙げられる。これらの中でも隠蔽力にも優れる二酸化チタンが好ましい。また、二酸化チタンの中でも、バインダー樹脂の経時的な劣化を抑制する観点から、ルチル型又はブルッカイト型のものが好ましい。
黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック及び鉄黒等が挙げられる。
有彩色無機顔料としては、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青及びコバルトブルー等が挙げられる。
また、有彩色有機顔料としては、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー及びフタロシアニンブルー等が挙げられる。
着色層中の顔料の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10~400質量部であることが好ましく、30~350質量部であることがより好ましく、50~320質量部であることがさらに好ましい。
顔料の含有量が、前記バインダー樹脂100質量部に対し上記の範囲にあると、所望の色味の付与が広範囲にわたり実現でき、かつ成形時のクラックが抑制しやすくなる。
また、本発明においては、特に顔料の含有量を高く設定でき、それに伴い色味等の付与をより高くできる(例えば、薄膜であっても、より濃い色を発色させる)効果を有する観点から、着色層中の顔料の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、200~400質量部であることが好ましく、250~400質量部であることがより好ましく、320~400質量部であることがさらに好ましい。
着色層に用いる顔料の平均粒子径は、0.1~10μmが好ましく、0.5~5μmがより好ましく、0.5~3μmがさらに好ましい。
本明細書において、顔料の平均粒子径は、溶液中に分散した粒子を動的光散乱方法で測定し、粒子径分布を体積累積分布で表したときの50%粒子径(d50:メジアン径)である。50%粒子径は、例えば、Microtrac粒度分析計(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
着色層の厚みは、特に制限されないが、顔料の種類、また用途に応じて適宜調整される。成形時のクラック抑制の観点から、5~50μmであることが好ましく、7~40μmであることがより好ましく、10~30μmであることがさらに好ましい。
着色層には、必要に応じて、例えば、紫外線吸収剤等の光安定剤、白色顔料以外の顔料、可塑剤、粘度調整剤、充填剤、安定剤、酸化防止剤、分散剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤、架橋剤等の任意の添加剤を添加することができる。
着色層としては、着色層を構成する成分を含む着色層用インキを塗布、乾燥して得られる塗膜型の着色層が挙げられる。また、着色層を複数形成する場合、塗膜型の着色層を複数形成してもよい。
<その他の層>
金属調加飾用部材は、透明アクリル基材、光輝性印刷層及び着色層以外の層を有していてもよい。
<<着色フィルム>>
前記着色層の光輝性印刷層側とは反対側にさらに着色フィルムを有することが好ましい。
着色フィルムは、例えば、前記着色層と同様、顔料及びバインダー樹脂を含むことが好ましい。着色フィルムに用いる顔料は、前述した着色層に用いたものと同じものが挙げられる。
着色層の厚みは、特に制限されないが、顔料の種類、また用途に応じて適宜調整される。成形時のクラック抑制の観点から、0.1~0.5mmであることが好ましく、0.2~0.4mmであることがより好ましい。
<<樹脂板>>
前記着色層の光輝性印刷層側とは反対側にさらに樹脂板を有することが好ましい。
樹脂板は、例えば、金属調加飾用部材の強度を高めたり、金属調加飾用部材から形成した金属調加飾成形体の形状を保持したりする役割を有する。
樹脂板には、金属調加飾用部材の品質、成形性等に影響を及ぼさない範囲で、公知の顔料を用いてもよい。
例えば、樹脂板の表面反射を抑制する場合は、白を除く無彩色(灰色、黒色)であることが好ましく、黒色であることがより好ましい。この場合、樹脂板の顔料としては、黒色顔料単独でもよいし、黒色顔料と他の顔料(白色顔料等)との混合であってもよい。
樹脂板のバインダー樹脂は、ABS樹脂を含むことが好ましい。樹脂板がバインダー樹脂としてABS樹脂を含むことにより、成形時に着色板にクラックが生じることを抑制できる。
樹脂板はABS樹脂以外のバインダー樹脂を含有していてもよい。樹脂板の全バインダー樹脂に対するABS樹脂の割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、99質量%以上であることがよりさらに好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
樹脂板の厚みは、1~7mmであることが好ましく、1.5~5mmであることがより好ましく、2~4mmであることがさらに好ましい。
樹脂板には、必要に応じて、例えば、紫外線吸収剤等の光安定剤、可塑剤、粘度調整剤、充填剤、安定剤、酸化防止剤、分散剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤、架橋剤等の任意の添加剤を添加することができる。
<<接着剤層>>
透明アクリル基材、光輝性印刷層、着色層、着色フィルム及び樹脂板の間には、各層の接着性を高めるために接着剤層を有していてもよい。
接着剤層は、感熱性接着剤層及び感圧性接着剤層(粘着層)が挙げられる。感圧性接着剤層(粘着層)は、貼り合せプロセスの簡便さからより好ましい。
感熱性又は感圧性の樹脂としては、汎用のアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂、塩化ビニル系樹脂若しくは酢酸ビニル系樹脂、又はこれらの2種以上の混合物若しくは共重合体を用いることができる。
接着剤層の厚みは、接着剤の種類に応じて、0.1~100μm程度の範囲で調整すればよい。
なお、金属調加飾用部材を構成する各層(例えば光輝性印刷層、着色層)が接着性を兼ね備えるものであれば、接着剤層を別途形成する必要がなく、薄膜化及びコスト削減の点で好ましい。
<<保護層>>
透明アクリル基材の光輝性印刷層とは反対側の面には、例えば、耐擦傷性を向上するために保護層を形成してもよい。
保護層は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。硬化性樹脂組成物の硬化物は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられ、これらの中でも電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましい。また、金属調加飾用部材を製造する過程で樹脂層が傷つくことを抑制する観点からは、電離放射線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
保護層の厚みは、0.5~30μmであることが好ましく、1~20μmであることがより好ましく、3~10μmであることがさらに好ましい。
<金属調加飾用部材の積層構成>
金属調加飾用部材の積層構成の具体例としては、例えば、下記(1)~(10)が挙げられる。なお、「/」は各層の境界を意味する。また、左側が金属調加飾用部材の外層側、右側は内層側を意味する。
(1)透明アクリル基材/光輝性印刷層/接着性着色層/樹脂板
(2)透明アクリル基材/光輝性印刷層/着色層/接着剤層/樹脂板
(3)透明アクリル基材/光輝性印刷層/接着性着色層/着色フィルム
(4)透明アクリル基材/光輝性印刷層/接着性着色層/着色フィルム/樹脂板
(5)透明アクリル基材/光輝性印刷層/着色層/接着剤層/着色フィルム/樹脂板
(6)保護層/透明アクリル基材/光輝性印刷層/接着性着色層/樹脂板
(7)保護層/透明アクリル基材/光輝性印刷層/着色層/接着剤層/樹脂板
(8)保護層/透明アクリル基材/光輝性印刷層/接着性着色層/着色フィルム
(9)保護層/透明アクリル基材/光輝性印刷層/接着性着色層/着色フィルム/樹脂板(10)保護層/透明アクリル基材/光輝性印刷層/着色層/接着剤層/着色フィルム/樹脂板
上記(1)の積層構成の金属調加飾用部材は、例えば、下記(1-1)の工程で製造することができる。
(1-1)透明アクリル基材上に、光輝性印刷層用インキを塗布、乾燥して光輝性印刷層を形成し、次いで、光輝性印刷層上に、接着性着色層用インキを塗布、乾燥して接着性着色層を形成し、さらに、該接着性着色層側と、樹脂板とを対向させ貼り合わせ、熱ラミネートにより接着し、透明アクリル基材、光輝性印刷層、接着性着色層及び樹脂板からなる積層体A1を得る工程。
上記(5)の積層構成の金属調加飾用部材は、例えば、下記(5-1)~(5-2)の工程で製造することができる。
(5-1)透明アクリル基材上に、光輝性印刷層用インキを塗布、乾燥して光輝性印刷層を形成し、次いで、光輝性印刷層上に、着色層用インキを塗布、乾燥して着色層を形成し、さらに、着色層上に、接着剤層用インキを塗布、乾燥して接着剤層を形成した後、着色フィルムを貼り合わせ、透明アクリル基材、光輝性印刷層、着色層、接着剤層及び着色フィルムからなる積層体A5を得る工程。
(5-2)積層体A5の着色フィルム側と、樹脂板とを対向させ貼り合わせ、熱ラミネートする工程。
本発明の金属調加飾用部材は、成形性が良好であり、車両体の外装用に用いられることが好ましい。ここで、車両体とは、特に制限されないが、道路、空路等において移動を伴う、自動車、自転車、電車、トラック、バス、飛行機等が挙げられる。
[金属調加飾成形体]
本発明の金属調加飾成形体は、上述した本発明の金属調加飾用部材から形成されてなるものである。
<金属調加飾成形体の製造方法>
金属調加飾成形体は、例えば、下記(y1)~(y2)の工程を有する真空成形により、製造することができる。
(y1)金属調加飾用部材を、所定形状の成形面を有する成形型上に設置した後、当該金属調加飾用部材を加熱、軟化させる。成形型が雄型の場合は、金属調加飾用部材の黒色板側が成形型(雄型)側を向くように配置し、成形型が雌型の場合は、金属調加飾用部材の透明基材側が成形型(雌型)側を向くように配置する。
(y2)成形型側から真空吸引して、軟化した金属調加飾用部材を成形型の成形面に沿って密着させることにより、金属調加飾用部材を成形する。
なお、工程(y1)の前に、必要に応じて、加熱による水分除去工程を行ってもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、実施例に記載の形態に限定されるものではない。
1.評価、測定
実施例及び比較例で得られた金属調加飾用部材を用いた金属調加飾成形体について以下の評価を行った。結果を表1に示す。
1-1.クラック
実施例及び比較例で得られた金属調加飾成形体を、透明アクリル基材側から蛍光灯の照明下で目視で観察し、クラックが生じているか否かを確認した。クラックが確認できなかったものを「A」、クラックが確認されたものを「C」とした。
1-2.金属光沢感
実施例及び比較例で得られた金属調加飾成形体を、透明アクリル基材側から蛍光灯の照明下で目視で観察し、金属光沢を感じられるか否かを確認した。金属光沢が感じられたものを「A」、金属光沢が感じられなかったものを「C」とした。
2.金属調加飾用部材の作製
[実施例1]
厚み125μmのゴム粒子を含有するアクリル樹脂系フィルムからなる透明アクリル基材(全光線透過率:92%、ヘイズ:0.6%)上に、下記処方の光輝性印刷層用インキを塗布、乾燥し、厚み10μmの光輝性印刷層を形成した。次いで、光輝性印刷層上に、下記処方の着色層用インキを塗布、乾燥し、厚み10μmの接着性着色層を形成し、透明アクリル基材、光輝性印刷層、接着性着色層からなる積層体を得た。
次いで、積層体の接着性着色層側と、厚み3mmの樹脂板(バインダー樹脂成分:ABS樹脂)とを対向させ貼り合わせ、接着し、外層側から、透明アクリル基材、光輝性印刷層、接着性着色層及び樹脂板をこの順に有する、実施例1の金属調加飾用部材を得た。
また、金属調加飾用部材を、75℃3日間、加熱乾燥した後、所望の成形形状の型を用い、該金属調加飾用部材の黒色板側の面を該型に向けて配置して真空成形し(黒色板到達温度150℃)、実施例1の金属調加飾成形体を得た。
<光輝性印刷層用インキ>
・アクリル系樹脂(A1):8質量部
(質量平均分子量70,000、ガラス転移温度100℃)
・アクリル系樹脂(B1):7質量部
(質量平均分子量300,000、ガラス転移温度100℃)
・パール顔料:5質量部
(母体がアルミナで被覆層が二酸化チタンからなるパール顔料)
(平均長さ:27.5μm、平均厚み:0.4μm)
・沈降防止剤
(シリカ、平均一次粒子径:20nm)
・フタル酸ジイソデシル:2質量部
・配向剤(雲母):2質量部
・溶剤:適量
<着色層用インキ>
・アクリル系樹脂P:5.1質量部(質量平均分子量:70,000、ガラス転移温度:100℃)
・アクリル系樹脂Q:4.6質量部(質量平均分子量:300,000、ガラス転移温度:100℃)
・塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体:5.3質量部
(含有比:塩化ビニル/酢酸ビニル=87/13)
(重合度:400、ガラス転移温度75℃)
・白色顔料(二酸化チタン):25質量部
・溶剤:適量
[実施例2]
二酸化チタンの配合量を32.3質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の金属調加飾用部材及び金属調加飾成形体を得た。
[実施例3]
アクリル系樹脂Pを4.0質量部、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を6.4質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして、実施例3の金属調加飾用部材及び金属調加飾成形体を得た。
[実施例4]
アクリル系樹脂Pを2.5質量部、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を8.0質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして、実施例4の金属調加飾用部材及び金属調加飾成形体を得た。
[実施例5]
二酸化チタン25.0質量部をカーボンブラック12.2質量部、アクリル系樹脂Pを7.1量部、アクリル系樹脂Qを6.0質量部、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を6.9質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例5の金属調加飾用部材及び金属調加飾成形体を得た。
[実施例6]
アクリル系樹脂Pを2.1量部、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を8.3質量部に変更した以外は、実施例5と同様にして、実施例6の金属調加飾用部材及び金属調加飾成形体を得た。
[実施例7]
二酸化チタンの配合量を48.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例7の金属調加飾用部材及び金属調加飾成形体を得た。
[比較例1]
アクリル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を、アクリル系樹脂のみに変更(総質量部は15.0質量部)した以外は、実施例2と同様にして、比較例1の金属調加飾用部材及び金属調加飾成形体を得た。
[比較例2]
アクリル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を、アクリル系樹脂のみに変更(総質量部は20.0質量部)した以外は、実施例5と同様にして、比較例2の金属調加飾用部材及び金属調加飾成形体を得た。
[比較例3]
アクリル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体のみに変更(15.0質量部)以外は、実施例2と同様にして、比較例3の金属調加飾用部材及び金属調加飾成形体を得た。
Figure 0007119594000001
表1の結果から、実施例の金属調加飾用部材は、ロール・ツー・ロール方式によって安価に金属調加飾用部材が得られることが確認できる。
また、表1の結果から、着色層中にアクリル系樹脂のみを含む比較例1の金属調加飾用部材よりも、着色層中に塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を併用した実施例2~4の金属調加飾用部材の方が、クラックを抑制できる白色顔料(二酸化チタン粒子)の含有量の許容量が多いことが確認できる。
同様に、着色層中にアクリル系樹脂のみを含む比較例2の金属調加飾用部材よりも、着色層中に塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を併用した実施例5の金属調加飾用部材の方が、クラックを抑制できる黒色顔料(カーボンブラック粒子)の含有量の許容量が多いことが確認できる。
さらに、実施例2、7と比較例1との対比から、着色層中に塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を併用した場合、クラックを抑制できる白色顔料(二酸化チタン粒子)の含有量の許容量がさらに増大することが確認できる。
本発明の金属調加飾用部材は、良好な成形性を有する。このため、自動車等の車両体の外装用、また高度な意匠性が求められる各種の成形体(例えば、自動車の内外装、家電製品、家具等の部材)に好適に用いることができる。
1:金属調加飾用部材
2:透明アクリル基材
3:光輝性印刷層
4a:接着性着色層
4b:着色層
5:接着剤層
6:樹脂板

Claims (7)

  1. 外層側から順に、透明アクリル基材、光輝性印刷層及び着色層を含む金属調加飾用部材であって、
    前記着色層が顔料及びバインダー樹脂を含み、
    前記着色層の前記バインダー樹脂が、アクリル系樹脂及び塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体樹脂を含み、前記アクリル系樹脂と前記塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体樹脂との質量比が、10:5~10:12であり、
    前記着色層中の前記顔料の含有量が、前記バインダー樹脂100質量部に対して61.0~400質量部であり、
    前記光輝性印刷層が、光輝性顔料及びバインダー樹脂を含む、金属調加飾用部材。
  2. 前記光輝性顔料が、鱗片状のアルミナの表面に高屈折材料からなる被覆層を有するパール顔料である、請求項1に記載の金属調加飾用部材。
  3. 前記着色剤が、二酸化チタンの単独である、請求項1又は2に記載の金属調加飾用部材。
  4. 前記着色剤が、カーボンブラックの単独である、請求項1又は2に記載の金属調加飾用部材。
  5. 前記着色層の厚みが10~30μmである、請求項1~4のいずれか1項に記載の金属調加飾用部材
  6. 車両体外装用に用いられる、請求項1~のいずれか1項に記載の金属調加飾用部材。
  7. 請求項1~のいずれか1項に記載の金属調加飾用部材から形成されてなる、金属調加飾成形体。
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