JP5552484B2 - グラフト化ポリエチレン - Google Patents

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Description

本発明は、加水分解性基及び架橋性基をポリエチレンにグラフト化する方法並びに製造したグラフト重合体、並びにグラフト化ポリエチレンを架橋する方法に関する。本発明は特に、加水分解性シラン基をポリエチレンにグラフト化する方法に関する。
特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4及び特許文献5には、ビニルシランと重合体との反応を包含する方法が記載されている。
特許文献6には、ポリオレフィン、特にポリエチレンと不飽和加水分解性シランとを、ポリオレフィン中にフリーラジカル部位を生成し得る化合物の存在下、140℃を上回る温度で反応させる(グラフト化する)ことによって、ポリオレフィンを架橋することが記載されている。引き続いて反応生成物を水分及びシラノール縮合触媒に曝すことにより、架橋が起こる。この方法は商業的に広く使用されている。特許文献7、特許文献8及び特許文献9は、使用される不飽和加水分解性シランが概してビニルトリメトキシシランである、このグラフト化及び架橋方法について記載する特許のさらなる例である。特許文献10には、共役炭化水素及び/又は一般式R−Xn−C(R)=C(R)−C(R)=C(R)−Xn−Si(R1)m(OR2)(3−m)の少なくとも1つの有機官能シランであり得る化合物(iii)と呼ばれる少量のさらなる化合物を添加することによってスコーチ性能を向上させることが教示されている。R基は同一であるか又は異なり、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基又はアリール基又はアラルキル基、好ましくはメチル基又はフェニル基であり、R(1)は炭素数1〜4の直鎖又は分枝アルキル基であり、R(2)は炭素数1〜8の直鎖、分枝又は環状アルキル基、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基であり、X基は同一であるか又は異なり、Xは系列−CH2−、−(CH2)2−、−(CH2)3−、−O(O)C(CH2)3−及び−C(O)O−(CH2)3−から選択される基であり、nは0又は1であり、mは0、1、2又は3である。
架橋ポリエチレンの一つの重要な使用は、水を輸送する管におけるものである。シランをグラフト化したポリエチレンは、縮合触媒と混合し、押し出すことにより、管を形成することができ、この管は次いで、例えば管の中及び周囲に水を流すことによって水分に曝される。しかしながら、必要とされる耐熱性及び耐薬品性並びに機械特性を付与するのに十分な架橋が起こり、かつ管の揮発性有機物含量を許容し得る低いレベルにまで低減させるには何時間ひいては何日もかかる可能性がある。とりわけ飲料水を輸送する管のための、より迅速かつ完全なポリエチレン架橋方法が必要とされている。
欧州特許第0245938号明細書 英国特許第2192891号明細書 米国特許第4921916号明細書 欧州特許第1354912号明細書 欧州特許第1050548号明細書 米国特許第3646155号明細書 欧州特許第809672号明細書 欧州特許出願公開第1323779号明細書 米国特許第7041744号明細書 米国特許第6864323号
本発明の目的は、グラフト化効率の高いシラン修飾ポリエチレンを提供することである。一実施の形態において、高いグラフト化効率は、典型的にはシリル−アルコキシ官能基の架橋に用いられるさらなる触媒が存在しなくても速やかに架橋することができ、また、揮発性有機物含量を有意に低減することができる、シラン修飾ポリエチレンにつながるものである。
ポリエチレンと、Siと結合した少なくとも1つの加水分解性基を有する不飽和シランとを、ポリエチレン中にフリーラジカル部位を生成し得る化合物又は手段の存在下、140℃を上回る温度で反応させることによって、加水分解性シラン基をポリエチレンにグラフト化する、本発明に係る方法は、不飽和シランがアクリロキシアルキルシラン、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)フマレートシラン及び/又はビス(トリアルコキシシリルアルキル)マレエートシランを含み、且つ前記不飽和シランが前記グラフト化反応の際に、全組成に対して少なくとも0.2重量%であり、最大で20重量%で存在することを特徴とする。
本発明者らは、ポリエチレンへのグラフト化反応を行うに当たり、不飽和加水分解性シラン、すなわち、式R”−CH=CH−Z(I)又はR”−C≡C−Z(II)のSiと結合した少なくとも1つの加水分解性基を有する不飽和シランを用いることで、電子求引部分Zを含有しないビニルトリメトキシシラン等の加水分解性オレフィン性不飽和シランをグラフト化する場合と比較してグラフト化収率が高くなることを本発明により見い出した。グラフト化が亢進すると、水分及び縮合触媒(後者は常に必要なわけではなかった)の存在下で短期間のうちにポリエチレンがより完全に架橋されると共に、グラフト化が亢進されたポリエチレンを用いて製作された管区域中(pipe section)を循環する水の全有機炭素含量が低減する。
本発明は、その態様の1つにおいて、加水分解性シラン基をポリエチレンにグラフト化する方法であって、ポリエチレンと、Siと結合した少なくとも1つの加水分解性基を有する、ポリエチレンとのグラフト化反応に対して特に反応性の高い不飽和シランとを、ポリエチレン中にフリーラジカル部位を生成し得る化合物の存在下で反応させることを含む、方法を提供する。本方法によって調製したグラフト化ポリエチレンは、任意の特定の部材、例えば管に成形し、例えばSioplas(登録商標)法又はMonosil(登録商標)法のいずれかに従って管に水を流すことによって架橋することができる。電子求引部分は反応中心から電子を引き付ける化学基である。電子求引部分Zは概してMichael B. Smith及びJerry March著「マーチ有機化学(March's Advanced Organic Chemistry)」第5版、John Wiley & Sons、New York(2001)、15−58章(1062頁)に求ジエン体として列記された基のうち任意のものであり得る(但し、これらの基は−SiRaR’(3-a)基で置換され得る)。部分ZはC(=O)R*部分、C(=O)OR*部分、OC(=O)R*部分、C(=O)Ar部分(ここで、Arは−SiRaR’(3-a)基で置換されたアリーレンを表し、R*は−SiRaR’(3-a)基で置換された炭化水素部分を表す)であり得る。ZはC(=O)−NH−R*部分でもあり得る。好ましいシランは、式R”−CH=CH−X−Y−SiRaR’(3-a)(III)又は式R”−C≡C−X−Y−SiRaR’(3-a)(IV)(式中、Xは−CH=CH−結合又は−C≡C−結合に対して電子求引効果を有する化学連結、例えばカルボキシル連結、カルボニル連結又はアミド連結等を表し、Yは連結XとSi原子とを隔離する少なくとも1つの炭素原子を含む二価の有機スペーサー連結を表す)のものを含む。
電子供与基、例えばアルコール基又はアミノ基は電子求引効果を減少させる可能性がある。一実施の形態において、不飽和シラン(I)又は不飽和シラン(II)はかかる基を有しない。立体効果、例えばメチル等の末端アルキル基の立体障害は、オレフィン結合又はアセチレン結合の反応性に影響を及ぼす可能性がある。一実施の形態において、不飽和シラン(I)又は不飽和シラン(II)はかかる立体障害基を有しない。グラフト化反応の際に形成されるラジカルの安定性を高める基、例えばシランの不飽和部分と共役した二重結合又は芳香族基が不飽和シラン(I)又は不飽和シラン(II)中に存在することが好ましい。後者の基は−CH=CH−結合又は−C≡C−結合に対して活性化効果を有する。
好ましいシランは、式R”−CH=CH−X−Y−SiRaR’(3-a)(III)又は式R”−C≡C−X−Y−SiRaR’(3-a)(IV)(式中、Xは−CH=CH−結合又は−C≡C−結合に対して電子吸引効果を有する化学連結、例えばカルボキシル連結、カルボニル連結、ジエン連結、アリーレン連結又はアミド連結等を表し、Yは連結XとSi原子とを隔離する少なくとも1つの炭素原子を含む二価の有機スペーサー連結を表す)のものを含む。
本発明は、上記方法によって製造された、加水分解性シラン基をグラフト化したポリエチレンを含む。不飽和シランがオレフィン−CH=CH−結合を含有する場合、グラフト化ポリエチレンは概して、式R”−CH(PE)−CH2−X−Y−SiRaR’(3-a)のグラフト化部分及び/又は式R”−CH2−CH(PE)−X−Y−SiRaR’(3-a)のグラフト化部分(式中、Rは加水分解性基を表し、R’は炭素数1〜6のヒドロカルビル基を表し、aは1以上3以下の範囲の値を有し、Xは電子求引効果を有する化学連結を表し、Yは連結XとSi原子とを隔離する少なくとも1つの炭素原子を含む二価の有機スペーサー連結を表し、R”は水素又は式−X−Y−SiRaR’(3-a)の基を表し、PEはポリエチレン鎖を表す)を含有する。
不飽和シランがアセチレン−C≡C−結合を含有する場合、グラフト化ポリエチレンは概して、式R”−C(PE)=CH−X−Y−SiRaR’(3-a)のグラフト化部分及び/又は式R”−CH=C(PE)−X−Y−SiRaR’(3-a)PEのグラフト化部分(式中、Rは加水分解性基を表し、R’は炭素数1〜6のヒドロカルビル基を表し、aは1以上3以下の範囲の値を有し、Xは電子求引効果を有する化学連結を表し、Yは連結XとSi原子とを隔離する少なくとも1つの炭素原子を含む二価の有機スペーサー連結を表し、R”は水素又は式−X−Y−SiRaR’(3-a)の基を表し、PEはポリエチレン鎖を表す)を含有する。
本発明は、上記のように製造したグラフト化ポリエチレンがシラノール縮合触媒の存在下又は非存在下で水分に曝されることを特徴とする、ポリエチレンを架橋する方法も含む。
ポリエチレン出発原料は、エチレン単位を少なくとも50重量%含む任意の重合体であり得る。ホモポリエチレン、例えば密度が0.955g/cm3〜0.97g/cm3の高密度ポリエチレン、密度が0.935g/cm3〜0.955g/cm3の中密度ポリエチレン(MDPE)若しくは密度が0.918g/cm3〜0.935g/cm3の低密度ポリエチレン(LDPE)(超低密度ポリエチレン、高圧低密度ポリエチレン及び低圧低密度ポリエチレンを含む)又は微孔性ポリエチレンが好ましい。ポリエチレンは、例えばチーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒又はメタロセン触媒を用いて製造することができる。水管用途では、ポリエチレンの密度は、管がその耐用年数全体にわたり静水圧に耐えられるように少なくとも0.940g/cm3であることが好ましい。非管用途、例えばワイヤ及びケーブル絶縁物には、密度がより低いポリエチレン樹脂を用いることができる。ポリエチレンは代替的には、エチレン共重合体、例えば70重量%〜95重量%のエチレン単位及び5重量%〜30重量%の酢酸ビニル単位を含有するエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)若しくはエチレンと、最大で50重量%の別のα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン若しくは1−オクテン等との共重合体等、最大で5重量%のジエン単位を含有するエチレンプロピレンジエン三元重合体、又は少なくとも50重量%のエチレンと、アクリル酸及びメタクリル酸、アクリロニトロル、メタクリロニトリル、並びにそれらのエステル、特にアルキル基の炭素数が1〜16のアルキルエステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート若しくはブチルアクリレート等から選択される少なくとも1つのアクリル重合体とを含むエチレンアクリル共重合体であり得る。ポリエチレンは塩素化してもよく(但し、エチレン単位の少なくとも50%が未修飾である)、又はエチレン酢酸ビニル塩素三元重合体であってもよい。
架橋して架橋ポリエチレン水管を形成するためには、ポリエチレンは、シランとの反応前のメルトフローレート(MFR 2.16kg/190℃、ISO1133法に準拠) が少なくとも2.0g/10分であることが好ましい。ポリエチレンは単峰性又は多峰性の分子量分布を有することができ、及び/又は異なるポリエチレンの混合物を用いることができる。不飽和シラン及びポリエチレン中にフリーラジカル部位を生成し得る化合物と、或るタイプのポリエチレンとを混合してマスターバッチを形成することができ、これを引き続いて異なるタイプのポリエチレンと混合することができる。例えば微孔性ポリエチレンは液体添加剤と混合してマスターバッチを形成する際に非常に有効である。ポリエチレンはさらに、異なる重合体、例えば別のポリオレフィン、例えばポリプロピレン等と混合することもできる(但し、これらの重合体は混和性であり、かつ得られるポリエチレン組成物中のエチレン単位の比率は少なくとも50重量%である)。
式R”−CH=CH−Z(I)又は式R”−C≡C−Z(II)の不飽和シランの−SiRaR’(3-a)基中の各加水分解性基Rは好ましくはアルコキシ基であるが、代替的な加水分解性基、例えばアセトキシ基等のアシルオキシ基、メチルエチルケトキシム基等のケトキシム基、エチルラクテート基等のアルキルラクテート基、アミノ基、アミド基、アミノキシ基又はアルケニルオキシ基を用いることができる。アルコキシ基Rは概してそれぞれ炭素数1〜6の直鎖又は分枝アルキル鎖を有し、最も好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。シラン(I)又はシラン(II)におけるaの値は例えば3であることができ、例えばシランはトリメトキシシランである可能性があり、これにより最大数の加水分解性部位及び/又は架橋性部位がもたらされる。しかしながら、各アルコキシ基は加水分解されると揮発性の有機アルコールを生成するため、架橋の際に生じる揮発性有機物質を最小限にするためにシラン(I)又はシラン(II)におけるaの値は、2ひいては1が好ましい場合がある。R’基は存在する場合、好ましくはメチル又はエチル基である。
不飽和シランは部分的に加水分解され、シロキサン連結を含有するオリゴマーに縮合され得るが、かかるオリゴマーは依然として不飽和シラン単量体単位1個当たりSiに結合した加水分解性基を少なくとも1つ含有するため、グラフト化ポリエチレンはそれ自身に対して又は極性のある表面及び物質に対して十分な反応性がある。グラフト化ポリエチレンを第2の段階で架橋しようとする場合、通常、グラフト化前のシランの加水分解及び縮合を最小限にすることが好ましい。
式R”−CH=CH−X−Y−SiRR’(3−a)(III)又は式R”−C≡C−X−Y−SiRR’(3−a)(IV)の不飽和シランにおいて、電子求引連結Xは好ましくはカルボキシル連結である。したがって、好ましいシランは式R”−CH=CH−C(=O)O−Y−SiRR’(3−a)(V)を有する。スペーサー連結Yは概して、少なくとも1つの炭素原子を含む二価の有機基、例えばメチレン、エチレン若しくはプロピレン等のアルキレン基又はアリーレン基又はポリエチレングリコール若しくはポリプロピレングリコール等のポリエーテル鎖であり得る。R”基が水素を表し、かつYがアルキレン基を表す場合、不飽和シラン(I)中のR”−CH=CH−C(=O)O−Y−部分はアクリロキシアルキル基である。本発明者らは、アクリロキシアルキルシランがビニルシラン又はメタクリロキシアルキルシランよりもはるかに容易にポリエチレンにグラフト化することを見い出した。好ましいアクリロキシアルキルシランの例はγ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシランである。γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシランは、米国特許第3179612号に記載の方法によってアリルアクリレート及びトリメトキシシランから調製することができる。γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシランもそれぞれ同様にアリルアクリレート及びメチルジメトキシシラン又はジメチルメトキシシランから調製することができる。アクリロキシメチルトリメトキシシランは、米国特許第3179612号に記載の方法によってアクリル酸及びクロロメチルトリメトキシシランから調製することができる。
式R”−CH=CH−X−Y−SiRaR’(3-a)(III)又は式R”−C≡C−X−Y−SiRaR’(3-a)(IV)のシラン中のR”基は代替的にはアルケニル基であることができ、例えばR”はプロペニル基、XはC(=O)O基、Yはアルキレン基であることができる(シランがソルビン酸のアルコキシシリルアルキルエステルである場合)。
不飽和シラン(I)又は不飽和シラン(II)中のR”基は代替的には、式−X−Y−SiRaR’(3-a)の電子吸引基、例えば連結−X−がカルボキシル連結である電子求引基であり得る。したがって、不飽和シランは式RaR’(3-a)Si−Y−O(O=)C−CH=CH−C(=O)O−Y−SiRaR’(3-a)(VI)のものである可能性があり、すなわち、不飽和シラン(I)はビス(トリアルコキシシリルアルキル)フマレート(トランス異性体)及び/又はビス(トリアルコキシシリルアルキル)マレエート(シス異性体)を含み得る。
例えば、
ビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)フマレート、
Figure 0005552484
ビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)マレエートである。
Figure 0005552484
これらの調製は米国特許第3179612号に記載されている。代替的には、(III)又は(IV)中の電子吸引基は式−XH又は式−XR*(式中、R*はアルキル基である)のものであり得る。不飽和シランはモノ(トリアルコキシシリルアルキル)フマレート及び/又はモノ(トリアルコキシシリルアルキル)マレエートであってもよく、又はアルキルモノフマレート及び/又はアルキルモノマレエートのトリアルコキシシリルアルキルエステルであってもよい。
不飽和シランは、式:
aR’(3-a)Si−Y−O(O=)C−C≡C−C(=O)O−Y−SiRaR’(3-a) (VII)
のものであってもよい。
例えば、
ビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)−2−ブチンジオエートである。
Figure 0005552484
代替的には、ビスシラン(VI)又はビスシラン(VII)は非対称である可能性があり、例えば、分子の各側でY、R及びR’が異なる。
概して、不飽和酸のシリルアルキルエステルである不飽和シランはすべて、不飽和酸、例えばアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ソルビン酸又はケイ皮酸、プロピン酸又はブチン二酸から、対応するカルボン酸塩と対応するクロロアルキルアルコキシシランとの反応によって調製することができる。第1の工程では、例えば米国特許第4946977号に記載されている、カルボン酸とアルカリアルコキシド(アルコール溶液)との反応、又は例えば国際公開第2005/103061号に記載されている、カルボン酸と塩基水溶液との反応及び引き続く共沸蒸留による水の除去のいずれかによって、カルボン酸のアルカリ塩を形成する。カルボン酸のトリアルキルアンモニウム塩は、米国特許第3258477号又は米国特許第3179612号に記載されている、遊離カルボン酸と、トリアルキルアミン、優先的にはトリブチルアミン又はトリエチルアミンとの直接反応によって形成することができる。第2の工程では、カルボン酸塩を次いで、クロロアルキルアルコキシシランを用いた求核置換反応によって、副生成物としてアルカリクロリド又はトリアルキルアンモニウムクロリドを形成させながら反応させる。この反応は、クロロアルキルアルコキシシランを用いて、ニート条件下又は溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレン若しくは同様な芳香族溶媒並びにメタノール、エタノール若しくは別のアルコール系溶媒等の中で行うことができる。30℃〜180℃の範囲内、好ましくは100℃〜160℃の範囲内の反応温度を有することが好ましい。置換反応の速度を上げるために、様々な種類の相間移動触媒を用いることができる。好ましい相間移動触媒は以下の通りである:テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、Aliquat(登録商標)336(Cognis GmbH)若しくは同様な第四級アンモニウム塩(例えば米国特許第4946977号にて使用)、トリブチルホスホニウムクロリド(例えば米国特許第6841694号にて使用)、グアニジニウム塩(例えば欧州特許第0900801号にて使用)又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU、例えば国際公開第2005/103061号にて使用)等の環状不飽和アミン。必要であれば、以下の重合阻害剤を調製工程及び/又は精製工程を通じて用いることができる:ヒドロキノン、フェノール化合物、例えばメトキシフェノール及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等、フェノチアジン、p−ニトロソフェノール、アミン系化合物、例えば、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等又はイオウ含有化合物(上記引用特許に記載されているものであるが、これらに限定されない)。
不飽和シランの配合物、例えばγ−アクリロキシプロピルトリメトキシシランとアクリロキシメチルトリメトキシシランとの配合物、又はγ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン及び/又はアクリロキシメチルトリメトキシシランと、電子求引基を含有しない不飽和シラン、例えばビニルトリメトキシシラン等との、又は1個若しくは2個のSi−アルコキシ基を含有するアクリロキシシラン、例えばアクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン若しくはγ−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン等との配合物を用いることができる。
不飽和シラン(I)又は不飽和シラン(II)は、シラン基をポリエチレンにグラフト化するのに十分な量で存在するものとする。実施の形態によっては、例えば粘着性促進を目的として他のシラン化合物を添加するが、効率的なグラフト化が達成されるように、本プロセスの際に存在するシラン化合物の主要部が不飽和シラン(I)又は不飽和シラン(II)であることが好ましい。
ポリエチレン中にフリーラジカル部位を生成する手段又は化合物を与えると、グラフト化プロセスが起こる。手段は例えば電子線又は高剪断であり得る。好ましくは、ポリエチレン中にフリーラジカル部位を生成し得る化合物が存在する。この化合物は好ましくは有機過酸化物であるが、アゾ化合物等の他のフリーラジカル開始剤を用いることができる。好ましい過酸化物の例としては、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリペルオキソナン、tert−アミルペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、tert−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、2,2−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、ブチル−4,4−ジ(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ジ−tert−アミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジクロロベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルアセテート、tert−ブチルペルベンゾエート及び2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3が挙げられる。飲料水管に用いるポリエチレンをグラフト化及び架橋するに当たっては、過酸化物は、分解生成物が水の官能特性に悪影響を与えないように芳香環を全く含有しないことが好ましい。アゾ化合物の例は、アゾビスイソブチロニトリル及びジメチルアゾジイソブチレートである。上記ラジカル開始剤は、単独で用いてもよく、又は少なくとも2つを組み合わせて用いてもよい。過酸化物又はポリエチレン中にフリーラジカル部位を生成し得る他の化合物は、調合装置内でポリエチレンに注入する前にシランとの均質配合物を調製することができるように、周囲温度で液体の形態で利用可能であることが好ましい。
ポリエチレンと不飽和シラン(I)又は不飽和シラン(II)とを、ポリエチレン中にフリーラジカル部位を生成し得る化合物の存在下で反応させる温度は、概して140℃を上回り、ポリエチレンを溶融し、かつフリーラジカル開始剤を分解するには十分に高い。通常、170℃〜230℃の範囲の温度が好ましい。過酸化物又はポリエチレン中にフリーラジカル部位を生成し得る他の化合物の分解温度は、120℃〜220℃、好ましくは160℃〜190℃の範囲であることが好ましい。
グラフト化反応の際に存在する不飽和シラン(I)又は不飽和シラン(II)の量は概して、全組成に対して少なくとも0.2重量%であり、最大で20重量%もしくはそれより多くてもよい。本明細書中における全組成とは、反応混合物を形成するために一纏めにされる、すべての成分、例えば重合体、シラン、フィラー、触媒等を含有する出発組成を意味する。好ましくは、不飽和シラン(I)又は不飽和シラン(II)はグラフト化反応の際に、全組成に対して0.5重量%〜15重量%存在する。最も好ましくは、不飽和シラン(I)又は不飽和シラン(II)はグラフト化反応の際に、全組成に対して1.0重量%〜10重量%存在する。
ポリエチレン中にフリーラジカル部位を生成し得る化合物は概して、グラフト化反応の際に、全組成に対して少なくとも0.01重量%の量で存在し、最大で1重量%又は2重量%の量で存在し得る。有機過酸化物は例えば、グラフト化反応の際に、全組成に対して0.01重量%〜0.5重量%存在することが好ましい。
ポリエチレンと不飽和シラン(I)又は不飽和シラン(II)とのグラフト化反応は、 任意の好適な装置を用いて、バッチプロセスとして又は連続プロセスとして行うことができる。ポリエチレンは例えば、ペレット若しくは粉末形態で又はそれらの混合物として添加することができる。ポリエチレンは加熱しながら機械的加工に付すことが好ましい。バッチプロセスは例えば、インターナルミキサ、例えば、ローラーブレードを備えたBrabender Plastograph(商標)350Sミキサ、又はバンバリーミキサ内で行うことができる。ロールミルはバッチ加工又は連続加工のいずれかに用いることができる。バッチプロセスでは、概して、ポリエチレン、不飽和シラン及びポリエチレン中にフリーラジカル部位を生成し得る化合物を140℃超で少なくとも1分間混合し、最大30分混合することができるが、高温での混合時間は概して3分〜15分である。反応混合物は、混合した後140℃を上回る温度でさらに例えば1分〜20分の期間保持することができ、グラフト化反応を継続させることができるようにする。
概して連続加工が好ましく、好ましい容器は、機械的作動、すなわち、内部を通過する材料の混練又は調合に適応した押出機、例えば二軸押出機である。好適な押出機の一例は商標「Ko−Kneader」で販売されているものである。押出機は、任意の未反応シランを除去するために、押出ダイのすぐ前に真空ポートを備えることが好ましい。押出機又は他の連続反応器中で140℃超で一緒にしたポリエチレン、不飽和シラン及びポリエチレン中にフリーラジカル部位を生成し得る化合物の滞留時間は概して、少なくとも0.5分、好ましくは少なくとも1分であり、最大で15分であり得る。滞留時間は1.5分〜5分であることがより好ましい。ポリエチレンの全部又は一部は、押出機に供給する前に、不飽和シラン及び/又はポリエチレン中にフリーラジカル部位を生成し得る化合物と予混合してもよいが、かかる予混合は概して140℃未満、例えば周囲温度で行う。
グラフト化ポリエチレンは通常、水分に曝すことによって架橋する。一実施の形態では、かかる架橋はシラノール縮合触媒の存在下で起こる。任意の好適な縮合触媒を利用することができる。これらはプロトン酸、ルイス酸、有機塩基及び無機塩基、遷移金属化合物、金属塩並びに有機金属錯体を含む。
好ましい触媒は、有機スズ化合物、特に有機スズ塩、とりわけジ有機スズ(diorganotin)ジカルボキシレート化合物、例えばジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジメチルスズジブチレート、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズジアセテート、ジメチルスズビスネオデカノエート、ジブチルスズジベンゾエート、ジメチルスズジネオデコノエート又はジブチルスズジオクトエート等を含む。代替的な有機スズ触媒は、トリエチルスズタートレート、スズ(II)オクトエート、スズオレエート、スズナフテート、ブチルスズトリ−2−エチルヘキソエート、スズブチレート、カルボメトキシフェニルスズトリスベレート及びイソブチルスズトリセロエートを含む。代替的には、有機化合物、特に他の金属、例えば鉛、アンチモン、鉄、カドミウム、バリウム、マンガン、亜鉛、クロム、コバルト、ニッケル、アルミニウム、ガリウム又はゲルマニウム等のカルボキシレート(カルボン酸塩)を用いることができる。
縮合触媒は代替的には、チタン、ジルコニウム及びハフニウムから選択される遷移金属の化合物、例えば一般式Ti[OR54のチタネートエステルとしても知られるチタンアルコキシド及び/又は一般式Zr[OR54のジルコネートエステル(式中、各R5は同一であっても又は異なっていてもよく、直鎖又は分枝であり得る炭素数1〜10の一価の第一級、第二級又は第三級脂肪族炭化水素基を表す)であり得る。R5の好ましい例としては、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、及び2,4−ジメチル−3−ペンチル基等の分枝第二級アルキル基が挙げられる。代替的には、チタネートは、任意の好適なキレート剤、例えばアセチルアセトン又はメチル若しくはエチルアセトアセテート等でキレート化してもよい(例えばジイソプロピルビス(アセチルアセトニル)チタネート又はジイソプロピルビス(エチルアセトアセチル)チタネート)。
縮合触媒は代替的にはプロトン酸触媒又はルイス酸触媒であり得る。好適なプロトン酸触媒の例としては、酢酸等のカルボン酸及びスルホン酸等のカルボン酸、特にドデシルベンゼンスルホン酸等のアリールスルホン酸が挙げられる。「ルイス酸」は電子対を受容して共有結合を形成する任意の物質、例えば、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素メタノール錯体、FeCl3、AlCl3、ZnCl2、ZnBr2又は式MR4 fg(式中、MはB、Al、Ga、In又はTlであり、各R4は独立して同一であるか又は異なり、炭素数6〜14の一価の芳香族炭化水素ラジカル(好ましくは少なくとも1つの電子求引元素若しくは電子求引基、例えば−CF3、−NO2若しくは−CN等を有するか、又は少なくとも2つのハロゲン原子で置換される一価の芳香族炭化水素ラジカル)を表し、Xはハロゲン原子であり、fは1、2又は3であり、gは0、1又は2である(但しf+g=3)の触媒である。かかる触媒の一例はB(C653である。
塩基性触媒の例は、アミン又はテトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム化合物又はアミノシランである。ラウリルアミン等のアミン触媒は、単独で用いてもよく、又は別の触媒、例えばスズカルボキシレート又は有機スズカルボキシレート等と組み合わせて用いてもよい。
シラノール縮合触媒を好ましくはグラフト化ポリエチレンに組み込み、次いでグラフト化ポリエチレンを物品に成形し、引き続いて水分で架橋する。触媒はグラフト化反応の前、グラフト化反応の間、又はグラフト化反応後にポリエチレンと混合することができる。グラフト化後の触媒の混合が好ましい。
好ましい一手順では、二軸押出機で140℃超でポリエチレン、不飽和シラン及びポリエチレン中にフリーラジカル部位を生成し得る化合物を混合することにより、シランとポリエチレンとをグラフト化し、得られたグラフト化ポリエチレンとシラノール縮合触媒とを引き続く混合工程で混合する。触媒との混合は例えば、押出機(上記二軸押出機等の、内部を通過する材料の混練又は配合に適応した押出機であってもよく、又は単軸押出機等の、より単純な押出機であってもよい)内で連続的に行うことができる。グラフト化ポリエチレンはかかる第2の押出機で140℃を上回り、かつポリエチレンの融点を上回る温度に加熱されるため、この第2の押出機でグラフト化反応が継続する。
代替的な好ましい手順において、シラノール縮合触媒はポリエチレンの一部と予混合することができ、不飽和シラン(I)、不飽和シラン(II)、不飽和シラン(III)又は不飽和シラン(IV)はポリエチレンの別の部分と予混合することができ、2つの予混合物を、グラフト化反応を行うために用いたミキサ又は押出機で任意選択でさらなるポリエチレンと接触させることができる。ほとんどの不飽和シラン及び好ましい縮合触媒、例えばジ有機スズジカルボキシレート等は液体であるため、押出機でポリエチレンの大部分と混合する前に別途微孔性ポリエチレンにそれぞれ吸収させることが好ましい。
グラフト化ポリエチレンへの触媒の添加に用いる混合手順が何であれ、シラン及び触媒が共に水分に曝されないように、又はシラングラフト化ポリエチレン化合物が所望の物品に最終的に成形される前に水分に曝されないように注意を払わなければならない。
シラン縮合触媒は典型的には全組成に対して0.005重量%〜1.0重量%で用いられる。例えば、ジ有機スズジカルボキシレートは全組成に対して0.01重量%〜0.1重量%で使用することが好ましい。
グラフト化ポリエチレンにシラノール縮合触媒を組み込むことに代えて又はこれに加えて、シラノール縮合触媒を、グラフト化ポリエチレンの架橋に用いる水に溶解させることができる。例えば、成形又は押出によってグラフト化ポリエチレンから成形した熱成形部を、ジ有機スズカルボキシレート又は酢酸等のカルボン酸触媒を溶解させた水中で硬化させることができる。
他の好ましい実施の形態では、シラノール縮合触媒非存在下で架橋を行う。これは、シラノール縮合触媒の使用に関連する、必要反応剤数、コスト及び汚染リスク(とりわけスズに基づくもの)の低減を可能にするため、有利である。
米国特許第7015297号は硬化に際して架橋するだけでなく重合体の鎖延長をもたらすアルコキシシラン末端重合体系を提供する。ジアルコキシα−シランを組み込むことにより、かかる組成物の反応性も十分に高く、概してスズを含有する比較的多量の触媒を使用することなく組成物を製造することができると言われている。米国特許出願公開第20050119436号は、欧州特許第372561号に、シラン縮合触媒を用いて又は用いずに加硫処理されてから水分を排除して保存しなければならないシラン架橋性ポリエーテルの調製についての記載があることを報告している。本発明者らは、α−アクリロキシメチルシラン(aATM)をポリエチレンにグラフト化することにより、縮合触媒の有無とは無関係に同一速度で配合された材料を架橋することが可能になることを観察した。他方、他のシランでは、或る特定の程度まで架橋が起こるが、その速度が縮合触媒非存在下では縮合触媒存在下と比べて劣ることが観察された。
多くの用途では、架橋ポリエチレンは少なくとも1つの酸化防止剤を含有することが好ましい。好適な酸化防止剤の例としては、商標Ciba Irgafos(登録商標)168で市販されているトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、商標Ciba Irganox(登録商標)1010で市販されているテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−プロピオネート)]メタン加工安定剤及び商標Ciba Irganox(登録商標)1330で市販されている1.3.5−トリメチル−2.4.6−トリス(3.5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンが挙げられる。架橋ポリエチレンが4−置換−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等のヒンダードアミン系光安定剤、例えば、商標Tinuvin 770、Tinuvin 622、Uvasil 299、Chimassorb 944及びChimassorb 119で販売されているもの等を含有することが望ましい場合もある。酸化防止剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤は便宜上、グラフト化反応の際に不飽和シラン及び有機過酸化物と共に、又はこれを別個の引き続く工程でグラフト化ポリエチレンに添加する場合にはシラノール縮合触媒と共に、ポリエチレンに組み込むことができる。架橋ポリエチレン中の酸化防止剤及び光安定剤の全濃度は、典型的には全組成に対して0.02重量%〜0.20重量%の範囲である。
シラノール縮合触媒並びに酸化防止剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を含有するグラフト化ポリエチレンは、例えば押出によって管(pipes)に成形することができる。かかる管は特に、水、例えば飲料水、床下暖房用水又は通常加熱システム用水の輸送に用いられる。
本発明の架橋ポリオレフィンは多種多様な製品で用いることができる。グラフト化ポリオレフィンはブロー成形又は回転成形して、瓶、缶若しくは他の液体容器、液体供給部、通風部、タンク(燃料タンクを含む)、波形ベローズ、カバー、ケース、チューブ、管、管継ぎ手又は輸送トランクにすることができる。グラフト化ポリオレフィンは押し出して、管、波形管、シート、繊維、プレート、コーティング、フィルム(シュリンク包装フィルムを含む)、プロファイル、床材、チューブ、導管若しくはスリーブにしてもよく、又は電気絶縁層としてワイヤ若しくはケーブル上に押し出してもよい。グラフト化ポリオレフィンは射出成形又はプレス成形して、チューブ及び管継ぎ手、包装、ガスケット並びにパネルにしてもよい。グラフト化ポリオレフィンは発泡又は熱成形してもよい。それぞれの場合において、成形した物品はシラノール縮合触媒の存在下又は非存在下で水分に曝すことによって架橋することができる。
本発明により製造した架橋ポリオレフィン物品は、グラフト化又は架橋を行わない同様のポリオレフィンから形成された物品と比較して、機械強度、溶融強度、耐熱性、耐薬品性及び耐油性、耐クリープ性及び/又は環境応力割れ耐性が向上している。
本発明のグラフト化ポリエチレンは、ポリエチレンと、複合材料の補強に一般的に用いられるフィラーとの相溶性を向上させるか、又は典型的にはインク、塗料及びコーティングに用いられる高表面エネルギー重合体を含むポリエチレン系材料のカップリング又は接着のさらなる向上のためにポリエチレンの表面エネルギーを増加させるために用いることもできる。
好ましい実施の形態では、不飽和シラン(I)又は不飽和シラン(II)を、ポリエチレンと反応させる前にフィラーに付着させる。これにより、不飽和シランを取り扱い易くすることができると共に、フィラー入りの重合体を得るのに必要とされる工程数を減らすことができる。
ポリエチレンへのシランのグラフト化が向上すると架橋がより効率的になる。本発明者らは、本発明により製造したシラングラフト化ポリエチレンが、2mm厚プレートに成形するか、又は内径16mm、肉厚2mmの管に押し出した場合、既存の市販されているビニルシラングラフト化ポリエチレン、例えば商標Sioplas(登録商標)Eで販売されているもの等と比較して、硬化によりゲル含量が65%になり、95℃の水中又は周囲室温条件での硬化に必要な時間で最大30%の利点を与えることができることを見い出した。65%のゲル含量は、ポリエチレンの耐熱性及び耐薬品性並びに機械的強度の急増によって示されるように有効な架橋に相当する。架橋がより効率的であることはまた、16mm×2mmの管区域に循環させた水中で検出可能な全有機炭素(TOC)含量及び臭気強度(TON)のより効率的かつ迅速な低減につながる。このことは飲料水を輸送する管(pipes for carrying drinking water)にとっては非常に重要である。既知の架橋ポリエチレン管は、2.5mg/m2・日未満のTOCを達成するために、水による4日間〜7日間の洗浄を必要とするが、本発明に係る架橋ポリエチレン管はおよそ1日でこれを達成することができる。
シラノールに富む添加剤を組成物に添加することにより、シラン架橋ポリエチレンの架橋速度(rate of crosslinking rate)を加速することができることが観察された。
したがって、好ましい実施の形態では、グラフト化反応後にシラノール含有シリコーン化合物を添加する。
シラノール含有化合物は、グラフト化反応後に得られる全組成に対して1重量%〜10重量%存在することが好ましい。
シラノール含有化合物は、ポリエチレンにシランをグラフト化した後、シラノール縮合触媒と共に添加することが好ましい。
このシラノール含有シリコーン化合物はジオール末端を有するシロキサン化合物又はシラノール官能基を有するシリコーン樹脂であり得る。
ジオール末端を有するシロキサン化合物は、少数(例えば、平均で15)のR62SiO部分(式中、R6はアルキル、例えばPDMSシロキサンではメチルである)を含み得る。
シラノール官能基を有するシリコーン樹脂は当該技術分野において既知であり、市販されている。シラノール官能基を有するシリコーン樹脂は、M単位、D単位、T単位及びQ単位の組合せ、例えばDT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、MQ樹脂、MDQ樹脂、MDTQ樹脂又はMTQ樹脂等、代替的にはT(シルセスキオキサン)樹脂又はDT樹脂を含み得る。本出願の目的のため、「D単位」は式R7 2SiO2/2の単位を意味し、「M単位」は式R7 3SiO1/2の単位を意味し、「Q単位」は式SiO4/2の単位を意味し、「T単位」は式R7SiO3/2の単位を意味する(式中、各R7は独立して有機基又はシラノール基である)。
DT樹脂の例としては、式:
(R89SiO2/2h(R10SiO3/2i
を含む樹脂が挙げられる。R8、R9及びR10の各例は同一であってもよく、又は異なっていてもよい。各単位内でR8、R9及びR10は異なっていてもよい。各R8、R9及びR10は独立してヒドロキシル基又は有機基、例えば炭化水素基若しくはアルコキシ基等を表す。炭化水素基は飽和又は不飽和であり得る。炭化水素基は分枝、非分枝、環状又はそれらの組合せであり得る。炭化水素基は炭素数が1〜40、代替的には炭素数が1〜30、代替的には炭素数が1〜20、代替的には炭素数が1〜10、代替的には炭素数が1〜6であり得る。炭化水素基はアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基及びt−ブチル基等、代替的にはメチル基又はエチル基、代替的にはメチル基を含み得る。炭化水素基は芳香族基、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基及びフェニルエチル基等、代替的にはフェニル基を含み得る。不飽和炭化水素基はアルケニル基、例えばビニル基、アリル基、ブテニル基及びヘキセニル基等を含み得る。
上記式において、hは1〜200、代替的には1〜100、代替的には1〜50、代替的には1〜37、代替的には1〜25の範囲であり得る。上記式において、iは1〜100、代替的には1〜75、代替的には1〜50、代替的には1〜37、代替的には1〜25の範囲であり得る。
代替的には、DT樹脂は式(R8 2SiO2/2h(R9 2SiO2/2i及び式(R8SiO3/2h(R9SiO3/2i(式中、R8、R9、h及びiは上記の通りである)を有し得る。代替的には、この式において、各R8はアルキル基であってもよく、各R9は芳香族基であってもよい。MQ樹脂の例としては、式(R893SiO1/2j(SiO4/2k(式中、R8、R9及びR10は上記の通りであり、jは1〜100であり、kは1〜100であり、jとkとの比の平均は0.65〜1.9である)の樹脂が挙げられる。
選択されるシラノール官能基を有するシリコーン樹脂は、組成物に対して選択される他の成分、例えば、触媒タイプ及び量、ポリエチレン重合体との相溶性、配合の際のプロセス条件、包装及び用途を含む、各種要因によって決定される。
シラノール末端を有するMQ樹脂は、ポリエチレン重合体との相溶性が良好であることから固体として用いることが好ましい。MQ固体樹脂がシラノール基を2重量%〜6重量%、例えばおよそ4重量%含有することがより好ましい。
本発明を以下の実施例によって説明する。
原料に関する説明
重合体及び油
高密度ポリエチレン(HDPE)ペレットは、密度が0.955g/cm3(ISO1183A法)、MFR(2.16kg/190℃)が4.0g/10分(ISO1133法)、硬度が62ショアD(ISO868法)、Vicat軟化点(49N)が70℃(ISO306B法)である、Basell製のLupolen(登録商標)5031LQ449Kであった。中密度ポリエチレン(MDPE)ペレットは、密度が0.944g/cm3(ISO1183A法)、MFR(2.16kg/190℃)が3.5g/10分(ISO1133法)、Vicat軟化点(1kg)が123℃(ISO306B法)である、Innovene(登録商標)A4040であった。
微孔性ポリエチレンペレットMembrana Accurel(登録商標)XP200を液体成分の吸着に用いた。Accurel(登録商標)XP200はMFR(2.16kg/190℃)が1.8g/10分(ISO1133法)、融解温度(DSC)が119℃であることを特徴とする。
ナフテン系加工油は、粘度が104cSt(40℃、ASTM D445法)、比重が0.892g/cm3(ASTM D4052法)である、Nynas製のNyflex(登録商標)222Bであった。
Multibase(登録商標)MB50−314加工助剤は、高密度ポリエチレンに分散された超高分子量官能化シロキサン重合体であり、二軸押出機でのグラフト化工程及び押出工程の際に、シラングラフト化ポリエチレンの加工及びフローを向上させるために使用した。
過酸化物
2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン(DHBP)ペルオキシド(純度91.2%)はArkema製のLuperox(登録商標)101であり、純粋な液体形態で用いた。ジ−tert−ブチルペルオキシド(純度99%)はAkzo-Nobel製のTrigonox(登録商標)Bであり、純粋な液体形態で用いた。
3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリペルオキソナンペルオキシド(イソパラフィン系炭化水素溶液で純度41%)はAkzo-Nobel製のTrigonox(登録商標)301であった。
シラン
ビニルトリメトキシシラン(VTM)はDow Corning(登録商標)Z6300であり、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(γ−MTM)シランはDow Corning(登録商標)Z6030であり、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(γ−ATM)は米国特許第3179612号明細書に記載の方法によってアリルアクリレート及びトリメトキシシランから調製した。α−アクリロキシメチルトリメトキシシラン(α−ATM)は米国特許第3258477号明細書の実施例5に記載の手順によってアクリル酸及びクロロメチルトリメトキシシランから調製し、ビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)フマレートシラン(BGF)、ビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)マレエートシラン(BGM)及びそれらの混合物は米国特許第3179612号に記載の通りに調製した。直接反応生成物には、43%のBGM及び57%のBGFが含まれていた。この混合物を分離して純粋なBGF生成物及び86%のBGMと14%のBGFとを含む混合物を生成し、α−アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン(α−AMM)を、米国特許第3258477号明細書の実施例5に記載の手順によってアクリル酸及びジメチルクロロメチルメトキシシランから調製した。
触媒
用いた縮合触媒は以下の通りであった:
成形又は射出した試料を水中で硬化させる水で希釈した1%酢酸;
複合材料へ調合される、粘度が104cSt(40℃、ASTM D445法)、比重が0.892g/cm3(ASTM D4052法)である、Nynasによって販売されているナフテン系加工油Nyflex(登録商標)222Bで希釈した、ABCR(登録商標)(整理番号AB106609)から供給されているジオクチルスズジラウレート(DOTDL)
酸化防止剤
トリス−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトはCiba Irgafos(登録商標)168であった。テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−プロピオネート)]メタン加工安定剤はCiba Irganox(登録商標)1010であった。3,3’,3’,5’,5’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾールはCiba Irganox(登録商標)1330であった。オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネートはCiba Irganox(登録商標)1076であった。
実施例1
Accurel(登録商標)XP200多孔性ポリエチレンペレット4.3重量%と、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン3重量%及びLuperox(登録商標)101 0.1重量%とを、液体試薬がポリエチレンにより吸収されるまでタンブル混合する(tumbled)ことにより、シランマスターバッチを形成した。別途、Accurel(登録商標)XP200多孔性ポリエチレンペレット4.3重量%と、Nyflex(登録商標)222Bナフテン系油2.1重量%で希釈したジオクチルスズジラウレート0.03重量%、Irgafos(登録商標)168ホスフィン酸化防止剤0.10重量%及びIrganox(登録商標)1010フェノール性酸化防止剤0.05重量%とをタンブル混合することにより、触媒/酸化防止剤マスターバッチを形成した。
Lupolen(登録商標)5031LQ449K高密度ポリエチレン(HDPE)ペレット86重量%を、ローラーブレードを備えたBrabender(登録商標)Plastograph 350Sミキサに投入し、そこで調合を行った。回転速度は100rpmとし、チャンバーの初期温度は200℃に設定した。溶融物のトルク及び温度をモニタリングして成分の反応加工を制御した。HDPEを2分間混合した後、シランマスターバッチを添加し、2分間混合してグラフト化反応を開始した。次いで、触媒/酸化防止剤マスターバッチを添加し、さらに4分間混合し、この際、グラフト化は継続したが、水の非存在下で実質的に全く架橋は起こらなかった。次いで、溶融物をミキサから落とし、200℃で5分間Agila(登録商標)PE30プレス上で2mm厚プレートにキャスト成形した後、周囲温度に2分間冷ました。
異なる架橋度の架橋ポリエチレンサンプルを作製するために、2mmシートのサンプルを95℃の水中で異なる期間(1時間〜24時間)硬化させた。
実施例2
γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシランの量を3重量%から1重量%へと低減させて実施例1を繰り返した。
比較例C1及び比較例C2
各比較例では、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシランを等モル量のビニルトリメトキシシランに置き換え実施例1及び実施例2を繰り返した。
各実施例について、調合時のトルクの増加、グラフト化収率、24時間硬化後の架橋ポリエチレンのゲル含量、並びにシート成形後初期及び24時間硬化後の架橋ポリエチレンのずれ弾性率G’を測定した。これらを表1に記録する。
加工トルクは、100rpmの混合速度を維持するためにPlastograph 350Sミキサのモータによって加えられるニュートン・メートル(N・m)単位のトルクの大きさである。
グラフト化収率は、例えばAnal. Chim. Acta, 1968, 43, 397においてF.J. Langmyhr et al.によって記載されている溶出法に従って、材料を高温で硫酸及びフッ化水素酸で処理した後の重量測定に基づいて架橋ポリエチレン試料中のケイ素の量を推定することによって算出した。
ゲル含量は、ISO10147法「架橋ポリエチレン(PE−X)から成る管及び継手−ゲル含量の定量による架橋度の推定(Pipes and fittings made of crosslinked polyethylene (PE-X) - Estimation of the degree of crosslinking by determination of the gel content)」を用いて求めた。この試験の本質は、成形部から採取した試験片の質量を、該試験片を溶媒中、例えば還流キシレン中に8時間浸漬させた前後に測定することにある。架橋度は不溶性物質の質量%で表す。
ずれ弾性率(G’)は、Advanced Polymer Analyzer APA2000(登録商標)で測定した。試料3.5gを、その融点を上回る180℃の温度で分析した。ずれ弾性率(G’)は、定振動条件(0.5Hz)下での歪み掃引に対して記録した。1%〜100%の様々な歪みに対するずれ弾性率(G’)、ずれ粘性率(G”)及びTanDの記録にはおよそ5分かかる。歪み%の関数であるG’の各種プロットから、12%歪みでの値はすべて線形粘弾性領域にあった。したがって、実施例に記載の試料の硬化時間の関数であるずれ弾性率の増加をフォローするために12%歪みでのG’の値を選択した。
Figure 0005552484
表1に示す結果から観察することができるように、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(γ−ATM)がビニルトリメトキシシラン(VTM)を用いて製造された同等な基準組成物よりも大きなトルク増加及びグラフト化収率を生じている。ローラーブレードミキサ内での調合段階の際のトルク増加は、用いたシランの濃度に正比例したが、グラフト化収率は、VTMグラフト化HDPE試料については両方とも80%近くのままであり、γ−ATMグラフト化HDPE試料については両方とも、グラフト化収率がほぼ100%に近い値に達していたため有意に高いままである。
95℃の水中で24時間の硬化サイクルの前後での12%歪みでのずれ弾性率G’の比較から、γ−ATMにはVTMに比べて対応するPEX材料の架橋速度を加速させる利点があることが明らかに分かる。
ゲル含量の比較から、γ−ATMにはVTMに比べて対応するPEX材料中のゲル含量値をより高くする利点があることが分かる。
実施例3〜実施例12並びに比較例C3及び比較例C4
実施例1の手順に従って、表2に示した濃度で表2に列記したシランをグラフト化したポリエチレンの2mm厚シートを作製した。いかなるシラノール縮合触媒も酸化防止剤マスターバッチに混合しないか、又はポリエチレンに添加しなかった。グラフト化ポリエチレンシートサンプルを95℃の1%酢酸水溶液中に3時間又は24時間浸漬させることによって架橋した(酢酸は架橋反応の触媒として作用した)。トルク増加、グラフト化収率、ゲル含量及びずれ弾性率G’は上記の通り測定した。これを表2に記録する。
実施例の多くで製造したグラフト化ポリエチレンシートのサンプルはまた、30℃及び55℃の温度で硬化させた。これらの実施例については、各実施例で存在するトリメトキシシリル基のモル数に対して報告する、架橋反応の活性化エネルギーを、30℃、55℃及び95℃の温度の水中での時間の関数として与えられる12%歪みでのG’の測定値に対するアレニウスプロットから算出した。これを表2に記録する。
Figure 0005552484
200℃でのHDPE溶融物に(シラン+過酸化物)配合物を添加した際に測定した加工トルクは、以下の順番で比例増加する:
ほぼ等モル濃度でこれらのシランを比較する場合には、γ−MTM(比較例C4)<VTM(比較例C3)<γ−ATM(実施例4)<α−ATM(実施例7)。これらのシランの両者の混合物(それぞれ0.5モル当量:0.5モル当量)を用いた場合(実施例8)、γ−ATMとα−ATMとの間の中間的なトルク増加が観察された。ビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)フマレートシラン(実施例12)又はビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)マレエートシランとの混合物(実施例10及び実施例11)のいずれかを用いた実施例の系統については、有意なトルク増加も観察された。γ−ATM、α−ATM及びビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)フマレート/マレエートシラン異性体について観察されたより大きなトルク増加は、反応性混合プロセスの際にポリエチレン鎖へのシランのグラフト化が亢進されているサインである。本発明者らは、カルボン酸基の存在によって、VTMと比較して過酸化物分解時に形成される電子ラジカルのより有効な非局在化が可能となり、結果としてグラフト化効力の向上が観察されたと考えている。γ−MTMはまた、炭素−炭素二重結合の隣にカルボン酸基を含有するが、α位のメチル基が立体障害又は電子供与効果のいずれかを生じる可能性があるため、用いる加工条件によってはHDPEへのグラフト化が不十分になる。本発明者らは、二重結合にメチル置換基を有するフマル酸及びマレイン酸、すなわち、シトラコン酸、メサコン酸及びイタコン酸のメタクリル酸アナログもHDPEへのグラフト化収率を低減させると考えている。
グラフト化収率は、VTM(比較例C3)での85%から、最大でγ−ATM(実施例3及び実施例4)又はα−ATM(実施例5〜実施例7)のいずれかでの95%〜100%まで 増加することから、VTMと比べてメタクリロキシ官能基を有するシランには利点があることが示される。他方、γ−MTMを用いた場合には(比較例C4)、グラフト化収率が低かった。実施例10ではビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)フマレート/マレエートシラン異性体の両者の混合物を用いたが、これにおいても比較例C3におけるVTMよりもグラフト化収率が高かった。ビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)フマレートシラン又はビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)マレエートシランの精製体を用いた場合には(実施例12又は実施例11)、グラフト化収率は優れており、90%〜95%の範囲であった。
初期ゲル含量は、VTM(比較例C3)では、メタクリロキシシラングラフト化HDPE試料(実施例3〜実施例8)に比べて低い。ビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)フマレート/マレエートシラン異性体の両者の混合物を用いて調製した実施例10の試料の初期ゲル含量も極めて高かった。ビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)マレエートシランの精製体を用いた場合には(実施例11)、初期ゲル含量が最高となり、50%に近い値となった。γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを用いた比較例C4では、初期ゲル含量が0に近かった。これらの観察結果から、硬化プロセス工程が起こる前に既に、アクリロキシ官能基又はマレエート官能基又はフマレート官能基を有するシランを用いて達成されたグラフト化収率の向上によって、PEX試料の架橋プロセスが加速したことが示唆される。
0.010モル%〜0.013モル%の本発明の各種シランを用いて作製した実施例(実施例3〜実施例12)については、酢酸1%が存在する95℃の水中での24時間硬化後のゲル含量はすべて、架橋ポリエチレン水管にとって望ましい最小値65%に近かった。他方、γ−MTMを0.010モル%用いた比較例C4では、ゲル含量は60%未満に留まる。
ローラーブレードミキサ内での調合直後に採取した試料に対して測定した初期値に対する、3時間硬化後に測定した12%歪みでのずれ弾性率G’の比較から、γ−ATM及びα−ATMグラフト化HDPE試料(実施例3〜実施例8)がVTM(比較例C3)よりも有意に速く架橋することが示される。
ビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)フマレート及び/又はマレエート異性体を用いたシラングラフト化HDPE試料(実施例9〜実施例12)はさらに速やかに架橋する。他方、例えばγ−MTMを用いた比較例C4では、ずれ弾性率が極めて低いままであり、比較例C3ではさらに低い。
実施例1に記載の調合工程の最後にDOTDL触媒を添加せずに実施例11を繰り返すと、同様に高いゲル含量及びG’値を得ることができることが示されていた。
24時間硬化後に測定した12%歪みでのずれ弾性率G’と対応するゲル含量の値との間にも良好な相関が観察された。
VTMをメタクリロキシシランに置き換えると、表2の実施例で用いた各シランに存在するトリメトキシシリル基1モル当たりの架橋反応の活性化エネルギーが、VTM(比較例C3)での81kJ/モルからγ−ATM(実施例3)での29kJ/モル及びα−ATM(実施例6)での27kJ/モルへと有意に減少することが示された。ビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)フマレート及びマレエートシランについては架橋反応の活性化エネルギーの約20kJ/モルへのさらなる減少が観察された(実施例11及び実施例12)。
したがって、硬化試料における最大の架橋度の到達に対して観察された架橋の活性化エネルギーの減少及び加速係数は、VTM(比較例C3)と比較してアクリロキシシラン又はビス(γ−トリメトキシシリルプロピル)フマレート及びマレエートシラン、並びにそれらの混合物を用いた実施例の系統で有意であった。
実施例13〜実施例20及び比較例C5
グラフト化ポリエチレン試料を、各種のシラン及び過酸化物を表3に示す量で用いて二軸押出機で調製した。Irganox 1330酸化防止剤0.05重量%の存在下、200℃の二軸押出機で、Lupolen(登録商標)5031LQ449K高密度ポリエチレン(HDPE)ペレット約97重量%にシラン及び過酸化物を配合した。グラフト化ポリエチレンのメルトフローレート(2.16kg/190℃)を測定した。これらを表3に示す。
Figure 0005552484
実施例13〜実施例20及び比較例C5のそれぞれで製造したグラフト化ポリエチレンをペレットに細断し、長さ/直径(L/D)が24の単軸押出機でポリエチレンに対しジオクチルスズジラウレート触媒0.3重量%のマスターバッチ2.5重量%を200℃で混合し、肉厚2mm、直径16mmの管として押し出した。
VTMシラン(比較例C5)をγ−ATM(実施例13〜実施例15)若しくはα−ATM(実施例16〜実施例18)又は両者の混合物(実施例19)に置き換えるとメルトフローレートが有意に減少するが、これらのシラングラフト化HDPEサンプルを用いた管押出に際して困難に直面することは全くなかった。メルトフローレートの減少は、先の表2に示した対応する実施例の系統で観察された加工トルクの増加と一致しており、反応性押出プロセスの際のポリエチレン鎖へのシランのグラフト化が亢進されることが確認される。
管のサンプルは、110℃の蒸気下で8時間、又は周囲雰囲気条件で7日間、14日間若しくは28日間硬化させ、上記の通りゲル含量を分析した。結果を表4に示す。
Figure 0005552484
先の実施例と同様に、初期ゲル含量はVTM(比較例C5)で最低となった一方、γ−ATM(実施例13〜実施例15)、α−ATM(実施例16〜実施例18)及び両者の混合物(実施例19)では増加する。110℃の水蒸気下で8時間の硬化サイクル後に行われたゲル含量測定結果から、VTM又はγ−ATM又はα−ATM又はγ−ATMとα−ATMとの混合物のいずれかを用いる場合に所望の65%〜75%のゲル含量がまずまず良好に達成されるという事実が明らかとなる。周囲雰囲気条件保存時のゲル含量の増加を、本発明の実施例と比較例とを比較して観察した。28日硬化後、ゲル含量の値が、VTM基準(比較例C5)での42%と比較して、α−ATM(実施例16及び実施例18)では約50%であり、γ−ATM(実施例13〜実施例15)では45%であった。
他の管のサンプルを95℃の水中で24時間硬化させた。これらの管を、重要な官能特性、すなわち、全有機炭素(TOC)含量及び臭気強度(TON)の値(EN1622標準法「水分析:臭気強度(TON)及び香気強度(TFN)の定量(Water analysis: Determination of the threshold odour number (TON) and threshold flavour number (TFN)」に従って求められる)について試験した。この試験の本質は管試料内に60℃の水を7日間循環させることにある。次いで、TOCについてはガスクロマトグラフィ(GCMS)によって、またTONについてはパネリストによって水抽出液を分析した。得られた結果を以下の表5に示す。TOC値はmg/m2・日で表す。TON値は水抽出液に由来するいかなる臭気構成成分のにおいをもパネリストに感じさせないように水抽出液に適用される希釈倍率を示す。希釈倍率が低い(例えば、EN1622標準法での評価系によって考慮される最小限である2)ほど、結果及び飲料水の配水に用いる管の品質が良好である。
Figure 0005552484
60℃の水による7日後の抽出でTOC及びTONを出来る限り最小限にすることが最終的な目的である。TOC及びTONを低減させるために、製作者は管を高温の水中で数日間洗浄しなければならない。表5に示す一連の結果から、90℃の水中で24時間洗浄した後、本発明により製造した管の官能特性(TOC、TON)が有意に向上した。VTMシラン(比較例C5)をγ−ATMシラン(実施例13〜実施例15)又はα−ATM(実施例16及び実施例18)又はγ−ATMシラン及びα−ATMシランの両者の混合物(実施例19)並びにγ−ATMシラン及びα−AMMシランの混合物(実施例20)に置き換えると、有意に低減したTOC値及びTON値が観察された。
実施例13A〜実施例20A及び比較例C5A
シラングラフト化ポリエチレンの2mm厚の成形プレートサンプルを、実施例3〜実施例12並びに比較例C3及び比較例C4で用いた手順を用いて、実施例13〜実施例20並びに比較例C5に記載の組成物から作製した。シラングラフト化ポリエチレンサンプルを95℃の1%酢酸水溶液に3時間又は24時間浸漬させることによって架橋した。上記と同様にずれ弾性率(G’)を測定し、12%歪みでの値、すなわち、12%歪みでのG’を表6に記録する。架橋反応の活性化エネルギーを、30℃、55℃及び95℃の温度の水中での時間の関数として与えられる12%歪みでのG’の測定値のアレニウスプロットから算出した。これを表6に記録する。
Figure 0005552484
実施例3〜実施例12に関して、任意の硬化工程に曝す前の試料について測定した初期値に対する3時間硬化後に測定したずれ弾性率から、γ−ATM(実施例13A〜実施例15A)グラフト化ポリエチレン及びα−ATM(実施例16A〜実施例18A)グラフト化ポリエチレンが、VTM基準系(比較例C5A)よりも有意に速く架橋することが示される。
実施例3〜実施例12から分かるように、ビニルシラン(VTM)をアクリロキシシランに置き換えると、架橋反応の活性化エネルギーが72kJ/モル(比較例C5A)からγ−ATM(実施例13A)での32kJ/モル及びα−ATM(実施例16A)での23kJ/モルへと有意に減少することが示された。アクリロキシシランの混合物、すなわち、γ−ATM及びα−ATM(実施例19A)又はγ−ATM及びα−AMM(実施例20A)のいずれかを用いた場合、架橋反応の活性化エネルギーはそれぞれ25kJ/モル及び34kJ/モルであった。実施例のすべての値は、VTM基準系と比べて有意に低く(比較例C5A)、それぞれ、表2の対応する実施例3〜実施例12及び比較例C3に一致した。
実施例21及び実施例22並びに比較C6
シラングラフト化ポリエチレン(PEX−b)試料を、表7に示す処方及び実施例1及び以下に記載の配合方法に従って調製した。用いたシランはγ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(γ−ATM)であった(図1)。
実施例21及び実施例22
シラノール末端がキャップされた樹脂(Dow Corningより入手可能なMQ1601)を、触媒/酸化防止剤マスターバッチと共に架橋工程で添加した。シラノール末端がキャップされた樹脂を添加したこと以外は、本発明に係る同様の実施例を繰り返した。結果を「比較C6」として示す。
MQ1601樹脂は、ポリエチレン(HDPE)に最初にグラフト化したアルコキシシリル基での架橋に利用可能なシラノール含量が約4重量%であることを特徴とする、固体形態であった。MQ1601樹脂由来のシラノールの量と表7に記載の実施例で用いたシラングラフト化HDPE由来のトリメトキシシリル基の量とのモル比はSiOH:〜Si(OMe)3(6:1)であった。
配合はローラーブレードを備えたBrabender Plastograph(登録商標)350Sミキサ内で行った。回転速度は100rpmとし、チャンバーの初期温度は200℃とした。溶融物のトルク及び温度をモニタリングして、成分の反応性混合プロセスを制御した。全混合時間は8分であり、以下に示すミキサ内での一連の各種成分の添加を伴った。すなわち、
1.HDPEペレットを投入し、2分間混合する;
2.シラン及び過酸化物(多孔質HDPEペレットの第1の半分に予め吸着させた)を投入し、2分間混合する;
3.酸化防止剤(多孔質HDPEペレットの第2の半分に予め吸着させた)、Nyflex加工油及びMQ1601固体樹脂(実施例21及び実施例22)を投入し、4分間混合する;
4.バッチを落とし、200℃で5分間Agila(登録商標)PE30プレス上で2mm厚プレートにキャスト成形した後、周囲温度に2分間冷ます。
次いで、成形したプレートを23℃及び20%相対湿度条件のデシケーターに保存した後、さらに試験を行った。
直径30mm、厚さ2mmの試験試料を配合後に得られるキャスト成形プレートに切断した後、95℃の水中で0時間〜24時間の期間硬化させて、時間の関数として材料中での架橋の増大を測定した。
ISO 10147法「架橋ポリエチレン(PEX)から成る管及び継手−ゲル含量の定量による架橋度の推定」を用いてゲル含量を求めた。架橋度は不溶性物質の質量%で表す。縮合触媒として1%酢酸を含む95℃の水中で24時間架橋した前後にのみゲル含量を測定した(表8)。MQ1601樹脂の添加は材料中の初期ゲル含量及び最終ゲル含量の両方を或る特定の程度まで増加させていた。
シラングラフト化HDPE化合物における架橋プロセスの加速度の点での利点を求めるために、ずれ弾性率(G’)をAdvanced Polymer Analyzer APA2000(登録商標)で測定した。試料3.2gを、その融点を上回る180℃の温度で分析した。ずれ弾性率(G’)は、定振動条件(0.5Hz)下での歪み掃引に対して記録した。1%〜100%の様々な歪みに対するずれ弾性率(G’)、ずれ粘性率(G”)及びTanδの記録にはおよそ5分かかる。歪み%の関数であるG’の各種プロットから、12%歪みでの値(12%歪みでのG’)はすべて線形粘弾性領域にあった。したがって、実施例21及び実施例22に記載の試料の硬化時間の関数であるずれ弾性率の増加をフォローするために12%歪みでのG’の値を選択した(図2)。硬化条件は縮合触媒として1%酢酸を含む95℃の水中であった。
硬化時間と共に増加する12%歪みでのG’のプロットを図2に示す。比較例C6に対して、実施例21及び実施例23は、架橋速度を加速させるだけでなく、95℃の水中での完全硬化サイクル後の材料中の(into)最終的な架橋密度の度合いを或る特定の程度(extend)まで高めるMQ1601樹脂を化合物に添加する利点を示している。ゲル含量測定の場合と同様に、95℃の水中で24時間硬化させた後、試料ではほぼ完全な架橋が起こった。
Figure 0005552484
Figure 0005552484
実施例23及び実施例24並びに比較例C7及び比較例C8
実施例13で用いられ、PEX−b管の製造に用いられるSioplas(登録商標)法としても既知である方法に従って、実施例21及び実施例22を繰り返して行った。実施例23及び実施例24では、初期グラフト化反応後にシラノール末端がキャップされた樹脂を添加した一方、「比較例C7及び比較例C8」では、シラノール末端がキャップされた樹脂を添加しなかったこと以外は実施例23及び実施例24と同様に本発明に係るシラングラフト化ポリエチレン(PEX−b)試料を調製した。
第1のマスターバッチを、二軸押出機でTrigonox(登録商標)B過酸化物0.07重量%の存在下、それぞれ2.04重量%及び2.72重量%のγ−ATMシランをHDPEにグラフト化することによって調製した。第2の工程において、触媒マスターバッチ2.5重量%及びMQ1601樹脂4重量%の存在下、γ−ATMグラフト化HDPE化合物93.5重量%を単軸押出機で2mm厚のバンドに押し出した。先の一連の試料と同様に、95℃の水中での硬化時間の関数である架橋速度を12%歪みでのずれ弾性率(G’)の増加を測定することによって再度モニタリングした。図3に示した結果は、時間0での初期値(G’0)に対する95℃の水中での硬化時間(t)の関数であるずれ弾性率(G’t)の相対的増加を示す。この結果から、材料中の架橋速度を加速させるMQ1601添加の効果が確認される。
MQ1601樹脂(比較例C7及び比較例C8)非存在下では、経時的なG’の相対的増加はγ−ATM濃度とは全く無関係である。MQ1601樹脂を4重量%添加した場合には(実施例23及び実施例24)、2.0%のγ−ATMで2.7%の場合よりも速やかなG’の増加が観察された。このことは任意の所与の時点での架橋速度、すなわち硬化深度(cure-in-depth)が、系内に存在する水及び/又はシラノールと反応するアルコキシシリル官能基を有する材料の体積によって決まることから説明することができる。HDPE樹脂にグラフト化したアルコキシシリル基の量に対してMQ1601樹脂添加によってもたらされるシラノールの量が大きいほど、水に曝された材料中での硬化深度の速度が速くなる。
図面
Figure 0005552484
図1:高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂へのグラフト化に用いたγ−アクリルオキシプロピルトリメトキシシランの化学名及び式
Figure 0005552484
図2:1%酢酸を含む95℃の水中での硬化時間の関数であるずれ弾性率(12%歪みでのG’)の増加
Figure 0005552484
図3:95℃の水中での硬化時間(t)の関数である12%歪みでの時間tにおけるずれ弾性率(G’t)の時間0における初期値(G’0)に対する相対的増加
実施例25〜実施例28並びに比較例C9及び比較例C10
グラフト化ポリエチレン試料を、実施例13で用いた方法に従って二軸押出機で調製した。Innovene(登録商標)A4040中密度ポリエチレン(MDPE)ペレット約95重量%に対し、表9に示した量に従って加工助剤及び酸化防止剤の存在下200℃の二軸押出機でシラン及び過酸化物を配合することにより、実施例25及び実施例27並びに比較例C9のそれぞれを得た。
実施例25及び実施例27並びに比較例C9のそれぞれで製造したグラフト化ポリエチレンをペレットに細断し、200℃で長さ/直径(L/D)24の単軸押出機でポリエチレンにジオクチルスズジラウレート触媒0.7重量%のマスターバッチ3重量%を混合し、肉厚2mm、直径16mmの管として押し出した。
実施例26及び実施例28並びに比較例C10のそれぞれで製造したグラフト化ポリエチレンをペレットに細断し、長さ/直径(L/D24)の単軸押出機で肉厚2mm及び直径16mmの管として押し出した。
次に、得られた実施例26〜実施例28並びに比較例C9及び比較例C10の管試料のそれぞれを、90℃の水中で異なる期間の硬化時間の前後でのゲル含量について試験した。結果を表10に示す。
Figure 0005552484
Figure 0005552484
DOTDL触媒(実施例25及び実施例27並びに比較例C9)の存在下、90℃の水中での硬化時間と同様にゲル含量はほとんどすべて増加していた。
DOTDL触媒非存在下、VTMシランを用いて製造された比較例C10はゲル含量が最低であった。それぞれαATMシラン及びγATMシランをポリエチレンにグラフト化した実施例26及び実施例28は共に、VTMシランの場合よりも速く硬化した。
しかしながら、一方での実施例25及び実施例26における、また、他方での実施例28及び実施例28におけるゲル含量の増大を比較すると、実施例25及び実施例26では硬化速度が縮合触媒であるDODTLの有無とは無関係であることが分かることは注目に値する。したがって、完成品コスト及び生態毒性の点で利点をもたらす、DOTDL等の縮合触媒の使用を必要としないシラングラフト化ポリエチレン化合物を開発するためにはγATMシランの代わりにαATMを使用することが好ましい。

Claims (11)

  1. 加水分解性シラン基をポリエチレンにグラフト化する方法であって、粉末又はペレット形態のポリエチレンと、Siと結合した少なくとも1つの加水分解性基を有する不飽和シランとを、該ポリエチレン中にフリーラジカル部位を生成し得る化合物又は手段の存在下、140℃を上回る温度で反応させることを含み、前記不飽和シランがアクリロキシアルキルシラン、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)フマレートシラン及び/又はビス(トリアルコキシシリルアルキル)マレエートシランを含み、且つ前記不飽和シランが前記グラフト化反応の際に、全組成に対して少なくとも0.2重量%であり、最大で20重量%で存在することを特徴とする、方法。
  2. 前記不飽和シランがγ−アクリロキシプロピルトリメトキシシランを含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
  3. 前記不飽和シランがアクリロキシメチルトリメトキシシランを含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
  4. 前記不飽和シランがγ−アクリロキシプロピルトリメトキシシランとアクリロキシメチルトリメトキシシランとの配合物又はγ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン及び/又はアクリロキシメチルトリメトキシシランとビニルトリメトキシシランとの配合物を含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
  5. 前記不飽和シランが前記グラフト化反応の際に、全組成に対して0.5重量%〜15重量%存在することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記ポリエチレン中にフリーラジカル部位を生成し得る化合物が有機過酸化物であり、前記グラフト化反応の際に、全組成に対して0.01重量%〜0.5重量%存在することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記グラフト化反応後に、シラノール含有シリコーン化合物を添加することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記シラノール含有シリコーン化合物がシラノール基を2重量%〜6重量%含有するMQ固体樹脂であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
  9. 前記シラノール含有シリコーン化合物が前記グラフト化反応後に得られる全組成に対して1重量%〜10重量%存在することを特徴とする、請求項に記載の方法。
  10. 前記不飽和シランを、ポリエチレンと反応させる前にフィラーに付着させることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  11. −CH=CH−Z−部分を含有しないオレフィン性不飽和シランと比較してグラフト化を亢進させる、加水分解性シラン基を粉末又はペレット形態のポリエチレンにグラフト化する際の不飽和シランの使用であって、該不飽和シランがアクリロキシアルキルシラン、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)フマレートシラン及び/又はビス(トリアルコキシシリルアルキル)マレエートシランを含み、且つ前記不飽和シランが前記グラフト化反応の際に、全組成に対して少なくとも0.2重量%であり、最大で20重量%で存在する、使用。
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